(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153944
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】永電磁吸着装置
(51)【国際特許分類】
H01F 7/20 20060101AFI20251002BHJP
H01F 7/02 20060101ALI20251002BHJP
B66C 1/06 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
H01F7/20 G
H01F7/02 F
H01F7/02 R
B66C1/06 J
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056678
(22)【出願日】2024-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 拓海
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 英治
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004EA03
3F004HA07
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる永電磁吸着装置を提供する。
【解決手段】永電磁吸着装置10は、コイル20、コイル20への通電方向によって軸方向Xに沿う第1方向または第2方向に磁化される第1磁石22、および磁化方向が固定された第2磁石24を含む磁力発生部12と、磁力発生部12を収容し、かつ吸着対象物100に吸着する吸着面14aを有するヨーク部14と、を備える。吸着面14aは、第1磁石22の磁化方向によって、吸着対象物に吸着する状態と、吸着対象物に吸着しない状態とに切り替えられる。ヨーク部14は、吸着面14aから窪むように設けられた、吸着面14aの面積を調整するための凹部46bを有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル、前記コイルへの通電方向によって前記コイルの軸方向に沿う第1方向または前記第1方向とは反対の第2方向に磁化される第1磁石、および磁化方向が固定された第2磁石を含む磁力発生部と、
前記磁力発生部を収容し、かつ吸着対象物に吸着する吸着面を有するヨーク部と、を備え、
前記吸着面は、前記第1磁石の磁化方向によって、前記吸着対象物に吸着する状態と、前記吸着対象物に吸着しない状態とに切り替えられ、
前記ヨーク部は、前記吸着面から窪むように設けられた、前記吸着面の面積を調整するための凹部を有する、永電磁吸着装置。
【請求項2】
前記ヨーク部は、前記吸着対象物に吸着する第1吸着面を有する第1ヨーク部材を含むヨーク本体部と、前記第1ヨーク部材とは別部材でありかつ前記吸着対象物に吸着する第2吸着面を有する第2ヨーク部材とを有し、
前記凹部は、前記第2ヨーク部材に設けられている、請求項1に記載の永電磁吸着装置。
【請求項3】
前記ヨーク本体部に対して、大きさが互いに異なる凹部を有する複数の前記第2ヨーク部材を選択的に固定できるように構成されている、請求項2に記載の永電磁吸着装置。
【請求項4】
前記第2ヨーク部材は、着脱可能に前記ヨーク本体部に対して固定されている、請求項2または3に記載の永電磁吸着装置。
【請求項5】
前記凹部の大きさが調整可能である、請求項1または2に記載の永電磁吸着装置。
【請求項6】
前記第2磁石を囲むように前記ヨーク部内に設けられた筒状の非磁性部を備え、
前記非磁性部は、前記吸着面まで延びるように設けられ、
前記第1吸着面と前記第2吸着面とが前記非磁性部によって離隔されるように前記第2ヨーク部材は前記非磁性部の内側に設けられる、請求項2または3に記載の永電磁吸着装置。
【請求項7】
前記第2磁石は、筒形状を有し、前記軸方向から見て前記第1磁石の外側に設けられ、かつ前記軸方向に沿う方向に磁化されており、
前記第1磁石および前記第2磁石は、前記コイルと同軸状に設けられ、
前記吸着面は、前記軸方向において前記第1磁石および前記第2磁石の一方側に設けられ、
前記軸方向から見て、前記凹部は前記コイルの軸心上に位置付けられている、請求項1または2に記載の永電磁吸着装置。
【請求項8】
互いに前記コイルの径方向に隣り合うように設けられた複数の前記磁力発生部を備え、
前記ヨーク部は、前記複数の磁力発生部を収容し、かつ前記複数の磁力発生部に対応して設けられた複数の前記凹部を有する、請求項1に記載の永電磁吸着装置。
【請求項9】
前記ヨーク部は、前記吸着対象物に吸着する第1吸着面を有する第1ヨーク部材を含むヨーク本体部と、それぞれ前記第1ヨーク部材とは別部材でありかつ前記吸着対象物に吸着する第2吸着面を有する複数の第2ヨーク部材とを有し、
前記複数の第2ヨーク部材は、前記複数の磁力発生部に対応して設けられ、
前記複数の第2ヨーク部材にそれぞれ前記凹部が設けられている、請求項8に記載の永電磁吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石の磁力によって対象物を吸着する状態と、対象物を吸着しない状態とに切り替え可能な永電磁吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製鉄所および鋼材加工工場等において、鋼板を吊り下げて搬送するために、鋼板を吸着する装置が用いられている。例えば、特許文献1に開示された吊り上げ装置は、入れ子状に配置された複数の電磁石コイルを備えている。複数の電磁石コイルは、最内層側の電磁石コイルの最大磁束量が、最外層側の電磁石コイルの最大磁束量よりも小さくなるように配置されている。
