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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015442
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】耳つぼ刺激具
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20250123BHJP
   A61H 39/04 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A61N1/36
A61H39/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101412
(22)【出願日】2024-06-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-22
(31)【優先権主張番号】P 2023108355
(32)【優先日】2023-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024034201
(32)【優先日】2024-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516145851
【氏名又は名称】岩上 明治
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】岩上 明治
(72)【発明者】
【氏名】飯田 晴彦
【テーマコード(参考)】
4C053
4C101
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053JJ14
4C053JJ15
4C053JJ22
4C101BA01
4C101BA07
4C101BB14
4C101BC01
4C101BD09
4C101BD13
4C101BD16
(57)【要約】
【課題】従来の耳つぼ押圧器具は効率的な両耳のつぼの刺激を生起することができなかった。
【解決手段】首に装着した二股支持具の両端部に先端先鋭状の耳介指圧突起を設けると共に、耳介指圧突起には所定の刺激電流を通電可能に構成し、しかも、耳指圧突起を支持する二股支持具は中央に向かって狭窄付勢調整可能に構成したことにより課題を解決した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の刺激電流を通電可能な、耳つぼ押圧用の先端先鋭状の耳介指圧突起と、
頭部又は首部に装着して前記耳介指圧突起を支持すると共に、該耳介指圧突起を耳介のつぼ位置に当接して一定圧で押圧する装着フレームとを備える
ことを特徴とする耳つぼ刺激具。
【請求項2】
前記装着フレームは、
首部又は頭部に装着する二股支持具又は円弧状支持具であって、
いずれの支持具も、両端部に、前記耳介指圧突起を設けると共に、
前記両端部の間隔と押圧力は調整自在とし、かつ、前記両端部間の中央に向かって狭窄付勢可能に構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の耳つぼ刺激具。
【請求項3】
前記装着フレームは、
一定の狭窄状態を保持するための保持部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の耳つぼ刺激具。
【請求項4】
前記装着フレームは、
頭部に装着するアーチ状のヘッドバンドと、
該ヘッドバンドの両端部にあって前記耳介に覆設係止される、透明又はドーナツ状のハウジングと、
前記ヘッドバンドより延出される左右の支持アームとを有するヘッドフォンタイプ支持具であって、
前記支持アームの先端部に、前記耳介指圧突起を設けてハウジング内に挿入すると共に、前記両先端部の間隔と押圧力は調整自在とする
ことを特徴とする請求項1に記載の耳つぼ刺激具。
【請求項5】
前記耳介指圧突起は、
対応する左右のつぼ位置を通る直線上にあって対向配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の耳つぼ刺激具。
【請求項6】
前記装着フレームは、
耳介に裏側から係合して装着する係合フック部であって、
該係合フック部の端部に前記耳介指圧突起を設けると共に、
前記係合フック部の弾性力や復元力によって耳介指圧突起をつぼ位置に押圧する
ことを特徴とする請求項1に記載の耳つぼ刺激具。
【請求項7】
前記耳介指圧突起は
導電性を有する基板、該基板に電気接続されると共に加圧変形によって電圧を発生する圧電材、及び前記基板に電気接続される電極を有し、前記耳介指圧突起のつぼ位置への押圧によって圧電材が変形して起電する圧電体と、
前記基板と電極の一方に電気接続される、前記耳介指圧突起先端の突起部と、
前記基板と電極の他方に、前記突起部とは電気絶縁された状態で電気接続されると共に、つぼ位置への押圧時に耳介と接触する、耳介指圧突起の接触部と
を有する圧電回路を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の耳つぼ刺激具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首部又は頭部に装着して両耳の耳介(耳殻)内のつぼ(以下、「耳つぼ」とする)を刺激できるように構成した耳つぼ刺激具に関する。
詳しくは、耳つぼ押圧用の先端先鋭状の刺激突起を一部に有した装着フレームを頭部又は首部に装着し、この刺激突起をつぼ位置に確実に当接した上で、一定の押圧力で圧着しつつ通電することにより、手間暇や身体への負担をかけることなく、充分な位置精度と大きさの押圧刺激による体調・体質などの改善効果や、安定した電気刺激を確保できるようにして、持続的に押圧刺激と電気刺激を付与する、簡便でユニット化された耳つぼ刺激具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外耳の一部である耳介の内側面には各種の多数のつぼが散在していることは周知であり、この耳つぼの刺激は、簡便なつぼ治療の典型的な施術手段として知られている。
