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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015322
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】レタス植物
(51)【国際特許分類】
   A01H 6/14 20180101AFI20250123BHJP
   A01H 5/10 20180101ALI20250123BHJP
   A01H 5/12 20180101ALI20250123BHJP
   C12N 5/04 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A01H6/14
A01H5/10
A01H5/12
C12N5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118653
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】390028130
【氏名又は名称】タキイ種苗株式会社
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 亮平
(72)【発明者】
【氏名】石田 了
【テーマコード(参考)】
2B030
4B065
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB02
2B030AD05
2B030AD14
2B030AD20
2B030CA04
4B065AA89X
4B065CA53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新たなレタス品種を提供する。
【解決手段】本発明は、受託番号FERM BP-22478で特定されるレタス植物の種子、植物及び組織培養物、ならびに前記レタス植物と他任意のレタス植物とを交雑することによって生産されるレタス植物の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レタス系統TEXLE203026のレタス種子であって、前記種子の代表のサンプルは受託番号FERM BP-22478で寄託されている、レタス植物の種子。
【請求項2】
請求項1記載の種子から生育されるレタス植物。
【請求項3】
請求項2記載のレタス植物の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する、レタス植物。
【請求項4】
請求項2記載のレタス植物の組織培養物。
【請求項5】
請求項4記載の組織培養物より再生された、レタス植物。
【請求項6】
レタス系統TEXLE203026のレタス植物であって、前記植物の種子の代表のサンプルは、受託番号FERM BP-22478で寄託されており、前記植物は、変異および/または導入遺伝子をさらに含む、レタス植物。
【請求項7】
レタス系統TEXLE203026のレタス植物であって、前記植物の種子の代表のサンプルは、受託番号FERM BP-22478で寄託されており、前記植物は、単一遺伝子座変換をさらに含む、レタス植物。
【請求項8】
請求項2記載のレタス植物の後代系統であって、レタス系統TEXLE203026の対立遺伝子の少なくとも50%を含み、かつ下記(1)、(2)および(3)の形質を有する、レタス植物:
(1)球の大きさが「中」である;
(2)抽だい始期が「晩」である;
(3)根腐病レース1抵抗性が「高度抵抗性」である。
【請求項9】
請求項2~8のいずれか一項に記載のレタス植物の部分。
【請求項10】
請求項2~8のいずれか一項に記載のレタス植物を第1の親系統、他のレタス植物を第2の親系統とする、雑種第1代系統のレタス植物、またはその部分。
【請求項11】
請求項2~8のいずれか一項に記載のレタス植物を自殖させる自殖工程を含む、レタス植物の製造方法。
【請求項12】
請求項2~8のいずれか一項に記載のレタス植物と、他のレタス植物とを交雑する交雑工程を含む、レタス植物の製造方法。
【請求項13】
請求項1記載のレタス種子に変異を導入し、前記種子を生育させることを含む、レタス植物の製造方法。
【請求項14】
請求項2~8のいずれか一項に記載のレタス植物に変異を導入することを含む、レタス植物の製造方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レタス植物に関する。
【背景技術】
【0002】
レタス植物は、冷涼な気候を好む植物である。近年、連作および異常気象による高温や多湿が原因と考えられる根腐病等の病害並びに生育不良が発生し、生産者は安定生産が可能な品種を求めている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】M. FUJINAGA, ”Studies on physiological races and phylogenetic analysis of lettuce root rot pathogen, Fusarium oxysporum f. sp. Lactucae”, Journal of General Plant Pathology volume 71, page457 (2005)
【非特許文献2】T. SHIMIZU et.al., “Development Trend of Diseases on Lettuce (Lactuca sativa)of Organic Cultivation in Highlands of Nagano Prefecture and Their Control”, Annual report of the Kanto-Tosan Plant Protection Society 64:2017.12 p.41-46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、新たなレタス植物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明におけるレタス植物の種子の代表は、受託番号FERM BP-22478で寄託されている。
【0006】
本発明のレタス植物は、受託番号FERM BP-22478で特定されている種子から生育される。
【0007】
本発明のレタス植物の製造方法は、前記本発明のレタス植物を自殖させる自殖工程を含む。
【0008】
本発明のレタス植物の製造方法は、前記本発明のレタス植物と、他のレタス植物とを交雑する交雑工程を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新たなレタス植物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、レタス植物の株の葉上部の重なり、および葉の裂片の数の例を示す模式図である。
図2図2は、レタス植物の葉の形の例を示す模式図である。
図3図3は、レタス植物の葉の周縁の切れ込みの深さ、球の大きさ、および球の縦断面の形の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<レタス植物>
本発明のレタス植物は、TEXLE203026で示され、受託番号FERM BP-22478で特定される(寄託されている)レタス植物(以下、「寄託系統」ともいう。)またはその後代系統を含む。本発明のレタス植物は、TEXLE203026で示され、受託番号FERM BP-22478で特定されるレタス植物またはその後代系統を含むことが特徴であり、新たな変異、導入遺伝子および/または単一遺伝子座変換を含んでもよいし、その他の構成および条件は、特に制限されない。
【0012】
本発明において、「レタス植物」は、キク科(Asteraceae)アキノノゲシ属(Lactuca)レタス種(L. sativa L.)に分類され、学名をLactuca sativa、和名をチシャ(萵苣・苣、乳草、チサ)とされる植物である。前記レタス植物は、例えば、近縁種または野生種との交雑種でもよい。
【0013】
本発明において、「栽培用レタス植物」、「栽培用レタス品種」、または「栽培用レタス」は、ヒトが栽培し、栽培学的に優れたレタス植物またはその品種、育種系統または栽培品種である。「栽培用レタス植物」、「栽培用レタス品種」、または「栽培用レタス」は、それらの交雑種、または他のレタス種との交雑種であってもよい。
【0014】
本発明において、「植物」は、植物全体を示す植物個体を意味する。
