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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153876
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】表示機能付き認証装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/74 20230101AFI20251002BHJP
   G06V 40/16 20220101ALI20251002BHJP
   G06V 10/141 20220101ALI20251002BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20251002BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20251002BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20251002BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20251002BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20251002BHJP
【FI】
H04N23/74
G06V40/16 A
G06V10/141
G06T7/00 660A
H04N23/56
G08B25/04 E
G03B15/00 Q
G03B15/00 S
G03B15/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056568
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】藤江 聡明
(72)【発明者】
【氏名】青木 秀行
(72)【発明者】
【氏名】小関 遼
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健
【テーマコード(参考)】
5B043
5C087
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
5B043AA04
5B043AA09
5B043BA04
5B043CA10
5B043DA05
5B043FA03
5B043GA02
5B043HA01
5B043HA09
5C087AA19
5C087DD05
5C087EE07
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG10
5C087GG28
5C122DA19
5C122EA53
5C122FF17
5C122FF22
5C122FK24
5C122FL03
5C122FL08
5C122GG18
5C122GG21
5C122HA75
5C122HA86
5C122HB01
5C122HB09
5L096BA02
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA14
5L096CA17
5L096DA02
5L096DA04
5L096FA06
5L096GA51
5L096JA03
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】撮像環境の明るさに違いがあっても本人認証を好適に行う表示機能付き認証装置を提供することを目的とする。
【解決手段】表示機能付き認証装置は、撮像部と、輝度を調整可能な画面を有する表示部と、撮像部により撮像された画像を用いて、利用者を認証する認証手段と、認証手段による認証のための撮像が実行される際に、画面の輝度を認証用の輝度に設定する設定手段と、を備える。また、表示機能付き認証装置は、撮像部の周辺の照度又は撮像部が撮像した撮像画像に基づき、撮像環境の明るさを取得する取得手段を更に備え、設定手段は、撮像環境の明るさが低い場合の認証用の輝度を、撮像環境の明るさが高い場合の認証用の輝度より高くする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
輝度を調整可能な画面を有する表示部と、
前記撮像部により撮像された画像を用いて、利用者を認証する認証手段と、
前記認証手段による認証のための撮像が実行される際に、前記画面の輝度を認証用の輝度に設定する設定手段と、
を備える表示機能付き認証装置。
【請求項2】
前記撮像部の周辺の照度又は前記撮像部が撮像した撮像画像に基づき、撮像環境の明るさを取得する取得手段を更に備え、
前記設定手段は、前記撮像環境が暗いときの方が、前記撮像環境が明るいときよりも前記画面の輝度を高輝度にする、
請求項1に記載の表示機能付き認証装置。
【請求項3】
前記設定手段は、利用者による認証要求が実行された場合に、前記画面の輝度を前記認証用の輝度に設定する、
請求項1又は2に記載の表示機能付き認証装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記認証要求が実行された場合に、前記画面の輝度を、所定の表示用の輝度から前記認証用の輝度に変更する、
請求項3に記載の表示機能付き認証装置。
【請求項5】
前記表示部は、利用者による認証要求操作を受け付ける表示操作部であり、
前記設定手段は、前記認証要求として前記表示操作部が前記認証要求操作を受け付けた場合に、前記画面の輝度を、前記認証要求操作を受け付ける表示用の輝度から前記認証用の輝度に変更する、
請求項4に記載の表示機能付き認証装置。
【請求項6】
前記撮像部の周辺の物体を検知するセンサを更に備え、
前記認証手段は、前記センサにより物体が検知された時に利用者の認証を開始し、
前記設定手段は、前記認証を開始してから利用者による認証要求が実行されるまでに前記認証に成功していない場合、前記認証要求が実行された時に前記画面の輝度を前記認証用の輝度に設定する、
請求項1に記載の表示機能付き認証装置。
【請求項7】
前記撮像部の周辺の物体を検知するセンサを更に備え、
前記認証手段は、第1の所定範囲内において前記センサにより物体が検知された時に利用者の認証を開始し、
前記設定手段は、前記第1の所定範囲よりも狭い第2の所定範囲内において前記利用者が検知された時に当該利用者の認証が成功していない場合、前記画面の輝度を前記認証用の輝度に設定する、
