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特開2025-15326ヘッドレスト支持構造及び車両用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015326
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】ヘッドレスト支持構造及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/897 20180101AFI20250123BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B60N2/897
A47C7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118657
(22)【出願日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】影山 敦士
(72)【発明者】
【氏名】堀越 善生
(72)【発明者】
【氏名】北爪 伸弥
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084DB01
3B084DD01
3B087DC06
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】ヘッドレストブッシュ内へのグリスの注入が容易なヘッドレスト支持構造を得る。
【解決手段】ヘッドレスト支持構造は、ヘッドレストステーが挿入される筒状部32Bを有し、筒状部32Bの径方向に開口したグリス注入孔36が筒状部32Bに形成されたヘッドレストブッシュ32と、グリス注入孔36から筒状部32B内に注入され、筒状部32Bの内周面とヘッドレストステーとの間に介在したシリコングリスGと、を備えている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレストステーが挿入される筒状部を有し、前記筒状部の径方向に開口したグリス注入孔が前記筒状部に形成されたヘッドレストブッシュと、
前記グリス注入孔から前記筒状部内に注入され、前記筒状部の内周面と前記ヘッドレストステーとの間に介在したグリスと、
を備えたヘッドレスト支持構造。
【請求項2】
伸縮性を有する材料によって筒状に形成されて前記筒状部の外側に取り付けられ、前記グリス注入孔を覆う筒状カバーを備えた請求項1に記載のヘッドレスト支持構造。
【請求項3】
前記筒状カバーは、貫通孔を有しており、前記貫通孔が前記グリス注入孔に対向して前記グリス注入孔が開放される開放位置と、前記グリス注入孔を閉塞する閉塞位置との間で前記筒状部に対して回転可能とされている請求項2に記載のヘッドレスト支持構造。
【請求項4】
断面C字形の略筒状に形成されて前記筒状部の外側に取り付けられ、前記グリス注入孔を開放する開放位置と、前記グリス注入孔を閉塞する閉塞位置との間で前記筒状部に対して回転可能とされたC字形カバーを備えた請求項1に記載のヘッドレスト支持構造。
【請求項5】
乗員が着座するシートクッションと、
前記乗員の背部を支持するシートバックと、
前記乗員の頭部を支持するヘッドレストと、
前記シートバックの上端部に取り付けられ、前記ヘッドレストのヘッドレストステーが前記ヘッドレストブッシュの前記筒状部に挿入された請求項1又は請求項2に記載のヘッドレスト支持構造と、
を備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関し、特にヘッドレスト支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ヘッドレストブッシュが備える軸受が潤滑油を含み得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-536863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドレストブッシュに挿入されるヘッドレストステーには、潤滑剤としてシリコングリスが塗布される場合がある。しかしながら、そのようなシリコングリスは粘度が高いため、ヘッドレストブッシュの上端開口付近に付着してしまい、ヘッドレストブッシュの内側に十分に入り込まなくなる。その結果、ヘッドレストの上下位置調整の操作力が重くなったり、ヘッドレストの表皮にシリコングリスが付着する等の問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ヘッドレストブッシュ内へのグリスの注入が容易なヘッドレスト支持構造及び車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のヘッドレスト支持構造は、ヘッドレストステーが挿入される筒状部を有し、前記筒状部の径方向に開口したグリス注入孔が前記筒状部に形成されたヘッドレストブッシュと、前記グリス注入孔から前記筒状部内に注入され、前記筒状部の内周面と前記ヘッドレストステーとの間に介在したグリスと、を備えている。
