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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154022
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】配線体、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/08 20060101AFI20251002BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
B32B3/08
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056792
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】五井 智之
(72)【発明者】
【氏名】新開 浩
(72)【発明者】
【氏名】手塚 謙一
(72)【発明者】
【氏名】池村 裕輔
【テーマコード(参考)】
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
4F100AB17B
4F100AG00A
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA41B
4F100DC15B
4F100DC16B
4F100DD05B
4F100DD20B
4F100EH46
4F100EH71
4F100EJ08
4F100EJ15
4F100GB41
4F100JG01B
4F100JN01A
4F100YY00B
5G435AA07
5G435BB05
5G435BB12
5G435GG43
5G435LL07
(57)【要約】
【課題】柔軟性を高めることができる配線体、及び表示装置を提供する。
【解決手段】光透過性基材1の第1領域E1において、樹脂層7は、厚み方向(Z軸方向)に貫通する、メッシュ状の貫通孔60を有する。導体層5は、この貫通孔60内に配置される。これにより、第1領域E1には、配線体200の電気的な性能を発揮することができるメッシュ状の導体層5が配置される。これに対し、樹脂層7は、メッシュ状の貫通孔60から厚み方向と直交する方向(X軸方向、及びY軸方向)に離間する位置において、樹脂層7を厚み方向に貫通する線状の溝70を有する。このような溝70は、メッシュ状の導体層5の性能には影響を与えない位置にて、線状に延びた状態で樹脂層7を貫通している。このため、配線体200の柔軟性を高めることができ、配線体200の搭載位置などの自由度を高めることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域を有する基材と、
前記第1領域を含む前記基材上に設けられる樹脂層と、
導体層と、を備え、
前記第1領域において、前記樹脂層は、厚み方向に貫通するメッシュ状の貫通孔を有し、
前記導体層は、前記貫通孔内に配置され、
前記樹脂層は、メッシュ状の前記貫通孔から前記厚み方向と直交する方向に離間する位置において、前記樹脂層を前記厚み方向に貫通する線状の溝を有する、配線体。
【請求項2】
前記基材は、前記樹脂層が設けられており、前記第1領域の周囲に位置する第2領域を有し、
線状の前記溝は、前記第2領域に配置される、請求項1に記載の配線体。
【請求項3】
前記基材は、前記樹脂層が設けられており、メッシュ状の前記導体層の開口内に位置する第3領域を有し、
線状の前記溝は、前記第3領域に配置される、請求項1に記載の配線体。
【請求項4】
線状の前記溝は、メッシュ状に形成される、請求項1に記載の配線体。
【請求項5】
メッシュ状の前記溝の幅は、前記溝のピッチより小さい、請求項4に記載の配線体。
【請求項6】
平面視した場合のメッシュ状の前記貫通孔の延在方向と、メッシュ状の前記溝の延在方向とは、互いに平行である、請求項4に記載の配線体。
【請求項7】
メッシュ状の前記貫通孔とメッシュ状の前記溝とは、それぞれの幅、及びピッチが同じである、請求項4に記載の配線体。
【請求項8】
メッシュ状の前記溝のピッチは、メッシュ状の前記貫通孔のピッチより小さい、請求項4に記載の配線体。
【請求項9】
メッシュ状の前記溝の幅は2μm以上である、請求項4に記載の配線体。
【請求項10】
メッシュ状の前記溝は、空洞である、請求項4に記載の配線体。
【請求項11】
メッシュ状の前記溝に配置される樹脂を有し、前記樹脂は前記樹脂層より硬度が高い、請求項4に記載の配線体。
【請求項12】
メッシュ状の前記溝に配置される樹脂を有し、前記樹脂は前記樹脂層より屈折率が低い、請求項4に記載の配線体。
【請求項13】
メッシュ状の前記溝に配置される樹脂を有し、前記樹脂は、メッシュ状の前記導体層の表面と、前記樹脂層の表面と、を覆う、請求項4に記載の配線体。
【請求項14】
メッシュ状の前記導体層、及び前記樹脂層の表面に配置される前記樹脂の厚みは、前記樹脂層の厚みより薄い、請求項13に記載の配線体。
【請求項15】
前記基材は、前記樹脂層が設けられており、前記第2領域に隣り合う第4領域を有し、
前記樹脂層は、前記第4領域において、前記溝を有することなく広がる、請求項2に記載の配線体。
【請求項16】
前記第2領域から前記第4領域に向かうに従って、メッシュ状の前記溝のピッチが大きくなる、請求項15に記載の配線体。
