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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153923
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056644
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】柏 智男
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070BB03
5E070DA02
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】 外部電極の表面の平滑性が向上したコイル部品を提供する。
【解決手段】 本発明の一態様によるコイル部品は、第1面を有する基体と、基体の内部に設けられた第1コイル導体と、少なくとも基体の第1面に設けられている第1外部電極と、少なくとも基体の第1面に設けられている第2外部電極と、を備える。第2外部電極は、基体の第1面に、第1外部電極から第1方向において離間した位置に設けられる。第1外部電極は、コイル導体の一端に接続され、第2外部電極は、コイル導体の他端に接続される。第1外部電極は、第1めっき層を有し、第2外部電極は、第2めっき層を有する。第1外部電極は、基体の第1面の法線方向から見たときに、角がない形状を呈する。第2外部電極は、基体の第1面の法線方向から見たときに、角がない形状を呈する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する基体と、
前記基体の内部に設けられた第1コイル導体と、
第1めっき層を有し、少なくとも前記基体の前記第1面に前記第1コイル導体の一端に接続されるように設けられ、前記第1面の法線方向から見たとき角がない形状を呈する第1外部電極と、
第2めっき層を有し、少なくとも前記基体の前記第1面に前記第1外部電極から第1方向において離間した位置に前記第1コイル導体の他端に接続されるように設けられ、前記第1面の法線方向から見たとき角がない形状を呈する第2外部電極と、
を備えるコイル部品。
【請求項2】
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延びる第1直線部を有し、
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第2外部電極の外縁は、前記第2方向に沿って延びており前記第1直線部と相対する第2直線部を有する、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、前記第1方向に沿って延びる第3直線部を有し、
前記第1直線部と前記第3直線部とは、湾曲したコーナー部により接続されている、
請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1外部電極の外縁の円形度は、0.8以上である、
請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、長円形を呈する、
請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、楕円形を呈する、
請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記基体の内部に設けられた第2コイル導体と、
第3めっき層を有し、少なくとも前記基体の前記第1面に前記第1外部電極から前記第2方向において離間した位置に前記第2コイル導体の一端に接続されるように設けられ、前記第1面の法線方向から見たとき角がない形状を呈する第3外部電極と、
第4めっき層を有し、少なくとも前記基体の前記第1面に前記第3外部電極から前記第1方向において離間した位置に前記第2コイル導体の他端に接続されるように設けられ、前記第1面の法線方向から見たとき角がない形状を呈する第4外部電極と、
をさらに備える
請求項2に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、前記第1方向に沿って延びる第3直線部を有し、
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第3外部電極の外縁は、前記第1方向に沿って延びており前記第3直線部と相対する第4直線部を有する、
請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
請求項1または2に記載のコイル部品を内蔵するコイル部品内蔵基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品は、電子機器において用いられる受動素子である。コイル部品は、例えば、電源ラインや信号ラインにおいてノイズを除去するために用いられる。コイル部品は、基体と、基体の内部に端面が基体から露出するように設けられたコイル導体と、コイル導体の端面に接続される外部電極と、を備える。
【0003】
基板内にコイル部品を含む電子部品が埋め込まれているコイル部品内蔵基板が知られている。コイル部品内蔵基板においては、基板内に複数のコイル部品を埋め込むことにより、コイル部品を高密度で実装することができる。コイル部品が基板内に埋め込まれている従来のコイル部品内蔵基板は、特開2023-065654号公報(引用文献1)に記載されている(特に、図8及びその説明を参照)。
【0004】
コイル部品が内蔵されているコイル部品内蔵基板においては、コイル部品の外部電極が、ビア導体を介して配線と電気的に接続される。ビア導体は、プリント基板の絶縁層に形成されたキャビティ内に載置されているコイル部品を樹脂で封止し、この樹脂で封止されているコイル部品の外部電極に向かってレーザを照射することによりビアホールを形成して当該外部電極を露出させ、このビアホールにめっき処理を施すことにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-065654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くのコイル部品は、基板に表面実装されることが想定されている。コイル部品は、外部電極を基板表面に設けられている長方形形状のランドに接合することで、基板に表面実装される。このような背景から、コイル部品の外部電極は、ランドとの接合の信頼性を確保するために、実装面の法線方向から見たときに長方形を呈するように構成される。実装面からの視点で長方形を呈する外部電極の例は、引用文献1の図1Aに端子電極41、42として示されている。引用文献1の図8に示されているように、従来は、長方形形状の外部電極41、42を備えるコイル部品が、コイル部品内蔵基板に埋め込まれている。