【0007】
第1の態様のヘッドレスト支持構造では、ヘッドレストブッシュは、ヘッドレストステーが挿入される筒状部に、当該筒状部の径方向に開口したグリス注入孔が形成されている。そして、筒状部の内周面とヘッドレストステーとの間には、グリス注入孔から筒状部内に注入されたグリスが介在している。このように、ヘッドレストブッシュの筒状部に径方向に開口したグリス注入孔が形成されているので、ヘッドレストブッシュの筒状部内へのグリスの注入が容易になる。
【0008】
第2の態様のヘッドレスト支持構造は、第1の態様において、伸縮性を有する材料によって筒状に形成されて前記筒状部の外側に取り付けられ、前記グリス注入孔を覆う筒状カバーを備えている。
【0009】
第2の態様のヘッドレスト支持構造では、伸縮性を有する材料によって筒状に形成された筒状カバーが、ヘッドレストブッシュの筒状部の外側に取り付けられており、グリス注入孔が筒状カバーによって覆われる。これにより、グリス注入孔からのグリスの漏れや揮発を防止可能となる。
【0010】
第3の態様のヘッドレスト支持構造は、第2の態様において、前記筒状カバーは、貫通孔を有しており、前記貫通孔が前記グリス注入孔に対向して前記グリス注入孔が開放される開放位置と、前記グリス注入孔を閉塞する閉塞位置との間で前記筒状部に対して回転可能とされている
【0011】
第3の態様のヘッドレスト支持構造では、筒状カバーの貫通孔がグリス注入孔に対向する開放位置に筒状カバーを回転させることにより、グリス注入孔が開放され、ヘッドレストブッシュの筒状部内へのグリスの注入が可能となる。筒状カバーが閉塞位置に回転されると、グリス注入孔が筒状カバーによって閉塞される。このように、筒状カバーが回転式であるため、グリス注入孔の開放と閉塞を容易に行うことができる。
【0012】
第4の態様のヘッドレスト支持構造は、第1の態様において、断面C字形の略筒状に形成されて前記筒状部の外側に取り付けられ、前記グリス注入孔を開放する開放位置と、前記グリス注入孔を閉塞する閉塞位置との間で前記筒状部に対して回転可能とされたC字形カバーを備えている。
【0013】
第4の態様のヘッドレスト支持構造では、断面C字形の略筒状に形成されて前記筒状部の外側に取り付けられたC字形カバーを開放位置に回転されることにより、グリス注入孔が開放され、ヘッドレストブッシュの筒状部内へのグリスの注入が可能となる。C字形カバーが閉塞位置に回転されると、グリス注入孔がC字形カバーによって閉塞される。グリス注入孔からのグリスの漏れや揮発を防止可能となる。このように、C字形カバーが回転式であるため、グリス注入孔の開放と閉塞を容易に行うことができる。
【0014】
第5の態様の車両用シートは、乗員が着座するシートクッションと、前記乗員の背部を支持するシートバックと、前記乗員の頭部を支持するヘッドレストと、前記シートバックの上端部に取り付けられ、前記ヘッドレストのヘッドレストステーが前記ヘッドレストブッシュの前記筒状部に挿入された第1の態様~第4の態様の何れか1つの態様のヘッドレスト支持構造と、を備えている。
【0015】
第5の態様の車両用シートでは、シートクッションに着座する乗員の背部がシートバックによって支持され、該乗員の頭部がヘッドレストによって支持される。このヘッドレストのヘッドレストステーは、シートバックの上端部に取り付けられたヘッドレストブッシュの筒状部に挿入されている。このヘッドレストブッシュは、第1の態様~第4の態様の何れか1つの態様のヘッドレスト支持構造を構成するものであるため、前述した効果が得られる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、ヘッドレストブッシュ内へのグリスの注入が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る車両用シートを示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るヘッドレスト支持構造が備えるヘッドレストブッシュを示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係るヘッドレスト支持構造が備える筒状カバーを示す斜視図である。
