(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153989
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20251002BHJP
E03C 1/122 20060101ALI20251002BHJP
F16L 45/00 20060101ALI20251002BHJP
F16L 41/02 20060101ALI20251002BHJP
F16L 3/00 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
E03C1/12 E
E03C1/122 Z
F16L45/00
F16L41/02
F16L3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056739
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 英治
(72)【発明者】
【氏名】杉村 明子
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
3H023
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB10
2D061AD01
2D061AD03
2D061AD06
3H019AA04
3H019AB04
3H019BA44
3H019EA11
3H023AA01
3H023AB04
3H023AC09
(57)【要約】
【課題】本発明は、点検や清掃が可能な配管構造の提供を目的とする。
【解決手段】本発明に係る配管構造は、立管が接続される立管部と、横管が接続される横管接続部と、前記立管部と前記横管接続部とを接続する曲管部と、を有する脚部継手と、床スラブよりも下方に配置された前記横管接続部と前記床スラブとを連結する第1支持部と、を備え、前記曲管部の周壁及び前記曲管部の中心軸線を側面視した状態において、前記中心軸線よりも下側または外側の領域に点検口が形成されたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立管が接続される立管部と、横管が接続される横管接続部と、前記立管部と前記横管接続部とを接続する曲管部と、を有する脚部継手と、
床スラブよりも下方に配置された前記横管接続部と前記床スラブとを連結する第1支持部と、
を備え、
前記曲管部及び前記曲管部の中心軸線を側面視した状態において、前記中心軸線よりも下側または外側の領域に中心を配置した点検口を有する、
配管構造。
【請求項2】
前記横管の中心軸線方向に前記曲管部を正面視した状態において、前記点検口の中心軸と前記立管の中心軸線とのなす角度が45゜未満である、
請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記点検口が前記立管の中心軸と同じ方向を向いている、
請求項1または請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記点検口が前記横管の中心軸と同じ方向を向いている、
請求項1または請求項2に記載の配管構造。
【請求項5】
前記点検口に蓋部材が装着され、前記蓋部材が前記点検口に対しバヨネット部を介し着脱自在に嵌合されている、
請求項1または請求項2に記載の配管構造。
【請求項6】
前記蓋部材が耐衝撃性塩化ビニル樹脂で形成されている、
請求項5に記載の配管構造。
【請求項7】
前記脚部継手が樹脂製である、
請求項1または請求項2に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションやホテルの建物排水システムは一般的に単管式排水システムが採用されている。各階の部屋内のパイプシャフト(PS)内に多方向の枝を持った集合継手が設置され、各排水器具からの排水横管が接続される。
集合継手はスラブに埋設されて配管される。スラブより上部(床上)には多方向からの排水横管と接続できるように複数の開口部を持ち、スラブ上下部には立管と接続できる接続構造を持つ。
この種の集合継手として、従来から、以下の特許文献1に記載された樹脂製の集合継手を用いた配管構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の如く、マンションやホテルなどの多層階建築物において、一番下の階の立管の下端側では、横管に接続する脚部継手に上の階からの排水の荷重が作用する。このため、スラブの下面に吊下ボルトを固定し、この吊下ボルトと支持金具などを用いて脚部継手を支持する構造が採用されている。
脚部継手には管内洗浄や配管詰まりの確認などのために点検口を設ける必要がある。ところが、脚部継手が設けられるのは地下室のスラブ近くや狭いパイプスペースであることが多く、配管の支持形態や横管との接続状態などの制約がある場合、脚部継手に設けた点検口の周囲に充分な作業スペースを確保できないおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑み、立管の下に接続される脚部継手の好適な位置に点検口を設け、設置環境や設置スペースなどの制限があったとしても、点検作業や清掃作業に必要な作業スペースを確保できるようにした配管構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の形態を提案している。
