(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152837
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】組成物及びカプセル製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/122 20060101AFI20251002BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20251002BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20251002BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20251002BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20251002BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20251002BHJP
【FI】
A61K31/122
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/02
A61K9/48
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024054962
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雅治
(72)【発明者】
【氏名】津留 杏祐
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE02
4B018MD03
4B018MD05
4B018MD07
4B018MD10
4B018MD35
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF14
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC50
4C076DD29
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4C076GG01
4C206CB27
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA20
4C206ZC80
(57)【要約】
【課題】ステアリン酸マグネシウム及び二酸化ケイ素を多量に含有していなくても、流動性が良好である、融点が50℃以下のユビキノン粉末を含有する組成物、当該組成物を充填したカプセル製剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る組成物は、融点が50℃以下のユビキノン粉末と、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末と、を含有する。当該組成物においては、組成物全量に対する前記セルロース粉末の含有量が、組成物全量に対する前記ユビキノン粉末の含有量の2倍以上であることが好ましい。当該組成物は、ステアリン酸マグネシウムと二酸化ケイ素を含有していないことが好ましい。本発明に係るカプセル製剤の製造方法は、前記組成物をカプセルに充填する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が50℃以下のユビキノン粉末と、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末と、を含有する、組成物。
【請求項2】
組成物全量に対するステアリン酸マグネシウムの含有量が0.0質量%以上0.1質量%以下であり、組成物全量に対する二酸化ケイ素の含有量が0.0質量%以上0.1質量%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物全量に対する前記セルロース粉末の含有量が、組成物全量に対する前記ユビキノン粉末の含有量の1.5倍以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
融点が50℃以下のユビキノン粉末と、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末とを、乾式混合し、
組成物全量に対するステアリン酸マグネシウムの含有量が0.1質量%以下であり、かつ組成物全量に対する二酸化ケイ素の含有量が0.1質量%以下である組成物を製造する、組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物を、カプセルに充填する、カプセル製剤の製造方法。
【請求項6】