図4】ヘッドレストブッシュに筒状カバーが取り付けられた状態を示す斜視図である。
図5】比較例に係るヘッドレストとヘッドレストブッシュを示す斜視図である。
図6】比較例に係るヘッドレストのヘッドレストステーに塗布されたシリコングリスがヘッドレストブッシュの上端開口付近に付着した状態を示す断面図である。
図7】ヘッドレストブッシュの上端開口からヘッドレストブッシュ内にシリコングリスが注入されている状態を示す断面図である。
図8】ヘッドレストブッシュの筒状部に形成されたグリス注入孔から筒状部内にシリコングリスが注入されている状態を示す断面図である。
図9】筒状カバーの変形例を示す斜視図である。
図10】第2実施形態に係るヘッドレスト支持構造が備える筒状カバーを示す斜視図である。
図11】ヘッドレストブッシュに取り付けられた筒状カバーが開放位置に位置する状態を示す斜視図である。
図12】ヘッドレストブッシュに取り付けられた筒状カバーが閉塞位置に位置する状態を示す斜視図である。
図13】第3実施形態に係るヘッドレスト支持構造が備えるC字状カバーを示す斜視図である。
図14】ヘッドレストブッシュに取り付けられたC字状カバーが開放位置に位置する状態を示す斜視図である。
図15】ヘッドレストブッシュに取り付けられたC字状カバーが閉塞位置に位置する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、図1図9を参照して本発明の第1実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、各図中においては、図面を見易くする関係から一部の符号を省略している場合がある。また、図1に示される矢印FR、LH及びUPは、車両用シート10の前方、左方及び上方をそれぞれ示している。以下、単に前後左右上下の方向を用いて説明する場合、車両用シート10に対する方向を示すものとする。
【0019】
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る車両用シート10は、乗員が着座するシートクッション12と、乗員の背部を支持するシートバック14と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備えている。
【0020】
ヘッドレスト16は、ヘッドレストステー18と、ヘッドレストステー18に支持されたヘッドレストパッド20と、ヘッドレストパッド20を覆ったヘッドレスト表皮22とを有している。ヘッドレストステー18は、例えば金属製のパイプが曲げ加工されたものであり、前後方向から見て略逆U字状をなしている。ヘッドレストパッド20は、例えばヘッドレストステー18と一体発泡成形されたウレタンフォーム等の発泡体によって構成されており、ヘッドレストステー18の上部がヘッドレストパッド20内に埋め込まれている。ヘッドレスト表皮22は、例えば布材、皮革又は合成皮革等からなる複数の表皮片が縫製されて袋状に形成されたものであり、ヘッドレストパッド20に被せられている。
【0021】
ヘッドレスト16のヘッドレストステー18は、本発明の第1実施形態に係るヘッドレスト支持構造30によってシートバック14に支持されている。このヘッドレスト支持構造30は、シートバック14の上端部に取り付けられており、ヘッドレストステー18の左右二つの脚部18Aが挿入された左右二つのヘッドレストブッシュ32と、各ヘッドレストブッシュ32内に注入されたシリコングリスG(図8参照)とを有している。
【0022】
図2に示されるように、各ヘッドレストブッシュ32は、例えば樹脂の射出成形によって製造されたものであり、全体として筒状に形成されている。各ヘッドレストブッシュ32には、上端から下端にかけてヘッドレストステー18の脚部18Aが挿入される挿入孔34が形成されている。各ヘッドレストブッシュ32の上端部には、円板状の頭部32Aが設けられており、頭部32Aの下方には、略円筒状の筒状部32Bが設けられている。
【0023】
