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特開2025-152876画像形成制御装置、画像形成制御方法および画像形成制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152876
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】画像形成制御装置、画像形成制御方法および画像形成制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20251002BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
G03G21/00 388
G03G21/00 510
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055045
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】北村 一矢
(72)【発明者】
【氏名】野口 英俊
(72)【発明者】
【氏名】寺山 直人
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA59
2H270LA79
2H270LA94
2H270NB01
2H270NC02
2H270NC06
2H270NC07
2H270NC12
2H270NC16
2H270NC20
2H270ND04
2H270ND09
2H270ND13
2H270ND25
2H270ND31
2H270RA04
2H270RA10
2H270RA11
2H270RA13
2H270RA27
2H270RC02
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 複数の画像形成装置それぞれの部品交換の時期を揃える。
【解決手段】画像形成制御装置は、複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させる画像形成制御装置であって、複数の画像形成装置それぞれから画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関してメーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得部51と、複数の画像形成装置にそれぞれ対応する複数の寿命情報に基づいて、複数の画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する第1決定部53と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させる画像形成制御装置であって、
複数の前記画像形成装置それぞれから前記画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関して前記メーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得部と、
複数の前記画像形成装置にそれぞれ対応する複数の前記寿命情報に基づいて、複数の前記画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定部と、を備えた画像形成制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、複数の前記画像形成装置のうちで、前記寿命情報が最小の前記特定ユニットである対象ユニットを備える第1対象装置と前記第1対象装置と所定の関係にある第2対象装置とのいずれかを前記実行装置に決定する、請求項1に記載の画像形成制御装置。
【請求項3】
複数の前記画像形成装置それぞれは、複数種類の前記特定ユニットを備え、
複数の前記画像形成装置それぞれにおいて、複数種類の前記特定ユニットのうちで前記寿命情報が最小の最小ユニットを特定する特定部をさらに備え、
前記第2対象装置は、前記対象ユニットと同一種類の前記最小ユニットを備えた前記画像形成装置である、請求項2に記載の画像形成制御装置。
【請求項4】
複数の前記画像形成装置それぞれは、複数種類の前記特定ユニットを備え、
複数の前記画像形成装置それぞれにおいて、複数種類の前記特定ユニットのうちで前記寿命情報が最小の最小ユニットを特定する特定部をさらに備え、
前記第2対象装置は、前記寿命情報が前記対象ユニットの次に小さい前記最小ユニットを備えた前記画像形成装置である、請求項2に記載の画像形成制御装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記第1対象装置と前記第2対象装置それぞれの前記特定ユニットの前記寿命情報が同時に前記上限値に到達するように前記実行装置を決定する、請求項2~4のいずれかに記載の画像形成制御装置。
【請求項6】
複数の前記画像形成装置それぞれは、複数種類の前記特定ユニットを備え、
複数の前記画像形成装置のうち基準装置が備える複数種類の前記特定ユニットのうち基準ユニットを決定する基準決定部と、
前記基準装置とは別の前記画像形成装置が備える複数種類の前記特定ユニットのうち前記基準ユニットと種類が異なり、前記基準ユニットの前記寿命情報から所定の範囲内の前記寿命情報を有する置換ユニットを決定する置換対象決定部と、
前記置換ユニットを前記基準装置が備える同一種類の前記特定ユニットと交換することを決定する交換決定部と、を備えた、請求項1に記載の画像形成制御装置。
【請求項7】
前記特定ユニットは、現像ユニット、感光体ユニット、転写ユニット、2次転写ユニット、定着ユニットおよび記録媒体を搬送するローラの少なくとも1つである、請求項1に記載の画像形成制御装置。
【請求項8】
複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させる画像形成制御装置で実行される画像形成制御方法であって、
複数の前記画像形成装置それぞれから前記画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関して前記メーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得ステップと、
複数の前記画像形成装置にそれぞれ対応する複数の前記寿命情報に基づいて、複数の前記画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定ステップと、を含む画像形成制御方法。
【請求項9】
複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させるコンピューターで実行される画像形成制御プログラムであって、
複数の前記画像形成装置それぞれから前記画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関して前記メーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得ステップと、
