(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154611
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20251002BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20251002BHJP
H03K 17/00 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
G05F1/56 310D
H03K17/687 H
H03K17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024057712
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 和希
【テーマコード(参考)】
5H430
5J055
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB12
5H430CC06
5H430EE05
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5J055AX10
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5J055FX31
5J055GX01
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5J055GX05
(57)【要約】
【課題】本開示は、容量性負荷を有する容量性負荷の静電容量によらずに容量性負荷を充電又は放電の少なくとも一方をする際における、電流発生部と容量性負荷との接続端子の電圧が安定する電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電源装置12は、容量性負荷14を充放電する充放電電流を発生させる電流発生部CGと、電流発生部CGと容量性負荷14との出力ノードNoutにおける電位の単位時間あたりの変化量を測定した結果を出力する測定部MPと、測定部MPの出力結果に基づいて充放電電流を制御する制御信号を電流発生部CGに送信する調整部APと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性負荷を充放電する充放電電流を発生させる電流発生部と、
前記電流発生部と容量性負荷との接続端子における電位の単位時間あたりの変化量を測定した結果を出力する測定部と、
前記測定部の出力結果に基づいて充放電電流を制御する制御信号を前記電流発生部に送信する調整部と、
を備えた、電源装置。
【請求項2】
前記電流発生部は、カレントミラー回路と、前記カレントミラー回路に定電流を供給するスイッチ素子と、を含み、
前記スイッチ素子は、前記制御信号に応じてスイッチングする、
請求項1に記載の、電源装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記単位時間あたりの時間変化量を、電位差として前記調整部に出力する、
請求項1に記載の、電源装置。
【請求項4】
前記測定部は、第一電位変化量測定ユニットと、第二電位変化量測定ユニットと、電位差出力ユニットとを有し、
前記第一電位変化量測定ユニットは、基準電位に対する前記接続端子の電位をクロック信号の半周期ごとに保持し、
前記第二電位変化量測定ユニットは、基準電位に対する前記接続端子の電位を前記第一電位変化量測定ユニットとは時期が異なるクロック信号の半周期ごとに保持し、
前記電位差出力ユニットは、前記第一電位変化量測定ユニットが保持した電位と前記第二電位変化量測定ユニットが保持した電位との差分を、前記変化量を測定した結果として出力する、
請求項3に記載の、電源装置。
【請求項5】
前記第一電位変化量測定ユニットは、第一ユニティゲインバッファをさらに有するとともに、前記第一ユニティゲインバッファを介して前記電位差出力ユニットと接続し、
前記第二電位変化量測定ユニットは、第二ユニティゲインバッファをさらに有するとともに、前記第二ユニティゲインバッファを介して前記電位差出力ユニットと接続する、
請求項4に記載の、電源装置。
【請求項6】
前記測定部は、測定用ユニティゲインバッファをさらに有するとともに、前記接続端子の電位を、前記測定用ユニティゲインバッファを介して測定する、
請求項1に記載の、電源装置。
【請求項7】
前記電流発生部は、容量性負荷に充電電流を流す充電部及び容量性負荷に放電電流を流させる放電部を有する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の、電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、充放電ラインにIGBT素子と電流検出抵抗との直列回路を挿入接続し、電流検出抵抗の一端と他端にトランジスタのベースとエミッタをそれぞれ接続し、このトランジスタのコレクタをIGBT素子のゲートに接続して構成される電流制限器が開示されている。電流制限器は、IGBT素子のゲートに駆動信号が与えられている状態で、電流検出抵抗の両端間電圧が増加すると、IGBT素子のゲート電圧レベルを下げ、IGBT素子のコレクタからエミッタを流れる電流を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、容量性負荷を有する容量性負荷の静電容量によらずに容量性負荷を充電又は放電の少なくとも一方をする際における、電流発生部と容量性負荷との接続端子の電圧が安定する電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の電源装置は、容量性負荷を充放電する充放電電流を発生させる電流発生部と、前記電流発生部と容量性負荷との接続端子における電位の単位時間あたりの変化量を測定した結果を出力する測定部と、前記測定部の出力結果に基づいて充放電電流を制御する制御信号を前記電流発生部に送信する調整部と、を備える。
【0006】
この電源装置は、測定部の出力結果に基づいて、調整部は、電流発生部と容量性負荷との接続端子の電位の変化量を制御する制御信号を電流発生部に送信する。このため、この態様に係る電源装置によれば、容量性負荷の静電容量によらずに、容量性負荷を充電又は放電の少なくとも一方をする際における、電流発生部と容量性負荷との接続端子の電圧が安定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、容量性負荷の静電容量によらずに容量性負荷を充電又は放電の少なくとも一方をする際における、電流発生部と容量性負荷との接続端子の電圧が安定する電源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係る電源装置を有する駆動回路を説明する図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る電源装置における電流発生部の構成を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る電源装置における測定部の構成を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る電源装置における調整部の構成を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る電源装置により容量性負荷を充電する様子を示す第1の例であり、測定部及び調整部におけるコンデンサ及びノードの電位を示すタイムチャートである。
【
図6】
図5に続けて本開示の実施形態に係る電源装置により容量性負荷を充電する様子を示す第1の例であり、測定部及び調整部におけるコンデンサ及びノードの電位を示すタイムチャートである。
【
図7】本開示の実施形態に係る電源装置により容量性負荷を充電する様子を示す第2の例であり、測定部及び調整部におけるコンデンサ及びノードの電位を示すタイムチャートである。
【
図8】
図7に続けて本開示の実施形態に係る電源装置により容量性負荷を充電する様子を示す第2の例であり、測定部及び調整部におけるコンデンサ及びノードの電位を示す
【
図9】本開示の実施形態に係る電源装置により容量性負荷を充電する様子を示す第3の例であり、測定部及び調整部におけるコンデンサ及びノードの電位を示すタイムチャートである。
【
図10】
図9に続けて本開示の実施形態に係る電源装置により容量性負荷を充電する様子を示す第3の例であり、測定部及び調整部におけるコンデンサ及びノードの電位を示すタイムチャートである。
【
図11】本開示の第一変形例に係る電源装置における測定部の構成を示す図である。
【
図12】本開示の第二変形例に係る電源装置における調整部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0010】