【0015】
本発明において、「植物の部分」は、植物個体の部分を意味する。前記「植物の部分」は、例えば、植物細胞、植物プロトプラスト、植物体を再生可能な植物細胞培養物または組織培養物、植物カルス、植物塊(plant clumps)、植物または植物の部分から単離した植物細胞、葉、結球葉、展開葉、花粉、胚、子葉、胚軸、根、根の先端(根端)、葯、雌しべ、花、子房(ovary)、胚珠、種子、果実、茎、苗等があげられる。前記植物個体の部分は、例えば、器官、組織、細胞または栄養繁殖体等があげられ、いずれでもよい。前記器官は、例えば、花弁、花冠、花、葉、種子、果実、茎、根等があげられる。前記組織は、例えば、前記器官の部分である。具体例として、前記植物個体の部分は、小胞子(microspore)、花、花芽、雌しべ、葯、花粉、子房(ovary)、胚、胚珠、胚軸、胚嚢、卵細胞、挿し木、根、根端、幹、茎、葉、結球葉、展開葉、葉柄、葉髄、子葉、細胞、分裂組織細胞(meristematic cell)、プロトプラスト、種子等があげられる。前記花粉は、成熟した花粉でも、未成熟の花粉でもよい。前記植物個体の部分は、例えば、植物のいずれの成長段階由来のものでもよく、例えば、発根前、発根後、苗、挿し木、成熟個体等に由来するものがあげられる。前記植物個体の部分は、例えば、一種類の器官、組織および/または細胞でもよいし、二種類以上の器官、組織および/または細胞でもよい。
【0016】
本発明において、「根腐病(レタス根腐病)」は、糸状菌により引き起こされる病害である。前記根腐病の病原菌は、例えば、フザリウム・オキシスポーラム・フォルマ・スペシャリス・ラクツケ(Fusarium oxysporum f. sp. Lactucae)等があげられる。前記「レース」は、病原性が異なる菌系統、より具体的には、抵抗性遺伝子または抵抗性遺伝子座が異なる品種に対して、異なる病原性を示す系統を意味する。
【0017】
本発明において、「抵抗性」は、例えば、「耐病性」ともいう。前記抵抗性は、例えば、病原菌の感染による病害の発生および進行に対する阻害能または抑制能を意味し、具体的に、例えば、病害の未発生、発生した病害の進行の停止、および、発生した病害の進行の抑制(「阻害」ともいう。)等のいずれの意味でもよい。
【0018】
本発明において、前記「根腐病抵抗性」は、後述の形質番号59の測定方法に準じて、評価できる。本発明において、前記「根腐病抵抗性」を示すレタス植物は、いずれか1つ以上のレースに対して抵抗性を示せばよく、複数のレースに対して抵抗性を示してもよい。好ましくは、根腐病レース1抵抗性を有する。
【0019】
<寄託系統>
本発明のレタス植物は、TEXLE203026で示され、その代表として、受託番号FERM BP-22478で特定されるレタス植物またはその後代系統があげられる。以下、受託番号FERM BP-22478を、レタス系統TEXLE203026ともいう。品種の寄託に関する情報を、以下に示す。
【0020】
(TEXLE203026)
寄託の種類:国際寄託
寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター
あて名:日本国 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室
受託番号:FERM BP-22478
識別のための表示:TEXLE203026
受領日:2023年5月18日
【0021】
前記寄託系統は、例えば、下記表1に記載されている形態学的および生理学的特徴を示す。下記表1において、前記形態学的および生理学的特徴は、2022年におけるアメリカ合衆国アリゾナ州ユマにおける栽培に基づいている。下記表1において、前記形態学的および生理学的特徴は、農林水産省(Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries of Japan、MAFF)により発行されている、レタス種の審査基準(2022年9月発行、https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hinshu/info/kijun/1361.pdf)に基づき評価している。また、下記表1において、前記形態学的および生理学的特徴は、後述の基準に基づき評価している。なお、前記形態学的および生理学的特徴は、図1~3参照できる。また、前記形態学的および生理学的特徴の評価においては、UPOVにおけるDUS試験ガイドラインを参照してもよい。前記DUS試験ガイドラインとしては、例えば、2017年4月5日発行のガイドライン(https://www.upov.int/edocs/tgdocs/en/tg013.pdf)を参照できる。
【0022】
【表1】
【0023】
(形質番号1)
前記「種子の色」は、目視観察により評価できる。前記「種子の色」は、階級1(白、標準品種:オリンピア)、階級2(黄)、階級3(茶、標準品種:シスコ、Vレタス)、および階級4(黒、標準品種:ロジック)を基準として評価できる。
【0024】
(形質番号4)
前記「株の幅」は、株の最大直径(cm)を意味し、測定により評価できる。前記「株の幅」は、階級1(極小)、階級3(小、標準品種:岡山サラダ菜)、階級5(中、標準品種:オリンピア)、階級7(大)、および階級9(極大)を基準として評価できる
【0025】
(形質番号5)
前記「株の葉上部の重なり」は、株の葉上部の重なり程度(結球程度)を意味し、目視観察により評価できる。前記「株の葉上部の重なり」は、階級1(無又は弱、標準品種:プライズヘッド)、階級2(中、標準品種:コスタリカ4号)、および階級3(強、標準品種:オリンピア、バンガード75)を基準として評価できる。
【0026】
(形質番号8)
前記「葉の裂片の数」は、葉の裂片の数を意味し、目視観察により評価できる。前記「葉の裂片の数」は、階級1(無又は極小、標準品種:オリンピア)、階級3(少)、階級5(中)、階級7(多)、および階級9(極多)を基準として評価できる。
【0027】
(形質番号9)
前記「葉の形」は、葉の裂片の数が無又は極少の品種の葉の形(葉の裂片の数が無又は極少の品種に限る)を意味し、目視観察により評価できる。前記「葉の形」は、階級1(三角形)、階級2(披針形)、階級3(扁円形、標準品種:オリンピア)、階級4(狭扁円形)、階級5(円形、標準品種:ホワイトボストン)、階級6(広楕円形)、階級7(楕円形、標準品種:コスタリカ4号)、階級8(狭楕円形、標準品種:赤かきちしゃ)、階級9(線形)、階級10(広倒角卵形)、階級11(倒卵形、標準品種:プライズヘッド)および階級12(倒披針形)を基準として評価できる。
【0028】
(形質番号13)
前記「葉のアントシアニン着色」は、葉のアントシアニンの着色の強弱を意味し、目視観察により評価できる。前記「葉のアントシアニン着色」は、階級1(無又は極弱)、階級3(弱)、階級5(中、標準品種:プライズヘッド)、階級7(強)および階級9(極強)を基準として評価できる。
【0029】
(形質番号22)
前記「葉の凹凸」は葉表面の凹凸(縮み)の強さを意味し、目視観察により評価できる。前記「葉の凹凸」は、階級1(無又は極弱、標準品種:シスコ)、階級3(弱、標準品種:オリンピア)、階級5(中、標準品種:アーリーインパルス)、階級7(強、標準品種:にしなべに)、および階級9(極強、標準品種:ブラックシーデッドシムソン)を基準として評価できる。
【0030】
(形質番号24)
前記「葉の周縁部の波打ち」は、葉の周縁部の波打ちの強弱を意味し、目視観察により評価できる。前記「葉の周縁部の波打ち」は、階級1(無又は極弱)、階級3(弱)、階級5(中、標準品種:みかどグレイト3204)、階級7(強、標準品種:カルマー、グランドラピッド)および階級9(極強)として評価できる。
【0031】
(形質番号26)
前記「葉の周縁部の切れ込みの深さ」は、葉の周縁の切れ込みの深さを意味し、目視観察により評価できる。前記「葉の周縁部の切れ込みの深さ」は、階級1(無又は極浅)、階級3(浅)、階級5(中、標準品種:オリンピア)、階級7(深)、および階級9(極深)を基準として評価できる。
【0032】
(形質番号30)
前記「球の大きさ」は、球の大きさであり、株の葉上部の重なりが中又は強の品種の球の大きさ(球径×球高)(株の葉上部の重なりが中又は強の品種に限る。)を意味し、測定および目視観察により評価できる。前記「球の大きさ」は、階級1(極小)、階級3(小)、階級5(中、標準品種:オリンピア)、階級7(大)、および階級9(極大)を基準として評価できる。
【0033】