【請求項17】
前記基材は、前記樹脂層が設けられない第5領域を有し、
前記樹脂層は、前記第2領域から前記第5領域に向かうに従って厚みが薄くなる、請求項2に記載の配線体。
【請求項18】
請求項1~17の何れか一項に記載の配線体を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線体、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材と、基材上に設けられたメッシュ状の導体パターンと、基材上に設けられた樹脂層と、を備える配線体が知られている(例えば、特許文献1)。樹脂層にはトレンチが形成されており、当該トレンチ内に導体パターンの導電線が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-78063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のような配線体においては、用途によって柔軟性が必要になる場合がある。配線体が十分な柔軟性を有していない場合、配線体の搭載位置などにおける自由度が低減する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、柔軟性を高めることができる配線体、及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る配線体は、第1領域を有する基材と、第1領域を含む基材上に設けられる樹脂層と、導体層と、を備え、第1領域において、樹脂層は、厚み方向に貫通するメッシュ状の貫通孔を有し、導体層は、貫通孔内に配置され、樹脂層は、メッシュ状の貫通孔から厚み方向と直交する方向に離間する位置において、樹脂層を厚み方向に貫通する線状の溝を有する。
【0007】
本開示の一側面に係る表示装置は、上述の配線体を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、柔軟性を高めることができる配線体、及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】配線体を備える導電性フィルムの一実施形態を示す平面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】変形例に係る導電性フィルムを示す断面図である。
図4】表示装置の一実施形態を示す断面図である。
図5】配線体を備えるアンテナの平面図である。
図6】配線体の断面図である。
図7】変形例に係る配線体の断面図である。
図8】変形例に係る配線体の断面図である。
図9】変形例に係る配線体の断面図である。
図10】変形例に係る配線体の断面図である。
図11】変形例に係る配線体の導体層のパターンを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は本開示の一実施形態に係る配線体200を備える導電性フィルムを示す平面図であり、図2図1のII-II線に沿う断面図である。導電性フィルム20は、アンテナ300を有し、アンテナ300は、配線体200を備える。図1及び図2に示される導電性フィルム20は、フィルム状の光透過性基材1(基材)と、光透過性基材1の一方の主面1S上に設けられた導体層5と、光透過性基材1の一方の主面1S上に設けられた樹脂層7とを備える。導体層5は、光透過性基材1の主面1Sに沿った方向に延在し複数の開口3aを含むパターンを有する部分を含む導体部3を有する。樹脂層7は、導体部3の開口3a内を埋める絶縁樹脂部7Aと、導体部3の外周側に設けられる光透過性樹脂層7Bと、を有する。図2では、導体層5がデフォルメされた状態で示されており、導体部3の幅が強調された状態で示されている。また、各層の厚みもデフォルメされた状態で示されている。各層の厚みの詳細については後述する。また、図1に示す例では、導電性フィルム20の一方の短辺付近に導体層5が形成されているが、導体層5が形成される位置は特に限定されず、長辺付近に導体層5が形成されてもよい。
【0012】
光透過性基材1は、導電性フィルム20が表示装置に組み込まれたときに必要とされる程度の光透過性を有する。具体的には、光透過性基材1の全光線透過率が90~100%であってもよい。光透過性基材1のヘイズが0~5%であってもよい。
【0013】
光透過性基材1は、例えば透明樹脂フィルムであってもよく、その例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー(COP)、又はポリイミド(PI)のフィルムが挙げられる。あるいは、光透過性基材1がガラス基板であってもよい。
【0014】
例えば図3に示すように、光透過性基材1は、光透過性の支持フィルム11と、支持フィルム11上に順に設けられた中間樹脂層12及び下地層13とを有する積層体であってもよい。支持フィルム11は上記透明樹脂フィルムであることができる。下地層13は無電解めっき等によって導体部3を形成するために設けられる層である。他の方法によって導体部3を形成する場合、下地層13は必ずしも設けられなくてもよい。支持フィルム11と下地層13との間に中間樹脂層12が設けられていなくてもよい。
【0015】
光透過性基材1又はこれを構成する支持フィルム11の厚みは、10μm以上、20μm以上、又は35μm以上であってよく、500μm以下、200μm以下、又は100μm以下であってよい。