40℃以下の環境下で、前記組成物のカプセルへの充填を行う、請求項5に記載のカプセル製剤の製造方法。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物が充填された、カプセル製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融点の低い有効成分を含有する健康食品用又は医薬用の組成物、及び当該組成物が充填されたカプセル製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル製剤は、カプセル内に有効成分を含む組成物が充填された製剤である。カプセル製剤には、円筒形のボディとキャップに、粉末や顆粒状の組成物が充填された硬カプセル剤と、液状又はペースト状の組成物がフィルム状の皮膜で被包成形された軟カプセル剤の2種類がある。特に、硬カプセル製剤は、組成物をカプセルのボディに充填してキャップを嵌合すればよく、加熱処理を必要としないために、熱安定性が低い有効成分の製剤として好適である。例えば、有効成分が脂溶性化合物は、打錠圧により有効成分が融解して油染みが発生してしまうため、錠剤化には適しておらず、カプセル製剤が好ましく選択される。
【0003】
他の製剤と同様に、カプセル製剤においても、個々の製剤間で有効成分の含有量のばらつきが抑えられていることが重要である。有効成分含有量の均一性の改善には、当該有効成分の流動性が重要である。カプセル製剤は、有効成分を含む粉末状又は顆粒状の組成物が供給口から供給されてボディに充填された後、キャップを嵌合して製造される。原料組成物の流動性が良好であれば、供給口からの供給がスムースに行われ、カプセルに充填されやすく、カプセルごとの重量ばらつきが生じ難い。しかし、融点が低く、摩擦等により生じた熱で溶融しやすい有効成分では、カプセル充填装置の内壁や他の原料粉末と付着してしまうなどにより、流動性が悪化し、有効成分の含有量のばらつきが大きくなるという問題がある。
【0004】
低融点の脂溶性化合物について、製剤化で問題となる熱安定性や製剤操作性を改善する試みがなされている。例えば、特許文献1には、低融点の脂溶性化合物を、融解させた状態で多孔質物質と混合して、当該多孔質物質に保持させた組成物を原料として製剤化する方法が開示されている。多孔質物質に保持させることにより、脂溶性化合物の熱安定性が改善され、製造工程中の融解が抑制される結果、流動性が改善される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、消費者のクリーンラベル志向により、人工的な響き、あるいは誤解を招くような表示の素材を含まない製剤が望まれている。例えば、二酸化ケイ素やステアリン酸マグネシウムのような化学合成品を含有していない製剤であれば、クリーンラベル製剤として好ましい。しかしながら、二酸化ケイ素やステアリン酸マグネシウムは流動性改善のために汎用されている添加剤であり、特に、低融点の脂溶性化合物を有効成分とする製剤では、これらの添加剤を使用しないと、流動性が大きく低下し、薬物含量のばらつきが大きくなる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ステアリン酸マグネシウム及び二酸化ケイ素を多量に含有していなくても、流動性が良好である、融点が50℃以下のユビキノン粉末を含有する組成物、当該組成物を充填したカプセル製剤及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1] 融点が50℃以下のユビキノン粉末と、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末と、を含有する、組成物。
[2]組成物全量に対するステアリン酸マグネシウムの含有量が0.0質量%以上0.1質量%以下であり、組成物全量に対する二酸化ケイ素の含有量が0.0質量%以上0.1質量%以下である、前記[1]の組成物。
[3] 組成物全量に対する前記セルロース粉末の含有量が、組成物全量に対する前記ユビキノン粉末の含有量の1.5倍以上である、前記[1]又は[2]の組成物。
[4] 融点が50℃以下のユビキノン粉末と、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末とを、乾式混合し、
組成物全量に対するステアリン酸マグネシウムの含有量が0.1質量%以下であり、かつ組成物全量に対する二酸化ケイ素の含有量が0.1質量%以下である組成物を製造する、組成物の製造方法。
[5] 前記[1]~[3]のいずれかの組成物を、カプセルに充填する、カプセル製剤の製造方法。
[6] 40℃以下の環境下で、前記組成物のカプセルへの充填を行う、前記[5]のカプセル製剤の製造方法。
[7] 前記[1]~[3]のいずれかの組成物が充填された、カプセル製剤。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、融点が50℃以下のユビキノン粉末を含有しており、ステアリン酸マグネシウム及び二酸化ケイ素を多量に含有していなくても、流動性が良好な組成物、及び、当該組成物が充填されたカプセル製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0011】
なお、本発明及び本願明細書において、セルロースをはじめとする粉末の平均粒子径とは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-950 V2型(商品名)、株式会社堀場製作所製)で測定される平均粒子径D50である。
【0012】
本発明及び本願明細書において、セルロースや組成物をはじめとする粉末の安息角(°)は、杉原式安息角測定器を用いて測定される値である。
【0013】
<組成物>