【0003】
特許文献1には、上記の構成を有する吊り上げ装置によれば、電磁石コイルを選択的に使用し、若しくは適宜組み合わせて使用することができるため、鋼板の吊り上げ枚数に応じて磁束浸透深さを高精度に制御することができると記載されている。また、特許文献1には、電磁石コイルの印可電圧を制御することにより、鋼板を吊り上げる際の吊り枚数制御を高精度に行うことができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、電磁石コイルを選択的に使用したり、電磁石コイルの印可電圧を制御したりすることにより、鋼板の吊り枚数を制御することが可能であると考えられる。一方で、より簡単な構成で、鋼板の吊り枚数を調整することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、簡単な構成で吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる永電磁吸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面における永電磁吸着装置は、
コイル、前記コイルへの通電方向によって前記コイルの軸方向に沿う第1方向または前記第1方向とは反対の第2方向に磁化される第1磁石、および磁化方向が固定された第2磁石を含む磁力発生部と、
前記磁力発生部を収容し、かつ吸着対象物に吸着する吸着面を有するヨーク部と、を備え、
前記吸着面は、前記第1磁石の磁化方向によって、前記吸着対象物に吸着する状態と、前記吸着対象物に吸着しない状態とに切り替えられ、
前記ヨーク部は、前記吸着面から窪むように設けられた、前記吸着面の面積を調整するための凹部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成で吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる永電磁吸着装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る永電磁吸着装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、永電磁吸着装置を軸方向における一方側から見た図である。
【
図4】
図4は、吸着面が吸着対象物に吸着する状態のときの永電磁吸着装置を示す図である。
【
図5】
図5は、吸着面が吸着対象物に吸着しない状態のときの永電磁吸着装置を示す図である。
【
図6】
図6は、凹部の大きさと、吸着対象物内における磁束の到達距離との関係を示す概念図である。
【
図7】
図7は、ヨーク本体部と複数の第2ヨーク部材とを示す図である。
【
図8】
図8は、永電磁吸着装置によって、吸着対象物として鋼板を吊り下げる場合を示した概略図である。
【
図9】
図9は、吸着面の面積の調整方法の他の例を示す図である。
【
図11】
図11は、複数の磁力発生部を備えた永電磁吸着装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る永電磁吸着装置について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(永電磁吸着装置の基本構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る永電磁吸着装置を示す斜視図である。なお、
図1には、後述するコイル20(
図3参照)の軸方向に平行な方向を矢印Xで示している。以下においては、コイル20の軸方向に平行な方向を、単に軸方向Xと記載する。
図2は、永電磁吸着装置を軸方向Xにおける一方側から見た図である。また、
図3は、
図2のA-A部分を示す概略断面図である。
【0012】
詳細は後述するが、本実施形態に係る永電磁吸着装置10は、磁性体材料からなる吸着対象物を吸着する状態と、吸着対象物を吸着しない状態とに切り替え可能に構成されている。永電磁吸着装置10は、例えば、工業用ロボット、無人搬送装置、ドローン等において、鉄製品等を吸着して保持するために用いられるが、永電磁吸着装置10の用途はこれらの用途に限定されず、磁性体材料からなる吸着対象物を吸着する種々の用途に利用できる。
【0013】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る永電磁吸着装置10は、磁力発生部12(
図3参照)と、磁力発生部12を収容するヨーク部14とを備えている。
図3に示すように、磁力発生部12は、コイル20、柱状または円板状の第1磁石22および筒状またはリング状の第2磁石24を有している。本実施形態では、第1磁石22および第2磁石24は、軸方向Xにおいて、コイル20の一方側に設けられている。
【0014】
コイル20は、図示しない外部電源に電気的に接続されている。コイル20は、ソレノイドコイルである。本実施形態では、コイル20は、通電されることによって第1磁石22を着磁する。
【0015】
第1磁石22は、コイル20と同軸状に設けられている。本実施形態では、第1磁石22は、軸方向Xから見て、コイル20の内側に位置するように設けられている。本実施形態では、第1磁石22は、円柱形状を有している。第1磁石22は、コイル20への通電方向によって、軸方向Xに沿う第1方向X1、または第1方向X1とは反対の第2方向X2に磁化される。すなわち、第1磁石22の磁化方向は、コイル20によって着磁される際のコイル20の通電方向に応じて切り替わる。なお、本明細書において磁石の磁化方向とは、S極からN極に向かう方向を意味する。
