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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015287
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】美容整形画像データの管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20250123BHJP
   G16H 10/60 20180101ALI20250123BHJP
【FI】
G06Q30/06
G16H10/60
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118607
(22)【出願日】2023-07-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】523185486
【氏名又は名称】株式会社CrownStrategy
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(74)【代理人】
【識別番号】100189500
【弁理士】
【氏名又は名称】鉾田 慶亮
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 夏帆
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L030BB26
5L049BB26
5L099AA23
5L099AA26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】手術前後のユーザーの顔画像を含むデジタルデータの適切な管理及び売買を簡単に行うシステム及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、ユーザー端末から送信されかつ撮影日が記録されたユーザーの顔の少なくとも手術前後の2つの顔画像データ、氏名及び住所その他のユーザー自身の識別情報、ユーザーが手術を受けたクリニックに関する情報及びユーザーが保有する自己の電子ウォレットに関する情報を取得し、これらの情報をユーザーのカルテ情報としてまとめる手段と、ブロックチェーンにおいてカルテ情報のデータに紐づいたNFTを発行させる手段と、NFTを売買可能なプラットフォームに出品する手段と、プラットフォームにおいてNFTの売買が成立したときに、NFTの売買取引記録を記憶するとともに、NFTの買い手から得た暗号資産をユーザーの電子ウォレットに送付する手段と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介してユーザー端末及びブロックチェーンに接続されるサーバーを有し、美容整形手術の被術者であるユーザーの手術前後の顔画像データと、前記顔画像データの取引とをブロックチェーンを用いて管理するシステムであって、
前記サーバーは、
1.前記ユーザー端末から送信されかつ撮影日が記録された前記ユーザーの顔の少なくとも手術前後の2つの顔画像データ、
2.氏名及び住所その他のユーザー自身の識別情報、
3.ユーザーが手術を受けたクリニックに関する情報、
4.ユーザーが保有する自己の電子ウォレットに関する情報、
の、前記1.乃至4.の各情報を取得しこれらの情報をユーザーのカルテ情報としてまとめる手段と、
前記ブロックチェーンにおいて前記カルテ情報のデータに紐づいたNFT(ノンファンジブルトークン)を発行させる手段と、
前記NFTを売買可能なプラットフォームに出品する手段と、
前記プラットフォームにおいて前記NFTの売買が成立したときに、前記NFTの売買取引記録を記憶するとともに、前記NFTの買い手から得た暗号資産を前記ユーザーの電子ウォレットに送付する手段と、を備える、前記ユーザーの手術前後の顔画像データと前記顔画像データの取引とを管理するシステム。
【請求項2】
前記顔画像データは、さらに、ダウンタイム中の前記ユーザーの顔画像データを含む、請求項1に記載のユーザーの手術前後の顔画像データと前記顔画像データの取引とを管理するシステム。
【請求項3】
通信ネットワークを介してユーザー端末及びブロックチェーンに接続されたコンピュータを用いて、美容整形手術の被術者であるユーザーの手術前後の顔画像データと、前記顔画像データの取引とをブロックチェーンを用いて管理する方法であって、
前記コンピュータを用いて、
1.美容整形手術の被術者であるユーザーの手術前後の顔画像データを取得するステップ、
2.氏名及び住所その他のユーザー自身の識別情報を取得するステップ、
3.ユーザーが手術を受けたクリニックに関する情報を取得するステップ、
4.ユーザーが保有する自己の電子ウォレットに関する情報を取得するステップ、