本実施形態の組成物は、融点が50℃以下のユビキノン粉末と、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末と、を含有している。融点が50℃以下のユビキノン粉末は、製造ラインで融解しやすく、従来は、流動性改善のためにステアリン酸マグネシウムと二酸化ケイ素を充分量配合されている。本実施形態の組成物は、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末を配合させることにより、ステアリン酸マグネシウム及び二酸化ケイ素を多量に含有していなくても、優れた流動性を有している。
【0014】
[ユビキノン粉末]
本実施形態の組成物に含有させるユビキノンは、ベンゾキノン誘導体であって、生体内の酸化還元反応に関与する電子伝達物質の一つであり、コエンザイムQとも称される。ユビキノンには、例えば、コエンザイムQ6、コエンザイムQ7、コエンザイムQ8、コエンザイムQ9、コエンザイムQ10、コエンザイムQ11、及びコエンザイムQ12が含まれる。また、これらの還元体(別名ユビキノール)も含まれる。本実施形態の組成物に含有させるユビキノンは、これらのユビキノンのうち、融点が50℃以下である粉末であれば特に限定されるものではない。また、本実施形態の組成物に含有させるユビキノンは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0015】
本実施形態の組成物に含有させるユビキノン粉末は、微生物等により合成されたものの精製品であってもよく、化学合成品であってもよい。また、市販のユビキノン粉末を、本実施形態の組成物に含有させてもよい。
【0016】
本実施形態の組成物に含有させるユビキノン粉末は、分散性や混合均一性をより改善する等の目的で、平均粒子径D50が1μm以上200μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0017】
本実施形態の組成物のユビキノン粉末の含有量は、組成物全量(組成物の総質量)に対して、通常、1質量%以上50質量%以下であり、5質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上45質量%以下がより好ましく、5質量%以上40質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上40質量%以下がよりさらに好ましく、15質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
【0018】
[セルロース粉末]
セルロースとは、セルロースを含有する天然由来の水不溶性繊維質物質である。
本実施形態の組成物に含有させるセルロース粉末の原料となるセルロースとしては、木材パルプ、非木材パルプ、麦藁、稲藁、コットン、コットンリンター、麻、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等のセルロース原料から加水分解処理等をして得られたセルロースを使用できる。該セルロース原料としては、好ましくは木材パルプ、非木材パルプであり、さらに好ましくは木材晒パルプ(BP)、木材溶解パルプ(DP)、又はコットンリンターパルプであり、より好ましくは木材晒クラフトパルプ(BKP)、又は木材溶解クラフトパルプ(DKP)である。該セルロース原料としては、これらのうち1種を使用してもよく、2種以上を混合したものを使用することも可能である。
【0019】
本実施形態の組成物に含有させるセルロース粉末としては、平均粒子径D50が80μm以上であれば、特に限定されるものではない。一般に、「セルロース粉末」とは、結晶セルロース、粉末セルロース等と称されるものであり、医薬品添加剤又は食品添加物として好適に用いられるものである。また、医薬品添加物規格2018に記載のケイ酸処理結晶セルロース(SMCC)等のような、セルロース以外の成分とセルロースとで処理されたものであってもよい。
【0020】
中でも、本実施形態の組成物に含有させるセルロース粉末としては、結晶セルロースが好ましい。結晶セルロースとしては、少なくとも、食品添加物公定書第9版に記載の微結晶セルロースの確認試験に適合するものであり、日本薬局方(第18改正)に記載の結晶セルロースの確認試験に適合するものがより好ましい。また、米国薬局方、欧州薬局方等に記載された結晶セルロースであってもよい。
【0021】
本実施形態の組成物に含有させるセルロース粉末の平均粒子径D50としては、80μm以上であればよいが、85μm以上が好ましく、90μm以上がより好ましい。本実施形態の組成物に含有させるセルロース粉末の平均粒子径D50の上限値は、特に限定されるものではないが、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、120μm以下がさらに好ましく、100μm以下がよりさらに好ましい。
【0022】
本実施形態の組成物に含有させるセルロース粉末の含有量は、組成物全量に対して、1質量%以上80質量%以下が好ましく、10質量%以上70質量%以下がより好ましく、20質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。セルロース粉末の含有量が上記下限値以上であることにより、組成物の流動性がより優れる。一方、セルロース粉末の含有量が上記上限値以下であることにより、ユビキノンをはじめとするその他の成分を充分量含有させることができる。
【0023】
