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特開2025-153002オーディオ装置、オーディオ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153002
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】オーディオ装置、オーディオ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
H04S7/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055249
(22)【出願日】2024-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】半場 道男
【テーマコード(参考)】
5D162
【Fターム(参考)】
5D162AA07
5D162BA07
5D162CB12
5D162CD14
5D162CD15
5D162EG02
(57)【要約】
【課題】同相同振幅成分の音声信号による高品質な音像を形成可能とする。
【解決手段】実施形態のオーディオ装置は、複数のスピーカから音声を出力するための処理を行うオーディオ装置であって、左チャンネルに対応する左入力音声信号及び右チャンネルに対応する右入力音声信号のそれぞれから、音像定位を形成するのに用いる相関成分を分離する第1分離部と、第1分離部で分離した音声信号から、同相同振幅成分となる音声信号成分を分離する第2分離部と、第2分離部で分離した音声信号を複数のスピーカから出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカから音声を出力するための処理を行うオーディオ装置であって、
左チャンネルに対応する左入力音声信号及び右チャンネルに対応する右入力音声信号のそれぞれから、音像定位を形成するのに用いる相関成分を分離する第1分離部と、
前記第1分離部で分離した音声信号から、同相同振幅となる音声信号成分を分離する第2分離部と、
前記第2分離部で分離した音声信号を前記複数のスピーカから出力するよう制御する出力制御部と、
を備えるオーディオ装置。
【請求項2】
前記複数のスピーカは、聴者からみたときに、聴者の左方に設置される左スピーカと、聴者の右方に設置される右スピーカと、前記左スピーカと前記右スピーカとの間に設置されるセンタスピーカと、を含み、
前記出力制御部は、
前記第2分離部で分離した音声信号を前記センタスピーカから出力するよう制御し、
前記左入力音声信号から前記第2分離部で分離した音声信号を減算した音声信号を前記左スピーカから出力するよう制御し、
前記右入力音声信号から前記第2分離部で分離した音声信号を減算した音声信号を前記右スピーカから出力するよう制御する、
ことを特徴する請求項1に記載のオーディオ装置。
【請求項3】
前記複数のスピーカは、聴者からみたときに、聴者の左方に設置される左スピーカと、聴者の右方に設置される右スピーカと、を含み、
前記出力制御部は、
前記左入力音声信号に前記第2分離部で分離した音声信号を加算した音声信号を前記左スピーカから出力するよう制御し、
前記右入力音声信号に前記第2分離部で分離した音声信号を加算した音声信号を前記右スピーカから出力するよう制御する、
請求項1に記載のオーディオ装置。
【請求項4】
複数のスピーカから音声を出力するための処理を行うオーディオ制御方法であって、
左チャンネルに対応する左入力音声信号及び右チャンネルに対応する右入力音声信号のそれぞれから、音像定位を形成するのに用いる相関成分を分離する第1ステップと、
前記第1ステップで分離した音声信号から、同相同振幅成分となる音声信号成分を分離する第2ステップと、
前記第2ステップで分離した音声信号を前記複数のスピーカから出力するよう制御するステップと、
を含むオーディオ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、オーディオ装置、オーディオ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音声を出力させる装置において、2チャンネルのステレオ信号から2チャンネル間で同相な成分を抽出する方法が知られている。例えば、2チャンネル間で相関が高い成分と相関が低い成分とを分離し、相関が高い成分を加算することにより同相成分を抽出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5065784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の相関が高い成分には、様々な重み付けされた成分が含まれるため、無相関信号出力部に誤った相関成分が加算されてしまう。そのため、スピーカから出力される音声により音像定位を実現しようとする場合、従来の音像定位技術では、正しい音像定位を再現できないため、音声の劣化や臨場感の欠如等が感じられる場合がある。
