(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154709
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】インバータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M   1/08        20060101AFI20251002BHJP        
   H02M   7/48        20070101ALI20251002BHJP        
【FI】
H02M1/08 A 
H02M7/48 M 
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024057864
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野  真吾
【テーマコード(参考)】
5H740
5H770
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB01
5H740BB05
5H740BB08
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
5H770AA05
5H770DA01
5H770DA44
5H770GA01
5H770GA07
5H770JA18X
(57)【要約】
【課題】コモンモードノイズを小さくし、誤動作及び回路故障の可能性を抑制する。
【解決手段】インバータ装置は、N個のハイサイドスイッチと、N個のハイサイドドライバと、N個のハイサイド絶縁型伝送回路と、ハイサイドDC/DCコンバータと、を備え、N個のハイサイドスイッチに対して、導通時における低電位側の端子の電位と非導通時における低電位側の端子の電位との電位差の絶対値が一番小さいハイサイドスイッチを第1とし、電位差の絶対値が一番大きいハイサイドスイッチを第Nとなるように順番に番号付けした場合、第1~第Nのハイサイド絶縁型伝送回路は、それぞれ直列に接続された少なくともn個の分割絶縁型伝送回路を含み、第n以降の分割絶縁型伝送回路における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所に接続される。
【選択図】
図3
 
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  第1電圧が印加される第1入力端子と、パルス電圧出力端子との間に直列に接続されたN個のハイサイドスイッチ(Nは、2以上の整数)と、
  前記N個のハイサイドスイッチに一対一で設けられ、ハイサイド制御信号を受け取り、前記ハイサイド制御信号に応じて前記N個のハイサイドスイッチのうちの対応するハイサイドスイッチを導通または非導通に切り替えるN個のハイサイドドライバと、
  前記N個のハイサイドドライバに一対一で設けられ、制御回路から出力された信号を受け取り、前記制御回路から絶縁された前記ハイサイド制御信号を、前記N個のハイサイドドライバのうちの対応するハイサイドドライバに与えるN個のハイサイド絶縁型伝送回路と、
  前記N個のハイサイドドライバのそれぞれに対して駆動電圧を供給するハイサイドDC/DCコンバータと、
  を備え、
  前記N個のハイサイドスイッチに対して、導通時における低電位側の端子の電位と非導通時における低電位側の端子の電位との電位差の絶対値が一番小さいハイサイドスイッチを第1とし、前記電位差の絶対値が一番大きいハイサイドスイッチを第Nとなるように順番に番号付けした場合、
  前記第1~第Nのハイサイド絶縁型伝送回路のうちの第nのハイサイド絶縁型伝送回路(nは、1以上、N以下の整数)における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は前記低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続され、
  前記第1~第Nのハイサイド絶縁型伝送回路は、それぞれ直列に接続された少なくともn個の分割絶縁型伝送回路を含み、このうち前記制御回路側から数えて第n以降の分割絶縁型伝送回路における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は前記低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される
  インバータ装置。
【請求項2】
  前記パルス電圧出力端子と、前記第1電圧より低い第2電圧が印加される第2入力端子との間に直列に接続されたM個のローサイドスイッチ(Mは、2以上の整数)と、
  前記M個のローサイドスイッチに一対一で設けられ、ローサイド制御信号を受け取り、前記ローサイド制御信号に応じて前記M個のローサイドスイッチのうちの対応するローサイドスイッチを導通または非導通に切り替えるM個のローサイドドライバと、
  前記M個のローサイドドライバに一対一で設けられ、前記制御回路から出力された信号を受け取り、前記制御回路から絶縁された前記ローサイド制御信号を、前記M個のローサイドドライバのうちの対応するローサイドドライバに与えるM個のローサイド絶縁型伝送回路と、
  前記M個のローサイドドライバのそれぞれに対して駆動電圧を供給するローサイドDC/DCコンバータと、
  を備え、
  前記M個のローサイドスイッチに対して、導通時における低電位側の端子の電位と非導通時における低電位側の端子の電位との電位差の絶対値が一番小さいローサイドスイッチを第1とし、前記電位差の絶対値が一番大きいローサイドスイッチを第Mとなるように順番に番号付けした場合、
  前記第1~第Mのローサイド絶縁型伝送回路のうちの第mのローサイド絶縁型伝送回路(mは、1以上、M以下の整数)における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は前記低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続され、
  前記第1~第Mのローサイド絶縁型伝送回路は、それぞれ直列に接続された少なくともm個の分割絶縁型伝送回路を含み、このうち前記制御回路側から数えて第m以降の分割絶縁型伝送回路における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は前記低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される
  請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項3】
  前記N個のハイサイドスイッチは、同期して導通または非導通に切り替えられ、
  前記M個のローサイドスイッチは、同期して導通または非導通に切り替えられ、
  前記N個のハイサイドスイッチと、前記M個のローサイドスイッチとは、導通または非導通が相補的に切り替えられる
  請求項2に記載のインバータ装置。
【請求項4】
  前記N個のハイサイド絶縁型伝送回路のそれぞれは、
  直列に接続されたN個の分割絶縁型伝送回路を含み、
  前記N個の分割絶縁型伝送回路のそれぞれは、直列に接続された前段の回路から信号を受け取り、受け取った信号に応じた信号であって、前記前段の回路から絶縁された信号を出力し、
  前記N個の分割絶縁型伝送回路のうちの先頭の分割絶縁型伝送回路は、前記制御回路から出力された信号を受け取り、前記N個の分割絶縁型伝送回路のうちの末尾の分割絶縁型伝送回路は、対応するハイサイドドライバに前記ハイサイド制御信号を与える
  請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項5】
  前記M個のローサイド絶縁型伝送回路のそれぞれは、
  直列に接続されたM個の分割絶縁型伝送回路を含み、
  前記M個の分割絶縁型伝送回路のそれぞれは、直列に接続された前段の回路から信号を受け取り、受け取った信号に応じた信号であって、前記前段の回路から絶縁された信号を出力し、
  前記M個の分割絶縁型伝送回路のうちの先頭の分割絶縁型伝送回路は、前記制御回路から出力された信号を受け取り、前記M個の分割絶縁型伝送回路のうちの末尾の分割絶縁型伝送回路は、対応するローサイドドライバに前記ローサイド制御信号を与える
  請求項2に記載のインバータ装置。
【請求項6】
  前記ハイサイドDC/DCコンバータは、前記N個のハイサイドドライバに一対一で設けられ、それぞれが絶縁型の直流-直流の電力変換をするN個の分割DC/DCコンバータが直列接続されて構成されており、
  前記N個の分割DC/DCコンバータに対して、外部回路から出力された電圧を受け取る分割DC/DCコンバータを第1の分割DC/DCコンバータとし、末尾の分割DC/DCコンバータが第Nの分割DC/DCコンバータとなるように順番に番号付けした場合、
  前記第1~第Nの分割DC/DCコンバータは、それぞれ前記N個のハイサイドスイッチのうちの非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番小さいハイサイドスイッチに対応するハイサイドドライバから非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番大きいハイサイドスイッチに対応するハイサイドドライバに向かう順番で、それぞれに対応するハイサイドドライバに対して駆動電圧を供給するものであり、
  第nの分割DC/DCコンバータにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は前記低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される
  請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項7】
  前記ローサイドDC/DCコンバータは、前記M個のローサイドドライバに一対一で設けられ、それぞれが絶縁型の直流-直流の電力変換をするM個の分割DC/DCコンバータが直列接続されて構成されており、
  前記M個の分割DC/DCコンバータに対して、外部回路から出力された電圧を受け取る分割DC/DCコンバータを第1の分割DC/DCコンバータとし、末尾の分割DC/DCコンバータが第Mの分割DC/DCコンバータとなるように順番に番号付けした場合、
  前記第1~第Mの分割DC/DCコンバータは、それぞれ前記M個のローサイドスイッチのうちの非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番小さいローサイドスイッチに対応するローサイドドライバから非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番大きいローサイドスイッチに対応するローサイドドライバに向かう順番で、それぞれに対応するローサイドドライバに対して駆動電圧を供給するものであり、
  第mの分割DC/DCコンバータにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は前記低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される
  請求項2に記載のインバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、インバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
  例えばプラズマ装置等に数kV~数10kの振幅の高電圧のパルスを印加する場合がある(特許文献1参照)。このような、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、スイッチとして、高耐圧のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor  Field-Effect  Transistor)又は高耐圧のIGBT(Insulated-Gate  Bipolar  Transistor)等が用いられる。
【0003】
  このような高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、スイッチと、スイッチを制御するための制御回路との間の配線を絶縁して信号を伝達する絶縁型の伝送回路を備える。例えば、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、トランスにより入力側(一次側)の配線と、出力側(二次側)の配線とを電気的に絶縁して信号を伝達する絶縁型の伝送回回路を備える。また、例えば、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、電気信号を発光素子で光に変換し、光を受光素子で電子信号に変換することにより絶縁をする光ファイバを用いた伝送回路を備えてもよい。さらに、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、駆動回路に電力を供給する電力変換回路として、絶縁型DC/DCコンバータを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
               【特許文献1】特開2023-95483号公報
               【特許文献2】特開2020-114142号公報
             
【非特許文献】
【0005】
               【非特許文献1】神宮  克哉、和田  圭二、“ゲート信号遅延によるSiC-MOSFET直列接続時における電圧バランス制御”、2018年11月1日、電気学会論文誌D(産業応用部誌)/138巻(2018)11号、p.864-870
             
