IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヘンの特許一覧

<>
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図1
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図2
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図3
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図4
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図5
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図6
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図7
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図8
  • 特開-変圧器組立方法及び変圧器組立装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154292
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】変圧器組立方法及び変圧器組立装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20251002BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
H01F41/02 A
H01F30/10 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024057209
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 由太
(72)【発明者】
【氏名】林 弘樹
【テーマコード(参考)】
5E062
【Fターム(参考)】
5E062AB02
5E062AB13
(57)【要約】
【課題】より簡単な構成にて、変圧器の生産工程を自動化できる変圧器組立方法及び変圧器組立装置を提供する。
【解決手段】
周方向にて両端部が重畳する複数の円筒形状体が径方向に重なる鉄心と隣り合うように配設された一対のコイルとを備える変圧器を組み立てる変圧器組立方法であって前記一対のコイルの下方から2つのガイド部の夫々が各コイルの内側を通り抜けて上昇する上昇ステップと所定の単位数の円筒形状体の両端部を相互離隔方向へ引っ張って各ガイド部の先端部に夫々引掛ける引掛けステップと前記両端部が各ガイド部の先端部に引掛けられた状態で前記単位数の円筒形状体が前記2つのガイド部と共に下降し前記コイル内に挿通される挿通ステップと前記単位数の円筒形状体の前記コイルへの挿通が完了した場合前記2つのガイド部が前記コイルから遠ざかる方向に移動し前記単位数の円筒形状体から離隔される離隔ステップとを実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向にて両端部が重畳する複数の円筒形状体が径方向に重なる鉄心と、隣り合うように配設された一対のコイルとを備える変圧器を組み立てる変圧器組立方法であって、
前記一対のコイルの下方から、2つのガイド部の夫々が各コイルの内側を通り抜けて上昇する上昇ステップと、
所定の単位数の円筒形状体の両端部を、相互離隔方向へ引っ張って、各ガイド部の先端部に夫々引掛ける引掛けステップと、
前記両端部が各ガイド部の先端部に引掛けられた状態で、前記単位数の円筒形状体が、前記2つのガイド部と共に下降し、前記コイル内に挿通される挿通ステップと、
前記単位数の円筒形状体の前記コイルへの挿通が完了した場合、前記2つのガイド部が前記コイルから遠ざかる方向に移動し、前記単位数の円筒形状体から離隔される離隔ステップと
を実行する変圧器組立方法。
【請求項2】
前記単位数の円筒形状体では、各円筒形状体の両端部の重畳部が周方向の一向きにずれており、
前記引掛けステップでは、
各円筒形状体の両端部のうち内側端部が一方のガイド部に引掛けられ、外側端部が他方のガイド部に引掛けられ、
前記離隔ステップでは、
前記一方のガイド部が前記他方のガイド部よりも先に前記単位数の円筒形状体から離隔される請求項1に記載の変圧器組立方法。
【請求項3】
前記引掛けステップでは、
前記単位数の円筒形状体は、前記両端部の接離方向に対向する2箇所が相互離隔する方向に引張られる請求項1に記載の変圧器組立方法。
【請求項4】
前記挿通ステップでは、
前記コイル内に挿通される前記単位数の円筒形状体は、前記両端部の接離方向に対向する2箇所が相互接近する方向に押される請求項1に記載の変圧器組立方法。
【請求項5】
前記離隔ステップでは、
各ガイド部は、前記単位数の円筒形状体から離隔された後、前記コイルの内側に戻り、前記単位数の円筒形状体を他のガイド部側に押し付け、
前記単位数の円筒形状体の各端部が前記コイルの下端面側に曲げられる請求項1に記載の変圧器組立方法。
【請求項6】
