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特開2025-15425食品洗浄機およびマイクロバブル噴流生成器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015425
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】食品洗浄機およびマイクロバブル噴流生成器
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/02 20060101AFI20250123BHJP
   A47L 15/10 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A23N12/02 N
A23N12/02 Q
A47L15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085847
(22)【出願日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2023117035
(32)【優先日】2023-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000132792
【氏名又は名称】株式会社タイガーカワシマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山森 章生
(72)【発明者】
【氏名】川島 誠蔵
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA01
4B061AA02
4B061BA01
4B061BA11
4B061CA13
4B061CA15
4B061CA38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被洗浄食品を効果的に洗浄することが可能な食品洗浄機を提供する。
【解決手段】食品洗浄機は、洗浄水を貯めて食品を洗浄する洗浄水槽1と、被洗浄食品に対してマイクロバブルを含む噴流水を噴射する複数のエジェクタ10と、各エジェクタにエアが混入したエア混入水を圧送する吐出用ポンプ20と、吐出用ポンプの吸込配管からのエアの吸入量を調整する吸気調整弁24Aとを備え、エジェクタは、マイクロバブルを含む噴流水を噴射させる中空短管状のノズル本体と、ノズル本体内に形成された吐出用ポンプからの水を吐出する絞り部と、絞り部と噴射口との間に位置して洗浄水槽内の水を取り入れる開口部とを備える。当該食品洗浄機において、吐出用ポンプによって各エジェクタからエア混入水を絞り部を通して噴射することにより、エア混入水に混入したエアをマイクロバブル化しつつ絞り部によるベンチュリー効果によって噴流水として噴射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯めて食品を洗浄する洗浄水槽と、
前記洗浄水槽内の被洗浄食品に対してマイクロバブルを含む噴流水を噴射する複数のエジェクタと、
前記各エジェクタにエアが混入したエア混入水を圧送する吐出用ポンプと、
前記吐出用ポンプの吸込配管からのエアの吸入量を調整する吸気調整弁と、
を備えた食品洗浄機であって、
前記エジェクタは、
端部がマイクロバブルを含む噴流水を噴射させる噴射口として解放された中空短管状のノズル本体と、
前記ノズル本体内に形成された前記吐出用ポンプからの水を吐出する絞り部と、
前記絞り部と前記噴射口との間に位置して洗浄水槽内の水を取り入れる開口部と
を備えており、
前記吐出用ポンプによって、前記各エジェクタから前記エア混入水を、前記絞り部を通して噴射することにより、前記エア混入水に混入したエアをマイクロバブル化しつつ前記絞り部によるベンチュリー効果によって噴流水として噴射することを特徴とする食品洗浄機。
【請求項2】
前記エアの吸入量は、前記吐出用ポンプの吐出量の5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の食品洗浄機。
【請求項3】
前記吐出用ポンプには前記洗浄水槽内の水と清浄水とが供給されるように、前記洗浄水槽から前記吐出用ポンプに至る管路に清浄水を供給する清浄水配管路が接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項4】
前記各エジェクタから0.1MPa~1MPaの圧力で低圧曝気噴流水を噴射することを特徴とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項5】
前記複数のエジェクタは、前記洗浄水槽の対向する両側壁面に位置して互いに対面して千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項6】
前記複数のエジェクタを、前記洗浄水槽の対向する両側壁面に位置して互いに対面して千鳥状に配置するのに加え、被洗浄食品の供給側に位置して排出側に向けて配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項7】