【0003】
この施術手段の態様としては、耳つぼ押圧用の針を刺す方法(例えば、特許文献1参照)や、粒状のツボ刺激片を耳介に貼る方法(例えば、特許文献2参照)や、伝導性粘着パッドを耳介に貼り電流を流す方法(例えば、特許文献3参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-477号公報
【特許文献2】実用新案登録第3120962号公報
【特許文献3】特開平9―28812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように「耳つぼに針を刺す」構成では、施術者は医師や鍼師など特定の有資格者に限定されるため、長期間施術を続けるには通院するなどが必要であり、手間暇がかかると共に、耳つぼに針を突き刺すため、痛みを伴ったり内出血したりする場合もあり、身体への負担が避けられない、という問題があった。
【0006】
更に、特許文献2のように「ツボ刺激片を耳介に貼る」構成では、ツボ刺激片を貼付するにはある程度の大きさの面積が必要となるため、耳つぼをピンポイントで刺激できず、しかも、貼付しただけでは耳つぼへの押圧力が小さいことから、押圧刺激による体調・体質などの改善効果が得にくい、という問題があった。
【0007】
加えて、特許文献3のように「耳つぼに電流を流す」構成でも、電極を皮膚に貼付するのにはある程度の大きさの面積が必要となるため、耳つぼにピンポイントで電流を流すことができず、皮膚との接触面積や面圧が変化しやすくなって電流が変動しやすいことから、安定した電気刺激が確保しにくい、という問題があった。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、耳つぼ押圧用の先端先鋭状の刺激突起を一部に有した装着フレームを頭部又は首部に装着し、この刺激突起をつぼ位置に確実に当接した上で、一定の押圧力で圧着しつつ通電することにより、手間暇や身体への負担をかけることなく、充分な位置精度と大きさの押圧刺激による体調・体質などの改善効果や、安定した電気刺激を確保できるようにして、持続的に押圧刺激と電気刺激を付与する、簡便でユニット化された耳つぼ刺激具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、所定の刺激電流を通電可能な、耳つぼ押圧用の先端先鋭状の耳介指圧突起と、頭部又は首部に装着して前記耳介指圧突起を支持すると共に、該耳介指圧突起を耳介のつぼ位置に当接して一定圧で押圧する装着フレームとを備える耳つぼ刺激具である。
【0010】
そして、このような耳介指圧突起と装着フレームとを備えることによって、耳つぼをピンポイントで押圧刺激することができ、これにより、手間暇や身体への負担をかけることなく、充分な位置精度と大きさの押圧刺激による体調・体質などの高い改善効果が得られる。
【0011】
更に、耳介指圧突起が所定の刺激電流を通電可能であることによって、耳介指圧突起を介して、押圧刺激と同時に刺激電流による電気刺激も耳つぼに付与することができ、これにより、簡単な構造にもかかわらず効率的な耳つぼ施術を行うことができる。
【0012】
しかも、耳つぼにピンポイントで電流を流すことができ、これにより、安定した電気刺激を確保することができる。
【0013】
また、本発明は、前記装着フレームが、首部又は頭部に装着する二股支持具又は円弧状支持具であって、いずれの支持具も、両端部に、前記耳介指圧突起を設けると共に、前記両端部の間隔と押圧力は調整自在とし、かつ、前記両端部間の中央に向かって狭窄付勢可能に構成したものである。
【0014】
この場合、両端部の間隔と押圧力を調整することで、二股支持具又は円弧状支持具を介して、耳介に散在する多数の耳つぼに、適切な大きさと向きを有する押圧力によって耳介指圧突起を当接させることができる。そして、両端部間の中央に向かって狭窄付勢することで、左右の耳つぼにかかる押圧力を均等化させることができる。これにより、左右の耳つぼに対し、左右一定で安定した押圧刺激を付与することができる。
【0015】
また、本発明は、前記装着フレームが、一定の狭窄状態を保持するための保持部を有するものである。
【0016】
この場合、二股支持具の開き具合を適正に調整してから固定できるため、過度な狭窄付勢による痛みを軽減しつつ耳介指圧突起の耳介への固定を確実に行うことができ、これにより、押圧刺激時の身体への負担を更に軽減することができる。
【0017】
また、本発明は、前記装着フレームが、頭部に装着するアーチ状のヘッドバンドと、該ヘッドバンドの両端にあって前記耳介に覆設係止される、透明又はドーナツ状のハウジングと、前記ヘッドバンドより延出される左右の支持アームとを有するヘッドフォンタイプ支持具であって、前記支持アームの先端部に、前記耳介指圧突起を設けてハウジング内に挿入すると共に、前記両先端部の間隔と押圧力は調整自在とするものある。
【0018】
この場合、ハウジングの穴部や、ハウジングの透明部分を通して、ハウジング内の耳介指圧突起を視認し、つぼ位置を確認しながら耳介指圧突起の当接位置を調整することができる。そして、耳介指圧突起を先端部に設けた支持アームの基部を、装着安定性の高いヘッドバンドに固定することで、耳介への耳介指圧突起の固定も確実に行うことができる。これにより、安定した押圧刺激を付与することができる。
【0019】
更に、両先端部の間隔と押圧力を調整することで、ヘッドフォンタイプ支持具を介して、耳介に散在する多数の耳つぼに、適切な大きさと向きを有する押圧力によって耳介指圧突起を当接させることができる。
