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特開2025-15484液状、半液状または半固体状の食品を製造するための機械および関連する制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015484
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】液状、半液状または半固体状の食品を製造するための機械および関連する制御方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/08 20060101AFI20250123BHJP
   A47J 43/042 20060101ALI20250123BHJP
   A23G 9/20 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A23G9/08
A47J43/042
A23G9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114398
(22)【出願日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】102023000015144
(32)【優先日】2023-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】518089540
【氏名又は名称】エイエルアイ グループ ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ カルピジャーニ
【氏名又は名称原語表記】ALI GROUP S.r.l.CARPIGIANI
【住所又は居所原語表記】Via Gobetti 2/A,20063 CERNUSCO SUL NAVIGLIO (MILANO),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】タッシ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】ラッザリーニ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ベッロディ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ダーダル,シモン
(72)【発明者】
【氏名】ステファネッリ,チェーザレ
(72)【発明者】
【氏名】トルトネスィ,マウロ
【テーマコード(参考)】
4B014
4B053
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GB22
4B014GT01
4B014GT12
4B014GT20
4B053AA01
4B053BA14
4B053BB03
4B053BE03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液状または半液状の食品を製造するための機械、および当該機械を制御するための方法を提供する。
【解決手段】ベース製品を処理するための処理容器2と、ベース製品を処理する処理容器の内部で製品を混合するように適合された撹拌機3と、ベース製品を処理する処理容器と熱交換するように構成された熱処理システム4と、熱処理システムおよび撹拌機に接続され、それらを駆動する制御ユニット5と、機械の動作パラメータを検出するように構成された少なくとも1つのセンサSと、第1の人工知能制御モジュールであって、少なくとも1つの入力と少なくとも1つの出力とを有する事前訓練された分類器を規定するように構成され、少なくとも1つの入力がセンサに接続される、第1の人工知能制御モジュールと、第1の制御モジュールの出力および少なくとも熱処理システムおよび/または撹拌機に接続された駆動モジュールと、を備える機械。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)であって、
‐ ベース製品を処理するための処理容器(2)と、
‐ 前記ベース製品を処理する前記処理容器(2)の内部で製品を混合するように適合された撹拌機(3)と、
‐ 前記ベース製品を処理する前記処理容器(2)と熱交換するように構成された熱処理システム(4)と、
‐ 前記熱処理システム(4)および前記撹拌機(3)に接続され、それらを駆動する制御ユニット(5)と、
‐ 当該機械の動作パラメータを検出するように構成された少なくとも1つのセンサ(S)と、を備え、
前記制御ユニット(5)は、
‐ 第1の人工知能制御モジュール(6)であって、少なくとも1つの入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)と少なくとも1つの出力(U11)とを有する事前訓練された分類器(CL)を規定するように構成され、前記少なくとも1つの入力(I1)が前記センサ(S)に接続される、第1の人工知能制御モジュール(6)と、
‐ 前記第1の制御モジュール(6)の前記出力(U11)および少なくとも前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に接続され、前記第1の制御モジュール(6)の前記少なくとも1つの出力(U11)の値の関数として、前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節する駆動モジュール(7)と、を備える機械(1)。
【請求項2】
前記第1の制御モジュール(6)は複数の入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)を備える、請求項1に記載の機械(1)。
【請求項3】
前記第1の制御モジュール(6)の前記少なくとも1つの出力(U11)は、前記ベース製品の混合物の分類を表す、請求項1または2に記載の機械(1)。
【請求項4】
前記第1の制御モジュール(6)は、処理の開始と終了との間に含まれる複数の時間間隔で分類を実行するように構成され、それにより、「早期分類」として知られているものを実行し、異なる時間間隔で反復改良することにより、前記分類の精度を徐々に向上させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項5】
前記第1の制御モジュール(6)は、複数の層(S1、S2、S3、S4、S5、S6)を備え且つ複数の入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)を有するニューラルネットワーク(RN)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサ(S)に接続され、前記少なくとも1つのセンサ(S)のデータに基づいて欠陥を処理および/または検出するように構成された第2の制御モジュール(8)をさらに備え、前記第2の制御モジュール(8)は、前記駆動モジュール(7)に接続された少なくとも第1の制御出力(U21)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項7】
前記駆動モジュール(7)は、前記第1の制御モジュール(6)の前記出力(U11)の値および前記第2の制御モジュール(8)の前記出力(U21)の値の関数として、前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するように構成される、請求項6に記載の機械(1)。
【請求項8】
前記第2の制御モジュール(8)は、前記第1の制御モジュール(6)に制御情報を送信するために、前記第1の制御モジュール(6)の前記入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)のうちの1つの入力(I2)に接続された第2の制御出力(U22)をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項および請求項2に記載の機械(1)。
【請求項9】
前記駆動モジュール(7)は、処理サイクルの開始時に予め設定された時間長さにわたって前記第2の制御モジュール(8)の前記出力(U21)の値のみの関数として、前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する前記少なくとも1つの動作パラメータを調節し、その後、前記処理サイクルの開始時に予め設定された時間長さが経過したときに、前記第1のニューラルネットワーク制御モジュール(6)の前記少なくとも1つの出力(U11)および前記第2の制御モジュール(8)の前記出力(U21)の値の関数として、前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する前記少なくとも1つの動作パラメータを調節するように構成される、請求項1から8のいずれか一項および請求項6に記載の機械(1)。
【請求項10】
前記熱処理システム(4)は、熱交換流体を使用する回路であって、蒸発器(10)、圧縮機(11)、絞り要素(12)および凝縮器(13)を有する回路から構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項11】
前記駆動モジュール(7)は、以下の動作パラメータの1つまたは複数を調節するように構成される、すなわち、
‐ 前記圧縮機(11)の駆動力、
‐ 前記絞り要素(12)の開度、
‐ 前記撹拌機(3)の速度および回転方向、
‐ 処理サイクル時間、の1つまたは複数を調節するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項12】
前記熱処理システム(4)は、2つの異なるモード、すなわち、それが前記容器(2)を冷却するための逆カルノーサイクルを実行する第1のモードと、それが高温ガスまたはヒートポンプサイクルを実行して前記容器(2)を加熱する第2のモードとで動作するように構成されており、前記駆動モジュール(7)は、次の動作パラメータ、すなわち、前記熱処理システム(4)の動作モードを調節するように構成される、請求項1から11のいずれか一項および請求項10に記載の機械(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサ(S)は、以下のパラメータのうちの少なくとも1つを検出するように構成される、すなわち、
‐ 前記熱処理システム(4)の前記回路内の所定の点での前記熱交換流体の動作圧力、
‐ 前記熱処理システム(4)の前記回路内の所定の点での前記熱交換流体の動作温度、
‐ 前記容器(2)の動作温度、
‐ 前記容器(2)に関連付けられた前記蒸発器(10)から流出する前記熱交換流体の動作温度、
‐ 前記容器(2)に関連付けられた前記蒸発器(10)に流入する前記熱交換流体の動作温度、
‐ 前記圧縮機(11)から流出する前記熱交換流体の動作圧力、
‐ 前記蒸発器(10)から流出する前記熱交換流体の動作圧力、
‐ 前記機械(1)に近接する周囲の空気の温度、
‐ 処理サイクル時間、のうちの少なくとも1つを検出するように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのセンサ(S)は、前記撹拌機(3)に接続され、それを駆動するためのモータの電源に係る値を検出するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項15】
前記第2の制御モジュール(8)は、モータの電源に係る値から、前記容器(2)内で処理されている前記製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータを導出するように構成される、請求項1から14のいずれか一項および請求項6および請求項14に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項16】
前記容器(2)内で処理されている前記製品の稠度および/または粘度に関連する前記パラメータは、処理対象の製品に対応する最小値と、最終製品に対応する最大値との間に含まれる、請求項15に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセンサ(S)は、前記機械の少なくとも一部分の加速度の値を検出するように構成される、請求項1から16のいずれか一項に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項18】
前記第1の制御モジュール(6)の前記入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)は、以下の入力のうちの1つまたは複数を含む、すなわち、
‐ 前記容器(2)内で処理されている前記製品の稠度および/または粘度を表す値に関連する第1の入力(I1)、
‐ 前記容器(2)の動作温度を表す値に関連する第2の入力(I2)、
‐ 前記容器(2)に関連付けられた前記蒸発器(10)に流入する前記熱交換流体の動作温度を表す値に関連する第3の入力(I3)、
‐ 前記容器(2)に関連付けられた前記蒸発器(10)から流出する前記熱交換流体の動作温度を表す値に関連する第4の入力(I4)、
‐ 前記圧縮機(11)から流出する前記熱交換流体の動作圧力を表す値に関連する第5の入力(I5)、
‐ 前記蒸発器(10)から流出する前記熱交換流体の動作圧力を表す値に関連する第6の入力(I6)、
‐ 前記絞り要素(12)の開度を表す値に関連する第7の入力(I7)、のうちの1つまたは複数を含む、請求項1から17のいずれか一項および請求項2に記載の機械(1)。
【請求項19】