図3に示す状態では、第1磁石22は、第1方向X1に磁化されている。
【0016】
第1磁石22としては、例えば、アルニコ磁石、鉄クロムコバルト磁石等を用いることができる。なお、本実施形態では、第1磁石22は、軸方向Xの長さが軸方向Xに直交する方向の長さ(本実施形態では、直径)よりも短い形状を有しているが、軸方向Xの長さが軸方向Xに直交する方向の長さよりも長くてもよい。また、本実施形態では、軸方向Xにおいて第1磁石22の長さはコイル20の長さよりも短いが、軸方向Xにおいて第1磁石22の長さがコイル20の長さよりも長くてもよい。
【0017】
第2磁石24は、コイル20と同軸状に設けられている。本実施形態では、第2磁石24は、軸方向Xから見て、第1磁石22の外側に位置するように設けられている。本実施形態では、第2磁石24は、円筒形状を有している。第2磁石24の磁化方向は固定されている。本実施形態では、第2磁石24は、軸方向Xに沿う方向に磁化されている。より具体的には、第2磁石24は、第1方向X1に磁化されている。第2磁石24の保磁力は、第1磁石22よりも大きい。第2磁石24としては、例えば、ネオジム磁石が用いられる。
【0018】
磁力発生部12は、ヨーク部14に収容されている。ヨーク部14は、鉄等の磁性体材料によって構成されている。本実施形態では、ヨーク部14は、円柱形状を有している。ヨーク部14には、吸着対象物に吸着する吸着面14aが設けられている。吸着面14aは、軸方向Xにおいて第1磁石22および第2磁石24の一方側に設けられている。
【0019】
本実施形態では、ヨーク部14は、第1ヨーク部材42、第2ヨーク部材46、第3ヨーク部材40、および第4ヨーク部材44を有している。本実施形態では、第3ヨーク部材40は、円柱形状を有し、コイル20を収容している。第1磁石22は、第3ヨーク部材40に支持されるように、軸方向Xにおいて第3ヨーク部材40の一方側に設けられている。本実施形態では、第1磁石22は、第3ヨーク部材40に固定されている。
【0020】
第1ヨーク部材42は、円筒形状を有し、第1磁石22を囲むように、軸方向Xにおいて第3ヨーク部材40の一方側に設けられている。第1ヨーク部材42は、第3ヨーク部材40に固定されている。本実施形態では、軸方向Xにおける第1ヨーク部材42の一方側の端面42aが、第1吸着面に対応する。以下、第1ヨーク部材42の端面42aを、第1吸着面42aと記載する。
【0021】
第1磁石22と第1ヨーク部材42との間に、リング状のスペーサ26が設けられている。スペーサ26は、例えば、磁性体材料からなる。第2磁石24は、スペーサ26に支持されるように、軸方向Xにおいてスペーサ26の一方側に設けられている。
【0022】
第4ヨーク部材44は、中空円柱形状を有している。本実施形態では、第4ヨーク部材44の中心部に、ねじ穴44aが形成されている。第4ヨーク部材44は、第1磁石22および第2磁石24に支持されるように、軸方向Xにおいて第1磁石22および第2磁石24の一方側に設けられている。本実施形態では、第1ヨーク部材42、第3ヨーク部材40および第4ヨーク部材44によって、ヨーク本体部48が構成される。
【0023】
第2ヨーク部材46は、中空円柱形状を有している。本実施形態では、第2ヨーク部材46の中心部に、後述する締結部材30を挿入するための貫通孔46aが形成されている。また、軸方向Xにおいて、第2ヨーク部材46の一方側の端面47の中央部には、凹部46bが形成されている。本実施形態では、端面47において、凹部46bの外側の円環状の領域47aが、第2吸着面に対応する。以下、第2ヨーク部材46の端面47の領域47aを、第2吸着面47aと記載する。本実施形態では、第1吸着面42aおよび第2吸着面47aによって、吸着面14aが構成されている。本実施形態では、吸着面14a(第1吸着面42aおよび領域47a)は、軸方向Xに交差する方向に延びるように、平面状に形成されている。本実施形態では、吸着面14aは、軸方向Xに直交する方向に延びるように設けられている。
【0024】
第1ヨーク部材42の内側において、軸方向Xにおけるスペーサ26の一方側に、円筒状のスペーサ28が設けられている。スペーサ28は、第2磁石24、第4ヨーク部材44および第2ヨーク部材46を囲むように、かつ吸着面14aまで延びるように設けられている。本実施形態では、スペーサ28によって、第1吸着面42aと第2吸着面47aとが離隔されている。スペーサ28は、樹脂等の非磁性体材料からなる。本実施形態では、スペーサ28が、非磁性部に対応する。なお、本実施形態では、スペーサ28の軸方向Xにおける一方側の端面が、第1ヨーク部材42の第1吸着面42aおよび第2ヨーク部材46の第2吸着面47aと面一となるように、第1ヨーク部材42、第2ヨーク部材46およびスペーサ28が設けられている。
【0025】
なお、本実施形態では、スペーサ28には、軸方向Xにおける一方側を向くフランジ部28aおよび軸方向Xにおける他方側を向くフランジ部28bが形成されている。本実施形態では、フランジ部28aが第1ヨーク部材42に引っ掛かることによって、スペーサ28が軸方向Xにおける一方側に抜け落ちることが防止される。また、フランジ部28bが第4ヨーク部材44に引っ掛かることによって、第4ヨーク部材44が軸方向Xにおける一方側に抜け落ちることが防止される。なお、第4ヨーク部材44の抜け落ちを、スペーサ28以外の他の手段(例えば、接着剤、締結部材等)によって防止できる場合には、スペーサ28を設けなくてもよい。この場合、第1ヨーク部材42と、第2磁石24、第4ヨーク部材44および第2ヨーク部材46との間の筒状の隙間内の空気が、非磁性部として機能する。
