(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015394
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置及びその動力伝達方法
(51)【国際特許分類】
B60K 6/365 20071001AFI20250123BHJP
F16H 3/66 20060101ALI20250123BHJP
B60K 6/38 20071001ALI20250123BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20250123BHJP
B60K 6/442 20071001ALI20250123BHJP
【FI】
B60K6/365
F16H3/66 A ZHV
B60K6/38
B60K6/547
B60K6/442
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014662
(22)【出願日】2024-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-20
(31)【優先権主張番号】202310882041.7
(32)【優先日】2023-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522173446
【氏名又は名称】哈爾浜東安汽車発動機製造有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524047006
【氏名又は名称】哈爾浜東安汽車動力股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】馬静
(72)【発明者】
【氏名】関▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】楊林
(72)【発明者】
【氏名】蘇俊元
(72)【発明者】
【氏名】柴召朋
(72)【発明者】
【氏名】姚書濤
(72)【発明者】
【氏名】周章遐
(72)【発明者】
【氏名】李暁宇
(72)【発明者】
【氏名】李賓龍
(72)【発明者】
【氏名】趙彦輝
(72)【発明者】
【氏名】張暁冬
(72)【発明者】
【氏名】▲ビン▼紀秋
(72)【発明者】
【氏名】袁小星
(72)【発明者】
【氏名】何延宇
(72)【発明者】
【氏名】王墨
(72)【発明者】
【氏名】宋名
(72)【発明者】
【氏名】張鵬
【テーマコード(参考)】
3D202
3J528
【Fターム(参考)】
3D202AA02
3D202EE11
3D202FF06
3D202FF12
3D202FF13
3D202FF15
3J528EA25
3J528EB62
3J528EB63
3J528EB85
3J528EB96
3J528FB03
3J528FB13
3J528FC13
3J528FC25
3J528GA01
3J528JA03
3J528JD03
3J528JE02
3J528JF01
3J528JG02
3J528JH01
3J528JM02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明はクラッチと遊星歯車機構の組み合わせの種類が多く、組み立てが簡単で、使用する部品が少なく、大きな変速比の変化が実現でき、より多くのモードが実現でき、コスト効率が高く、使いやすく、普及しやすい遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置を提供する。
【解決手段】入力軸の入力端はエンジンに接続され、入力軸の出力端は第1遊星歯車機構を介してフロントエンドモータに接続され、且つ入力軸は第1クラッチを介して出力軸に接続され、出力軸は第3遊星歯車機構に接続され、第3遊星歯車機構は、第2クラッチ及び第2遊星歯車機構に接続され、第2クラッチ及び第2遊星歯車機構は、いずれも第3クラッチに接続され、第2遊星歯車機構は、リアエンドモータに接続され、フロントエンドモータのステータ、リアエンドモータのステータ、第3クラッチ、第1遊星歯車機構及び第3遊星歯車機構はいずれもケースに接続される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸(51)、ケース(52)、フロントエンドモータ(53)、リアエンドモータ(54)、出力軸(55)、第1クラッチ(41)、第2クラッチ(42)、第3クラッチ(43)、第1遊星歯車機構、第2遊星歯車機構及び第3遊星歯車機構を含み、前記入力軸(51)の入力端はエンジンに接続され、入力軸(51)の出力端は第1遊星歯車機構を介してフロントエンドモータ(53)に接続され、且つ入力軸(51)は第1クラッチ(41)を介して出力軸(55)に接続され、前記出力軸(55)は第3遊星歯車機構に接続され、前記第3遊星歯車機構は、前記第2クラッチ(42)及び第2遊星歯車機構に接続され、前記第2クラッチ(42)及び第2遊星歯車機構は、いずれも前記第3クラッチ(43)に接続され、前記第2遊星歯車機構は、リアエンドモータ(54)に接続され、前記フロントエンドモータ(53)のステータ、リアエンドモータ(54)のステータ、第3クラッチ(43)、第1遊星歯車機構及び第3遊星歯車機構はいずれもケース(52)に接続され、前記第1遊星歯車機構は、第1太陽歯車(11)、第1遊星歯車(12)、第1遊星キャリア(13)及び第1外部リングギア(14)を含み、前記第1遊星キャリア(13)は入力軸(51)及び第1クラッチ(41)に固定接続され、且つ第1遊星キャリア(13)には第1遊星歯車(12)が設けられ、前記第1遊星歯車(12)は、第1太陽歯車(11)及び第1外部リングギア(14)と噛み合い接続され、前記第1外部リングギア(14)はケース(52)に固定設置され、前記第1太陽歯車(11)はフロントエンドモータ(53)のローターに接続され、前記第3遊星歯車機構は、第3太陽歯車(31)、第3遊星歯車(32)、第3遊星キャリア(33)及び第3外部リングギア(34)を含み、前記第3遊星キャリア(33)は、出力軸(55)及び第2クラッチ(42)に固定接続され、且つ第3遊星キャリア(33)には第3遊星歯車(32)が設置され、前記第3遊星歯車(32)は、第3太陽歯車(31)及び第3外部リングギア(34)と噛み合い接続され、前記第3外部リングギア(34)は第2遊星歯車に接続され、前記第3太陽歯車(31)はケース(52)に接続され、前記第2遊星歯車機構は、第2太陽歯車(21)、第2遊星歯車(22)、第2遊星キャリア(23)及び第2外部リングギア(24)を含み、前記第2遊星キャリア(23)は前記第3外部リングギア(34)に固定接続され、且つ第2遊星キャリア(23)には第2遊星歯車(22)が設けられ、前記第2遊星歯車(22)は、第2太陽歯車(21)及び第2外部リングギア(24)と噛み合い接続され、前記第2外部リングギア(24)は第2クラッチ(42)及び第3クラッチ(43)に接続され、前記第2太陽歯車(21)はリアエンドモータ(54)のローターに接続されることを特徴とする遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置。
