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  • 特開-ヒートポンプ給湯装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153909
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】ヒートポンプ給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/136 20220101AFI20251002BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20251002BHJP
   F24H 15/258 20220101ALI20251002BHJP
   F24H 15/231 20220101ALI20251002BHJP
   F24H 15/38 20220101ALI20251002BHJP
   F24H 15/385 20220101ALI20251002BHJP
   F24H 15/345 20220101ALI20251002BHJP
   F24H 15/335 20220101ALI20251002BHJP
【FI】
F24H15/136
F24H4/02 G
F24H15/258
F24H15/231
F24H15/38
F24H15/385
F24H15/345
F24H15/335
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056622
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】江田 秋人
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA54
3L122AC35
3L122BA32
3L122BC02
3L122BC04
3L122BC33
3L122EA63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】除霜終了直前から圧縮機の吐出温度を低下させる吐出温度低下運転を行うようにしたヒートポンプ給湯装置を提供する。
【解決手段】ヒートポンプ給湯装置(1)は、ヒートポンプユニット(4)と、ヒートポンプユニット(4)で加熱した湯水を貯湯する貯湯タンク(2)を有する貯湯ユニット(3)と、貯湯タンク(2)に貯湯する貯湯運転及び蒸発熱交換器に付いた霜を除去する除霜運転を制御する制御手段とを備え、貯湯運転中に蒸発熱交換器に着霜したときに、貯湯タンク(2)から凝縮熱交換器への湯水の流入を停止し、蒸発熱交換器のファンを停止し、膨張弁の開度を拡大して冷媒を循環させて除霜運転を実施するように構成されており、蒸発熱交換器の出口温度が除霜終了直前を示す所定条件を満足する場合には圧縮機からの吐出温度を下げる吐出温度低下運転を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と凝縮熱交換器と膨張弁と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されたヒートポンプユニットと、前記ヒートポンプユニットで加熱した湯水を貯湯する貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転及び前記蒸発熱交換器に付いた霜を除去する除霜運転を制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯装置において、
貯湯運転中に蒸発熱交換器に着霜したときに、貯湯タンクから凝縮熱交換器への湯水の流入を停止し、蒸発熱交換器のファンを停止し、膨張弁の開度を拡大して冷媒を循環させて除霜運転を実施するように構成されており、蒸発熱交換器の出口温度が除霜終了直前を示す所定条件を満足する場合には前記圧縮機からの吐出温度を下げるための吐出温度低下運転を行うことを特徴とするヒートポンプ給湯装置。
【請求項2】
前記吐出温度低下運転として圧縮機の回転数を所定回転数だけ下げた運転を実施することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯装置。
【請求項3】
