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特開2025-154188受発光センサ及び該受発光センサを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154188
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】受発光センサ及び該受発光センサを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/47 20060101AFI20251002BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20251002BHJP
   G01N 21/55 20140101ALI20251002BHJP
【FI】
G01N21/47 F
G03G15/00 303
G01N21/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024057056
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 直樹
【テーマコード(参考)】
2G059
2H270
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB10
2G059DD12
2G059EE02
2G059GG02
2G059GG03
2G059HH02
2G059KK01
2G059KK03
2G059LL01
2G059NN01
2H270LD01
2H270LD02
2H270LD03
(57)【要約】
【課題】乱反射光を検出する乱反射光検出方式と、正反射光を検出する正反射光検出方式とを1つの受発光センサにより実現しつつ、乱反射光と正反射光とが混在して検出されることによる測定精度の低下を防止する。
【解決手段】受発光センサ10は、基板11の一方の面に所定方向に沿って配置された第1発光素子14、第2発光素子16、第1受光素子15及び第2受光素子17を備えている。第1受光素子15は、第1発光素子14から出射された光の正反射光を受光する。第2受光素子17は、第2発光素子16から出射された光の乱反射光を受光する。基板垂直方向から見て、第1発光領域14aの面積重心位置C1と第1受光領域15aの面積重心位置C2とを通る第1基準線L12と、第2発光領域16aの面積重心位置C3と第2受光領域17aの面積重心位置C4とを通る第2基準線L34とが交差する。
【選択図】図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に向けて光を照射し、該測定対象物からの反射光を検出する受発光センサであって、
主基板と、
前記主基板の一方の面に所定方向に沿って配置された第1発光素子、第2発光素子、第1受光素子及び第2受光素子とを備え、
前記第1発光素子は第1発光領域を含み、前記第2発光素子は第2発光領域を含み、
前記第1受光素子は第1受光領域を含み、前記第2受光素子は第2受光領域を含み、
前記第1受光素子は、前記第1発光素子から出射された光の正反射光を受光可能な位置に配置され、
前記第2受光素子は、前記第2発光素子から出射された光の乱反射光を受光可能な位置に配置され、
前記主基板に垂直な基板垂直方向から見て、前記第1発光領域の面積重心位置と前記第1受光領域の面積重心位置とを通る直線を第1基準線と定義し、前記第2発光領域の面積重心位置と前記第2受光領域の面積重心位置とを通る直線を第2基準線と定義したとき、前記第1基準線と前記第2基準線とが交差するように前記各受光素子及び前記各発光素子が配置されている、受発光センサ。
【請求項2】
請求項1記載の受発光センサにおいて、
前記主基板に積層され、前記所定方向において互いに隣接して並ぶ第1素子基板及び第2素子基板をさらに備え、
前記第1受光素子及び前記第1発光素子は、前記第1素子基板に配置され、
前記第2受光素子及び前記第2発光素子は、前記第2素子基板に配置され、受発光センサ。
【請求項3】
請求項2記載の受発光センサにおいて、
前記基板垂直方向から見て、前記第1素子基板は、その延設方向が前記第1基準線と平行で且つ前記主基板の延設方向と一致するように配置され、且つ、前記第2素子基板は、その延設方向が前記第2基準線と平行で且つ前記主基板の延設方向に対して傾くように配置されている、受発光センサ。
【請求項4】
請求項2記載の受発光センサにおいて、
前記基板垂直方向から見て、前記第1素子基板は、その延設方向が前記第1基準線と平行で且つ前記主基板の延設方向と一致するように配置され、
前記第2素子基板は、その延設方向が前記主基板の延設方向と一致するように配置されており、
前記基板垂直方向から見て、前記第2素子基板の延設方向に直交する方向における前記第2受光領域の面積重心位置及び前記第2発光領域の面積重心位置が互いに異なっている、受発光センサ。
【請求項5】
請求項3記載の受発光センサにおいて、
前記基板垂直方向から見て、前記第2素子基板の延設方向に直交する方向における前記第2受光領域の面積重心位置及び前記第2発光領域の面積重心位置が互いに異なっている、受発光センサ。
【請求項6】
測定対象物に向けて光を照射し、該測定対象物からの反射光を検出する受発光センサであって、
主基板と、
前記主基板の一方の面に所定方向に沿って配置された第1発光素子、第2発光素子、第1受光素子及び第2受光素子とを備え、
前記第1発光素子は第1発光領域を含み、前記第2発光素子は第2発光領域を含み、
前記第1受光素子は第1受光領域を含み、前記第2受光素子は第2受光領域を含み、
前記第1受光素子は、前記第1発光素子から出射された光の正反射光を受光可能な位置に配置され、
前記第2受光素子は、前記第2発光素子から出射された光の乱反射光を受光可能な位置に配置され、
前記主基板に垂直な基板垂直方向から見て、前記第2発光領域の面積重心位置と前記第2受光領域の面積重心位置とを通る直線を第2基準線と定義し、前記第1受光領域の面積重心位置と前記第2受光領域の面積重心位置とを通る直線を第3基準線と定義したとき、前記第2基準線と前記第3基準線とが交差するように前記各受光素子及び前記各発光素子が配置されている、受発光センサ。
【請求項7】
請求項6記載の受発光センサおいて、
前記主基板の前記一方の面に積層された1つの素子基板をさらに備え、
前記第1受光素子と、前記第1発光素子と、前記第2受光素子と、前記第2発光素子とは、前記素子基板に配置されている、受発光センサ。
【請求項8】
請求項7記載の受発光センサおいて、
前記基板垂直方向から見て、前記第1発光領域の面積重心位置と前記第1受光領域の面積重心位置とを通る直線を第1基準線と定義したとき、前記第3基準線が前記第1基準線に対して交差するように前記各受光素子及び前記各発光素子が配置されている、受発光センサ。
【請求項9】
請求項7記載の受発光センサおいて、
前記基板垂直方向から見て、前記第1発光領域の面積重心位置と前記第1受光領域の面積重心位置とを通る直線を第1基準線と定義したとき、前記第3基準線が前記第1基準線に対して平行になるように前記各受光素子及び前記各発光素子が配置されている、受発光センサ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の受発光センサを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受発光センサ及び該受発光センサを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物に向けて光を照射する発光部と、該測定対象物からの反射光を検出する受光部と、該発光部及び受光部が実装される基板とを備えた受発光センサが知られている。この種の受発光センサは、測定対象物の特性値(例えば表面濃度や位置等であって、以下、測定対象値という)の測定に使用される。
【0003】
下記特許文献1には、この種の受発光センサの一例が開示されている。この例では、受発光センサは、電子写真方式の画像形成装置等において中間転写ベルト上に形成されたパッチ画像の濃度や位置ずれを測定する用途に使用されている。
【0004】
この受発光センサは、発光部として第1発光素子と第2発光素子とを備えるとともに、受光部として第1受光素子と第2受光素子とを備えている。
【0005】