【0007】
コイル部品の外部電極は、磁性基体の少なくとも実装面に長方形の下地電極層を塗布し、この下地電極層にめっき処理を施すことにより形成される。この下地電極層は、実装面から見たときに長方形の形状を有するように形成される。この長方形形状の下地電極層にめっき処理を施す場合、長方形の角付近の領域に強い電界が生じるため、下地電極層の角付近の領域において他の領域よりもめっき成長が促進される。その結果、めっき処理により形成された外部電極は、角付近の膜厚が他の領域の膜厚と比べて厚くなる。このため、従来のコイル部品の外部電極の表面には、めっきの成長の程度に応じた凹凸が現れる。この凹凸は、外部電極の表面の平滑性を低下させる。
【0008】
コイル部品を表面実装する場合には、コイル部品は、はんだで基板に接合されるため、外部電極表面の平滑性が低くても実装にほとんど支障はない。このため、これまでは、外部電極表面の平滑性には注意が払われてこなかった。
【0009】
本発明者は、表面の平滑性が低い外部電極を有するコイル部品を基板に内蔵する場合には、ビアホールを形成するために照射されたレーザが外部電極表面で乱反射され、この乱反射されたレーザ光がビアホールの側壁に当たってビアホールの幅を規定の幅よりも広げてしまうため、ビア導体を精度良く形成できないという問題が生じることを発見した。
【0010】
本発明の目的の一つは、外部電極の表面の平滑性が向上したコイル部品を提供することである。本発明のこれ以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。本明細書に開示される発明は、「発明を解決しようとする課題」の欄の記載以外から把握される課題を解決するものであってもよい。本明細書において開示される様々な発明は、「本発明」と総称されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によるコイル部品は、第1面を有する基体と、基体の内部に設けられた第1コイル導体と、少なくとも基体の第1面に設けられている第1外部電極と、少なくとも基体の第1面に設けられている第2外部電極と、を備える。第2外部電極は、基体の第1面に、第1外部電極から第1方向において離間した位置に設けられる。第1外部電極は、コイル導体の一端に接続され、第2外部電極は、コイル導体の他端に接続される。第1外部電極は、第1めっき層を有し、第2外部電極は、第2めっき層を有する。第1外部電極は、基体の第1面の法線方向から見たときに、角がない形状を呈する。第2外部電極は、基体の第1面の法線方向から見たときに、角がない形状を呈する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、平面視において角がある外部電極と比べて、外部電極の表面の平滑性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るコイル部品1を模式的に示す斜視図である。
図2図1のコイル部品1の平面図である。
図3図1のコイル部品1をI-I線で切断した断面の一部を拡大して示す断面図である。
図4図1のコイル部品が備える外部電極の模式的な平面図である。
図5】従来のコイル部品が備える外部電極の模式的な平面図である。
図6a】一実施形態に従ってコイル部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6b】一実施形態に従ってコイル部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6c】一実施形態に従ってコイル部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6d】一実施形態に従ってコイル部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6e】一実施形態に従ってコイル部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6f】一実施形態に従ってコイル部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図7】本発明の別の実施形態に係るコイル部品101を模式的に示す斜視図である。
図8図7のコイル部品101の平面図である。
図9】外部電極の変形例を模式的に示す平面図である。
図10】外部電極の別の変形例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一又は類似の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。以下で説明される実施形態は、必ずしも特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。以下の実施形態で説明されている諸要素が発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
1 第1実施形態(コイル部品1)
1-1 コイル部品1の基本構造
本明細書に開示される様々な実施形態は、コイル部品内蔵基板に内蔵されるコイル部品に関する。図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るコイル部品1について説明する。図1は、コイル部品1を模式的に示す斜視図であり、図2は、コイル部品1の平面図であり、図3は、I-I線で切断したコイル部品1の断面の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
【0016】
各図には、説明の便宜のため、互いに直交するL軸、W軸、及びT軸が記載されていることがある。本明細書において、コイル部品1の各構成部材の寸法、配置、形状、及びこれら以外の特徴は、L軸、W軸、及びT軸を基準に説明されることがある。本明細書においては、各部材のT軸方向における寸法を「厚さ寸法」と呼ぶことがある。
【0017】
コイル部品1は、電子回路において、例えばノイズを除去するために用いられる。コイル部品1は、電源ラインに組み込まれるパワーインダクタであってもよいし、信号ラインにおいて用いられるインダクタであってもよい。後述するように、コイル部品1は、基板に内蔵されてもよい。
【0018】
コイル部品1は、基体10と、基体10の内部に設けられたコイル導体25と、基体10の表面に設けられた第1外部電極21と、基体10の表面において第1外部電極21から離間した位置に設けられた第2外部電極22と、を備える。第1外部電極21は、コイル導体25の一端と電気的に接続されており、第2外部電極22は、コイル導体25の他端と電気的に接続されている。第1外部電極21は、L軸方向において、第2外部電極22から離間するように配置されている。
【0019】