請求項1に記載の表示機能付き認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機能付き認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像された画像を用いて利用者を認証する技術が知られている。例えば、特許文献1には、照明環境判定部により照明が明るすぎると判定された場合には、カメラの絞り、ゲイン、シャッタ速度を調整する顔認識装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-84815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像された画像を用いて利用者を認証する認証装置では、利用者をより良好に認証することができることが望まれている。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、撮像された画像を用いて利用者をより良好に認証することができる表示機能付き認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示機能付き認証装置は、撮像部と、輝度を調整可能な画面を有する表示部と、撮像部により撮像された画像を用いて、利用者を認証する認証手段と、認証手段による認証のための撮像が実行される際に、画面の輝度を認証用の輝度に設定する設定手段と、を備える。
【0007】
さらに、本発明に係る表示機能付き認証装置では、撮像部の周辺の照度又は撮像部が撮像した撮像画像に基づき、撮像環境の明るさを取得する取得手段を更に備え、設定手段は、撮像環境が暗いときの方が、撮像環境が明るいときよりも画面の輝度を高輝度にすることが好ましい。
【0008】
さらに、本発明に係る表示機能付き認証装置では、設定手段は、利用者による認証要求が実行された場合に、画面の輝度を認証用の輝度に設定することが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る表示機能付き認証装置では、設定手段は、認証要求が実行された場合に、画面の輝度を、所定の表示用の輝度から認証用の輝度に変更することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る表示機能付き認証装置では、表示部は、利用者による認証要求操作を受け付ける表示操作部であり、設定手段は、認証要求として表示操作部が認証要求操作を受け付けた場合に、画面の輝度を、認証要求操作を受け付ける表示用の輝度から認証用の輝度に変更することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る表示機能付き認証装置では、撮像部の周辺の物体を検知するセンサを更に備え、認証手段は、センサにより物体が検知された時に利用者の認証を開始し、設定手段は、認証を開始してから利用者による認証要求が実行されるまでに認証に成功していない場合、認証要求が実行された時に画面の輝度を認証用の輝度に設定することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る表示機能付き認証装置では、撮像部の周辺の物体を検知するセンサを更に備え、認証手段は、第1の所定範囲内においてセンサにより物体が検知された時に利用者の認証を開始し、設定手段は、第1の所定範囲よりも狭い第2の所定範囲内において利用者が検知された時に当該利用者の認証が成功していない場合、画面の輝度を前記認証用の輝度に設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮像された画像を用いて利用者をより良好に認証することができる表示機能付き認証装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る監視システム1の機能ブロック図である。
図2】(A)は登録者情報テーブル131のデータ構造を示す図であり、(B)はセンサ情報テーブル132のデータ構造を示す図である。
図3】監視システム1の警備装置10によって実行される監視処理の流れを示すフロー図である。
図4】輝度設定処理の流れを示すフロー図である。
図5】認証処理の流れを示すフロー図である。
図6】変形例1に係る監視システム1の輝度設定認証処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る監視システムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
(実施形態1に係る監視システム1の構成及び機能)
図1は、実施形態1に係る監視システム1の機能ブロック図である。監視システム1は、監視エリアへの侵入(侵入異常)を監視する。監視エリアは、例えば、住居、商業施設、事務所、及び公共施設等の施設の建造物である。監視エリアは、建造物の外周又は建造物が建てられている土地を含んでもよい。監視システム1は、警備装置10、複数の監視センサ30、警備センタ装置40及び通信端末50を有する。監視センサ30は、警備装置10と通信可能に接続される。警備センタ装置40及び通信端末50は、ネットワーク60を介して警備装置10と通信可能に接続される。
【0017】
警備装置10は、表示機能付き認証装置の一例であり、監視エリアの内部に配置される。例えば、警備装置10は、監視エリアである建造物の内部に配置される。警備装置10は、施設の利用者の操作に応じて監視エリアを監視し、監視エリアへの侵入であると疑われるような異常が検知された場合に、警備センタ装置40に通報する。警備装置10は、インタフェース部11、通信部12、記憶部13、表示操作部14、撮像部15、音声出力部16、照度センサ17、測距センサ18及び処理部20を有する。
【0018】
インタフェース部11は、警備装置10を監視センサ30と通信可能にするための構成であり、インタフェース回路を備える。インタフェース回路は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等の通信インタフェース回路である。インタフェース回路は、HD-SDI(High Definition Serial Digital Interface)等の画像伝送インタフェース回路でもよい。インタフェース部11は、監視センサ30から供給されたデータを処理部20に供給する。
【0019】
通信部12は、警備装置10を警備センタ装置40及び通信端末50と通信可能にするための構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信インタフェース回路は、例えば、有線LAN、無線LAN、LTE(Long Term Evolution)等の通信インタフェース回路である。通信部12は、警備センタ装置40及び通信端末50から受信されたデータを処理部20に供給するとともに、処理部20から供給されたデータを警備センタ装置40又は通信端末50に送信する。
【0020】
記憶部13は、データ及びプログラムを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部13は、処理部20による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピュータ読み取り可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部13にインストールされる。プログラムは、所定のサーバが有する記憶媒体に記憶され、ネットワークを介してインストールされてもよい。