【0020】
また、本発明は、前記耳介指圧突起が、対応する左右のつぼ位置を通る直線上にあって対向配置されるものである。
【0021】
この場合、左右の耳介指圧突起からの押圧力は、その向きが逆向きで同一直線上にあるため、モーメントが発生することなく、耳つぼに対して無駄なく押圧力を作用させることができ、更に充分な大きさの押圧刺激を付与することができる。
【0022】
また、本発明は、前記装着フレームが、耳介に裏側から係合して装着する係合フック部であって、該係合フック部の端部に前記耳介指圧突起を設けると共に、前記係合フック部の弾性力や復元力によって耳介指圧突起をつぼ位置に押圧するものである。
【0023】
この場合、耳介の突部構造を利用して装着することで、二又支持具や円弧状支持具を要することなく、耳つぼ刺激具の全体構造を簡略化することができ、これにより、部品コストの低減を図ると共に、軽量化・小型化して携帯に簡便としている。
【0024】
また、本発明は、前記耳介指圧突起が、導電性を有する基板、該基板に電気接続されると共に加圧変形によって電圧を発生する圧電材、及び前記基板に電気接続される電極を有し、前記耳介指圧突起のつぼ位置への押圧によって圧電材が変形して起電する圧電体と、前記基板と電極の一方が電気接続される、耳介指圧突起先端の突起部と、前記基板と電極の他方に、前記突起部とは電気絶縁された状態で電気接続されると共に、つぼ位置への押圧時に耳介と接触する、耳介指圧突起の接触部とを有する圧電回路を備えるものである。
【0025】
この場合、刺激電流の起電装置を、別体として準備する必要がなく、耳つぼ刺激具に内蔵して更なるユニット化を進めることができ、これにより、耳つぼ施術方法の一層の簡便化を図ることができる。
【0026】
更に、押圧刺激と同時に自動的に起電流が発生して、電気刺激も耳つぼに付与することができ、これにより、無電源で簡単な構造にもかかわらず、複数種の刺激による効果的な耳つぼ施術が可能となる。
【0027】
加えて、圧電体を耳介に単に貼着するだけの場合に比べ、耳つぼ施術中は圧電材が確実に強く加圧変形されるため、充分な大きさの起電流が発生して刺激電流を途切れなく流すことができ、これにより、被施術者の耳介に対し、施術中は常に安定した電気刺激を付与することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、首部又は頭部に装着して両耳の耳つぼを刺激できるように構成した耳つぼ刺激具において、耳つぼ押圧用の先端先鋭状の刺激突起を一部に有した装着フレームを頭部又は首部に装着し、この刺激突起をつぼ位置に確実に当接した上で、一定の押圧力で圧着しつつ通電することにより、手間暇や身体への負担をかけることなく、充分な位置精度と大きさの押圧刺激による体調・体質などの改善効果や、安定した電気刺激を確保できるようにして、持続的に押圧刺激と電気刺激を付与する、簡便でユニット化された耳つぼ刺激具を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の耳つぼ刺激具(二股支持具)の全体構成を示す説明図である。
図2】他の実施例に係る耳つぼ刺激具(保持部付き二股支持具)を示す説明図である。
図3】他の実施例に係る耳つぼ刺激具(円弧状支持具)の全体構成を示す説明図である。
図4】他の実施例に係る耳つぼ刺激具(係合フック部タイプ)の全体構成を示す説明図である。
図5】他の実施例に係る耳つぼ刺激具(ヘッドフォンタイプ)の全体構成を示す説明図であって、図5(a)はハウジングがドーナツ状の場合の全体構成を示す正面図、図5(b)はハウジングが透明の場合の部分構成を示すハウジングの側面一部断面図である。
図6】別形態の耳介指圧突起の電気刺激構成を示す説明図であって、図6(a)は圧電回路の概略図、図6(b)は押圧初期の耳介指圧突起の側面一部断面図、図6(c)は押圧後期の耳介指圧突起の側面一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る耳つぼ刺激具を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の耳つぼ刺激具(二股支持具)の全体説明図を示し、図2は、他の実施例に係る耳つぼ刺激具(保持部付き二股支持具)を示し、図3は、他の実施例に係る耳つぼ刺激具(円弧状支持具)の全体の構成を示し、図4は、他の実施例に係る耳つぼ刺激具(係合フックタイプ)の全体の構成を示し、図5は、他の実施例に係る耳つぼ刺激具(ヘッドフォンタイプ)の全体の構成を示し、図6は、別形態の耳介指圧突起の電気刺激構成を示す。
【0031】
まず、本発明に係わる耳つぼ刺激具Mの全体構成について、図1により説明する。
【0032】
図1に示すように、首部又は頭部に装着した二股支持具10の端部11の両方に、先端先鋭状の耳介指圧突起20を設けると共に、耳介指圧突起20には一定の周波数を有する所定の刺激電流を通電可能に構成し、しかも、耳介指圧突起20を支持する二股支持具10は両端部11・11の間隔と押圧力を調整自在とし、かつ、両端部11・11間の中央に向かって狭窄付勢可能に構成したことを特徴とする耳つぼ刺激具Mである。
【0033】
つまり、耳介指圧突起20を支持する装着基本構造が、前述の二股支持具10であり、被施術者50の首部に吊下可能或いは頭部を跨持して装着できるような構成としている。
【0034】
更に、その両端部11・11には、先端先鋭状の耳介指圧突起20を設けており、この突起は、例えば低周波発生器40に導通されるようにして、耳介51で耳介指圧突起20を当接した位置にあるつぼに、特定周波数の低周波パルス電流を刺激電流として流し、耳つぼを電気的に刺激可能に構成している。
【0035】