コイル部品1の種類に応じて、コイル導体25は、様々な形状を取り得る。コイル導体25は、所望のインダクタンスを生じさせる形状を有するように構成される。コイル導体25は、例えば、コイル軸の周りに所定ターンだけ巻回される。コイル導体の一端及び他端は、第1外部電極21及び第2外部電極にそれぞれ接続される。
【0020】
基体10は、互いに結合した複数の軟磁性金属粒子を含有してもよい。軟磁性金属粒子同士は、絶縁性の絶縁膜で被覆されている。軟磁性金属粒子の表面の絶縁膜が破損すると、軟磁性金属粒子を結合して構成された基体10の絶縁抵抗は低くなる。このため、基体10の表面において、第1外部電極21と第2外部電極22との間の領域には、絶縁性の絶縁層が設けられてもよい。絶縁層は、絶縁性に優れた樹脂から形成されてもよい。この絶縁膜により、基体10の表面において、第1外部電極21と第2外部電極22との間の絶縁抵抗を高めることができる。一態様において、基体10は、直方体形状を有するように構成されてもよい。本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。基体10は、上面10a、下面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fを有する。基体10は、これらの6つの面によってその外表面が画定されている。上面10aは、T軸方向と直交している。
【0021】
一態様において、第1外部電極21及び第2外部電極22はいずれも、少なくとも上面10aと接するように基体10に設けられる。第1外部電極21及び第2外部電極22はいずれも、基体10の外表面のうち、上面10aのみと接していてもよい。
【0022】
基体10の上面10aには、第1外部電極21及び第2外部電極22の各々の周囲を覆うように、樹脂膜が設けられてもよい。樹脂膜により、第1外部電極21及び第2外部電極22の絶縁性を向上させることができる。
【0023】
1-2 第1外部電極21及び第2外部電極22
第1外部電極21は、第1下地電極層21Aと、この第1下地電極層21Aを覆っている第1めっき層21Bと、を有する。第2外部電極22は、第2下地電極層22Aと、この第2下地電極層22Aを覆っている第2めっき層22Bと、を有する。
【0024】
第1下地電極層21A及び第2下地電極層22Aは、例えば、ペースト状の導電材料を基体10の表面に塗布し、この塗布された導電材料を硬化させることによって形成される。第1下地電極層21A及び第2下地電極層22A用の導電材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、もしくは金(Au)等の金属材料、又はこれらの金属材料の一種以上を含む合金材料を用いることができる。この合金材料の例は、例えば、Cu-Ni合金である。
【0025】
第1めっき層21Bは、第1下地電極層21Aの表面に、例えば電解めっきを施すことにより、第1下地電極層21Aを覆うように形成される。第1めっき層21Bは、導電性の第1下地電極層21Aに沿って、第1下地電極層21Aの縁まで延伸する。このため、コイル部品1を平面視したとき(言い換えると、上面10aの法線方向(つまり、図示の実施形態では、T軸に沿う方向)から見たとき)、第1めっき層21Bの形状は、第1下地電極層21Aの形状と等しいかまたは相似である。第2めっき層22Bは、第2下地電極層22Aの表面に、例えば電解めっきを施すことにより、第2下地電極層22Aを覆うように形成される。第2めっき層22Bは、導電性の第2下地電極層22Aに沿って、第2下地電極層22Aの縁まで延伸する。このため、コイル部品1を平面視したとき、第2めっき層22Bの形状は、第2下地電極層22Aの形状と等しいかまたは相似である。第1めっき層21B及び第2めっき層22Bの少なくとも一方は、2層構造であってもよい。第1めっき層21Bが2層構造の場合は、第1下地電極層21Aに接する第1めっき層がニッケルめっき層とされ、第1めっき層の上に形成される第2めっき層がスズめっき層とされてもよい。第2めっき層22Bが2層構造の場合は、第2下地電極層22Aに接する第1めっき層がニッケルめっき層とされ、第1めっき層の上に形成される第2めっき層がスズめっき層とされてもよい。第1めっき層21B及び第2めっき層22Bの最外層は、Cuめっき層とされてもよい。
【0026】
第1外部電極21は、上面21a、下面21b、第1端面21c、第2端面21d、第1側面21e、及び第2側面21fを有する。第1外部電極21は、これらの6つの面によってその外表面が画定されている。
【0027】
第2外部電極22は、上面22a、下面22b、第1端面22c、第2端面22d、第1側面22e、及び第2側面22fを有する。第2外部電極22は、これらの6つの面によってその外表面が画定されている。
【0028】
第1外部電極21は、下面21bが基体10の上面10aと接するように、基体10に設けられている。第2外部電極22は、下面22bが基体10の上面10aと接するように、基体10に設けられている。図3に示されているように、第1外部電極21は、その第2端面21dが第2外部電極22の第1端面22cとL軸方向において相対するように設けられている。
【0029】
平面視における第1外部電極21及び第2外部電極22の形状について、特に図2を参照して説明する。図2に示されているように、コイル部品1を平面視したとき、第1外部電極21は、角がない形状を呈する。図2に示されている実施形態では、第1外部電極21の外縁は、長円形を呈する。より具体的には、第1外部電極21の外縁は、W軸に沿って直線状に延びる第1直線部L11と、L軸に沿って直線状に延びる第2直線部L12と、W軸に沿って直線状に延びる第3直線部L13と、L軸に沿って直線状に延びる第4直線部L14と、第1直線部L11と第2直線部L12とを接続し、湾曲している第1コーナー部C11と、第2直線部L12と第3直線部L13とを接続し、湾曲している第2コーナー部C12と、第3直線部L13と第4直線部L14とを接続し、湾曲している第3コーナー部C13と、第4直線部L14と第1直線部L11とを接続し、湾曲している第4コーナー部C14と、により画定される。第1外部電極21の外縁は、複数の直線状に延びる部位を有するが、この直線状に延びる部位同士が直接接続されるのではなく、湾曲したコーナー部を介して接続されているので、第1外部電極21の外縁には、2つの直線が交わる角が存在しない。第1直線部L11、第1コーナー部C11の一部、及び第4コーナー部C14の一部が第1端面21cに対応する。第2直線部L12、第1コーナー部C11の一部、及び第2コーナー部C12の一部が第1側面21eに対応する。第3直線部L13、第2コーナー部C12の一部、及び第3コーナー部C13の一部が第2端面21dに対応する。第4直線部L14、第3コーナー部C13の一部、及び第4コーナー部C14の一部が第2側面21fに対応する。
【0030】
