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<図1>
  • 特開-駆動ユニット 図1
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< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015396
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20250123BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20250123BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20250123BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250123BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20250123BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20250123BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20250123BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L50/60
B60L53/12
B60L58/10
H02J50/12
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016482
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2023116538
(32)【優先日】2023-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】勝谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】上山口 勉
【テーマコード(参考)】
3D235
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB17
3D235BB23
3D235BB36
3D235BB41
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC14
3D235DD12
3D235DD17
3D235DD33
3D235FF03
3D235HH43
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
5H105AA17
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC27
5H125BA00
5H125BC05
5H125BC21
5H125DD02
5H125FF01
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】重量及び容積の増大を抑制することができる駆動ユニットを提供する。
【解決手段】駆動ユニット1は、サブフレーム2と、受電装置4と、蓄電装置5と、電力制御装置6と、回転電機7とを備える。サブフレーム2は、車体の下部に固定される。受電装置4は、サブフレーム2の下方でサブフレーム2と一体に固定される。受電装置4は送電装置Tから非接触で伝送される交流電力を受け取る。回転電機7は、サブフレーム2と一体に固定される。蓄電装置5及び電力制御装置6は、回転電機7と一体に固定される。蓄電装置5は回転電機7と電力を授受する。電力制御装置6は蓄電装置5と回転電機7との電力授受を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の下部に固定される枠状のサブフレームと、
前記サブフレームの下方で前記サブフレームと一体に固定されるとともに、送電装置から非接触で伝送される交流電力を受け取るコイルを有する受電部と、
前記サブフレームと一体に固定される回転電機と、
前記回転電機と一体に固定されるとともに、前記回転電機と電力を授受する蓄電装置及び電力制御部と
を備える
駆動ユニット。
【請求項2】
前記蓄電装置及び前記電力制御部は、前記回転電機の上方で前記回転電機と一体に固定される
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記蓄電装置は、前記回転電機及び前記電力制御部の上方に配置される
