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特開2025-15505セパレータおよびそれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015505
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】セパレータおよびそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/451 20210101AFI20250123BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20250123BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/446
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/414
H01M50/42
H01M50/426
H01M50/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114994
(22)【出願日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】10-2023-0094481
(32)【優先日】2023-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】クォン テ ウク
(72)【発明者】
【氏名】クァク ウォン スブ
(72)【発明者】
【氏名】チョ キュ ヨン
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021CC02
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE03
5H021EE06
5H021EE10
5H021EE15
5H021EE21
5H021HH00
5H021HH03
5H021HH07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リチウム二次電池の高温貯蔵安定性および容量維持率に優れており、抵抗増加率が低く、ガスの発生量が著しく低減するセパレータ、およびそれを含むリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】一態様として、多孔性基材と、前記多孔性基材の片面または両面に形成されるコーティング層と、を含むセパレータであって、前記コーティング層は、水溶性架橋ポリアクリルアミド系バインダーおよび硫酸バリウムを含む、セパレータを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性基材と、前記多孔性基材の片面または両面上のコーティング層と、を含むセパレータであって、
前記コーティング層は、窒素含有水溶性高分子および硫酸バリウム粒子を含む、セパレータ。
【請求項2】
前記窒素含有水溶性高分子は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン系共重合体、およびポリアクリルアミド系樹脂からなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される単位、および共単量体から誘導される単位を含むポリアクリルアミド系共重合体である、請求項2に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(a)(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位、(b)ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体から誘導される構造単位、および(c)多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位を含む、請求項3に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記ポリアクリルアミド系樹脂は、重量平均分子量が10万~200万g/molである、請求項2に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記コーティング層は、ベーマイト、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、チタンオキシド、アルミニウム窒化物、SrTiO、SnO、CeO、NiO、ZnO、ZrO、Y、およびSiCから選択される一つまたは二つ以上の無機粒子をさらに含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記硫酸バリウム粒子は、平均粒径が200~1000nmである、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記硫酸バリウム粒子は、平均粒径が互いに異なる2種以上の粒子が混合されたものである、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記硫酸バリウム粒子は、平均粒径が200~500nmである第1硫酸バリウム粒子と、平均粒径が500~1000nmである第2硫酸バリウム粒子とを混合したものであり、
前記第1硫酸バリウム粒子と第2硫酸バリウム粒子の平均粒径差が100nm以上である、請求項8に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記第1硫酸バリウム粒子と第2硫酸バリウム粒子の重量比が10~90:90~10である、請求項9に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記コーティング層は、硫酸バリウム粒子と窒素含有水溶性高分子の重量比が50:50~99.9:0.1である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記コーティング層は、ポリビニルアセテート、アクリル系樹脂、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド-クロロトリフロロエチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアセテート共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリイミドからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の樹脂をさらに含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項13】
前記コーティング層の厚さは、セパレータの全厚さの0.1~50%である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項14】
前記コーティング層は、0.5~10g/mで形成される、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項15】
前記多孔性基材は、多孔性フィルム、不織布、および織布などからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上が積層されたものである、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項16】