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
  ところで、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、高速にスイッチングをした場合、絶縁型の回路の入出力間に、大きな電圧時間変化(dV/dt)であるコモンモードノイズが発生する。絶縁型の伝送回路及び絶縁型DC/DCコンバータは、大きなコモンモードノイズが発生した場合、電圧時間変化によって生じる電流変化によって誤動作又は故障をする場合がある。例えば、光ファイバ又はトランスを用いた伝送回路は、このような電流変化に対する耐性が、同相過渡耐性又はコモンモード耐量(CMTI)として規定される。絶縁型の伝送回路は、一般的な半導体により実現された場合、数10kV/μs~数100kV/μs程度の耐性を有する。また、絶縁型DC/DCコンバータは、このような電流変化に対する耐性が、コモンモード電流耐性として規定される。
【0007】
  高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、絶縁型の伝送回路を同相過渡耐性及びコモンモード耐性の規定範囲内で用いる場合、高価な回路を用いるか、スイッチのスイッチング速度を遅くしなければならない。また、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、絶縁型DC/DCコンバータをコモンモード電流耐性の規定範囲内で用いる場合、同様に、高価な回路を用いるか、スイッチのスイッチング速度を遅くしなければならない。しかしながら、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、高価な回路を用いた場合、コストが高くなってしまい、スイッチのスイッチング速度を遅くした場合、スイッチ損失が大きくなってしまう。
【0008】
  また、このような対策のため、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、絶縁型の伝送回路を直列に複数個接続したり、絶縁型DC/DCコンバータを直列に複数個接続したりすることにより、個々の回路のコモンモードノイズの負担を軽減することができる(例えば、特許文献2及び非特許文献1)。しかし、各回路は、入出力間の寄生容量にばらつきがあるので、容量の大きい回路の入出力間より、容量の小さい回路の入出力間に大きな電圧が印加される。従って、高電圧のパルスを発生するインバータ装置は、絶縁型の伝送回路を直列に複数個接続したり、DC/DCコンバータを直列に複数個接続したりした場合であっても、個々の回路のコモンモードノイズの負担を軽減することが好ましい。
【0009】
  本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、N個のハイサイド絶縁型伝送回路のそれぞれに印加されるコモンモードノイズを小さくし、誤動作及び回路故障の可能性を抑制することができるインバータ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
  上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るインバータ装置は、第1電圧が印加される第1入力端子と、パルス電圧出力端子との間に直列に接続されたN個のハイサイドスイッチ(Nは、2以上の整数)と、前記N個のハイサイドスイッチに一対一で設けられ、ハイサイド制御信号を受け取り、前記ハイサイド制御信号に応じて前記N個のハイサイドスイッチのうちの対応するハイサイドスイッチを導通または非導通に切り替えるN個のハイサイドドライバと、前記N個のハイサイドドライバに一対一で設けられ、制御回路から出力された信号を受け取り、前記制御回路から絶縁された前記ハイサイド制御信号を、前記N個のハイサイドドライバのうちの対応するハイサイドドライバに与えるN個のハイサイド絶縁型伝送回路と、前記N個のハイサイドドライバのそれぞれに対して駆動電圧を供給するハイサイドDC/DCコンバータと、を備え、前記N個のハイサイドスイッチに対して、導通時における低電位側の端子の電位と非導通時における低電位側の端子の電位との電位差の絶対値が一番小さいハイサイドスイッチを第1とし、前記電位差の絶対値が一番大きいハイサイドスイッチを第Nとなるように順番に番号付けした場合、前記第1~第Nのハイサイド絶縁型伝送回路のうちの第nのハイサイド絶縁型伝送回路(nは、1以上、N以下の整数)における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は前記低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続され、前記第1~第Nのハイサイド絶縁型伝送回路は、それぞれ直列に接続された少なくともn個の分割絶縁型伝送回路を含み、このうち前記制御回路側から数えて第n以降の分割絶縁型伝送回路における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は前記低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【発明の効果】
【0011】
  本発明によれば、N個のハイサイド絶縁型伝送回路のそれぞれに印加されるコモンモードノイズを小さくし、誤動作及び回路故障の可能性を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
            【
図1】
図1は、第1実施形態に係る送信装置及びインバータ装置を示す図である。
 
            【
図2】
図2は、第1実施形態に係るインバータ装置の構成を示す図である。
 
            【
図3】
図3は、第1実施形態に係るハイサイド駆動回路の構成を、N個のハイサイドスイッチとともに示す図である。
 
            【
図4】
図4は、第1実施形態に係るハイサイド駆動回路の構成の変形例を示す図である。
 
            【
図5】
図5は、第1実施形態に係るローサイド駆動回路の構成を、M個のローサイドスイッチとともに示す図である。
 
            【
図6】
図6は、第nのハイサイドドライバ及び第nのハイサイド電位差回路の構成を示す図である。
 
            【
図7】
図7は、第2実施形態に係るインバータ装置の構成を示す図である。
 
            【
図8】
図8は、第2実施形態に係るハイサイド駆動回路の構成を、N個のハイサイドスイッチとともに示す図である。
 
            【
図9】
図9は、第2実施形態に係るローサイド駆動回路の構成を、M個のローサイドスイッチとともに示す図である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0013】
  (第1実施形態)
  図1は、第1実施形態に係る送信装置10及びインバータ装置20を示す図である。
 
【0014】
  送信装置10は、制御信号をインバータ装置20に送信する。例えば、送信装置10は、制御信号として、光信号をインバータ装置20に送信してもよい。また、送信装置10は、制御信号として、電気信号をインバータ装置20に送信してもよい。
【0015】
  インバータ装置20は、送信装置10から制御信号を受信し、受信した制御信号に応じてスイッチングする。インバータ装置20は、第1入力端子22と、第2入力端子24と、基準電圧入力端子26と、駆動電圧入力端子28と、信号入力端子32と、パルス電圧出力端子34とを備える。第1入力端子22、第2入力端子24、基準電圧入力端子26、駆動電圧入力端子28、信号入力端子32及びパルス電圧出力端子34は、電極又は金属パット等であってもよいし、電気配線の一部分であってもよい。
【0016】
  第1入力端子22は、第1電圧が印加される。第2入力端子24は、第1電圧より低い第2電圧が印加される。本実施形態において、第2電圧は、負の電圧である。本実施形態において、第1電圧は、出力側の電力線系統のグランド電位である0Vである。本実施形態において、第2電圧は、出力側の電力線系統の-3kVである。なお、第2電圧が第1電圧より低ければ、第1電圧及び第2電圧は、このような電圧値に限らず、他の電圧値であってもよい。例えば、第1電圧がグランド電位である0Vであり、第2電圧が-10kVであってもよいし、第1電圧が15kVであり、第2電圧がグランド電位である0Vであってもよい。また、第1電圧及び第2電圧のそれぞれは、時間経過に従って変化する電圧であってもよい。例えば、第1電圧及び第2電圧のそれぞれは、パルス電圧又は正弦波電圧等であってもよい。
【0017】
  基準電圧入力端子26は、入力側の電力線系統の基準電圧である0Vが印加される。駆動電圧入力端子28は、電源電圧が印加される。本実施形態においては、駆動電圧入力端子28は、電源電圧として、入力側の電力線系統の+24Vが印加される。電源電圧は、+24Vに限らず、他の直流電圧であってもよい。
【0018】
  信号入力端子32は、送信装置10から出力された制御信号が与えられる。
【0019】
  パルス電圧出力端子34は、第1入力端子22に印加された第1電圧(0V)又は第2入力端子24に印加された第2電圧(-3kV)の何れかを出力する。なお、パルス電圧出力端子34は、第1電圧(0V)及び第2電圧(-3kV)の何れも出力せずに、ハイインピーダンスの状態となってもよい。
【0020】
  インバータ装置20は、信号入力端子32に供給された制御信号に応じて、パルス電圧出力端子34から、第1入力端子22に印加される第1電圧(0V)を出力するか、第2入力端子24に印加される第2電圧(-3kV)を出力するかを切り替える。また、インバータ装置20の内部回路は、駆動電圧入力端子28から供給される電力に基づき駆動する。
【0021】
  図2は、第1実施形態に係るインバータ装置20の構成を示す図である。
 