第2外部電極22は、コイル部品1を平面視したとき、第1外部電極21と同様に角がない形状を呈する。第2外部電極22の平面視における形状は、第1外部電極21の平面視における形状と同じでもよい。図2に示されている実施形態では、第2外部電極22の外縁は、W軸に沿って直線状に延びる第1直線部L21と、L軸に沿って直線状に延びる第2直線部L22と、W軸に沿って直線状に延びる第3直線部L23と、L軸に沿って直線状に延びる第4直線部L24と、第1直線部L21と第2直線部L22とを接続し、湾曲している第1コーナー部C21と、第2直線部L22と第3直線部L23とを接続し、湾曲している第2コーナー部C22と、第3直線部L23と第4直線部L24とを接続し、湾曲している第3コーナー部C23と、第4直線部L24と第1直線部L21とを接続し、湾曲している第4コーナー部C24と、により画定される。第2外部電極22の外縁は、複数の直線状に延びる部位を有するが、この直線状に延びる部位同士が直接接続されるのではなく、湾曲したコーナー部を介して接続されているので、第2外部電極22の外縁には、2つの直線が交わる角が存在しない。第1直線部L21、第1コーナー部C21の一部、及び第4コーナー部C24の一部が第1端面22cに対応する。第2直線部L22、第1コーナー部C21の一部、及び第2コーナー部C22の一部が第1側面22eに対応する。第3直線部L23、第2コーナー部C22の一部、及び第3コーナー部C23の一部が第2端面22dに対応する。第4直線部L24、第3コーナー部C23の一部、及び第4コーナー部C24の一部が第2側面22fに対応する。
【0031】
第1外部電極21は、第2端面21dが第2外部電極22の第1端面22cと相対するように配置されているので、平面視においては、第1外部電極21の第3直線部L13が第2外部電極22の第1直線部L21とL軸方向において相対する。
【0032】
一態様において、第1外部電極21は、平面視における外縁の円形度が0.8以上1未満となるように構成される。第1めっき層21Bを電解めっきで形成する際には、平面視における第1下地電極層21Aの外縁の円形度が高いほど、第1下地電極層21Aの表面において電界の強さが均一になりやすい。このため、平面視における第1下地電極層21Aの円形度(すなわち、第1外部電極21の外縁の円形度)は高いことが望ましい。他方、平面視における第1外部電極21の外縁の円形度が高くなると、第1外部電極21の平面視における面積が一定と仮定したときに、第1外部電極21と第2外部電極22との距離が近くなる。このため、平面視における外縁の円形度には上限が定められることが望ましい。一態様においては、平面視における第1外部電極21(および第1下地電極層21A)の外縁の円形度の上限は、0.95であってもよい。
【0033】
第1外部電極21と同様に、第2外部電極22は、平面視における外縁の円形度が0.8以上1未満となるように構成される。平面視における第2外部電極22の外縁の円形度の上限は、0.95であってもよい。
【0034】
第1外部電極21及び第2外部電極22は、コイル導体25との間の接合強度を確保するためや、電気抵抗を低くすることができるように、所定面積以上の面積を有するように設計及び作製される。第1外部電極21及び第2外部電極22の形状を円形(円形度=1)とすると、第1外部電極21及び第2外部電極22の面積をいずれも設計上の要件を充足する所定面積以上とした場合に、第1外部電極21と第2外部電極22との間の間隔が短くなってしまい、第1外部電極21と第2外部電極22との間でショートが発生しやすくなる。本発明の一態様においては、第1外部電極21及び第2外部電極22がいずれも、平面視において直線状に延びる直線部を有しているので、第1外部電極21及び第2外部電極22の形状を円形とした場合と比べて、第1外部電極21と第2外部電極22との間隔を大きくすることができる。例えば、図2に示されている実施形態では、第1外部電極21の第3直線部L13と第2外部電極22の第1直線部L21とがL軸方向において相対するように設けられているので、第1外部電極21及び第2外部電極22を平面視で円形に形成した場合や、第1外部電極21と第2外部電極22とが互いに向かって突出する湾曲面を有している場合と比べて、第1外部電極21と第2外部電極22との間隔をより大きくすることができる。これにより、第1外部電極21と第2外部電極22との間でのショートの発生を抑制することができる。
【0035】
上述したように、第1外部電極21の第1めっき層21Bは、第1下地電極層21Aの表面に電解めっきを施すことにより形成される。平面視において角がない形状を呈するように第1下地電極層21Aを形成することで、めっき処理時に第1下地電極層21Aの一部の領域に電界が集中することを抑制できる。これにより、第1めっき層21Bにおいて、めっき処理により形成される結晶粒子の大きさを均一化することができる。これと同様のメカニズムにより、第2めっき層22Bにおいても、めっき処理により形成される結晶粒子の大きさを均一化することができる。
【0036】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の一実施形態に係るコイル部品1に備えられる第1外部電極21と、従来のコイル部品に備えられる外部電極1021とを比較して説明する。図4(a)は、平面視における第1外部電極21を模式的に示す模式図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A線で第1外部電極21を切断した断面を模式的に示す断面図である。図5(a)は、平面視における外部電極1021を模式的に示す模式図であり、図5(b)は、図5(a)のB-B線で外部電極1021を切断した断面を模式的に示す断面図である。
【0037】
上述したとおり、コイル部品1に備えられる第1外部電極21は、平面視において角がない形状を有している。これに対して、従来のコイル部品に備えられる外部電極1021は、図5(a)に示されているとおり、平面視において、長方形形状を有する。長方形形状を呈する外部電極は、例えば、特開2023-065654号公報の図5Aに示されている。従来の外部電極は、作製の容易さや、表面実装時に接合相手となるランドの形状が長方形形状に規格化されているといった事情から、平面視において長方形形状を呈するように形成される。
【0038】
外部電極1021は、長方形形状の下地電極層1021A上にめっき層1021Bを形成することで作製される。長方形形状の下地電極層121Aにめっき層を形成する際には、その角付近に強い電界が生じるため、図5(b)に示されているように、角付近に、めっきが過剰に成長した突出部1021B1が生じる。このように、長方形形状の下地電極層1021Aにめっき層1021Bを形成すると、角付近において過剰に成長するめっきが、外部電極1021の表面の平滑性を低下させる。
【0039】