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、同相同振幅成分の音声信号による高品質な音像を形成可能なオーディオ装置、オーディオ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、複数のスピーカから音声を出力するための処理を行うオーディオ装置であって、左チャンネルに対応する左入力音声信号及び右チャンネルに対応する右入力音声信号のそれぞれから、音像定位を形成するのに用いる相関成分を分離する第1分離部と、第1分離部で分離した音声信号から、振幅のずれが所定以下かつ位相のずれが所定範囲内の同相同振幅成分となる音声信号成分を分離する第2分離部と、第2分離部で分離した音声信号を複数のスピーカから出力するように制御する出力制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る複数のスピーカの構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係るDSPの機能構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る分離部の構成の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る入力信号に含まれる成分の一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係るLch入力信号とLch目的信号との差分から独立成分及び無相関成分を分離する方法の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るRch入力信号とRch目的信号との差分から独立成分及び無相関成分を分離する方法の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る第2分離部への入力信号に含まれる成分の一例を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る第2分離部による同相同振幅成分を分離する方法の一例を示す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る出力信号に含まれる成分の一例を示す図である。
図11図11は、第1実施形態における各音声の出力場所と音像との関係の一例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態に係る複数のスピーカの構成の一例を示す図である。
図13図13は、第2実施形態に係る分離部の構成の一例を示す図である。
図14図14は、第2実施形態における各音声の出力場所と音像との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一例を適用したオーディオ装置であるDSPを搭載した第1実施形態に係る表示装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。表示装置1は、映像の表示及び音声の出力が可能な装置であり、例えばテレビ等である。ここで例示する表示装置1は、プロセッサ11、メモリ12、UI(User Interface)13、周辺回路14、通信回路15、音声デコーダ16、音声入力ADC(Analog Digital Converter)17、DSP(Digital Signal Processor)21(オーディオ装置の一例)、アンプ22及びスピーカ23、ディスプレイ31を有する。なお、テレビに接続して用いるスピーカに本発明のオーディオ装置の機能を備えてもよい。
【0010】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムに従って所定の演算処理及び制御処理を実行する。メモリ12は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の主記憶装置及びSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を含み、表示装置1の機能を実現するために必要なプログラム及び各種データを記憶する。UI13は、ユーザの操作を受け付けるユニットである。周辺回路14は、プロセッサ11の動作を補助する回路であり、例えば電源回路、発振回路、リセット回路等であり得る。
【0011】
通信回路15は、アンテナや通信ネットワーク等を介して映像信号や音声信号等を取得する回路である。音声デコーダ16は、暗号化された音声信号を復号するデバイスである。音声入力ADC17は、アナログの音声信号をデジタル信号に変換するデバイスである。
【0012】
DSP21は、通信回路15、音声デコーダ16又は音声入力ADC17から取得される音声信号に対して所定の処理を行うオーディオ装置である。DSP21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力ポート等を利用して構成され得る。本実施形態のDSP21は、表示装置1に内蔵された複数のスピーカ23から出力される音声が所定の音像定位を形成するために、複数のスピーカ23のそれぞれに対する音声の出力を最適化するための処理を行う。DSP21により処理された音声信号は、アンプ22を介して各スピーカ23に出力される。