前記第1受光素子は、第1発光素子から出射された光の正反射光を受光可能な位置に配置されている。また第1受光素子は、第2発光素子から出射された光の乱反射光を受光可能な位置に配置されている。前記第2受光素子は、第2発光素子から出射された光の乱反射光を受光可能な位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7195808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示す受発光センサでは、諸要因(例えば測定対象物を支持する部材の位置ずれ等)によって、乱反射光の検出用に設けられた第2受光素子に、第1発光素子から出射される光の正反射光が入射したり、第2発光素子から出射される光の正反射光が入射したりして、測定対象値の測定精度が低下する虞がある。
【0008】
本開示の目的は、乱反射光を検出する乱反射光検出方式と、正反射光を検出する正反射光検出方式とを1つの受発光センサにより実現しつつ、乱反射光と正反射光とが混在して検出されることによる測定対象値の測定精度の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一局面に係る受発光センサは、測定対象物に向けて光を照射し、該測定対象物からの反射光を検出する受発光センサであって、主基板と、前記主基板の一方の面に所定方向に沿って配置された第1発光素子、第2発光素子、第1受光素子及び第2受光素子とを備え、前記第1発光素子は第1発光領域を含み、前記第2発光素子は第2発光領域を含み、前記第1受光素子は第1受光領域を含み、前記第2受光素子は第2受光領域を含み、前記第1受光素子は、前記第1発光素子から出射された光の正反射光を受光可能な位置に配置され、前記第2受光素子は、前記第2発光素子から出射された光の乱反射光を受光可能な位置に配置され、前記主基板に垂直な基板垂直方向から見て、前記第1発光領域の面積重心位置と前記第1受光領域の面積重心位置とを通る直線を第1基準線と定義し、前記第2発光領域の面積重心位置と前記第2受光領域の面積重心位置とを通る直線を第2基準線と定義したとき、前記第1基準線と前記第2基準線とが交差するように前記各受光素子及び前記各発光素子が配置されている。
【0010】
本開示の他の局面に係る受発光センサは、測定対象物に向けて光を照射し、該測定対象物からの反射光を検出する受発光センサであって、主基板と、前記主基板の一方の面に所定方向に沿って配置された第1発光素子、第2発光素子、第1受光素子及び第2受光素子とを備え、前記第1発光素子は第1発光領域を含み、前記第2発光素子は第2発光領域を含み、前記第1受光素子は第1受光領域を含み、前記第2受光素子は第2受光領域を含み、前記第1受光素子は、前記第1発光素子から出射された光の正反射光を受光可能な位置に配置され、前記第2受光素子は、前記第2発光素子から出射された光の乱反射光を受光可能な位置に配置され、前記主基板に垂直な基板垂直方向から見て、前記第2発光領域の面積重心位置と前記第2受光領域の面積重心位置とを通る直線を第2基準線と定義し、前記第1受光領域の面積重心位置と前記第2受光領域の面積重心位置とを通る直線を第3基準線と定義したとき、前記第2基準線と前記第3基準線とが交差するように前記各受光素子及び前記各発光素子が配置されている。
【0011】
本開示の他の局面に係る画像形成装置は、前記受発光センサを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、乱反射光を検出する乱反射光検出方式と、正反射光を検出する正反射光検出方式とを1つの受発光センサにより実現しつつ、乱反射光と正反射光とが混在して検出されることによる測定対象値の測定精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1における受発光センサを備えた画像形成装置を示す概略図である。
図2図2は、受発光センサの配置構成を説明するための説明図であって中間転写部を下方から見た図である。
図3図3は、コントローラを含む制御系の構成を示すブロック図である。
図4図4は、黒トナーの検出原理を説明するための説明図であり、(a)は、中間転写ベルト上に黒トナーが存在しない場合を示し、(b)は、中間転写ベルト上に黒トナーが存在する場合を示している。
図5図5は、カラートナーの検出原理を説明するための説明図であり、(a)は、中間転写ベルト上にカラートナーが存在しない場合を示し、(b)は、中間転写ベルト上にカラートナーが存在する場合を示している。
図6図6は、図2のVI-VI線断面図である。
図7A図7Aは、実施形態1における各受発光素子の配線基板上における配置構成を説明するための概略図であって、図6のVII方向矢視図に相当する図である。
図7B図7Bは、実施形態1の変形例1を示す図7A相当図である。
図7C図7Cは、実施形態1の変形例2を示す図7A相当図である。
図8図8は、実施形態2を示す図6相当図である。
図9A図9Aは、実施形態2を示す図7A相当図である。
図9B図9Bは、実施形態2の変形例を示す図9A相当図(図7A相当図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の受発光センサについて図面を参照して詳細に説明する。本開示の受発光センサは、測定光を測定対象物に照射し、その反射光を受光することで、当該測定対象物の特性値を測定する。測定対象物には特に制限はなく、固体、半固体、液体、粉体などが対象となり得る。測定する特性値についても、反射光から解析し得る限りにおいて特に制限はない。以下で説明する実施形態では、画像形成装置に対し、画像形成用のトナーの濃度検出用に組み付けられる受発光センサを例示する。
【0015】
(実施形態1)
図1は、本実施形態における受発光センサ10を備えた画像形成装置100を示す概略図である。画像形成装置100は、タンデム型のカラープリンターにより構成されている。
【0016】
[画像形成装置の全体構成]
画像形成装置100は、給紙部1、垂直搬送路2、レジストローラ対3、中間転写部4、画像形成部50、2次転写部6、定着装置7、排出搬送路8、排出トレイ9、受発光センサ10及びコントローラ30(図3)を含んで構成されている。画像形成部50には、4つの画像形成機構5B、5M、5C、5Yが備えられている。
【0017】
画像形成装置100は、次のような画像形成工程を行う。用紙Pは、給紙部1の給紙カセット1aから、ピックアップローラ1bと分離ローラ対1c(図1のピックアップローラ1bの左のローラ対)によって、垂直搬送路2に搬送され、レジストローラ対3を介して2次転写部6へ搬送される。
【0018】
画像形成部50では、像担持体としての各々の感光体ドラム51(感光体ドラム51は図1において反時計方向に回転する)に形成されたイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー画像が後述の中間転写部4の中間転写ベルト43に順次多重転写され、カラー画像が形成される。
【0019】
ここで形成されたカラー画像は、2次転写部6によって、中間転写ベルト43から、給紙カセット1aより搬送されてきた用紙Pに、2次転写される。用紙P上には、カラー画像が形成される。
【0020】
この後、未定着のカラー画像を転写された用紙Pは、中間転写ベルト43から分離され、定着装置7に搬送される。そして、定着ローラ7aと加圧ローラ7bとの圧接により形成されるニップ部にて、用紙Pに定着に必要な熱量が供給され、更に定着ローラ7aと加圧ローラ7b間で加圧されることにより、カラー画像の定着処理がされる。定着装置7で定着処理がなされた後、用紙Pは、排出搬送路8を経て排出トレイ9に排出される。なお、定着ローラ7aには、ヒータ(不図示)が内蔵され、このヒータは定着ローラ7aの表面が定着に必要な所定の温度となるように制御されている。
【0021】
図1に示すように、中間転写部4は、駆動ローラ41と、従動ローラ42と、テンションローラ44とこの3つのローラに亘って掛け渡された無端状の中間転写ベルト43とからなる。中間転写ベルト43は、テンションローラ44により、適切な張力が付与されている。この状態で、駆動ローラ41に、不図示の駆動モータから駆動力が伝達されることで、中間転写ベルト43が、各画像形成機構5B、5M、5C、5Yの感光体ドラム51のドラム外周の表面速度と同じ送り速度で駆動される。
【0022】
次に、画像形成装置100の主要な構成要素である画像形成部50の構成について、詳細に説明をする。画像形成部50は、画像形成機構5B、5M、5C、5Yと、コンピューター等から入力された画像データに基づいて各色に対応したレーザー光を出射する4つの露光装置53とからなる。
【0023】
