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特開2025-15496衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド
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  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図1A
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図1B
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図1C
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図1D
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図2
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図3A
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図3B
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図4
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図5
  • 特開-衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015496
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】衛星アンテナ放射素子および他の積載物のための誘電体支持スレッド
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/28 20060101AFI20250123BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H01Q1/28
B64G1/66 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114769
(22)【出願日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】63/514,492
(32)【優先日】2023-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524115475
【氏名又は名称】マクドナルド・デトワイラー・アンド・アソシエイツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ラムルー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ・ラルーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール・セネシャル
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・ブリー-マルフェング
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ムソー
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ・シエラ-ガルシア
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA01
5J046AB12
5J046KA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アンテナのための放射素子組立体用のシステム及び方法を提供する。
【解決手段】アンテナ組立体100は、電磁波を放出および/または受信するための放射素子110及び動作の際に放射素子を物理的に支持するための放射素子支持システムを含む。放射素子支持システムは、非線形構造リンクとして働き、これらは放射素子を相互接続して、軸方向、径方向及びねじれ方向のうちの1つまたは複数に放射素子を拘束し、ほぼゼロの張力で張られる複数のスレッド130と、複数のスレッドが少なくとも1つの支持体で放射素子を相互接続して、軸方向、径方向及び/又はねじれ方向に放射素子を拘束する少なくとも1つの中心支持体120と、を含み、他の衛星積載物を拘束するために使用することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナのための放射素子組立体であって、
電磁波を放出および/または受信するための放射素子、ならびに
動作の際に前記放射素子を物理的に支持するための放射素子支持システムであって、
複数の誘電体支持スレッドであって、前記複数の誘電体支持スレッドが前記放射素子を相互接続する非線形構造リンクとして働いて、軸方向、径方向、およびねじれ方向のうちの1つまたは複数に前記放射素子を拘束し、ほぼゼロの張力で張られる、複数の誘電体支持スレッドと、
前記複数の誘電体支持スレッドが少なくとも1つの支持体で前記放射素子を相互接続して、前記軸方向、前記径方向、および前記ねじれ方向のうちの1つまたは複数に前記放射素子を拘束する、少なくとも1つの支持体と
を備える放射素子支持システムを備える、放射素子組立体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持体が、前記放射素子内に位置決めされる中心支持体を含む、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項3】
前記中心支持体が前記アンテナの基部で接地面に固定される、請求項2に記載の放射素子組立体。
【請求項4】
前記中心支持体が、引張り、圧縮、曲げ、およびねじれにおいて剛性である、請求項2に記載の放射素子組立体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの支持体が、前記放射素子の外側に位置決めされる少なくとも1つの外部支持体を含む、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項6】
