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  • -樹脂製品及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153926
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】樹脂製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20251002BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20251002BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/14
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056647
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100196346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】中村 鷹彦
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AD05
4F202AD20
4F202AG03
4F202AH26
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB22
4F202CB28
4F202CK19
4F202CQ01
4F202CQ05
4F206AD05
4F206AD20
4F206AG03
4F206AH26
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB22
4F206JB28
4F206JL02
4F206JN12
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】コストアップを招くことなく表面にファブリックの質感を付与してなる樹脂製品を提供する。
【解決手段】この樹脂製品10は、本体部11と、本体部11の表面11a側に位置する表層部12とを備え、少なくとも所定の表層部12がエラストマーの射出成形で形成される射出成形品であって、所定の表層部12の表面12aに布地を模した形状をなす部分13が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも所定の表層部がエラストマーの射出成形で形成される射出成形品であって、前記所定の表層部の表面に布地を模した形状をなす部分が設けられている、樹脂製品。
【請求項2】
樹脂製品のうち少なくとも所定の表層部を所定の金型を用いたエラストマーの射出成形で形成する樹脂製品の製造方法であって、
布地を模した形状をなす前記金型の成形面で前記表層部の表面を成形する、樹脂製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製品及びその製造方法に関し、特に射出成形で樹脂製品を製造するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車の内装には、意匠性や質感を通じた室内の快適性を低コストに高める目的で、布等のファブリック材を表面に貼り付けてなる内装材が用いられている。例えば、特許文献1には、アクリル樹脂シートに、ファブリック材としての織物状物を接着固定してなる複合シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-218432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の如き内装材を製造するためには、予め射出成形等で内装材の本体となる樹脂材を成形すると共に、所定の布地を内装材の表面形状に応じて裁断しておき、樹脂材に布地を巻き付けて貼り合わせる工程が必要となる。これでは、材料費、作業費ともに高価となり、自動車全体の低コスト化の妨げとなるおそれがある。
【0005】
上述した問題は何も自動車の内装材に限ったことではなく、表面のファブリック化が要望される樹脂製品全てに起こり得る。
【0006】
以上の事情に鑑み、本明細書では、コストアップを招くことなく表面にファブリックの質感を付与してなる樹脂製品を提供可能とすることを、解決すべき技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題の解決は、本発明に係る樹脂製品によって達成される。すなわち、この樹脂製品は、少なくとも所定の表層部がエラストマーの射出成形で形成される樹脂製品であって、所定の表層部の表面に布地を模した形状をなす部分が設けられている点をもって特徴付けられる。
【0008】
本発明に係る樹脂製品では、当該樹脂製品のうち少なくとも所定の表層部をエラストマーの射出成形で形成し、かつ当該表層部の表面に布地を模した形状をなす部分を設けるようにした。このように樹脂製品のうち所定の表層部の表面に布地を模した形状をなす部分を設けることで、実際に布地を用いずとも樹脂の射出成形品で布地の視覚的な質感を再現することができる。また、表面に布地を模した形状をなす部分が設けられた所定の表層部をエラストマーの射出成形品とすることにより、材料コストを抑えつつ布地の触感を再現することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る樹脂製品は、表層部の裏面側に位置する樹脂製品の本体部をさらに備え、所定の表層部がエラストマーの射出成形で形成され、本体部がプラスチックの射出成形で形成されるものであってもよい。
