(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153553
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】駐車支援方法、駐車支援装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
B60W30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056087
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康啓
(72)【発明者】
【氏名】武者 祐介
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241DB01Z
(57)【要約】
【課題】駐車支援機能に対するユーザの満足度を向上する。
【解決手段】駐車支援方法では、駐車制御において自車両の走行を制御する制御方法である第1駐車制御方法をユーザに提案し(S3)、第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生した場合に、第1駐車制御方法と異なる制御方法である第2駐車制御方法をユーザに提案し(S6)、第2駐車制御方法の提案をユーザが承認した場合、目標駐車位置の周囲の障害物の配置を含んだ目標駐車位置の周囲環境を、第2駐車制御方法と共に自車両がアクセス可能な記憶装置に記憶し(S8)、第2駐車制御方法を記憶装置に記憶した後に再び自車両を駐車させる時点における周囲環境を検出し(S9)、検出した周囲環境が記憶装置に記憶した周囲環境に類似する場合は、第2駐車制御方法をユーザに提案する(S11)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両を目標駐車位置へ自動的に走行させる駐車制御を行う駐車支援方法であって、
前記駐車制御において前記自車両の走行を制御する制御方法である第1駐車制御方法をユーザに提案し、
前記第1駐車制御方法による前記駐車制御のキャンセルが発生した場合に、前記第1駐車制御方法と異なる前記制御方法である第2駐車制御方法をユーザに提案し、
前記第2駐車制御方法の提案を前記ユーザが承認した場合に、前記目標駐車位置の周囲の障害物の配置を含んだ前記目標駐車位置の周囲環境を、前記第2駐車制御方法と共に前記自車両がアクセス可能な記憶装置に記憶し、
前記第2駐車制御方法を前記記憶装置に記憶した後に再び前記自車両を駐車させる時点における周囲環境を検出し、
検出した前記周囲環境が前記記憶装置に記憶した周囲環境に類似する場合は、前記第2駐車制御方法を前記ユーザに提案する、
ことを特徴とする駐車支援方法。
【請求項2】
前記駐車制御のキャンセルは、障害物の検出に応じて前記自車両のコントローラが前記駐車制御をキャンセルする自動キャンセルであることを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項3】
前記駐車制御のキャンセルは、前記ユーザによるキャンセルであることを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項4】
前記第2駐車制御方法を前記ユーザに提案する際に、前記第1駐車制御方法により前記駐車制御を実行する場合の駐車経路と、前記第2駐車制御方法により前記駐車制御を実行する場合の駐車経路と、を重畳して表示することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項5】
前記第2駐車制御方法を前記ユーザに提案する際に、前記第1駐車制御方法により前記駐車制御を実行する場合の駐車経路と、前記第2駐車制御方法により前記駐車制御を実行する場合の駐車経路と、の間の相違を強調表示することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項6】
前記ユーザにより入力される指示に基づいて、前記第2駐車制御方法を変更することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項7】
前記第2駐車制御方法を前記記憶装置に記憶するか否かの承諾を、前記ユーザに促すことを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項8】
検出した前記周囲環境が前記記憶装置に記憶した周囲環境に類似しない場合に、前記第1駐車制御方法を前記ユーザに提案することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項9】
自車両を目標駐車位置へ自動的に走行させる駐車制御を行う駐車支援装置であって、
前記駐車制御において前記自車両の走行を制御する制御方法である第1駐車制御方法をユーザに提案する処理と、
前記第1駐車制御方法による前記駐車制御のキャンセルが発生した場合に、前記第1駐車制御方法と異なる前記制御方法である第2駐車制御方法をユーザに提案する処理と、
前記第2駐車制御方法の提案を前記ユーザが承認した場合に、前記目標駐車位置の周囲の障害物の配置を含んだ前記目標駐車位置の周囲環境を、前記第2駐車制御方法と共に前記自車両がアクセス可能な記憶装置に記憶する処理と、
前記第2駐車制御方法を前記記憶装置に記憶した後に再び前記自車両を駐車させる時点における周囲環境を検出する処理と、
検出した前記周囲環境が前記記憶装置に記憶した周囲環境に類似する場合に、前記第2駐車制御方法を前記ユーザに提案する処理と、
を実行するコントローラを備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項10】
自車両を目標駐車位置へ自動的に走行させる駐車制御を行うコンピュータプログラムであって、
前記駐車制御において前記自車両の走行を制御する制御方法である第1駐車制御方法をユーザに提案する処理と、
前記第1駐車制御方法による前記駐車制御のキャンセルが発生した場合に、前記第1駐車制御方法と異なる前記制御方法である第2駐車制御方法をユーザに提案する処理と、
前記第2駐車制御方法の提案を前記ユーザが承認した場合に、前記目標駐車位置の周囲の障害物の配置を含んだ前記目標駐車位置の周囲環境を、前記第2駐車制御方法と共に前記自車両がアクセス可能な記憶装置に記憶する処理と、