「1」本形態に係る配管構造は、立管が接続される立管部と、横管が接続される横管接続部と、前記立管部と前記横管接続部とを接続する曲管部と、を有する脚部継手と、床スラブよりも下方に配置された前記横管接続部と前記床スラブとを連結する第1支持部と、を備え、前記曲管部及び前記曲管部の中心軸線を側面視した状態において、前記中心軸線よりも下側または外側の領域に中心を配置した点検口を有することを特徴とする。
【0007】
本形態によれば、曲管部及び曲管部の中心軸線を側面視した状態において、中心軸線よりも下側または外側の領域に中心を配置した点検口を有する。立管の下端部が横管に接続する部分は多層階建築物の場合、地下室のスラブ近くや狭いパイプスペースの天井近くなどに設けられることが多い。
曲管部の点検口を設ける位置が曲管部の中心軸線より下側または外側であれば、地下室のスラブ近くやパイプスペースの天井近くに曲管部が設けられていたとして、点検作業や清掃作業に必要なスペースを確保し易い。従って点検作業、清掃作業の容易な配管構造を提供できる。また、マンションのエントランス等の天井近くに横管が接続されるように曲管部が配置される場合であっても、作業スペースを確保可能な点検口の設置位置とすることができ、天井に設けた点検口などから脚部継手の点検口を開閉し、点検作業あるいは清掃作業を実施できる。
【0008】
「2」本形態に係る配管構造において、前記横管の中心軸線方向に前記曲管部を正面視した状態において、前記点検口の中心軸と前記立管の中心軸とのなす角度が45゜未満である構成を採用できる。
【0009】
点検口の中心軸と立管の中心軸とがなす角度が45゜未満となる範囲に点検口を設けることで、地下室のスラブ近くに脚部継手が設けられた構造、あるいは、脚部継手の近傍に天井や壁が設置された構造であっても、作業者は作業スペースを確保し易く、スラブや壁との干渉を避けながら点検作業または清掃作業を実施できる。
【0010】
「3」本形態に係る配管構造において、前記点検口が前記立管の中心軸と同じ方向を向いている構成を採用できる。
【0011】
脚部継手に設けた点検口が立管の中心軸と同じ方向を向いていることは脚部継手の下部側に点検口が存在することを意味する。この場合、地下室のスラブや天井などとの干渉を避けつつ作業スペースを確保することができ、点検作業や清掃作業を実施できる。
【0012】
「4」本形態に係る配管構造において、前記点検口が前記横管の中心軸と同じ方向を向いている構成を採用できる。
【0013】
脚部継手に設けた点検口が横管の中心軸と同じ方向を向いていることは脚部継手の正面側に点検口が存在することを意味する。この場合、地下室のスラブや天井などとの干渉を避けつつ作業スペースを確保することができ、点検作業や清掃作業を実施できる。
【0014】
「5」本形態に係る配管構造において、前記点検口に蓋部材が装着され、前記蓋部材が前記点検口に対しバヨネット部を介し着脱自在に嵌合されている構成を採用できる。
【0015】
点検口にバヨネット部を介し蓋部材を着脱自在に設けることで点検作業あるいは清掃作業の際に作業者は、蓋部材を脚部継手から容易に取り外すことができる。よって、脚部継手の周囲に第1支持部が設けられている設置環境、あるいは、スラブや天井、あるいは、周囲壁との干渉が考えられる設置環境であったとしても、支障なく点検口を開閉する作業ができる。このため、点検作業または清掃作業を実施する場合に作業が容易となる。
【0016】
「6」本形態に係る配管構造において、前記蓋部材が耐衝撃性塩化ビニル樹脂で形成されている構成を採用できる。
【0017】
蓋部材を耐衝撃性塩化ビニル樹脂で形成することで、蓋部材が損傷し難い構成となり、繰り返し清掃施業、点検作業を行ったとして、耐久性に優れた蓋部材を提供できる。
【0018】
「7」本形態に係る配管構造において、前記脚部継手が樹脂製である構成を採用できる。
【0019】
脚部継手が樹脂製であれば、金属製の脚部継手より軽量化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本形態の配管構造によれば、曲管部の点検口を設ける位置が側面視曲管部の中心軸線より下側または外側である。このため、地下室のスラブ近くや天井近く、パイプスペースの壁近くに脚部継手が設けられていたとして、点検作業や清掃作業を実施する場合、作業スペースを確保し易い位置に点検口が存在する。従って点検作業、清掃作業の容易な配管構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る配管構造が適用された多層階建築物の要部の縦断面図である。
【
図2】同配管構造における脚部継手の平面図である。
【
図3】同配管構造における脚部継手および第2支持部を示す背面図である。
【
図4】同配管構造に適用可能な点検口の第2の例を示す断面図である。
【
図5】同配管構造に適用可能な点検口の設置位置範囲を示す平面図である。
【
図6】同配管構造に適用可能な点検口の設置位置範囲を示す正面図である。
【
図7】同配管構造に適用可能な点検口の設置位置範囲を示す側面図である。
【
図8】同配管構造に適用可能な点検口の第3の例を示す側面図である。
【
図9】同配管構造に適用可能な点検口の第3の例を示す平面図である。
【
図10】同配管構造に適用可能な設置例を示す側面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る配管構造が適用された多層階建築物の要部の縦断面図である。
【
図12】同配管構造における脚部継手および第2支持部の背面図である。
【
図13】同配管構造に適用可能な点検口の設置位置範囲を示す側面図である。