請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記受電部は、
前記コイルの空芯領域に挿入されて、前記回転電機に向かって突出する磁性材料によるインナー部材を備え、
前記インナー部材は、
上下方向に貫通する枠状の壁部と、前記壁部の開口端を開閉する蓋部とを備える
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載する車両での充給電に関する研究開発が行われている。
従来、非接触での電力伝送により車両の外部から車両に電力を供給する非接触電力伝送システムでは、一体化されたバッテリ、インバータ及び受電コイルを搭載する車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-92266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次電池を搭載する車両での充給電に関する技術においては、二次電池に必要とされる容量の増大を抑制することによって、車両重量及び電力ユニットの搭載容積の増大を抑制することが望まれている。例えば、上記従来技術の車両のように、バッテリ単体を電源として二次利用することを想定する場合、二次電池の容量を低減することが困難になるという問題が生じる。
また、乗員スペースとなるシート下に電池を敷き詰めるなどする必要があるため、居住空間が悪化するおそれがある。また、乗員より外側に電池があることで側突などの衝突対応のためにボディ構造体が必要となることで車両重量増加につながるなどのおそれがある。また、バッテリ、モータ、ギヤ、インバータ及び空調装置などの耐熱温度が異なる冷却対象が車両各所に設置され、複数の冷却経路が煩雑に広がり、冷却器も複数となることでコスト及び重量が増加するおそれがある。
【0005】
本発明は、重量及び搭載容積の増大を抑制することができる駆動ユニットを提供することを目的とする。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1):本発明の一態様に係る駆動ユニット(例えば、実施形態での駆動ユニット1)は、車体の下部に固定される枠状のサブフレーム(例えば、実施形態でのサブフレーム2)と、前記サブフレームの下方で前記サブフレームと一体に固定されるとともに、送電装置(例えば、実施形態での送電装置T)から非接触で伝送される交流電力を受け取るコイル(例えば、実施形態でのコイル13)を有する受電部(例えば、実施形態での受電装置4)と、前記サブフレームと一体に固定される回転電機(例えば、実施形態での回転電機7)と、前記回転電機と一体に固定されるとともに、前記回転電機と電力を授受する蓄電装置(例えば、実施形態での蓄電装置5)及び電力制御部(例えば、実施形態での電力制御装置6)とを備える。
【0007】
(2):上記(1)に記載の駆動ユニットでは、前記蓄電装置及び前記電力制御部は、前記回転電機の上方で前記回転電機と一体に固定されてもよい。
【0008】
(3):上記(2)に記載の駆動ユニットでは、前記蓄電装置は、前記回転電機及び前記電力制御部の上方に配置されてもよい。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の駆動ユニットでは、前記受電部は、前記コイルの空芯領域(例えば、実施形態での空芯領域13a)に挿入されて、前記回転電機に向かって突出する磁性材料によるインナー部材(例えば、実施形態でのインナー部材17)を備え、前記インナー部材は、上下方向に貫通する枠状の壁部(例えば、実施形態での壁部17a)と、前記壁部の開口端を開閉する蓋部(例えば、実施形態での蓋部17b)とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記(1)によれば、蓄電装置の残容量(SOC:State Of Charge)に加えて、受電部が送電装置から受け取る電力を仮想的なSOCとすることによって、蓄電装置の容量増大を抑制することができる。蓄電装置の重量及び容積の増大を抑制することで、蓄電装置、電力制御部、回転電機及び受電部を一体化してサブフレームに固定することが容易になる。一か所に冷却対象が集約されることにより、簡易な冷却構造を採る事が可能となり、必要な熱交換器数が削減できることでモータルームの容積も削減できることで、自由な車両構造を選択できることになる。一体化によって、例えば、必要とされる配線の長さ及び電気抵抗損失が増大することを抑制することができるとともに、回転電機から外部に伝達する振動及び振動音の発生を抑制することができる。蓄電装置の重量及び容積の増大を抑制することで、車室空間及び荷室空間を増大させることができる。客室側の蓄電装置に対する側突などの対応をモータルームに対する衝突対応に集約できることでボディ構造を簡素にすることが出来る。