なお、以後の説明のうち、「真の値」とは、2値データのうち高レベル側の値を指し、「偽の値」とは、2値データのうち低レベル側の値を指す。例えば「真の値を出力する」と記載した場合、いずれかの構成が出力し得る2値データのうち、高レベル側の値を出力することを指し、「偽の値を出力する」と記載した場合、低レベル側の値を出力することを指す。また、「真の値」及び「偽の値」については、具体的な値を限定されず、例えば「偽の値」とは、電位の上昇を伴わない場合や負の値となる場合、すなわち、出力値が0以下となることを含む。
【0011】
なお、以後の説明に記載する各素子においては、特に言及しない限り、複数個設けられる同種の構成については、同様の仕様(例えば、抵抗値、静電容量、インダクタンスが同等)とされている。
【0012】
[実施形態]
(構成)
図1は、本実施形態に係る駆動回路10を示すブロック図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る駆動回路10は、電源装置12が容量性負荷14と接続されている。また電源装置12は、
図1に示されるように、電流発生部CGと、測定部MPと、調整部APと、を備える。
【0013】
電流発生部CGは、具体的な構成については後述するが、直流電源から電流の供給を受け、容量性負荷14を充電する充電電流、又は容量性負荷14を放電させる放電電流を発生させる構成部である。測定部MPは、具体的な構成については後述するが、電流発生部CGの出力端子と容量性負荷14との間のノードである出力ノードNoutに接続されており、出力ノードNoutの電位を測定する構成部である。調整部APは、測定部MPから伝えられた出力ノードNoutの電位の変化量に基づいて、電流発生部CGに発生させる電流を制御させる制御信号を、後述する第十一ノードN11を通じて送信する構成部である。なお、本実施形態において出力ノードNoutは、電流発生部CGと容量性負荷14との接続端子の一例である。
【0014】
続いて、
図2から
図4を参照しながら、各構成部の具体的な構成を説明する。
【0015】
(電流発生部CG)
図2に、本実施形態における電流発生部CGの具体的な構成を示す。
図2に示されるように、電流発生部CGは、4つのN型トランジスタである、第一NトランジスタNT1、第二NトランジスタNT2、第三NトランジスタNT3、及び第四NトランジスタNT4と、4つのP型トランジスタである、第一PトランジスタPT1、第二PトランジスタPT2、第三PトランジスタPT3、及び制御PトランジスタPCを有する。また、電流発生部CGは、2つの分圧コンデンサである第一分圧コンデンサCD1と、第二分圧コンデンサCD2と、を有する。また電流発生部CGは、さらに第一比較器Comp1と、論理和回路OR1と、を有する。
【0016】
第一NトランジスタNT1、第二NトランジスタNT2、及び第三NトランジスタNT3は、
図2に示されるようにそれぞれ別個に電源電位点VDDとグランドGND(基準電位)との間に接続されると共に、ゲートが接続されるノードが共通とされている。より具体的には、第一NトランジスタNT1のドレインが接続されるノードは、第一NトランジスタNT1、第二NトランジスタNT2、及び第三NトランジスタNT3のゲートと接続されている。これにより、第一NトランジスタNT1、第二NトランジスタNT2、及び第三NトランジスタNT3は、それぞれカレントミラー回路とされている。言い換えれば、第一NトランジスタNT1のドレインからソースに流れる電流の電流値に等しい電流が、第二NトランジスタNT2、及び第三NトランジスタNT3のドレインからソースに流れ得る。
【0017】
第一PトランジスタPT1及び第二PトランジスタPT2は、
図2に示されるようにそれぞれ別個に電源電位点VDDとグランドGND(基準電位)との間に接続されると共に、ゲートが接続されるノードが共通とされている。より具体的には、第一PトランジスタPT1のドレインが接続されるノードは、第一PトランジスタPT1及び第二PトランジスタPT2のゲートと接続されている。これにより、第一PトランジスタPT1、第二PトランジスタPT2は、それぞれカレントミラー回路とされている。言い換えれば、第一PトランジスタPT1のソースからドレインに流れる電流の電流値に等しい電流が、第二PトランジスタPT2のソースからドレインに流れ得る。
【0018】
また、第一PトランジスタPT1のドレインは、第二NトランジスタNT2のドレインと接続されている。また、第二PトランジスタPT2のドレインは、後述するように第三PトランジスタPT3及び第四NトランジスタNT4を介して第三NトランジスタNT3のドレインと接続されている。
【0019】
第三PトランジスタPT3は、
図2に示されるように、第二トランジスタのドレイン側において、第三NトランジスタNT3との間に接続されている。より具体的には、第三PトランジスタPT3のソースが第二PトランジスタPT2のドレインに、第三PトランジスタPT3のドレインが後述する第四NトランジスタNT4のドレインに接続する。また、第三PトランジスタPT3のゲートは、論理和回路OR1の出力側のノードと接続されている。
【0020】
第四NトランジスタNT4は、
図2に示されるように、第三PトランジスタPT3のドレイン側において、第三NトランジスタNT3の間に接続されている。より具体的には、第四NトランジスタNT4の第四NトランジスタNT4のドレインが第三PトランジスタPT3のドレインに、第四NトランジスタNT4のソースが第三NトランジスタNT3のドレインに接続されている。また、第四NトランジスタNT4のゲートは、後述するように、放電用信号端子LoNに接続されている。
【0021】
制御PトランジスタPCは、第一NトランジスタNT1のドレイン側に配置されている。より具体的には、制御PトランジスタPCのソースが電源電位点VDDに、制御PトランジスタPCのドレインが第一NトランジスタNT1のドレインに接続されている。なお、制御PトランジスタPCのゲートは、
図2に示されるように、後述する第十一ノードN11と接続されており、後述する様に、調整部APから伝えられる制御信号に基づいて、ソースとドレイン間の導通を制御される。
【0022】
第一分圧コンデンサCD1及び第二分圧コンデンサCD2は、
図2に示されるように、出力ノードNoutとグランドGNDとの間に直列に接続されている。すなわち、第一分圧コンデンサCD1と第二分圧コンデンサCD2との間のノードでは、出力ノードNoutのグランドGNDに対する電位を分圧される。
【0023】
第一比較器Comp1は、第一分圧コンデンサCD1及び第二分圧コンデンサCD2の間のノード及び第一参照電位点Vref1、及び論理和回路OR1の入力側の端子に接続されている。そして、第一比較器Comp1は、第一分圧コンデンサCD1及び第二分圧コンデンサCD2の間のノードの電位と、第一参照電位点Vref1の電位とを比較し、比較した結果を2値データとして出力する。より具体的には、第一比較器Comp1は、正側入力端子に接続された第一参照電位点Vref1の電位が、負側入力端子に接続された第一分圧コンデンサCD1及び第二分圧コンデンサCD2の間のノードの電位よりも高い場合には、真の値を出力する。また第一比較器Comp1は、負側入力端子に接続された第一分圧コンデンサCD1及び第二分圧コンデンサCD2の間のノードの電位が、正側入力端子に接続された第一参照電位点Vref1の電位よりも高い場合には、偽の値を出力する。なお、第一参照電位点Vref1の電位は、電源電位点VDDの電位よりも低いものとされている。
【0024】
論理和回路OR1は、
図2に示されるように、入力側の端子に第一比較器Comp1の出力ノードNout及び充電用信号端子HiNが接続されるとともに、出力側の端子に第三PトランジスタPT3のゲートが接続されている。このため、論理和回路OR1に入力される値、すなわち、充電用信号端子HiN又は第一比較器Comp1の出力の少なくとも一方が真の値となった場合に、論理和回路OR1は、真の値を出力する。また、充電用信号端子HiN及び第一比較器Comp1の出力の両方が偽の値となった場合に、論理和回路OR1は、偽の値を出力する。
【0025】
なお、電流発生部CGが有する4つのP型トランジスタにおける閾値電圧は、いずれも充電用信号端子HiNに入力される信号の電圧及び第一参照電位点Vref1の電位よりも低いものとする。言い換えれば第三PトランジスタPT3は、論理和回路OR1が真の値を出力した場合に、ソースとドレイン間の接続を遮断する。
【0026】
また、電流発生部CGが有する4つのN型トランジスタにおける閾値電圧は、いずれも放電用信号端子LoNに入力される信号の電圧よりも低いものとする。言い換えれば第四NトランジスタNT4は、放電用信号端子LoNに信号が入力された場合に、ドレインとソース間の接続を遮断する。
【0027】
次に、本実施形態に係る電流発生部CGが、
図1に示されるように容量性負荷14へ充電、又は放電を行う様子を説明する。なお、充電に際し、容量性負荷14の電位(すなわち、出力ノードNoutの電位)は、少なくとも第一参照電位点Vref1より低いものとする。また、放電に際し、容量性負荷14の電位は、少なくとも第一参照電位点Vref1より高いものとする。また、以後の説明において、各トランジスタが「導通する」と記載した場合は、該トランジスタのソースとドレイン間が電気的に接続されたことを指し、「遮断する」と記載した場合は、該トランジスタのソースとドレイン間が電気的に遮断されたことを指す。また、各トランジスタに「電流が流れる」と記載した場合は、該トランジスタのソースとドレイン間に電流が流れることを、電流の向きを限定せずに指す。