【0026】
第2ヨーク部材46は、締結部材30によって第4ヨーク部材44に固定されている。締結部材30としては、ねじを用いることができる。本実施形態では、締結部材30を第4ヨーク部材44のねじ穴44aにねじ込むことによって、第2ヨーク部材46が第4ヨーク部材44(ヨーク本体部48)に固定されている。本実施形態では、締結部材30は、例えば、磁性体材料によって構成されることが好ましい。この場合、締結部材30をヨーク部14の一部として機能させることができる。
【0027】
(永電磁吸着装置の基本動作)
本実施形態に係る永電磁吸着装置10では、コイル20の通電方向を変えて第1磁石22の磁化方向を切り替えることによって、吸着面14aが、吸着対象物100に吸着する状態および吸着対象物100に吸着しない状態のいずれかの状態に切り替えられる。吸着面14aの状態を上記のように切り替える際のコイル20への通電時間は、例えば、0.01~0.2秒程度である。なお、第1磁石22の磁化方向を切り替える方法は、従来の永電磁吸着装置と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0028】
図4は、吸着面14aが吸着対象物100に吸着する状態のときの永電磁吸着装置10を示す図である。なお、以下においては、永電磁吸着装置10によって吸着対象物100を吊り下げる場合について説明する。
図4および後述の
図5においては、軸方向Xにおける一方側を下方とし、軸方向Xにおける他方側を上方とする。
図4および
図5においては、太線によって磁束の流れを簡略化して示している。
【0029】
図4に示す例では、第1磁石22の磁化方向は、第2磁石24と同様に、第1方向X1に設定されている。この場合、第1磁石22および第2磁石24によって発生された磁束は、第2吸着面47aを介して第4ヨーク部材44から吸着対象物100へ流れた後、第1吸着面42aを介して吸着対象物100から第1ヨーク部材42へ流れる。これにより、吸着面14aに吸着対象物100が吸着される。
【0030】
図5は、吸着面14aが吸着対象物100に吸着しない状態のときの永電磁吸着装置10を示す図である。
図5に示す例では、第1磁石22の磁化方向(第2方向X2)と、第2磁石24の磁化方向(第1方向X1)とは反対である。この場合、吸着面14aに吸着対象物100が接触したとしても、第1磁石22および第2磁石24によって発生された磁束は、吸着対象物100および第1ヨーク部材42には流れない、またはほとんど流れない。このため、吸着面14aに吸着対象物100は吸着されない。
【0031】
(磁束の吸着対象物における到達距離の調整)
図4に示すように、本実施形態に係る永電磁吸着装置10では、ヨーク部14には、吸着面14aから窪むように凹部46bが形成されている。本発明者らの研究の結果、凹部46bの大きさ(軸方向Xから見た面積)を調整して吸着面14aの面積を調整することによって、吸着対象物100において所定の磁束密度(例えば、1T)以上となる部分の軸方向Xの長さ(軸方向Xにおける吸着面14aからの長さ)を調整できることが分かった。凹部46bは、本発明者らの上記の知見に基づいて形成されたものである。すなわち、凹部46bは、磁力発生部12によって発生された磁束の、吸着対象物100内における到達距離(軸方向Xにおける吸着面14aからの距離)を調整するために設けられている。以下、凹部46bについてより具体的に説明する。
【0032】
図6は、凹部46bの大きさ(軸方向Xから見た面積)と、吸着対象物100内における所定の強さの磁束(例えば、磁束密度が1T以上)の到達距離との関係を示す概念図である。なお、
図6に示す関係は、凹部46bの大きさと磁束の到達距離との関係を忠実に表したものではない。
図6に示すように、凹部46bの面積を大きくすることによって、吸着対象物100内における磁束の到達距離は短くなる。さらに、本発明者らによる研究の結果、吸着対象物100内における磁束の到達距離が短くなるほど、永電磁吸着装置10の吸着対象物100を吸着する力(吸着力)が小さくなる傾向があることが分かった。
【0033】
そこで、本実施形態では、ヨーク本体部48は、大きさ(軸方向Xから見た面積)が互いに異なる凹部46bを有する複数の第2ヨーク部材を選択的に固定できるように構成されている。
図7は、ヨーク本体部と複数の第2ヨーク部材とを示す図である。
図7には、ヨーク本体部48と、ヨーク本体部48に選択的に固定される複数の第2ヨーク部材461~463が示されている。本実施形態では、上述したように、締結部材30によって、第2ヨーク部材461~463を、ヨーク本体部48の第4ヨーク部材44に選択的に固定することができる。なお、凹部46bの深さは、磁束の流れを妨げることができる深さであればよい。
【0034】
図8は、永電磁吸着装置10によって、吸着対象物として鋼板を吊り下げる場合を示した概略図である。上述したように、凹部46bの寸法(軸方向Xから見た面積)が大きいほど、吸着対象物内における磁束の到達距離は短くなる。したがって、例えば、
図8(a)に示すように、永電磁吸着装置10によって、吸着対象物として1枚の鋼板100aを吊り下げる場合には、寸法の大きい凹部46bを有する第2ヨーク部材461をヨーク本体部48に取り付ける。また、例えば、
図8(b)に示すように、永電磁吸着装置10によって、吸着対象物として複数枚の鋼板100aを吊り下げる場合には、寸法の小さい凹部46bを有する第2ヨーク部材463をヨーク本体部48に取り付ける。このように、本実施形態では、凹部46bの大きさを変更して吸着面14aの面積を調整することによって、所望の枚数の鋼板100aを過不足なく吊り下げることができる。