前記第1の制御モジュール(6)は、前記容器(2)内で処理されている前記混合物中の成分のバランスに基づいて、少なくとも、1つまたは複数の成分に関してバランスが取れている、処理されている混合物に対応するバランスが取れたクラスと、1つまたは複数の成分に関してバランスが取れていない、処理されている混合物に対応するアンバランスなクラスとの間で、前記混合物を分類するように構成され、前記第1の制御モジュール(6)の前記少なくとも1つの出力(U11)は、前記容器(2)内で処理されている前記混合物の分類を表す、請求項1から18のいずれか一項に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項20】
前記第1の制御モジュール(6)は、前記容器(2)内で処理されている前記混合物中の成分のバランスに基づいて前記混合物の多クラス分類を実行するように構成され、前記第1の制御モジュール(6)は、複数の出力(U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19)を備える、請求項19に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項21】
前記第1の制御モジュール(6)の前記出力(U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19)はそれらの全体で、処理されている混合物の以下のクラスのうちの2つ以上に関連する、すなわち、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、少なくとも1つのベース成分に関してバランスが取れている、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、水成分に関してアンバランスである、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、脂肪に関してアンバランスである、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、糖類に関してアンバランスである、というクラスのうちの2つ以上に関連する、請求項20に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項22】
前記第1の制御モジュール(6)の前記出力(U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19)はそれらの全体で、処理されている混合物の以下のクラスのうちの2つ以上に関連する、すなわち、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、少なくとも1つのベース成分に関してバランスが取れている、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、水成分に関してアンバランスである、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、脂肪の過剰によりアンバランスである、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、糖類の欠乏によりアンバランスである、
‐ 前記容器(2)内で処理されている製品は、糖類の過剰によりアンバランスである、というクラスのうちの2つ以上に関連する、請求項20に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項23】
各出力(U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19)は、前記容器(2)内で処理されている前記製品が前記予め設定されたクラスに対応する可能性を表す、最小値と最大値との間に含まれる、数値を提供する、請求項20から22のいずれか一項に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項24】
前記制御ユニット(5)は、好ましくは10秒未満の、予め設定された時間間隔で、前記第1の制御モジュール(6)の前記入力のうちの少なくとも1つの入力(I1)にデータを送信するように構成される、請求項1から23のいずれか一項に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項25】
前記ニューラルネットワーク層(S2、S3、S4、S5)の少なくとも一部は隠れ層であり、前記ニューラルネットワーク(RN)はディープニューラルネットワークである、請求項1から24のいずれか一項および請求項5に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項26】
前記ニューラルネットワーク(RN)は、RNN、すなわち、リカレントニューラルネットワークである、請求項1から25のいずれか一項および請求項5に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項27】
前記ニューラルネットワーク(RN)は、任意のRNNまたはCNNネットワークである、請求項1から26のいずれか一項および請求項4に記載の液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械(1)。
【請求項28】
液状または半液状の食品を製造するための機械(1)を制御するための方法であって、以下のステップを含む、すなわち、
‐ 液状または半液状の食品を製造するための機械(1)を提供するステップであって、前記機械(1)が、
‐ ベース製品を処理するための処理容器(2)と、
‐ 前記ベース製品を処理する前記処理容器(2)の内部で製品を混合するように適合された撹拌機(3)と、
‐ 前記ベース製品を処理する前記処理容器(2)と熱交換するように構成された熱処理システム(4)と、
‐ 前記機械の動作パラメータを検出するように構成された少なくとも1つのセンサ(S)と、を有する、ステップと、
‐ 少なくとも1つの入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)と少なくとも1つの出力(U11)とを有する分類器(CL)を規定するように構成された第1の人工知能制御モジュール(6)を提供するステップであって、前記少なくとも1つの入力(I1)が前記少なくとも1つのセンサ(S)に接続される、ステップと、
‐ 第1の訓練された制御モジュール(6)を得るために、前記容器(2)の内部のさまざまな混合物の処理に基づいて前記第1の人工知能制御モジュール(6)を訓練するステップと、
‐ 混合物を前記容器(2)に供給し、処理サイクルを開始するステップと、
‐ 前記第1の訓練された制御モジュール(6)の前記少なくとも1つの出力(U11)の値の関数として、前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために、少なくとも前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)を駆動するステップと、を含む方法。
【請求項29】
さまざまな混合物の前記処理に基づいて前記第1の人工知能制御モジュール(6)を訓練する前記ステップは、前記ベース成分のバランスが異なる混合物の処理に基づいて前記第1の人工知能制御モジュール(6)を訓練することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の制御モジュール(6)の前記少なくとも1つの出力(U11)は、前記ベース製品の混合物の分類を表し、前記方法は、以下のさらなるステップを含む、すなわち、
‐ 前記第1の人工知能制御モジュール(6)を介して、前記容器(2)内で処理されている前記混合物を1つまたは複数の予め設定されたカテゴリに分類するさらなるステップを含む、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の人工知能制御モジュール(6)はニューラルネットワーク(RN)を備え、第1の訓練された制御モジュール(6)を得るために、前記容器(2)の内部のさまざまな混合物の処理に基づいて前記第1の人工知能制御モジュール(6)を訓練する前記ステップは、訓練されたニューラルネットワーク(RN)を得るために、前記容器(2)内の混合物であって、前記ベース成分のバランスが異なる混合物の処理に基づいて教師ありモードで前記ニューラルネットワーク(RN)を訓練するステップを含む、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の制御モジュール(6)の前記入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)は、以下の入力のうちの1つまたは複数を含む、すなわち、
‐ 前記容器(2)内で処理されている前記製品の稠度および/または粘度を表す値に関連する第1の入力(I1)、
‐ 前記容器(2)の動作温度を表す値に関連する第2の入力(I2)、
‐ 前記容器(2)に関連付けられた前記蒸発器(10)に流入する前記熱交換流体の動作温度を表す値に関連する第3の入力(I3)、
‐ 前記容器(2)に関連付けられた前記蒸発器(10)から流出する前記熱交換流体の動作温度を表す値に関連する第4の入力(I4)、
‐ 前記圧縮機(11)から流出する前記熱交換流体の動作圧力を表す値に関連する第5の入力(I5)、
‐ 前記蒸発器(10)から流出する前記熱交換流体の動作圧力を表す値に関連する第6の入力(I6)、
‐ 前記絞り要素(12)の開度を表す値に関連する第7の入力(I7)、のうちの1つまたは複数を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
‐ 機械プロセスの欠陥を確認するために前記少なくとも1つのセンサ(S)の信号を監視するステップを含み、少なくとも前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)を駆動する前記ステップは、前記第1の制御モジュール(6)の前記少なくとも1つの出力(U11)の値および確認された前記機械プロセスの欠陥の関数として、前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために、少なくとも前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)を駆動するステップを含む、請求項28から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記訓練されたニューラルネットワーク(RN)を介して、前記容器(2)内で処理されている前記混合物を1つまたは複数の予め設定されたカテゴリに分類するステップの前に、予め設定された時間長さの間、前記処理サイクルの開始時に、待機するステップを含む、請求項28から33のいずれか一項および請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記混合物を分類するように訓練された第1の制御モジュール(6)を得るように、前記容器(2)の内部のさまざまな混合物の処理に基づいて、教師ありモードで前記第1の人工知能制御モジュール(6)を訓練する前記ステップは、以下のステップを含む、すなわち、
‐ 以下の種類の混合物を処理するステップであって、
‐ 前記ベース成分に関してバランスが取れた混合物、
‐ 少なくとも1つの前記ベース成分に関してアンバランスな混合物、を処理するステップと、
‐ 訓練中に、処理されている混合物の種類ごとに所望の出力カテゴリに関連するラベルを前記第1の制御モジュール(6)に提供するステップと、を含む、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記容器(2)の内部のさまざまな混合物の処理に基づいて、教師ありモードで前記第1の制御モジュール(6)を訓練する前記ステップは、以下のステップを含む、すなわち、
‐ 以下の種類の混合物を処理するステップであって、
‐ 前記ベース成分に関してバランスが取れた混合物、
‐ 水成分に関してアンバランスな混合物、
‐ 脂肪に関してアンバランスな混合物、
‐ 糖類に関してアンバランスな混合物、を処理するステップと、
‐ 訓練中に、処理されている混合物の種類ごとに所望の出力カテゴリに関連するラベルを前記第1の制御モジュール(6)に提供するステップと、を含む、請求項28から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために少なくとも前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)を駆動する前記ステップは、以下のステップを含む、すなわち、
‐ 検出された欠陥を、前記確認された混合物の分類値と比較するステップと、
‐ 比較の結果にも基づいて、前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に指令を与えるステップと、を含む、請求項28から36のいずれか一項および請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために少なくとも前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)を駆動する前記ステップは、以下のステップを含む、すなわち、
‐ 前記確認された混合物の分類値が欠陥状態、すなわち、アンバランスな混合物に対応するかどうかをチェックするステップと、
‐ チェックの結果にも基づいて、前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に指令を与えるステップと、を含む、請求項28から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために少なくとも前記熱処理システム(4)および/または前記撹拌機(3)を駆動する前記ステップは、以下の駆動動作のうちの1つまたは複数を含む、すなわち、