被洗浄食品が水に浮かぶ食品用の食品洗浄機であり、前記エジェクタが洗浄水槽内の洗浄水の水面よりやや下方に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項8】
被洗浄食品が水に沈む食品用の食品洗浄機であり、前記エジェクタが洗浄水槽内の底部寄りに配列されるとともに、少なくとも、洗浄水槽内に位置して前記洗浄水槽の排出側に食品搬送用コンベアを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項9】
前記洗浄水槽の内壁に上下多段のエジェクタを配列するとともに、少なくとも、前記洗浄水槽の排出側に食品搬送用コンベアを備え、被洗浄食品の比重によって上下多段の何れかのエジェクタからマイクロバブルを含む噴流水を噴射させるような切換制御を可能とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項10】
前記上下多段のエジェクタが上下において千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の食品洗浄機。
【請求項11】
前記洗浄水槽の底部に、幅方向の両側から中央に向けて高くなる傾斜面を有する凸部が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項12】
前記洗浄水槽の搬出端に、貫通開口を有する板体であるシャッタ板が開閉可能に構成されたゲートを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の食品洗浄機。
【請求項13】
前記ゲートは、前記シャッタ板の上端部から搬送方向の上流側に向けて延出する貫通開口を有する板体であるルーフ板をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の食品洗浄機。
【請求項14】
設置された水槽にマイクロバブルを含む噴流水を噴射する1または複数のエジェクタと、
水とともにエアが供給され、水にエアが混入したエア混入水を前記エジェクタに圧送する吐出用ポンプと、
前記吐出用ポンプの吸込配管からのエアの吸入量を調整する吸気調整弁と、
を備え、
前記エジェクタは、
端部がマイクロバブルを含む噴流水を噴射させる噴射口として解放された中空短管状のノズル本体と、
前記ノズル本体内に形成された前記吐出用ポンプからの水を吐出する絞り部と、
前記絞り部と前記噴射口との間に位置して前記水槽内の水を取り入れる開口部と
を備え、
前記吐出用ポンプによって、前記エア混入水を前記絞り部を通して前記エジェクタから噴射することにより、前記エア混入水に混入したエアをマイクロバブル化しつつ前記絞り部によるベンチュリー効果によって噴流水として噴射することを特徴とするマイクロバブル噴流生成器。
【請求項15】
前記エアの吸入量は、前記吐出用ポンプの吐出量の5%以下であることを特徴とする請求項14に記載のマイクロバブル噴流生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば野菜や青果などの食品に付着する異物を洗い流すために用いられる食品洗浄機および当該食品洗浄機に用いられるマイクロバブル噴流生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、野菜や果実物等を水洗いして洗浄する食品洗浄機として、従来から洗浄水を貯める洗浄水槽内に洗浄対象を収容し、洗浄水槽に取り付けた噴射装置によって洗浄水と共に気泡を同時に噴射させることによって気泡を含んだジエット水流(以下、曝気噴流水という)を発生させ、被洗浄食品に付着するごみなどの異物を除去する食品洗浄機が知られている。
【0003】
このような曝気噴流水を噴射して洗浄する食品洗浄機として、例えば特許文献1に示す食品洗浄機は、洗浄水槽と濾過水槽を備え、濾過水槽に設けた循環ポンプと洗浄水槽の底部室との間に圧力水管を配管させ、圧力水管の途中に曝気用泡発生装置が設けられている。この曝気用泡発生装置は、噴射ノズルを取り付けた上流側円板と、絞り部を取り付けた下流側円板とを空気取り込み口を保持して対向接続させ、循環ポンプから送られる循環水を噴射ノズルから絞り部内に向けて噴射させた水の勢いにより空気取り込み口から空気を取り込んで洗浄水槽の底部から被洗浄食品に向けて曝気噴流水を噴射している。
【0004】
また、特許文献2に示す食品洗浄機における曝気用泡発生装置は、水道管からの水道水(洗浄水)を圧送する高圧ポンプと、この高圧ポンプと接続して洗浄水槽の側壁下部に取り付けられた高圧エジェクタとから成り、高圧エジェクタは、絞り部と、この絞り部と水槽内に開口する循環水吸入口と、外気に開放する空気吸入管を有する空気吸入口とを備え、高圧ポンプによって生成された高圧水が絞り部を通過する際のベンチュリー効果によって空気取り込み口から空気を取り込むとともに、循環水吸入口から洗浄水槽内の水を取り込み、これを曝気噴流水として洗浄対象に噴射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-152084号公報