加えて、二股支持具10は、金属製、樹脂製などの弾性部材や形状記憶合金を素材としており、その弾性力や復元力によって、両端部11・11間の中央に向かって狭窄付勢され、それによる狭窄付勢力が押圧力として作用する。なお、本明細書の弾性部材としては、コイルばね、板ばねのようなばね構造のものであってもよく、必要な弾性力を発生可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0036】
この狭窄付勢力は、二股支持具10の中央部に設けた二股狭窄付勢調整機構30を介して調整可能としている。この二股狭窄付勢調整機構30は、例えば、支軸30aを中心に二股支持具10を開閉してから所定の中心角30bで保持できるように構成されており、この中心角30bを変更することで二股支持具10の開き具合を変え、両端部11・11の間隔が調整される。それに付随して前述の狭窄付勢力も調整されるため、両端部11に設けた先端先鋭状の耳介指圧突起20の耳介51への押圧力の調整が可能となる。
【0037】
なお、互いに逆向きの左右の耳介指圧突起20・20は、対応する左右のつぼ位置を通る共通の押圧線13上に対向配置されている。これにより、対向する両押圧力の押圧線が異なる直線上にあってモーメントが発生するのを防ぎ、つぼ位置に作用する実押圧力の低下を抑制することができる。
【0038】
以上のような構成により、施術に際しては、二股支持具10を首部に吊り下げ装着し、或いは、頭部に跨持装着して耳介指圧突起20先端を耳介51のつぼ位置に当接する。この際、二股支持具10を両端部間の中央に向かって付勢する狭窄付勢力を、二股狭窄付勢調整機構30などによって調整可能に構成しているため、この狭窄付勢力の調整により、耳つぼへの押圧刺激を調整することができる。更に、このような一定の強さの押圧刺激に加え、一定の周波数を有する低周波パルス電流などの刺激電流による耳介51のつぼ位置への電気刺激により、効率的な、多数の耳介51のつぼ刺激の施術が可能となる。
【0039】
なお、前述の刺激電流による耳介51への電気的なつぼ刺激としては、低周波パルス電流だけでなく、中周波パルス電流、高周波パルス電流などによる電気刺激も使用することができ、耳つぼに適切な電気刺激を付与できるものであれば良く、特に限定されるものではない。
【0040】
また、前述の耳介指圧突起20は、金属製、伝導性を有した樹脂製とすることが考えられる。ただし、金属製とした場合には、ピンポイントで耳介51のつぼを刺激するため、被施術者50によっては痛みが強く感じられる虞がある。更に、金属の種類によっては、被施術者50が金属アレルギーを起こしてしまう虞がある。そのため、耳介指圧突起20は、金属アレルギーを起こさないようチタン製とすることが考えられる。
【0041】
更に、耳介指圧突起20の先端部を、樹脂製の部材に差し替えたり、図2に示すように、金属製の耳介指圧突起20を樹脂製のカバー体21で上から覆ったりできるように構成することも考えられる。
【0042】
すなわち、所定の刺激電流を通電可能な、耳つぼ押圧用の先端先鋭状の耳介指圧突起20と、頭部又は首部に装着して耳介指圧突起20を支持すると共に、耳介指圧突起20を耳介51のつぼ位置に当接して一定圧で押圧する装着フレームである二股支持具10とを備える耳つぼ刺激具Mであるので、このような耳介指圧突起20と二股支持具10とを備えることによって、耳つぼをピンポイントで押圧刺激することができ、これにより、手間暇や身体への負担をかけることなく、充分な位置精度と大きさの押圧刺激による体調・体質などの高い改善効果が得られる。
【0043】
更に、耳介指圧突起20が所定の刺激電流を通電可能であることによって、耳介指圧突起20を介して、押圧刺激と同時に刺激電流による電気刺激も耳つぼに付与することができ、これにより、簡単な構造にもかかわらず効率的な耳つぼ施術を行うことができる。
【0044】
しかも、耳つぼにピンポイントで電流を流すことができ、これにより、安定した電気刺激を確保することができる。
【0045】
また、このように、装着フレームが、首部又は頭部に装着する二股支持具10であって、両端部11・11に、耳介指圧突起20を設けると共に、両端部11・11の間隔と押圧力は調整自在とし、かつ、両端部11・11間の中央に向かって狭窄付勢可能に構成したものである場合、両端部11・11の間隔と、押圧力である狭窄付勢力とを調整することで、二股支持具10を介して、耳介51に散在する多数の耳つぼに、適切な大きさと向きを有する押圧力によって耳介指圧突起20を当接させることができる。
【0046】
そして、両端部11・11間の中央に向かって狭窄付勢することで、左右の耳つぼにかかる押圧力を均等化させることができる。これにより、左右の耳つぼに対し、左右一定で安定した押圧刺激を付与することができる。
【0047】
また、耳介指圧突起20が、対応する左右のつぼ位置を通る直線である共通の押圧線13上にあって対向配置される場合、左右の耳介指圧突起20・20からの押圧力は、その向きが逆向きで共通の押圧線13上にあるため、モーメントが発生することなく、耳つぼに対して無駄なく押圧力を作用させることができ、更に充分な大きさの押圧刺激を付与することができる。なお、このような左右の耳介指圧突起20・20の位置関係は、後述する二股支持具10A、円弧状支持具14においても同様である。
【0048】
次に、以上のような二股支持具10の別形態について、図2により説明する。
【0049】
図2に示すように、本形態に係わる装着フレームである二股支持具10Aは、前述の二股支持具10の中途部に一定の狭窄状態を保持するための保持部60を備えたものであり、この二股支持具10Aと耳介指圧突起20とから耳つぼ刺激具M1が構成される。
【0050】
このうちの保持部60は、例えば、細板状の部材61からなり、一方の端部を二股支持具10Aのいずれか一方の中途部12に回動自在に固定される。そして、保持部60のもう一方の端部側は、二股支持具10Aのいずれか他方の中途部12に設けた支持具62に摺動自在に支持される。
