(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153237
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】ラベルロールおよびラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/02 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
G09F3/02 F
G09F3/02 P
G09F3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055611
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】坪内 翔大
(57)【要約】
【課題】透明印刷層において、外観不良を生じさせる凹みの形成が抑制されたラベルを作製することができるラベルロールを提供する。
【解決手段】基材層と、前記基材層の第1表面上に積層された第1印刷層と、前記基材層の前記第1表面とは反対側の第2表面上に積層された第2印刷層とを有するラベル連続体を巻き取ってなるラベルロールであって、前記第1印刷層は、マット剤を含む水性インキから形成された層であり、前記マット剤の平均粒子径は、0.5μm以上2.8μm以下であり、前記第2印刷層は、水性インキから形成された層であり、前記第2印刷層は、前記基材層側とは反対側の表面の算術平均粗さが0.21μm以上0.8μ以下であり、透明である、ラベルロール。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層の第1表面上に積層された第1印刷層と、前記基材層の前記第1表面とは反対側の第2表面上に積層された第2印刷層とを有するラベル連続体を巻き取ってなるラベルロールであって、
前記第1印刷層は、マット剤を含む水性インキから形成された層であり、
前記マット剤の平均粒子径は、0.5μm以上2.8μm以下であり、
前記第2印刷層は、水性インキから形成された層であり、
前記第2印刷層は、前記基材層側とは反対側の表面の算術平均粗さが0.21μm以上0.8μ以下であり、透明である、ラベルロール。
【請求項2】
前記第2印刷層の表面の最大高さは、1.6μm以上6.0μm以下である、請求項1に記載のラベルロール。
【請求項3】
基材層と、前記基材層の第1表面上に積層された第1印刷層と、前記基材層の前記第1表面とは反対側の第2表面上に積層された第2印刷層とを有し、
前記第1印刷層は、マット剤を含む水性インキから形成された層であり、
前記マット剤の平均粒子径は、0.5μm以上2.8μm以下であり、
前記第2印刷層は、水性インキから形成された層であり、
前記第2印刷層は、表面の算術平均粗さが0.21μm以上0.8μm以下であり、透明である、ラベル。
【請求項4】
前記ラベルは、請求項1又は2に記載のラベルロールから巻き出された前記ラベル連続体から切り取って得られる、請求項3に記載のラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のラベルが連続的に連なったラベル連続体を巻き取ってなるラベルロールに関する。
【背景技術】
【0002】
物品には、商品名、絵柄、説明書きなどの所望のデザインが表された各種ラベルが装着されている。各種ラベルには、商品表示等の情報、デザイン性、質感を付与するために、その用途に適したインキを用いて印刷が施されている。近年、環境配慮型の製品の開発が要求されており、ラベルの印刷用のインキとしても水性化が求められている。
【0003】
特許文献1には、特定のバインダー樹脂を含有するラベル用の水性フレキソインキであって、上記水性フレキソインキを用いて形成されるインキ層と基材とを含有する印刷物が開示されている。特許文献2には、特定のバインダー樹脂を含有する、シュリンクラベル用の水性オーバープリントニス及び水性フレキソインキが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2024-033426号公報