他方、第1外部電極21は、平面視において角がない形状を有している。したがって、第1外部電極21に備えられている第1めっき層21Bを形成する際に、第1下地電極層21A上の一部の領域において強い電界が生じることが抑制されるので、一部の領域におけるめっきの過剰な成長を抑制できる。よって、図4(b)に示されているように、平面視において角がない形状を有する第1外部電極21の表面は、平面視で角がある形状を有する従来の外部電極1021の表面と比べて、より平滑に形成することが可能である。
【0040】
第1外部電極21の上面21aの算術表面粗さRaは、例えば、1~3μmの範囲とされる。また、第1外部電極21の上面21aの最大高さうねりWzは、例えば、10μm以内の範囲とされる。本明細書で説明される算術表面粗さRa及び最大高さうねりWzはいずれも、日本工業規格JIS B 0601:2013に準じて測定される。算術表面粗さRa及び最大高さうねりWzは、株式会社キーエンス製のワンショット3D形状測定機VR-6200を用いて測定することができる。平面視で角がある形状を有する従来の外部電極1021の最大高さうねりWzは、電解めっきにより外部電極1021を形成する際に印加される電界の強さが不均一となるため、10μm以上となる。これに対して、平面視において角がない形状を有する第1外部電極21の最大高さうねりWzは、10μm以内の範囲とすることができる。このように、平面視において角がない形状を有するように第1外部電極21を形成することにより、外部電極21の表面をより平滑にすることができる。第1下地電極層21Aの円形度は、高いことが望ましく、具体的には、上述したように、0.8以上1未満であることが望ましい。第1下地電極層21Aの円形度を高くすることで、うねりが小さく、より平滑な第1外部電極21を形成することができる。
【0041】
図4には、図示の簡潔さのために、第1外部電極21のみを示しているが、以上の第1外部電極21に関する説明は、矛盾を生じさせない限り、第2外部電極22にも当てはまる。
【0042】
1-3 コイル部品内蔵基板の製造方法
次に、図6aないし図6fを参照して、コイル部品1を内蔵するコイル部品内蔵基板の製造方法の一例について説明する。
【0043】
まず、図6aに示されているように、フィルム51の上に絶縁層52を形成し、この絶縁層52にキャビティH1を形成する。そして、第1外部電極21及び第2外部電極22がフィルム51に接するように、コイル部品1をキャビティH1内に載置する。フィルム51は、コイル部品内蔵基板の製造工程において、コイル部品1を暫定的に取り付けるためのフィルムである。絶縁層52は、多層プリント基板の一部である。図示は省略されているが、絶縁層52の内部には複数の配線パターン及び配線パターン同士を接続するビア導体が形成されていてもよい。絶縁層52は、ガラスエポキシ等の絶縁材料から構成される。絶縁層52の材料は、ガラスエポキシには限られず、多層プリント基板の絶縁層に適した様々な材料から構成され得る。
【0044】
次に、図6bに示されているように、コイル部品1が載置されたキャビティH1内に、コイル部品1を覆うように第1樹脂層53を形成する。第1樹脂層53は、例えば、熱硬化性樹脂から構成される。第1樹脂層53は、キャビティH1に未硬化の熱硬化性樹脂を注入し、この注入された熱硬化性樹脂を加熱して硬化することで形成されてもよい。このようにして、キャビティH1内に第1樹脂層53によりコイル部品1が封止された中間体が作製される。
【0045】
次に、図6cに示されているように、中間体を上下反転させた後、フィルム51を取り除き、このフィルム51が取り除かれた中間体の上面に、第2樹脂層54を形成する。第2樹脂層54は、第1樹脂層53と同じ熱硬化性樹脂から構成されてもよい。第2樹脂層54は、フィルム51を取り除いた際に露出する第1外部電極21及び第2外部電極22を覆うように形成される。
【0046】
次に図6dに示されているように、第2樹脂層54に第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2を形成して、第1外部電極21の一部及び第2外部電極22の一部を露出させる。第1ビアホールVH1は、紙面の上方から第1外部電極21に向かってレーザを照射することにより形成される。同様に、第2ビアホールVH2は、紙面の上方から第2外部電極22に向かってレーザを照射することにより形成される。照射されるレーザは、例えば、炭酸ガスレーザである。2台の炭酸ガスレーザ加工機を用いることにより、第1外部電極21の上面21a及び第2外部電極22の上面22aに向かってレーザを同時に照射することができるので、第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2を並行して形成することができる。これにより、製造時間の短縮化を図ることができる。
【0047】
第1外部電極21及び第2外部電極22は、上述したように、平面視において角がない形状を呈するため、各々の上面21a及び上面22aは、従来の外部電極よりも平滑である。よって、第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2を形成するために第1外部電極21及び第2外部電極22に向かって照射されたレーザの上面21a及び上面22aでの乱反射が抑制されるので、第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2を精度良く形成することができる。また、第1外部電極21及び第2外部電極22の各々の最外層にはCuめっき層が設けられてもよい。第1外部電極21及び第2外部電極22の各々の最外層をCuめっき層とすることにより、第1外部電極21及び第2外部電極22と基板との接続性を向上させることができ、また、第1外部電極21及び第2外部電極22にレーザ照射を行う際に第1外部電極21及び第2外部電極22の表面の変形を抑制することができる。
【0048】
次に、図6eに示されているように、第1ビアホールVH1を画定する底面及び壁面、第2ビアホールVH2を画定する底面及び壁面にめっき処理を施すことにより、第1ビアホールVH1内にビア導体61が形成され、第2ビアホールVH2内にビア導体62が形成される。また、第2樹脂層54の表面にめっき処理を施すことにより、第2樹脂層54の表面に導体層70が形成される。
【0049】
次に、図6fに示されているように、導体層70のうち、L軸方向において第1外部電極21と第2外部電極22との間の領域をエッチングすることにより、第1外部電極21に接続される第1配線パターン71及び第2外部電極22に接続される第2配線パターン72が形成される。
【0050】
以上により、内部にコイル部品1が埋め込まれたコイル部品内蔵基板81が作製される。
【0051】