【0028】
(充電動作)
まず充電用信号端子HiN、及び放電用信号端子LoNの電位が偽の値である場合、第一PトランジスタPT1、第二PトランジスタPT2及び第三PトランジスタPT3が導通する。また、第四NトランジスタNT4は、遮断される。また、第一NトランジスタNT1、第二NトランジスタNT2及び第三NトランジスタNT3は、導通する。
【0029】
この状態において、制御PトランジスタPCのゲートの電位が偽の値であれば、制御PトランジスタPCが導通するため、第一NトランジスタNT1に電流が流れる。また制御PトランジスタPCを介して電源電位点VDDと接続された第一NトランジスタNT1に流れる電流と同等の電流が、カレントミラー回路により、第二NトランジスタNT2に流れ得る。また、第二NトランジスタNT2を流れる電流は、直列に接続されている第二PトランジスタPT2を流れる。そして、第一PトランジスタPT1を介して電源電位点VDDと接続された第二NトランジスタNT2に流れる電流と同等の電流が、カレントミラー回路により、第二PトランジスタPT2に流れ得る。すなわち、制御PトランジスタPCは、本実施形態におけるスイッチ素子の一例である。
【0030】
ここで、第三PトランジスタPT3が導通し、第四NトランジスタNT4が遮断しているため、第二PトランジスタPT2を流れる電流は、出力ノードNoutに伝わり容量性負荷14を充電させる。そして、容量性負荷14に向かって電流が流れることによって、容量性負荷14が充電されるにつれて、容量性負荷14を充電させるために要する電圧、すなわち出力ノードNoutの電位が高まる。
【0031】
また、出力ノードNoutの電位は、第一分圧コンデンサCD1及び第二分圧コンデンサCD2によって分圧されて、第一比較器Comp1に入力される。そして、第一比較器Comp1に入力される電位が、第一参照電極点の電位よりも高くなった場合、第一比較器Comp1は、真の値を出力する。
【0032】
そして、
図2に示されるように、第一比較器Comp1の出力端は、論理和回路OR1の入力と接続されているため、第一比較器Comp1が真の値を出力した場合、論理和回路OR1は、真の値を出力することとなる。言い換えれば、出力ノードNoutの電位が、予め定められた閾値である、第一参照電位点Vref1の電位を上回った場合、第三PトランジスタPT3のゲートには真の値が印加されるため、第三PトランジスタPT3は、遮断する。
【0033】
そして、第三PトランジスタPT3が遮断することにより、第三PトランジスタPT3を電流が流れなくなるため、容量性負荷14への充電が停止する。このように、本実施形態における電流発生器では、出力ノードNoutの電位が、予め定められた閾値である第一参照電位点Vref1の電位を上回った場合、容量性負荷14への充電が停止する。
【0034】
このように、第二PトランジスタPT2及び第三PトランジスタPT3には、容量性負荷14を充電させる充電電流が流れる。なお、充電動作の状況に関わらず、容量性負荷14を充電させない場合、充電用信号端子HiNに真の値を入力することにより、第三PトランジスタPT3は、遮断することとなる。すなわち、電流発生部CGにおける第二PトランジスタPT2、第三PトランジスタPT3、及び充電用信号端子HiNは、本実施形態における充電部CPの一例である。
【0035】
続いて、電流発生器の放電動作について説明する。
【0036】
(放電動作)
まず、充電用信号端子HiN、及び放電用信号端子LoNの電位が真の値である場合、第一PトランジスタPT1、第二PトランジスタPT2及び第三PトランジスタPT3が遮断する。また、第四NトランジスタNT4は、導通される。なお、第一NトランジスタNT1、第二NトランジスタNT2及び第三NトランジスタNT3は、導通する。
【0037】
この状態において、制御PトランジスタPCのゲートの電位が偽の値であれば、制御PトランジスタPCが導通するため、第一NトランジスタNT1に電流が流れる。また制御PトランジスタPCを介して電源電位点VDDと接続された第一NトランジスタNT1に流れる電流と同等の電流が、カレントミラー回路により、第三NトランジスタNT3に流れ得る。
【0038】
ここで、第三PトランジスタPT3が遮断しているため、第二PトランジスタPT2を流れる電流は、出力ノードNoutに伝わらない。また、第三NトランジスタNT3及び第四NトランジスタNT4は、それぞれ導通しているため、出力ノードNoutから第四NトランジスタNT4及び第三NトランジスタNT3を通って、電流が流れ得る。そして、出力ノードNoutに接続された容量性負荷14から、第三NトランジスタNT3及び第四NトランジスタNT4を通って電流が流れることにより、容量性負荷14は、放電することとなる。
【0039】
このように、第三NトランジスタNT3及び第四NトランジスタNT4には、容量性負荷14を放電させる放電電流が流れる。なお、放電動作の状況に関わらず、容量性負荷14を放電させない場合、放電用信号端子LoNに偽の値を入力することにより、第四NトランジスタNT4は、遮断することとなる。すなわち、電流発生部CGにおける第三NトランジスタNT3、第四NトランジスタNT4、及び放電用信号端子LoNは、本実施形態における放電部DCPの一例である。
【0040】
続いて、
図3を参照しながら、本実施形態における測定部MPの具体的な構成について説明する。
【0041】
(測定部MP)
図3に示されるように、本実施形態における測定部MPは、第一電位変化量測定ユニットPC1と、第二電位変化量測定ユニットPC2と、電位差出力ユニットPDと、を備える。また、第一電位変化量測定ユニットPC1及び第二電位変化量測定ユニットPC2は、
図3に示されるように測定ノードNout'に接続されている。
【0042】
第一電位変化量測定ユニットPC1は、
図3に示されるように、第一スイッチS11と、コンデンサC1と、第二スイッチS12と、第三スイッチS13と、第一ユニティゲインバッファUGB1と、を有する。
【0043】
第一スイッチS11は、
図3に示されるように、測定ノードNout'と、電源電位点VDDと、第一ノードN1とに接続され、第一ノードN1と接続するノードを、測定ノードNout'又は電源電位点VDDに切り替える。なお、第一スイッチS11は、どのような構成でもよいが、後述するように、クロック信号の値に基づいて接続するノードの切り替えが可能とされている。
【0044】
コンデンサC1は、
図3に示されるように、第一ノードN1と、第二ノードN2とに接続されている。
【0045】
第二スイッチS12は、第二ノードN2と、グランドGNDと、第三ノードN3とに接続され、第二ノードN2と接続するノードを、グランドGND又は第三ノードN3に切り替える。第二スイッチS12の構成は、第一スイッチS11と同様である。
【0046】
第三スイッチS13は、第三ノードN3と、グランドGNDとに接続され、第三ノードN3とグランドGNDとの接続又は遮断を切り替える。なお、第三スイッチS13は、どのような構成でもよいが、後述するように、クロック信号の値に基づいて接続するノードの切り替えが可能とされている。
【0047】
第一ユニティゲインバッファUGB1は、入力側に接続されたノードである第三ノードN3の電位と同等の電位を、出力側に接続されたノードである、第三ノードN3’に出力する。本実施形態において、第三ノードN3’の電位は、第三ノードN3の電位と等しいものとし、「第三ノードN3」と記載した場合には特に言及しない限り、第三ノードN3又は第三ノードN3’のいずれか一方又は両方を指す。
【0048】
また、第一スイッチS11、第二スイッチS12、及び第三スイッチS13の動作は、第一電位変化量測定ユニットPC1に接続されたクロック信号源CLKが出力するクロック信号の値に基づく。本実施形態において、クロック信号は、真の値又は偽の値の2値を交互に取り得る信号データであり、一つの真の値及び一つの偽の値の経過によりクロック信号の一周期が定められる。そして、第一電位変化量測定ユニットPC1における第一スイッチS11、第二スイッチS12、及び第三スイッチS13の動作は、次のように定められている。
【0049】
まず、クロック信号の値が偽の値であるとき、
図3に示されるように、第一スイッチS11が第一ノードN1を測定ノードNout'と接続し、第二スイッチS12が第二ノードN2とグランドGNDとを接続し、第三スイッチS13が第三ノードN3とグランドGNDとを接続する。また、クロック信号の値が真の値であるとき、第一スイッチS11が第一ノードN1を電源電位点VDDと接続し、第二スイッチS12が第二ノードN2と第三ノードN3とを接続し、第三スイッチS13は、第三ノードN3とグランドGNDとを遮断する。
【0050】
第二電位変化量測定ユニットPC2は、
図3に示されるように、第一スイッチS21と、コンデンサC2と、第二スイッチS22と、第三スイッチS23と、第二ユニティゲインバッファUGB2と、を有する。
