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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153602
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】キッチンタオルロール包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/672 20060101AFI20251002BHJP
   B65D 75/20 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
B65D85/672
B65D75/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056154
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(74)【代理人】
【識別番号】100209303
【弁理士】
【氏名又は名称】唐牛 乾
(72)【発明者】
【氏名】清水 美沙
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】片山 聖也
【テーマコード(参考)】
3E037
3E067
【Fターム(参考)】
3E037AA03
3E037BA09
3E037BC04
3E037CA06
3E067AA12
3E067AB75
3E067AC18
3E067BA17A
3E067BB01A
3E067BB25A
3E067CA24
3E067EA04
3E067EA06
3E067EB03
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】長尺のキッチンタオルロールを包装紙で包装する場合であってもキッチンタオルロールの品質が維持され、かつ、手で持った際に包装紙が破れにくく、持ちやすいキッチンタオルロール包装体を提供する。
【解決手段】2プライ又は3プライのキッチンタオルシートをロール状に巻取ったキッチンタオルロールを、軸方向が略平行になるように2ロールを隣接して並べた状態で、包装紙で包装した、キッチンタオルロール包装体であって、包装紙の破裂強度が130kPa以上230kPa以下、キッチンタオルロールの巻長が24m以上50m以下、ロール重量が240g以上640g以下、巻密度が0.42m/cm以上0.99m/cm以下、ロール密度が0.10g/cm以上0.27g/cm以下、キッチンタオルシートの紙厚が1.7mm/10プライ以上3.7mm/10プライ以下である、キッチンタオルロール包装体を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2プライ又は3プライのキッチンタオルシートをロール状に巻取ったキッチンタオルロールを、軸方向が略平行になるように2ロールを隣接して並べた状態で、包装紙で包装した、キッチンタオルロール包装体であって、
前記包装紙の破裂強度が130kPa以上230kPa以下であり、
前記キッチンタオルロールの巻長が24m以上50m以下、ロール重量が240g以上640g以下、巻密度が0.42m/cm以上0.99m/cm以下、ロール密度が0.10g/cm以上0.27g/cm以下であり、
前記キッチンタオルシートの紙厚が1.7mm/10プライ以上3.7mm/10プライ以下であることを特徴とする、キッチンタオルロール包装体。
【請求項2】
前記包装紙の坪量が45g/m以上80g/m以下であることを特徴とする、請求項1に記載のキッチンタオルロール包装体。
【請求項3】
前記包装紙の坪量を前記キッチンタオルロールのロール密度で除した値が205以上535以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキッチンタオルロール包装体。
【請求項4】
前記包装紙の坪量を前記キッチンタオルロールの巻密度で除した値が55以上145以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキッチンタオルロール包装体。
【請求項5】
前記キッチンタオルロールの2ロール分の重量を前記包装紙の破裂強度で除した値が3.0以上7.5以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキッチンタオルロール包装体。
【請求項6】
前記キッチンタオルロールの巻直径が105mm以上135mm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキッチンタオルロール包装体。
【請求項7】
前記キッチンタオルシートの製品プライ当たりの坪量が30g/m以上60g/m以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキッチンタオルロール包装体。
【請求項8】
前記キッチンタオルシートの単位面積当たりの吸水量が145g/m以上220g/m以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキッチンタオルロール包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンタオルロール包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンタオルやペーパータオルといった、厚手の紙や不織布の製品は、ロール状に巻き取られた状態で販売されることが多い。
【0003】
また、そのようなキッチンタオルロールは、1個又は複数個を、フィルムや紙で包装したパッケージの状態で販売されることもある。
【0004】