【0016】
中間樹脂層12が設けられることにより、支持フィルム11と下地層13との間の密着性が向上し得る。下地層13が設けられない場合、中間樹脂層12が支持フィルム11と光透過性樹脂層7Bとの間に設けられることにより、支持フィルム11と光透過性樹脂層7Bとの間の密着性が向上し得る。
【0017】
中間樹脂層12は、樹脂及び無機フィラーを含有する層であってもよい。中間樹脂層12を構成する樹脂の例としては、アクリル樹脂が挙げられる。無機フィラーの例としては、シリカが挙げられる。
【0018】
中間樹脂層12の厚みは、例えば5nm以上、100nm以上、又は200nm以上であってもよく、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であってもよい。
【0019】
下地層13は、触媒及び樹脂を含有する層であってもよい。樹脂は、硬化性樹脂組成物の硬化物であってもよい。硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂の例としては、アクリル樹脂、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物、アセナフチレン、並びに、不飽和二重結合、環状エーテル、及びビニルエーテル等の紫外線で重合反応を起こす官能基を含む紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0020】
下地層13に含まれる触媒は、無電解めっき触媒であってもよい。無電解めっき触媒は、Pd、Cu、Ni、Co、Au、Ag、Pd、Rh、Pt、In、及びSnから選ばれる金属であってもよく、Pdであってもよい。触媒は、1種類単独若しくは2種類以上の組合せであってもよい。通常、触媒は触媒粒子として樹脂中に分散している。
【0021】
下地層13における触媒の含有量は、下地層13全量を基準として、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上であってもよく、50質量%以下、40質量%以下、又は25質量%以下であってもよい。
【0022】
下地層13の厚みは、10nm以上、20nm以上、又は30nm以上であってもよく、500nm以下、300nm以下、又は150nm以下であってもよい。
【0023】
光透過性基材1は、支持フィルム11の光透過性樹脂層7B及び導体部3とは反対側の主面上に設けられた保護層を更に有していてもよい。保護層が設けられることにより、支持フィルム11の傷付きが抑制される。保護層は、中間樹脂層12と同様の層であることができる。保護層の厚みは、5nm以上、50nm以上、又は500nm以上であってもよく、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であってもよい。
【0024】
導体層5を構成する導体部3は、開口3aを含むパターンを有する部分を含む。開口3aを含むパターンは、互いに交差する複数の線状部によって形成された、規則的に配置された複数の開口3aを含むメッシュ状のパターンである。メッシュ状のパターンは、不規則に配置された複数の開口を含むパターンであってもよい。メッシュ状のパターンを有する導体部3は、例えばアンテナ300の放射導体及び給電線路として良好に機能することができる。また、導体部3は、端子及びグラウンドパッド部として機能する、開口3aを有さない平面状のパターンを備えていてもよい。なお、導体層5における導体部3のパターンの構成の詳細については後述する。
【0025】
導体部3は、金属を含んでいてもよい。導体部3は、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、銀、金、白金及びスズから選ばれる少なくとも1種の金属を含んでいてもよく、銅を含んでいてもよい。導体部3は、めっき法によって形成された金属めっきであってもよい。導体部3は、適切な導電性が維持される範囲で、リン等の非金属元素を更に含んでいてもよい。
【0026】
導体部3は、複数の層から構成される積層体であってもよい。また、導体部3は、光透過性基材1とは反対側の表層部として、黒化層を有していてもよい。黒化層は、導電性フィルムが組み込まれた表示装置の視認性向上に寄与し得る。
【0027】
絶縁樹脂部7Aは、光透過性を有する樹脂によって形成されており、導体部3の開口3aを埋めるように設けられており、通常、絶縁樹脂部7Aと導体部3とで平坦な表面が形成されている。
【0028】
光透過性樹脂層7Bは、光透過性を有する樹脂によって形成されている。光透過性樹脂層7Bの全光線透過率が90~100%であってもよい。光透過性樹脂層7Bのヘイズが0~5%であってもよい。
【0029】
光透過性基材1(又は光透過性基材1を構成する支持フィルムの屈折率)と、光透過性樹脂層7Bの屈折率との差が0.1以下であってもよい。これにより、表示画像の良好な視認性がより一層確保され易い。光透過性樹脂層7Bの屈折率(nd25)は、例えば、1.0以上であってもよく、1.7以下、1.6以下、又は1.5以下であってよい。屈折率は、反射分光膜厚計により測定することができる。光路長の均一性の観点から、導体部3、絶縁樹脂部7A、及び光透過性樹脂層7Bが実質的に同じ厚みを有していてもよい。
【0030】
絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂は、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物)の硬化物であってもよい。絶縁樹脂部7A及び/又は光透過性樹脂層7Bを形成する硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含み、その例としては、アクリル樹脂、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物、アセナフチレン、及び不飽和二重結合、並びに、環状エーテル、ビニルエーテル等の紫外線で重合反応を起こす官能基を含む紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0031】
絶縁樹脂部7Aを形成する樹脂と光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂とが同じであってもよい。同じ樹脂によって形成された絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bは屈折率が等しいことから、導電性フィルム20を透過する光路長の均一性がより一層向上することができる。絶縁樹脂部7Aを形成する樹脂と光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂とが同じである場合、例えば1層の硬化性樹脂層からインプリント法等によってパターン形成することによって、絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bを容易に一括して形成することができる。
【0032】
導電性フィルム20は、例えばインプリント法によるパターン形成を含む方法によって製造することができる。導電性フィルム20を製造する方法の一例は、支持フィルムと支持フィルムの一方の主面上に設けられた、中間樹脂層及び触媒を含有する下地層とを有する光透過性基材1を準備することと、光透過性基材1の下地層側の主面1S上に、硬化性樹脂層を形成させることと、凸部を有するモールドを用いたインプリント法により、下地層が露出するトレンチを形成させることと、トレンチを充填する導体部3を、下地層から金属めっきを成長させる無電解めっき法により形成することとを含む。硬化性樹脂層にモールドが押し込まれた状態で硬化性樹脂層を硬化させることにより、モールドの凸部の反転形状を有する開口を含むパターンを有する絶縁樹脂部7Aと光透過性樹脂層7Bとが一括して形成される。開口を含むパターンを有する絶縁樹脂部7Aを形成する方法は、インプリント法に限られず、フォトリソグラフィー等の任意の方法を適用できる。
【0033】
以上例示的に説明された導電性フィルムを、例えば平面状の透明アンテナとして表示装置に組み込むことができる。表示装置は、例えば、液晶表示装置、又は有機EL表示装置であってもよい。図4は、導電性フィルムが組み込まれた表示装置の一実施形態を示す断面図である。図4に示される表示装置100は、画像表示領域10Sを有する画像表示部10と、導電性フィルム20と、偏光板30と、カバーガラス40とを備える。導電性フィルム20、偏光板30、及びカバーガラス40は、画像表示部10の画像表示領域10S側において、画像表示部10側からこの順に積層されている。表示装置の構成は図4の形態に限られず、必要により適宜変更が可能である。例えば、偏光板30が画像表示部10と導電性フィルム20との間に設けられてもよい。画像表示部10は、例えば液晶表示部であってもよい。偏光板30及びカバーガラス40として、表示装置において通常用いられているものを用いることができる。偏光板30及びカバーガラス40は、必ずしも設けられなくてもよい。画像表示部10の画像表示領域10Sから出射される画像表示のための光が、導電性フィルム20を含む均一性の高い光路長の経路を通過する。これにより、モワレが抑制された均一性の高い良好な画像表示が可能である。
【0034】
次に、図5を参照して、導体層5及びその周辺の構成について更に詳細に説明する。図5は、配線体200を備えるアンテナ300の平面図である。図5は、導体層5の一部を拡大して示している。なお、以降の説明においては、主面1Sと平行な平面に対してXY座標を設定して、説明を行うものとする。Y軸方向は、主面1Sに沿った方向であり、図1に示す例においては、導電性フィルム20の辺部と直交する方向に対応する。導電性フィルム20の中央側をY軸方向の正側とし、導電性フィルム20の外周側をY軸方向の負側とする。X軸方向は、主面1Sに沿ってY軸方向と直交する方向であり、図1に示す例においては、導電性フィルム20の辺部が延びる方向に対応する。導電性フィルム20の辺部が延びる一方側をX軸方向の正側とし、他方側をX軸方向の負側とする。また、X軸方向、及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向とする。光透過性基材1に対して樹脂層7が設けられている側をZ軸方向の正側とする。
【0035】