【特許文献2】特開平8-257432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、各特許文献に開示されているような曝気噴流水を洗浄対象に噴射するタイプの食品洗浄機が適さない洗浄対象も存在する。一例として、表面にぬめりのある魚介類等を、曝気噴流水を噴射するタイプの食品洗浄機で洗浄すると、水槽内に大量の泡が発生し、設置スペースを汚染してしまい好ましくない。
【0007】
ところで、昨今、1μm~100μmのバブル径を有するマイクロバブルが、高い洗浄効果や浄化効果を持つものとして注目されている。また、マイクロバブルを含む水には食品の鮮度を保持する効果や食味を向上する効果があるとされている。マイクロバブルを含む噴流水を噴射する食品洗浄機を実現できれば、曝気噴流水での洗浄が適さない洗浄対象に対する新たな洗浄手法の選択肢を提供することができ、また被洗浄食品に鮮度や食味の付加価値を付けることが期待できる。
【0008】
しかし、マイクロバブルを含む噴流水を噴射する食品洗浄機を実現することは容易でない。単に既存のマイクロバブル発生装置を従来の食品洗浄機に組み合わせたのでは、装置が複雑化し高コスト化したり、十分な水流が得られなかったりといった問題が生じる。また、十分な水流を得るために、マイクロバルブが含まれた水槽内に曝気噴流水を噴射すると、曝気噴流水に含まれる大きな泡にマイクロバブルが吸収されてしまいマイクロバブルを含んだ水流での洗浄を実現できない。
【0009】
本発明は、上記課題に着目して成されたものであり、マイクロバブルを含む噴流水によって被洗浄食品を効果的に洗浄することが可能な食品洗浄機、およびマイクロバブル噴流生成器、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決すべく、本発明の実施形態に係る食品洗浄機は、洗浄水を貯めて食品を洗浄する洗浄水槽と、洗浄水槽内の被洗浄食品に対してマイクロバブルを含む噴流水を噴射する複数のエジェクタと、各エジェクタに気体(以下、エアという)が混入したエア混入水を圧送する吐出用ポンプと、吐出用ポンプの吸込配管からのエアの吸入量を調整する吸気調整弁と、を備える。エジェクタは、端部がマイクロバブルを含む噴流水を噴射させる噴射口として解放された中空短管状のノズル本体と、ノズル本体内に形成された吐出用ポンプからの水を吐出する絞り部と、絞り部と噴射口との間に位置して洗浄水槽内の水を取り入れる開口部とを備える。そして、当該食品洗浄機において、吐出用ポンプによって、各エジェクタからエア混入水を絞り部を通して噴射することにより、エア混入水に混入したエアをマイクロバブル化しつつ絞り部によるベンチュリー効果によって噴流水として噴射する。エアの吸入量は、前記吐出用ポンプの吐出量の5%以下とするとよい。
【0011】
本発明では、吐出用ポンプには洗浄水槽内の水と清浄水とが供給されるように、洗浄水槽から吐出用ポンプに至る管路に清浄水を供給する清浄水配管路が接続されるとよい。
【0012】
本発明では、各エジェクタから0.1MPa~1MPaの圧力で低圧曝気噴流水を噴射するとよい。
【0013】
本発明では、複数のエジェクタは、洗浄水槽の対向する両側壁面に位置して互いに対面して千鳥状に配置されているとよい。
【0014】
本発明では、複数のエジェクタを、洗浄水槽の対向する両側壁面に位置して互いに対面して千鳥状に配置するのに加え、被洗浄食品の供給側に位置して排出側に向けて配置するとよい。
【0015】
本発明では、食品洗浄機は、被洗浄食品が水に浮かぶ食品用の食品洗浄機であるとよく、この場合、エジェクタが洗浄水槽内の洗浄水の水面よりやや下方に配置されるとよい。
【0016】
或いは、食品洗浄機は、被洗浄食品が水に沈む食品用の食品洗浄機であってもよく、この場合、エジェクタが洗浄水槽内の底部寄りに配列されるとともに、少なくとも、洗浄水槽内に位置して洗浄水槽の排出側に食品搬送用コンベアを備えるとよい。
【0017】
本発明では、洗浄水槽の内壁に上下多段のエジェクタを配列するとともに、少なくとも、洗浄水槽の排出側に食品搬送用コンベアを備え、被洗浄食品の比重によって上下多段の何れかのエジェクタからマイクロバブルを含む噴流水を噴射させるような切換制御を可能とするとよい。この場合、上下多段のエジェクタが上下において千鳥状に配置されていると特によい。
【0018】
本発明では、洗浄水槽の底部に、幅方向の両側から中央に向けて高くなる傾斜面を有する凸部が設けられるとよい。
【0019】
本発明では、食品洗浄機は、洗浄水槽の搬出端に、貫通開口を有する板体であるシャッタ板が開閉可能に構成されたゲートを備えるとよい。また、このゲートは、シャッタ板の上端部から搬送方向の上流側に向けて延出する貫通開口を有する板体であるルーフ板をさらに備えるとよい。
【0020】
また、本発明の実施形態に係るマイクロバブル噴流生成器は、設置された水槽にマイクロバブルを含む噴流水を噴射する1または複数のエジェクタと、水とともにエアが供給され、水にエアが混入したエア混入水をエジェクタに圧送する吐出用ポンプと、を備える。エジェクタは、端部がマイクロバブルを含む噴流水を噴射させる噴射口として解放された中空短管状のノズル本体と、ノズル本体内に形成された吐出用ポンプからの水を吐出する絞り部と、絞り部と噴射口との間に位置して水槽内の水を取り入れる開口部とを備える。そして、吐出用ポンプによって、エア混入水を絞り部を通してエジェクタから噴射することにより、エア混入水に混入したエアをマイクロバブル化しつつ絞り部によるベンチュリー効果によって噴流水として噴射する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る食品洗浄機の概略説明図である。