【0013】
図2は、第1実施形態に係る複数のスピーカ23の構成の一例を示す図である。図2において、表示装置1をディスプレイ31の正面側から見たときの状態が例示されている。なお、図2では、図1に示したスピーカ23が3つである場合を例としている。
【0014】
図2に示されるように、本実施形態の表示装置1は、左スピーカ23L、右スピーカ23R、センタスピーカ23Cを備えている。左スピーカ23Lは、ディスプレイ31の下部の左側の端部付近に配置されている。右スピーカ23Rは、ディスプレイ31の下部の右側の端部付近に配置されている。センタスピーカ23Cは、ディスプレイ31の下部の中央に配置されている。すなわち、左スピーカ23L及び右スピーカ23Rの間に配置されている。または、例えば、複数のスピーカは、聴者からみたときに、聴者の左方に設置される左スピーカ23Lと、聴者の右方に設置される右スピーカ23Rと、左スピーカ23Lと右スピーカ23Rとの間に設置されるセンタスピーカ23C、によって構成されてもよい。
【0015】
なお、左スピーカ23L、右スピーカ23R、センタスピーカ23Cの配置は一例であり、上記に限定されるものではない。
【0016】
図3は、第1実施形態に係るDSP21の機能構成の一例を示す図である。本実施形態のDSP21は、第1分離部101、第2分離部102及び出力制御部103を備える。これらの機能部は、図1に示したハードウェアであるDSP21とソフトウェアとの協働により実現される。また、これらの機能部のうちの少なくとも1つが専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0017】
第1分離部101は、DSP21に入力される音声信号であるLch入力信号及びRch入力信号のそれぞれから、相関成分を分離する。具体的には、独立成分及び無相関成分を分離し、相関成分を分離する。そして、相関成分を第2分離部102へ出力する。Lch入力信号は、音声の2チャンネルのステレオ再生における左チャンネルに対応する信号であり、Rch入力信号は、当該ステレオ再生における右チャンネルに対応する信号である。入力信号は入力音声信号とも称する。
【0018】
独立成分とは、左チャンネルと右チャンネルとの間で相関がなく、左チャンネルまたは右チャンネルの一方から出力される音声信号を表す。また、ディスプレイ31(所定領域の一例)の左端部又は右端部に音像が定位される端部音声に対応する成分である。
【0019】
無相関成分とは、左チャンネルで出力される音声信号と右チャンネルで出力される音声信号との間で所定値よりも相関度がなく、音像の範囲が端部音声より広い背景音声に対応する音声信号の成分である。
【0020】
相関成分とは、左チャンネルと右チャンネルとの間で所定値以上相関度があり、左チャンネルと右チャンネルとにより出力される信号を表す。また、端部音声の音像の定位位置より内側で音像が定位される中間音声に対応する成分である。さらに、相関成分には、ディスプレイ31(所定領域の一例)の中央部に音像が定位されるセンタ音声に対応する同相同振幅成分となる音声信号成分が含まれる。同相同振幅成分は、例えば、振幅のずれが所定値以下かつ一定の範囲内に位相のずれが収まっている信号のことである。振幅のずれの所定値は、例えば、1dB以下を一例とする。
【0021】
第2分離部102は、第1分離部101によって分離される相関成分の信号が入力される。相関成分であるLch入力信号及びRch入力信号のそれぞれから同相同振幅成分CCを分離する。第1分離部101によって、相関成分が分離され、第2分離部102によって、相関成分から同相同振幅成分が分離される。これにより同相同振幅成分を分離できる。
【0022】
出力制御部103は、同相同振幅成分から生成された信号をCch出力信号としてセンタスピーカ23Cに割り当て、センタスピーカ23Cから出力するように制御する。また、DSP21に入力される音声信号であるLch入力信号及びRch入力信号のそれぞれから、同相同振幅成分から生成された信号を減算した信号をLch出力信号及びRch出力信号として左スピーカ23Lと右スピーカ23Rとに割り当て、左スピーカ23Lと右スピーカ23Rから出力するように制御する。
【0023】
図4は、第1実施形態に係る第1分離部101及び第2分離部102の構成の一例を示す図である。まず第1分離部101について説明する。ここで例示する第1分離部101は、適応フィルタ201L,201R(フィルタ部の一例)と、適応アルゴリズム211L,211R(係数更新部の一例)と、を含む。
【0024】
適応フィルタ201L,201Rは、左のLch入力信号xl(n)と右のRch入力信号xr(n)に対してそれぞれ所定の係数に基づく有限インパルス応答を適用することで出力信号ol(n),or(n)を出力する。すなわち、左チャンネルに対応するLch適応フィルタ201Lは、Lch入力信号xl(n)に対して係数に基づく有限インパルス応答を適用することでLch入力信号に含まれる出力信号ol(n)を出力する。右チャンネルに対応するRch適応フィルタ201Rは、Rch入力信号xr(n)に対して係数に基づく有限インパルス応答を適用することでRch入力信号に含まれる出力信号orを出力する。