周方向にて両端部が重畳する複数の円筒形状体が径方向に重なる鉄心が、隣り合う一対のコイルに挿通されている変圧器を組み立てる変圧器組立装置であって、
各コイルの内側を通り抜けて上下動する2つのガイド部と、
前記一対のコイルの上方にて所定の単位数の円筒形状体を保持する保持部材と、
前記単位数の円筒形状体の両端部が各ガイド部の先端部に夫々引掛けられた状態で、前記保持部材と前記2つのガイド部とを共に下降させて、前記単位数の円筒形状体を前記コイル内に挿通させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記単位数の円筒形状体の前記コイルへの挿通が完了した場合、前記2つのガイド部を前記コイルから遠ざかる方向に移動させ、前記単位数の円筒形状体から離隔させる変圧器組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器組立方法及び変圧器組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器の生産工程は、例えば、重なり合う両端部を有する複数の円筒形状体を径方向に重畳させてなる鉄心を、前記両端部が互いに離隔するようにして開放させた状態で、軸長方向が平行である隣り合う一対のコイルに挿通させる工程を含む(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-135058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような、鉄心の前記コイルへの挿通工程は、複数の作業者の協業が必要な作業であって生産性が悪く、手作業であることから、作業者の熟練度等によって品質にバラツキが生じ得るという問題があった。
【0005】
これに対して、特許文献1では、変圧器の生産工程における自動化について開示しているものの、鉄心の前記コイルへの挿通前と、鉄心の前記コイルへの挿通後とで、夫々異なる複数の補助治具が用いられており、複雑な構成であるうえに、補助治具の操作も複雑である。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成にて、変圧器の生産工程を自動化できる変圧器組立方法及び変圧器組立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る変圧器組立方法は、周方向にて両端部が重畳する複数の円筒形状体が径方向に重なる鉄心と、隣り合うように配設された一対のコイルとを備える変圧器を組み立てる変圧器組立方法であって、前記一対のコイルの下方から、2つのガイド部の夫々が各コイルの内側を通り抜けて上昇する上昇ステップと、所定の単位数の円筒形状体の両端部を、相互離隔方向へ引っ張って、各ガイド部の先端部に夫々引掛ける引掛けステップと、前記両端部が各ガイド部の先端部に引掛けられた状態で、前記単位数の円筒形状体が、前記2つのガイド部と共に下降し、前記コイル内に挿通される挿通ステップと、前記単位数の円筒形状体の前記コイルへの挿通が完了した場合、前記2つのガイド部が前記コイルから遠ざかる方向に移動し、前記単位数の円筒形状体から離隔される離隔ステップとを実行する。
【0008】
本発明に係る変圧器組立装置は、周方向にて両端部が重畳する複数の円筒形状体が径方向に重なる鉄心が、隣り合う一対のコイルに挿通されている変圧器を組み立てる変圧器組立装置であって、各コイルの内側を通り抜けて上下動する2つのガイド部と、前記一対のコイルの上方にて所定の単位数の円筒形状体を保持する保持部材と、前記単位数の円筒形状体の両端部が各ガイド部の先端部に夫々引掛けられた状態で、前記保持部材と前記2つのガイド部とを共に下降させて、前記単位数の円筒形状体を前記コイル内に挿通させる制御部とを備え、前記制御部は、前記単位数の円筒形状体の前記コイルへの挿通が完了した場合、前記2つのガイド部を前記コイルから遠ざかる方向に移動させ、前記単位数の円筒形状体から離隔させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より簡単な構成にて、変圧器の生産工程を自動化できる変圧器組立方法及び変圧器組立装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】変圧器の一例を示す斜視図である。
図2】巻鉄心の構成を示す概略的側面図である。
図3】本実施形態に係る変圧器組立装置の斜視図である。
図4】本実施形態に係る変圧器組立装置の正面図である。
図5】本実施形態に係る変圧器組立装置の要部を概略的に示す模式図である。
図6】本実施形態に係る変圧器組立装置における、巻鉄心のコイルへの組み込み作業を説明するフローチャートである。
図7】本実施形態に係る変圧器組立装置における、巻鉄心のコイルへの組み込み作業を説明する説明図である。
図8】本実施形態に係る変圧器組立装置における、巻鉄心のコイルへの組み込み作業を説明する説明図である。
図9】本実施形態に係る変圧器組立装置における、巻鉄心のコイルへの組み込み作業を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、変圧器の一例を示す斜視図である。図1中、符号300は、変圧器を示す。変圧器300は1つの巻鉄心100(鉄心)を隣り合う2つのコイル200に組み込んで構成されている。例えば、各コイル200は軸断面視で中空の角丸矩形であり、巻鉄心100は軸断面視で長円形状である