【特許文献2】特開2023-116301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水性インキは、揮発性の有機溶剤を実質的に含有しないために環境への負担は少ないが、形成される塗膜の湿潤状態での安定性に課題がある場合がある。本発明者らは、ラベルの内面に水性インキからなる透明印刷層を設けて容器装着時の滑り性を確保しつつ、ラベルの外面にマット剤を含む水性インキから形成される印刷層を設けてマット感を付与することを試みたところ、本来透明に視認されるべき領域において白濁痕が視認される箇所があり外観不良を生じさせているとの問題を知見した。これは、印刷後のラベル連続体を巻き取ってラベルロールを形成した際に、ラベルの内面の透明印刷層にラベルの外面の印刷層に含まれるマット剤が押しつけられて凹みが形成されることがあり、この凹みにおいて光の乱反射が生じていることによるものであることがわかった。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ラベルの内面に水性インキからなる透明印刷層を有し、かつラベルの外面にマット剤を含む水性インキを用いて形成された印刷層を有する構成のラベルにおいて、印刷後のラベル連続体を巻き取ってラベルロールを形成しても、透明印刷層において、外観不良を生じさせる凹みの形成が抑制されたラベルを作製することができるラベルロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のラベルロール及びラベルを提供する。
(1)本発明のラベルロールは、基材層と、上記基材層の第1表面上に積層された第1印刷層と、上記基材層の上記第1表面とは反対側の第2表面上に積層された第2印刷層とを有するラベル連続体を巻き取ってなるラベルロールであって、上記第1印刷層は、マット剤を含む水性インキから形成された層であり、上記マット剤の平均粒子径は、0.5μm以上2.8μm以下であり、上記第2印刷層は、水性インキから形成された層であり、上記第2印刷層は、上記基材層側とは反対側の表面の算術平均粗さが0.21μm以上0.8μ以下であり、透明である。
【0008】
(2)本発明のラベルロールは、上記第2印刷層の表面の最大高さが1.6μm以上6.0μm以下である。
【0009】
(3)本発明のラベルは、基材層と、上記基材層の第1表面上に積層された第1印刷層と、上記基材層の上記第1表面とは反対側の第2表面上に積層された第2印刷層とを有し、上記第1印刷層は、マット剤を含む水性インキから形成された層であり、上記マット剤の平均子粒径は、0.5μm以上2.8μm以下であり、上記第2印刷層は、水性インキから形成された層であり、上記第2印刷層は、表面の算術平均粗さが0.21μm以上0.8μm以下であり、透明である。
【0010】
(4)本発明のラベルは、(1)又は(2)に記載のラベルロールから巻き出された前記ラベル連続体から切り取って得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ラベルの内面に水性インキからなる透明印刷層を有し、かつラベルの外面にマット剤を含む水性インキを用いて形成された印刷層を有する構成のラベルにおいて、印刷後のラベル連続体を巻き取ってラベルロールを形成しても、透明印刷層に生じる凹みに由来する外観不良が抑制されたラベルを作製することができるラベルロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態のラベルの層構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、基材層と、前記基材層の第1表面上に積層された第1印刷層と、前記基材層の前記第1表面とは反対側の第2表面上に積層された第2印刷層とを有するラベル連続体を巻き取ってなるラベルロールである。また、本発明は、前記ラベルロールから巻き出された前記ラベル連続体を切り取って得られるラベルである。以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下のすべての図面においては、各構成要素を理解しやすくするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
【0014】
[ラベル]
図1は、本発明の一実施形態のラベルの層構成を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、ラベル1は、基材層10と、基材層10の第1表面10a上に積層された第1印刷層20と、基材層10の第1表面10aとは反対側の第2表面10b上に積層された第2印刷層30を有する。第1印刷層20はマット剤21を含む水性インキから形成された層である。第2印刷層30は水性インキから形成された層であり透明である。第1印刷層20及び第2印刷層30は、ラベル1の最外層を形成する層である。