【0025】
適応アルゴリズム211L,211Rは、適応フィルタ201L,201Rの係数を最適化するためのアルゴリズムである。適応アルゴリズム211L,211Rは、Lch入力信号xl(n)とRch入力信号xr(n)との差分に基づく目的信号xl(n)―xr(n)と、目的信号xr(n)―xl(n)と、適応フィルタ201L,201Rから出力された出力信号ol(n),or(n)と、の差分に基づくエラー信号の値el(n),er(n)が最小化されるように適応フィルタの係数を更新する。本例におけるnは、時刻に対応する。
【0026】
具体的には、左チャンネルに対応するLch適応アルゴリズム211Lは、Lch入力信号xl(n)とRch入力信号xr(n)との差分である目的信号xl(n)―xr(n)に所定の重みglを積算した値と、Lch適応フィルタ201Lから出力された出力信号ol(n)と、の差分であるエラー信号の値el(n)が最小化されるように適応フィルタの係数を更新する。
【0027】
また、右チャンネルに対応するRch適応アルゴリズム211Rは、Rch入力信号xr(n)とLch入力信号xl(n)との差分である目的信号xr(n)―xl(n)に所定の重みgrを積算した値と、Rch適応フィルタ201Rから出力された出力信号or(n)と、の差分であるエラー信号の値er(n)が最小化されるように適応フィルタの係数を更新する。
【0028】
上記のような適応アルゴリズム211L,211Rにより係数が最適化された適応フィルタ201L,201Rにより、入力信号xl(n),xr(n)からエラー信号el(n),er(n)に対応する独立成分及び無相関成分が分離される。そして、入力信号xl(n)から独立成分及び無相関成分er(n)を減算することで、相関成分cl(n)を分離できる。同様に、入力信号xr(n)から独立成分及び無相関成分el(n)を減算することで、相関成分cr(n)を分離できる。相関成分cl(n)及びcr(n)は、第2分離部102へ出力される。
【0029】
また、上記のような構成とすることにより、適応フィルタ201L,201Rによる無相関成分のフィルタリング(消去)が不要となり、フィルタの周波数特性の急激な変化が減少し、異音の原因となる成分の発生を抑制できる。
【0030】
次に、第2分離部102について説明する。ここで例示する第2分離部102は、適応フィルタ301(フィルタ部の一例)と、適応アルゴリズム311(係数更新部の一例)と、を含む。
【0031】
適応フィルタ301は、Lch入力信号からRch入力信号を減算したcl(n)―cr(n)を入力信号としてそれぞれ所定の係数に基づく有限インパルス応答を適用することで出力信号oc(n)を出力する。すなわち、適応フィルタ301は、入力信号cl(n)―cr(n)に対して係数に基づく有限インパルス応答を適用することで入力信号に含まれる出力信号oc(n)を出力する。
【0032】
適応アルゴリズム311は、適応フィルタ301の係数を最適化するためのアルゴリズムである。適応アルゴリズム311は、Lch入力信号cl(n)とRch入力信号cr(n)との加算に基づく目的信号cl(n)+cr(n)と、目的信号cl(n)+cr(n)と、適応フィルタ301から出力された出力信号oc(n)と、の差分に基づくエラー信号の値ec(n)が最小化されるように適応フィルタの係数を更新する。
【0033】
具体的には、第2分離部102の適応アルゴリズム311は、Lch入力信号cl(n)とRch入力信号cr(n)とを加算した目的信号cl(n)+cr(n)に所定の重みgcを積算した値と、適応フィルタ301から出力された出力信号oc(n)と、の差分であるエラー信号の値ec(n)が最小化されるように適応フィルタの係数を更新する。
【0034】
上記のような適応アルゴリズム311により係数が最適化された適応フィルタ301により、入力信号cl(n)―cr(n)からエラー信号ec(n)に対応する独立成分のCCが出力され同相同振幅成分が分離される。そして、エラー信号ec(n)に対応する同相同振幅成分をLch入力信号xl(n)とRch入力信号xr(n)とのセンタ成分と合わせるために、乗算器gccの係数を0.5としてエラー信号ec(n)に乗算することでcc(n)が生成される。
【0035】
また、Lch入力信号xl(n)から同相同振幅成分cc(n)を減算し、Rch入力信号xr(n)から同相同振幅成分cc(n)を減算することで、同相同振幅成分cc(n)が含まれないLch信号xl′(n)及びRch信号xr′(n)が生成される。
【0036】
同相同振幅成分cc(n)の信号がCch出力信号としてセンタスピーカに割り当てられる。Lch信号xl′(n)がLch出力信号として左スピーカに割り当てられる。そして、Rch成分xr′(n)がRch出力信号として右スピーカに割り当てられる。
【0037】