画像形成機構5B、5M、5C、5Yは、中間転写部4の下方に並んで配置されている。各画像形成機構5B、5M、5C、5Yの配置は、中間転写ベルト43の移動方向上流側より順に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(b)用となっており、全て略同じ構成の画像形成ユニットからなる。よって、画像形成機構5B、5M、5C、5Yにおいて、同一構成である部分については同一符号を付している。なお、以下の画像形成機構5B、5M、5C、5Yの説明においては、特に限定する必要がある場合を除き、「Y」「C」「M」「B」の識別記号は省略し、単に画像形成機構5と表記して説明する。
【0024】
画像形成機構5は、感光体ドラム51、帯電装置52、一次転写部材(一次転写ローラ)54、クリーニング装置55、及び現像装置56を含み、樹脂等からなる筐体にこれらを組み付けることにより1つのユニットとなり、画像形成装置100の本体に取り付けられている。画像形成時には、各画像形成機構5において、各感光体ドラム51の周面が帯電装置52によって一様に帯電され、当該帯電後の感光体ドラム51の周面に対して前記画像データに基づく各色に対応したレーザー光が照射される。この結果、各感光体ドラム51の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置56から現像剤が供給されて、各感光体ドラム51の周面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。これらトナー像は、一次転写ローラ54に印加された転写バイアスにより中間転写ベルト43にそれぞれ重ねて転写される。なお、感光体ドラム51上の一次転写されなかった残トナーは、クリーニング装置55によって除去される。
【0025】
[受発光センサの配置構成]
受発光センサ10は、前記各画像形成機構5B、5M、5C、5Yによって中間転写ベルト43の幅方向の一方側の端部領域に形成されるレジストマークr1~r4(図2参照)を検出するレジストセンサである。レジストマークr2~r4は、色ずれ補正用のマークであって後述するキャリブレーション制御部32による制御の下、各画像形成機構5B、5M、5C、5Yにより中間転写ベルト43の下面に形成される。
【0026】
図2は、受発光センサ10の配置構成を説明するための説明図であって中間転写部4を下方から見た図である。
【0027】
この図に示すように、受発光センサ10は、中間転写ベルト43の外周面(本例では下面)における幅方向の一方側の端部に対向して配置されている。受発光センサ10は、中間転写ベルト43に向けて光を照射し、その反射光(本例では正反射光及び乱反射光)を受光し、受光した反射光の光量に対応する信号(電気信号)を出力する反射型光学式センサである。受発光センサ10から出力される信号は後述のコントローラ30に入力され、コントローラ30では、受発光センサ10より受信した信号を基に後述のキャリブレーション制御(トナー濃度の補正処理)を実行する。なお、受発光センサ10の数は1つに限ったものではなく、例えば、2つの受発光センサ10を中間転写ベルト43の外周面の幅方向の両側部に配置するようにしてもよい。
【0028】
[制御系の構成]
図3は、前記コントローラ30を含む制御系の構成を示すブロック図である。コントローラ30は、プロセス機器50A、設定操作部40、及び受発光センサ10等に信号の授受可能に接続されている。
【0029】
プロセス機器50Aは、画像形成プロセスに必要な機器であって、例えば、前記感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置56、及び定着装置7等を含む。
【0030】
設定操作部40は、ユーザが指で操作することで、画像形成装置100に対して印刷ジョブの実行指令や各種条件を入力可能に構成されている。
【0031】
コントローラ30は、機能部として印刷制御部31とキャリブレーション制御部32とを有している。コントローラ30は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータからなる。以下で説明する印刷制御部31及びキャリブレーション制御部32の機能は、CPUがROM等に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで実現される。
【0032】
印刷制御部31は、例えば外部端末から送信される画像データを基に、プロセス機器50Aを制御することで用紙Pに対して印刷処理を実行する。
【0033】
キャリブレーション制御部32は、所定のタイミングでキャリブレーション制御を実行する。所定のタイミングとは、例えば、印刷制御部31により実行される印刷ジョブと印刷ジョブとの間の時間帯等が挙げられるがこれに限定されない。
【0034】
前記キャリブレーション制御では、印刷制御部31を介して露光装置53及び各画像形成機構5の動作を制御することで、中間転写ベルト43の表面におけるプリント領域の外側である非プリント領域(幅方向の端部領域)に濃度補正用の4つのレジストマークr1~r4(図2参照)を形成し、その後、受発光センサ10からの信号を基にこれら各レジストマークr1~r4の濃度を取得(算出)して、当該取得した各レジストマークr1~r4の濃度を基に、中間転写ベルト43に転写される各色のトナー画像の濃度を補正するよう現像バイアス等を調整する。
【0035】
なお、本例では、各レジストマークr1~r4は、ブラック、マゼンタ、シアン、及びイエローの各色に対応する長方形状のパッチ画像により構成されていて、中間転写ベルト43の移動方向の下流側から上流側に向かってこの順に形成される。図2中のB,M,C,Yの文字は各レジストマークr1~r4の色を表しており、実際にこれらの文字が画像として形成される訳ではない。
【0036】
[受発光センサの検出原理]
次に、図4及び図5を参照して、受発光センサ10による黒トナー及びカラートナーの検出原理を簡単に説明しておく。
【0037】
図4は、黒トナーの検出原理を説明するための説明図であり、(a)は、中間転写ベルト上に黒トナーが存在しない場合を示し、(b)は、中間転写ベルト上に黒トナーが存在する場合を示している。図4では、原理の説明用として、光を出射する発光素子201と、光を受光する受光素子202と、トナーが転写される中間転写ベルト203とを実際の装置とは別に模式的に示している。
【0038】
図4(a)に示すように、中間転写ベルト203上に黒トナーが存在しない場合には、発光素子201から出射された光は、中間転写ベルト203の表面で正反射して受光素子202に入射する。一方、図4(b)に示すように中間転写ベルト203上に黒トナーが存在する場合には、発光素子201からベルト203に入射した光の一部が黒トナーにより吸収されるので、中間転写ベルト203上にて反射する正反射光の量が少なくなり、受光素子202に入射する光の量も少なくなる。この結果、受光素子202から出力される出力信号(電気信号)の大きさも低下する。したがって、受光素子202を発光素子201から出射される光の正反射光を受光可能な位置に配置しておくことで当該受光素子202の出力信号を基に黒トナーの濃度を検出することができる。
【0039】
図5は、カラートナーの検出原理を説明するための説明図であり、(a)は、中間転写ベルト上にカラートナーが存在しない場合を示し、(b)は、中間転写ベルト上にカラートナーが存在する場合を示している。図5では、発光素子301と受光素子302と中間転写ベルト303とを実際の装置とは別に模式的に示している。
【0040】
図5の例では、黒トナーを検出する場合(図4の場合)と比べて受光素子302の位置が異なっている。すなわち、受光素子302は、カラートナーによる乱反射光を受光可能な位置(この図の例では正反射光を受光可能な位置よりも発光素子301に近い側)に配置されている。
【0041】
そして、図5(a)に示すように、中間転写ベルト303上にカラートナーが存在しない場合には、発光素子301から出射された光は、中間転写ベルト303の表面で正反射するが、この正反射光の先には受光素子302が設けられていないので受光素子302の出力信号は変化しない。一方、図5(b)に示すように中間転写ベルト303上にカラートナーが存在する場合には、発光素子301から中間転写ベルト303上に入射した光の一部がカラートナーにより乱反射して受光素子302に入射する。したがって、受光素子302を正反射位置から外れた位置で且つ乱反射光を受光可能な位置に配置することで当該受光素子302の出力信号を基にカラートナーの濃度を検出することができる。
【0042】
[受発光センサの詳細]
画像形成装置100に搭載される前記受発光センサ10は、上述した検出原理を基に黒トナーの濃度及びカラートナーの濃度を検出可能に構成されている。
【0043】