【0015】
ラベル1は、基材層10の第2表面10bの少なくとも一部に設けられたデザイン印刷層40を備える。デザイン印刷層40は、例えば、商品名、会社名、説明書き、図柄などのデザイン表示が所望の色彩で表された1層または多層の印刷層である。ラベル1において、デザイン印刷層40は、基材層10の第1表面10a又は第2表面10bの少なくとも一部に設けられることができ、第1表面10a及び第2表面10bの両面に設けられていてもよい。
【0016】
ラベル1は、第1印刷層20側を外面として第2印刷層30側を内面として、容器に装着して用いられる。ラベル1は、マット剤21を含む第1印刷層20によりマット感が付与され、デザイン印刷層40によりデザイン性及び表示情報が付与される、第2印刷層30により容器装着時の滑り性や耐摩耗性が付与される。第2印刷層30は、滑り性を付与するために、滑剤を含むことが好ましい。
【0017】
ラベル1は、容器に装着された状態で外面から視認すると、デザイン印刷層40のデザイン性及び表示情報が視認され、このとき第1印刷層20のマット感が合わせて視認され、デザイン性の向上に寄与する。一方で第2印刷層30は通常視認されない。基材層10が透明であっても、基材層10の第2表面10b側にあるデザイン印刷層40は視認されるものの、第2印刷層30は透明であるので通常視認されない。しかしながら、第2印刷層30の基材層10側とは反対側の表面30aに凹みがあると、ここで光が乱反射し、本来透明であるべき箇所に白濁痕が見えるという外観不良を引き起こすことがある。これについて検討したところ、印刷後のラベル連続体を巻き取ってラベルロールを形成すると、ラベルロールにおいてマット剤21を含む第1印刷層20と対向する第2印刷層の表面30aに、マット剤21が型押しされて凹みが形成されていることがわかった。また、このような凹みの発生は、水性インキにより形成された印刷層における特有の課題である。水性インキにより形成された印刷層は、印刷後湿潤状態にあるため型押しが生じやすいからである。
【0018】
本発明者らは鋭意検討を重ね、第1印刷層20に含まれるマット剤21の平均粒子径を0.5μm以上2.8μm以下とし、第2印刷層30の表面30aの算術平均粗さ(以下、表面粗さRa2とも称する。)を0.21μm以上0.8μ以下とすることにより、印刷後のラベル連続体を巻き取ってラベルロールを形成しても、第2印刷層30の表面30aの凹みの形成が抑制され、また仮に凹みが形成されたとしても、光の乱反射による外観不良を抑制することができるとの知見を得て本発明に至ったものである。
【0019】
第2印刷層30は透明であり、これと同様に、第1印刷層20及び基材層10も透明であること好ましい。第1印刷層20及び基材層10が透明である場合は、デザイン印刷層40が設けられていない領域において、ラベル1が透明である。この透明領域において第2印刷層30が視認できる場合(透明領域に第2印刷層30が形成されている場合)に第2印刷層30の表面30aにおける凹みに由来する外観不良が視認されるので、本発明による効果が顕著である。本実施形態のラベル1の第2印刷層30の表面30aにおける凹みに由来する外観不良を視認することができるのは、「基材層/第2印刷層」が積層され、かつ、透明領域であれば限定されることはなく、例えば、「第1印刷層/基材層/第2印刷層」の透明領域においても、外観不良を視認することができ、第2印刷層の表面30aに有色透明な層が積層されていてもよい。一方で、第1印刷層20及び基材層10の一方が透明でない場合には、第2印刷層30の表面30aにおける凹みに由来する外観不良は視認されにくいものの、ラベルの品質の向上の観点から、本発明の適用は好適である。本明細書において、「透明な層」とは当該層を通して奥に隣接する層を視認することができる程度の透明性を有する層を意味し、「透明なラベル」とは、容器に装着した状態でラベルを通して容器の中身の容量を視認できる状態をいう。「透明」は、無色透明又は有色透明のいずれでもよい。
【0020】
第1印刷層20に含まれるマット剤21は、平均粒子径が0.5μm以上2.8μm以下であり、0.6μm以上2.5μm以下であることが好ましく、0.7μm以上2.3μm以下であることがより好ましい。上記マット剤21の平均粒子径が、上記の数値範囲を満たす場合、ラベルロールにおいて第1印刷層20と第2印刷層30が対向しても、第2印刷層30の表面30aに外観不良を生じさせる凹みが形成されることを抑制することができる。
【0021】