【
図14】同配管構造に適用可能な点検口の設置位置の一例を示す側面図である。
【
図15】同配管構造に適用可能な点検口の設置位置範囲を示す平面図である。
【
図16】本発明に係る配管構造に適用可能な着脱式の蓋部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る配管構造の第1実施形態が適用される多層階建築物(建築物)に関し、配管構造が排水構造である場合を例にとって、
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、多層階建築物1では、上下方向に重ねられた複数の層5が、多層階建築物1が備える床スラブ6により仕切られている。床スラブ6には、上下方向に貫通する貫通孔6aが形成されている。
【0023】
排水構造11は、多層階建築物1に用いられている。排水構造11は、脚部継手12と、集合継手26と、立管36、37と、横管39、40と、第1支持部46と、第2支持部51と、を備えている。
図1、
図3に示すように、脚部継手12は、立管部13と、横管部14と、曲管部15と、を備えている。なお、
図1では、横管部14と曲管部15との境界を二点鎖線で示している。
図3では、第1支持部46を二点鎖線で示している。
【0024】
立管部13は、直管状に形成され、立管部13の中心軸線O3が上下方向に沿うように(すなわち、立管部13の中心軸線O3は立管37の管軸と一致するように)配置されている。立管部13は、床スラブ6よりも下方に配置されている。なお、立管部13の配置はこれに限定されず、立管部13は、中心軸線O3を上下方向に対し傾斜するように配置してもよい。立管部13には、受口である立管接続部18が形成されている。なお、立管接続部18の接続形式は受口に限定されず、差口やフランジ等でもよい。立管接続部18の接続形式が受口の場合には、立管接続部18の内部には止水のためのゴムパッキンを備えていてもよく、立管37が樹脂製である場合には、立管接続部18は立管37と接着剤で接続してもよい。後述する横管接続部19、横管接続部31等についても、差口や受口の関係、ゴムパッキンや接続などの関係は同様である。
【0025】
横管部14は、直管状に形成され、横管部14の中心軸線O2がほぼ水平面に沿うように配置されている。より詳しくは、横管部14は、中心軸線O2が下流側に向かうに従って下方に向かい、横管部14に排水勾配が形成されるように配置されている。
横管部14における下流側の端部には、フランジである横管接続部19が形成されている。
この例では、横管部14の中心軸線O2に沿う長さL2は、立管部13の中心軸線O3に沿う長さL1よりも長い。例えば、横管部14において中心軸線O2に沿った部分が無い場合、中心軸線O2に沿う部分が短い場合、及び、横管部14において第1支持部46により支持する部分が曲がっている場合には、横管部14を第1支持部46により支持し難くなる。これに対して、本実施形態のように横管部14を直管状に形成することで、横管部14を第1支持部46により支持しやすくなる。
立管36、37、横管39、40は、呼び径75A~150A程度の口径を選択することができるが、適用可能な呼び径は前記の範囲に限るものではない。
【0026】
曲管部15は、湾曲した側面視略L型管からなる。曲管部15は、立管部13と横管部14とを接続している。あるいは、曲管部15は、横管部14を介し横管接続部19に接続している。曲管部15の下部には、円筒状のボス20が形成されている。ボス20は、曲管部15の下部の外周面から下方に向かって突出されている。
この例では、立管部13、曲管部15、横管部14、横管接続部19を備える脚部継手12の全体が、床スラブ6よりも下方に配置されている。
脚部継手12は、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂により形成されていてもよい。脚部継手12は、耐衝撃性に優れた樹脂により形成されていることが好ましい。
【0027】
耐衝撃性樹脂として、例えば、(1)ポリ塩化ビニル重合体に衝撃性改良樹脂を混合した樹脂、(2)ポリ塩化ビニル重合体と衝撃性改良樹脂をグラフト共重合した樹脂、(3)塩化ビニルモノマーと、この塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、(4)塩化ビニル以外の(共)重合体に塩化ビニルをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられる。これらの樹脂(1)~(4)は単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、必要に応じて前述のポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化してもよい。これらの耐衝撃性塩化ビニル樹脂を用いることで耐久性に優れた脚部継手12を構成できる。
【0028】
上記(1)の樹脂においてポリ塩化ビニル重合体に混合する衝撃性改良樹脂や、上記(2)においてポリ塩化ビニル重合体とグラフト共重合する衝撃性改良樹脂としては、ゴム特性を有する樹脂が挙げられる。具体的には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、メチルメタクリルレート-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
脚部継手12は金属から形成されてもよい。金属として特に鋳鉄が挙げられる。