前記第2駐車制御方法を前記記憶装置に記憶した後に再び前記自車両を駐車させる時点における周囲環境を検出する処理と、
検出した前記周囲環境が前記記憶装置に記憶した周囲環境に類似する場合に、前記第2駐車制御方法を前記ユーザに提案する処理と、
をコントローラに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援方法、駐車支援装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の駐車支援装置は、運転者が駐車位置の登録を希望する領域を撮像した撮像画像から特徴点を抽出し、特徴点を駐車位置と関連付けて登録することで駐車位置を登録駐車位置として登録しておき、車両が登録駐車位置の近傍に位置している場合において特徴点を検知することで登録駐車位置を算出し、登録駐車位置に車両を駐車させる駐車支援制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自車両を目標駐車位置へ自動的に走行させる駐車支援機能を実施する際に、駐車の仕方がユーザの好みや駐車環境に合っていないと、ユーザが駐車支援機能の利用を敬遠する虞がある。
本発明は、駐車支援機能に対するユーザの満足度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、自車両を目標駐車位置へ自動的に走行させる駐車制御を行う駐車支援方法が与えられる。駐車支援方法では、駐車制御において自車両の走行を制御する制御方法である第1駐車制御方法をユーザに提案し、第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生した場合に、第1駐車制御方法と異なる制御方法である第2駐車制御方法をユーザに提案し、第2駐車制御方法の提案をユーザが承認した場合、目標駐車位置の周囲の障害物の配置を含んだ目標駐車位置の周囲環境を、第2駐車制御方法と共に自車両がアクセス可能な記憶装置に記憶し、第2駐車制御方法を記憶装置に記憶した後に再び自車両を駐車させる時点における周囲環境を検出し、検出した周囲環境が記憶装置に記憶した周囲環境に類似する場合は、第2駐車制御方法をユーザに提案する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駐車支援機能に対するユーザの満足度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の駐車支援装置の概略構成例を示す図である。
【
図2】(a)及び(b)は駐車支援機能を説明する模式図である。
【
図3】実施形態の駐車支援方法の一例のフローチャートである。
【
図4】
図1のコントローラの機能構成の一例のブロック図である。
【
図5】第2駐車制御方法の提案画面の第1例を示す図である。
【
図6】第2駐車制御方法の提案画面の第2例を示す図である。
【
図7】第2駐車制御方法の提案画面の第3例を示す図である。
【
図8】駐車制御方法の調整画面の第1例を示す図である。
【
図9】駐車制御方法の調整画面の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1は、実施形態の駐車支援装置の概略構成例を示す図である。自車両1は、目標駐車位置への自車両1の駐車を支援する駐車支援装置10を備える。駐車支援装置10は、自車両1の現在位置から目標駐車位置までの目標駐車経路に沿って自動的に走行させる駐車制御を行う。ここで自車両1を目標駐車位置までの目標駐車経路に沿って自動的に走行させる駐車制御とは、自車両1の操舵角、駆動力、制動力を制御して、自車両1の目標駐車経路に沿った走行の全部または一部を自動的に実施する制御を意味する。
【0010】
測位装置11は、自車両1の現在位置を測定する。測位装置11は、例えば全地球型測位システム(GNSS)受信機を備える。地図データベース(地
図DB)12には地図データが記憶されている。地図データベース12に記憶されている地図データは、例えばナビゲーション用の地図データや自動運転用の地図として好適な高精度地図データであってよい。
ヒューマンマシンインタフェース(HMI)13は、駐車支援装置10とユーザとの間で情報を授受するインタフェース装置である。例えばHMI13は、ユーザに視覚的情報を提示するインタフェースとしてユーザが視認可能な表示装置を備えてよい。またHMI13は、ユーザに聴覚的情報を提示するインタフェースとしてスピーカやブザーを備えてもよい。またHMI13は、ユーザからの操作入力を受け付けるインタフェース(タッチパネル、ボタン、スイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード等)を備えてもよい。
【0011】
外界センサ14は、自車両1から所定距離範囲の物体を検出する。外界センサ14は、自車両1の周囲に存在する物体と自車両1との相対位置、自車両1と物体との距離、物体が存在する方向などの自車両1の周囲環境を検出する。外界センサ14は、例えば自車両1の周囲環境を撮影するカメラを含んでよい。外界センサ14は、レーザレンジファインダやレーダ、LiDAR、ソナー、赤外線センサ等の測距装置を含んでもよい。車両センサ15は、自車両1の様々な情報(車両情報)を検出する。例えば車両センサ15は、自車両1の走行速度を検出する車速センサ、自車両1の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ、ハンドルの操舵角や転舵輪の転舵角を検出するセンサを含んでよい。作動スイッチ(作動SW)16は、駐車支援装置10による駐車支援機能をオン・オフするスイッチである。
【0012】
コントローラ17は、自車両1の駐車制御を行う電子制御ユニットである。コントローラ17は、プロセッサ17aと、記憶装置17b等の周辺部品とを含む。プロセッサ17aは、例えばCPUやMPUであってよい。記憶装置17bは、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。以下に説明するコントローラ17の機能は、例えばプロセッサ17aが記憶装置17bに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