の前記1.乃至4.の各ステップで取得した各情報をユーザーのカルテ情報としてまとめるステップと、
前記ブロックチェーンにおいて前記カルテ情報のデータに紐づいたNFT(ノンファンジブルトークン)を発行させるステップと、
前記カルテ情報のデータに付与されたNFTの売買取引の処理を実行するステップと、
前記取引における前記NFTの買い手から暗号資産を受けとるステップと、
前記買い手から受けとった前記暗号資産を前記ユーザーの電子ウォレットに送付するステップと、
を実行する、前記ユーザーの手術前後の顔画像データと前記顔画像データの取引とを管理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容整形の手術前後の顔画像データを管理するシステムおよび美容整形の手術前後の顔画像データを管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般消費者などを対象とするビジネスにおいて事業者のWebページやWeb広告の表示内容は、顧客を増やすための重要な要素となっている。このようなWebページ等の作成にあたり、人物の顔写真を掲載することが特に有用である。この点に関する技術として、例えば、顔画像が含まれる写真データを収集しWebページ上の商品販売用画面に表示する装置がある(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-81156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、美容意識の高まりから、容姿を整えることを目的とした手術(美容整形手術)を行う美容整形クリニックの需要が増えている。このような美容整形クリニックに関するWebページやWeb広告、美容に関する雑誌などでは、美容整形クリニックの利用者が手術の効果をイメージしやすいように、症例写真として手術前後の被術者の顔画像(いわゆるビフォーアフター写真)を掲載することが多い。ところが、Webページ等を作成する美容整形クリニックにとって、掲載する症例写真として有用かつ一般公開可能な顔画像データを得ることは容易でなく、このような顔画像データを簡単に取得して利用したいニーズがある。
【0005】
一方、被術者としては、このような自己の顔の画像データを適切に管理するとともに、売買して利益を得たいと考える場合がある。そこで、本発明では、美容整形手術の被術者であるユーザーが、手術前後のユーザーの顔画像を含むデジタルデータの適切な管理並びに売買を簡単に行うことができるシステム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、通信ネットワークを介してユーザー端末及びブロックチェーンに接続されるサーバーを有し、美容整形手術の被術者であるユーザーの手術前後の顔画像データと、顔画像データの取引とをブロックチェーンを用いて管理するシステムであって、サーバーは、
1.ユーザー端末から送信されかつ撮影日が記録されたユーザーの顔の少なくとも手術前後の2つの顔画像データ、
2.氏名及び住所その他のユーザー自身の識別情報、
3.ユーザーが手術を受けたクリニックに関する情報、
4.ユーザーが保有する自己の電子ウォレットに関する情報、
の、1.乃至4.の各情報を取得しこれらの情報をユーザーのカルテ情報としてまとめる手段と、ブロックチェーンにおいてカルテ情報データに紐づいたNFT(ノンファンジブルトークン)を発行させる手段と、NFTを売買可能なプラットフォームに出品する手段と、プラットフォームにおいてNFTの売買が成立したときに、NFTの売買取引記録を記憶するとともに、NFTの買い手から得た暗号資産をユーザーの電子ウォレットに送付する手段と、を備える。
【0007】
また、上記したシステムにおいて、顔画像データは、ダウンタイム中のユーザーの顔画像データをさらに含んでもよい。
【0008】
また、本発明は、通信ネットワークを介してユーザー端末及びブロックチェーンに接続されたコンピュータを用いて、美容整形手術の被術者であるユーザーの手術前後の顔画像データと、顔画像データの取引とをブロックチェーンを用いて管理する方法であって、コンピュータを用いて、
1.美容整形手術の被術者であるユーザーの手術前後の顔画像データを取得するステップ、
2.氏名及び住所その他のユーザー自身の識別情報を取得するステップ、
3.ユーザーが手術を受けたクリニックに関する情報を取得するステップ、
4.ユーザーが保有する自己の電子ウォレットに関する情報を取得するステップ、