(形質番号31)
前記「球の縦断面の形」は、球の縦断面の形であり、株の葉上部の重なりが中又は強の品種の球の縦断面の形(株の葉上部の重なりが中又は強の品種に限る。)を意味し、目視観察により評価できる。前記「球の縦断面の形」は、階級1(狭楕円形)、階級2(広楕円形)、階級3(円形、標準品種:エクセルヘッドグラス)、階級4(扁円形、標準品種:シスコ)を基準として評価できる。
【0034】
(形質番号40)
前記「抽だい始期」は、長日条件下における抽だい開始の早晩(供試株の50%が抽だいした時期、は種日からの日数)を意味し、測定、目視観察により評価できる。前記「抽だい始期」は、階級1(極早、標準品種:グリーンリーフ)、階級3(早、標準品種:プライズヘッド)、階級5(中、標準品種:ゲット、ファルコン)、階級7(晩、標準品種:オリンピア)、および階級9(極晩)を基準として評価できる。
【0035】
(形質番号59)
前記「根腐病菌レース1抵抗性」は、根腐病菌レース1(Race-1)に対する抵抗性の程度を意味する。前記「根腐病菌レース1抵抗性」は、階級1(罹病性、標準品種:パトリオット、晩抽レッドファイヤー、ウォルドマンズグリーン)、階級2(中度抵抗性、標準品種:サリナス 88)、および階級3(高度抵抗性、標準品種:コスタリカ4号)を基準として評価できる。
【0036】
前記根腐病菌レース1抵抗性は、下記試験方法により確認できる。
・試験方法
病原体:レタス根腐病菌(Fusarium oxysporum f. sp. lactucae (Fol))レース1(Race1)を供試する。レースの確認は、罹病性品種を用いて行う。
病原性確認:試験の前に罹病性品種を用いて病原性の確認を行う。
・試験の実施
供試個体数:最低 30 個体、2 反復以上に分割(無接種区の場合、最低 20 個体、2 反復以上に分割)する。
標準品種:罹病性;パトリオット、晩抽レッドファイヤー、ウォルドマンズグリーン、中度抵抗性;サリナス 88、および高度抵抗性;コスタリカ 4 号。
温度:概ね夜間20℃、昼間25~28℃の範囲で管理する。
照度:自然光、又は最低15000lx、明期14時間の照明とする。
接種準備:栄養培地(PSA 培地等)で培養した供試菌株をふすま培地に接種後、混和して約25℃、10~14日程度培養する。
培地全体に十分に菌が増殖したものを接種源とする。
接種方法:滅菌土(又は市販の培養土)に体積比で20:1になるように接種源を加えてよく混合する。これを汚染土壌としてポット等に充填し、催芽後の健全な種子をは種する。この時、種子の発芽勢が弱い場合、発病による枯死かの判断が困難になるため、極力発芽勢が弱い種子をは種しない。
試験期間:接種(は種)後20~30日目程度に発病程度を評価する。
判定基準:個体ごとに以下の発病程度を評価し、発病指数を求め判定する。
発病程度 0:無病徴
発病程度 1:軽度発育阻害、成長抑制
発病程度 2:重度発育阻害
発病程度 3:枯死
発病指数=Σ(発病程度×各発病程度の個体数)/(総個体数)
判定:各標準品種の発病指数と比較して評価する。
・前記試験方法のほか、幼苗浸漬法による試験を行うこともできる。前記、幼苗浸漬法の試験方法の詳細は、例えば、UPOVテストガイドライン(LETTUCE; TG/13/11 Rev.2、https://www.upov.int/edocs/tgdocs/en/tg013.pdf)を参照することができる。
【0037】
本発明において、「寄託系統の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」を有する植物は、同一環境で生育した場合に、対象の植物が由来する寄託系統の主要な形質を有する植物であることを意味する。前記主要な形質は、下記(1)~(13)の形質、すなわち、前記表1における形質番号30、40、59、1、4、5、8、9、13、22、24、26、および31である。前記主要な形質は、好ましくは、前記表1において、形質番号30、40および59の形質、すなわち、下記(1)~(3)の形質があげられる。前記「寄託系統の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」を有する植物は、例えば、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、または1個の形質を除き、寄託系統と同じ形質を有する植物であってもよい、すなわち、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、または1個の形質が、寄託系統と異なる形質であってもよい。前記「寄託系統と異なる形質」は、前記寄託系統の主要な形質でもよいし、寄託系統の主要な形質以外の形質でもよいが、寄託系統の主要な形質以外の形質が好ましい。前記「寄託系統と異なる形質」は、例えば、後述の形質の導入および/または遺伝子の導入により実施できる。前記「寄託系統の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」を有する植物において、前記形質番号30、40、59、1、4、5、8、9、13、22、24、26、および31の全ての形質は、前記寄託系統と同じでもよい。
(1)球の大きさが「中」である;
(2)抽だい始期が「晩」である;
(3)根腐病レース1抵抗性が「高度抵抗性」である;
(4)種子色が「白」である;
(5)株の幅が「中」である;
(6)株の葉上部の重なりが「強」である;
(7)葉の裂片の数が「無又は極小」である;
(8)葉の形が「狭扁円形」である;
(9)葉のアントシアニン着色が「無又は極弱」である;
(10)葉の凹凸が「中」である;
(11)葉の周縁部の波打ちが「やや強」である;
(12)葉の周縁部の切込みの深さが「やや深」である;
(13)葉の縦断面の形が「扁円形」である。
【0038】
<後代系統>
本発明のレタス植物は、寄託系統の後代系統であってもよい。前記後代系統は、後代系統の植物個体でもよいし、後代系統の植物個体の部分または後代系統の種子でもよい。
【0039】
本発明において、「後代系統」または「後代レタス植物」(以下、あわせて「後代系統」という)は、寄託系統のレタス植物またはその後代系統から得られる植物である。本発明において、前記後代系統は、前記寄託系統と、他のレタス植物との交雑、または前記寄託系統と野生のレタス植物との交雑から得られた植物でもよい。また、前記後代系統は、前記寄託系統もしくはその後代系統を自殖および/または他家受粉することにより直接または間接的に取得するか、取得しうるか、または由来してもよいし、自殖および/または他家受粉などの伝統的な育種方法を使用して、寄託系統から得られた親系統に由来してもよい。前記後代系統は、例えば、自殖後代系統、第1世代ハイブリッドF1(雑種第1代系統、F1ハイブリッド)等があげられる。前記後代系統の取得において、前記寄託系統は、雌親として用いてもよいし、雄親として用いてもよいし、両親として用いてもよい。
【0040】
本発明において、「交雑」は、2つの親系統の交雑を意味する。前記交雑は、「他家受粉」でもよいし、「自家受粉」でもよい。前記他家受粉は、異なる植物に由来する2つの配偶子が結合することによる受精を意味する。前記自家受粉は、花粉が、同じ植物の葯から柱頭に移動することを意味する。前記自家受粉は、例えば、自殖ということもできる。前記交雑は、伝統的な育種法の1つである戻し交雑を含んでもよい。
【0041】
前記「戻し交雑」は、伝統的な育種技術の1つであり、ブリーダーがハイブリッドの後代系統を繰り返し親系統の1つに戻し交雑し、植物または品種に形質を導入する方法である。前記導入する形質を含む植物は、例えば、ドナー植物ということできる。また、前記形質が導入される植物は、例えば、反復親(recurrent parent)ということができる。前記戻し交雑では、ドナー植物と反復親とを交雑することにより実施でき、1回目の交雑により、第1世代ハイブリッドF1(雑種第1代系統、F1ハイブリッド)が取得できる。つぎに、前記形質を有する後代系統を、反復親と交雑する。そして、数世代の戻し交雑および/または自殖することで、前記反復親に、ドナー植物の形質を導入できる。
【0042】
本発明において、前記後代系統は、前記寄託系統由来の細胞培養物もしくは組織培養物、プロトプラストまたは植物個体の部分から再生してもよいし、前記寄託系統の自殖によって取得してもよいし、前記寄託系統の植物個体から種子を生産することによって取得してもよい。
【0043】
本発明において、前記「再生」は、細胞培養物、組織培養物またはプロトプラストからの植物の発生または栄養繁殖を意味する。