なお、脚部継手12を樹脂製とする場合、内部を流れる排水に起因する騒音発生を防止するため、脚部継手12に遮音シートを巻き付けても良い。
【0029】
集合継手26の構成は、特に限定されない。この例で集合継手26は、上部接続管27及び下部接続管28の2つの部材で構成されている。なお、集合継手は1つの部材により一体に構成されてもよいし、3つ以上の部材により構成されてもよい。
上部接続管27は、管本体30と、管本体30の外周面に固定された横管接続部31と、管本体30の上端部に固定された立管接続部32と、を備えている。
管本体30は、軸線が上下方向に沿うように、脚部継手12の上方に配置されている。この例では、横管接続部31は、管本体30の外周面に複数固定されている。なお、管本体30に固定される横管接続部31の数は特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
集合継手26はポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂により形成されていてもよく、鋳鉄等の金属により形成されていてもよい。
【0030】
下部接続管28は、下方に向かうに従い外径及び内径がそれぞれ小さくなる管状に形成されている。なお、下部接続管28は、管本体30と略同じ外径及び内径のままであってもよいが、少なくとも立管36の外径及び内径と同じかそれ以上とされる。下部接続管28の下端部は、差口である。下部接続管28は、上部接続管27の管本体30の下端部に固定されている。なお、下部接続管28の下端部は、受口やフランジ等であってもよい。下部接続管28が立管37を介し脚部継手12の立管接続部18に接続されず、集合継手26の下部接続管28と脚部継手12の立管接続部18が直接接続されていてもよい。
【0031】
以上のように構成された集合継手26は、横管接続部31及び立管接続部32が床スラブ6よりも上方に配置され、かつ、下部接続管28の少なくとも一部が床スラブ6の貫通孔6a内に配置されている。
床スラブ6における貫通孔6aの開口周縁部と、下部接続管28との間には、モルタル等の充填材7が充填されている。充填材7は、貫通孔6aを塞ぐために配置される。
なお、充填材7はグラスウール(GW)や、ロックウール(RW)等でもよい。ただし、充填材7をモルタルとすることで、充填材7により床スラブ6に対する下部接続管28及び立管37の位置が固定される。グラスウール及びロックウールは繊維で構成されるため、床スラブ6に対する下部接続管28等の位置を固定できない。従って、立管37に接続された脚部継手12の重量バランスが悪くても、脚部継手12の横管部14に設定した排水勾配の向きを保持することができる。
【0032】
立管36の下端部は、集合継手26の立管接続部32に接続されている。立管36は、集合継手26の上部接続管27が配置された層5(以下、層5Aとも言う)よりも上方の層5に配置された図示しない便器、化粧台、流し台等の衛生機器(排水設備)から排出された排水を、集合継手26に導く。
立管37の上端部は、集合継手26の下部接続管28の下端部に接続されている。立管37の下端部は、脚部継手12における立管部13の立管接続部18に接続されている。
【0033】
横管39は、集合継手26の横管接続部31に接続されている。横管39は、層5Aに配置された図示しない衛生機器などから排出される排水を、集合継手26に導く。
横管40は、脚部継手12における横管部14の横管接続部19に接続されている。横管40は、集合継手26に導かれた排水を、脚部継手12を介し多層階建築物1の外部の排水処理設備(不図示)等に導く。
【0034】
図1及び
図3に示すように、第1支持部46は、いわゆる1本吊りタイプの支持部である。第1支持部46は、脚部継手12の横管部14と床スラブ6とを連結している。第1支持部46は、支持金具47と、ロッド48と、アンカー49と、を備えている。
支持金具47は、例えば図示はしないが、金属製の帯状部材と、帯状部材の両端部を互いに接続する開閉機構と、を備えている。開閉機構は、帯状部材の両端部を互いに接続した接続状態と、この両端部の接続を解除した解除状態とに、切り替えることができる。
開閉機構を解除状態にしたときに、U字状にした帯状部材の外部から帯状部材内に、脚部継手12の横管部14を挿入したり、帯状部材内から帯状部材の外部に横管部14を取り出したりすることができる。
一方で、開閉機構を接続状態にしたときに、帯状部材内の横管部14が帯状部材に固定される。
【0035】
ロッド48の外周面には、雄ネジがロッド48の全長にわたって形成されている。ロッド48は、いわゆる全ネジのボルトである。ロッド48は、上下方向に沿うように配置されている。ロッド48の下端部は、支持金具47の帯状部材に固定されている。
アンカー49は、床スラブ6の下端部に埋め込まれている。アンカー49に形成された雌ネジは、床スラブ6の下面から床スラブ6の外部に露出している。アンカー49の雌ネジに、ロッド48の上端部の雄ネジが嵌合されている。
図3にロッド48の中心軸線O1を描いている。
なお、第1支持部46の構成は、これに限定されない。
【0036】
図1及び
図3に示すように、第2支持部51は、脚部継手12の曲管部15と床スラブ6とを連結している。第2支持部51は、支持部材52と、ロッド53と、ナット54と、アンカー55と、を備えている。