操舵アクチュエータ18aは、コントローラ17の制御信号に応じて自車両1の操舵機構の操舵方向及び操舵量を制御する(添付する図面においてアクチュエータを「ATCR」と表記する)。アクセルアクチュエータ18bは、コントローラ17の制御信号に応じて、エンジンや駆動モータである駆動装置のアクセル開度を制御する。ブレーキアクチュエータ18cは、コントローラ17の制御信号に応じて制動装置を作動させる。
【0013】
次に、
図2(a)及び
図2(b)を参照して、コントローラ17による駐車支援機能を説明する。駐車支援装置10の駐車支援機能を利用する際には、自車両1を駐車させるべき目標駐車位置に関する情報である駐車位置データを、自車両1がアクセス可能な記憶装置に予めに記憶(登録)する。
図2(a)の例では、駐車スペース30に自車両1を駐車させる駐車位置を目標駐車位置として記憶する。目標駐車位置31を記憶する記憶装置は、例えば記憶装置17bであってよい。以下の説明では自車両1がアクセス可能な記憶装置として記憶装置17bを例示するが、自車両1がアクセス可能な記憶装置は外部の情報処理装置(例えばサーバ装置)であってもよい。
【0014】
コントローラ17は、駐車位置データとして、目標駐車位置31の周囲に存在する物標を抽出して記憶装置17bに記憶(登録)する。以下の説明において記憶装置17bに記憶する目標駐車位置31の周囲の物標を「学習済物標」と表記する。
図2(a)において丸プロットは学習済物標を模式的に表す。例えばコントローラ17は、ユーザが手動運転で自車両1を目標駐車位置31に駐車させるときに自車両1の周囲の物標を外界センサ14で検出して学習済物標として記憶する。例えばカメラで自車両1の周囲を撮影して得られる周囲画像から物標を検出してよい。例えば、カメラで撮影して得られた撮像画像上の、路面標示や、道路境界、障害物などの物標のエッジやコーナーなど、隣接する画素の輝度が所定以上変化するエッジ点や形状に特徴を備える点(特徴点)を物標として検出してよい。
【0015】
コントローラ17は、学習済物標に関する情報を含んだ駐車位置データを記憶装置17bに記憶する。例えば駐車位置データは、学習済物標の特徴量を表すデータ(以下「特徴量データ」と表記する)と、目標駐車位置31と学習済物標との間の相対位置関係のデータ(以下「相対位置データ」と表記する)とを含んでよい。相対位置データとして、例えば目標駐車位置31を基準とする学習済物標の相対位置を記憶してもよい。例えば、コントローラ17は、自車両1が目標駐車位置31に駐車したときに検出した学習済物標の位置を、学習済物標の相対位置として取得できる。固定の地点を基準点とする座標系(以下「地図座標系」と表記する)における学習済物標と目標駐車位置31の座標を記憶してもよい。
【0016】
図2(b)は、コントローラ17が自車両1を目標駐車位置31へ自動的に走行させる駐車制御の実施時の処理の一例の説明図である。駐車制御が始まると、コントローラ17は外界センサ14で自車両1の周囲の物標を抽出する。以下の説明において、駐車制御の実施時に抽出される自車両1の周囲の物標を「周囲物標」と表記する。
図2(b)の三角形プロットは周囲物標を表す。コントローラ17は、学習済物標と周囲物標とをマッチングし同一の特徴点同士を対応付けることで目標駐車位置31を検出し、駐車支援実施時に検出した周囲物標と自車両1との間の相対位置関係と、周囲物標に対応付けられた学習済物標と目標駐車位置31との間の相対位置関係に基づいて、目標駐車位置31に対する自車両1の相対位置を算出する。
【0017】
例えば、コントローラ17は、自車両1の現在位置を基準とする座標系(以下「車両座標系」と表記する)上の目標駐車位置31の位置を算出する。学習済物標と目標駐車位置31の地図座標系上の座標が記憶装置17bに記憶されている場合には、駐車支援実施時に検出した周囲物標の位置と、地図座標系における学習済物標の位置に基づいて、地図座標系上の目標駐車位置31の座標を車両座標系上の座標に変換してよい。駐車支援実施時に検出した周囲物標の位置と地図座標系における学習済物標の位置に基づいて地図座標系上の自車両1の自己位置を求め、地図座標系における自車両1の座標と目標駐車位置31の座標の差分から目標駐車位置31に対する自車両1の相対位置を算出してもよい。
【0018】
コントローラ17は、目標駐車位置31に対する自車両1の相対位置に基づいて、自車両1の現在位置33から目標駐車位置31へ至る目標駐車経路34を生成する。またコントローラ17は、目標駐車経路上の各々の位置における自車両1の目標車速を設定した車速計画(目標車速プロファイル)を生成する。コントローラ17は、目標車速プロファイルに従う速度で目標駐車経路34に沿って自車両1が目標駐車位置31まで走行して停止するように、操舵アクチュエータ18a、アクセルアクチュエータ18b、ブレーキアクチュエータ18cを制御する。
【0019】
目標駐車経路と目標車速プロファイルを生成する際に、コントローラ17は、駐車制御における自車両1の走行を制御するための制御パラメータの設定値に従って、目標駐車経路の位置や形状、目標車速プロファイルに含まれる車速を決定する。以下の説明において、駐車制御における自車両1の走行を制御するための制御パラメータを「駐車制御パラメータ」と表記することがある。以下、駐車制御パラメータの設定値によって定まる自車両1の駐車制御の仕方や態様を「駐車制御方法」と表記することがある。
【0020】
駐車制御パラメータの要素は、例えば駐車時の速度、操舵速度、駐車所要時間、障害物までの余裕距離(クリアランス)、自車両1の目標駐車位置31に駐車する駐車形式、走行経路の経路形状に関する経路形状パラメータであってよい。
例えば駐車形式は、直角駐車(right-angle parking)、縦列駐車(parallel parking)及び斜め駐車(angle parking)を含んでもよい。直角駐車、縦列駐車及び斜め駐車とは、目標駐車位置31が面する通路の通行方向に対してそれぞれ直角、並行及び斜めに駐車することを意味する。
例えば経路形状パラメータは、切り返し回数や、走行経路を形成するクロソイド曲線のパラメータや、走行経路の形状自体であってよい。
なお、駐車制御パラメータは上記の例に限定されず、駐車制御に関する制御パラメータであれば様々なパラメータを採用できる。
【0021】