【0022】
  インバータ装置20は、N個のハイサイドスイッチ42(42-1~42N)(Nは、2以上の整数)と、M個のローサイドスイッチ44(44-1~44-M)(Mは、2以上の整数)と、ハイサイド駆動回路46と、ローサイド駆動回路48と、制御回路50とを備える。
【0023】
  N個のハイサイドスイッチ42は、第1入力端子22とパルス電圧出力端子34との間に直列に接続される。N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれは、導通又は非導通に切り替えられる。N個のハイサイドスイッチ42は、全てが導通に切り替えられた場合、第1入力端子22とパルス電圧出力端子34との間を導通させることができる。N個のハイサイドスイッチ42は、少なくとも1個が非導通に切り替えられた場合、第1入力端子22とパルス電圧出力端子34との間を非導通とさせることができる。
【0024】
  M個のローサイドスイッチ44は、第2入力端子24とパルス電圧出力端子34との間に直列に接続される。M個のローサイドスイッチ44のそれぞれは、導通又は非導通に切り替えられる。M個のローサイドスイッチ44は、全てが導通に切り替えられた場合、第2入力端子24とパルス電圧出力端子34との間を導通させることができる。M個のローサイドスイッチ44は、少なくとも1個が非導通に切り替えられた場合、第2入力端子24とパルス電圧出力端子34との間を非導通とさせることができる。
【0025】
  制御回路50は、信号入力端子32を介して、送信装置10から送信された制御信号を受信する。制御回路50は、信号入力端子32を介して受信した制御信号に応じた、第1の制御信号と第2の制御信号とを生成する。第1の制御信号と第2の制御信号とは、互いに論理が反転した信号である。第1の制御信号がハイ論理(例えば5Vの電圧信号)である場合、第2の制御信号は、ロー論理(例えば0Vの電圧信号)である。また、第1の制御信号がロー論理である場合、第2の制御信号は、ハイ論理である。
【0026】
  ハイサイド駆動回路46は、制御回路50から第1の制御信号を受け取り、第1の制御信号の論理の変化に応じて、N個のハイサイドスイッチ42を同期して導通又は非導通に切り替える。ハイサイド駆動回路46は、電源電圧(+24V)を電力源として動作する。
【0027】
  ローサイド駆動回路48は、制御回路50から第2の制御信号を受け取り、第2の制御信号の論理の変化に応じて、M個のローサイドスイッチ44を同期して導通又は非導通に切り替える。ローサイド駆動回路48は、電源電圧(+24V)を電力源として動作する。
【0028】
  例えば、ハイサイド駆動回路46は、第1の制御信号がハイ論理である場合、N個のハイサイドスイッチ42を導通とし、第1の制御信号がロー論理である場合、N個のハイサイドスイッチ42を非導通とする。例えば、ローサイド駆動回路48は、第2の制御信号がハイ論理である場合、M個のローサイドスイッチ44を導通とし、第2の制御信号がロー論理である場合、M個のローサイドスイッチ44を非導通とする。これにより、制御回路50は、N個のハイサイドスイッチ42が導通となっている場合、M個のローサイドスイッチ44を、非導通とすることができる。また、制御回路50は、N個のハイサイドスイッチ42が非導通となっている場合、M個のローサイドスイッチ44を導通とすることができる。従って、N個のハイサイドスイッチ42と、M個のローサイドスイッチ44とは、導通又は非導通が相補的に切り替えられる。これにより、インバータ装置20は、信号入力端子32に印加された制御信号に応じて、パルス電圧出力端子34から第1電圧(0V)を出力するか、第2電圧(-3kV)を出力するかを切り替えることができる。
【0029】
  N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれは、NチャネルのMOSFETである。
図2は、N=3の場合の構成例を示している。N個のハイサイドスイッチ42は、ドレイン-ソースが直列に並ぶように接続される。N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれは、ドレインが第1入力端子22の側に配置され、ソースがパルス電圧出力端子34の側に配置される。また、N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれは、ゲート-ソース間に、ハイサイド駆動回路46から電圧が印加される。N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれは、ゲート-ソース間に印加された電圧に応じて、ドレイン-ソース間が導通(ON)又は非導通(OFF)に切り替えられる。
 
【0030】
  第1入力端子22は、第2入力端子24より高い電圧が印加される。N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれは、ボディーダイオードを含む。ボディーダイオードは、アノードがソースに接続され、カソードがドレインに接続される。従って、N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれにおいて、ドレインは、非導通時における高電位側の端子となり、ソースは、非導通時における低電位側の端子となる。
【0031】
  導通時において、N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれにおける低電位側の端子(ソース)の電位は、第1入力端子22に印加される第1電圧(0V)となる。
【0032】
  N個のハイサイドスイッチ42が非導通時において、パルス電圧出力端子34の電位は、第2入力端子24に印加される第2電圧(-3V)となる。従って、非導通時において、N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれにおける低電位側の端子(ソース)の電位は、第1入力端子22の電位(0V)と第2入力端子24の電位(-3kV)との電位差(3kV)に、第1分圧比を乗じた分圧電圧を、パルス電圧出力端子34の電位(-3kV)に加算した値となる。なお、第1分圧比は、Nを、パルス電圧出力端子34から低電位側の端子(ソース)までのボディーダイオードの個数により除算した値である。
【0033】
  ここで、N個のハイサイドスイッチ42に対して、導通時における低電位側の端子の電位と非導通における低電位側の端子の電位との電位差の絶対値が一番小さいハイサイドスイッチ42を第1とし、電位差の絶対値が一番大きいハイサイドスイッチ42を第Nとなるように、電位差が小さい方から順番に番号付けをする。この場合、第1~第NのN個のハイサイドスイッチ42のうちの電位差の絶対値が小さい方からn番目のハイサイドスイッチ42(nは、1以上、N以下の整数)は、第nのハイサイドスイッチ42-nとなる。
【0034】
  図2の構成例において、最も第1入力端子22の側に配置されるハイサイドスイッチ42は、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が0Vとなり、非導通時(OFF)における低電位側の端子(ソース)の電位が-1kVとなり、電位差が1kVとなる。第1入力端子22の側から2番目に配置されるハイサイドスイッチ42は、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が0Vとなり、非導通時(OFF)における低電位側の端子(ソース)の電位が-2kVとなり、電位差が2kVとなる。最もパルス電圧出力端子34の側に配置されるハイサイドスイッチ42は、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が0Vとなり、非導通時(OFF)における低電位側の端子の電位が-3kVとなり、電位差が3kVとなる。従って、
図2の構成例において、最も第1入力端子22の側に配置されるハイサイドスイッチ42が第1のハイサイドスイッチ42-1となる。第1入力端子22の側から2番目に配置されるハイサイドスイッチ42は、第2のハイサイドスイッチ42-2となる。最もパルス電圧出力端子34の側に配置されるハイサイドスイッチ42は、第3のハイサイドスイッチ42-3となる。
 
【0035】
  M個のローサイドスイッチ44のそれぞれは、NチャネルのMOSFETである。
図2は、M=3の場合の構成例を示している。M個のローサイドスイッチ44は、ドレイン-ソースが直列に並ぶように接続される。M個のローサイドスイッチ44のそれぞれは、ドレインがパルス電圧出力端子34の側に配置され、ソースが第2入力端子24の側に配置される。また、M個のローサイドスイッチ44のそれぞれは、ゲート-ソース間に、ローサイド駆動回路48から電圧が印加される。M個のローサイドスイッチ44のそれぞれは、ゲート-ソース間に印加された電圧に応じて、ドレイン-ソース間が導通(ON)又は非導通(OFF)に切り替えられる。
 
【0036】
  第1入力端子22は、第2入力端子24より高い電圧が印加される。M個のローサイドスイッチ44のそれぞれは、ボディーダイオードを含む。ボディーダイオードは、アノードがソースに接続され、カソードがドレインに接続される。従って、M個のローサイドスイッチ44のそれぞれにおいて、ドレインは、非導通時における高電位側の端子となり、ソースは、非導通時における低電位側の端子となる。
【0037】
  導通時において、M個のローサイドスイッチ44のそれぞれにおける低電位側の端子(ソース)の電位は、第2入力端子24に印加される第2電圧(-3kV)となる。
【0038】
  M個のローサイドスイッチ44が非導通時において、パルス電圧出力端子34の電位は、第1入力端子22に印加される第1電圧(0V)となる。従って、非導通時において、M個のローサイドスイッチ44のそれぞれにおける低電位側の端子(ソース)の電位は、第1入力端子22の電位(0V)と第2入力端子24の電位(-3kV)との電位差に、第2分圧比を乗じた分圧電圧を、第2入力端子24の電位(-3kV)に加算した値となる。なお、第2分圧比は、Mを、第2入力端子24から低電位側の端子(ソース)までのボディーダイオードの個数により除算した値である。
【0039】
  ここで、M個のローサイドスイッチ44に対して、導通時における低電位側の端子の電位と非導通における低電位側の端子の電位との電位差の絶対値が一番小さいローサイドスイッチ44を第1とし、電位差の絶対値が一番大きいローサイドスイッチ44を第Mとなるように、電位差が小さい方から順番に番号付けをする。この場合、第1~第MのM個のローサイドスイッチ44のうちの電位差の絶対値が小さい方からm番目のローサイドスイッチ44(mは、1以上、M以下の整数)は、第mのローサイドスイッチ44-mとなる。
【0040】
  図2の構成例において、最も第2入力端子24の側に配置されるローサイドスイッチ44は、非導通時(OFF)における低電位側の端子(ソース)の電位が-3kVとなり、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が-3kVとなり、電位差が0Vとなる。第2入力端子24の側から2番目に配置されるローサイドスイッチ44は、非導通時(OFF)における低電位側の端子(ソース)の電位が-2kVとなり、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が-3kVとなり、電位差が-1kVとなる。最もパルス電圧出力端子34の側に配置されるローサイドスイッチ44は、非導通時(OFF)における低電位側の端子の電位が-1kVとなり、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が-3kVとなり、電位差が-2kVとなる。従って、
図2の構成例において、最も第2入力端子24の側に配置されるローサイドスイッチ44が第1のローサイドスイッチ44-1となる。第2入力端子24の側から2番目に配置されるローサイドスイッチ44は、第2のローサイドスイッチ44-2となる。最もパルス電圧出力端子34の側に配置されるローサイドスイッチ44は、第3のローサイドスイッチ44-3となる。
 