の1.乃至4.のステップで取得した各情報をユーザーのカルテ情報としてまとめるステップと、ブロックチェーンにおいてカルテ情報データに紐づいたNFTを発行させるステップと、カルテ情報に付与されたNFTの売買取引の処理を実行するステップと、取引におけるNFTの買い手から暗号資産を受けとるステップと、NFTの買い手から送付された暗号資産をユーザーの電子ウォレットに送付するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーの手術前後の顔画像データを含むカルテ情報のデータに関連付けたNFTを発行するので、カルテ情報データについてその内容の真正性を証明可能な状態で適切に管理することができるとともに、カルテ情報のデータの売買(所有権の取引)を簡単かつ安全に行うことができ、さらには取引情報についても安全に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るシステムの構成の一例を示す概略図である。
図2図1のサーバーの構成を示すブロック図である。
図3図1のユーザー端末の構成を示すブロック図である。
図4】カルテ情報管理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図5】ユーザー端末におけるカルテ情報の確認画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願発明の実施形態について説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。図1は、実施形態に係るカルテ情報管理システム100の構成の一例を示す概略図である。カルテ情報管理システム100は、美容整形手術を受けたユーザーの手術前後の顔画像データを含むカルテ情報の管理及び取引を行うシステムである。
【0012】
図1に示すように、カルテ情報管理システム100は、サーバー10と、ブロックチェーンシステム20と、ユーザー端末30と、購入者端末40とを備える。これらサーバー10、ブロックチェーンシステム20、ユーザー端末30、及び購入者端末40は、ネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク50は、有線または無線の通信回線を含む通信ネットワークであり、例えばインターネットや無線通信回線網などである。
【0013】
図2は、サーバー10の構成を示すブロック図である。サーバー10は、ユーザーのカルテ情報に関連付けられたNFTの発行及び取引を行う装置として機能する。サーバー10は、サーバー側通信部11と処理部12とサーバー記憶部13とを有し、これらは例えばコンピュータにより実現される。このコンピュータは、送受信装置、CPUなどの演算処理装置、ハードディスクやメモリなどの情報記憶装置等を備える。
【0014】
サーバー側通信部11は、ブロックチェーンシステム20、ユーザー端末30、及び購入者端末40との間でデータを送受信する。処理部12は、カルテ情報作成部12aと、NFT発行部12bと、売買取引処理部12cとを有し、サーバー記憶部13に記憶された所定のプログラムを読み出して、カルテ情報データに紐づいたNFTの管理及び取引に関する各種処理を実行する。即ち、このプログラムが実行されることにより、カルテ情報作成部12a、NFT発行部12b、及び売買取引処理部12cの各機能が構成される。サーバー記憶部13は、カルテ情報のデータや、カルテ情報を構成する各種データ、カルテ情報のデータの売買取引に関するデータ(例えば取引者情報や取引履歴)、処理部12に所定の処理を実行させる上記プログラムなどを記憶する。
【0015】
カルテ情報作成部12aは、いずれも後述する、ユーザー顔画像データ、ユーザー識別情報、クリニック情報、及び電子ウォレット情報の各情報をユーザー端末30から取得し、取得したこれらのユーザー顔画像データ、ユーザー識別情報、クリニック情報、及び電子ウォレット情報を含む各種情報を1つのデジタルデータにまとめる処理を実行する。これにより、ユーザーのカルテ情報が作成される。このように、カルテ情報は、ユーザー顔画像データ、ユーザー識別情報、クリニック情報、及び電子ウォレット情報を有するデジタルデータであり、美容整形手術を受けたユーザーの経過記録を含む情報である。
【0016】
ユーザー顔画像データは、撮影日が記録されたユーザーの顔画像のデータである。顔画像は、顔全体の画像でもよいし、顔の一部(例えば、目や鼻など、顔の特定の部位)の画像でもよく、例えば手術した部位を拡大した画像であってもよい。また、顔画像は、写真などの静止画であるが、動画であってもよい。ユーザー顔画像データは、美容整形の手術前と手術後のユーザーの顔画像のデータを含む。例えば、ユーザー顔画像データは、整形手術前のユーザーの顔の画像データと、整形手術に係るダウンタイム中のユーザーの顔の画像データと、ダウンタイム経過後のユーザーの顔の画像データと、を含んでもよい。ダウンタイムとは、美容整形の手術をしてから回復するまでの期間である。即ち、美容整形をすると、手術直後から手術した部位に腫れや、内出血、むくみを生じることがあるが、これらの症状が収まり回復するまでの時間がダウンタイムである。
【0017】