【0044】
前記「組織培養物」または「細胞培養物」は、同じまたは異なるタイプの単離された細胞を含む組成物であってもよいし、植物の部分に組織化される細胞の集合体であってもよい。レタス植物のさまざまな組織の組織培養物および前記組織培養物からの植物の再生方法は、よく知られており、例えば、下記参考文献1~3を参照できる。
参考文献1:Pink D. A. and Carter P. J., “Propagation of lettuce (Lactuca sativa) breeding material by tissue culture”, Ann. Appl. Biol., 1987, vol. 110, pages 611-616
参考文献2:Ampomah-Dwamena C., Conner A. J. and Fautrier A. G., “Genotypic response of lettuce cotyledons to regeneration in vitro”, Sci. Hort., 1997, vol. 71, pages 137-145
参考文献3:水谷高幸、田中孝幸、“レタスおよび近縁野生種 Lactuca serriola の花茎の節培養”、園芸学研究、2008、第7巻1号、頁17-21
【0045】
前記後代系統は、所望の形質を有してもよい。前記後代系統は、例えば、同一の栽培条件で栽培した場合に、「寄託系統の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」を有してもよい。具体的には、前記後代系統は、対応する寄託系統(由来する寄託系統)と共通する形質を有してもよい。具体例として、前記後代系統は、例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上の形質が、寄託系統の形質と一致する。前記後代系統は、寄託系統の主要な形質を有する植物であってもよい。前記主要な形質は、前記表1において、形質番号30、40および59の形質、すなわち、上記(1)~(3)の形質があげられる。また、前記主要な形質は、前記表1において、形質番号1、4、5、8、9、13、22、24、26、および31の形質、すなわち、上記(4)~(13)の形質があげられる。前記後代系統は、例えば、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、または1個の形質を除き、寄託系統と同じ形質を有する植物であってもよい、すなわち、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下または1個の形質が、寄託系統と異なる形質であってもよい。前記「寄託系統と異なる形質」は、前記寄託系統の主要な形質でもよいし、寄託系統の主要な形質以外の形質でもよいが、寄託系統の主要な形質以外の形質が好ましい。前記「寄託系統と異なる形質」は、例えば、後述の形質の導入および/または遺伝子の導入により実施できる。前記後代系統において、前記形質番号30、40、59、1、4、5、8、9、13、22、24、26、および31の全ての形質は、寄託系統と同じでもよい。前記寄託系統と異なる形質は、例えば、べと病対する抵抗性(Bl16~37、Bl5~11US)、根腐病菌レース2抵抗性、細菌性腐敗病耐病性、コルキールート耐病性、レタスモザイクウィルス耐病性、アブラムシ耐虫性、ハモグリバエ耐虫性、切断面の耐褐変能等があげられる。各形質は、例えば、各形質と関連する遺伝子座を有する公知の植物と交雑することにより、導入できる。
【0046】
前記後代系統は、前記寄託系統に由来する、少なくとも1セットの染色体を含む細胞を含んでもよい。前記後代系統は、例えば、そのアリル(対立遺伝子)の少なくとも6.25%、12.5%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%が、前記寄託系統由来でもよい。すなわち、前記後代系統は、前記寄託系統と、少なくとも約6.25%、12.5%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の遺伝的相補性(genetic complement)を有してもよい。
【0047】
前記「アリル(対立遺伝子)」は、1または複数の遺伝子のいずれかであり、そのすべてがレタス植物の特性または形質に関連している。二倍体の細胞または生物では、所定の遺伝子の一対のアリルが、一対の相同染色体上の対応する遺伝子座を占める。
【0048】
前記遺伝的相補性は、例えば、分子マーカーまたは塩基配列を解読し、TEXLE203026の分子マーカーまたは塩基配列と比較し、一致率を計算することにより算出できる。前記分子マーカーは、例えば、SNP(一塩基多型)マーカー、増幅断片長多型(AFLP)マーカー、制限酵素断片長多型(RFLP)マーカー、マイクロサテライトマーカー、sequence-characterized amplified region (SCAR)マーカー、cleaved amplified polymorphic sequence (CAPS)マーカー等があげられる。前記分子マーカーを用いたゲノムの解析方法は、よく知られており、広く公開されている(例えば、下記参考文献4および5)。前記塩基配列の解読は、例えば、前記後代系統から染色体を抽出し、前記染色体に対してシークエンスを行なうことにより実施できる。前記寄託系統由来のアリルの割合および遺伝的相補性の割合は、例えば、交雑回数により推定してもよい。この場合、前記割合は、寄託系統からの交雑回数から推定できる。具体例として、前記寄託系統からの交雑回数がn回の場合、前記割合は、例えば、(1/2)n×100%と推定できる。
参考文献4:Sinchan Adhikari et.al, “Application of molecular markers in plant genome analysis: a review”, The Nucleus, 2017, Volume 60, Issue 3, pp. 283-297
参考文献5:Elcio P. Guimaraes et.al., “MARKER-ASSISTED SELECTION Current status and future perspectives in crops, livestock, forestry and fish”, 2007, Springer, 29-49
【0049】
前記寄託系統由来のアリルおよび遺伝的相補性の割合は、例えば、複数の後代系統の割合の平均値であることが好ましい。前記複数は、例えば、統計学的な検討が可能な個体数であり、具体例として、200個体以上であり、好ましくは、200~1000個体である。
【0050】
前記後代系統は、前記寄託系統に由来する前記分子マーカーの多型を有してもよい。前記寄託系統は、例えば、その分子マーカーの少なくとも約6.25%、12.5%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%が、前記寄託系統由来でもよい。すなわち、前記後代系統は、前記寄託系統と、少なくとも約6.25%、12.5%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の分子マーカーが一致してもよい。本発明において、対象のレタス植物が、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上の分子マーカーが、前記寄託系統の分子マーカーと一致する場合、前記対象のレタス植物は、前記寄託系統の後代系統であると判定(判別、推定、鑑定、または鑑別)できる。
【0051】
前記後代系統およびレタス系統TEXLE203026は、例えば、変異または導入遺伝子を有してもよい。この場合、前記後代系統は、例えば、1つ、2つ、3つ、または4以上の形質または導入遺伝子が導入され、それに伴い形質が修飾されている。前記後代系統は、例えば、前記寄託系統またはその後代系統に対して、変異の導入または導入遺伝子の導入により、作製できる。前記変異は、人為的に導入されてもよいし、自然に導入されてもよく、人為的な変異の導入は、変異の誘発と言い換えることもできる。前記変異は、例えば、化学物質誘導性の変異でもよいし、放射線誘導性の変異でもよい。前記変異は、例えば、分子生物学的手法またはゲノム編集技術により導入されてもよい(例えば、下記参考文献6)。また、前記変異または導入遺伝子は、寄託系統のレタス種子、レタス植物、細胞培養物、および/または組織培養物に導入されてもよい。前記導入遺伝子は、例えば、アグロバクテリウム属(Agrobacterium tumefaciens)を用いる方法等があげられる。