【0011】
上記(2)又は(3)の場合、蓄電装置、電力制御部及び回転電機のレイアウトの多様性及び容易性を向上させることができる。冷却器が統合できることにより、FF(Front engine Front drive)でありながら、ノーズを短くしたり、開口を削減することが出来るなど自由なデザインを採ることが出来る。
【0012】
上記(4)の場合、インナー部材の蓋部の開放によって、壁部によって囲まれる中空の内部空間に通じる他の空間に配置される各種の機器及び部材等を、容易に外部に露出させることができ、各種の保守作業の容易性を向上させることができる。例えば、サブフレームに搭載されているドライブユニット等の目視点検及び油脂類の交換等の保守作業を、インナー部材の壁部の内部空間を通じて容易に実行可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態での駆動ユニットの構成を示す斜視図。
図2】本発明の実施形態でのコイルユニットの構成を示す分解斜視図。
図3】本発明の実施形態でのコイルユニットを、図2に示すA-A線の位置でZ-X平面により切断した断面図。
図4】本発明の実施形態の第1変形例でのコイルユニットの断面図。
図5】本発明の実施形態の第2変形例でのコイルユニットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る駆動ユニットについて、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態での駆動ユニット1の構成を示す斜視図である。図2は、実施形態でのコイルユニット10の構成を示す分解斜視図である。図2は、実施形態でのコイルユニット10を、図2に示すA-A線の位置でZ-X平面により切断した断面図である。
以下において、3次元空間で互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の各軸方向は、各軸に平行な方向である。例えば図1から図3に示すように、Z軸方向は駆動ユニット1を搭載する車両等の移動体の上下方向に平行であり、X軸方向は移動体の前後方向に平行であり、Y軸方向は移動体の左右方向に平行である。例えば、Z軸の正方向は移動体の上方向であり、X軸の正方向は移動体の前方向であり、Y軸の正方向は移動体の右方向である。
【0015】
実施形態の駆動ユニット1は、例えば、非接触での電力伝送により外部から電力を受け取る車両に搭載されている。車両は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車両及び燃料電池車両等の電動車両である。
図1に示すように、駆動ユニット1は、一体的に構成されるサブフレーム2、駆動制御装置3及び受電装置4を備える。車体の下部に設けられる枠状のサブフレーム2に対して、例えば、駆動制御装置3はサブフレーム2の上部に固定され、受電装置4はサブフレーム2の下部に固定される。
【0016】
サブフレーム2は、例えば、車体の下部に固定されて、ドライブユニット及びフロントサスペンション等を搭載するフロントサブフレームである。サブフレーム2の外形は、例えば枠状に形成されている。サブフレーム2は、例えば、SS(Steel Structure)及びSC(Steel Carbon)等、又は、SPCC(Steel Plate Cold Commercial)等のようにSS(Steel Structure)及びSC(Steel Carbon)等に比べて複素透磁率のR成分が少ない鉄材(つまり鉄を主成分とする材料)によって形成される。サブフレーム2は、例えば、相対的に鉄損が小さい鋼材(鉄損が削減できるよう複数材料が混合された材等)によって形成される。SS又はSCで構成される場合は、内部損失の増加を抑制するため、フェライトなどの磁性体を多く配置することによって、サブフレーム2に磁束が貫通しないように構成される。
【0017】
駆動制御装置3は、例えば、蓄電装置5と、電力制御装置6と、回転電機7とを備える。
蓄電装置5は、例えば、電力制御装置6及び回転電機7の上方に配置される。蓄電装置5は、例えば、車両の動力源である高圧のバッテリを備える。蓄電装置5は、例えば、箱型のバッテリケースと、バッテリケース内に配置される複数のバッテリモジュールとを備える。バッテリモジュールは、直列又は並列に接続される複数のバッテリセルを備える。蓄電装置5は、車両の外部の送電装置Tから非接触で伝送される電力によって充電される。蓄電装置5は、電力制御装置6を介して回転電機7との間で電力を授受する。
