(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154087
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】情報表示システム、運動支援システム、及び情報表示方法
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20251002BHJP
A63B 22/02 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
A63B69/00 A
A63B22/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056895
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 広樹
(57)【要約】
【課題】運動中における表示装置の視認性を向上する。
【解決手段】情報表示システムは、光を反射する反射面が運動中の利用者の視線方向に交差するように設けられた反射装置と、前記反射面に向けて配置された表示面に前記運動中の利用者の要求に応じたオブジェクトを表示させる表示装置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を反射する反射面が運動中の利用者の視線方向に交差するように設けられた反射装置と、
前記反射面に向けて配置された表示面に前記運動中の利用者の要求に応じたオブジェクトを表示させる表示装置と、
を備える情報表示システム。
【請求項2】
前記表示装置と前記反射装置は、
前記表示装置から前記反射装置までの光路が前記運動中の利用者によって遮られるように配置されている、
請求項1に記載の情報表示システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報表示システムと、
利用者が乗って運動を行うための運動器具と、
を備える運動支援システム。
【請求項4】
光を反射する反射面が運動中の利用者の視線方向に交差するように反射装置を設けて、
前記反射面に向けて配置された表示面に前記運動中の利用者の要求に応じたオブジェクトを表示させること、
を含む情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示システム、運動支援システム、及び情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デスクワークにおける運動不足を解消するための仕事環境が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運動しながら表示されたものを読み取ることは容易でない。例えば、運動中に頭の位置は動きやすい。運動によって頭が動くことで、利用者に対向して設けられた表示装置に表示されたオブジェクトの方向が変化する。これに伴って、利用者は対向する表示装置に表示されたオブジェクトを認識することが難しくなる。
視点からその表示装置までの距離を広げることで、頭の位置の移動の影響を低減することができるが、設置スペースに限りがあるため、利用者が運動の際に利用する運動器具から表示装置までの距離を広げることは容易ではない。
本発明の目的は、運動中における表示装置の視認性を向上することができる情報表示システム、情報表示システム及び情報表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)第1の態様によれば、情報表示システムは、光を反射する反射面が運動中の利用者の視線方向に交差するように設けられた反射装置と、前記反射面に向けて配置された表示面に前記運動中の利用者の要求に応じたオブジェクトを表示させる表示装置と、を備える。
(2)上記の情報表示システムにおいて、前記表示装置と前記反射装置は、前記表示装置から前記反射装置までの光路が前記運動中の利用者によって遮られるように配置されている。
(3)第2の態様によれば、運動支援システムは、上記の情報表示システムと、利用者が乗って運動を行うための運動器具とを備える。
(4)第3の態様によれば、情報表示方法は、光を反射する反射面が運動中の利用者の視線方向に交差するように反射装置を設けて、前記反射面に向けて配置された表示面に前記運動中の利用者の要求に応じたオブジェクトを表示させること、を含む。
【発明の効果】
【0006】
上記少なくともいずれか1つの態様によれば、運動中における表示装置の視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る情報表示システムの構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態の情報表示システム1の各部の配置について説明するための図である。
【
図3】実施形態の利用者Uが基準の位置にいて、その場所から視認できる画像を説明するための図である。
【
図4】実施形態の利用者Uが基準の位置から左に所定距離移動して、移動した場所から視認できる画像を説明するための図である。
【
図5】実施形態の利用者Uの移動量と視認できる画像の方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《情報表示システムの構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。実施形態に係る情報表示システム1は、デスクワークが多い利用者Uの運動不足を解消するために、例えば利用者Uのデスクワーク用の画面を表示させながら、運動器具11による運動を可能とする。情報表示システム1は、表示装置13によって情報を表示する表示面までの光路を、反射装置14を用いて長くしたことで、運動による視認性の低下を防ぐ。
【0009】
図1は、実施形態に係る情報表示システムの構成を示す概略図である。
図2は、実施形態の情報表示システム1の各部の配置について説明するための図である。
【0010】
図1に示すように、情報表示システム1は、例えば、運動器具11と、表示装置13と、反射装置14と、を備える。
【0011】
運動器具11は、利用者Uが乗って運動を行うための運動器具である。
図1に示す例において運動器具11は、トレッドミルである。なお、運動器具11は、トレッドミルに限られない。例えば、他の実施形態に係る運動器具11は、フィットネスバイクやステッパー等の他の運動器具であってもよい。また、運動器具11は、トランポリンやバランスボール等、動力を要しない運動器具であってもよい。
【0012】