【0021】
記憶部13は、データとして、現在の警備モードを示す警備モード情報を記憶する。また、記憶部13は、データとして、利用者の認証に使用される認証基準を示す認証基準情報を記憶する。また、記憶部13は、データとして、例えば1分である保留時間を示す保留時間情報を記憶する。また、記憶部13は、登録者情報テーブル131及びセンサ情報テーブル132を記憶する。
【0022】
表示操作部14は、表示部の一例であり、警備装置10に対する利用者の操作を受け付けるとともに、画像を表示するための構成である。表示操作部14は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画面を備えるタッチパネルと、ディスプレイに画像データを出力する出力インタフェース回路と、タッチパネルから信号を取得する入力インタフェース回路と、を有する。
【0023】
表示操作部14は、利用者の操作に応じた信号を生成して処理部20に供給する。一例では、表示操作部14は、利用者による認証要求操作を受け付け、認証要求操作に応じた信号を生成して処理部20に供給する。認証要求操作は、利用者の認証を必要とする認証要求に関する任意の操作であり、例えば警備モードを変更する変更操作、各種設定の変更等である。また、表示操作部14は、処理部20から供給された信号に基づいて画像を生成して表示する。表示操作部14の画面は、バックライトの光量を変更することにより、又は、供給される電圧の大きさを変更することにより、輝度を調整可能である。
【0024】
撮像部15は、警備装置10の周辺を撮像するための構成であり、カメラを備える。カメラは、受光面に結像させるための結像光学系と、受光面に二次元に配列され、入射した光量に応じた電気信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)センサ等の光電変換素子と、光電変換素子の出力に基づいて画像を生成する画像生成回路とを備える。撮像部15は、利用者の顔を撮像して画像を取得し、取得した画像を入力顔画像として処理部20に供給する。なお、撮像部15は、外部接続のカメラから撮像画像を取得する手段として構成してもよい。
【0025】
音声出力部16は、音声を出力するための構成であり、スピーカを備える。音声出力部16は、処理部20から供給された信号に基づいて音声を出力する。
【0026】
照度センサ17は、警備装置10の周辺の明るさを検知するための構成である。照度センサ17は、入射した光量に応じた電流を出力するフォトダイオード等の受光素子と、受光素子の出力に基づいた信号を生成する信号生成回路とを有する。照度センサ17は、撮像部15が利用者の顔を撮像するときに生成された信号を、利用者の顔を撮像するときの照度を示す信号として処理部20に供給する。
【0027】
測距センサ18は、撮像部15の周辺の物体を検知するセンサの一例であり、例えば計測対象までの距離を計測するLiDARである。測距センサ18は、撮像部15が利用者の顔を撮像可能な範囲よりも遠くに存在する物体を検知可能である。
【0028】
処理部20は、警備装置10の動作を統括的に制御する構成であり、一つ又は複数のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備える。処理部20は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。処理部20は、記憶部13に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。また、処理部20は、処理が適切に実行されるように、警備装置10の各構成の動作を制御する。
【0029】
処理部20は、取得手段21、計時手段22、認証手段23、受付手段24、判定手段25、設定手段26及び通報手段27を機能ブロックとして有する。これらの機能ブロックは、処理部20によって実行されるプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの機能ブロックは、警備装置10に実装されたファームウェアでもよい。
【0030】
複数の監視センサ30は、単にセンサとも称され、監視エリアに配置され、監視エリアへの侵入を検知する。複数の監視センサ30は、監視エリアへの侵入であると疑われるような監視エリアの異常を検知し、異常を検知したことを示す検知信号を警備装置10に出力する。検知信号は、監視センサ30のセンサIDを含む。例えば、監視センサ30は、監視エリアの異常として、建造物のドア又は窓等の開閉部の動作を検知するマグネットセンサである。監視センサ30は、赤外線の受光量の変化に基づいて、監視エリアの異常として監視エリアの内部の移動物体を検知する赤外線センサでもよい。監視センサ30は、撮像画像とあらかじめ記憶された背景画像との差分信号に基づいて、監視エリアの異常として監視エリアの内部の移動物体を検知する画像センサでもよい。
【0031】
警備センタ装置40は、警備員が常駐する警備センタに配置されるサーバ又はPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。警備センタ装置40は、警備装置10からの通報を受信する。警備センタ装置40は、通報が受信されると、通報の内容を表示すること等により、警備センタに常駐する警備員に通報の内容を報知する。
【0032】
通信端末50は、利用者が保有するスマートフォン又は携帯電話等の情報処理端末である。通信端末50は、警備装置10を操作するための所定の入力信号を警備装置10に送信する。
【0033】
図2(A)は、記憶部13に記憶され、登録者に関する情報を管理する登録者情報テーブル131のデータ構造を示す図である。登録者は、施設の利用者のうち、警備装置10を操作する者としてあらかじめ登録された者である。登録者情報テーブル131は、登録者ID、登録顔画像等を相互に関連付けて記憶する。
【0034】
登録者IDは、登録者を一意に識別する情報であり、例えば任意の文字列である。登録顔画像は、登録者の顔の画像である。登録者情報テーブル131のデータは、警備装置10の管理者によってあらかじめ設定される。なお、登録者情報テーブル131には、登録者に通知を行うための通知先が含まれてもよい。
【0035】
図2(B)は、記憶部13に記憶され、監視センサ30に関する情報を管理するセンサ情報テーブル132のデータ構造を示す図である。センサ情報テーブル132は、センサID、保留時間設定等を相互に関連付けて記憶する。
【0036】
