(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154013
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の調整方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20251002BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20251002BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20251002BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 Z
B41J5/30 C
H04N1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056780
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】出原 武典
【テーマコード(参考)】
2C187
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2C187AC01
2C187AC07
2C187AD14
2C187AE01
2C187AG01
2C187BF45
2C187CC04
2H270LA22
2H270LD03
2H270LD09
2H270LD15
2H270MA40
2H270MB12
2H270MB17
2H270MB28
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EA05
2H300GG01
2H300GG02
2H300GG21
2H300RR31
2H300RR35
2H300RR39
2H300RR40
(57)【要約】
【課題】チャートのパッチ密度を上げても、色調整を正しく実施可能とする。
【解決手段】画像形成装置1は、搬送された用紙50に色調整に用いる色調整チャート画像を印刷する画像形成部5と、用紙50に印刷された色調整チャート画像を読み取る画像センサ9と、を備える。画像形成装置1は、搬送された用紙50の位置から色調整チャート画像の印刷位置を調整する位置調整を行い、画像形成部5が印刷した色調整チャート画像を用いて色調整を行う制御部10を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された用紙に画像を印刷する画像形成部と、
前記用紙を読み取る画像センサと、
前記用紙上に印刷された画像の位置から前記画像形成部による用紙への印刷位置を調整したのち、前記画像形成部が印刷したチャートを用いて前記画像形成部の色調整を実施する制御部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、前記用紙にマーカを印刷し、
前記制御部が、前記用紙上のマーカの位置から印刷位置を調整したのち、
前記画像形成部は、チャートを印刷する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、精度の異なる複数種類の色調整を実施可能であり、
予め定められた精度の色調整を行う場合には、予め印刷位置を調整する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像形成部の印刷の状態に基づいて、印刷位置の調整を行うか否かを判断する、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、ジョブの実行中に色調整を実施する場合、予め前記画像形成部の印刷位置を調整する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、ジョブにおける各ページの印刷時に、高画質印刷の設定が行われたならば、印刷位置を調整したのち、前記画像を用いて色調整を実施する、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、ジョブの実行中に印刷位置を調整した場合、前記用紙の搬送速度に応じてパッチのサイズ間隔を変更して、前記画像形成部の色調整を実行する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、ジョブの実行中に、当該ジョブで印刷する第1の用紙と同じ種類で、かつ主走査方向がより長い第2の用紙が、当該第1の用紙を格納する給紙トレーとは異なる給紙トレーに格納されている場合、前記画像形成部の印刷位置の調整後に、前記第1の用紙のチャートと比べて主走査方向により多くのパッチを配置したチャートを前記第2の用紙に印刷する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、ジョブの実行中に、当該ジョブで印刷する第1の用紙と同じ種類で主走査方向がより長い第2の用紙が何れかの給紙トレーに格納されている場合、前記画像形成部の印刷位置の調整後に、当該第2の用紙に対して、前記チャートのパッチのサイズ間隔を変更して、主走査方向に、当該第1の用紙向けのチャートより多くの前記パッチを配置したチャートを用紙に印刷する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、チャートのパッチサイズが閾値を下回るか、または、パッチ間隔が閾値を下回る場合に、前記画像形成部の印刷位置の調整を実施してからチャートを印刷し、前記画像形成部の色調整を実行する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、給紙トレーごとに、当該給紙トレーに格納された用紙を用いた画像位置調整の時期を記憶し、記憶した時期からの経過時間が閾値以内、または、印刷枚数が閾値以内の場合は、前記画像形成部の印刷位置の調整を行わずに色調整を実施する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、同一の種類の用紙が入った複数の給紙トレーがある場合に、画像位置調整を実施した時期が閾値以内の何れかの給紙トレーを選択して、前記画像形成部の印刷位置の調整を行わずに色調整を実施する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、チャートを出力する用紙の位置調整の時期の閾値から、パッチサイズ及び/又はパッチ間隔の変更を行って前記チャートを印刷する方法と、画像位置調整を実施してから所定のパッチサイズで前記チャートを印刷する方法のうち、用紙の枚数を節約できるいずれか一方でチャートを印刷する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、チャートを出力する用紙の位置調整の時期の閾値から、パッチサイズ及び/又はパッチ間隔の変更を行った前記チャートを印刷する方法と、画像位置調整を実施してから所定のパッチサイズで前記チャートを印刷する方法のうち、時間短縮可能ないずれか一方でチャートを印刷する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項15】
画像形成部が、搬送された用紙に画像を印刷するステップと、
制御部が、センサにより前記用紙を画像として読み取るステップと、
前記制御部が、前記用紙上に印刷された画像の位置から前記画像形成部による用紙への印刷位置を調整するステップと、
前記制御部が、前記画像形成部が印刷したチャートを用いて前記画像形成部の色調整を実施するステップと、
を備える、画像形成装置の調整方法。
【請求項16】
画像形成装置の統括制御するコンピュータに、
搬送された用紙に画像形成部で画像を印刷する手順、
画像センサにより前記用紙を読み取る手順、
前記用紙上に印刷された画像の位置から前記画像形成部による用紙への印刷位置を調整する手順、
前記画像形成部が印刷したチャートを用いて前記画像形成部の色調整を実施する手順、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の調整方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの電子写真方式の画像処理装置としては、用紙に応じて測色センサの選択を行うものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、高精細の色合わせを行うためにまず色調整チャートを印刷し、印刷された色調整チャートを測色センサで読み取ることにより色調整を行う発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の画像形成装置は、高精細な色調整を行うためには、チャートのパッチ数を増やさねばならない。このようにパッチ数を増やすと、色調整チャートを大量の用紙に印刷しなければならず、用紙の無駄が増えてしまう。
また、パッチ数が多くなると、読み取り回数も多くなる。このため、調整に時間がかかってしまうといった問題があった。比較例では、パッチのサイズを小さくして密度を上げる事によってテストチャートの枚数を減らす対応を行っていた。パッチサイズが小さく主走査方向のパッチ数が多ければ、パッチの読み取り回数は減るため、調整時間が短くなる。