複数の前記画像形成装置にそれぞれ対応する複数の前記寿命情報に基づいて、複数の前記画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定ステップと、を前記コンピューターに実行させる画像形成制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成制御装置、画像形成制御方法および画像形成制御プログラムに関し、特に、複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させる画像形成制御装置、その画像形成制御装置で実行される画像形成制御方法およびその画像形成制御方法をコンピューターに実行させる画像形成制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、画像を形成する際に消耗品が用いられ、この消耗品を効率的に交換できることが望まれる。例えば、特開2020-134641号公報には、ユーザーの使用形態によって消耗の程度に違いが生じる可能性がある複数種の消耗品がそれぞれ別々に交換可能に設置された機器と、前記複数種の消耗品のそれぞれについて容量の異なる数種類のものがリスト化されて、そのリスト化されたもののなかから発送指令をおこなう消耗品発送装置と、前記機器における前記複数種の消耗品のそれぞれの消耗の程度に関する情報を、前記機器から前記消耗品発送装置に向けて送信する通信手段と、を備え、前記消耗品発送装置は、前記通信手段によって送信される前記情報に基づいて、前記複数種の消耗品のうち少なくとも2つの消耗品の交換時期が略一致して発送指令を同時におこなえるように、前記リスト化された容量の異なる数種類のもののなかから最適な容量の組み合わせを決定することを特徴とする消耗品発送システムが記載されている。
【0003】
消耗品には、それを交換するために特別な技能が要求される消耗品と、特別な技能が不要で容易に交換可能な消耗品と、がある。一般的には、交換するために特別な技能が要求される消耗品は、画像形成装置のメーカーから派遣されたサービスマンにより交換される。このため、サービスマンが派遣されるまでに時間が費やされることがあり、また、サービスマンが交換作業するサービスに対する人件費が要求される場合がある。このため、このような消耗品は、サービスマンの訪問時に、同時に複数が交換されるとコストを削減することができる。しかしながら、消耗品の寿命は、統一されていない場合が多く、同時に寿命が到来することはまれである。このため、サービスマンが訪問する回数が増加し、訪問の都度費用が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-134641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的の1つは、複数の画像形成装置それぞれの部品交換の時期を揃えることが可能な画像形成制御装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的の1つは、複数の画像形成装置それぞれの部品交換の時期を揃えることが可能な画像形成制御方法を提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的の1つは、複数の画像形成装置それぞれの部品交換の時期を揃えることが可能な画像形成制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面によれば、画像形成制御装置は、複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させる画像形成制御装置であって、複数の画像形成装置それぞれから画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関してメーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得部と、複数の画像形成装置にそれぞれ対応する複数の寿命情報に基づいて、複数の画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定部と、を備える。
【0009】
この発明の他の局面によれば、画像形成制御方法は、複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させる画像形成制御装置で実行される画像形成制御方法であって、複数の画像形成装置それぞれから画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関してメーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得ステップと、複数の画像形成装置にそれぞれ対応する複数の寿命情報に基づいて、複数の画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定ステップと、を含む。
【0010】
この発明のさらに他の局面によれば、画像形成制御プログラムは、複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させるコンピューターで実行される画像形成制御プログラムであって、複数の画像形成装置それぞれから画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関してメーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得ステップと、複数の画像形成装置にそれぞれ対応する複数の寿命情報に基づいて、複数の画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定ステップと、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態の1つにおける画像形成システムの全体概要の一例を示す図である。
図2】本実施の形態における画像形成制御装置のハードウェア構成の概要の一例を示すブロック図である。
図3】MFPの内部構成の一例を模式的に示す断面図である。
図4】画像形成制御装置が備えるCPUが有する機能の一例を示す図である。
図5】特定ユニット情報テーブルの一例を示す第1の図である。
図6】特定ユニット情報テーブルの一例を示す第2の図である。
図7】画像形成制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】交換決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態における画像形成システムについて図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける画像形成システムの全体概要の一例を示す図である。図1を参照して、画像形成システム1は、画像形成制御装置100と、複合機(Multi Function Peripheral)200,200A,200Bと、を含む。画像形成制御装置100は、一般的なパーソナルコンピューター(PC)である。MFP200,200A,200Bは、画像形成装置の一例である。なお、ここでは、画像形成システム1が、3台のMFP200,200A,200Bを備える例を示すが、画像形成装置の台数を限定するものではない。画像形成装置は、2台以上であればよい。
【0014】