前記少なくとも1つの支持体が、前記放射素子内の中心支持体および前記放射素子の外側の少なくとも1つの外部支持位置を含む、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項7】
前記放射素子と前記中心支持体が単一部品として製造される、請求項2に記載の放射素子組立体。
【請求項8】
前記放射素子がらせん形である、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項9】
前記放射素子が前記放射素子の形状に起因して可撓性である、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項10】
前記放射素子が正しい公称位置を越えて動くのを前記放射素子支持システムが防ぐ、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項11】
前記誘電体支持スレッドの各々が、0.005から0.050インチの範囲のスレッド直径を有する、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項12】
前記誘電体支持スレッドが無線周波数(RF)透過材料を含む、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項13】
前記誘電体支持スレッドがガラス製またはアラミド製ファイバを含む、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項14】
各誘電体支持スレッドが、互いにねじられる2つ以上のより糸を含む、請求項1に記載の放射素子組立体。
【請求項15】
衛星の積載物、ならびに
複数の誘電体支持スレッドであって、前記複数の誘電体支持スレッドが前記積載物を相互接続する非線形構造リンクとして働いて、径方向、ねじれ方向、および軸方向のうちの1つまたは複数に前記積載物を拘束し、ほぼゼロの張力で張られる、複数の誘電体支持スレッドと、
前記複数の誘電体支持スレッドが少なくとも1つの支持体で前記積載物を相互接続して、前記径方向、前記ねじれ方向、および前記軸方向のうちの1つまたは複数に前記積載物を拘束する、少なくとも1つの支持体と
を備える、前記積載物を物理的に支持するための積載物支持システム
を備える、衛星積載物組立体。
【請求項16】
前記少なくとも1つの支持体が、前記積載物内に位置決めされる中心支持体を含む、請求項15に記載の衛星積載物組立体。
【請求項17】
前記中心支持体が前記積載物の基部で接地面に固定される、請求項16に記載の衛星積載物組立体。
【請求項18】
前記少なくとも1つの支持体が、前記積載物の外側に位置決めされる少なくとも1つの外部支持体を含む、請求項15に記載の衛星積載物組立体。
【請求項19】
前記少なくとも1つの支持体が、前記積載物内の中心支持体および前記積載物の外側の少なくとも1つの外部支持位置を含む、請求項15に記載の衛星積載物組立体。
【請求項20】
前記積載物が導波路である、請求項15に記載の衛星積載物組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、一般的にアンテナシステムに関し、より具体的には衛星アンテナ放射素子のための支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙産業では、典型的には、宇宙船構造物上にグローバルカバレッジアンテナ、整形ビームアンテナ、および全方向性アンテナが取り付けられ、他の通信ポイントとの間の阻害されない通信が可能になる。これらのタイプのアンテナは、典型的には、無線周波数(RF)波の伝送に非常に少ない影響しかおよぼさない、細長い誘電体支持構造物の周りに巻き付けた、少なくとも1つの放射素子を含む。この構造物は、打上げ期間に可撓性の放射素子に対する支持を実現し、一度軌道で動作すると、放射素子の形状を維持する。
【0003】
支持構造物の誘電体材料がアンテナの放射パターンに影響をおよぼし、電力損失を引き起こし、積載物を損傷させてアンテナを動作不可能にする可能性がある突然の静電放電(ESD)をもたらす場合があるために、RF性能への誘電体支持構造物の影響は、誘電体支持構造物がアンテナの電磁場内で占有するかさ容積の関数である。
【0004】
現在の衛星放射素子組立体は、いくつかの構造的問題を有する。支持要素は、放射素子からは別個であり、したがって、放射素子へ接続して支持を実現するため、接着剤または他の形の結合などといった、さらなる要素を必要とする。これらの接続を行うために使用される材料は、限定された電力伝達能力を有することが多い。典型的には、金属製放射素子は、(ガラスファイバ製ファイバ、Kevlar(商標)またはNOMEXTMのようなアラミド製ファイバ、Kapton(商標)のようなポリイミドなどでできている)誘電体支持構造物に(エポキシ)結合される。衛星放射素子組立体を製造する現在の方法は、時間および費用がかかり、システムの組立方法を難しくする、アンテナシステムの様々な可撓性(非剛体)構成要素を接続する必要がある。
【0005】
加えて、アンテナ組立体のすべての外面は、好ましくは日除けの必要なしで、ミッション継続時間にわたる宇宙への露出に耐えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、既存のシステムおよび方法の欠点の少なくとも一部を克服する、改善されたアンテナ組立体およびアンテナ放射素子支持システムへの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで提供されるのは、電磁波を放出および/または受信するための放射素子、ならびに、動作の際に放射素子を物理的に支持するための放射素子支持システムを含むアンテナのための放射素子組立体である。放射素子支持システムは、非線形構造リンクとして働く複数の誘電体支持スレッドを含み、これらは放射素子を相互接続して、軸方向、径方向、およびねじれ方向のうちの1つまたは複数に放射素子を拘束し、スレッドはほぼゼロの張力で張られる。放射素子支持システムは、少なくとも1つの支持体をさらに含む。複数の誘電体支持スレッドが少なくとも1つの支持体で放射素子を相互接続して、軸方向、径方向、およびねじれ方向のうちの1つまたは複数に放射素子を拘束する。
【0008】