コントローラ17は、駐車制御方法のデータ(すなわち駐車制御パラメータの設定値のデータ)である駐車方法データを、目標駐車位置31に関連付けて自車両1がアクセス可能な記憶装置(例えば記憶装置17b)に予めに記憶してもよい。例えば駐車制御方法は駐車位置データと関連付けて記憶装置に記憶してよい。コントローラ17は、目標駐車位置31へ自車両1を駐車させる駐車制御の実施する際に、この目標駐車位置31に関連付けて記憶された駐車制御方法を記憶装置から読み出し、読み出された駐車制御方法に基づいて目標駐車経路34と目標車速プロファイルを生成する。
【0022】
このように、目標駐車位置31に対して予め設定された駐車制御方法に基づいて駐車制御を実施した際に、駐車制御方法が駐車環境に合っていないために駐車制御が実行できないことがある。また、駐車制御方法がユーザの好みに合っていないことがある(例えば車速の過不足や、切り返し回数が多すぎる、障害物に接近し過ぎる等)。このように駐車制御方法がユーザの好みや駐車環境に合っていないと、ユーザが駐車支援機能の利用を敬遠する虞がある。
【0023】
そこで本実施形態では、目標駐車位置31に対して現在設定されている駐車制御方法(以下「第1駐車制御方法」と表記することがある)を提案した際に、第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生した場合には、第1駐車制御方法と異なる制御方法(以下「第2駐車制御方法」と表記することがある)をユーザに提案する。第2駐車制御方法の提案を前記ユーザが承認した場合、目標駐車位置31の周囲の障害物の配置を含んだ目標駐車位置の周囲環境を、第2駐車制御方法と共に自車両1がアクセス可能な記憶装置に記憶する。そして、第2駐車制御方法を記憶装置に記憶した後に再び自車両1を駐車させる時点における周囲環境を検出し、検出した周囲環境が記憶装置に記憶した周囲環境に類似する場合は、第2駐車制御方法をユーザに提案する。
【0024】
第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生した場合には、キャンセル発生時の周囲環境に第1駐車制御方法が合っておらず、ユーザが駐車支援機能に不満を持っている虞がある。そこで、キャンセル発生時の周囲環境と類似する環境で駐車制御を実行する際には、第1駐車制御方法と異なる第2駐車制御方法を提案する。これにより、駐車支援機能に対するユーザの満足度を向上でき、駐車支援機能の利用を促進できる
【0025】
(動作)
図3は、実施形態の駐車支援方法の一例のフローチャートである。ステップS1においてコントローラ17は、目標駐車位置31を記憶装置17bに記憶する。ステップS2においてコントローラ17は、目標駐車位置31に自車両1を駐車する際に使用する第1駐車制御方法を、目標駐車位置31に関連付けて記憶装置17bに記憶する。
その後に自車両1を目標駐車位置31に駐車する際に、コントローラ17はステップS3において第1駐車制御方法をユーザに提案する。ステップS4においてコントローラ17は、第1駐車制御方法による前記駐車制御のキャンセルが発生したか否かを判定する。キャンセルが発生した場合(ステップS4:Y)に処理はステップS5へ進む。キャンセルが発生しない場合(ステップS4:N)に処理は終了する。
【0026】
ステップS5においてコントローラ17は、第1駐車制御方法と異なる制御方法である第2駐車制御方法を設定する。ステップS6においてコントローラ17は、第2駐車制御方法をユーザに提案する。ステップS7においてコントローラ17は、第2駐車制御方法の提案をユーザが承認したか否かを判定する。提案を承認した場合(ステップS7:Y)に処理はステップS8へ進む。提案を承認しない場合(ステップS7:N)に処理は終了する。ステップS8においてコントローラ17は、目標駐車位置31の周囲の障害物の配置を含んだ目標駐車位置31の周囲環境を第2駐車制御方法と共に記憶装置17bに記憶する。
【0027】
その後に自車両1を目標駐車位置31に駐車する際に、ステップS9においてコントローラ17は、目標駐車位置31の周囲環境を検出する。ステップS10においてコントローラ17は、ステップS8で記憶した周囲環境とステップS9で検出した周囲環境が類似するか否かを判定する。周囲環境が類似する場合(ステップS10:Y)に処理はステップS11へ進む。周囲環境が類似しない場合(ステップS10:N)に処理はステップS14へ進む。
【0028】
ステップS11においてコントローラ17は、第2駐車制御方法をユーザに提案する。ステップS12においてコントローラ17は、第2駐車制御方法の提案をユーザが承認したか否かを判定する。提案を承認した場合(ステップS12:Y)に処理はステップS13へ進む。提案を承認しない場合(ステップS12:N)に処理はステップS14へ進む。ステップS13においてコントローラ17は、第2駐車制御方法に基づいて駐車制御を実行する。その後に処理は終了する。ステップS14において第1駐車制御方法に基づいて駐車制御を実行する。その後に処理は終了する。
【0029】
(第2実施形態)
図4は、コントローラ17の機能構成の一例のブロック図である。ユーザがHMI13を操作して目標駐車位置31の登録を指示すると、HMI制御部50は、目標駐車位置31の学習済物標データを記憶装置17bに記憶させる地図生成指令を地図生成部55に出力する。ユーザがHMI13を操作して目標駐車位置31への駐車制御の開始を指示すると、目標駐車位置31への駐車制御を開始する制御開始指令を駐車支援制御部51に出力する。
画像変換部52は、カメラの撮像画像を、自車両1の真上の仮想視点から見た俯瞰画像に変換する。画像変換部52は、所定の間隔で撮像画像を俯瞰画像に変換し、変換された俯瞰画像を自車両1の走行経路に沿って蓄積することで自車両1の周囲領域の画像である周囲画像を生成する。
【0030】
自己位置算出部53は、車両センサ15から出力される車両情報に基づくオドメトリ(例えばデッドレコニング)により地図座標系上の自車両1の現在位置を自己位置として演算する。
物標検出部54は、画像変換部52から出力される周囲画像から物標を検出する。物標検出部54は、物標として物標の特徴点の位置とその画像特徴量を検出してよい。物標検出部54は、検出した特徴点の位置と画像特徴量を物標データとして地図生成部55と目標駐車位置検出部57に出力する。また、物標の検出と同期して自己位置算出部53から取得した自己位置を地図生成部55と目標駐車位置検出部57に出力する。