図2】食品洗浄機の一部を切り欠いた斜視図である。
図3】エジェクタの断面図である。
図4】第2捕捉手段を示す斜視図である。
図5】第2捕捉手段を示す断面図である。
図6】第2実施形態に係る食品洗浄機の概略説明図である。
図7】本発明の変形例を示す概略説明図である。
図8】本発明の他の変形例を示す概略説明図である。
図9】本発明のさらに他の変形例における洗浄水槽の模式的断面図である。
図10】ゲートを備える変形例に係る食品洗浄機の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0023】
〔第1実施形態〕
第1実施形態では、洗浄対象として水に浮かぶ野菜や果実などの主に農作物などの洗浄装置に適用した場合を例として説明する。図1は本発明の食品洗浄機の概略を示しており、同図に示すように、食品洗浄機は、主に洗浄水を貯める上面を開口した長方形状の箱型を成す洗浄水槽1と、被洗浄食品Aに対してマイクロバブルを含む流水を噴射する複数のエジェクタ10と、このエジェクタ10に洗浄水を圧送する吐出用ポンプ20と、前記洗浄水槽1内の洗浄水を吸水して再び洗浄水槽1内に循環させて前記洗浄水槽1内に還流を生起させる循環用ポンプ25とで構成されている。
【0024】
図1において洗浄水槽1の図示左側が被洗浄食品Aの搬入側、図示右側が被洗浄食品Aの搬出側であり、洗浄水槽1の搬出端側に前記循環用ポンプ25が配置されるとともに、余剰の洗浄水を排水するオーバーフロー槽2が連設され、前記循環用ポンプ25によって吸水した洗浄水槽1内の洗浄水を洗浄水槽1の両側縁へと吐出することによって洗浄水槽1の中央に洗浄水槽1の搬入側から搬出側へと向かう水の流れ(図2において矢印aで示す)が生じるとともに、洗浄水槽1の搬出側において洗浄水槽1の中央から左右に分かれて洗浄水槽1の両側壁面1A,1Aに沿って再び搬入側へと向かう還流(図2において矢印bで示す)を生起し、洗浄水槽1内の余剰な洗浄水はオーバーフロー槽2から排水される。
【0025】
また、洗浄水槽1内には前記循環用ポンプ25によって生起される還流の流路4を区画形成する一対の仕切り壁3,3が両側壁面1A,1Aに沿って形成され、この流路4の下流側に位置して被洗浄食品から除去した異物Sを捕捉する第1捕捉手段として通水性のネット5が着脱自在に取り付けられている。また、前記オーバーフロー槽2にもごみ類を除去するゴミ取ネット5Aが取り付けられている。
【0026】
さらに、図4図5に示すように前記搬入側から搬出側へと向かう水流によって流される浮遊性の異物Sを捕捉するための第2捕捉手段として通水性のネット6と、このネット6を取り付ける枠体7が設けられている。枠体7は左右の取付板7A、背面板7B及び前面板7Cから成り、その枠体7の底部は平行する多数の平行杆8によって構成しており、下流側に位置する背面板7Bに前記ネット6が取り付けられている。また、枠体7の底部を平行する多数の平行杆8によって形成することにより、各平行杆8間の隙間から水が通って流れて通水性を確保するとともに、各平行杆8には、その上流側に位置して水に浮かぶ被洗浄食品Aが枠体7でせき止めることなく、枠体7の下部へと潜らせるように案内するための傾斜部9を形成している。さらに、左右の取付板7Aは外側に折曲した水平片7Dを有し、その水平片7Dを前記仕切り壁3,3間に掛けすることによって枠体7を洗浄水槽1に対して着脱自在に取り付けている。このようにして洗浄水槽1に装着する枠体7は、図5に示すように、枠体7の上部を洗浄水の水面から突出させ、ネット6を水中に潜らせるようにして洗浄水槽1内に配置される。これにより、水流に乗って流れる浮遊性の異物Sは枠体7内を通ってネット6で捕捉されるとともに、水流に乗って洗浄される被洗浄食品Aは平行杆8の傾斜部9に沿って枠体7の下部を潜って下流側へと搬送される。
【0027】
また、前記複数のエジェクタ10は洗浄水槽1の対向する両側壁面1A,1Aに配置され、図1に示すように、互いに対面して千鳥状に配置されるとともに、各エジェクタ10は給水配管21を介して吐出用ポンプ20と接続されている。なお、本実施形態においては、水に浮かぶ野菜や果実などを洗浄対象としており、各エジェクタ10(100)は、洗浄水槽1内の洗浄水の水面よりやや下方に配置されている。
【0028】
吐出用ポンプ20は洗浄水槽1の搬出側から洗浄水槽1内の洗浄水を取水して各エジェクタ10に圧送する。吐出用ポンプ20としては、渦巻きポンプを用いるのが好適である。さらに、洗浄水槽1の搬入側(被洗浄食品の供給側)中央部に位置して排出側に向けて複数のエジェクタ100が配置され、吐出用ポンプ20によって洗浄水槽1の搬出側から取水した洗浄水を洗浄水槽1の搬入側中央部に取り付けたエジェクタ100からも噴射する。これによって洗浄水槽1の搬入側から搬出側へと向かう水流(図2において矢印aで示す)を形成するのにも付与している。