コイル部品内蔵基板81には、図示されているコイル部品1以外に、様々な電子部品が内蔵されていてもよい。コイル部品内蔵基板81に内蔵されるコイル部品1以外の電子部品は、インダクタ、コンデンサ、抵抗等の受動素子であってもよいし、半導体IC等の能動素子であってもよい。
【0052】
コイル部品内蔵基板81は、様々な電子機器に搭載され得る。コイル部品内蔵基板81が搭載され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、自動車の電装品、サーバ及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。
【0053】
2 第2実施形態(コイル部品101)
続いて、図7及び図8を参照して、第2実施形態に係るコイル部品101について説明する。図7は、第2実施形態に係るコイル部品101の斜視図であり、図8は、コイル部品101の平面図である。コイル部品101は、8つの外部電極121~128を備えている点で、2つの外部電極を備えているコイル部品1と異なっている。
【0054】
コイル部品101は、例えば、基体110の内部に、複数の素子がパッケージ化されたアレイ型素子である。アレイ型素子においては、複数の素子が一つの素子としてパッケージ化されているので、複数の素子を実装する際の実装スペースを小さくできる。コイル部品101においては、第1実施形態で説明したコイル部品1がW軸方向に4つ分並んでおり、この4つのコイル部品が一つの素子としてパッケージ化されている。コイル部品101には、異なる種類の素子がパッケージ化されていてもよい。例えば、コイル部品101は、LCフィルタ、LCRフィルタ、及びインダクタから選択された4つの素子を基体110の内部にパッケージ化することで構成されてもよい。コイル部品101は、同種の4つの素子を基体110の内部にパッケージ化することで構成されてもよい。例えば、コイル部品101は、4つのインダクタ素子がパッケージ化されたアレイ型インダクタであってもよい。コイル部品101には、2つより多くの外部電極に接続される素子、例えば、磁気結合型のインダクタ(例えば、コモンモードチョークコイル)を含んでもよい。
【0055】
外部電極121~128はいずれも、基体110の外表面のうち、上面110aのみと接していてもよい。外部電極121は、第1コイル導体(図示略)の一端と接続されており、外部電極122は、当該第1コイル導体の他端と接続されている。外部電極123は、第2コイル導体(図示略)の一端と接続されており、外部電極124は、当該第2コイル導体の他端と接続されている。外部電極125は、第3コイル導体(図示略)の一端と接続されており、外部電極126は、当該第3コイル導体の他端と接続されている。外部電極127は、第4コイル導体(図示略)の一端と接続されており、外部電極128は、当該第4コイル導体の他端と接続されている。第1コイル導体、第2コイル導体、第3コイル導体、及び第4コイル導体はそれぞれ、コイル部品1に備えられるコイル導体25と同様に構成され得る。
【0056】
外部電極121~128の各々は、第1外部電極21と同様に、下地電極層と、下地電極層を覆うめっき層と、を有する。このめっき層は、例えば、電解めっき法により形成される。
【0057】
基体110の上面110aのうち、外部電極121~128により覆われていない領域は、絶縁層により覆われていてもよい。絶縁層は、絶縁性に優れた樹脂から形成されてもよい。
【0058】
外部電極121~128の各々は、平面視したときの形状に関し、第1外部電極21または第2外部電極22と同様に形成されてもよい。より具体的には、図8に示されているように、コイル部品101を平面視したとき、外部電極121~128はいずれも第1外部電極21は、角がない形状を呈してもよい。
【0059】
図8に示されている実施形態では、外部電極121の外縁は、L軸に沿って直線状に延びる第1直線部L111と、W軸に沿って直線状に延びる第2直線部L112と、L軸に沿って直線状に延びる第3直線部L113と、W軸に沿って直線状に延びる第4直線部L114と、第1直線部L111と第2直線部L112とを接続し、湾曲している第1コーナー部C111と、第2直線部L112と第3直線部L113とを接続し、湾曲している第2コーナー部C112と、第3直線部L113と第4直線部L114とを接続し、湾曲している第3コーナー部C113と、第4直線部L114と第1直線部L111とを接続し、湾曲している第4コーナー部C114と、により画定される。
【0060】
外部電極122の外縁は、L軸に沿って直線状に延びる第1直線部L121と、W軸に沿って直線状に延びる第2直線部L122と、L軸に沿って直線状に延びる第3直線部L123と、W軸に沿って直線状に延びる第4直線部L124と、第1直線部L121と第2直線部L122とを接続し、湾曲している第1コーナー部C121と、第2直線部L122と第3直線部L123とを接続し、湾曲している第2コーナー部C122と、第3直線部L123と第4直線部L124とを接続し、湾曲している第3コーナー部C123と、第4直線部L124と第1直線部L121とを接続し、湾曲している第4コーナー部C124と、により画定される。
【0061】
外部電極123の外縁は、L軸に沿って直線状に延びる第1直線部L131と、W軸に沿って直線状に延びる第2直線部L132と、L軸に沿って直線状に延びる第3直線部L133と、W軸に沿って直線状に延びる第4直線部L134と、第1直線部L131と第2直線部L132とを接続し、湾曲している第1コーナー部C131と、第2直線部L132と第3直線部L133とを接続し、湾曲している第2コーナー部C132と、第3直線部L133と第4直線部L134とを接続し、湾曲している第3コーナー部C133と、第4直線部L134と第1直線部L131とを接続し、湾曲している第4コーナー部C134と、により画定される。
【0062】
外部電極124の外縁は、L軸に沿って直線状に延びる第1直線部L141と、W軸に沿って直線状に延びる第2直線部L142と、L軸に沿って直線状に延びる第3直線部L143と、W軸に沿って直線状に延びる第4直線部L144と、第1直線部L141と第2直線部L142とを接続し、湾曲している第1コーナー部C141と、第2直線部L142と第3直線部L143とを接続し、湾曲している第2コーナー部C142と、第3直線部L143と第4直線部L144とを接続し、湾曲している第3コーナー部C143と、第4直線部L144と第1直線部L141とを接続し、湾曲している第4コーナー部C144と、により画定される。
【0063】
外部電極125の外縁は、L軸に沿って直線状に延びる第1直線部L151と、W軸に沿って直線状に延びる第2直線部L152と、L軸に沿って直線状に延びる第3直線部L153と、W軸に沿って直線状に延びる第4直線部L154と、第1直線部L151と第2直線部L152とを接続し、湾曲している第1コーナー部C151と、第2直線部L152と第3直線部L153とを接続し、湾曲している第2コーナー部C152と、第3直線部L153と第4直線部L154とを接続し、湾曲している第3コーナー部C153と、第4直線部L154と第1直線部L151とを接続し、湾曲している第4コーナー部C154と、により画定される。