前記吐出温度低下運転の実行中には膨張弁の開度を除霜運転中よりも拡大することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプ給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプユニットで加熱して貯湯タンクに貯湯した湯水を給湯に使用するヒートポンプ給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒートポンプユニットで加熱した湯水を貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を行い、この貯湯した湯水を給湯に使用するヒートポンプ給湯装置が広く利用されている。ヒートポンプユニットは、圧縮機と凝縮熱交換器と膨張弁と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されている。
【0003】
ヒートポンプユニットは、エネルギー効率が高いが、加熱能力が小さいため瞬間的に湯水を加熱することが困難である。それ故、ヒートポンプ給湯装置は、貯湯運転によって給湯に必要な熱量を貯湯タンクに貯湯して給湯に備えている。このとき、ヒートポンプ給湯装置は、例えば過去の出湯履歴に基づいて出湯(給湯)の時刻及び必要な熱量等を予測し、予測した出湯時刻までに必要な熱量を貯湯するように貯湯運転を行っている。
【0004】
貯湯運転は、蒸発熱交換器で外気から冷媒に吸熱させ、この冷媒を圧縮し、圧縮された冷媒の熱を凝縮熱交換器での湯水の加熱に利用する。外気温度が低いときには、吸熱されて温度が下がった外気に含まれていた水分が凝縮し、蒸発熱交換器に着霜し易くなる。蒸発熱交換器に付いた霜は外気からの吸熱を妨げるので、着霜が検知されるとこの霜を除去する除霜運転が行われる。
【0005】
この除霜運転は、貯湯タンクから凝縮熱交換器への湯水の流入を停止し、膨張弁の開度を拡大した状態で冷媒を循環させることにより行う。
【0006】
ところで、除霜運転から通常運転に復帰する際に、貯湯タンク内の湯水の温度低下を防ぐために膨張弁の復帰作動に対して循環ポンプを遅延させて所定能力に復帰させることが特許文献1に記載されている。
【0007】
また、除霜運転の後に蓄熱運転を再開する前に、貯湯タンク内の湯水の温度低下を防ぐための復帰運転を行うことが特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3737357号公報
【特許文献2】特許第7211512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1,2では、貯湯タンクへの貯湯温度が80℃以上とする貯湯運転を行う場合に、除霜運転の間は凝縮熱交換器内の湯水の温度が低下していき、通常運転への復帰の際に低温水が貯湯タンクへ流入することを課題としている。
【0010】
これに対して、貯湯タンクへの貯湯温度が65℃程度とする貯湯運転を行うときに除霜運転する場合、凝縮熱交換器への湯水の循環は停止しているため、ヒートポンプユニットの圧縮機で加熱された冷媒が凝縮熱交換器を通過する際にその滞留水を加熱するため、通常運転への復帰時に高温出湯が発生する虞がある。
また、滞留水の高温化を抑制するため、除霜運転中の冷媒温度を下げる場合は蒸発熱交換器への供給熱量が低下して除霜時間が長くなってしまう。
【0011】
そこで、本発明の目的は、除霜終了直前から圧縮機の吐出温度を低下させる吐出温度低下運転を行うようにしたヒートポンプ給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1のヒートポンプ給湯装置は、圧縮機と凝縮熱交換器と膨張弁と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されたヒートポンプユニットと、前記ヒートポンプユニットで加熱した湯水を貯湯する貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転及び前記蒸発熱交換器に付いた霜を除去する除霜運転を制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯装置において、貯湯運転中に蒸発熱交換器に着霜したときに、貯湯タンクから凝縮熱交換器への湯水の流入を停止し、蒸発熱交換器のファンを停止し、膨張弁の開度を拡大して冷媒を循環させて除霜運転を実施するように構成されており、蒸発熱交換器の出口温度が除霜終了直前を示す所定条件を満足する場合には前記圧縮機からの吐出温度を下げるための吐出温度低下運転を行うことを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、蒸発熱交換器の出口温度が除霜終了直前を示す所定条件を満足する場合には圧縮機からの吐出温度を下げるための吐出温度低下運転を行うため、凝縮熱交換器内の高温の滞留水の温度低下を図ることができるから、高温出湯の発生を防止することができる。しかも、除霜終了直前から吐出温度低下運転を行うため、除霜時間が長くなることもない。