支持部材52は、長手方向に直交する断面がL字状に形成されている。支持部材52は、水平面に沿う方向であって、横管部14の中心軸線O2に直交する方向に延びるように配置されている。支持部材52は、脚部継手12よりも前述の直交する方向の両側にそれぞれ突出されている。支持部材52の直交方向の両端部には、上下方向に貫通する貫通孔(不図示)がそれぞれ形成されている。
支持部材52は、脚部継手12のボス20をボス20の下方から支持している。
【0037】
ロッド53は、ロッド48と同様に構成され、第2支持部51に一対備えられている。ロッド53は、上下方向に沿うように配置されている。ロッド53の下端部は、支持部材52の貫通孔に挿入され、ナット54、54により支持部材52に固定されている。
アンカー55は、床スラブ6の下端部に埋め込まれている。アンカー55に形成された雌ネジは、床スラブ6の下面から床スラブ6の外部に露出している。アンカー55の雌ネジに、ロッド53の上端部の雄ネジが嵌合されている。
なお、第2支持部51は曲管部15と床スラブ6とを連結した構成としたが、第2支持部が脚部継手12の立管部13と床スラブ6とを連結した構成としてもよいし、第2支持部が脚部継手12の立管部13及び曲管部15と床スラブ6とを連結した構成としてもよい。
【0038】
なお、第1支持部46及び第2支持部51のそれぞれは、防振性を有するゴムを備えてもよい。このゴムは、例えば第1支持部46における帯状部材と横管部14との間に配置される。また、第1支持部46及び第2支持部51を、金属ではなく、樹脂で形成してもよい。
【0039】
ここで、
図1に示すように、立管部13の中心を通り、中心軸線O2に直交する向きの中心軸線を、中心軸線O3とする。
また、第2支持部51が脚部継手12を支持する部分を通り、中心軸線O2に直交する向きの中心軸線を、中心軸線O4とする。排水構造11が第1支持部46を備えず、脚部継手12に立管37及び横管40が接続されていないと、脚部継手12は中心軸線O4の周りに揺動するおそれがある。充填材7により床スラブ6に固定した立管37に脚部継手12が接続されていることにより、脚部継手12が中心軸線O4周りに揺動することを抑えることができる。
【0040】
以上説明した配管構造において、
図1に示すように曲管部15の周壁の一部に点検口部60が形成されている。点検口部60が形成された位置は、
図1に示すように曲管部15を側面視した状態において、曲管部15の左端側の正面上部側であって立管部13に近い位置である。ここでは、点検口部60を形成した側を曲管部15の正面側と称することができ、曲管部15に横管40を接続した側を曲管部15の背面側と称することができる。このため、
図3に示すように横管40の設置側から曲管部15を眺めた図は背面図と称することができる。
【0041】
図1に示すように、曲管部15を側面視した状態において、曲管部15の中心軸線O5は、立管部13の中心を通過する中心軸線O3をそのまま下方に延出させた中心軸線部O3aを有する。また、曲管部15の中心軸線O5は、中心軸線O2をそのまま横方向に延出させた中心軸線部O2aを有する。更に、曲管部15の中心軸線O5は、曲管部15の曲率に合わせた曲率を有して中心軸線部O3aと中心軸線部O2aを接続する円弧状の中心軸線部O5aを有する。
即ち、曲管部15の中心軸線O5は、曲管部15を
図1に示すように側面視した状態において、中心軸線部O2aと中心軸線部O5aと中心軸線部O3aから構成される。
【0042】
曲管部15の周壁に点検口部60を設ける場合、中心軸線部O2aと中心軸線部O5aより下側と、中心軸線部O3aと中心軸線部O5aより外側のいずれかに位置する曲管部15の周壁に設けることが好ましい。即ち、曲管部15及び曲管部15の中心軸線O5を側面視した状態において、中心軸線O5よりも下側または外側の領域に中心を配置するように点検口部60を設けることが好ましい。
中心軸線O5よりも下側または外側の領域とは、
図1に示すように側面視した中心軸線O5の形状を角の丸いコーナー部を描く曲線と認識した場合、コーナー部の外側、あるいは、コーナー部の鈍角側とも表現できる。
図1に示す実施形態では、曲管部15において、中心軸線部O3aと中心軸線部O5aとの境界部分の外側に点検口部60が形成されている。点検口部60を形成した位置は、曲管部15の正面上部側であって、立管部13に近い位置と表現できる。
【0043】
点検口部60は、曲管部15の周壁を貫通するように形成された点検口61を有する。また、この点検口61の開口周縁部を囲むように曲管部15の周壁に突出形成された鍔板付きのフランジ壁62と、このフランジ壁62の開口部を閉じる蓋部材63を有する。蓋部材63は曲管部15を構成する耐衝撃性塩化ビニル樹脂などから構成されていることが好ましい。
点検口61の大きさは、管内カメラの投入や詰まり防止のための清掃目的として、φ40以上が好ましい。
【0044】
フランジ壁62の鍔板部62aと蓋部材63の外周部を貫通するように連結ボルト64が設けられ、連結ボルト64の先端部にナット65が螺合されている。連結ボルト64は、蓋部材63の外周部とフランジ壁62の鍔板部62aに沿って間欠的に複数設けられている。
連結ボルト64は、フランジ壁62の鍔板部62aと蓋部材63の外周部を貫通可能な長さを有し、連結ボルト64の先端側にナット65を螺合することで蓋部材63を鍔板部62aに押し付けて固定することができる。なお、フランジ壁62の鍔板部62aに形成するボルト挿通用の透孔を段付き孔としておくならば、連結ボルト64の頭部側を目隠しした状態で設置することができる。
【0045】