ネットワーク3に、画像形成制御装置100、MFP200,200A,200Bが接続される。ネットワーク3は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。このため、画像形成制御装置100は、MFP200,200A,200Bと、ネットワーク3を介して通信可能である。ネットワーク3は、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。また、ネットワーク3は、インターネットに接続される。このため、PC200は、インターネットに接続された他のコンピューターと、ネットワーク3およびインターネットを介した通信が可能である。
【0015】
MFP200,200A,200Bは、画像形成の対象となる印刷対象データと印刷条件とを含むジョブを実行することにより、印刷対象データの画像を印刷条件に従って用紙等の記録媒体に形成する画像形成機能を有する。
【0016】
本実施の形態における画像形成システム1において、画像形成制御装置100は、MFP200,200A,200Bそれぞれを制御して、MFP200,200A,200Bのいずれかにジョブを実行させる。
【0017】
図2は、本実施の形態における画像形成制御装置のハードウェア構成の概要の一例を示すブロック図である。図2を参照して、画像形成制御装置100は、中央演算装置(CPU)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ハードディスクドライブ(HDD)104と、通信部105と、情報を表示する表示部106と、操作部107と、外部記憶装置110と、を含む。CPU101は、画像形成制御装置100の全体を制御する。RAM103は、揮発性の記憶装置であり、CPU101の作業領域として用いられる。HDD104は、不揮発性の記憶装置であり、大容量記憶装置として機能する。通信部105は、CPU101をネットワーク3への接続のための通信インターフェースである。操作部107は、ユーザーにより入力される操作を受け付ける。
【0018】
表示部106は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD等の表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部107は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。
【0019】
HDD104は、CPU101が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。CPU101は、HDD104に記憶されたプログラムを、RAM103にロードして実行する。なお、HDD104は、不揮発性の記憶装置であればよい。HDD104に変えて、SSD(Solid State Drive)が用いられてもよい。
【0020】
外部記憶装置110は、CD-ROM111が装着可能である。CPU101は、外部記憶装置110を介してCD-ROM111にアクセス可能である。CPU101は、外部記憶装置110に装着されたCD-ROM111に記憶されたプログラムを、RAM103にロードして実行することが可能である。
【0021】
CPU101が実行するプログラムとして、HDD104またはCD-ROM111に記憶されたプログラムについて説明したが、プログラムはこれらに限定されない。CPU101が実行するプログラムは、ネットワーク3に接続された他のコンピューターが、HDD104に記憶されたプログラムを書換えたプログラムであってもよい。また、CPU101が実行するプログラムは、他のコンピューターが、HDD104に追加して書き込んだ新たなプログラムであってもよい。さらに、CPU101が実行するプログラムは、画像形成制御装置100が、ネットワーク3に接続された他のコンピューターからダウンロードしたプログラムでもよい。ここでいうプログラムは、CPU101が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0022】
なお、CPU101が実行するプログラムを記憶する媒体としては、CD-ROM111に限られず、光ディスクまたは半導体メモリであってもよい。光ディスクは、MO(Magnetic Optical disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc)を含む。半導体メモリは、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)を含む。
【0023】
MFP200,200A,200Bは、基本的に同一の構成および機能を有する。ここでは、MFP200を例にその構成および機能を説明する。
【0024】
図3は、MFPの内部構成の一例を模式的に示す断面図である。図3を参照して、MFP200は、原稿を読み取る原稿読取部203と、原稿を原稿読取部203に搬送する自動原稿搬送装置202と、画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部204と、画像形成部204に用紙を供給する給紙部205と、を含む。
【0025】
画像形成部204は、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kと、転写ユニット40と、2次転写ユニット26と、定着ユニット32と、を含む。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックにそれぞれ対応する。ここで、“Y”、“M”、“C”および“K”は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを表す。
【0026】
画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの少なくとも1つが動作することにより、転写ユニット40に画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてが動作すると、転写ユニット40にフルカラーの画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kには、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの印字用データがそれぞれ入力される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、取り扱うトナーの色彩が異なるのみなので、ここでは、イエローの画像を形成するための画像形成ユニット20Yについて説明する。
【0027】
画像形成ユニット20Yは、帯電ローラ21Y、露光装置22Y、現像ユニット23Y、1次転写ローラ24Yと、像担持体である感光体ユニット25Yと、トナーボトル41Yと、を含む。トナーボトル41Yは、イエローのトナーを収容する。トナーボトル41Yは、トナーボトルモーターを駆動源として回転し、現像剤を外部に排出する。トナーボトル41Yから排出されたトナーは、現像ユニット23Yに供給される。
【0028】
感光体ユニット25Yは、円筒形状のドラムであり、回転対称軸周りに回転可能である。感光体ユニット25Yの週辺に、帯電ローラ21Y、露光装置22Y、現像ユニット23Y、1次転写ローラ24Yが、感光体ユニット25Yの回転方向に沿って順に配置される。
【0029】
