IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コイル装置 図1A
  • 特開-コイル装置 図1B
  • 特開-コイル装置 図1C
  • 特開-コイル装置 図1D
  • 特開-コイル装置 図2
  • 特開-コイル装置 図3A
  • 特開-コイル装置 図3B
  • 特開-コイル装置 図4A
  • 特開-コイル装置 図4B
  • 特開-コイル装置 図5
  • 特開-コイル装置 図6
  • 特開-コイル装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152857
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20251002BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F27/29 123
H01F27/29 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055013
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】國塚 光祐
(72)【発明者】
【氏名】北村 太司
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070BA04
5E070CA03
5E070EA01
5E070EA06
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】漏れ磁束に起因する挿入損失を低減することが可能なコイル装置を提供する。
【解決手段】コイル装置1は、巻芯部11と、巻芯部11の軸方向の端部に形成された鍔部12aとを有するコア10と、コア10に取り付けられた板状コア30と、巻芯部11に巻回された第1ワイヤ50と、第1ワイヤ50と対をなすように、巻芯部11に巻回された第2ワイヤ60と、鍔部12aの少なくとも実装面に設けられた第1端子電極70aと、少なくとも実装面に設けられ、第1端子電極70aから離間する第2端子電極80aと、を有する。鍔部12aは、第1端子電極70aと第2端子電極80aとの間において、実装面から凹む凹部20aを有する。凹部20aの底面200は、巻芯部11の外周面110と面一である。第1ワイヤ50および第2ワイヤ60の対は、上記軸方向に沿って相互に離間する複数のターンを有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部と、前記巻芯部の軸方向の端部に形成された鍔部とを有するコアと、
前記コアに取り付けられた板状コアと、
前記巻芯部に巻回された第1ワイヤと、
前記第1ワイヤと対をなすように、前記巻芯部に巻回された第2ワイヤと、
前記鍔部の少なくとも実装面に設けられた第1端子電極と、
少なくとも前記実装面に設けられ、前記第1端子電極から離間する第2端子電極と、を有し、
前記鍔部は、前記第1端子電極と前記第2端子電極との間において、前記実装面から凹む凹部を有し、
前記凹部の底面は、前記巻芯部の外周面と面一であり、
前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの対は、前記軸方向に沿って相互に離間する複数のターンを有するコイル装置。
【請求項2】
前記鍔部は、前記巻芯部に接続された内端面と、前記軸方向に沿って前記内端面とは反対側の外端面とを有し、
前記凹部は、前記軸方向に沿って、前記内端面から前記外端面まで延在している請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記第1ワイヤは、前記巻芯部から前記鍔部に向けて引き出された第1引出部を有し、
前記第2ワイヤは、前記巻芯部から前記鍔部に向けて引き出された第2引出部を有し、
前記第1引出部は、前記コアに接触しつつ、前記巻芯部から前記第1端子電極まで引き出され、
前記第2引出部は、前記コアに接触しつつ、前記巻芯部から前記第2端子電極まで引き出される請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記第1引出部は、前記凹部を前記軸方向に沿って通過する第1直進部と、平面視において前記軸方向に垂直な方向に沿って延在し、前記凹部の底面から前記実装面に向かって立ち上がる第1立上部とを有し、
前記第2引出部は、前記凹部を前記軸方向に沿って通過する第2直進部と、平面視において前記軸方向に垂直な方向に沿って延在し、前記凹部の底面から前記実装面に向かって立ち上がる第2立上部とを有する請求項3に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記第1引出部は、前記凹部を前記軸方向に沿って通過する直進部と、平面視において前記軸方向に垂直な方向に沿って延在し、前記凹部の底面から前記第1端子電極に向かって立ち上がる第1立上部とを有し、
前記第2引出部は、前記凹部を前記軸方向に対して斜めに通過する傾斜部と、平面視において前記軸方向に垂直な方向に沿って延在し、前記凹部の底面から前記第2端子電極に向かって立ち上がる第2立上部とを有する請求項3に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記鍔部は、第1傾斜面と、第2傾斜面とを有し、
前記第1傾斜面は、平面視において前記軸方向に垂直な方向の一方側で、前記凹部の底面から前記実装面に向かって傾斜しており、
前記第2傾斜面は、平面視において前記軸方向に垂直な方向の他方側で、前記凹部の底面から前記実装面に向かって傾斜している請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記鍔部は、第1内壁面と、第2内壁面とを有し、
前記第1内壁面は、平面視において前記軸方向に垂直な方向の一方側で、前記凹部の底面から前記実装面に向かって垂直に立ち上がり、
前記第2内壁面は、平面視において前記軸方向に垂直な方向の他方側で、前記凹部の底面から前記実装面に向かって垂直に立ち上がり、
前記軸方向において、前記第1内壁面は前記鍔部の内側に位置し、前記第1傾斜面は前記鍔部の外側に位置し、
前記軸方向において、前記第2内壁面は前記鍔部の内側に位置し、前記第2傾斜面は前記鍔部の外側に位置する請求項6に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記鍔部は、前記巻芯部に接続された内端面と、前記軸方向に沿って前記内端面とは反対側の外端面とを有し、
前記第1引出部と前記第1端子電極との第1接続位置は、前記外端面よりも前記内端面に近接しており、
前記第2引出部と前記第2端子電極との第2接続位置は、前記外端面よりも前記内端面に近接している請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記実装面は、前記第1端子電極が設けられた第1領域と、前記第2端子電極が設けられた第2領域とからなり、
前記第1領域と前記第2領域との間には、前記凹部が位置しており、
前記第1領域は、前記第1端子電極と前記凹部との間に位置する第1露出部を有し、
前記第2領域は、前記第2端子電極と前記凹部との間に位置する第2露出部を有し、
前記第1露出部および前記第2露出部では、前記実装面が露出している請求項1または2に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コモンモードフィルタに適用可能なコイル装置に関する技術が開示されている。特許文献1のコイル装置は、表面実装型の電子部品であり、ドラムコアと、ドラムコアに取り付けられた板状コアとを有する。ドラムコアは、巻芯部と、巻芯部の軸方向の端部に形成された鍔部とを有する。巻芯部には、第1ワイヤおよび第2ワイヤが巻回されている。鍔部の実装面には、第1端子電極および第2端子電極が、相互に離間して設けられている。第1端子電極には第1ワイヤの端部が接続されており、第2端子電極には第2ワイヤの端部が接続されている。板状コアは、鍔部の実装面とは反対側の面に取り付けられている。