図5に示すように、導体層5のメッシュ状のパターンは、複数の第1の導電線51、及び複数の第2の導電線52を含む。第1の導電線51は、Y軸方向に平行に延びる直線状の導体部3である。複数の第1の導電線51は、X軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第1の導電線51は、等ピッチで離間するように配置される。第2の導電線52は、X軸方向に平行に延びる直線状の導体部3である。複数の第2の導電線52は、Y軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第2の導電線52は、等ピッチで離間するように配置される。導電線51,52の太さは特に限定されないが、例えば1~3μmに設定されてよい。また、導電線51,52のピッチも特に限定されないが、例えば100~300μmに設定されてよい。なお、第1の導電線51は、Y軸方向に延びていれば、Y軸方向と平行でなくても構わず、第2の導電線52は、X軸方向に延びていれば、X軸方向と平行でなくても構わない。導電線51,52について区別せずに説明する場合は、導電線50と称する場合がある。
【0036】
導体層5は、放射素子部5Aと、給電部5Bと、を有する。放射素子部5Aは、アンテナとして信号を放射する領域である。放射素子部5Aは、Y軸方向に平行な二辺、及びX軸方向に平行は二辺を有する矩形状を有する。給電部5Bは、放射素子部5Aへ給電を行う領域である。給電部5Bは、Y軸方向に平行に延びる帯状の形状を有している。給電部5Bは、放射素子部5AのY軸方向の負側の辺部に接続される。給電部5Bは、図示されない端子に接続されている。
【0037】
次に、図5に加え、図6を参照して、樹脂層7及び導体層5の構成について更に詳細に説明する。図6は、配線体200の断面図である。なお、以降の説明では「上」「下」の語を用いて説明を行うが、これは、配線体200の使用時における姿勢を限定するものではない。Z軸方向における正側を「上」とし、負側を「下」とする場合がある。前述のとおり、図6に示すように、光透過性基材1は、第1領域E1と、第2領域E2と、を有する。樹脂層7は、第1領域E1を含む光透過性基材1上に設けられる。樹脂層7は、光透過性基材1のZ軸方向の正側の主面1Sを覆うように設けられる。樹脂層7は、Z軸方向の正側の上面7aと、負側の下面7bとを有する。負側の下面7bは、光透過性基材1の主面1Sと接するように設けられる。
【0038】
第1領域E1には、樹脂層7をZ軸方向(厚み方向)に貫通する、メッシュ状の貫通孔60が形成される。メッシュ状の貫通孔60は、樹脂層7のZ軸方向の正側の上面7aから負側の下面7bに至るまで延びている。導体層5は、メッシュ状の貫通孔60内に配置される。図5に示すように、メッシュ状の貫通孔60は、第1の導電線51が配置される第1の貫通孔61と、第2の導電線52が配置される第2の貫通孔62と、を有する。第1の貫通孔61は、前述の第1の導電線51に対応するピッチ、及び幅にて配置される。第2の貫通孔62は、前述の第2の導電線52に対応するピッチ、及び幅にて配置される。すなわち、第1の貫通孔61は、Y軸方向に平行に延びる直線状の貫通孔である。複数の第1の貫通孔61は、X軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第1の貫通孔61は、等ピッチで離間するように配置される。第2の貫通孔62は、X軸方向に平行に延びる直線状の貫通孔である。複数の第2の貫通孔62は、Y軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第2の貫通孔62は、等ピッチで離間するように配置される。なお、第1領域E1では、メッシュ状の貫通孔60は、平面視において、導体層5の放射素子部5A、及び給電部5Bの形状に対応するように配置される。
【0039】
第2領域E2は、第1領域E1の周囲に位置する領域である。図5に示すように、第2領域E2は、第1領域E1に形成された放射素子部5A、及び給電部5B(一部の領域を除き)を取り囲むように配置される。なお、第2領域E2が放射素子部5A及び給電部5Bを取り囲む(全体を囲む)ように配置されていてもよい。第2領域E2において、樹脂層7は、当該樹脂層7をZ軸方向に貫通する線状の溝70を有する。溝70は、樹脂層7のZ軸方向の正側の上面7aから負側の下面7bに至るまで延びている。このような構成により、樹脂層7は、メッシュ状の貫通孔60からZ軸方向と直交する方向(X軸方向、及びY軸方向)に離間する位置において、樹脂層7をZ軸に貫通する線状の溝70を有する。線状の溝70とは、XY平面内の所定方向に溝70が延びる状態である。本実施形態では、図5に示すように、Y軸方向に延びる線状の複数の第1の溝71と、X軸方向に延びる線状の複数の第2の溝72と、が設けられる。これにより、線状の溝70は、メッシュ状に形成される。第1の溝71は、Y軸方向に平行に延びる直線状の溝である。複数の第1の溝71は、X軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第1の溝71は、等ピッチで離間するように配置される。第2の溝72は、X軸方向に平行に延びる直線状の溝である。複数の第2の溝72は、Y軸方向に互いに離間するように配置される。複数の第2の溝72は、等ピッチで離間するように配置される。
【0040】
このように、平面視した場合のメッシュ状の貫通孔60の延在方向と、メッシュ状の溝70の延在方向とは、互いに平行である。第1の貫通孔61の延在方向と、第1の溝71の延在方向とは、いずれもY軸方向であり、互いに平行である。第2の貫通孔62の延在方向と、第2の溝72の延在方向とは、いずれもY軸方向であり、互いに平行である。
【0041】