本実施形態において、マット剤21の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡等で撮影されるSEM画像を画像解析ソフトウェアで解析することにより測定された値とする。ここで、マット剤21の平均粒子径は、SEM画像で観察され測定される複数の粒子の粒子径の個数平均である。
【0022】
第2印刷層30の表面30aの表面粗さRa2は、0.21μm以上0.8μm以下であり、0.22μm以上0.7μm以下であることが好ましく、0.23μm以上0.6μm以下であることがより好ましい。上記表面粗さRa2が上記の数値範囲を満たす場合、ラベルロールにおいて第1印刷層20と第2印刷層30が対向しても、第2印刷層30の表面30aに外観不良を生じさせる凹みが形成されることを抑制することができる。
【0023】
本実施形態において、層表面の算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、及び十点平均粗さ(Rz)は、JIS B 0601-1994に準拠した方法で測定される値とする。例えば、表面粗さ測定器(HandySurf E-35A、(株)東京精密社製)を用いて、JIS B 0601-1994に準拠した面スキャン法にて、層表面の任意の箇所を測定することで測定される。
【0024】
基材層10の第2表面10bにデザイン印刷層40が設けられる場合には、滑り性を付与するために第2印刷層30はデザイン印刷層40を被覆するように設けられることが好ましい。また、ラベルの滑り性を安定にするために、第2印刷層30はデザイン印刷層40とデザイン印刷層40がない領域とを被覆するように設けられることがより好ましい。基材層10の第1表面10aにデザイン印刷層が設けられる場合には(不図示)、第1印刷層20の形成領域はデザイン性に応じて適宜選択することができ、第1印刷層20はデザイン印刷層を被覆するように設けてもよく、デザイン印刷層が存在する領域には、第1印刷層20が存在しないように間欠的に設けてもよい。
【0025】
本発明に係るラベル及びラベル連続体は、本発明に係る層構成、すなわち「第1印刷層20/基材層10/第2印刷層30」が、ラベルの少なくとも一部に当該層構成を有するものが好ましい。例えば、本発明に係る層構成における第2印刷層30は透明であるものの、本発明に係るラベル及びラベル連続体は、第2印刷層30のない領域において不透明印刷層(例えば、白色印刷層)の領域を有してよく、「第1印刷層20/基材層10/不透明印刷層」の層構成を有する領域を有していてもよい。この場合、不透明印刷層は、第2印刷層30と同様に、容器装着時の滑り性を付与するために滑剤を含む層であることが好ましい。例えば、本発明に係る層構成における第1印刷層20はマット剤21を含むものの、第1印刷層のない領域においてマット剤を含まない印刷層の領域を有してよく、本発明に係るラベル及びラベル連続体は、「マット剤を含まない印刷層/基材層10/第2印刷層30」の層構成を有する領域を有していてもよい。最外層に、マット剤21を含む第1印刷層20と、マット剤を含まない印刷層とが存在することで、マット剤を含む部分とマット剤を含まない部分との層の表面に光沢差が生じる。そのため、デザインや文字等の立体感がより際立って表現することができる。
【0026】
<基材層>
本実施形態における基材層としては、熱可塑性のラベル基材を用いることができ、例えば、熱収縮性のラベル基材又は非熱収縮性のラベル基材を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレタフタレート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等のポリエステル系樹脂からなるポリエステル系フィルム;スチレン-ブタジエンブロック共重合体等のポリスチレン系樹脂からなるポリスチレン系フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂からなるポリオレフィン系フィルム;塩化ビニル系樹脂からなるポリ塩化ビニル系フィルムなどが挙げられる。熱収縮性のラベル基材は、少なくとも一方向の熱収縮率が90℃の熱水で10秒浸漬の条件で30%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。非熱収縮性のラベル基材は、いずれの方向においても熱収縮率が90℃の熱水で10秒浸漬の条件で5%未満であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