【0051】
第一スイッチS21は、
図3に示されるように、測定ノードNout'と、電源電位点VDDと、第四ノードN4とに接続され、第四ノードN4と接続するノードを、測定ノードNout'又は電源電位点VDDに切り替える。なお、第一スイッチS21は、どのような構成でもよいが、後述するように、クロック信号の値に基づいて接続するノードの切り替えが可能とされている。
【0052】
コンデンサC2は、
図3に示されるように、第四ノードN4と、第五ノードN5とに接続されている。
【0053】
第二スイッチS22は、第五ノードN5と、グランドGNDと、第六ノードN6とに接続され、第五ノードN5と接続するノードを、グランドGND又は第六ノードN6に切り替える。第二スイッチS22の構成は、第一スイッチS21と同様である。
【0054】
第三スイッチS23は、第六ノードN6と、グランドGNDとに接続され、第六ノードN6とグランドGNDとの接続又は遮断を切り替える。なお、第三スイッチS23は、どのような構成でもよいが、後述するように、クロック信号の値に基づいて接続するノードの切り替えが可能とされている。
【0055】
第二ユニティゲインバッファUGB2は、入力側に接続されたノードである第六ノードN6の電位と同等の電位を、出力側に接続されたノードである、第六ノードN6’に出力する。本実施形態において、第六ノードN6の電位は、第六ノードN6’の電位と等しいものとし、「第六ノードN6」と記載した場合には特に言及しない限り、第六ノードN6又は第六ノードN6’のいずれか一方又は両方を指す。
【0056】
また、第一スイッチS21、第二スイッチS22、及び第三スイッチS23の動作は、第一電位変化量測定ユニットPC1と同様に、第二電位変化量測定ユニットPC2に接続されたクロック信号源CLKが出力するクロック信号の値に基づく。そして、第二電位変化量測定ユニットPC2における第一スイッチS21、第二スイッチS22、及び第三スイッチS23の動作は、次のように定められている。
【0057】
まず、クロック信号の値が偽の値であるとき、
図3に示されるように、第一スイッチS21が第四ノードN4を電源電位点VDDと接続し、第二スイッチS22が第五ノードN5と第六ノードN6とを接続し、第三スイッチS23が第六ノードN6とグランドGNDとを遮断する。また、クロック信号の値が真の値であるとき、第一スイッチS21が第四ノードN4を測定ノードNout'と接続し、第二スイッチS22が第五ノードN5とグランドGNDとを接続し、第三スイッチS23は、第六ノードN6とグランドGNDとを接続する。
【0058】
電位差出力ユニットPDは、
図3に示されるように、第一スイッチS31と、コンデンサC3と、第二スイッチS32と、を有する。
【0059】
第一スイッチS31は、
図3に示されるように、第三ノードN3と、第六ノードN6と、第七ノードN7とに接続され、第七ノードN7と接続するノードを、第三ノードN3又は第六ノードN6に切り替える。なお、第一スイッチS31は、どのような構成でもよいが、後述するように、クロック信号の値に基づいて接続するノードの切り替えが可能とされている。
【0060】
コンデンサC3は、
図3に示されるように、第七ノードN7と、第八ノードN8とに接続されている。
【0061】
第二スイッチS32は、第八ノードN8と、電源電位点VDDと、第九ノードN9とに接続され、第八ノードN8と接続するノードを、電源電位点VDD又は第九ノードN9に切り替える。第二スイッチS32の構成は、第一スイッチS31と同様である。
【0062】
また、第一スイッチS31、及び第二スイッチS32の動作は、第一電位変化量測定ユニットPC1又は第二電位変化量測定ユニットPC2と同様に、電位差出力ユニットPDに接続されたクロック信号源CLKが出力するクロック信号の値に基づく。そして、電位差出力ユニットPDにおける第一スイッチS31、及び第二スイッチS32の動作は、次のように定められている。
【0063】
まず、クロック信号の値が偽の値であるとき、
図3に示されるように、第一スイッチS31が第七ノードN7を第六ノードN6と接続し、第二スイッチS32が第八ノードN8と第九ノードN9とを接続する。また、クロック信号の値が真の値であるとき、第一スイッチS31が第七ノードN7を第三ノードN3と接続し、第二スイッチS32が第八ノードN8と電源電位点VDDとを接続する。
【0064】
なお、
図3に示されるように、本実施形態における測定ノードNout'は、出力ノードNoutと第三ユニティゲインバッファUGB3を介して接続されている。より具体的には、出力ノードNoutは、第三ユニティゲインバッファUGB3の入力側に接続されており、出力ノードNoutの電位の値を、第三ユニティゲインバッファUGB3の出力側に接続されている測定ノードNout'に出力する。なお、第三ユニティゲインバッファUGB3は、本実施形態における測定用ユニティゲインバッファの一例である。
【0065】
続いて、
図4を参照しながら、調整部APについて説明する。
【0066】
(調整部AP)
図4に示されるように、本実施形態において調整部APは、第二比較器Comp2と、フリップフロップ回路FF1と、を有する。
【0067】
第二比較器Comp2は、第九ノードN9及び第二参照電位点Vref2、及び第十ノードN10に接続されている。そして、第二比較器Comp2は、第九ノードN9の電位と、第二参照電位点Vref2の電位とを比較し、比較した結果を2値データとして出力する。より具体的には、第二比較器Comp2は、正側入力端子に接続された第二参照電位点Vref2の電位が、負側入力端子に接続された第九ノードN9の電位よりも高い場合には、真の値を出力する。また第二比較器Comp2は、負側入力端子に接続された第九ノードN9の電位が、正側入力端子に接続された第二参照電位点Vref2の電位よりも高い場合には、偽の値を出力する。なお、第二参照電位点Vref2の電位は、電源電位点VDDの電位よりも低いものとされている。
【0068】
フリップフロップ回路FF1は、いわゆるD型フリップフロップ回路であり、第十ノードN10が入力側に、第十一ノードN11が出力側に接続されている。また、フリップフロップ回路FF1は、さらにクロック信号源CLKと接続されている。
【0069】
より具体的には、フリップフロップ回路FF1は、クロック信号の値が真の値となった時刻の、第十ノードN10の値を、第十一ノードN11に出力し、クロック信号の値が偽の値となるまで、直前の値を保つ。なお、第十ノードN10には、第二比較器Comp2から2値データが出力されることから、第十一ノードN11に出力される信号は、2値データとなる。
【0070】
ここで、第十一ノードN11は、
図1及び
図2に示されるように、電流発生部CGの制御PトランジスタPCのゲートに接続されている。すなわち、第十一ノードN11の電位であり、フリップフロップ回路FF1が出力する値は、制御PトランジスタPCの導通又は遮断を制御する制御信号の一例である。
【0071】
なお、本実施形態において、測定部MP及び調整部APの構成に接続されているクロック信号源CLKから出力されるクロック信号は、いずれも同じ値とされている。言い換えれば、測定部MP及び調整部APの各構成は、同じクロック信号に基づいて動作する。
【0072】
続いて、本実施形態の電源装置12における、測定部MP及び調整部APの動作を、
図5から
図10を適宜参照しながら説明する。なお、以後の説明において、コンデンサC1、コンデンサC2、及びコンデンサC3の電圧は、測定ノードNout’に近い側の電極を正として説明する。より具体的には、コンデンサC1における電圧は、第一ノードN1の電位から第二ノードN2の電位を引いたものとし、コンデンサC2における電圧は、第四ノードN4の電位から第五ノードN5の電位を引いたものとし、コンデンサC3における電圧は、第七ノードN7の電位から第八ノードN3の電位を引いたものとする。
【0073】
(測定部MP及び調整部APの動作)
〈容量性負荷14を充電する様子の第1の例〉
図5及び
図6には、容量性負荷14を充電する様子を示す第1の例における、測定部MP及び調整部APの各コンデンサ及びノードの電位を示すタイムチャートが示されている。なお、
図5及び
図6には示されていないが、時刻が0以前の時期において、測定部MP及び調整部APの各コンデンサ及びノードの電位は、いずれもグランドGNDの電位に等しいものとする。また、本実施形態の説明において、容量性負荷14に時刻0の時期から充電電流が流れる。また、本実施形態の説明では、時刻0の時期において、クロック信号は、偽の値となる。
【0074】
(時刻0における各ノードの電位)
まず
図5に示されるように、クロック信号により時刻0が示されている場合、言い換えれば時刻0から時刻1までの期間においてクロック信号は、偽の値をとるため、測定部MP、及び調整部APの接続状態は、次に示される通りとなる。
【0075】