なお、図5において、内部に導電線51,52が配置されている貫通孔60には、グレーの色が付されている。これに対し、本実施形態では、メッシュ状の溝70は、空洞である。空洞とは、溝70内に導電材料や樹脂材料が入っていない状態である。従って、導電線51,52が配置されていない溝70には、色が付されていない。なお、配線体200の流通形態としては、溝70が空洞であったとしても、配線体200を他の部材に接合させるときには、溝70には、OCAなどの接着剤が充填される場合がある。
【0042】
溝70は、光透過性基材1を覆う樹脂層7の一部に窪みを設けることによって構成される部分である。すなわち、光透過性基材1の主面1Sが露出しているものに対し、樹脂の壁を点在させた場合の、壁と壁との間の空間は、溝70とは異なる。このような壁と壁との間には、壁自体の厚みよりも大きい隙間ができる。本実施形態のメッシュ状の溝70の幅WD2は、溝70のピッチPT2より小さくてよい。なお、メッシュ状の貫通孔60の幅WD1も、貫通孔60のピッチPT1より小さくてよい。溝70のピッチPT2は、互いに隣り合う溝70の中央位置同士の間の距離である。貫通孔60のピッチPT1は、互いに隣り合う貫通孔60の中央位置同士の間の距離である。
【0043】
メッシュ状の貫通孔60とメッシュ状の溝70とは、それぞれの幅、及びピッチが同じであってもよい。ただし、メッシュ状の貫通孔60とメッシュ状の溝70とは、それぞれの幅、及びピッチが異なっていてもよい。例えば、メッシュ状の溝70のピッチPT2は、メッシュ状の貫通孔60のピッチPT1より小さくてよい。貫通孔60の幅WD1は、前述の導電線51,52と同様に、例えば1~3μmに設定されてよい。また、貫通孔60のピッチPT1は、前述の導電線51,52と同様に、例えば100~300μmに設定されてよい。溝70の幅WD2は、特に限定されないが、例えば1~3μmに設定されてよい。特に、溝70の幅は2μm以上に設定されてよい。また、溝70のピッチPT2は、特に限定されないが、例えば100~300μmに設定されてよい。貫通孔60、及び溝70は樹脂層7を貫通するものであるため、貫通孔60、及び溝70の深さは、樹脂層7の厚みと等しくなり、例えば、1.5~5.0μmに設定されてよい。なお、溝70は、メッシュ状でなくともよく、線状の構成を有していればよい。例えば、第1の溝71と第2の溝72のうちのいずれか一方のみを有していればよい。また、第2領域E2の位置によって、第1の溝71のみが存在する箇所と、第2の溝72のみが存在する箇所とが混在していてもよい。
【0044】
上述のような貫通孔60、導体層5,及び溝70の形成方法の一例について説明する。まず、光透過性基材1の主面1S上に硬化性樹脂を塗布し、モールドで加圧すると共に熱や光などによって硬化性樹脂を硬化する。これにより、貫通孔60、及び溝70をインプリントする。次に、インプリントした樹脂層7に対して無電解Cuめっき処理を行う。次に、電解Cuめっき処理を行う。このとき、貫通孔60を有する第1領域E1に給電を行い、溝70を有する第2領域E2には給電しない。これにより、貫通孔60内に導電線50を形成する。その後、エッチングにより溝70に残っている導体を除去する。
【0045】
次に、本実施形態に係る配線体200、及び表示装置100の作用・効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係る配線体200は、第1領域E1を有する光透過性基材1(基材)と、第1領域E1を含む光透過性基材1上に設けられる樹脂層7と、導体層5と、を備え、第1領域E1おいて、樹脂層7は、厚み方向(Z軸方向)に貫通する、メッシュ状の貫通孔60を有し、導体層5は、貫通孔60内に配置され、樹脂層7は、メッシュ状の貫通孔60から厚み方向と直交する方向(X軸方向、及びY軸方向)に離間する位置において、樹脂層7を厚み方向に貫通する線状の溝70を有する。
【0047】
この配線体200によれば、光透過性基材1の第1領域E1において、樹脂層7は、厚み方向(Z軸方向)に貫通する、メッシュ状の貫通孔60を有する。導体層5は、この貫通孔60内に配置される。これにより、第1領域E1には、配線体200の電気的な性能を発揮することができるメッシュ状の導体層5が配置される。これに対し、樹脂層7は、メッシュ状の貫通孔60から厚み方向と直交する方向(X軸方向、及びY軸方向)に離間する位置において、樹脂層7を厚み方向に貫通する線状の溝70を有する。このような溝70は、メッシュ状の導体層5の性能には影響を与えない位置にて、線状に延びた状態で樹脂層7を貫通している。このため、配線体200の柔軟性を高めることができ、配線体200の搭載位置などの自由度を高めることができる。例えば、配線体200をスマートグラスなどに適用する場合、配線体200は、スマートグラスのレンズなどの形状に柔軟に対応することができる。その他、配線体200は、スマートフォンのディスプレイ、自動車のガラスなどの用途に用いることで柔軟性を発揮することができる。
【0048】
光透過性基材1は、樹脂層7が設けられており、第1領域E1の周囲に位置する第2領域E2を有し、線状の溝70は、第2領域E2に配置されてよい。この場合、第2領域E2の溝70によって、第1領域E1の周囲の配線体200の柔軟性を高めることができる。また、後述の図11(c)に示す導体層5のようにメッシュの開口が大きい場合であっても、導体層5の周囲の領域を有効に活用して柔軟性を高めることができる。