少なくとも1つの支持体は、放射素子内に位置決めされる中心支持体を含むことができる。
【0009】
中心支持体は、アンテナの基部で接地面に固定することができる。
【0010】
中心支持体は、引張り、圧縮、曲げ、およびねじれにおいて剛性であってよい。
【0011】
少なくとも1つの支持体は、放射素子の外側に位置決めされる少なくとも1つの外部支持体を含むことができる。
【0012】
少なくとも1つの支持体は、放射素子内の中心支持体および放射素子の外側の少なくとも1つの外部支持位置を含むことができる。
【0013】
放射素子と中心支持体は、単一部品として製造することができる。
【0014】
放射素子は、らせん形であってよい。
【0015】
放射素子は、放射素子の形状に起因して可撓性であってよい。
【0016】
放射素子支持システムは、放射素子が正しい公称位置を越えて動くのを防ぐことができる。
【0017】
誘電体支持スレッドの各々は、0.005から0.050インチの範囲のスレッド直径を有してよい。
【0018】
誘電体支持スレッドは、無線周波数(RF)透過材料を含むことができる。
【0019】
誘電体支持スレッドは、ガラス製またはアラミド製ファイバを含むことができる。
【0020】
各誘電体支持スレッドは、互いにねじられる2つ以上のより糸を含むことができる。
【0021】
衛星積載物組立体がやはり提供される。衛星積載物組立体は、衛星の積載物および積載物を物理的に支持するための積載物支持システムを含む。積載物支持システムは、非線形構造リンクとして働く複数の誘電体支持スレッドを含み、これらは積載物を相互接続して、径方向、ねじれ方向、および軸方向のうちの1つまたは複数に積載物を拘束し、スレッドはほぼゼロの張力で張られる。積載物支持システムは、少なくとも1つの支持体をやはり含む。複数の誘電体支持スレッドが少なくとも1つの支持体で積載物を相互接続して、径方向、ねじれ方向、および軸方向のうちの1つまたは複数に積載物を拘束する。
【0022】
少なくとも1つの支持体は、積載物内に位置決めされる中心支持体を含むことができる。
【0023】
中心支持体は、積載物の基部で接地面に固定することができる。
【0024】
少なくとも1つの支持体は、積載物の外側に位置決めされる少なくとも1つの外部支持体を含むことができる。
【0025】
少なくとも1つの支持体は、積載物内の中心支持体および積載物の外側の少なくとも1つの外部支持位置を含むことができる。
【0026】
積載物は導波路であってよい。
【0027】
いくつかの例示的な実施形態の以下の記載を検討すれば、他の態様および特徴が当業者には明らかとなろう。
【0028】
ここで含まれる図面は、本明細書の物品、方法、および装置の様々な例を説明するためのものである。図面では、以下である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】一実施形態にしたがった、放射素子支持システムを有するアンテナ組立体の側面斜視図である。
図1B】分離した、図1Aのアンテナ組立体の先端部の側面斜視図である。
図1C】分離した、図1Aのアンテナ組立体の基部の側面斜視図である。
図1D図1Aのアンテナ組立体の上面図である。
図2】一実施形態にしたがった、放射素子支持システムを有するアンテナ組立体の側面斜視図である。
図3A】一実施形態にしたがった、放射素子支持システムを有するアンテナ組立体の側面斜視図である。
図3B】一実施形態にしたがった、図3Aのアンテナ組立体の上面図である。
図4】一実施形態にしたがった、単一部品の放射素子および中心支持体の側面斜視図である。
図5】一実施形態にしたがった、外部支持体を有する放射素子支持システムを含むアンテナ組立体の簡略化ブロック図である。
図6】一実施形態にしたがった、導波路スレッド支持システムを含む衛星組立体の導波路の簡略化ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
各々の特許請求される実施形態の例を提供するために、様々な装置またはプロセスが下で記載される。下で記載される実施形態は特許請求される実施形態を何ら制限せず、いずれかの特許請求される実施形態が、下のそれらの記載と異なるプロセスまたは装置をカバーすることができる。特許請求される実施形態は、下で記載される任意の1つの装置もしくはプロセスの特徴の全部を有する装置もしくはプロセス、または、下で記載される装置の複数もしくは全部に共通な特徴に限定されない。
【0031】
さらに、プロセスステップ、方法ステップ、アルゴリズムなどが逐次的順序で(本開示および/または請求項で)記載される場合があるが、そのようなプロセス、方法、およびアルゴリズムは、代わりの順序で働くように構成することができる。言い換えると、記載される可能性がある任意のステップのシーケンスまたは順序は、必ずしも、その順序でステップが実施されるという要件を示していない。本明細書で記載されるプロセスのステップは、実際的な任意の順序で実施することができ、いくつかの場合では、プロセスのあるステップを省略することができる。さらに、いくつかのステップを同時に実施することができる。
【0032】
単一のデバイスまたは物品が本明細書で記載されるとき、1つより多いデバイス/物品を(それらが協働するか否かにかかわらず)単一のデバイス/物品の代わりに使用できることが容易に明らかとなろう。同様に、1つより多いデバイスまたは物品が本明細書で記載される場合(それらが協働するか否かにかかわらず)、単一のデバイス/物品を1つより多いデバイスまたは物品の代わりに使用できることが容易に明らかとなろう。
【0033】
以下は、一般的にアンテナシステムに関し、より具体的には衛星アンテナ組立体内で使用するためのアンテナ放射素子支持システムに関する。
【0034】
本明細書に記載される放射素子支持システムは、らせん形状を有ししたがって可撓性である放射素子を支持するために使用することができる。すなわち、放射素子が含む材料が可撓性でない場合があるが、全体としては、放射素子は、らせん形状に起因して本質的に可撓性である。他の実施形態では、放射素子支持システムは、らせん形状または形態を有さないが、可撓性であり、したがって支持を必要とする放射素子のために採用することができる。ここで、「らせん形の」、「らせん」、「らせん形状」もしくは同様の用語の使用、または、放射素子がらせんである実施形態の議論は、組立体およびシステムをらせん形の放射素子を含むものだけに限定することを意図していない。