【0014】
請求項2のヒートポンプ給湯装置は、請求項1の発明において、前記吐出温度低下運転として圧縮機の回転数を所定回転数だけ下げた運転を実施することを特徴としている。
上記の構成によれば、前記吐出温度低下運転として圧縮機の回転数を所定回転数だけ下げた運転を行うため、簡単な制御で吐出温度低下運転を行うことができる。
【0015】
請求項3のヒートポンプ給湯装置は、請求項1又は2のヒートポンプ給湯装置は、前記吐出温度低下運転の実行中には膨張弁の開度を除霜運転中よりも拡大することを特徴としている。
上記の構成によれば、除霜運転時には膨張弁を全開ではなく全開の手前まで開くものとし、前記吐出温度低下運転の実行中には膨張弁の開度を除霜運転中よりも拡大することで、圧縮機の吐出温度の低下を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記のように種々の作用、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例に係るヒートポンプ給湯装置の構成図である。
図2図1のヒートポンプユニットの構成図である。
図3】除霜運転の内容を示すフローチャートである。
図4】除霜運転時の蒸発熱交換器出口の冷媒温度の変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0019】
最初に、本発明のヒートポンプ給湯装置1の構成について説明する。
図1に示すように、ヒートポンプ給湯装置1は、貯湯タンク2を備えた貯湯ユニット3と、主熱源機であるヒートポンプユニット4と、例えば燃焼式の補助熱源機5を有する。このヒートポンプ給湯装置1においては、ヒートポンプユニット4で貯湯タンク2からの湯水を所定の目標貯湯温度に加熱し、この加熱後の湯水を貯湯タンク2に戻して貯湯する貯湯運転を行う。
【0020】
補助熱源機5は、例えば矢印HWで示すように給湯設定温度の湯水を給湯栓6から給湯するために、貯湯ユニット3から出湯された湯水をその温度に応じて加熱して、又は非加熱で、給湯栓6に供給する。具体的には、貯湯タンク2に給湯設定温度で給湯可能な温度の湯水がある場合には、補助熱源機5で加熱せずに給湯する。貯湯タンク2に給湯設定温度で給湯可能な温度の湯水がない場合には、補助熱源機5で加熱して給湯する。
【0021】
次に、貯湯ユニット3について説明する。
貯湯ユニット3の貯湯タンク2の下部には、ヒートポンプユニット4に貯湯タンク2の湯水を供給するために、貯湯ポンプ7を備えた往き通路8が接続されている。貯湯タンク2の上部には、ヒートポンプユニット4で加熱された湯水を貯湯タンク2に戻すための戻り通路9が接続されている。戻り通路9の途中には、湯水の流路を切り替える切替弁10が配設されている。この切替弁10において戻り通路9から分岐された戻り分岐通路9aが、往き通路8の貯湯ポンプ7よりも上流部分に接続されている。
【0022】
戻り通路9の切替弁10よりも上流側には、ヒートポンプユニット4で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ9bが配設されている。例えばヒートポンプユニット4の起動直後において、戻り温度センサ9bの検知温度が所定の貯湯設定温度よりも低い場合に、切替弁10を貯湯タンク2側から戻り分岐通路9a側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯タンク2に湯水を戻さずに循環させることができる。
【0023】
貯湯タンク2の底部には、矢印CWで示す上水を供給する給水通路11が接続されている。貯湯タンク2の頂部には、貯湯ユニット3から貯湯タンク2の湯水を出湯するための出湯通路12が接続されている。出湯通路12の途中には混合弁14が配設され、給水通路11の途中から分岐された給水分岐通路11aが混合弁14に接続されている。そして、貯湯タンク2からの湯水と給水分岐通路11aからの上水とが、混合弁14で混合されて貯湯ユニット3から出湯される。
【0024】
貯湯タンク2には、複数の貯湯温度センサ2a~2dが高さ方向に所定の間隔を空けて配設されており、貯湯タンク2に貯湯された湯水の温度とその温度の湯水の貯湯量、即ち貯湯熱量を検知することができる。そして、貯湯された湯水の降温を防ぐため、これら貯湯温度センサ2a~2dと貯湯タンク2を覆う図示外の断熱材が配設されている。
