(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152891
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】連携制御装置、連携制御方法、連携制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F  11/46        20180101AFI20251002BHJP        
   F24F  11/65        20180101ALI20251002BHJP        
   F24F   7/007       20060101ALI20251002BHJP        
【FI】
F24F11/46 
F24F11/65 
F24F7/007 B 
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055065
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東  忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東  忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大堂  維大
(72)【発明者】
【氏名】高橋  隆
(72)【発明者】
【氏名】鶴薗  祥太
(72)【発明者】
【氏名】中山  浩
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BE07
3L260AB15
3L260BA12
3L260BA41
3L260CA50
3L260CB53
3L260CB78
3L260EA07
3L260FA02
3L260FA15
3L260FB02
3L260FC03
(57)【要約】
【課題】簡易な処理で消費電力を低減させる連携制御装置、連携制御方法、連携制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】空気調和機と、前記空気調和機よりも定格能力が低く、且つ、前記空気調和機よりもエネルギー消費効率が高い換気装置と、を連携させる制御部を有し、前記制御部は、換気負荷と室内負荷との和である空調負荷が、前記換気装置が発揮し得る第一の空調能力よりも小さい場合に、前記空気調和機の運転の停止と前記換気装置の運転を指令し、前記空調負荷が、前記第一の空調能力よりも大きく、且つ、前記空気調和機が発揮し得る第二の空調能力の所定割合である空調能力よりも小さい場合に、前記換気装置の運転の停止と前記空気調和機の運転を指令する、連携制御装置である。
【選択図】
図3
 
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  空気調和機と、前記空気調和機よりも定格能力が低く、且つ、前記空気調和機よりもエネルギー消費効率が高い換気装置と、を連携させる制御部を有し、
  前記制御部は、
  換気負荷と室内負荷との和である空調負荷が、前記換気装置が発揮し得る第一の空調能力よりも小さい場合に、前記空気調和機の運転の停止と前記換気装置の運転を指令し、前記空調負荷が、前記第一の空調能力よりも大きく、且つ、前記空気調和機が発揮し得る第二の空調能力の所定割合である空調能力よりも小さい場合に、前記換気装置の運転の停止と前記空気調和機の運転を指令する、連携制御装置。
【請求項2】
  前記制御部は、
  前記空調負荷が、前記第二の空調能力の所定割合である空調能力よりも大きく、且つ、前記第二の空調能力の所定割合の空調能力と前記第一の空調能力との和よりも小さい場合に、
  前記空気調和機に対し、前記第二の空調能力の所定割合の空調能力以下となる空調能力を発揮させる運転を指令し、
  前記換気装置に対し、前記空調負荷と、前記第二の空調能力の所定割合の空調能力との差分となる空調能力を発揮させる運転を指令する、請求項1記載の連携制御装置。
【請求項3】
  前記制御部は、
  前記空調負荷が、前記第二の空調能力の所定割合の空調能力と、前記第一の空調能力との和よりも大きい場合に、
  前記換気装置に対し、前記第一の空調能力を発揮させる運転を指令し、
  前記空気調和機に対し、前記空調負荷と、前記第一の空調能力との差分となる空調能力を発揮させる運転を指令する、請求項2記載の連携制御装置。
【請求項4】
  前記制御部は、
  前記空調負荷と、前記第一の空調能力及び前記第二の空調能力との比較結果に応じた、前記空気調和機及び前記換気装置の運転パターンが記憶されており、
  推定された前記空調負荷と、前記第一の空調能力及び前記第二の空調能力との比較結果から、前記空気調和機及び前記換気装置の運転パターンを特定し、特定された運転パターンにしたがって、前記空気調和機及び前記換気装置に運転を指令する、請求項1記載の連携制御装置。
【請求項5】
  前記第二の空調能力の所定割合の空調能力は、
  前記空気調和機の消費電力と前記空気調和機が発揮する空調能力との関係において、前記空気調和機が発揮する空調能力の変動に対応した前記空気調和機の消費電力の変動が抑制される傾向となる空調能力である、請求項1又は2記載の連携制御装置。
【請求項6】
  前記連携制御装置は、前記空気調和機又は前記換気装置に搭載される、請求項1又は2記載の連携制御装置。
【請求項7】
  空気調和機と、前記空気調和機よりも定格能力が小さく、且つ、前記空気調和機よりもエネルギー消費効率が高い換気装置と、を連携させる制御部が、
  換気負荷と室内負荷との和である空調負荷が前記換気装置が発揮し得る第一の空調能力よりも小さい場合に、前記空気調和機の運転の停止と前記換気装置の運転を指令し、前記空調負荷が前記第一の空調能力よりも大きく、且つ、前記空気調和機が発揮し得る第二の空調能力の所定割合の空調能力よりも小さい場合に、前記換気装置の運転の停止と前記空気調和機の運転を指令する、連携制御方法。
【請求項8】
  空気調和機と、前記空気調和機よりも定格能力が小さく、且つ、前記空気調和機よりもエネルギー消費効率が高い換気装置と、を連携させる制御部に、
  換気負荷と室内負荷との和である空調負荷が前記換気装置が発揮し得る第一の空調能力よりも小さい場合に、前記空気調和機の運転の停止と前記換気装置の運転を指令し、前記空調負荷が前記第一の空調能力よりも大きく、且つ、前記空気調和機が発揮し得る第二の空調能力の所定割合の空調能力よりも小さい場合に、前記換気装置の運転の停止と前記空気調和機の運転を指令する処理を実行させる、連携制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本開示は、連携制御装置、連携制御方法、連携制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