図6を参照して、受発光センサ10の具体的な構成を説明する。図6は、図2のVI-VI線断面図である。図6の左側が画像形成装置100の前側(以下、装置前側という)に相当し、図6の右側が画像形成装置100の後側(以下、装置後側という)に相当する。
【0044】
受発光センサ10は、配線基板11と、配線基板11の主面(一方の面)に固定された第1素子基板12A及び第2素子基板12Bと、第1素子基板12Aに形成された第1発光素子14及び第1受光素子15と、第2素子基板12Bに形成された第2発光素子16及び第2受光素子17と、前記配線基板11の主面に装着されて素子収容空間Sを形成する筐体18と、筐体18に支持されたレンズユニット19とを有している。本例では、第1発光素子14及び第2発光素子16は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)により構成され、第1受光素子15及び第2受光素子17は、フォトダイオード(PD:Photodiode)により構成されている。
【0045】
以下では、先ず、受発光センサ10を構成する各構成要素の説明を行った後、4つの各素子14~17の配置構成の詳細を説明する。
【0046】
前記配線基板11は、前記コントローラ30に電気的に接続されて各発光素子14,16及び各受光素子15,17にバイアス電圧を印加する。配線基板11は、本例では所定方向(図6の左右方向であって本例では主走査方向)に長い矩形状に形成されている。配線基板11は、例えば樹脂基板又はセラミック基板等で構成される。なお、配線基板11は矩形状に限ったものではく、例えば円形状や菱形状など如何なる形状であってもよい。
【0047】
第1素子基板12A及び第2素子基板12Bは、例えば半導体基板により構成されていて、前記配線基板11の主面にそれぞれ実装(積層)されている。第1素子基板12A及び第2素子基板12Bは、前記配線基板11の主面の面方向(主面と平行な方向)に沿って互いに隣接して配置されている。前記半導体基板は、本例ではSi(シリコン)基板により構成されている。第1素子基板12A及び第2素子基板12Bは共に前記所定方向に長い矩形状をなしている(図7A参照)。第1素子基板12Aと第2素子基板12Bとの間には僅かに隙間が設けられている。すなわち、1素子基板12Aと第2素子基板12Bとは、中間転写ベルト43側に開放する断面コ字状のスリット状の凹部を介して分離して配置されている。なお、第1素子基板12A及び第2素子基板12Bは矩形状に限ったものではなく、例えば円形状や菱形状など如何なる形状であってもよい。
【0048】
第1発光素子14及び第1受光素子15は、第1素子基板12Aにおける配線基板11側とは反対側面に形成されている。第1発光素子14及び第1受光素子15は、黒トナーを検出するために設けられた素子対であって、上述した黒トナーの検出原理(図4参照)に基づいてその配置位置が設定されている。
【0049】
すなわち、第1発光素子14は予め設定した中間転写ベルト43上の測定用被照射位置Mに向けて光を出射するように配置され、第1受光素子15は、第1発光素子14より出射された光の正反射光を受光可能な位置に配置されている。測定用被照射位置Mは、基板垂直方向から見て、第1受光素子15の第1受光領域15a(後述する図7A参照)の面積重心位置C2と、第1発光素子14の第1発光領域14aの面積重心位置C1とを結ぶ線分の中央に位置している。
【0050】
第2発光素子16及び第2受光素子17は、第2素子基板12Bにおける配線基板11側とは反対側面に形成されている。第2発光素子16及び第2受光素子17は、カラートナーを検出するために設けられた素子対であって、上述したカラートナーの検出原理(図5参照)基づいてその配置位置が設定されている。
【0051】
すなわち、第2発光素子16は測定用被照射位置Mに向けて光を出射するように配置され、第2受光素子17は、第2発光素子16より出射された光の乱反射光を受光可能な位置に配置されている。
【0052】
また、第2受光素子17は、第2発光素子16から出射された光の正反射光を検出しない位置に配置されている。具体的には、本例では、第2受光素子17は、測定用被照射位置Mを通り且つ上下方向に延びる直線よりも第2発光素子16側(図6の右側)に配置されている。換言すると、第2受光素子17は、測定用被照射位置Mに対して、第2発光素子16から出射される光の正反射側とは反対側(図6の右側)に配置されている。
【0053】
また、第2受光素子17は、第1発光素子14から出射された光の正反射光を検出しない位置に配置されている。具体的には、本例では、第2受光素子17は、第1発光素子14に対して、その正反射光を受光する第1受光素子15が位置する側(光の正反射側)とは反対側に配置されている。
【0054】
図6を参照して、前記第2発光素子16と測定用被照射位置Mとの距離(詳しくは、第2発光素子16の光出射方向に沿った距離)は、第1発光素子14と測定用被照射位置Mとの距離(詳しくは、第1発光素子14の光出射方向に沿った距離)よりも長い。
【0055】
前記第1発光素子14及び第2発光素子16は、例えば複数の半導体層により構成されている。複数の半導体層は、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置により、半導体基板(第1素子基板12A又は第2素子基板12B)にエピタキシャル成長させることにより形成される。第1受光素子15及び第2受光素子17は、n型の半導体基板(第1素子基板12A又は第2素子基板12B)にp型半導体領域を設けることで両者の界面にpn接合を形成して構成される。
【0056】
前記レンズユニット19は、第1発光側レンズ191、第1受光側レンズ192,第2発光側レンズ193及び第2受光側レンズ194と、これら4つのレンズ191~194を支持するとともに筐体18に固定されるレンズ支持部材190とを有している。なお、レンズ支持部材190は、配線基板11側に延びる支持柱等を介して該配線基板11に固定されていてもよい。
【0057】
第1発光側レンズ191は、第1発光素子14の出射光を集光して測定用被照射位置Mに誘導する。
【0058】
第1受光側レンズ192は、第1発光素子14から出射されて測定用被照射位置Mにて正反射した光を集光し、第1受光素子15(詳しくは第1受光素子15の第1受光領域15a)に誘導する。
【0059】
第2発光側レンズ193は、第2発光素子16の出射光を集光して測定用被照射位置Mに誘導する。
【0060】
第2受光側レンズ194は、第2発光素子16から出射されて測定用被照射位置Mにて乱反射した光を集光し、第2受光素子17(詳しくは第2受光素子17の第2受光領域17a)に誘導する。
【0061】
これらのレンズ191~194は、例えば凸レンズ、球面レンズ又は非球面レンズ等により構成される。なお、レンズ191~194は必ずしも必要ではない。
【0062】
前記筐体18は、意図しない光(迷光)が各受光素子15,17で受光されることを抑制する。具体的には、筐体18は、周壁部18aと、蓋部18bと、第1遮光壁18cと、第2遮光壁18dとを有している。本例では、筐体18は、例えば樹脂材料により一体成形される。なお、筐体18は、複数の部材を組み合わせて構成されていてもよい。
【0063】
周壁部18aは、各素子14~17を収容する素子収容空間Sを全周に亘って囲む枠状部材からなる。周壁部18aの一端側の開口は配線基板11により閉塞され、他端側の開口は前記蓋部18bによって閉塞されている。そうして、蓋部18bと配線基板11と周壁部18aとによって素子収容空間Sが形成されている。
【0064】
前記第1遮光壁18c及び第2遮光壁18dは、蓋部18bにおける配線基板11との対向面に突設されている。
【0065】
第1遮光壁18cは、4つの各素子14~17の並び方向(所定方向)に直交する方向(図6の紙面垂直方向)から見て、第1発光素子14と第1受光素子15との間を遮るように配置されている。これにより、第1遮光壁18cは、第1発光素子14から出射された光の一部が第1受光素子15にて直接検出されるのを抑制する。また、第1遮光壁18cは、第1発光素子14からの出射光及び当該出射光の正反射光をガイドするガイド壁としても機能する。この出射光及び正反射光の導光路に沿ってガイド壁をさらに追加してもよい。
【0066】
第2遮光壁18dは、4つの各素子14~17の並び方向(所定方向)に直交する方向(図6の紙面垂直方向)から見て、第2発光素子16と第2受光素子17との間を遮るように配置されている。これにより、第2遮光壁18dは、第2発光素子16から出射された光の一部が第2受光素子17にて直接検出されるのを抑制する。また、第2遮光壁18dは、第2発光素子16の出射光及び当該出射光の乱反射光をガイドするガイド壁としても機能する。この出射光及び乱反射光の導光路にガイド壁をさらに追加してもよい。