【請求項2】
前記フロントエンドモータ(53)及びエンジンを非作動状態にして、前記第1クラッチ(41)及び第2クラッチ(42)を分離状態にし、前記第3クラッチ(43)を結合状態にして、前記リアエンドモータ(54)を作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータ(54)を始動して、第2太陽歯車(21)を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車(21)が第2遊星歯車(22)を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車(22)が第2遊星キャリア(23)を回転駆動するステップS4と、
前記第2遊星キャリア(23)が第3外部リングギア(34)を回転駆動するステップS5と、
前記第3外部リングギア(34)が第3遊星歯車(32)を回転駆動するステップS6と、
前記第3遊星歯車(32)が第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS7と、
前記第3遊星キャリア(33)が出力軸(55)を回転駆動して、動力を出力するステップS8が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のEV1ギア段の動力伝達方法。
【請求項3】
前記フロントエンドモータ(53)及びエンジンを非作動状態にして、前記第1クラッチ(41)及び第3クラッチ(43)を分離状態にし、前記第2クラッチ(42)を結合状態にして、前記リアエンドモータ(54)を作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータ(54)を始動して、第2太陽歯車(21)を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車(21)が第2遊星歯車(22)を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車(22)が第2遊星キャリア(23)及び第2外部リングギア(24)を駆動して同時に回転させるステップS4と、
前記第2遊星キャリア(23)が第3外部リングギア(34)を回転駆動し、前記第3外部リングギア(34)が第3遊星歯車(32)を回転駆動し、前記第3遊星歯車(32)が第3遊星キャリア(33)を回転駆動し、同時に、前記第2外部リングギア(24)は第2クラッチ(42)を介して第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS5と、
第3遊星キャリア(33)が出力軸(55)を回転駆動して、動力を出力するステップS6が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のEV2ギア段の動力伝達方法。
【請求項4】
前記フロントエンドモータ(53)、リアエンドモータ(54)及びエンジンを作動状態にして、前記第1クラッチ(41)及び第2クラッチ(42)を分離状態にし、前記第3クラッチ(43)を結合状態にするステップS1と、
前記エンジンを始動して、入力軸(51)を回転駆動するステップS2と、
前記入力軸(51)が第1遊星キャリア(13)を回転駆動するステップS3と、
前記第1遊星キャリア(13)が第1遊星歯車(12)を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車(12)が第1太陽歯車(11)を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車(11)がフロントエンドモータ(53)のローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6と、
前記リアエンドモータ(54)はバッテリーからエネルギーを受け取り、第2太陽歯車(21)を回転駆動するステップS7と、
前記第2太陽歯車(21)が第2遊星歯車(22)を回転駆動するステップS8と、
前記第2遊星歯車(22)が第2遊星キャリア(23)を回転駆動するステップS9と、
前記第2遊星キャリア(23)が第3外部リングギア(34)を回転駆動するステップS10と、
前記第3外部リングギア(34)が第3遊星歯車(32)を回転駆動するステップS11と、
前記第3遊星歯車(32)が第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS12と、
前記第3遊星キャリア(33)が出力軸(55)を回転駆動して動力を出力するステップS13が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の直列1ギア段の動力伝達方法。
【請求項5】
前記フロントエンドモータ(53)、リアエンドモータ(54)及びエンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ(41)及び第3クラッチ(43)を分離状態にし、前記第2クラッチ(42)を結合状態にするステップS1と、
前記エンジンを始動して、入力軸(51)を回転駆動するステップS2と、
前記入力軸(51)が第1遊星キャリア(13)を回転駆動するステップS3と、
前記第1遊星キャリア(13)が第1遊星歯車(12)を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車(12)が第1太陽歯車(11)を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車(11)がフロントエンドモータ(53)のローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6と、
前記リアエンドモータ(54)はバッテリーからエネルギーを受け取り、第2太陽歯車(21)を回転駆動するステップS7と、
前記第2太陽歯車(21)が第2遊星歯車(22)を回転駆動するステップS8と、
前記第2遊星歯車(22)が第2遊星キャリア(23)及び第2外部リングギア(24)を駆動して同時に回転させるステップS9と、
前記第2遊星キャリア(23)が第3外部リングギア(34)を回転駆動し、前記第3外部リングギア(34)が第3遊星歯車(32)を回転駆動し、前記第3遊星歯車(32)が第3遊星キャリア(33)を回転駆動し、同時に、第2外部リングギア(24)が第2クラッチ(42)を介して第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS10と、