【0064】
外部電極126の外縁は、L軸に沿って直線状に延びる第1直線部L161と、W軸に沿って直線状に延びる第2直線部L162と、L軸に沿って直線状に延びる第3直線部L163と、W軸に沿って直線状に延びる第4直線部L164と、第1直線部L161と第2直線部L162とを接続し、湾曲している第1コーナー部C161と、第2直線部L162と第3直線部L163とを接続し、湾曲している第2コーナー部C162と、第3直線部L163と第4直線部L164とを接続し、湾曲している第3コーナー部C163と、第4直線部L164と第1直線部L161とを接続し、湾曲している第4コーナー部C164と、により画定される。
【0065】
外部電極127の外縁は、L軸に沿って直線状に延びる第1直線部L171と、W軸に沿って直線状に延びる第2直線部L172と、L軸に沿って直線状に延びる第3直線部L173と、W軸に沿って直線状に延びる第4直線部L174と、第1直線部L171と第2直線部L172とを接続し、湾曲している第1コーナー部C171と、第2直線部L172と第3直線部L173とを接続し、湾曲している第2コーナー部C172と、第3直線部L173と第4直線部L174とを接続し、湾曲している第3コーナー部C173と、第4直線部L174と第1直線部L171とを接続し、湾曲している第4コーナー部C174と、により画定される。
【0066】
外部電極128の外縁は、L軸に沿って直線状に延びる第1直線部L181と、W軸に沿って直線状に延びる第2直線部L182と、L軸に沿って直線状に延びる第3直線部L183と、W軸に沿って直線状に延びる第4直線部L184と、第1直線部L181と第2直線部L182とを接続し、湾曲している第1コーナー部C181と、第2直線部L182と第3直線部L183とを接続し、湾曲している第2コーナー部C182と、第3直線部L183と第4直線部L184とを接続し、湾曲している第3コーナー部C183と、第4直線部L184と第1直線部L181とを接続し、湾曲している第4コーナー部C184と、により画定される。
【0067】
外部電極121~128の各々の外縁は、複数の直線状に延びる部位を有するが、この直線状に延びる部位同士が直接接続されるのではなく、湾曲したコーナー部を介して接続されているので、外部電極121~128の各々の外縁には、2つの直線が交わる角が存在しない。
【0068】
外部電極121~128の各々は、平面視において角がない形状を有しているので、基体110に外部電極121~128を設けるために下地電極層の上にめっき層を形成する際に、下地電極層上の一部の領域において強い電界が生じることを抑制できる。よって、第1外部電極21と同様に、平面視において角がない形状を有する外部電極121~128の各々の上面は、平面視で角がある形状を有する従来の外部電極の表面と比べてより平滑に形成され得る。
【0069】
アレイ型のコイル部品101においては、基体110内に、各素子が近接して配置される。このため、外部電極121~128間の絶縁性を向上させることが求められる。図8に示されている実施形態では、外部電極121~128のうち隣接する外部電極同士の直線部同士が相対するように配置されている。例えば、外部電極121とこの外部電極121にL軸方向において隣接する外部電極122との配置に関しては、外部電極121の第4直線部L114が外部電極122の第2直線部L122とL軸方向において相対するように設けられている。また、外部電極121とこの外部電極121にW軸方向において隣接する外部電極123との配置に関しては、外部電極121の第1直線部L111が外部電極123の第3直線部L133とL軸方向において相対するように設けられている。これと同様に、外部電極121~128のうち隣接するもの同士は、L軸方向においてもW軸方向においても、隣接する外部電極と、各々の直線部が相対するように配置されている。このため、隣接する外部電極同士が互いに向かって突出する湾曲面を有している場合と比べて、隣接する外部電極同士の間隔をより大きくすることができる。これにより、外部電極121~128の間でショートが発生することを抑制できる。
【0070】
コイル部品101は、コイル部品1と同様に、図6aないし図6fに示した工程を経てコイル部品内蔵基板に実装される。外部電極121~128の各々の上面は、上述したように、平面視において角がない形状を呈するため、ビアホールを形成するために外部電極121~128に向かって照射されたレーザの各上面での乱反射が抑制される。これにより、外部電極121~128の各々とコイル部品内蔵基板内の配線とを接続するビア導体を設けるためのビアホールを精度良く形成することができる。
【0071】
外部電極121~128の各々の最外層にはCuめっき層が設けられてもよい。外部電極121~128の各々の最外層をCuめっき層とすることにより、外部電極121~128と基板との接続性を向上させることができ、また、外部電極121~128にレーザ照射を行う際に外部電極121~128の表面の変形を抑制することができる。
【0072】
3 変形例
3-1 外部電極31
上述した各実施形態において、第1外部電極21及び第2外部電極22の形状は図2に示されているものには限られないし、外部電極121~128の形状は、図8に示されているものには限られない。第1外部電極21、第2外部電極22、及び外部電極121~128は、平面視において角を有さない様々な形状を取り得る。第1外部電極21、第2外部電極22、及び外部電極121~128が取り得る平面視の形状の変形例について図9を参照して説明する。図9は、外部電極31の模式的な平面図を示す。外部電極31は、第1外部電極21、第2外部電極22、及び外部電極121~128の少なくとも一つの代わりに用いられ得る。
【0073】
図9に示されているように、平面視したときに、外部電極31は、角がない形状を有する。具体的には、平面視された外部電極31の外縁は、W軸に沿って直線状に延びる第1直線部L31と、L軸に沿って直線状に延びる第2直線部L32と、W軸に沿って直線状に延びる第3直線部L33と、L軸に沿って直線状に延びる第4直線部L34と、第1直線部L31と第2直線部L32とを接続し、湾曲している第1コーナー部C31と、第2直線部L32と第3直線部L33とを接続し、湾曲している第2コーナー部C32と、第3直線部L33と第4直線部L34とを接続し、湾曲している第3コーナー部C33と、第4直線部L34と第1直線部L31とを接続し、湾曲している第4コーナー部C34と、により画定される。
【0074】
図示されている実施形態では、第1コーナー部C31及び第2コーナー部C32の曲率半径は、第3コーナー部C33及び第4コーナー部C34の曲率半径よりもそれぞれ小さい。