【0018】
電力制御装置6は、例えば、蓄電装置5と回転電機7との間に配置される。電力制御装置6は、例えば、箱型のケースと、ケース内に配置される電力変換モジュールとを備える。電力変換モジュールは、例えば、3相等でブリッジ接続される複数のスイッチング素子及び整流素子によって形成されるブリッジ回路を備える。各スイッチング素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はSiC(Silicon Carbide)のMOSFET(Metal Oxide Semi-conductor Field Effect Transistor)等のトランジスタである。整流素子は、例えば、各トランジスタに並列に接続される還流ダイオードである。電力制御装置6は、例えば、直流電力と交流電力との間の双方向の電力変換によって、蓄電装置5と回転電機7との間の電力授受を制御する。
【0019】
回転電機7は、例えば、サブフレーム2の上方に配置され、サブフレーム2と一体に固定される。回転電機7は、例えば、蓄電装置5及び電力制御装置6の下方に配置され、蓄電装置5及び電力制御装置6と一体に固定される。回転電機7は、例えば、筒状のハウジングと、ハウジング内に配置されるモータとを備える。モータは、例えば、車両の走行駆動用に設けられる3相交流のブラシレスDCモータ等である。モータは、電力制御装置6から供給される電力により力行動作することによって回転駆動力を発生させる。モータは、例えば、車両の車輪側から入力される回転動力により回生動作することによって発電電力を発生させてもよい。モータは、車両の内燃機関に連結可能である場合、内燃機関の動力によって発電してもよい。
【0020】
受電装置4は、例えば、サブフレーム2の下方に配置され、サブフレーム2と一体に固定される。受電装置4は、コイルユニット10を備える。コイルユニット10は、非接触での電力伝送により外部の送電装置Tから交流電力を受け取る受電装置4の一部を構成する。
図2及び図3に示すように、コイルユニット10は、例えば、筐体11と、第1カバー12と、コイル13と、絶縁部材14と、コア部材15と、バック部材16と、インナー部材17と、第2カバー18とを備える。
【0021】
筐体11の外形は、例えば矩形枠状に形成される。筐体11は、例えば、所定の熱伝導性を有する樹脂等の材料によって形成される。筐体11は、例えば、第1収容部21及び第2収容部22を備える。第1収容部21には、後述するコイル13、絶縁部材14及びコア部材15が配置される。第2収容部22には、後述する各基板23,26,27、キャパシタ24及び半導体素子28が配置される。第1収容部21は、例えば、後述するコイル13、絶縁部材14及びコア部材15に対して、上下方向の下方側並びに上下方向に直交する方向での内方側及び外方側を取り囲むように設けられる。第2収容部22は、例えば、前後方向での第1収容部21よりも後方側に設けられる。第2収容部22は、例えば、後述する各基板23,26,27、キャパシタ24及び半導体素子28に対して、上下方向の上方側及び上下方向に直交する方向での外方側を取り囲むように設けられる。
【0022】
筐体11は、例えば、第1収容部21において複数の溝11aが形成された第1表面11Aを備える。筐体11の第1表面(つまり、上下方向の下方側の表面である下面)11Aは、車体下方の外部に露出する。複数の溝11aは、車両走行時に受ける風(走行風)の流れ方向に沿うようにして、例えば、前後方向に沿って形成される。
筐体11は、例えば、第1表面11Aに対する裏側の第1内面11Bから内部に突出する複数の放熱部材11bを備える。放熱部材11bの外形は、例えば板状のフィン型である。複数の放熱部材11bはコイル13に接触する。
【0023】
第1カバー12の外形は、例えば厚さ方向に貫通孔12aが形成された矩形板状に形成される。第1カバー12は、例えば、後述するコイル13、絶縁部材14及びコア部材15に対して、上下方向の上方側を取り囲むように設けられる。第1カバー12は、筐体11の第1内面11Bとの間にコイル13、絶縁部材14及びコア部材15が収容される収容空間を形成する。第1カバー12は、コイル13、絶縁部材14及びコア部材15が収容される筐体11の第1収容部21の開口端を塞ぐ。なお、第1カバー12は、例えば、熱伝導性樹脂で鋳込まれることで熱伝導性を確保するように形成されてもよい。
【0024】