第一電位変化量測定ユニットPC1の第一スイッチS11は、第一ノードN1と測定ノードNout'とを接続し、第二スイッチS12は、第二ノードN2とグランドGNDとを接続し、第三スイッチS13は、第三ノードN3とグランドGNDとを接続する。また、第二電位変化量測定ユニットPC2の第一スイッチS21は、第四ノードN4と電源電位点VDDとを接続し、第二スイッチS22は、第五ノードN5と第六ノードN6とを接続し、第三スイッチS23は、第六ノードN6とグランドGNDとを遮断する。また、電位差出力ユニットPDの第一スイッチS31は、第七ノードN7と第六ノードN6とを接続し、第二スイッチS32は、第八ノードN8と第九ノードN9とを接続する。
【0076】
この場合、
図5に示されるように、出力ノードNoutには、容量性負荷14を充電する充電電流が流れるため、出力ノードNoutの電位が時間経過と共に増加する。また、出力ノードNoutの電位は、測定ノードNout'にも伝えられるため、測定ノードNout'と接続されている、第一ノードN1の電位が時間経過と共に増加する。そして、
図5に示されるように、時刻0から時刻1までの期間において、第一電位変化量測定ユニットPC1のコンデンサC1が第一ノードN1とグランドGNDとに接続するため、コンデンサC1の電圧値は、測定ノードNout'の値と同等になる。なお、第三ノードN3がグランドGNDと接続されているため、第三ノードN3の電位は、グランドGNDの電位と同等となる。
【0077】
一方、
図5に示されるように、第四ノードN4は、電源電位点VDDと接続されているため、第四ノードN4の電位は、電源電位点VDDと同等となる。また、第四ノードN4とコンデンサC2を介して接続された第五ノードN5及び第六ノードN6は、グランドGNDとは接続されていないため、電源電位点VDDと等電位となる。このため、第二電位変化量測定ユニットPC2のコンデンサC2は、
図5に示されるように、充電されず、時刻0の時刻の電位を保つ。
【0078】
また、
図5及び
図6に示されるように、第六ノードN6と接続された第七ノードN7、第八ノードN8、及び第九ノードN9も、同様に電源電位点VDDと等電位となる。このため、電位差出力ユニットPDのコンデンサC3の電圧は、0となる。
【0079】
そして、第九ノードN9の電位が第八ノードN8、すなわち電源電位と等電位であることから、第二比較器Comp2の負側入力端子の電位は、第二参照電位点Vref2の電位よりも高い。このため、第二比較器Comp2は、第十ノードN10に、偽の値を出力する。
【0080】
なお、時刻0から時刻1までの期間において、クロック信号は、偽の値をとるため、フリップフロップ回路FF1は、偽の値を第十一ノードN11に出力する。このため、電流発生部CGの制御PトランジスタPCは、導通した状態を保つ。言い換えれば、電流発生部CGは、
図5に示されるように、容量性負荷14への充電を続ける。
【0081】
(時刻1における各ノードの電位)
また
図5に示されるように、クロック信号により時刻1が示されている場合、言い換えれば時刻1から時刻2までの期間においてクロック信号は、真の値をとるため、測定部MP、及び調整部APの接続状態は、次に示される通りとなる。
【0082】
第一電位変化量測定ユニットPC1の第一スイッチS11は、第一ノードN1と電源電位点VDDとを接続し、第二スイッチS12は、第二ノードN2と第三ノードN3とを接続し、第三スイッチS13は、第三ノードN3とグランドGNDとを遮断する。また、第二電位変化量測定ユニットPC2の第一スイッチS21は、第四ノードN4と測定ノードNout'とを接続し、第二スイッチS22は、第五ノードN5とグランドGNDとを接続し、第三スイッチS23は、第六ノードN6とグランドGNDとを接続する。また、電位差出力ユニットPDの第一スイッチS31は、第七ノードN7と第三ノードN3とを接続し、第二スイッチS32は、第八ノードN8と電源電位点VDDとを接続する。
【0083】
この場合、
図5に示されるように、出力ノードNoutには、容量性負荷14を充電する充電電流が流れるため、出力ノードNoutの電位が時間経過と共に増加する。また、出力ノードNoutの電位は、測定ノードNout'にも伝えられるため、測定ノードNout'と接続されている、第四ノードN4の電位が時間経過と共に増加する。そして、
図5に示されるように、時刻1から時刻2までの期間において、第二電位変化量測定ユニットPC2のコンデンサC2は、第四ノードN4とグランドGNDとに接続するため、コンデンサC2の電圧は、測定ノードNout'の値と同等になる。なお、第六ノードN6がグランドGNDと接続されているため、第六ノードN6の電位は、グランドGNDの電位と同等となる。
【0084】
一方、
図5に示されるように、第一ノードN1は、電源電位点VDDと接続されているため、第一ノードN1の電位は、電源電位点VDDと同等となる。また、第一ノードN1とコンデンサC1を介して接続された第二ノードN2及び第三ノードN3は、グランドGNDとは接続されていないため、電源電位点VDDと等電位となる。このため、第一電位変化量測定ユニットPC1のコンデンサC1は、
図5に示されるように、充電されず、時刻1の時刻の電位を保つ。
【0085】
ここで、
図5及び
図6に示されるように、第八ノードN8は、電源電位点VDDと接続されており、第七ノードN7は、第三ノードN3と接続されている。言い換えれば、電位差出力ユニットPDのコンデンサC3と接続されたノードのうち、第七ノードN7の電位よりも第八ノードN8の方が、電位が高くなる。このため、電位差出力ユニットPDのコンデンサC3の電圧は、
図6に示されるように、時刻0における第一電位変化量測定ユニットPC1のコンデンサC1の電圧から、時刻1における第二電位変化量測定ユニットPC2のコンデンサC2の電圧を差し引いた量に相当する。言い換えれば、
図6に示されるように、時刻1の時刻における電位差出力ユニットPDのコンデンサC3の電圧は、負の値となる。
【0086】
なお、時刻1において電位差出力ユニットPDの第二スイッチS32は、第九ノードN9と第八ノードN8とを遮断しており、第九ノードN9の電位が不定となる。言い換えれば第二比較器Comp2の負側入力端子には信号が入力されなくなるため、第二比較器Comp2は、第十ノードN10に、偽の値を出力する。
【0087】
なお、時刻1から時刻2までの期間において、クロック信号は、真の値をとるため、フリップフロップ回路FF1は、偽の値を第十一ノードN11に出力する。このため、電流発生部CGの制御PトランジスタPCは、導通した状態を保つ。言い換えれば、電流発生部CGは、
図5に示されるように、容量性負荷14への充電を続ける。
【0088】
(時刻2における各ノードの電位)
また
図5に示されるように、クロック信号により時刻2が示されている場合、言い換えれば時刻2から時刻3までの期間においてクロック信号は、偽の値をとるため、測定部MP、及び調整部APの接続状態は、時刻0と同様である。
【0089】
図5に示されるように、第四ノードN4は、電源電位点VDDと接続されているため、第四ノードN4の電位は、電源電位点VDDと同等となる。また、第四ノードN4とコンデンサC2を介して接続された第五ノードN5及び第六ノードN6の電位は、グランドGNDとは接続されていないため、電源電位から第二電位変化量測定ユニットPC2のコンデンサC2の電圧を差し引いた分だけ低くなる。
【0090】
また、
図5及び
図6に示されるように、第七ノードN7の電位は、第六ノードN6と接続されているため、第六ノードN6の電位と同等となる。
【0091】
一方、時刻2において、第八ノードN8の電位は、電源電位に電位差出力ユニットPDのコンデンサC3の電圧値が加えられた値となる。言い換えれば、時刻2における第八ノードN8の電位は、電源電位よりも減じられた値となる。そして、第九ノードN9の電位も第八ノードN8と等しくなるため、第二比較器Comp2の負側入力端子の値が、減少する。ここで、
図6に示されるように、時刻2における第八ノードN8の電位が、第二参照電位点Vref2の電位よりも低くなった場合、第二比較器Comp2は、第十ノードN10に、真の値を出力する。
【0092】
そして、時刻2において、第十ノードN10から真の値が入力されたため、フリップフロップ回路FF1は、第十ノードN10の出力信号である真の値を、第十一ノードN11に出力する。このため、電流発生部CGの制御PトランジスタPCは、遮断した状態となり、電流発生部CGは、
図5に示されるように、容量性負荷14への充電を停止する。
【0093】
この場合、
図5に示されるように、出力ノードNoutの電位が変化しなくなるため、測定ノードNout'と接続されている、第一ノードN1の電位は、時刻2における値を保つ。また、
図5に示されるように、時刻2から時刻3までの期間において、第一電位変化量測定ユニットPC1のコンデンサC1の電圧値は、測定ノードNout'の値と同等になる。なお、第二電位変化量測定ユニットPC2のコンデンサC2も、
図5に示されるように、時刻2の時刻の電位を保つ。
【0094】
(時刻3における各ノードの電位)
また
図5に示されるように、クロック信号により時刻3が示されている場合、言い換えれば時刻3から時刻4までの期間においてクロック信号は、真の値をとるため、測定部MP、及び調整部APの接続状態は、時刻1と同様である。