  従来から、空気調和装置と外気処理装置とを備える空調システムにおいて、空調システムで要求される空調能力と等しくなるという条件下で、空気調和装置が発揮すべき空調能力と、外気処理装置が発揮すべき空調能力とを、空気調和装置の消費エネルギーと外気処理装置の消費エネルギーの和が最小となるように決定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  上述した従来の技術では、空気調和装置における空調能力と消費エネルギーの関係を示す運転特性データと、外気処理装置における空調能力と消費エネルギーの関係を示す運転特性データと用いて最適解を求め、空気調和装置が発揮すべき空調能力と、外気処理装置が発揮すべき空調能力とを決定している。このため、上述した従来の技術では、空気調和装置と外気処理装置を制御する制御装置の処理負荷が大きい。
【0005】
  本開示は、簡易な処理で消費電力を低減させる連携制御装置、連携制御方法、連携制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
  本開示の第1の態様による連携制御装置は、
  空気調和機と、前記空気調和機よりも定格能力が低く、且つ、前記空気調和機よりもエネルギー消費効率が高い換気装置と、を連携させる制御部を有し、
  前記制御部は、
  換気負荷と室内負荷との和である空調負荷が、前記換気装置が発揮し得る第一の空調能力よりも小さい場合に、前記空気調和機の運転の停止と前記換気装置の運転を指令し、前記空調負荷が、前記第一の空調能力よりも大きく、且つ、前記空気調和機が発揮し得る第二の空調能力の所定割合である空調能力よりも小さい場合に、前記換気装置の運転の停止と前記空気調和機の運転を指令する、連携制御装置である。
【0007】
  本開示の第1の態様によれば、簡易な処理で換気装置と空気調和機を含む連携制御システムの消費電力を削減できる。
【0008】
  本開示の第2の態様は、第1の態様に記載の連携制御装置であって、
  前記制御部は、
  前記空調負荷が、前記第二の空調能力の所定割合である空調能力よりも大きく、且つ、前記第二の空調能力の所定割合の空調能力と前記第一の空調能力との和よりも小さい場合に、
  前記空気調和機に対し、前記第二の空調能力の所定割合の空調能力以下となる空調能力を発揮させる運転を指令し、
  前記換気装置に対し、前記空調負荷と、前記第二の空調能力の所定割合の空調能力との差分となる空調能力を発揮させる運転を指令する、連携制御装置である。
【0009】
  本開示の第2の態様によれば、空気調和機の消費電力の増大を抑制できる。
【0010】
  本開示の第3の態様は、第2の態様に記載の連携制御装置であって、
  前記制御部は、
  前記空調負荷が、前記第二の空調能力の所定割合の空調能力と、前記第一の空調能力との和よりも大きい場合に、
  前記換気装置に対し、前記第一の空調能力を発揮させる運転を指令し、
  前記空気調和機に対し、前記空調負荷と、前記第一の空調能力との差分となる空調能力を発揮させる運転を指令する、連携制御装置である。
【0011】
  本開示の第3の態様によれば、空気調和機に発揮させる空調能力を抑制でき、空気調和機の消費電力の増大を抑制できる。
【0012】
  本開示の第4の態様は、第1の態様に記載の連携制御装置であって、
  前記制御部は、
  前記空調負荷と、前記第一の空調能力及び前記第二の空調能力との比較結果に応じた、前記空気調和機及び前記換気装置の運転パターンが記憶されており、
  推定された前記空調負荷と、前記第一の空調能力及び前記第二の空調能力との比較結果から、前記空気調和機及び前記換気装置の運転パターンを特定し、特定された運転パターンにしたがって、前記空気調和機及び前記換気装置に運転を指令する、連携制御装置である。
【0013】
  本開示の第4の態様によれば、制御部の処理負荷を軽減することができ、制御部を簡素な構成とすることができる。
【0014】
  本開示の第5の態様は、第1又は第2の態様に記載の連携制御装置であって、
  前記第二の空調能力の所定割合の空調能力は、
  前記空気調和機の消費電力と前記空気調和機が発揮する空調能力との関係において、前記空気調和機が発揮する空調能力の変動に対応した前記空気調和機の消費電力の変動が抑制される傾向となる空調能力である。
【0015】
  本開示の第6の態様は、第1又は第2の態様に記載の連携制御装置であって、
  前記連携制御装置は、前記空気調和機又は前記換気装置に搭載される。
【0016】
  本開示の第6の態様によれば、換気装置と空気調和機を含む連携制御システムの構成を簡素化できる。
【0017】
  本開示の第7の態様による連携制御方法は、
  空気調和機と、前記空気調和機よりも定格能力が小さく、且つ、前記空気調和機よりもエネルギー消費効率が高い換気装置と、を連携させる制御部が、
  換気負荷と室内負荷との和である空調負荷が前記換気装置が発揮し得る第一の空調能力よりも小さい場合に、前記空気調和機の運転の停止と前記換気装置の運転を指令し、前記空調負荷が前記第一の空調能力よりも大きく、且つ、前記空気調和機が発揮し得る第二の空調能力の所定割合の空調能力よりも小さい場合に、前記換気装置の運転の停止と前記空気調和機の運転を指令する、連携制御方法である。
【0018】
  本開示の第7の態様によれば、換気装置と空気調和機を含む連携制御システムの消費電力を削減できる。
【0019】
  本開示の第8の態様による連携制御プログラムは、
空気調和機と、前記空気調和機よりも定格能力が小さく、且つ、前記空気調和機よりもエネルギー消費効率が高い換気装置と、を連携させる制御部に、
  換気負荷と室内負荷との和である空調負荷が前記換気装置が発揮し得る第一の空調能力よりも小さい場合に、前記空気調和機の運転の停止と前記換気装置の運転を指令し、前記空調負荷が前記第一の空調能力よりも大きく、且つ、前記空気調和機が発揮し得る第二の空調能力の所定割合の空調能力よりも小さい場合に、前記換気装置の運転の停止と前記空気調和機の運転を指令する処理を実行させる、連携制御プログラムである。
【0020】
  本開示の第8の態様によれば、換気装置と空気調和機を含む連携制御システムの消費電力を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
            【
図1】第一の実施形態の連携制御システムの一例を示す図である。
 