そのようなキッチンタオルロールを紙包装した包装体として、例えば、特許文献1には、複数個のロール状衛生薄葉紙を包装するための紙基材を含む包装体であって、紙基材の複数個のロール状衛生薄葉紙と接触する面に、ロール状衛生薄葉紙の周面と上面又は下面とで形成される角部が紙基材と接触する領域を除いて、ヒートシール剤が塗工されている、ロール状衛生薄葉紙用包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-147577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、交換頻度や省スペース、物流コストの削減等から、キッチンタオルロールは長尺化されてきている。
【0007】
長尺でないキッチンタオルロールは、紙包装も比較的容易に包装できたが、長尺のキッチンタオルロールを包装しようとすると、ロール重量が重く、ロールが固いため、ロール同士がぶつかり合ってしまう。ロール同士がぶつかり合うと、キッチンタオルシート表面のエンボスが潰れることでシートが薄くなり、従来の品質を維持できないおそれがある。
【0008】
また、キッチンタオルロールにおける巻長が長くなることで、ロールの重量も重くなり、かつ、巻直径も大きくなるため、紙包装の場合は、手で持った際に持ちにくく、指が食い込んで包装が破れやすくなるおそれもある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、長尺のキッチンタオルロールを包装紙で包装する場合であってもキッチンタオルロールの品質が維持され、かつ、手で持った際に包装紙が破れにくく、持ちやすいキッチンタオルロール包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は鋭意検討を行い、2プライ又は3プライのキッチンタオルシートをロール状に巻取ったキッチンタオルロールを、軸方向が略平行になるように2ロールを隣接して並べた状態で、包装紙で包装した、キッチンタオルロール包装体において、包装紙の破裂強度、キッチンタオルロールの巻長、ロール重量、巻密度及びロール密度、並びにキッチンタオルシートの紙厚を、いずれも所定の数値範囲内とすることで、長尺のキッチンタオルロールを包装紙で包装する場合であってもキッチンタオルロールの品質が維持され、かつ、手で持った際に包装紙が破れにくく、持ちやすいキッチンタオルロール包装体とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0011】
(1)本発明の第1の態様は、2プライ又は3プライのキッチンタオルシートをロール状に巻取ったキッチンタオルロールを、軸方向が略平行になるように2ロールを隣接して並べた状態で、包装紙で包装した、キッチンタオルロール包装体であって、前記包装紙の破裂強度が130kPa以上230kPa以下であり、前記キッチンタオルロールの巻長が24m以上50m以下、ロール重量が240g以上640g以下、巻密度が0.42m/cm以上0.99m/cm以下、ロール密度が0.10g/cm以上0.27g/cm以下であり、前記キッチンタオルシートの紙厚が1.7mm/10プライ以上3.7mm/10プライ以下であることを特徴とする、キッチンタオルロール包装体である。
【0012】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のキッチンタオルロール包装体であって、前記包装紙の坪量が45g/m以上80g/m以下であることを特徴とするものである。
【0013】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のキッチンタオルロール包装体であって、前記包装紙の坪量を前記キッチンタオルロールのロール密度で除した値が205以上535以下であることを特徴とするものである。
【0014】
(4)本発明の第4の態様は、(1)又は(2)に記載のキッチンタオルロール包装体であって、前記包装紙の坪量を前記キッチンタオルロールの巻密度で除した値が55以上145以下であることを特徴とするものである。
【0015】
(5)本発明の第5の態様は、(1)又は(2)に記載のキッチンタオルロール包装体であって、前記キッチンタオルロールの2ロール分の重量を前記包装紙の破裂強度で除した値が3.0以上7.5以下であることを特徴とするものである。
【0016】
(6)本発明の第6の態様は、(1)又は(2)に記載のキッチンタオルロール包装体であって、前記キッチンタオルロールの巻直径が105mm以上135mm以下であることを特徴とするものである。
【0017】
(7)本発明の第7の態様は、(1)又は(2)に記載のキッチンタオルロール包装体であって、前記キッチンタオルシートの製品プライ当たりの坪量が30g/m以上60g/m以下であることを特徴とするものである。
【0018】
(8)本発明の第8の態様は、(1)又は(2)に記載のキッチンタオルロール包装体であって、前記キッチンタオルシートの単位面積当たりの吸水量が145g/m以上220g/m以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、長尺のキッチンタオルロールを包装紙で包装する場合であってもキッチンタオルロールの品質が維持され、かつ、手で持った際に包装紙が破れにくく、持ちやすいキッチンタオルロール包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係るキッチンタオルロール包装体の斜視図である。
図2】本実施形態に係るキッチンタオルロールの斜視図である。
図3】本実施形態のキッチンタオルシートの吸水量の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0022】