‐ 前記熱処理システム(4)の一部を構成する絞り要素(12)の開度を変更する駆動動作と、
‐ 前記熱処理システム(4)の一部を構成する圧縮機(11)の動力を調節する駆動動作と、
‐ 前記熱処理システム(4)の一部を構成する凝縮器(13)での冷却流体、空気または水の流量を調節する駆動動作と、
‐ 前記熱処理システム(4)を、前記容器(2)を冷却するための冷却モードと前記容器(2)を加熱するための加熱モードとの間で切り替る駆動動作であって、前記加熱モードが、前記熱処理システム(4)が高温ガスサイクルまたはヒートポンプサイクルとして知られているものを実行する動作モードを含む、駆動動作と、
‐ 前記撹拌機(3)の速度および回転方向を調節する駆動動作と、のうちの1つまたは複数を含む、請求項28から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の人工知能制御モジュール(6)を介して前記容器(2)内で処理されている前記混合物を1つまたは複数の予め設定されたカテゴリに分類する前記ステップは、処理の開始と終了との間の予め設定された時間間隔で実行される、請求項28から39のいずれか一項および請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状または半液状の食品、特にアイスクリーム、ペストリーまたはケータリング業界の製品、を製造するための機械、および当該機械を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関係業界の先行技術で知られているのは、好ましくは少なくとも1つの液状または半液状の成分を有するベース製品を熱的および/または機械的に処理して、液状または半液状または半固体状タイプの最終製品を製造するための機械である。
【0003】
特にアイスクリーム業界に関して知られているのは、処理容器と、容器の内部に取り付けられた撹拌機と、容器の壁と熱交換するために容器に関連付けられた熱システムと、を備える機械である。
【0004】
この種の機械では、ベース製品はこのようにして容器の内部でバッチ冷凍される、すなわち、熱システムによって冷却され、同時に撹拌機によって撹拌され、ベース製品が最終のアイスクリーム製品に変換される。
【0005】
一般的に言って、伝統的な職人技のジェラートを製造するための機械では、バッチ冷凍プロセスは冷凍サイクルと機械的撹拌を併用することで達成される。ベース食品は、プロセスの種類および混合物それ自体の組成によって変化する温度でバッチ冷凍される(通常、-11<T(℃)<-6の範囲に含まれる)。プロセスのこの段階は、撹拌されている混合物の急速な冷却を特徴とし、これにより、溶質を分離することなく固体結晶相と気相をアイスクリームの構造に分散させることが可能である。
【0006】
知られているように、アイスクリームはふわふわのエマルションであり、非常に特異なコロイド構造を特徴とし、これがアイスクリームに独特の食感と官能特性を与える。
【0007】
より正確には、アイスクリームの変種であるジェラートは、液体分散相を特徴とする溶液であり、同時に、
エマルション(脂肪球を含む)であり、
コロイド(不均一な分散)であり、
泡(気泡を包含する)である。
【0008】
さらに、アイスクリームには物質の3つの状態(固体、液体、気体)がすべて同時に存在することが要求されることに留意すべきである。
【0009】
さらに、アイスクリームは非ニュートン流体であることが知られている。
【0010】
以上から、アイスクリームは非常に複雑な食品であり、さまざまな相互作用力によって結合された複数の成分から構成され、その最終製品の品質、安定性および特性に影響を与えるさまざまな物理的状態を示すことは明らかである。
【0011】
始まりの混合物の成分は、水、脂肪、低脂肪の乳固形分、糖類、安定剤、乳化剤であり、それらは、徐々に冷却され且つ撹拌機の混合作用を受けるときに、各成分が異なる相に分散して生じる製品である「準備ができたアイスクリーム」に変化する。
【0012】
アイスクリームの構造は、およそ3分の2が水からなる凍結した液体に空気が分散することによって形成される。水相には、空気、脂肪、氷の結晶の微細な粒子が閉じ込められているほか、ショ糖、乳糖、その他の糖類、ミネラル塩が含まれる。
【0013】
したがって、大まかに言えば、氷の結晶、気泡、脂肪球、および一般にバターミルクとも呼ばれる、凍結していない粘性の液状マトリックス(単糖類、多糖類、タンパク質および乳化剤の溶液)である4つの主要な構成相を特定することができる。
【0014】
4つの相の処理中の綿密且つ正確なモニタリングは、物理的、構造的および官能的特性に大きな影響を持つ。
【0015】
さらに、バターミルクは、アイスクリームに存在する他の相と相互作用する連続相であり、アイスクリームの構造を全体として維持するものであり、その特性は混合物の組成および温度に依存する。
【0016】
アイスクリームの適切な稠度およびレオロジーは、アイスクリームの品質にとって基本的な側面である。アイスクリームは、非ニュートン流体であり且つチキソトロピー的な挙動を示す(すなわち、その見かけの粘度は力を加える時間とともに減少する)ことに加え、実際には、擬塑性流体であって、その挙動を特定の数学的モデルで巨視的に暫定的に記述することしかできない擬塑性流体であると考えることができる。
【0017】
一方、氷の結晶の量および大きさは、スプーンですくうことができること、硬度、メルトレート、クラスター内の脂肪球の凝集によって影響を受ける可能性があるパラメータなど、最終製品の多くの特性に影響する。
【0018】
気泡の役割は、軽くてふわふわした稠度を提供することである。
【0019】
実用的な見地から、混合物が最適な最終製品を得るためにまさに適切な稠度(すなわち食感)に達する時期を決定することは、基本的に重要である。
【0020】
最後に、アイスクリームの複雑さを考えると、上に述べられたことに基づいて、混合物の配合のわずかなばらつきでさえ、最終製品にさまざまな問題を引き起こす可能性があることが強調されなければならない。
【0021】
完成したアイスクリームの品質を測定または定量化する方法については、以下の点に注意されたい。
【0022】
オーバーランの決定、温度の評価、溶融、すなわちメルトレートおよびパネルテスト(官能分析)など、(品質に関して)最終製品の特性を定義するために、いくつかの従来の方法を使用することができる。
【0023】
詳細には、オーバーランは、混合物の重量を適切な較正容器内のアイスクリームの重量と比較することによって決定される。オーバーランとは、アイスクリーム内に含まれる空気の割合を指し、稠度、柔らかさ、見た目の指標を提供する。
【0024】
溶融またはメルトレートは一般に、製品からメッシュスクリーンを通して滴り落ちる質量を所定の温度で時間の関数として測定することによって定量化され、氷の結晶の特性、したがってアイスクリームの構造と相関する。
【0025】
パネルテストでは、特定の経験を持つ特別な適任のパネリストが、製品の一般的な受容性、すなわち、視覚、嗅覚、味覚のさまざまな側面に基づいてその品質を評価する。
【0026】
アイスクリームの製造は、さまざまなプロセスパラメータと条件との間の複雑な相互作用を通じて行われる。実際、構造的および物理的変化は、官能特性、溶融特性に影響を与える可能性があり、このことは、製品が「準備できている」ときを正確に確認するのは容易ではないことを意味する。
【0027】
先行技術の機械は、製造プロセスを監視して、理想的な稠度に達し、アイスクリームをバッチ冷凍シリンダから取り出す準備ができたときを定義するために開発されたさまざまな戦略を実施している。
【0028】
先行技術の第1の種類の機械では、タイマが製造時間を制御するために使用される。この種の機械には、すべてのアイスクリーム混合物が同一の時間長さで同一の稠度および粘度を得ることができるわけではないという明らかな欠点があり、その結果、アイスクリームの製造の最適化は、機械を使用し且つレシピを管理するオペレータの経験に大きく依存する。
【0029】
この明らかな欠点を克服するために、アイスクリームを製造するための第2の種類の機械は、アイスクリームが最適な稠度に達したときをこのパラメータに基づいて確認できるように、製品温度センサを備える。
【0030】
製品温度は、処理チャンバ内で一様に決定することが難しい量であり、その上、すべての種類のアイスクリームについて最適値を特定することは不可能であることに留意すべきである。
【0031】
そのことは、この場合も、アイスクリームの製造の最適化は、機械を使用し且つレシピを管理するオペレータの経験に大きく依存することを意味する。
【0032】
第3の種種の機械は、アイスクリームが撹拌機の回転に対抗する抵抗を検出する(それにより、アイスクリームの硬度および粘度を間接的に測定する)ように構成された装置を備える。
【0033】
この装置は機械式でも電子式でもよく、すなわち、撹拌機モータの電源入力に基づく。
【0034】
このような電子装置では、電流値および電圧値が処理され、撹拌機駆動モータによって供給されるトルクの間接的な測定値が得られる。
【0035】
さらに別の先行技術の解決策では、アイスクリーム機械は、バッチ冷凍チャンバの内部の混合物の存在を検出でき、アイスクリームが適切な稠度に達したかどうかを確認するために電気伝導度の測定を行うことができるレベルセンサを備える。
【0036】
この解決策が基づいている原理は、バッチ冷凍チャンバの温度が下がるため、混合物内に存在する水分が処理中に固形化し、溶質の濃度が低下し、ひいては電気伝導度測定によって検出することができる電気伝導度が低下するという事実である。
【0037】
本出願人は、現在までに存在する液状または半液状の食品を製造するための機械は、その種類が何であれ、実質的にリアルタイムで、以下のような欠点を克服するために、現在適用されているアイスクリーム製造プロセスに作用することができないことを見出した。欠点は、
‐プロセス時間が長いこと、
‐アンバランスな混合物(すなわち、特定の成分、例えば、糖類、水分または脂肪、の割合がプロセスに最適な割合と異なる混合物)をバッチ冷凍することができないこと、
‐脂肪分を多く含む混合物の熱交換の問題、
‐撹拌機の内部にアイスクリームの塊ができる可能性、
‐正確な稠度を定義する際の再現性の問題、である。
【0038】
さらに、現在までに存在する液状または半液状の食品を製造するための機械では、成分のバランスという点で、どのような混合条件でも最適な品質の最終製品を製造することは不可能である。
【0039】
したがって、液状または半液状の製品、特にアイスクリーム、を処理するための機械であって、バッチ冷凍プロセスを最適な態様で完了でき、同時に最適な品質の製品を製造することができる機械に対するニーズが、関係業界では特に強く感じられる。
【発明の概要】
【0040】
本発明の目的は、液状および/または半液状の製品、特にアイスクリーム、を処理するための機械であって、バッチ冷凍プロセスを最適化でき、同時に最適な品質の製品を製造することができる機械、および当該機械を制御するための方法を提供することによって、上述のニーズを満たし且つ先行技術の上述の欠点を克服することである。
【0041】
本発明の別の目的は、最終製品の品質に何ら悪影響を与えることなく、可能な限り短時間でアイスクリームをバッチ冷凍することを可能にする、液状および/または半液状の製品を処理するための機械、および当該機械を制御するための方法を提供することである。
【0042】
本発明のさらに別の目的は、液状、半液状または半固体状の製品を処理するための機械であって、処理サイクル中の潜在的な問題を防止することができる機械、および当該機械を制御するための方法を提供することである。
【0043】
本発明のさらに別の目的は、液状、半液状または半固体状の製品を処理するための機械であって、アイスクリームを抽出する適切な時期、すなわち混合物が最適な稠度に達したときを正確に特定することを可能にする機械を提供することである。
【0044】
前述の目的に従った本発明の技術的特徴は、以下の特許請求の範囲に明確に開示されており、その利点は、単に例示的な実施形態を表す添付図面を参照して、以下の詳細な説明において、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明による液状、半液状または半固体状の製品を製造するための機械を概略的に示す。
図2】本発明による液状、半液状または半固体状の製品を製造するための機械を概略的に示す。
図3図1の機械の制御ユニットの詳細を概略的に示す。
図4図1の機械の制御ユニットによって実行される制御フローを概略的に表す。
図5】ニューラルネットワークを含む実施形態における本発明の機械1の制御モジュールのアーキテクチャを概略的に表す。
図6】訓練のステップ中に使用される混合物の一部の組成を概略的に示す。
図7-9】訓練のステップ中の、したがって、制御モジュールがまだ訓練されていないときの、本発明の機械における処理サイクル中のパラメータの一部の傾向を概略的に表す。
図10】訓練のステップ中の、したがって、制御モジュールがまだ訓練されていないときの、本発明の機械における処理サイクルを概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明により規定されるのは、液状または半液状または半固体状の食品を製造するための機械1である。
【0047】
機械1では主にアイスクリームおよび冷たいデザート製品を製造することが可能であることに留意すべきである。
【0048】
より好ましくは、機械1ではアイスクリーム、職人技のジェラートおよび/またはソフトクリーム、シャーベット、クリーム、グラニータを製造することが可能である。