【0003】
特許文献1のコイル装置では、第1ワイヤおよび第2ワイヤから生じた磁束は、理想的には、巻芯部と、巻芯部の軸方向の一端の鍔部と、板状コアと、巻芯部の軸方向の他端の鍔部とを最短距離で結ぶ環状の経路を通過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-99587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際には、第1ワイヤおよび第2ワイヤから生じた磁束の一部は、上述した理想の経路を通過せず、理想の経路から外れた位置に拡散する。この拡散された磁束の一部は、漏れ磁束として、コイル装置の挿入損失を悪化させる要因となり得る。
【0006】
本開示は、漏れ磁束に起因する挿入損失を低減することが可能なコイル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコイル装置は、
巻芯部と、前記巻芯部の軸方向の端部に形成された鍔部とを有するコアと、
前記コアに取り付けられた板状コアと、
前記巻芯部に巻回された第1ワイヤと、
前記第1ワイヤと対をなすように、前記巻芯部に巻回された第2ワイヤと、
前記鍔部の少なくとも実装面に設けられた第1端子電極と、
少なくとも前記実装面に設けられ、前記第1端子電極から離間する第2端子電極と、を有し、
前記鍔部は、前記第1端子電極と前記第2端子電極との間において、前記実装面から凹む凹部を有し、
前記凹部の底面は、前記巻芯部の外周面と面一であり、
前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの対は、前記軸方向に沿って相互に離間する複数のターンを有する。
【0008】
本開示のコイル装置では、鍔部が、第1端子電極と第2端子電極との間において、実装面から凹む凹部を有する。そのため、凹部によって、磁束を鍔部の実装面側に拡散する経路の少なくとも一部が遮断され、磁束が鍔部の実装面側に拡散されにくくなる。これにより、漏れ磁束が減少し、巻芯部と鍔部と板状コアとを最短距離で結ぶ経路を通過する磁束の量が増大する。したがって、漏れ磁束に起因するコイル装置の挿入損失を低減することができる。また、凹部の底面は、巻芯部の外周面と面一である。そのため、凹部の底面と巻芯部の外周面との間に段差が形成されず、挿入損失の要因である段差への磁束の集中を回避することができる。
【0009】
また、第2ワイヤは、第1ワイヤと対をなすように、巻芯部に巻回される。そして、第1ワイヤおよび第2ワイヤの対は、軸方向に沿って相互に離間する複数のターンを有する。そのため、第1ワイヤと第2ワイヤとの間の結合が向上し、漏れ磁束が減少する。また、軸方向に沿って隣り合うターン間の浮遊容量が減少する。これにより、漏れ磁束に起因するコイル装置の挿入損失をさらに低減することができる。
【0010】
前記鍔部は、前記巻芯部に接続された内端面と、前記軸方向に沿って前記内端面とは反対側の外端面とを有し、前記凹部は、前記軸方向に沿って、前記内端面から前記外端面まで延在していてもよい。
【0011】
前記第1ワイヤは、前記巻芯部から前記鍔部に向けて引き出された第1引出部を有し、前記第2ワイヤは、前記巻芯部から前記鍔部に向けて引き出された第2引出部を有し、前記第1引出部は、前記コアに接触しつつ、前記巻芯部から前記第1端子電極まで引き出され、前記第2引出部は、前記コアに接触しつつ、前記巻芯部から前記第2端子電極まで引き出されてもよい。
【0012】
前記第1引出部は、前記凹部を前記軸方向に沿って通過する第1直進部と、平面視において前記軸方向に垂直な方向に沿って延在し、前記凹部の底面から前記実装面に向かって立ち上がる第1立上部とを有し、前記第2引出部は、前記凹部を前記軸方向に沿って通過する第2直進部と、平面視において前記軸方向に垂直な方向に沿って延在し、前記凹部の底面から前記実装面に向かって立ち上がる第2立上部とを有してもよい。
【0013】
前記第1引出部は、前記凹部を前記軸方向に沿って通過する直進部と、平面視において前記軸方向に垂直な方向に沿って延在し、前記凹部の底面から前記第1端子電極に向かって立ち上がる第1立上部とを有し、前記第2引出部は、前記凹部を前記軸方向に対して斜めに通過する傾斜部と、平面視において前記軸方向に垂直な方向に沿って延在し、前記凹部の底面から前記第2端子電極に向かって立ち上がる第2立上部とを有してもよい。
【0014】
前記鍔部は、第1傾斜面と、第2傾斜面とを有し、前記第1傾斜面は、平面視において前記軸方向に垂直な方向の一方側で、前記凹部の底面から前記実装面に向かって傾斜しており、前記第2傾斜面は、平面視において前記軸方向に垂直な方向の他方側で、前記凹部の底面から前記実装面に向かって傾斜していてもよい。
【0015】
前記鍔部は、第1内壁面と、第2内壁面とを有し、前記第1内壁面は、平面視において前記軸方向に垂直な方向の一方側で、前記凹部の底面から前記実装面に向かって垂直に立ち上がり、前記第2内壁面は、平面視において前記軸方向に垂直な方向の他方側で、前記凹部の底面から前記実装面に向かって垂直に立ち上がり、前記軸方向において、前記第1内壁面は前記鍔部の内側に位置し、前記第1傾斜面は前記鍔部の外側に位置し、前記軸方向において、前記第2内壁面は前記鍔部の内側に位置し、前記第2傾斜面は前記鍔部の外側に位置してもよい
【0016】
前記鍔部は、前記巻芯部に接続された内端面と、前記軸方向に沿って前記内端面とは反対側の外端面とを有し、前記第1引出部と前記第1端子電極との第1接続位置は、前記外端面よりも前記内端面に近接しており、前記第2引出部と前記第2端子電極との第2接続位置は、前記外端面よりも前記内端面に近接していてもよい。
【0017】
前記実装面は、前記第1端子電極が設けられた第1領域と、前記第2端子電極が設けられた第2領域とからなり、前記第1領域と前記第2領域との間には、前記凹部が位置しており、前記第1領域は、前記第1端子電極と前記凹部との間に位置する第1露出部を有し、前記第2領域は、前記第2端子電極と前記凹部との間に位置する第2露出部を有し、前記第1露出部および前記第2露出部では、前記実装面が露出していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A図1Aは第1実施形態のコイル装置の斜視図である。
図1B図1B図1Aに示すコイル装置の平面図である。
図1C図1C図1Aに示すコイル装置をX軸方向から見た側面図である。
図1D図1D図1Aに示すコイル装置をY軸方向から見た側面図である。
図2図2図1Aに示すコイル装置のコアの斜視図である。
図3A図3A図1Aに示すコイル装置の漏れインダクタンスの周波数特性を示すグラフである。
図3B図3B図1Aに示すコイル装置の挿入損失の周波数特性を示すグラフである。
図4A図4Aは第2実施形態のコイル装置の斜視図である。
図4B図4B図4Aに示すコイル装置の平面図である。
図5図5は第3実施形態のコイル装置の平面図である。
図6図6は第4実施形態のコイル装置の斜視図である。
図7図7は第2実施形態のコイル装置の変形例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。なお、図示する内容は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
第1実施形態
図1Aに示すように、第1実施形態のコイル装置1は、表面実装型の電子部品であり、コモンモードフィルタ、パルストランス、バルントランス等として機能する。コイル装置1は、例えば通信機器の信号回路等に搭載される。コイル装置1は、コア10と、板状コア30と、第1ワイヤ50と、第2ワイヤ60と、端子電極70aおよび70bと、端子電極80aおよび80bとを有する。
【0021】