前記第3遊星キャリア(33)が出力軸(55)を回転駆動して、動力を出力するステップS11が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の直列2ギア段の動力伝達方法。
【請求項6】
前記リアエンドモータ(54)及びエンジンを作動状態にして、共に動力伝達装置の動力出力とし、前記第1クラッチ(41)及び第3クラッチ(43)を結合状態にし、前記第2クラッチ(42)を分離状態にして、前記フロントエンドモータ(53)を非作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータ(54)を始動して、第2太陽歯車(21)を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車(21)が第2遊星歯車(22)を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車(22)が第2遊星キャリア(23)を回転駆動するステップS4と、
前記第2遊星キャリア(23)が第3外部リングギア(34)を回転駆動するステップS5と、
前記第3外部リングギア(34)が第3遊星歯車(32)を回転駆動するステップS6と、
前記第3遊星歯車(32)が第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS7と、
前記エンジンが動力を入力軸(51)に伝達するステップS8と、
前記入力軸(51)が第1クラッチ(41)を介して第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS9と、
前記第3遊星キャリア(33)が出力軸(55)を回転駆動して、動力を出力するステップS10が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の並列1ギア段の動力伝達方法。
【請求項7】
前記リアエンドモータ(54)及びエンジンを作動状態にして、共に動力伝達装置の動力出力とし、前記第1クラッチ(41)及び第2クラッチ(42)を結合状態にし、前記第3クラッチ(43)を分離状態にして、前記フロントエンドモータ(53)を非作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータ(54)を始動して、第2太陽歯車(21)を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車(21)が第2遊星歯車(22)を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車(22)が第2遊星キャリア(23)及び第2外部リングギア(24)を駆動して同時に回転させるステップS4と、
前記第2遊星キャリア(23)が第3外部リングギア(34)を回転駆動し、前記第3外部リングギア(34)が第3遊星歯車(32)を回転駆動し、前記第3遊星歯車(32)が第3遊星キャリア(33)を回転駆動し、同時に、第2外部リングギア(24)が第2クラッチ(42)を介して第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS5と、
前記エンジンが動力を入力軸(51)に伝達するステップS6と、
前記入力軸(51)が第1クラッチ(41)を介して第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS7と、
前記第3遊星キャリア(33)が出力軸(55)を回転駆動して、動力を出力するステップS8が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の並列2ギア段の動力伝達方法。
【請求項8】
前記エンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ(41)、第2クラッチ(42)、第3クラッチ(43)を全て分離状態にし、前記フロントエンドモータ(53)及びリアエンドモータ(54)を非作動状態にするステップS1と、
前記エンジンが動力を入力軸(51)に伝達するステップS2と、
前記入力軸(51)が第1クラッチ(41)を介して出力軸(55)を回転駆動して、動力を出力するステップS3が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のダイレクトギア段の動力伝達方法。
【請求項9】
前記リアエンドモータ(54)を作動状態にし、前記第3クラッチ(43)を結合状態にし、前記第1クラッチ(41)及び前記第2クラッチ(42)を分離状態にし、前記フロントエンドモータ(53)及びエンジンを非作動状態にするステップS1と、
前記出力軸(55)が第3遊星キャリア(33)を回転駆動するステップS2と、
前記第3遊星キャリア(33)が第3外部リングギア(34)を回転駆動するステップS3と、
前記第3外部リングギア(34)が第2遊星キャリア(23)を回転駆動するステップS4と、
前記第2遊星キャリア(23)が第2遊星歯車(22)を回転駆動するステップS5と、
前記第2遊星歯車(22)が第2太陽歯車(21)を回転駆動するステップS6と、
前記第2太陽歯車(21)がリアエンドモータ(54)のローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS7が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の制動回生ギア段の動力伝達方法。
【請求項10】
前記フロントエンドモータ(53)及びエンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ(41)、第2クラッチ(42)及び第3クラッチ(43)を分離状態にし、前記リアエンドモータ(54)を非作動状態にするステップS1と、
前記エンジンが動力を入力軸(51)に伝達するステップS2と、
前記入力軸(51)が第1遊星キャリア(13)を回転駆動するステップS3と、
前記第1遊星キャリア(13)が第1遊星歯車(12)を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車(12)が第1太陽歯車(11)を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車(11)がフロントエンドモータ(53)のローターを回転させて、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6が含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のアイドル発電ギア段の動力伝達方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置及びその動力伝達方法に関し、自動車部品の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド動力は電動化の重要な一分野であり、コンパクトな構造と比較的簡単な制御を備えたハイブリッド車両の動力伝達装置は、新エネルギー分野における重要な発展方向のひとつになりつつある。