【0049】
機械1は、
‐ベース製品を処理するための処理容器2と、
‐ベース製品の処理容器2の内部の製品を混合するように適合され且つ処理容器2の内部で回転する撹拌機3と、
‐容器2の内部の製品を熱処理するように構成された熱処理システム4と、
‐熱処理システム4および撹拌機3に接続され、それらを駆動する制御ユニット5と、
‐機械の動作パラメータおよび/または機械の部品の状態を検出するように構成された少なくとも1つのセンサSと、を備える。
【0050】
本発明によれば、制御ユニット5は、
‐少なくとも1つの入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)および少なくとも1つの出力U11を有する事前訓練された分類器CLを規定するように構成された第1の人工知能制御モジュール6であって、少なくとも1つの入力I1がセンサSに接続される、第1の人工知能制御モジュール6と、
‐第1の制御モジュール6の出力U11および少なくとも熱処理システム4および/または撹拌機3に接続され、第1の制御モジュール6の少なくとも1つの出力U11の値の関数として、熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節する駆動モジュール7と、を備える。
【0051】
一態様によれば、第1の制御モジュール6は、複数の入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)を備える。
【0052】
さらに別の態様によれば、第1の制御モジュール6の少なくとも1つの出力U11は、ベース製品の混合物の分類を表す。
【0053】
基本的に、第1の制御モジュール6は、混合物を分類するように構成される。
【0054】
一実施形態では、第1の制御モジュール6は、機械学習(人工知能)ソリューションに基づく分類器CLを備えることに留意すべきである。
【0055】
一実施形態では、第1の制御モジュール6は、ニューラルネットワークRNであって、複数の層(S1、S2、S3、S4、S5、S6)を備え、複数の入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)を有する、ニューラルネットワークRNを備えることに留意すべきである。
【0056】
一般性を失うことなく以下に詳細に説明されるのは、第1の制御モジュール6がニューラルネットワークRNを備える実施形態である。
【0057】
しかしながら、第1の制御モジュール6としてニューラルネットワークRNを備えていない他の実施形態についても以下に説明される。
【0058】
好ましくは、別の態様によれば、機械1は、製品を提供するために第1の容器2に接続されたディスペンサ21を備える。
【0059】
別の態様によれば、機械1は、好ましくは、制御ユニット5に接続され、ユーザが制御ユニット5にコマンド/セッティングを送信することを可能にするためのインタフェースUを備える。
【0060】
好ましくは、機械1は、撹拌機3を回転駆動するために撹拌機3に接続された電気モータを備える。
【0061】
好ましくは、ニューラルネットワークRNは、複数のニューロン、好ましくは10より大きいニューロンを有する(好ましくは、ReLUまたはtanh双曲線正接またはLeakyReLU活性化関数を有する)少なくとも2つの隠れ層を備える。
【0062】
好ましくは、ニューロンの最後の層S6、すなわちニューラルネットワークRNの出力での層は、シグモイド活性化関数(2クラスの場合)またはソフトマックス活性化関数(3クラス以上の場合)を有する。
【0063】
種々の層(S1、S2、S3、S4、S5、S6)を構成するニューロンの活性化関数に関して、これらの活性化関数が以下のタイプ、すなわち、
‐ (入力値を0から1の間で圧縮する)シグモイド、
‐ f(x) = max(0,x)として定義される線形活性化関数であるReLU(Rectifled linear unit:整流された線形ユニット)、
‐ (好ましくは出力状態で使用される:出力の合計は1であり、有利なことに確率分布を表すことができる)ソフトマックス、
‐ Tanh(hyperbоlic tangent:双曲線正接、シグモイド関数のようなS字カーブの形状を持つが、入力値を-1と1の間で圧縮する、一般に隠し層でよく使用される)、であり得ることは知られている。
【0064】
容器2と撹拌機3は一緒になってバッチ冷凍ユニットを規定することに留意すべきである。
【0065】
ニューラルネットワークRNは、知られているように、計算モデルであって、その目的が入力値に基づいて出力値を決定することである計算モデルである。
【0066】
ニューラルネットワークRNは、複数のニューロン層(図5の例では6層、すなわちS1、S2、S3、S4、S5、S6が存在し、層の数は図示の数より多くても少なくてもよいことが理解される)から構成され、各々が入力で重み付き和演算を行い、その結果を活性化関数に渡し、活性化関数は、それを一定の範囲内に保ち近似する役割を果たす。
【0067】
一態様によれば、隠れ層のニューロンは、その結果を次の層のニューロンへ伝える。
【0068】
この結果は、最後の隠れ層の出力の(活性化)線形結合により与えられることになる。
【0069】
一態様によれば、ニューラルネットワーク層の少なくとも一部S2、S3、S4、S5は隠れ層であり、ニューラルネットワークはディープニューラルネットワークである。
【0070】
別の態様によれば、ニューラルネットワークRNはリカレントニューラルネットワーク(RNN)である。
【0071】
さらに別の態様によれば、ニューラルネットワークRNは畳み込みニューラルネットワーク(CNN)である。
【0072】
代替的に、ニューラルネットワークRNは、RNNおよびCNNタイプの任意の変形、またはRNNおよびCNNおよびそれらの変形の組み合わせによって与えられる任意のハイブリッドバージョンである。
【0073】
さらに別の態様によれば、ニューラルネットワークRNは、公知のトランスフォーマアーキテクチャに従って、「アテンション」として知られるものを実行するコンポーネントによって支援される。
【0074】
この場合、第1の制御モジュール6は、ニューラルネットワークRNと、公知のトランスフォーマアーキテクチャに従って、「アテンション」として知られるものを実行するように構成された他の人工知能サブモジュールと、を備えることに留意すべきである。
【0075】
本出願人が機械1で実施した、ニューラルネットワークRNを用いた実験テストでは、性能の点で最良の結果はCNNタイプのネットワークで観察された。
【0076】
図5に模式的に示されたニューラルネットワークRNの構造は、特にその入力および出力に関して、以下に詳しく説明される。
【0077】
層あたりのニューロン数、および層数は、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、変更可能であることに留意すべきである。
【0078】
好ましくは、ネットワークは4層超で構成される。
【0079】
制御ユニット5のアーキテクチャに焦点を当てると、以下に留意すべきである。
【0080】
一態様によれば、機械1は、少なくとも1つのセンサSのデータに基づいて処理を実行するように、および/または、異常を検出するように構成された、追加の第2の制御モジュール8を備える。
【0081】
第2のモジュール8は、異なる種類の第1の制御モジュール6、すなわち、1つのニューラルネットワークのみで構成されていない第1の人工知能制御モジュール6、と共に使用され得る。したがって、第2のモジュール8に関して説明されたことは、1つのニューラルネットワークのみで構成されていない第1の人工知能制御モジュール6にも明示的に適用される。
【0082】
こうして第2のモジュール8は、少なくとも1つのセンサSからデータを受信する。
【0083】
第2の制御モジュール8は、駆動モジュール7に制御情報を送信できるように、駆動モジュール7に接続された少なくとも第1の出力U21を有する。
【0084】
制御情報は、第2の制御モジュール8への入力として少なくとも1つのセンサSから供給されるデータに基づいて第2の制御モジュール8によって導出される情報である。
【0085】
さらに、別の態様によれば、駆動モジュール7は、第1の制御モジュール6の少なくとも1つの出力U11の値および/または第2の制御モジュール8の出力U21の値の関数として、熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するように構成される。
【0086】
この概念は、以下で詳しく説明される。
【0087】
基本的に、駆動モジュール7は、2つの異なるモードで動作することができ、すなわち、熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを、以下の関数として調節することができる、すなわち、
1) 第1の制御モジュール6の出力U11の値のみ、
2) 第1の制御モジュール6と第2の制御モジュール8の出力(U11、U21)の両方の値、の関数として調節することができる。
【0088】
明らかに、本発明は第1の制御モジュール6を使用するものであり、駆動モジュール7のための第2の制御モジュール8の出力U21のみの値は、以下によく説明される理由により、ある特別な場合に且つ初期段階でのみ、使用され得る。
【0089】
したがって、通常の機械の動作中に、駆動モジュール7が、一方の出力(U11またはU21)のみに基づいて、または両方に基づいて、熱処理システム4および/または撹拌機3を駆動する場合があることに留意すべきである。
【0090】
また、第1の制御モジュール6の出力U11および第2の制御モジュール8の出力U21の値は、少なくとも1つのセンサSの信号の値をすでに考慮している(すなわち、その関数である)ことに留意すべきである。
【0091】
本開示では、「出力」という用語は、(数字のおよび/または英数字の)値を提供するソフトウェア変数またはパラメータを意味するものとして使用されることに留意すべきである。
【0092】
実際、制御ユニット5は、前述のモジュール(6、7、8)を規定するハードウェア要素およびソフトウェア要素で構成される。
【0093】
別の態様によれば、第2の制御モジュール8は、制御情報を第1のニューラルネットワーク制御モジュール6に送信するために、ニューラルネットワークRNの層S1、S2、S3、S4、S5、S6の第1の層の入力のうちの1つの入力I2に接続された第2の出力U22を備える。
【0094】
基本的に、この態様によれば、第2の制御モジュール8は、第1の制御モジュール6と情報を交換するために第1の制御モジュール6に結合されている。
【0095】
特に、第2の制御モジュール8の出力U22は、第1の制御モジュール6の入力I2を構成する。
【0096】
第1の制御モジュール6がニューラルネットワークRNである場合を具体的に参照すると、第2の制御モジュール8の出力U22は、ニューラルネットワークRNの層S1、S2、S3、S4、S5、S6のうちの第1の層S1の入力I2を構成することに留意すべきである。
【0097】
一態様によれば、少なくとも1つのセンサSは、撹拌機3を回転駆動するために撹拌機3に接続された駆動モータ20の電源に関する値を検出するように構成される。
【0098】
言い換えれば、センサSは、撹拌機3を駆動するモータ20の電流値および/または電圧値および/または電力値を検出することができる。
【0099】
センサSは、撹拌機3を駆動するモータ20の電流および/または電圧および/または電力の1つまたは複数を検出することができ且つ互換性のあるものであれば、どのような種類のものであってもよい。
【0100】
また、撹拌機3の駆動モータの追加の制御および駆動ユニット(ドライバ)に組み込まれてもよい。
【0101】
別の態様によれば、第2の制御モジュール8は、撹拌機3を駆動するモータ20の電源に関する値から、容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータを導出するように構成される。
【0102】
好ましくは、容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータは、処理対象の製品に対応する最小値と最終製品に対応する最大値との間に含まれる。
【0103】
好ましくは、容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータは、0と100の間の値であり、ここで、0は、サイクルの開始時の製品、すなわち、ベース成分がまだバッチ冷凍されていないときの製品に対応し、100は、プロセスの終了時の完成したアイスクリーム製品に対応する。
【0104】
さらに別の態様によれば、駆動モジュール7は、処理サイクルの開始時に予め設定された時間長さにわたって第2の制御モジュール8の出力U21の値のみの関数として、熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するように構成される。
【0105】
基本的に、この態様によれば、処理サイクルの開始時に予め設定された時間長さ(好ましくは30秒未満)にわたって、駆動モジュール7は、第2の制御モジュール8の出力U21の値に基づいてのみアクティブである。
【0106】
有利なことに、第2の制御モジュール8の出力U21の値のみが駆動モジュール7の基礎として使用されるという事実は、センサSの信号の複数のサンプルを捕捉することを可能にし、それは、他の情報と共に、ニューラルネットワークRNの入力のための値を構成する。すなわち、複数の入力値がサンプリングされたその時点で初めて、第1の制御モジュール6(それ自体で、または第2のモジュール8と組み合わせて)を使用して、駆動モジュール7に制御情報を送信することが可能になる。