第1ワイヤ50および第2ワイヤ60は、例えば絶縁被覆ワイヤであり、絶縁性の被膜で被覆された導電性芯線を有する。第1ワイヤ50および第2ワイヤ60は、AIW(ポリアミドイミド銅線)、UEW(ポリウレタン銅線)、PEW(ポリエステル銅線)等の公知の巻線である。第1ワイヤ50および第2ワイヤ60は、丸線であるが、四角線、撚り線、リッツ線、編組線等でもよい。第1ワイヤ50および第2ワイヤ60を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、銅、銅合金、銀またはニッケルである。第1ワイヤ50または第2ワイヤ60の直径は、特に限定されないが、例えば10~100μmである。第1ワイヤ50の直径は、第2ワイヤ60の直径と等しいが、異なっていてもよい。第1ワイヤ50または第2ワイヤ60の両端部では、被膜が剥離され、導電性芯線が露出している。
【0022】
第1ワイヤ50は、巻回部51と、引出部52aおよび52bとを有する。巻回部51は、第1ワイヤ50を巻芯部11の外周面110に螺旋状に巻回することにより形成される。引出部52aは、巻回部51から引き出されており、第1ワイヤ50の一方の端部を構成する。引出部52bは、巻回部51から引き出されており、第1ワイヤ50の他方の端部を構成する。
【0023】
巻回部61は、第2ワイヤ60を巻芯部11の外周面110に螺旋状に巻回することにより形成される。第2ワイヤ60は、第1ワイヤ50と対をなすように、外周面110に巻回されている。すなわち、第1ワイヤ50および第2ワイヤ60は、バイファイラ巻きされている。第1ワイヤ50および第2ワイヤ60は、密着していてもよく、あるいは離間していてもよい。引出部62aは、巻回部61から引き出されており、第2ワイヤ60の一方の端部を構成する。引出部62bは、巻回部61から引き出されており、第2ワイヤ60の他方の端部を構成する。
【0024】
コア10は、磁性材料と樹脂とを含む材料で形成されている。コア10を構成する磁性材料は、特に限定されないが、例えば、フェライト(Ni-Zn系フェライト、Mn-Zn系フェライト等)あるいは金属磁性体(Fe-Ni合金、Fe-Si合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Co合金、Fe-Si-Al合金、アモルファス鉄等)である。コア10を構成する樹脂は、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等である。コア10は、金属磁性体の焼結体でもよい。
【0025】
図2に示すように、コア10は、巻芯部11と、鍔部12aと、鍔部12bとを有する。巻芯部11の軸方向に垂直な断面形状は、長方形であるが、正方形、六角形、八角形、その他の多角形でもよい。巻芯部11は、平坦面を備えた外周面110を有する。鍔部12aは、巻芯部11の軸方向の一端に形成されており、鍔部12bは、巻芯部11の軸方向の他端に形成されている。
【0026】
鍔部12aは、実装面13と、取付面14と、内端面15と、外端面16と、第1側面17と、第2側面18とを有する。同様に、鍔部12bは、実装面13と、取付面14と、内端面15と、外端面16と、第1側面17と、第2側面18とを有する。鍔部12aおよび12bの形状は同一であるが、異なっていてもよい。
【0027】
実装面13は、実装基板(図示略)と対向する面である。取付面14は、実装面13と対向する面である。取付面14には、板状コア30(図1A)が取り付けられる。内端面15は、巻芯部11に接続された面である。外端面15は、内端面15と対向する面である。第1側面17は、取付面14、内端面15および外端面16に垂直な面である。第2側面18は、第1側面17と対向しており、取付面14、内端面15および外端面16に垂直な面である。
【0028】
以下では、内端面15と外端面16とが対向する方向に沿った軸をX軸とする。また、第1側面17と第2側面18とが対向する方向に沿った軸をY軸とする。また、実装面13と取付面14とが対向する方向に沿った軸をZ軸とする。なお、X軸は、巻芯部11の軸方向に沿った軸である。また、Y軸は、平面視において、巻芯部11の軸方向に垂直な方向に沿った軸である。
【0029】
本開示では、Z軸の正方向側を「上方」とし、Z軸の負方向側を「下方」とする。ただし、Z軸方向の上方は、必ずしも、鉛直方向の上方と一致するものではない。また、Z軸方向の下方は、必ずしも、鉛直方向の下方と一致するものではない。
【0030】
また、本開示において、「等しい」または「同一」とは、比較する複数の対象物の物理量が厳密に等しいまたは同一である状態のみを示す概念ではなく、比較する複数の対象物の物理量の間に±Δ%(特に限定されないが、例えばΔ=7、5または3)以下の誤差が生じている状態も「等しい」または「同一」の概念に含まれる。
【0031】
また、本開示において、「平行」とは、厳密な平行のみを示す概念ではなく、厳密な平行に対して±Δθ°(特に限定されないが、例えばΔθ=3)以下の誤差が生じている状態も「平行」の概念に含まれる。また、「垂直」または「直交」とは、厳密な垂直または直交のみを示す概念ではなく、厳密な垂直または直交に対して±Δθ°(特に限定されないが、例えばΔθ=3)以下の誤差が生じている状態も「垂直」または「直交」の概念に含まれる。
【0032】
凹部20aおよび20bは、X軸方向に沿って、内端面15から外端面16まで直線的に延在(貫通)している。図1Aに示すように、凹部20aは、第1端子電極70a(基板接続部71a)と第2端子電極80a(基板接続部81a)との間において、鍔部12aの実装面13から下方に凹んでいる。凹部20bは、第1端子電極70b(基板接続部71b)と第2端子電極80b(基板接続部81b)との間において、鍔部12bの実装面13から下方に凹んでいる。
【0033】
図2に示すように、鍔部12aの実装面13は、凹部20aによって、Y軸方向の一方側の領域である第1領域131と、Y軸方向の他方側の領域である第2領域132とに分割されている。凹部20aは、鍔部12aの第1領域131と第2領域132との間に位置する。また、鍔部12bの実装面13は、凹部20bによって、Y軸方向の一方側の領域である第1領域132と、Y軸方向の他方側の領域である第2領域132とに分割されている。凹部20bは、鍔部12bの第1領域131と第2領域132との間に位置する。
【0034】
図1Bに示すように、凹部20a(凹部20bについても同様)のY軸方向の幅W1は、巻芯部11のY軸方向の幅W2よりも狭い。ただし、凹部20aの幅W1は、巻芯部11の幅W2と等しくてもよく、あるいは巻芯部11の幅W2よりも大きくてもよい。コイル装置1の漏れ磁束を効果的に低減する観点では、W1>W2またはW1≧W2であることが好ましい。一方、コア10(鍔部12aおよび12b)の強度を効果的に確保する観点では、W1<W2またはW1≦W2であることが好ましい。
【0035】
凹部20aの幅W1は、X軸方向に沿って、一定であるが、異なっていてもよい。例えば、凹部20aの幅W1は、X軸方向の一方側に向かうにしたがって狭く(広く)なっていてもよい。あるいは、凹部20aには、幅W1が相対的に狭い幅狭部と、幅W1が相対的に広い幅広部とが備わっていてもよい。
【0036】
凹部20a(凹部20bについても同様)のY軸方向の幅W1と鍔部12aのY軸方向の幅W3との比W1/W3は、特に限定されないが、例えば1/8≦W1/W3<1、あるいは1/4≦W1/W3<1である。W1/W3の値を上記の範囲に設定することにより、第1ワイヤ50および第2ワイヤ60の磁束が、鍔部12aの実装面13側に拡散されにくくなり、巻芯部11と鍔部12aと板状コア30と鍔部12bとを最短距離で結ぶ環状の経路を通過しやすくなる。これにより、コイル装置1の漏れ磁束を低減することができる。
【0037】
凹部20a(凹部20bについても同様)のX軸方向の長さL1は、鍔部12aのX軸方向の長さと等しい。凹部20aのX軸方向の長さL1とコア10のX軸方向の長さ(全長)L2との比L1/L2は、特に限定されないが、例えば1/10≦L1/L2<1/2、あるいは1/8≦L1/L2≦1/4である。L1/L2の値を上記の範囲に設定することにより、上述したように、コイル装置1の漏れ磁束を低減することができる。