本実施形態の組成物に含有させるセルロース粉末の安息角は、特に限定されるものではないが、55°以下が好ましく、52°以下がより好ましく、50°以下がさらに好ましい。また、本実施形態の組成物に含有させるセルロース粉末の安息角は、25°以上が好ましく、28°以上がより好ましく、30°以上がさらに好ましく、33°以上がよりさらに好ましい。セルロース粉末の安息角が上記上限値以下であることで、製薬用組成物の流動性をより改善させることができる。
【0024】
[ユビキノン粉末に対するセルロース粉末の含有量比]
本実施形態の組成物における組成物全量に対する前記セルロース粉末の含有量は、組成物全量に対するユビキノン粉末の含有量の1.5倍以上であることが好ましい。ユビキノン粉末に対するセルロース粉末の含有量比([組成物全量に対する平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末の含有量(質量)]/[組成物全量に対するユビキノン粉末の含有量(質量)])が1.5以上であれば、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末によるユビキノン粉末の流動性改善効果が十分に発揮される。本実施形態の組成物におけるユビキノン粉末に対するセルロース粉末の含有量比は、2.0以上が好ましく、2.5以上がより好ましい。十分量のユビキノン粉末を含有させられる点から、本実施形態の組成物におけるユビキノン粉末に対するセルロース粉末の含有量比は、8.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、4.0以下がさらに好ましい。
【0025】
[ステアリン酸マグネシウム及び二酸化ケイ素]
本実施形態の組成物は、組成物全量に対するステアリン酸マグネシウムの含有量が0.0質量%以上0.1質量%以下であることが好ましく、組成物全量に対する二酸化ケイ素の含有量が0.0質量%以上0.1質量%以下であることが好ましい。すなわち、本実施形態の組成物は、組成物の流動性を改善するために充分な量のステアリン酸マグネシウムや二酸化ケイ素を含有していないことがより好ましい。本実施形態の組成物としては、平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末による流動性改善効果がより発揮される点から、ステアリン酸マグネシウムと二酸化ケイ素を含有していない組成物がより好ましい。
【0026】
本実施形態の組成物としては、二酸化ケイ素以外の汎用化されている流動化剤、例えば、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に流動化剤として分類されるものの含有量も低いことが好ましく、これらの流動化剤を含有していないことがより好ましい。
【0027】
本実施形態の組成物としては、ステアリン酸マグネシウム以外の汎用化されている滑沢剤、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に滑沢剤として分類されるものの含有量も低いことが好ましく、これらの滑沢剤を含有していないことがより好ましい。
【0028】
[その他の成分]
本実施形態の組成物は、ユビキノン粉末とセルロース粉末に加えて、医薬品、特にカプセル製剤に汎用されている1種又は2種以上の添加剤をさらに含むことができる。これらの添加剤は、粉末であることが好ましい。当該他の添加剤としては、例えば、賦形剤(セルロース粉末を除く)、結合剤、崩壊剤、着色剤を含むこともできる。
【0029】
セルロース粉末以外の賦形剤としては、例えば、アクリル酸デンプン、L-アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、アミノ酢酸、あめ(粉)、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン、軽石粒、イノシトール、エチルセルロース、エチレン酢酸ビニルコポリマー、塩化ナトリウム、オリーブ油、カオリン、カカオ脂、カゼイン、果糖、軽石粒、カルメロース、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥酵母、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥硫酸ナトリウム、乾燥硫酸マグネシウム、カンテン、カンテン末、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリセリン、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、L-グルタミン、クレー、クレー3、クレー粒、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、軽質流動パラフィン、ケイヒ末、ゲンマイコウジ、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、ゴマ油、小麦粉、小麦胚芽粉、米粉、コメデンプン、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸フタル酸セルロース、サフラワー油、サラシミツロウ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、β-シクロデキストリン、