左右のヘッドレストブッシュ32の筒状部32Bは、シートバック14の図示しないフレームの上端部に設けられた左右二つの筒状のブラケットに挿入されており、シートバック14のフレームに支持されている。左右のヘッドレストブッシュ32の頭部32Aは、シートバック14の上方に露出して配置されている。
【0024】
左右のヘッドレストブッシュ32の挿入孔34には、ヘッドレストステー18の左右の脚部18Aが上方側から挿入されている。一方のヘッドレストブッシュ32の頭部32Aには、図示しないロック機構が設けられており、一方のヘッドレストブッシュ32に対する脚部18Aの上下方向への相対移動が規制されている。一方のヘッドレストブッシュ32の頭部32Aには、上記ロック機構のロックを解除する図示しないボタンが設けられており、当該ボタンを押圧操作することで、ヘッドレストステー18すなわちヘッドレスト16が左右のヘッドレストブッシュ32に対して上下方向に相対移動可能となる。
【0025】
各ヘッドレストブッシュ32の筒状部32Bの上下方向中央部(軸線方向中央部)には、筒状部32Bの径方向に開口したグリス注入孔36が形成されており、筒状部32Bの内側(すなわち挿入孔34)と外側とがグリス注入孔36を介して連通している。グリス注入孔36は、一例として円形に形成されている。このグリス注入孔36から筒状部32B内に注入されたシリコングリスG(図8参照)が、筒状部32Bの内周面とヘッドレストステー18の脚部18Aとの間に介在している。このグリス注入孔36は、筒状カバー40(図3参照)によって塞がれている。
【0026】
筒状カバー40は、伸縮性を有する材料によって筒状に形成されており、筒状部32Bの外側に取り付けられている。上記の伸縮性を有する材料としては、例えばウレタンフォーム等のスポンジ状の材料が採用されている。筒状カバー40の上下方向両側で筒状部32Bには、筒状部32Bの径方向外側へ突出した複数の凸部38が形成されている。これらの凸部38によって筒状部32Bに対する上下方向の筒状カバー40の相対移動が制限されている。筒状部32Bに筒状カバー40が取り付けられる際には、例えば拡径された筒状カバー40の内側に、筒状部32Bが下端側から挿入される構成になっている。
【0027】
上記構成の車両用シート10では、シートクッション12に着座した乗員の背部がシートバック14によって支持され、乗員の頭部がヘッドレスト16によって支持される。シートバック14の上端部には、ヘッドレスト16のヘッドレストステー18の左右の脚部18Aが挿入された左右のヘッドレストブッシュ32が設けられている。各ヘッドレストブッシュ32は、脚部18Aが挿入された筒状部32Bを有しており、筒状部32Bの径方向に開口したグリス注入孔36が筒状部32Bの上下方向中央部に形成されている。そして、筒状部32Bの内周面と脚部18Aとの間には、グリス注入孔36から筒状部32B内に注入されたシリコングリスGが介在している。このように、ヘッドレストブッシュ32の筒状部32Bに径方向に開口したグリス注入孔36が形成されているので、筒状部32B内へのシリコングリスGの注入が容易になる。
【0028】
上記の効果について図5図7に示される比較例を用いて補足説明する。図5に示されるように、従来は、ヘッドレストブッシュ32にヘッドレストステー18を挿入する際に、左右の脚部18AにシリコングリスGを塗布する場合があった。そのような場合、図6に示されるように、粘度が高いシリコングリスGがヘッドレストブッシュ32の挿入孔34の上端開口付近に付着してしまい、ヘッドレストブッシュ32の内側にシリコングリスGが十分に入り込まなくなる。その結果、ヘッドレスト16の上下位置調整の操作力が重くなったり、ヘッドレスト表皮22にシリコングリスGが付着する等の問題が生じる。また、ヘッドレストステー18の左右の脚部18Aは緩やかに湾曲しており、ヘッドレストブッシュ32に対して局部的に接触するため、各脚部18Aの全体にシリコングリスGを塗るのは非効率であった。
【0029】
また、図7に示されるように、ヘッドレストブッシュ32の挿入孔34の上端開口からヘッドレストブッシュ32内にシリコングリスGを注入する場合、シリコングリスGの粘度が高いため、筒状部32Bの奥までシリコングリスGを注入することが困難である。この点、本実施形態では、図8に示されるように、筒状部32Bの上下方向中央部に形成されたグリス注入孔36から筒状部32B内にシリコングリスGを注入するため、筒状部32B内に適切にシリコングリスGを行き渡らせることができる。なお、図7及び図8において、42はグリスガンである。
【0030】