図5は、第1実施形態に係る第1分離部101に入力される入力信号xl(n),xr(n)に含まれる成分の一例を示す図である。本例においては、Lch入力信号xl(n)は、無相関成分UL、独立成分IL及び相関成分CC,CL1,CL2,CR1,CR2を含み、Rch入力信号xr(n)は、無相関成分UR、独立成分IR及び相関成分CC,CL1,CL2,CR1,CR2を含む。
【0038】
DSP21に入力される左右の入力信号xl(n),xr(n)の信号レベル差は、相関成分CCが0dB、相関成分CL1とCR1が3dB、相関成分CL2とCR2が6dB、無相関成分UL、URが∞、独立成分ILとIRが∞である。本実施形態では、DSP21から出力される左右の出力信号xl′(n),xr′(n)の信号レベル差が入力信号xl(n),xr(n)の信号レベル差と同じ信号レベル差としつつ、相関成分CCを独立させる方法を示す。
【0039】
Lch入力信号xl(n)に含まれる無相関成分ULは、Rch入力信号xr(n)と相関がなく、背景音声に対応する成分である。Rch入力信号xr(n)に含まれる無相関成分URは、Lch入力信号xl(n)と相関がなく、背景音声に対応する成分である。背景音声は、例えば、ディスプレイ31の左右全域に広がるように音像が定位する音声等である。
【0040】
Lch入力信号xl(n)に含まれる独立成分ILは、Rch入力信号xr(n)と相関がなく、左側の端部音声に対応する成分である。Rch入力信号xr(n)に含まれる独立成分IRは、Lch入力信号xl(n)と相関がなく、右側の端部音声に対応する成分である。端部音声は、例えば、ディスプレイ31の左右の端部又は端部近傍に音像が定位する音声等である。例えば、左側の端部音声は、ディスプレイ31の左端部に音像が定位し、右側の端部音声は、ディスプレイ31の右端部に音像が定位する。
【0041】
図5において、独立成分IL,IRに積算されている値である重み1.0は、左右チャンネル間の音声の出力レベル(音量)差を示している。すなわち、独立成分ILに対応する左側の端部音声は、全て左チャンネル側から出力され、右チャンネル側からは出力されず、独立成分IRに対応する右側の端部音声は、全て右チャンネル側から出力され、左チャンネル側からは出力されないことが示されている。
【0042】
相関成分CC,CL1,CL2,CR1,CR2は、Rch入力信号xr(n)とLch入力信号xl(n)との間で相関があり、中間音声に対応する成分である。中間音声は、例えば、端部音声の左右の音像の定位位置より内側で音像が定位する音声等である。相関成分CCは、中間音声の左右の音像範囲における中央位置に音像が定位する音声に対応する成分である。相関成分CL1は、当該音像範囲において中央位置より左側の位置に音像が定位する音声に対応する成分である。相関成分CL2は、当該音像範囲において相関成分CL1の音声の定位位置より左側であり端部音声の左側の音像の定位位置より右側の位置に音像が定位する音声に対応する成分である。相関成分CR1は、当該音像範囲において中央位置より右側の位置に音像が定位する音声に対応する成分である。相関成分CR2は、当該音像範囲において相関成分CR1の音声の定位位置より右側であり端部音声の右側の音像の定位位置より左側の位置に音像が定位する音声に対応する成分である。
【0043】
図5において、相関成分CC,CL1,CL2,CR1,CR2のそれぞれに積算されている値である重み(本例では0.90,0.80,0.70,0.60,0.44)は、左右チャンネル間の音声の出力レベル差を示している。すなわち、相関成分CL1,CL2に対応する中間音声の左チャンネルからの出力レベルは、右チャンネルからの出力レベルより大きいことが示されている。また、相関成分CL2における左右チャンネル間の出力レベル差は、相関成分CL1における左右チャンネル間の出力レベル差より大きいことが示されている。相関成分CR1,CR2についても同様である。なお、ここで例示する重みは、左チャンネルにおける重みをWl、右チャンネルにおける重みをWrとするとき、Wl+Wrが1又は略1となるように設定されている。例えば、相関成分CL1の左右の重みは0.90+0.44≒1.0となっており、相関成分CL2の左右の重みは0.80+0.64=1.0となっている。相関成分CR1,CR2についても同様である。
【0044】
上記のような入力信号xl(n),xr(n)と、目的信号xl(n)―xr(n),xr(n)―xl(n)と、の差分に基づいて、独立成分IL,IR及び無相関成分UL,URを分離させる。
【0045】
図6は、第1実施形態に係るLch入力信号xl(n)とLch目的信号xl(n)―xr(n)との差分から独立成分IR及び無相関成分URを分離する方法の一例を示す図である。Lch目的信号xl(n)―xr(n)は、上述したように、Lch入力信号xl(n)からRch入力信号xr(n)を減算した信号である。図6に示されるように、Lch入力信号xl(n)及びLch目的信号xl(n)―xr(n)の両方にLch独立成分IL、Lch無相関成分UL及び相関成分CL1,CL2,CR1,CR2が含まれるため、Lch入力信号xl(n)とLch目的信号xl(n)―xr(n)との差分をとることにより、Rch入力信号xr(n)に含まれるRch独立成分IR及びRch無相関成分URを分離できる。
【0046】