ユーザー識別情報は、ユーザーを他人と識別するための情報であり、例えばユーザーの氏名情報や、ペンネーム情報、住所情報、生年月日情報、手術を受けたときの年齢の情報などである。クリニック情報は、ユーザーが手術を受けた美容整形クリニックに関する情報であり、例えば当該美容整形クリニックの名称情報や、住所情報、勤務する医師の情報(例えば、ユーザーを手術した担当医師の氏名情報)、手術の日時情報などである。電子ウォレット情報は、ユーザーが保有する自己の電子ウォレットに関する情報であり、例えば当該電子ウォレットのウォレットアドレス情報や、ウォレットID情報、ユーザーID情報などである。電子ウォレットは、暗号資産である仮想通貨を保管し管理するための仮想的な財布である。
【0018】
NFT発行部12bは、カルテ情報作成部12aが作成したカルテ情報のデータに紐づけられるNFT(ノンファンジブルトークン、Non-Fungible Token)をブロックチェーンシステム20に発行させる処理部である。NFTは、他のNFTとの区別を可能にする固有の識別子を有し、唯一無二の価値を持つトークンであり、これに紐づけられるカルテ情報データの真正性や所有権を示すいわゆるデジタル証明書である。NFTは、例えばイーサリアムの規格であるERC721に基づいて発行され、ブロックチェーンシステム20上に保存される。
【0019】
売買取引処理部12cは、NFTの出品並びにNFTの売買取引、即ち、カルテ情報データの所有権の売買に関する処理を実行する。具体的には、売買取引処理部12cは、カルテ情報に紐づけられたNFTをNFTプラットフォーム(NFTマーケットプレイス)に出品し、NFTの売買取引を実行するとともに、NFTの買い手から取引の対価である暗号資産を受け取る。そして、売買取引処理部12cは、受け取った暗号資産をユーザーの電子ウォレットに送付する。
【0020】
図1に戻り、ブロックチェーンシステム20は、ピアツーピア(P2P、Peer to Peer)方式で互いに通信する複数(図1に示す例では6つ)のノードコンピュータ30a~30fにより構成される。これら複数のノードコンピュータ30a等は、NFTに関する取引記録をブロックチェーン技術(分散型台帳技術)により分散して管理する。具体的には、ブロックチェーンシステム20においてNFTの発行や取引を記録したブロックがノードコンピュータ30a等上にブロックチェーンとして記録されると、複数のノードコンピュータ30a等によってブロックチェーン上の各ブロックに含まれるハッシュ値の整合性が確認される。これにより、ブロックチェーンにおけるデータの整合性が担保される。このようなブロックチェーンシステム20の分散型台帳管理により、NFTに関する取引の不正や取引記録の改ざんが防止される。
【0021】
図3は、ユーザー端末30の構成を示すブロック図である。図3に示すように、ユーザー端末30は、ユーザーが使用する端末であり、入力表示部31と端末側通信部32と制御部33と端末記憶部34と撮像部35とを有する。ユーザーは、カルテ情報管理システム100の使用者であるとともに美容整形手術の被術者である。ユーザー端末30は、コンピュータを内蔵する情報処理装置であり、所定の情報処理を実行するアプリケーション(以下「アプリ」という。)のプログラムがインストールされている。ユーザー端末30は、例えばスマートフォンやタブレット端末などである。なお、ユーザー端末30は、可搬型の構成に限定されず、例えばデスクトップPCなどであってもよい。ユーザー端末30は、タッチパネルなどの入力表示手段、メモリなどの情報記憶装置、CPUなどの演算処理装置、送受信装置、デジタルカメラなどの撮像手段等を備える。
【0022】
入力表示部10は、入力表示画面を有し、例えば、サーバー10から受信した情報が表示されるとともに、ユーザーの接触による操作を受け付けて、顔画像等のデータやユーザーによる指示内容が入力される。端末側通信部32は、サーバー10との間でデータや暗号資産を送受信する。制御部33は、プログラムに従って各種情報処理を実行する処理部である。
【0023】
端末記憶部34は、上記プログラムや、ユーザーが取得したデータ、電子ウォレットアドレス、電子ウォレットアカウント情報などの情報などを記憶する。撮像部35は、例えばユーザーの顔を撮影して顔画像データを取得する。
【0024】
購入者端末40は、カルテ情報に紐づけられたNFTの購入者が使用する端末であり、その構成は上述したユーザー端末30と同様である。即ち、購入者端末40は、コンピュータを内蔵しサーバー10との通信可能な情報処理装置である。
【0025】
次に、カルテ情報管理システム100の動作の一例について、図4のフローチャートに沿って説明する。
【0026】