センサIDは、監視センサ30を一意に識別する情報であり、例えば任意の文字列である。保留時間設定は、各監視センサ30に保留時間が設定されているか否かを示す情報である。保留時間は、監視センサ30が検知信号を出力してから、警備装置10が警備センタ装置40への通報を保留する時間である。保留時間が設定されていない監視センサ30が検知信号を出力した場合、警備装置10は、監視エリアへの侵入があった旨をただちに警備センタ装置40に通報する。保留時間が設定されている監視センサ30が検知信号を出力した場合、警備装置10は、記憶部13に記憶される保留時間情報に対応する保留時間だけ通報を保留してから、監視エリアへの侵入があった旨を警備センタ装置40に通報する。
【0037】
なお、警備装置10は、監視センサ30によって検知されてから保留時間の間に、異常の検知を取り消す、すなわちキャンセルする異常キャンセル操作がされた場合、保留時間が経過した後も、監視エリアへの侵入があった旨を警備センタ装置40に通報しない。
【0038】
警備装置10は、外出警備モード及び解除モードのうちのいずれか1つの警備モードに設定される。外出警備モードでは、警備装置10は、監視エリアへの侵入を監視する。一方、解除モードでは、警備装置10は、監視エリアへの侵入を監視しない。なお、警備装置10は外出警備モード及び解除モード以外の警備モードを有してもよい。
【0039】
例えば、監視エリアが登録者の住居である場合、登録者は、住居から外出するときに警備装置10を外出警備モードに設定し、帰宅したときに外出警備モードを解除して警備装置10を解除モードに設定する。警備装置10は監視エリアの内部に配置されるため、登録者が帰宅してから警備装置10を解除モードに設定するまでの間に、監視センサ30は、登録者が帰宅したことを監視エリアへの進入として検知する。警備装置10は、監視エリアへの侵入があったと判定されて警備センタ装置40に通報されることがないように、監視センサ30が進入を検知してから登録者が外出警備モードを解除するまでの標準的な時間としてあらかじめ設定された保留時間だけ通報を保留する。登録者が監視センサ30によって検知されてから保留時間の間に外出警備モードが解除された場合には、通報は行われない。
【0040】
センサ情報テーブル132のデータは、警備装置10の管理者によってあらかじめ設定される。特に、保留時間設定のデータは、各監視センサ30が配置される場所に基づいて設定される。例えば、監視エリアが登録者の住居である場合、登録者が帰宅した際に最初に登録者を検知する監視センサ30には保留時間が設定され、他の監視センサ30には保留時間が設定されない。保留時間が設定される監視センサ30の例は、玄関のドアの開閉を検知するマグネットセンサである。保留時間が設定されない監視センサ30の例は、窓の開閉を検知するマグネットセンサ、移動物体を検知する赤外線センサ等である。
【0041】
図3は、監視システム1の警備装置10によって実行される監視処理の流れを示すフロー図である。監視処理は、記憶部13に記憶されたプログラムに基づいて、処理部20が警備装置10の各構成と協働することにより実現される。
【0042】
まず、取得手段21は、現在の警備モードを取得する(S101)。取得手段21は、記憶部13に記憶される警備モード情報に示される警備モードを現在の警備モードとして取得する。次いで、取得手段21は、S101の処理で取得した現在の警備モードが解除モードであるか否かを判定する(S102)。
【0043】
取得手段21は、現在の警備モードが解除モードでないと判定する(S102-NO)と、インタフェース部11を介して、監視センサ30から出力された検知信号を取得したか否かを判定する(S103)。
【0044】
次いで、取得手段21によって検知信号を取得したと判定される(S103-YES)と、計時手段22は、検知信号を出力した監視センサ30に保留時間が設定されているか否かを判定する(S104)。計時手段22は、センサ情報テーブル132を参照し、検知信号に含まれるセンサIDの保留時間設定が「あり」に設定されている場合に、保留時間が設定されていると判定する。
【0045】
検知信号を出力した監視センサ30に保留時間が設定されている場合(S104-YES)、処理部20は、輝度設定処理を実行する(S105)。輝度設定処理において、処理部20は、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定する。認証用の輝度は、認証のための撮像が実行される際に設定される輝度である。輝度設定処理の詳細については後述する。
【0046】
次いで、計時手段22は、保留時間の計時を開始する(S106)。例えば、計時手段22は、検知信号が取得された時刻を保留時間の開始時刻として記憶部13に記憶する。なお、S105及びS106の順序は逆であってもよい。
【0047】
次いで、受付手段24は、利用者による、警備モードを変更する変更操作を受け付ける(S107)。現在の警備モードが外出警備モードである場合、受付手段24は、警備モードを解除するか否かを示す情報を表示操作部14に表示して、変更操作を受け付ける。なお、受付手段24は、監視エリアにおける警備モードを設定する変更操作以外の操作も受け付け可能である。
【0048】
次いで、判定手段25は、表示操作部14に対する変更操作が受け付けられたか否かを判定する(S108)。判定手段25は、表示操作部14から解除操作又はキャンセル操作に対応する信号が供給された場合に、変更操作が受け付けられたと判定する。
【0049】
変更操作が受け付けられていない場合(S108-NO)、計時手段22は、S106の処理で記憶された開始時刻から、あらかじめ設定された長さの保留時間が経過しているか否かを判定する(S109)。
【0050】
保留時間が経過していない場合(S109-NO)、監視処理はS107に戻り、受付手段24は再び変更操作を受け付ける。受付手段24は、保留時間が経過するか、又は変更を受け付けるまで、変更操作を繰り返し受け付ける。
【0051】
変更操作を受け付けた場合(S108-YES)、認証手段23は、登録者情報テーブル131に記憶される登録顔画像と撮像部15によって取得された入力顔画像とを照合して利用者を認証する認証処理を実行する(S110)。認証処理において、認証手段は、撮像部15によって取得された入力顔画像を用いて利用者を認証する。認証処理の詳細については後述する。
【0052】
次いで、認証手段23は、認証処理において利用者の認証が成功したか否かを判定する(S111)。
【0053】
利用者の認証が成功していない場合(S111-NO)、計時手段22は、S106の処理で記憶された開始時刻から、あらかじめ設定された長さの保留時間が経過しているか否かを判定する(S112)。
【0054】
保留時間が経過していない場合(S112-NO)、監視処理はS110に戻り、認証手段23は再び利用者を認証する。認証手段23は、保留時間が経過するか、又は利用者の認証が成功するまで、繰り返し利用者を認証する。
【0055】
利用者の認証が成功した場合(S111-YES)、判定手段25は、監視エリアへの侵入がなかったと判定する(S113)。判定手段25は、監視センサ30からの検知信号が取得されてから保留時間の間に、変更操作が受け付けられ且つ利用者の認証が成功した場合に、監視エリアへの侵入がなかったと判定する。判定手段25は、検知信号が取得されてから保留時間の間に、変更操作が受け付けられず、又は変更操作が受け付けられたが利用者の認証が成功しなかった場合に、監視エリアへの侵入があったと判定する。