【0035】
以上のように、本実施形態では、凹部46bの大きさを変更して吸着面14aの面積を調整することによって、吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる。すなわち、本実施形態では、凹部46bの大きさを変えるという簡単な構成で、電気的な制御を行うことなく、吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる。
【0036】
(変形例)
上述の実施形態では、凹部46bは、軸方向Xから見て円形状を有する場合について説明したが、凹部の形状は円形状に限定されない。例えば、軸方向Xから見て、凹部が楕円形状または多角形状であってもよい。また、ヨーク部14の形状も円柱形状に限定されない。例えば、ヨーク部が角柱形状であってもよい。
【0037】
上述の実施形態では、第2ヨーク部材46に1つの凹部46bが形成される場合について説明したが、第2ヨーク部材に複数の凹部が形成されていてもよい。
【0038】
上述の実施形態では、締結部材30によって第2ヨーク部材46(461~463)をヨーク本体部48に固定する場合について説明したが、接着剤によって第2ヨーク部材46をヨーク本体部48に固定してもよい。
【0039】
上述の実施形態では、第2ヨーク部材46として、3つの第2ヨーク部材461~463を選択的にヨーク本体部48に固定する場合について説明したが、ヨーク本体部48に選択的に固定される第2ヨーク部材として、大きさが互いに異なる凹部を有する2つのヨーク部材を準備してもよく、大きさが互いに異なる凹部を有する4つ以上のヨーク部材を準備してもよい。
【0040】
上述の実施形態では、大きさが互いに異なる凹部46bを有する複数の第2ヨーク部材461~463を選択的に固定することによって、吸着面14aの面積を調整する場合について説明したが、吸着面14aの面積の調整方法は上述の例に限定されない。具体的には、第2ヨーク部材46の凹部46bを利用して、ヨーク部14の吸着面14aの面積を調整すればよい。
図9は、吸着面の面積の調整方法の他の例を示す図である。例えば、
図9に示すように、磁性体材料からなるリング状のヨーク部材32を凹部46bに嵌め込んでもよい。この場合、第1吸着面42aおよび第2吸着面47aに加えて、ヨーク部材32の軸方向Xにおける一方側の端面32aによって、吸着面14aが構成される。なお、ヨーク部材32は、端面32aと第2吸着面47aとが面一となるように設けられる。ヨーク部材32は、図示しない締結部材によって第2ヨーク部材46に固定されてもよく、接着剤によって第2ヨーク部材46に固定されてもよい。本実施形態においても、寸法の異なる複数のヨーク部材32を第2ヨーク部材46に選択的に固定することによって、吸着面14aの面積を調整することができる。すなわち、本実施形態では、凹部46bにヨーク部材32を固定するという簡単な構成で、吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる。
【0041】
図示は省略するが、例えば、第1ヨーク部材または第2ヨーク部材に、磁性体材料からなる1または複数のねじを取り外し可能に取り付けておき、ねじを取り外すことによって、吸着面の面積を調整してもよい。
【0042】
上述の実施形態では、第1磁石22および第2磁石24の軸方向Xにおける一方側に、第4ヨーク部材44と第2ヨーク部材46とが設けられていたが、凹部を有する第2ヨーク部材をヨーク本体部48に対して固定できるように永電磁吸着装置が構成されていればよい。
図10は、永電磁吸着装置の変形例を示す図である。例えば、
図10に示すように、第1磁石22および第2磁石24の軸方向Xにおける一方側に、凹部46bが形成された第2ヨーク部材45が設けられてもよい。なお、本実施形態では、第1ヨーク部材42および第3ヨーク部材40によってヨーク本体部48が構成される。本実施形態では、例えば、第2ヨーク部材45を、第1磁石22、第2磁石24およびスペーサ26を介して第3ヨーク部材40に固定することによって、第2ヨーク部材45をヨーク本体部48に対して固定することができる。本実施形態においても、ヨーク本体部48に対して、大きさが互いに異なる凹部46bを有する複数の第2ヨーク部材45を選択的に固定することによって、吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる。また、例えば、第2ヨーク部材45の凹部46bに寸法の異なる複数のヨーク部材32(
図9参照)を選択的に固定することによって、吸着面14aの面積を調整することもできる。
【0043】
上述の実施形態では、軸方向Xにおいて、コイル20の一方側に第1磁石22および第2磁石24が設けられる場合について説明したが、磁力発生部12の構成は上述の例に限定されず、公知の永電磁吸着装置(永電磁ホルダ)の磁力発生部の構成を利用することができる。例えば、コイル20の径方向から見て第1磁石22、第2磁石24およびコイル20が互いに重なるように、コイル20の内側に第1磁石22を設け、コイル20の外側に第2磁石24を設けてもよい。また、例えば、第2磁石24の外側にコイル20が設けられてもよい。
【0044】
上述の実施形態では、第2磁石24は、軸方向Xにおける一方側がN極となり、他方側がS極となるように磁化されているが、第2磁石24の磁化方向が上述の実施形態と反対であってもよい。この場合も、第1磁石22の磁化方向を第2磁石24の磁化方向に一致させることにより、吸着面14aが吸着対象物を吸着する状態になり、第1磁石22の磁化方向を第2磁石24の磁化方向とは反対にすることにより、吸着面14aが吸着対象物を吸着しない状態になる。