図7は、第1実施形態に係るRch入力信号xr(n)とRch目的信号xr(n)―xl(n)との差分から独立成分IL及び無相関成分ULを分離させる方法の一例を示す図である。Rch目的信号xr(n)―xl(n)は、上述したように、Rch入力信号xr(n)からLch入力信号xl(n)を減算した信号である。図7に示されるように、Rch入力信号xr(n)及びRch目的信号xr(n)―xl(n)の両方にRch独立成分IR、Rch無相関成分UR及び相関成分CL1,CL2,CR1,CR2が含まれるため、Rch入力信号xr(n)とRch目的信号xr(n)―xl(n)との差分をとることにより、Lch入力信号xl(n)に含まれるLch独立成分IL及びLch無相関成分ULを分離できる。
【0047】
そして、上記のように分離されたLch独立成分IL及びLch無相関成分ULと、Lch入力信号xl(n)と、の差分をとることにより、左チャンネルに対応するLch相関成分CC,CL1,CL2,CR1,CR2を分離できる。また、上記のように分離されたRch独立成分IR及びRch無相関成分URと、Rch入力信号xr(n)と、の差分をとることにより、右チャンネルに対応するRch相関成分CC,CL1,CL2,CR1,CR2を分離できる。
【0048】
次に、図8は、第1実施形態に係る第2分離部102への入力信号に含まれる成分の一例を示す図である。第1分離部101から第2分離部102へ相関成分CC,CL1,CL2,CR1,CR2が出力される。具体的には、第1分離部101から出力されるLch入力信号cl(n)に含まれる成分とRch入力信号cr(n)に含まれる成分とが示されている。
【0049】
図9は、第1実施形態に係る第2分離部による同相同振幅成分を分離する方法の一例を示す図である。図9に示した様に、入力信号は、Lch入力信号cl(n)からRch入力信号cr(n)を減算した信号とする。入力信号cl(n)―cr(n)は、適応フィルタへの入力信号を表す。また、入力信号cl(n)―cr(n)は、適応アルゴリズムへの入力信号を表す。目的信号は、Lch入力信号cl(n)とRch入力信号cr(n)を加算した信号とする。
【0050】
第2分離部102の適応フィルタへの入力信号cl(n)―cr(n)と目的信号cl(n)+cr(n)との差分から独立成分である同相同振幅成分CCを分離する。入力信号cl(n)―cr(n)と目的信号cl(n)+cr(n)との両方に相関成分CL1,CL2,CR1,CR2が含まれるため、入力信号cl(n)―cr(n)と目的信号cl(n)+cr(n)との差分をとることにより、独立成分である同相同振幅成分CCを分離できる。
【0051】
図10は、第1実施形態に係る出力信号に含まれる成分の一例を示す図である。図10(a)に示した様に、Cch出力信号は、同相同振幅成分CCが出力される。例えば、乗算器gccの係数を0.5とする場合は、同相同振幅成分CCの重みは0.7となる。図10(b)は、Lch出力信号に含まれる成分と、Rch出力信号に含まれる成分と、Lch出力信号とRch出力信号との信号レベル差を示す。
【0052】
Lch出力信号に含まれる成分は、Lch入力信号からCch出力信号を減算した結果である。同様に、Rch出力信号に含まれる成分は、Rch入力信号からCch出力信号を減算した結果である。そのため同相同振幅成分CCが含まれない成分を出力できる。よって、左スピーカ23LからLch出力信号を出力させ、右スピーカ23RからRch出力信号を出力させることができる。さらに、センタスピーカ23Cから同相同振幅成分CCのみ分離させたCch出力信号を出力させることができる。
【0053】
よって、Lch出力信号とRch出力信号との信号レベル差に示す様に、CC成分を除いた出力信号の信号レベル差は、入力信号の信号レベル差と同じ差である。そのため、同相同振幅成分を除いた成分は入力信号と同じ音像を生成できる。
【0054】
図11は、第1実施形態における各音声の出力場所と音像との関係の一例を示す図である。図11に示した様に、表示装置1は、ディスプレイ31と左スピーカ23Lと右スピーカ23Rとセンタスピーカ23Cとを含む。本実施形態では、3つのスピーカによって複数の位置に音像を定位させることができる。
【0055】
出力制御部103は、センタスピーカ23CにCch出力信号を割り当てることで、同相同振幅成分CCの音像Cをセンタスピーカ23Cの設置位置に定位させることができる。出力制御部103は、左スピーカ23LにLch出力信号を割り当て、右スピーカ23RにRch出力信号を割り当てることで、無相関成分UL,URの音像UUを左スピーカ23Lと右スピーカ23Rとの間の空間で広がるように定位させることができる。
【0056】
また、出力制御部103は、左スピーカ23LにLch出力信号を割り当てることで、独立成分ILの音像LLを左スピーカ23Lの設置位置に定位させることができる。同様に、右スピーカ23RにRch出力信号を割り当てることで、独立成分IRの音像RRを右スピーカ23Rの設置位置に定位させることができる。
【0057】
さらに、出力制御部103は、相関成分CL1、CL2、CR1,CR2からなる音像L2,L1,R1,R2を左スピーカ23Lと右スピーカ23Rとによって定位させることができる。