【0013】
図2は、巻鉄心100の構成を示す概略的側面図である。また、図2における楕円内の図は、巻鉄心100において破線楕円で囲まれた部分を拡大して示す図である。
【0014】
一般に、巻鉄心100は、帯状のけい素鋼帯等のフープ材料を長さ方向に所定寸法にて切断した多数の細長い長方形の鉄心素体を所定層数積層し、これを、断面視長円形になるように曲げ加工して得られる。この際、各鉄心素体の長さ、換言すれば、長円形の各鉄心素体(以下、円筒形状体)111の周の長さは、外側に位置する円筒形状体111程長い。
【0015】
詳しくは、斯かる曲げ加工は単位数(例えば、7~10枚)の鉄心素体毎に行われ、前記単位数の鉄心素体から得られる多重の円筒形状体111(以下、鉄心ブロック110と称する)を径方向に複数重畳させることによって、巻鉄心100が製造される。図2では、1つの鉄心ブロック110が8つの円筒形状体111からなる場合を例示しているが、これに限定されるものではない。
【0016】
即ち、巻鉄心100では複数の鉄心ブロック110が同一軸心上にて径方向に重なり合っており、また、各鉄心ブロック110では、複数の円筒形状体111が同一軸心上にて径方向に重なり合っている。また、巻鉄心100において、径方向にて隣り合う2つの鉄心ブロック110のうち、内側の鉄心ブロック110の外周面が、外側の鉄心ブロック110の内周面と接し、径方向にて隣り合う2つの円筒形状体111のうち、内側の円筒形状体111の外周面が、外側の円筒形状体111の内周面と接している。
【0017】
巻鉄心100は長さ方向の一端部102に、各円筒形状体111の両端部1121,1122が重畳する重畳部112が配設されている。即ち、各鉄心ブロック110においては、円筒形状体111の重畳部112にて、内側端部1121と外側端部1122とが鉄心ブロック110の径方向にて、換言すれば円筒形状体111同士の重畳方向にて、重畳している。また、各鉄心ブロック110においては、各円筒形状体111の重畳部112が、周方向にて、一方向へ、所定間隔だけずれて配設されている。図2では、各円筒形状体111の重畳部112が時計回り方向にずれている場合を例示している。
【0018】
即ち、各鉄心ブロック110においては、複数の円筒形状体111の重畳部112は、径方向にて互いに重畳していない。換言すれば、径方向にて隣り合う2つの円筒形状体111のうち、内側の円筒形状体111の外側端部1122は、外側の円筒形状体111の内側端部1121と、径方向にて重畳していない。
【0019】
このような構成を有する巻鉄心100をコイル200に組み込むためには、2つのコイル200を、軸長方向が平行となるようにして、外周面同士が接するように、隣り合わせて配設した後、巻鉄心100の一端部102を開放させて、夫々のコイル200の貫通孔201に挿通させる。即ち、各鉄心ブロック110の各円筒形状体111の内側端部1121と外側端部1122とを離隔させて巻鉄心100を反転U字状に変形させて夫々のコイル200の貫通孔201に挿通させ、その後、原形に戻す。
【0020】
本実施形態に係る変圧器組立装置1は、このような巻鉄心100のコイル200への組み込み作業を自動化できる。斯かる巻鉄心100のコイル200への組み込み作業は、巻鉄心100から各鉄心ブロック110を分離して、鉄心ブロック110毎に行われる。
【0021】
図3は、本実施形態に係る変圧器組立装置1の斜視図であり、図4は、本実施形態に係る変圧器組立装置1の正面図である。図3及び図4では、説明の便宜上、後述する上方ローラ部材50及び下方ローラ部材60を含む、変圧器組立装置1の一部の図示を省略している。
【0022】
本実施形態に係る変圧器組立装置1は、枠体90を備えており、枠体90には、2つのコイル200を載置する載置台10,10と、載置台10上のコイル200の位置を左右・前後に微調整する位置調整機構80と、鉄心ブロック110を保持して移動する移動機構20と、巻鉄心100のコイル200への挿通を案内する案内部材30と、案内部材30を上下・左右に移動させる駆動機構31と、移動機構20、駆動機構31及び位置調整機構80の駆動制御を行う制御部40とが取り付けられている。
【0023】
枠体90は、上下方向に延びており、平面視で矩形をなすように配設された、4つのコラム91を備えている(図3では、右側の前方のコラム91の図示を省略している)。コラム91同士は、上端部が上端横架部材92によって連結され、下端部が下端横架部材93によって連結されている。
【0024】
上端横架部材92は、左右方向に対応するコラム91同士、及び、前後方向に対応するコラム91同士の間で横架されている。また、下端横架部材93は、上端横架部材92と同様に、左右方向に対応するコラム91同士、及び、表裏方向に対応するコラム91同士の間で横架されている。即ち、4つのコラム91は上端横架部材92及び下端横架部材93によって連結されている。
【0025】