【0029】
前記洗浄水槽1から吐出用ポンプ20に至る管路22には、清浄水を供給する清浄水配管路23と、気体(以下、エアという)を吸入するための吸気配管24が接続される。吸気配管24には、吸入するエアの量を調整するための吸気調整弁24Aが設けられる。吸気調整弁24Aは流入するエアの量を微調整できる弁(例えばニードル弁)を用いるのが好適である。吐出用ポンプ20を稼働すると、吐出用ポンプ20は洗浄水槽1内の水及び清浄水配管路23からの清浄水とともに、吸気配管24から吸気調整弁24Aの開度に応じた微量のエアを吸入する。吸入するエアの量は、吐出用ポンプ20の吐出量の5%以下とするとよい。また、吸入するエアは、周囲の大気であってもよいし、酸素、オゾン、二酸化炭素、窒素、フッ素等の殺菌、鮮度維持等の機能が期待できる気体であってもよい。
【0030】
洗浄水槽1で使用した洗浄水は、通常、浄化槽で浄化処理されてから外部に排出されるが、浄化槽の水質検査の一項目として溶存酸素(DO)量を所定値(例えば単独処理浄化槽の場合0.3mg/L)以上とすることが望ましいとされている。吸入するエアを酸素とすれば、洗浄水の溶存酸素量を高めることができ、浄化槽における水質を適正範囲に保つことが容易となる。
【0031】
吐出用ポンプ20は、吸入した水とエアを攪拌しつつエジェクタ10,100に向けて送出する。このようにして、吐出用ポンプ20は、微量のエアが混入したエア混入水を給水配管21を介してエジェクタ10,100に圧送する。このとき、吐出用ポンプ20は、給水配管21内の水圧が0.3MPa~0.5MPa程度となるようにエアが混入した混合水を圧送するとよい。
【0032】
図3はエジェクタ10の断面図を示している。なお、洗浄水槽1の搬入側に配置するエジェクタ100と同一構成であるのでその代表としてエジェクタ10の具体的構成を説明し、エジェクタ100については省略する。同図に示すように、エジェクタ10は、端部を噴射口11として解放された中空短管状のノズル本体12を備えている。ノズル本体12の内部には絞り部13が形成され、この絞り部13と噴射口11との間に位置して洗浄水槽1内の水を取り入れる開口部14が形成されている。エジェクタ10において、噴射口11の内径はφ15~25mm程度、絞り部13の前後絞り部13の内径はφ3.0mm~5.0mm程度とするとよい。これにより、吐出用ポンプ20を稼働すると、エア混入水がエジェクタ10(100)から噴射し、各エジェクタ10(100)の絞り部13によるベンチュリー効果によって、開口部14から洗浄水槽1内の水が吸引され、噴流水として被洗浄食品Aに向けて噴射される。このとき、混合水に混入していたエアが、噴流水の中でバブル径が1μm~100μmのマイクロバブルとなる。したがって、エジェクタは、洗浄水槽1内の被洗浄食品Aに対してマイクロバブルを含む噴流水を噴射することになる。
【0033】
マイクロバブルの生成を確認するために、本実施形態の食品洗浄機により洗浄水槽1内に生成されたマイクロバブルを含む洗浄水を、島津製作所製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD-7500X10により分析した。マイクロバブルを生成する際の吐出用ポンプ20の吐出量は400L/minであり、エアの吸入量は12~20L/min(すなわち、吐出量の3~5%の範囲)であった。その結果、平均径35.8μm~38.9μmとなり、マイクロバブルが生成されていることを確認できた。すなわち、洗浄水槽1に設置された吐出用ポンプ20とエジェクタ10(100)とは、マイクロバブル噴流生成器を構成する。
【0034】
噴流水の噴射圧は0.1MPa~1MPaとするとよい。すなわち、エジェクタ10(100)の噴射圧として1MPaを超えると、葉物野菜などの葉の潰れや破砕が顕著となり、洗浄した被洗浄食品Aの商品価値が著しく低下する。また、噴射圧が0.1MPa未満では、葉物野菜などにおいて洗浄水及び微細な気泡が葉と葉との間に進入し難く洗浄効率が悪くなるので好ましくない。したがって、噴流水の噴出圧は0.1MPa~1MPaの範囲が、被洗浄食品Aへの損傷を与えずに、しかも効率的に洗浄を行うことができるため好適である。
【0035】
以上のような手法によりエジェクタ10(100)からマイクロバブルを含む噴流水を洗浄水槽1内に大量に、かつ、十分な噴射圧をもって供給することができる。
【0036】