【0051】
この支持具62には、細板状の部材61を固定する固定部を設け、二股支持具10Aの狭窄付勢に反するように固定して一定の狭窄状態を保持することができる構成とすることが考えられる。また、細板状の部材61には、二股支持具10Aの狭窄状態(二股支持具10Aの開き具合)を目視で確認できるように、目盛63を設けることも考えられる。
【0052】
このような構成とすることにより、過度な狭窄付勢による被施術者50への痛みを軽減しつつ、耳介指圧突起20の耳介51への固定を確実に行うことができる。
【0053】
すなわち、二股支持具10Aが、一定の狭窄状態を保持するための保持部60を有する場合、二股支持具10Aの開き具合を適切に調整してから固定できるため、過度な狭窄付勢による痛みを軽減しつつ耳介指圧突起20の耳介51への固定を確実に行うことができ、これにより、押圧刺激時の身体への負担を更に軽減することができる。
【0054】
次に、上述の二股支持具10・10Aとは異なる装着フレームを有する耳つぼ刺激具M2について、図3により説明する。
【0055】
図3に示すように、この耳つぼ刺激具M2は、首部又は頭部に装着した円弧状の支持具14の両端部11に、先端先鋭状の耳介指圧突起20を設けると共に、耳介指圧突起20には一定の周波数を有する所定の刺激電流を通電可能に構成し、しかも、耳介指圧突起20を支持する円弧状の支持具14は両端部11・11の間隔と押圧力を調整自在とし、かつ、両端部11・11間の中央に向かって狭窄付勢可能に構成したことを特徴としている。
【0056】
つまり、耳介指圧突起20を支持する装着基本構造が、円弧状の支持具(以下、「円弧状支持具」とする)14であり、被施術者50の首部に吊下可能或いは頭部を跨持して装着できるような構成としている。
【0057】
更に、前述の両端部11・11の間隔と、押圧力である狭窄付勢力との調整が可能に構成されている。そして、二股支持具10・10Aと同様、その両端部11・11には先端先鋭状の耳介指圧突起20を設けており、この突起は、例えば低周波発生器40に導通されるようにして、耳介51で耳介指圧突起20を当接した位置にあるつぼに、特定周波数の低周波パルス電流を刺激電流として流し、耳つぼを電気的に刺激可能に構成している。もちろん、前述した保持部60のような調整具を備えてもよく、過度な狭窄付勢による被施術者50への痛みを軽減しつつ、耳介指圧突起20の耳介51への固定を、一層確実に行うことができる。
【0058】
加えて、円弧状支持具14は、金属製、樹脂製などの弾性部材や形状記憶合金などを素材としており、耳介指圧突起20を被施術者50の耳介51へ当接させた際に元の円弧形状へ戻ろうとする弾性力や復元力が、狭窄付勢力として機能し、耳介指圧突起20から耳介51に対して押圧力が作用する。
【0059】
そして、この円弧状支持具14では、前述の二股支持具10・10Aのような二股狭窄付勢調整機構30を省略することができる。このため、耳つぼ刺激具M2の全体構造を簡略化することができ、部品コストの低減を図ると共に、軽量化・小型化を図ることができる。
【0060】
次に、装着フレームが上述した支持具10、10A、14とは異なる耳つぼ刺激具M3について、図4により説明する。
【0061】
図4に示すように、この耳つぼ刺激具M3は、狭窄付勢した支持具10、10A、14を介して耳介指圧突起20を耳介51に当接圧迫するのではなく、耳介51の突部構造を利用して、耳介51に裏側から係合して支持する係合フック部70を装着フレームとして有するものである。
【0062】
この係合フック部70は、全体を略C字型に形成すると共に、金属製、樹脂製などの弾性部材や形状記憶合金を素材としており、耳介51に係合した際に、弾性力や復元力によって、常時耳介指圧突起20が耳介51内に挿入されて押圧刺激を付与可能に構成している。
【0063】
かかる係合フック部70の構造とすることにより、耳つぼ刺激具M3の全体構造を簡略化して、かつ、携帯に簡便にしている。
【0064】
すなわち、装着フレームが、耳介51に裏側から係合して装着する係合フック部70であって、この係合フック部70の端部に耳介指圧突起20を設けると共に、係合フック部70の弾性力や復元力によって耳介指圧突起20をつぼ位置に押圧する場合、耳介51の突部構造を利用して装着することで、二股支持具10、10Aや円弧状支持具14を要することなく、耳つぼ刺激具M3の全体構造を簡略化することができ、これにより、部品コストの低減を図ると共に、軽量化・小型化して携帯に簡便としている。
【0065】
次に、装着フレームが装着安定性に優れた耳つぼ刺激具M4、M5について、図5により説明する。
【0066】
図5(a)に示すように、このうちの耳つぼ刺激具M4では、アーチ状のヘッドバンド69を頭部に跨持して装着すると同時に、このヘッドバンド69の両端部75・75のハウジング71・71を、左右の耳介51・51に被せて係止することにより、3点支持によってヘッドバンド69を頭部に安定して装着することができる。
【0067】
このように装着安定性の高いヘッドバンド69からは、装着フレームとして左右に支持アーム73・73が延出され、その先端部76・76に前述の耳介指圧突起20・20が設けられている。
【0068】
一方、前述のハウジング71・71は、ドーナツ状であって左右に貫通する穴部71a・71aが形成されており、前述の耳介指圧突起20・20を、この穴部71a・71aに差し込み、耳介51のつぼ位置に当接することができる。
【0069】
この際、穴部71a・71aを通して、ハウジング71・71内の耳介指圧突起20・20を視認することができ、つぼ位置の確認を容易に行うことができる。
【0070】
これらヘッドバンド69、ハウジング71・71、及び支持アーム73・73から、ヘッドフォンタイプ支持具74が形成される。
【0071】