蓋部材63の内面側にはフランジ壁62の内部に挿入されて点検口61を塞ぐ形状の突部(図示略)を設けることが好ましい。また、突部の先端面には曲管部15の内周面と面一になる凹曲面を有することが好ましい。蓋部材63に形成する突部と凹曲面の具体例については、
図4または
図16を基に後に説明する構成において説明する。
なお、蓋部材63をフランジ壁62に対し簡単に着脱自在に装着できるように、バヨネット部を介した装着構造を採用してもよい。バヨネット部を設けた装着構造については
図16を基に後に説明する構成において詳しく説明する。
【0046】
点検口部60を設ける場合、一例として、
図4に示す構造を採用することができる。
曲管部15の周壁の正面側に、横管部14の底部側から立管部13に近い位置まで延出する正面視円形状の点検口56が形成されている。この点検口56の開口周縁部から曲管部15の正面側に延出する筒状のフランジ壁57が形成されている。また、点検口56を閉じるとともに、曲管部15の周壁を兼ねるための壁部材58を備えた筒状の突部59がフランジ壁57に挿入されている。突部59は蓋部材69の片面から突出するように形成されている。
壁部材58は曲管部15の内周面と面一に連続するための凹面部58aを有する。
図4に示すように壁部材58で点検口56を閉じた状態において、凹面部58aは曲管部15の内周面と面一に連続する曲面状に形成されている。蓋部材69は、突部59をフランジ壁57に挿入し、点検口56を壁部材58で閉じた状態においてフランジ壁57の開口端を閉じることができる。
図4に示す例では、フランジ壁57に対し突部59を備えた蓋部材69を着脱自在に装着する構成の点検口部73が構成されている。
【0047】
図4に示すように、蓋部材69に一体化するように突部59と壁部材58を設け、壁部材58で点検口56を閉じた状態で凹面部58aが曲管部15の内周面と段差なく連続する曲面となる。この構成により、立管37から流入する排水を横管40側に円滑に流すことができる。
【0048】
図1~
図4では、曲管部15の正面上部側に点検口部60、73を設けた例について説明したが、点検口部60、73を設ける位置は
図1~
図4に示す例に限らない。
点検口部60を設ける位置は、例えば、
図5に示す範囲であればよい。
図5に示すように、立管部13の開口部を平面視した円が描かれている場合、中心軸線O3を起点として曲管部15の正面側中央を通過する半径に重なる第1仮想線K1を策定する。この第1仮想線K1は、点検口61の中心を通過するので点検口61の中心軸と一致する。
この仮想線K1に直交し、立管部13の開口部が描く円の直径と重なる第2仮想線K2を策定する。この場合、点検口部60の中心(点検口61の中心)が、第1仮想線K1と第2仮想線K2で挟まれる領域であって、立管部13の周回り180゜の範囲内にあればよい。
【0049】
図5では、曲管部15の周壁上部側において第1仮想線K1に沿う位置に中心を配置した点検口部60の位置を実線で示した。この第1仮想線K1の位置を中心として、立管部13の周回りに±90゜の範囲、即ち、立管部13の周回り180゜の範囲内に中心を配置するように点検口部60(点検口61)が形成されていることが好ましい。
図6は、曲管部15の上部側に点検口部60を設ける場合の位置範囲について、曲管部15の正面側から眺めた図である。
図5に示す第1仮想線K1に沿って配置した点検口部60を
図6では実線で示し、
図5に示す第2仮想線K2に沿って配置した点検口部60を
図6では2点鎖線で示した。
【0050】
図7は、立管部13の中心軸線O3と曲管部15を側面視した場合、点検口部60の設置位置範囲について説明するための図である。
図7に示すように曲管部15を側面視した状態において、点検口部60の中心(点検口61の中心)が、中心軸線O3と一致する位置から、
図7に示す立管部13の左端部側の位置を示す仮想線K7と一致する位置までの範囲に中心を設置するように点検口部60(点検口61)を設けることが好ましい。この範囲は、
図1に示すように脚部継手12(曲管部15)を側面視した状態において、中心軸線部O3aと中心軸線部5aより外側、あるいは、中心軸線部O5aと中心軸線部O2aの下側の範囲に含まれると表現できる。
【0051】
図8と
図9は、立管部13の中心軸線O3と脚部継手12(曲管部15)を側面視した状態において、点検口部60の設置位置範囲について説明するための図である。
図8に示すように脚部継手12の周壁において、横管部14の下面側に点検口部60を設けてもよい。この場合の点検口部60の設置位置は、脚部継手12(曲管部15)を側面視した状態において、中心軸線部O2aの下側に該当する。
【0052】
図10は、ロッド53により支持した脚部継手12(曲管部15)を側面視した場合、脚部継手12の側面に点検口部75を設けた場合の配管構造を示す。
この配管構造では、側面視した場合のロッド53と点検口部75の位置が干渉するため、点検口を閉じる蓋部材76の取り外しに支障を来す場合が考えられる。
図10に示す配管構造であっても、支持部材52の長さを充分に確保し、ロッド53と点検口部75の水平相互間隔を大きくすると、蓋部材76を取り外すことは可能である。しかし、脚部継手12の設置位置が壁等に挟まれた狭いスペースである場合など、設置スペースに余裕がない場合、支持部材52を充分に長く形成できないと、蓋部材76の取り外しに支障を来す場合があると考えられる。
【0053】
これらの事情も考慮すると、点検口部60の設置位置は、脚部継手12(曲管部15)を側面視した場合、
図1に示す中心軸線部O2aのできる限り下側に配置することが好ましい。
例えば、