しかし、パッチの密度を上げると、パッチ読み取り位置が少しでもずれると隣のパッチを測定してしまうため色調整に失敗してしまうという課題があった。
【0005】
本発明の画像形成装置は、このような背景を鑑みてなされたものである。すなわち、チャートのパッチ密度を上げても、色調整を正しく実施することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
(1)画像形成装置は、搬送された用紙に画像を印刷する画像形成部と、前記用紙を読み取る画像センサと、を備える。画像形成装置は、前記用紙上に印刷された画像の位置から前記画像形成部による用紙への印刷位置を調整したのち、前記画像形成部が印刷したチャートを用いて前記画像形成部の色調整を実施する制御部を備える。
(2)前記画像形成部は、前記用紙にマーカを印刷し、前記制御部が、前記用紙上のマーカの位置から印刷位置を調整したのち、前記画像形成部は、チャートを印刷する(1)記載の画像形成装置。
(3)前記制御部は、精度の異なる複数種類の色調整を実施可能であり、予め定められた精度の色調整を行う場合には、予め印刷位置を調整する(1)または(2)記載の画像形成装置。
(4)前記制御部は、前記画像形成部の印刷の状態に基づいて、印刷位置の調整を行うか否かを判断する(1)記載の画像形成装置。
(5)前記制御部は、ジョブの実行中に色調整を実施する場合、予め前記画像形成部の印刷位置を調整する(4)に記載の画像形成装置。
(6)前記制御部は、ジョブにおける各ページの印刷時に、高画質印刷の設定が行われたならば、印刷位置を調整したのち、前記画像を用いて色調整を実施する(5)記載の画像形成装置。
(7)前記制御部は、ジョブの実行中に印刷位置を調整した場合、前記用紙の搬送速度に応じてパッチのサイズ間隔を変更して、前記画像形成部の色調整を実行する(4)記載の画像形成装置。
(8)前記制御部は、ジョブの実行中に、当該ジョブで印刷する第1の用紙と同じ種類である場合がある。かつ、主走査方向がより長い第2の用紙が、当該第1の用紙を格納する給紙トレーとは異なる給紙トレーに格納されている場合がある。双方の場合を満たす際、前記画像形成部の印刷位置の調整後に、前記第1の用紙のチャートと比べて主走査方向により多くのパッチを配置したチャートを前記第2の用紙に印刷する(4)記載の画像形成装置。
(9)前記制御部は、ジョブの実行中に、当該ジョブで印刷する第1の用紙と同じ種類で主走査方向がより長い第2の用紙が何れかの給紙トレーに格納されている場合がある。この場合、前記画像形成部は、印刷位置の調整後に、当該第2の用紙に対して、前記チャートのパッチのサイズ間隔を変更する。また、画像形成装置は、主走査方向に、当該第1の用紙向けのチャートより多くの前記パッチを配置したチャートを用紙に印刷する(4)記載の画像形成装置。
(10)前記制御部は、チャートのパッチサイズが閾値を下回るか、または、パッチ間隔が閾値を下回る場合がある。この場合に、前記画像形成部の印刷位置の調整を実施してからチャートを印刷し、前記画像形成部の色調整を実行する(4)記載の画像形成装置。
(11)前記制御部は、給紙トレーごとに、当該給紙トレーに格納された用紙を用いた画像位置調整の時期を記憶し、記憶した時期からの経過時間が閾値以内、または、印刷枚数が閾値以内の場合は、前記画像形成部の印刷位置の調整を行わずに色調整を実施する(4)記載の画像形成装置。
(12)前記制御部は、同一の種類の用紙が入った複数の給紙トレーがある場合に、画像位置調整を実施した時期が閾値以内の何れかの給紙トレーを選択して、前記画像形成部の印刷位置の調整を行わずに色調整を実施する(4)記載の画像形成装置。
(13)前記制御部は、チャートを出力する用紙の位置調整の時期の閾値から、パッチサイズ及び/又はパッチ間隔の変更を行って前記チャートを印刷する方法と、画像位置調整を実施してから所定のパッチサイズで前記チャートを印刷する方法のうち、用紙の枚数を節約できるいずれか一方でチャートを印刷する(4)記載の画像形成装置。
(14)前記制御部は、チャートを出力する用紙の位置調整の時期の閾値から、パッチサイズ及び/又はパッチ間隔の変更を行った前記チャートを印刷する方法と、画像位置調整を実施してから所定のパッチサイズで前記チャートを印刷する方法のうち、時間短縮可能ないずれか一方でチャートを印刷する(4)記載の画像形成装置。
(15)画像形成部が、搬送された用紙に画像を印刷するステップと、制御部が、センサにより前記用紙を画像として読み取るステップと、を備える。また、画像形成装置が、前記制御部が、前記用紙上に印刷された画像の位置から前記画像形成部による用紙への印刷位置を調整するステップを備える。そして、前記制御部が、前記画像形成部が印刷したチャートを用いて前記画像形成部の色調整を実施するステップを備える画像形成装置の調整方法。
(16)画像形成装置は、統括制御するコンピュータに、搬送された用紙に画像形成部で画像を印刷する手順、画像センサにより前記用紙を読み取る手順、を実行させる。また、前記コンピュータは、前記用紙上に印刷された画像の位置から前記画像形成部による用紙への印刷位置を調整する手順、を実行する。そして、前記コンピュータに前記画像形成部が印刷したチャートを用いて前記画像形成部の色調整を実施する手順、を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、チャートのパッチ密度を上げても、色調整を正しく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態に係る画像形成装置の構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】第一実施形態に係る画像形成装置で制御部の構成を示すブロック図である。
【
図3】第一実施形態の画像形成装置による色調整の制御を説明するフローチャートである。
【
図4】第一実施形態の画像形成装置で二枚の色調整チャート画像を一枚にまとめて色調整を行う様子を説明する平面図である。
【
図5】第二実施形態の画像形成装置による色調整の制御を説明するフローチャートである。
【
図6】色調整チャート画像が印刷された用紙の平面図である。
【
図7】第三実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図8】第四実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図9】第五実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図10】第六実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図11】第七実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図12】第七実施形態の画像形成装置で、搬送速度が遅い場合の色調整に用いる色調整チャート画像の平面図である。
【
図13】第七実施形態の画像形成装置で、搬送速度が中間の場合の色調整に用いる色調整チャート画像の平面図である。
【
図14】第七実施形態の画像形成装置で、搬送速度が速い場合の色調整に用いる色調整チャート画像の平面図である。
【
図15】第八実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図16】第八実施形態の画像形成装置で、走査の際に搬送を停止させる様子を説明する色調整チャート画像の平面図である。
【
図17】第九実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図18】第九実施形態の画像形成装置で、比較例の色調整に用いる色調整チャート画像の平面図である。
【
図19】第九実施形態の画像形成装置で、複数の色調整チャート画像をまとめた色調整チャート画像の平面図である。
【
図20】第十実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図21】第十一実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図22】第十二実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図23】第十三実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図24】第十三実施形態の画像形成装置で、三枚出力された色調整に用いる色調整チャート画像の平面図である。
【
図25】第十三実施形態の画像形成装置で、マーカ画像が印刷された位置調整用紙および複数の色調整チャート画像をまとめた色調整チャート画像の平面図である。
【
図26】第十四実施形態の画像形成装置で、色調整の処理について説明するフローチャートである。
【
図27】第十四実施形態の画像形成装置で、三枚出力された色調整に用いる色調整チャート画像の平面図である。
【
図28】第十四実施形態の画像形成装置で、マーカ画像が印刷された位置調整用紙および複数の色調整チャート画像をまとめた色調整チャート画像の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
以下、本発明を実施するための形態について各図を参照して詳細に説明する。