更に、前述の支持具10、10A、14、係合フック部70と同様、耳介指圧突起20には一定の周波数を有する所定の刺激電流を通電可能に構成し、しかも、耳介指圧突起20を支持する支持アーム73・73は、両先端部76・76の間隔と押圧力を調整自在としている。
【0072】
加えて、支持アーム73・73も、金属製、樹脂製などの弾性部材や形状記憶合金などを素材としており、その弾性力や復元力が押圧力として作用するようにしている。
【0073】
また、図5(b)に示すように、耳つぼ刺激具M5は、左右の耳介51・51に被せて係止するハウジングを、ドーナツ状のハウジング71・71から透明なハウジング72・72に変更したものである。
【0074】
そして、このハウジング72・72の側面視略中央には、先端部76・76に耳介指圧突起20が設けられた支持アーム73・73をハウジング72・72内に差し込むための挿通穴部72aが形成されている。
【0075】
これにより、耳介指圧突起20をこの挿通穴部72a・72aに差し込み、耳介51のつぼ位置に当接することができる。
【0076】
この際、ハウジング72・72では、挿通穴部72a・72aを通して、ハウジング72・72内の耳介指圧突起20・20を視認することができるだけでなく、ハウジング72の全体が透明であることから、ハウジング72・72内の耳介指圧突起20・20をほぼ全方位から視認することができ、つぼ位置の確認を更に容易に行うことができる。
【0077】
すなわち、装着フレームが、頭部に装着するアーチ状のヘッドバンド69と、ヘッドバンド69の両端部75・75にあって耳介51に覆設係止される、透明又はドーナツ状のハウジング71・72と、ヘッドバンド69より延出される左右の支持アーム73・73とを有するヘッドフォンタイプ支持具74であって、支持アーム73・73の先端部76・76に、耳介指圧突起20・20を設けてハウジング71・72内に挿入すると共に、両先端部76・76の間隔と押圧力は調整自在とする場合、ハウジング71・72の穴部71a・72aやハウジング72の透明部分を通して、ハウジング71・72内の耳介指圧突起20・20を視認し、つぼ位置を確認しながら耳介指圧突起20・20の当接位置を調整することができる。そして、耳介指圧突起20・20を先端部76・76に設けた支持アーム73・73の基部を、装着安定性の高いヘッドバンド69に固定することで、耳介51への耳介指圧突起20・20の固定も確実に行うことができる。これにより、安定した押圧刺激を付与することができる。
【0078】
更に、両先端部76・76の間隔と押圧力を調整することで、ヘッドフォンタイプ支持具74を介して、耳介に散在する多数の耳つぼに、適切な大きさと向きを有する押圧力によって耳介指圧突起20・20を当接させることができる。
【0079】
このようなヘッドフォンタイプ支持具74や、前述した係合フック部70における耳介指圧突起20は、それが耳介51のつぼ位置で当接する面(以下、「当接面」とする)に対し、押圧力の作用線の傾きが当接面の垂線から45度以内となるように配置することが好ましい。
【0080】
なぜなら、これら係合フック部70、ヘッドフォンタイプ支持具74の場合は、二股支持具10・10Aや円弧状支持具14のように耳介指圧突起20を共通の押圧線13上に配置する必要がないため、係合フック部70での係合位置の変更や塑性変形、あるいはヘッドフォンタイプ支持具74での支持アーム73・73の塑性変形などを行うことにより、耳介指圧突起20による押圧力の作用方向を自在に変更することができるからである。
【0081】
これにより、係合フック部70、ヘッドフォンタイプ支持具74の場合は、つぼ位置が耳介51の奥部、突部、縁部、裏面などに分布しており、耳介面に対して大きく傾いた当接面であっても、耳介指圧突起20によって適切な方向から押圧力を作用させることができる。
【0082】
そして、この際の押圧力の作用線の方向は、当接面の垂線からの傾きが45度以内であることが好ましく、これにより、当接面における耳介指圧突起20のスリップを防ぎ、つぼ位置に作用する実押圧力の低下を抑制することができる。加えて、押圧力の作用線の方向は、当接面に対して略垂直であることが更に好ましく、これにより、当接面における耳介指圧突起20のスリップをほぼ確実に防ぐことができる。
【0083】
また、これまで述べた耳つぼ刺激具M、M1~M5における低周波発生器40には、耳介指圧突起20から耳つぼに流す刺激電流の電流、電圧、抵抗、パルス特性などのパラメータ(以下、「各パラメータ」とする)を計測可能なテスター機能を設けてもよい。
【0084】
一般に、タンパク質を含む多くの生体組織は各組織毎に様々な圧電性を有するため、耳介51におけるつぼ位置や、そこに作用する押圧力の大きさや向きなどに応じて、つぼを流れる刺激電流も変化する。
【0085】
そこで、前述のテスター機能を使用して各パラメータの計測値を把握することにより、その計測値に基づいて、耳介指圧突起20による押圧力の大きさや向きを調整したり、低周波発生器40による各パラメータを調整したりして、所定の刺激電流を流すことができる。
【0086】
このように、低周波発生器40にテスター機能を設けることで、計測した各パラメータに基づいて、耳介指圧突起20による押圧力や低周波発生器40による各パラメータを適正化することができ、一層安定した所定の電気刺激を確保することができる。
【0087】
更に、低周波発生器40には、各パラメータが所定の閾値を超えると自動的に警報が鳴ったりランプが点滅したりする報知機能を設けてもよい。この場合は、表示パネルで各パラメータの値を視認する必要がなく、施術中は、その報知内容に基づいて、押圧力や各パラメータを迅速に調整することができる。なお、このうちの各パラメータについては、次に述べる耳介指圧突起20Aの圧電回路80を利用したような加圧センサーを設け、この加圧センサーからの起電流に基づいて、自動的に調整されるようにしてもよい。