上下方向における枠体90の中間部には、2つの載置台10が設けられている。各載置台10は厚板形状であり、厚み方向が上下方向となるようにして設けられている。2つの載置台10は、左右方向に所定間隔を隔てて配設されており、同一面内に並設されている。各載置台10には、他の載置台10と対向する辺縁部に、矩形の切り欠き101(図5参照)が形成されている。換言すれば、2つの載置台10のうち左側の載置台10は平面視で略C字状であり、右側の載置台10は平面視で略反転C字状である。平面視にて、切り欠き101の大きさはコイル200の貫通孔201の大きさとほぼ同じである。
【0026】
巻鉄心100のコイル200への組み込み作業時には、上述の如く、2つの載置台10上に、2つのコイル200が、軸長方向が上下方向となるようにして、外周面同士が接するように、隣り合わせて夫々載置される。この際、位置調整機構80がコイル200の位置を微調整する。
【0027】
位置調整機構80は、載置台10上に載置された各コイル200を後方から挟持する挟持部82と、左右方向に延びており、挟持部82の移動を案内する案内レール83と、案内レール83に沿って挟持部82を左右・前後に移動させるサーボモータ(図示せず)とを備えている。挟持部82は、案内レール83上を摺動可能に、案内レール83と係合している。
【0028】
2つの載置台10上に、2つのコイル200が夫々載置されると、各挟持部82がコイル200の内周面及び外周面を挟持し、制御部40は、前記サーボモータを制御して、コイル200の貫通孔201の位置が載置台10の切り欠き101と整合するように、即ち、切り欠き101の真上にコイル200の貫通孔201が位置するように、挟持部82を移動させる。
なお、位置調整機構80は挟持部82を手動で移動させるためのハンドル81を有しており、作業者がハンドル81を適宜操作することによって、コイル200の位置を微調整しても良い。
【0029】
移動機構20は、1つの鉄心ブロック110を把持する把持部21(保持部材)と、把持部21を上下方向に案内する案内部23と、把持部21を案内部23に連結させる連結部22と、把持部21を案内部23に沿って上下に移動させるサーボモータ(図示せず)とを備えている。
【0030】
把持部21は、略フック形状であって、載置台10の上方に配設されており、鉄心ブロック110において、巻鉄心100の一端部102と反対側の他端部101に係る部分、即ち、重畳部112が形成された端部と反対側端部を把持して、隣り合う一対のコイル200の上方からコイル200側に、鉄心ブロック110がコイル200に挿通されるまで下降する。
【0031】
案内部23は、載置台10よりも後方に設けられており、上下方向に延びる丸棒231と、丸棒231の左右側に夫々設けられ、上下方向に延びる保持棒232とを有している。2つの保持棒232は、相互平行であって、枠体90に固定されている。丸棒231は保持棒232と平行であり、両端部が保持棒232によって軸回りを回転可能に保持されている。また、丸棒231の外周面には、ネジ谷が丸棒231の長さ方向に沿って螺旋状に形成されている。
【0032】
連結部22は、角棒形状であり、一端部の下面に把持部21が取り付けられ、他端部には丸棒231と係合する係合孔221が形成されている。係合孔221は、連結部22を上下方向に貫通しており、係合孔221の周面には、丸棒231のネジ谷と螺合するネジ山が形成されている。即ち、連結部22の係合孔221には丸棒231が内嵌されており、係合孔221のネジ山が丸棒231のネジ谷と螺合している。
【0033】
制御部40は前記サーボモータを駆動して丸棒231を回転させる。丸棒231が正回転又は逆回転することによって、連結部22が丸棒231の軸長方向に、即ち、上側方向又は下側方向に移動する。これによって、把持部21が上下方向に移動する。
【0034】
なお、移動機構20は把持部21(連結部22)を手動で移動させるためのハンドル233を有しており、作業者がハンドル233を適宜操作することによって、把持部21(連結部22)を上下方向に移動させることもできる。
【0035】
図5は、本実施形態に係る変圧器組立装置1の要部を概略的に示す模式図である。図5では、移動機構20の把持部21と、載置台10と、案内部材30との位置関係を示しており、説明の便宜上、コイル200を縦断面図にて示し、コイル200の上方にて鉄心ブロック110が把持部21に把持されている状態を示している。
【0036】
図3図5の如く、載置台10よりも下方に、案内部材30と、案内部材30を上下・左右に移動させる駆動機構31とが設けられている。
【0037】
案内部材30は、2つのガイド部30a及びガイド部30bを有している。ガイド部30a及びガイド部30bは、駆動機構31によって、上下・左右に移動できる。ガイド部30a及びガイド部30bは、コイル200の軸長方向、即ち上下方向に延びる長方形の金属製板材からなる。ガイド部30a及びガイド部30bは左右方向に対向配設されている。詳しくは、ガイド部30aは、一方の載置台10の切り欠き101の真下側に配設されており、ガイド部30bは、他方の載置台10の切り欠き101の真下側に配設されている。
【0038】