【0031】
地図生成部55は、地図生成指令をHMI制御部50から受信すると(すなわち、目標駐車位置31の登録操作が行われると)、目標駐車位置31に関する駐車位置データ56を生成して記憶装置17bに記憶する。例えば地図生成部55は、物標検出部54から、物標データと、物標データに同期した地図座標系上の自車両1の自己位置を受信する。地図生成部55は、地図座標系における目標駐車位置31の位置情報を取得する。
【0032】
地図生成部55は、物標データに含まれる特徴点の位置と、これに同期した自車両1の位置情報と、目標駐車位置31の位置情報とに基づいて相対位置データを生成する。地図生成部55は、物標検出部54から出力される物標データから特徴量データを取得し、これら相対位置データ及び特徴量データを含んだ駐車位置データ56を記憶装置17bに記憶する。
【0033】
地図生成部55が駐車位置データ56を記憶装置17bに記憶する際に、駐車方法設定部62は、自車両1を目標駐車位置31に駐車する際に使用する駐車制御方法のデータ(すなわち駐車制御パラメータの設定値のデータ)である駐車制御方法データ63を、目標駐車位置31の駐車位置データ56に関連付けて記憶装置17bに記憶する。最初に駐車制御方法データ63を記憶する際には、例えば駐車制御パラメータとして一般的に使用される値を初期値として記憶してよい。
次に、駐車支援制御部51は、HMI制御部50から制御開始指令を受信すると、自車両1の現在位置が登録済みの目標駐車位置31付近であるか否かを判定する。自車両1の現在位置が登録済みの目標駐車位置31付近である場合に、駐車支援制御部51は駐車制御を開始する。
【0034】
駐車制御が始まると、目標駐車位置検出部57は、物標検出部54から出力される物標データを周囲物標の物標データとして受信するとともに、これに同期して地図座標系における自車両1の自己位置を受信する。目標駐車位置検出部57は、学習済物標と周囲物標とをマッチングして同一の特徴点の物標どうしを対応付けることにより目標駐車位置31を検出する。
【0035】
すなわち、学習済物標と周囲物標との間のマッチングが成功するか否かに基づいて、目標駐車位置31を検出できるか否かを判定する。マッチングが成功した場合(すなわち目標駐車位置31を検出した場合)には、目標駐車位置検出部57は、周囲物標と自車両1との間の相対位置関係と周囲物標に対応付けられた学習済物標と目標駐車位置31との間の相対位置関係に基づいて、目標駐車位置31に対する自車両1の相対位置を算出する。
【0036】
また、駐車方法設定部62は、目標駐車位置31の駐車位置データ56に関連付けて記憶された駐車制御方法データ63を読み出す。
目標軌道生成部59は、駐車方法設定部62が読み出した駐車制御方法データ63に基づいて、車両座標系上の自車両1の現在位置から目標駐車位置31まで至る目標駐車経路と目標車速プロファイルを算出する。
例えば、駐車制御パラメータとして、走行経路を形成するクロソイド曲線のパラメータが設定されている場合には、設定されたパラメータに基づいて目標駐車経路を形成するクロソイド曲線を算出してよい。また、駐車制御パラメータとして走行経路の形状自体が設定されている場合には、設定された形状と等しくなるように目標駐車経路の形状を決定してよい。
【0037】
また、駐車制御パラメータとして切り返し回数が設定されている場合には、目標駐車経路の切り返し回数が設定された回数と等しくなるように目標駐車経路を算出してよい。また例えば、駐車制御パラメータとして駐車形式が設定されている場合には、設定された駐車形式で自車両1を駐車するように目標駐車経路を算出してよい。
また、駐車制御パラメータとして障害物までの余裕距離(クリアランス)が設定されている場合には、外界センサ14で検出した目標駐車位置31の周囲の障害物と自車両1との間の距離が、設定された余裕距離未満にならないように目標駐車経路を算出してよい。
【0038】
また、駐車制御パラメータとして駐車時の速度や駐車所要時間が設定されている場合には、駐車中の走行速度や駐車に要する時間がこれらのパラメータと等しくなるように、目標車速プロファイルを算出してよい。
また、駐車制御パラメータとして操舵速度が設定されている場合は、設定された操舵速度を遵守して目標走行経路上を走行できるように目標車速プロファイルを算出してよい。
【0039】
操舵制御部60は、自車両1が目標駐車経路に沿って自車両1を走行するように操舵アクチュエータ18aを制御する。車速制御部61は、自車両1の車速が目標車速プロファイルに従って変化するように、アクセルアクチュエータ18bとブレーキアクチュエータ18cを制御する。自車両1が目標駐車位置31に到達すると、自車両1を停車させて駐車制御が完了する。駐車支援制御部51は、パーキングブレーキを作動させ、シフトポジションをパーキングレンジに切り替える。
【0040】
次に、駐車方法設定部62の動作について説明する。駐車方法設定部62は、自車両1を手動運転で目標駐車位置31に駐車させて目標駐車位置31を記憶装置17bに登録(記憶)する際に、測位装置11、外界センサ14、車両センサ15から駐車条件の情報を取得して記憶装置17bに記憶する。例えば駐車条件は、自車両1の周囲や目標駐車位置31の周囲の環境の情報(周囲の障害物の配置等)や、自車両1を手動運転で目標駐車位置31に駐車させたときの開始位置や駐車経路、駐車時の走行速度、駐車所要時間を含んでよい。
【0041】
その後に、駐車支援装置10の駐車制御により目標駐車位置31に自車両1を駐車する際に、駐車方法設定部62は、予め設定されている駐車制御方法である第1駐車制御方法をユーザに提案する。
例えば第1駐車制御方法は、標準的な駐車制御パラメータとして一般的に使用される値に設定された駐車制御パラメータを有する駐車制御方法であってもよく、予めユーザの好みに応じて設定された駐車制御パラメータを有する駐車制御方法であってもよい。
【0042】
第1駐車制御方法による駐車制御を実行する際に、駐車方法設定部62は、測位装置11、外界センサ14、車両センサ15から駐車条件の情報を取得する。第1駐車制御方法による駐車制御が成功した際(すなわち、第1駐車制御方法による駐車制御がキャンセルされず、第1駐車制御方法により目標駐車位置31への自車両1の駐車を完了した際)に、駐車方法設定部62は、駐車制御中に取得した駐車条件の情報を記憶装置17bに記憶する。