【0088】
次に、上述した耳介指圧突起20の別形態について、図6により説明する。
【0089】
図6(a)に示すように、本形態に係わる耳介指圧突起20Aは、前述の耳介指圧突起20に圧電回路80を備えたものであり、耳介指圧突起20Aが耳介51のつぼ位置を押圧する際に受ける反力によって、圧電回路80が作動し、耳つぼに電流が流れる構成となっている。
【0090】
この圧電回路80は、イオン結晶が外力による応力に対応して誘電分極を生ずる現象、いわゆるピエゾ効果によって起電する圧電体84と、耳介指圧突起20Aの先端にある突起部85と、耳介指圧突起20Aにおいてつぼ位置の押圧時に耳介51と接触する部分である接触部86とを有し、これらが、互いに通電路87・88などで電気接続されることによって構成される。
【0091】
このうちの圧電体84は、基板81、圧電材82、及び電極83が順に積層されて形成される。そして、基板81は、耳介指圧突起20Aのつぼ位置への押圧に追従して撓む、導電性を有する平板形状であって、金属製の場合は、黄銅、アルミニウム、銅、鉄―ニッケル合金などを素材として形成し、樹脂製の場合は、導電ゴム、薄いプラスチックに導電性のカーボンを成膜したものなどを素材として形成することができる。また、その厚みとしては、耳介指圧突起20Aのつぼ位置への押圧によって適切に撓んで弾性を示す厚みであれば良く、特に限定されるものではない。
【0092】
圧電材82は、圧電性のセラミックやフィルムなどを素材とし、圧電セラミック製の場合は、チタン酸ジルコン酸鉛チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウムなどを焼結して分極処理したものを素材とし、圧電フィルムとしては、フィルム状のポリフッ化ビニリデンなどを素材として形成することができる。いずれの物質も、前述の如く、圧力を加えることで物質内に誘電分極が生じる。また、その厚みについては、前述した基板81の変形に追従して適切に撓んで弾性を示す厚みであれば良く、特に限定されるものではない。
【0093】
電極83は、圧電材82の一側面を覆う、導電性を有する平板形状であって、金属製の場合は、銀、アルミニウムなどを素材として形成し、樹脂製の場合は、導電ゴム、導電プラスチック、薄いプラスチックにアルミ蒸着をしたものなどを素材として形成することができる。
【0094】
更に、圧電材82の他側面を覆う前述の基板81は、通電路87を介して前述の突起部85に電気接続される一方、同じ圧電材82の一側面を覆う前述の電極83は、通電路88を介して前述の接触部86に電気接続されている。
【0095】
以上のような圧電回路80を備える耳介指圧突起20Aを、前述した弾性力や復元力によって耳介51のつぼ位置に押圧すると、突起部85と接触部86が耳介51に接触して両部間が電気接続されるため、圧電回路80が閉回路となり、ピエゾ効果によって圧電材82に発生した起電流が圧電回路80内を流れるようになる。
【0096】
すると、耳つぼに対し、突起部85からの押圧力によって押圧刺激が付与されることに加え、突起部85と接触部86から流れ込む起電流が、耳つぼに刺激電流として通電され、充分な電気刺激も付与される。
【0097】
また、耳介指圧突起20Aの具体的な構成としては、例えば、図6(b)に示すように、金属製で略円錐状の外殻89の頂部中心に、軸線92上を貫通する出入孔89aが形成され、この出入孔89aには、略円錐状のガイド部材91の先部が挿嵌固定されている。
【0098】
そして、このガイド部材91は、樹脂製などの絶縁材を素材とし、その中心には、軸線92上を貫通するガイド孔91aが形成され、このガイド孔91aは、円錐状の突起部85が軸線92の前後方向に出入りできるように、円錐状に形成されている。
【0099】
更に、ガイド部材91の基部近傍に、前述した圧電体84が配置されている。この圧電体84の基板81の外側面が、突起部85の底面85aに電気接続される一方、圧電体84の電極83の外側面は、耳介指圧突起20Aの外殻89内で軸線92方向に略垂直に設けられた導電性の板ばね90に電気的に接続されている。
【0100】
そして、この板ばね90は、外殻89の先部に形成された接触部86に、金属製の外殻89を含む通電路88を介して電気接続されている。
【0101】
以上のような構成において、前述の端部11や先端部76に設けられた耳介指圧突起20Aを、耳介51のつぼ位置に押圧すると、押圧初期は、図6(b)に示すように、突起部85は出入孔89aから大きく突出しているが、押圧が進むにつれて、突起部85は出入孔89a内に押し込まれ、ガイド部材91のガイド孔91a内を後退していくが、それに伴い、圧電体84全体が撓み圧電材82から起電流が発生する。
【0102】
更に、押圧が進んで押圧後期になると、図6(c)に示すように、突起部85が出入孔89a内にほとんど押し込まれ、それに伴って、外殻89の先部、つまり出入孔89aの外周部分に相当する接触部86が耳介51に当接して電気接続される。
【0103】
これにより、既に耳介51に接触して電気接続されている突起部85とあわせて、前述の圧電回路80が形成され、圧電材82からの起電流が、突起部85と接触部86から耳つぼに流れ込み、この耳つぼに対して電気刺激が付与される。
【0104】
すなわち、耳介指圧突起20Aが、導電性を有する基板81、基板81に電気接続されると共に加圧変形によって電圧を発生する圧電材82、及び基板81に電気接続される電極83を有し、耳介指圧突起20Aのつぼ位置への押圧によって圧電材82が変形して起電する圧電体84と、基板81と電極83の一方が電気接続される耳介指圧突起20A先端の突起部85と、基板81と電極83の他方に、突起部85とは電気絶縁された状態で電気接続されると共に、つぼ位置への押圧時に耳介51と接触する、耳介指圧突起20Aの接触部86とを有する圧電回路80を備える場合、刺激電流の起電装置である低周波発生器40を、別体として準備する必要がなく、耳つぼ刺激具Mに内蔵して更なるユニット化を進めることができ、これにより、耳つぼ施術方法の一層の簡便化を図ることができる。