【0035】
直径およびピッチなどといったらせんの物理特性は、重力下での地上試験、振動する打上げ、および軌道上の運用期間の全体を通して、アンテナの適正な機能がその意図される性能限界内に維持されなければならない。重力下での変形は、地上アンテナ性能測定に影響をおよぼす可能性がある。試験および打上げフェーズ期間の振動に耐えるため、放射素子は、らせん(または他の形状)の、軸方向、径方向、およびねじれ方向の正しい公称位置の外への動きを防止するための支持を必要とする。振動する期間に大きく変形することによって、放射素子の障害がもたらされる可能性がある。
【0036】
本開示の放射素子支持システムは、小さい直径のRF誘電体支持スレッドを使用して正しい公称位置の外にらせんが動くのを防止し、これは、いくつかの実施形態では、らせんを複数の場所で剛性中心支持体に接続し、いくつかの実施形態では、らせんを複数の場所で少なくとも1つの外部支持構造物に接続する。中心支持体は、要求される方向における放射素子の変位を制限するのに十分な制約を実現するのに十分固くなければならない。いくつかの実施形態では、放射素子は、中心支持体と外部支持体の両方に接続することができる。誘電体材料は非導電性であり、したがって、アンテナの放射界へ非常に少ない影響しかおよぼさない。静電放電をもたらす可能性がある誘電体材料の軌道上のバルク充電を最小化することと共に、アンテナの放射界への影響をさらに減らすために、スレッド直径を、0.005''から0.050''の直径の範囲に最小化する。スレッド材料は「RF透過性」であってよい。ここで、「RF透過性」とは、材料がRF波の伝送に非常に少ない影響しかおよぼさず、したがって、アンテナの性能に影響をおよぼさないこと(たとえば、電磁波の放出および受信に影響をおよぼさないこと)を意味する。スレッド材料は、たとえば、ガラス製またはアラミド製ファイバ(たとえば、Nomex(登録商標))であってよい。誘電体スレッドは、好ましくは、互いにねじられる2つ以上のより糸でできている。ねじられた糸でできているスレッドの不均一な性質、ならびに、小さい直径および剛性によって、振動する期間に生じる可能性がある折れ曲がりの下での障害を回避するため圧縮されるときに順応する一方で引張りにおいて依然として剛性であることになる。
【0037】
組立の期間に、誘電体支持スレッドは、張力なしで張られ、検査、打上げ、および軌道上の運用期間を通して、一貫した剛性を実現する。すなわち、誘電体支持スレッドは、組立作業を考慮して達成可能であり、粘弾性クリープ最小化と矛盾しない限界内のほぼゼロの張力を(たとえば、20グラム張力の程度で)有するべきである。支持スレッドがかなり引っ張られる場合、経時的に生じる可能性がある粘弾性クリープに起因して、剛性は一貫しないことになる。支持スレッドは、スレッドが張力下にあるとき放射素子の動きを拘束するので、振動フェーズ期間の非線形構造リンクとして働くが、圧縮下のとき、放射素子が動くのを可能にする(すなわち、スレッドは放射素子を一方向に支持するすなわちスレッドの張力となるが、他の方向には支持せずすなわちスレッドの圧縮となる)。全体的なスレッド構成は、アンテナの基部で印加される全方向に沿った振動にアンテナが耐えることができるよう十分な剛性および強さを実現するように、放射素子の幾何形状に対して最適化される。(支持体、スレッド、および放射素子の)組立体の剛性は、少なくとも1つのスレッドが任意の所与の時間に引張りで働くように、少なくとも2つのスレッドによって、軸方向および/または径方向および/またはねじれ方向にスレッドによって放射素子が拘束されるのを確実に行うことによって得られる。スレッド構成は、アンテナの幾何形状、サイズ、および振動要件に依存して、スレッドがらせんのねじれ運動を抑える必要があってよく、または、なくてよい。
【0038】
スレッドが放射素子を拘束する支持インターフェースを実現するため、アンテナ組立体は、アンテナ基部で接地面に固定される中心支持体を含むことができる。この中心支持体は、地上測定、振動試験、打上げ、および軌道上の運用期間に放射素子およびスレッドを支持するため、引張り、圧縮、曲げ、およびねじれにおいて十分剛性である一方で、アンテナ放射性能に最小の影響しかおよぼさないように成形およびサイズ決定される。支持スレッドは、放射素子と中心支持体を相互接続し、放射素子を放射素子にも相互接続することができる。
【0039】
アンテナ組立体が少なくとも1つの外部支持体を含む実施形態では、外部支持体は、中心支持体と同じ様式で働き、地上測定、振動試験、打上げ、および軌道上の運用期間に放射素子およびスレッドを支持するため、引張り、圧縮、曲げ、およびねじれにおいて十分剛性である一方で、アンテナ放射性能に最小の影響しかおよぼさない。
【0040】
すなわち、放射素子用の支持体は、剛性の局部的支持体がスレッドを取り付けるために存在し、それが放射素子をらせんの放射面で放射素子を支持する限り、中心(放射素子内)または外部(放射素子の外側)であってよい。上記のように、いくつかの実施形態では、中心支持体と外部支持体が存在することができる。
【0041】
支持スレッドは、剛性中心支持体または外部支持体と一緒に相互作用して、曲げ剛性を実現し、らせん自体の動きを制限する。中心支持体は、引張り、圧縮、曲げ、およびねじれにおいて剛性であり、このことが、組立体の主要曲げモードを制限する助けとなる。スレッドがらせんと接するスレッドインターフェース位置でスレッドネットワークがらせんを固めるので、支持スレッドは、らせんの軸方向および/または径方向および/またはねじれ方向で、局部的らせんモードを制限する。スレッドネットワークは、ねじれ方向のらせんを拘束して、らせんねじれモードによって引き起こされる組立体挙動の影響を低減するのを助けることもできる。
【0042】
放射素子は、導電性材料を含まなければならない。いくつかの実施形態では、放射素子は、全体に導電性材料を含むことができる。他の実施形態では、放射素子は、導電性材料でコーティングされる非導電性材料を含むことができる。放射素子は、金属、たとえばアルミニウムであってよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、放射素子および中心支持体は、単一部品として製造することができる。このプロセスは、放射素子と中心支持体を2つ以上の部品として製造するのに比べて、時間を節約し費用を減らすことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、アンテナ組立体を製造または構築することが、放射素子を単独で、または中心支持体と一緒に3次元(3D)プリントすることを含むことができる。たとえば、放射素子および中心支持体は、アルミニウムを使用して単一部品として3Dプリントすることができる。