【0107】
実際には、第1の制御モジュール6は、少なくとも1つの出力U11の値を計算できるように、異なる時間に捕捉された一定数の値を入力として持つ必要があることに留意すべきである。
【0108】
基本的に、十分な所定の量の情報(すなわち、データサンプルの数)が統計的に利用可能である場合、少なくとも1つの出力U11を計算できるように、制御モジュール6に入力データを提供することが可能である(そのため、駆動モジュール7は、必要に応じて、熱処理システム4および/または撹拌機3を調節できるように、出力U11を使用することができる)。
【0109】
この態様に関連して、以下の点に注意されたい。
【0110】
第1の制御モジュール6は、好ましくは、反復改良によって迅速な分類を実行することを可能にすることに留意すべきである。言い換えれば、(ほとんどの先行技術の分類器によって実行されるものとは異なり)処理サイクルの終了を待つことなく、さまざまな時間間隔に基づく早期分類が実行され、第1の制御モジュール6は、センサSによって捕捉されたデータサンプルの数が漸増するにつれて、さまざまな時間間隔で分類を実行することができる。これには、バッチ冷凍プロセスの開始時に初期の分類を行うという利点があり、例えば、より低速ではあるがより“ロバストな”製造プロセスを実施することにより、起こり得る混合物のアンバランスを修正する裁量を機械に与えることができる。
【0111】
基本的に、プロセス開始後、より多くの時間が経過するにつれて、したがって、センサSによって捕捉され且つ入力として適用されるデータサンプルの数が増加するにつれて、第1の制御モジュール6は、その分類の信頼性を増加させることができる。ただし、それは、サイクルの開始直後から実質的にアクティブであり、サイクルの終了を待つ必要はない。
【0112】
別の態様によれば、熱処理システム4は熱力学的システムである。
【0113】
好ましくは、熱処理システム4は熱力学的タイプのシステムである。
【0114】
言い換えれば、熱処理システム4は、熱交換流体を使用する回路から構成され、蒸発器10、圧縮機11、絞り要素12、凝縮器13を含む。
【0115】
好ましくは、回路は熱力学的な蒸気圧縮サイクルを実行する。
【0116】
熱交換流体は冷凍流体である。
【0117】
別の態様によれば、駆動モジュール7は、以下の動作パラメータの1つまたは複数を調節するように構成される。すなわち、
‐圧縮機11の駆動力、
‐絞り要素12の開度、
‐撹拌機3の回転速度、
‐処理サイクル時間(すなわち、処理サイクルが停止する瞬間)、の1つまたは複数を調節するように構成される。
【0118】
上述のアーキテクチャによれば、機械1を制御するために設定可能なサイクルは、駆動モジュール7の入力として、第1のニューラルネットワークの制御モジュール6の出力を使用できることに留意すべきである。
【0119】
以下でより明確にされるように、ニューラルネットワークを訓練する特定のモードについて説明すると、有利なことに、完全にはバランスが取れていない混合物、すなわち、最適な(理論的な)割合から逸脱した割合で存在する1つ以上の成分を含む混合物であっても、アイスクリーム製造サイクルを効果的に完了するように、機械1を訓練することが可能である。
【0120】
一態様によれば、少なくとも1つのセンサSは、以下のパラメータの少なくとも1つを検出するように構成される。すなわち、
‐熱処理システム4の回路内の所定の点での熱交換流体の動作圧力、
‐熱処理システム4の回路内の所定の点での熱交換流体の動作温度、
‐容器2の動作温度、
‐容器2に関連付けられた蒸発器10から流出する熱交換流体の動作温度、
‐容器2に関連付けられた蒸発器10に流入する熱交換流体の動作温度、
‐圧縮機11から流出する熱交換流体の動作圧力、
‐蒸発器10から流出する熱交換流体の動作圧力、
‐処理サイクル時間、
‐機械1に近接する周囲の空気の温度、の少なくとも1つを検出するように構成される。
【0121】
より一般的に言えば、機械1は、各々が前述のパラメータの中の一のパラメータを検出するように構成された複数のセンサSを備え得ることに留意すべきである。
【0122】
特に、したがって、機械1は、熱処理システム4の回路内の所定の点での熱交換流体の動作圧力を検出するように構成された圧力センサSを備え得る。
【0123】
別の態様によれば、機械1は、熱処理システム4の回路内の所定の点での熱交換流体の動作温度を検出するように構成された温度センサSを備え得る。
【0124】
さらに別の態様によれば、機械1は、(容器に関連付けられた)蒸発器10から流出する熱交換流体の動作温度を検出するように構成されたセンサSを備え得る。
【0125】
さらに別の態様によれば、機械1は、容器2の動作温度を検出するように構成されたセンサSを備え得る。
【0126】
さらに別の態様によれば、機械1は、容器2に関連付けられた蒸発器10から流出する熱交換流体の動作温度を検出するように構成されたセンサSを備え得る。
【0127】
さらに別の態様によれば、機械1は、(容器2に関連付けられた)蒸発器10に流入する熱交換流体の動作温度を検出するように構成されたセンサSを備え得る。
【0128】
さらに別の態様によれば、機械1は、圧縮機11から流出する熱交換流体の動作圧力を検出するように構成されたセンサSを備え得る。
【0129】
さらに別の態様によれば、機械1は、蒸発器10から流出する熱交換流体の動作圧力を検出するように構成されたセンサSを備え得る。
【0130】
別の態様によれば、機械1は、処理サイクル時間を検出するように構成されたセンサSを備え得る(この種のセンサは、制御ユニット5のソフトウェア変数である可能性もある)。
【0131】
さらに別の態様によれば、少なくとも1つのセンサSは、機械の少なくとも一部分の加速度値を検出するように構成される。
【0132】
別の態様によれば、入力I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7は、以下の入力のうちの1つまたは複数を含む。すなわち、
‐容器2内で処理されている製品の稠度または粘度を表す値に関連する(すなわち、表す)第1の入力(I1)、
‐容器2の動作温度を表す値に関連する(すなわち、表す)第2の入力I2、
‐容器2に関連付けられた蒸発器10に流入する熱交換流体の動作温度を表す値に関連する(すなわち、表す)第3の入力I3、
‐容器2に関連付けられた蒸発器10から流出する熱交換流体の動作温度を表す値に関連する(すなわち、表す)第4の入力I4、
‐圧縮機11から流出する熱交換流体の動作圧力を表す値に関連する(すなわち、表す)第5の入力I5、
‐蒸発器10から流出する熱交換流体の動作圧力を表す値に関連する(すなわち、表す)第6の入力I6、
‐絞り要素12の開度を表す値に関連する(すなわち、表す)第7の入力I7、のうちの1つまたは複数を含む。
【0133】
第1のモジュール6がニューラルネットワークRNから構成される場合、これらの入力は、ニューラルネットワークRNの層S1、S2、S3、S4、S5、S6のうちの第1の層の入力である。
【0134】
これらの入力I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7が選択されたのは、それらが、アイスクリーム業界の、すなわちアイスクリームを製造するのに適した機械1の、処理サイクルを制御および監視するための最も重要なパラメータであると考えられたからであることに留意すべきである。
【0135】
この明細書は、機械1が、1つの入力I1のみ、または、任意の態様で選択された、上述の入力のうち2つから7つまでのNを有するニューラルネットワークRNを有する実施形態をカバーすることが理解される。
【0136】
特に、上述の入力I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7のうち、(実施された訓練テストに基づいて決定される)第1の制御モジュール6の少なくとも1つの出力U11を決定する際に最も重要性または重み(すなわち、影響力)を有するものは、第1の入力I1および第6の入力I6であると思われることが強調される。
【0137】
別の態様によれば、第1の制御モジュール6は、容器2内で処理されている混合物の成分のバランスに基づいて混合物を分類するように構成され、第1の制御モジュール6の少なくとも1つの出力U11は、容器2内で処理されている混合物の分類を表す。
【0138】
言い換えれば、この態様によれば、少なくとも1つの出力U11は、処理されている混合物が1つまたは複数のベース成分またはベース成分全体に対してバランスが取れている確率を表す。
【0139】
知られているように、最適な品質のアイスクリームを得るためには、バランスの取れた成分が基本である。したがって、成分のバランスが取れているか(取れていないか)に関する情報は、ベース混合物を最適な態様で処理できるように、必要なときに是正措置をとる(すなわち、熱処理システム4または撹拌機3を適宜制御する)ことができるようにするための基本である。
【0140】
有利なことに、別の態様によれば、アンバランスな混合物の種類を分類することは、最適な凝固点を特定できるようにするための基本となり、したがって、バッチ冷凍プロセスを完了できる可能性が高まる。
【0141】
そもそも、制御ユニットの動作のためには、処理されている混合物が1つまたは複数のベース成分またはベース成分全体に対してバランスが取れているか取れていないかを確認すれば十分である。
【0142】
別の態様によれば、第1の制御モジュール6は、容器2内で処理されている混合物中の成分のバランスに基づいて、混合物の多クラス分類を実行するように構成される。
【0143】
この態様によれば、第1の制御モジュール6は、複数の出力U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19で構成される。
【0144】
この態様によれば、第1の制御モジュール6がニューラルネットワークRNで構成される場合、ニューラルネットワークRNの層S1、S2、S3、S4、S5、S6の最後の層は、複数の出力U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19で構成される。
【0145】
各出力U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19は、ベース成分が所定の態様でバランスが取れているまたは取れていない混合物クラスに関連する(すなわち、表す)。
【0146】
基本的な実施形態では、第1の制御モジュール6は、1つの出力U11のみを有し、これは、ベース成分の1つまたは全体が、バランスが取れているまたは取れていない度合いを表す。
【0147】
より正確には、各出力U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19は、容器2内で処理されている製品が予め設定されたクラスに対応する確率を表す、最小値と最大値の間(好ましくは0と1の間)の数値を提供する。
【0148】
一態様によれば、第1の制御モジュール6の前述の出力U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19はそれらの全体で、処理されている混合物の以下のクラスのうちの2つ以上に関連する(すなわち、表す)。すなわち、
‐容器2内で処理されている製品は、少なくとも1つのベース成分に関してバランスが取れている、
‐容器2内で処理されている製品は、水成分に関してアンバランスである、
‐容器2内で処理されている製品は、脂肪に関してアンバランスである、
‐容器2内で処理されている製品は、糖類に関してアンバランスである、のうちの2つ以上に関連する(すなわち、表す)。
【0149】
特定の実施形態によれば、第1の制御モジュール6の前述の出力U11、U12、U13、U14、U15、U16、U17、U18、U19はそれらの全体で、処理されている混合物の以下のクラスのうちの2つ以上に関連する(すなわち、表す)。すなわち、
‐容器2内で処理されている製品は、少なくとも1つのベース成分に関してバランスが取れている、
‐容器2内で処理されている製品は、水成分に関してアンバランスである、
‐容器2内で処理されている製品は、脂肪の過剰によりアンバランスである、
‐容器2内で処理されている製品は、脂肪の欠乏によりアンバランスである、
‐容器2内で処理されている製品は、糖類の欠乏によりアンバランスである、
‐容器2内で処理されている製品は、糖類の過剰によりアンバランスである、のうちの2つ以上に関連する(すなわち、表す)。
【0150】
一態様によれば、制御ユニット5は、好ましくは30秒未満(さらに好ましくは15秒未満、または有利なことに5秒未満)の、予め設定された時間間隔で、第1の制御モジュール6の入力のうちの少なくとも1つの入力I1にデータを送信するように構成される。
【0151】
以上は、特に第1の制御モジュール6に関して、制御ユニット5の構造の説明である。
【0152】
さて、以下に説明されるのは、ニューラルネットワークRNの訓練手順、すなわち、上述のニューラルネットワークがどのように訓練されたかである。
【0153】
以下は、ニューラルネットワークRNで構成される第1の制御モジュール6の訓練に適用可能であるが、説明される手順のいくつかの側面、特に使用される混合物の種類に関しては、別の種類の人工知能分類器CLで構成される制御モジュール6にも適用可能であることを考慮すべきである。
【0154】
ニューラルネットワークRNの訓練とは、可能な限り最高の性能を発揮するために活性化関数の重みを見つけることを意味する。
【0155】
一般的に言えば、ニューラルネットワークの訓練は、ニューラルネットワークモデルの予測誤差を最小化するために、ニューロン間の接続の重みを調整することを含む。
【0156】