            【
図2】第一の実施形態の換気装置と空気調和機の消費電力と空調能力との相関について説明する図である。
 
            
            
            【
図5】連携制御装置の動作を説明するフローチャートである。
 
            
            【
図7】第二の実施形態の連携制御システムについて説明する図である。
 
            【
図8】第二の実施形態の換気装置と空気調和機の消費電力と空調能力との相関について説明する図である。
 
            【
図9】第二の実施形態の運転パターン情報の一例を示す図である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0022】
  (第一の実施形態)
  以下に、図面を参照して、第一の実施形態について説明する。
図1は、第一の実施形態の連携制御システムの一例を示す図である。
 
【0023】
  本実施形態の連携制御システム1は、屋内空間の空調を行うために換気装置100、空気調和機200、及び連携制御装置300を備えている。
【0024】
  本実施形態においては、屋内空間の一例として、居室空間R11と、天井裏空間R12と、を有する例について説明するが、屋内空間は、居室空間R11及び天井裏空間R12に制限されるものではなく、建築物の内部の空間であればよく、例えば、床下空間を有してもよい。また、居室空間R11は、例えば、オフィスや住宅の内部の居室である。天井裏空間R12は、居室空間R11の上方に隣接している空間である。
【0025】
  換気装置100は、空気調和機200よりも定格能力が低く、且つ、空気調和機200よりもエネルギー消費効率が高い。本実施形態の換気装置100は、排気ユニット10と、給気ユニット20と、圧縮機ユニット50と、冷媒回路F1、F2、F3、F4と、給気流路P1と、還気流路P2と、を備える。
【0026】
  換気装置100は、取り込んだ屋外の空気を居室空間R11に給気すると共に、屋内空間(居室空間R11を含む)から取り込んだ空気を屋外に排気する装置である。これにより、換気装置100は、居室空間R11の空気の入れ替えを実現している。
【0027】
  さらに、本実施形態に係る換気装置100は、排気ユニット10と、給気ユニット20との間で熱を交換することで、屋外から取り込まれた空気の温度と、居室空間R11の温度と、の間の温度差を抑制している。
【0028】
  給気流路P1は、屋外から取り入れた空気を、第1熱交換器22を有する給気ユニット20を通した後に、給気口92から居室空間R11に給気するための流路である。本実施形態は給気口92を天井に設けた例について説明するが、給気口92を設ける位置を特に制限するものではない。
【0029】
  還気流路P2は、居室空間R11の排気口91から取り入れた空気(還気)を、第2熱交換器12を有する排気ユニット10を通した後に、屋外に排気するための流路である。本実施形態は排気口91を天井に設けた例について説明するが、排気口91を設ける位置を特に制限するものではない。
【0030】
  冷媒回路F1、F2、F3、F4は、圧縮機ユニット50、給気ユニット20の第1熱交換器22、及び排気ユニット10の第2熱交換器12を、冷媒配管によって接続し、内部に冷媒を流す回路である。
【0031】
  圧縮機ユニット50の制御部52、給気ユニット20の制御部23、及び排気ユニット10の制御部13の間は、
図1において点線で示した信号線S1で接続されている。これにより、圧縮機ユニット50の制御部52、給気ユニット20の制御部23、及び排気ユニット10の制御部13の間で、情報の送受信が可能となる。
 
【0032】
  圧縮機ユニット50は、駆動用モータ51と、制御部52と、を備え、冷媒回路F1、F2、F3、F4のうちいずれか一つの冷媒を圧縮することで、冷媒回路F1、F2、F3、F4内の冷媒を循環させる制御を行う。例えば、排気ユニット10内の第2熱交換器12が蒸発器として機能する場合、圧縮機ユニット50は、冷媒回路F2内の冷媒を圧縮することで、冷媒回路F1、F2、F3、F4内の冷媒を循環させる。
【0033】
  駆動用モータ51は、冷媒を圧縮するための圧縮機を回転(駆動)させるためのモータである。
【0034】
  制御部52は、圧縮機ユニット50内の構成を制御する。例えば、制御部52は、駆動用モータ51に対して、圧縮機を回転(駆動)させるための指令を出力する。
【0035】
  また、圧縮機ユニット50の制御部52は、給気ユニット20の制御部23、排気ユニット10の制御部13から受信した換気装置100の状況を連携制御装置300に送信する。これにより、連携制御装置300は、換気装置100の状況に応じた制御を実現できる。また、連携制御装置300は、制御部52は、連携制御装置300からの制御信号に応じて様々な制御を行う。
【0036】
  給気ユニット20は、建屋壁の外気導入口から室内給気吹出口間の天井に配置し、排気ユニット10は、室内排気吸込口~建屋壁の外気排気口間の天井に配置する。これにより、敷設ダクトを短くして、圧損を低減できる。
【0037】
  空気調和機200は、室外機70と、空調室内機81とを含む。空気調和機200は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行い、居室空間R11の冷房や暖房を行う装置である。本実施形態に係る空気調和機200は、居室空間R11の冷房及び暖房の両方が可能な装置である。しかしながら、本実施形態は、冷房及び暖房の両方が可能な空調機に制限するものではなく、例えば冷房のみ可能な装置であってもよい。
【0038】
  室外機70と、2台の空調室内機81と、の間は、連絡配管F5によって接続されている。連絡配管F5は、(図示しない)液冷媒連絡配管及びガス冷媒連絡配管を含むものである。これにより、室外機70と、空調室内機81と、の間を冷媒が循環する冷媒回路が実現される。当該冷媒回路内を冷媒が循環すると、空気調和機200において蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。
【0039】
  室外機70は、屋外に配置される。そして、室外機70は、(図示しない)熱交換器と共に制御部71を備え、当該熱交換器を流れる冷媒と熱交換した空気を屋外に排出する。
【0040】
  制御部71は、空気調和機200全体の制御を行う。また、制御部71は、連携制御装置300と間で情報を送受信する。そして、制御部71は、連携制御装置300からの制御信号に応じて様々な制御を行う。
【0041】
  空調室内機81は、熱交換器(第3熱交換器の例)を備え、居室空間R11の空気を吸気して熱交換器を流れる冷媒と熱交換した空気を居室空間R11に吹き出す。本実施形態では、空調室内機81は、居室空間R11の天井に設置される天井設置式である。特に、本実施形態の空調室内機81は、天井埋込式の空調室内機であって、排気口93から熱交換した空気が吹き出される。本実施形態では、排気口93を天井に設ける例について説明するが、排気口93を設ける位置を特に制限するものではない。なお、空調室内機81は、天井埋込式に限定されるものではなく、天井吊下式であってもよい。また、空調室内機81は、壁掛式や床置式等の天井設置式以外であってもよい。
【0042】
  また、本実施形態では、空調室内機81は、居室空間R11内に存在する人を検知する人検知センサを有していてもよい。また、人検知センサは、居室空間R11内に設置されていてもよい。