【0041】
  図3は、第1実施形態に係るハイサイド駆動回路46の構成を、N個のハイサイドスイッチ42(42-1~42-N)とともに示す図である。
 
【0042】
  ハイサイド駆動回路46は、N個のハイサイド電位差回路52(52-1~52-N)と、N個のハイサイド基準電位線54(54-1~54-N)とを有する。
【0043】
  N個のハイサイド電位差回路52は、N個のハイサイドスイッチ42に一対一で設けられる。例えば、第1~第NのN個のハイサイド電位差回路52のうちの第nのハイサイド電位差回路52-nは、N個のハイサイドスイッチ42のうちの第nのハイサイドスイッチ42-nに対応する。
【0044】
  N個のハイサイド電位差回路52のそれぞれは、N個のハイサイドスイッチ42のうちの対応するハイサイドスイッチ42の非導通時における低電位側の端子(ソース)の電位から、所定の電位差の電位を発生させる。例えば、第nのハイサイド電位差回路52-nは、第nのハイサイドスイッチ42-nのソースの電位から所定の電位差の電位を発生させる。
【0045】
  本実施形態においては、第nのハイサイド電位差回路52-nは、第nのハイサイドスイッチ42-nのソースよりも約6V低い電位を発生させる。なお、所定の電位差は、0Vであってもよい。
【0046】
  N個のハイサイド基準電位線54は、N個のハイサイドスイッチ42に一対一で設けられる。例えば、第1~第NのN個のハイサイド基準電位線54のうちの第nのハイサイド基準電位線54-nは、第nのハイサイドスイッチ42-nに対応する。
【0047】
  N個のハイサイド基準電位線54のそれぞれは、N個のハイサイドスイッチ42のうちの対応するハイサイドスイッチ42の非導通時における低電位側の端子(ソース)と同じ電位の箇所、又は、対応するハイサイドスイッチ42の非導通時における低電位側の端子(ソース)に対して所定の電位差の箇所に接続される。例えば、第nのハイサイド基準電位線54-nは、第nのハイサイドスイッチ42-nのソースに、直接接続される。又は、第nのハイサイド基準電位線54-nは、第nのハイサイド電位差回路52-nにおける、第nのハイサイドスイッチ42-nのソースに対して所定の電位差の電位を発生させる端子に接続される。
【0048】
  さらに、ハイサイド駆動回路46は、N個のハイサイドドライバ56(56-1~56-N)と、N個のハイサイド絶縁型伝送回路58(58-1~58-N)と、ハイサイドDC/DCコンバータ60とを有する。
【0049】
  N個のハイサイドドライバ56は、N個のハイサイドスイッチ42に一対一で設けられる。例えば、第1~第NのN個のハイサイドドライバ56のうちの第nのハイサイドドライバ56-nは、第nのハイサイドスイッチ42-nに対応する。
【0050】
  N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、負側駆動電位端子62と、正側駆動電位端子64とを含む。
【0051】
  N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、負側駆動電位端子62に、対応するハイサイドスイッチ42に対応するハイサイド基準電位線54が接続される。例えば、第nのハイサイドドライバ56-nは、負側駆動電位端子62に、第nのハイサイド基準電位線54-nが接続される。
【0052】
  N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、正側駆動電位端子64に、ハイサイドDC/DCコンバータ60から、対応するハイサイド基準電位線54の電位を基準とした駆動電圧が供給される。例えば、第nのハイサイドドライバ56-nは、第nのハイサイド基準電位線54-nの電位に対して+24Vとなる駆動電圧が、正側駆動電位端子64に供給される。本実施形態において、N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、ハイサイドDC/DCコンバータ60に含まれる、互いに絶縁された回路から発生された駆動電圧が供給される。N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、供給された駆動電圧を電力源として動作する。
【0053】
  N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、制御信号入力端子から、N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のうちの対応するハイサイド絶縁型伝送回路58からハイサイド制御信号を受け取る。N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、制御電圧出力端子が、対応するハイサイドスイッチ42のゲートに接続される。N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、制御信号入力端子から受け取ったハイサイド制御信号の論理に応じて、制御電圧出力端子を負側駆動電位端子62の電位、又は、正側駆動電位端子64の電位に切り替える。N個のハイサイドドライバ56のそれぞれにおける負側駆動電位端子62の電位は、対応するハイサイドスイッチ42のソースと同一の電位又は対応するハイサイドスイッチ42のソースに対して所定の電位差となっている。従って、N個のハイサイドドライバ56のそれぞれは、対応するハイサイドスイッチ42を、ハイサイド制御信号の論理に応じて導通又は非導通に切り替えることができる。例えば、第nのハイサイドドライバ56-nは、受け取ったハイサイド制御信号の論理に応じて、第nのハイサイドスイッチ42-nにおけるゲート-ソース間電圧を変化させることにより、第nのハイサイドスイッチ42-nのドレイン-ソース間を導通又は非導通に切り替えることができる。
【0054】
  N個のハイサイド絶縁型伝送回路58は、N個のハイサイドスイッチ42に一対一で設けられる。例えば、第1~第NのN個のハイサイド絶縁型伝送回路58のうちの第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nは、第nのハイサイドスイッチ42-nに対応する。
【0055】
  N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれは、2個の入力端子(基準電位側入力端子581及び信号入力端子582)を含む。N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれにおける2個の入力端子のうちの一方である基準電位側入力端子581は、入力側の電力線系統のグランド電位である0Vに接続され、2個の入力端子のうちの他方である信号入力端子582は、制御回路50から第1の制御信号を受け取る。
【0056】
  N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれは、2個の出力端子(基準電位側出力端子583及び信号出力端子584)を含む。N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれにおける2個の出力端子のうちの一方である基準電位側出力端子583は、対応するハイサイドスイッチ42に対応するハイサイド基準電位線54に接続される。例えば、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nにおける2個の出力端子のうちの基準電位側出力端子583は、第nのハイサイド基準電位線54-nに接続される。すなわち、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nにおける2個の出力端子のうちの基準電位側出力端子583は、第nのハイサイドスイッチ42-nの非導通時における低電位側の端子(ソース)と同じ電位の箇所又は低電位側の端子(ソース)に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0057】
  N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれにおける2個の出力端子のうちの他方である信号出力端子584は、ハイサイド制御信号を、N個のハイサイドドライバ56のうちの対応するハイサイドドライバ56に与える。例えば、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nにおける2個の出力端子のうちの信号出力端子584は、ハイサイド制御信号を、第nのハイサイドドライバ56-nに与える。
【0058】
  本実施形態においては、N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれは、直列に接続されたN個の分割絶縁型伝送回路66(66-1~66-N)を含む。
【0059】
  N個の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれは、絶縁機能を有した信号伝達手段であり、入力された信号を絶縁しつつ出力するものである。例えば、N個の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれは、光ファイバ又はトランスを用いた伝送回路である。
【0060】
  N個の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれは、2個の入力端子と、2個の出力端子とを含む。N個の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれは、内部において、2個の入力端子と、2個の出力端子とが絶縁されている。
【0061】
  N個の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれは、2個の入力端子のうちの一方の端子が入力側の基準電位の箇所に接続され、2個の入力端子のうちの他方の端子に入力信号が与えられる。N個の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれは、2個の出力端子のうちの一方の基準電位側端子が出力側の基準電位の箇所に接続され、2個の出力端子のうちの他方の端子が出力信号を出力する。
【0062】
  直列に接続されたN個の分割絶縁型伝送回路66のうちの先頭の分割絶縁型伝送回路66は、2個の入力端子のうち一方の端子が、入力側の基準電位の箇所として、入力側の電力線系統のグランド電位である0Vに接続される。先頭の分割絶縁型伝送回路66は、2個の入力端子のうちの他方の端子が、入力信号として、制御回路50から第1の制御信号を受け取る。
【0063】
  N個の分割絶縁型伝送回路66のうちの先頭以外の分割絶縁型伝送回路66は、2個の入力端子のうちの一方の端子が、入力側の基準電位の箇所として、前段に接続された分割絶縁型伝送回路66における2個の出力端子のうちの一方である基準電位側端子に接続される。先頭以外の分割絶縁型伝送回路66は、2個の入力端子のうちの他方の端子が、入力信号として、前段に接続された分割絶縁型伝送回路66における2個の出力端子のうちの他方である端子から出力される出力信号を受け取る。
【0064】
  そして、N個の分割絶縁型伝送回路66のうちの末尾の分割絶縁型伝送回路66は、2個の出力端子のうち出力信号を出力する端子が、対応するハイサイドドライバ56にハイサイド制御信号を与える。
【0065】
  ここで、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nに含まれる第1~第NのN個の分割絶縁型伝送回路66のうち制御回路50側から数えて第n以降の分割絶縁型伝送回路66-n~66-Nのそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイド基準電位線54-nに接続される。すなわち、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nに含まれる第n以降の分割絶縁型伝送回路66における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチ42-nの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0066】
  例えば、第1のハイサイド絶縁型伝送回路58-1に含まれる第1以降の分割絶縁型伝送回路66-1~66-Nのそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第1のハイサイド基準電位線54-1に接続される。また、例えば、第2のハイサイド絶縁型伝送回路58-2に含まれる第2以降の分割絶縁型伝送回路66-2~66-Nのそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第2のハイサイド基準電位線54-2に接続される。また、例えば、第3のハイサイド絶縁型伝送回路58-3に含まれる第3以降の分割絶縁型伝送回路66-3~66-Nのそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第3のハイサイド基準電位線54-3に接続される。
【0067】
  さらに、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nに含まれるN個の分割絶縁型伝送回路66のうち制御回路50側から数えて第nよりも前段の第pの分割絶縁型伝送回路66-p(pは、1以上、n未満の整数)における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第pのハイサイド基準電位線54-pに接続される。すなわち、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nに含まれる第nよりも前段の第pの分割絶縁型伝送回路66-pにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第pのハイサイドスイッチ42-pの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0068】
  例えば、第2のハイサイド絶縁型伝送回路58-2に含まれる第1の分割絶縁型伝送回路66-1における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第1のハイサイド基準電位線54-1に接続される。例えば、第3のハイサイド絶縁型伝送回路58-3に含まれる第1の分割絶縁型伝送回路66-1における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第1のハイサイド基準電位線54-1に接続される。例えば、第3のハイサイド絶縁型伝送回路58-3に含まれる第2の分割絶縁型伝送回路66-2における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第2のハイサイド基準電位線54-2に接続される。
【0069】
  なお、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nは、直列に接続された少なくともn個の分割絶縁型伝送回路66を含む構成であればよい。例えば、N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のうちの第1のハイサイド絶縁型伝送回路58-1は、少なくとも1個の分割絶縁型伝送回路66を含めばよい。N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のうちの第2のハイサイド絶縁型伝送回路58-2は、直列に接続された少なくとも2個の分割絶縁型伝送回路66を含めばよい。N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のうちの第3のハイサイド絶縁型伝送回路58-3は、直列に接続された少なくとも3個の分割絶縁型伝送回路66を含めばよい。
【0070】
  ハイサイドDC/DCコンバータ60は、外部回路から出力された電源電圧を受け取り、電源電圧に対して絶縁型の直流-直流の電力変換をした駆動電圧を生成する。ハイサイドDC/DCコンバータ60は、N個のハイサイドドライバ56のそれぞれに対して駆動電圧を供給する。本実施形態において、ハイサイドDC/DCコンバータ60は、+24Vの電源電圧を受け取り、N個のハイサイドドライバ56のそれぞれに対して、+24Vの駆動電圧を供給する。
【0071】
  ハイサイドDC/DCコンバータ60は、直列に接続されて構成されたN個の分割DC/DCコンバータ68(68-1~68-N)を含む。N個の分割DC/DCコンバータ68のそれぞれは、トランスを含み、絶縁型の直流-直流の電力変換をする。
【0072】
  N個の分割DC/DCコンバータ68のうちの先頭の分割DC/DCコンバータ68は、外部回路から出力された+24Vの電源電圧を受け取り、外部回路から絶縁された+24Vの駆動電圧を生成する。N個の分割DC/DCコンバータ68のうちの先頭以外の分割DC/DCコンバータ68のそれぞれは、前段の分割DC/DCコンバータ68から出力された+24Vの駆動電圧に対して絶縁型の直流-直流の電力変換をして、前段の分割DC/DCコンバータ68から絶縁された+24Vの駆動電圧を生成する。
【0073】
  また、N個の分割DC/DCコンバータ68は、N個のハイサイドドライバ56に一対一で設けられる。
【0074】
  N個の分割DC/DCコンバータ68に対して、外部回路から出力された電圧を受け取る分割DC/DCコンバータ68を第1の分割DC/DCコンバータ68-1とし、末尾の分割DC/DCコンバータ68が第Nの分割DC/DCコンバータ68-Nとなるように順番に番号付けする。
【0075】
  この場合、第1~第NのN個の分割DC/DCコンバータ68は、それぞれN個のハイサイドスイッチ42のうちの非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番小さいハイサイドスイッチ42に対応するハイサイドドライバ56から非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番大きいハイサイドスイッチ42に対応するハイサイドドライバ56に向かう順番で、それぞれに対応するハイサイドドライバ56に対して駆動電圧を供給する。より具体的には、第1~第NのN個の分割DC/DCコンバータ68のうちの第nの分割DC/DCコンバータ68-nは、第nのハイサイドドライバ56-nに駆動電圧を供給する。
【0076】
  また、第nの分割DC/DCコンバータ68-nにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイド基準電位線54-nに接続される。すなわち、第nの分割DC/DCコンバータ68-nにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチ42-nの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0077】
  例えば、第1の分割DC/DCコンバータ68-1における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第1のハイサイドスイッチ42-1の非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。また、第2の分割DC/DCコンバータ68-2における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第2のハイサイドスイッチ42-2の非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。また、第3の分割DC/DCコンバータ68-3における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第3のハイサイドスイッチ42-3の非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0078】
  図4は、第1実施形態に係るハイサイド駆動回路46の構成の変形例を示す図である。ハイサイド駆動回路46は、
図4に示すように、N個のハイサイド電位差回路52(52-1~52-N)を含まない構成であってもよい。この場合、第nのハイサイド基準電位線54-nは、第nのハイサイドスイッチ42-nのソースに直接接続される。
 