【0003】
しかし、既存のハイブリッド車両の動力伝達装置では、2段変速比の勾配範囲が制限れて、達成可能な変速比の範囲制限されているため、運転条件によっては、変速比の勾配と変速比の範囲に対する一部の車両のニーズを満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術に存在する問題を解決するために、本発明は、遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置及びその動力伝達方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を採用する。
遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置であって、入力軸、ケース、フロントエンドモータ、リアエンドモータ、出力軸、第1クラッチ、第2クラッチ、第3クラッチ、第1遊星歯車機構、第2遊星歯車機構、第3遊星歯車機構を含み、前記入力軸の入力端はエンジンに接続され、入力軸の出力端は第1遊星歯車機構を介してフロントエンドモータに接続され、且つ入力軸は第1クラッチを介して出力軸に接続され、前記出力軸は第3遊星歯車機構に接続され、前記第3遊星歯車機構は、前記第2クラッチ及び第2遊星歯車機構に接続され、前記第2クラッチ及び第2遊星歯車機構は、いずれも前記第3クラッチに接続され、前記第2遊星歯車機構は、リアエンドモータに接続され、前記フロントエンドモータのステータ、リアエンドモータのステータ、第3クラッチ、第1遊星歯車機構及び第3遊星歯車機構はいずれもケースに接続され、前記第1遊星歯車機構は、第1太陽歯車、第1遊星歯車、第1遊星キャリア及び第1外部リングギアを含み、前記第1遊星キャリアは入力軸及び第1クラッチに固定接続され、且つ第1遊星キャリアには第1遊星歯車が設けられ、前記第1遊星歯車は、第1太陽歯車及び第1外部リングギアと噛み合い接続され、前記第1外部リングギアはケースに固定設置され、前記第1太陽歯車はフロントエンドモータのローターに接続され、前記第3遊星歯車機構は、第3太陽歯車、第3遊星歯車、第3遊星キャリア及び第3外部リングギアを含み、前記第3遊星キャリアは、出力軸及び第2クラッチに固定接続され、且つ第3遊星キャリアには第3遊星歯車が設置され、前記第3遊星歯車は、第3太陽歯車及び第3外部リングギアと噛み合い接続され、前記第3外部リングギアは第2遊星歯車に接続され、前記第3太陽歯車はケースに接続され、前記第2遊星歯車機構は、第2太陽歯車、第2遊星歯車、第2遊星キャリア及び第2外部リングギアを含み、前記第2遊星キャリアは前記第3外部リングギアに固定接続され、且つ第2遊星キャリアには第2遊星歯車が設けられ、前記第2遊星歯車は、第2太陽歯車及び第2外部リングギアと噛み合い接続され、前記第2外部リングギアは第2クラッチ及び第3クラッチに接続され、前記第2太陽歯車はリアエンドモータのローターに接続される。
【0006】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のEVギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ及びエンジンを非作動状態にして、前記第1クラッチ及び第2クラッチを分離状態にし、前記第3クラッチを結合状態にして、前記リアエンドモータを作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータを始動して、第2太陽歯車を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車が第2遊星歯車を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車が第2遊星キャリアを回転駆動するステップS4と、
前記第2遊星キャリアが第3外部リングギアを回転駆動するステップS5と、
前記第3外部リングギアが第3遊星歯車を回転駆動するステップS6と、
前記第3遊星歯車が第3遊星キャリアを回転駆動するステップS7と、
前記第3遊星キャリアが出力軸を回転駆動して、動力を出力するステップS8が含まれる。
【0007】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のEVギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ及びエンジンを非作動状態にして、前記第1クラッチ及び第3クラッチを分離状態にし、前記第2クラッチを結合状態にして、前記リアエンドモータを作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータを始動して、第2太陽歯車を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車が第2遊星歯車を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車が第2遊星キャリア及び第2外部リングギアを駆動して同時に回転させるステップS4と、
前記第2遊星キャリアが第3外部リングギアを回転駆動し、前記第3外部リングギアが第3遊星歯車を回転駆動し、前記第3遊星歯車が第3遊星キャリアを回転駆動し、同時に、前記第2外部リングギアは第2クラッチを介して第3遊星キャリアを回転駆動するステップS5と、
第3遊星キャリアは出力軸を回転駆動して、動力を出力するステップS6が含まれる。
【0008】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の直列1ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ、リアエンドモータ及びエンジンを作動状態にして、前記第1クラッチ及び第2クラッチを分離状態にし、前記第3クラッチを結合状態にするステップS1と、
前記エンジンを始動して、入力軸を回転駆動するステップS2と、
前記入力軸が第1遊星キャリアを回転駆動するステップS3と、
前記第1遊星キャリアが第1遊星歯車を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車が第1太陽歯車を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車がフロントエンドモータのローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6と、
前記リアエンドモータはバッテリーからエネルギーを受け取り、第2太陽歯車を回転駆動するステップS7と、
前記第2太陽歯車が第2遊星歯車を回転駆動するステップS8と、
前記第2遊星歯車が第2遊星キャリアを回転駆動するステップS9と、
前記第2遊星キャリアが第3外部リングギアを回転駆動するステップS10と、