【0075】
外部電極31は、下地電極層と、この下地電極層を覆うめっき層と、を有する。このめっき層は、例えば、電解めっき法により形成される。
【0076】
上述したように、外部電極31は、平面視において角がない形状を有しているので、基体に外部電極31を設けるするために下地電極層の上にめっき層を形成する際に、下地電極層上の一部の領域において強い電界が生じることを抑制できる。よって、平面視において角がない形状を有する外部電極31の上面31aは、平面視で角がある形状を有する従来の外部電極の表面と比べて、より平滑となる。
【0077】
3-2 外部電極41
次に、図10を参照して、外部電極のさらに別の変形例について説明する。図10は、外部電極41の模式的な平面図を示す。外部電極41は、第1外部電極21、第2外部電極22、及び外部電極121~128の少なくとも一つの代わりに用いられ得る。
【0078】
図10に示されているように、平面視したときに、外部電極41は、角がない形状を有する。具体的には、平面視された外部電極41の外縁は、楕円形状を有している。外部電極41は、その長軸がW軸に沿って延びるように配置されてもよい。2つの外部電極41がコイル部品1において第1外部電極21及び第2外部電極22の各々に変えて用いられる場合には、2つの外部電極41の各々の長軸がW軸に沿って延びるように、当該2つの外部電極41を基体10の上面10aに配置することにより、L軸方向における外部電極41間の距離を大きくすることができ、これにより外部電極41間でのショートを抑制することができる。
【0079】
外部電極41は、下地電極層と、この下地電極層を覆うめっき層と、を有する。このめっき層は、例えば、電解めっき法により形成される。
【0080】
上述したように、外部電極41は、平面視において角がない形状を有しているので、基体に外部電極41を設けるするために下地電極層の上にめっき層を形成する際に、下地電極層上の一部の領域において強い電界が生じることを抑制できる。よって、平面視において角がない形状を有する外部電極41の上面41aは、平面視で角がある形状を有する従来の外部電極の表面と比べて、より平滑となる。
【0081】
4 注記
前述の様々な実施形態で説明された各構成要素の寸法、材料及び配置は、それぞれ、各実施形態で明示的に説明されたものに限定されず、当該各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料及び配置を有するように変形することができる。
【0082】
本明細書において明示的に説明していない構成要素を、上述の各実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0083】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0084】
本明細書において、ある構成要素を「含む」という場合は、本発明の内容と矛盾しない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0085】
5 付記
本明細書において開示される実施形態には、以下の事項も含まれる。
【0086】
[付記1]
第1面(10a)を有する基体(10)と、
前記基体の内部に設けられた第1コイル導体(25)と、
第1めっき層(21B)を有し、少なくとも前記基体の前記第1面に前記第1コイル導体の一端に接続されるように設けられ、前記第1面の法線方向(T)から見たとき角がない形状を呈する第1外部電極(21)と、
第2めっき層(22B)を有し、少なくとも前記基体の前記第1面に前記第1外部電極から第1方向(L)において離間した位置に前記第1コイル導体の他端に接続されるように設けられ、前記第1面の法線方向から見たとき角がない形状を呈する第2外部電極(22)と、
を備えるコイル部品。
[付記2]
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、前記第1方向と直交する第2方向(W)に沿って延びる第1直線部(L13)を有し、
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第2外部電極の外縁は、前記第2方向に沿って延びており前記第1直線部と相対する第2直線部(L21)を有する、
[付記1]に記載のコイル部品。
[付記3]
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、前記第1方向に沿って延びる第3直線部(L12)を有し、
前記第1直線部と前記第3直線部とは、湾曲したコーナー部(C12)により接続されている、
[付記1]または[付記2]に記載のコイル部品。
[付記4]
前記第1外部電極の外縁の円形度は、0.8以上である、
[付記1]から[付記3]のいずれか1項に記載のコイル部品。
[付記5]
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、長円形を呈する、
[付記1]から[付記4]のいずれか1項に記載のコイル部品。
[付記6]
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、楕円形を呈する、
[付記1]から[付記5]のいずれか1項に記載のコイル部品。
[付記7]
前記基体の内部に設けられた第2コイル導体と、
第3めっき層を有し、少なくとも前記基体(110)の前記第1面に前記第1外部電極(121)から前記第2方向において離間した位置に前記第2コイル導体の一端に接続されるように設けられ、前記第1面の法線方向から見たとき角がない形状を呈する第3外部電極(123)と、
第4めっき層を有し、少なくとも前記基体の前記第1面に前記第3外部電極から前記第1方向において離間した位置に前記第2コイル導体の他端に接続されるように設けられ、前記第1面の法線方向から見たとき角がない形状を呈する第4外部電極(124)と、
をさらに備える
[付記1]から[付記6]のいずれか1項に記載のコイル部品。
[付記8]
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第1外部電極の外縁は、前記第1方向に沿って延びる第3直線部を有し、
前記第1面の法線方向から見たとき、前記第3外部電極の外縁は、前記第1方向に沿って延びており前記第3直線部と相対する第4直線部を有する、
[付記7]に記載のコイル部品。
[付記9]
[付記1]から[付記8]のいずれか1項に記載のコイル部品。
【符号の説明】
【0087】
1、101 コイル部品
10 絶縁体
21 第1外部電極
22 第2外部電極
31、41、121~128 外部電極
25 コイル導体
81 コイル部品内蔵基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7
図8
図9
図10