図1は、第一実施形態に係る画像形成装置1の全体構成図、
図2は、画像形成装置1のブロック図である。
【0010】
[画像形成装置の構成]
画像形成装置1は、
図1に示すように筐体を有する装置本体2に、タッチパネルディスプレイ4と、画像形成部5と、給紙トレー部6と、搬送部7と、排紙トレー部11が備えられている。
【0011】
タッチパネルディスプレイ4は、液晶ディスプレイに透明タッチパネルが重畳されて構成されており、画像、図形または文字を表示すると共に、ユーザの操作を受け付ける。
画像形成部5は、用紙上に電子写真方式の画像を形成する。給紙トレー部6は、給紙トレー6a~6dと、用紙判別部8の用紙判別センサ8a~8dを含んで構成される。給紙トレー6a~6dには、第1の用紙50a、第2の用紙50b、第3の用紙50cおよび第4の用紙50dなど、複数の種類の用紙が格納されている。用紙判別センサ8aは、給紙トレー6aに格納された用紙の種類を判別する。給紙トレー6bには、第2の用紙50bが格納されている。なお、用紙判別部8の用紙判別センサ8bは、各給紙トレー6a~6dに用紙が存在するか否かについても判別することができる。
【0012】
給紙トレー6cには、第3の用紙50cが格納されている。用紙判別センサ8cは、給紙トレー6cに格納された用紙の種類を判別する。給紙トレー6dには、第4の用紙50dが格納されている。用紙判別センサ8dは、給紙トレー6dに格納された用紙の種類を判別する。
搬送部7では、給紙トレー部6に格納された用紙が画像形成部5を経由して排紙トレー部11に搬送される。
【0013】
また、第一実施形態の画像形成装置1は、画像センサ9と、
図2に示す制御部10と、を備えている。なお、画像形成装置1には、ADF(Automatic document feeder)など用いるスキャナ装置を設けて、読み取った画像を制御部10に送出する画像読取部を備えるようにしてもよい。
【0014】
このうち、画像形成部5には、給紙トレー部6から搬送部7によって用紙50が搬送される。画像形成部5は、搬送された用紙50に画像を印刷する。画像形成装置1を統括制御するコンピュータとしての制御部10は、画像形成部5に画像データの画像を用紙50に画像データを印刷する方法で印刷させる。
また、画像形成装置1の画像調整方法の一つとして色調整方法を実行する際、色調整チャート画像の画像データを用紙50に印刷して用いる。
このため、第一実施形態の画像形成部5は、制御部10に予め入力されて記憶された色調整に用いる
図4に示すような色調整チャート画像の画像データを用紙50にチャートを印刷する方法で印刷する。
【0015】
色調整チャート画像61,62,63は、何れも色彩および階調(色の濃淡)が異なる複数の正方形(または長方形)のパッチが縦横に並べられて構成されている。
図4の用紙51は、平面視で長方形である。用紙51は、搬送部7による搬送方向FにX方向(長い方向)を一致させて搬送される。用紙51に印刷される色調整チャート画像61は、Y方向(短い方向)に4個、X方向に10個、合計40個のパッチをマス目状に配列している。各パッチは、色彩(赤色、青色、黄色、緑色またはこれらの中間色…など)および階調(色の濃淡)の組み合わせ(以下、色彩等と記す)が全て異なるように印刷される。
【0016】
また、
図4の用紙52に印刷される色調整チャート画像62は、Y方向に5個、X方向に10個、合計50個の色彩および階調が異なるパッチがマス目状に配列されている。
【0017】
このような二枚の用紙51,52に分けて印刷される色調整チャート画像61,62の合計90個のパッチを用いて画像形成装置の調整方法が実施される。
第一実施形態の画像形成装置1の調整方法では、色調整を行うことにより所望の精度の色調整を行うことができる。第一実施形態の色調整には、階調(色の濃淡)の調整も行われる色彩等の調整(以下、色調整とも記す)が含まれる。なお、画像センサ9により色調整チャート画像または、印刷された画像の色彩および階調(色の濃淡)が走査により読み込んでデータ化することを測色とここでは記載する。
しかしながら、90個のパッチを色調整が可能な大きさに印刷するためには、二枚の用紙51,52を必要とする。このため、色調整チャート画像61,62を印刷するために二枚分の時間が必要となる。また、色調整チャート画像61,62を読み込む際、二枚の用紙51,52を画像センサ9にて読み込む際にも二枚分の時間が必要となる。
【0018】
これに対してたとえば、
図4の用紙53に印刷された色調整チャート画像63のように、Y方向に9個、X方向に10個、合計90個の色彩および階調が全て異なるパッチをまとめてマス目状に配列することが考えられる。
この場合、一つずつのパッチは小さくなり、隣接するパッチとの間隔も狭くなる。これにより、パッチの用紙53上の印刷位置がずれると、画像センサ9が認識するパッチが隣接する他のパッチとなってしまう可能性が高くなる。このため、正確な色調整を一枚の用紙53にまとめて短時間で行うことは困難であった。
【0019】
第一実施形態の画像形成装置1では、画像センサ9が画像形成部5の出口側に設けられている。画像センサ9は、走査方向を用紙50の搬送方向Fと直交させたラインセンサなどの測色センサにより構成されている。
そして、画像形成部5により画像データが印刷された用紙50は、搬送部7の駆動により排出されて画像センサ9の位置まで搬送される。画像センサ9は、用紙50に印刷されている画像を主走査方向Sに沿って複数回スキャニングする。画像センサ9により読み取られた色調整チャート画像のデータは、制御部10に送られて色調整に用いられる。
【0020】
また、画像形成装置1の調整方法の一つとして位置調整方法が実施される。
画像センサ9は、画像形成部5により用紙50に印刷された色調整チャート画像Tの他、用紙50に印刷された位置調整チャートのマーカ画像71~74(
図25参照)を読み取ることができる。位置調整チャートのマーカ画像71~74は、十字型で用紙50の四隅付近の所定の位置に印刷されていて交差する中心点の位置から印字されているXY方向の位置を測定できる。そして、色調整チャート画像と同様に、画像センサ9により読み取られたマーカ画像71~74のデータは、制御部10に送られて位置調整に用いられる。
【0021】
そして、制御部10は、位置調整部3aと色調整部3bとを有している。
位置調整部3aは、印刷位置を調整する手順によって印刷位置の位置調整を行う。すなわち、制御部10は、搬送部7によって搬送された用紙50の位置を画像センサ9によって読み取り、読み取られた用紙50の位置情報に基づいて位置調整部3aが印刷位置の位置調整を行なわせる。
制御部10は、位置調整された画像データの画像または、色調整チャート画像の画像データを画像形成部5により用紙50に印刷する。
また、制御部10は、色調整部3bによって色調整を行う。色調整を行う際、画像形成部5が印刷した色調整チャート画像が用いられる。画像形成装置の調整方法では、位置調整部3aにより位置調整する手順と、色調整部3bにより色調整する手順と、が組み合わされた調整の手順により行われる。
図2は、画像形成装置1の制御部10および制御部10に接続されている構成部位が示されたブロック図である。構成部位は、タッチパネルディスプレイ4、画像センサ9、画像形成部5、給紙トレー部6に搭載されたセンサである用紙判別部8などである。
【0022】
なお、制御部10には、
図2に示すようにネットワークインタフェース101やHDD/SSD102、が接続されていてもよい。また、制御部10には、USBインタフェース103、シリアルインタフェース104が接続されていてもよい。さらに、制御部10には、ROM(Read Only Memory)105、またはRAM(Random Access Memory)106が接続されていてもよい。なお、図面では、インタフェースのことを“I/F”と記載している。
【0023】
また、
図2に示すように、第一実施形態の画像形成装置1の制御部10は、コントローラとして複数のCPU(Central Processing Unit)10a~10dを有している。
CPU10a~10dは、ROM105から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM106に展開する。
【0024】
そして、CPU10a~10dは、展開したプログラムと、RAM106やHDD/SSD102または外部ストレージ等の記憶部に記憶された各種データと、を協働させる。外部ストレージとしては、HDD/SSD102やUSBインタフェース103、またはシリアルインタフェース104に接続された他の機器を用いてもよい。制御部10は、CPU10a~10dによる処理に基づいて画像形成装置1の画像形成部5、給紙トレー部6、搬送部7および画像センサ9を制御する。
【0025】
第一実施形態の画像処理部12は、HDD等の記憶部内の階調補正データ(例えば、階調補正テーブルLUT)に基づいて階調補正を行う。画像処理部12は、入力画像データに対して、印刷範囲の設定および階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を実行する。
【0026】
制御部10は、画像処理部12で処理した画像データを画像形成部5に送出して、Y(イエロー)成分、M(マゼンタ)成分、C(シアン)成分、K(ブラック)成分の各有色トナーによる転写をそれぞれ行う。