【0049】
線状の溝70は、メッシュ状に形成されてよい。この場合、メッシュ状の溝70によって、X軸方向及びY軸方向の両方に対しての柔軟性を高めることができる。
【0050】
メッシュ状の溝70の幅は、溝70のピッチより小さくてよい。この場合、溝70の幅を小さく設定しておくことで、溝70の不可視性を高めることができると共に、配線体200の表面の平坦性を確保することができる。
【0051】
平面視した場合のメッシュ状の貫通孔60の延在方向と、メッシュ状の溝70の延在方向とは、互いに平行であってよい。この場合、貫通孔60の導体層5のメッシュパターンと溝70のメッシュパターンが同じ見え方をするため、メッシュパターンの不可視性を高めることができる。
【0052】
メッシュ状の貫通孔とメッシュ状の溝とは、それぞれの幅、及びピッチが同じであってよい。この場合、貫通孔60の導体層5のメッシュパターンと溝70のメッシュパターンが同じ見え方をするため、メッシュパターンの不可視性を高めることができる。
【0053】
メッシュ状の溝70のピッチは、メッシュ状の貫通孔60のピッチより小さくてよい。この場合、導体層5が配置されず、視認性に対する影響が少ない溝70の密度を高くすることで、柔軟性を高めることができる。
【0054】
メッシュ状の溝70の幅は2μm以上であってよい。この場合、配線体200を機器に搭載する際に、接着剤(光学用透明接着剤(OCA))を充填し易くなり、接着強度を向上できる。
【0055】
メッシュ状の溝70は、空洞であってよい。この場合、溝70における不可視性を高めることができる。
【0056】
本開示の一側面に係る表示装置100は、上述の配線体200を備える。
【0057】
上述の表示装置100によれば、上述の配線体200と同様な作用・効果を得ることができる。
【0058】
本開示は、上述の実施形態に限定されない。
【0059】
例えば、図7に示す構成を採用してよい。図7に示す配線体200は、メッシュ状の溝70に配置される樹脂80を有する。この樹脂80は樹脂層7より硬度が高くてよい。樹脂80は樹脂層7より屈折率が低くてよい。この場合、溝70が形成される箇所における透過率を向上することができる。
【0060】
また、図8に示す構成を採用してよい。図8に示す配線体200は、メッシュ状の溝70に配置される樹脂80を有する。また、樹脂80は、メッシュ状の導体層5の表面と、樹脂層7の表面と、を覆う樹脂層81を有する。この場合、樹脂層81によって、配線体200の表面の平坦性を高めることができる。また、導体層5や樹脂層7を保護することができる。図8において用いられる樹脂80は、図7で用いられる樹脂80と同じであってもよい。例えば、図8において用いられる樹脂80が樹脂層7より硬度が高い場合、配線体200に傷がつくことを抑制することができる。なお、樹脂層7が溝70を有しているため、柔軟性は確保されている。これに対し、硬度の高い樹脂80が溝70に充填され、メッシュ状の導体層5の表面や樹脂層7の表面が覆われたとしても、溝70を設けたことによる柔軟性が大きく損なわれることを抑制しつつ、傷がつくことを抑制できる。また、メッシュ状の導体層5、及び樹脂層7の表面に配置される樹脂層81の厚みは、樹脂層7の厚みより薄くてよい。これにより、樹脂層81による上記効果を得つつ、配線体200が大型化すること、及び柔軟性が損なわれることを抑制できる。
【0061】
また、図9に示す構成を採用してよい。図9に示す配線体200では、光透過性基材1は、樹脂層7が設けられており、第2領域E2に隣り合う第4領域E4を有してよい。樹脂層7は、第4領域E4において、溝を有することなく広がっている。この場合、第2領域E2の隣に、溝70を有さない強度の高い第4領域E4を設けることができる。このように、部分的に強度の高い第4領域E4を設けることで、配線体200を搭載する際のたわみを抑制し、安定した実装が可能となる。また、強度の高い第4領域E4は部分的に設けているため、配線体200全体としての柔軟性が大きく損なわれることは抑制されている。また、第2領域E2から第4領域E4に向かうに従って、メッシュ状の溝70のピッチが大きくなってよい。例えば、第2領域E2と第4領域E4とでピッチが急激に変化すると、境目の部分で第2領域E2の溝が見えやすくなる可能性がある。これに対し、ピッチを徐々に大きくすることで、境目の部分での急激な変化を抑制し、溝70が見えやすくなることを抑制できる。
【0062】
また、図10に示す構成を採用してよい。図10に示す配線体200では、光透過性基材1は、樹脂層7が設けられない第5領域E5を有してよい。また、樹脂層7は、第2領域E2から第5領域E5に向かうに従って厚みが薄くなってよい。この場合、第5領域E5は樹脂層7が設けられないため、より柔軟性を高めることができる。従って、配線体200を折り曲げて実装する際に、柔軟性の高い第5領域E5を折り曲げて実装することが可能となる。また、図10に示す例において、第2領域E2と第5領域E5とで樹脂層7の厚みが急激に変化すると、光透過性基材1上に樹脂層7が設けられた第2領域E2と、樹脂層7が設けられていない光透過性基材1の第5領域E5との境界が見えやすくなる可能性がある。これに対し、樹脂層7の厚みを徐々に薄くすることで、境界付近での急激な変化を抑制し、第2領域E2と第5領域E5との境界が見えやすくなることを抑制できる。
【0063】