コイル13の外形は、例えば筐体11の第1内面11Bに沿った矩形の渦巻状に形成される。コイル13は、例えば、第1内面11Bの上方側に配置される。コイル13の素線は、複数の放熱部材11bに直接的に接触する。
絶縁部材14の外形は、例えば厚さ方向に貫通孔14aが形成された矩形のシート状に形成される。絶縁部材14は、電気的絶縁性を有する材料によって形成される。絶縁部材14は、例えば、コイル13の上方側に配置される。
コア部材15の外形は、例えば厚さ方向に貫通孔15aが形成された矩形板状に形成される。コア部材15は、例えば、フェライト等の無方向性(等方性)の磁性材料又は珪素鋼板等の電磁鋼板若しくはナノ結晶軟磁性材料等の軟磁性材料の方向性(異方性)の磁性材料のように、透磁率が大きく、所定帯域(85kH帯域等)での鉄損が小さい磁性材料によって形成される。コア部材15は、例えば、絶縁部材14の上方側に配置される。
【0025】
バック部材16の外形は、例えば厚さ方向に貫通孔が形成された矩形板状に形成される。インナー部材17の外形は、例えば矩形枠状で上下方向に貫通する壁部17aと壁部17aの下部開口端を塞ぐ蓋部17bとを備える箱型に形成される。インナー部材17は、例えば、バック部材16の貫通孔を取り囲む周縁部から上下方向の下方に突出する。バック部材16及びインナー部材17は、例えばナノ結晶軟磁性体シート若しくはエポキシ樹脂による飛散防止加工がされたフェライト又は珪素鋼板等の電磁鋼板のような、透磁率が大きい磁性材料によって一体に形成される。
【0026】
バック部材16は、例えば、第1カバー12に対して上下方向の上方側に配置される。インナー部材17は、例えば、第1カバー12、コア部材15及び絶縁部材14の各貫通孔12a,15a,14aと、コイル13の空芯領域13aと、筐体11の厚さ方向の貫通孔11cとに挿入される。インナー部材17は、例えば、筐体11の第1表面11Aから下方に突出する。
【0027】
第2カバー18の外形は、例えば矩形板状に形成される。第2カバー18は、例えば、後述する各基板23,26,27、キャパシタ24及び半導体素子28に対して、上下方向の下方側を取り囲むように設けられる。第2カバー18は、筐体11の第2収容部22の第2内面11Cとの間に各基板23,26,27、キャパシタ24及び半導体素子28が収容される収容空間を形成する。第2カバー18は、各基板23,26,27、キャパシタ24及び半導体素子28が収容される筐体11の第2収容部22の開口端を塞ぐ。
【0028】
キャパシタ基板23は、例えばフィルムキャパタ等の複数のキャパシタ24を固定する。キャパシタ24は、例えばコイル13に接続される共振用のキャパシタ(コンデンサ)等である。複数のキャパシタ24は、キャパシタ基板23に固定されるとともに、例えばサーマルコンパウンド等の熱伝導材25を介して第2カバー18の内面に接触する。
【0029】
制御基板26は、例えば、キャパシタ基板23の上方に配置される。制御基板26は、例えば受電装置の電力変換及び外部の送電装置Tとの通信を制御する。制御基板26は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPU等のプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、及びタイマー等の電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。なお、制御基板26の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路であってもよい。
制御基板26は、例えば、受電装置の目標出力等に応じてゲートドライブ基板27に入力する制御信号を生成する。制御信号は、例えば、受電装置の電力変換部を構成する複数のスイッチング素子をオン(導通)/オフ(遮断)駆動するタイミングを示す信号である。例えば、制御信号は、パルス幅変調された信号等である。
【0030】
ゲートドライブ基板27は、例えば、制御基板26の上方に配置される。ゲートドライブ基板27は、例えば、受電装置の電力変換部を構成する複数のスイッチング素子のゲートに接続されているゲートドライブ基板27は、例えば、集積回路と、複数のゲート抵抗となどを備える。
ゲートドライブ基板27は、制御基板26から受け取る制御信号に基づいて、各スイッチング素子を実際にオン(導通)/オフ(遮断)駆動するためのゲート信号を生成する。例えば、ゲートドライブ基板27は、制御信号の増幅及びレベルシフト等を実行して、ゲート信号を生成する。
【0031】