画像形成部5には、各Y成分、M成分、C成分、K成分ごとに露光装置が設けられている。それぞれの露光装置は、半導体レーザで構成されていて各感光体ドラム等に対してそれぞれの色成分の画像に対応するレーザ光を照射する。感光体ドラムの電荷発生層で発生した正電荷は表面まで輸送されて表面電荷(負電荷)にて中和される。感光体ドラムの表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置は、感光体ドラムの表面に各色成分のトナーを付着させることによりトナー像を形成する。トナー像は、静電潜像を可視化して形成されて図示しない中間転写ベルトを介して、搬送部7により搬送される用紙50に転写される。用紙50の紙面の上に転写されたトナー像は、重ね合わせにより、印刷範囲、色彩および階調が調整された印刷画像となる。
【0027】
給紙トレー部6は、大きさおよび上下左右の向きが異なる複数の種類の用紙50をそれぞれストックする複数の給紙トレー6a~6dを有している。各給紙トレー6a~6dにストックされた大きさおよび向きが異なる用紙50は、用紙判別部8の用紙判別センサ8a~8dによりいずれの大きさおよび向きでストックされているか判別される。
【0028】
そして、制御部10は、必要に応じて搬送部7の駆動を制御して、いずれかの給紙トレー6a~6d内にストックされている用紙50を画像形成部5まで搬送する。画像形成部5は、用紙50の上に所望の配置、色彩および階調の画像を印刷する。そして、画像が印刷された用紙50は、搬送部7により、画像センサ9が設けられている部分で一旦停止または通過して、画像形成装置1の外部に設けられた排紙トレー部11に搬出される。
【0029】
また、制御部10は、予め画像形成部5によりマーカ画像71~74(
図25参照:以下、マーカとも記す)が印刷された用紙50から画像センサ9を用いて、マーカ画像71~74を読み取って位置調整を行う。そして、制御部10は、印字範囲の位置調整を実施してから色調整チャート画像の印刷を行うように構成されている。
たとえば従来、マーカ画像71~74を付与した色調整用パッチを印刷してマーカ画像71~74の位置を色調整の読み取りと同時に検知するものが知られている。一方本発明の色調整の処理では、走査線の上に確実に全てのマーカ画像71~74が配置される。このため、画像形成装置1では、従来の色調整と比較してマーカ画像71~74の読み取り精度が良好で高精度の色調整を実施できる。
【0030】
図3に示すように、第一実施形態の画像形成装置の調整方法では、位置調整を実施してから色調整を行う。
まず、画像形成装置1の制御部10は、処理を開始するとステップ(手順)S1で搬送部7を駆動して給紙トレー部6の各給紙トレー6a~6dにストックされているいずれかの用紙51~54を位置調整用の用紙として画像形成部5の位置まで搬送する。
ステップS2では、制御部10は、画像形成部5を駆動制御して
図25に示すマーカ画像71~74を搬送された用紙にマーカ画像を印刷する方法で印刷する。
ステップS3では、
図1に示す画像センサ9の位置まで搬送部7により搬送された用紙51のマーカ画像71~74を画像センサ9で画像を読み取る手順によって読み取る(スキャニング)。
【0031】
ステップS4では、画像センサ9から送られてきたマーカ画像71~74のデータに基づいて、制御部10は、マーカ画像71~74を読み取った用紙51の次に印刷される用紙の色調整チャート画像の位置を調整する。
ステップS5では、制御部10が画像形成部5を駆動制御して次の用紙53にパッチを含む色調整チャート画像がチャートを印刷する方法で印刷される。この際、画像を印刷する手順として、
図4の用紙53のように、Y方向に9個、X方向に10個、合計90個の色彩および階調が全て異なるパッチがまとめられて色調整チャート画像63が印刷される。
色調整チャート画像が印刷された用紙53は、搬送部7により搬送されて画像形成装置1から排紙トレー部11に搬紙して処理を終了する。
【0032】
ステップS6では、搬出された用紙53を用いて印刷された色調整チャート画像63のパッチを画像センサ9にて読み取る。
そして、ステップS4では、画像センサ9から送出された色調整チャート画像63のデータに基づいて制御部10は、画像形成部5で形成される画像の色調整を行う。
【0033】
これにより、第一実施形態の画像形成装置1は、色調整チャート画像のパッチ数が多くても、まとめて一枚の用紙53に全てパッチを印刷している。このため、色調整チャート画像の読取回数を減らすことができる。
このように、色調整チャート画像を小さくして密度を上げても正確な所望の位置に配列されたパッチは、確実に画像センサ9により読み取られる。したがって、色調整に用いられる色調整チャート画像の誤測定を減少させることができる。
よって、画像形成装置1は、色調整チャート画像の印刷に用いる用紙53を一枚に節約しながら短時間で高精細な色調整を行うことができる。
【0034】
また、色調整チャート画像は、用紙50の四隅付近に印刷された複数の十字のマーカ画像71~74を用いて正確に位置調整されている。このため、さらに色調整チャート画像を構成するパッチを小さくして密度を上げても誤測定を減少させることができる。
また、画像センサ9は、十字のマーカ画像71~74が印刷されていない用紙の余白部分を省略してスキャニングすることが出来る。したがって、第一実施形態の画像形成装置は、読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率をさらに向上させることができる。
【0035】
図5は、第二実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
【0036】
図5に示すフローチャートは、第二実施形態の画像形成装置1を用いた色調整の制御を説明している。
ステップS11で、色調整チャートの印刷の指示が行なわれると、制御部10は、まずステップS12で、
図2に示す位置調整部3aが画像形成部5に対して、
図3のステップS2からステップS6と同様にマーカ画像の出力する位置調整の処理を実施する。
次のステップS13では、位置調整の結果に基づいて制御部10は、色調整チャート画像の印刷を画像形成部5に指示して、画像形成部5に色調整チャート画像を印刷させる。
ステップS14では、色調整チャート画像を用いてセンサにより測色が行われ、色補正処理として色調整が実施される。そして、色調整チャート画像が印刷された用紙50は、ステップS15にて、搬送部7により搬送されて排紙される。
【0037】
このように第二実施形態の画像形成装置1では、タッチパネルディスプレイ4の操作部4b、或いは、ネットワークインタフェース101、HDD/SSD102、USBインタフェース103または、シリアルインタフェース104を介して色調整チャートの印刷の指示が行なわれる。
すなわち、先にマーカ画像71~74が印刷された用紙を用いて位置調整が行なわれて、位置調整が行なわれた後、次に色調整が実行される。
【0038】
図6は、画像形成装置1に用いられる色調整チャート画像64が印刷された用紙54を示している。
用紙54は、
図4に示す用紙53の搬送方向Fに対するX方向およびY方向の向きを90度変更している。これにより用紙54に印刷される色調整チャート画像64は、搬送方向Fと一致するY方向に11個、X方向に13個、合計141個の色彩および階調が全て異なるパッチを印刷することができる。
【0039】
このように構成された用紙54を用いる色調整は、第一実施形態の画像形成装置1にて処理される色調整と比して、パッチの数を増やすことが出来る。このため、第二実施形態の画像形成装置1は、更に色調整を高精度で行える。また、用紙53と同じ搬送速度で用紙54が搬送される場合には、色調整チャート画像64を全て読み取る時間が短縮される。
この際、色調整チャート画像は、マーカ画像71~74を用いて正確に位置調整されている。このため、さらに色調整チャート画像を小さくして密度を上げても誤測定を減少させて高精細な色調整を常に短時間で行うことができる。他の構成及び作用効果については、第一実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
図7は、第三実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
まず、ステップS21で、処理が開始されるとマーカ画像71~74あるいは色調整チャート画像等以外の印刷物である用紙への印刷(ジョブとも記す)が指示される。一般にジョブでは、制御部10によって画像または文章(ドキュメント)の印刷データが画像形成部5に送出されて、画像形成部5によって所望の印刷が用紙の上に行われる。この際、色調整の精度が高精細、中精細または低精細のうち何れか一つから選択されると、ステップS22では、色調整を行う色調整チャート画像63の印刷指示が行われる。
ステップS23では、ステップS21における指示が高精細の場合のみ、位置調整の処理が実施される。
次にステップS24では、位置調整の結果に基づいて制御部10は、色調整チャート画像の印刷を画像形成部5に指示して、画像形成部5に色調整チャート画像を印刷させる。