また、本実施形態では、伸縮性を有する材料によって筒状に形成された筒状カバー40が、ヘッドレストブッシュ32の筒状部32Bの外側に取り付けられており、グリス注入孔36が筒状カバー40によって覆われている。これにより、グリス注入孔36からのシリコングリスGの漏れや揮発を防止可能となる。
【0031】
なお、本実施形態では、筒状カバー40がウレタンフォーム等のスポンジ状の材料によって構成されているが、例えば図9に示されるように、筒状カバー40が二層構造とされた構成にしてもよい。この図9に示される例では、筒状カバー40の外周部分40Aがゴムによって構成されており、筒状カバー40の内周部分40Bがスポンジ状の材料によって構成されている。
【0032】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
【0033】
<第2の実施形態>
図10には、本発明の第2実施形態に係るヘッドレスト支持構造が備える筒状カバー50が斜視図にて示されており、図11には、ヘッドレストブッシュ32に取り付けられた筒状カバー50が開放位置に位置する状態が斜視図にて示されており、図12には、ヘッドレストブッシュ32に取り付けられた筒状カバー50が閉塞位置に位置する状態が斜視図にて示されている。
【0034】
上記の筒状カバー50は、貫通孔52を有している以外は、第1実施形態に係る筒状カバー40と同様の構成とされている。貫通孔52は、一例として円形に形成されている。この筒状カバー50は、貫通孔52がグリス注入孔36に対向してグリス注入孔36が開放される開放位置(図11に示される位置)と、グリス注入孔36を閉塞する閉塞位置(図12に示される位置)との間で筒状部32Bに対して回転可能とされている。
【0035】
この実施形態では、筒状カバー50の貫通孔52がグリス注入孔36に対向する開放位置に筒状カバー50を回転させることにより、グリス注入孔36が開放され、ヘッドレストブッシュ32の筒状部32B内へのシリコングリスGの注入が可能となる。筒状カバー50が図12に矢印Rで示されるように閉塞位置に回転されると、グリス注入孔36が筒状カバー50によって閉塞されるので、グリス注入孔36からのシリコングリスGの漏れや揮発を防止可能となる。このように、筒状カバー50が回転式であるため、グリス注入孔36の開放と閉塞を容易に行うことができる。
【0036】
<第3の実施形態>
図13には、本発明の第3実施形態に係るヘッドレスト支持構造が備えるC字状カバー60が斜視図にて示されており、図14には、ヘッドレストブッシュ32に取り付けられたC字状カバー60が開放位置に位置する状態が斜視図にて示されており、図15には、ヘッドレストブッシュ32に取り付けられたC字状カバー60が閉塞位置に位置する状態が斜視図にて示されている。
【0037】
上記のC字状カバー60は、例えば樹脂によって断面C字形の略筒状に形成されたものであり、筒状部32Bの外側に回転可能に取り付けられている。このC字状カバー60には、スリット62が形成されている。このC字状カバー60は、スリット62がグリス注入孔36に対向してグリス注入孔36が開放される開放位置(図14に示される位置)と、グリス注入孔36を閉塞する閉塞位置(図15に示される位置)との間で筒状部32Bに対して回転可能とされている。
【0038】
この実施形態では、C字状カバー60のスリット62がグリス注入孔36に対向する開放位置にC字状カバー60を回転させることにより、グリス注入孔36が開放され、ヘッドレストブッシュ32の筒状部32B内へのシリコングリスの注入が可能となる。C字状カバー60が図15に矢印Rで示されるように閉塞位置に回転されると、グリス注入孔36がC字状カバー60によって閉塞されるので、グリス注入孔36からのシリコングリスGの漏れや揮発を防止可能となる。このように、C字状カバー60が回転式であるため、グリス注入孔36の開放と閉塞を容易に行うことができる。
【0039】
以上、幾つかの実施形態を挙げて本発明について説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
10 車両用シート
12 シートクッション
14 シートバック
16 ヘッドレスト
18 ヘッドレストステー
18A 脚部
30 ヘッドレスト支持構造
32 ヘッドレストブッシュ
32B 筒状部
36 グリス注入孔
40 筒状カバー
50 筒状カバー
52 貫通孔
60 C字状カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15