【0043】
  換気装置100において、給気ユニット20は、ファン21と、第1熱交換器22と、制御部23と、温度検出部24と、を備え、外気(OA)を取り込み、居室空間R11に給気(SA)する。ファン21は、取り込んだ外気(OA)を、居室空間R11に給気(SA)するために機能する。第1熱交換器22は、凝縮器又は蒸発器として機能する。温度検出部24は、第1熱交換器22の表面温度と、第1熱交換器22を流れる冷媒の温度と、を検出する。
【0044】
  さらに、温度検出部24は、屋外からの空気の吸込口近傍に設けられた(図示しない)センサ部を介して、屋外の温度及び湿度を検出してもよい。また、温度検出部24は、給気口92近傍に設けられた(図示しない)センサ部を介して、居室空間R11内の空気の温度及び湿度を検出してもよい。
【0045】
  制御部23は、給気ユニット20内部の構成を制御する。制御部23は、温度検出部24による検出結果に応じて様々な制御を行う。例えば、制御部23は、温度検出部24の検出結果に応じて、第1熱交換器22の凝縮器又は蒸発器としての機能を調整する。
【0046】
  また、制御部23は、給気ユニット20内の温度検出部24等による検知結果を、圧縮機ユニット50の制御部52に送信する。圧縮機ユニット50の制御部52は、検知結果を連携制御装置300に送信してもよいし、検知結果に基づいて認識された現在の状況を連携制御装置300に送信してもよい。
【0047】
  排気ユニット10は、ファン11と、第2熱交換器12と、制御部13と、温度検出部14と、を備え、居室空間R11の還気(RA)を取り込み、屋外に排気(EA)する。
【0048】
  ファン11は、居室空間R11から取り込んだ還気(RA)を、屋外に排気(EA)するために機能する。第2熱交換器12は、凝縮器又は蒸発器として機能する。温度検出部14は、屋外の気温と、第2熱交換器12の表面温度と、第2熱交換器12を流れる冷媒の温度と、を検出する。さらに、温度検出部14は、排気口91近傍に設けられた(図示しない)センサ部を介して、居室空間R11内の空気の温度及び湿度を検出してもよい。
【0049】
  制御部13は、排気ユニット10内部の構成を制御する。制御部13は、温度検出部14による検出結果に応じて様々な制御を行う。例えば、制御部13は、温度検出部14の検出結果に応じて、第2熱交換器12の凝縮器又は蒸発器としての機能を調整する。
【0050】
  制御部13は、排気ユニット10内の温度検出部14等による検知結果を、圧縮機ユニット50の制御部52に送信する。圧縮機ユニット50の制御部52は、検知結果を連携制御装置300に送信してもよいし、検知結果に基づいて認識された現在の状況を連携制御装置300に送信してもよい。
【0051】
  連携制御装置300は、制御部310と、記憶部320と、を備え、換気装置100の運転と、空気調和機200の運転と、を連携させるために様々な制御を行う。
【0052】
  記憶部320は、換気装置能力情報321と、空調機能力情報322と、運転パターン情報323と、負荷対応付け情報324と、室内環境情報325を記憶する。記憶部320は、例えば、情報の読み書き可能な不揮発性の記憶媒体である。
【0053】
  換気装置能力情報321は、換気装置100の定格能力を示す情報であり、空調機能力情報322は、空気調和機200の定格能力を示す情報である。換気装置100の定格能力とは、予め換気装置100毎に決められた空調能力であり、換気装置100が発揮し得る第一の空調能力の一例である。また、空気調和機200の定格能力とは、予め空気調和機200毎に決められた空調能力であり空気調和機200が発揮し得る第二の空調能力の一例である。本実施形態では、換気装置能力情報321が示す定格能力は、空調機能力情報322が示す定格能力よりも小さい。
【0054】
  運転パターン情報323は、換気装置100の定格能力及び空気調和機200の定格能力と、居室空間R11の空調負荷とを比較した比較結果に基づいた、換気装置100と空気調和機200の運転パターンを示す情報である。運転パターン情報323が示す運転パターンは、連携制御システム1における消費電力を削減するための運転パターンである。なお、本実施形態の空調負荷とは、居室空間R11の換気負荷と室内負荷の合計である。
【0055】
  負荷対応付け情報324は、居室空間R11の換気負荷と室内負荷のそれぞれの大きさを示す負荷レベルと、運転パターンとを対応付けた情報である。より具体的には、負荷対応付け情報324は、換気負荷の負荷レベルと、室内負荷の負荷レベルとの組み合わせと、換気装置100と空気調和機200の運転パターンとを対応付けた情報である。
【0056】
  なお、負荷対応付け情報324は、換気負荷と室内負荷のそれぞれの負荷レベルを判定するための判定条件を含む。
【0057】
  室内環境情報325は、居室空間R11内の環境を示す情報である。具体的には、室内環境情報325は、換気装置100の有する温度検出部24等によって検出された屋外の温度及び湿度、居室空間R11内の空気の温度及び湿度を含む。
【0058】
  また、室内環境情報325は、居室空間R11内の熱源に関する情報を含む。熱源に関する情報は、空調室内機81や居室空間R11内に設けられた人検知センサにより検知された人数を含む。また、熱源に関する情報は、例えば居室空間R11が飲食店の店内である場合には、厨房機器の数等を含んでよい。本実施形態の室内環境情報325は、予め制御部310に対して入力された情報と、温度検出部24や人検知センサ等のセンサによって検出された値とを含んでよい。
【0059】
  本実施形態の制御部310は、負荷対応付け情報324に含まれる判定条件と、室内環境情報325とを参照して、居室空間R11の換気負荷と室内負荷を推定する。
【0060】
  具体的には、制御部310は、負荷対応付け情報324に含まれる判定条件と室内環境情報325とに基づき換気負荷の負荷レベルを判定し、判定された負荷レベルを換気負荷と見なす。また、制御部310は、負荷対応付け情報324に含まれる判定条件と室内環境情報325とに基づき室内負荷の負荷レベルを判定し、判定された負荷レベルを室内負荷と見なす。また、制御部310は、換気負荷の負荷レベルと、室内負荷の負荷レベルとの組み合わせを、換気負荷と室内負荷の和である空調負荷と見なす。
【0061】
  本実施形態の制御部310は、換気負荷の負荷レベルと室内負荷の負荷レベルとを判定すると、負荷対応付け情報324と運転パターン情報323とから、換気負荷の負荷レベルと室内負荷の負荷レベルの組み合わせと対応付けられた運転パターンを選定する。そして、制御部310は、選定された運転パターンに応じて、換気装置100と空気調和機200のそれぞれに対して運転を指令する。
【0062】
  本実施形態では、このように、運転パターン情報323と負荷対応付け情報324とを予め用意しておくことで、居室空間R11の空調負荷を算出するための演算や、運転パターンを決定するための演算が不要となり、制御部310の処理の負荷が軽減される。
【0063】
  なお、
図1に示す連携制御システム1では、連携制御装置300が換気装置100と空気調和機200の外部に設けられるものとしたが、これに限定されない。連携制御装置300は、換気装置100又は空気調和機200の内部に設けられていてもよい。言い換えれば、換気装置100又は空気調和機200は、連携制御装置300を搭載してもよい。
 