図6に示すように曲管部15の正面側中央で立管部13に近い位置に点検口部60を設けた場合、
図6に示す曲管部15の左右両側の位置まで2点鎖線で示す点検口部60を設けることができる範囲と仮定する。これら3か所に設けた点検口部60の中心を結ぶ第3仮想線K3を策定し、第3仮想線K3に直交し、正面側中央の点検口部60の中心を通過する第4仮想線K4を策定する。
図6に示すように正面側から立管部13を見た場合、第4仮想線K4は、立管部13の中心軸線O3と一致する。
そして、第3仮想線K3と第4仮想線K4がなす角度は90゜であるが、第4仮想線K4(中心軸線O3)に対し±45゜の範囲を示す第5仮想線K5と第6仮想線K6を策定する。
【0054】
第3仮想線K3~第6仮想線K6を策定すると、点検口部60を設ける場合のより好ましい範囲は、第5仮想線K5と第6仮想線K6で挟まれる範囲となる。
即ち、
図6に示すように曲管部15を正面視した状態において、第4仮想線K4(中心軸線O3)を中心として±45゜未満の範囲に中心を設置するように点検口部60(点検口61)を設けることがより好ましい。この範囲は、横管40の中心軸線方向に曲管部15を正面視した状態において、点検口61の中心軸と立管37の中心軸線O3とのなす角度が45゜未満であることと同義である。
なお、前述の±45゜未満の範囲に設置することが好ましいとして、
図1に示すように曲管部15及び中心軸線O5を側面視した状態において、中心軸線O5よりも下側または外側の領域に点検口部60を設けるという制限は必要である。
【0055】
「
図1~
図9に示す配管構造における作用効果」
図1~
図9を用いて説明したいずれかの構成であるならば、曲管部15及び中心軸線O5を側面視した状態において、中心軸線O5よりも下側または外側の領域に中心を配置した点検口部60、73を有する。多層階建築物1の場合、脚部継手12は、地下室のスラブ近くや狭いパイプスペースの天井近くなどに設けられることが多い。
曲管部15の点検口部60を設ける位置が曲管部15の中心軸線O5より下側または外側であれば、地下室のスラブ近くやパイプスペースの天井近くに曲管部が設けられていたとして、点検作業や清掃作業に必要なスペースを確保し易い。従って点検作業、清掃作業の容易な配管構造を提供できる。また、マンションのエントランス等の天井近くに横管が接続されるように曲管部15が配置される場合であっても、作業スペースを確保可能な方向の点検口部60、73の位置を選択しておくならば、天井に設けた図示略の点検口などから脚部継手12の点検口部60、73を開閉し、点検作業あるいは清掃作業を確実に実施することができる。
【0056】
また、
図6に示すように第4仮想線K4(中心軸線O3)を中心として±45゜未満の範囲に点検口部60の中心を設置することができる。この場合、地下室のスラブ近くに脚部継手12が設けられた構造、あるいは、脚部継手12の近傍に天井や壁が設置された構造であっても、作業者は作業スペースを確保し易く、スラブや壁との干渉を避けながら点検作業または清掃作業を実施することができる。
【0057】
図8に示すように、脚部継手12に設けた点検口部60が立管37の中心軸線(中心軸線O3)と同じ方向を向いていることは脚部継手12の下部側に点検口が存在することを意味する。この場合、地下室のスラブや天井などとの干渉を避けつつ広い作業スペースを確保し、点検作業や清掃作業を実施できる。
図1、
図4、
図6に示すように、脚部継手12に設けた点検口部60、73が横管接続部19の中心軸線O2と同じ方向を向いている場合、脚部継手12の正面側に点検口部60、73が存在する。この場合、地下室のスラブや天井及びロッド53などとの干渉を避けつつ広い作業スペースを確保し、点検作業や清掃作業を実施できる。
なお、
図1~
図3、
図5~
図6、
図8~
図9に示す配管構造であるならば、立管37からの排水が勢い良く流れ込んだとして、点検口部60に排水による大きな水圧が作用し難い。よって、これらの図に示す構造であれば、長く使用したとして、点検口部60において漏水などの問題を生じ難い構造とすることができる。
【0058】
「第2実施形態」
図11、
図12は、本発明の第2実施形態に係る配管構造が適用された多層階建築物の要部の縦断面図である。
第2実施形態の配管構造では、
図1に示す第1実施形態の第2支持部51に代えて、曲管部15の上部側をロッド53で支持した構造とした。
図11及び
図12に示す排水構造11Bのように、先の第1実施形態の脚部継手12、立管37、横管39、及び第2支持部51に代えて、第2支持部66及び第3支持部71を備えてもよい。この第2実施形態では、立管部13には、フランジである立管接続部18Aが形成されている。
この形態で、横管部14の外径、内径は、立管部13の外径、内径よりもそれぞれ大きい。曲管部15では、立管部13側から横管部14側に向かうに従い漸次、外径及び内径がそれぞれ大きくなる。
【0059】
第2支持部66は、脚部継手12の立管部13と床スラブ6とを連結している。第2支持部66は、支持片67、68と、ロッド53と、ナット54と、アンカー55と、を備えている。
支持片67、68は、脚部継手12の立管部13を立管部13の径方向に挟んでいる。
ロッド53は、第2支持部66に一対備えられている。各ロッド53の下端部は、支持片67、68に固定されている。各ロッド53の上端部の雄ネジは、各アンカー55の雌ネジにそれぞれ嵌合されている。
【0060】
この第2実施形態では、立管部13の立管接続部18Aに立管36の下端部が接続されている。