【0025】
給水通路11には、給水通路11を流通する上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ11bが配設されている。出湯通路12には、出湯流量センサ12aと、タンク出湯温度センサ12bと、出湯温度センサ12cが配設されている。出湯流量センサ12aは、貯湯ユニット3からの出湯流量を検知する。タンク出湯温度センサ12bは、貯湯タンク2から出湯されて混合弁14に供給される湯水の温度を検知する。出湯温度センサ12cは、貯湯ユニット3から出湯する湯水の温度(出湯温度)を検知する。
【0026】
出湯通路12の下流端は、補助熱源機5の給水口5aに接続され、補助熱源機5の給湯口5bには湯水通路16が接続されている。湯水通路16には、給湯先として例えば台所の給湯栓6、図示外の浴室のカランやシャワー等が接続されている。
【0027】
貯湯ユニット3は、貯湯ユニット3から出湯する湯水の温度調整の制御等を行う貯湯ユニット制御部18(制御手段)を有する。貯湯ユニット制御部18は、ヒートポンプユニット4と貯湯ポンプ7を駆動して、ヒートポンプユニット4で目標貯湯温度に加熱した湯水を貯湯タンク2の上部から貯湯する貯湯運転を制御する。貯湯タンク2の貯湯熱量は、例えば貯湯温度センサ2a~2dの検知温度に基づいて、貯湯ユニット制御部18が算出する。
【0028】
貯湯ユニット制御部18は、出湯流量センサ12aが所定の流量以上の流量を検知した場合に、混合弁14の混合比を調整して出湯する。混合比は、給水温度センサ11bとタンク出湯温度センサ12bの検知温度に基づいて、出湯温度センサ12cの検知温度が所定の出湯温度になるように調整される。この貯湯ユニット制御部18は、各種運転の履歴を学習記憶し、例えば出湯履歴を利用してユーザの使用態様に合わせて貯湯運転の制御を行う。
【0029】
貯湯ユニット制御部18と補助熱源機5には、例えば給湯設定温度等をユーザが設定するための操作リモコン19が接続されている。操作リモコン19は複数台接続されていてもよく、貯湯ユニット3に対応する操作リモコン19が貯湯ユニット制御部18に接続され、補助熱源機5に対応する操作リモコンが補助熱源機5に接続されていてもよい。
【0030】
次に、ヒートポンプユニット4について説明する。
図2に示すように、ヒートポンプユニット4は、圧縮機21と凝縮熱交換器22と膨張弁23(膨張手段)と蒸発熱交換器24とを冷媒回路25により接続して構成されている。冷媒回路25に封入された冷媒は、圧縮機21、凝縮熱交換器22、膨張弁23、蒸発熱交換器24の順に通過して圧縮機21に戻るように循環する。冷媒回路25には、圧縮機21が吐出した冷媒の温度を検知する吐出温度センサ26と、蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度を検知する蒸発熱交出口温度センサ27が配設されている。
【0031】
ヒートポンプユニット4は、蒸発熱交換器24に外気を流通させる送風ファン28と、貯湯ユニット制御部18の指令に基づいてヒートポンプユニット4を制御するヒートポンプユニット制御部29と、外気温度を検知する外気温度センサ30を備えている。ヒートポンプユニット制御部29は、吐出温度センサ26、蒸発熱交出口温度センサ27及び外気温度センサ30の検知温度を取得し、通信線29aを介して貯湯ユニット制御部18と通信し、圧縮機21の運転回転数と膨張弁23の開度と送風ファン28の送風量を制御する。
【0032】
貯湯運転において、圧縮機21は、圧縮して高温高圧になった冷媒を凝縮熱交換器22に供給する。凝縮熱交換器22では、貯湯ポンプ7によって貯湯タンク2から供給される湯水が、高温の冷媒との熱交換により目標貯湯温度に加熱され、貯湯タンク2に戻される。凝縮熱交換器22での熱交換によって温度が下がり一部液化した高圧の冷媒は、膨張弁23に送られる。
【0033】
膨張弁23は、絞り量を変更することができる例えば電動の制御弁である。冷媒は、膨張弁23を通過する際に急激に膨張して外気よりも低温になり、蒸発熱交換器24に送られる。そして、蒸発熱交換器24において流通する外気から吸熱して気化すると共に温度が上がった冷媒が、圧縮機21に戻って再び圧縮されて高温高圧になり、凝縮熱交換器22に供給される。このヒートポンプサイクルを利用した貯湯運転により、出湯に必要な必要熱量が貯湯タンク2に貯湯される。
【0034】
次に、貯湯運転と、この貯湯運転中に行われる場合がある除霜運転について説明する。