【0010】
このように表面に布地を模した形状をなす部分が設けられた表層部をエラストマーの射出成形で形成することで、材料コストを抑えつつ布地の視覚的な質感や触感を再現することができる。加えて、樹脂製品の本体部をプラスチックの射出成形で形成することで、樹脂製品全体に要求される硬度や剛性等の機械的特性を確保することができる。また、表層部と本体部をともに射出成形で形成するのであれば、例えば本体部をインサート部品として表層部を射出成形で形成することにより、表層部の射出成形と同時に、表層部と本体部の一体化を図ることができる。よって、製造コストの更なる低減化が可能となる。
【0011】
また、前記課題の解決は、本発明に係る樹脂製品の製造方法によっても達成され得る。すなわち、この製造方法は、樹脂製品の少なくとも所定の表層部を所定の金型を用いたエラストマーの射出成形で形成する樹脂製品の製造方法であって、布地を模した形状をなす金型の成形面で表層部の表面を成形する点をもって特徴付けられる。
【0012】
このように本発明に係る製造方法では、布地を模した形状をなす金型の成形面で樹脂製品の所定の表層部の表面を成形するようにしたので、当該表面に布地を模した形状をなす部分が設けられる。よって、実際に布地を用いずとも樹脂の射出成形品で布地の視覚的な質感を再現することができる。また、表面に布地を模した形状をなす部分が設けられた所定の表層部をエラストマーの射出成形品とすることにより、材料コストを抑えつつ布地の触感を再現することが可能となる。加えて、本発明では、射出成形に用いる金型のうち布地を模した形状をなす成形面で表層部の表面を成形して当該表面に布地を模した形状をなす部分を設けるようにしたので、射出成形と同時に、布地を模した形状をなす部分を所定の表面に設けることができる。よって、射出成形後に所定の加工(例えばレーザー加工)で布地を模した形状をなす部分を表層部の表面に設ける場合と比べて工数を削減でき、これにより製造コストの低減化を図ることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る樹脂製品の製造方法において、表層部の裏側に位置する樹脂製品の本体部をプラスチックの射出成形で形成した後、金型をなすコアとキャビティの一方を型開き方向に移動させて成形面と表層部の表面との間に所定の空間を形成した状態で、所定の空間にエラストマーを射出成形して、本体部の表面に表層部を形成してもよい。
【0014】
このように、樹脂製品の表層部をエラストマーの射出成形で形成すると共に、表層部の裏側に位置する樹脂製品の本体部をエラストマーよりも硬度や剛性に優れたプラスチックの射出成形で形成することによって、材料コスト及び製造コストを低く抑えつつも、布地の視覚的な質感や触感を再現し、かつ樹脂製品に対する所要の機械的特性を確保することができる。加えて、本体部を射出成形で形成した後、金型をなすコアとキャビティの一方を型開き方向に移動させて成形面と表層部の表面との間に所定の空間を形成した状態で、所定の空間にエラストマーを射出成形して、本体部の表面に表層部を形成することによって、エラストマーの射出成形で表層部を形成するのと同時に、この表層部と樹脂製品の本体部とを一体化することができる。以上より、本構成に係る樹脂製品の製造方法によれば、製造コストの更なる低減化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る樹脂製品及びその製造方法によれば、コストアップを招くことなく表面にファブリックの質感を付与してなる樹脂製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂製品の斜視図である。
図2図1に示す樹脂製品を製造する方法の一例を説明するための図で、射出成形装置の断面図である。
図3図2に示す状態からプラスチックを射出して樹脂製品の本体部を成形した直後の状態を示す断面図である。
図4図3に示す状態からコアを型開き方向に所定量移動させた状態を示す断面図である。
図5図4に示す状態からエラストマーを射出して樹脂製品の表層部を成形した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る樹脂製品及びその製造方法の内容を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂製品10の斜視図を示している。この樹脂製品10は、例えば自動車の内装材に用いられるもので、樹脂製品10の本体部11と、本体部11に重ねて形成される表層部12とを備える。この場合、樹脂製品10の意匠面は、表層部12の表面(おもてめん)12aで構成される。本実施形態では、表層部12の表面12a全域が樹脂製品10の意匠面となる。詳細は後述する。
【0019】
本体部11は、樹脂製品10の全体形状を構成するもので、本実施形態では意匠面側を凸状に湾曲させたパネル状に形成されている。ここで、本体部11は、表層部12とは異なる材料、具体的にはプラスチックで形成される。ここで、使用可能なプラスチックとしては、特に制限なく任意の種類のプラスチックを挙げることができる。一方で、射出成形で本体部11を形成することを考慮した場合、熱可塑性プラスチックが好適である。また、コスト面を考慮した場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂などの汎用プラスチックが好適である。また、その組成についても原則として任意であり、大幅なコストアップを招くことなくかつ成形性(特に射出成形性)を阻害しない範囲で任意の物質(繊維状強化材など)を配合してもよい。