駐車制御が成功した場合の駐車条件は、例えば第1駐車制御方法による駐車制御が行われた際の、自車両1の周囲や目標駐車位置31の周囲の環境の情報(周囲の障害物の配置等)や、駐車を開始した位置や駐車経路を含んでよい。
【0043】
上記のように第1駐車制御方法を提案した際に、駐車方法設定部62は第1駐車制御方法による駐車制御がキャンセルされたか否かを判定する。
駐車制御のキャンセルの原因は、例えばコントローラ17による自動キャンセルであってよい。例えばコントローラ17は、駐車制御中に自車両1の周囲や目標駐車経路の近傍の障害物を外界センサ14を用いて検出し、障害物を検出した時点もしくは、障害物までの距離やクリアランスが一定以下、もしくは障害物と自車の干渉が予測された時点で駐車制御がキャンセルする。
コントローラ17により駐車制御がキャンセルされた場合に、コントローラ17は、自車両1をブレーキ等で自動的に停車させて、シフト切換えおよびパーキングブレーキにより、自車両1を駐車状態に移行させ、駐車制御のキャンセル発生をユーザに通知してよい。または、自車両1を自動的に停車させずに、ユーザに運転切替要請を通知した上で、自車両1の運転モードを手動運転に切り替えてもよい。
【0044】
駐車制御のキャンセルの原因は、ユーザによるキャンセル操作であってもよい。例えばコントローラ17、ユーザが作動スイッチ16をオフに切り替える操作や、ハンドル、アクセル、ブレーキ、シフトに対するユーザの操作を検出した場合に、駐車制御をキャンセルする。
ユーザによって駐車制御がキャンセルされた場合に、コントローラ17は、自車両1をブレーキ等で自動的に停車させて、駐車制御のキャンセル発生をユーザに通知した上で、自車両1の運転モードを手動運転に切り替える。または、自動的に停車させずに、ドライバーに制御キャンセルを事前に通知したうえで、ドライバーに運転操作を切り替えてもよい。または自車両1を停車させずに、ユーザに運転切替要請を通知した上で、自車両1の運転モードを手動運転に切り替えてもよい。
【0045】
さらに、駐車方法設定部62は、キャンセル発生時の駐車条件の情報を記憶装置17bに記憶する。
キャンセル発生時に記憶する駐車条件は、例えばキャンセル発生時点における自車両1の位置や、キャンセルが発生した駐車制御が行われた際の、自車両1の周囲や目標駐車位置31の周囲の環境の情報(周囲の障害物の配置等)や、駐車を開始した位置や駐車経路、駐車時の走行速度、駐車所要時間を含んでよい。
【0046】
このように駐車制御がキャンセルされた場合、第1駐車制御方法と異なる制御方法である第2駐車制御方法を設定する。
例えば、過去に第1駐車制御方法による駐車制御が成功した履歴がある場合、第1駐車制御方法による駐車制御が成功したときに記憶した駐車条件と、今回キャンセル発生時に記憶した駐車条件との間の差異に応じて第1駐車制御方法を修正することにより第2駐車制御方法を設定してよい。
また過去に第1駐車制御方法による駐車制御が成功した履歴がない場合、目標駐車位置31を記憶装置17bに登録したときに記憶した駐車条件と、今回キャンセル発生時に記憶した駐車条件との間の差異に応じて第1駐車制御方法を修正することにより第2駐車制御方法を設定してよい。
【0047】
例えば、キャンセルの原因が、障害物への接近に起因する自動キャンセルである場合、目標駐車位置31を記憶装置17bに登録したときや過去に第1駐車制御方法による駐車制御が成功したときに記憶した駐車条件と、今回キャンセルが発生したときに記憶した駐車条件と、の間で障害物の配置に差異がある場合には、キャンセル発生場所(キャンセル発生時点における自車両1の位置)において、障害物とのクリアランスが広がるように駐車制御パラメータの余裕距離を変更(増加)してよい。
また例えば、キャンセル発生場所における自車両1の位置を通過しないように、駐車制御パラメータの経路形状パラメータを変更してよい。またキャンセル発生場所における走行速度を下げるように、駐車制御パラメータの速度を低速に切り替えてもよい。
【0048】
また例えば、目標駐車位置31を登録したときや過去に駐車制御が成功したときに記憶した駐車条件と、今回キャンセルが発生したときに記憶した駐車条件と、の間で駐車開始位置に相違があり、駐車が困難な位置から制御を開始したためにキャンセルが発生した場合(例えば、直角駐車において車幅方向に目標駐車位置31と近い位置から駐車を開始した場合)には、駐車制御がキャンセルされた場合の駐車開始位置と同じ位置から駐車を開始しても駐車制御が成功するように、駐車制御パラメータの切り返し回数や操舵速度を増加させたり、車速を遅くしてもよい。
【0049】
また例えば、キャンセルの原因がユーザによるキャンセル操作であり、障害物の付近で駐車制御がキャンセルされた場合には、キャンセル発生場所において障害物とのクリアランスが広がるように駐車制御パラメータの余裕距離を変更(増加)してよい。また、障害物付近のキャンセル発生場所における走行速度を下げるように、駐車制御パラメータの速度を低速に切り替えてもよい。
【0050】
また、目標駐車位置31を登録したとき(すなわち手動運転で駐車したとき)の駐車所要時間や走行速度と比べて、キャンセル発生時の駐車所要時間が長かったり走行速度が低い場合には、目標駐車位置31を登録したときの駐車所要時間や走行速度に近づくように、駐車制御パラメータの速度を上げたり、比較的高い速度で走行しても追従できるような形状の目標駐車経路となるように駐車制御パラメータの経路形状パラメータを設定したり(例えば走行経路を形成するクロソイド曲線長を長くする等)、切り返し回数を減らしてもよい。
【0051】
駐車方法設定部62は、設定した第2駐車制御方法をユーザに提案する。駐車方法設定部62が第2駐車制御方法を提案する際に、HMI制御部50は、第2駐車制御方法をHMI13の表示装置に表示(提示)する。これにより駐車方法設定部62は、第2駐車制御方法を記憶装置17bに記憶するか否かの承諾をユーザに促すことができる。
例えば、HMI制御部50は、第2駐車制御方法により設定される目標駐車経路を表示してよい。