【0067】
[各発光素子の発光制御について]
次に、前記受発光センサ10に設けられる各発光素子14,16の発光制御の詳細を説明する。各発光素子14,16の発光制御は、コントローラ30のキャリブレーション制御部32の機能によって実現される。
【0068】
前記キャリブレーション制御部32は、前記キャリブレーション制御を実行する際には、各レジストマークr1~r4が受発光センサ10の直上の測定用被照射位置Mを通るタイミングに応じて、黒トナー検出用の第1発光素子14又はカラートナー検出用の第2発光素子16を選択的に発光させる。
【0069】
具体的には、キャリブレーション制御部32は、ブラックのレジストマークr1が測定用被照射位置Mを通過するタイミング及びその前後では、前記第1発光素子14のみを発光させて、該発光後に前記第1受光素子15から出力される出力信号の大きさを基にブラックのレジストマークr1の濃度を取得(算出)する。
【0070】
一方、キャリブレーション制御部32は、ブラック以外のカラー色(本例では、イエロー、マゼンタ又はシアン)のレジストマークr2~r4が測定用被照射位置Mを通過するタイミング及びその前後では、前記第2発光素子16のみを発光させて、該発光後に前記第2受光素子17から出力される出力信号の大きさを基に、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応するレジストマークr2~r4の濃度を取得(算出)する。
【0071】
[発光素子及び受光素子の配置構成の詳細]
図7Aは、各素子14~17の配線基板11上における配置構成を説明するための概略図であって、図6のVII方向矢視図に相当する図である。
【0072】
図7Aでは、第1及び第2受光素子15,17のそれぞれの受光領域である第1及び第2受光領域15a,17aの外縁と、第1及び第2発光素子14,16のそれぞれの発光領域である第1及び第2発光領域14a,16aの外縁とを代表して示している。ここで、「発光領域」とは、発光素子のうち発光する部位であり、「受光領域」とは、受光素子のうち受光する部位である。本例では、第1及び第2受光素子15,17の外縁と、前記第1及び第2受光領域15a,17aの外縁とはそれぞれ一致しているが、必ずしも一致している必要はない。また、第1及び第2発光素子14,16の外縁と、前記第1及び第2発光領域14a,16aの外縁とはそれぞれ一致しているが、必ずしも一致している必要はない。また、図7Aでは、各受光領域15a,17a及び各発光領域14a,16aの形状を簡略化して正方形状に描いているが、正方形状に限定されるものではなく、アスペクト比を様々に変更可能である。また、各受光領域15a,17a及び各発光領域14a,16aの形状は、矩形状に限定されず、例えば円形状や菱形状であってもよい。
【0073】
第1受光素子15と、第1発光素子14と、第2受光素子17と、第2発光素子16とは、配線基板11の長さ方向(所定方向であって本例では主走査方向)の一方側から他方側に向かってこの順に並んで配置されている。
【0074】
第1発光素子14及び第1受光素子15は、第1素子基板12Aの長手方向の両端寄りに配置されている。第1素子基板12Aにおける第1発光素子14の基板幅方向の両側には、ボンディングワイヤを接続するための一対のボンディングパッド21が形成されている。一対のボンディングパッド21は、第1発光素子14に電気的に接続されている。
【0075】
第2発光素子16及び第2受光素子17は、第2素子基板12Bの長手方向の両端寄りに配置されている。第2素子基板12Bにおける第2発光素子16の基板幅方向の両側には、ボンディングワイヤを接続するための一対のボンディングパッド22が形成されている。一対のボンディングパッド22は、第2発光素子16に電気的に接続されている。
【0076】
ところで、本実施形態のように、半導体基板上(素子基板12A及び12B)に各素子14~17を形成する場合、半導体基板上に薄膜を形成する成膜工程と、薄膜上にフォトレジストを塗布した後にフォトマスクを使用して光を露光することでレジストパターンを形成するフォトリソグラフィ工程と、露光されたフォトレジストの現像工程と、現像工程後に残ったフォトレジストによる保護領域以外の領域を除去するエッチング工程とを繰り返す。
【0077】
本実施形態では、前記フォトリソグラフィ工程は、第1素子基板12A上に第1発光素子14及び第1受光素子15用のレジストパターンをセットで同じフォトマスクにより形成する工程と、第2素子基板12B上に第2発光素子16及び第2受光素子17用のレジストパターンをセットで同じフォトマスクにより形成する工程とで構成される。
【0078】
そこで、本実施形態では、同じフォトマスクを使用して形成される第1発光素子14及び第1受光素子15のそれぞれの面積重心位置C1,C2を通る直線を第1基準線L12として定義する(図7A参照)。また、本実施形態では、この第1基準線L12に対して、設計上の位置関係を規定するべき基準線として、同じフォトマスクを使用して形成される第2発光素子16及び第2受光素子17のそれぞれの面積重心位置C3,C4を通る直線を第2基準線L34として定義する。ここで、面積重心位置C1,C2,C3,C4とは、第1発光領域14a、第1受光領域15a、第2発光領域16a及び第2受光領域17aのそれぞれの外縁により画定される領域を配線基板11の垂直方向(以下、基板垂直方向という)から見たときのその図心位置であって、当該領域内における質量分布は考慮せずに求まる当該領域の幾何学的な図心位置である。
【0079】
そして、本実施形態の受発光センサ10では、図7Aに示すように、基板垂直方向から見て、第1基準線L12と第2基準線L34とが交差するように各素子14~17を配置している。
【0080】
また、本実施形態では、前記基板垂直方向から見て、第1素子基板12Aの幅方向の中央線と、前記配線基板11の幅方向の中央線とは一致している。一方、第2素子基板12Bの幅方向の中央線は、配線基板11の幅方向の中央線と交差している。ここで、幅方向の中央線とは、幅方向の中央位置を通る直線である。
【0081】
換言すると、基板垂直方向から見て、第1素子基板12Aは、その延設方向が配線基板11(主基板)の延設方向と平行になるように配置されているのに対し、第2素子基板12Bは、その延設方向が配線基板11の延設方向に対して僅かに傾いた状態で配置されている。
【0082】
すなわち、第2素子基板12Bは、基板垂直方向から見て、その延設方向が、第1素子基板12Aの延設方向に対して交差するように配置されている。
【0083】
ここで、各基板11,12A,12Bの延設方向とは、それぞれの基板の幅方向の中央線の延びる方向であって本例では基板の長辺の延び方向と一致している。第1素子基板12Aの幅方向の中央線と前記第1基準線L12とは、基板垂直方向から見て一致しており、第2素子基板12Bの幅方向の中央線と前記第2基準線L34とは、基板垂直方向から見て一致しているので、上述のように、第2素子基板12Bを傾けて配置することで、基板垂直方向から見たときに第1基準線L12と第2基準線L34とが交差することとなる。
【0084】
この結果、第1基準線L12に直交する方向(図7Aの上下方向)において、第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4と、第2発光素子16の第2発光領域16aの面積重心位置C3とを互いに離間して配置することができる。
【0085】
さらに、本実施形態では、前記基板垂直方向から見て、第1発光素子14の第1発光領域14aの面積重心位置C1と、第1受光素子15の第1受光領域15aの面積重心位置C2との距離(以下、第1離間距離という)をK1とし、第2発光素子16の第2発光領域16aの面積重心位置C3と、第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4との距離(以下、第2離間距離という)をK2としたとき、例えば、K1=K2の関係を満たしている。
【0086】
また、前記配線基板11に垂直な方向から見て、第1発光素子14の第1発光領域14aの面積重心位置C1と、第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4との距離(以下、第3離間距離という)をK3としたとき、K3<K1(=K2)の関係を満たしている。なお、K1、K2及びK3の大小関係はこれに限ったものではなく、例えばK2>K1としてもよい。