前記多孔性基材は、厚さが1~80μmである、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項17】
請求項1から16の何れか一項に記載のセパレータを含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セパレータおよびそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウム二次電池は、電気自動車とエネルギー貯蔵装置などに適用可能であるように大容量化が求められており、リチウム二次電池の容量が大きくなるほど、火災や爆発の危険性が高くなることから、それを改善するための多様な研究が行われている。
【0003】
通常のリチウム二次電池においては、負極、正極、および前記負極と正極との間に位置するセパレータからなるセルを円柱状に巻取りまたは積層してからパウチに挿入し、パウチの内部に液状の電解質を注入することで電池を製造する。電解質は、電極の間で電荷が円滑に移動できるようにする役割を果たし、一般に、非水性有機溶媒と塩を含む。
【0004】
一般に用いられる非水性有機溶媒と塩が含まれたリチウム二次電池を高温で長時間保管する場合、様々な要因により、リチウム二次電池が発火および爆発するという問題が発生する恐れがある。
【0005】
一例として、カーボネート系有機溶媒を用いるリチウム二次電池では、負極の表面に、固体電解質の分解産物である負極不動態膜(SEIフィルム;solid electrolyte interphase film)が形成され、前記カーボネート系有機溶媒の分解を引き起こすことにより、二次電池の内部でガスが生じる可能性がある。または、電解質が水分に対して非常に敏感に反応し、ガスを生じさせる可能性がある。かかるガスとしては、非水性有機溶媒と負極活物質の種類によって、水素ガス(H2)、一酸化炭素ガス(CO)、二酸化炭素ガス(CO2)、メタンガス(CH4)、フッ化水素、硫化水素などがある。
【0006】
このようなガスの発生により充電時に厚さが膨張し、リチウム二次電池を最大容量まで充電する満充電状態で高温に放置される場合には、電解質が負極表面と反応する副反応が発生することがある。これにより、持続的にガスが発生し、リチウム二次電池の内部圧力が上昇して、体積膨張により高温でリチウム二次電池の寿命が減少するなどの性能低下が発生する。
【0007】
したがって、かかる寿命減少および性能低下を改善するために、電解質の構成成分を変化させたり、負極材の種類を変更するなどの研究が続けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許登録第10-2436898号(2022.08.23)公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の一側面によると、リチウム二次電池の高温貯蔵特性と電池寿命をともに向上させることができるセパレータを提供することを課題とする。
【0010】
また、ガスの発生量を著しく低減することができるセパレータ、およびそれを用いたリチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0011】
本開示のセパレータおよびそれを含むリチウム二次電池は、電気自動車、バッテリー充電スタンド、その他の電池を用いる太陽光発電、風力発電などのグリーンテクノロジー分野で広く適用可能である。また、本開示のセパレータおよびそれを含むリチウム二次電池は、大気汚染および温室効果ガスの放出を抑え、気候変動を防止するための環境にやさしい(eco-friendly)電気自動車(Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(hybrid vehicle)などに用いられることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様は、多孔性基材と、前記多孔性基材の片面または両面上のコーティング層と、を含むセパレータであって、前記コーティング層は、窒素含有水溶性高分子および硫酸バリウム粒子を含む、セパレータを提供する。
【0013】
一態様として、前記窒素含有水溶性高分子は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン系共重合体、およびポリアクリルアミド系樹脂からなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含んでよい。
【0014】
一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される単位、および共単量体から誘導される単位を含む共重合体であってよい。
【0015】
一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(a)(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位、(b)ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体から誘導される構造単位、および(c)多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位を含んでよく、これに制限されるものではない。
【0016】
一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(a)65~96モル%の(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位、(b)3~34モル%のヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体から誘導される構造単位、および(c)0.001~1モル%の多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位を含んでよく、これに制限されるものではない。
【0017】
一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、重量平均分子量が10万~200万g/molであってよく、これに制限されるものではない。
【0018】
一態様として、前記コーティング層は、前記硫酸バリウム粒子の他に、無機粒子として、ベーマイト、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、チタンオキシド、アルミニウム窒化物、SrTiO、SnO、CeO、NiO、ZnO、ZrO、Y、およびSiCなどから選択される一つまたは二つ以上の無機粒子をさらに含んでよく、これに制限されるものではない。
【0019】
一態様として、前記硫酸バリウム粒子は、平均粒径が200~1000nmであってよく、これに制限されるものではない。
【0020】
一態様として、前記硫酸バリウム粒子は、平均粒径が互いに異なる2種以上の粒子が混合されたものであってよく、これに制限されるものではない。
【0021】
一態様として、前記硫酸バリウム粒子は、平均粒径が200~500nmである第1硫酸バリウム粒子と、平均粒径が500~1000nmである第2硫酸バリウム粒子とを混合したものであり、前記第1硫酸バリウム粒子と第2硫酸バリウム粒子の平均粒径差が100nm以上であってよいが、これに制限されるものではない。
【0022】
一態様として、前記第1硫酸バリウム粒子と第2硫酸バリウム粒子の重量比が10~90:90~10であってよく、これに制限されるものではない。
【0023】