【0095】
図5に示されるように、第一ノードN1は、電源電位点VDDと接続されているため、第一ノードN1の電位は、電源電位点VDDと同等となる。また、第一ノードN1とコンデンサC1を介して接続された第二ノードN2及び第三ノードN3の電位は、グランドGNDとは接続されていないため、電源電位からコンデンサC1の電圧を差し引いた分だけ低くなる。
【0096】
また、
図5及び
図6に示されるように、第七ノードN7の電位は、第三ノードN3と接続されているため、第三ノードN3の電位と同等となる。すなわち、時刻3から時刻4までの期間において、第七ノードN7の電位は、変化しない。
【0097】
一方、時刻3において、第八ノードN8が電源電位点VDDと接続されるため、第八ノードN8の電位は、電源電位となる。そして、時刻3において電位差出力ユニットPDの第二スイッチS32は、第九ノードN9と第八ノードN8とを遮断しており、第九ノードN9の電位が不定となる。言い換えれば第二比較器Comp2の負側入力端子には信号が入力されなくなるため、第二比較器Comp2は、第十ノードN10に、偽の値を出力する。
【0098】
ただし、時刻3において、クロック信号が真の値をとるため、フリップフロップ回路FF1は、第十一ノードN11に出力する信号として、時刻3の直前の第十ノードN10の出力信号である真の値を保つ。このため、電流発生部CGの制御PトランジスタPCは、遮断した状態となり、電流発生部CGは、
図5に示されるように、容量性負荷14への充電を引き続き停止する。
【0099】
この場合、
図5に示されるように、出力ノードNoutの電位が変化しなくなるため、測定ノードNout'と接続されている、第四ノードN4の電位は、時刻3における値を保つ。また、
図5に示されるように、時刻3から時刻4までの期間において、コンデンサC2の電圧は、測定ノードNout'の値と同等になる。なお、コンデンサC1も、
図5に示されるように、時刻3の時刻の電位を保つ。
【0100】
(時刻4以後における各ノードの電位)
また
図5に示されるように、クロック信号により時刻4が示されている場合、言い換えれば時刻4から時刻5までの期間においてクロック信号は、偽の値をとるため、測定部MP、及び調整部APの接続状態は、時刻0と同等となる。
【0101】
そして
図6に示されるように、第十一ノードN11の値が偽の値となるため、制御PトランジスタPCが導通し、電流発生部CGから容量性負荷14へ充電電流が流れる。このため、
図5に示されるように、時刻4から時刻5までの期間において出力ノードNoutの電位が再び増加する。
【0102】
ここで、
図5に示されるように、時刻2の状態と同様に、第五ノードN5及び第六ノードN6の電位は、電源電位からコンデンサC2の電圧を差し引いた分だけ低くなる。また、
図5及び
図6に示されるように、第七ノードN7が第六ノードN6と接続されているため、第七ノードN7の電位は、第六ノードN6の電位と同等となる。
【0103】
また、時刻4において、第八ノードN8の電位は、時刻2と同様に電源電位にコンデンサC3の電圧に相当する電圧値が加えられた値となる。ただし、
図5に示されるように、時刻4の時刻において、コンデンサC3の電圧は、0となるため、第八ノードN8の電位は、電源電位と同等となる。言い換えれば、時刻4において、第八ノードN8の電位は、時刻0と同等となるため、第九ノードN9、第十ノードN10及び第十一ノードN11の電位も、時刻0と同等となる。
【0104】
また、
図5に示されるように、クロック信号により時刻5が示されている場合、言い換えれば時刻5から時刻6までの期間においてクロック信号は、偽の値をとるため、測定部MP、及び調整部APの接続状態は、時刻1と同等となる。
【0105】
ここで、
図5に示されるように、時刻3の状態と同様に、第二ノードN2及び第三ノードN3の電位は、電源電位からコンデンサC2の電圧を差し引いた分だけ低くなる。また、
図5及び
図6に示されるように、第七ノードN7が第三ノードN3と接続されているため、第七ノードN7の電位は、第三ノードN3の電位と同等となる。
【0106】
また、時刻5において、第八ノードN8の電位は、時刻3と同様に電源電位にコンデンサC3の電圧に相当する電圧値が加えられた値となる。言い換えれば、時刻5において、第八ノードN8の電位は、時刻1と同等となるため、第九ノードN9、第十ノードN10及び第十一ノードN11の電位も、時刻1と同等となる。
【0107】
そして、
図5及び
図6に示されるように、コンデンサC1と、コンデンサC2は、時刻が2経過するごとに互いのコンデンサC2に充電された電圧の差をコンデンサC3へ出力する。より具体的には、コンデンサC1は、時刻2以後において、時刻が2経過するごとに、コンデンサC2の電圧とコンデンサC1の電圧の差分をコンデンサC3へ出力する。そして、コンデンサC3は、測定部MPの第二比較器Comp2に当該コンデンサの電圧の差分を出力する。
【0108】
ところで、コンデンサC2の電圧とコンデンサC1の電圧の差分は、コンデンサC2が充電された時刻における測定ノードNout'の電位と、コンデンサC1が充電された時刻における測定ノードNout'の電位に相当する。すなわち、コンデンサC2の電圧とコンデンサC1の電圧の差分は、クロック信号の1周期における、出力ノードNoutの電位の変化量に相当する。また言い換えれば、本実施形態における測定部MPは、調整部APに対してクロック信号の1周期ごとに、出力ノードNoutの電位の変化量を出力する。なお、本実施形態において、クロック信号の1周期は、単位時間の一例である。
【0109】
このため、容量性負荷14を充電する様子を示す第1の例では、時刻4以後、クロック信号が2周期ごとに、第八ノードN8の状態が同等となるため、第十一ノードN11に出力される値も2周期ごとに繰り返される。
【0110】
このように、本例では、容量性負荷14を充電する充電電流は、第十一ノードN11に出力される信号に基づいて制御される。これにより、本例では、
図5の出力ノードNoutにおける電位の増加の様子は、一点鎖線で示される増加の様子から、実線で示される増加の様子となる。
【0111】
続いて、
図7及び
図8を参照しながら、本実施形態における容量性負荷14を充電する様子を示す第2の例を説明する。
【0112】
〈容量性負荷14を充電する様子の第2の例〉
図7及び
図8には、容量性負荷14を充電する様子を示す第2の例における、測定部MP及び調整部APにおける各コンデンサ及びノードの電位を示すタイムチャートが示されている。なお、
図7及び
図8には示されていないが、時刻が0以前の時期において、測定部MP及び調整部APにおける各コンデンサ及びノードの電位は、いずれもグランドGNDの電位に等しいものとする。また、本実施形態の説明において、容量性負荷14に時刻0の時期から充電電流が流れる。また、本実施形態の説明では、時刻0の時期において、クロック信号は、偽の値となる。
【0113】
なお、容量性負荷14を充電する様子の第1の例と、本例との違いは、
図7に示されるように、出力ノードNoutにおける、単位時間当たりの電位の増加率のみである。より具体的には、本例の出力ノードNoutにおける、単位時間当たりの電位の増加率は、第1の例よりも小さい。言い換えれば、本例の出力ノードNoutにおける、単位時間当たりの電位の増加速度は、第1の例よりも遅い。
【0114】
また、その他の各スイッチの動作時期及び動作状態は、第1の例と同等である。
【0115】
(時刻0、及び時刻1における各ノードの電位)
図7及び
図8に示されるように、時刻0から時刻1における各ノードの電位は、第1の例と同様に変化する。ただし、本例では出力ノードNoutにおける電位の変化率が第1の例と比べて小さいため、時刻1における電位差出力ユニットPDのコンデンサC3の電圧は、第1の例と比べて小さい。
【0116】
(時刻2における各ノードの電位)
このため、本例では、
図8に示されるように、時刻2における第八ノードN8の電位が小さくなりにくい。そして
図8に示されるように、時刻2における第八ノードN8の電位が、第二参照電位点Vref2の電位よりも高い場合、第二比較器Comp2は、第十ノードN10に、偽の値を出力する。
【0117】
したがって、本例では、時刻2において、フリップフロップ回路FF1は、第十一ノードN11に偽の値を出力する。このため、電流発生部CGの制御PトランジスタPCは、通電した状態となり、電流発生部CGは、
図7に示されるように、容量性負荷14への充電を継続する。
【0118】
(時刻3以後における各ノードの電位)
そして、本例では、時刻3においても各ノードの電位は、時刻1と同様に変化する。すなわち、本例でも、コンデンサC2の電圧とコンデンサC1の電圧の差分は、クロック信号の1周期における、出力ノードNoutの電位量に相当する。また言い換えれば、本実施形態の測定部MPは、本例でも調整部APに対してクロック信号の1周期ごとに、出力ノードNoutの電位の変化量を出力する。
【0119】
なお、本例のように、容量性負荷14を充電する充電電流が継続して電流発生部CGから出力されることも、本実施形態における第十一ノードN11に出力される信号に基づいて制御されることの一例に含まれる。