また、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。
【0023】
<キッチンタオルロール包装体>
図1は、本実施形態に係るキッチンタオルロール包装体1(以下、単に「包装体1」とも称する。)の斜視図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係るキッチンタオルロール包装体1は、2プライ又は3プライのキッチンタオルシート10xをロール状に巻取ったキッチンタオルロール10を、軸方向が略平行になるように2ロールを隣接して並べた状態で、包装紙2で包装したものである。
【0025】
なお、包装体1は、包装紙2を破って開封しやすくするためのミシン目を設けてもよい(図示しない)。このミシン目は、例えば、包装紙2におけるキッチンタオルロール10と接しない部分において軸方向に平行に設けてもよいし、当該部分以外の包装体1の側面部において軸方向に平行に設けてもよい(図示しない)。また、ミシン目は軸方向に垂直に設けてもよく、例えば、包装体1の天面部又は底面部に、軸方向に垂直で、かつ、2ロールに並んだキッチンタオルロール10のそれぞれの軸の中心部を結ぶ方向に設けてもよい(図示しない)。さらに、ミシン目は包装体1の側面部に、軸方向に垂直な方向で、かつ、包装紙2の周長方向に沿って設けてもよい(図示しない)。なお、ミシン目の長さは自由に設定することができる。
【0026】
<包装紙>
包装紙2は、少なくとも紙基材を含むことが好ましく、ラミネート層やヒートシール層等の、他の層を含んでいてもよい。また、紙基材には、包装体1として形成された際、外面側に印刷が施されていてもよい。なお、包装紙2において、後述する接着されている部分以外は、紙基材が主体であることが好ましく、紙基材が100%であることがより好ましい。
【0027】
紙基材は、木材パルプを主原料として製造される。ここでのパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプや、新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙等の古紙パルプ等、従来において公知であるパルプを単独で、あるいは任意の配合率で混合したものを採用することができる。
【0028】
本発明の包装体1の紙基材において、用いるパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ0重量%以上70重量%以下、広葉樹クラフトパルプ30重量%以上100重量%以下であることが好ましく、針葉樹クラフトパルプ10重量%以上60重量%以下、広葉樹クラフトパルプ40重量%以上90重量%以下であることがより好ましく、針葉樹クラフトパルプ20重量%以上50重量%以下、広葉樹クラフトパルプ50重量%以上80重量%以下であることが更に好ましい。上記のパルプ配合にすることで包装紙2が破れにくく、かつ、手で持ちやすい包装体1を得ることができる。また、未晒パルプであることが好ましい。
【0029】
パルプスラリーには、パルプ繊維以外の材料を副資材として配合してもよい。包装体1においては、通常、パルプ繊維の含有割合を70重量%以上100重量%以下とすることが好ましく、80重量%以上100重量%以下とすることがより好ましく、90重量%以上100重量%以下とすることが更に好ましい。上記のパルプ含有量にすることで、包装紙2が破れにくく、かつ、手で持ちやすい包装体1を得ることができる。
【0030】
なお、パルプ製造における蒸解方法や漂白方法は、特に限定されない。
【0031】
また、紙基材には、必要に応じて、一般的に用いられている各種添加剤、例えば、湿潤紙力向上剤、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料等を適宜、適量にて添加してもよい。
【0032】
湿潤紙力向上剤は、通常用いられる公知のものの中から選択して使用することができる。例えば、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、メラミン系樹脂等から選択することが好ましい。
このような湿潤紙力向上剤の配合量(絶乾状態での質量)は、通常、パルプ(絶乾状態での質量)に対して、湿潤紙力向上剤を0.01重量%以上0.7重量%以下、好ましくは0.02重量%以上0.5重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.3重量%以下とすることが好ましい。湿潤紙力向上剤の配合量が0.7重量%を超えても、その配合量に見合う効果が得られ難くなり、その結果、コストアップとなり、また離解性が低下して、本発明の包装体1を後に再利用することが困難となる場合がある。また、湿潤紙力向上剤の配合量が0.01重量%未満では、十分な湿潤紙力が得難いものとなり、水に濡れたときに破れ易く包装体1としての機能が劣る場合がある。
【0033】
本発明の包装体1において、これらの原料を通常の抄紙工程により抄造して、包装紙2の紙基材を得ることができる。
【0034】
なお、包装紙2は紙基材以外に、他の層を備えていてもよい。例えば、接着及び封止するためのシール層や接着剤層が挙げられるが、その他の層としては、ラミネート層、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等も挙げられる。これら他の層は、例えば、紙基材の表面側又は裏面側に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。
【0035】
(包装紙の坪量)
包装紙2の坪量は、45g/m以上80g/m以下であることが好ましい。包装紙2の坪量が45g/m未満であると、包装体1を手で持った際に包装紙2が破れやすくなる。包装紙2の坪量が80g/mを超えると、包装紙2がごわごわして、包装体1を手で持ちにくくなる。