ユーザー端末30においてユーザーが所定の操作を行うことで、ユーザー端末30にインストールされたアプリが起動する。アプリが起動すると、ユーザーの識別情報がユーザー端末30に入力される。このとき、ユーザーの識別情報は、例えば、ユーザー端末30に表示されるアプリの入力画面においてユーザーの入力操作に応じて入力される。そして、ユーザー端末30は、入力されたユーザーの識別情報をサーバー10に送信する(ステップ01)。
【0027】
また、ユーザー端末30は、電子ウォレット情報をサーバー10に送信する(ステップ02)。ステップ02では、予め開設され現在保有するユーザーのウォレットに関する電子ウォレット情報がサーバー10送信される。
【0028】
また、ユーザー端末30は手術前の顔画像を取得する(ステップS03)。ステップS03では、例えば撮像部35を用いて手術前におけるユーザーの顔画像データを取得する。このとき、撮像部35は、顔の全体又は手術部位を含む顔の一部を撮影する。この顔画像データには撮影日の情報が記録される。
【0029】
ステップS03に引き続き、ユーザー端末30は、手術前の顔画像のデータをサーバー10に送信する(ステップS04)。
【0030】
ユーザーが美容整形手術を受ける美容整形クリニックが決まると、クリニック情報がユーザー端末30に入力される。このとき、クリニック情報は、例えば、ユーザー端末30に表示されるアプリの入力画面においてユーザーの入力操作に応じて入力される。そして、ユーザー端末30は、入力されたクリニック情報をサーバー10に送信する(ステップ05)。
【0031】
美容整形手術のダウンタイム経過後、ユーザー端末30は手術後の顔画像を取得する(ステップS06)。ステップS06では、例えば、撮像部35を用いて顔画像データを取得する。このとき、撮像部35が取得する手術後の顔画像は、手術前の顔画像の顔と対比可能な顔の画像である。したがって、撮像部35は、例えば、ユーザーの顔に対する撮像部35のアングルや距離、顔の撮影領域(例えば撮影する部位)、ピント、明るさ(絞り)、取得する画像の解像度、撮影場所といった各種の条件について、手術前に撮影したときと同じ条件で手術後のユーザーの顔を撮影することが好ましい。そうすることで、撮像部35が取得した手術前後の2つの顔画像から、手術前後の容姿をより正確に比較することができる。
【0032】
ステップS06に引き続き、ユーザー端末30は、手術後の顔画像のデータをサーバー10に送信する(ステップS07)。
【0033】
なお、上記したように、サーバー10には、手術前のユーザーの顔画像データ並びにダウンタイム経過後のユーザーの顔画像データが送信されるが、これらに加えてさらにダウンタイム中に撮像部35が取得したユーザーの顔画像のデータが送信されてもよい。この場合、サーバー10に集められる顔画像データには、ダウンタイム中の顔画像のデータが含まれる。また、ダウンタイム中の顔画像は、手術前後の顔画像とそれぞれ対比できることが好ましく、したがって、撮像部35はダウンタイム中の顔画像を手術前の顔画像を取得したときと同じ条件下で取得することが好ましい。
【0034】
上述したステップS01~ステップS07が実行されることにより、サーバー記憶部13には、ユーザーの識別情報、電子ウォレット情報、クリニック情報、及び顔画像データを含む情報が集められる。そして、サーバー10はカルテ情報を作成する(ステップS08)。ステップS08では、カルテ情報作成部12aは、ユーザーの識別情報、電子ウォレット情報、クリニック情報、及び顔画像データをカルテ情報としてまとめる処理を実行する。図4には示さないが、サーバー10は、カルテ情報の作成を完了すると、ユーザー端末30へカルテ情報のデータを送信する。ユーザー端末30は、カルテ情報のデータを受信すると、カルテ情報の内容をユーザーが確認するための画面を表示する。図5は、ユーザーがカルテ情報を確認するための確認画面の一例を示す図である。図5に示すように、確認画面では、ユーザーの手術前の顔画像と手術後の顔画像とが並べて配置して表示される。ユーザーは、このような確認画面において手術前後の容姿を容易に比較することができる。
【0035】
ステップS08に引き続き、サーバー20はNFT発行のための処理を実行する(ステップS09)。ステップS09において、NFT発行部12bは、カルテ情報のデータに対して、ユーザーからのNFT発行の指示に応じてNFTプラットフォーム上で売買可能なNFTを発行させる(即ち、カルテ情報のデータにNFTを付与する)。具体的には、NFT発行部12bは、作成したカルテ情報のデータをサーバー記憶部13に保存する。そして、NFT発行部12bは、NFTをブロックチェーンシステム20のブロックチェーンに登録する。このNFTに関連付けられるメタデータは、サーバー記憶部13のカルテ情報にアクセスするための情報(例えばURL)を含み、このURL情報がブロックチェーン上に記録される。なお、NFT発行部12bは、カルテ情報のデータを外部サーバーに送信して外部サーバーに保存してもよい。この場合、NFTに関連付けられるメタデータには、外部サーバーのカルテ情報にアクセスするための情報(例えばURL)が含まれ、このURL情報がブロックチェーン上に記録される。また、NFT発行部12bは、カルテ情報のデータをメタ情報として記載したNFTを発行させてもよい。即ち、発行するNFTにカルテ情報のデータを埋め込んでもよい。