【0079】
  図5は、第1実施形態に係るローサイド駆動回路48の構成を、M個のローサイドスイッチ44(44-1~44-M)とともに示す図である。
 
【0080】
  ローサイド駆動回路48は、M個のローサイド電位差回路72(72-1~72-M)と、M個のローサイド基準電位線74(74-1~74-M)とを有する。
【0081】
  M個のローサイド電位差回路72は、M個のローサイドスイッチ44に一対一で設けられる。例えば、第1~第MのM個のローサイド電位差回路72のうちの第mのローサイド電位差回路72-mは、M個のローサイドスイッチ44のうちの第mのローサイドスイッチ44-mに対応する。
【0082】
  M個のローサイド電位差回路72のそれぞれは、M個のローサイドスイッチ44のうちの対応するローサイドスイッチ44の非導通時における低電位側の端子(ソース)の電位から、所定の電位差の電位を発生させる。例えば、第mのローサイド電位差回路72-mは、第mのローサイドスイッチ44-mのソースの電位から所定の電位差の電位を発生させる。
【0083】
  本実施形態においては、第mのローサイド電位差回路72-mは、第mのローサイドスイッチ44-mのソースよりも約6V低い電位を発生させる。なお、所定の電位差は、0Vであってもよい。
【0084】
  M個のローサイド基準電位線74は、M個のローサイドスイッチ44に一対一で設けられる。例えば、第1~第MのM個のローサイド基準電位線74のうちの第mのローサイド基準電位線74-mは、第mのローサイドスイッチ44-mに対応する。
【0085】
  M個のローサイド基準電位線74のそれぞれは、M個のローサイドスイッチ44のうちの対応するローサイドスイッチ44の非導通時における低電位側の端子(ソース)と同じ電位の箇所、又は、対応するローサイドスイッチ44の非導通時における低電位側の端子(ソース)に対して所定の電位差の箇所に接続される。例えば、第mのローサイド基準電位線74-mは、第mのローサイドスイッチ44-mのソースに、直接接続される。又は、第mのローサイド基準電位線74-mは、第mのローサイド電位差回路72-mにおける、第mのローサイドスイッチ44-mのソースに対して所定の電位差の電位を発生させる端子に接続される。
【0086】
  さらに、ローサイド駆動回路48は、M個のローサイドドライバ76(76-1~76-M)と、M個のローサイド絶縁型伝送回路78(78-1~78-M)と、ローサイドDC/DCコンバータ80とを有する。
【0087】
  M個のローサイドドライバ76は、M個のローサイドスイッチ44に一対一で設けられる。例えば、第1~第MのM個のローサイドドライバ76のうちの第mのローサイドドライバ76-mは、第mのローサイドスイッチ44-mに対応する。
【0088】
  M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、負側駆動電位端子82と、正側駆動電位端子84とを含む。
【0089】
  M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、負側駆動電位端子82に、対応するローサイドスイッチ44に対応するローサイド基準電位線74が接続される。例えば、第mのローサイドドライバ76-mは、負側駆動電位端子82に、第mのローサイド基準電位線74-mが接続される。
【0090】
  M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、正側駆動電位端子84に、ローサイドDC/DCコンバータ80から、対応するローサイド基準電位線74の電位を基準とした駆動電圧が供給される。例えば、第mのローサイドドライバ76-mは、第mのローサイド基準電位線74-mの電位に対して+24Vとなる駆動電圧が、正側駆動電位端子84に供給される。本実施形態において、M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、ローサイドDC/DCコンバータ80に含まれる互いに絶縁された回路から発生された駆動電圧が供給される。M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、供給された駆動電圧を電力源として動作する。
【0091】
  M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、制御信号入力端子から、M個のローサイド絶縁型伝送回路78のうちの対応するローサイド絶縁型伝送回路78からローサイド制御信号を受け取る。M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、制御電圧出力端子が、対応するローサイドスイッチ44のゲートに接続される。M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、制御信号入力端子から受け取ったローサイド制御信号の論理に応じて、制御電圧出力端子を負側駆動電位端子82の電位、又は、正側駆動電位端子84の電位に切り替える。M個のローサイドドライバ76のそれぞれにおける負側駆動電位端子82の電位は、対応するローサイドスイッチ44のソースと同一の電位又は対応するローサイドスイッチ44のソースに対して所定の電位差となっている。従って、M個のローサイドドライバ76のそれぞれは、対応するローサイドスイッチ44を、ローサイド制御信号の論理に応じて導通又は非導通に切り替えることができる。例えば、第mのローサイドドライバ76-mは、受け取ったローサイド制御信号の論理に応じて、第mのローサイドスイッチ44-mにおけるゲート-ソース間電圧を変化させることにより、第mのローサイドスイッチ44-mのドレイン-ソース間を導通又は非導通に切り替えることができる。
【0092】
  M個のローサイド絶縁型伝送回路78は、M個のローサイドスイッチ44に一対一で設けられる。例えば、第1~第MのM個のローサイド絶縁型伝送回路78のうちの第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mは、第mのローサイドスイッチ44-mに対応する。
【0093】
  M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれは、2個の入力端子(基準電位側入力端子781及び信号入力端子782)を含む。M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれにおける2個の入力端子のうちの一方である基準電位側入力端子781は、入力側の電力線系統のグランド電位である0Vに接続され、2個の入力端子のうちの他方である信号入力端子782は、制御回路50から第2の制御信号を受け取る。
【0094】
  M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれは、2個の出力端子(基準電位側出力端子783及び信号出力端子784)を含む。M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれにおける2個の出力端子のうちの一方である基準電位側出力端子783は、対応するローサイドスイッチ44に対応するローサイド基準電位線74に接続される。例えば、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mにおける2個の出力端子のうちの基準電位側出力端子783は、第mのローサイド基準電位線74-mに接続される。すなわち、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mにおける2個の出力端子のうちの基準電位側出力端子783は、第mのローサイドスイッチ44-mの非導通時における低電位側の端子(ソース)と同じ電位の箇所又は低電位側の端子(ソース)に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0095】
  M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれにおける2個の出力端子のうちの他方である信号出力端子784は、ローサイド制御信号を、M個のローサイドドライバ76のうちの対応するローサイドドライバ76に与える。例えば、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mにおける2個の出力端子のうちの信号出力端子784は、ローサイド制御信号を、第mのローサイドドライバ76-mに与える。
【0096】
  本実施形態においては、M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれは、直列に接続されたM個の分割絶縁型伝送回路86(86-1~86-M)を含む。
【0097】
  M個の分割絶縁型伝送回路86のそれぞれは、絶縁機能を有した信号伝達手段であり、入力された信号を絶縁しつつ出力するものである。例えば、N個の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれは、光ファイバ又はトランスを用いた伝送回路である。
【0098】
  M個の分割絶縁型伝送回路86のそれぞれは、2個の入力端子と、2個の出力端子とを含む。M個の分割絶縁型伝送回路86のそれぞれは、内部において、2個の入力端子と、2個の出力端子との間が絶縁されている。
【0099】
  M個の分割絶縁型伝送回路86のそれぞれは、2個の入力端子のうちの一方の端子が、入力側の基準電位の箇所に接続され、2個の入力端子のうちの他方の端子に入力信号が与えられる。M個の分割絶縁型伝送回路86のそれぞれは、2個の出力端子のうちの一方の基準電位側端子が出力側の基準電位の箇所に接続され、2個の出力端子のうちの他方の端子が出力信号を出力する。
【0100】