【0045】
中心支持体が放射素子とは別個に製造される実施形態では、中心支持体は、放射素子と同じまたは異なる材料であってよい。
【0046】
上で議論したように、現在のアンテナ組立体は、いくつかの欠点を有する。かさばる誘電体支持構造物は、アンテナ放射素子と干渉し、電力損失を増やす。軌道上での充電によって、アンテナが動作する能力に影響をおよぼす、たとえば、アンテナが電磁波を放出および/または受信する能力を制限または停止する、急激な静電放電(ESD)がもたらされる場合がある。
【0047】
アンテナ放射素子のための支持要素の既存の形では、放射素子に接続して支持を実現するため接着剤または他の結合形式を必要とする場合がある。これらの接続を行うために使用される材料は、限定された電力伝達能力を有することが多い。たとえば、支持構造物の物品は、Kapton(商標)でできていてよい。アンテナシステムの様々な可撓性構成要素を接続する必要性は、システムの組立方法を難しくし、時間がかかり、費用がかかる。さらに、誘電体支持体の表面は、誘電体支持材料を覆う半導電性コーティングおよび/または日除けを介して、宇宙への露出から保護する必要がある場合がある。
【0048】
本開示は、これらの問題への解決策を提供する。放射素子を支持するため小さい誘電体スレッドを使用することによって、RF性能問題およびESDの危険性を緩和する。誘電体スレッドは、宇宙の環境へ露出して、コーティングの要件をなくし、軌道に依存する日除けの要件を潜在的になくすことができる材料(たとえば、ガラス製またはアラミド製ファイバ)で作ることができる。放射素子および中心支持体は、単一部品として3Dプリントし、費用を最小限にして、誘電体スレッドを取り付けるときの複雑さと時間を減らすことができる。
【0049】
本明細書に提供される技術的解決策は、異なるサイズおよび形状の放射素子を有する様々なアンテナ用途で使用することができ、特に、高電力用途で有用となる場合がある。
【0050】
ここで、図1A図1Dを参照して、ここに示されるのは、一実施形態にしたがった放射素子支持システムを含むアンテナ組立体100の様々な図である。アンテナ組立体100は、衛星ベースの通信用に構成されるアンテナで使用することができる。
【0051】
アンテナ組立体100は放射素子110を含み、放射素子支持システムは、剛性中心支持体120および複数の支持スレッド130(乱雑さを減らすため、3つだけがラベル付けされる)を備える。複数の支持スレッド130は、支持スレッドネットワークと呼んでもよい。
【0052】
下で図1A図1Dおよび図2に示される実施形態では、支持スレッドネットワークのスレッドが、放射素子および支持体中に存在する孔を通して放射素子および中心支持体に取り付けられる。スレッドは、孔を通過し、接着剤を使用して孔の中で、放射素子および支持体に接続される。他の実施形態では、スレッドを放射素子および支持体へ取り付けるための任意のメカニズムを考えることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、スレッドは、接着剤または他の結合手段によって、放射素子または支持体の外面に接続することができる。他の実施形態では、スレッドを、放射素子および支持体の周りに巻き付けることができる。いくつかの実施形態では、接着剤または他のタイプの結合は使用されない。いくつかの実施形態では、上で言及したものを含むがそれに限定されない、異なるスレッドを放射素子に接続して、異なる接続手段によって支持することができる。
【0053】
図1A図3Bに示される実施形態では、しばしば、らせんの数ターンを相互接続するように単一のスレッドが示される。しかし、他の実施形態では、複数個のスレッドを使用して、同じ支持を達成することができ、単一部品のスレッドが1つのターンを隣のターンに接続し、したがって、複数のスレッドを使用して、らせんの軸方向へらせんを支持するのを実現する。いくつかの実施形態では、単一のスレッドが、1つの要素から別の要素に一方向に通ることができる。他の実施形態では、単一のスレッドが、1つの要素から別の要素に、次いで、ループで第1の要素に戻って通ることができる。いくつかの実施形態では、単一方向のスレッドとループするスレッドの組合せがあってよい。
【0054】
すなわち、図1A図3Bに示される実施形態は、例示であることが意図される。放射素子および中心支持体または外部支持体への支持スレッドの接続は、どのようにして支持体の接続が確立されるかにかかわらず、軸方向、径方向、および任意選択で(放射素子のサイズおよび形状に依存して)ねじれ方向における放射素子の変位を制限するのに十分である必要がある。
【0055】
図1A図3Bに示される実施形態では、中心支持体は、RF伝送への影響を制限するように設計および成形される。すなわち、中心支持体は、中心支持体の重さを制限し、のみならず、アンテナによる電磁波の受信および/または放出と干渉する可能性がある材料の表面積/量を制限する、制限された外部表面積を有する。中心支持体は、アンテナの動作への影響を最小化する理由となる、放射素子への十分な支持を可能にする任意の設計を有してよい。
【0056】
複数の支持スレッド130は、3つの異なる支持スレッド構成、すなわち、軸支持スレッド131、径支持スレッド132、およびねじれ支持スレッド133を含む。軸支持スレッド131は、軸方向のらせんの変位を制限することによって、放射素子の軸上(らせん軸)運動を管理する。径支持スレッド132は、径方向のらせんの変位を制限することによって、放射素子の径方向運動を管理する。ねじれ支持スレッド133は、ねじれ方向のらせんの変位を制限することによって、放射素子のねじれ運動を管理する。各タイプのスレッドが支持を実現する方向が主方向である一方で、動作中に、各タイプのスレッドは、他の方向にいくらかの追加支持を実現することができる。各支持スレッド構成のただ1つの例が、図1Aにラベル付けされる。支持スレッド131、132、および133は、同じ材料でできているが、異なる方向の支持を実現する。