なお、運動器具11の前方とは、運動器具11に乗った利用者Uの顔が向く方向である。トレッドミルの場合、ベルトコンベアの送り方向の反対方向が前方である。
【0013】
表示装置13は、利用者Uに閲覧させる情報を表示する。利用者Uに閲覧させる情報には、利用者Uの要求に応じたオブジェクトが含まれていてよい。表示装置13は、表示面に運動中の利用者の要求に応じたオブジェクトを表示させる。スクリーン16は、反射装置14の反射面Mに向けて配置されている。例えば、表示装置13がプロジェクタである場合、表示装置13(プロジェクタ)は、そのスクリーン16(表示面)に画像を投影する。
【0014】
反射装置14は、例えば運動器具11と正対するように設置される。反射装置14は、運動器具11に乗った利用者Uの視点Puの高さに反射面Mが位置するように設けられる。つまり、反射装置14の反射面Mは、運動器具11に乗った利用者Uの視線方向に交差するように設けられる。鏡は反射装置14の一例である。
【0015】
図2の平面図に示す位置に情報表示システム1の各部が配置されている。
図2の左から右に向けて、表示装置13のスクリーン16(表示面)、利用者U、反射装置14の順に、夫々の位置が決定されている。この利用者Uの位置Prは、スクリーン16(表示面)と、反射装置14との間に位置する。そのため、情報表示システム1の表示装置13のスクリーン16から利用者Uまでの光路は、反射装置14の反射面Mによって反射する方向に形成されている。
反射装置14を基準に、利用者Uから見た利用者U本人の虚像とスクリーン16(表示面)の虚像の位置が特定される。例えば、次のように設定する。
・利用者Uの位置Prから反射装置14の位置までの距離と、利用者Uの虚像の位置Piから反射装置14までの距離は等しい。
・利用者Uの位置Prから反射装置14までの距離と、利用者Uの位置Prからスクリーン16(表示面)までの距離は等しい。
・反射装置14の位置からスクリーン16(表示面)の位置までの距離と、反射装置14の位置からスクリーン16(表示面)の虚像の位置Siまでの距離は、互いに等しい。
【0016】
図3と
図4と
図5を参照して、実施形態の利用者Uから視認できる画像について説明する。
図3は、実施形態の利用者Uが基準の位置にいて、その場所から視認できる画像を説明するための図である。
図4は、実施形態の利用者Uが基準の位置から左に所定距離移動して、移動した場所から視認できる画像を説明するための図である。
図5は、実施形態の利用者Uの移動量と視認できる画像の方向を説明するための図である。例えば、所定距離を20cm程度と見込む。例えば、利用者Uの基準の位置を、反射装置14の幅方向(X軸方向)の略中央からの法線上に定める。例えば、利用者Uの基準の位置を、上記のとおりに、利用者Uの位置Prから反射装置14までの距離と、利用者Uの位置Prからスクリーン16(表示面)までの距離が等しくなるように定めるとよい。
【0017】
例えば、
図3に示すように利用者Uの頭部が、反射装置14に映った画像のほぼ中央に映り込んでいたとする。この後利用者Uが自身の左方向に所定距離寄った場合、利用者Uの位置からは、
図4に示すように利用者Uの頭部が、その画像の中央から左に所定距離寄った位置になってみえる。実際のユーザUの頭が上下左右に動いても、頭部に対向する位置に反射装置14が存在していれば、利用者Uの正面にその利用者U自身の像を確認できる。
【0018】
反射装置14に映った画像の中で利用者Uの背景に見える画像は、スクリーン16(表示面)に投影された画像である。この背景の画像は、利用者Uの移動に伴って、利用者Uから見込む位置が変化する。より具体的には、実際に利用者Uが左と右の何れかに移動した場合、この背景の画像は、利用者Uの移動の方向と同じ方向に移動したかのように見える。
【0019】
なお、
図5(a)に比較例の一例として、表示装置13DPと運動器具11を一般的な方法で配置した空間を平面視して示す。表示装置13DPは、LCDなどの表示部を備えている。図に示すように表示装置13DPは、利用者Uの正面に配置されている。
表示装置13DPの表示部に表示されたオブジェクトの位置は利用者Uの移動によらずに不変である。そのため、実際に利用者Uの運動によって頭が動くことで、利用者Uの移動に伴って利用者Uの視野のなかでオブジェクトの位置が大きく移動することになる。その結果、利用者Uは対向する表示装置13DPに表示されたオブジェクトを認識することが難しくなる。
【0020】
これに対して、
図5(b)に示す本実施形態の場合には、上記のとおり、実際の利用者Uの移動方向と同じ方向に背景の画像が移動するように見える。これにより、利用者Uは、対向配置されている反射装置14によって反射された画像の中のオブジェクトが見かけ上移動するように見えることになる。オブジェクトを見込む角度の変化が比較例の場合に比べて少なくなる。その結果、利用者Uは自身の動きに見かけ上ついてくるように見えるオブジェクトを見失うことなく認識することが可能になる。
オブジェクトの見かけ上の移動量を試算する。例えば、利用者Uがスクリーン16(表示面)と反射装置14の中ほどに立っていれば、反射装置14の反射面M上で、利用者Uが移動する前にその表示面M上にあるように見えた位置から、利用者Uが動いた距離の約3分の2の距離を利用者Uの移動に伴って移動したように見える。この見かけの移動量は、スクリーン16(表示面)と反射装置14の如何なる位置に利用者Uが存在しているかによって変化する。
【0021】
このように、実施形態に係る情報表示システム1は、光を反射する反射面Mが運動中の利用者の視線方向に交差するように設けられた反射装置と、前記反射面Mに向けて配置された表示面に前記運動中の利用者の要求に応じたオブジェクトを表示させる表示装置と、を備える。これにより、情報表示システム1は、運動器具11の利用によって利用者Uの視点Puが移動しても、利用者Uによるオブジェクトの視認性を維持することができる。
【0022】
また、スクリーン16(表示面)と反射装置14は、スクリーン16から反射装置14までの光路が運動中の利用者Uによって遮られるように配置されている。
【0023】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0024】
上記の情報表示システム1を運動支援システム1Aに適用できる。例えば、運動支援システム1Aは、上記の情報表示システム1と、利用者Uが乗って運動を行うための運動器具(11)と、を備えるとよい。
【符号の説明】
【0025】
1 情報表示システム
1A 運動支援システム
11 運動器具
12 台座
13 表示装置
14 反射装置(鏡)
O オブジェクト
Pr 利用者の位置
Pu 利用者の視点
U 利用者