  直列に接続されたM個の分割絶縁型伝送回路86のうちの先頭の分割絶縁型伝送回路86は、2個の入力端子のうちの一方の端子が、入力側の基準電位の箇所として、入力側の電力線系統のグランド電位である0Vに接続される。先頭の分割絶縁型伝送回路86は、2個の入力端子のうちの他方の端子が、入力信号として、制御回路50から第2の制御信号を受け取る。
【0101】
  M個の分割絶縁型伝送回路86のうちの先頭以外の分割絶縁型伝送回路86は、2個の入力端子のうちの一方の端子が、入力側の基準電位の箇所として、前段に接続された分割絶縁型伝送回路86における2個の出力端子のうちの一方である基準電位側端子に接続される。先頭以外の分割絶縁型伝送回路86は、2個の入力端子のうちの他方の端子が、入力信号として、前段に接続された分割絶縁型伝送回路86における2個の出力端子のうちの他方である端子から出力される出力信号を受け取る。
【0102】
  そして、M個の分割絶縁型伝送回路86のうちの末尾の分割絶縁型伝送回路86は、2個の出力端子のうち出力信号を出力する端子が、対応するローサイドドライバ76にローサイド制御信号を与える。
【0103】
  ここで、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mに含まれる第1~第MのM個の分割絶縁型伝送回路86のうち制御回路50側から数えて第m以降の分割絶縁型伝送回路86-m~66-Mのそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイド基準電位線74-mに接続される。すなわち、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mに含まれる第m以降の分割絶縁型伝送回路86における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイドスイッチ44-mの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0104】
  例えば、第1のローサイド絶縁型伝送回路78-1に含まれる第1以降の分割絶縁型伝送回路86-1~66-Mのそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第1のローサイド基準電位線74-1に接続される。また、例えば、第2のローサイド絶縁型伝送回路78-2に含まれる第2以降の分割絶縁型伝送回路86-2~66-Mのそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第2のローサイド基準電位線74-2に接続される。また、例えば、第3のローサイド絶縁型伝送回路78-3に含まれる第3以降の分割絶縁型伝送回路86-3~66-Mのそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第3のローサイド基準電位線74-3に接続される。
【0105】
  さらに、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mに含まれるM個の分割絶縁型伝送回路86のうち制御回路50側から数えて第mよりも前段の第qの分割絶縁型伝送回路86-q(qは、1以上、m未満の整数)における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第qのローサイド基準電位線74-qに接続される。すなわち、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mに含まれる第mよりも前段の第qの分割絶縁型伝送回路86-qにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第qのローサイドスイッチ44-qの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0106】
  例えば、第2のローサイド絶縁型伝送回路78-2に含まれる第1の分割絶縁型伝送回路86-1における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第1のローサイド基準電位線74-1に接続される。例えば、第3のローサイド絶縁型伝送回路78-3に含まれる第1の分割絶縁型伝送回路86-1における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第1のローサイド基準電位線74-1に接続される。例えば、第3のローサイド絶縁型伝送回路78-3に含まれる第2の分割絶縁型伝送回路86-2における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第2のローサイド基準電位線74-2に接続される。
【0107】
  なお、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mは、直列に接続された少なくともm個の分割絶縁型伝送回路86を含む構成であればよい。例えば、M個のローサイド絶縁型伝送回路78のうちの第1のローサイド絶縁型伝送回路78-1は、少なくとも1個の分割絶縁型伝送回路86を含めばよい。M個のローサイド絶縁型伝送回路78のうちの第2のローサイド絶縁型伝送回路78-2は、直列に接続された少なくとも2個の分割絶縁型伝送回路86を含めばよい。M個のローサイド絶縁型伝送回路78のうちの第3のローサイド絶縁型伝送回路78-3は、直列に接続された少なくとも3個の分割絶縁型伝送回路86を含めばよい。
【0108】
  ローサイドDC/DCコンバータ80は、外部回路から出力された電源電圧を受け取り、電源電圧に対して絶縁型の直流-直流の電力変換をした駆動電圧を生成する。ローサイドDC/DCコンバータ80は、M個のローサイドドライバ76のそれぞれに対して駆動電圧を供給する。本実施形態において、ローサイドDC/DCコンバータ80は、+24Vの電源電圧を受け取り、M個のローサイドドライバ76のそれぞれに対して、+24Vの駆動電圧を供給する。
【0109】
  ローサイドDC/DCコンバータ80は、直列に接続されて構成されたM個の分割DC/DCコンバータ88(88-1~88-M)を含む。M個の分割DC/DCコンバータ88のそれぞれは、トランスを含み、絶縁型の直流-直流の電力変換をする。
【0110】
  M個の分割DC/DCコンバータ88のうちの先頭の分割DC/DCコンバータ88は、外部回路から出力された+24Vの電源電圧を受け取り、外部回路から絶縁された+24Vの駆動電圧を生成する。M個の分割DC/DCコンバータ88のうちの先頭以外の分割DC/DCコンバータ88のそれぞれは、前段の分割DC/DCコンバータ88から出力された+24Vの駆動電圧に対して絶縁型の直流-直流の電力変換をして、前段の分割DC/DCコンバータ88から絶縁された+24Vの駆動電圧を生成する。
【0111】
  また、M個の分割DC/DCコンバータ88は、M個のローサイドドライバ76に一対一で設けられる。
【0112】
  M個の分割DC/DCコンバータ88に対して、外部回路から出力された電圧を受け取る分割DC/DCコンバータ88を第1の分割DC/DCコンバータ88-1とし、末尾の分割DC/DCコンバータ88が第Mの分割DC/DCコンバータ88-Mとなるように順番に番号付けする。
【0113】
  この場合、第1~第MのM個の分割DC/DCコンバータ88は、それぞれM個のローサイドスイッチ44のうちの非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番小さいローサイドスイッチ44に対応するローサイドドライバ76から非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番大きいローサイドスイッチ44に対応するローサイドドライバ76に向かう順番で、それぞれに対応するローサイドドライバ76に対して駆動電圧を供給する。より具体的には、第1~第MのM個の分割DC/DCコンバータ88のうちの第mの分割DC/DCコンバータ88-mは、第mのローサイドドライバ76-mに駆動電圧を供給する。
【0114】
  また、第mの分割DC/DCコンバータ88-mにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイド基準電位線74-mに接続される。すなわち、第mの分割DC/DCコンバータ88-mにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイドスイッチ44-mの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0115】
  例えば、第1の分割DC/DCコンバータ88-1における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第1のローサイドスイッチ44-1の非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。また、第2の分割DC/DCコンバータ88-2における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第2のローサイドスイッチ44-2の非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。また、第3の分割DC/DCコンバータ88-3における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第3のローサイドスイッチ44-3の非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0116】
  なお、第1実施形態に係るローサイド駆動回路48は、M個のローサイド電位差回路72(72-1~72-M)を含まない構成であってもよい。この場合、第mのローサイド基準電位線74-mは、第mのローサイドスイッチ44-mのソースに、直接接続される。
【0117】
  図6は、第nのハイサイドドライバ56-n及び第nのハイサイド電位差回路52-nの構成を示す図である。
 