前記第3外部リングギアが第3遊星歯車を回転駆動するステップS11と、
前記第3遊星歯車が第3遊星キャリアを回転駆動するステップS12と、
前記第3遊星キャリアが出力軸を回転駆動するステップS13が含まれる。
【0009】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の直列2ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ、リアエンドモータ及びエンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ及び第3クラッチを分離状態にし、前記第2クラッチを結合状態にするステップS1と、
前記エンジンを始動して、入力軸を回転駆動するステップS2と、
前記入力軸が第1遊星キャリアを回転駆動するステップS3と、
前記第1遊星キャリアが第1遊星歯車を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車が第1太陽歯車を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車がフロントエンドモータのローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6と、
前記リアエンドモータはバッテリーからエネルギーを受け取り、第2太陽歯車を回転駆動するステップS7と、
前記第2太陽歯車が第2遊星歯車を回転駆動するステップS8と、
前記第2遊星歯車が第2遊星キャリア及び第2外部リングギアを駆動して同時に回転させるステップS9と、
前記第2遊星キャリアが第3外部リングギアを回転駆動し、前記第3外部リングギアが第3遊星歯車を回転駆動し、前記第3遊星歯車が第3遊星キャリアを回転駆動し、同時に、第2外部リングギアが第2クラッチを介して第3遊星キャリアを回転駆動するステップS10と、
前記第3遊星キャリアが出力軸を回転駆動して、動力を出力するステップS11が含まれる。
【0010】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の並列1ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記リアエンドモータ及びエンジンを作動状態にして、前記第1クラッチ及び第3クラッチを結合状態にし、前記第2クラッチを分離状態にして、前記フロントエンドモータを非作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータを始動して、第2太陽歯車を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車が第2遊星歯車を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車が第2遊星キャリアを回転駆動するステップS4と、
前記第2遊星キャリアが第3外部リングギアを回転駆動するステップS5と、
前記第3外部リングギアが第3遊星歯車を回転駆動するステップS6と、
前記第3遊星歯車が第3遊星キャリアを回転駆動するステップS7と、
前記エンジンが動力を入力軸に伝達するステップS8と、
前記入力軸が第1クラッチを介して第3遊星キャリアを回転駆動するステップS9と、
前記第3遊星キャリアが出力軸を回転駆動して、動力を出力するステップS10が含まれる。
【0011】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の並列2ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記リアエンドモータ及びエンジンを作動状態にして、前記第1クラッチ及び第2クラッチを結合状態にし、前記第3クラッチを分離状態にして、前記フロントエンドモータを非作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータを始動して、第2太陽歯車を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車が第2遊星歯車を回転駆動するステップS3と、
第2遊星歯車は、第2遊星キャリアと第2外部リングギアを駆動して同時に回転させるステップS4と、
前記第2遊星キャリアが第3外部リングギアを回転駆動し、前記第3外部リングギアが第3遊星歯車を回転駆動し、前記第3遊星歯車が第3遊星キャリアを回転駆動し、同時に、第2外部リングギアが第2クラッチを介して第3遊星キャリアを回転駆動するステップS5と、
前記エンジンが動力を入力軸に伝達するステップS6と、
前記入力軸が第1クラッチを介して第3遊星キャリアを回転駆動するステップS7と、
前記第3遊星キャリアが出力軸を回転駆動して、動力を出力するステップS8が含まれる。
【0012】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のダイレクトギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記エンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ、第2クラッチ、第3クラッチを全て分離状態にし、前記フロントエンドモータ及びリアエンドモータを非作動状態にするステップS1と、
前記エンジンが動力を入力軸に伝達するステップS2と、
前記入力軸が第1クラッチを介して出力軸を回転駆動して、動力を出力するステップS3が含まれる。
【0013】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の制動回生ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記リアエンドモータを作動状態にし、前記第3クラッチを結合状態にし、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチを分離状態にし、前記フロントエンドモータ及びエンジンを非作動状態にするステップS1と、
前記出力軸が第3遊星キャリアを回転駆動するステップS2と、
前記第3遊星キャリアが第3外部リングギアを回転駆動するステップS3と、
前記第3外部リングギアが第2遊星キャリアを回転駆動するステップS4と、
前記第2遊星キャリアが第2遊星歯車を回転駆動するステップS5と、
前記第2遊星歯車が第2太陽歯車を回転駆動するステップS6と、
前記第2太陽歯車がリアエンドモータのローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS7が含まれる。
【0014】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のアイドル発電ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ及びエンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ、第2クラッチ及び第3クラッチを分離状態にし、前記リアエンドモータを非作動状態にするステップS1と、