【0027】
本実施形態の基材層は、透明基材層であることが好ましい。基材層が透明であることにより、第2印刷層30の表面30aにおける凹みに由来する外観不良を視認することができる。
【0028】
本実施形態における基材層10の厚みは、10μm以上100μm以下であってもよく、12μm以上60μm以下であってもよい。
【0029】
<第1印刷層>
本実施形態における第1印刷層20は、基材層10の第1表面10a上に設けられ、マット剤21を含む水性インキから形成される。第1印刷層20は、例えば、有版印刷により形成することができる。本実施形態において、「有版印刷」とは、版を用いて印刷する印刷方式のことを示す。上記有版印刷として、例えば、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷、及び孔版印刷等が挙げられる。本実施形態における第1印刷層20は、凸版印刷、及び凹版印刷されて基材層10上に形成されることが好ましく、凸版印刷(フレキソ印刷)されて基材層10上に形成されることがより好ましい。
【0030】
本実施形態における第1印刷層20は、ラベル表面にマット感を付与できることから、基材層10の第1表面10aの全体又は部分的に設けられてもよい。第1印刷層20は、基材層10の第1表面10a上に部分的に設けられていることが好ましい。第1印刷層20は、ラベル1の最外層を形成する層である。また、基材層10の第1表面10aに第1印刷層20を部分的に設けた場合は、基材層10の第1表面10aと第1印刷層20とがラベル1の最外面を形成する層となる。
【0031】
第1印刷層20は、マット剤21を含む水性インキからなる層であり、ラベルの表面にマット感を付与することができる層である。マット剤21の種類としては、アクリルビーズ、中空アクリルビーズ、メラミン樹脂等の有機粒子、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機粒子等を用いることができる。これらのマット剤21は、単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0032】
第1印刷層20は、マット剤21を第1印刷層20の固形分全量に対して10質量%以上80質量%以下含んでもよく、15質量%以上70質量%以下含んでもよい。第1印刷層20中に含まれるマット剤21の含有量が上記数値範囲に含まれることで、外観不良の発生をより抑制することができる。
【0033】
第1印刷層20における基材層10側とは反対側の表面20aの算術平均粗さ(以下、表面粗さRa1とも称する。)は、0.38未満であってもよく、0.35未満であってもよく、0.33未満であってもよい。上記表面粗さRa1が上記の数値範囲を満たす場合、ラベルロールで対向する第2印刷層30において、外観不良を生じさせる凹みが形成されることをさらに抑制することができる。上記表面粗さRa1の下限は、特に制限されず、例えば、0.1以上であってもよく、0.15以上であってもよい。
【0034】
第1印刷層20における表面20aの最大高さ(以下、最大高さRy1とも称する。)は、3.0未満であってもよく、2.5未満であってもよく、2.2未満であってもよい。上記最大高さRy1が上記の数値範囲を満たす場合、ラベルロールで対向する第2印刷層30において、外観不良を生じさせる凹みが形成されることをさらに抑制することができる。上記最大高さRy1の下限は、特に制限されず、例えば、0.2以上であってもよく、0.5以上であってもよい。
【0035】
第1印刷層20における表面20aの十点平均粗さ(以下、平均粗さRz1とも称する。)は、2.1未満であってもよく、2.0未満であってもよく、1.9未満であってもよい。上記平均粗さRz1が上記数値範囲を満たす場合、ラベルロールで対向する第2印刷層30において、外観不良を生じさせる凹みが形成されることをさらに抑制することができる。上記平均粗さRz1の下限は、特に制限されず、例えば、0.2以上であってもよく、0.5以上であってもよい。
【0036】
第1印刷層20の厚みは、0.1μm以上10μm以下であってもよく、0.2μm以上5μm以下であってもよい。第1印刷層20の厚みが上記数値範囲であることにより、ラベルロールで対向する第2印刷層30において、第1印刷層20に含まれるマット剤21により外観不良を生じさせる凹みが形成されることをさらに抑制することができる。
【0037】