なお、包装紙2の坪量の下限値は、より好ましくは47g/m以上であり、更に好ましくは50g/m以上である。また、上限値はより好ましくは65g/m以下であり、更に好ましくは55g/m以下である。包装紙2の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定することができる。
【0036】
(包装紙の厚み)
包装紙2の厚みは、下限値が好ましくは25μm以上であり、より好ましくは30μm以上であり、更に好ましくは35μm以上である。また、上限値は好ましくは75μm以上であり、より好ましくは70mm以下であり、更に好ましくは65μm以下である。包装紙2の厚みが25μm未満であると、包装体1を手で持った際に包装紙2が破れやすくなる。包装紙2の厚みが75μmを超えると、包装紙2がごわごわして、包装体1を手で持ちにくくなる。
なお、包装紙2の厚さは、JIS P 8118に準拠して圧力は100kPaで測定する。
【0037】
(包装紙の破裂強度)
包装紙2の破裂強度は、130kPa以上230kPa以下である。破裂強度が130kPa未満であると、包装体1を手で持った際に包装紙2が破れやすくなる。破裂強度が230kPaを超えると、包装紙2がごわごわして、包装体1を手で持ちにくくなる。
なお、包装紙2の破裂強度の下限値は、好ましくは135kPa以上であり、より好ましくは145kPa以上である。また、上限値は好ましくは200kPa以下であり、より好ましくは170kPa以下である。包装紙2の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定することができる。
【0038】
<キッチンタオルロール>
図2は、本実施形態に係るキッチンタオルロール10の斜視図である。
【0039】
図2に示すように、本実施形態に係るキッチンタオルロール10は、キッチンタオルシート10xを、紙管11(以下、コアとも称する)に巻付け、ロール状に巻取ったキッチンタオルロール10である。なお、キッチンタオルシート10xは、ロール巻方向の略等間隔において、ロール幅方向にミシン目を施されていることが好ましい(図示しない)。
【0040】
なお、図2に示すように、キッチンタオルシート10xの表面のうち、ロール外側に指向した表面を表面10a(キッチンタオルシート10xの表面)と称し、ロール中心部に指向した表面を裏面10b(キッチンタオルシート10xの裏面)と称する。また、キッチンタオルシート10xの端部をキッチンタオルロール10の最外周の端縁10eと称する。
【0041】
キッチンタオルロール10の用途としては、例えば、家庭のキッチンや飲食店の厨房等において水分又は油分のふき取りや汚れ落とし等に使用されるキッチンペーパー(ペーパータオル、クッキングペーパー等と称される場合もある。)のロール体(キッチンペーパーロール)、その他衛生紙のロール体等が挙げられる。
【0042】
(巻長及び巻直径)
キッチンタオルロール10の巻長は、24m以上50m以下である。巻長が24m未満であると、結果として巻直径DRが小さくなって指が食い込みやすくなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。巻長が50mを超えると、結果として巻直径DRが大きくなりすぎて、包装体1が手で持ちにくくなる。
なお、キッチンタオルロール10の巻長は、下限値が好ましくは25m以上であり、より好ましくは26m以上である。また、上限値は好ましくは40m以下であり、より好ましくは30m以下である。
【0043】
巻長は、次のように測定する。まず、キッチンタオルロール10のミシン目とミシン目の間のキッチンタオルシート10xについて、10シート分の長さを実測する。その後、キッチンタオルロール10のシート数を実測し、巻長は10シート分の長さとシート数から比例計算で求める。例えば、10シート分の長さが1.80m、シート数が150シートの場合、1.80m×(150/10)=27mとなる。なお、キッチンタオルロール10にミシン目がない場合は、巻長を実測することが好ましい。
【0044】
また、キッチンタオルロール10の巻直径DRは105mm以上135mm以下であることが好ましい。巻直径DRが105mm未満であると、巻直径DRが小さすぎて指が食い込みやすくなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。巻直径DRが135mmを超えると、巻直径DRが大きくなりすぎて包装体1が手で持ちにくくなる。
なお、キッチンタオルロール10の巻直径DRは、下限値がより好ましくは110mm以上であり、更に好ましくは115mm以上である。また、上限値はより好ましくは125mm以下であり、更に好ましくは120mm以下である。
【0045】
ロールの巻直径DRは、例えば、ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて実測する。2個のキッチンタオルロール10について測定し、測定結果を平均し、ロールの巻直径DRの値とする。
【0046】
(ロール幅及びロール重量)
キッチンタオルロール10のロール幅は、下限値が好ましくは195mm以上であり、より好ましくは205mm以上であり、更に好ましくは215mm以上である。また、上限値は好ましくは285mm以下であり、より好ましくは255mm以下であり、更に好ましくは235mm以下である。ロール幅が上記の数値範囲内であることにより、結果としてキッチンタオルロール10のロール重量が適度なものとなり、手で持った際に包装紙2が破れにくく、持ちやすい包装体1とすることができる。
【0047】