知られているように、ニューラルネットワークの訓練のプロセスはいくつかのステップで行われる。すなわち、
-1)重みの初期化:ニューロン間の接続の重みがランダムな値で初期化されるステップ、
-2)フィードフォワード:入力がニューラルネットワークに提示され、ニューラルネットワークが種々のニューロン層を通過することによって入力を処理し、種々のニューロン層の各々が重み付けされた入力の活性化関数を持つ、ステップ、
-3)誤差の計算:誤差がニューラルネットワークによって生成された出力と予想値とを比較することによって計算されるステップ、
-4)バックプロパゲーション:誤差がニューラルネットワークを通して逆伝播され、誤差を減らすためにニューロン間の接続の重みを修正するステップ、で行われる。
【0157】
ステップ2から4は、一定回数、または誤差が所定の許容値に達するまで繰り返される。
【0158】
好ましくは、訓練された後、ニューラルネットワークRNは、新しいデータに対する性能を評価するために、追加のデータセット(テストデータ)で検証される。
【0159】
ニューラルネットワークRNを訓練するために、以下に詳述されるように、容器2に投入された異なる種類の混合物を、異なる程度にバランスさせた状態で、すなわち、成分のバランスに関して異なる分類で、機械1を動作させた、すなわち、処理サイクルを実行させた。
【0160】
例えば、1種類の混合物に関して、そのベース成分に関してバランスが取れているか取れていないかにかかわらず、複数のテストが実施され(好ましくは、各種類の混合物について5回超)、訓練中、その混合物の所望のクラスに関連する出力に確率1が割り当てられ、他の混合物のクラスに関連する出力に確率0が割り当てられた。
【0161】
(各種類の混合物について、混合物の組成のわずかな変化に関して機械1を訓練するように、いくつかのバッチを使用したことを考慮して)訓練に使用された混合物は以下の通りである。すなわち、混合物は、
‐バランスの取れた混合物、
‐脂肪過多のアンバランスな混合物、
‐糖類(スクロース)過多のアンバランスな混合物、
‐糖類(スクロース)不足のアンバランスな混合物、
‐水分過多のアンバランスな混合物、である。
【0162】
より正確には、以下の9つの混合物が訓練に使用された。すなわち、
‐バランスの取れた混合物、
‐第1の所定の割合(好ましくは最適バランスの3倍に相当)だけ脂肪(好ましくはクリーム)過多のアンバランスな混合物、
‐第2の所定の割合(好ましくは最適バランスの4.4倍に相当)だけ脂肪(好ましくはクリーム)過多のアンバランスな混合物、
‐第1の所定の割合(好ましくは最適バランスの+1/3に相当)だけ糖類(スクロース)過多のアンバランスな混合物、
‐第2の所定の割合(好ましくは最適バランスの+2/3に相当)だけ糖類(スクロース)過多のアンバランスな混合物、
‐第3の所定の割合(好ましくは最適バランスの100%に相当)だけ糖類(スクロース)過多のアンバランスな混合物、
‐第1の所定の割合(好ましくは最適バランスの-1/3に相当)だけ糖類(スクロース)不足のアンバランスな混合物、
‐第2の所定の割合(好ましくは最適バランスの-2/3に相当)だけ糖類(スクロース)不足のアンバランスな混合物、
‐(好ましくは、最適バランスに対して+10%に相当する)水分過多のアンバランスな混合物、が使用された。
【0163】
図6は、例えば、以下の混合物の(パーセントの数値での)テスト混合物の組成をそれぞれ示す。混合物は、
バランスが取れている混合物(1行目)、
水分過多のアンバランスな混合物(2行目)、
最適なバランスより3倍、脂肪(クリーム)過多のアンバランスな混合物(3行目)、
最適なバランスより4.4倍、脂肪(クリーム)過多のアンバランスな混合物(4行目)、
最適なバランスより2/3、糖類(スクロース)不足のアンバランスな混合物(5行目)、
最適なバランスより1/3、糖類(スクロース)不足のアンバランスな混合物(6行目)、
最適なバランスより1/3、糖類(スクロース)過多のアンバランスな混合物(7行目)、
最適なバランスより2/3、糖類(スクロース)過多のアンバランスな混合物(8行目)、
最適なバランスより100%、糖類(スクロース)過多のアンバランスな混合物(9行目)、である。
【0164】
「LMS」という頭字語は、低脂肪の乳固形分(lean milk sоlid)を意味する。
【0165】
より多くの混合物、例えば水分過多の複数のアンバランスな混合物、および/または脂肪不足の複数のアンバランスな混合物、を使用することによって、より高い精度が得られ得ることに留意すべきである。
【0166】
容易に理解できるように、テスト混合物は容器2に投入され、当該テスト混合物に対してアイスクリーム製造サイクルを実行するように機械1は始動された。
【0167】
したがって、このサイクルの間、ニューラルネットワークRNは、センサSからの値を入力として、すなわち上述のようにその入力で受け取り、容器2内で処理されている混合物の正しい分類に対応するラベルがニューラルネットワークRNの出力で設定された。
【0168】
ニューラルネットワークRNは、実質的には、分類器として機能するように構成されることに留意すべきである。
【0169】
好ましくは、訓練は100から600の間、さらにより好ましくは250未満、のエポック数で実施される。
【0170】
好ましくは、訓練はアダムオプティマイザを介して行われる。
【0171】
さらに好ましくは、訓練は各々12個のサンプルのバッチで行われる。
【0172】
実施されたテストでは、糖類は処理されている混合物の凝固点を下げる効果を持つことが観察された。
【0173】
その結果、軽い甘味しかない(糖類が少ない)混合物は、より早く凍結する傾向にあり、所望の稠度に達する前に氷の塊が形成されるリスクがある一方、糖類の多い混合物は、より低い温度で凍結するので、より液体のままである傾向にある。
【0174】
以下に詳述されるように、第1の制御モジュール6を介した混合物の分類を通じて、混合物の種類、特に糖類バランス、を理解することにより、処理されている製品の種類の関数として、バッチ冷凍サイクルを最適な態様で完了することを目的とした措置を実施することが可能であることに留意すべきである。
【0175】
実際には、上で述べられたように、例えば糖類の場合、混合物が(好ましくは、ただ必ずしもそうである必要はないが、過剰または不足で)アンバランスであるかどうかを第1のモジュール6を通して理解することにより、適切な是正措置を講じることが可能になる。
【0176】
図7は、バランスの取れた混合物を使用した製造プロセスにおいて、センサSが捕捉するいくつかのパラメータの傾向を示す。
【0177】
より正確には、図7に示されるグラフでは、R1は、撹拌機3のモータの電源に関連する値から得られる、容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータの経時的な傾向(X軸)であり、このパラメータは、y軸の値によって表され、0から100まで変化する。
【0178】
図7では、R2は蒸発器10の入口側の温度を示し、R3は蒸発器10の出口側の温度を示し、R4はこれら2つの温度間の差を示す。
【0179】
グラフから推測され得るように、容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータは、製品が準備できたときである(100に相当する)最大値に達するまで、処理中に増加する傾向にある。
【0180】
実験により、容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータは、1つまたは複数の成分のバランスに関する混合物の種類の関数として、または処理中に発生する可能性のある異常(例えば、凍った塊)の関数として、異なる傾向を有することが示された。
【0181】
異なる混合物について、容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータの傾向をサンプリングすることによって、教師あり訓練中に、導出された、図8を参照すると、
‐混合物M1は3倍量のクリームでアンバランスである、
‐混合物M2は4.4倍量のクリームでアンバランスである、
‐混合物M3は10%の水でアンバランスである。
‐混合物M4はバランスが取れている、ことが留意される。
【0182】
観察され得るように、バランスの点で異なる種類の混合物に関して、容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータは、異なる時間で最終製品に対応する稠度(すなわち、実質的に100に等しい)に達する。
【0183】
注目され得るように、アンバランスな混合物(M1、M2、M3)は、バランスが取れた混合物(M4)よりも短時間で最大稠度に達する。
【0184】
この例から容易に理解され得るように、したがって、制御モジュール6を介して混合物の分類を知ることにより、駆動モジュール7は、第1の制御モジュール6の出力(混合物の分類)と第2の制御モジュール8の出力(製品の稠度および/または粘度に関連するパラメータの値)との組み合わせに基づいて、成分のバランスに関係なく、最高品質の製品でバッチ冷凍サイクルを完了できるように最適な態様で機械を制御することが可能である。
【0185】
圧縮機11の下流にある熱力学システム4の熱交換流体の圧力の値の傾向をサンプリングすることによって、教師あり訓練中に、導出された、図9を参照すると、
‐混合物M1は3倍量のクリームでアンバランスである、
‐混合物M2は4.4倍量のクリームでアンバランスである、
‐混合物M3は10%の水でアンバランスである。
‐混合物M4はバランスが取れている、ことが観察され得る。
【0186】
図9から明らかなように、圧縮機の下流にある熱力学システム4の熱交換流体の圧力は、サイクルに沿って、種々の混合物に対して異なる。
【0187】
したがって、第1の制御モジュール6にとって、この入力は、分類の目的のために確実に使用可能な値を構成する。
【0188】
このグラフは、また、水に関してアンバランスな混合物M3では、処理サイクル中の圧力が、それがバランスのとれた混合物M4の場合よりも低いことを示す。
【0189】
図10は、バランスの取れた混合物(A)と比較したアンバランスな混合物(B)を示す。
‐曲線X1は、経時的に測定された混合物の稠度または粘度を表す。
‐曲線X2は、絞り要素12の開度を表す。
‐曲線X3は、熱力学システム4の蒸発器10から流出する熱交換流体の温度を表す。
‐曲線X4は、熱力学システム4の蒸発器10に流入する熱交換流体の温度を表す。
【0190】
図10では、P1およびP2とラベル付けされたゾーンは、バッチ冷凍サイクルの終了に対応する、圧縮機11の停止に対応する。
【0191】
圧縮機11が停止している間にアイスクリームが容器2から取り出されない場合、機械1は、アイスクリームを所定の温度に保つために、圧縮機11および撹拌機3(ここでは関係ないゾーンP3およびP4)を再始動させることに留意すべきである。
【0192】
図10は、第1のニューラルネットワークの制御モジュール6の訓練中に機械1で実行されるテストに対応することに留意すべきである。
【0193】
アンバランスな混合物「B」および最適な稠度を表す線LOを参照すると、稠度曲線X1は、すなわち混合物の粘度は、最適な稠度LOに達しておらず、したがって製造されたアイスクリームは準最適な品質であることが留意される。
【0194】
このような場合、第1の制御モジュール6による特別な制御サイクルが存在することで、アンバランスな混合物「B」の場合、駆動モジュール7が、点P2での稠度よりも確実に固い稠度に対応する点P5で処理サイクルを停止させることが可能である。
【0195】
上記は、本発明の機械1によって可能になる技術的性能の向上の明らかな証拠である。
【0196】
非限定的な例として以下に説明されるのは、駆動モジュール7を通して実施される制御動作である。
【0197】
まず、「熱処理システム(4)および/または撹拌機(3)に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節する」という表現は、駆動モジュール7が、熱処理システム4および/または撹拌機3(特に、撹拌機3に結合された電気モータ)に対して作用し、それらの機能を制御することを意味するために使用されることが明記される。
【0198】
駆動モジュール7は、機械1の他の部分にも作用できることに留意すべきである。
【0199】
また、有利なことに、駆動モジュール7は、熱処理システム4の以下の部品、すなわち、圧縮機11および/または絞り要素12および/または凝縮器13に作用する部品(冷却ファンおよび/または冷却水ポンプ)のうちの1つまたは複数に作用できることに留意すべきである。
【0200】
以下に説明されるのは、混合物の組成および/または特定のプロセス条件の結果として、機械1の動作中に発生する可能性のあるいくつかのケースである。
【0201】
このような状況下で、制御ユニット5が熱処理システム4および/または撹拌機3に関する動作パラメータを調整する方法が説明される。
【0202】
処理中の特定の条件により、撹拌機3の中央に凍ったアイスクリームの塊が生じる可能性がある。
【0203】
制御モジュール8は、この種の潜在的な異常、すなわち、撹拌機3の中央に凍ったアイスクリームの塊を含む異常、を以下のセンサ信号の1つまたは複数によって検出するように構成され得る。センサ信号は、
‐製品の稠度に関連する値の減少、
‐および/または冷凍圧縮機の吸入端での過熱の増加、である。
【0204】
このような状況下で、第1の制御モジュール6が混合物をアンバランスな混合物として分類した場合(分類が多クラスである場合、好ましくは脂肪過多でアンバランス)、駆動モジュール7は、(バッチ冷凍サイクルを最適な態様で完了できるようにするために)以下の動作の1つまたは複数を指令するように構成され得る。動作は、