第1印刷層20の表面20aについて、上記Ra1、Ry1、Rz1は、マット剤21の平均粒子径や含有量、第1印刷層20の厚みを調整することにより適宜実現することができる。
【0038】
第1印刷層20を形成する水性インキは、マット剤21を含み、その他に従来用いられる水性インキに含まれる成分を含むものであり、例えば、水、水溶性有機溶剤、樹脂、着色剤等が含まれる。水は、水性インキとして溶媒または分散媒の役割を果たす。上記水性インキは、インキに乾燥性を与える目的から、アルコール類等の水溶性有機溶剤を混合してもよい。また、上記樹脂としては、セルロース樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂等が含まれる。
【0039】
上記着色剤は、公知の着色剤であればよく、例えば、二酸化チタン、弁柄、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、マイカ、タルク、パール等の無機顔料、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、ジオキサジン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、カーボンブラック等の有機顔料、イエロー分散染料、オレンジ分散染料、レッド分散染料、バイオレット染料、グリーン分散染料、ブラウン分散染料、ブルー分散染料、ブラック分散染料等の染料が挙げられる。第1印刷層20は透明であることが好ましい。したがって、第1印刷層20は、マット剤21以外の着色剤を含んでいないことが好ましい。第1印刷層20がマット剤21以外の着色剤を含む場合、上記着色剤は第1印刷層20が透明性を維持できる程度の含有量で含まれることが好ましい。
【0040】
第1印刷層20は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、例えば、沈降防止剤、消泡剤、分散剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤、色別れ防止剤、香料、及び消臭剤等が挙げられる。
【0041】
<第2印刷層>
本実施形態における第2印刷層30は、基材層10の第2表面10b上に設けられ、水性インキから形成される。本実施形態における第2印刷層30は、ラベルの滑り性を安定にできることから、基材層10の第2表面10bの全体又は部分的に設けられてもよい。第2印刷層30は、滑り性を付与する観点から、基材層10の第2表面10bの全面を基準にして、第2印刷層が80%以上設けられていることが好ましく、85%以上設けられていることがより好ましく、90%以上設けられていることが更に好ましく、全面に設けられていることが最も好ましい。
【0042】
第2印刷層30の表面30aの算術平均粗さ(Ra)は、0.21μm以上0.8μm以上である。第2印刷層30は、水性インキを用いて、有版印刷又は無版印刷により基材層10の第2表面10b上に設けられる。本実施形態において、「無版印刷」とは、版を用いずに印刷する印刷方式のことを示す。本実施形態における最裏面層は、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷、及び孔版印刷等の有版印刷、レーザープリント、及びインクジェットプリント等の無版印刷で形成されることが好ましく、凸版印刷及び凹版印刷されて形成されることがより好ましく、凸版印刷(フレキソ印刷)されて形成されることが更に好ましい。
【0043】
第2印刷層30は、滑り性を付与するために滑剤を含むことが好ましい。第2印刷層30を形成する水性インキには、一般に用いられる水性インキから着色剤を除いた水性インキ(以下、このようなインキを「水性メジウムインキ」ともいう)を使用できる。水性メジウムインキの成分としては、水、水溶性有機溶剤、樹脂、滑剤等が含まれる。水は、水性インキとして溶媒の役割を果たす。上記水性インキは、インキに乾燥性を与える目的から、アルコール類等の水溶性有機溶剤を混合してもよい。上記樹脂としては、セルロース樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂等が含まれる。上記滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、及びフッ素変性ポリエチレンワックス等のポリエチレン系滑剤、ポリプロピレンワックス等のポリプロピレン系滑剤、ポリエチレンテレフタレートワックス等のポリエステル系滑剤、並びにポリテトラフルオロエチレンワックス等のフッ素系滑剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む滑剤を用いることができる。その中でも、滑剤は、ポリエチレン系ワックス、又はポリプロピレン系滑剤を含むことが好ましい。