よって、ガイド部30a及びガイド部30bは、駆動機構31によって上下方向に移動する場合、各コイル200に挿脱される。即ち、ガイド部30a及びガイド部30bは、各載置台10の切り欠き101及びコイル200の貫通孔201を通って上方に移動する(図5の破線の矢印参照)。即ち、ガイド部30a及びガイド部30bは、図5に示す待機位置から、載置台10の切り欠き101及びコイル200の貫通孔201を通って、先端部がコイル200の上端面から抜け出る位置(以下、最上位置)まで上方に移動できる。
【0039】
駆動機構31は、ガイド部30aの下端部を保持する保持部33aと、ガイド部30bの下端部を保持する保持部33bとを有している。また、駆動機構31は、左右方向に延びており、保持部33a(ガイド部30a)及び保持部33b(ガイド部30b)の移動を案内する案内レール32と、案内レール32に沿って保持部33aを左右に移動させるハンドル31aと、案内レール32に沿って保持部33bを左右に移動させるハンドル31bとを備えている。また、駆動機構31は、保持部33aを上下方向に移動させる上方移動機構34aと、保持部33bを上下方向に移動させる上方移動機構34bとを更に備えている。
【0040】
保持部33a及び保持部33bは、案内レール32上を摺動可能に、案内レール32と係合している。例えば、制御部40が、ハンドル31a及びハンドル31bを回転させるためのサーボモータ(図示せず)を適宜制御することによって、保持部33aが案内レール32に沿って左右に移動でき、保持部33bが案内レール32に沿って左右に移動できる。
【0041】
上方移動機構34aは、ガイド部30aよりも後方に設けられており、案内部23と同様の構成を有している。即ち、上方移動機構34aは、外周面にネジ谷が長さ方向へ螺旋状に形成されており、上下方向に延びる丸棒341aと、丸棒341aと平行に、丸棒341aの左右側に夫々設けられた保持棒342aとを有している。丸棒341aは、両端部が2つの保持棒342aによって軸回りを回転可能に保持されている。
【0042】
また、上方移動機構34bは上方移動機構34aと同様に、外周面にネジ谷が長さ方向へ螺旋状に形成されており、上下方向に延びる丸棒341bと、丸棒341bと平行に、丸棒341bの左右側に夫々設けられた保持棒342bを有している。丸棒341bは、両端部が2つの保持棒342bによって軸回りを回転可能に保持されている。
【0043】
保持部33aは、平面視で中空の矩形であり、保持部33b側の側壁の外側面にガイド部30aが取り付けられている。また、保持部33aは、上方移動機構34aの丸棒341aのネジ谷と螺合するネジ山を有する貫通孔(図示せず)を有しており、保持部33aの斯かる貫通孔に丸棒341aが内嵌されている。
【0044】
保持部33bは、平面視で中空の矩形であり、保持部33a側の側壁の外側面にガイド部30bが取り付けられている。他の保持部33bの構成は保持部33aと同じであるので詳しい説明を省略する。
【0045】
制御部40が、丸棒341aを回転させるためのサーボモータ(図示せず)を駆動して丸棒341aを正回転又は逆回転させることによって、保持部33a(ガイド部30a)が丸棒341aの軸長方向に、即ち、上側方向又は下側方向に移動する。
また、制御部40が、丸棒341bを回転させるためのサーボモータ(図示せず)を駆動して丸棒341bを正回転又は逆回転させることによって、保持部33b(ガイド部30b)が丸棒341bの軸長方向に、即ち、上側方向又は下側方向に移動する。
【0046】
更に、本実施形態に係る変圧器組立装置1は、載置台10よりも上方に配設された上方ローラ部材50と、載置台10よりも下方に配設された下方ローラ部材60とを備えている。
【0047】
上方ローラ部材50は、各コイル200の真上に夫々配設されており、2つの上方ローラ部材50が、左右方向に対向するように、所定の間隔を隔てて枠体90に取り付けられている。各上方ローラ部材50は、鉄心ブロック110の軸心方向と平行をなす回転軸を有するローラ部を有している。2つの上方ローラ部材50は、制御部40によって、相互接離する方向、即ち左右方向に移動でき、かつ上下方向及び前後方向に移動できるように構成されている。2つの上方ローラ部材50は、鉄心ブロック110の内側にて相互離隔する方向に移動して、鉄心ブロック110の両端部1121,1122を離隔させる。また、2つの上方ローラ部材50は、鉄心ブロック110の外側にて鉄心ブロック110の左右側を押し合って鉄心ブロック110の両端部1121,1122を接近させる。
【0048】
詳しくは、2つの上方ローラ部材50が相互離隔する方向に移動する場合、左側の上方ローラ部材50のローラ部が鉄心ブロック110の内周面と接して左側に引張り、右側の上方ローラ部材50のローラ部が鉄心ブロック110の内周面と接して右側に引張ることによって、鉄心ブロック110の両端部1121,1122が相互離隔されて重畳部112が開放される。
【0049】
また、2つの上方ローラ部材50が相互接近する方向に移動する場合、左側の上方ローラ部材50のローラ部が鉄心ブロック110の外周面と接して右側に付勢し、右側の上方ローラ部材50のローラ部が鉄心ブロック110の外周面と接して左側に付勢することによって、鉄心ブロック110の両端部1121,1122が重畳される。
【0050】