【0105】
更に、押圧刺激と同時に自動的に起電流が発生して、電気刺激も耳つぼに付与することができ、これにより、無電源で簡単な構造にもかかわらず、複数種の刺激による効果的な耳つぼ施術が可能となる。
【0106】
加えて、圧電体84を耳介に単に貼着するだけの場合に比べ、耳つぼ施術中は圧電材84が確実に強く加圧変形されるため、充分な大きさの起電流が発生して刺激電流を途切れなく流すことができ、これにより、被施術者50の耳介51に対し、施術中は常に安定した電気刺激を付与することができる。
【0107】
なお、低周波発生器40については、小型化した上で、支持本体である二股支持具10・10A、円弧状支持具14、係合フック部70、及びヘッドフォンタイプ支持具74などに組み込んで一体化させてもよい。
【0108】
この場合、低周波発生器40の電源のON/ОFFや電気刺激の強さの調整などを別途設けたスイッチによって行うと共に、これら低周波発生器40とスイッチとの間を、例えば、Bluetooth(登録商標)や赤外線を用いて無線接続することができる。
【0109】
このように、低周波発生器40を、支持本体である二股支持具10・10A、円弧状支持具14、係合フック部70、及びヘッドフォンタイプ支持具74と一体化すると共に、別途設けたスイッチにより操作可能にすることで、耳つぼ刺激具M、M1~M5全体の軽量化・小型化を図ることができ、これにより、耳つぼ刺激具M、M1~M5の持ち運びが一層容易になって、場所を問わずに施術を気軽に行うことができる。
【0110】
以上のように、本発明に係わる耳つぼ刺激具M、M1~M5は、耳つぼ押圧用の先端先鋭状の刺激突起を一部に有した装着フレームである二股支持具10・10A、円弧状支持具14、係合フック部70、ヘッドフォンタイプ支持具74を頭部又は首部に装着し、この刺激突起をつぼ位置に確実に当接した上で、一定の押圧力で圧着しつつ通電することにより、手間暇や身体への負担をかけることなく、充分な位置精度と大きさの押圧刺激による体調・体質などの改善効果や、安定した電気刺激を確保できるようにして、持続的に押圧刺激と電気刺激を付与する、簡便でユニット化されたものとなっている。
【0111】
なお、上述した実施例は本発明の一例であり、本発明は上述の実施例に限定されることはない。このため、上述した実施例以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、頭部でも耳介51以外の部分や、頚部、上肢、下肢、体幹などの頭部以外の身体部分への本発明の適用も可能である。また、上述した各種効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0112】
M・M1・M2・M3・M4・M5 耳つぼ刺激具
10・10A 二股支持具(装着フレーム)
11・75 端部
13 押圧線(直線)
14 円弧状支持具(装着フレーム)
20・20A 耳介指圧突起
51 耳介
60 保持部
69 ヘッドバンド
70 係合フック部(装着フレーム)
71・72 ハウジング
73 支持アーム
74 ヘッドフォンタイプ支持具(装着フレーム)
76 先端部
80 圧電回路
81 基板
82 圧電材
83 電極
84 圧電体
85 突起部
86 接触部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の刺激電流を通電可能な、耳つぼ押圧用の先端先鋭状の耳介指圧突起を備える耳つぼ刺激具において、
前記耳介指圧突起が、
円錐状の外殻と、該円錐状の外殻に挿入される円錐状の突起部と、基板と、圧電材と、電極と、を有するものであり、
前記突起部の底部に前記基板の一方の面が接続され、該基板の他方の面に前記圧電材の一方の面が接続され、該圧電材の他方の面に前記電極の一方の面が接続され、該電極に前記外殻の先端に形成された接触部が電気接続される
ことを特徴とする耳つぼ刺激具。
【請求項2】
前記耳つぼ刺激具は、
首部又は頭部に装着して前記耳介指圧突起を支持すると共に、該耳介指圧突起を耳介のつぼ位置に当接して一定圧で押圧する装着フレームを備え、
該装着フレームは、
二股支持具又は円弧状支持具であって、いずれの支持具も、両端部に、前記耳介指圧突起を設けると共に、前記両端部の間隔と押圧力は調整自在とし、かつ、前記両端部間の中央に向かって狭窄付勢可能に構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の耳つぼ刺激具。
【請求項3】
前記耳つぼ刺激具は、
頭部に装着して前記耳介指圧突起を支持すると共に、該耳介指圧突起を耳介のつぼ位置に当接して一定圧で押圧する装着フレームを備え、
該装着フレームは、
頭部に装着するアーチ状のヘッドバンドと、該ヘッドバンドの両端部にあって前記耳介に覆設係止される、透明又はドーナツ状のハウジングと、前記ヘッドバンドより延出される左右の支持アームとを有するヘッドフォンタイプ支持具であって、
前記支持アームの先端部に、前記耳介指圧突起を設けてハウジング内に挿入すると共に、前記両先端部の間隔と押圧力は調整自在とする
ことを特徴とする請求項1に記載の耳つぼ刺激具。
【請求項4】
前記耳つぼ刺激具は、
頭部に装着して前記耳介指圧突起を支持すると共に、該耳介指圧突起を耳介のつぼ位置に当接して一定圧で押圧する装着フレームを備え、
該装着フレームは、
耳介に裏側から係合して装着する係合フック部であって、該係合フック部の端部に前記耳介指圧突起を設けると共に、前記係合フック部の弾性力や復元力によって耳介指圧突起をつぼ位置に押圧する
ことを特徴とする請求項1に記載の耳つぼ刺激具。