‐圧縮機11の入口での過熱を減少させるために、減圧要素(スロットルバルブ)の開度を増加させる、
‐撹拌機3のモータを断続的に、好ましくはパルスモードで(好ましくは高速で)、駆動する、
‐撹拌機3のモータの回転方向を反転させる、である。
【0205】
有利なことに、これらの動作のおかげで、処理サイクルを完了することができる。第1の制御モジュール6が混合物をアンバランスな混合物として分類したという事実は、有利なことに、駆動モジュール7によって検出された異常を確認するものであることに留意すべきである。実際、実験によれば、混合物がアンバランスである場合、一般に中央に凍ったアイスクリームの塊が形成される傾向にあることが示された。
【0206】
そのように、取られた是正措置によって処理サイクルを効果的に完了することが可能であり、その結果、ベース成分のバランスが取れているかどうかにかかわらず、最適な品質の製品を生産することができる。
【0207】
別の例では、ある条件下で、氷の層は容器2の内壁に形成され得る。
【0208】
制御モジュール8は、この種の潜在的な異常、すなわち容器2の内壁の氷の層を含む異常、を以下のセンサ信号の1つまたは複数によって検出するように構成され得る。センサ信号は、
‐蒸発器10の入口および出口での温度の変化(すなわち、値が予想値、所望の値または以前の値とは異なる)、である。
【0209】
このような状況下で、第1の制御モジュール6が混合物をアンバランスな混合物として分類した場合(分類が多クラスである場合、好ましくは糖類および/または脂肪不足でアンバランス)、駆動モジュール7は、(バッチ冷凍サイクルを最適な態様で完了できるようにするために)以下の動作のうちの1つまたは複数を指令するように構成され得る。動作は、
‐圧縮機11の駆動力を調整(低減)する、
‐蒸発器10に高温ガスを注入するモード、すなわち蒸発器10を加熱するモード、を作動させる、である。
【0210】
蒸発器10に高温ガスを注入して蒸発器10を加熱するために、すなわち、蒸発器10を、熱を吸収する(冷却する)代わりに熱を供給する(加熱する)交換器として一定時間長さにわたって作動させるために、熱処理システム4は、蒸発器10が2つの代替モードで動作できるように構成されなければならないことに留意すべきである。
‐(1)高温ガスサイクルとして知られる構成(当業者なら誰でも知っているので図示されない)
‐または(2)ヒートポンプのように動作する(当業者なら誰でも知っているので図示されない)。
【0211】
これらの構成では、熱処理システム4は、蒸発器10の冷却モードと、高温ガスの注入による、すなわち蒸発器10の加熱による、動作モードとの間の切り替えを可能にするために、制御ユニット5によって操作可能な1つまたは複数のバルブを備える。別の例では、処理中の製品は、予想される設定時間よりも短すぎる時間で最適な稠度に達し得る。
【0212】
これは一般に、アイスクリームの最終温度が正しくない、すなわち、それが良質のアイスクリームに期待されるほど冷たくないことを意味する。
【0213】
制御モジュール8は、この種の潜在的な異常、すなわち、所定の設定時間よりも短い時間で到達した稠度の値を含む異常、を以下のセンサ信号の1つまたは複数によって検出するように構成され得る。センサ信号は、
‐処理サイクル開始時間に対する(例えば、撹拌機3のモータ20の電源入力値を介して間接的に検出される)製品稠度信号、
‐予想される時間値または経時的なプロファイルとは異なる処理容器2の温度信号、である。
【0214】
このような状況下で、第1の制御モジュール6が混合物をアンバランスな混合物として分類した場合(分類が多クラスである場合、好ましくは、糖類不足でおよび/または脂肪過多でアンバランス)、駆動モジュール7は、(バッチ冷凍サイクルを最適な態様で完了できるようにするために)以下の動作の1つまたは複数を指令するように構成され得る。動作は、
‐(例えば、標準レベルよりも高い稠度の値で停止できるように)処理サイクルの終わりに対応する、製品に関連する稠度の値を増加させる、
‐絞り要素12の開度を増加させる(これにより、有利なことに、容器2の内壁を冷えにくくすることができ、および/または、稠度の値を変化させる可能性のある容器2の内壁の表面から氷を掻き落とすために撹拌機3に要求される労力を低減することができる)、
‐熱システム4の冷凍能力を低下させる、特に圧縮機11の動力を低下させる、ことである。
【0215】
別の例では、製品の稠度に関連して検出された値は、知られているように、アイスクリーム製品の品質に影響を与える主なパラメータの1つであり、製品が処理されている間に低くなる可能性がある。
【0216】
制御モジュール8は、この種の潜在的な異常、すなわち、予想される(設定)時間にわたる予想値または予想傾向に対する製品の稠度の低下を含む異常、を以下のセンサ信号の1つまたは複数によって検出するように構成され得る。センサ信号は、
‐撹拌機3のモータ20の電力(電圧および/または電流)の入力に関する信号、である。
【0217】
このような状況下で、第1の制御モジュール6が混合物をアンバランスな混合物として分類した場合、駆動モジュール7は、(バッチ冷凍サイクルを最適な態様で完了できるようにするために)以下の動作のうちの1つまたは複数を指令するように構成され得る。動作は、
‐熱システム4の冷凍能力を低下させる、特に圧縮機11の動力を低下させる、
‐蒸発器10に高温ガスを注入する、すなわち、蒸発器10を加熱する、ことである。
【0218】
蒸発器10に高温ガスを注入できるようにするための熱システム4の構成について、撹拌機3の中央の凍ったアイスクリームの塊に関して上述されたことは、この場合にも当てはまる。
【0219】
別の例では、製品の稠度に関連して検出された値は、知られているように、アイスクリーム製品の品質に影響を与える主なパラメータの1つであり、製品が処理されている間、時間の経過とともに変化しない可能性がある。
【0220】
制御モジュール8は、この種の潜在的な異常、すなわち、予想される(設定)時間にわたる予想値または予想傾向に対する、経時的に変化しない製品の稠度を含む異常、を以下のセンサ信号の1つまたは複数によって検出するように構成され得る。センサ信号は、
‐撹拌機3のモータの電力(電圧および/または電流)の入力に関する信号、
‐蒸発器10に流入および/または蒸発器10から流出する冷凍流体の温度を表す温度信号、である。
【0221】
このような状況下で、第1の制御モジュール6が混合物をアンバランスな混合物として分類した場合、駆動モジュール7は、(バッチ冷凍サイクルを最適な態様で完了できるようにするために)以下の動作のうちの1つまたは複数を指令するように構成され得る。動作は、
‐熱システム4の冷凍能力を調整(低減)する、特に圧縮機11の動力を低減する、
‐蒸発器10に高温ガスを注入する、ことである。
【0222】
蒸発器10に高温ガスを注入できるようにするための熱システム4の構成について、撹拌機3の中央の凍ったアイスクリームの塊に関して上述されたことは、この場合にも当てはまる。
【0223】
別の例では、蒸発器10から流出する熱交換流体の温度が急激に低下する可能性がある、すなわち、蒸発器10から流出する熱交換流体の温度の値が、予め設定された時間未満である閾値未満に低下する可能性がある。
【0224】
制御モジュール8は、このような潜在的な異常、すなわち、蒸発器10から流出する熱交換流体の温度が予め設定された時間未満で予め設定された値を下回る低下を含む異常、を以下のセンサ信号の1つまたは複数によって検出するように構成され得る。センサ信号は、
‐撹拌機3のモータの電力(電圧および/または電流)の入力に関する信号、
‐蒸発器10に流入するおよび/または蒸発器10から流出する冷凍流体の温度を表す温度信号、である。
【0225】
このような状況下で、第1の制御モジュール6が混合物をアンバランスな混合物として分類した場合、駆動モジュール7は、(バッチ冷凍サイクルを最適な態様で完了できるようにするために)以下の動作のうちの1つまたは複数を指令するように構成され得る。動作は、
‐熱システム4の冷凍能力を低下させる、特に圧縮機11の動力を低下させる、
‐蒸発器10に高温ガスを注入する、すなわち、蒸発器10を加熱モードで作動させる、ことである。
【0226】
蒸発器10に高温ガスを注入できるようにするための熱システム4の構成について、撹拌機3の中央の凍ったアイスクリームの塊に関して上述されたことは、この場合にも当てはまる。
【0227】
別の例では、処理時間が長すぎる可能性がある。
【0228】
制御モジュール8は、この種の潜在的な異常、すなわち、設定または予想される時間長さよりも大きい時間長さの処理を含む異常、を以下のセンサ信号の1つまたは複数によって検出するように構成され得る。センサ信号は、
‐(例えば、機械1のタイマを介して取得可能な)処理時間信号、
‐容器2内で処理されている製品の稠度の経時的な傾向を表す信号、
‐圧縮機11の下流側の冷凍流体の圧力値、
‐機械1に近接する外部環境の空気の温度を表す温度信号、
‐圧縮機11の出口での温度信号、である。
【0229】
このような状況下で、第1の制御モジュール6が混合物をアンバランスな混合物として分類した場合(分類が多クラスである場合、特に、脂肪または糖類過多でアンバランス)、駆動モジュール7は、(バッチ冷凍サイクルを最適な態様で完了できるようにするために)以下の動作のうちの1つまたは複数を指令するように構成され得る。動作は、
‐熱システム4の冷凍能力を調整する(増加させる)、特に圧縮機11の動力を増加させる、
‐空気凝縮器の場合、凝縮器13に向かう冷却空気の流量を調整する(増加させる)、水凝縮器の場合、凝縮器13に向かう水の流量を調整する(増加させる)、ことである。
【0230】
有利なことに、上述の複数の例から推測されるように、本発明の機械1は、アイスクリームの品質に悪影響を及ぼす可能性のある主な異常を速やかに特定して是正することができるので、1つまたは複数の成分に関してバランスが取れているか否かにかかわらず、あらゆる種類の混合物から作られたアイスクリームを、自信を持って扱うことができ、常に、あらゆる条件下で最適な結果を得ることができる。
【0231】
有利なことに、本発明の機械1は、また、アイスクリームを取り出すおよび/または「アイスクリームの準備ができた」という信号を発するのにちょうどよい時間、すなわち、混合物の食感が最適になったときを評価することができる。
【0232】
また、ある条件下では、アイスクリームメーカーは意図的にアンバランスな混合物を使用することに考慮すべきである(ある種のレシピでは、糖類、水または脂肪である、最適でない割合の、ある種の成分を容器2に投入する必要があるからである)。したがって、このような条件下では、機械1は、使用しなければならない混合物が完全にバランスが取れているわけではなくても、最適な特性を有するアイスクリームを製造することができる。
【0233】
このように、本発明の機械1は、最適な品質の製品を製造することができ、同時に、アイスクリーム業界向けの製品範囲を拡大するために新製品を生み出す可能性を提供する。
【0234】
また、本発明の機械1は、有利なことに、アイスクリームを可能な限り短時間で処理することができ、アイスクリームが本当に準備できたとき、すなわち、アイスクリームの品質を最適化するためにその稠度および食感がちょうどよいときに、バッチ冷凍サイクルを停止することができることを考慮すべきである。
【0235】
さらに、本発明の機械1は、有利なことに、処理中に発生する可能性のある複数の問題を防止し、それらを解決するための迅速な措置を講じることができる。
【0236】
さらに、本発明の機械1は、特別な設定を必要としないので、極めて使いやすく、また、オペレータが材料のバランスをとる際に犯す可能性のあるミスを補正することができ、やはり常に最適な品質のアイスクリームを製造することができる。
【0237】
別の態様によれば、液状または半液状の食品を製造するための機械1を制御するための方法であって、以下のステップを含む方法も規定される。すなわち、本方法は、
‐液状または半液状の食品を製造するための機械1であって、
‐ベース製品を処理するための処理容器2と、
‐ベース製品を処理する処理容器2の内部で製品を混合するように適合された撹拌機3と、
‐ベース製品を処理する処理容器2と熱交換するように構成された熱処理システム4と、
‐機械の動作パラメータを検出するように構成された少なくとも1つのセンサSと、有する機械1を提供するステップと、
‐少なくとも1つの入力I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7および少なくとも1つの出力U11を有する分類器を規定するように構成された、第1の人工知能制御モジュール6を提供するステップであって、少なくとも1つの出力U11が少なくとも1つのセンサSに接続される、ステップと、
‐第1の訓練された制御モジュール6を得るために、容器2の内部のさまざまな混合物の処理に基づいて第1の人工知能制御モジュール6を訓練するステップと、
‐混合物を容器2に供給し、処理サイクルを開始するステップと、
‐第1の制御モジュール6の少なくとも1つの出力U11の値の関数として、熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するように、少なくとも熱処理システム4および/または撹拌機3を駆動するステップと、を含む。
【0238】
一態様によれば、第1の制御モジュール6はニューラルネットワークRNを備える。
【0239】
別の態様によれば、少なくとも1つの出力U11は、ベース製品の混合物の分類を表し、本方法は、第1の制御モジュール6を介して、容器2内で処理されている混合物を、ベース成分のバランスに関して1つまたは複数の予め設定されたカテゴリに分類するステップを含む。
【0240】