【0038】
図1Cに示す例では、凹部20a(凹部20bについても同様)の深さDは、鍔部12aの高さHの1/2よりも小さいが、高さHの1/2でもよく、あるいは高さHの1/2以上でもよい。なお、凹部20aの深さDは、鍔部12aの実装面13と凹部20aの底面200との間のZ軸に沿った長さに対応する。本実施形態では、鍔部12aの実装面13と凹部20aの底面200との間のZ軸に沿った長さは、鍔部12aの実装面13と巻芯部11の外周面110(ただし、図2に示す外周面110の上面111)との間のZ軸に沿った長さに等しい。
【0039】
図2に示すように、凹部20aの底面200は、巻芯部11の外周面110(ただし、外周面110の上面111)と面一である。また、凹部20bの底面200は、巻芯部11の外周面110(ただし、上面111)と面一である。すなわち、底面200と外周面110とは平坦に(滑らかに)連続しており、底面200と外周面110との間には段差が形成されていない。本実施形態では、鍔部12aの外端面16から鍔部12bの外端面16までのX軸方向に沿った領域(すなわち、凹部20aの底面200と、巻芯部11の外周面110と、凹部20bの底面200)において、平坦面が連続的に形成されている。また、底面200の高さ位置と、外周面110(ただし、上面111)の高さ位置とは、一致している。
【0040】
特に限定されないが、外周面110の上面111は、実装面13に平行な平坦面である。外周面110の下面(上面111と対向する面)についても同様である。外周面111の側面(上面111に垂直な面)は、第1側面17および第2側面18に平行な平坦面である。また、特に限定されないが、凹部20aおよび20bの底面200は、実装面13に平行な平坦面である。
【0041】
鍔部12aは、第1傾斜面21aと、第2傾斜面22aと、第1内壁面23aと、第2内壁面24aと、第1突出面25aと、第2突出面26aとを有する。これらの面は、凹部20aのY軸方向の両側に位置する。また、鍔部12bは、第1傾斜面21bと、第2傾斜面22bと、第1内壁面23bと、第2内壁面24bと、第1突出面25bと、第2突出面26bとを有する。これらの面は、凹部20bのY軸方向の両側に位置する。
【0042】
第1傾斜面21aは、Y軸方向の一方側で、凹部20aの底面200から実装面13の第1領域131に向かって傾斜している(斜めに立ち上がっている)。また、第2傾斜面22aは、Y軸方向の他方側で、凹部20aの底面200から実装面13の第2領域132に向かって傾斜している(斜めに立ち上がっている)。また、第1傾斜面21bは、Y軸方向の一方側で、凹部20bの底面200から実装面13の第1領域131に向かって傾斜している(斜めに立ち上がっている)。また、第2傾斜面22bは、Y軸方向の他方側で、凹部20bの底面200から実装面13の第2領域132に向かって傾斜している(斜めに立ち上がっている)。
【0043】
図1Cに示すように、第1傾斜面21a(第1傾斜面21bについても同様)がY軸に対してなす角度θ1は、特に限定されないが、15°以上90°未満である。第1傾斜面22a(第2傾斜面22bについても同様)がY軸に対してなす角度θ2は、特に限定されないが、15°以上90°未満である。
【0044】
図2に示すように、第1領域131の一部は、第1傾斜面21aまたは21bによって切削されている。そのため、第1領域131の形状は、平面視において、L字状となっている。また、第2領域132の一部は、第1傾斜面22aまたは22bによって切削されている。そのため、第2領域132の形状は、平面視において、L字状となっている。
【0045】
第1内壁面23aは、Y軸方向の一方側で、凹部20aの底面200から実装面13の第1領域131に向かって垂直に立ち上がっている。第2内壁面24aは、Y軸方向の他方側で、凹部20aの底面200から実装面13の第2領域132に向かって垂直に立ち上がっている。また、第1内壁面23bは、Y軸方向の一方側で、凹部20bの底面200から実装面13の第1領域131に向かって垂直に立ち上がっている。第2内壁面24bは、Y軸方向の他方側で、凹部20bの底面200から実装面13の第2領域132に向かって垂直に立ち上がっている。第1内壁面23a、第1内壁面23b、第2内壁面24aおよび第2内壁面24bは、実装面13に対して垂直である。
【0046】
X軸方向において、第1内壁面23aは鍔部12aの内側(内端面15側)に位置し、第1傾斜面21aは鍔部12aの外側(外端面16側)に位置する。また、X軸方向において、第2内壁面24aは鍔部12aの内側に位置し、第2傾斜面22aは鍔部12aの外側に位置する。また、X軸方向において、第1内壁面23bは鍔部12bの内側に位置し、第1傾斜面21bは鍔部12bの外側に位置する。また、X軸方向において、第2内壁面24bは鍔部12bの内側に位置し、第2傾斜面22bは鍔部12bの外側に位置する。
【0047】
第1内壁面23a(第1内壁面23bについても同様)のX軸方向の幅は、第1傾斜面21aのX軸方向の幅よりも狭いが、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも広くてもよい。第2内壁面24a(第2内壁面24bについても同様)のX軸方向の幅は、第2傾斜面22aのX軸方向の幅よりも狭いが、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも広くてもよい。
【0048】
第1突出面25aは、第1内壁面23aおよび第1領域131に垂直な面であり、第1傾斜面21aに対して垂直な方向に沿って延在(突出)している。第2突出面26aは、第2内壁面24aおよび第2領域132に垂直な面であり、第2傾斜面22aに対して垂直な方向に沿って延在(突出)している。第1突出面25bは、第1内壁面23bおよび第1領域131に垂直な面であり、第1傾斜面21bに対して垂直な方向に沿って延在(突出)している。第2突出面26bは、第2内壁面24bおよび第2領域132に垂直な面であり、第2傾斜面22bに対して垂直な方向に沿って延在(突出)している。X軸方向から見て、第1突出面25a、第1突出面25b、第2突出面26aおよび第2突出面26bの形状は、特に限定されないが、三角形である。
【0049】
図1Aおよび図2に示すように、第1端子電極70aは、Y軸方向の一方側において、鍔部12aの少なくとも実装面13(本実施形態では、第1領域131および外端面16)に設けられている。また、第2端子電極80aは、Y軸方向の他方側において、鍔部12aの少なくとも実装面13(本実施形態では、第2領域132および外端面16)に設けられており、Y軸方向に沿って第1端子電極70aから離間している。第1端子電極70aの形状は、平面視において、第1領域131と同一の形状、すなわちL字状である。第2端子電極80aの形状は、平面視において、第2領域132と同一の形状、すなわちL字状である。
【0050】
また、第1端子電極70bは、Y軸方向の一方側において、鍔部12bの少なくとも実装面13(本実施形態では、第1領域131および外端面16)に設けられている。また、第2端子電極80bは、Y軸方向の他方側において、鍔部12bの少なくとも実装面13(本実施形態では、第2領域132および外端面16)に設けられており、Y軸方向に沿って第1端子電極70bから離間している。第1端子電極70bの形状は、平面視において、第1領域131と同一の形状、すなわちL字状である。第2端子電極80bの形状は、平面視において、第2領域132と同一の形状、すなわちL字状である。
【0051】
第1端子電極70aおよび70bは、それぞれ、基板接続部71aおよび71bと、側部72aおよび72bとを有する。また、第2端子電極80aおよび80bは、それぞれ、基板接続部81aおよび81bと、側部82aおよび82bとを有する。基板接続部71a、71b、81aおよび81bは、実装基板(図示略)のランドパターンに接続される部分であり、例えばハンダあるいは導電性接着剤によってランドパターンに接続される。