【0064】
  このように、連携制御装置300を換気装置100または空気調和機200に搭載することで、連携制御システム1の構成を簡素化できる。
【0065】
  ここで、
図2を参照して、本実施形態の換気装置100と空気調和機200のそれぞれにおける、消費電力と空調能力との相関について説明する。
 
【0066】
  図2は、第一の実施形態の換気装置と空気調和機の消費電力と空調能力との相関について説明する図である。
 
【0067】
  図2では、縦軸が消費電力、横軸が空調能力を示す。また、
図2に示す点線L1は、換気装置100の消費電力と、換気装置100の空調能力との関係を示す。また、
図2に示す実線L2は、空気調和機200の消費電力と、空気調和機200の空調能力との関係を示す。
 
【0068】
  図2で示すように、換気装置100は、空気調和機200と比べて空調能力も消費電力も小さい。また、換気装置100における消費電力と空調能力との関係は、点線L1が示すように、空調能力が上昇するにつれて、消費電力も単調に増加する。
 
【0069】
  また、空気調和機200における消費電力と空調能力との関係は、実線L2が示すように、空調能力が所定の空調能力X1よりも小さい場合には、空調能力の変動に対して消費電力の変動は抑制された関係となる。言い換えれば、空気調和機200における消費電力と空調能力との関係は、空調能力における範囲Hにおいて、消費電力の変動が、空調能力の変動に対して抑制される。そして、空気調和機200における消費電力と空調能力との関係は、空調能力が所定の空調能力X1よりも大きくなると、空調能力の増加に応じて消費電力も単調に増加する。
【0070】
  なお、所定の空調能力X1は、空気調和機200の定格能力X2に対する所定割合の空調能力であってよい。所定割合とは、30%程度であってよい。また、空調能力における範囲Hは、空調能力の最小値から所定の空調能力X1を含む範囲である。また、所定の空調能力X1は、換気装置100の定格能力X3よりも小さくてよい。
【0071】
  また、
図2に示すように、範囲Hにおいて、換気装置100と空気調和機200とを同程度の空調能力を発揮させた場合、消費電力は、換気装置100の方が空気調和機200よりも小さくなる。
 
【0072】
  本実施形態では、これらの点に着目し、居室空間R11の空調負荷と、換気装置100及び空気調和機200の定格能力との大小関係に基づいて、連携制御システム1の消費電力を削減するための換気装置100と空気調和機200の運転パターンを予め決めておく。
【0073】
  以下に、
図3及び
図4を参照して、記憶部320に格納された運転パターン情報323と負荷対応付け情報324について説明する。
 
【0074】
  図3は、運転パターン情報の一例を示す図である。本実施形態の運転パターン情報323は、換気装置100と空気調和機200の運転パターンを示す情報である。運転パターン情報323は、情報の項目として、運転パターンID、空調負荷との大小関係、換気装置への指令、空気調和機への指令を含み、運転パターンIDと、その他の項目とが対応付けられている。
 
【0075】
  項目「運転パターンID」は、換気装置100と空気調和機200の運転パターンを特定するための識別情報である。項目「空調負荷との大小関係」の値は、空調負荷と、換気装置100及び空気調和機200との大小関係を示す。項目「換気装置への指令」の値は、連携制御装置300から換気装置100へ出力される指令を示す。項目「空気調和機への指令」の値は、連携制御装置300から空気調和機200へ出力される指令を示す。
【0076】
  運転パターンID「1」で特定される運転パターンは、空調負荷が換気装置100の定格能力以下となる場合の運転パターンである。また、運転パターンID「1」で特定される運転パターンが選定された場合、連携制御装置300の制御部310は、換気装置100に対して運転を指令し、空気調和機200に対して運転の停止を指令する。
【0077】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が換気装置100の定格能力X3以下となる場合、空気調和機200よりも消費電力の低い換気装置100のみで空調負荷を処理させることで、連携制御システム1の消費電力を削減できる。
【0078】
  運転パターンID「2」で特定される運転パターンは、空調負荷が換気装置100の定格能力より大きく、空気調和機200の定格能力の所定割合以下である場合の運転パターンである。運転パターンID「2」で特定される運転パターンが選定された場合、制御部310は、換気装置100に対して運転の停止を指令し、空気調和機200に対して運転を指令する。
【0079】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が換気装置100の定格能力X3よりも大きく、所定の空調能力X1より小さい場合は、空気調和機200のみで空調負荷を処理させることで、連携制御システム1の消費電力を削減できる。
【0080】
  運転パターンID「3」で特定される運転パターンは、空調負荷が、空気調和機200の定格能力の所定割合より大きく、換気装置100の定格能力と空気調和機200の定格能力の所定割合の和以下である場合の運転パターンである。運転パターンID「3」で特定される運転パターンが選定された場合、制御部310は、換気装置100に対して運転を指令し、空気調和機200に対して、発揮される空調能力が定格能力の所定の30%となる運転を指令する。
【0081】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が、所定の空調能力X1より大きく、且つ、換気装置100の定格能力X3と所定の空調能力X1の和以下である場合は、空気調和機200に発揮させる空調能力を所定の空調能力とし、所定の空調能力で処理できない空調負荷を、換気装置100の空調能力により処理する。本実施形態では、こうすることで、空気調和機200の消費電力の増大を抑制でき、連携制御システム1の消費電力を削減できる。
【0082】
  運転パターンID「4」で特定される運転パターンは、空調負荷が、換気装置100の定格能力と空気調和機200の定格能力の所定割合との和よりも大きい場合の運転パターンである。運転パターンID「4」で特定される運転パターンが選定された場合、制御部310は、換気装置100に対して、発揮される空調能力が定格能力となる運転を指令し、空気調和機200に対して、居室空間R11の空調負荷と、換気装置100の定格能力との差分となる空調能力を発揮させる運転を指令する。
【0083】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が、換気装置100の定格能力X3と所定の空調能力X1の和より大きい場合は、換気装置100の空調能力を定格能力X3とし、空気調和機200には、空調負荷から定格能力X3を差し引いた空調負荷のみを、空気調和機200の空調能力により処理する。本実施形態では、こうすることで、空気調和機200に発揮させる空調能力を抑制でき、空気調和機200の消費電力の増大を抑制でき、連携制御システム1の消費電力を削減できる。
【0084】
  図4は、負荷対応付け情報の一例を示す図である。本実施形態の負荷対応付け情報324は、運転パターンIDに、換気負荷の負荷レベルと室内負荷の負荷レベルとの組み合わせを対応付けた情報である。また、負荷対応付け情報324は、換気負荷の負荷レベルを判定するための判定条件と、室内負荷の負荷レベルを判定するための判定条件と、が含まれる。
 
【0085】
  ここで、本実施形態の換気負荷の判定条件について説明する。居室空間R11の換気負荷は、外気温度と室内温度との温度差で決まる。このため、本実施形態では、外気温度と室内温度との温度差を指標として換気負荷を推定する。具体的には、本実施形態では、換気負荷の負荷レベルの判定条件を、外気温度と室内温度との温度差の範囲とする。
【0086】
  図4に示す負荷対応付け情報324では、外気温度と室内温度との温度差が4℃よりも小さい場合には、換気負荷の負荷レベルが「小」と判定され、外気温度と室内温度との温度差が4℃~8℃の場合には、換気負荷の負荷レベルが「中」と判定され、外気温度と室内温度との温度差が8℃よりも大きい場合には、換気負荷の負荷レベルが「大」と判定される。
 
【0087】
  次に、本実施形態の室内負荷の判定条件について説明する。居室空間R11の室内負荷は、室内の人数によって、人由来の発熱量が増減すると考えられる。また、居室空間R11が飲食店の室内などである場合には、居室空間R11の人数に比例して、厨房機器の稼働率が増え、機器由来の発熱も増減すると考えられる。
【0088】
  このため、本実施形態では、居室空間R11内の人数を指標として室内負荷を推定する。具体的には、本実施形態では、室内負荷の負荷レベルの判定条件を、居室空間R11に存在する人の人数の範囲とする。
【0089】
  図4に示す負荷対応付け情報324では、居室空間R11の人数が20人よりも少ない場合には、室内負荷の負荷レベルが「小」と判定され、居室空間R11の人数が20人~60人の場合には、室内負荷の負荷レベルが「中」と判定され、居室空間R11の人数が60人よりも多い場合には、室内負荷の負荷レベルが「大」と判定される。
 