以上のように構成される本発明おける洗浄方法を説明する。洗浄水槽1内に所定レベルまで洗浄水を貯めた状態で循環用ポンプ25を稼働すると、洗浄水槽1の中央部において洗浄水槽1の搬入側から搬出側へと向かう水流が生じ、その流れによって搬入側から供給した被洗浄食品Aが搬送される。また、吐出用ポンプ20によって各エジェクタ10(100)から被洗浄食品Aに向けてマイクロバブルを含む噴流水が噴射される。この時、各エジェクタ10からの噴流水は搬入側から搬出側へと向かう水流によって搬送される被洗浄食品Aに対して噴射される。なお、各エジェクタ10の噴射角度は調整可能となっており、特に限定されるものではないが本実施形態においてはエジェクタ10から被洗浄食品Aに噴射される噴流水は、搬入側から搬出側へと向かう水流に対して交叉方向に噴射され、かつ、各エジェクタ10は、洗浄水槽1の対向する両側壁面1A,1Aに千鳥状に配置されているため、水流に乗って下流方向に流される被洗浄食品Aは各エジェクタ10から噴射される噴流水によって蛇行状に進行する。このため、被洗浄食品Aはより長時間に亘って洗浄されるとともに、マイクロバブルを含む噴流水の作用によって例えば葉物野菜などにおいて微細な気泡が葉と葉との間を奥まで進入し、葉との間に存在する昆虫や土等の異物を効果的に除去することができる。また、例えば表面にぬめりのある魚介類などにおいて泡の発生を抑制しつつぬめりをはじめとする汚れを効果的に除去することができる。また、マイクロバブルを含む噴流水をエジェクタ10(100)から多量に洗浄水槽内1に噴射させることができ、その噴流水によって洗浄水が撹拌され、その噴流水による洗浄水の撹拌と乱流が生じ、被洗浄食品Aを大きく撹拌させて水流によるもみ洗いを可能として洗浄効果を高めることができる。それとともに、被洗浄食品Aに衝突する微細な気泡を含む水流の噴射圧も低圧であるため、被洗浄食品として特に損傷しやすい葉物野菜などに対して損傷を与えることもない。また、マイクロバブルを含む噴流水で洗浄することで被洗浄食品Aの鮮度を保持する効果や食味を向上する効果が期待できる。
【0037】
また、被洗浄食品Aに噴流水を噴射するエジェクタ10,100は、エジェクタ10,100から吐出用ポンプ20に至る管路22に清浄水を供給する清浄水配管路23が接続され、洗浄水槽1にはエジェクタ10,100から一定の割合で清浄水が供給されるため、洗浄水槽1内の循環水のみで洗浄する場合に比べて洗浄水の汚濁を防止することができるとともに、常に清浄水で洗浄する場合に比べてランニングコストを引き下げることができ、合理的である。
【0038】
なお、洗浄水槽1内の余剰な洗浄水は、オーバーフロー槽2から排水され、排水に含まれる異物は、オーバーフロー槽2に設けたゴミ取ネット5Aで除去してから排水される。
【0039】
次に洗浄水槽1内を循環する洗浄水に混入する異物の除去について説明する。本実施形態は、洗浄水槽1の搬出側に配置した循環用ポンプ25によって洗浄水槽1の搬入側から搬出側へと向かう水流と、洗浄水槽1の搬出側から搬入側へと戻る還流が生起され、その還流が仕切り壁3,3で区画形成された流路4内を流れるとともに、吐出用ポンプ20によってエジェクタ10,100の噴流水を被洗浄食品Aに噴射させて被洗浄食品Aに付着した異物Sを洗浄するシステムであるが、その際、被洗浄食品Aの種類によっては細かな屑が剥離され、これも異物Sとして洗浄水槽1内に混入し易い。特に、近年ではカット野菜などの需要も増え、カット野菜を洗浄する際、カット野菜から細かな屑が異物Sとして発生し易い。そして、このようなエジェクタ10,100の噴流水による洗浄によって発生する異物Sは、第2捕捉手段として洗浄水槽1の搬入側から搬出側へと向かう水流を遮るように配置したネット6によって効率的に捕捉することができる。すなわち、第2捕捉手段を構成するネット6を備えた枠体7は上部のみを部分的に水面上に突出するように配置される。一方、カット野菜などから剥離した野菜屑や細かな塵といった異物Sは、水面に浮かんだ状態で流れるため、水面に臨んで配置されたネット6によって効率かつ確実に捕捉される。さらに、このように水面に臨んで水の流れを遮るようにして枠体7に配置すると、被洗浄食品Aが枠体7でせき止められるが、水流に乗って洗浄される被洗浄食品Aは枠体7の平行杆8に形成する傾斜部9に当接し、その傾斜部9に沿って枠体7の下部を潜って下流側へと搬送されるため、被洗浄食品Aの洗浄を妨げる虞もない。また、枠体7は洗浄水槽1に対して着脱自在に装着可能であるため、カット野菜などの剥離し易い被洗浄食品Aを洗浄する場合は、複数のネット6を並設することも可能である。
【0040】
このように、浮遊性の異物Sをネット6によって除去した後、ネット6で除去し切れなった異物Sは、仕切り壁3,3で区画形成した還流の流路4に設けた第1捕捉手段であるネット5で捕捉することができる。すなわち、洗浄水による洗浄工程において洗浄水が流れる洗浄用水路と、洗浄後の還流の流路4とが仕切り壁3,3によって完全に区画されており、洗浄用水路に設けたネット6で異物Sを除去できず、洗浄後において還流の流路4に異物Sが流入しても仕切り壁3,3で区画形成した流路4から洗浄用水路へと異物Sが混入することはない。したがって、本実施形態のように、洗浄水を循環させて洗浄する食品洗浄機において、洗浄用水路と還流用流路4とを仕切り壁3,3で区画することで、仮に洗浄用水路に設けたネット6で異物Sを除去し切れなった場合であっても、その残った異物Sが再び洗浄用水路へと循環して被洗浄食品Aに付着し、商品価値を低下する虞もない。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に図6を参照して本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態は水に浮かぶ野菜や果実などを洗浄対象としていたが、本実施形態においては、洗浄対象が水に沈む野菜や果実などの洗浄用であり、洗浄水槽1に取り付けたエジェクタ10が洗浄水槽1の底部寄りに取り付けられ、また、洗浄水槽1の底部と洗浄水槽1の搬出側に食品搬送用コンベア30を設ける構成が異なる以外、実質第1実施形態と構成は同一であり、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複する部分の説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