【0044】
第2印刷層30における表面30aの最大高さ(以下、最大高さRy2とも称する。)は、1.6以上6.0以下であってもよく、1.8以上5.0以下であってもよい。上記最大高さRy2が上記の数値範囲を満たす場合、第2印刷層30の透明感を維持することができる。
【0045】
第2印刷層30における表面30aの十点平均粗さ(以下、平均粗さRz2とも称する。)は、1.20以上4.0以下であってもよく、1.30以上3.5以下であってもよい。上記平均粗さRz2が上記数値範囲を満たす場合、第2印刷層30の透明感を維持することができる。
【0046】
第2印刷層30の厚みは、0.1μm以上10μm以下であってもよく、0.2μm以上8.0μm以下であってもよく、0.3μm以上5.0μm以下であってもよい。第2印刷層30の厚みが上記数値範囲であることにより、滑り性を付与しつつ、ラベル全体の厚みを抑制することができる。
【0047】
<デザイン印刷層>
デザイン印刷層40は、視認可能な絵柄及び文字等を表示する層であり、上記デザイン層を有することにより、外観に優れたラベルとなる。デザイン印刷層は、有色透明層であってもよく、有色不透明層であってもよい。デザイン印刷層は、公知の着色剤を単独で用いて形成されてもよく、2種以上の組み合わせを用いて形成されてもよい。デザイン印刷層40は、公知の印刷インキを用い、グラビア印刷法などの各種印刷法で設けることができる。上記デザイン層の厚みは、例えば、0.5μm以上5μm以下とすることができる。
【0048】
本実施形態のラベルは、上記第1印刷層が基材層の第1表面に部分的に設けられ、該基材層が透明であり、該デザイン印刷層が基材層の第2表面に部分的に設けられることによってデザイン印刷層のない透明領域を有し、該第2印刷層が透明で基材層の第2表面の全体に設けられている形態が最良の形態である。
【0049】
[ラベル連続体、ラベルロール]
上記したラベルは、長尺状のラベル連続体から枚葉体に切り出されて得られる。ラベル連続体は、上記したラベルが長手方向に少なくとも複数枚連なって形成され、例えば、500m以上20000m以下の長尺体である。ラベル連続体は、巻き取られてラベルロールとして保管、運搬等がされる。
【0050】
ラベル連続体は、長尺状の基材の一方の表面上に、水性インキを用いて第1印刷層が形成され、基材のもう一方の表面上に、水性インキを用いて第2印刷層が形成されることにより製造される。第1印刷層と第2印刷層の印刷方法については上述の通りである。ここで、第1印刷層と第2印刷層の印刷順序は限定されない。先に形成された印刷層が乾燥及び硬化等により固化された後に、次の印刷層が形成されることが好ましい。製造された該ラベル連続体はロール状に巻き取られて、ラベルロールとして保管、運搬等がされる。ラベル連続体がロール状に巻き取られる際には、第1印刷層20が内側であってもよく、第2印刷層30が内側であってもよい。ラベル連続体は、マット感が付与された層の効果を視認できる観点から、第2印刷層30が内側となるように巻き取られることが好ましい。
【0051】
ラベルは、ラベルロールからラベル連続体が巻き出されて、これを切断することにより枚葉体に切り出されて得られる。ラベル連続体の切断は、例えば、1または複数の刃先を有するスリットにより切断され、該ラベル連続体は1のラベル又は複数のラベルを同時に得る方法によることができる。
【実施例0052】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例、比較例中の「%」及び「部」で表される配合量は、特記しない限り、質量%及び質量部である。
【0053】
(1)第1印刷層用の水性インキの調製
水性インキAには、水性フレキソ印刷用のアクリル系マットインキを用いた。該水性インキAには、シリカを含むマット剤が当該インキの乾燥塗膜全体に対し36質量%含まれていた。水性インキBには、マット剤の平均粒子径が前記水性インキAと異なる水性フレキソ印刷用のアクリル系マットインキを用いた。該水性インキBには、シリカを含むマット剤が当該インキの乾燥塗膜全体に対し36質量%含まれていた。
【0054】
(2)第2印刷層用の水性インキの調製