【0056】
次いで、設定手段26は、警備装置10の警備モードをS108の処理に従って変更する(S114)。設定手段26は、S108の処理において、解除操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を、解除モードを示す情報に変更する。また、設定手段26は、S108の処理において、キャンセル操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を変更しない。以上で、監視処理は終了する。
【0057】
現在の警備モードが解除モードである場合(S102-YES)、又は検知信号が取得されない場合(S103-NO)、受付手段24は、S107の処理と同様に、警備モードを変更する変更操作を受け付ける(S115)。受付手段24は、警備モードを設定するか否かを示す情報を表示操作部14に表示して、変更操作を受け付ける。
【0058】
次いで、判定手段25は、S108の処理と同様に、表示操作部14に対する変更操作が受け付けられたか否かを判定する(S116)。判定手段25は、表示操作部14から警備モードの設定に対応する信号が供給された場合に、変更操作が受け付けられたと判定する。変更操作が受け付けられていない場合(S116-NO)、処理はS101に戻る。変更操作が受け付けられた場合(S116-YES)、認証手段23は、S110の処理と同様に、認証処理を実行する(S117)。
【0059】
次いで、認証手段23は、S111の処理と同様に、利用者の認証が成功したか否かを判定する(S118)。利用者の認証が成功していない場合(S118-NO)、処理はS101に戻る。
【0060】
利用者の認証が成功した場合(S118-YES)、設定手段26は、S115の処理に応じて供給される信号に従って警備モードを変更し(S119)、処理はS101に戻る。設定手段26は、外出警備設定操作に対応する信号が供給された場合、記憶部13に記憶される警備モード情報を、外出警備モードを示す情報に変更する。なお、S115の処理の後、警備モードを変更する信号を受け取らなかった場合、認証手段23は、警備モードを変更しない。
【0061】
検知信号を出力した監視センサ30に保留時間が設定されていない場合(S104-NO)、変更操作が受け付けられるまでに保留時間が経過した場合(S109-YES)、又は利用者の認証が成功するまでに保留時間が経過した場合(S112-YES)、判定手段25は警告を出力する(S120)。判定手段25は、表示操作部14に所定の警告を表示するとともに、音声出力部16に所定の警告音を出力させる。
【0062】
次いで、判定手段25は、監視エリアへの侵入があったと判定する(S121)。すなわち、判定手段25は、監視センサ30からの検知信号が取得されてから保留時間の間に変更操作が受け付けられなかった場合、又は検知信号が取得されてから保留時間の間に利用者の認証が成功しなかった場合に、監視エリアへの侵入があったと判定する。
【0063】
次いで、通報手段27は、監視エリアへの侵入があった旨を警備センタ装置40に通報する(S122)。通報手段27は、検知信号を出力した監視センサ30のセンサIDを含む通報信号を生成する。通報手段27は、通信部12を介して、通報信号を警備センタ装置40に送信する。以上で、監視処理は終了する。
【0064】
図4は、輝度設定処理の流れを示すフロー図である。輝度設定処理は、図3のS105で実行される。
【0065】
まず、取得手段21は、撮像部15の周辺の照度又は撮像部15が撮像した撮像画像に基づき、撮像環境の明るさを取得する(S201)。撮像環境の明るさは、撮像部15が撮像する際の照度又は輝度を数値化したものであり、例えば照度パラメータ又は輝度分布パラメータである。照度パラメータは、撮像部15が撮像したときの撮像部15の周辺の照明環境の良否、すなわち撮像環境が認証精度を低下させるものであるか否かを示す指標である。一例では、照度パラメータは、入力顔画像を撮像するときの撮像部15の周辺の照度である。撮像部15の周辺の照度は、照度センサ17により検知される。輝度分布パラメータは、撮像部15が撮像した撮像画像の輝度分布の良否、すなわち撮像環境が認証精度を低下させるものであるか否かを示す指標である。一例では、輝度分布パラメータは、撮像画像に含まれる画素のそれぞれの輝度の平均値である。取得手段21は、照度パラメータ又は輝度分布パラメータを求めることで、撮像環境の明るさを取得する。なお、取得手段21は、撮像環境の明るさを取得する際に、照度パラメータ及び輝度分布パラメータの双方を求めてもよい。
【0066】
次いで、判定手段25は、撮像環境の明るさが明るいか否か、すなわち撮像環境の明るさが良好であるか否かを判定する(S202)。判定手段25は、S201の処理で求めた照度パラメータ又は輝度分布パラメータが第1閾値以上である場合、撮像環境の明るさが明るい、すなわち撮像環境の明るさが良好であると判定する。一方、判定手段25は、照度パラメータ又は輝度分布パラメータが第1閾値未満である場合、撮像環境の明るさが明るくない、すなわち撮像環境の明るさが良好でないと判定する。第1閾値は、一例では事前の実験により、人物が正しく認証されたときの照度パラメータ又は輝度分布パラメータと、人物が正しく認証されなかったときの照度パラメータ又は輝度分布パラメータとの間の値に設定される。
【0067】
判定手段25が、撮像環境の明るさが明るいと判定した場合(S202-YES)、設定手段26は、表示操作部14の画面の輝度を低輝度に設定する(S203)。設定手段26は、表示操作部14のバックライトの光量を第1光量閾値未満の光量に設定し、又は、表示操作部14に供給される電圧の大きさを第1電圧閾値未満の電圧に設定することにより、表示操作部14の画面の輝度を低輝度に設定する。第1光量閾値及び第1電圧閾値は、例えば照度パラメータ又は輝度分布パラメータが第1閾値である状態で表示操作部14のバックライトの光量又は表示操作部14に供給される電圧を変更しながら認証を行う事前の実験において、利用者の認証が成功したときの光量又は電圧の最小値にマージンを加えた値に設定される。なお、撮像環境の明るさが明るい場合、設定手段26は、表示操作部14の画面の輝度の設定を省略してもよい。すなわち、設定手段26は、撮像環境の明るさが良好である場合には、表示操作部14の画面の輝度を起動輝度のまま維持してもよい。起動輝度は、表示操作部14の画面が起動されたときの画面の輝度であり、警備装置10の初期設定としてあらかじめ設定される。起動輝度は、所定の表示用の輝度の一例である。
【0068】