図5は、第2駐車制御方法の提案画面の第1例を示す図である。例えばHMI制御部50は、第1駐車制御方法による目標駐車経路である第1経路71と、第2駐車制御方法による目標駐車経路である第2経路72と、を同時に表す提案画面70を、HMI13の画面上に表示してよい。また例えばHMI制御部50は、第1経路71と第2経路72の切り返し位置を画面上に表示してもよい。
【0052】
例えば、HMI制御部50は、画像変換部52が生成した俯瞰画像に、自車両1の位置を表すアイコンと第1経路71及び第2経路72を表す図形と、を重畳することにより、これらの経路を表す提案画面70を生成してよい。なお、
図5において第1経路71及び第2経路72は、自車両1の現在位置から駐車スペース30までの駐車経路のうち途中の切り返し位置までの経路を表しており、参照符号Eは駐車スペース30に駐車する自車両1が走行する通路PWの路肩を表している。
図6及び
図9においても同様である。
【0053】
例えば、HMI制御部50は第1経路71と第2経路72の相違部分を強調表示してもよい。HMI制御部50は、強調領域に境界線73を描画したり、強調表示箇所の明るさやコントラストを強調しない箇所に比べて上げることにより、変更箇所の視認性を上げてよい。
図6は、第2駐車制御方法の提案画面の第2例を示す図である。HMI制御部50は、第1経路71と第2経路72とを重畳して表示してもよい。この場合も
図5と同様に、HMI制御部50は第1経路71と第2経路72の相違部分を強調表示してもよい。
また、経路形状が一定距離以上異なる経路部分のみ重畳して表示してもよい。また、提案画面70に設定切り替えボタン74を配置し、ユーザが設定切り替えボタン74を押すごとに、重畳される経路の上下の順番を変更したり、表示する色を切り替えてもよい。
【0054】
図7は、第2駐車制御方法の提案画面の第3例を示す図である。第2駐車制御方法の駐車制御パラメータを定量的にユーザに提示する場合には、これらの駐車制御パラメータの値を定量的に表現するGUIをHMI13の表示装置に表示してよい。例えば提案画面80は、第2駐車制御方法の各駐車制御パラメータ(
図7の例では、走行速度、障害物までの余裕距離、切り返し回数)を視覚的に表すインジケータ81のCGを含んでよい。例えばインジケータ81は、第1駐車制御方法の駐車制御パラメータの値を表す位置マーク82と、第2駐車制御方法の駐車制御パラメータの値を表す調整ノブマーク83を含んでよい。
【0055】
駐車方法設定部62は、設定した第2駐車制御方法の提案をユーザが承認する操作を、HMI13を介して受け付ける。ユーザが第2駐車制御方法の提案を承認した場合に駐車方法設定部62は、自車両1や目標駐車位置31の周囲の周囲環境の情報を外界センサ14から取得する。
例えば「周囲環境」は、目標駐車位置31の周辺の空スペース(通路PWの幅、目標駐車位置31に隣接する駐車車両の有無、障害物配置)や、駐車形式(車庫入れ、縦列、斜め駐車)、路面環境(じゃり、アスファルト、坂道)、外界センサ14による認識環境(路面の模様がどうか、光環境がどうか、天候がどうか)を含んでよい。
駐車方法設定部62は、取得した周囲環境と第2駐車制御方法の駐車制御方法データ63とを互いに関連付けて記憶装置17bに記憶する。
【0056】
第2駐車制御方法を記憶した後に、後に再び自車両1を駐車する時点で、駐車方法設定部62は自車両1や目標駐車位置31の周囲の周囲環境の情報を取得する。例えば、自車両1が目標駐車位置31から離れた地点から目標駐車位置31に再び接近して目標駐車位置31に駐車する時点で、駐車方法設定部62は自車両1や目標駐車位置31の周囲の周囲環境の情報を取得する。また例えば、第2駐車制御方法を記憶した後に、目標駐車位置31と異なる駐車位置に駐車する時点で、駐車方法設定部62は自車両1や目標駐車位置31の周囲の周囲環境の情報を取得する。
駐車方法設定部62は、外界センサ14から取得した周囲環境と、第2駐車制御方法の駐車制御方法データ63と関連付けて記憶装置17bに記憶した周囲環境と、が類似するか否かを判定する。これらの周囲環境が互いに類似する場合には、駐車方法設定部62は、第2駐車制御方法をユーザに提案する。
【0057】
駐車方法設定部62は、第2駐車制御方法の提案をユーザが承認する操作を、HMI13を介して受け付ける。ユーザが第2駐車制御方法の提案を承認した場合に、目標軌道生成部59は、第2駐車制御方法の駐車制御方法データ63に基づいて、自車両1の現在位置から目標駐車位置31まで至る目標駐車経路と目標車速プロファイルを算出する。これにより、コントローラ17は第2駐車制御方法に基づいて駐車制御を実施する。
【0058】
一方で、外界センサ14から取得した周囲環境と、記憶装置17bに記憶した周囲環境と、が類似しない場合には、駐車方法設定部62は、第1駐車制御方法をユーザに提案する。
駐車方法設定部62は、第1駐車制御方法の提案をユーザが承認する操作を、HMI13を介して受け付ける。ユーザが第1駐車制御方法の提案を承認した場合に、目標軌道生成部59は、第1駐車制御方法の駐車制御方法データ63に基づいて、自車両1の現在位置から目標駐車位置31まで至る目標駐車経路と目標車速プロファイルを算出する。これにより、コントローラ17は第1駐車制御方法に基づいて駐車制御を実施する。
【0059】
(変形例)
(1)駐車方法設定部62は、第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生したときに、ユーザからHMI13に入力される指示に基づいて第2駐車制御方法を設定してもよい。例えば駐車方法設定部62は、第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生したときに、第1駐車制御方法に対するユーザによる調整(カスタマイズ)操作を受け付ける調整画面のGUIをHMI13の表示画面に表示してもよい。
【0060】
図8は、第2駐車制御方法の調整画面の第1例を示す図である。調整画面90には、第2駐車制御方法の変更パターンの候補を選択する変更パターン選択ボタン91~94が表示されている。
駐車方法設定部62は、第1駐車制御方法による駐車制御が成功したときや目標駐車位置31を記憶装置17bに登録したときに記憶した駐車条件と、今回キャンセル発生時に記憶した駐車条件との間の差異に応じて、上述した第2駐車制御方法の駐車制御パラメータの設定方法と同様の手法により駐車制御パラメータの変更パターンの候補を設定してよい。
【0061】