ステップS25では、色調整チャート画像を用いて画像センサ9により測色が行われ、色補正処理として色調整が実施される。そして、色調整チャート画像が印刷された用紙は、ステップS26にて、搬送部7により搬送されて排紙されて処理が終了する。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0041】
図8は、第四実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第四実施形態の制御部10は、画像形成装置1の印刷の状態に基づいて、位置調整を行うか否かが判断される。
ここでは、画像形成装置1の状態が現在から一日以内にジョブ印刷の対象となる給紙トレー部6の用紙について位置調整が行われたか否が位置調整を実行する判断基準として用いている。
まずステップS31で、処理が開始されると、画像形成部5に色調整チャートの印刷の指示が行なわれ、ステップS32では、一日以内に対象となる給紙トレー部6の用紙について位置調整が実行されているかRAM106等の記憶部に記憶された印刷履歴に基づいて判定される。
【0042】
一日以内に位置調整が実行されている場合には、次のステップS34に進む(ステップS32にてYes)。ステップS34では、位置調整の結果に基づいて制御部10は、色調整チャート画像の印刷を画像形成部5に指示して、画像形成部5に色調整チャート画像を印刷させる。
ステップS35では、色調整チャート画像を用いて画像センサ9により測色が行われ、色補正処理として色調整が実施される。そして、色調整チャート画像が印刷された用紙は、ステップS36にて、搬送部7により搬送されて排紙されて処理を終了する。
【0043】
一日以内に位置調整が実行されていない場合には、ステップS33に進む(ステップS32にてNo)。ステップS33では、位置調整の処理が実施された後、ステップS34からステップS36に進む。
このように、第四実施形態では。制御部10の記憶部が前回の画像位置調整が実施された時期を記憶している。第四実施形態の記憶部は、複数の給紙トレー6a~6dのうち、色調整チャート画像を印刷するいずれかの用紙51~54に対応する給紙トレー6a~6dの位置調整を記憶している。
そして、前回位置調整が行われた時点からの時間もしくは枚数が閾値以内、ここでは一日以内の場合は、画像位置調整を行わずに色調整チャート画像を出力する。
【0044】
制御部10は、色調整チャート画像の印刷の位置精度が低下しない期間内であるかを印刷履歴の状態に基づいて判断して必要な場合だけ位置調整を行う。
また、位置調整が行われた直後で位置調整が不要であると履歴から判断すると、位置調整を行わずに直ちに色調整を行うことができる。
【0045】
このため、さらに読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
図9は、第五実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一~第四実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第五実施形態の制御部10は、画像形成装置1の印刷の状態に基づいて、位置調整を行うか否かが判断される。ここでは、印刷の状態を履歴の印刷枚数が規定数を超えたか否かに基づいて判定して、色調整を行う場合には位置調整を行った後に色調整を実行する。
まず、ステップS41でジョブが開始されると、ステップS42では、実行中のジョブの印刷枚数が規定を超えた場合、制御部10は、色調整の処理を開始する。
ステップS43では、位置調整処理が実施される。そして、ステップS44では、位置調整の結果に基づいて制御部10は、色調整チャート画像の印刷を画像形成部5に指示して、画像形成部5に色調整チャート画像を印刷させる。
ステップS45では、色調整チャート画像を用いて画像センサ9により測色が行われ、色補正処理として色調整が実施される。そして、色調整チャート画像Tが印刷された用紙は、ステップS26にて、搬送部7により搬送されて排紙されて処理を終了する。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態~第四実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0047】
図10は、第六実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一~第五実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
まずステップS51で、ジョブの開始が指示されるとステップS52で、ジョブによって印刷するページが高精細、高画質、または写真印刷が指示される。この場合、色調整が規定の期間内に実施されているかが判定される。
色調整が実施されていると(ステップS52でYes)、次のステップS58に進んでページの印刷が行われる。また、色調整が実施されていないと(ステップS52でNo)、ステップS53に進む。
【0048】
次にステップS53では、画像形成装置1の状態が規定内に対象のトレーの位置調整が実施されているか否かが判定される。ここで例えば、印刷の状態を履歴の印刷枚数が規定数を超えたか否かを判断基準として判定を行う。そして、色調整を行う場合には、位置調整を行った後に色調整を実行する。
また、印刷の制御では、給紙トレーに用紙をセットすると位置調整を実施するように推奨されている画像形成装置1がある。さらにこのような画像形成装置1では、給紙トレー部6に用紙をセットする必要がある枚数まで用紙が印刷に用いられて減少している場合がある。このような場合、規定数を超えて位置調整を行うことが必要な状態である、といった判断基準として用いてもよい。
【0049】
このため、ステップS53では、制御部10が予め記憶部に記憶された印刷履歴に基づいて規定数を超えているかについて判定する際、対象の給紙トレー6a~6dの位置調整が実施された時期を基準として位置調整の要否を判断する。
ジョブが行われる用紙51~54に対応する対象の給紙トレー6a~6dの位置調整が規定内に実施されていない場合(ステップS53でNo)には、処理はステップS54に進む。そして、ステップS54で位置調整の処理が実施された後、ステップS55に進む。
また、位置調整が規定内に実施されている場合(ステップS53でYes)、位置調整の処理を行わずに、処理はステップS55に進む。
【0050】
ステップS55では、制御部10が画像形成部5に色調整チャートの印刷を指示する。画像形成部5は、色調整チャート画像を用紙に印刷する。
この際、用紙判別部8は、給紙トレー部6に格納された用紙の紙種情報により同一用紙種類の紙が入った複数の給紙トレーがあると判定すると、制御部10は、位置調整済みの何れかの給紙トレー6a~6dの用紙に色調整チャート画像を印刷する。
ステップS56では、色調整チャート画像を用いて画像センサ9により測色が行われ、色補正処理として色調整が実施される。そして、色調整チャート画像が印刷された用紙は、ステップS57にて、搬送部7によって搬送されて排紙される。
【0051】
ステップS58でジョブのページが印刷されると、ステップS59にて、印刷されたページがジョブの最後のページであるか否かが判定される。
印刷されたページがジョブの最後のページである場合(ステップS59でYes)、ステップS60に進みジョブを実行する。また、最後のページない場合(ステップS59でNo)、ステップS52に戻り再びジョブによって印刷するページが高精細、高画質、または写真印刷で色調整が未実施か否かが判定される。
【0052】
このように制御部10は、用紙60への印刷を実施する際、高精細/高画質/写真などの高画質印刷の設定が行われた場合で色調整が予め設定した規定内に実行されているか否かに基づいて、位置調整を実行する。
たとえば、位置調整が高精細/高画質/写真などの高画質印刷など必要な場合であっても、規定内で定期的あるいは調整不要な枚数の範囲内で位置調整が実施される場合ある。このような場合、位置調整または色調整を省略して更に、用紙の枚数、読み取り時間および調整時間を短縮することが可能となる。よって画像形成装置1の調整効率をさらに向上させることができる。
【0053】
また、用紙判別部8は、用紙判別センサ8a~8dが検知した用紙の紙種情報に基づいて、位置調整済みの給紙トレー6a~6dにストックされている用紙に色調整チャート画像を印刷させる。
なお、位置調済みで同一種類の用紙が入った複数の給紙トレー6a~6dにストックされている場合、主走査方向Sの幅がX方向に沿って広い用紙を優先して色調整チャート画像を印刷することもできる。
この場合、画像形成装置1は、主走査方向Sに多くの数のパッチを配置して印刷できる。また、画像センサ9による一回の走査でより多くのパッチが読み取れる。このため、読み取り時間を短縮することができる。
【0054】
さらに、位置調整時期から、位置精度誤差を計算して、パッチサイズ、間隔を変更して色調整を実施する場合と位置調整を行ってから色調整を行う方場合との優先度により判断することもできる。また、主走査方向Sの幅が広いか狭いかを判断基準としてもよい。この場合、主走査方向Sの幅がY方向に沿って狭い用紙が優先されるため、用紙が破れたりいわゆるヤレたりするおそれを減少させることができる。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