【0045】
上述の実施形態では、ヨーク部14が複数のヨーク部材によって構成される場合について説明したが、ヨーク部を構成するヨーク部材の数は上述の例に限定されず、2つまたは6つ以上のヨーク部材によってヨーク部が構成されてもよい。
【0046】
上述の実施形態では、第1磁石22が円柱形状を有する場合について説明したが、第1磁石22が角柱形状を有していてもよい。また、上述の実施形態では、第2磁石24が円筒形状を有する場合について説明したが、第2磁石24が角筒形状を有していてもよい。
【0047】
上述の実施形態では、永電磁吸着装置10が一つの磁力発生部12を備える場合について説明したが、永電磁吸着装置が複数の磁力発生部を備えていてもよい。
図11は、複数の磁力発生部を備えた永電磁吸着装置の一例を示す斜視図である。
図12は、
図11の永電磁吸着装置を軸方向Xにおける一方側から見た図である。また、
図13は、
図12のB-B部分を示す概略断面図である。なお、
図12においては、磁力発生部12のコイル20の位置を破線で示している。
【0048】
図12に示すように、本実施形態に係る永電磁吸着装置10aは、互いにコイル20の径方向に隣り合うように設けられた複数(本実施形態では6つ)の磁力発生部12を備えている。複数の磁力発生部12は、ヨーク部140に収容されている。なお、磁力発生部12の構成は、
図3に示した磁力発生部12の構成と同様であるので、説明は省略する。また、詳細な説明は省略するが、磁力発生部12ごとに、
図3に示した、スペーサ26、スペーサ28、第2ヨーク部材46、第4ヨーク部材44および締結部材30が設けられている。
【0049】
図13に示すように、本実施形態では、ヨーク部140は、複数の磁力発生部12にそれぞれ対応して設けられた複数の第2ヨーク部材46および複数の第4ヨーク部材44に加えて、第1ヨーク部材52および第3ヨーク部材50を有している。本実施形態では、第3ヨーク部材50は、円柱形状を有し、複数の磁力発生部12の複数のコイル20を収容している。各磁力発生部12の第1磁石22は、第3ヨーク部材50に支持されるように、軸方向Xにおいて第3ヨーク部材50の一方側に設けられている。本実施形態では、第1磁石22は、第3ヨーク部材50に固定されている。
【0050】
第1ヨーク部材52は、軸方向Xにおいて第3ヨーク部材50の一方側に設けられている。第1ヨーク部材52は、第3ヨーク部材50に固定されている。第1ヨーク部材52には、複数の磁力発生部12に対応するように、軸方向Xに貫通する複数の貫通孔52aが形成されている。各貫通孔52a内に、各磁力発生部12の第1磁石22および第2磁石24、ならびに各磁力発生部12に対応するスペーサ26、スペーサ28、第2ヨーク部材46、第4ヨーク部材44および締結部材30が設けられている。
【0051】
本実施形態では、第1ヨーク部材52、第3ヨーク部材50および複数の第4ヨーク部材44によってヨーク本体部58が構成される。また、本実施形態では、軸方向Xにおける第1ヨーク部材52の一方側の端面52bが、第1吸着面に対応する。以下、第1ヨーク部材52の端面52bを、第1吸着面52bと記載する。また、上述の実施形態と同様に、各第2ヨーク部材46の端面47において、凹部46bの外側の円環状の領域が、第2吸着面47aである。本実施形態では、第1吸着面52bおよび複数の第2吸着面47aによって、吸着面140aが構成されている。吸着面140aは、軸方向Xに交差する方向に延びるように、平面状に形成されている。
【0052】
本実施形態に係る永電磁吸着装置10aにおいても、上述の永電磁吸着装置10と同様に、各第2ヨーク部材46を取り換えて凹部46bの大きさを変更して吸着面140aの面積を調整することによって、吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる。すなわち、本実施形態においても、各第2ヨーク部材46の凹部46bの大きさを変えるという簡単な構成で、吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、複数の磁力発生部12のコイル20に与えられる電流を制御することによって、複数の磁力発生部12のうちのいずれかを吸着対象物に吸着する状態にし、他の磁力発生部12を吸着対象物に吸着しない状態にすることができる。このように、複数の磁力発生部12を、選択的に吸着対象物に吸着する状態または吸着しない状態にすることにより、永電磁吸着装置10aの吸着力を調整することができる。例えば、吸着対象物の重量等に応じて、吸着対象物に吸着する状態となる磁力発生部12の数を調整してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、複数の第2ヨーク部材46のうちのいずれかの凹部46bの寸法が、他の第2ヨーク部材46の凹部46bの寸法と異なっていてもよい。例えば、複数の第2ヨーク部材46のうち半数の第2ヨーク部材46(以下、第1群の第2ヨーク部材46と記載する。)の凹部46bの寸法と、他の半数の第2ヨーク部材46(以下、第2群の第2ヨーク部材46と記載する。)の凹部46bの寸法とが異なっていてもよい。この場合、吸着対象物の厚みに応じて、第1群の第2ヨーク部材46または第2群の第2ヨーク部材46を選択的に吸着対象物に吸着する状態とすることにより、永電磁吸着装置10aによって吸着対象物をより適切に吊り下げることができる。
【0055】