前記エンジンが動力を入力軸に伝達するステップS2と、
前記入力軸が第1遊星キャリアを回転駆動するステップS3と、
前記第1遊星キャリアが第1遊星歯車を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車が第1太陽歯車を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車がフロントエンドモータのローターを回転させて、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6が含まれる。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は次のとおりである。
本発明は、構造がコンパクトで、制御が便利で、部品のコストと加工の難易度が低く、クラッチと遊星歯車機構の組み合わせの種類が多く、組み立てが簡単で、使用する部品が少なく、大きな変速比の変化が実現でき、変速比の範囲が大きく、合理的な構造で、組み立てが簡単で、より多くのモードが実現でき、コストパフォーマンス、使いやすく、普及しやすい。同時に、モータ、クラッチ、遊星歯車機構の空間における交互配置は、伝達装置の効率を効果的に向上させ、応答性と滑らかさを最適化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図8】本発明のダイレクトギア段の構造概略図である。
【
図9】本発明の制動回生ギア段の構造概略図である。
【
図10】本発明のアイドル発電ギア段の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における技術的解決策を図面と共に本発明の実施例において明確かつ完全に説明するが、説明した実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、その全てではないことは明らかであり、本発明の実施例に基づいて、当業者が創作的な労作をすることなく得られる他の全ての実施例は本発明の保護範囲に属する。
【0018】
遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置であって、入力軸51、ケース52、フロントエンドモータ53、リアエンドモータ54、出力軸55、第1クラッチ41、第2クラッチ42、第3クラッチ43、第1遊星歯車機構、第2遊星歯車機構及び第3遊星歯車機構を含み、ケース52、フロントエンドモータ53、リアエンドモータ54、第1クラッチ41、第2クラッチ42、第3クラッチ43、第1遊星歯車機構、第2遊星歯車機構及び第3遊星歯車機構は、全て入力軸51及び出力軸55の外側にセットされている。前記入力軸51の入力端はエンジンに接続されて、動力伝達装置の入力となり、入力軸51の出力端は第1遊星歯車機構を介してフロントエンドモータ53に接続され、且つ入力軸51は第1クラッチ41を介して出力軸55に接続され、前記出力軸55は第3遊星歯車機構に接続され、前記第3遊星歯車機構は、第2クラッチ42及び第2遊星歯車機構に接続され、前記第2クラッチ42及び第2遊星歯車機構は、いずれも前記第3クラッチ43に接続され、前記第2遊星歯車機構は、リアエンドモータ54に接続され、前記フロントエンドモータ53のステータ、リアエンドモータ54のステータ、第3クラッチ43、第1遊星歯車機構及び第3遊星歯車機構はいずれもケース52に接続される。
【0019】
前記第1遊星歯車機構は、第1太陽歯車11、第1遊星歯車12、第1遊星キャリア13及び第1外部リングギア14を含み、前記第1遊星キャリア13は入力軸51及び第1クラッチ41に固定接続され、且つ第1遊星キャリア13には第1遊星歯車12が設けられ、前記第1遊星歯車12は、第1太陽歯車11及び第1外部リングギア14と噛み合い接続され、前記第1外部リングギア14はケース52に固定設置され、前記第1太陽歯車11はフロントエンドモータ53のローターに接続される。
【0020】
前記第3遊星歯車機構は、第3太陽歯車31、第3遊星歯車32、第3遊星キャリア33及び第3外部リングギア34を含み、前記第3遊星キャリア33は、出力軸55及び第2クラッチ42に固定接続され、且つ第3遊星キャリア33には第3遊星歯車32が設置され、前記第3遊星歯車32は、第3太陽歯車31及び第3外部リングギア34と噛み合い接続され、前記第3外部リングギア34は第2遊星歯車に接続され、前記第3太陽歯車31はケース52に接続される。
【0021】
前記第2遊星歯車機構は、第2太陽歯車21、第2遊星歯車22、第2遊星キャリア23及び第2外部リングギア24を含み、前記第2遊星キャリア23は前記第3外部リングギア34に固定接続され、且つ第2遊星キャリア23には第2遊星歯車22が設けられ、前記第2遊星歯車22は、第2太陽歯車21及び第2外部リングギア24と噛み合い接続され、前記第2外部リングギア24は第2クラッチ42及び第3クラッチ43に接続され、前記第2太陽歯車21はリアエンドモータ54のローターに接続される。
【0022】
本発明は第1クラッチ41、第2クラッチ42及び第3クラッチ43の異なる組み合わせ及びエンジン、フロントエンドモータ53及びリアエンドモータ54の異なる作動状態により、第2遊星歯車機構と第3遊星歯車機構の異なる速度比の選択を実現することで、EV1ギア段、直列1ギア段、EV2ギア段、直列2ギア段、並列1ギア段、並列2ギア段、ダイレクトギア段、制動回生ギア段及びアイドル発電ギア段を実現できる。
【0023】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のEV1ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ53及びエンジンを非作動状態にして、前記第1クラッチ41及び第2クラッチ42を分離状態にし、前記第3クラッチ43を結合状態にして、前記リアエンドモータ54を作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータ54を始動して、第2太陽歯車21を回転駆動するステップS2と、
第3クラッチ43が第2外部リングギア24を固定しているので、前記第2太陽歯車21が第2遊星歯車22を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車22が第2遊星キャリア23を回転駆動するステップS4と、
前記第2遊星キャリア23が第3外部リングギア34を回転駆動するステップS5と、
第3太陽歯車31がケース52に固定されているので、前記第3外部リングギア34が第3遊星歯車32を回転駆動するステップS6と、
前記第3遊星歯車32が第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS7と、