2つの下方ローラ部材60は、各コイル200の真下に夫々配設されており、2つの下方ローラ部材60が、左右方向に対向するように、ガイド部30a及びガイド部30bの間にて、所定の間隔を隔てて枠体90に取り付けられている。各下方ローラ部材60は、鉄心ブロック110の軸心方向と平行をなす回転軸を有するローラ部を有している。2つの下方ローラ部材60は、制御部40によって、上下方向、即ち鉄心ブロック110への接離方向に移動できるように構成されている。
【0051】
図6は、本実施形態に係る変圧器組立装置1における、巻鉄心100のコイル200への組み込み作業を説明するフローチャートであり、図7図9は、本実施形態に係る変圧器組立装置1における、巻鉄心100のコイル200への組み込み作業を説明する説明図である。斯かる巻鉄心100のコイル200への組み込み作業は、各鉄心ブロック110に対して、図7Aから図9Iまでのコイル200への挿通作業の繰り返すことによって行われる。
【0052】
なお、説明の便宜上、図8図9においては、載置台10の図示を省略する。そして、以下では、説明の便宜上、2つの載置台10上に、2つのコイル200が隣り合うように載置され、位置の微調整が完了した状態から説明する。
【0053】
まず、巻鉄心100における最も内側(1番目)に係る1つの鉄心ブロック110が把持部21に把持される。詳しくは、鉄心ブロック110における重畳部112と反対側の端部113が把持部21によって把持される。また、制御部40がサーボモータを駆動して丸棒341a及び丸棒341bを回転させて、ガイド部30a及びガイド部30bを最上位置まで移動させる(図7A参照)。ガイド部30a及びガイド部30bは、載置台10の切り欠き101及びコイル200の貫通孔201を通り抜けて、最上位置まで移動する。
【0054】
この際、鉄心ブロック110の重畳部112が開放される(ステップS101)。上述の如く、制御部40が、2つの上方ローラ部材50を適宜制御して、斯かる鉄心ブロック110の内側に位置させてから、相互離隔する方向に移動させることによって、上方ローラ部材50のローラ部が回転しつつ、鉄心ブロック110の両端部1121,1122が相互離隔され、鉄心ブロック110が反転U字状に変形される。
【0055】
このように、各円筒形状体111の重畳部112が開放されて内側端部1121及び外側端部1122が離隔された状態で、制御部40は、サーボモータを駆動して丸棒231を逆回転させて、把持部21(鉄心ブロック110)を下降させ、2つの上方ローラ部材50を下降させる。適宜の位置まで、鉄心ブロック110が下降した後、制御部40は、上方ローラ部材50を左右方向に適宜移動させて、鉄心ブロック110の両端部1121,1122をガイド部30a,30bに引掛ける(ステップS102)。
【0056】
この際、全ての内側端部1121がコイル200の上端面から抜け出たガイド部30aの先端部に引掛けられ、全ての外側端部1122がコイル200の上端面から抜け出たガイド部30bの先端部に引掛けられる(図7B参照)。
【0057】
即ち、各円筒形状体111の内側端部1121がガイド部30aの外側面と当接した状態で保持され、各円筒形状体111の外側端部1122がガイド部30bの外側面と当接した状態で保持されており(図7Bの破線円部分参照)、ガイド部30a及びガイド部30bが鉄心ブロック110の各円筒形状体111の内側端部1121及び外側端部1122を相互離隔された状態(以下、離隔状態と称する)に保持する。
【0058】
その後、鉄心ブロック110がコイル200の貫通孔201に挿通される(ステップS103)。詳しくは、制御部40は、サーボモータを駆動して把持部21(鉄心ブロック110)を下降させると同時に、サーボモータを駆動してガイド部30a及びガイド部30bを下降させる。即ち、把持部21(鉄心ブロック110)の下降時に、円筒形状体111の両端部1121,1122の離隔状態を保持したまま、ガイド部30a及びガイド部30bも下降する(図7C参照)。これによって、鉄心ブロック110がコイル200の貫通孔201に挿通される。
【0059】
この際、制御部40は、2つの上方ローラ部材50を適宜制御して、鉄心ブロック110の外側に位置させてから、相互接近する方向に移動させることによって、鉄心ブロック110がコイル200の貫通孔201に係る縁に当たることを防ぎ、鉄心ブロック110のコイル200の貫通孔201への挿通を容易にする。
【0060】
把持部21(鉄心ブロック110)及びガイド部30a,30bの下降は、鉄心ブロック110における重畳部112と反対側の端部113がコイル200の上端面と当接するまで続けられる。鉄心ブロック110の端部113がコイル200の上端面と当接すると、鉄心ブロック110のコイル200の貫通孔201への挿通が完了し、制御部40は把持部21の下降を停止する。
【0061】
その後、制御部40は、サーボモータを駆動して丸棒341a及び丸棒341bを回転させてガイド部30a及びガイド部30bを更に下降させ、内側端部1121及び外側端部1122の保持を解除する。
【0062】