【0052】
図1Aおよび図2に示すように、基板接続部71aまたは71bは、第1領域131の全域に形成されているが、第1領域131の一部に形成されていてもよい。また、基板接続部71aは、第1領域131に加えて、第1傾斜面21aに形成されていてもよい。また、基板接続部71bは、第1領域131に加えて、第1傾斜面21bに形成されていてもよい。基板接続部81aまたは81bは、第2領域132の全域に形成されているが、第2領域132の一部に形成されていてもよい。また、基板接続部81aは、第2領域132に加えて、第2傾斜面22aに形成されていてもよい。また、基板接続部81bは、第2領域132に加えて、第2傾斜面22bに形成されていてもよい。
【0053】
側部72aおよび82aは、鍔部12aの外端面16に形成されている。側部72bおよび82bは、鍔部12bの外端面16に形成されている。側部72aは基板接続部71aに連続しており、側部72bは基板接続部71bに連続しており、側部82aは基板接続部81aに連続しており、側部82bは基板接続部81bに連続している。側部72a、72b、82aおよび82bには、ハンダや導電性接着剤等のフィレットが形成される。
【0054】
第1端子電極70a(第1端子電極70b、第2端子電極80aおよび第2端子電極80bについても同様)は、例えば、下地電極膜と、下地電極膜の上に形成されたメッキ膜との積層電極膜で構成される。下地電極膜としては、Sn,Ag,Ni,Cu等の金属またはこれらの合金を含む導電ペースト膜が例示される。メッキ膜としては、例えばSn,Au,Ni,Pt,Ag,Pd等の金属またはこれらの合金が例示される。第1端子電極70aの厚みは、例えば3~100μmである。
【0055】
図1Dに示すように、第1ワイヤ50および第2ワイヤ60の対は、X軸方向に沿って相互に離間する複数のターン40を有する。X軸方向に隣り合う一方のターン40と他方のターン40とは、間隔をあけて、X軸方向に配列されている。すなわち、本実施形態では、第1ワイヤ50および第2ワイヤ60の対は、いわゆるスペース巻きされている。X軸方向に隣り合う一方のターン40と他方のターン40の間の間隔は、特に限定されないが、例えば第1ワイヤ50または第2ワイヤ60の直径の1倍以上、または2倍以上である。図1Dに示す例では、X軸方向に隣り合うターン間の間隔は、一定であるが、異なっていてもよい。
【0056】
図1Bに示すように、第1引出部52aは、巻芯部11から鍔部12aに向けて引き出されている。第2引出部62aは、巻芯部11から鍔部12aに向けて引き出されている。また、第1引出部52bは、巻芯部11から鍔部12bに向けて引き出されている。第2引出部62bは、巻芯部11から鍔部12bに向けて引き出されている。
【0057】
第1引出部52aは、直進部53と立上部54とを有する。第2引出部62aは、傾斜部65と立上部64とを有する。第1引出部52bは、傾斜部55と立上部54とを有する。第2引出部62bは、直進部63と立上部64とを有する。
【0058】
第1引出部52aの直進部53は、凹部20aをX軸方向に沿って通過(延在)している。直進部53は、第1内壁面23aに沿って延在している。直進部53は、第1内壁面23aに接触していてもよく、あるいは第1内壁面23aから離間していてもよい。第1引出部52aの立上部54は、Y軸方向に沿って延在しており、凹部20aの底面200から第1端子電極70a(基板接続部71a)に向かって立ち上がっている。立上部54は、特に限定されないが、実装面13のY軸負方向側の端部まで延在している。立上部54は、第1突出面25aに沿って延在している。立上部54は、第1突出面25aに接触していてもよく、あるいは第1突出面25aから離間していてもよい。
【0059】
第2引出部62aの傾斜部65は、凹部20aをX軸方向に対して斜めに通過している。傾斜部65は、X軸方向の外側に向かうにしたがって、第1引出部52aから離れる方向に傾斜している。第2引出部62aの立上部64は、Y軸方向に沿って延在しており、凹部20aの底面200から第2端子電極80a(基板接続部81a)に向かって立ち上がっている。立上部64は、特に限定されないが、実装面13のY軸正方向側の端部まで延在している。立上部64は、第2突出面26aに沿って延在している。立上部64は、第2突出面26aに接触していてもよく、あるいは第2突出面26aから離間していてもよい。
【0060】
第1引出部52bの傾斜部55は、凹部20bをX軸方向に対して斜めに通過している。傾斜部55は、X軸方向の外側に向かうにしたがって、第2引出部62bから離れる方向に傾斜している。第1引出部52bの立上部54は、Y軸方向に沿って延在しており、凹部20bの底面200から第1端子電極70b(基板接続部71b)に向かって立ち上がっている。立上部54は、特に限定されないが、実装面13のY軸負方向側の端部まで延在している。立上部54は、第1突出面25bに沿って延在している。立上部54は、第1突出面25bに接触していてもよく、あるいは第1突出面25bから離間していてもよい。
【0061】
第2引出部62bの直進部63は、凹部20bをX軸方向に沿って通過(延在)している。直進部63は、第2内壁面24bに沿って延在している。直進部63は、第2内壁面24bに接触していてもよく、あるいは第2内壁面24bから離間していてもよい。第2引出部62bの立上部64は、Y軸方向に沿って延在しており、凹部20bの底面200から第2端子電極80b(基板接続部81b)に向かって立ち上がっている。立上部64は、特に限定されないが、実装面13のY軸正方向側の端部まで延在している。立上部64は、第2突出面26bに沿って延在している。立上部64は、第2突出面26bに接触していてもよく、あるいは第2突出面26bから離間していてもよい。
【0062】
立上部54および64は、相互に離間するように、Y軸方向に沿って延在している。立上部54および64は、Y軸方向に平行な同一直線上に位置する。ただし、立上部54の位置と立上部64の位置とは、X軸方向に沿って、オフセットしていてもよい。
【0063】
第1引出部52aは、コア10に直接的または間接的に接触しつつ、巻芯部11から第1端子電極70aまで引き出されている。より詳細には、直進部53は凹部20aの底面200に接触しており、立上部54は第1傾斜面21aに接触している。また、第2引出部62aは、コア10に直接的または間接的に接触しつつ、巻芯部11から第2端子電極80aまで引き出されている。より詳細には、傾斜部65は凹部20aの底面200に接触しており、立上部64は第2傾斜面22aに接触している。
【0064】
第1引出部52bは、コア10に直接的または間接的に接触しつつ、巻芯部11から第1端子電極70bまで引き出されている。より詳細には、傾斜部55は凹部20bの底面200に接触しており、立上部54は第1傾斜面21bに接触している。また、第2引出部62bは、コア10に直接的または間接的に接触しつつ、巻芯部11から第2端子電極80bまで引き出されている。より詳細には、直進部63は凹部20bの底面200に接触しており、立上部64は第2傾斜面22bに接触している。
【0065】
図1Aに示す例では、第1引出部52aと第1端子電極70aとの第1接続位置56は、鍔部12aの外端面16(図2)よりも内端面15(図2)に近接している。また、第2引出部62aと第2端子電極80aとの第2接続位置66は、鍔部12aの外端面16よりも内端面15に近接している。また、第1引出部52bと第1端子電極70bとの第1接続位置56は、鍔部12bの外端面16よりも内端面15に近接している。また、第2引出部62bと第2端子電極80bとの第2接続位置66は、鍔部12bの外端面16よりも内端面15に近接している。
【0066】
ただし、第1接続位置56は、X軸方向において、外端面16および内端面15から等距離の位置に位置してもよく、あるいは内端面15よりも外端面16に近接していてもよい。また、第2接続位置66は、X軸方向において、外端面16および内端面15から等距離の位置に位置してもよく、あるいは内端面15よりも外端面16に近接していてもよい。