一方、判定手段25は、撮像環境の明るさが明るくない、すなわち撮像環境の明るさが良好でないと判定した場合(S202-NO)、撮像環境の明るさが普通であるか否かを判定する(S204)。撮像環境の明るさが普通である場合は、撮像環境の明るさが良好でない場合を示す。判定手段25は、S201の処理で求めた照度パラメータ又は輝度分布パラメータが第2閾値以上である場合、撮像環境の明るさが普通であると判定する。一方、判定手段25は、S201の処理で求めた照度パラメータ又は輝度分布パラメータが第2閾値未満である場合、撮像環境の明るさが普通でないと判定する。第2閾値は、第1閾値より小さい値であり、一例では第1閾値と同様に事前の実験に基づいて設定される。
【0069】
判定手段25が、撮像環境の明るさが普通であると判定した場合(S204-YES)、設定手段26は、表示操作部14の画面の輝度を中輝度に設定する(S205)。設定手段26は、表示操作部14のバックライトの光量を第2光量閾値未満且つ第1光量閾値以上の光量に設定し、又は、表示操作部14に供給される電圧の大きさを第2電圧閾値未満且つ第1電圧閾値以上の電圧に設定することにより、表示操作部14の画面の輝度を中輝度に設定する。第2光量閾値及び第2電圧閾値は、それぞれ第1光量閾値及び第1電圧閾値より大きい値に設定される。第2光量閾値及び第2電圧閾値は、例えば照度パラメータ又は輝度分布パラメータが第2閾値である状態でバックライトの光量又は表示操作部14に供給される電圧を変更しながら認証を行う事前の実験において、利用者の認証が成功したときの光量又は電圧の最小値にマージンを加えた値に設定される。
【0070】
一方、判定手段25は、撮像環境の明るさが普通でないと判定した場合(S204-NO)、撮像環境の明るさが暗いと判定し、設定手段26は、表示操作部14の画面の輝度を高輝度に設定する(S206)。設定手段26は、表示操作部14のバックライトの光量を第2光量閾値以上の光量に設定し、又は、表示操作部14に供給される電圧の大きさを第2電圧閾値以上の電圧に設定することにより、表示操作部14の画面の輝度を高輝度に設定する。以上で、輝度設定処理は終了する。
【0071】
以上のとおり、設定手段26は、監視センサ30に保留時間が設定された場合、認証手段23による認証のための撮像が実行される際に、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定する。これにより、警備装置10は、保留時間が設定されている間、利用者を適切に認証することができ、正当な利用者が監視エリアに進入した際に誤って警告を出力することを抑制できる。また、設定手段26は、撮像環境が暗いときの方が、撮像環境が明るいときよりも表示操作部14の輝度を高輝度にする。これにより、警備装置10は、撮像環境の明るさが良好でない場合でも、利用者を適切に認証することができ、正当な利用者が監視エリアに進入した際に誤って警告を出力することを抑制できる。
【0072】
なお、設定手段26は、撮像環境の明るさが普通であり、起動輝度が中輝度に設定されている場合、表示操作部14の画面の輝度を起動輝度のまま維持してもよい。
【0073】
また、表示操作部14の画面の輝度は、低輝度、中輝度及び高輝度の三段階に分けて設定するのでなく、例えば低輝度若しくは高輝度の二段階、又は、四段階以上に分けて設定してもよい。
【0074】
また、設定手段26は、利用者が眼鏡を掛けていた場合の眼鏡反射の影響を考慮して、撮影環境の明るさが普通の場合に表示操作部14の画面の輝度を低輝度に設定してもよいし、撮影環境の明るさが明るい場合に表示操作部14の画面の輝度を中輝度又は起動輝度に設定してもよい。
【0075】
図5は、認証処理の流れを示すフロー図である。認証処理は、図3のS110及びS117で実行される。
【0076】
まず、認証手段23は、撮像部15が取得した入力顔画像から人物の顔を検知したか否かを判定する(S301)。認証手段23は、例えばフレーム間差分処理又は背景差分処理を利用して、順次撮影された複数の入力画像において輝度値の時間的な変化を有する変化領域を抽出する。認証手段23は、抽出した各変化領域の大きさ、形状等の特徴量に基づいて、人物らしいと考えられる変化領域を人物領域として抽出する。認証手段23は、抽出した人物領域に対してSobelフィルタ等を用いて輝度変化の傾き方向が分かるようにエッジ画素を抽出する。認証手段23は、抽出したエッジ画素から、例えば一般化ハフ変換を用いて、所定の大きさを有する、頭部の輪郭形状を近似した楕円形状のエッジ分布を検出し、そのエッジ分布に囲まれた領域を顔領域として抽出する。なお、認証手段23は、Adaboost識別器等の他の公知の方法を用いて顔領域を抽出してもよい。認証手段23によって人物の顔を検知しないと判定される(S301-NO)と、認証処理は終了する。
【0077】
認証手段23は、人物の顔を検知したと判定する(S301-YES)と、撮像部15が取得した入力顔画像から顔領域を抽出する(S302)。認証手段23は、S301の処理で抽出した人物の顔らしいと考えられる変化領域を顔領域として抽出する。
【0078】
次いで、認証手段23は、S302の処理で抽出した顔領域から、入力顔画像と登録者情報テーブル131に登録される登録者のそれぞれの登録顔画像との間の類似度を示す類似度パラメータである認証スコアを求める(S303)。認証手段23は、入力画像内の顔領域から、目尻、鼻尖、口角等の各部位の位置又は形状等の特徴に基づいて各部位を検出し、その特徴量を求める。特徴量は、ハールライク(Haar-Like)特徴量又はHOG(Histogram of Oriented Gradient)特徴量等である。認証手段23は、登録者情報テーブル131に記憶される登録顔画像から、各部位の位置又は形状等の特徴に基づいて各部位を検出し、その特徴量を求める。登録顔画像から求める特徴量は、入力画像内の顔領域から求める特徴量と同一の特徴量である。認証手段23は、入力顔画像から求めた各特徴量と、登録顔画像から求めた各特徴量との類似の程度を求め、求めた類似の程度に重みをつけて合算し、認証スコアを求める。類似の程度は、例えば正規化相互相関等である。認証手段23は、求めた認証スコアを登録者情報テーブル131に記憶される登録者の登録者IDに関連付けて記憶する。
【0079】
次いで、認証手段23は、S303の処理で求めた認証スコアに基づいて登録者情報テーブル131に登録される登録者の中から候補者を抽出する(S304)。認証手段23は、S303の処理で求められた認証スコアの中で、最も大きい認証スコアに関連付けられて記憶される登録者IDが示す登録者を候補者として抽出する。
【0080】
次いで、認証手段23は、記憶部13に記憶される認証基準情報に対応する認証基準を使用して、利用者を認証する(S305)。認証手段23は、S304の処理で抽出された候補者に対応する登録者IDに関連付けられて記憶される認証スコアが、記憶部13に記憶される認証基準情報に対応する認証基準以上である場合、利用者の認証に成功したと判定する。認証手段23は、S304の処理で抽出された候補者に対応する登録者IDに関連付けられて記憶される認証スコアが、記憶部13に記憶される認証基準情報に対応する認証基準未満である場合、利用者の認証に成功したと判定しない。このように、認証手段23は、撮像部により撮像された画像を用いて、利用者を認証する。以上で、認証処理は終了する。