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、2,6-ジ-ブチル-4-メチルフェノール、ジメチルポリシロキサン、酒石酸、酒石酸水素カリウム、焼セッコウ、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化マグネシウム、スクラワン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、ステアリン酸マグネシウム、ダイズ硬化油、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、精製白糖球状顆粒、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール1000モノセチルエーテル、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、第三リン酸カルシウム、ダイズ油、大豆不ケン化物、大豆レシチン、脱脂粉乳、タルク、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、中性無水硫酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、デキストリン、天然ケイ酸アルミニウム、トラガント末、二酸化ケイ素、乳酸カルシウム、パーフィラー101、白色セラック、白色ワセリン、ハクド、白糖、白糖・デンプン球状顆粒、ハダカムギ緑葉エキス末、裸麦芽葉青汁乾燥粉末、ハチミツ、パラフィン、バレイショデンプン、半消化体デンプン、人血清アルブミン、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フィチン酸、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、部分アルファー化デンプン、プルラン、プロピレングリコール、粉末還元麦芽糖水飴、ペクチン、ベントナイト、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、マルトース、水アメ、ミリスチン酸イソプロピル、無水乳糖、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸カルシウム造粒物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、綿実粉、綿実油、モクロウ、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、薬用炭、ラッカセイ油、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、粒状トウモトコシデンプン、流動パラフィン、dl-リンゴ酸、リン酸-水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に賦形剤として分類されるものが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
結合剤としては、例えば、白糖(ショ糖)、果糖、乳糖又は乳糖水和物、フラクトオリゴ糖、ブドウ糖、パラチノース、マルトース、還元麦芽糖、粉糖、粉末飴、異性化乳糖、蜂蜜糖等の糖類;マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール等の糖アルコール類;ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコマンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類;ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類;ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類;リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等、「医薬品添加物事典」(薬事日報社発行)に結合剤として分類されるものが挙げられる。これら結合剤を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、バレイショデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類;クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)に崩壊剤として分類されるものが挙げられる。これら崩壊剤から選ばれる1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
<組成物の製造方法>
本実施形態の組成物は、原料とするユビキノン粉末及び平均粒子径D50が80μm以上であるセルロース粉末と、必要に応じてその他の原料粉末とを全て、乾式混合することにより製造できる。
【0033】
各原料粉末の添加順序には、特に制限がなく、また添加方法についても通常行われている方法であれば特に制限はないが、例えば、小型吸引輸送装置、空気輸送装置、バケットコンベヤ、圧送式輸送装置、バキュームコンベヤ、振動式定量フィーダー、スプレー、漏斗等を用いて連続的に添加してもよく、一括投入してもよい。
【0034】