水性インキCは、滑剤としてポリエチレン系ワックスを含むアクリル系裏メジウムインキを用いた。水性インキCには、上記滑剤が乾燥塗膜となった時に塗膜全体に対して7%含まれていた。水性インキDは、滑剤として水性インキCと平均粒子径が異なるポリエチレンワックスを含むアクリル系裏メジウムインキを用いた。水性インキDには、上記滑剤が乾燥塗膜となった時に塗膜全体に対して7%含まれていた。
【0055】
(3)ラベルロールの作製
<実施例1>
まず、基材に、水性インキAを印刷して第1印刷層を形成した。基材は、ポリスチレン系シュリンクフィルム(商品名27041S、三菱ケミカル社製)を用いた。第1印刷層は、フレキソ印刷版を用いて、水性インキAを基材層上に部分的に塗布して形成された。次いで、第2印刷層は、フレキソ印刷版を用いて、基材層の第1印刷層が形成されていない側の全面に水性インキCを塗布して形成された。このようにして、[第1印刷層(水性インキA、厚さ:0.7μm)/基材層(厚さ:40μm)/第2印刷層(水性インキC、厚さ:0.5μm)]の構成からなる長尺のラベル連続体を作製した。その後、ラベル連続体を第2印刷層が内側となるように巻き取ってラベルロールを作製した。
【0056】
<比較例1>
上記水性インキAに代えて、水性インキBを用いて、第1印刷層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、[第1印刷層(水性インキB、厚さ:0.7μm)/基材層(厚さ:40μm)/第2印刷層(水性インキC、厚さ:0.5μm)]の構成からなる長尺のラベル連続体を作製した。
【0057】
<比較例2>
上記水性インキCに代えて、水性インキDを用いて、第2印刷層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、[第1印刷層(水性インキA、厚さ:0.7μm)/基材層(厚さ:40μm)/第2印刷層(水性インキD、厚さ:0.5μm)]の構成からなる長尺のラベル印刷体を作製した。
【0058】
<比較例3>
上記水性インキAに代えて水性インキBを用いて、かつ、上記水性インキCに代えて水性インキDを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、[第1印刷層(水性インキB、厚さ:0.7μm)/基材層(厚さ:40μm)/第2印刷層(水性インキD、厚さ:0.5μm)]の構成からなる直尺のラベル連続体を作製した。
【0059】
(4)各パラメータの測定
<表面粗さ>
ラベルロールを切り出して10mm×10mmの試験片を作製し、JIS B 0601-1994に準拠し、表面粗測定器(HandySurf E-35A、(株)東京精密社製)を用いて、平台に静置した試験片の第1印刷層の第1表面におけるRa、Ry、Rzと、第2印刷層の第1表面におけるRa、Ry、Rzと、を測定した。測定結果を表1に示した。
【0060】
<マット剤の平均粒子径>
ラベルロールの第1印刷層の第1表面について、走査型電子顕微鏡(TM3030 Plus、(株)日立ハイテク社製)を用いて、SEM画像を撮影した。撮影されたSEM画像から、任意に10個のマット剤を抽出し、各マット剤の粒子径を測定した。マット剤の平均粒子径は、測定された任意の10個のマット剤の粒子径の個数平均値とした。
【0061】
(5)評価
実施例及び比較例で得られたラベルロールについて、以下の評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0062】
<外観視認性>
実施例及び比較例のラベルロールを24時間、23℃±2℃の状態で静置させた。その後、ラベルロールから、ラベル連続体を引き出し、第1印刷層側から白濁痕の有無を目視で確認した。
+:白濁痕なし
-:白濁痕あり
【0063】
【0064】
【0065】
表2の結果から、実施例1のラベル連続体は、白濁痕が見られなかった。一方、比較例1~3のラベル連続体は、白濁痕が見られ、外観不良が発生していた。以上の結果から、実施例のラベル連続体は、外観視認性が良好であることがわかった。
【0066】
今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内での全ての原稿が含まれることが意図される。
1 ラベル、10 基材層、10a 基材層の第1表面、10b 基材層の第2表面、20 第1印刷層、20a 第1印刷層の表面、21 マット剤、30 第2印刷層、30a 第2印刷層の表面、40 デザイン印刷層。