参考文献6:Yanfei Mao et.al., “Gene editing in plants: progress and challenges”, National Science Review, 2019, vol. 6, pp. 421-437
【0052】
前記1以上の形質は、例えば、べと病対する抵抗性(Bl16~37、Bl5~11US)、根腐病菌レース2抵抗性、細菌性腐敗病耐病性、コルキールート耐病性、レタスモザイクウィルス耐病性、アブラムシ耐虫性、ハモグリバエ耐虫性、切断面の耐褐変能等があげられる。
【0053】
前記導入遺伝子(transgene)は、例えば、遺伝子工学的手法または伝統的な育種方法により、植物のゲノム内に導入された所望の遺伝子を意味する。前記導入遺伝子は、例えば、単一遺伝子座変換によって導入された遺伝子を含んでもよい。前記導入遺伝子は、例えば、同一種に由来してもよいし、異なる種に由来してもよい。また、前記導入遺伝子は、由来の種と同一の塩基配列を含む遺伝子でもよいし、異なる塩基配列を含む遺伝子でもよい。後者の場合、異なる塩基配列は、例えば、前記同一の塩基配列に対して、コドン最適化、プロモーター等の転写制御因子の付加等を実施することにより調製できる。前記導入遺伝子は、翻訳領域と非翻訳領域とを含んでもよい。
【0054】
<半数体および倍加半数体植物>
本発明のレタス植物は、前記寄託系統から取得された、取得可能な、または誘導された半数体植物および/または倍加半数体植物であってもよい。前記寄託系統の半数体植物および/または倍加半数体植物は、前記寄託系統の親系統を生産する方法において使用してもよい。一実施形態において、本発明は、半数体植物および/または倍加半数体植物の植物、半数体植物および/または倍加半数体植物の植物部分、または半数体植物および/または倍加半数体植物の種子を提供してもよい。
【0055】
前記倍加半数体植物は、半数体植物または細胞において染色体を倍加することにより製造できる(例えば、下記参考文献7)。具体例として、半数体である花粉または胚珠を、所定の条件下で培養することで染色体が1nの小植物体(plantlets)を形成させる。つぎに、前記小植物体に対して、例えば、コルヒチン等の化学物質で処理することにより、染色体を倍加させる。これにより、前記小植物体の細胞は、染色体が2nになる(倍加半数体)。そして、前記処理後の小植物体を生育することで、前記倍加半数体植物およびその後代系統を取得することができる。
参考文献7: Jim M. Dunwell, “Haploids in flowering plants: origins and exploitation”, Plant Biotechnology Journal, 2010, volume 8, pp. 377-424
【0056】
<レタス植物の製造方法>
本発明のレタス植物の製造方法は、前述のように、第1のレタス植物と、第2のレタス植物とを交雑する交雑工程を含み、前記第1のレタス植物は、前記本発明のレタス植物である。本発明の製造方法は、前記交雑工程における親の少なくとも一方に、前記本発明のレタス植物を用いることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。
【0057】
また、本発明のレタス植物の製造方法は、前記本発明のレタス植物を自殖(自家受粉)させる自殖工程を含む。本発明の製造方法は、前記本発明のレタス植物を自殖させることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。
【0058】
本発明の製造方法によれば、前記寄託系統の後代系統を製造できる。本発明の製造方法は、本発明のレタス植物の説明を援用できる。
【0059】
本発明において、前記第1のレタス植物(第1の親系統)と前記第2のレタス植物(第2の親系統)との交雑は、例えば、同一個体間の交雑(正自家受粉)でもよいし、同一クローン個体間または近交系で維持されている系統の個体間の交雑(準自家受粉)でもよいし、異なる個体間の交雑(他家受粉)でもよい。前記正自家受粉の場合、前記第1の親系統および前記第2の親系統は、例えば、いずれか一方が同一個体における雌器官であり、他方が、同一個体における花粉である。
【0060】
前記異なる個体間の交雑(他家受粉)によって生産された種子、および種子を生育させることによって得られる植物は、第1世代ハイブリッドF1(雑種第1代系統、F1ハイブリッド)を含む。
【0061】
本発明において、前記第1の親系統は、前記本発明のレタス植物であり、例えば、前述の受託番号FERM BP-22478で寄託されたレタス植物またはその後代系統である。
【0062】
前記第2の親系統は、特に制限されず、任意のレタス植物を使用できる。前記第2の親系統は、例えば、前記第1の親系統と、分類学上、同じ種のレタス植物でもよいし、異なる種のレタス植物でもよい。前記第2の親系統は、例えば、前記寄託系統または後代系統でもよいし、その他のレタス植物でもよい。
【0063】
本発明の製造方法は、例えば、前記交雑工程の後、さらに、前記交雑工程で得られた後代系統を育成する育成工程を含んでもよい。前記育成工程における育成条件は、例えば、レタス植物における一般的な育成条件があげられる。
【0064】
本発明のレタス植物は、例えば、前記本発明の製造方法により得ることができる。
【0065】
<レタス植物の種子の生産方法>
本発明は、レタス種子の製造方法を提供する。本発明のレタス種子の製造方法は、前記寄託系統のレタス植物を、自殖または別のレタス植物と交雑させる工程と、その結果得られる種子を任意で採種(収集または収穫)する工程とを含む。本発明の種子の製造方法は、レタス植物の種子を生育させることにより、植物、植物部分または種子を提供してもよい。
【0066】
本発明の種子の生産方法は、前記寄託系統に由来する種子の生産方法であってもよい。この場合、本発明の種子の生産方法は、(a)前記寄託系統の植物を別のレタス植物と交雑して種子を生産する工程を含んでもよい。本発明の種子の生産方法は、さらに、(b)前記(a)工程の種子からレタス植物を栽培して、前記寄託系統に由来するレタス植物を生産する工程と、(c)前記(b)工程のレタス植物を、自殖または別のレタス植物と交雑し、前記寄託系統に由来する追加のレタス植物を作出する工程とを含んでもよい。さらに、本発明の種子の生産方法は、(d)任意に、前記(b)工程および前記(c)工程を1回以上繰り返し、前記寄託系統に由来するさらなるレタス植物を生産してもよい。この場合、前記(b)工程における前記(a)工程の種子から栽培したレタス植物としては、前記(c)工程で得られた追加のレタス植物を用いることができる。前記「1回以上」は、例えば、1回~10回、3回~7回、3回~5回である。本発明の種子の生産方法は、さらに、種子を収集または収穫する工程を含んでもよい。本発明の種子の生産方法は、上記の方法によって生産された種子、および種子を生育させることによって得られる植物または植物個体の部分を提供してもよい。
【0067】
<雑種レタス植物の生産方法>
本発明は、ハイブリッド(雑種)レタス植物を生産する方法を提供する。本発明の雑種植物の生産方法では、本発明のレタス植物を別のレタス植物と交雑させる工程を含む。本発明の雑種植物の生産方法では、交雑により得られた種子を収集または収穫する工程を含んでもよい。また、本発明の雑種植物の生産方法は、上記の方法により生産された種子および雑種植物または雑種植物個体の部分を提供してもよい。
【0068】
<新たな形質の導入方法>
本発明は、前記寄託系統に少なくとも1つの新しい特性または形質(以下、あわせて、「形質」という)を導入する方法を提供する。本発明の形質の導入方法は、例えば、新たな形質が導入されたレタス植物の生産方法ということもできる。本発明の形質の導入方法は、例えば、(a)前記寄託系統の植物を、後代系統を作出するために、少なくとも1つの新しい形質を含むレタス植物と交配させる工程と、(b)少なくとも1つの新しい形質を含む後代系統を選択する工程とを含む。本発明の形質の導入方法は、例えば、(c)前記後代系統を、前記寄託系統と交雑し、戻し交雑後代の種子を生産する工程と、(d)少なくとも1つの新しい形質と、前記寄託系統の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を含む戻し交雑後代を選択する工程とを含む。前記(b)および(d)工程において、新たな形質を有する後代系統の選抜は、例えば、前記形質を検出することにより実施してもよいし、前記形質と関連(連鎖)する遺伝子または分子マーカーを検出することにより実施してもよい。前記新たな形質は、べと病に対する抵抗性(Bl16~37、Bl5~11US)、根腐病菌レース2抵抗性、細菌性腐敗病耐病性、コルキールート耐病性、レタスモザイクウィルス耐病性、アブラムシ耐虫性、ハモグリバエ耐虫性、切断面の耐褐変能等があげられる。また、上記の方法による新しい形質の導入は、単一遺伝子座変換と定義されてもよい。