【0087】
[作用効果]
以上のように構成された本実施形態の受発光センサ10では、第1受光素子15と、第1発光素子14と、第2受光素子17と、第2発光素子16とが、配線基板11の一方の面上において所定方向に沿ってこの順に並んで配置されている。第1受光素子15は、該第1発光素子14から出射された光の正反射光を受光可能な位置に配置され、第2受光素子17は、第2発光素子16から出射された光の乱反射光を受光可能な位置に配置されている。
【0088】
これにより、第1受光素子15によって第1発光素子14から出射される光の正反射光を受光し、第2受光素子17によって第2発光素子16から出射される乱反射光を受光するようにしたことで、測定対象物Bであるトナーの光の反射特性に応じた反射光の検出が可能となる。これにより、光を乱反射し易い特性を有するカラートナーの濃度と、光を吸収する特性を有していて中間転写ベルト43の表面における正反射光の光量との相関性が強い黒トナーの濃度とを受発光センサ10によって精度良く測定することができる。
【0089】
また、本実施形態の各素子14~17の配置順序によれば、第2受光素子17にて検出される乱反射光の出射源である第2発光素子16が、各素子14~17の並び方向(所定方向)の最も外側(本例では装置後側)に配置されるので、第2発光素子16から測定用被照射位置Mに入射する光の入射角θ1(図6参照)を極力大きくとることができる。ここで、一般的には光の入射角を大きくとるとその正反射光は弱まるので、例えば中間転写ベルト43の変形等によって第2発光素子16から出射された光の正反射光が第2受光素子17に入射したとしてもその強度を極力低く抑えることができる。したがって、第2受光素子17により検出される光の成分中に、第2受光素子17から出射される光の正反射光が混在してもその影響を極力抑制することができる。よって、第2受光素子17の出力信号に基づくカラー色のレジストマークr2~4の濃度測定精度を向上させることができる。また、第2発光素子16から測定用被照射位置Mに入射する光の入射角θ1を大きくとることで、正反射成分が少なくなり、反射光に含まれる乱反射成分を相対的に大きくすることができる。延いては、カラートナー(測定対象物Bの一例)の濃度に応じた乱反射特性の違いを第2受光素子17の受光量に十分に反映させて、第2受光素子17の出力信号に基づくカラー色のレジストマークr2~r4の濃度測定精度を向上させることができる。
【0090】
また、本実施形態の各素子14~17の配置順序によれば、第2受光素子17が、第1発光素子14に対して第1受光素子15が位置する側(第1発光素子14から出射される光の正反射側)とは反対側に配置されるので、第1発光素子14から出射される光の正反射光が第2受光素子17に入射するのを防止することができる。よって、乱反射光を検出するための第2受光素子17による受光成分中に、第1発光素子14から出射される光の正反射光が混在するのを極力抑制することができる。延いては、第2受光素子17の出力信号に基づくカラー色のレジストマークr2~r4の濃度測定精度を可及的に向上させることができる。
【0091】
さらに本実施形態では、前記第1基準線L12と前記第2基準線L34とが交差するように各素子14~17が配置されているので、第1基準線L12に直交する方向(図7Aの上下方向)において、第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4と、第2発光素子16の第2発光領域16aの面積重心位置C3とを互いに離間して位置させることができる。
【0092】
したがって、基板垂直方向から見て、第1基準線L12に沿う方向を各発光素子14,16から出射される光の正反射方向とした場合、第2受光素子17は、基板垂直方向から見て、第2発光素子16よりも前記正反射方向に直交する方向にオフセットされた位置に配置されることとなる(図7A参照)。よって、第2受光素子17が第2発光素子16から出射される光の正反射光を受光し難くなる。これにより、第2受光素子17による受光成分中に第2発光素子16からの光の正反射光が混ざるのを抑制することができる。延いては、第2発光素子16の出力信号に基づくカラートナーの濃度測定精度を向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態では、受発光センサ10は、前記配線基板11に積層され、前記所定方向において互いに隣接して並ぶ第1素子基板12A及び第2素子基板12Bを有しており、第1受光素子15及び前記第1発光素子14は、第1素子基板12Aに設けられ、第2受光素子17及び第2発光素子16は、第2素子基板12Bに設けられている。
【0094】
この構成によれば、第1受光素子15及び第1発光素子14を第1素子基板12Aに一体形成し、第2素子基板12Bに第2受光素子17及び第2発光素子16を一体形成した後に、配線基板11に対する第1素子基板12Aの固定位置と第2素子基板12Bの固定位置とをそれぞれ別個に調整することで、第1基準線L12と第2基準線L34との交差度合を容易に調整することができる。
【0095】
また、本実施形態では、前記基板垂直方向から見て、前記第1素子基板12Aは、その延設方向が前記第1基準線L12と平行で且つ前記配線基板11の延設方向(前記所定方向)と一致するように配置され、且つ、前記第2素子基板12Bは、その延設方向が前記第2基準線L34と平行で且つ前記配線基板11の延設方向に対して傾くように配置されていることにより(図7A参照)、第1基準線L12と第2基準線L34とが交差する状態で前記各素子14~17が配置される。
【0096】
これによれば、第2受光素子17及び第2発光素子16が形成された第2素子基板12Bの延設方向を、配線基板11の延設方向(本例では前記所定方向)に対して傾けることで、第1基準線L12と第2基準線L34とを交差させることができるので製造が容易である。しかも、既存のフォトマスクを流用してその設置角度を変更するだけで第1基準線L12と第2基準線L34とが交差するように各素子14~17を形成することができるので、新たなにフォトマスクを用意する場合に比べて製造コストを低減することができる。
【0097】
また、本実施形態では、基板垂直方向から見て、第1発光素子14の第1発光領域14aの面積重心位置C1と第1受光素子15の第1受光領域15aの面積重心位置C2とを通る直線を第1基準線L12と定義し、第2発光素子16の第2発光領域16aの面積重心位置C3と第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4とを通る直線を第2基準線L34と定義して各素子14~17の位置関係を規定しており、このような位置関係に基づくことで製造がさらに容易になる。
【0098】
すなわち、本実施形態では、第1素子基板12Aに第1発光素子14及び第1受光素子15を形成する際には、該各素子14,15用のレジストパターンを同じフォトマスクを使用して形成し、第2素子基板12Bに第2発光素子16及び第2受光素子17を形成する際には、該各素子16,17用のレジストパターンを同じフォトマスクを使用して形成する。したがって、同じフォトマスクを用いて形成する一対の素子の面積重心位置を通る直線をそれぞれ第1基準線L12及び第2基準線L34として定義することで、製法上の特徴に即して各素子14~17の位置関係を規定することができるので製造が容易になる。
【0099】
(実施形態1の変形例1)
図7Bは、実施形態1の変形例1を示す図7A相当図である。この変形例1では、前記第1基準線L12と前記第2基準線L34とを交差させるために、第2素子基板12B上における第2発光素子16の位置を幅方向の中央位置からずらして配置した点が前記実施形態1とは異なる。
【0100】
すなわち、本変形例1では、第2発光素子16は、第2素子基板12Bの幅方向(図7Bの上下方向)の中央線(本例では第1基準線L12と同一直線上)に対して該幅方向にオフセットした位置に配置されている。この結果、基板垂直方向から見たときに第1基準線L12と第2基準線L34とが交差することとなる。
【0101】
そして、このように第1基準線L12と第2基準線L34とが交差することによって、第1基準線L12に直交する方向(図7Bの上下方向)において、第2受光素子17の面積重心位置C4と、第2発光素子16の面積重心位置C3とが互いに離間した位置に配置されることとなる。よって、前記実施形態1と同様の作用効果(第2受光素子17が第2発光素子16からの光の正反射光を受光し難くなるという作用効果)を得ることができる。
【0102】