前記第3遊星キャリア33が出力軸55を回転駆動して、動力を出力するステップS8が含まれる。
【0024】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のEV2ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ53及びエンジンを非作動状態にして、前記第1クラッチ41及び第3クラッチ43を分離状態にし、前記第2クラッチ42を結合状態にして、前記リアエンドモータ54を作動状態にし、第2遊星歯車機構と第3遊星歯車機構が固定速度比で駆動されるステップS1と、
前記リアエンドモータ54を始動して、第2太陽歯車21を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車21が第2遊星歯車22を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車22が第2遊星キャリア23及び第2外部リングギア24を駆動して同時に回転させるステップS4と、
前記第2遊星キャリア23が第3外部リングギア34を回転駆動し、第3太陽歯車31がケース52に固定されているので、前記第3外部リングギア34が第3遊星歯車32を回転駆動し、前記第3遊星歯車32が第3遊星キャリア33を回転駆動し、同時に、前記第2外部リングギア24は第2クラッチ42を介して第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS5と、
第3遊星キャリア33が出力軸55を回転駆動して、動力を出力するステップS6が含まれる。
【0025】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の直列1ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ53、リアエンドモータ54及びエンジンを作動状態にして、前記第1クラッチ41及び第2クラッチ42を分離状態にし、前記第3クラッチ43を結合状態にするステップS1と、
前記エンジンを始動して、入力軸51を回転駆動するステップS2と、
前記入力軸51が第1遊星キャリア13を回転駆動するステップS3と、
第1外部リングギア14がケース52に固定されているので、前記第1遊星キャリア13が第1遊星歯車12を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車12が第1太陽歯車11を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車11がフロントエンドモータ53のローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6と、
前記リアエンドモータ54はバッテリーからエネルギーを受け取り、第2太陽歯車21を回転駆動するステップS7と、
第3クラッチ43が第2外部リングギア24を固定するので、前記第2太陽歯車21が第2遊星歯車22を回転駆動するステップS8と、
前記第2遊星歯車22が第2遊星キャリア23を回転駆動するステップS9と、
前記第2遊星キャリア23が第3外部リングギア34を回転駆動するステップS10と、
第3太陽歯車31はケース52に固定されているので、前記第3外部リングギア34が第3遊星歯車32を回転駆動するステップS11と、
前記第3遊星歯車32が第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS12と、
前記第3遊星キャリア33が出力軸55を回転駆動して動力を出力するステップS13が含まれる。
【0026】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の直列2ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ53、リアエンドモータ54及びエンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ41及び第3クラッチ43を分離状態にし、前記第2クラッチ42を結合状態にするステップS1と、
前記エンジンを始動して、入力軸51を回転駆動するステップS2と、
前記入力軸51が第1遊星キャリア13を回転駆動するステップS3と、
第1外部リングギア14がケース52に固定されているので、前記第1遊星キャリア13が第1遊星歯車12を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車12が第1太陽歯車11を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車11がフロントエンドモータ53のローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6と、
前記リアエンドモータ54はバッテリーからエネルギーを受け取り、第2太陽歯車21を回転駆動するステップS7と、
前記第2太陽歯車21が第2遊星歯車22を回転駆動するステップS8と、
前記第2遊星歯車22が第2遊星キャリア23及び第2外部リングギア24を駆動して同時に回転させるステップS9と、
前記第2遊星キャリア23が第3外部リングギア34を回転駆動し、第3太陽歯車31がケース52に固定されているので、前記第3外部リングギア34が第3遊星歯車32を回転駆動し、前記第3遊星歯車32が第3遊星キャリア33を回転駆動し、同時に、第2外部リングギア24が第2クラッチ42を介して第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS10と、
前記第3遊星キャリア33が出力軸55を回転駆動して、動力を出力するステップS11が含まれる。
【0027】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の並列1ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記リアエンドモータ54及びエンジンを作動状態にして、共に動力伝達装置の動力出力とし、前記第1クラッチ41及び第3クラッチ43を結合状態にし、前記第2クラッチ42を分離状態にして、前記フロントエンドモータ53を非作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータ54を始動して、第2太陽歯車21を回転駆動するステップS2と、
第3クラッチ43が第2外部リングギア24を固定するので、前記第2太陽歯車21が第2遊星歯車22を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車22が第2遊星キャリア23を回転駆動するステップS4と、
前記第2遊星キャリア23が第3外部リングギア34を回転駆動するステップS5と、