図11は、第七実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整について説明するものである。なお、第一~第六実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第七実施形態では、搬送部7の搬送速度に応じて
図12~
図14に示すように色調整チャート画像65~67のパッチサイズを変更するようにしている。
まず、ステップS61で、処理を開始すると画像形成部5に色調整チャートの印刷の指示が行なわれると、制御部10は、ステップS62で、位置調整部3aが画像形成部5に対して
図3のステップS2からステップS6と同様にマーカ画像のデータを出力して位置調整用紙520に印刷を行い、位置調整の処理が実施される。
【0056】
この際、ステップS63では、実行中の搬送部7による用紙の搬送速度に応じてパッチサイズおよび間隔が変更される。
搬送部7による用紙の搬送速度は、画像形成部5の性能により相違する。
図12に示す用紙55には、比較的遅い搬送速度の画像形成部5に用いられるパッチサイズおよび間隔が小さい色調整チャート画像65が印刷されている。
また、
図13に示す用紙56には、中間の搬送速度の画像形成部5に用いられるパッチサイズおよび間隔が中間に設定された色調整チャート画像66が印刷されている。
そして、
図14に示す用紙57には、比較的速い搬送速度の画像形成部5であっても、誤測定が生じないようにパッチサイズおよび間隔が大きく設定された色調整チャート画像67が印刷される。
【0057】
図11のステップS64に戻って、これらの何れかの色調整チャート画像65~67の画像形成が制御部10により画像形成部5に指示されて、画像形成部5は、色調整チャート画像65~67の何れかを用紙に印刷する。
ステップS65では、用紙55~57に印刷されたいずれかの色調整チャート画像65~67を用いて画像センサ9により測色および、色補正処理として色調整が実施される。そして、測色された用紙55~57は、ステップS66にて、搬送部7により搬送されて排紙され、処理を終了する。
【0058】
これにより、第七実施形態の画像形成装置1は、第一~第六実施形態の画像形成装置1の作用効果に加えて、さらに、それぞれの画像形成部5の搬送速度に応じて用紙を搬送しながら停止させることなく、画像センサ9によって主走査方向Sに測色できる。
これにより、画像形成部5の搬送速度の性能に合わせて最も調整効率の良好な用紙の枚数、読み取り時間および調整時間で高精細な色調整を行うことができる。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態~第六実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
図15は、第八実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第八実施形態では、ユーザは、色調整チャートの印刷の指示を行う(ステップS71)。これにより制御部10は、マーカ画像71~74を用いて位置調整を行う処理を実施する(ステップS72)。
ステップS73では、制御部10は、給紙トレー6a~6dにストックされている用紙51~54のうち、主走査方向Sに長い用紙を用いて色調整を行う。色調整は制御部10が長い用紙に対応する色調整の色調整チャート画像64を印刷するように画像形成部5に指示する。このとき、位置調整の結果に基づいて制御部10は、画像形成部5に色調整チャート画像64を印刷させる。
【0060】
ステップS74では、制御部10は、色調整チャート画像を用いて画像センサ9により測色を行う。そして、色補正処理として色調整が実施される。ステップS75では、色調整チャート画像64が印刷された用紙が搬送部7により搬送されて排紙される。
これにより、色調整チャート画像の読み取り時間が短縮されて短時間で高精細な色調整を行うことができる。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態~第六実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0061】
図15は、第八実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
画像形成装置1は、処理を開始するとステップS71で、色調整チャートの印刷の指示が行なわれると、制御部10は、ステップS72で、マーカ画像71~74を印刷して位置調整を行う処理を実施する。
ステップS73では、給紙トレー6a~6dにストックされている用紙のうち、
図16に示すように主走査方向Sに長い用紙58を用いて色調整を行う。色調整では、まず制御部10が長い用紙58に対応する色調整チャート画像68が印刷される。
用紙58は、主操作方向が短い
図14に示す用紙57と比べて色調整チャート画像68の主走査方向Sに、より多くのパッチを配置することができる。このとき、位置調整の結果に基づいて、制御部10は、画像形成部5に色調整チャート画像68を印刷させる。
【0062】
図16に示すように、主走査方向SにX方向が沿う用紙58は、一本の走査線200で読み取れるパッチの数を多くすることができる。ここでは、一回の同じ読み取り時間で読み取れるパッチが12個となる。比較としてたとえば、同じ用紙58の向きを90度変えて主走査方向SにY方向を沿わせた場合、一本の走査線200で読み取れるパッチの数は9個程度となる。
制御部10は、用紙判別部8により同じ用紙58でも主走査方向SにX方向が沿う用紙58が給紙トレー部6の何れかの給紙トレー6a~6dにストックされていると判別される。これにより、ストックされている用紙58は、搬送部7により搬送方向FにY方向を向けて搬送されて画像形成部5により色調整チャート画像68が印刷される。
【0063】
ステップS74では、色調整チャート画像68を用いて画像センサ9により測色が行われる。
主走査方向Sに長い用紙58は、比較的多くのパッチを少ない読み取り回数で読み取らせることができる。また、用紙58は、Y方向が搬送方向Fとなるため搬送量を少なくすることができる。
さらに、ステップS74では、色補正処理として色調整が実施される。そして、ステップS75では、色調整を終えた用紙58が搬送部7により搬送されて排紙され、処理を終了する。
したがって、色調整チャート画像の読み取り時間は、短縮されて同じ時間であれば、多くのパッチを読み取ることができる。よって、画像形成装置1は、短時間で高精細な色調整を行うことができる。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態~第七実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
図17は、第九実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第九実施形態では、画像形成装置1の処理が開始されると、ステップS81にて色調整チャートの印刷の指示が行なわれると、ステップS82で、制御部10は、マーカ画像Mにより位置調整を行う処理を実施する。通常、ステップS83のように
図18に示す搬送方向Fに長い同一の用紙59、510に色調整チャート画像69、610がそれぞれ形成されて、二枚の用紙59、510に印刷してもよい。
【0065】
本案のステップS84では、
図19に示すように、用紙59,510と同一の大きさで搬送方向FにY方向を沿わせていずれかの給紙トレー6a~6dにストックされている用紙511が画像形成部5に搬送されて色調整チャート画像611が印刷される。
これにより、
図18に示す二枚の用紙59または510に印刷されるものと比して一回の走査により読み取るパッチの数量を増やすことができる。したがって、更に読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
更に、ステップS85にて、測色および色補正処理として色調整が実施される。そして、ステップS86では、色調整を終えた用紙58等が搬送部7により搬送されて排紙され、処理を終了する。
【0066】
図20は、第十実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第十実施形態では、制御部10が処理を開始するとステップS91にて色調整チャートの印刷の指示が行なわれると、ステップS92で、制御部10は、色調整チャート画像のパッチサイズが規定の15mm以下、パッチ間隔が規定の3mm以下であるかを判定する。
【0067】
制御部10は、色調整チャート画像のパッチサイズが規定の15mm以下、パッチ間隔が規定の3mm以下の場合(ステップS91にてYes)、ステップS93に進んで、位置調整処理を実施した後、ステップS94に進む。
また、色調整チャート画像のパッチサイズが規定の15mm以下、パッチ間隔が規定の3mm以下でない場合(ステップS91にてNo)、ステップS94に進む。
ステップS94では、色調整チャート画像の画像形成が制御部10により画像形成部5に指示されて、画像形成部5は、色調整チャート画像を用紙に印刷する。