感光体ユニット25Yは、その表面が帯電ローラ21Yによって帯電された後、露光装置22Yが発光するレーザー光が照射される。露光装置22Yは、感光体ユニット25Yの表面の画像対応部を露光して静電潜像を形成する。これにより、感光体ユニット25Yに静電潜像が形成される。続いて、現像ユニット23Yが、感光体ユニット25Yに形成された静電潜像をトナーで現像する。具体的には、感光体ユニット25Yに形成された静電潜像上に現像ユニット23Yが有する現像ローラが保持するトナーが電界力の作用で載せられることにより、トナー像が感光体ユニット25Yに形成される。感光体ユニット25Y上に形成されたトナー像は、像担持体である転写ベルト30上に1次転写ローラ24Yにより電界力の作用で転写される。
【0030】
転写ユニット40は、転写ベルト30と、駆動ローラ33と、従動ローラ34と、を有する。転写ベルト30は、駆動ローラ33と従動ローラ34とにより弛まないように懸架されている。駆動ローラ33が図中で時計回りに回転すると、転写ベルト30が所定の速度で図中時計回りに回転する。転写ベルト30の回転に伴って、従動ローラ34が、時計回りに回転する。これにより、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kが、この順に転写ベルト30上にトナー像を転写する。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kそれぞれが、転写ベルト30上にトナー像を転写するタイミングは、転写ベルト30に付された基準マークを検出することにより、調整される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が転写ベルト30上に重畳される。
【0031】
MFP200は、フルカラーの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてを動作させる。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が転写ベルト30上に重畳される。MFP200は、モノクロの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのいずれか1つを動作させる。また、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの2以上を組み合わせて画像を形成することもできる。
【0032】
給紙部205は、給紙カセット35,35Aを含む。給紙カセット35,35Aには、それぞれサイズの異なる用紙がセットされている。給紙カセット35,35Aそれぞれに収容された用紙は、給紙カセット35,35Aにそれぞれ取り付けられている取出ローラ36,36Aにより、搬送経路へ供給され、給紙ローラ37によりタイミングローラ31へ送られる。
【0033】
タイミングローラ31は、給紙ローラ37により搬送される用紙を転写ベルト30と転写部材である2次転写ユニット26との間のニップ部に搬送する。2次転写ユニット26は、ニップ部において電界を発生させる。このニップ部において電界力の作用により、タイミングローラ31により搬送される用紙に、転写ベルト30に形成されたトナー像が用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着ユニット32に搬送され、定着ユニット32により加熱および加圧される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は排紙トレイ207に排出される。
【0034】
MFP200が有する現像ユニット23Y、感光体ユニット25Y、転写ユニット40、2次転写ユニット26および定着ユニット32は、ユーザーによる交換が、MFP200のメーカーにより予め禁止されている特定ユニットである。
【0035】
特定ユニットは、稼働回数の上限値が定められている。この上限値は、MFP200を製造するメーカーにより特定ユニットの仕様として定められている。特定ユニットに対して定められる上限値は、メーカーが定めた基準以上の画質で画像を形成することができる値を示し、メーカーにより定められる。
【0036】
また、特定ユニットは、それを交換する作業に特別な技能が必要とされる。例えば、外部からアクセスすることが困難な位置に配置され、他の部材を外さなければアクセスできない部品である場合がある。また、特定ユニットは、取り換え後に位置決めなどの特別な作業が必要とされる部品である。このため、特定ユニットは、交換作業に熟練を積んだサービスマンがメーカーから派遣されて、そのサービスマンにより交換される。
【0037】
図4は、画像形成制御装置が備えるCPUが有する機能の一例を示す図である。図4に示される機能は、画像形成制御装置100が備えるCPU101が、ROM102、HDD104またはCD-ROM111に記憶された画像形成制御プログラムを実行することにより、CPU101で実現される機能である。図4を参照して、CPU101は、寿命情報取得部51と、使用履歴情報取得部52と、第1決定部53と、第2決定部55と、を含む。
【0038】
使用履歴情報取得部52は、通信部105を制御して、MFP200,200A,200Bそれぞれから複数種類の特定ユニットそれぞれの使用履歴情報を取得する。使用履歴情報取得部52は、使用履歴情報を寿命情報取得部51に出力する。使用履歴情報は、特定ユニットが稼働した回数である。特定ユニットの稼働は、画像形成部204が1枚の用紙に画像を形成する動作である。したがって、稼働回数は、画像形成部204が画像を形成した用紙の枚数である。MFP200は、特定ユニットが最後に交換されてから画像を形成するごとに稼働回数をカウントアップし、その累積回数を使用履歴情報として記憶する。MFP200,200A,200Bそれぞれは、複数種類の特定ユニットを有する。このため、使用履歴情報取得部52は、MFP200,200A,200Bそれぞれから複数種類の特定ユニットそれぞれの使用履歴情報を取得する。
【0039】
寿命情報取得部51は、使用履歴情報取得部52から使用履歴情報が入力される。寿命情報取得部51は、特定ユニットの使用履歴情報に基づいて、その特定ユニットの寿命情報を取得する。寿命情報取得部51は、MFP200,200A,200Bそれぞれが備える複数種類の特定ユニットそれぞれの寿命情報を取得する。寿命情報取得部51は、複数の特定ユニットそれぞれの寿命情報を第1決定部53に出力する。寿命情報は、特定ユニットに対して定められた上限値と使用履歴情報との差である。換言すれば、寿命情報は、その特定ユニットを交換するまでに稼働することが可能な値を示す。
【0040】
第1決定部53は、MFP200,200A,200Bにそれぞれ対応する複数の寿命情報に基づいて、MFP200,200A,200Bのうちから画像を形成させる実行装置を決定する。第1決定部53は、印刷ジョブが生成された時点で、実行装置を決定する。印刷ジョブは、画像形成制御装置100を操作するユーザーが印刷対象データと印刷条件とを指定することにより画像形成制御装置100により生成される。画像形成制御装置100には、MFP200,200A,200Bそれぞれを制御するプリンタードライバープログラムがインストールされている。CPU101がプリンタードライバープログラムを実行するタスクが、印刷ジョブを生成する。印刷ジョブは、印刷条件の1つに画像を形成する用紙の枚数を含む。
【0041】
第1決定部53は、MFP200,200A,200Bのうち第1対象装置とその第1対象装置と所定の関係にある第2対象装置とのいずれかを実行装置に決定する。第1決定部53は、第1対象装置と第2対象装置それぞれの特定ユニットの使用履歴情報が上限値に同時に到来するように実行装置を決定する。第1決定部53は、特定部61と、第1対象装置決定部63と、第2対象装置決定部65と、実行装置決定部67と、を含む。