以上まとめると、本変形例では、基板垂直方向から見て、第1素子基板12Aは、その延設方向が第1基準線L12と平行で且つ配線基板11の延設方向(本例では前記所定方向)と一致するように配置されている。また、第2素子基板12Bは、その延設方向が配線基板11の延設方向(本例では前記所定方向)と一致するように配置されている。そして、第2素子基板12Bの延設方向に直交する方向において、第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4と、第2発光素子16の第2発光領域16aの面積重心位置C3とは異なる位置にあり、そのことにより、第1基準線L12と第2基準線L34とが交差している。そうして、第1基準線L12と第2基準線L34とが交差することで前記実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。しかも本変形例では、前記実施形態1のように第2素子基板12Bを配線基板11の延設方向に対して傾けて配置する必要がないので、製造治具や製造機械の構成を簡素化することができ、延いては製造コストを可及的に低減することができる。
【0103】
(実施形態1の変形例2)
図7Cは、実施形態1の変形例2を示す図7A相当図である。この変形例2では、第1基準線L12と第2基準線L34とを交差させるために、第2素子基板12Bを傾けて配置するとともに、第2素子基板12B上における第2発光素子16の位置を幅方向の中央位置からずらして配置した点が前記実施形態1及び変形例1とは異なる。
【0104】
換言すると、本変形例2の受発光センサ10は、前記実施形態1と前記変形例1とを組み合わせた構成を採用している。図7Cから分かるように、本変形例2では、前記実施形態1の構成(第2素子基板12Bの延設方向を配線基板11の延設方向に対して傾ける構成)と変形例1の構成(第2素子基板12Bの延設方向に直交する方向における第2発光素子16及び第2受光素子17の前記各面積重心位置C3,C4の位置を異ならせる構成)とを組み合わせることにより、第1基準線L12と第2基準線L34との交差角を、前記実施形態1及び変形例1と比べて増加させることができる。
【0105】
この結果、第1基準線L12に直交する方向(図7Cの上下方向)における、第2受光素子17の面積重心位置C4と、第2発光素子16の面積重心位置C3との離間距離を大きくとることができる。よって、前記実施形態1及び変形例1と同様の作用効果(第2受光素子17が第2発光素子16からの光の正反射光を受光し難くなるという作用効果)をより一層確実に得ることができる。
【0106】
以上まとめると、本変形例では、第2素子基板12Bの延設方向が配線基板11の延設方向に対して傾いているだけでなく、第2素子基板12Bの延設方向に直交する方向における第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4と、第2発光素子16の第2発光領域16aの面積重心位置C3との位置が互いに異なっている。そのことにより、第1基準線L12と第2基準線L34との交差角を前記実施形態1及び変形例1に比べて増加させることができる。これにより、前記実施形態1及び変形例1と同様の作用効果をさらに確実に得ることができる。
【0107】
(実施形態2)
図8及び図9Aは、それぞれ実施形態2を示す図6及び図7A相当図である。この実施形態では、各素子14~17が1枚の素子基板13を介して配線基板11に実装されている点、及び、各素子14~17の配置構成が前記実施形態1とは異なる。その他の構成は実施形態1と同様である。なお、図8及び図9Aにおいて、図6及び図7Aと同じ構成要素には同じ符号を使用してその説明を適宜省略する。
【0108】
すなわち、前記実施形態1では、第1発光素子14及び第1受光素子15が第1素子基板12Aに形成され、第2発光素子16及び第2受光素子17が第2素子基板12Bに形成されているのに対し、本実施形態では、第1受光素子15、第1発光素子14、第2受光素子17及び第2発光素子16が全て同じ1枚の素子基板13に形成されている。
【0109】
ここで、半導体基板上に各素子14~17を形成する場合には、上述したように、成膜工程と、フォトリソグラフィ工程と、現像工程と、エッチング工程とを繰り返す。
【0110】
このとき、本実施形態のように1枚の素子基板13(半導体基板)に各素子14~17を形成する場合、フォトリソグラフィ工程は、第1受光素子15及び第2受光素子17用のレジストパターンをセットで同じフォトマスクにより形成する工程と、第1発光素子14及び第2発光素子16用のレジストパターンをセットで同じフォトマスクにより形成する工程とで構成される。
【0111】
そして、本実施形態では、同じフォトマスクにより形成される第1受光素子15の第1受光領域15a及び第2受光素子17の第2受光領域17aのそれぞれの面積重心位置C2,C4を通る直線を第3基準線L24として定義している。また、本実施形態では、この第3基準線L24に対して、設計上の位置関係を規定するべき基準線として第2基準線L34と第1基準線L12とを定義する。第2基準線L34は、第2発光素子16の第2発光領域16aの面積重心位置C3と第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4とを通る直線であり、第1基準線L12は、第1発光素子14の第1発光領域14aの面積重心位置C1と第1受光素子15の第1受光領域15aの面積重心位置C2とを通る直線である。
【0112】
本実施形態では、基板垂直方向から見て、第2発光素子16は、第3基準線L24よりも基板幅方向の一方側(図9Aの下側)にオフセットした位置に配置されている。この結果、基板垂直方向から見て、第2基準線L34が第3基準線L24に対して交差している。なお、本実施形態では、基板垂直方向から見て、第1基準線L12は、第3基準線L24と同一直線上に位置している。
【0113】
[作用効果]
以上説明しように、本実施形態では、素子基板13が一枚で形成されているので、前記実施形態1のように2枚の素子基板12A,12Bを配線基板11に固定する場合に比べて固定時の位置決め誤差を低減することができる。よって、各素子14~17の位置関係のずれを抑制することができる。
【0114】
また、本実施形態では、基板垂直方向から見て第3基準線L24と第2基準線L34とが交差しているので、第3基準線L24に直交する方向(図9Aの上下方向)において、第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4と、第2発光素子16の第2発光領域16aの面積重心位置C3とを互いに離間して位置させることができる。
【0115】
したがって、基板垂直方向から見て、第3基準線L24に沿う方向を各発光素子14,16から出射される光の正反射方向とした場合、第2受光素子17は、基板垂直方向から見て、第2発光素子16よりも前記正反射方向に直交する方向にオフセットされた位置に配置されることとなる(図9A参照)。よって、第2受光素子17が第2発光素子16から出射される光の正反射光を受光し難くなる。これにより、第2受光素子17による受光成分中に第2発光素子16から出射される光の正反射光が混ざるのを抑制することができる。延いては、第2発光素子16の出力信号に基づくカラートナーの濃度測定精度を向上させることができる。
【0116】
また、本実施形態では、第1受光素子15と、第1発光素子14と、第2受光素子17と、第2発光素子16とを1枚の素子基板13に形成して、該素子基板13を配線基板11に固定するようにしたので、前記実施形態1のように2枚の素子基板12A,12Bを配線基板11に固定する場合に比べて固定時の位置決め誤差を低減することができる。よって、各素子14~17の位置関係のずれを抑制することができる。
【0117】
また、本実施形態では、基板垂直方向から見て、第1発光素子14の第1発光領域14aの面積重心位置C1と第1受光素子15の第1受光領域15aの面積重心位置C2とを通る直線を第1基準線L12と定義したとき、前記第1基準線L12が第3基準線L24に平行になるように(一致するように)各素子14~17が配置されている。
【0118】
この構成によれば、基板垂直方向から見て、第3基準線L24に沿う方向を各発光素子14,16から出射される光の正反射方向とした場合、第1受光素子15は、基板垂直方向から見て、第1発光素子14から出射される光の正反射方向に配置されることとなる。これにより、第1発光素子14より出射される光の正反射光を第1受光素子15により受光し易くなる。よって、第1受光素子15の出力信号に基づく黒トナーの濃度測定精度を十分に確保することができる。
【0119】