ステップS95では、印刷された色調整チャート画像を用いて画像センサ9により測色および、色補正処理として色調整が実施される。そして、測色された用紙は、ステップS96にて、搬送部7により搬送されて排紙され、処理を終了する。
【0068】
このように、第十実施形態の制御部10は、用紙への印刷を実施する際に、色調整チャート画像のチャートのパッチサイズまたは、パッチ間隔が閾値を下回る場合に、位置調整を実施してから色調整チャート画像の印刷を行って色調整を実行する。
これにより、誤測定を減少させることができ、更に色調整の精度を向上させることができる。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態~第九実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
図21は、第十一実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第十一実施形態では、制御部10が処理を開始するとステップS101にて色調整チャートの印刷の指示が行なわれると、ステップS102では、制御部10により色調整チャート画像を出力する何れかの給紙トレー6a~6dの位置調整処理が実施後1日以内か否かが判定される。
【0070】
位置調整処理が経過時間の閾値である実施後1日以内でない場合(ステップS102にてNo)、ステップS103に進んで、位置調整処理を実施した後、ステップS104に進む。
また、位置調整処理が実施後1日以内の場合(ステップS102にてYes)、ステップS104に進む。
ステップS104では、色調整チャート画像の画像形成が制御部10により画像形成部5に指示されて、画像形成部5は、色調整チャート画像を用紙に印刷する。
ステップS105では、印刷された色調整チャート画像を用いて画像センサ9により測色および、色補正処理として色調整が実施される。そして、測色された用紙は、ステップS96にて、搬送部7により搬送されて排紙され、処理を終了する。
【0071】
第十一実施形態の制御部10は、色調整チャート画像を印刷する用紙の給紙トレーにおける前回の画像位置調整が実施された時期を記憶部に記憶している。制御部10は、前回位置調整が行われた時点からの時間、ここでは一日以内であれば画像位置調整を行わずに色調整チャート画像を出力する。なお、ジョブにより印刷された枚数が閾値以内の場合は、画像位置調整を行わずに色調整チャート画像を出力するようにしてもよい。
これにより、たとえば、画像形成装置1の状態として、一日以内に位置調整が行われている場合は、位置調整を行なわないと判断して、一日を超えている場合には、位置調整を行うと判断する。したがって、更に過剰な位置調整処理を省略でき、調整時間を短縮することができる。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態~第十実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0072】
図22は、第十二実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第十二実施形態では、制御部10が処理を開始すると、ステップS111にて色調整チャートの印刷の指示が行なわれると、ステップS112では、制御部10により色調整可能な複数の給紙トレー6a~6dのうち、少なくとも一つの給紙トレー6a~6dの位置調整処理が実施後1日以内か否かが判定される。
【0073】
少なくとも一つの給紙トレー6a~6dの位置調整処理が実施後1日以内ではない場合(ステップS112にてNo)、ステップS113に進んで、位置調整処理を実施した後、ステップS114に進む。
また、少なくとも一つの給紙トレー6a~6dの位置調整処理が実施後1日以内の場合(ステップS112にてYes)、ステップS114に進む。
ステップS114では、色調整チャート画像の画像形成が制御部10により画像形成部5に指示されて、画像形成部5は、位置調整処理が実施後1日以内のいずれかの給紙トレー6a~6dにストックされている用紙に色調整チャート画像を印刷する。
ステップS115では、印刷された色調整チャート画像を用いて画像センサ9により測色および、色補正処理である色調整が実施される。そして、測色に用いられた用紙は、ステップS116にて、搬送部7により搬送されて排紙され、処理を終了する。
【0074】
このように第十二実施形態の制御部10は、同一の種類の用紙が入った複数の給紙トレーがある場合に、前回の画像位置調整を実施した時期が閾値以内の何れかの給紙トレーから色調整チャート画像を印刷する。
これにより、すでに位置調整が実施されている給紙トレーにストックされている用紙に色調整チャート画像が印刷される。したがって、さらに読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
他の構成及び作用効果については、第一実施形態~第十一実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
図23は、第十三実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
第十三実施形態では、制御部10が処理を開始すると、ステップS121にて色調整チャート画像の印刷の指示が行なわれると、通常の色調整場合、ステップS122のように制御部10により
図24に示す色調整チャート画像612~614を三枚の用紙512~514に印刷して色調整が行われる。
【0076】
第一三実施形態の制御部10は、
図25に示すように位置調整用紙520の四隅付近にマーカ画像71~74を印刷する。そして、ステップS123ではマーカ画像71~74が印刷された位置調整用紙520を用いて位置調整の処理が実施される。位置調整処理が実施された後、ステップS124に進む。
ステップS124では、色調整チャート画像の画像形成が制御部10により画像形成部5に指示される。そして、画像形成部5は、
図25に示す色調整チャート画像615を用紙515に印刷する。色調整チャート画像615は、三枚分の色調整チャート画像612~614がまとめられて一枚の用紙515に印刷されている。
ステップS125では、用紙515に印刷された色調整チャート画像615が用いられて画像センサ9により測色および、色補正処理として色調整が実施される。そして、測色に用いられた用紙515は、ステップS126で搬送部7により搬送されて排紙され、処理を終了する。
【0077】
たとえば、通常の色調整は、
図24に示す三枚の三枚の用紙512~514を用いる。第十三実施形態の画像形成装置1は、
図25に示すマーカ画像71~74が印刷された位置調整用紙520を用いて、
図25に示す三枚分の色調整チャート画像612~614を一枚の用紙515にまとめる。そして、パッチのサイズを小さくして密度を上げる事によって色調整チャート画像615を印刷する用紙515の枚数を減らすことができる。
これにより、色調整に用いる用紙の枚数を節約でき、さらに調整効率を向上させることができる。他の構成及び作用効果については、第一実施形態~第十二実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0078】
図26は、第十四実施形態の画像形成装置1の制御部10にて行われる色調整の処理について説明するものである。なお、第一実施形態の画像形成装置1と同一ないし均等な部分については同一符号を付して説明する。
制御部10が処理を開始すると、ステップS131にて色調整チャート画像の印刷の指示が行なわれると、たとえば、ステップS132のように、制御部10は、
図27に示す色調整チャート画像616~618を三枚の用紙516~518にそれぞれ印刷してX方向に主走査方向Sが沿う通常の色調整が実行される。
【0079】
第十四実施形態の画像形成装置1は、ステップS131にて色調整チャート画像Tの印刷の指示が行なわれると、まず、
図28に示すように位置調整用紙520の四隅付近にマーカ画像71~74を印刷する。そして、ステップS133ではマーカ画像71~74が印刷された位置調整用紙520を用いて位置調整の処理が実施される。位置調整処理が実施された後、ステップS134に進む。
ステップS134では、色調整チャート画像の画像形成が制御部10により画像形成部5に指示される。この際、画像形成部5は、
図28に示す色調整チャート画像619を用紙519に印刷する。色調整チャート画像619は、三枚分の色調整チャート画像612~614がまとめられて一枚の用紙519に印刷されている。
ステップS135では、用紙519に印刷された色調整チャート画像619を画像センサ9が読み込んで、制御部10の色調整部3bによって測色および、色補正処理として色調整が実施される。そして、測色に用いられた用紙519は、ステップS126で搬送部7により搬送されて排紙トレー部11に排紙され、処理を終了する。
【0080】
このように、第十四実施形態の画像形成装置1は、色調整に用いる用紙519および、位置調整用紙520が搬送方向FにY方向を沿わせて搬送されてX方向に主走査方向Sが一致している。
このため、第十三実施形態の色調整と比べて、さらに、第十四実施形態の色調整は、さらに早く短時間で処理することができる。他の構成及び作用効果については、第十三実施形態の画像形成装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0081】