第3太陽歯車31がケース52に固定されているので、前記第3外部リングギア34が第3遊星歯車32を回転駆動するステップS6と、
前記第3遊星歯車32が第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS7と、
前記エンジンが動力を入力軸51に伝達するステップS8と、
前記入力軸51が第1クラッチ41を介して第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS9と、
前記第3遊星キャリア33が出力軸55を回転駆動して、動力を出力するステップS10が含まれる。
【0028】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の並列2ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記リアエンドモータ54及びエンジンを作動状態にして、共に動力伝達装置の動力出力とし、前記第1クラッチ41及び第2クラッチ42を結合状態にし、前記第3クラッチ43を分離状態にして、前記フロントエンドモータ53を非作動状態にするステップS1と、
前記リアエンドモータ54を始動して、第2太陽歯車21を回転駆動するステップS2と、
前記第2太陽歯車21が第2遊星歯車22を回転駆動するステップS3と、
前記第2遊星歯車22が第2遊星キャリア23及び第2外部リングギア24を駆動して同時に回転させるステップS4と、
前記第2遊星キャリア23が第3外部リングギア34を回転駆動し、第3太陽歯車31がケース52に固定されているので、前記第3外部リングギア34が第3遊星歯車32を回転駆動し、前記第3遊星歯車32が第3遊星キャリア33を回転駆動し、同時に、第2外部リングギア24が第2クラッチ42を介して第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS5と、
前記エンジンが動力を入力軸51に伝達するステップS6と、
前記入力軸51が第1クラッチ41を介して第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS7と、
前記第3遊星キャリア33が出力軸55を回転駆動して、動力を出力するステップS8が含まれる。
【0029】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のダイレクトギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記エンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ41、第2クラッチ42、第3クラッチ43を全て分離状態にし、前記フロントエンドモータ53及びリアエンドモータ54を非作動状態にするステップS1と、
前記エンジンが動力を入力軸51に伝達するステップS2と、
前記入力軸51が第1クラッチ41を介して出力軸55を回転駆動して、動力を出力するステップS3が含まれる。
【0030】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置の制動回生ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記リアエンドモータ54を作動状態にし、前記第3クラッチ43を結合状態にし、前記第1クラッチ41及び前記第2クラッチ42を分離状態にし、前記フロントエンドモータ53及びエンジンを非作動状態にするステップS1と、
前記出力軸55が第3遊星キャリア33を回転駆動するステップS2と、
第3太陽歯車31がケース52に固定されているので、前記第3遊星キャリア33が第3外部リングギア34を回転駆動するステップS3と、
前記第3外部リングギア34が第2遊星キャリア23を回転駆動するステップS4と、
第3クラッチ43が第2外部リングギア24を固定するので、前記第2遊星キャリア23が第2遊星歯車22を回転駆動するステップS5と、
前記第2遊星歯車22が第2太陽歯車21を回転駆動するステップS6と、
前記第2太陽歯車21がリアエンドモータ54のローターを回転駆動して、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS7が含まれる。
【0031】
本発明の遊星歯車機構多段ギアハイブリッド車両の動力伝達装置のアイドル発電ギア段の動力伝達方法であって、前記方法には、
前記フロントエンドモータ53及びエンジンを作動状態にし、前記第1クラッチ41、第2クラッチ42及び第3クラッチ43を分離状態にし、前記リアエンドモータ54を非作動状態にするステップS1と、
前記エンジンが動力を入力軸51に伝達するステップS2と、
前記入力軸51が第1遊星キャリア13を回転駆動するステップS3と、
第1外部リングギア14がケース52に固定されているので、前記第1遊星キャリア13が第1遊星歯車12を回転駆動するステップS4と、
前記第1遊星歯車12が第1太陽歯車11を回転駆動するステップS5と、
前記第1太陽歯車11がフロントエンドモータ53のローターを回転させて、エネルギーをバッテリーに蓄えるステップS6が含まれる。
【0032】
本発明は、エンジンとモータの多様な動力の組み合わせを実現するだけでなく、エンジンとモータのそれぞれの利点を最大限に発揮することができ、従来の燃料自動車と同様の航続距離要件を満たすだけでなく、インフラ要件も低く抑えられ、電気自動車は、経済的要件も満たし、あらゆる側面のニーズのバランスが取れている。複数の遊星歯車機構は大きな変速比変更を実現でき、限られたスペースと少ない部品の条件下で、クラッチとの連携により、さまざまな動力組み合わせモードを実現できる。
【0033】
本発明が上記実施例の詳細に限定されるものではなく、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の形態で実施できることは、当業者には明らかである。したがって、実施例は、いかなる観点からも例示的で非限定的なものとみなされるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって定義され、したがって、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内にあるすべての変更が本発明内に包含されることが意図される。特許請求の範囲におけるいかなる符号も、当該の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されないものとする。
【0034】
さらに、本明細書は実施形態に従って説明されているが、各実施形態が独立した技術的解決策を1つだけ含んでいるわけではなく、本明細書のこの説明は明瞭にするためのものに過ぎず、当業者は本明細書を全体として捉えるべきであり、様々な実施例における技術的解決策を適切に組み合わせて、当業者が理解できる他の実施形態を形成することができることを理解すべきである。