【0081】
(実施形態1に係る監視システム1の作用効果)
本監視システム1における警備装置10では、認証手段23は、撮像部15により撮像された画像を用いて利用者を認証し、設定手段26は、認証手段23による認証のための撮像が実行される際に、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定する。表示操作部14の画面の明るさを利用することにより、警備装置10は、撮像された画像を用いて利用者をより良好に認証することができる。また、警備装置10は、認証専用のLED発光装置等の照明部を設けることなく利用者を良好に認証することができ、装置コスト及び装置サイズの増大を抑制することができる。
【0082】
また本監視システム1における警備装置10では、取得手段21は、撮像部15の周辺の照度又は撮像部15が撮像した撮像画像に基づき、撮像環境の明るさを取得し、設定手段26は、撮像環境の明るさが良好でない場合の認証用の輝度を、撮像環境の明るさが良好である場合の認証用の輝度より高くする。これにより、警備装置10は、撮像環境の明るさが良好でない場合に、表示操作部14の画面の輝度を高くすることで、撮像環境を明るくすることができる。したがって、警備装置10は、撮像環境の明るさに依存せず、利用者を適切に認証することができる。
【0083】
また本監視システム1における警備装置10では、設定手段26は、保留時間が設定されている場合、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定する。これにより、警備装置10は、警備装置10の利用者が認証を行うことが想定される状況において、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定することができ、利用者を適切に認証することができる。
【0084】
(実施形態1の変形例1)
変形例1に係る監視システム1では、処理部20は、図6に示すフローに沿って輝度設定認証処理を実行する。
【0085】
図6は、変形例1に係る監視システム1の輝度設定認証処理の流れを示すフロー図である。図6に示す輝度設定認証処理は、記憶部13に記憶されたプログラムに基づいて、処理部20が警備装置10の各構成と協働することにより実現される。
【0086】
まず処理部20は、測距センサ18により第1の所定範囲内(例えば、警備装置10から1.5m以内)で物体が検知されるまで待機する(S401)。
【0087】
次いで、設定手段26は、表示操作部14の画面の輝度を起動輝度のまま維持する(S402)。すなわち、設定手段26は、測距センサ18により第1の所定範囲内で物体が検知された時には、表示操作部14の画面の輝度を起動輝度のまま維持し、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に変更しない。なお、表示操作部14の画面をスリープ状態にしている場合には、物体の検知により画面の輝度を起動輝度に設定する変更が行われることがあるが、この時点では認証用の輝度への変更は行わない。
【0088】
次いで、認証手段23は、S110の処理と同様に、認証処理を実行する(S403)。すなわち、認証手段23は、測距センサ18により物体が検知された時に利用者の認証を開始する。
【0089】
次いで、認証手段23は、認証処理において利用者の認証が成功したか否かを判定する(S404)。
【0090】
利用者の認証が成功していない場合(S404-NO)、判定手段25は、第1所定時間が経過したか否かを判定する(S405)。第1所定時間は、測距センサ18により検出され得る最大距離だけ離れた位置に存在する利用者の認証に要する最大時間にあらかじめ設定される。なお、第1所定時間は、利用者による表示操作部14に対する操作により設定されてもよい。第1所定時間が経過した場合(S405-YES)、判定手段25は利用者の認証が失敗したと判定し、輝度設定認証処理は終了する。
【0091】
一方、第1所定時間が経過していない場合(S405-NO)、判定手段25は、受付手段24が利用者による認証要求操作を受け付けたか否かを判定する(S406)。受付手段24は、表示操作部14が認証要求操作を受け付けた場合に、認証要求操作に応じた信号を表示操作部14から受信することにより、認証要求操作を受け付ける。利用者による表示操作部14を用いた認証要求操作は、認証要求の一例である。
【0092】
受付手段24が認証要求操作を受け付けていない場合(S406-NO)、輝度設定認証処理はS403に戻り、認証手段23は再び認証処理を実行する。
【0093】
一方、受付手段24が認証要求操作を受け付けた場合(S406-YES)、つまり、利用者による認証要求が実行された場合に、処理部20は、S105の処理と同様に、輝度設定処理を実行する(S407)。すなわち、設定手段26は、認証を開始してから利用者による認証要求が実行されるまでに認証に成功していない場合には、表示操作部14の画面の輝度を、認証要求操作を受け付ける表示用の輝度である起動輝度から、認証用の輝度に設定(変更)する。
【0094】
次いで、認証手段23は、S110の処理と同様に、認証処理を実行する(S408)。
【0095】
次いで、認証手段23は、認証処理において利用者の認証が成功したか否かを判定する(S409)。
【0096】
利用者の認証が成功していない場合(S409-NO)、判定手段25は、第2所定時間が経過したか否かを判定する(S410)。第2所定時間は、表示操作部14の前に位置する利用者の認証に要する最大時間にあらかじめ設定される。なお、第2所定時間は、利用者による表示操作部14に対する操作により設定されてもよい。
【0097】
第2所定時間が経過していない場合(S410-NO)、輝度設定認証処理はS408に戻り、認証手段23は再び利用者を認証する。
【0098】
一方、第2所定時間が経過した場合(S410-YES)、判定手段25は利用者の認証が失敗したと判定し、輝度設定認証処理は終了する。
【0099】
利用者の認証が成功した場合(S404-YES又はS409-YES)、受付手段24は、所定の操作を受け付ける(S411)。所定の操作は、警備モードの変更操作、警備装置10に対する設定操作、特定の情報を表示するための表示操作等、警備装置10に対する任意の操作である。
【0100】
次いで、処理部20は、受付手段24の受け付けた操作に応じた処理を実行し(S412)、輝度設定認証処理は終了する。
【0101】
(変形例1に係る監視システム1の作用効果)
本監視システム1における警備装置10では、設定手段26は、受付手段24が認証要求操作を受け付けた場合に、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定する。これにより、警備装置10は、利用者の認証が確実に行われる時に撮像環境の明るさを良好にすることができる。