上述してきたように、本案の画像形成装置1は、搬送された用紙に色調整に用いる色調整チャート画像を印刷する画像形成部5と、用紙に印刷された色調整チャート画像を読み取る画像センサ9と、搬送された用紙の位置から色調整チャート画像の印刷位置を調整する位置調整を行い、画像形成部5が印刷した色調整チャート画像を用いて色調整を行う制御部10と、を備える。
【0082】
このように構成された本案の画像形成装置1および画像形成装置の調整方法では、色調整チャート画像のパッチ数が多くても読取回数を減らすことができる。
詳しくは、色調整チャート画像は、位置調整されていて正確に用紙の所望の位置に印刷されている。このため、色調整チャート画像を小さくして密度を上げても誤測定を減少させることができる。したがって、色調整チャート画像の印刷に用いる用紙を節約しながら短時間で高精細な色調整を行うことができる。
【0083】
制御部10は、予め画像形成部5によりマーカ画像71~74が印刷された用紙から画像センサ9を用いて、マーカ画像71~74を読み取って位置調整を行うとともに、位置調整を実施してから色調整チャート画像の印刷を行う。
画像形成部5が印刷した色調整チャート画像は、マーカ画像71~74を用いて正確に位置調整されている。このため、さらに色調整チャート画像を小さくして密度を上げても誤測定を減少させることができる。したがって、読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
【0084】
制御部10は、精度の異なる複数種類の色調整を実施可能に構成されて、高精細の色調整を行う場合に位置調整を行う。
高精度の色調整を行う場合には、位置調整を行った後に色調整を実行する。このため、高精度の色調整を行う必要がない場合には、位置調整を行なわずに色調整を実行することができる。したがって、調整効率を向上させることができる。
【0085】
制御部10は、印刷の状態に基づいて、位置調整を行うか否かを判断する。
たとえば、印刷の位置精度が低下しない期間内であるかを印刷履歴の状態に基づいて、判定して位置調整を行うか否かを判断する。
位置調整が不要であると履歴から判断すると、位置調整を行わずに直ちに色調整を行うことができる。
このため、さらに読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
【0086】
制御部10は、印刷ジョブを実施する際、位置調整を行った後に色調整を実行する。印刷ジョブとは、画像形成装置1に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDL(Page Description Language)データ、PDF(Portable Document Format)データであり得る。また、印刷データは、TIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙への画像形成に関する設定であり、例えば、ページ数、印刷部数、紙種、カラーまたはモノクロの選択、およびページ割付等の各種設定が含まれる。
たとえば、印刷の状態を履歴の印刷枚数が規定数を超えたことに基づいて判定して、色調整を行う場合には、位置調整を行った後に色調整を実行する。
また、印刷制御では、給紙トレーに用紙をセットすると位置調整を実施するように推奨されている画像形成装置1がある。このような画像形成装置1では、給紙トレーに用紙をセットする必要がある枚数まで用紙が印刷に用いられて減少していることから位置調整を行う必要な状態とみなして位置調整が行われている。
このため、本案では、位置調整直後に色調整チャート画像の印刷が指定されると、位置調整を実施せずに色調整チャート画像を出力する。これにより、重複した必要のない位置調整が省略できる。したがって、さらに読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
【0087】
制御部10は、用紙への印刷を実施する際、高精細/高画質/写真などの高画質印刷の設定が行われた場合に、位置調整を行った後に色調整を実行する。
これにより、位置調整が高精細/高画質/写真などの高画質印刷など必要な場合に行われる。したがって、更に用紙の枚数、読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
【0088】
制御部10は、用紙への印刷を実施する際、位置調整を行なって印刷を行なう用紙の搬送速度に応じて色調整パッチのサイズ間隔を変更して、色調整を実行する。
これにより、搬送速度の性能に合わせて最も調整効率の良好な用紙の枚数、読み取り時間および調整時間で色調整を行える。
【0089】
制御部10は、用紙への印刷を実施する際、印刷する用紙と同じ種類の用紙で主走査方向が長い用紙がある場合に、主操作方向が短い用紙と比べて色調整チャート画像の主走査方向により多くのパッチを配置する。
これにより一回の走査により読み取るパッチの数量を増やすことができる。したがって、更に読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
【0090】
制御部10は、用紙への印刷を実施する際、印刷の用紙と同じ種類の用紙で主走査方向が長い用紙がある場合に、色調整チャート画像のパッチのサイズ間隔を変更して主走査方向により多くのパッチを配置する。
これにより、一回の走査により読み取れるパッチの数量を増やすことができる。したがって、更に読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
【0091】
制御部10は、用紙への印刷を実施する際に、色調整チャート画像のチャートのパッチサイズまたは、パッチ間隔が閾値を下回る場合に、位置調整を実施してからチャートの印刷を行い、色調整を実行する。
これにより、誤測定を減少させることができ、更に色調整の精度を向上させることができる。
【0092】
制御部10は、色調整チャート画像を印刷する用紙の給紙トレーにおける前回の画像位置調整が実施された時期を記憶し、前回位置調整が行われた時点からの時間もしくは枚数が閾値以内の場合は、画像位置調整を行わずに色調整チャート画像を出力する。
これにより、たとえば、装置の状態として、一日以内に位置調整が行われている場合は、位置調整を行なわないと判断して、一日を超えている場合には、位置調整を行うと判断する。したがって、更に高精度で色調整が行えて位置調整が不要な場合は、位置調整を省略して、調整時間を短縮することができる。
【0093】
制御部10は、同一の種類の用紙が入った複数の給紙トレーがある場合に、前回の画像位置調整を実施した時期が閾値以内の何れかの給紙トレーから色調整チャート画像を印刷する。
これにより、すでに位置調整が実施されている給紙トレーから色調整チャート画像が印刷される。したがって、さらに読み取り時間および調整時間を短縮して調整効率を向上させることができる。
【0094】
制御部10は、色調整チャート画像Tを出力する用紙の位置調整の時期の閾値から、パッチサイズ、パッチ間隔の変更を行って色調整チャート画像を印刷するか、あるいは、画像位置調整を実施してから所定のパッチサイズで色調整チャート画像を印刷するか、用紙の枚数を節約できるいずれか一方で色調整チャート画像を印刷する。
これにより、用紙の枚数を節約でき、さらに調整効率を向上させることができる。
【0095】
制御部10は、色調整チャート画像を出力する用紙の位置調整の時期の閾値から、パッチサイズ、パッチ間隔の変更を行った色調整チャート画像を印刷するか、あるいは、画像位置調整を実施してから所定のパッチサイズで色調整チャート画像を印刷するか、時間短縮可能ないずれか一方で色調整チャート画像を印刷する。
これにより、最も時間短縮可能な色調整チャート画像が印刷される。予め用紙の位置調整を実施してから色調整を実施しているので、チャートのパッチ密度を上げても、色調整を正しく実施することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態やその変形例について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他のさまざまな実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0097】
例えば、第一実施形態では、用紙の四隅付近に複数の十字のマーカ画像71~74が印刷された位置調整用紙520を用いて位置調整している。しかしながら、位置調整に用いる位置調整用紙520は、特にこれに限らない。たとえば、用紙に対する印刷位置が特定できればマーカ画像71~74を用いなくてもよい。また、十字のマーカ画像71~74に代えて他の形状の図形または目印が印刷されていてもよい。すなわち、マーカ画像71~74の形状、数、および印刷位置が第一実施形態の位置調整用紙520に限定されるものではなく、搬送された用紙の位置から色調整チャート画像の印刷位置を調整する位置調整が行えるものであればよい。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
5 画像形成部
9 画像センサ
10 制御部
50 用紙
71~74 マーカ画像