【0057】
放射素子110は、らせんの長さに沿って延びるらせんの中心軸(らせん軸(helix axis)またはらせん軸(helical axis))の周りに巻かれる円錐らせんである。他の実施形態では、らせんは、円錐形、円筒形、もしくはそれらの任意の組合せであってよく、または、放射素子はらせん形状を有さなくてよい。中心支持体120は、その長軸がらせん軸と同一線上であるように配置される(したがって、中心支持体の周りに巻き付くらせんという概観が与えられる)。
【0058】
放射素子110は、らせん形状となってよい。放射素子110は、可撓性であってよい。放射素子110は、材料の減算法または加算法、それとも導電性材料(または、少なくとも導電性外層)からの成形または形成によって製造することができる。放射素子110は、中心支持体120の周りに巻き付けることができる。
【0059】
中心支持体120は、RF波が材料を通過するのを可能にする材料、または、材料を通るRF波の伝送に非常に少ない影響しかおよぼさない材料から構成することができる。中心支持体120は、打上げ期間に、可撓性放射素子110への支持を行うことができる。中心支持体120は、軌道上の運用に一度なると、放射素子110の形状を維持するために、可撓性放射素子110への支持を行うことができる。図1A図1Dの中心支持体120は基部121を含み、基部121は、動作において、アンテナ接地面140上に中心支持体を取り付けるために使用される。軸支持スレッド131は、基部121に接続される。
【0060】
図1A図1Dでは、放射素子110と中心支持体120が単一部品である。しかし、他の実施形態では、放射素子110と中心支持体120は、別個の部品であってよい。
【0061】
支持スレッド130は、放射素子110と中心支持体120を相互接続する。放射素子110は、スレッドインターフェース112を含む(2つのスレッドインターフェース112-1、112-2が図1Aにラベル付けされる)。図1A図1Dの実施形態では、スレッドインターフェース112は、1ターンの1/6毎、すなわち60°毎に、らせん110に沿って配置される。他の実施形態では、スレッドインターフェース112は、らせんの周りにより多くまたはより少なく配分される場合がある。
【0062】
図1A図1Dでは、(らせんの最も底部のターン上のいくつかのインターフェースを除いて)スレッドインターフェース112の多くが、らせんの残りよりも厚い直径または幅を有する。このより厚い直径によって、孔が存在するらせんに支持を行う。他の実施形態では、直径は、孔があるところでより厚くない可能性がある(または、スレッドインターフェースに孔がない可能性がある)。
【0063】
らせんは、スレッドインターフェース112-1を介して、支持スレッド131および132によって中心支持体120に接続される。上で議論したように、他の実施形態では、放射素子および中心支持体へのスレッドの接続は、いくつかの方法で達成することができる。図1A図1Dでは、各スレッドインターフェース112-1は、3つの孔を有するが、この実施形態は例である。他の実施形態では、スレッドインターフェースは、より多いまたはより少ないスレッドと相互作用するためのより多いまたはより少ない孔を含むことができる。他の実施形態では、スレッドインターフェースは、孔を含まない場合がある。
【0064】
スレッドインターフェース112-2は、スレッド131、132、および133によって中心支持体に接続される。各スレッドインターフェース112-2は、4つの孔を有する。スレッドインターフェース112-1と112-2は、らせんに沿って交番する。
【0065】
スレッドインターフェース112-1と同様に、他の実施形態では、スレッドインターフェース112-2は、より多いもしくはより少ない孔を含んでより多いもしくはより少ないスレッドに接続することができ、または、孔を有さなくてよい。
【0066】
軸支持スレッド131は、中心支持体120の基部121を、らせん軸に沿って、らせん放射素子110のいくつかのターンに接続する。図1Aでは、底部の8ターン(基部121に最も近い8つのターン)が相互接続される。
【0067】
図1Aでは、軸支持スレッド131は、放射素子110上のスレッドインターフェース112-1、112-2で孔を通過する、単一の連続部品のスレッドである。他の実施形態では、らせん110のターンを(適用可能な)上下のターンに接続する複数の支持スレッドがあってよい。
【0068】
図1Aでは、12の軸支持スレッド131があり、2つのスレッドが各スレッドインターフェース112を(下のスレッドインターフェースとだけ接続される先端スレッドインターフェース、および、上のスレッドインターフェースとだけ接続される最も基部のスレッドインターフェースを除いて)直接上および下のスレッドインターフェースに接続する。上で議論したように、他の実施形態では、任意の数のスレッドを使用して、放射素子を支持するのに必要な接続を作ることができる。
【0069】
径支持スレッド132は、放射素子110を、中心支持体120の細長い要素122に径方向で接続する。すなわち、放射素子110の各スレッドインターフェース112は、らせんの半径に沿ってスレッドインターフェース112-1から直接横切って位置決めされる、中心支持体120上のスレッドインターフェース123に接続される。図1では、各スレッドインターフェース112用に単一の径支持スレッド132がある。
【0070】
ねじれ支持スレッド133(青色スレッド)は、放射素子110を、中心支持体120の細長い要素122に、径方向およびねじれ方向に沿って接続する。各スレッドインターフェース112-2は、スレッドインターフェース112-2から2つの異なる弦に沿って位置決めされる、中心支持体120上の2つのスレッドインターフェース123に接続される。すなわち、各スレッドインターフェース112-2は、径支持スレッド132によって隣のスレッドインターフェース112-1に接続されるスレッドインターフェース123に接続される。
【0071】