【0090】
  また、
図4では、換気負荷の負荷レベル「小」、且つ、室内負荷の負荷レベル「小」の場合と、運転パターンID「1」とが対応付けられている。つまり、本実施形態では、換気負荷の負荷レベル「小」、且つ、室内負荷の負荷レベル「小」の場合は、換気負荷と室内負荷の和である空調負荷が、換気装置100の定格能力以下となるものと見なす。
 
【0091】
  また、
図4では、換気負荷の負荷レベル「中」且つ室内負荷の負荷レベル「小」の場合と、運転パターンID「2」とが対応付けられている。つまり、本実施形態では、換気負荷の負荷レベル「中」、且つ、室内負荷の負荷レベル「小」の場合は、換気負荷と室内負荷の和である空調負荷が、換気装置100の定格能力より大きく、且つ、空気調和機200の定格能力の所定割合以下となるものと見なす。
 
【0092】
  また、
図4では、換気負荷の負荷レベル「中」且つ室内負荷の負荷レベル「中」の場合と、運転パターンID「3」とが対応付けられている。つまり、本実施形態では、換気負荷の負荷レベル「中」、且つ、室内負荷の負荷レベル「中」の場合は、換気負荷と室内負荷の和である空調負荷が、空気調和機200の定格能力の所定割合より大きく、換気装置100の定格能力と空気調和機200の定格能力の所定割合の和以下となるものと見なす。
 
【0093】
  また、
図4では、換気負荷の負荷レベル「大」、室内負荷の負荷レベル「大」の場合と、運転パターンID「4」とが対応付けられている。つまり、本実施形態では、換気負荷の負荷レベル「大」、且つ、室内負荷の負荷レベル「大」の場合は、空調負荷が、換気装置100の定格能力と空気調和機200の定格能力の所定割合との和よりも大きくなるものと見なす。
 
【0094】
  本実施形態では、このように、換気負荷の負荷レベルを判定するための判定条件と、室内負荷の負荷レベルを判定するための判定条件と、を予め連携制御装置300の記憶部320に格納しておく。このため、本実施形態では、連携制御装置300が、換気負荷と室内負荷を演算により求める必要がなく、処理負荷を軽減させることができる。
【0095】
  また、本実施形態では、予め、換気負荷の負荷レベル及び室内負荷の負荷レベルの組み合わせと、運転パターンIDとを対応付けて、連携制御装置300の記憶部320に格納しておく。このため、本実施形態では、居室空間R11の環境に基づき推定された空調負荷を用いて、換気装置100及び空気調和機200の定格能力との大小関係に基づいて決められた運転パターンを選択すればよい。したがって、本実施形態では、換気装置100と空気調和機200の運転パターンを演算により求める必要がなく、処理負荷を軽減させることができる。
【0096】
  次に、本実施形態の連携制御装置300の動作について説明する。
図5は、連携制御装置の動作を説明するフローチャートである。
 
【0097】
  本実施形態の連携制御装置300の制御部310は、連携制御システム1を起動させる際に、運転パターンの設定を受け付ける(ステップS501)。この運転パターンの設定は、例えば、連携制御システム1の管理者等によって入力されてよい。
【0098】
  続いて、連携制御装置300の制御部310は、換気装置100が有する温度検出部24や空気調和機200が有するセンサ部などから、外気温度と居室空間R11の温度(室内温度)とを取得する(ステップS502)。ここで取得された外気温度と室内温度は、例えば、室内環境情報325として記憶部320に格納されてよい。
【0099】
  続いて、連携制御装置300の制御部310は、負荷対応付け情報324を参照し、外気温度と室内温度との温度差に基づき換気負荷の負荷レベルを判定する(ステップS503)。
【0100】
  続いて、連携制御装置300の制御部310は、空気調和機200が有する人検知センサ等から、居室空間R11に存在する人の人数を取得する(ステップS504)。ここで取得された人数は、例えば、室内環境情報325として記憶部320に格納されてよい。
【0101】
  続いて、連携制御装置300の制御部310は、負荷対応付け情報324を参照し、居室空間R11の人数に基づき室内負荷の負荷レベルを判定する(ステップS505)。
【0102】
  続いて、連携制御装置300の制御部310は、負荷対応付け情報324を参照して、判定された換気負荷の負荷レベル及び室内負荷の負荷レベルと対応付けられた運転パターンを選定する(ステップS506)。
【0103】
  続いて、連携制御装置300の制御部310は、選定された運転パターンに従って、換気装置100と空気調和機200を制御する(ステップS507)。
【0104】
  続いて、連携制御装置300の制御部310は、居室空間R11の室温の制御に成功したか否かを判定する(ステップS508)。具体的には、制御部310は、所定の期間内に居室空間R11の室温が設定された温度となったか否かを判定してよい。
【0105】
  ステップS508において、室温が設定した温度となった場合、連携制御装置300の制御部310は、ステップS507に戻る。
【0106】
  ステップS508において、室温が設定した温度となっていない場合、制御部310は、ステップS506で選定された運転パターンによる運転が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS509)。ステップS509において、所定時間が経過していない場合、制御部310は、ステップS507に戻る。
【0107】
  なお、所定時間とは、例えば、1時間程度であってよい。このように、所定時間を設けることで、運転パターンが頻繁に変更されることを防止でき、安定した制御を行うことができる。
【0108】
  ステップS509において、所定時間が経過している場合、制御部310は、運転パターンを変更し(ステップS510)、ステップS507に戻る。
【0109】
  具体的には、制御部310は、室温が設定した温度まで下がらない場合には、運転パターンを、空調負荷が高負荷となる運転パターンに変更してもよい。また、制御部310は、室温が設定した温度よりも低い場合には、運転パターンを、空調負荷を低負荷とする運転パターンに変更してもよい。
【0110】
  なお、本実施形態では、例えば月、曜日、祝日、冷房/暖房運転等の条件の違いに対して、それぞれの運転パターン情報323と負荷対応付け情報324とが予め用意されてよい。その場合、制御部310は、条件に応じた運転パターン情報323と負荷対応付け情報324を参照すればよい。
【0111】
  また、本実施形態では、換気負荷を推定する際に、外気温度と室内温度との温度差を指標とするものとしたが、これに限定されない。
【0112】
  本実施形態では、換気負荷を推定する際に、外気温度と室内温度との温度差と、換気装置100の換気風量とを指標として換気負荷を推定してもよい。
【0113】
  連携制御システム1では、居室空間R11内の人数に合わせて、換気装置100の換気風量を増減させる場合がある。具体的には、例えば、居室空間R11内の人数が少なければ、換気装置100の換気風量モードを弱にして換気風量を減少させる。また、居室空間R11内の人数が多ければ、換気装置100の換気風量モードを強にして換気風量を増加させる。
【0114】
  このことから、換気負荷の負荷レベルの判定条件を、外気温度と室内温度との温度差の範囲及び換気風量の大きさを示す換気風量モードとの組み合わせとすることができる。
【0115】
  図6は、負荷対応付け情報の別の例を示す図である。
図6に示す負荷対応付け情報324Aにおいて、換気負荷の負荷レベルの判定条件は、外気温度と室内温度との温度差の範囲及び換気風量の大きさを示す換気風量モードとの組み合わせである。換気風量モードは、換気装置100に設定されたモードであり、連携制御装置300が換気装置100から取得することができる。換気負荷は、換気風量が小さいほど換気負荷が小さくなる。
 