また、本実施形態では、基板垂直方向から見て、上述のように第1受光素子15の第1受光領域15aの面積重心位置C2と、第2受光素子17の第2受光領域17aの面積重心位置C4とを通る直線を第3基準線L24と定義して各素子14~17の位置関係を規定しており、このような位置関係に基づくことで製造が容易になる。
【0120】
すなわち、本実施形態では、素子基板13上に第1受光素子15及び第2受光素子17を形成する際には、該各素子15,17用のレジストパターンを同じフォトマスクを使用して形成する。したがって、上述のように同じフォトマスクを用いて形成する一対の素子15,17の各受光領域15a,17aの面積重心位置C2,C4を通る直線を第3基準線L24と定義し、当該第3基準線L24を基準として第1基準線L12及び第2基準線L34の位置関係を規定することで、製法上の特徴に即して各素子14~17の位置関係を規定することができるので製造が容易になる。
【0121】
(実施形態2の変形例)
図9Bは、実施形態2の変形例1を示す図9A相当図である。本変形例では、第1基準線L12が第3基準線L24と交差している点が前記実施形態2とは異なる。なお、この点を除く他の構成は前記実施形態2と同じである。図9Bにおいて、図9Aと同じ要素には同じ符号を付してその説明を適宜省略する。
【0122】
すなわち、本変形例では、第1発光素子14が、第2発光素子16と同様に第3基準線L24よりも基板幅方向の一方側にオフセットした位置に配置されている。この結果、基板垂直方向から見て、第1発光素子14の面積重心位置C1と第1受光素子15の面積重心位置C2とを通る第1基準線L12が第3基準線L24と交差している。
【0123】
本実施形態では、第3基準線L24に対する第1発光素子14及び第2発光素子16のオフセット方向(共に図9Bの下側)及びオフセット量は同じである。換言すると、前記第1基準線L12と前記第2基準線L34とは平行である。
【0124】
[作用効果]
以上説明したように本変形例によれば、基板垂直方向から見て第2基準線L34が第3基準線L24と交差しているので実施形態2と同様の作用効果を得ることができる。
【0125】
また、本変形例ではさらに、第1基準線L12が第3基準線L24と交差している。このように第1基準線L12を第3基準線L24と交差させる構成は、製法上の観点から有用である。すなわち。フォトリソグラフィ工程においては、第1発光素子14及び第2発光素子16用のレジストパターンを同じフォトマスクで形成するが、その際に、当該フォトマスクを前記第3基準線L24に対して基板幅方向にオフセットさせることで、上述の第1発光素子14及び第2発光素子16用のレジストパターンを該第3基準線L24に対して同時にオフセットさせることができるので製造が容易である。
【0126】
(他の実施形態)
以上、本開示の実施形態に係る受発光センサ10について説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば次のような実施形態を採用することができる。
【0127】
(1)前記各実施形態及び各変形例では、コントローラ30(キャリブレーション制御部32)は、前記キャリブレーション制御の実行に際して、第1発光素子14及び第2発光素子16のうちいずれか一方を選択的に発光させるように構成されているが、これに限ったものではない。すなわち、コントローラ30は、例えば、黒色以外のカラー色(イエロー、マゼンタ又はシアン)のレジストマークr2~r4の濃度検出を行う際に、第2発光素子16から出射される光の光量を補うために、該第2発光素子16に加えて第1発光素子14さらに発光させるようにしてもよい。このような制御を実行する場合において、前記各実施形態等で説明した各素子14~17の配列構成(第1受光素子15と第1発光素子14と第2受光素子17と第2発光素子16とをこの順に配置する構成)は特に有用である。すなわち、前記配置構成によれば、第1発光素子14の出射光の向き(図6では左向き)に対して、第2受光素子17が、第1発光素子14に対してその出射光の向きとは逆側(図6の右側)に配置される。よって、上述のように第1発光素子14と第2発光素子16との双方を発光させる制御を実行した場合に、第1発光素子14から出射される光の正反射光が第2受光素子17にて受光され難い。したがって、第1発光素子14の正反射光が第2受光素子17に入射することにより該第2受光素子17の出力信号に基づくカラー色のレジストマークr2~r4の濃度測定精度が低下するのを防止することができる。
【0128】
(2)前記各実施形態及び各変形例では、受発光センサ10を濃度検出センサとして利用する例を説明したが、これに限ったものではなく、色ずれ補正用に使用することもできる。この場合、レジストマークr1~r4は、例えば、底辺が主走査方向に沿って延びる直角三角形状のレジストマークを採用することができる。この場合、受発光センサ10は、レジストマークr1~r4を検出している間はその検出信号を出力するため受発光センサ10の出力信号はパルス状に変化する。レジストマークr1~r4の主走査方向の位置ずれが生じている場合には、このパルス信号の幅が変化するので、キャリブレーション制御部32は、このパルス信号の幅を検出することで、各色のレジストマークr1~r4の主走査方向の位置ずれ量を算出することができる。キャリブレーション制御部32は、算出した色ずれ量を補正するように、例えば露光装置53による各色に対応する静電潜像の書出し開始位置を補正するようにしてもよい。
【0129】
(3)前記各実施形態及び各変形例では、配線基板11の主面に、素子基板12A,12B(又は素子基板13)を介して各素子14~17を実装するようにしているが、これに限ったものではなく、配線基板と素子基板とを一体化した1枚の基板で構成するようにしてもよい。
【0130】
(4)前記各実施形態及び各変形例では、第1発光素子14及び第2発光素子16は共に、予め設定された共通の1つの測定用被照射位置Mに向けて光を出射するように構成されているが、これに限ったものではない。すなわち、測定用被照射位置Mは、第1発光素子14と第2発光素子16とのそれぞれに対して別々に設定されていてもよい。この場合、測定用被照射位置Mは、前記所定方向(本例では主走査方向に一致する方向)において互いに離間した2か所に設定されることとなる。
【0131】
(5)前記各実施形態及び各変形例において、受発光センサ10は、前記各素子14~17の並び方向である前記所定方向が主走査方向に沿うように配置されているが、これに限ったものではなく、前記所定方向が副走査方向(中間転写ベルト43の移動方向)に沿うように配置されていてもよい。
【0132】
(6)前記各実施形態及び各変形例では、受発光センサ10を画像形成装置100に搭載した例を説明したが、これに限ったものではなく、他の如何なる装置に適用してもよい。
【0133】
(7)前記各実施形態及び各変形例において、前記各素子14~17は砲弾型素子により構成されていてもよい。この場合、各発光素子の先端面を発光領域と定義し、各受光素子の先端面を受光領域として定義して前記各実施形態及び各変形例の構成を適用すればよい。
【0134】
(8)前記各実施形態及び各変形例において、第1発光素子14及び第2発光素子16は、必ずしも発光ダイオードである必要はなく、例えばレーザダイオード等であってもよい。すなわち、各発光素子14,16は、光を出射可能な素子であればいかなる構成であってもよい。また、第1受光素子15及び第2受光素子17は、必ずしもフォトダイオードである必要はなく、光量によって抵抗が変化する素子を用いた光センサ等であってもよい。すなわち、各受光素子15,17は、光量を検出可能な素子であれば如何なる構成であってもよい。
【0135】
(9)本開示の受発光センサには、前記各実施形態に各変形例の任意の組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0136】
10 :受発光センサ
11 :配線基板(主基板)
12A :第1素子基板
12B :第2素子基板
13 :素子基板
14 :第1発光素子
14a :第1発光領域
15 :第1受光素子
15a :第1受光領域
16 :第2発光素子
16a :第2発光領域
17 :第2受光素子
17a :第2受光領域
B :測定対象物
M :測定用被照射位置
C1 :第1発光領域の面4積重心位置
C2 :第1受光領域の面積重心位置
C3 :第2発光領域の面積重心位置
C4 :第2受光領域の面積重心位置
L12 :第1基準線
L34 :第2基準線
L24 :第3基準線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B