【0069】
本発明の形質の導入方法は、(e)任意に、前記(c)工程および(d)工程を1回以上繰り返して、少なくとも1つの新しい形質を含むレタス植物を生産してもよい。前記新しい形質を含むレタス植物は、少なくとも1つの単一遺伝子座変換を含むレタス植物と定義されてもよい。この場合、本発明の形質の導入方法は、前記(c)工程における前記後代系統としては、前記(d)工程で選択された戻し交雑後代を用いることができる。前記(e)工程で取得された、または取得可能なレタス植物は、前記寄託系統の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴のすべてを有してもよい。前記「本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」は、前記後代系統の説明において、「後代系統」を「前記(e)工程で取得された、または取得可能なレタス植物」に読み替えて、その説明を援用できる。前記「1回以上」は、例えば、1回~10回、3回~7回、3回~5回である。本発明の形質の導入方法は、種子を収集または収穫する工程を含んでもよい。本発明の形質の導入方法は、上記の方法により生産された種子、および種子を生育させることによって得られる植物または植物個体の部分を提供してもよい。
【0070】
<導入遺伝子の導入方法>
本発明は、少なくとも1つの新しい特性または形質を含む、寄託系統に由来する植物を生産する方法を提供する。本発明の導入遺伝子の導入方法は、例えば、新たな形質が導入されたレタス植物の生産方法ということもできる。
【0071】
本発明の導入遺伝子の導入方法は、例えば、少なくとも1つの新しい形質を付与する突然変異または導入遺伝子を寄託系統の植物に導入する工程を含む。前記変異または導入遺伝子の導入は、例えば、前記後代系統における変異または導入遺伝子の導入と同様にして実施できる。前記導入工程により取得された、または取得可能なレタス植物は、前記寄託系統の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴のすべてを有してもよい。前記「本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」は、前記後代系統の説明において、「後代系統」を「前記導入工程により取得された、または取得可能なレタス植物」に読み替えて、その説明を援用できる。本発明の導入遺伝子の導入方法は、種子を収集または収穫する工程を含んでもよい。本発明の導入遺伝子の導入方法は、上記の方法により生産された種子、および種子を生育させることによって得られる植物または植物個体の部分を提供してもよい。前記新たな形質は、例えば、べと病に対する抵抗性(Bl16~37、Bl5~11US)、根腐病菌レース2抵抗性、細菌性腐敗病耐病性、コルキールート耐病性、レタスモザイクウィルス耐病性、アブラムシ耐虫性、ハモグリバエ耐虫性、切断面の耐褐変能等があげられる。
【0072】
<レタス植物の再生体および再生方法>
本発明は、寄託系統の細胞培養物、組織培養物、またはプロトプラストから再生されたレタス植物(以下、「再生体」という)を提供する。本発明は、再生可能な細胞の細胞培養物もしくは組織培養物、または寄託系統のレタス植物に由来するプロトプラストを提供してもよい。前記細胞、組織またはプロトプラストは、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、分裂組織細胞、根、根端、葯、花、種子または幹を含む組織に由来してもよい。
【0073】
本発明は、寄託系統のレタス植物の増殖または繁殖の方法を提供する。前記寄託系統のレタス植物の繁殖は、前記寄託系統のレタス植物の栄養繁殖であってもよい。この場合、本発明のレタス植物の再生方法は、例えば、(a)寄託系統の植物から増殖することができる組織を収集する工程と、(b)前記組織を培養して増殖したシュート(shoot)を取得する工程と、(c)前記増殖したシュートを発根させ、発根した小植物(plantlet)を取得する工程とを含む。本発明のレタス植物の再生方法は、さらに、(d)任意に、発根した小植物から植物を生育させる工程を含んでもよい。前記栄養繁殖の方法は、例えば、下記参考文献8および9を参照できる。本発明の再生方法は、例えば、上記の方法により再生(生産)された小植物、植物または植物個体の部分を提供してもよい。前記植物は、前記寄託系統の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴のすべてを有してもよい。前記「本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」は、前記後代系統の説明において、「後代系統」を「再生された植物」に読み替えて、その説明を援用できる。
参考文献8:Habtamu Gudisa Megersa, “Propagation Methods of Selected Horticultural Crops by Specialized Organs: Review”, Journal of Horticulture, 2017, Volume 4, Issue 2, 1000198
参考文献9:Nitish Kumar et.al., “In vitro Plant Propagation: A Review”, Journal of Forest Science, 2011, Vol. 21, No. 2, pp. 61-72
【0074】
<レタス植物の収穫物および加工品>
本発明は、寄託系統または後代系統の収穫物および/または加工品を提供する。前記収穫物は、植物全体または植物個体の部分であり、好ましくは、葉(例えば、結球葉および展開葉)、葉および根、または種子を含む。
【0075】
前記加工品は、前記寄託系統または後代系統を処理した任意の製品が含まれる。前記処理は、特に制限されず、例えば、カット、スライス、粉砕(ground)、ピューレ、乾燥、缶詰、瓶詰め、洗浄、包装、冷凍および/または加熱処理等があげられる。前記寄託系統または後代系統において、前記加工品に用いられる植物または植物個体の部分は、例えば、葉である。前記加工品は、例えば、前記寄託系統または後代系統を洗浄し、包装したものでもよい。前記加工品は、例えば、任意のサイズまたは形状の容器に収納されてもよい。前記容器の具体例としては、バッグ、箱、カートン(carton)等があげられる。
【0076】
本発明は、1つまたは複数のレタス植物を含む容器を提供してもよい。前記容器は、植物全体または植物個体の部分を含む。
【0077】
本発明は、レタス植物を食品として製造する方法(食品の製造方法)を提供してもよい。本発明の食品の製造方法は、例えば、前記寄託系統または後代系統の植物全体または植物個体の部分、好ましくは、前記寄託系統または後代系統の葉を収集または収穫する工程を含む。また、本発明の食品の製造方法は、前記寄託系統または後代系統のレタス植物が成熟するまで栽培する工程を含む。
【0078】
<遺伝子型の決定方法>