【0116】
  図6の例では、外気温度と室内温度との温度差が4℃よりも小さい場合、且つ、換気風量モードが「弱」又は「中」の場合に、換気負荷の負荷レベル「小」と判定される。また、
図6の例では、外気温度と室内温度との温度差が4℃よりも小さい場合、且つ、換気風量モードが「強」の場合に、換気負荷の負荷レベル「中」と判定される。
 
【0117】
  また、
図6の例では、外気温度と室内温度との温度差が4℃~8℃の場合、且つ、換気風量モードが「弱」の場合に、換気負荷の負荷レベル「小」と判定される。また、
図6の例では、外気温度と室内温度との温度差が4℃~8℃の場合、且つ、換気風量モードが「中」の場合に、換気負荷の負荷レベル「中」と判定される。また、
図6の例では、外気温度と室内温度との温度差が4℃~8℃の場合、且つ、換気風量モードが「強」の場合に、換気負荷の負荷レベル「大」と判定される。
 
【0118】
  また、
図6の例では、外気温度と室内温度との温度差が8℃より大きい場合、且つ、換気風量モードが「弱」の場合に、換気負荷の負荷レベル「中」と判定される。また、
図6の例では、外気温度と室内温度との温度差が8℃より大きい場合、且つ、換気風量モードが「中」の場合に、換気負荷の負荷レベル「大」と判定される。また、
図6の例では、外気温度と室内温度との温度差が8℃より大きい場合、且つ、換気風量モードが「強」の場合に、換気負荷の負荷レベル「大」と判定される。
 
【0119】
  本実施形態では、このように、換気負荷の負荷レベルの判定に換気装置100の換気風量モードを用いてもよい。このようすることで、換気負荷の推定の精度を向上させることができる。
【0120】
  以上のように、本実施形態では、簡易な方法で空調負荷を推定し、推定された空調負荷に基づき、連携制御システム1の消費電力を削減するための運転パターンを選定し、運転パターンにしたがって換気装置100と空気調和機200を制御する。
【0121】
  このため、本実施形態では、空調負荷を算出する演算、連携制御システム1の消費電力を削減するための運転パターンを決定する演算等が不要となり、制御部310の処理負荷を軽減することができ、制御部310を簡素な構成とすることができる。
【0122】
  また、本実施形態では、制御部310の処理負荷が低減されるため、換気装置100と空気調和機200を制御するための高性能なサーバ装置等が不要となる。このため、本実施形態では、例えば、通信環境が整っていない地域等においても、簡単に、消費電力が小さくなるように換気装置100と空気調和機200を制御する連携制御システム1を設置することができる。
【0123】
  さらに、本実施形態では、換気装置100と空気調和機200の制御に要する設備費用やランニング費用を低減させることができる。
【0124】
  なお、本実施形態では、居室空間R11の環境に基づき居室空間R11の空調負荷を推定するものとしたが、これに限定されない。本実施形態の連携制御装置300の制御部310は、演算により算出してもよい。
【0125】
  以下に空調負荷の算出に仕方について説明する。空調負荷は下記の式(1)で得られる。
【0126】
  空調負荷[W]=換気負荷[W]+室内負荷[W]      式(1)
  換気負荷は、下記の式(2)で得られる。
【0127】
    換気負荷[W]
      =換気装置100の給気ユニット吸込と吹出空気の比エンタルピー差[J/kg]
            ×給気風量[kg/s]=(H1-H2)×Q1            式(2)
  なお、式(2)におけるH1は、換気装置100の給気ユニット20の吸込空気比エンタルピー[J/kg]であり、H2は、換気装置100の給気ユニット20の吹出空気比エンタルピー[J/kg]である。また、式(2)におけるQ1は、換気装置100の給気風量[kg/s]である。
【0128】
  室内負荷は、以下の式(3)で得られる。
【0129】
  室内負荷[W]
    =空気調和機の負荷処理量[W]+換気装置の給排気空気エンタルピー差[J/s]
                                                              式(3)
  なお、空調機の負荷処理量は、以下の式(4)から算出され、換気装置の給排気空気エンタルピー差は、以下の式(5)から算出される。
【0130】
  空調機の負荷処理量[W]
    =空気調和機の室内機の吸込と吹出空気の比エンタルピー差[J/kg]
        ×空気調和機の室内機風量[kg/s]=(H4-H5)×Q2    式(4)
  換気装置の給排気空気エンタルピー差[J/s]
    =換気装置排気ユニット吸込と給気ユニット吹出空気エンタルピー差[J/s]
    =H3×Q1′-H2×Q1        式(5)
  なお、式(4)におけるH4は、空気調和機200の空調室内機81の吸込空気エンタルピー[J/kg]であり、H5は、空気調和機200空調室内機81の吹出空気エンタルピー[J/kg]である。また、式(4)におけるQ2は、空気調和機200の室内機風量[kg/s]である。
【0131】
  また、式(5)におけるH3は、換気装置100の排気ユニット10の吸込空気比エンタルピー[J/kg]であり、Q1′は、換気装置100の排気風量[kg/s]である。
【0132】
  なお、本実施形態では、上述した方法で空調負荷を算出する場合には、換気装置100と空気調和機200の空気吸込及び吹出口に温湿度センサを設置して、測定値から空気比エンタルピーの算出を行うものとする。また、通常は、Q1とQ1′は等しいものとする。
【0133】
  本実施形態では、このようにして、空調負荷を算出した場合には、運転パターンを選定する際の負荷対応付け情報324を参照する必要がなくなる。
【0134】
  本実施形態の連携制御装置300は、空調負荷を演算により算出した場合には、換気装置能力情報321が示す換気装置100の定格能力と、空調機能力情報322が示す空気調和機200の定格能力と、算出された空調負荷とを比較し、比較結果に応じて、運転パターン情報323で決められた運転パターンを選定すればよい。
【0135】
  (第二の実施形態)
  以下に、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、居室空間に換気装置100と空気調和機200のそれぞれを複数台設置した場合を想定する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、説明を省略する。
【0136】
  図7は、第二の実施形態の連携制御システムについて説明する図である。
図7は、居室空間R21内に、換気装置100と空気調和機200とがそれぞれ2台ずつ配置された状態を示す設置平面図である。本実施形態の連携制御装置300は、2台の換気装置100と2台の空気調和機200とを制御する。
 