混合方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、例えば、V型、W型、ダブルコーン型、コンテナ型混合機等の容器回転式混合機;高速撹拌型、万能撹拌型、リボン型、パグ型、ナウター型混合機等の撹拌式混合機等を使用してもよい。またシェーカー等の容器振とう式混合機を使用することもできる。
【0035】
<カプセル製剤>
【0036】
本実施形態のカプセル製剤は、本実施形態の組成物が充填されたカプセル製剤である。本実施形態の組成物は、流動性が改善されているため、これを充填させた本実施形態のカプセル製剤は、有効成分であるユビキノンの含量均一性に優れている。
【0037】
<カプセル製剤の製造方法>
本実施形態のカプセル製剤の製造方法は、本実施形態の組成物を、カプセルに充填する、製造方法である。本実施形態の組成物を充填させるカプセルは、医薬品の製造において汎用されている硬カプセルを適宜使用することができる。また、本実施形態の組成物のカプセルへの充填は、汎用されているカプセル製造機を用いて常法により実施できる。
【0038】
本実施形態の組成物のカプセルへの充填を行う温度環境としては、40℃以下の環境が好ましく、35℃以下がより好ましく、30℃以下がさらに好ましい。ユビキノンの融点よりもかなり低い温度帯でカプセルへの充填を行うことにより、製造工程で生じる摩擦熱等によるユビキノンの融解をより抑えることができ、含量均一性がより改善させることができる。
【0039】
得られたカプセル製剤は、さらにコーティングを施してもよい。この場合に用いるコーティング剤としては、例えば、「医薬品添加物事典」(薬事日報社発行)に記載されるコーティング剤が挙げられる。これらコーティング剤を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【実施例0040】
以下に実施例及び比較例を挙げて本実施形態を詳しく説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における各物性の測定方法及び錠剤の評価方法は以下のとおりである。
【0041】
<物性の測定方法>
セルロース粉末及びこれを含む粉末組成物の物性は、以下に示す方法を用いて測定した。
【0042】
[物性1]
(安息角)
杉原式安息角測定器(スリットサイズ奥行10×幅50×高さ140mm、幅50mmの位置に分度器を設置)を使用し、測定対象の粉末組成物を定量フィーダーにて3g/分の速度でスリットに投下した際の動的自流動性を測定した。装置底部と粉末組成物の形成層との角度を、当該粉末組成物の安息角(°)とした。
【0043】
[物性2]
(セルロース粉末の平均粒子径D50)
レーザー回折式粒度分布計(LA-950 V2(商品名)、堀場製作所製)を使用し、乾式測定モードにて圧縮空気圧0.10MPa、フィーダー速度160、フィーダー初速度係数1.2、屈折率1.51で、顆粒の粒子径を測定した。測定により得られた累積体積50%粒子を、顆粒の平均粒子径D50(μm)とした。
【0044】
[実施例1~2、比較例1~10]
表1に記載の処方で、各成分を、ポリ袋にて1分間手混合することにより、ユビキノン(CoQ10)を含む粉末組成物(実施例1~2、比較例1~10)を調製した。セルロース粉末として、結晶セルロ-ス(MCC)粉末A(旭化成社製、セオラスPH-101)、結晶セルロ-ス粉末B(旭化成社製、セオラスPH-102)、結晶セルロ-ス粉末C(旭化成社製、セオラスUF-702)、結晶セルロ-ス粉末D(旭化成社製、セオラスUF-702)、結晶セルロ-ス粉末E(旭化成社製、セオラスUF-711)、結晶セルロ-ス粉末F(旭化成社製、セオラスKG-802)、結晶セルロ-ス粉末G(旭化成社製、セオラスKG-1000)、及び結晶セルロ-ス粉末H(旭化成社製、セオラスOD-20P)を用いた。表中、「mg-St」はステアリン酸マグネシウム、「SiO2」は二酸化ケイ素を示す。
【0045】
【0046】
得られた各粉末組成物について、安息角を求めた。安息角の測定は各サンプルに対して3回行い、平均値を求めた。安息角の測定結果を、使用した結晶セルロース粉末の平均粒子径D50(μm)と共に、表2に示す。
【0047】
【0048】
表2に示すように、比較例1~6及び実施例1~2の粉末組成物の安息角の結果を比較すると、原料の結晶セルロース粉末の平均粒子径D50が90μmである実施例1及び2の粉末組成物は、安息角がそれぞれ42°、40°であり、平均粒子径D50が20μm又は50μmの結晶セルロース粉末を用いた比較例1~6の粉末組成物よりも、明らかに安息角が小さく、流動性に優れていた。また、実施例1~2の粉末組成物は、ステアリン酸マグネシウムと二酸化ケイ素を用いた参考例2~3の粉末組成物よりも安息角が小さかった。これらの結果から、ユビキノン粉末を含有する粉末組成物では、平均粒子径D50が90μm以上である結晶セルロース粉末を用いることにより、ステアリン酸マグネシウムと二酸化ケイ素を用いる場合よりも、安息角が小さくなり、流動性を改善できることが明らかとなった。
本実施形態の組成物は、充分量のステアリン酸マグネシウム及び二酸化ケイ素を含有していないが、流動性が良好なユビキノン含有粉末組成物である、粒度別薬物含量の均一性に優れている。このため、当該組成物を原料とすることにより、ステアリン酸マグネシウム及び二酸化ケイ素を含有していないが、ユビキノンの含量均一性が良好なカプセル製剤を提供することができる。