また、キッチンタオルロール10のロール重量は240g以上640g以下である。ロール重量が240g未満であると、結果として巻直径DRが小さくなって指が食い込みやすくなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。ロール重量が640gを超えると、ロール重量が重くなりすぎて、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。
なお、キッチンタオルロール10のロール重量は、下限値が好ましくは290g以上であり、より好ましくは320g以上である。また、上限値は好ましくは500g以下であり、より好ましくは400g以下である。
【0048】
この場合におけるキッチンタオルロール10のロール重量とは、キッチンタオルロール10におけるコア(紙管11)を含むロール幅280mm当たりの重量である。ロール幅が280mmでない場合は、比例計算により280mm当たりの重量に換算する。
【0049】
なお、キッチンタオルロール10におけるコア(紙管11)を含まないロール幅280mm当たりのロール重量は、下限値が好ましくは230g以上であり、より好ましくは280g以上であり、更に好ましくは310g以上である。また、上限値は好ましくは630g以下であり、より好ましくは490g以下であり、更に好ましくは390g以下である。コアを含まないロール重量が230g未満であると、結果として巻直径DRが小さくなって指が食い込みやすくなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。コアを含まないロール重量が630gを超えると、ロール重量が重くなりすぎて、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。
【0050】
また、キッチンタオルロール10の2ロール分の重量を包装紙2の破裂強度で除した値は3.0以上7.5以下であることが好ましい。値が3.0未満であると、結果として巻直径DRが小さくなって指が食い込みやすくなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。値が7.5を超えると、結果としてロール重量が重くなりすぎて、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。
なお、キッチンタオルロール10の2ロール分の重量を包装紙2の破裂強度で除した値は、下限値が3.6以上であることがより好ましく、4.1以上であることが更に好ましい。また、上限値は5.5以下であることがより好ましく、5.1以下であることが更に好ましい。
【0051】
(ロール密度)
さらに、キッチンタオルロール10のロール密度は、0.10g/cm以上0.27g/cm以下である。ロール密度が0.10g/cm未満であると、キッチンタオルロール10が柔らかすぎて指が食い込みやすくなり、結果として包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。ロール密度が0.27g/cmを超えると、キッチンタオルロール10が固すぎて、包装体1を手で持ちにくくなる。
なお、キッチンタオルロール10のロール密度は、下限値は好ましくは0.13g/cm以上であり、より好ましくは0.14g/cm以上である。また、上限値は好ましくは0.20g/cm以下であり、より好ましくは0.17g/cm以下である。
【0052】
ロール密度は、(ロール重量)÷(ロールの体積)で表される。ロール重量は、ロール幅280mm当たりのコアを含まないキッチンタオルロール10の重量である。ロール体積は[{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}-(紙管11の紙管外径DI部分の断面積)]×ロール幅(280mmあたりに換算する)で表される。例えば、ロール幅280mm当たりのロール重量(コアを含まない)が342g、巻直径DRが119mm、紙管外径DIが40mmの場合、ロール密度=342g÷[{3.14×(119mm÷2÷10)-3.14×(40mm÷2÷10)}×(280mm÷10)]=0.12g/cmとなる。
【0053】
また、包装紙2の坪量をキッチンタオルロール10のロール密度で除した値が205以上535以下であることが好ましい。値が205未満であると、包装体1を手で持った際に包装紙2が破れやすくなる。値が535を超えると、包装紙2がごわごわして、包装体1を手で持ちにくくなる。
なお、包装紙2の坪量をキッチンタオルロール10のロール密度で除した値は、下限値が305以上であることがより好ましく、335以上であることが更に好ましい。また、上限値は415以下であることがより好ましく、365以下であることが更に好ましい。
【0054】
(巻密度)
そして、キッチンタオルロール10の巻密度は、0.42m/cm以上0.99m/cm以下である。キッチンタオルロール10の巻密度が0.42m/cm未満であると、キッチンタオルロール10が柔らかすぎて指が食い込みやすくなり、結果として包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。キッチンタオルロール10の巻密度が0.99m/cmを超えると、キッチンタオルロール10が固すぎて、包装体1を手で持ちにくくなる。
なお、キッチンタオルロール10の巻密度は、下限値が好ましくは0.48m/cm以上であり、より好ましくは0.53m/cm以上である。また、上限値は好ましくは0.68m/cm以下であり、より好ましくは0.62m/cm以下である。
【0055】