【0067】
第1接続位置56と外端面16との間のX軸方向の距離は、第1ワイヤ50または第2ワイヤ60の直径の2倍以上である。また、第2接続位置66と外端面16との間のX軸方向の距離は、第1ワイヤ50または第2ワイヤ60の直径の2倍以上である。
【0068】
第1引出部52a(第1引出部52b、第2引出部62aおよび第2引出部62bについても同様)は、第1端子電極70a(基板接続部71a)に対して、例えばレーザ溶接、ハンダ、導電性接着剤、熱圧着、超音波接合、抵抗ろう付け、紫外線硬化樹脂接合等によって接続される。
【0069】
板状コア30は、扁平な直方体形状を有する。板状コア30を構成する材料は、コア10を構成する材料と同一であるが、異なっていてもよい。図1Dに示すように、板状コア30は、例えば接着剤によって、第1鍔部12aの取付面14および第2鍔部12bの取付面14に取り付けられる。
【0070】
次に、コイル装置1の製造方法について説明する。まず、図2に示す凹部20aおよび20bと、第1傾斜面21aおよび21bと、第2傾斜面22aおよび22bとを有するコア10を準備する。コア10のX軸方向の長さは、特に限定されないが、例えば0.4mm~6mmである。コア10のY軸方向の長さは、特に限定されないが、例えば0.2mm~6mmである。コア10のZ軸方向の長さは、特に限定されないが、例えば0.2mm~3mmである。
【0071】
これらの凹部および傾斜面は、コアの鍔部に対して切削加工を行い、鍔部の一部をくり抜くことにより形成される。次に、鍔部12aの実装面13に第1端子電極70aおよび第2端子電極80aを形成するとともに、鍔部12bの実装面13に第1端子電極70bおよび第2端子電極80bを形成する。
【0072】
次に、図1Dに示すように、第1ワイヤ50および第2ワイヤ60を巻芯部11の外周面110にバイファイラ巻きおよびスペース巻きによって巻回する。すなわち、X軸方向に隣り合うターン40の間に隙間が形成されるように、第1ワイヤ50および第2ワイヤ60の対を外周面110に巻回する。
【0073】
次に、図1Aおよび図1Bに示すように、第1内壁面23aに沿って、第1引出部52a(直進部53)を巻芯部11から凹部20aに向けて引き出す。また、第1傾斜面21aおよび第1突出面25aに沿って、第1引出部52a(立上部54)を凹部20aから第1端子電極70aまで斜め方向に立ち上げる。
【0074】
また、巻芯部11から凹部20aに向けて、第2引出部62a(傾斜部65)をX軸方向に対して斜めに引き出す。また、第2傾斜面22aおよび第2突出面26aに沿って、第2引出部62a(立上部64)を凹部20aから第2端子電極80aまで斜め方向に立ち上げる。
【0075】
また、巻芯部11から凹部20bに向けて、第2引出部52b(傾斜部54)をX軸方向に対して斜めに引き出す。また、第1傾斜面21bおよび第1突出面25bに沿って、第1引出部52b(立上部54)を凹部20bから第1端子電極70bまで立ち上げる。
【0076】
また、第2内壁面24bに沿って、第2引出部62b(直進部63)を巻芯部11から凹部20bに向けて引き出す。また、第2傾斜面22bおよび第2突出面26bに沿って、第2引出部62b(立上部64)を凹部20bから第2端子電極80bまで立ち上げる。
【0077】
次に、例えば熱圧着によって、第1引出部52aの立上部54を第1端子電極70aの基板接続部71aに接続する。同様に、第2引出部62aの立上部64を第2端子電極80aの基板接続部81aに接続する。同様に、第1引出部52bの立上部54を第1端子電極70bの基板接続部71bに接続する。同様に、第2引出部62bの立上部64を第2端子電極80bの基板接続部81bに接続する。
【0078】
次に、図1Dに示すように、板状コア30を鍔部12aの取付面14および鍔部12bの取付面14に取り付ける。例えば、接着剤によって、板状コア30を取付面14に接着してもよい。以上のようにして、コイル装置1を製造することができる。
【0079】
図1Aに示すように、本実施形態のコイル装置1では、鍔部12aが、第1端子電極70aと第2端子電極80aとの間において、実装面13から凹む凹部20aを有する。そのため、磁束を鍔部12aの実装面13側に拡散する経路の少なくとも一部が、凹部20aによって遮断され、磁束が実装面13側に拡散されにくくなる。これにより、漏れ磁束が減少し、巻芯部11と鍔部12aと板状コア30と鍔部12bとを最短距離で結ぶ経路を通過する磁束の量が増大する。したがって、漏れ磁束に起因するコイル装置1の挿入損失を低減することができる。また、凹部20aの底面200は、巻芯部11の外周面110と面一である。そのため、凹部20aの底面200と巻芯部11の外周面110との間に段差が形成されず、挿入損失の要因である段差への磁束の集中を回避することができる。
【0080】
また、図1Dに示すように、第2ワイヤ60は、第1ワイヤ50と対をなすように、巻芯部11に巻回される。そして、第1ワイヤ50および第2ワイヤ60の対は、X軸方向に沿って相互に離間する複数のターン40を有する。そのため、第1ワイヤ50と第2ワイヤ60との間の結合が向上し、漏れ磁束が減少する。また、X軸方向に沿って隣り合うターン40間の浮遊容量が減少する。これにより、漏れ磁束に起因するコイル装置1の挿入損失をさらに低減することができる。
【0081】
図3Aにおいて、実線で示すグラフは本実施形態のコイル装置1の漏れインダクタンスの周波数特性のシミュレーション結果を示し、破線で示すグラフは従来のコイル装置の漏れインダクタンスの周波数特性のシミュレーション結果を示している。従来のコイル装置は、凹部20aおよび20bを具備していないという点において、本実施形態のコイル装置1とは異なる。図3Aから見て取ることができるように、本実施形態のコイル装置1では、従来のコイル装置に比べて、少なくとも3500MHz以下の周波数帯域において、漏れインダクタンスが小さくなっている。
【0082】
また、図3Bにおいて、実線で示すグラフは本実施形態のコイル装置1の挿入損失の周波数特性のシミュレーション結果を示し、破線で示すグラフは従来のコイル装置の挿入損失の周波数特性のシミュレーション結果を示している。従来のコイル装置は、凹部20aおよび20bを具備していないという点において、本実施形態のコイル装置1とは異なる。図3Bから見て取ることができるように、本実施形態のコイル装置1では、従来のコイル装置に比べて、少なくとも4000MHz以下の周波数帯域において、挿入損失が小さくなっている。
【0083】
また、図2に示すように、鍔部12aは、巻芯部11に接続された内端面15と、X軸方向に沿って内端面15とは反対側の外端面16とを有する。そして、凹部20aは、X軸方向に沿って、内端面15から外端面16まで延在している。そのため、第1端子電極70aと第2端子電極80aとの間の広範囲において、凹部20aは、磁束を鍔部12aの実装面13側に拡散する経路の少なくとも一部を遮断する。これにより、漏れ磁束を効果的に低減することができる。
【0084】
また、図1Aに示すように、第1ワイヤ50は、巻芯部11から鍔部12aに向けて引き出された第1引出部52aを有する。また、第2ワイヤ60は、巻芯部11から鍔部12aに向けて引き出された第2引出部62aを有する。そして、第1引出部52aは、コア10に接触しつつ、巻芯部11から第1端子電極70aまで引き出される。また、第2引出部62aは、コア10に接触しつつ、巻芯部11から第2端子電極80aまで引き出される。そのため、第1引出部52aおよび第2引出部62aが空中配線されにくくなり、第1引出部52aおよび第2引出部62aの断線を防止することができる。
【0085】