具体的には、各スレッドインターフェース112-2は、中心支持体120上で3つのスレッドインターフェース123に接続される。所与のスレッドインターフェース112-2では、径支持スレッド132は、上で述べたように、スレッドインターフェース112-2かららせんの半径に沿ったスレッドインターフェース123にスレッドインターフェース112-2を接続し、単一のねじれ支持スレッド133は、らせんに沿ってスレッドインターフェース112-2の隣のスレッドインターフェース112-1から、らせんの半径に沿って位置決めされるスレッドインターフェース123の各々にスレッドインターフェース112-2を接続する。したがって、スレッドインターフェース123の半分が、単一のスレッドインターフェース112-1に接続される一方で、スレッドインターフェース123の他の半分は、単一のスレッドインターフェース112-1および2つのスレッドインターフェース112-2に接続される。図1では、すべてのスレッドインターフェース112-2を通過する単一のねじれ支持スレッド133がある。他の実施形態では、1つより多いねじれ支持スレッド133があってよい。
【0072】
図1Bは、図1Aのアンテナ組立体100の先端セグメント102の側面図である。図1Bは、図1Aのアンテナ組立体100だけを示し、放射素子110の部分図を含む。さらに、放射素子支持システムは、中心支持体120と、中心支持体120に放射素子110を接続する複数のスレッド130とを備える。スレッドは、軸支持スレッド131、径支持スレッド132、およびねじれ支持スレッド133を含み、乱雑さを減らすため、各タイプの1つのスレッドだけが図1Bではラベル付けされる。放射素子110は、2つの異なるタイプ112-1および112-2を有するスレッドインターフェース112を含む(乱雑さを減らすため、各々のうちの1つだけがラベル付けされる)。
【0073】
図1について上で記載されたように、軸支持スレッド131は、放射素子110のらせん軸に沿って、接続点112を通過する。
【0074】
径支持スレッド132は、スレッドインターフェース112の各々を、各スレッドインターフェース112から放射素子110のらせんの半径に沿って直接横切って位置決めされるスレッドインターフェース123に接続する。
【0075】
ねじれ支持スレッド133は、所与のスレッドインターフェース112-2の隣にある2つのスレッドインターフェース112-1から、らせんの半径に直接沿って位置決めされる2つのスレッドインターフェース123に所与のスレッドインターフェース112を接続する。
【0076】
ここで図1Cを参照すると、図1Aのアンテナ組立体100の底部セグメント104の側面図が示される。
【0077】
ここで図1Dを参照すると、図1A図1Cのアンテナ組立体100の上面図が示される。アンテナ組立体100は、放射素子110、ならびに、中心支持体120および複数のスレッド130を備える放射素子支持システムを含む。3つの異なる構成のスレッド、すなわち、軸支持スレッド131、径支持スレッド132、およびねじれ支持スレッド133が存在し、図1Dでは、各タイプの単一のスレッドがラベル付けされる。
【0078】
各スレッドインターフェース112は、適用可能な場合、上(先端により近い)および下(基部により近い)スレッドインターフェースに軸支持スレッド131によって接続される。放射素子110の先端102に最も近いターン上のスレッドインターフェースは、下のスレッドインターフェースとだけ接続されることになり、放射素子110の底部104に最も近いターン上のスレッドインターフェースは、上のスレッドインターフェースとだけ接続されることになる。
【0079】
各スレッドインターフェース112は、らせんの半径に沿って接点112から直接横切って位置決めされる接点で、中心支持体120に径支持スレッド132によって接続される(図1A図1Cのスレッドインターフェース123と同じであるが、図1Dでは明確には示されない)。
【0080】
各スレッドインターフェース112-2は、らせんに沿ってスレッドインターフェース112-2の両側の2つのスレッドインターフェース112-1から直接横切って位置決めされる2つの接続点で、ねじれ支持スレッド133によって中心支持体にさらに接続される。図1Dの実施形態では、すべてのスレッドインターフェース112-2を接続する単一のねじれ支持スレッド133だけがある。他の実施形態では、1つより多いねじれ支持スレッド133があってよい。
【0081】
図2は、一実施形態にしたがった、放射素子支持システムを有するアンテナ組立体200の側面図である。アンテナ組立体200は、放射素子210、ならびに、中心支持体220および複数のスレッド230を備える放射素子支持システムを含む。複数のスレッドは、2つの異なる構成のスレッド、すなわち、軸支持スレッド231および径支持スレッド232を含む(乱雑さを減らすため、各々のうちの1つだけがラベル付けされる)。
【0082】
アンテナ組立体200は、アンテナ組立体100と同様の様式で機能するが同一でない。アンテナ組立体200の中心支持体220は、図1A図1Dの中心支持体120と異なる設計を有する。アンテナ組立体200の中にはねじれ支持スレッドがない。アンテナ組立体100のらせん放射素子110の各ターンは、スレッドを中心支持体または他のスレッドインターフェースに接続するための6つのスレッドインターフェースを有したが、一方で、図2のらせん放射素子210は、各ターンでただ3つのスレッドインターフェース212を有する。軸支持スレッド231および径支持スレッド232だけがあるので、スレッドインターフェース212は各々3つの孔だけを有する。
【0083】
軸支持スレッド231および径支持スレッド232は、図1A図1Dのアンテナ組立体100と同じ様式で動作する。軸支持スレッドは、らせん軸に沿って上下に位置決めされるスレッドインターフェース212を接続する。径支持スレッドは、各スレッドインターフェース212を、スレッドインターフェース212かららせん放射素子110の半径に沿って位置決めされる中心支持体220上のスレッドインターフェース223に接続する。軸支持スレッド231は、らせんを中心支持体220の基部221に接続し、基部221は、アンテナ接地面240に取り付けられる。
【0084】
図3Aは、一実施形態にしたがった、放射素子支持システム300を有するアンテナ組立体の側面図であり、図3Bは、図3Aの放射素子支持システム300を有するアンテナ組立体の上面図である。
【0085】