巻密度は、(巻長×プライ数)÷(ロールの断面積)で表される。ロールの断面積は、{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積-(紙管11の紙管外径DI部分の断面積)}で表される。例えば、巻長27.5m、2プライ、巻直径DR119mm、紙管外径DI40mmの場合、巻密度=(27.5m×2)÷{3.14×(119mm÷2÷10)-3.14×(40mm÷2÷10)}=0.56m/cmとなる。
【0056】
また、包装紙2の坪量をキッチンタオルロール10の巻密度で除した値が55以上145以下であることが好ましい。値が55未満であると、包装体1を手で持った際に包装紙2が破れやすくなる。値が145を超えると、包装紙2がごわごわして、包装体1を手で持ちにくくなる。
なお、包装紙2の坪量をキッチンタオルロール10の巻密度で除した値は、下限値が75以上であることがより好ましく、85以上であることが更に好ましい。また、上限値は125以下であることがより好ましく、105以下であることが更に好ましい。
【0057】
(紙管)
キッチンタオルロール10は、その中心に、軸方向に平行な紙管11を有することが好ましい。紙管11は、キッチンタオルシート10xを巻き付けるための芯であり、例えば、断面視略円筒状のもの等がある。また、紙管11は、原紙を複数枚重ねたものであり、2枚重ねであることが好ましい。
【0058】
(紙管外径)
キッチンタオルロール10の芯である紙管11の外径である、紙管外径DIは、下限値が好ましくは25mm以上であり、より好ましくは30mm以上であり、更に好ましくは35mm以上である。また、上限値は好ましくは55mm以下であり、より好ましくは50mm以下であり、更に好ましくは45mm以下である。紙管外径DIが25mm未満であると、結果として巻直径DRが小さくなって指が食い込みやすくなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。紙管外径DIが55mmを超えると、結果として巻直径DRが大きくなって待ちにくくなる。
紙管外径DIは、例えば、ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定する。測定は、2個のキッチンタオルロール10を測定し、測定結果を平均することが好ましい。
【0059】
(紙管重量)
また、キッチンタオルロール10の芯である紙管11の重量は、下限値が5.0g以上であることが好ましく、6.0g以上であることがより好ましく、7.0g以上であることが更に好ましい。また、上限値は20g以下であることが好ましく、15g以下であることがより好ましく、12g以下であることが更に好ましい。紙管重量が5.0g未満であると、結果として巻直径DRが小さくなって指が食い込みやすくなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。紙管重量が20gを超えると、結果として巻直径DRが大きくなって待ちにくくなる。
なお、紙管重量は、キッチンタオルロール10におけるロール幅280mm当たりのコア(紙管)の重量とし、ロール幅が280mmでない場合は、比例計算により280mm当たりの重量に換算する。
【0060】
<キッチンタオルシート>
本実施形態に係るキッチンタオルシート10xは、2プライ又は3プライであり、2プライであることが好ましい。
【0061】
キッチンタオルシート10xはウェットパルプを含有することが好ましい。そして、ウェットパルプの含有率が50%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。ウェットパルプを含有するキッチンタオルシート10xは、ドライパルプを含有するものに比べて、吸水性がより良好である。また、キッチンタオルシート10xの強度を高めやすいため、キッチンタオルロール10同士がぶつかり合うことによるエンボスの潰れをより効果的に防止できる。ウェットパルプの含有率が下限以上であると、キッチンタオルシート10xの品質を維持しやすく、エンボスの潰れをより一層効果的に防止できる。
【0062】
また、パルプとしては、例えば針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等を用いることができる。そして、その含有割合はNBKP:LBKP=0~70質量%:30~100質量%が好ましく、NBKP:LBKP=10~60質量%:40~90質量%がより好ましく、NBKP:LBKP=20~50質量%:50~80質量%が更に好ましい。
【0063】
(坪量)
本実施形態に係るキッチンタオルシート10xの製品プライ当たりの坪量は、30g/m以上60g/m以下であることが好ましい。製品プライ当たりの坪量が30g/m未満であると、キッチンタオルシート10xが嵩高さに劣る。製品プライ当たりの坪量が60g/mを超えると、結果としてロール重量が重くなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。
なお、キッチンタオルシート10xの製品プライ当たりの坪量の下限値は、より好ましくは35g/m以上であり、更に好ましくは40g/m以上である。また、上限値はより好ましくは50g/m以下であり、更に好ましくは45g/m以下である。キッチンタオルシート10xの坪量はJIS P 8124に基づいて測定することができるが、製品プライ当たりの坪量とは、キッチンタオルシート10xのプライ数を変更せずに(剥がしたり増やしたりせずに)測定する坪量を指す。
【0064】
(吸水量)
本実施形態において、キッチンタオルシート10xの単位面積当たりの吸水量は、145g/m以上220g/m以下であることが好ましい。単位面積当たりの吸水量が145g/m未満であると、キッチンタオルシート10xが嵩高さに劣る。単位面積当たりの吸水量が220g/mを超えると、結果としてロール重量が重くなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。