【0042】
特定部61は、MFP200,200A,200Bごとに、その装置が備える複数種類の特定ユニットのうちで寿命情報が最小の特定ユニットを最小ユニットに決定する。特定部61は、MFP200,200A,200Bそれぞれに対する最小ユニットを第1対象装置決定部63および第2対象装置決定部65に出力する。
【0043】
第1対象装置決定部63は、MFP200,200A,200Bのうちから第1対象装置を決定する。第1対象装置決定部63は、複数の最小ユニットのうち寿命情報が最小の最小ユニットを対象ユニットに決定する。第1対象装置決定部63は、MFP200,200A,200Bのうち対象ユニットを備える装置を第1対象装置に決定する。
【0044】
第2対象装置決定部65は、MFP200,200A,200Bのうち第1対象装置と所定の関係にある装置を第2対象装置に決定する。所定の関係は、予め定められた関係である。第2対象装置決定部65は、同一ユニット決定部71と、異種ユニット決定部73と、を含む。
【0045】
同一ユニット決定部71は、MFP200,200A,200Bのうち、対象ユニットと同一種類の最小ユニットを備えた装置を第2対象装置に決定する。
【0046】
異種ユニット決定部73は、MFP200,200A,200Bのうち、対象ユニットと異なる種類の最小ユニットであって寿命情報が対象ユニットの次に小さい最小ユニットを備えた装置を、第2対象装置に決定する。
【0047】
実行装置決定部67は、第1対象装置と第2対象装置とのいずれか一方を実行装置に決定する。実行装置決定部67は、第1対象装置と第2対象装置それぞれの最小ユニットの寿命情報が揃うように実行装置を決定する。例えば、第1対象装置と第2対象装置それぞれの最小ユニットの使用履歴情報が上限値に所定の期間に達するように実行装置を決定する。実行装置決定部67は、印刷ジョブを実行させる装置を実行装置に決定する。また、実行装置決定部67は、実行装置を、画像形成制御装置100を操作するユーザーに通知してもよい。例えば、画像形成制御装置100は、実行装置によるプリントを推奨するメッセージを表示部106に表示する。ユーザーは、メッセージを見て、印刷ジョブを実行させる装置に実行装置を指定することができる。
【0048】
第2決定部55は、基準装置決定部81と、置換対象決定部83と、交換決定部85と、交換通知部87と、を含む。基準装置決定部81は、MFP200,200A,200Bのうちから1つを基準装置に決定する。基準装置決定部81は、MFP200,200A,200Bのうちで、寿命情報が最小の最小ユニットを備えた装置を基準装置に決定する。なお、基準装置決定部81は、MFP200,200A,200Bのうちから任意に選択された装置を基準装置に決定してもよい。基準装置決定部81は、基準装置が備える複数種類の特定ユニットのうちで、寿命情報が最小の特定ユニットを基準ユニットに決定する。
【0049】
置換対象決定部83は、MFP200,200A,200Bのうち基準装置を除く複数の装置それぞれが有する複数種類の特定ユニットのうちから置換ユニットを決定する。置換ユニットは、基準ユニットと種類が異なりかつ基準ユニットの寿命情報から所定の範囲内の寿命情報を有する特定ユニットである。置換ユニットは、複数が決定される場合がある。
【0050】
置換対象決定部83は、基準装置が備える複数種類の特定ユニットのうちで置換ユニットと同じ種類の特定ユニットを、置換ユニットと交換することに決定する。
【0051】
交換通知部87は、基準装置と置換ユニットとをユーザーに通知する。交換通知部87は、基準装置と、置換ユニットそれぞれを識別する交換通知情報を、表示部106に表示する。また、交換通知部87は、交換通知情報を含む電子メールを生成し、電子メールをサービスマンに送信してもよい。電子メールを受け取るサービスマンは、次にMFP200,200A,200Bのいずれかを整備するために訪問する際に、基準装置が備える複数種類の特定ユニットのいずれかを、置換ユニットと交換する作業を行うことができる。基準装置が備える複数種類の特定ユニットが置換ユニットと交換された後は、基準ユニットと置換ユニットとの寿命情報が所定の範囲内なので、複数種類の特定ユニットそれぞれの寿命情報が揃えられる。このため、印刷ジョブを実行するごとに、同じ量だけ寿命情報が減少するので、寿命が到来する時期を揃えることができる。
【0052】
図5は、特定ユニット情報テーブルの一例を示す第1の図である。図5を参照して、特定ユニット情報テーブルは、MFP200が備える現像ユニット23Y,23M,23C,23K、感光体ユニット25Y,25M,25C,25K、転写ユニット40、2次転写ユニット26、定着ユニット32それぞれの寿命情報が示される。特定ユニット情報テーブルは、特定ユニット情報レコードを含む。特定ユニット情報レコードは、特定ユニットの項目と、ライフ仕様の項目と、装置の項目と、を含む。装置の項目は、マシンAの項目と、マシンBの項目と、マシンCの項目とを含む。マシンAの項目はMFP200に対応し、マシンBの項目はMFP200Aに対応し、マシンCの項目はMFP200Bに対応する。
【0053】
特定ユニットの項目には、特定ユニットを識別する名称が設定される。現像ユニット23Y,23M,23C,23Kの名称は、それぞれ現像ユニットY、現像ユニットM、現像ユニットCおよび現像ユニットKである。感光体ユニット25Y,25M,25C,25Kの名称は、感光体ユニットY、感光体ユニットM、感光体ユニットCおよび感光体ユニットKである。転写ユニット40の名称は中間転写ユニットである。2次転写ユニット26の名称は2次転写ユニットである。定着ユニット32の名称は定着ユニットである。
【0054】
ライフ仕様の項目には、特定ユニットに対して定められた使用回数の上限値が設定される。特定ユニット情報レコードは、それぞれの特定ユニットに対して、MFP200,200A,200Bそれぞれの使用回数の上限値と使用履歴情報が設定される。
【0055】
例えば、特定ユニットの項目に現像ユニットYが設定された特定ユニット情報レコードは、使用回数の上限値が800k(p)であることが示される。また、MFP200が備える現像ユニット23Yの使用履歴情報が120k(p)、MFP200Aが備える現像ユニット23Yの使用履歴情報が500k(p)、MFP200Bが備える現像ユニット23Yの使用履歴情報が750k(p)であることが示される。ここで、単位pは画像を形成した用紙の枚数を示す。1kpは、1000枚の用紙に画像を形成したことを示す。また、この特定ユニット情報レコードは、MFP200が備える現像ユニット23Yの寿命情報が680k(p)であることが示される。また、MFP200Aが備える現像ユニット23Yの寿命情報が300k(p)、MFP200Bが備える現像ユニット23Yの使用履歴情報が50k(p)であることが示される。
【0056】
名称がマシンAのMFP200が備える最小ユニットは、寿命情報が最小の20kpである感光体ユニット25Y,25M,25Cである。名称がマシンBのMFP200Aが備える最小ユニットは、寿命情報が最小の100kpである感光体ユニット25Y,25M,25C、25Kである。名称がマシンCのMFP200Bが備える最小ユニットは、寿命情報が最小の20kpである感光体ユニット25Kである。