図3Aおよび図3Bは、アンテナ組立体のさらに別の実施形態を表しており、中心支持体320は、中心支持体120または中心支持体220と異なる設計を有する。アンテナ組立体300のらせん放射素子310は、らせんの各ターンに6つのスレッドインターフェースを含む(すなわち、60°毎に1つのスレッドインターフェース)。放射素子支持システムの複数のスレッドは、軸支持スレッドおよび径支持スレッド、ならびにねじれ支持スレッドも含む。軸支持スレッドは、らせんの周りの同じ場所でスレッドインターフェースを接続する(たとえば、すべてのスレッドインターフェースを0°で接続する)。径支持スレッドは、らせんの半径に沿って各スレッドインターフェースを中心支持体に接続する。ねじれ支持スレッドは、らせん放射素子上のスレッドインターフェースを、らせん放射素子上の他のスレッドインターフェースに直接接続する。具体的には、1つおきにスレッドインターフェースが直接接続される。すなわち、たとえば1ターンで、0°のスレッドインターフェースが120°のスレッドインターフェースに接続され、60°のスレッドインターフェースが180°のスレッドインターフェースに接続され、120°のスレッドインターフェースが240°のスレッドインターフェースに接続され、などである。
【0086】
図4は、一実施形態にしたがった、アンテナ組立体の単一部品の放射素子410および中心支持体420の側面図である。中心支持体420は図2の中心支持体220と同一であり、図1A図1Dの中心支持体110と同様である。単一部品として放射素子410および中心支持体420を製造することによって、放射素子支持システムを有するアンテナ組立体の組立の複雑さならびに費用が最小化される。放射素子支持システムを備える誘電体スレッドを適用または接続するときに、一緒に保持するべき個別部品をより少なくすることによって、プロセスが簡略化される。
【0087】
単一部品の放射素子410と中心支持体420を、3Dプリントによって製造することができる。3Dプリントに使用される材料はアルミニウムであってよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、アンテナ組立体は、中心支持体を含まないが、らせんの外側の体積の外側に支持体を含む場合がある。中心支持体がないときに、依然として放射素子を3Dプリントすることができる。
【0089】
複数のスレッドが放射素子410の中心支持体420に(またはいくつかの実施形態では、単に放射素子に)適用されている一方で、追加の一時的支持体を使用して、らせん放射素子が正しい形状、位置、および場所を保持するのを確実にすることができる。
【0090】
ここで、図5を参照して、ここに示されるのは、一実施形態にしたがった外部支持体を有する放射素子支持システムを含むアンテナ組立体500の簡略化ブロック図である。アンテナ組立体500は、衛星ベースの通信用に構成されるアンテナで使用することができる。
【0091】
図1A図4のアンテナ組立体は、中心支持体を含んだ。アンテナ組立体500は、支持スレッドネットワーク530によって放射素子510に接続される外部支持体520を含む。
【0092】
図5では、外部支持体は単一のカップ要素を備え、これが放射素子を取り囲む。他の外部支持体の実施形態では、外部支持体は、たとえば複数の柱などといった、複数の要素を備えることができる。他の外部支持体の実施形態では、放射素子支持システムが中心支持体を含むこともできる。
【0093】
図1A図5の実施形態は、衛星のアンテナの放射素子を支持することを対象にする。他の実施形態では、他の衛星積載物をスレッドのシステムによって支持することができる。特に、導波路および支柱などといった、高いアスペクト比(長さ対幅)の構成要素を、スレッド支持ネットワークによって支持して、前記構成要素の振動モードを低減することができる。現在では、これらの構成要素は、複数の場所で衛星の他の構成要素に構成要素を取り付けることによって支持されるが、これは、著しく質量を増やし、振動中の全体的な組立応答が長くなる一方で全体性能が劣化するなどといった問題が導かれる可能性がある。スレッド支持ネットワークは、これらの構成要素を少なくとも径方向に拘束することができる。スレッド支持ネットワークのスレッドは、上で述べたものと同様であってよい。
【0094】
図6は、一実施形態にしたがった、導波路スレッド支持ネットワーク630を含む衛星組立体の導波路610の簡略化ブロック図である。
【0095】
導波路610が支持スレッドネットワーク630の3つの支持スレッドによって支持される。支持スレッドネットワーク630は、衛星の既存の構成要素、または、支持スレッドネットワーク630および導波路610への接続および支持を実現する目的で追加される支持体のいずれかに接続される。
【0096】
他の実施形態では、導波路以外の積載物を支持スレッドネットワークによって支持することができる。
【0097】
外部支持体を有する実施形態では、外部支持体を使用して、軸方向、径方向、およびねじれ方向のいずれかまたは全部への、放射素子の変位を制限することができる。
【0098】
上の記載は1つもしくは複数の装置、方法、またはシステムの例を提供する一方で、当業者に解釈されるように、他の装置、方法、またはシステムが請求の範囲内であってよいことが理解されよう。
【符号の説明】
【0099】
100 アンテナ組立体
102 先端セグメント
104 底部セグメント
110 放射素子
112 スレッドインターフェース、接続点
112-1 スレッドインターフェース
112-2 スレッドインターフェース
120 中心支持体
121 基部
122 細長い要素
123 スレッドインターフェース
130 支持スレッド、支持スレッドネットワーク
131 軸支持スレッド
132 径支持スレッド
133 ねじれ支持スレッド
140 アンテナ接地面
200 アンテナ組立体
210 放射素子
212 スレッドインターフェース
220 中心支持体
221 基部
223 スレッドインターフェース
230 スレッド
231 軸支持スレッド
232 径支持スレッド
240 アンテナ接地面
300 放射素子支持システム、アンテナ組立体
310 らせん放射素子
320 中心支持体
410 放射素子
420 中心支持体
500 アンテナ組立体
520 外部支持体
530 支持スレッドネットワーク
610 導波路
630 導波路スレッド支持ネットワーク、支持スレッドネットワーク
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
【外国語明細書】