【0058】
具体的には、音像LLは、Lch音声の左側の音像を示し、音像RRは、Rch音声の右側の音像を示している。音像UUは、背景音声の音像を示している。音像Cは、Cch音声の音像を示す。音像L1,L2は、Lch音声とCch音声との中間音像を示している。また、音像R1,R2は、Rch音声とCch音声との中間音像を示している。
【0059】
本実施形態の出力制御部103は、Lch独立成分ILから生成されたLch端部音声を左スピーカ23Lから出力するように制御し、Rch独立成分IRから生成されたRch端部音声を右スピーカ23Rから出力するように制御する。これにより、端部音声の左側の音像LLを左スピーカ23Lの設置位置に定位させ、端部音声の右側の音像RRを右スピーカ23Rの設置位置に定位させることができる。
【0060】
また、出力制御部103は、Lch無相関成分ULから生成されたLch背景音声を左スピーカ23Lから出力するように制御し、Rch無相関成分URから生成されたRch背景音声を右スピーカ23Rから出力するように制御する。これにより、背景音声の音像UUを左スピーカ23Lの設置位置と右スピーカ23Rの設置位置との間の空間で広がるように定位させることができる。
【0061】
また、出力制御部103は、Lch相関成分CL1,CL2,CR1,CR2から生成されたLch中間音声を左スピーカ23Lから出力するように制御し、Rch相関成分CL1,CL2,CR1,CR2から生成されたRch中間音声を右スピーカ23Rから出力するように制御する。これにより、中間音声の各音像L1,L2,R1,R2を、左右の端部音声の音像LL,RRの定位位置の間に定位させることができる。
【0062】
また、出力制御部103は、同相同振幅成分CCから生成されたCch音声をセンタスピーカ23Cから出力するように制御する。これにより、センタ音声の音像Cを、センタスピーカ23Cの位置に定位させることができる。
【0063】
これにより、ステレオ信号から同相同振幅成分の抽出により、同相同振幅成分CCを除いた音像定位を変えることなく、センタスピーカの位置に定位される高品質な音像を形成することができる。また、第1分離部101と第2分離部102とによりセンタスピーカ23Cに割り当てることで、音像Cの定位が明瞭なCch出力信号を生成できる。
【0064】
図12は、第2実施形態に係る複数のスピーカの構成の一例を示す図である。図2において、表示装置1をディスプレイ31の正面側から見たときの状態が例示されている。
【0065】
図12に示されるように、本実施形態の表示装置1は、左スピーカ23L、右スピーカ23Rを備えている。左スピーカ23Lは、ディスプレイ31の下部の左側の端部付近に配置されている。右スピーカ23Rは、ディスプレイ31の下部の右側の端部付近に配置されている。または、例えば、複数のスピーカは、聴者からみたときに、聴者の左方に設置される左スピーカ23Lと、聴者の右方に設置される右スピーカ23Rとによって構成されてもよい。または、例えば、オーディオ装置の両側に設置される左スピーカ23Lと右スピーカ23Rとによって構成されてもよい。
【0066】
なお、左スピーカ23L、右スピーカ23Rの配置は一例であり、上記に限定されるものではない。
【0067】
図13は、第2実施形態に係る第1分離部101及び第2分離部102の構成の一例を示す図である。第1分離部101については、第1実施形態と同様である。
【0068】
第2分離部102については、同相同振幅成分CCを分離させることまで同様である。第2実施形態は、センタスピーカ23Cが除かれており、また、出力制御部103にフィルタ回路302が設けられた場合を一例とする。
【0069】
第2分離部102によって分離される同相同振幅成分CCは、フィルタ回路302により処理される。そして、Lch入力信号及びRch入力信号に加算することで、Lch出力信号とRch出力信号の同相同振幅成分CCのみ強調された出力信号が生成される。
【0070】
例えば、乗算器gccの係数が0の場合、Lch入力信号及びRch入力信号の成分が変わらず出力される。また、乗算器gccの係数が1の場合、Lch入力信号及びRch入力信号の成分に同相同振幅成分CCが強調されて出力される。そのため、乗算器gccの係数により強調するレベルを調整できる。
【0071】
図14は、第2実施形態における各音声の出力場所と音像との関係の一例を示す図である。図14に示した様に、表示装置1は、ディスプレイ31と左スピーカ23Lと右スピーカ23Rを含む。第2実施形態では、2つのスピーカによって複数の位置に音像を定位させることができる。
【0072】
図13に示した様に、フィルタ回路302の処理によって、同相同振幅成分CCからなる音像Cのみを強調させることが可能となる。これにより、音声のクオリティを向上させ同相同振幅成分CCをより明瞭に再生させることができる。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、複数のスピーカから音声を出力するための処理を行うオーディオ装置であって、Lch入力音声信号及びRch入力音声信号から音像定位を形成するのに用いる相関成分を分離する第1分離部によって相関成分を分離し、相関成分から同相同振幅となる音声信号成分を分離する第2分離部によって同相同振幅成分を分離し、同相同振幅成分から生成される音声をセンタスピーカ23Cに割り当てることで、センタスピーカから出力される音声によって定位される音像Cのクオリティを向上させることができる。そのため、同相同振幅成分CCをより明瞭に再生することができる。