【0057】
この場合、対象ユニットは、MFP200が備える感光体ユニット25Y,25M,25CおよびMFP200Bが備える感光体ユニット25Kのいずれか1つである。ここでは、MFP200Bが備える感光体ユニット25Kが対象ユニットに決定される場合を例に説明する。この場合、MFP200Bが第1対象装置に決定される。そして、対象ユニットであるMFP200Bが備える感光体ユニット25Kと、同一種類の最小ユニットである感光体ユニット25Y,25M,25Cを備えたMFP200が第2対象装置に決定される。
【0058】
また、MFP200を基準装置とし、MFP200の感光体ユニット25Yを基準ユニットに決定する場合、MFP200Bの感光体ユニット25Kが置換ユニットに決定される。この場合、MFP200の感光体ユニット25Kが、MFP200Bの感光体ユニット25Kと交換される。交換後に、MFP200の感光体ユニット25Y,25M,25C,25Kそれぞれの使用回数が180k(p)に揃えられる。このため、MFP200において、感光体ユニット25Y,25M,25C,25Kを同時に交換することができる。一方、MFP200Bの感光体ユニット25Y,25M,25C,25Kそれぞれの使用回数が50k(p)に揃えられる。このため、MFP200Bにおいて、感光体ユニット25Y,25M,25C,25Kを同時に交換することができる。
【0059】
図6は、特定ユニット情報テーブルの一例を示す第2の図である。図5に示した特定ユニット情報テーブルと、使用履歴情報が異なる。図6を参照して、名称がマシンAのMFP200が備える最小ユニットは、寿命情報が最小の80kpである感光体ユニット25Y,25M,25Cである。名称がマシンBのMFP200Aが備える最小ユニットは、寿命情報が最小の20kpである定着ユニット32である。名称がマシンCのMFP200Bが備える最小ユニットは、寿命情報が最小の50kpである現像ユニット23Y,23M,23Cである。
【0060】
この場合、対象ユニットは、MFP200Aが備える定着ユニット32である。そして、MFP200Aが第1対象装置に決定される。また、寿命情報がMFP200Aが備える定着ユニット32の次に小さい最小ユニットは、MFP200Bが備える現像ユニット23Y,23M,23Cである。このため、MFP200Bが第2対象装置に決定される。
【0061】
また、MFP200Aを基準装置とし、MFP200Aの定着ユニット32が基準ユニットに決定される場合、MFP200Bの現像ユニット23Y,23M,23Cが置換ユニットに決定される。この場合、MFP200Aの現像ユニット23Y,23M,23Cと、MFP200Bの現像ユニット23Y,23M,23Cとが交換される。交換後に、MFP200Aの定着ユニット32の寿命情報が20k(p)で現像ユニット23Y,23M,23Cの寿命情報が50k(p)でその差が所定の範囲内である。定着ユニット32を、ライフ仕様として定められる上限値を所定回数まで超えても画質に与える影響は小さい。このため、MFP200Aの定着ユニット32と現像ユニット23Y,23M,23Cとを同時に交換することができる。
【0062】
図7は、画像形成制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像形成制御処理は、画像形成制御装置100が備えるCPU101が、ROM102、HDD104またはCD-ROM111に記憶された画像形成制御プログラムを実行することにより、CPU101により実行される処理である。図7を参照して、CPU101は、印刷ジョブを受け付ける(ステップS01)。CPU101は、印刷ジョブを受け付けるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、印刷ジョブを受け付けたならば(ステップS01でYES)、処理をステップS02に進める。CPU101は、MFP200,200A,200Bそれぞれを制御するプリンタードライバープログラムを実行するタスクが、印刷ジョブを生成したか否かを判断する。印刷ジョブは、印刷条件の1つに画像を形成する用紙の枚数を含む。なお、画像形成制御プログラムは、MFP200,200A,200Bそれぞれを制御するプリンタードライバープログラムの一部であってもよい。
【0063】
ステップS02においては、寿命情報が取得され、処理はステップS03に進む。CPU101は、通信部105を制御して、MFP200,200A,200Bそれぞれから複数種類の特定ユニットそれぞれの使用履歴情報を取得する。そして、CPU101は、複数の特定ユニットそれぞれについて、予め定められた上限値と、使用履歴情報との差分を寿命情報として算出する。
【0064】
ステップS03においては、MFP200,200A,200Bのうちから処理対象とする装置が選択され、処理はステップS04に進む。ここでは、MFP200が選択される場合を例に説明する。ステップS04においては、最小ユニットが決定され、処理はステップS05に進む。CPU101は、処理対象に選択されたMFP200が備える複数種類の特定ユニットのうちで寿命情報が最小の特定ユニットを最小ユニットに決定する。複数種類の特定ユニットは、現像ユニット23Y、感光体ユニット25Y、転写ユニット40、2次転写ユニット26および定着ユニット32である。
【0065】
ステップS05においては、MFP200,200A,200Bのうちに処理対象に選択されていない装置が存在するか否かが判断される。未選択の装置が存在するならば処理はステップS03に戻るが、存在しなければ処理はステップS06に進む。
【0066】
ステップS06においては、対象ユニットが決定され、処理はステップS07に進む。CPU101は、MFP200,200A,200Bと同じ数の3つの最小ユニットのうち寿命情報が最小の最小ユニットを対象ユニットに決定する。ステップS07においては、第1対象装置が決定され、処理はステップS08に進む。対象ユニットを備える装置が第1対象ユニットに決定される。
【0067】
ステップS08においては、対象ユニットと同一種類の最小ユニットが存在するか否かが判断される。そのような最小ユニットが存在するならば処理はステップS09に進むが、そうでななければ処理はステップS10に進む。
【0068】
ステップS09においては、対象ユニットと同一種類の最小ユニットを有する装置が特定され、処理はステップS10に進む。ステップS10においては、ステップS09において特定された装置が第2対象装置に決定され、処理はステップS12に進む。使用履歴情報テーブルが図5に示す例において、ステップS06において、MFP200Bが備える感光体ユニット25Kが対象ユニットに決定され、ステップS07においてMFP200Bが第1対象装置に決定される。そして、ステップS09において、MFP200が備える感光体ユニット25Y,25M,25Cが存在することが判断され、処理はステップS10に進む。そして、ステップS10においてMFP200が第2対象装置に決定される。
【0069】