【0102】
また本監視システム1における警備装置10では、認証手段23は、測距センサ18により物体が検知された時に利用者の認証を開始する。設定手段26は、測距センサ18により物体が検知された時には表示操作部14の画面の輝度を変更しない。設定手段26は、受付手段24が認証要求操作を受け付けた時に認証手段23が利用者の認証に成功していない場合には表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定する。これにより警備装置10は、利用者が認証を必要とする操作を行うのか不明な段階では、不必要に表示操作部14の画面の輝度が変更されることを抑制できる。また、警備装置10は、利用者が表示操作部14を操作する前から認証を開始することにより、利用者が表示操作部14に到達した時に即時に利用者からの操作を受け付けることができる。一方、警備装置10は、利用者が表示操作部14に到達した時点で認証が成功していない場合には表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定することにより、撮像環境の明るさの良好度合いに違いがあった場合にも、利用者の認証を好適に行うことができる。
【0103】
(その他の変形例)
ステップS401~S406の処理は省略され、設定手段26は、受付手段24が認証要求操作を受け付けた場合に、すなわち認証要求が実行された場合に、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定してもよい。この際、設定手段26は、表示操作部14の画面の輝度を、起動輝度(所定の表示用の輝度)から認証用の輝度に変更してもよい。
【0104】
また、ステップS406の処理として、認証要求操作を受け付けたか否かの判定に代えて、判定手段25は認証要求が実行されたか否かを判定してもよい。例えば、利用者による表示操作部14への接近、すなわち、第1の所定範囲よりも狭い第2の所定範囲内(例えば、警備装置10から0.5m以内)において測距センサ18により利用者が検知された場合、認証要求が実行されたものとして、ステップS407の輝度設定処理を実行してもよい。この場合、認証手段23は、第1の所定範囲内において測距センサ18により物体が検知された時に利用者の認証を開始し、設定手段26は、第2の所定範囲内において利用者が検知された時に利用者の認証が成功していない場合、表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定する。
【0105】
また、他の例では、認証手段23は、測距センサ18により物体が検知された時に利用者の認証を開始し、設定手段26は、認証を開始してから利用者による認証要求が実行されるまでに認証に成功していない場合、認証要求が実行された時に表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定してもよい。
【0106】
また、ステップS401において測距センサ18により物体が検知された場合、ステップS403において認証手段23が認証処理を実行する前に、処理部20が輝度設定処理を実行してもよい。利用者による表示操作部14への接近は、認証要求の一例である。この場合、ステップS406~S410の処理は省略されてもよい。
【0107】
また、ステップS406において、設定手段26は、表示操作部14が認証要求操作を受け付けた時でなく、利用者による接触を検知した時に表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定してもよい。利用者による表示操作部14への接触は、認証要求の一例である。この場合、警備装置10は、利用者が認証要求操作を行う前から表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定させることができ、より早期に認証を完了させることが可能となる。
【0108】
また、ステップS406において、受付手段24は、認証要求操作に応じた信号を、表示操作部14から受信するのでなく、通信部12を介して通信端末50から受信することにより、認証要求操作を受け付けてもよい。利用者による通信端末50を用いた認証要求操作は、認証要求の一例である。
【0109】
また、認証手段23は、利用者を、顔画像を用いて認証するのでなく、虹彩画像又はQRコード(登録商標)を用いて認証してもよい。
【0110】
また、表示操作部14は、表示部の機能と操作部の機能を兼ねたタッチパネルでなくてもよく、表示部と操作部とが別個に設けられてもよい。
【0111】
また、表示機能付き認証装置の一例として警備装置10の構成を説明したが、表示機能付き認証装置は、警備装置に限定されず、例えばPC又はスマートフォンでもよい。表示機能付き認証装置がPC又はスマートフォンである場合、処理部は、PC又はスマートフォンの起動ロックを解除する際に、輝度設定処理を実行する。この際、処理部は輝度設定処理に併せて又は輝度設定処理の後に認証処理を実行してもよい。一般的なPC又はスマートフォンは、表示部の視認性を向上させるために、装置の周囲が暗い場合に画面の輝度を低くする機能を有するが、そのような場合に画面の輝度を高くする機能を有していない。本実施形態にかかる表示機能付き認証装置は、認証のための撮像を実行する際、特に撮像環境が暗い場合に、画面の輝度を認証用の輝度にする。これにより、表示機能付き認証装置は、撮像された画像を用いて利用者をより良好に認証することができる。
【0112】
また、撮像部15の周辺の物体を検知するセンサは、LiDARであったが、これに限らず、例えば赤外線センサ又は画像センサであってもよい。また、監視センサ30が撮像部15の周辺に配置される場合には、警備装置10は監視センサ30を用いて撮像部15の周辺の物体を検知してもよい。
【0113】
また、輝度設定処理は、実施形態1及び変形例1で示されたタイミング以外のタイミングで実行されてもよい。一例では、処理部20は、認証手段23が人物の顔を検知したと判定したときに輝度設定処理を実行してもよい。すなわち、設定手段26は、認証手段23が人物の顔を検知して利用者の認証を開始した時に表示操作部14の画面の輝度を認証用の輝度に設定してもよい。
【0114】
なお、変形例1を含む実施形態1では、警備装置10は照明部を備えていなかったが、警備装置10は照明部を備えてもよい。
【0115】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 監視システム
10 警備装置
14 表示操作部
15 撮像部
17 照度センサ
18 測距センサ
21 取得手段
23 認証手段
24 受付手段
25 判定手段
26 設定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6