また、図1Bに示すように、第1引出部52aは、凹部20aをX軸方向に沿って通過する直進部53と、Y軸方向に沿って延在し、凹部20aの底面200から第1端子電極70aに向かって立ち上がる立上部54とを有する。また、第2引出部62aは、凹部20aをX軸方向に対して斜めに通過する傾斜部65と、Y軸方向に沿って延在し、凹部20aの底面200から第2端子電極80aに向かって立ち上がる立上部64とを有する。そのため、X軸方向に沿って、巻芯部11から凹部20aの所定位置(第1引出部52aの立上位置)まで、第1引出部52a(直進部53)を最短距離で引き出すことができる。また、巻芯部11から凹部20aの所定位置(第2引出部62aの立上位置)まで、第2引出部62aの屈曲を回避しつつ、第2引出部62a(傾斜部65)を最短距離で引き出すことができる。
【0086】
また、鍔部12aは、第1傾斜面21aと、第2傾斜面22aとを有する。そして、第1傾斜面21aは、Y軸方向の一方側で、凹部20aの底面200から実装面13に向かって傾斜している。また、第2傾斜面22aは、Y軸方向の他方側で、凹部20aの底面200から実装面13に向かって傾斜している。そのため、第1引出部52aの過度な屈曲を抑えつつ、第1引出部52aを第1傾斜面21aに沿って実装面13まで引き出すことができる。また、第2引出部62aの過度な屈曲を抑えつつ、第2引出部62aを第2傾斜面22aに沿って実装面13まで引き出すことができる。これにより、第1引出部52aおよび第2引出部62aの屈曲に起因する断線を防止することができる。
【0087】
また、図2に示すように、鍔部12aは、第1内壁面23aと、第2内壁面24aとを有する。また、第1内壁面23aは、Y軸方向の一方側で、凹部20aの底面200から実装面13に向かって垂直に立ち上がっている。また、第2内壁面24aは、Y軸方向の他方側で、凹部20aの底面200から実装面13に向かって垂直に立ち上がっている。そして、X軸方向において、第1内壁面23aは鍔部12aの内側に位置し、第1傾斜面21aは鍔部12aの外側に位置する。また、X軸方向において、第2内壁面24aは鍔部12aの内側に位置し、第2傾斜面22aは鍔部12aの外側に位置する。そのため、図1Bに示すように、第1引出部52aを第1内壁面23aに沿って第1傾斜面21aまで引き出し、さらに第1傾斜面21aに沿って実装面13まで引き出すことができる。あるいは、第2引出部62bを第2内壁面24bに沿って第2傾斜面22bまで引き出し、さらに第2傾斜面22bに沿って実装面13まで引き出すことができる。これにより、第1引出部52aおよび第2引出部62bの引出位置のばらつきを防止することができる。
【0088】
また、鍔部12aは、巻芯部11に接続された内端面15と、X軸方向に沿って内端面15とは反対側の外端面16とを有する。そして、図1Aに示すように、第1引出部52aと第1端子電極70aとの第1接続位置56は、外端面16よりも内端面15に近接している。また、第2引出部62aと第2端子電極80aとの第2接続位置66は、外端面16よりも内端面15に近接している。そのため、第1端子電極70aにおいて、第1接続位置56と外端面16との間に実装基板との接続面を確保することができる。また、第2端子電極80aにおいて、第2接続位置66と外端面16との間に実装基板との接続面を確保することができる。これらの接続面は、ハンダあるいは導電性接着剤等の付着性が良好であるため、コイル装置1と実装基板との間の実装強度を高めることができる。
【0089】
第2実施形態
図4Aに示す第2実施形態のコイル装置1Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0090】
コイル装置1Aは、コア10Aを有する。コア10Aは、鍔部12aAおよび12bAを有する。鍔部12aAは、第1傾斜面21aおよび第2傾斜面22aを有していないという点において、第1実施形態の鍔部12aとは異なる。鍔部12bAは、第1傾斜面21bおよび第2傾斜面22bを有していないという点において、第1実施形態の鍔部12bとは異なる。
【0091】
第1内壁面23aは、X軸方向に沿って、鍔部12aAの内端面15から外端面16まで連続的に延在している。また、第2内壁面24aは、X軸方向に沿って、鍔部12aAの内端面15から外端面16まで連続的に延在している。
【0092】
また、第1内壁面23bは、X軸方向に沿って、鍔部12bAの内端面15から外端面16まで連続的に延在している。また、第2内壁面24bは、X軸方向に沿って、鍔部12bの内端面15から外端面16まで連続的に延在している。
【0093】
第1引出部52aの立上部54は、第1内壁面23aに接触しつつ、凹部20aの底面200から立ち上がっている。立上部54は、第1内壁面23aに沿って、底面200に対して垂直に立ち上がっている。また、立上部54は、実装面13(第1領域131)に沿って引き出され、第1端子電極70a(基板接続部71a)に接続されている。なお、立上部54は、Z軸に対して平行に延在しているが、Z軸に対してXZ平面内において傾斜していてもよい。
【0094】
第2引出部62aの立上部64は、第2内壁面24aに接触しつつ、凹部20aの底面200から立ち上がっている。立上部64は、第2内壁面24aに沿って、底面200に対して垂直に立ち上がっている。また、立上部64は、実装面13(第2領域132)に沿って引き出され、第2端子電極80a(基板接続部81a)に接続されている。なお、立上部64は、Z軸に対して平行に延在しているが、Z軸に対してXZ平面内において傾斜していてもよい。
【0095】
第1引出部52bの立上部54は、第1内壁面23bに接触しつつ、凹部20bの底面200から立ち上がっている。立上部54は、第1内壁面23bに沿って、底面200に対して垂直に立ち上がっている。また、立上部54は、実装面13(第1領域131)に沿って引き出され、第1端子電極70b(基板接続部71b)に接続されている。なお、立上部54は、Z軸に対して平行に延在しているが、Z軸に対してXZ平面内において傾斜していてもよい。
【0096】
第2引出部62bの立上部64は、第2内壁面24bに接触しつつ、凹部20bの底面200から立ち上がっている。立上部64は、第2内壁面24bに沿って、底面200に対して垂直に立ち上がっている。また、立上部64は、実装面13(第2領域132)に沿って引き出され、第2端子電極80b(基板接続部81b)に接続されている。なお、立上部64は、Z軸に対して平行に延在しているが、Z軸に対してXZ平面内において傾斜していてもよい。
【0097】
図4Bに示すように、立上部54および立上部64は、相互に離間するように、Y軸方向に沿って延在している。立上部54および立上部64は、Y軸方向に平行な同一直線上に位置する。ただし、立上部54の位置と立上部64の位置とは、X軸方向に沿って、オフセットしていてもよい。
【0098】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、鍔部12aは、第1傾斜面21aおよび第2傾斜面22a(図2)を具備せず、実装面13の一部が第1傾斜面21aおよび第2傾斜面22aによって切削されていない。そのため、その分、実装面13(第1領域131および第2領域132)の面積が増大し、第1端子電極70aおよび第2端子電極80aの面積が増大する。これにより、コイル装置1と実装基板(図示略)との間の実装強度を高めることができる。
【0099】
第3実施形態
図5に示す第3実施形態のコイル装置1Bは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0100】
図5に示すように、本実施形態では、第1引出部52aは、凹部20aをX軸方向に沿って通過する直進部53を有する。また、第1引出部52aは、Y軸方向に沿って延在し、凹部20aの底面200から実装面13(第1領域131)に向かって立ち上がる立上部54とを有する。図5に示す例では、直進部53は、立上部54に対して直交している。
【0101】
また、第2引出部62aは、凹部20aをX軸方向に沿って通過する直進部63を有する。また、第2引出部62aは、Y軸方向に沿って延在し、凹部20aの底面200から実装面13(第2領域132)に向かって立ち上がる立上部64を有する。図5に示す例では、直進部63は、立上部64に対して直交している。