ステップS10においては、寿命情報が2番目以降に小さい最小ユニットを有する装置が決定され、処理はステップS11に進む。ただし、対象ユニットの寿命情報との差が所定の範囲以内であることが条件となる。CPU101は、寿命情報が2番目以降に小さい最小ユニットの寿命情報と対象ユニットの寿命情報との差が所定の範囲を超える場合は、処理を終了する。使用履歴情報テーブルが図6に示す例において、ステップS06において、MFP200Aが備える定着ユニット32が対象ユニットに決定され、ステップS07においてMFP200Aが第1対象装置に決定される。そして、ステップS10において、MFP200Bが備える現像ユニット23Y,23M,23Cが存在することが判断され、処理はステップS10に進む。そして、ステップS10においてMFP200Bが第2対象装置に決定される。
【0070】
ステップS11においては、実行装置が決定および通知され、処理はステップS12に進む。ステップS07において決定された第1対象装置と、ステップS11において決定された第2対象装置とのいずれか一方が実行装置に決定される。そして、実行装置による印刷ジョブの実行を推奨するメッセージが表示部106に表示される。画像形成制御装置100を操作するユーザーは、印刷ジョブを実行させる装置を、実行装置に設定することができる。
【0071】
ステップS14において、CPU101は、実行指示を受け付け、処理をステップS15に進める。ユーザーが操作部107に入力する実行指示を受け付ける。ステップS15においては、CPU101は、実行指示に従って印刷ジョブを送信し、処理を終了する。実行指示により特定される装置に、印刷ジョブが送信される。ユーザーが印刷ジョブを実行させる装置として実行装置を指定する実行指示を入力する場合は、印刷ジョブが実行装置に送信される。この場合は、第1対象装置と第2対象装置とで、特定ユニットの使用履歴情報がほぼ同じ時期に上限値に到達するようにできる。
【0072】
図8は、交換決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。交換決定処理は、画像形成制御装置100が備えるCPU101が、ROM102、HDD104またはCD-ROM111に記憶された画像形成制御プログラムを実行することにより、CPU101により実行される処理である。図8を参照して、CPU101は、基準装置を決定し(ステップS21)、処理をステップS22に進める。CPU101は、MFP200,200A,200Bのうち任意の1つを基準装置に決定する。MFP200,200A,200Bのうちで、寿命情報が最小の最小ユニットを備えた装置が基準装置に決定されてもよい。ステップS22においては、CPU101は、基準ユニットを決定し、処理をステップS23に進める。基準装置が備える複数種類の特定ユニットのうちで、寿命情報が最小の特定ユニットが基準ユニットに決定される。
【0073】
ステップS23においては、MFP200,200A,200Bのうちから処理対象とする装置が選択され、処理はステップS24に進む。ここでは、MFP200が選択される場合を例に説明する。ステップS24においては、基準ユニットと別の種類の特定ユニットが選択され、処理はステップS25に進む。ステップS25においては、選択された特定ユニットの寿命情報と基準ユニットの寿命情報との差が所定の範囲内か否かが判断される。CPU101は、寿命情報の差が所定の範囲内ならば処理をステップS26に進めるが、そうでなければステップS26をスキップして、処理をステップS27に進める。ステップS26においては、ステップS24において選択された特定ユニットが置換ユニットに決定され、処理はステップS27に進む。
【0074】
ステップS27においては、MFP200が備える複数種類の特定ユニットのうちに処理対象に選択されていない特定ユニットが存在するか否かが判断される。未選択の特定ユニットが存在するならば処理はステップS24に戻るが、存在しなければ処理はステップS28に進む。
【0075】
ステップS28においては、MFP200,200A,200Bのうちに処理対象に選択されていない装置が存在するか否かが判断される。未選択の装置が存在するならば処理はステップS23に戻るが、存在しなければ処理はステップS29に進む。
【0076】
ステップS29においては、同一種類の置換ユニットが複数か否かが判断される。CPU101は、同一種類の置換ユニットが複数ならば処理をステップS30に進める、そうでなければステップS30をスキップして処理をステップS31に進める。ステップS30においては、同一種類の複数の置換ユニットのうちから基準ユニットと寿命情報が最も近い1つが選択され、処理はステップS31に進む。
【0077】
ステップS31においては、置換ユニットと基準装置が備える特定ユニットとを交換することを決定し、処理をステップS32に進める。ステップS32においては、基準装置と置換ユニットとがユーザーに通知され、処理は終了する。CPU101は、基準装置と、置換ユニットそれぞれを識別する交換通知情報を、表示部106に表示する。また、CPU101は、交換通知情報を含む電子メールを生成し、電子メールをサービスマンに送信してもよい。電子メールを受け取るサービスマンは、次にMFP200,200A,200Bのいずれかを整備するために訪問する際に、基準装置が備える複数種類の特定ユニットのいずれかを、置換ユニットと交換する作業を行うことができる。基準装置が備える複数種類の特定ユニットが置換ユニットと交換された後は、基準ユニットと置換ユニットとの寿命情報が所定の範囲内なので、複数種類の特定ユニットそれぞれの寿命情報が揃えられる。このため、基準装置で印刷ジョブが実行されるごとに基準ユニットと置換ユニットとで同じ量だけ寿命情報が減少するので、寿命が到来する時期を揃えることができる。
【0078】
<変形例>
上述した実施の形態においては、特定ユニットの使用履歴情報を稼働回数とし、寿命情報を特定ユニットを交換するまでに稼働することのできる回数とする例が説明された。特定ユニットによっては、稼働回数とは異なる単位で上限値が定められる場合がある。例えば、使用することのできる期間に上限が設けられる場合がある。この種類の特定ユニットに関して、MFP200は、その特定ユニットが交換されてから画像形成部204が稼働している期間を計測し、計測した累積時間を使用履歴情報として記憶する。使用履歴情報を稼働期間とする場合、上限値の単位は時間である。また、寿命情報の単位も時間である。
【0079】
また、上述した実施の形態においては、特定ユニットの一例として、MFP200が有する現像ユニット23Y、感光体ユニット25Y、転写ユニット40、2次転写ユニット26および定着ユニット32とした。特定ユニットは、これに限られず、ユーザーによる交換が、MFP200のメーカーにより予め禁止されている部品であればよい。例えば、特定ユニットは、タイミングローラ31など、用紙を搬送するローラーであってもよい。
【0080】
<実施の形態の総括>
(項1) 複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させる画像形成制御装置であって、
複数の前記画像形成装置それぞれから前記画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関して前記メーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得部と、
複数の前記画像形成装置にそれぞれ対応する複数の前記寿命情報に基づいて、複数の前記画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定部と、を備えた画像形成制御装置。
【0081】