【0074】
また、オーディオ装置の2つのスピーカの間に位置するセンタスピーカと2つのスピーカであるオーディオ装置の両側に位置する左スピーカと右スピーカとによって、同相同振幅成分CCから生成される音声をセンタスピーカに割り当て出力するよう制御し、Lch入力信号及びRch入力信号から同相同振幅成分CCを減算した音声信号を左スピーカと右スピーカとに割り当て出力するように制御することで、各スピーカにそれぞれ定位される音像を生成できる。その結果、音像が互いに重なることによる音声の劣化や臨場感の低下を抑制できる。
【0075】
また、センタスピーカを含まない、オーディオ装置の両側に位置する左スピーカと右スピーカの場合、第2分離部によって生成された同相同振幅成分CCを、Lch入力信号及びRch入力信号に加算した音声信号を左スピーカと右スピーカとに割り当てることで、左スピーカと右スピーカとの間の中央位置に定位される同相同振幅成分の音像のクオリティを向上させることができる。また、第2分離部によって同相同振幅成分CCを生成することで、左スピーカと右スピーカから出力する同相同振幅成分のみ強調させることができる。すなわち、音像が互いに重なることによる音声の劣化や臨場感の低下を抑制できる。
【0076】
上述したような表示装置1(DSP21)の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータにインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…表示装置、21…DSP(オーディオ装置)、23L…左スピーカ、23R…右スピーカ、23C…センタスピーカ、101…第1分離部、102…第2分離部、103…出力制御部、201L,201R…適応フィルタ(フィルタ部)、211L,211R…適応アルゴリズム(係数更新部)、301…適応フィルタ、311…適応アルゴリズム、302…フィルタ回路、C,L1,L2,LL,R1,R2,RR,UU…音像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2025-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカから音声を出力するための処理を行うオーディオ装置であって、
左チャンネルに対応する左入力音声信号及び右チャンネルに対応する右入力音声信号のそれぞれから、音像定位を形成するのに用いる相関成分を分離する第1分離部と、
前記第1分離部で分離した音声信号から、同相同振幅となる音声信号成分を分離する第2分離部と、
前記第2分離部で分離した音声信号を前記複数のスピーカから出力するよう制御する出力制御部と、
を備えるオーディオ装置。
【請求項2】
複数のスピーカから音声を出力するための処理を行うオーディオ装置であって、
前記複数のスピーカは、聴者からみたときに、聴者の左方に設置される左スピーカと、聴者の右方に設置される右スピーカと、前記左スピーカと前記右スピーカとの間に設置されるセンタスピーカと、を含み、
左チャンネルに対応する左入力音声信号及び右チャンネルに対応する右入力音声信号のそれぞれから、音像定位を形成するのに用いる相関成分を分離する第1分離部と、
前記第1分離部で分離した音声信号から、同相同振幅となる音声信号成分を分離する第2分離部と、
前記第2分離部で分離した音声信号を前記センタスピーカから出力するよう制御し、前記左入力音声信号から前記第2分離部で分離した音声信号を減算した音声信号を前記左スピーカから出力するよう制御し、前記右入力音声信号から前記第2分離部で分離した音声信号を減算した音声信号を前記右スピーカから出力するよう制御する出力制御部と、
を備えるオーディオ装置。
【請求項3】
前記複数のスピーカは、聴者からみたときに、聴者の左方に設置される左スピーカと、聴者の右方に設置される右スピーカと、を含み、
前記出力制御部は、
前記左入力音声信号に前記第2分離部で分離した音声信号を加算した音声信号を前記左スピーカから出力するよう制御し、
前記右入力音声信号に前記第2分離部で分離した音声信号を加算した音声信号を前記右スピーカから出力するよう制御する、
請求項1に記載のオーディオ装置。
【請求項4】
複数のスピーカから音声を出力するための処理を行うオーディオ制御方法であって、
左チャンネルに対応する左入力音声信号及び右チャンネルに対応する右入力音声信号のそれぞれから、音像定位を形成するのに用いる相関成分を分離する第1ステップと、
前記第1ステップで分離した音声信号から、同相同振幅成分となる音声信号成分を分離する第2ステップと、
前記第2ステップで分離した音声信号を前記複数のスピーカから出力するよう制御するステップと、
を含むオーディオ制御方法。