【0118】
  第nのハイサイドドライバ56-nは、正側スイッチ102と、負側スイッチ104と、バッファ回路106と、インバータ回路108とを含む。
【0119】
  正側スイッチ102は、バッファ回路106から出力された論理信号に応じて、正側駆動電位端子64と第nのハイサイドスイッチ42-nのゲートとの間を導通又は非導通とする。負側スイッチ104は、インバータ回路108から出力された論理信号に応じて、負側駆動電位端子62と第nのハイサイドスイッチ42-nのゲートとの間を導通又は非導通とする。
【0120】
  バッファ回路106及びインバータ回路108は、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nからハイサイド制御信号を受け取る。バッファ回路106は、ハイサイド制御信号の論理に応じて、正側スイッチ102を導通又は非導通に切り替える。インバータ回路108は、ハイサイド制御信号と反転した論理に応じて、負側スイッチ104を導通又は非導通に切り替える。
【0121】
  このような構成の第nのハイサイドドライバ56-nは、ハイサイド制御信号の論理に応じて、第nのハイサイドスイッチ42-nにおけるゲート-ソース間電圧を変化させることにより、第nのハイサイドスイッチ42-nのドレイン-ソース間を導通又は非導通に切り替えることができる。
【0122】
  また、第mのローサイドドライバ76-mは、第nのハイサイドドライバ56-nと同一構成である。ただし、正側スイッチ102は、正側駆動電位端子84と第mのローサイドスイッチ44-mのゲートとの間を導通又は非導通とする。負側スイッチ104は、負側駆動電位端子82と第mのローサイドスイッチ44-mのゲートとの間を導通又は非導通とする。第mのローサイドドライバ76-mは、ハイサイド制御信号に代えてローサイド制御信号を第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mから受け取る。このような構成の第mのローサイドドライバ76-mは、ローサイド制御信号の論理に応じて、第mのローサイドスイッチ44-mにおけるゲート-ソース間電圧を変化させることにより、第mのローサイドスイッチ44-mのドレイン-ソース間を導通又は非導通に切り替えることができる。
【0123】
  第nのハイサイド電位差回路52-nは、抵抗112と、ツェナーダイオード114と、第1キャパシタ116と、第2キャパシタ118とを含む。
【0124】
  抵抗112は、第nのハイサイドドライバ56-nの正側駆動電位端子64と、第nのハイサイドスイッチ42-nにおけるソースとの間に設けられる。ツェナーダイオード114は、アノードが第nのハイサイドドライバ56-nの負側駆動電位端子62に接続され、カソードが第nのハイサイドスイッチ42-nにおけるソースに接続される。第1キャパシタ116は、抵抗112に並列に設けられる。第2キャパシタ118は、ツェナーダイオード114に並列に設けられる。
【0125】
  このような構成の第nのハイサイド電位差回路52-nは、第nのハイサイド基準電位線54-nを、第nのハイサイドスイッチ42-nの非導通時における低電位側の端子(ソース)の電位から、所定の電位差の電位とすることができる。
【0126】
  また、第mのローサイド電位差回路72-mは、第nのハイサイド電位差回路52-nと同一構成である。ただし、抵抗112は、第mのローサイドドライバ76-mの正側駆動電位端子84と、第mのローサイドスイッチ44-mにおけるソースとの間に設けられる。ツェナーダイオード114は、アノードが第mのローサイドドライバ76-mの負側駆動電位端子82に接続され、カソードが第mのローサイドスイッチ44-mにおけるソースに接続される。このような構成の第mのローサイド電位差回路72-mは、第mのローサイド基準電位線74-mを、第mのローサイドスイッチ44-mの非導通時における低電位側の端子(ソース)の電位から、所定の電位差の電位とすることができる。
【0127】
  以上のような第1実施形態に係る第1実施形態に係るインバータ装置20は、次のような効果を奏する。
【0128】
  インバータ装置20は、N個のハイサイドスイッチ42が非導通から導通へと状態が遷移した場合、すなわち、ターンオンした場合、N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれにおける非導通時における低電位側の端子(本実施形態においては、ソース)の電位が、急激に変化する。
【0129】
  この電位の変化率が高いと、N個のハイサイドスイッチ42のそれぞれに対応するハイサイド絶縁型伝送回路58が誤動作したり、部品破壊等を引き起こしたりする場合がある。なぜならば、この電位の変化率が高い場合、対応するハイサイド絶縁型伝送回路58における2個の出力端子のうちの基準電位側出力端子583の電位の時間変化率も高くなり、それに起因してコモンモードノイズが大きくなるためである。なお、コモンモードノイズは、ハイサイド絶縁型伝送回路58における2個の入力端子のうちの基準電位側入力端子581の電位の変化率と、ハイサイド絶縁型伝送回路58における2個の出力端子のうちの基準電位側出力端子583の電位の変化率との差の絶対値に比例して大きくなる。
【0130】
  このようなコモンモードノイズによって生じる誤動作や部品破壊等を防止するために、ハイサイド絶縁型伝送回路58では、電位の変化率に対して仕様上の制限が設けられている。そのため、ハイサイド絶縁型伝送回路58の仕様範囲内の電位の変化率になるように回路を設計する必要がある。
【0131】
  ここで、ハイサイドスイッチ42の非導通時における低電位側の端子(本実施形態においてはソース)において、ハイサイドスイッチ42が導通時のときの電位と非導通時のときの電位との電位差は、個々のハイサイドスイッチ42によって異なり、パルス電圧出力端子34に近いハイサイドスイッチ42の方が第1入力端子22に近いハイサイドスイッチ42より大きい。このため、電位差の絶対値が大きいパルス電圧出力端子34に近いハイサイドスイッチ42に対応するハイサイド絶縁型伝送回路58では、誤動作や部品破壊等が生じやすい。
【0132】
  しかし、本実施形態に係る第1~第NのN個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれは、直列に接続された少なくともn個の分割絶縁型伝送回路66を含んでいる。さらに、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nに含まれる少なくともn個の分割絶縁型伝送回路66のうち制御回路50側から数えて第n以降の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチ42-nの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。そして、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nに含まれる少なくともn個の分割絶縁型伝送回路66のうち制御回路50側から数えて第nよりも前段の第pの分割絶縁型伝送回路66-p(pは、1以上、n未満の整数)における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第pのハイサイドスイッチ42-pの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。このため、第1~第Nのハイサイドスイッチ42が非導通時の第1~第nの分割絶縁型伝送回路66における2個の出力端子のうちの基準電位側端子の電位は、段階的に変化する。
【0133】
  また、第nのハイサイド絶縁型伝送回路58-nに含まれる少なくともn個の分割絶縁型伝送回路66のうち制御回路50に最も近い分割絶縁型伝送回路66-1における2個の入力端子のうちの基準電位側端子は、基準電位に接続されているため、入力端子側の電位の変化率は0である。
【0134】
  そのため、それぞれの分割絶縁型伝送回路66における2個の入力端子のうちの基準電位側端子の電位の変化率と2個の出力端子のうちの基準電位側端子の電位の変化率との差の絶対値は、分割しないハイサイド絶縁型伝送回路58の場合に比べて小さくなる(ただし、nが2以上の場合)。その結果、本実施形態に係るN個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれは、含まれる少なくともn個の分割絶縁型伝送回路66のそれぞれにおけるコモンモードノイズが小さくなるので、誤動作や部品破壊等の発生を抑制することができる。
【0135】
  また、本実施形態においては、N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれは、N個の分割絶縁型伝送回路66を含む。この場合、N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれによる伝送遅延時間は、同一となる。従って、この場合、インバータ装置20は、制御信号を受け取ってから、N個のハイサイドドライバ56へとハイサイド制御信号が供給されるまでの遅延時間を同一とし、N個のハイサイドスイッチ42を精度良く同期してスイッチングすることができる。なお、N個のハイサイド絶縁型伝送回路58のそれぞれは、N個以上の分割絶縁型伝送回路66を含む構成であってもよい。
【0136】
  また、インバータ装置20は、M個のローサイドスイッチ44が非導通から導通へと状態が遷移した場合、すなわち、ターンオンした場合も、M個のローサイドスイッチ44のそれぞれにおける非導通時における低電位側の端子(本実施形態においては、ソース)の電位が、急激に変化する。このため、この電位の変化率が高いと、ハイサイド側と同様に、M個のローサイドスイッチ44に対応するローサイド絶縁型伝送回路78が誤動作したり、部品破壊等を引き起こしたりする場合がある。
【0137】
  しかし、本実施形態に係る第1~第MのM個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれは、直列に接続された少なくともm個の分割絶縁型伝送回路86を含んでいる。さらに、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mに含まれる少なくともm個の分割絶縁型伝送回路86のうち制御回路50側から数えて第m以降の分割絶縁型伝送回路86のそれぞれにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイドスイッチ44-mの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。そして、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mに含まれる少なくともm個の分割絶縁型伝送回路86のうち制御回路50側から数えて第mよりも前段の第qの分割絶縁型伝送回路86-q(qは、1以上、m未満の整数)における2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第qのローサイドスイッチ44-qの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。このため、第1~第Mのローサイドスイッチ44が非導通時の第1~第mの分割絶縁型伝送回路86における2個の出力端子のうちの基準電位側端子の電位は、段階的に変化する。
【0138】
  また、第mのローサイド絶縁型伝送回路78-mに含まれる少なくともm個の分割絶縁型伝送回路86のうち制御回路50に最も近い分割絶縁型伝送回路86-1における2個の入力端子のうちの基準電位側端子は、基準電位に接続されているため、入力端子側の電位の変化率は0である。
【0139】
  そのため、それぞれの分割絶縁型伝送回路86における2個の入力端子のうちの基準電位側端子の電位の変化率と2個の出力端子のうちの基準電位側端子の電位の変化率との差の絶対値は、分割しないローサイド絶縁型伝送回路78の場合に比べて小さくなる(ただし、mが2以上の場合)。その結果、本実施形態に係るM個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれは、含まれる少なくともm個の分割絶縁型伝送回路86のそれぞれにおけるコモンモードノイズが小さくなるので、誤動作や部品破壊等の発生を抑制することができる。
【0140】
  また、本実施形態においては、M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれは、M個の分割絶縁型伝送回路86を含む。M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれによる伝送遅延時間は、同一となる。従って、この場合、インバータ装置20は、制御信号を受け取ってから、M個のローサイドドライバ76へとローサイド制御信号が供給されるまでの遅延時間を同一とし、M個のローサイドスイッチ44を精度良く同期してスイッチングすることができる。なお、M個のローサイド絶縁型伝送回路78のそれぞれは、M個以上の分割絶縁型伝送回路86を含む構成であってもよい。
【0141】
  また、インバータ装置20は、ハイサイドDC/DCコンバータ60においても、ハイサイド絶縁型伝送回路58と同様にコモンモードノイズの影響によって誤動作や部品破壊等を引き起こすことがある。
【0142】
  しかし、本実施形態に係るハイサイドDC/DCコンバータ60は、N個のハイサイドドライバ56に一対一で設けられ、それぞれが絶縁型の直流-直流の電力変換をするN個の分割DC/DCコンバータ68が直列接続されて構成されている。さらに、第nの分割DC/DCコンバータ68-nにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチ42-nの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。このため、第1~第Nの分割DC/DCコンバータ68における2個の出力端子のうちの基準電位側端子の電位は、段階的に変化する。
【0143】
  また、第1の分割DC/DCコンバータ68-1の入力端子のうちの基準電位側端子は、基準電位に接続されているため、入力端子側の電位の変化率は0である。そのため、それぞれの分割DC/DCコンバータ68における2個の入力端子のうちの基準電位側端子の電位の変化率と2個の出力端子のうちの基準電位側端子の電位の変化率との差の絶対値は、分割しないハイサイドDC/DCコンバータ60の場合に比べて小さくなる(ただし、nが2以上の場合)。その結果、それぞれの分割DC/DCコンバータ68におけるコモンモードノイズが小さくなるので、誤動作や部品破壊等の発生を抑制することができる。
【0144】
  また、インバータ装置20は、ローサイドDC/DCコンバータ80においても、ローサイド絶縁型伝送回路78と同様にコモンモードノイズの影響によって誤動作や部品破壊等を引き起こすことがある。
【0145】
  しかし、本実施形態に係るローサイドDC/DCコンバータ80は、M個のローサイドスイッチ44に一対一で設けられ、それぞれが絶縁型の直流-直流の電力変換をするM個の分割DC/DCコンバータ88が直列接続されて構成されている。さらに、第mの分割DC/DCコンバータ88-mにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイドスイッチ44-mの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。このため、第1~第Mの分割DC/DCコンバータ88における2個の出力端子のうちの基準電位側端子の電位は、段階的に変化する。
【0146】
  また、第1の分割DC/DCコンバータ88-1の入力端子のうちの基準電位側端子は、基準電位に接続されているため、入力端子側の電位の変化率は0である。そのため、それぞれの分割DC/DCコンバータ88における2個の入力端子のうちの基準電位側端子の電位の変化率と2個の出力端子のうちの基準電位側端子の電位の変化率との差の絶対値は、分割しないローサイドDC/DCコンバータ80の場合に比べて小さくなる(ただし、mが2以上の場合)。その結果、それぞれの分割DC/DCコンバータ88におけるコモンモードノイズが小さくなるので、誤動作や部品破壊等の発生を抑制することができる。
【0147】
  (第2実施形態)
  つぎに、第2実施形態に係るインバータ装置20について説明をする。第2実施形態に係るインバータ装置20は、第1実施形態と略同一の構成を有するので、略同一の機能及び構成を有する回路については、同一の符号を付けて、相違点を除き詳細な説明を省略する。
【0148】
  図7は、第2実施形態に係るインバータ装置20の構成を示す図である。
 