この局面に従えば、複数の画像形成装置にそれぞれ対応する複数の寿命情報に基づいて、複数の画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置が決定される。このため、複数の画像形成装置のうち少なくとも2つそれぞれの特定ユニットの寿命情報を揃えることができる。その結果、複数の画像形成装置それぞれの部品交換の時期を揃えることが可能な画像形成制御装置を提供することができる。
【0082】
(項2) 前記決定部は、複数の前記画像形成装置のうちで、前記寿命情報が最小の前記特定ユニットである対象ユニットを備える第1対象装置と前記第1対象装置と所定の関係にある第2対象装置とのいずれかを前記実行装置に決定する、項1に記載の画像形成制御装置。
【0083】
この局面に従えば、複数の画像形成装置のうちで、寿命情報が最小の特定ユニットである対象ユニットを備える第1対象装置とその第1対象装置と所定の関係にある第2対象装置とのいずれかが実行装置に決定される。このため、第1対象装置と第2対象装置とで特定ユニットの寿命を揃えることができる。
【0084】
(項3) 複数の前記画像形成装置それぞれは、複数種類の前記特定ユニットを備え、
複数の前記画像形成装置それぞれにおいて、複数種類の前記特定ユニットのうちで前記寿命情報が最小の最小ユニットを特定する特定部をさらに備え、
前記第2対象装置は、前記対象ユニットと同一種類の前記最小ユニットを備えた前記画像形成装置である、項2に記載の画像形成制御装置。
【0085】
この局面に従えば、第2対象装置が、第1対象装置の対象ユニットと同一種類の最小ユニットを備える。このため、第1対象装置と第2対象装置とで、同一種類の特定ユニットの寿命情報を揃えることができる。
【0086】
(項4) 複数の前記画像形成装置それぞれは、複数種類の前記特定ユニットを備え、
複数の前記画像形成装置それぞれにおいて、複数種類の前記特定ユニットのうちで前記寿命情報が最小の最小ユニットを特定する特定部をさらに備え、
前記第2対象装置は、前記寿命情報が前記対象ユニットの次に小さい前記最小ユニットを備えた前記画像形成装置である、項2に記載の画像形成制御装置。
【0087】
この局面に従えば、第2対象装置が、寿命情報が第1対象装置の対象ユニットの次に小さい最小ユニットを備える。このため、第1対象装置と第2対象装置とで、異なる種類の特定ユニットの寿命情報を揃えることができる。
【0088】
(項5) 前記決定部は、前記第1対象装置と前記第2対象装置それぞれの前記特定ユニットの前記寿命情報が同時に前記上限値に到達するように前記実行装置を決定する、項2~4のいずれかに記載の画像形成制御装置。
【0089】
この局面に従えば、第1対象装置と第2対象装置それぞれの特定ユニットの寿命が同時に到来するように実行装置が決定される。このため、第1対象装置と第2対象装置それぞれの特定ユニットを同時に交換することができる。
【0090】
(項6) 複数の前記画像形成装置それぞれは、複数種類の前記特定ユニットを備え、
複数の前記画像形成装置のうち基準装置が備える複数の種類の前記特定ユニットのうち基準ユニットを決定する基準装置決定部と、
前記基準装置とは別の前記画像形成装置が備える複数種類の前記特定ユニットのうち前記基準ユニットと種類が異なり、前記基準ユニットの前記寿命情報から所定の範囲内の前記寿命情報を有する置換ユニットを決定する置換対象決定部と、
前記置換ユニットを前記基準装置が備える同一種類の前記特定ユニットと交換することを決定する交換決定部と、を備えた、項1に記載の画像形成制御装置。
【0091】
この局面に従えば、基準装置が備える複数種類の特定ユニットのうち基準ユニットが決定され、基準装置とは別の画像形成装置が備える複数種類の特定ユニットのうち基準ユニットと種類が異なり、基準ユニットの寿命情報から所定の範囲内の寿命情報を有する置換ユニットが決定され、置換ユニットが基準装置が備える同一種類の特定ユニットと交換することが決定される。このため、基準装置が備える複数種類の特定ユニットの寿命情報を揃えることができる。
【0092】
(項7) 前記特定ユニットは、現像ユニット、感光体ユニット、転写ユニット、2次転写ユニット、定着ユニットおよび記録媒体を搬送するローラの少なくとも1つである、項1に記載の画像形成制御装置。
【0093】
(項8) 複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させる画像形成制御装置で実行される画像形成制御方法であって、
複数の前記画像形成装置それぞれから前記画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関して前記メーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得ステップと、
複数の前記画像形成装置にそれぞれ対応する複数の前記寿命情報に基づいて、複数の前記画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定ステップと、を含む画像形成制御方法。
【0094】
この局面に従えば、複数の画像形成装置それぞれの部品交換の時期を揃えることが可能な画像形成制御方法を提供することができる。
【0095】
(項9) 複数の画像形成装置のいずれかに画像を形成させるコンピューターで実行される画像形成制御プログラムであって、
複数の前記画像形成装置それぞれから前記画像形成装置が備える複数のユニットのうちユーザーによる交換がメーカーにより予め禁止されている特定ユニットの稼働に関して前記メーカーにより予め定められた上限値までの残りの値を示す寿命情報を取得する寿命情報取得ステップと、
複数の前記画像形成装置にそれぞれ対応する複数の前記寿命情報に基づいて、複数の前記画像形成装置のうちから画像を形成させる実行装置を決定する決定ステップと、を前記コンピューターに実行させる画像形成制御プログラム。
【0096】
この局面に従えば、複数の画像形成装置それぞれの部品交換の時期を揃えることが可能な画像形成制御プログラムを提供することができる。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成システム、3 ネットワーク、100 画像形成制御装置、101 CPU、102 ROM、103 RAM、104 HDD、105 通信部、106 表示部、107 操作部、110 外部記憶装置、111 CD-ROM、200,200A,200B MFP、202 自動原稿搬送装置、203 原稿読取部、204 画像形成部、205 給紙部、207 排紙トレイ、20Y,20M,20C,20K 画像形成ユニット、21Y 帯電ローラ、22Y 露光装置、23Y,23M,23C,23K 現像ユニット、24Y 1次転写ローラ、25Y,25M,25C,25K 感光体ユニット、40 転写ユニット、26 2次転写ユニット、30 転写ベルト、31 タイミングローラ、32 定着ユニット、33 駆動ローラ、34 従動ローラ、35,35A 給紙カセット、41Y,41M,41C,41K トナーボトル、51 寿命情報取得部、52 使用履歴情報取得部、53 第1決定部、55 第2決定部、61 特定部、63 第1対象装置決定部、65 第2対象装置決定部、67 実行装置決定部、71 同一ユニット決定部、73 異種ユニット決定部、81 基準装置決定部、83 置換対象決定部、85 交換決定部、87 交換通知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8