半導体素子28は、例えば受電装置4の電力変換部を構成するスイッチング素子及び整流素子等である。スイッチング素子は、例えば、SiC(Silicon Carbide)のMOSFET(Metal Oxide Semi-conductor Field Effect Transistor)等のトランジスタである。整流素子は、例えば、各トランジスタに並列に接続される還流ダイオードである。複数の半導体素子28は、例えば、ゲートドライブ基板27の上部に固定されるとともに、ゲートドライブ基板27と筐体11の第2内面11Cとの間に配置される。
【0032】
筐体11は、第2内面11Cに対する反対側の外面(第2表面)11Dに配置される放熱器29を備える。放熱器29は、例えば、水冷構造によるウォータージャケット及び外部に突出する複数のフィン部材を有するヒートシンク等を備える。
筐体11は、例えば、受電装置4の電力変換部に接続されるとともに、第2表面11Dから外部(上方)に突出する直流コネクタ30を備える。
【0033】
上述したように、実施形態の駆動ユニット1によれば、蓄電装置5の残容量(SOC:State Of Charge)に加えて、受電装置4が送電装置Tから受け取る電力を仮想的なSOCとすることによって、蓄電装置5の容量増大を抑制することができる。蓄電装置5の重量及び容積の増大を抑制することで、蓄電装置5、電力制御装置6、回転電機7及び受電装置4を一体化してサブフレーム2に固定することが容易になる。一体化によって、例えば、必要とされる配線の長さ及び電気抵抗損失が増大することを抑制することができるとともに、回転電機7から外部に伝達する振動及び振動音の発生を抑制することができる。蓄電装置5の重量及び容積の増大を抑制することで、車室空間及び荷室空間を増大させることができる。蓄電装置5、電力制御装置6及び回転電機7のレイアウトの多様性及び容易性を向上させることができる。
【0034】
(変形例)
なお、上述した実施形態では、サブフレーム2はフロントサブフレームであるとしたが、これに限定されず、例えば、リヤサブフレームであってもよい。つまり、駆動制御装置3及び受電装置4は、リヤサブフレームと一体に固定されてもよい。
【0035】
なお、上述した実施形態では、インナー部材17の蓋部17bは、壁部17aに対して開閉可能又は取り外し可能に設けられてもよい。
図4は、実施形態の第1変形例でのコイルユニット10Aの断面図である。
図4に示すように、第1変形例のコイルユニット10Aでは、インナー部材17の蓋部17bは、例えばスライド機構等によって壁部17aに対してスライド移動することによって、壁部17aの下部開口端を開閉する。
図5は、実施形態の第2変形例でのコイルユニット10Bの断面図である。
図5に示すように、第2変形例のコイルユニット10Bでは、インナー部材17の蓋部17bは、例えばいわゆるハッチ構造等によって壁部17aに対して回転することによって、壁部17aの下部開口端を開閉する。
上述した第1変形例又は第2変形例によれば、インナー部材17の蓋部17bの開放によって、壁部17aによって囲まれる中空の内部空間に通じる他の空間に配置される各種の機器及び部材等を、容易に外部に露出させることができ、各種の保守作業の容易性を向上させることができる。例えば、サブフレーム2に搭載されているドライブユニット等の駆動制御装置3の目視点検及び油脂類の交換等の保守作業を、インナー部材17の壁部17aの内部空間を通じて容易に実行可能とすることができる。
なお、例えば、ワンタッチクリップ又はハーフロックボルトにより締結されて、上下方向に取り外し可能とされる構造のアンダーカバーを、蓋部17bとして備えてもよい。
これらの変形例によれば、磁性体構造物が立体構造で、開閉できることで、例えば油脂ボルト締結及びオイルにじみなどを完成車検査時にチェック出来たり、油脂類の交換をディーラーなどで行う際のメンテナンスホールを確保することができる。
【0036】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0037】
1…駆動ユニット、2…サブフレーム、3…駆動制御装置、4…受電装置(受電部)、5…蓄電装置、6…電力制御装置(電力制御部)、7…回転電機、10,10A,10B…コイルユニット、11…筐体、11a…溝、11b…放熱部材、11c…貫通孔、12…第1カバー、12a…貫通孔、13…コイル、13a…空芯領域、14…絶縁部材、14a…貫通孔、15…コア部材、15a…貫通孔、16…バック部材、17…インナー部材、18…第2カバー、23…キャパシタ基板、24…キャパシタ、25…熱伝導材、26…制御基板、27…ゲートドライブ基板、28…半導体素子、29…放熱器、30…直流コネクタ、T…送電装置。
図1
図2
図3
図4
図5