別の態様によれば、第1の制御モジュール(6)の入力I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7は、以下の入力のうちの1つまたは複数で構成される。すなわち、
‐容器2内で処理されている製品の稠度および/または粘度を表す値に関連する第1の入力I1、
‐容器2の動作温度を表す値に関連する第2の入力I2、
‐容器2に関連付けられた蒸発器10に流入する熱交換流体の動作温度を表す値に関連する第3の入力I3、
‐容器2に関連付けられた蒸発器10から流出する熱交換流体の動作温度を表す値に関連する第4の入力I4、
‐圧縮機11から流出する熱交換流体の動作圧力を表す値に関連する第5の入力I5、
‐蒸発器10から流出する熱交換流体の動作圧力を表す値に関連する第6の入力I6、
‐絞り要素12の開度を表す値に関連する第7の入力I7、の1つまたは複数で構成される。
【0241】
さらに別の態様によれば、本方法は、少なくとも1つのセンサSの信号を監視して、製造プロセスの異常に対応する事象を確認するステップを含む。
【0242】
この態様によれば、少なくとも熱処理システム4および/または撹拌機3を駆動するステップは、第1の制御モジュール(6)の少なくとも1つの出力U11に対応する混合物の分類値および監視するステップの間に以前に確認された機械プロセスの欠陥の関数として、熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために、少なくとも熱処理システム4および/または撹拌機3を駆動するステップを含む。
【0243】
すなわち、この態様によれば、確認されたプロセス異常と第1の制御モジュール6によって実行された分類との組み合わせが、1つまたは複数の制御パラメータを調節する。
【0244】
別の態様によれば、前記ベース製品の混合物を分類するように訓練された第1の制御モジュール6を得るように、異なるバランスのベース成分を有する混合物の、容器2の内部の、処理に基づいて、教師ありモードで第1の制御モジュール6を訓練するステップは、以下のステップを含む。すなわち、
‐以下の種類の混合物を処理するステップであって、すなわち、
‐ベース成分に関してバランスのとれた混合物、
‐水成分に関してアンバランスな混合物、
‐脂肪に関してアンバランスな混合物、
‐糖類に関してアンバランスな混合物、を処理するステップと、
‐訓練中に、第1の制御モジュール6に、処理されている混合物の種類ごとに所望のカテゴリに関連するラベルを提供するステップと、を含む。
【0245】
ラベルは、事実上、処理されている混合物の種類に対応する、すなわち、バランスの取れた混合物に関して、割り当てられるラベルは、処理されている混合物の種類の所望の分類に対応する、ある値に出力(例えばU11)を設定するために使用されることに留意すべきである。
【0246】
さらに別の態様によれば、混合物の分類値の関数として熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために、少なくとも熱処理システム4および/または撹拌機3を駆動するステップは、以下のステップを含む。すなわち、
‐確認された混合物の分類値が、混合物の異常な状態、すなわちアンバランスな混合物に対応するかどうかをチェックするステップと、
‐チェックの結果にも基づいて、熱処理システム4および/または撹拌機3に指令を与えるステップと、を含む。
【0247】
別の態様によれば、熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために少なくとも熱処理システム4および/または撹拌機3を駆動するステップは、以下のステップを含む。すなわち、
‐検出された欠陥を、確認された混合物の分類値と比較するステップと、
‐比較の結果にも基づいて、熱処理システム4および/または撹拌機3に指令を与えるステップと、を含む。
【0248】
別の態様によれば、混合物の分類値の関数として熱処理システム4および/または撹拌機3に関する少なくとも1つの動作パラメータを調節するために少なくとも熱処理システム4および/または撹拌機3を駆動するステップは、以下を行うための1つまたは複数の指令を含む。すなわち、
‐熱処理システム4の一部を構成する絞り要素12の開度を変更する(それによってスロットル圧力を調節する)、
‐熱処理システム4の一部を構成する圧縮機11の動力を調節する、
‐熱処理システム4の一部を構成する凝縮器13での冷却流体、空気または水の流量を調節する、
‐熱処理システム4を、容器2を冷却するための冷却モードと、容器2を加熱するための加熱モードとの間で切り替え、加熱モードは、熱処理システム4が、高温ガスの注入によって、高温ガスサイクルまたはヒートポンプサイクルとして知られているものを実行する動作モードを含む、
‐撹拌機3の速度および回転方向を調節する、ことを行うための1つまたは複数の指令を含む。
【0249】
本発明の制御方法は、製品の処理中、特にアイスクリームの処理中、に発生する可能性のある複数の問題を防止することができ、複数の問題は、例えば、以下を含み得る。すなわち、
‐撹拌機3の中央の氷の塊、
‐凍らせすぎの成分、
‐間違った稠度および食感の最終製品、を含み得る。
【0250】
基本的に、提案された制御方法は、有利なことに、処理されている製品の特性の関数として、最も効果的な是正措置を実施することができる。したがって、潜在的な問題を迅速に処理することができるだけでなく、ベース混合物が、バランスが取れているかどうかに関係なく、製造される製品が最適な品質であることを保証する。
【0251】
冒頭で指摘されたように、アイスクリームは非常に複雑な製品であるので、その製造には、混合物自体の組成にも基づいた極めて高度な制御システムが必要である。有利なことに、提案された方法により、極めて効果的且つ信頼性の高い態様でアイスクリーム製造プロセスを制御することが可能である。
【0252】
別の態様によれば、機械1は、処理容器2に入れられたベース製品の量を検出するように構成されたセンサSを備える。
【0253】
代替的に、機械1は、処理容器2に入れられたベース製品の量を検出するように構成されたユーザインタフェースを備えてもよい。
【0254】
したがって、ニューラルネットワークRNの入力(I1、I2、I3、I4、I5、I6、I7)のうちの1つ、例えば追加の入力(図面には図示せず)は、センサSによって検出されたベース製品の量の値に関連し得ることに留意すべきである。
【0255】
また、別の態様によれば、訓練手順は、容器2の内部のベース製品の量の異なるレベルを認識するように機械を訓練することを含み得ることに留意すべきである。実際、そのようにして、第1の制御モジュール6は、容器2内に投入された量が異なっていても、混合物をより正確に分類することができる。
【0256】
以下に説明されるのは、同じく機械学習に基づくが、第1の制御モジュール6がニューラルネットワークである場合の代替の、第1の制御モジュール6の他の実施形態である。
【0257】
可能であれば、(一般的に、またはニューラルネットワークRNを具体的に参照して)第1の制御モジュール6に関連して上述されたことはすべて、これらの他の実施形態にも適用可能である。
【0258】
一実施形態では、第1の制御モジュール6は、1つまたは複数の決定木で構成される。
【0259】
この態様によれば、例えば、第1の制御モジュール6は、ランダムフォレスト(RF)モデルで構成される。
【0260】
ランダムフォレストモデルは、任意の数の決定木で構成されるモデルである。このような場合、出力としてのクラスの割り当て、すなわち、分類は、単一の結果を得るために、すべての決定木のすべての出力(すなわち、決定または「投票」)を組み合わせることによって行われることに留意すべきである。
【0261】
基本的に、第1の制御モジュール6が出力として提供するクラスは、多数決を得たものである。
【0262】
第1の制御モジュール6を訓練するとき、「時系列フォレスト」と呼ばれるものが好ましくは使用される。
【0263】
この種の時系列は、実際には、少なくとも1つのセンサS(または複数のセンサS)から得られた(サンプリングされた)データ値のシーケンスによって定義されることに留意すべきである。
【0264】
「時系列フォレスト」は、生データではなく、時系列から抽出された特徴、例えば、平均、標準偏差、傾き、を使ってランダムフォレストモデルを訓練することを可能にする。
【0265】
代替的に、時系列フォレストの代わりに、木モデルに基づく他のアルゴリズムを使用することもできる。例えば、XGBооst(XGB)または時系列バッグオブフィーチャーである。
【0266】
代替的に、第1の制御モジュール6は、時系列距離測定値および例えばk-近傍法(k-NN)またはサポートベクタマシン(SVM)などのカーネルをそれぞれ定義するように構成された分類を備える。
【0267】
別の実施形態では、第1の制御モジュール6は、「サポートベクタマシン」タイプのモデルを学習するためのアルゴリズムで構成される。
【0268】
有利なことに、サポートベクタマシンは、二項分類を実行するために使用されるモデルであるが、(第1のモジュール6を各々が二項分類を実行するように構成された相互接続されたサブモジュールに細分化することによって)多クラス分類にも使用することができる。
【0269】
二項分類の場合、サポートベクタマシンタイプの第1の制御モジュール6は、好ましくは、2つのクラスに属する複数の入力時系列の訓練データセットを、関連するラベルとともに入力として受け取る。
【0270】
基本的に、この訓練手順では、各々が特定のクラスに関連する複数の時系列を入力として入力することができる。クラスには、すでに上述されたように、1つまたは複数のベース成分がさまざまな程度にバランスされた混合物が含まれ得る。
【0271】
訓練入力データセット{(X, y)}、t=1,2,...,T、ここでyは{0,1}に属するとすると、訓練手順は、訓練時系列に含まれない時系列を正しく分類する決定関数f(X)を構築することを可能にする。
【0272】
学習手順の間、サポートベクタマシンは、2つのクラスに属する入力データを分離する超平面を決定する。
【0273】
訓練系列が線形分離可能であれば、決定関数f(X)は「決定境界」と呼ばれる線形関数(線形SVM分類器)になる。
【0274】
決定境界は、マージン、すなわち決定境界と最も近いデータ項目との間の距離ができるだけ大きくなるように見つけられる。
【0275】
多くのデータセットでは、超平面が良い分類器である可能性は低いので、より多くの幾何学的形状が典型的に採用され、訓練データをより高次元の空間にマッピングし、新しい空間で超平面を見つける。
【0276】
このような場合、第1の制御モジュール6は、カーネルベースのSVMで構成される。点の分類は、「カーネル関数」(典型的な選択肢は、多項式カーネルまたはRBF、すなわち放射基底関数)を使用して多次元空間で実行される。
【0277】
多クラス分類の場合、第1の制御モジュール6は、相乗的に働く複数のバイナリSVM分類器で構成され、特に、Nクラスの場合、(N(N-1))/2のバイナリ分類器を使用する必要がある。
【0278】
したがって、このような場合、第1の分類モジュール6は、複数のバイナリSVM分類器で構成されることになる。
【0279】
このアプローチは「1対1 多クラス分類」と呼ばれ、この戦略によれば、訓練された各SVM分類器は点を2つの異なるクラスに分離することができる。
【0280】
別の実施形態では、第1の制御モジュール6は、新しいサンプルを分類する前にそれらを訓練空間に「含める」ように構成されたk-NN(k-近傍法)分類器を備える。
【0281】
この態様によれば、第1の制御モジュール6の入力はk個の訓練例からなり、出力はそれらのクラスへの帰属である。
【0282】
したがって、この態様によれば、k-NN分類器で構成された第1の制御モジュール6は、モデルを訓練するステップを含まないことに留意すべきである。
【0283】
点は、その隣接する点の多数決によって分類される。すなわち、その点に割り当てられるクラスは、その「k-近傍法」の点の中で最も共通のクラスになる。時系列分類では、時系列間の類似性を検証する必要があるという考え方が基本である。
【0284】
「多数決」は厳密には50%超の多数を必要とするが、これは主に2クラスしかない場合に機能する。クラスが2つ以上ある場合、例えば4つのクラスがある場合、25%超の票を持つクラスラベルが割り当てられ得る。
【0285】
別の態様によれば、第1の分類モジュール6は、「バッグオブワーズ」(辞書ベース)法として知られているものを実施するように構成される。
【0286】
この方法によれば、時系列はシンボルのシーケンスに離散化され、次にこれらのシーケンスからスライディングウィンドウを用いて単語が抽出され、最後に辞書内のすべての単語の数がカウントされる。
【0287】
第1の分類モジュール6は、上述のステップを実施するように構成される。
【0288】
一実施形態では、第1の分類モジュール6は、シンボリック集合体近似(SAX)として知られているものを実施するように構成される。この態様によれば、時系列はシンボルのシーケンスに離散化され、その後、シーケンスデータマイニング法が適用される。
【0289】
別の実施形態では、第1の分類モジュール6は、シンボリックフーリエ近似を実施するように構成される。シーケンスの表現は、信号を離散フーリエ変換として表現することによって生成され、したがって、時間領域表現ではなく周波数領域表現になる。
【0290】
上記は、本発明によれば、第1の制御モジュール6は、本発明の具体的な原理自体から逸脱することなく、(混合物を分類するための)異なる分類戦略を実施できることを強調している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】