本実施形態における食品搬送用コンベア30は、洗浄水槽1の底部に沿うように水平部30Aと、洗浄水槽1の下流側において水面上に露出するように傾斜させる傾斜部30B、この傾斜部30Bに連設して洗浄水槽1の排出側に臨む水平部30Cとから成る。また、エジェクタ10は水平部30Aよりやや上部に位置するように取り付けられている。
【0043】
以上のように構成される本実施形態においては、水に沈む被洗浄食品を洗浄したとしても、第1実施形態と同様、循環用ポンプ25によって洗浄水槽1の搬入側から搬出側へと向かう水流が生じ、その流れに乗って被洗浄食品が搬送されるとともに各エジェクタ10から被洗浄食品に向けてマイクロバブルを含む噴流水が噴射され、水に沈む被洗浄食品であっても被洗浄食品に損傷を与えることもなく、確実かつ効率的に洗浄することができるとともに、洗浄水に沈んだ洗浄対象は、食品搬送用コンベア30によって確実に洗浄水槽1の搬出側に搬送される。また、マイクロバブルを含む噴流水で洗浄することで被洗浄食品の鮮度を保持する効果や食味を向上する効果が期待できる。
【0044】
〔実施形態の変形〕
以上、本発明の実施形態について詳述したが本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0045】
例えば、第1実施形態では水に浮かぶ食品を洗浄対象としてエジェクタ10を洗浄水槽1内の洗浄水の水面よりやや下方に配置した例を示し、第2実施形態では水に沈む食品を洗浄対象としてエジェクタ10を洗浄水槽1の底部寄りに配置した例を示したが、図7に示すように、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせることも可能である。すなわち、洗浄水槽1内の底部及び洗浄水槽1の排出側に食品搬送用コンベア30を備えた第2実施形態の構成において、第1実施形態に示す洗浄水槽1内の洗浄水の水面よりやや下方にもエジェクタ10を設け、エジェクタ10を上下多段に配置することができる。この場合、被洗浄食品の比重によって上下多段の何れかのエジェクタ10から噴流水を噴射させるように切換制御することも可能である。このように構成すれば、水に浮かぶ被洗浄食品は上側のエジェクタ10のみから噴流水を噴射し、水に沈んだ被洗浄食品は下側のエジェクタ10のみから噴流水を噴射することができ、水の浮き沈みに拘らず各種の食品用洗浄装置として適用することができる。このような上下多段に配置したエジェクタ10を備える場合、図7に示すように、上下においてもエジェクタ10を千鳥状に配置すれば、より複雑な乱流を生起させることができ、より効率的な洗浄が可能となる。なお、図7において上下2段にエジェクタ10を配列した例を示したが、2段以上、エジェクタ10を配列してもよい。
【0046】
また、上記の各実施形態のエジェクタ10、100において、開口部14に対向して外気取入用開口を形成しておき、この外気取入用開口から外気を吸引して、エジェクタから曝気噴流水を噴射できるように構成してもよい。マイクロバブルを含む噴流水を噴射させるときにはこの外気取入用開口を塞いで用いるとよい。すなわち、マイクロバブルを含む噴流水を噴射する構成と、曝気噴流水を噴射する構成とを、用途に応じて切り替えて使用することができるように構成してもよい。
【0047】
また、上記の各実施形態では、搬入側から搬出側へと向かう水の流れやコンベアによって食品を搬送しながら洗浄する食品洗浄機を例に説明したが、搬入及び搬出を伴わない(いわゆるシンク型の)洗浄水槽に、第1実施形態と同様の吐出用ポンプ、エジェクタ等によるマイクロバブル噴流生成器が取り付けられた簡易的な構成の食品洗浄機も本発明の範囲に含まれる。
【0048】
さらに、図7に示す上下2段にエジェクタ10を配列した食品洗浄機において、図8に示すように、洗浄水槽111の底部を浅底部111Aと深底部111Bを形成し、浅底部111Aを洗浄領域として上下2段のエジェクタ10を配置し、深底部111Bを搬出領域として食品搬送用コンベア30を配置してもよい。この構成によれば、洗浄領域において底部コンベアを省略でき、構造を簡略化できるとともに、水槽容量を極力、減らして節水が可能となる。また、エジェクタ10は上下2段に備えても、不要な際には水面側の1段のみの仕様とすることも可能であり、洗浄する食材に合わせて設計できる。
【0049】