【0020】
表層部12は、本体部11の少なくとも一部に重なるようにして形成されるもので、本実施形態では、パネル状をなす本体部11の一方の表面11a全域に重なるように表層部12が設けられている。ここで、表層部12の厚み寸法は原則として任意であり、本実施形態ではパネル状をなす本体部11と同等程度の厚み寸法を有している(図1を参照)。
【0021】
また、表層部12は、本体部11とは異なる材料、具体的にはエラストマーで形成される。ここで使用可能なエラストマーとしては、特に制限なく任意の種類のエラストマーを挙げることができる。一方で、射出成形で表層部12を形成することを考慮した場合、熱可塑性エラストマーが好適である。また、表層部12の表面12aに求められる触感の程度によっては、エラストマーを発泡成形することで発泡構造(内部に多数の空孔を有する構造)をなす表層部12を形成してもよい。あるいは、使用後のリサイクル性を考慮した場合、表層部12を、本体部11と同じ材料(熱可塑性プラスチック)をベースとするエラストマーの射出成形で形成してもよい。例えば、上記例示のように、本体部11をポリプロピレンの射出成形で形成する場合、表層部12を、ポリプロピレンをベース樹脂とするエラストマーの射出成形で形成してもよい。
【0022】
本実施形態では、後述するように、樹脂製品10の本体部11をインサート部品とするエラストマーの射出成形により表層部12を形成するため、表層部12は、その裏面12bと本体部11の表面(おもてめん)11aとが相互に密着した状態で本体部11と一体化した状態にある。
【0023】
表層部12の表面12aには、布地を模した形状をなす部分13が設けられている。この布地を模した形状をなす部分13は、表層部12の表面12aで構成されていることから、布地を模した形状をなす部分13は、表層部12と同じ材料、すなわちエラストマーで形成されている。本実施形態では、表層部12の表面12aの全域にわたって布地を模した形状をなす部分13が設けられている。
【0024】
次に、上記構成の樹脂製品10を製造する方法の一例を、図2図5に基づいて説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る樹脂製品10の製造方法の一例に係る射出成形装置20の断面図を示している。この射出成形装置20は、一対の金型21,22と、一対の金型21,22間に形成される空間23(及び図4に示す空間24)に射出材料となる熱可塑性材料を射出可能な射出機(図示は省略)とを備える。
【0026】
一対の金型21,22は、コア21とキャビティ22であり、本実施形態では、コア21に、本体部11の裏面11bを成形する第一成形面21aが設けられると共に、キャビティ22に、本体部11の表面11a及び表層部12の表面12aを成形する第二成形面22aが設けられている。ここで、第二成形面22aが本発明に係る成形面に相当する。
【0027】
第二成形面22aには、樹脂製品10の意匠面(表層部12の表面12a)に設けられる布地を模した形状をなす部分13(図1を参照)を表裏反転させた形状をなす部分が設けられている。よって、この第二成形面22aで成形された射出成形品の表面には、布地を模した形状をなす部分13(図1を参照)が形成される。なお、第二成形面22aへの布地を模した形状をなす部分の加工手段は、任意であり、例えば実際の布地をスキャンして得た画像に基づき第二成形面22aに布地を模した形状をレーザー加工で形成する方法が一例として挙げられる。
【0028】
コア21とキャビティ22の一方が可動型、他方が固定型であり、本実施形態では、コア21が可動型、キャビティ22が固定型となる。
【0029】
上記構成の射出成形装置20を用いた樹脂製品10の射出成形工程の一例を以下に説明する。
【0030】
まず図2に示すように、型締め状態にある一対の金型21,22間に設けられた第一の空間23に向けて、図示しない第一の射出機から射出材料としての熱可塑性プラスチックを射出し、充填する。然る後、充填した熱可塑性プラスチックを冷却して固化することにより、コア21の第一成形面21aとキャビティ22の第二成形面22aとで区画形成された第一の空間23に準じた形状の本体部11が形成される(図3を参照)。
【0031】
このようにして樹脂製品10の本体部11が射出成形により形成された後、コア21を型開き方向に移動させ、かつ直前に成形した本体部11をコア21の第一成形面21aに密着させた状態でコア21と一体的に移動させる。これにより本体部11の表面11aと、キャビティ22の第二成形面22aとの間に、第二の空間24を形成する(図4を参照)。この際、第二の空間24が、成形すべき表層部12の形状及びサイズ(厚み寸法)となるように、コア21の型開き方向の移動量を設定するのがよい。
【0032】
上述のようにして第二の空間24を形成した状態で、第二の空間24に向けて図示しない第二の射出機から射出材料としての熱可塑性エラストマーを射出し、充填する。然る後、充填した熱可塑性エラストマーを冷却して固化することにより、本体部11の表面11aとキャビティ22の第二成形面22aとで区画形成された第二の空間24に準じた形状の表層部12が形成される(図5を参照)。このように表層部12が形成されることで、表層部12が形成されるのと同時に、本体部11と表層部12とが一体化される。
【0033】
最後に、コア21をさらに型開き方向に移動させて、コア21から本体部11と表層部12との一体品を取り出す。これにより、図1に示す樹脂製品10が得られる。この際、表層部12の表面12aは、成形すべき布地を模した形状をなす部分13(図1を参照)を表裏反転させた形状をなす第二成形面22aで成形されている。よって、第二成形面22aの表面形状が表層部12の表面12aに転写されて、表面12aに布地を模した形状をなす部分13が表層部12と共に形成される。