また、図11(c)に示す構成を採用してよい。図11(c)に示す配線体200では、光透過性基材1は、樹脂層7が設けられており、メッシュ状の導体層5の開口内に位置する第3領域E3を有する。線状の溝70は、第3領域E3に配置される。導体層5の開口は、隣り合う一対の第1の導電線51,51と、隣り合う一対の第2の導電線52,52で囲まれる矩形状の部分である。当該開口内には、一対の線状の溝70と、これらと直交する一対の線状の溝70とが交差することで、ダミーメッシュが形成される。ダミーメッシュでは、各線状の溝70は、矩形状の箇所の各角部から、両側にはみ出るように延びている。図11(c)のダミーメッシュは、矩形状の部分は1つだけ有しているが、矩形状の部分を2つ以上有していてもよい。この場合、ダミーメッシュは導体層5の開口内に配置されることから、ダミーメッシュの複数の矩形状の部分を構成する線状の溝70のピッチは、メッシュ状の導体層5が配置される貫通孔60のピッチより小さくなる。なお、導体層5の開口内において、各線状の溝70は、導体層5とは接触しないように配置される。例えば、図11(a)に示すように、第1領域E1の導体層5のメッシュパターンよりも透過率を高めるために、図11(b)に示すようなピッチが大きいメッシュパターンを採用したものとする。このとき、ピッチが大きくなることによって透過率は高くなるが、図11(b)の上段図に示すように、図11(a)の上段図よりもメッシュパターンが見えやすくなってしまうことがある。これに対し、図11(c)の構造を採用することで、メッシュパターンの導体層5の開口内にダミーメッシュとなる溝70が配置される。この場合、図11(c)の上段図のように、図11(b)よりもメッシュパターンを見えにくくすることができる。更に、図11(c)の構造では、透過率を高くすると共に、抵抗値も図11(b)と同等に調整することができる。なお、図11(c)に示す構造では、第3領域E3は、第1領域E1と別々に設けられているのではなく、第3領域E3は第1領域E1に含まれる構造となる。具体的に、第1領域E1のうち、メッシュ状の導体層5の開口内の部分が第3領域E3となる。
【0064】
[形態1]
第1領域を有する基材と、
前記第1領域を含む前記基材上に設けられる樹脂層と、
導体層と、を備え、
前記第1領域において、前記樹脂層は、厚み方向に貫通するメッシュ状の貫通孔を有し、
前記導体層は、前記貫通孔内に配置され、
前記樹脂層は、メッシュ状の前記貫通孔から前記厚み方向と直交する方向に離間する位置において、前記樹脂層を前記厚み方向に貫通する線状の溝を有する、配線体。
[形態2]
前記基材は、前記樹脂層が設けられており、前記第1領域の周囲に位置する第2領域を有し、
線状の前記溝は、前記第2領域に配置される、形態1に記載の配線体。
[形態3]
前記基材は、前記樹脂層が設けられており、メッシュ状の前記導体層の開口内に位置する第3領域を有し、
線状の前記溝は、前記第3領域に配置される、形態1又は2に記載の配線体。
[形態4]
線状の前記溝は、メッシュ状に形成される、形態1~3の何れか一項に記載の配線体。
[形態5]
メッシュ状の前記溝の幅は、前記溝のピッチより小さい、形態4に記載の配線体。
[形態6]
平面視した場合のメッシュ状の前記貫通孔の延在方向と、メッシュ状の前記溝の延在方向とは、互いに平行である、形態4又は5に記載の配線体。
[形態7]
メッシュ状の前記貫通孔とメッシュ状の前記溝とは、それぞれの幅、及びピッチが同じである、形態4~6の何れか一項に記載の配線体。
[形態8]
メッシュ状の前記溝のピッチは、メッシュ状の前記貫通孔のピッチより小さい、形態4~7の何れか一項に記載の配線体。
[形態9]
メッシュ状の前記溝の幅は2μm以上である、形態4~8の何れか一項に記載の配線体。
[形態10]
メッシュ状の前記溝は、空洞である、形態4~9の何れか一項に記載の配線体。
[形態11]
メッシュ状の前記溝に配置される樹脂を有し、前記樹脂は前記樹脂層より硬度が高い、形態4~10の何れか一項に記載の配線体。
[形態12]
メッシュ状の前記溝に配置される樹脂を有し、前記樹脂は前記樹脂層より屈折率が低い、形態4~11の何れか一項に記載の配線体。
[形態13]
メッシュ状の前記溝に配置される樹脂を有し、前記樹脂は、メッシュ状の前記導体層の表面と、前記樹脂層の表面と、を覆う、形態4~12の何れか一項に記載の配線体。
[形態14]
メッシュ状の前記導体層、及び前記樹脂層の表面に配置される前記樹脂の厚みは、前記樹脂層の厚みより薄い、形態13の何れか一項に記載の配線体。
[形態15]
前記基材は、前記樹脂層が設けられており、前記第2領域に隣り合う第4領域を有し、
前記樹脂層は、前記第4領域において、前記溝を有することなく広がる、形態2に記載の配線体。
[形態16]
前記第2領域から前記第4領域に向かうに従って、メッシュ状の前記溝のピッチが大きくなる、形態15に記載の配線体。
[形態17]
前記基材は、前記樹脂層が設けられない第5領域を有し、
前記樹脂層は、前記第2領域から前記第5領域に向かうに従って厚みが薄くなる、形態2又は16に記載の配線体。
[形態18]
形態1~17の何れか一項に記載の配線体を備える、表示装置。
【符号の説明】
【0065】
1…光透過性基材(基材)、7…樹脂層、5…導体層、60…貫通孔、70…溝、80…樹脂、100…表示装置、200…配線体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11