また、前記各実施形態では被洗浄食品として野菜や青果物といった農産物を例として説明したが、これに限らず、海産物や食肉などの各種の食品に適用可能である。また、洗浄水槽1の大きさや形状あるいはエジェクタ10の数や配置等は特に限定するものではない。さらに、第2捕捉手段であるネット6とその枠体7の個数は単数でも2組、あるいはそれ以上の枠体7を並列させて配置してもよく、その個数は、洗浄量に応じて適宜選定すればよい。さらに、排出側に配置した食品搬送用コンベア30上に仕上げ用として清浄水を噴射するシャワーを設けた構成、あるいは、洗浄水槽1の底部にブロワーを設け、このブロワーによって気泡を発生させてより洗浄効率を高める構成であってもよく、食品洗浄機の基本的構造は本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0050】
また、前記各実施形態において、図9に示すように、洗浄水槽(1,111)の底部に、幅方向の両側から中央に向けて高くなる傾斜面を有する凸部17を設けてもよい。図9において、紙面に直行する方向が洗浄水槽(1,111)の搬入側から搬出側へと向かう搬送方向に対応する。凸部17は、この搬送方向において、エジェクタ10が設けられている範囲にわたって設けられるとよい。エジェクタ10から噴射される噴流水は、凸部17の傾斜面によって進行方向を上方に向けられる。その結果、洗浄水槽111の幅方向の断面内には図9において矢印で示したように、洗浄水が循環する流れが生じる。エジェクタ100による洗浄水槽1の搬入側から排出側に向けた水流と合わせて、洗浄水は洗浄水槽1の搬入側から排出側に向けて螺旋状の流れを有することとなる。このような洗浄水の流れにより、単に噴流水を噴射する場合と比べ、洗浄対象(被洗浄食品)をしっかりと洗浄することができる。なお、洗浄水が循環する流れを凸部17によって生じさせる機構は、エジェクタ10からの噴流水がマイクロバブルを含む噴流水である場合に特に効果的であるが、エジェクタ10からの噴流水が通常の曝気噴流水である場合にも有効である。
【0051】
また、前記各実施形態において、洗浄対象(被洗浄食品)は水流やコンベアにより洗浄水槽(1,111)の搬入側から搬出側へと搬送されるが、洗浄対象の状態や特徴(例えば、重量、サイズ、形状、汚れ具合等)によっては、搬入されてから搬出されるまでの洗浄される時間が十分に得られない場合がある。そこで、食品洗浄機は、図10(a)に示すように、洗浄水槽の搬出端に、開閉可能な当該シャッタ板18Aを有するゲート18を備えるとよい。シャッタ板18Aは、貫通開口を有する板体であり、その貫通開口により上流から下流へ向かう水流を通しつつ、洗浄対象が水流に乗って下流に搬送されるのを阻止する。シャッタ板18Aは、例えば、メッシュ状、格子状、パンチ状、柵状等に形成されるとよい。
【0052】
ゲート18は、不図示の制御手段により開閉が制御される。開状態では、シャッタ板18Aは、洗浄水槽の搬出端の上部に位置し、洗浄対象が水流やコンベアによって、自由に下流に搬送できるようにする。一方、閉状態では、シャッタ板18Aは洗浄水槽の搬出端において、洗浄対象が下流に搬送されるのを妨げる位置(例えば、搬出端における洗浄水槽の底から水面までをカバーする位置)まで下降し、洗浄対象を洗浄水槽内に留まらせて、十分な洗浄時間を確保する。シャッタ板18Aは、開口部を有する板体であるため、洗浄対象が下流に搬送されるのを妨げる一方、水流を妨げることはない。
【0053】
ゲート18は、図10(b)に示すように、貫通開口を有する板体であるルーフ板18Bをさらに備えるとよい。ルーフ板18Bは、例えば、メッシュ状、格子状、パンチ状、柵状等に形成されるとよい。ルーフ板18Bは、シャッタ板18Aの上端部から搬送方向の上流側に向けて延出する。ルーフ板18Bは、例えば、洗浄水槽の搬入端付近まで延出するとよい。ルーフ板18Bは、ゲート18が閉状態となりシャッタ板18Aが下降したときに洗浄水の水面付近に位置する。これにより、洗浄対象が水に浮かぶものである場合に、ゲート18が閉状態である間、シャッタ板18Aによって洗浄対象を洗浄水槽内に留まらせつつルーフ板18Bによって洗浄水の水面下に浸漬させて、噴流水による洗浄を確実に行うことができる。
【0054】
ゲート18は、洗浄水槽の搬出端だけでなく、洗浄水槽の途中にも設けてもよい。このようにゲート18を複数設けて洗浄水槽の搬入端から搬出端までを複数の区間に分ければ、ゲート18が閉状態となったときに洗浄対象が搬出端にたまるのを防ぐことができ、洗浄水槽の上流部分(搬入端に近い領域)の噴流水を効率的に利用して洗浄を行うことができる。なお、ゲート18を備える構成は、エジェクタ10からの噴流水がマイクロバブルを含む噴流水である場合に特に効果的であるが、エジェクタ10からの噴流水が通常の曝気噴流水である場合にも有効である。
【符号の説明】
【0055】
1,111 洗浄水槽
1A 両側壁面
2 オーバーフロー槽
3 仕切り壁
5 ネット(第1捕捉手段)
6 ネット(第2捕捉手段)
7 枠体(第2捕捉手段)
9 傾斜部
10,100 エジェクタ
11 噴射口
12 ノズル本体
13 絞り部
14 開口部
16 外気取入管路
17 凸部
18 ゲート
18A シャッタ板
18B ルーフ板
20 吐出用ポンプ
21 給水配管
22 管路
23 清浄水配管路
24 吸気配管
24A 吸気調整弁
25 循環用ポンプ
30 食品搬送用コンベア
図1
図2
図3
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図10