【0102】
また、第1引出部52bは、凹部20bをX軸方向に沿って通過する直進部53を有する。また、第1引出部52bは、Y軸方向に沿って延在し、凹部20bの底面200から実装面13(第1領域131)に向かって立ち上がる立上部54とを有する。図5に示す例では、直進部53は、立上部54に対して直交している。
【0103】
また、第2引出部62bは、凹部20bをX軸方向に沿って通過する直進部63を有する。また、第2引出部62bは、Y軸方向に沿って延在し、凹部20bの底面200から実装面13(第2領域132)に向かって立ち上がる立上部64を有する。図5に示す例では、直進部63は、立上部64に対して直交している。
【0104】
図5に示す例では、直進部53と直進部63とは、X軸方向に沿って、平行に延在している。直進部53と直進部63との間のY軸方向の間隔は、特に限定されないが、第1ワイヤ50または第2ワイヤ60の直径と同等以上である。ただし、直進部53と直進部63とは、接触していてもよい。
【0105】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、上述したように、第1引出部52aおよび第2引出部62aのいずれも、直進部(直進部53および63)を有する。そのため、第1引出部52aと第2引出部62aとは、X軸方向に対して対称となるように、巻芯部11から実装面13まで引き出される。これにより、第1引出部52aおよび第2引出部62aの長さが近似し、コイル装置1の挿入損失を低減することができる。また、第1立上部54および第2立上部64は、凹部20aの底面200から実装面13まで、鍔部12aの外端面16に向かわないよう、外端面16に平行に引き出される。そのため、第1引出部52aを外端面16から離れた位置で第1端子電極70a(基板接続部71a)に接続することが可能となり、第1端子電極70aの実装面積を確保することができる。また、第2引出部62aを外端面16から離れた位置で第2端子電極80a(基板接続部81a)に接続することが可能となり、第2端子電極80aの実装面積を確保することができる。
【0106】
第4実施形態
図6に示す第4実施形態のコイル装置1Cは、以下に示す点を除いて、第2実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0107】
図6に示すように、鍔部12aAにおいて、実装面13の第1領域131は、第1端子電極70a(基板接続部71a)と凹部20aとの間に位置する露出部133を有する。また、実装面13の第2領域132は、第2端子電極80a(基板接続部81a)と凹部20aとの間に位置する露出部133を有する。第1領域131の露出部133において、実装面13は、第1端子電極70aによって覆われておらず、外部に露出している。第2領域132の露出部133において、実装面13は、第2端子電極80aによって覆われておらず、外部に露出している。
【0108】
また、鍔部12bAにおいて、実装面13の第1領域131は、第1端子電極70b(基板接続部71b)と凹部20bとの間に位置する露出部133を有する。また、実装面13の第2領域132は、第2端子電極80b(基板接続部81b)と凹部20bとの間に位置する露出部133を有する。第1領域131の露出部133において、実装面13は、第1端子電極70bによって覆われておらず、外部に露出している。第2領域132の露出部133において、実装面13は、第2端子電極80bによって覆われておらず、外部に露出している。
【0109】
露出部133は、X軸に沿って、内端面15から外端面16にかけて延在している。露出部133のY軸方向の幅は、第1端子電極70a(基板接続部71a)のY軸方向の幅よりも狭い。露出部133のY軸方向の幅は、特に限定されないが、第1端子電極70a(基板接続部71a)のY軸方向の幅の1/2または1/3未満である。露出部133のY軸方向の幅は、X軸方向に沿って一定であるが、異なっていてもよい。
【0110】
本実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、第1領域131は、第1端子電極70aと凹部20aとの間に位置する露出部133を有する。また、第2領域132は、第2端子電極80aと凹部20aとの間に位置する露出部133を有する。そして、これらの露出部133において、実装面13が露出している。第1領域131の露出部133には第1端子電極70aが形成されていないため、第1ワイヤ50(第1引出部52a)と第1端子電極70aとの間の浮遊容量が低減され、コイル装置1Cの挿入損失を低減することができる。また、第2領域132の露出部133には第2端子電極80aが形成されていないため、第2ワイヤ60(第2引出部62a)と第2端子電極80aとの間の浮遊容量が低減され、コイル装置1Cの挿入損失を低減することができる。
【0111】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0112】
図7に示すように、上記第2実施形態に上記第3実施形態の技術を適用してもよい。すなわち、第1引出部52aおよび第2引出部62aのいずれも、直進部(直進部53および63)を有していてもよい。また、第1引出部52bおよび第2引出部62bのいずれも、直進部(直進部53および63)を有していてもよい。
【0113】
上記各実施形態において、第1端子電極70a(第1端子電極70b、第2端子電極80aおよび第2端子電極80bについても同様)は、金属板に対して折曲加工および/または切削加工が施された端子金具によって構成されていてもよい。
【0114】
上記各実施形態において、第1鍔部12aには、第1傾斜面21aおよび第2傾斜面22aのいずれか一方のみが形成されていてもよい。また、第1鍔部12bには、第1傾斜面21bおよび第2傾斜面22bのいずれか一方のみが形成されていてもよい。
【0115】
図4B図5図6および図7に示す上記第2実施形態~第4実施形態において、第1引出部52aと第1端子電極70aとの接続位置は、外端面16および内端面15から等距離の位置に位置するが、外端面16よりも内端面15に近接していてもよい。また、第2引出部62aと第2端子電極80aとの接続位置は、外端面16および内端面15から等距離の位置に位置するが、外端面16よりも内端面15に近接していてもよい。また、第1引出部52bと第1端子電極70bとの接続位置は、外端面16および内端面15から等距離の位置に位置するが、外端面16よりも内端面15に近接していてもよい。また、第2引出部62bと第2端子電極80bとの接続位置は、外端面16および内端面15から等距離の位置に位置するが、外端面16よりも内端面15に近接していてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1,1A~1C…コイル装置
10,10A…コア
11…巻芯部
110…外周面
111…上面
12a,12b,12aA,12bA…鍔部
13…実装面
131…第1領域
132…第2領域
133…露出部
14…取付面
15…内端面
16…外端面
17…第1側面
18…第2側面
20a,20b…凹部
200…底面
21a,21b…第1傾斜面
22a,22b…第2傾斜面
23a,23b…第1内壁面
24a,24b…第2内壁面
25a,25b…第1突出面
26a,26b…第2突出面
30…板状コア
40…ターン
50…第1ワイヤ
51…巻回部
52a,52b…引出部
53…直進部
54…立上部
55…傾斜部
56…接続位置
60…第2ワイヤ
61…巻回部
62a,62b…引出部
63…直進部
64…立上部
65…傾斜部
66…接続位置
70a,70b,80a,80b…端子電極
71a,71b,81a,81b…基板接続部
72a,72b,82a,82b…側部
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7