本発明は、寄託系統または後代系統の遺伝子型を決定または検出する方法を提供する。本発明の遺伝子型の決定方法は、例えば、(a)寄託系統または後代系統から核酸サンプルを入手する工程と、(b)核酸サンプル中のゲノムを検出する工程とを含む。前記(a)工程において、前記寄託系統または後代系統からの核酸の調製方法は、組織から核酸を調製する一般的な核酸の調製方法を用いて実施できる。前記(b)工程では、例えば、前記核酸サンプル中のゲノムにおける多型および/またはアリルを検出する。前記多型および/またはアリルの検出は、例えば、SNP(一塩基多型)ジェノタイピング、増幅断片長多型検出(AFLP)、ゲノムDNAの制限酵素断片長多型識別(RFLP)、ゲノムDNAのsequence-characterized amplified region detection (SCAR)、ゲノムDNAのcleaved amplified polymorphic sequence detection (CAPS)、ゲノムDNAのrandom amplified polymorphic detection (RAPD)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、DNAシーケンス、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(allele specific oligonucleotide 、ASO)プローブ、またはDNAマイクロアレイ等を用いて実施できる。前記多型および/またはアリルの検出は、例えば、前記ゲノムの塩基配列をシークエンスすることにより実施してもよいし、前述のように、寄託系統のSNPを参照して実施してもよい。前記(b)工程では、前記ゲノムDNAにおける1つの多型および/またはアリルを検出してもよいし、2つ以上の多型および/またはアリルを検出してもよい。本発明の遺伝子型の決定方法は、多型および/またはアリル(対立遺伝子)の検出結果をコンピュータ可読媒体に保存する工程を含んでもよい。本発明は、そのような方法によって生成されたコンピュータ可読媒体を提供してもよい。
【0079】
本発明の遺伝子型の決定方法は、例えば、前記寄託系統または前記後代系統に代えて、任意のレタス植物(対象レタス植物)に対して実施してもよい。この場合、本発明の遺伝子型の決定方法は、例えば、さらに、前記(b)工程の結果に基づき、前記対象レタス植物が、前記後代系統であるかを判定する工程を含んでもよい。前記判定は、例えば、判別、推定、鑑定、または鑑別ということもできる。前記判定は、例えば、前記(b)工程の結果と、前記寄託系統の遺伝子型との一致率に基づき判断できる。
【実施例0080】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
【0081】
(1)寄託系統の育種
2015年に根腐病レース1抵抗性を有するレタス系統と早生で球肥大に優れ(球が大きい)、かつ晩抽性であるレタス系統を交雑し、F1世代の種子を得た。2016年に前記F1世代を栽培し、自殖種子を得た。2017年にF2世代を160株栽培(80株×2作型)し、草勢が強く、球肥大に優れ、晩抽性であり、かつ根腐病レース1抵抗性を併せ持つ18個体を選抜し、採種した。2018年にF3世代を栽培し、草勢が強く、球肥大に優れ、晩抽性であり、かつ根腐病レース1抵抗性を併せ持つ個体を選抜し、採種した。以後同様に、選抜と採種を繰り返し、2022年にF7世代となったところで目的の形質が固定したと判断し、育成を終了とした。
【0082】
F7世代をアメリカ合衆国アリゾナ州ユマにおける圃場にて、2022年に9月播種の4作型で計約2000株栽培し、系統内の特性のばらつきがないことを確認し、育種したレタス品種が均一性および安定性を有していることを確認した。そして、前記F7世代をのうち3系統の種子をミックスしTEXLE203026と称して、その一部を受託番号FERM BP-22478にて寄託した。
【0083】
(2)寄託系統の形質
得られた寄託系統の植物個体の特性および形質について、農林水産省品種登録の審査基準にしたがって評価した。この結果を表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明によれば、新たなレタス植物を提供できる。このため、本発明は、例えば、育種等の農業分野において極めて有用である。

<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
受託番号FERM BP-22478で特定されるレタス植物またはその後代系統を含む、レタス植物。
(付記2)
前記後代系統は、受託番号FERM BP-22478で特定されるレタス植物のアレルを50%以上含む、レタス植物。
(付記3)
前記後代系統は、受託番号FERM BP-22478で特定されるレタス植物のアレルを50%以上含み、
前記後代系統は、下記(1)~(3)の形質を有する、レタス植物:
(1)球の大きさが「中」である;
(2)抽だい始期が「晩」である;
(3)根腐病レース1抵抗性が「高度抵抗性」である。
(付記4)
前記後代系統は、受託番号FERM BP-22478で特定されるレタス植物のアレルを50%以上含み、
前記後代系統は、下記(1)~(13)の形質を有する、レタス植物:
(1)球の大きさが「中」である;
(2)抽だい始期が「晩」である;
(3)根腐病レース1抵抗性が「高度抵抗性」である;
(4)種子色が「白」である;
(5)株の幅が「中」である;
(6)株の葉上部の重なりが「強」である;
(7)葉の裂片の数が「無又は極小」である;
(8)葉の形が「狭扁円形」である;
(9)葉のアントシアニン着色が「無又は極弱」である;
(10)葉の凹凸が「弱」である;
(11)葉の周縁部の波打ちが「やや強」である;
(12)葉の周縁部の切込みの深さが「やや深」である;
(13)葉の縦断面の形が「扁円形」である。
(付記5)
前記レタス植物は、植物体またはその部分である、付記1から4のいずれかに記載のレタス植物。
(付記6)
前記レタス植物は、種子である、付記1から5のいずれかに記載のレタス植物。
(付記7)
第1のレタス植物と、第2のレタス植物とを交雑する交雑工程を含み、前記第1のレタス植物は、付記1から6のいずれかに記載のレタス植物である、レタス植物の製造方法。
(付記8)
レタス品種TEXLE203026の種子であり、代表的なサンプルが、受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、種子。
(付記9)
レタス品種TEXLE203026のレタス植物であり、代表的なサンプルが、受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス植物。
(付記10)
レタス植物またはその部分であり、前記レタス植物またはその部分は、付記9記載のレタス植物の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する、レタス植物またはその部分。
(付記11)
付記9記載のレタス植物の後代レタス植物であり、前記後代レタス植物は、付記9記載のレタス植物の少なくとも50%のアレルを含み、前記後代レタス植物は、下記(1)~(13)の形質を有する、後代レタス植物:
(1)球の大きさが「中」である;
(2)抽だい始期が「晩」である;
(3)根腐病レース1抵抗性が「高度抵抗性」である;
(4)種子色が「白」である;
(5)株の幅が「中」である;
(6)株の葉上部の重なりが「強」である;
(7)葉の裂片の数が「無又は極小」である;
(8)葉の形が「狭扁円形」である;
(9)葉のアントシアニン着色が「無又は極弱」である;
(10)葉の凹凸が「弱」である;
(11)葉の周縁部の波打ちが「やや強」である;
(12)葉の周縁部の切込みの深さが「やや深」である;
(13)葉の縦断面の形が「扁円形」である。
(付記12)
付記11記載のレタス植物を生産する、種子。
(付記13)
付記9記載のレタス植物の部分。
(付記14)
付記13記載の植物の部分であり、前記植物の部分は、小胞子(microspore)、花粉、子房(ovary)、胚珠、胚嚢、卵細胞、挿し木、根、幹、葉、細胞またはプロトプラストを含む、植物の部分。
(付記15)
レタス種子の生産方法であり、前記方法は、付記9記載のレタス植物を、自殖または他のレタス植物と交雑し、得られた種子を採取(採種)することを含む、方法。
(付記16)
付記15記載の方法により生産された、レタス植物由来のレタス種子。
(付記17)
付記16記載のレタス種子を育てることにより生産された、レタス植物またはその部分。
(付記18)
付記17記載のレタス植物またはその部分であって、前記レタス植物またはその部分は、代表的なサンプルが、受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス品種TEXLE203026の少なくとも50%のアレルを含み、前記レタス植物またはその部分は、下記(1)~(13)の形質を有する、レタス植物またはその部分:
(1)球の大きさが「中」である;
(2)抽だい始期が「晩」である;
(3)根腐病レース1抵抗性が「高度抵抗性」である;
(4)種子色が「白」である;
(5)株の幅が「中」である;
(6)株の葉上部の重なりが「強」である;
(7)葉の裂片の数が「無又は極小」である;
(8)葉の形が「狭扁円形」である;
(9)葉のアントシアニン着色が「無又は極弱」である;
(10)葉の凹凸が「弱」である;