【0036】
ステップS09に引き続き、サーバー10はNFTをNFTプラットフォームに出品する(ステップS10)。ステップS10では、売買取引処理部12cは、ステップS09で発行したNFTについて、これを売買取引するNFTプラットフォームに出品する。NFTプラットフォームは、例えばイーサリアムである。
【0037】
ステップS10の後、売買取引が成立すると、サーバー10はNFTの取引処理を実行する(ステップS11)。ステップS11では、売買取引処理部12cは、出品したNFTの購入の申し込みを購入者端末40から受信し、ユーザーと購入者との間でNFTの売買が成立すると、その取引情報を、サーバー記憶部13に記録するとともにブロックチェーンシステム20のブロックチェーンに記録させる。これにより、NFTの譲渡と同時にブロックチェーン上のNFTの権利者情報が書き換えられる。また、売買取引処理部12cは、NFT購入の対価としての暗号資産を購入者端末40から受信する(受け取る)。暗号資産は、インターネット上でやりとりできる財産的価値をもつものをいい、例えば仮想通貨である。
【0038】
サーバー10は、ステップS11で受け取った暗号資産の一部をユーザーの電子ウォレットへ送付する(ステップS12)。ステップS12では、売買取引処理部12cは、購入者端末40から受信した暗号資産について、例えばサーバー10の手数料などを控除した上で、ユーザーのウォレットアドレスに送付する処理を行う。これにより、サーバー10が購入者から受け取った暗号資産の一部がユーザーの電子ウォレットに送付される。なお、ステップS12において、売買取引処理部12cは、購入者から受け取った暗号資産の全てをユーザーの電子ウォレットに送付してもよい。
【0039】
このように、カルテ情報管理システム100は、ユーザーのカルテ情報に紐づけられたNFTを発行するとともにNFTの売買取引を実現する。なお、カルテ情報管理システム100の動作は上述した内容に限定されない。例えば、図4に示されるフローチャートの各ステップS01~S12は、同図記載の順序と異なる順序で実行されてもよいし、複数のステップS01等が同時に実行されてもよい。また、同図記載のステップの一部は省略されてもよい。
【0040】
以上説明したカルテ情報管理システム100によれば、ユーザーの手術前後の顔画像データを含むカルテ情報に関連付けたNFTを発行するので、カルテ情報の内容の真正性を証明可能にすることができるとともに、NFTに関連付けられたカルテ情報データそのものの改ざんを防止してカルテ情報データを安全に管理することができる。また、カルテ情報管理システム100によれば、カルテ情報のデータの売買取引を簡単に行うことができるとともに、NFTおよびその取引履歴情報の改ざんが防止される。したがって、カルテ情報管理システム100によれば、ユーザーは、カルテ情報のデータについて適切な管理および安心かつ安全な取引をすることができ、さらには取引情報についても安全に管理することができる。
【0041】
例えば、美容整形クリニックの利用者は期待した効果が得られないなどの理由から転院を繰り返すことが多く、この場合にカルテの交換は困難であるが、カルテ情報管理システム100によれば、NFTが付与されたユーザーのカルテ情報のデータについて、ユーザーがこれを転院先に提供したり、転院先が上記のNFTプラットフォームからこれを購入したりして、簡単に入手することが可能になる。これにより、転院先のクリニックは、内容の真正性が証明されているカルテ情報を転院先で行う美容整形手術などにおいて活用することができる。
【0042】
また、カルテ情報管理システム100によれば、美容整形クリニックや医師は、自己のWebページやWeb広告などにおいて掲載する症例写真として有用かつ一般公開可能な顔画像データを簡単に取得して利用することができる。
【0043】
また、カルテ情報管理システム100によれば、NFTには手術前後の顔画像とともにクリニック情報のデータが紐づけられている。即ち、このようなNFTが発行されると、NFTプラットフォームにおいて、手術前後の顔画像とこれに関連付けされたクリニック情報が、その真正性が証明可能な状態で同時に表示される。このため、かかる表示の閲覧者は、手術前後の顔画像からどのような美容整形手術を行ったのか(つまり手術の効果)が一目瞭然であると同時に、クリニック情報からどこの美容整形クリニックで当該美容整形手術をしたのかが分かる。したがって、美容整形クリニックにとっても、カルテ情報管理システム100を利用して手術の成功例に関するカルテ情報にNFTを付与することで、手術の成功例を周知させることができ、ひいては評判の良いクリニックとの名声を獲得することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した説明に限定されるものではない。上記の実施形態については、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 サーバー