まず、制御部40は、内側端部1121の保持解除を行う(ステップS104)。即ち、鉄心ブロック110のコイル200の貫通孔201への挿通が完了すると、先ず、制御部40が丸棒341aを回転させて、内側端部1121を保持していたガイド部30aを下降させ、ガイド部30aを内側端部1121から離隔させる(図8D参照)。このようにガイド部30aの保持が解除されると、内側端部1121には復元力が加わる。
【0063】
この際、内側端部1121の復元を容易、かつ確実にし、且つ次の2番目の鉄心ブロック110の挿通に備えて貫通孔201内の空間を確保するために、ガイド部30aにて鉄心ブロック110を左側のコイル200の内周面側に押し付ける(ステップS105)。
【0064】
即ち、図8Eに示す如く、制御部40が丸棒341aを回転させてガイド部30aを左側のコイル200の内側に上昇させてから鉄心ブロック110側に移動させ、内側端部1121に係る鉄心ブロック110の外周面を左側のコイル200の内周面に向けて押し付ける。
【0065】
続いて、内側端部1121の復元を容易にし、且つコイル200への組み込み作業完了後の巻鉄心100の形状を整えるために、内側端部1121がコイル200側に押し曲げられる(ステップS106)。
【0066】
詳しくは、制御部40が、2つの下方ローラ部材60のうち左側の下方ローラ部材60を適宜制御して、上方に移動させることによって、下方ローラ部材60のローラ部が回転しつつ、内側端部1121が左側のコイル200の下端面に押し付けられて曲がる(図8F参照)。斯かる状態は、2番目の鉄心ブロック110に対するコイル200への挿通作業において内側端部1121の保持が解除されるまで維持される。
【0067】
引き続き、制御部40は、外側端部1122の保持解除を行う(ステップS107)。即ち、制御部40が丸棒341bを回転させて、外側端部1122を保持していたガイド部30bを下降させ、ガイド部30bを外側端部1122から離隔させる(図9G参照)。このようにガイド部30bの保持が解除されると、外側端部1122には復元力が加わる。
【0068】
この際、外側端部1122の復元を容易、かつ確実にし、且つ次の2番目の鉄心ブロック110の挿通に備えて貫通孔201内の空間を確保するために、ガイド部30bにて鉄心ブロック110を右側のコイル200の内周面側に押し付ける(ステップS108)。
【0069】
即ち、図9Hに示す如く、制御部40が丸棒341bを回転させてガイド部30bを右側のコイル200の内側に上昇させてから鉄心ブロック110側に移動させ、外側端部1122に係る鉄心ブロック110の外周面を右側のコイル200の内周面に向けて押し付ける。
【0070】
続いて、外側端部1122の復元を容易にし、且つコイル200への組み込み作業完了後の巻鉄心100の形を整えるために、外側端部1122がコイル200側に押し曲げられる(ステップS109)。
【0071】
詳しくは、制御部40が、2つの下方ローラ部材60のうち右側の下方ローラ部材60を適宜制御して、上方に、鉄心ブロック110側に移動させることによって、下方ローラ部材60のローラ部が回転しつつ、外側端部1122が右側のコイル200の下端面に押し付けられて曲がる(図9I参照)。斯かる状態は、2番目の鉄心ブロック110に対するコイル200への挿通作業において外側端部1122の保持が解除されるまで維持される。
【0072】
以上のようにして、巻鉄心100における最も内側(1番目)に係る鉄心ブロック110のコイル200の貫通孔201への挿通が完了すると、引き続き、内側から2番目の鉄心ブロック110に対しても同様に図7A図9Iの工程が行われる。
【0073】
この際、鉄心ブロック110の径の拡大に応じて、制御部40によって、ハンドル31a及びハンドル31bが適宜操作され、保持部33a及び保持部33bが相互離隔する方向に左右に適宜移動される。
【0074】
また、2番目の鉄心ブロック110に対するコイル200への挿通作業時には、2つの下方ローラ部材60が、2番目の鉄心ブロック110の内側端部1121及び外側端部1122と共に、1番目の鉄心ブロック110の内側端部1121及び外側端部1122をコイル200の下端面に押し付ける。
【0075】
上述の如く、2番目の鉄心ブロック110に対するコイル200への挿通作業時に、内側端部1121の保持が解除されるまで、左側の下方ローラ部材60が1番目の鉄心ブロック110の内側端部1121を左側のコイル200の下端面に押し付け続ける。2番目の鉄心ブロック110の内側端部1121の保持が解除されると、制御部40の制御によって、左側の下方ローラ部材60が1番目の鉄心ブロック110の内側端部1121から下方に離隔された後、再び、左側の下方ローラ部材60が上方に移動して、1番目の鉄心ブロック110の内側端部1121及び2番目の鉄心ブロック110の内側端部1121を左側のコイル200の下端面に押し付けて曲げる。
【0076】
また、2番目の鉄心ブロック110に対するコイル200への挿通作業時に、外側端部1122の保持が解除されるまで、右側の下方ローラ部材60が1番目の鉄心ブロック110の外側端部1122を右側のコイル200の下端面に押し付け続ける。2番目の鉄心ブロック110の外側端部1122の保持が解除されると、制御部40の制御によって、右側の下方ローラ部材60が1番目の鉄心ブロック110の外側端部1122から下方に離隔された後、再び、右側の下方ローラ部材60が上方に移動して、1番目の鉄心ブロック110の外側端部1122及び2番目の鉄心ブロック110の外側端部1122を右側のコイル200の下端面に押し付けて曲げる。