(11)葉の周縁部の波打ちが「やや強」である;
(12)葉の周縁部の切込みの深さが「やや深」である;
(13)葉の縦断面の形が「扁円形」である。
(付記19)
付記17記載のレタス植物またはその部分であって、前記レタス植物またはその部分は、代表的なサンプルが、受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス品種TEXLE203026の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する、レタス植物またはその部分。
(付記20)
付記18記載のレタス植物またはその部分であって、前記レタス植物またはその部分は、1以上の形質が改変されている、レタス植物またはその部分。
(付記21)
付記20記載のレタス植物またはその部分であって、前記改変は、突然変異誘発により行われる、レタス植物またはその部分。
(付記22)
付記9記載のレタス植物由来のレタス植物の種子を生産する方法であって、前記方法は、
(a)受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス品種TEXLE203026を、別のレタス植物と交雑し、種子を生産し、
(b)前記(a)工程の種子からレタス植物を育て、レタス品種TEXLE203026由来のレタス植物を生産し、
(c)前記(b)工程のレタス植物を、自殖または別のレタス植物と交雑し、レタス品種TEXLE203026由来の追加のレタス植物を生産し、
(d)任意に(b)および(c)工程を1回以上繰り返し、レタス品種TEXLE203026由来のレタス植物をさらに生産し、前記(b)工程におけるレタス植物は、前記(c)工程の追加のレタス植物から生育する、ことを含む、方法。
(付記23)
付記22記載の方法により生産される種子であり、前記種子は、付記9記載のレタス植物の少なくとも50%のアレルを含み、前記種子から育つレタス植物は、下記(1)~(13)の形質を有する、種子:
(1)球の大きさが「中」である;
(2)抽だい始期が「晩」である;
(3)根腐病レース1抵抗性が「高度抵抗性」である;
(4)種子色が「白」である;
(5)株の幅が「中」である;
(6)株の葉上部の重なりが「強」である;
(7)葉の裂片の数が「無又は極小」である;
(8)葉の形が「狭扁円形」である;
(9)葉のアントシアニン着色が「無又は極弱」である;
(10)葉の凹凸が「弱」である;
(11)葉の周縁部の波打ちが「やや強」である;
(12)葉の周縁部の切込みの深さが「やや深」である;
(13)葉の縦断面の形が「扁円形」である。
(付記24)
付記23記載のレタス植物の種子を育てることにより生産される、レタス植物。
(付記25)
付記9記載のレタス植物に、少なくとも1つの新たな形質を導入する方法であり、
前記方法は、
(a)受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス品種TEXLE203026を、少なくとも1つの新たな形質を有するレタス植物と交雑し、後代を生産し、
(b)少なくとも1つの新しい形質を含む後代を選抜し、
(c)前記後代を、レタス品種TEXLE203026と交雑し、戻し交雑後代を生産し、
(d)少なくとも1つの新しい形質を含み、レタス品種TEXLE203026の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する戻し交雑後代を選抜し、
(e)任意に、前記(c)工程および(d)工程を1回以上繰り返し、少なくとも1つの新しい形質を含み、レタス品種TEXLE203026の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有するレタス植物を生産し、前記(c)工程におけるレタス植物は、前記(d)工程の選抜された戻し交雑後代である、ことを含む、方法。
(付記26)
付記25記載の方法により生産された、レタス植物。
(付記27)
少なくとも1つの新たな形質を含むレタス品種TEXLE203026に由来するレタス植物の生産方法であり、前記方法は、受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス品種TEXLE203026に、少なくとも1つの形質を付与する突然変異または導入遺伝子を導入する、ことを含む、方法。
(付記28)
付記27記載の方法により生産された、レタス植物。
(付記29)
食品として、レタスの結球葉を生産する方法であり、前記方法は、付記9記載のレタス植物の結球葉または前記結球葉、展開葉及び茎を収穫する、ことを含む、方法。
(付記30)
付記9記載のレタス植物の加工品であり、前記加工品は、カット、スライス、粉砕(ground)、ピューレ、乾燥、缶詰、瓶詰め、洗浄、包装、冷凍および/または加熱処理された結球葉を含む、加工品。
(付記31)
付記9記載のレタス植物またはその後代系統の遺伝子型を決定する方法であり、前記方法は、
(a)付記9記載のレタス植物またはその後代系統から核酸サンプルを取得し、
(b)前記核酸サンプルにおける多型を検出する、
ことを含む、方法。
(付記32)
付記9記載のレタス植物由来の再生可能な細胞またはプロトプラストの培養組織(tissue culture)。
(付記33)
付記32記載の培養組織であり、前記細胞またはプロトプラストは、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、分裂組織細胞(meristematic cell)、根、根端、葯、花、種子または茎に由来する、培養組織。
(付記34)
付記33記載の培養組織から再生された、レタス植物。
(付記35)
付記34記載のレタス植物であり、前記レタス植物は、受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス品種TEXLE203026の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する、レタス植物。
(付記36)
付記9記載のレタス植物を栄養繁殖する方法であり、前記方法は、
(a)受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス品種TEXLE203026のレタス植物から繁殖可能な組織を回収し、
(b)前記組織を培養し、増殖したシュート(shoot)を取得し、
(c)前記増殖したシュートを発根させ、発根した小植物(plantlet)を取得し、
(d)任意に、前記発根した小植物から、植物を生育する、
ことを含む、方法。
(付記37)
付記36記載の方法により生産されるレタス小植物または植物であり、前記レタス小植物または植物は、受託番号FERM BP-22478で寄託されているレタス植物の種子である、レタス品種TEXLE203026の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する、レタス小植物または植物。
(付記38)
受託番号FERM BP-22478で特定されるレタス植物を含む、レタス植物。
(付記39)
付記38記載のレタス植物の後代系統を含み、
前記後代系統は、下記(1)~(13)の形質を有する、レタス植物:
(1)球の大きさが「中」である;
(2)抽だい始期が「晩」である;
(3)根腐病レース1抵抗性が「高度抵抗性」である;
(4)種子色が「白」である;
(5)株の幅が「中」である;
(6)株の葉上部の重なりが「強」である;
(7)葉の裂片の数が「無又は極小」である;
(8)葉の形が「狭扁円形」である;
(9)葉のアントシアニン着色が「無又は極弱」である;
(10)葉の凹凸が「弱」である;
(11)葉の周縁部の波打ちが「やや強」である;
(12)葉の周縁部の切込みの深さが「やや深」である;
(13)葉の縦断面の形が「扁円形」である。
(付記40)
付記38または39記載のレタス植物の雑種第1代系統を含む、レタス植物。
(付記41)
前記レタス植物は、植物体またはその部分である、付記38から40のいずれか一項に記載のレタス植物。
(付記42)
前記レタス植物は、種子である、付記38から41のいずれか一項に記載のレタス植物。
(付記43)
付記38から42のいずれかに記載のレタス植物を自殖させる自殖工程を含む、レタス植物の製造方法。
(付記44)
付記38から42のいずれかに記載のレタス植物と、他のレタス植物とを交雑する交雑工程を含む、レタス植物の製造方法。
(付記45)
種子を採種する採種工程を含む、付記43または44記載のレタス植物の製造方法。


図1
図2
図3