なお、詳細な説明は省略するが、上述の永電磁吸着装置10と同様に、永電磁吸着装置10aの各部の形状は特に限定されない。また、ヨーク部を構成するヨーク部材の数も特に限定されない。また、吸着面140aの面積は、上述の永電磁吸着装置10における吸着面14aと同様に、種々の手段を利用して調整することができる。例えば、各第2ヨーク部材46の凹部46bにリング状のヨーク部材を固定することによって吸着面の面積を調整してもよく、第1ヨーク部材または第2ヨーク部材に、磁性体材料からなる1または複数のねじを取り外し可能に取り付けておき、ねじを取り外すことによって、吸着面の面積を調整してもよい。
【0056】
また、本実施形態においても、凹部を有する第2ヨーク部材がヨーク本体部に対して固定できるように永電磁吸着装置が構成されていればよい。したがって、例えば、第1磁石22および第2磁石24の軸方向Xにおける一方側に、凹部46bが形成された1つの第2ヨーク部材が設けられてもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、永電磁吸着装置10aが6つの磁力発生部12を備える場合について説明したが、永電磁吸着装置が備える磁力発生部の数は、5つ以下であってもよく、7つ以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、簡単な構成で吸着対象物内における磁束の到達距離を調整することができる永電磁吸着装置が得られる。
【符号の説明】
【0059】
10,10a 永電磁吸着装置
12 磁力発生部
14,140 ヨーク部
14a,140a 吸着面
20 コイル
22 第1磁石
24 第2磁石
32,40,42,44,45,46,50,52 ヨーク部材
46b 凹部
48,58 ヨーク本体部
【手続補正書】
【提出日】2025-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル、前記コイルへの通電方向によって前記コイルの軸方向に沿う第1方向または前記第1方向とは反対の第2方向に磁化される第1磁石、および磁化方向が固定された第2磁石を含む磁力発生部と、
前記磁力発生部を収容し、かつ吸着対象物に吸着する吸着面を有するヨーク部と、を備え、
前記吸着面は、前記第1方向を向くように設けられ、前記第1磁石の磁化方向によって、前記吸着対象物に吸着する状態と、前記吸着対象物に吸着しない状態とに切り替えられ、
前記ヨーク部は、前記吸着面から窪むように設けられた、前記吸着面の面積を調整するための凹部を有し、
前記ヨーク部は、
前記第1磁石および前記第2磁石を囲むように設けられ、かつ前記吸着対象物に吸着する第1吸着面を有する第1ヨーク部材と、
前記第1ヨーク部材とは別部材であり、前記第1磁石の前記第1方向側において前記第1ヨーク部材に囲まれるように設けられ、かつ前記吸着対象物に吸着する第2吸着面を有する第2ヨーク部材と、
前記第1ヨーク部材および前記第2ヨーク部材とは別部材であり、前記コイルを収容し、かつ前記第1磁石および前記第1ヨーク部材を前記第2方向側から支持する第3ヨーク部材と、を含む、永電磁吸着装置。
【請求項2】
コイル、前記コイルへの通電方向によって前記コイルの軸方向に沿う第1方向または前記第1方向とは反対の第2方向に磁化される第1磁石、および磁化方向が固定された第2磁石を含む磁力発生部と、
前記磁力発生部を収容し、かつ吸着対象物に吸着する吸着面を有するヨーク部と、を備え、
前記吸着面は、前記第1方向を向くように設けられ、前記第1磁石の磁化方向によって、前記吸着対象物に吸着する状態と、前記吸着対象物に吸着しない状態とに切り替えられ、
前記ヨーク部は、前記吸着面から窪むように設けられた、前記吸着面の面積を調整するための凹部を有し、
前記ヨーク部は、
前記第1磁石を囲むように設けられ、かつ前記吸着対象物に吸着する第1吸着面を有する第1ヨーク部材と、
前記第1ヨーク部材とは別部材であり、前記第1磁石の前記第1方向側において前記第1ヨーク部材に囲まれるように設けられ、前記吸着対象物に吸着する第2吸着面を有し、かつ前記凹部を有する第2ヨーク部材と、
前記第1ヨーク部材および前記第2ヨーク部材とは別部材であり、前記軸方向において前記第1磁石と前記第2ヨーク部材とに挟まれるように、かつ前記第1ヨーク部材に囲まれるように前記第1磁石の前記第1方向側に設けられる第4ヨーク部材と、を含む、永電磁吸着装置。
【請求項3】
前記第2ヨーク部材は、前記第4ヨーク部材に対して着脱可能に固定されている、請求項2に記載の永電磁吸着装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記第2ヨーク部材に設けられている、請求項1に記載の永電磁吸着装置。
【請求項5】
前記第1ヨーク部材を含むヨーク本体部に対して、大きさが互いに異なる凹部を有する複数の前記第2ヨーク部材を選択的に固定できるように構成されている、請求項4に記載の永電磁吸着装置。
【請求項6】
前記第2ヨーク部材は、前記第1ヨーク部材を含むヨーク本体部に対して着脱可能に固定されている、請求項4または5に記載の永電磁吸着装置。
【請求項7】
前記凹部の大きさが調整可能である、請求項1から5のいずれかに記載の永電磁吸着装置。
【請求項8】
前記第2磁石を囲むように前記ヨーク部内に設けられた筒状の非磁性部を備え、
前記非磁性部は、前記吸着面まで延びるように設けられ、
前記第1吸着面と前記第2吸着面とが前記非磁性部によって離隔されるように前記第2ヨーク部材は前記非磁性部の内側に設けられる、請求項1から5のいずれかに記載の永電磁吸着装置。
【請求項9】
前記第2磁石は、筒形状を有し、前記軸方向から見て前記第1磁石の外側に設けられ、かつ前記軸方向に沿う方向に磁化されており、