なお、キッチンタオルシート10xの単位面積当たりの吸水量の下限値は、より好ましくは150g/m以上であり、更に好ましくは155g/m以上である。また、上限値はより好ましくは200g/m以下であり、更に好ましくは180g/m以下である。
【0065】
図3は、本実施形態に係るキッチンタオルシート10xの吸水量の測定方法を示す図である。
【0066】
なお、キッチンタオルシート10xが2プライの場合の単位面積当たりの吸水量は以下のように測定する。まず、2プライに重ねられたキッチンタオルシート10xを採取し、一片が7.6cm(3インチ)の正方形の型版を用いてカットし、一辺7.6cmの矩形の試験片20を作製する。吸水前の試験片20の重量を電子天秤で測定しておく。試験片20をホルダー22(試験片20の3点を固定するジグで、ジグは水分を吸収しない金属からなる)にセットする。
【0067】
次に、市販のバットに、蒸留水を深さ2cm入れ、ホルダー22にセットした試験片20を蒸留水中に2分間浸漬する。2分浸漬後に試験片20をホルダー22と共に蒸留水から取り出し、図3に示すように、試験片20の1つの隅部20dに帯21を貼り付ける。帯21は、測定するキッチンタオル2プライと同じキッチンタオルを1プライに剥離して、その紙製キッチンタオル1プライを2mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片20の隅部20dから中心に向かって6mmの部分に貼り付ける。次に、ホルダー22と試験片20を、隅部20dに対向する隅部20aが上になるようにして空の水槽内に設置した棒にぶら下げ、水槽の蓋を閉めて15分間、放置する。
【0068】
その後、ホルダー22と試験片20を水槽から取り出し、帯21とホルダー22を外し、電子天秤で試験片20の重量を測定する。蒸留水に浸す前後での試験片20の重量変化から、試験片20の単位面積当たりの蒸留水の吸水量(水g/シートm、1m当たり。略してg/mとする。)を計算する。測定は各サンプル5回ずつ行い、平均値を採用する。
【0069】
なお、キッチンタオルシート10xが3プライの場合も、2プライの場合と同様の手順で測定することが好ましい。
本測定は、JIS P 8111法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で行う。また、蒸留水は23±1℃に保持する。
【0070】
(シート長)
ミシン目とミシン目の間のシート長(ロール巻方向のキッチンタオルシート10xの長さ)は、下限値が好ましくは200mm以上であり、より好ましくは210mm以上であり、更に好ましくは220mm以上である。また、上限値は好ましくは270mm以下であり、より好ましくは260mm以下であり、更に好ましくは250mm以下である。シート長が上記の数値範囲内であることにより、結果としてキッチンタオルロール10の巻直径DRやロール重量が適度なものとなり、手で持った際に包装紙2が破れにくく、持ちやすい包装体1とすることができる。
【0071】
(比容積)
キッチンタオルシート10xの比容積は、下限値が好ましくは7.0cm/g以上であり、より好ましくは7.5cm/g以上であり、更に好ましくは8.5cm/g以上である。また、上限値は好ましくは17cm/g以下であり、より好ましくは16cm/g以下であり、更に好ましくは15cm/g以下である。シート長が上記の数値範囲内であることにより、キッチンタオルシート10xの嵩高さが良好なものとなる他、結果としてキッチンタオルロール10の巻直径DRやロール重量が適度なものとなり、手で持った際に包装紙2が破れにくく、持ちやすい包装体1とすることができる。
比容積は、キッチンタオルシート10xの1プライ当たりの紙厚を1プライ当たりの坪量で割り、単位g当たりの容積cmで表す。
【0072】
(紙厚)
キッチンタオルシート10xの紙厚は、1.6mm/10プライ以上3.7mm/10プライ以下である。紙厚が1.6mm/10プライ未満であると、キッチンタオルシート10xが嵩高さに劣る。紙厚が3.7mm/10プライを超えると、結果としてロール重量が重くなり、包装体1を手で持ったときに包装紙2が破れやすくなる。
なお、キッチンタオルシート10xの紙厚は、下限値が好ましくは2.0mm/10プライ以上であり、より好ましくは2.3mm/10プライ以上である。また、上限値は好ましくは3.4mm/10プライ以下であり、より好ましくは3.1mm/10プライ以下である。
【0073】
紙厚は、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定することができる。測定条件は、測定荷重38gf/cm、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。試料としては、キッチンタオルシート10xを10プライ分(2プライの場合は5組分、3プライの場合は3組分として値を比例計算で10プライ分にする)として測定を行う。また、測定を異なる箇所で10回繰り返して測定結果を平均する。
【0074】
(エンボスパターン)
本実施形態のキッチンタオルロール10(キッチンタオルシート10x)は、エンボス加工が施され、エンボスパターンを有している(エンボスパターンが付与されている)ことが好ましい。シングルエンボス、ダブルエンボスどちらでもかまわないが、ダブルエンボスが好ましく、また、ネステッドエンボスであることが好ましい。また、キッチンタオルシート10xは、1プライのシートに好ましくはエンボス処理した後、2プライ以上に積層する。積層する場合には、例えば、プライボンドグルー(糊)を用い、グルーを塗布して接着処理することが好ましい。また、プライボンドグルー(糊)の代わりに水を用いても良い。
【0075】