20 ブロックチェーンシステム
30 ユーザー端末
50 通信ネットワーク
100 カルテ情報管理システム(システム)
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介してユーザー端末及びブロックチェーンに接続されるサーバーを有し、美容整形手術の被術者であるユーザーの手術前後の顔画像データと、前記顔画像データの取引とをブロックチェーンを用いて管理するシステムであって、
前記サーバーは、
1.前記ユーザー端末から送信されかつ撮影日が記録された前記ユーザーの顔の少なくとも手術前後の2つの顔画像データ、
2.氏名及び住所その他のユーザー自身の識別情報、
3.ユーザーが手術を受けたクリニックに関する情報、
4.ユーザーが保有する自己の電子ウォレットに関する情報、
の、前記1.乃至4.の各情報を取得しこれらの情報をユーザーのカルテ情報としてまとめる手段と、
前記ブロックチェーンにおいて前記カルテ情報のデータに紐づいたNFT(ノンファンジブルトークン)を発行させる手段と、
前記NFTを売買可能なプラットフォームに出品する手段と、
前記プラットフォームにおいて前記NFTの売買が成立したときに、前記NFTの売買取引記録を記憶するとともに、前記NFTの買い手から得た暗号資産を前記ユーザーの電子ウォレットに送付する手段と、を備える、前記ユーザーの手術前後の顔画像データと前記顔画像データの取引とを管理するシステム。
【請求項2】
前記顔画像データは、さらに、ダウンタイム中の前記ユーザーの顔画像データを含む、請求項1に記載のユーザーの手術前後の顔画像データと前記顔画像データの取引とを管理するシステム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
一方、被術者としては、このような自己の顔の画像データを適切に管理するとともに、
売買して利益を得たいと考える場合がある。そこで、本発明では、美容整形手術の被術者
であるユーザーが、手術前後のユーザーの顔画像を含むデジタルデータの適切な管理並び
に売買を簡単に行うことができるシステムを提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
図1に戻り、ブロックチェーンシステム20は、ピアツーピア(P2P、Peer to Peer)方式で互いに通信する複数(図1に示す例では6つ)のノードコンピュータ0a~0fにより構成される。これら複数のノードコンピュータ0a等は、NFTに関する取引記録をブロックチェーン技術(分散型台帳技術)により分散して管理する。具体的には、ブロックチェーンシステム20においてNFTの発行や取引を記録したブロックがノードコンピュータ0a等上にブロックチェーンとして記録されると、複数のノードコンピュータ0a等によってブロックチェーン上の各ブロックに含まれるハッシュ値の整合性が確認される。これにより、ブロックチェーンにおけるデータの整合性が担保される。このようなブロックチェーンシステム20の分散型台帳管理により、NFTに関する取引の不正や取引記録の改ざんが防止される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
また、ユーザー端末30は、電子ウォレット情報をサーバー10に送信する(ステップ02)。ステップ02では、予め開設され現在保有するユーザーのウォレットに関する電子ウォレット情報がサーバー10送信される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
このように、カルテ情報管理システム100は、ユーザーのカルテ情報に紐づけられたNFTを発行するとともにNFTの売買取引を実現する。なお、カルテ情報管理システム100の動作は上述した内容に限定されない。例えば、図4に示されるフローチャートの各ステップS01~S12は、同図記載の順序と異なる順序で実行されてもよいし、複数のステップS01等が同時に実行されてもよい。また、同図記載のステップの一部は省略されてもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
また、カルテ情報管理システム100によれば、美容整形クリニックや医師は、自己のWebページやWeb広告などにおいて掲載する症例写真として有用かつ一般公開可能な顔画像データを簡単に取得して利用することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1