第3支持部71は、いわゆる1本吊りタイプの支持部であり、第1支持部46と同様に構成されている。第3支持部71は、横管40と床スラブ6とを連結している。
【0061】
図11、
図12に示す配管構造においても、曲管部15の中心軸線O5は、脚部継手12(曲管部15)を
図11に示すように側面視した状態において、中心軸線部O2aと中心軸線部O5aと中心軸線部O3aを有する。
図11に示す配管構造においても、曲管部15の周壁に点検口部60を設ける場合、中心軸線部O2aと中心軸線部O5aより下側であって、中心軸線部O3aと中心軸線部5aより外側に位置する曲管部15の周壁に設けることが好ましい。即ち、曲管部15及び曲管部15の中心軸線O5を側面視した状態において、中心軸線O5よりも下側または外側の領域に中心を位置させるように点検口部60を設けることが好ましい。
【0062】
図11に示す配管構造においても、点検口部60の設置位置の範囲は第1実施形態及びその他の例の配管構造と同様である。
例えば、
図13に示すように曲管部15を側面視した状態において、点検口部60の中心が、立管接続部18Aの左端部側の位置を示す仮想線K8と、横管接続部19の左端部側位置を示す仮想線K9の間の領域に配置されることが好ましい。
曲管部15の仮想線K8と仮想線K9の間であって、曲管部15の底面側に点検口部60を配置した場合の配置例を
図13、
図14に示しておく。
【0063】
図15は、第1実施形態の場合に
図5で示した立管部13の周方向における点検口部60の設置範囲に合わせ、
図11、
図12に示す配管構造の場合に、立管接続部18Aの周方向に点検口部60を配置する場合の設置範囲について示す。
図15では、立管接続部18Aの開口部を平面視した場合、中心軸線O3を起点として曲管部15の正面側中央を通過する半径に重なる第1仮想線K1を策定する。この仮想線K1に直交し、立管接続部18Aが描く円の直径と重なる第2仮想線K2を策定する。この場合、点検口部60の中心が、第1仮想線K1と第2仮想線K2で挟まれる立管部13の周回り180゜の範囲内にあればよい。
【0064】
図16は、曲管部15に形成した点検口部(点検口)を開閉する機構としてバヨネット部を介し蓋部材を設けた構造の一例を示す。
図16に示す曲管部15においても、
図1に示す配管構造に適用した点検口61と同等の位置に点検口61が形成されている。
曲管部15の周壁において点検口61の周囲を囲む位置に周壁から突出するように背の低い筒状の延長壁80が形成され、この延長壁80の開口部を開閉する蓋部材81が設けられている。延長壁80の内周面には、L字型の係合溝82が周回りに複数形成されている。係合溝82の一端は延長壁80の開口部に到達するように形成され、係合溝82の奥側の部分は延長壁80の内周に沿って同一の周回り方向に延在されている。延長壁80の内周面には複数の係合溝82が周方向に所定の間隔で形成されている。
【0065】
蓋部材81は点検口61の開口面を閉じることができる大きさに形成されている。蓋部材81の内面側には延長壁80の内部側に挿入されるとともに、蓋部材81で点検口61を閉じた場合に、曲管部15の内周面と面一となる凹面部83aを有する蓋部83が形成されている。蓋部83の周壁部には蓋部83を延長壁80の内部に挿入した場合に係合溝82に挿入可能な係合突起84が複数形成されている。係合突起84の数は係合溝82の数と同一である。また、係合突起84は、蓋部83を延長壁80に挿入した場合に延長壁80の開口部に位置する係合溝82に位置合わせできるように形成されている。延長壁80の内部側には、リング状のパッキン85が挿入されている。
【0066】
蓋部材81は、係合溝82に対し係合突起84を位置合わせし、蓋部83を延長壁80の内側に挿入できる。延長壁80の内側で蓋部83を所定角度回転させると、係合溝82の奥側に係合突起84が移動する。係合溝82の最奥部に係合突起84が移動すると、蓋部材81はそれ以上回転しなくなり、蓋部材81は延長壁80に係合される。
蓋部材81を延長壁80に係合した状態で凹面部83aは曲管部15の内周面と面一に連続する。
延長壁80と係合溝82と蓋部材81と係合突起84を設けた構造は、バヨネット部86と称することができる。
【0067】
このバヨネット部86を備えた蓋部材81であるならば、ボルトやナットなどのねじ機構を用いることなく、蓋部材81を回動操作することにより、容易に点検口61を開閉することができる。
バヨネット部86を備えた脚部継手12により配管構造を構成すると、点検作業、清掃作業などの際、狭い空間やスペースに配管構造を適用されていたとして、作業員が簡単に点検口61を開放して点検作業または清掃作業ができる配管構造を提供できる。また、点検作業や清掃作業の終了後、蓋部83を延長壁80の内側に挿入し、回動操作する作業のみで蓋部材81の取り付けが完了する。
図16に示す配管構造であるならば、蓋部材81の内側にパッキン85を挿入しているため、点検口61を設けた部分の止水性は十分であり、漏水などの問題は生じない。
【符号の説明】
【0068】
1…多層階建築物(建築物)、
6…床スラブ、
7…充填材、
11…排水構造、
11B…排水構造、
12…脚部継手、
13…立管部、
14…横管部、
15…曲管部、
19…横管接続部、
36、37…立管、
39、40…横管、
46…第1支持部、
51…第2支持部、
56…点検口、
60…点検口部、
61…点検口、
K1…第1仮想線(点検口の中心軸)、
66…第2支持部、
73…点検口部、
80…延長壁、
81…蓋部材、
82…係合溝、
83…蓋部、
84…係合突起、
86…バヨネット部。