例えば、変更パターンの第1候補は駐車制御パラメータの走行速度の増加であり、第2候補は走行速度の低減であり、第3候補は駐車制御パラメータの余裕距離の増加であり、第4候補は切り返し回数の低減である。
ユーザが変更パターン選択ボタン91~94を押下すると、駐車方法設定部62は、それぞれ第1候補~第4候補の変更パターンによって第1駐車制御方法の駐車制御パラメータを変更して第2駐車制御方法が設定される。
【0062】
このようにして駐車方法設定部62は、調整画面90の操作に応じて第2駐車制御方法として設定する。すなわち、駐車方法設定部62はユーザによる調整画面の操作に応じて第2駐車制御方法を変更する。
【0063】
図9は、第2駐車制御方法の調整画面の第2例を示す図である。駐車方法設定部62は、第1駐車制御方法の駐車制御パラメータの経路形状パラメータを修正することにより、複数の異なる目標駐車経路の変更パターンの第1候補96a及び第2候補96bを生成する。調整画面95には、これらの第1候補96a及び第2候補96bがユーザの選択肢として表示されている。
【0064】
例えば駐車方法設定部62は、切り返し時に自車両1の前端を大きく振らない第1候補96aと、切り返し時に自車両1の前端を大きく振る第2候補96bと、を生成してよい。これに加えて又は代えて、駐車方法設定部62は切り返し回数の異なる複数の目標駐車経路の候補パターンを生成してもよい。
第1候補96a又は第2候補96bのいずれかを選択する操作を受け付けると、駐車方法設定部62は、選択された候補の経路形状パラメータを、第2駐車制御方法の駐車制御パラメータの経路形状パラメータに設定する。
【0065】
駐車方法設定部62は、上記のように第2駐車制御方法の変更パターンをユーザが選択し、選択した変更パターンに基づいて第2駐車制御方法を設定した後に、さらに細かく第2駐車制御方法をユーザが変更する操作を受け付けて、変更操作に応じて第2駐車制御方法を調整してもよい。
例えば、
図7の提案画面80と同様のGUIをHMI13の表示画面に表示して、ユーザが調整ノブマーク83を移動させて駐車制御パラメータを細かく調整する調整操作に応じて、第2駐車制御方法の駐車制御パラメータを変更してもよい。
【0066】
駐車方法設定部62は、ユーザからHMI13に入力される指示に基づいて第2駐車制御方法を設定すると、自車両1や目標駐車位置31の周囲の周囲環境の情報を外界センサ14から取得し、取得した周囲環境と第2駐車制御方法の駐車制御方法データ63とを互いに関連付けて記憶装置17bに記憶する。
【0067】
(2)駐車方法設定部62は、第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生し、駐車方法設定部62が第1駐車制御方法を修正して第2駐車制御方法を設定した場合に、駐車方法設定部62によって設定された第2駐車制御方法を、ユーザからHMI13に入力される指示に基づいて修正してもよい。
【0068】
(実施形態の効果)
(1)自車両を目標駐車位置へ自動的に走行させる駐車制御を行う駐車支援方法では、駐車制御において自車両の走行を制御する制御方法である第1駐車制御方法をユーザに提案し、第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生した場合に、第1駐車制御方法と異なる制御方法である第2駐車制御方法をユーザに提案し、第2駐車制御方法の提案をユーザが承認した場合に、目標駐車位置の周囲の障害物の配置を含んだ目標駐車位置の周囲環境を、第2駐車制御方法と共に自車両がアクセス可能な記憶装置に記憶し、第2駐車制御方法を記憶装置に記憶した後に再び自車両を駐車させる時点における周囲環境を検出し、検出した周囲環境が記憶装置に記憶した周囲環境に類似する場合は、第2駐車制御方法をユーザに提案する。
【0069】
このように、第1駐車制御方法による駐車制御のキャンセルが発生した場合には、キャンセル発生時の周囲環境に第1駐車制御方法が合っておらず、ユーザが駐車支援機能に不満を持っている虞がある。そこで、キャンセル発生時の周囲環境と類似する環境で駐車する際には、第1駐車制御方法と異なる第2駐車制御方法を提案する。これにより、駐車支援機能に対するユーザの満足度を向上でき、駐車支援機能の利用を促進できる
【0070】
(2)駐車制御のキャンセルは、障害物の検出に応じて自車両のコントローラが駐車制御をキャンセルする自動キャンセルであってもよく、ユーザによるキャンセルであってもよい。これにより、第1駐車制御方法が駐車環境やユーザの好みに合っていない場合に、第1駐車制御方法と異なる第2駐車制御方法を提案できる。
(3)第2駐車制御方法をユーザに提案する際に、第1駐車制御方法により駐車制御を実行する場合の駐車経路と、第2駐車制御方法により駐車制御を実行する場合の駐車経路と、を重畳して表示してもよく、第1駐車制御方法により駐車制御を実行する場合の駐車経路と、第2駐車制御方法により駐車制御を実行する場合の駐車経路と、の間の相違を強調表示してもよい。これにより、これらの駐車経路の相違の視認性を向上できる。
【0071】
(4)ユーザにより入力される指示に基づいて、第2駐車制御方法を変更してもよい。これにより、ユーザの好みに応じた駐車制御が可能になる。
(5)第2駐車制御方法を記憶装置に記憶するか否かの承諾をユーザに促してもよい。これにより、ユーザが意図しない第2駐車制御方法の登録を防止できる。
(6)検出した周囲環境が記憶装置に記憶した周囲環境に類似しない場合に、第1駐車制御方法をユーザに提案してもよい。これにより、現在の周囲環境に合わない第2駐車制御方法を提案することを抑制できる。
【符号の説明】
【0072】
1…自車両、10…駐車支援装置、11…測位装置、12…地図データベース、13…ヒューマンマシンインタフェース(HMI)、14…外界センサ、15…車両センサ、16…作動スイッチ、17…コントローラ、17a…プロセッサ、17b…記憶装置、18a…操舵アクチュエータ、18b…アクセルアクチュエータ、18c…ブレーキアクチュエータ、50…HMI制御部、51…駐車支援制御部、52…画像変換部、53…自己位置算出部、54…物標検出部、55…地図生成部、56…駐車位置データ、57…目標駐車位置検出部、59…目標軌道生成部、60…操舵制御部、61…車速制御部、62…駐車方法設定部、63…駐車制御方法データ