【0120】
続いて、
図9及び
図10を参照しながら、本実施形態における容量性負荷14を充電する様子を示す第3の例を説明する。
【0121】
〈容量性負荷14を充電する様子の第3の例〉
図9及び
図10には、容量性負荷14を充電する様子を示す第3の例における、測定部MP及び調整部APにおける各コンデンサ及びノードの電位を示すタイムチャートが示されている。なお、
図9及び
図10には示されていないが、時刻が0以前の時期において、測定部MP及び調整部APにおける各コンデンサ及びノードの電位は、いずれもグランドGNDの電位に等しいものとする。また、本実施形態の説明では、容量性負荷14に時刻0の時期から充電電流が流れる。また、本実施形態の説明では、時刻0の時期において、クロック信号は、偽の値となる。
【0122】
なお、容量性負荷14を充電する様子の第1の例と、本例との違いは、
図9に示されるように、クロック信号の周期のみである。より具体的には、本例の出力ノードNoutにおける、クロック信号の周期は、第1の例よりも小さい。言い換えれば、本例の出力ノードNoutにおける、単位時間は、第1の例よりも短い。
【0123】
また、その他の各スイッチの動作時期及び動作状態は、第1の例と同等である。
【0124】
(時刻0、及び時刻1における各ノードの電位)
図9及び
図10に示されるように、時刻0から時刻1における各ノードの電位は、第1の例と同様に変化する。ただし、本例ではクロック信号の周期が第1の例と比べて小さいため、時刻1におけるコンデンサC3の電圧は、第1の例と比べて小さい。
【0125】
(時刻2における各ノードの電位)
このため、本例では、
図10に示されるように、時刻2における第八ノードN8の電位が小さくなりにくい。そして
図10に示されるように、時刻2における第八ノードN8の電位が、第二参照電位点Vref2の電位よりも高い場合、第二比較器Comp2は、第十ノードN10に、偽の値を出力する。
【0126】
したがって、本例では、時刻2において、フリップフロップ回路FF1は、第十一ノードN11に偽の値を出力する。このため、電流発生部CGの制御PトランジスタPCは、通電した状態となり、電流発生部CGは、
図9に示されるように、容量性負荷14への充電を継続する。
【0127】
(時刻3以後における各ノードの電位)
そして、本例では、時刻3においても各ノードの電位は、時刻1と同様に変化する。すなわち、本例でも、コンデンサC2の電圧とコンデンサC1の電圧の差分は、クロック信号の1周期における、出力ノードNoutの電位量に相当する。また言い換えれば、本実施形態の測定部MPは、本例においても調整部APに対してクロック信号の1周期ごとに、出力ノードNoutの電位の変化量を出力する。
【0128】
なお、本例のように、容量性負荷14を充電する充電電流が継続して電流発生部CGから出力されることも、本実施形態における第十一ノードN11に出力される信号に基づいて制御されることの一例に含まれる。
【0129】
ところで、本実施形態に係る電源装置12は、容量性負荷14を駆動させる駆動回路10が、電流発生部CGと、測定部MPと、調整部APと、を備えているが、測定部MP及び調整部APを有しない、電流発生部CGのみとされた構成においても、容量性負荷14を駆動させることは可能である。しかしながら、測定部MP及び調整部APを有さず、電流発生部CGのみとされた構成では、容量性負荷14の静電容量が充電電流又は放電電流と比して著しく大きい場合や著しく小さい場合に、出力ノードNoutの電圧が安定しない場合がある。
【0130】
本実施形態に係る電源装置12は、測定部MPの出力結果に基づいて、調整部APは、電流発生部CGと容量性負荷14との出力ノードNoutの電位の変化量を制御する制御信号を電流発生部CGに送信する。このため、本実施形態の電源装置12によれば、容量性負荷14の静電容量によらずに、容量性負荷14を充電又は放電の少なくとも一方をする際における、電流発生部CGと容量性負荷14との出力ノードNoutの電圧が安定する。
【0131】
また、本実施形態の電源装置12は、電流発生部CGの制御PトランジスタPCが、制御信号に応じてスイッチングしてカレントミラー回路に供給する定電流を制御する。このため、本実施形態の電源装置12によれば、多値信号やアナログ信号に基づいて容量性負荷14に提供する電流の量を設定する場合と比べて、電流発生部CGの構成を簡素にすることができる。
【0132】
また、本実施形態の電源装置12は、電流発生部CGの出力端における単位時間あたりの時間変化量を、電位差として調整部APに出力する。このため、本実施形態の電源装置12によれば、電圧における単位時間あたりの時間変化量を、2値波形の値で出力する場合と比べて、時間分解能を向上させやすい。
【0133】
また、本実施形態の電源装置12は、第一電圧変化量測定ユニットがクロック信号と同期して基準電位に対する電流発生部CGの出力ノードNoutの電位の変化量を電位として保持するとともに、第二電圧変化量測定ユニットが第一電圧変化量測定ユニットとはクロック信号が半周期異なる時期に基準電位に対する電流発生部CGの出力ノードNoutの電位の変化量を電位として保持する。そして、電位差出力ユニットPDがクロック信号と同期して第一電位変化量測定ユニットPC1が保持した電位と第二電位変化量測定ユニットPC2が保持した電位との差分を、変化量を測定した結果として出力する。このため、本実施形態の電源装置12によれば、クロック信号の周期ごとに電流発生部CGの出力ノードNoutの電位の変化量をフィードバックすることができる。
【0134】
また、本実施形態の電源装置12は、第一電圧変化量測定ユニットが第一ユニティゲインバッファUGB1を介して電位差出力ユニットPDと接続し、第二電圧変化量測定ユニットが第二ユニティゲインバッファUGB2を介して電位差出力ユニットPDと接続する。このため、本実施形態の電源装置12によれば、第一ユニティゲインバッファUGB1及び第二ユニティゲインバッファUGB2を有していない場合と比べて、電位差出力ユニットPDの動作によらずに第一電圧変化量測定ユニット及び第二電圧変化量測定ユニットがそれぞれ基準電位に対する出力ノードNoutの電位を保持することができる。
【0135】
例えば、本実施形態に係る電源装置12は、第一ユニティゲインバッファUGB1を有するため、第三ノードN3と第三ノードN3’とを境に他の素子による影響を切り離すことができる。より具体的には、第一ユニティゲインバッファUGB1を有していない構成とした場合と比べ、第七ノードN7の電位変化の影響が、第三ノードN3へ波及することを防ぐことができる。このため、第一ユニティゲインバッファUGB1を有する構成とすることにより、測定部MPの設計が容易となる。また、第二ユニティゲインバッファUGB2についても同様である。
【0136】
また、本実施形態の電源装置12は、出力ノードNoutの電位を、測定部MPが第三ユニティゲインバッファUGB3を介して測定する。このため、本実施形態の電源装置12によれば、第三ユニティゲインバッファUGB3を介さずに電位の変化量を測定する場合と比べて、電流発生部CGに接続された容量性負荷14の仕様によらずに、電流発生部CGの出力ノードNoutの電位における単位時間あたりの変化量を測定することができる。
【0137】
また、本実施形態の電源装置12は、容量性負荷14に充電電流を流す充電部CP及び容量性負荷14に放電電流を流させる放電部DCPを有する。このため、本実施形態の電源装置12によれば、容量性負荷14の静電容量によらずに容量性負荷14の充電時及び放電時の電圧を安定させることができる。
【0138】
また、本実施形態の電源装置12によれば、第二参照電位点Vref2の電位を任意に設定することにより、出力ノードNoutに出力される充電電流を制御することができる。また、本実施形態の電源装置12によれば、測定部MP及び調整部APで用いるクロック信号の周期を変更することにより、出力ノードNoutに出力される充電電流を任意に制御することができる。
【0139】
(第一変形例)
続いて、本実施形態の電源装置12の第一変形例を、
図11を参照しながら説明する。
【0140】
図11は、本実施形態の第一変形例として、測定部MPの変形例を示す図である。
図11に示されるように、変形例に係る測定部MPは、電位差出力ユニットPDが第三スイッチS33をさらに有している。なお、本変形例では、図示しないが、第二比較器Comp2の入力端子に接続されるノードは、実施形態と逆とされている。より具体的には、本変形例では、第二比較器Comp2の正側入力端子に第九ノードN9が、負側入力端子に第二参照電位点Vref2が接続される。
【0141】
第三スイッチS33は、
図11に示されるように、第二スイッチS32と接続されるノードを、電源電位点VDD又はグランドGNDに切り替える。なお、第三スイッチS33は、どのような構成でもよい。
【0142】
本変形例において、第三スイッチS33が、第二スイッチS32と接続されるノードを電源電位点VDDとした状態は、