【0077】
このような工程は巻鉄心100を構成するすべての鉄心ブロック110に対して繰り返して行われ、これによって、巻鉄心100のコイル200への組み込み作業が完了する。
【0078】
本実施形態に係る変圧器組立装置1は、上述の如く、各鉄心ブロック110を、把持部21(移動機構20)を用いて下降させつつ、ガイド部30a及びガイド部30b(上方移動機構34a及び上方移動機構34b)を用いてコイル200の内側への挿通を案内することによって、巻鉄心100のコイル200への組み込み作業の自動化を実現できる。
【0079】
かつ、本実施形態に係る変圧器組立装置1は、斯かる自動化に、ガイド部30a及びガイド部30bを用いるので、装置の構成を簡略化できるうえに、装置の動作を単純化できる。
【0080】
また、本実施形態に係る変圧器組立装置1は、上述の如く、ガイド部30a及びガイド部30bが上下方向に延びる長方形板形状であるので、コイル200の貫通孔201内においてガイド部30a及びガイド部30bによって占められる空間が小さく、巻鉄心100の全ての鉄心ブロック110に対して、即ち、巻鉄心100の最も外側の鉄心ブロック110に対しても、図7A図9Iの工程を容易に実行できる。
【0081】
また、本実施形態に係る変圧器組立装置1は、上述の如く、把持部21(鉄心ブロック110)の下降時に、円筒形状体111の両端部1121,1122の離隔状態を保持したまま、ガイド部30a及びガイド部30bも下降するので、鉄心ブロック110のコイル200の貫通孔201への挿通が容易になる。
【0082】
また、本実施形態に係る変圧器組立装置1は、上述の如く、鉄心ブロック110のコイル200の貫通孔201への挿通が完了すると、制御部40が、先に、内側端部1121を保持していたガイド部30aを内側端部1121から離隔させ、その後、外側端部1121を保持していたガイド部30bを外側端部1122から離隔させる。これによって、簡単に、鉄心ブロック110の両端部1121,1122を、巻鉄心100から分離される前と同じ重畳状態に戻すことが出来る。
【0083】
また、本実施形態に係る変圧器組立装置1は、鉄心ブロック110の両端部1121,1122をガイド部30a,30bに引掛ける際、上述の如く、鉄心ブロック110の内側に位置された2つの上方ローラ部材50が相互離隔する方向に移動され、鉄心ブロック110の両端部1121,1122が相互離隔されて重畳部112が開放される。これによって、鉄心ブロック110の両端部1121,1122をガイド部30a,30bに引掛ける工程が迅速、かつ容易に実行できる。
【0084】
以上においては、制御部40がハンドル31a及びハンドル31bを回転させることによって保持部33a及び保持部33bが案内レール32に沿って左右に移動することを例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、作業者がハンドル31aを適宜操作することによって、保持部33aを案内レール32に沿って左右に移動させ、作業者がハンドル31bを適宜操作することによって、保持部33bを案内レール32に沿って左右に移動させるようにしても良い。
【0085】
以上においては、ガイド部30a及びガイド部30bが上下方向に延びる長方形板形状である場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものでなく、例えば、棒形状であっても良い。
また、ガイド部30a,30bの先端部に、鉄心ブロック110の両端部1121,1122の位置決めのための凹部を設けても良い。
【0086】
また、以上においては、上方ローラ部材50を用いて鉄心ブロック110の両端部1121,1122を相互離隔させ、重畳部112を開放し、また、下方ローラ部材60を用いて鉄心ブロック110の両端部1121,1122をコイル200の下端面に押し曲げる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上方ローラ部材50及び下方ローラ部材60に代わって作業者が手動にて斯かる作業を行っても良い。
【0087】
本実施形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせることにより、新しい技術的特徴を想到することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0088】
実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0089】
1:変圧器組立装置、20:移動機構、21:把持部(保持部材)、30:案内部材、30a:ガイド部、30b:ガイド部、40:制御部、50:上方ローラ部材、60:下方ローラ部材、100:巻鉄心(鉄心)、110:鉄心ブロック、111:円筒形状体、112:重畳部、200:コイル、300:変圧器、1121:内側端部、1122:外側端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9