プライボンドグルーは、2プライのキッチンタオルシート10xのうち表面10a側のシートのエンボス部の裏面側(2プライの表面10a側のシートと裏面10b側のシートとの間)に塗布し、両シートを積層することが好ましい。また、3プライの場合、表面10a側の2層でエンボス処理して真ん中の層の裏面側に糊を付けることも、表面10a側の1層でエンボス処理して表面10a側の層の裏面側に糊を付けることも可能である。その中でも、表面10a側の2層でエンボス処理して真ん中の層の裏面側に糊を付けることが好ましい。
【0076】
キッチンタオルシート10xの表面10a側のプライには、エンボスパターンが付与されていることが好ましい。エンボスパターンが表面10a側に施されることで、エンボス部にグルーを塗布し、2プライ以上に積層することができる。また、裏面10b側のシートは、エンボスパターンを付与されている(有している)ことが好ましいが、付与されていなくても(有さなくても)よい。裏面10b側がエンボスパターンを有することで、長尺であってもキッチンタオルシート10x(キッチンタオルロール10)の品質を維持することができる。なお、エンボスパターンはドット状や線状等、キッチンタオルに一般的に施されるパターンであれば特に限定されないが、中でもドット状のエンボスパターンであることが好ましい。ドット状のエンボスパターンにすることで、ロールとロールが擦れた場合のダメージを一層効果的に抑制することができる。
【0077】
<キッチンタオルロール包装体の製造方法>
キッチンタオルロール包装体1は、例えば(1)抄紙及びクレーピング、(2)エンボス処理、(3)ロール巻取り加工、(4)2ロールを包装紙で包装、の順で製造することができる。なお、キッチンタオルシート10xの製造(抄紙)工程においては、ドライクレープ抄紙技術を用いることが好ましい。
【0078】
そして、(4)包装紙による包装において、包装紙2の包装形態は、図1に示すキャラメル包装が好ましい。
【0079】
包装形態がキャラメル包装の場合は、キャラメル包装を行うことができる公知の包装装置や工程であれば、用いる装置や工程は特に制限されない。例えば、シート状の包装紙2上に、2個のキッチンタオルロール10を載置した状態で、キッチンタオルロール10の周面に沿うように包装紙2を巻き付けて筒状にし、又はあらかじめ筒状に形成された包装紙2の軸方向の一端から2個のキッチンタオルロール10を筒状の包装紙2と同軸方向に挿入する。そして、2個のキッチンタオルロール10の両端側からはみ出た包装紙2のうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分をホットメルト接着剤等で接着することが好ましい。
【実施例0080】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0081】
(1)抄紙及びクレーピング、(2)エンボス処理、(3)ロール巻取り加工、(4)包装紙による包装、の工程を経て、実施例1から実施例13、比較例1から比較例6のキッチンタオルロール包装体を製造した。そして、全ての実施例、及び比較例のキッチンタオルロール包装体に関して、上述した方法に準拠して各パラメーターを測定し、かつ、上述した方法に準拠して下記の評価を行った。なお、エンボスは全てキッチンタオルシートの表側のみに設け、包装体はキッチンタオルロールを2ロール、軸方向が互いに平行になるように隣接して並べた状態で、包装紙で包装した。
【0082】
(シートの嵩高さ)
包装体から取り出したキッチンタオルシートの嵩高さを紙厚の測定値から4段階で評価し、2以上を合格とした。
4:紙厚が2.3mm/10プライ以上
3:紙厚が2.0mm/10プライ以上、2.3mm/10プライ未満
2:紙厚が1.7mm/10プライ以上、2.0mm/10プライ未満
1:紙厚が1.7mm/10プライ未満
【0083】
(包装紙の破れにくさ)
30人のモニターによって包装体を手で持ったときの包装紙の破れにくさを官能評価し、「包装紙が破れにくい」と「包装紙が破れやすい」のどちらかを選択し、「包装紙が破れにくい」と答えた人数により4段階で評価し、2以上を合格とした。
4:「包装紙が破れにくい」と感じた人数が27人以上であった。
3:「包装紙が破れにくい」と感じた人数が23人以上26人以下であった。
2:「包装紙が破れにくい」と感じた人数が18人以上22人以下であった。
1:「包装紙が破れにくい」と感じた人数が15人以下であった。
【0084】
(包装体の持ちやすさ)
30人のモニターによって包装体の持ちやすさを官能評価し、「包装体が手で持ちやすい」と「包装体が手で持ちにくい」のどちらかを選択し、「包装体が手で持ちやすい」と答えた人数により4段階で評価し、2以上を合格とした。
4:「包装体が手で持ちやすい」と感じた人数が27人以上であった。
3:「包装体が手で持ちやすい」と感じた人数が23人以上26人以下であった。
2:「包装体が手で持ちやすい」と感じた人数が18人以上22人以下であった。
1:「包装体が手で持ちやすい」と感じた人数が15人以下であった。
【0085】
得られた結果を表1から表3に示す。
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】

【表3】
【0088】
以上より、本実施例のキッチンタオルロールは、長尺のキッチンタオルロールを包装紙で包装する場合であってもキッチンタオルロールの品質が維持され、かつ、手で持った際に包装紙が破れにくく、持ちやすいキッチンタオルロール包装体であることが確認された。
【符号の説明】
【0089】
1 キッチンタオルロール包装体
2 包装紙
10 キッチンタオルロール
10a 表面
10b 裏面
10e キッチンタオルロールの最外周の端縁
10x キッチンタオルシート
11 紙管
20 試験片
20a,20d 隅部
21 帯
22 ホルダー
図1
図2
図3