図3に示される状態と同様である。一方、第三スイッチS33が、第二スイッチS32と接続されるノードをグランドGNDとした状態では、第二スイッチS32の動作により、コンデンサC3は、第八ノードN8を介してグランドGNDと接続される。
【0143】
本変形例に係る電源装置12では、第三スイッチS33が、第二スイッチS32と接続されるノードをグランドGNDとした状態とすることにより、充電された容量性負荷14を放電する場合においても、実施形態に係る電源装置12と同様に、放電電流を制御することができる。より具体的には、容量性負荷14を放電させる場合において、出力ノードNoutの電位を測定すると、
図5に示される各ノードの電位が反転することとなるため、
図6に示される、第七ノードN7の電位、及びコンデンサC3の電位も反転する。
【0144】
このため、本変形例では、第八ノードN8の電位も、
図6に示される第八ノードN8の電位から反転する。より具体的には、実施形態において第八ノードN8が第二参照電位点Vref2の電位よりも低くなった時期に、本変形例では第八ノードN8の電位が第二参照電位点Vref2の電位よりも大きくなり、実施形態において第八ノードN8が第二参照電位点Vref2の電位よりも大きくなった時期に、本変形例では第八ノードN8の電位が第二参照電位点Vref2の電位よりも低くなる。言い換えれば、本変形例では、第一実施形態と同様に、出力ノードNoutにおける単位時間当たりの電位の変化量が大きい場合に、第八ノードN8の電位が第二参照電位点Vref2の電位よりも大きくなる。
【0145】
そして、本変形例では、第二比較器Comp2の正側入力端子に第九ノードN9が、負側入力端子に第二参照電位点Vref2が接続されるため、出力ノードNoutにおける単位時間当たりの電位の変化量が大きい場合に、実施形態と同様に、第十ノードN10に正の値が出力される。このため、本変形例では、充電された容量性負荷14を放電させる際の放電電流を、実施形態と同様に制御することができる。
【0146】
(第二変形例)
続いて、本実施形態の電源装置12の第二変形例を、
図12を参照しながら説明する。
【0147】
図12は、本実施形態の第二変形例として、調整部APの変形例を示す図である。
図12に示されるように、変形例に係る調整部APは、第一分圧抵抗RD1と、第二分圧抵抗RD2と、オペアンプOPとをさらに有する。
【0148】
オペアンプOPは、
図12に示されるように、実施形態における調整部APに対して第九ノードN9と第二比較器Comp2との間に挿入される。ここで、オペアンプOPに対する前段側(第八ノードN8側)を単に第九ノードN9と示し、オペアンプOPに対する後段側(第二比較器Comp2側)を第九ノードN9’として示す。また、オペアンプOPは、入力端子に接続された第九ノードN9の電位を増幅して第九ノードN9’側に伝える。なお、オペアンプOPの増幅率は、任意に設定される。
【0149】
第一分圧抵抗RD1及び第二分圧抵抗RD2は、
図12に示されるように、オペアンプOPの出力ノードとグランドGNDとの間に直列に接続されている。すなわち、第一分圧抵抗RD1と第二分圧抵抗RD2との間に接続された第九ノードN9’では、オペアンプOPの出力ノードのグランドGNDに対する電位を分圧される。
【0150】
そして、本変形例によれば、オペアンプOPの増幅率、又は第一分圧抵抗RD1と第二分圧抵抗RD2の抵抗値の比率を任意に設定することにより、第二比較器Comp2が偽を出力する第九ノードN9’の値を設定することができる。言い換えれば、本変形例によれば、調整部APが第十一ノードN11に制御信号を出力する第九ノードN9’の電位を任意に設定することができる。
【0151】
(その他の変形例)
なお、上述の説明において、電流発生部CGがカレントミラー回路と、カレントミラー回路に定電流を供給する制御PトランジスタPCを有していたが、本実施形態に係る電源装置12は、これに限られない。本実施形態に係る電源装置12としては、調整部APが第十一ノードN11に出力する制御信号に基づいて電力を制御することが可能とされていれば、電流発生部CGの構成を特に限定されない。
【0152】
また、上述の説明において、測定部MPが調整部APに出力ノードNoutにおける電位の単位時間当たりの変化量を、第九ノードN9へ電位差として出力していたが、本実施形態に係る電源装置12は、これに限られない。例えば、第九ノードN9に他の素子を設け、2値データとして出力してもよく、また、電流の変化量として出力してもよい。
【0153】
また、上述の説明において、測定部MPが第一電位変化量測定ユニットPC1と、第二電位変化量測定ユニットPC2の二つの変化量測定ユニットを有していたが、本実施形態に係る電源装置12は、これに限られない。例えば、変化量測定ユニットは、複数あればよく、3以上の電位変化量測定ユニットが設けられていてもよい。
【0154】
また、上述の説明において、測定部MPが第一ユニティゲインバッファUGB1、第二ユニティゲインバッファUGB2及び第三ユニティゲインバッファUGB3を有していたが、本実施形態に係る電源装置12は、これに限られない。電流発生部CG、測定部MP及び調整部APに含まれる各素子の仕様を適当に設定することにより、第一ユニティゲインバッファUGB1、第二ユニティゲインバッファUGB2及び第三ユニティゲインバッファUGB3を有していない構成としてもよい。
【0155】
また、上述の説明において、電流発生部CGが充電部CP及び放電部DCPを有していたが、本実施形態に係る電源装置12は、これに限られない。例えば、電流発生部CGは、充電部CPのみを有し、容量性負荷14を放電する機能を有しない構成としてもよく、放電部DCPのみを有し、容量性負荷14を充電する機能を有しない構成としてもよい。
【0156】
これらの変形例においても本実施形態に係る電源装置12と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0157】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0158】
なお、以下に本開示の好ましい態様を更に示す。
【0159】
(付記1)
容量性負荷を充放電する充放電電流を発生させる電流発生部と、
前記電流発生部と容量性負荷との接続端子における電位の単位時間あたりの変化量を測定した結果を出力する測定部と、
前記測定部の出力結果に基づいて充放電電流を制御する制御信号を前記電流発生部に送信する調整部と、
を備えた、電源装置。
【0160】
(付記2)
前記電流発生部は、カレントミラー回路と、前記カレントミラー回路に定電流を供給するスイッチ素子と、を含み、
前記スイッチ素子は、前記制御信号に応じてスイッチングする、
付記1に記載の、電源装置。
【0161】
(付記3)
前記測定部は、前記単位時間あたりの時間変化量を、電位差として前記調整部に出力する、
付記1又は付記2に記載の、電源装置。
【0162】
(付記4)
前記測定部は、第一電位変化量測定ユニットと、第二電位変化量測定ユニットと、電位差出力ユニットとを有し、
前記第一電位変化量測定ユニットは、基準電位に対する前記接続端子の電位をクロック信号の半周期ごとに保持し、
前記第二電位変化量測定ユニットは、基準電位に対する前記接続端子の電位を前記第一電位変化量測定ユニットとは時期が異なるクロック信号の半周期ごとに保持し、
前記電位差出力ユニットは、前記第一電位変化量測定ユニットが保持した電位と前記第二電位変化量測定ユニットが保持した電位との差分を、前記変化量を測定した結果として出力する、
付記3に記載の、電源装置。
【0163】
(付記5)
前記第一電位変化量測定ユニットは、第一ユニティゲインバッファをさらに有するとともに、前記第一ユニティゲインバッファを介して前記電位差出力ユニットと接続し、
前記第二電位変化量測定ユニットは、第二ユニティゲインバッファをさらに有するとともに、前記第二ユニティゲインバッファを介して前記電位差出力ユニットと接続する、
付記4に記載の、電源装置。
【0164】
(付記6)
前記測定部は、測定用ユニティゲインバッファをさらに有するとともに、前記接続端子の電位を、前記測定用ユニティゲインバッファを介して測定する、
付記1から付記5のいずれか一項に記載の、電源装置。
【0165】
(付記7)
前記電流発生部は、容量性負荷に充電電流を流す充電部及び容量性負荷に放電電流を流させる放電部を有する、
付記1から付記6のいずれか一項に記載の、電源装置。
【符号の説明】
【0166】
10 駆動回路
12 電源装置
14 容量性負荷
AP 調整部
CG 電流発生部
CP 充電部
DCP 放電部
FF1 フリップフロップ回路
GND グランド(基準電位の一例)
HiN 充電用信号端子
LoN 放電用信号端子
MP 測定部
Nout 出力ノード(接続端子の一例)
PC 制御Pトランジスタ(スイッチ素子の一例)
PC1 第一電位変化量測定ユニット
PC2 第二電位変化量測定ユニット
PD 電位差出力ユニット
UGB1 第一ユニティゲインバッファ
UGB2 第二ユニティゲインバッファ
UGB3 第三ユニティゲインバッファ(測定用ユニティゲインバッファの一例)
VDD 電源電位点
Vref1 第一参照電位点
Vref2 第二参照電位点