【0149】
  本実施形態において、第1電圧は、正の電圧であり、例えば3kVである。本実施形態において、第2電圧は、出力側の電力線系統のグランド電位である0Vである。
【0150】
  パルス電圧出力端子34は、第1入力端子22に印加された第1電圧(3kV)又は第2入力端子24に印加された第2電圧(0V)の何れかを出力する。インバータ装置20は、信号入力端子32に供給された制御信号に応じて、パルス電圧出力端子34から、第1入力端子22に印加される第1電圧(3kV)を出力するか、第2入力端子24に印加される第2電圧(0V)を出力するかを切り替える。
【0151】
  図7の構成例において、最も第1入力端子22の側に配置されるハイサイドスイッチ42は、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が3kVとなり、非導通時(OFF)における低電位側の端子(ソース)の電位が2kVとなり、電位差が1kVとなる。第1入力端子22の側から2番目に配置されるハイサイドスイッチ42は、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が3kVとなり、非導通時(OFF)における低電位側の端子(ソース)の電位が1kVとなり、電位差が2kVとなる。最もパルス電圧出力端子34の側に配置されるハイサイドスイッチ42は、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が3kVとなり、非導通時(OFF)における低電位側の端子の電位が0Vとなり、電位差が3kVとなる。従って、
図7の構成例においても、最も第1入力端子22の側に配置されるハイサイドスイッチ42が第1のハイサイドスイッチ42-1となる。第1入力端子22の側から2番目に配置されるハイサイドスイッチ42は、第2のハイサイドスイッチ42-2となる。最もパルス電圧出力端子34の側に配置されるハイサイドスイッチ42は、第3のハイサイドスイッチ42-3となる。
 
【0152】
  図7の構成例において、最も第2入力端子24の側に配置されるローサイドスイッチ44は、非導通時(OFF)における低電位側の端子(ソース)の電位が0Vとなり、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が0Vとなり、電位差が0Vとなる。第2入力端子24の側から2番目に配置されるローサイドスイッチ44は、非導通時(OFF)における低電位側の端子(ソース)の電位が1kVとなり、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が0Vとなり、電位差が-1kVとなる。最もパルス電圧出力端子34の側に配置されるローサイドスイッチ44は、非導通時(OFF)における低電位側の端子の電位が2kVとなり、導通時(ON)における低電位側の端子(ソース)の電位が0Vとなり、電位差が-2kVとなる。従って、
図7の構成例においても、最も第2入力端子24の側に配置されるローサイドスイッチ44が第1のローサイドスイッチ44-1となる。第2入力端子24の側から2番目に配置されるローサイドスイッチ44は、第2のローサイドスイッチ44-2となる。最もパルス電圧出力端子34の側に配置されるローサイドスイッチ44は、第3のローサイドスイッチ44-3となる。
 
【0153】
  図8は、第2実施形態に係るハイサイド駆動回路46の構成を、N個のハイサイドスイッチ42とともに示す図である。第2実施形態において、N個の分割DC/DCコンバータ68に対して、外部回路から出力された電圧を受け取る分割DC/DCコンバータ68を第Nの分割DC/DCコンバータ68-Nとし、末尾の分割DC/DCコンバータ68が第1の分割DC/DCコンバータ68-1となるように順番に番号付けする。
 
【0154】
  第2実施形態において、第1~第NのN個の分割DC/DCコンバータ68は、それぞれN個のハイサイドスイッチ42のうちの非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番小さいハイサイドスイッチ42に対応するハイサイドドライバ56から非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番大きいハイサイドスイッチ42に対応するハイサイドドライバ56に向かう順番で、それぞれに対応するハイサイドドライバ56に対して駆動電圧を供給する。
【0155】
  また、第2実施形態において、第nの分割DC/DCコンバータ68-nにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイド基準電位線54-nに接続される。すなわち、第nの分割DC/DCコンバータ68-nにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第nのハイサイドスイッチ42-nの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0156】
  図9は、第2実施形態に係るローサイド駆動回路48の構成を、M個のローサイドスイッチ44とともに示す図である。
 
【0157】
  第2実施形態において、M個の分割DC/DCコンバータ88に対して、外部回路から出力された電圧を受け取る分割DC/DCコンバータ88を第Mの分割DC/DCコンバータ88-Mとし、末尾の分割DC/DCコンバータ88が第1の分割DC/DCコンバータ88-1となるように順番に番号付けする。
【0158】
  第2実施形態において、第1~第MのM個の分割DC/DCコンバータ88は、それぞれM個のローサイドスイッチ44のうちの非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番小さいローサイドスイッチ44に対応するローサイドドライバ76から非導通時における低電位側の端子の電位の絶対値が一番大きいローサイドスイッチ44に対応するローサイドドライバ76に向かう順番で、それぞれに対応するローサイドドライバ76に対して駆動電圧を供給する。
【0159】
  また、第2実施形態において、第mの分割DC/DCコンバータ88-mにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイド基準電位線74-mに接続される。すなわち、第mの分割DC/DCコンバータ88-mにおける2個の出力端子のうちの基準電位側端子は、第mのローサイドスイッチ44-mの非導通時における低電位側の端子と同じ電位の箇所又は低電位側の端子に対して所定の電位差の電位の箇所に接続される。
【0160】
  このような構成の第2実施形態に係るインバータ装置20は、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0161】
  以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0162】
10  送信装置、20  インバータ装置、22  第1入力端子、24  第2入力端子、26  基準電圧入力端子、28  駆動電圧入力端子、32  信号入力端子、34  パルス電圧出力端子、42  ハイサイドスイッチ、44  ローサイドスイッチ、46  ハイサイド駆動回路、48  ローサイド駆動回路、50  制御回路、52  ハイサイド電位差回路、54  ハイサイド基準電位線、56  ハイサイドドライバ、58  ハイサイド絶縁型伝送回路、60  ハイサイドDC/DCコンバータ、62  負側駆動電位端子、64  正側駆動電位端子、66  分割絶縁型伝送回路、68  分割DC/DCコンバータ、72  ローサイド電位差回路、74  ローサイド基準電位線、76  ローサイドドライバ、78  ローサイド絶縁型伝送回路、80  ローサイドDC/DCコンバータ、82  負側駆動電位端子、84  正側駆動電位端子、86  分割絶縁型伝送回路、88  分割DC/DCコンバータ、581  基準電位側入力端子、582  信号入力端子、583  基準電位側出力端子、584  信号出力端子