【0034】
以上述べたように、本実施形態に係る樹脂製品10によれば、樹脂製品10のうち少なくとも所定の表層部12をエラストマーの射出成形で形成し、かつ表層部12の表面12aに布地を模した形状をなす部分13を設けるようにした。このように樹脂製品10のうち所定の表層部12の表面12aに布地を模した形状をなす部分13を設けることで、実際に布地を用いずとも樹脂の射出成形品で布地の視覚的な質感を再現することができる。また、少なくとも表面12aに布地を模した形状をなす部分13が設けられた領域(ここでは表層部12)をエラストマーの射出成形品とすることにより、材料コストを抑えつつ布地の触感を再現することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態のように、キャビティ22の第二成形面22aで表層部12の表面12aに布地を模した形状をなす部分13を形成した場合、型開き動作時に、第二成形面22aの凹凸部分との干渉により、表層部12の表面12aにカジリ等が生じるおそれがあるが、表層部12をプラスチックに比べて弾性に富んだエラストマーで形成することにより、カジリ等により表面12aに傷が付く事態を可及的に防止又は抑制することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態に係る樹脂製品10では、表層部12の裏面12b側に位置する樹脂製品10の本体部11をプラスチックの射出成形で形成したので、表層部12の表面12aに布地の視覚的な質感や触感を再現しつつも、樹脂製品10に要求される硬度や剛性等の機械的特性を確保することができる。
【0037】
また、本実施形態では、一台の射出成形装置20で本体部11と表層部12とをそれぞれ射出成形で形成すると共に、本体部11を形成した後、コア21を型開き方向に移動させて、本体部11の表面11aとキャビティ22の第二成形面22aとの間に、表層部12に対応する形状及びサイズの空間(第二の空間24)を形成した状態で、第二の空間24に射出成形によりエラストマー製の表層部12を形成した。このように本体部11と表層部12とを形成することにより、エラストマーの射出成形で表層部12を形成するのと同時に、この表層部12と樹脂製品10の本体部11とを一体化することができる。従って、本実施形態に係る樹脂製品10の製造方法によれば、製造コストの更なる低減化を図ることが可能となる。
【0038】
なお、上述のようにキャビティ22の第二成形面22aで本体部11の表面11aと表層部12の表面12aを成形する場合、本体部11の表面11aに、布地を模した形状をなす部分13が転写形成される(図3を参照)。本体部11の表面11aは、表層部12を射出成形する際の充填空間(第二の空間24)を第二成形面22aと共に区画形成する。よって、第二の空間24に表層部12が形成されることで、表層部12の裏面12bが本体部11の表面11aを転写した形状、すなわち布地を模した形状を転写した形状に形成される(図5を参照)。よって、ともに同じ表面形状をなす本体部11の表面11aと表層部12の裏面12bとが互いに強固に密着した状態となる。よって、本実施形態に係る製造方法によれば、本体部11と表層部12とを強固に密着させた状態で一体化し得る。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係る樹脂製品及びその製造方法は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
【0040】
例えば上記実施形態では、樹脂製品10の本体部11全体をプラスチックの射出成形で形成し、樹脂製品10の意匠面側の表層部12全体をエラストマーの射出成形で形成した場合を例示したが、もちろんこの組成には限定されない。例えば表層部12のうち布地を模した形状をなす部分13をエラストマーの射出成形で形成し、残部をプラスチックの射出成形で本体部11と一体に形成してもよい。あるいは、本体部11の一部をエラストマーの射出成形で表層部12と一体に形成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、本体部11を射出成形で形成した後、コア21を型開き方向に移動させて、本体部11の表面11aとキャビティ22の第二成形面22aとの間に、表層部12に対応する形状及びサイズの空間(第二の空間24)を形成した状態で、第二の空間24に射出成形によりエラストマー製の表層部12を形成した場合を例示したが、もちろんこれ以外の態様をとり得ることはもちろんである。例えば図示は省略するが、まず樹脂製品10の本体部11を所定の金型(図示は省略)で射出成形により形成した後、形成した本体部11を図2に示す如き射出成形装置20のコア21に取付けて、本体部11をインサート部品として、本体部11とキャビティ22との間に表層部12を射出成形により形成してもよい。この場合、本体部11の表面11aは任意の形状をとることができるので、例えば表層部12との密着性にさらに優れた形状とすることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 樹脂製品
11 本体部
11a 表面
11b 裏面
12 表層部
12a 表面
12b 裏面
13 布地を模した形状をなす部分
20 射出成形装置
21 コア
21a 第一成形面
22 キャビティ
22a 第二成形面
23 第一の空間
24 第二の空間
図1
図2
図3
図4
図5