【0137】
  より具体的には、連携制御装置300は、記憶部320に、後述する運転パターン情報323Aが格納されている。運転パターン情報323Aは、予め決められた換気装置100と空気調和機200の運転パターンを示す情報である。より具体的には、運転パターン情報323は、換気装置100と空気調和機200のそれぞれを1台または2台で動かした場合における消費電力と空調能力との関係に基づいて、消費電力を削減するために決められた運転パターンを示す情報である。
【0138】
  以下に、
図8を参照して、換気装置100と空気調和機200のそれぞれを1台または2台で動かした場合における消費電力と空調能力との関係について説明する。
図8は、第二の実施形態の換気装置と空気調和機の消費電力と空調能力との相関について説明する図である。
 
【0139】
  図8では、縦軸が消費電力、横軸が空調能力を示す。また、
図8に示す点線L11は、2台の換気装置100を同じ出力で運転した場合の消費電力と、換気装置100の空調能力との関係を示す。また、
図8に示す実線L21は、2台の空気調和機200を同じ出力で運転した場合の消費電力と、空気調和機200の空調能力との関係を示す。
 
【0140】
  図8における定格能力X31は、2台の換気装置100が発揮し得る空調能力であり、2台分の換気装置100の定格能力を示す。また、
図8における空調能力X21は、2台の空気調和機200が発揮し得る空調能力であり、2台分の空気調和機200の定格能力を示す。
 
【0141】
  図8に示すように、2台の空気調和機200を同じ出力で運転した場合には、空気調和機200における消費電力と空調能力との関係は、空調能力における範囲H1において、消費電力の変動が、空調能力の変動に対して抑制される。この範囲H1は、空調能力の最小値から所定の空調能力X11を含む範囲であり、所定の空調能力X11は、所定の空調能力X1の2倍の空調能力である。
 
【0142】
  本実施形態では、これらの点に着目し、居室空間R21の空調負荷と、換気装置100及び空気調和機200の定格能力との大小関係に基づいて、連携制御システム1Aの消費電力を削減するための換気装置100と空気調和機200の運転パターンを予め決めておく。
【0143】
  以下に、
図9を参照して、本実施形態の運転パターン情報323Aについて説明する。
図9は、第二の実施形態の運転パターン情報の一例を示す図である。
 
【0144】
  運転パターン情報323Aにおいて、運転パターンID「1」で特定される運転パターンは、空調負荷が2台分の換気装置100の定格能力以下となる場合の運転パターンである。また、運転パターンID「1」で特定される運転パターンが選定された場合、連携制御装置300の制御部310は、2台の換気装置100に対して同じ空調能力を発揮させる運転を指令し、2台の空気調和機200に対して運転の停止を指令する。
【0145】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が2台分の換気装置100の定格能力X31以下となる場合、空気調和機200よりも消費電力の低い換気装置100のみで空調負荷を処理させるため、連携制御システム1Aの消費電力を削減できる。
【0146】
  運転パターンID「2」で特定される運転パターンは、空調負荷が、1台分の空気調和機200の定格能力の所定割合以下である場合の運転パターンである。運転パターンID「2」で特定される運転パターンが選定された場合、制御部310は、換気装置100に対して運転の停止を指令し、1台の空気調和機200に対して運転を指令する。
【0147】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が、1台分の空気調和機200の所定の空調能力X1以下である場合は、空気調和機200を1台のみで運転することで、連携制御システム1Aの消費電力を削減できる。
【0148】
  運転パターンID「3」で特定される運転パターンは、空調負荷が、2台分の換気装置100の定格能力と、1台分の空気調和機200の定格能力の所定割合との和以下である場合の運転パターンである。運転パターンID「3」で特定される運転パターンが選定された場合、制御部310は、2台の換気装置100に対して定格能力での運転を指令し、1台の空気調和機200に対して運転を指令する。このとき制御部310は、1台の空気調和機200に対して、所定の空調能力X1を発揮させる運転を指令してよい。
【0149】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が、2台分の換気装置100の定格能力X31と、所定の空調能力X1との和以下である場合には、2台の換気装置100を定格能力で運転し、2台の換気装置100で処理できない空調負荷のみを1台の空気調和機200で処理する。したがって、本実施形態では、空気調和機200の消費電力の増大を抑制でき、連携制御システム1Aの消費電力を削減できる。
【0150】
  運転パターンID「4」で特定される運転パターンは、空調負荷が、2台分の空気調和機200の定格能力の所定割合以下である場合の運転パターンである。運転パターンID「4」で特定される運転パターンが選定された場合、制御部310は、換気装置100に対して運転の停止を指令し、2台の空気調和機200に対して、同じ空調能力を発揮させる運転を指令する。
【0151】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が、所定の空調能力X11以下である場合は、2台の空気調和機200のそれぞれが発揮する空調能力が所定の空調能力X1以下となるように制御する。本実施形態では、これにより、空気調和機200の消費電力の増を抑制でき、連携制御システム1Aの消費電力を削減できる。
【0152】
  運転パターンID「5」で特定される運転パターンは、空調負荷が、2台分の換気装置100の定格能力と、2台分の空気調和機200の定格能力の所定割合との和以下である場合の運転パターンである。運転パターンID「5」で特定される運転パターンが選定された場合、制御部310は、2台の換気装置100に対して定格能力での運転を指令し、2台の空気調和機200に対して同じ空調能力を発揮させる運転を指令する。
【0153】
  つまり、本実施形態では、空調負荷が、2台分の換気装置100の定格能力X31と、2台分の空気調和機200の所定の空調能力X11との和以下である場合は、2台の換気装置100の定格能力で処理できない空調負荷を、2台の空気調和機200により処理させる。このとき、2台の空気調和機200に発揮させる空調能力が所定の空調能力X1以下となるように制御する。本実施形態では、これにより、空気調和機200の消費電力の増大を抑制でき、連携制御システム1Aの消費電力を削減できる。
【0154】
  本実施形態の連携制御装置300では、記憶部320の負荷対応付け情報324において、運転パターン情報323Aに示す各運転パターンIDが、換気負荷の負荷レベルと室内負荷の負荷レベルとの組み合わせと対応付けられていてよい。
【0155】
  本実施形態では、このように、運転パターン情報323Aを予め用意しておくことで、居室空間R21に、換気装置100と空気調和機200のそれぞれが複数台設置された場合であっても、簡易な方法で空調負荷を推定し、消費電力を削減するための運転パターンを選定することができる。しだかって、本実施形態によれば、制御部310の処理負荷を軽減することができ、制御部310を簡素な構成とすることができる。
【0156】
  以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0157】
  1、1A  連携制御システム
  100  換気装置
  200  空気調和機
  300  連携制御装置
  310  制御部
  320  記憶部