貯湯運転が開始されると、貯湯予測に基づく必要熱量の貯湯を開始し、ヒートポンプユニット4を作動させ、貯湯ポンプ7を駆動する。ヒートポンプユニット4においては、送風ファン28を駆動し、圧縮機21を所定の運転回転数で駆動し、膨張弁23を所定の開度にして冷媒回路25内の冷媒を流動させ、凝縮熱交換器22で貯湯タンク2から供給される湯水を加熱する。
【0035】
寒冷の季節において蒸発熱交換器24に着霜すると、冷媒が外気から吸熱し難くなって、蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度が低下する。そこで、蒸発熱交換器24の出口における冷媒温度が着霜判定温度以下になった場合には、蒸発熱交換器24の霜を除去する除霜運転を開始する。尚、外気温度が低いときの長時間の貯湯運転中には、蒸発熱交換器24の着霜と、この霜を除去する除霜運転が繰り返される場合がある。
【0036】
この除霜運転について図3のフローチャートに基づいて説明する。尚、図中のSi(i=1,2,・・)は各ステップを示す。このフローチャートは、貯湯ユニット制御部18に予め格納されている。除霜運転が開始されると、S1において、圧縮機21の回転数が除霜回転数(例えば、70Hz)に切換えられ、膨張弁23の開度が除霜開度(例えば、90%開度)に切換えられ、送風ファン28及び貯湯ポンプ7が停止される。
【0037】
次に、S2において外気温センサ30から外気温Toが読み込まれ、蒸発熱交出口温度センサ27から蒸発熱交換器出口温度Tvが読み込まれ、貯湯運転時にセンサから読み込んでメモリに記憶されていた外気温Toと蒸発熱交換器出口温度Tvに基づいて、貯湯運転時の(To-Tv)=Aが演算される。
【0038】
次に、S3において、除霜終了直前を示す所定条件が満足するか否か判定するため、外気温Toと蒸発熱交換器出口温度Tvとの温度差(To-Tv)が設定値B(但し、B>A)以上か否か判定される。除霜が進行していくと蒸発熱交換器出口温度Tvが徐々に増大していき、除霜終了直前になる前は、(To-Tv)<Bであり、S3の判定がNoとなるため、S3からS2へ戻る。除霜終了直前になると、(To-Tv)≧BとなってS3からS4へ移行する。
【0039】
S4では、ヒートポンプユニット4における冷媒温度を低下させて、凝縮熱交換器22 内の滞留水の温度低下を図るため、吐出温度低下運転として、圧縮機21の回転数が例えば70Hzから60Hzへ低下され、膨張弁23の開度が例えば100%まで拡大される。
【0040】
次に、S5においては、除霜運転が終了したか否か判定するため、蒸発熱交換器出口温度Tvが所定温度C(例えば、20℃)以上か否か判定され、その判定がNoのうちはS5を繰り返し、その判定がYesになると、S6へ移行する。
S6では、除霜運転を終了し、貯湯運転へ復帰するため、圧縮機21の回転数が貯湯回転数に切換えられ、膨張弁23が貯湯開度(例えば、20%開度)に切換えられ、送風ファン28及び貯湯ポンプ7が駆動再開され、その後この制御は終了する。
【0041】
図4は、除霜運転時における蒸発熱交換器出口温度Tvのタイムチャートを示すもので、除霜開始後冷媒の温度が徐々に上昇していき、前記の(To-Tv)≧Bの条件を満足すると、除霜終了直前と判定され、上記のように冷媒温度を低下させる制御として、圧縮機21の回転数を下げると共に膨張弁23の開度を拡大する制御が実行される。
【0042】
上記のヒートポンプ給湯装置1の作用、効果について説明する。
蒸発熱交換器24の出口温度Tvが除霜終了直前を示す所定条件を満足する場合には圧縮機21からの吐出温度を下げるための吐出温度低下運転を行うため、凝縮熱交換器22内の高温の滞留水の温度低下を図ることができるから、高温出湯の発生を防止することができる。しかも、除霜終了直前から吐出温度低下運転を行うため、除霜時間が長くなることもない。
【0043】
吐出温度低下運転として圧縮機21の回転数を所定回転数だけ下げた運転を行うため、簡単な制御で吐出温度低下運転を行うことができる。
【0044】
前記吐出温度低下運転の実行中には膨張弁23の開度を除霜運転中よりも拡大するため、圧縮機21の吐出温度の低下を図ることができる。
【0045】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0046】
1 :ヒートポンプ給湯装置
2 :貯湯タンク
3 :貯湯ユニット
4 :ヒートポンプユニット
18 :貯湯ユニット制御部
21 :圧縮機
22 :凝縮熱交換器
23 :膨張弁
24 :蒸発熱交換器
25 :冷媒回路
28 :ファン
29 :ヒートポンプユニット制御部
図1
図2
図3
図4