前記第1磁石および前記第2磁石は、前記コイルと同軸状に設けられ、
前記吸着面は、前記軸方向において前記第1磁石および前記第2磁石の前記第1方向側に設けられ、
前記軸方向から見て、前記凹部は前記コイルの軸心上に位置付けられている、請求項1から5のいずれかに記載の永電磁吸着装置。
【請求項10】
互いに前記コイルの径方向に隣り合うように設けられた複数の前記磁力発生部を備え、
前記ヨーク部は、前記複数の磁力発生部を収容し、かつ前記複数の磁力発生部に対応して設けられた複数の前記凹部を有する、請求項1から5のいずれかに記載の永電磁吸着装置。
【請求項11】
前記ヨーク部は、前記第1ヨーク部材を含むヨーク本体部と、複数の前記第2ヨーク部材とを有し、
前記複数の第2ヨーク部材は、前記複数の磁力発生部に対応して設けられ、
前記複数の第2ヨーク部材にそれぞれ前記凹部が設けられている、請求項10に記載の永電磁吸着装置。
【手続補正書】
【提出日】2025-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル、前記コイルへの通電方向によって前記コイルの軸方向に沿う第1方向または前記第1方向とは反対の第2方向に磁化される第1磁石、および磁化方向が固定された第2磁石を含む磁力発生部と、
前記磁力発生部を収容し、かつ吸着対象物に吸着する吸着面を有するヨーク部と、を備え、
前記吸着面は、前記第1方向を向くように設けられ、前記第1磁石の磁化方向によって、前記吸着対象物に吸着する状態と、前記吸着対象物に吸着しない状態とに切り替えられ、
前記ヨーク部は、前記吸着面から窪むように設けられた、前記吸着面の面積を調整するための凹部を有し、
前記ヨーク部は、
前記第1磁石および前記第2磁石を囲むように設けられ、かつ前記吸着対象物に吸着する第1吸着面を有する第1ヨーク部材と、
前記第1ヨーク部材とは別部材であり、前記第1磁石の前記第1方向側において前記第1ヨーク部材に囲まれるように設けられ、かつ前記吸着対象物に吸着する第2吸着面を有する第2ヨーク部材と、
前記第1ヨーク部材および前記第2ヨーク部材とは別部材であり、前記コイルを収容し、かつ前記第1磁石および前記第1ヨーク部材を前記第2方向側から支持する第3ヨーク部材と、を含み、
前記凹部は、前記第2ヨーク部材に設けられ、
前記第1ヨーク部材を含むヨーク本体部に対して、大きさが互いに異なる凹部を有する複数の前記第2ヨーク部材を選択的に固定できるように構成されている、永電磁吸着装置。
【請求項2】
コイル、前記コイルへの通電方向によって前記コイルの軸方向に沿う第1方向または前記第1方向とは反対の第2方向に磁化される第1磁石、および磁化方向が固定された第2磁石を含む磁力発生部と、
前記磁力発生部を収容し、かつ吸着対象物に吸着する吸着面を有するヨーク部と、を備え、
前記吸着面は、前記第1方向を向くように設けられ、前記第1磁石の磁化方向によって、前記吸着対象物に吸着する状態と、前記吸着対象物に吸着しない状態とに切り替えられ、
前記ヨーク部は、前記吸着面から窪むように設けられた、前記吸着面の面積を調整するための凹部を有し、
前記ヨーク部は、
前記第1磁石を囲むように設けられ、かつ前記吸着対象物に吸着する第1吸着面を有する第1ヨーク部材と、
前記第1ヨーク部材とは別部材であり、前記第1磁石の前記第1方向側において前記第1ヨーク部材に囲まれるように設けられ、前記吸着対象物に吸着する第2吸着面を有し、かつ前記凹部を有する第2ヨーク部材と、
前記第1ヨーク部材および前記第2ヨーク部材とは別部材であり、前記軸方向において前記第1磁石と前記第2ヨーク部材とに挟まれるように、かつ前記第1ヨーク部材に囲まれるように前記第1磁石の前記第1方向側に設けられる第4ヨーク部材と、を含み、
前記第4ヨーク部材に対して、大きさが互いに異なる凹部を有する複数の前記第2ヨーク部材を選択的に固定できるように構成されている、永電磁吸着装置。
【請求項3】
前記第2ヨーク部材は、前記第4ヨーク部材に対して着脱可能に固定されている、請求項2に記載の永電磁吸着装置。
【請求項4】
前記第2ヨーク部材は、前記ヨーク本体部に対して着脱可能に固定されている、請求項1に記載の永電磁吸着装置。
【請求項5】
前記第2磁石を囲むように前記ヨーク部内に設けられた筒状の非磁性部を備え、
前記非磁性部は、前記吸着面まで延びるように設けられ、
前記第1吸着面と前記第2吸着面とが前記非磁性部によって離隔されるように前記第2ヨーク部材は前記非磁性部の内側に設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の永電磁吸着装置。
【請求項6】
前記第2磁石は、筒形状を有し、前記軸方向から見て前記第1磁石の外側に設けられ、かつ前記軸方向に沿う方向に磁化されており、
前記第1磁石および前記第2磁石は、前記コイルと同軸状に設けられ、
前記吸着面は、前記軸方向において前記第1磁石および前記第2磁石の前記第1方向側に設けられ、
前記軸方向から見て、前記凹部は前記コイルの軸心上に位置付けられている、請求項1から4のいずれかに記載の永電磁吸着装置。
【請求項7】
互いに前記コイルの径方向に隣り合うように設けられた複数の前記磁力発生部を備え、
前記ヨーク部は、前記複数の磁力発生部を収容し、かつ前記複数の磁力発生部に対応して設けられた複数の前記凹部を有する、請求項1から4のいずれかに記載の永電磁吸着装置。
【請求項8】
前記ヨーク部は、前記第1ヨーク部材を含むヨーク本体部と、複数の前記第2ヨーク部材とを有し、
前記複数の第2ヨーク部材は、前記複数の磁力発生部に対応して設けられ、
前記複数の第2ヨーク部材にそれぞれ前記凹部が設けられている、請求項7に記載の永電磁吸着装置。