一態様として、前記コーティング層は、硫酸バリウム粒子と窒素含有水溶性高分子の重量比が50:50~99.9:0.1であってよく、これに制限されるものではない。
【0024】
一態様として、前記コーティング層は、ポリビニルアセテート、アクリル系樹脂、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド-クロロトリフロロエチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアセテート共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリイミドからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の樹脂をさらに含んでよく、これに制限されるものではない。
【0025】
一態様として、前記コーティング層の厚さは、セパレータの全厚さの0.1~50%であってよく、これに制限されるものではない。
【0026】
一態様として、前記コーティング層は、0.5~10g/mで形成されてよく、これに制限されるものではない。
【0027】
一態様として、前記多孔性基材は、多孔性フィルム、不織布、および織布などからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上が積層されたものであってよく、これに制限されるものではない。
【0028】
一態様として、前記多孔性基材は、厚さが1~80μmであってよく、これに制限されるものではない。
【0029】
本開示の他の態様は、上記の一態様に記載のセパレータを含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0030】
本開示の一態様に係るセパレータは、熱収縮率が低く、透過度に優れ、接着性に優れる効果を提供することができる。
【0031】
また、本開示の一態様に係るセパレータを用いたリチウム二次電池は、高温貯蔵時における容量維持率が高く、且つ抵抗の増加が少なくて、高温貯蔵安定性に優れる効果を提供することができる。
【0032】
また、本開示の一態様に係るセパレータを用いたリチウム二次電池は、400サイクル特性での容量維持率が高く、且つ抵抗増加率が低くて、長期貯蔵安定性および長期電池容量に優れる効果を提供することができる。
【0033】
また、本開示の一態様に係るセパレータを用いたリチウム二次電池は、ガスの発生量を著しく低減する効果を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本開示について詳細に説明する。しかし、これは例示的なものに過ぎず、例示的に説明された具体的な実施形態により本開示が制限されるものではない。
【0035】
また、別に定義されない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する当業者の一つにより一般に理解される意味と同一の意味を有する。本開示の説明で用いられる用語は、特定の具体例を効果的に記述するためのものにすぎず、本開示を制限することを意図しない。
【0036】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数の形態は、文脈で特に指示しない限り、複数の形態も含むことを意図し得る。
【0037】
また、ある部分がある構成要素を「含む」とする時に、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0038】
また、別に定義しない限り、ある層または部材が他の層または部材の「上に」位置しているとする時に、これは、ある層または部材が、他の層または部材に接している場合だけでなく、二つの層または二つの部材の間に、さらに他の層またはさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0039】
また、「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有な製造および物質許容誤差が提示された時に、その数値、またはその数値に近接した意味で用いられ、本開示の理解のために正確または絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために用いられる。
【0040】
また、「平均粒径」は「D50」を意味し、「D50」とは、体積基準の積算分布の50%に相当する無機物粒子の粒径を意味する。平均粒径は、測定対象である粒子に対して、KS A ISO13320-1規格に準じて試料を採取し、Beckman coulter社のMultisizer 4e Coulter counterを用いて分析された粒度分布結果から導出されることができる。
【0041】
本開示において、ガラス転移温度(glass-transition temperature、Tg)とは、ガラス転移が起こる温度範囲を意味し、ディラトメータ(dilatometer)または示差走査熱量計(differential scanning calorimeter、DSC)を用いて測定された値を意味する。
【0042】
本開示で特に限定されない限り、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および粘度平均分子量(Mv)は、当業界で公知されている方法により測定することができ、例えば、GPC(gel permeation chromatograph)により分析されるポリエチレングリコール換算の分子量である。
【0043】
本開示において、「主成分として」は、他の成分に比べて主な成分として用いられることを意味し、例えば、50重量%以上、より具体的には55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、99重量%以上用いられることを意味する。
【0044】
本開示の一態様によると、特定のバインダーおよび特定の無機粒子を組み合わせた組成を用いてコーティング層を形成することで、耐熱性、接着力、および通気性に優れたセパレータを提供することができ、前記セパレータを用いる場合、リチウム二次電池のガスの発生量を著しく減少させることができ、高温貯蔵特性と長期寿命特性をともに向上させたリチウム二次電池を提供することができる。
【0045】
本開示の一態様は、多孔性基材と、前記多孔性基材の片面または両面に形成されるコーティング層と、を含むセパレータであって、前記コーティング層は、窒素含有水溶性高分子および硫酸バリウム粒子を含む、セパレータを提供する。
【0046】
本開示に係るセパレータの第1態様は、多孔性基材と、前記多孔性基材の片面または両面に形成されるコーティング層と、を含むセパレータであって、前記コーティング層は、窒素含有水溶性高分子および硫酸バリウム粒子を含む。
【0047】
第2態様は、多孔性基材と、前記多孔性基材の片面または両面に形成されるコーティング層と、を含むセパレータであって、前記コーティング層は、窒素含有水溶性高分子および硫酸バリウム粒子、並びにそれ以外の無機粒子、例えば、ベーマイト粒子などを含む。
【0048】
第3態様は、多孔性基材と、前記多孔性基材の片面または両面に形成されるコーティング層と、を含むセパレータであって、前記コーティング層は、窒素含有水溶性高分子、および平均粒径が異なる2種以上の硫酸バリウム粒子を含む。
【0049】
前記第1態様~第3態様は、本発明の一態様を説明するために例示されるものにすぎず、これに制限されるものではない。また、前記多孔性基材と前記コーティング層との間に他の層がさらに含まれてよく、さらに含まれる層の種類は特に制限されない。また、前記コーティング層は、互いに異なる種類のコーティング層が2層以上積層されることも可能であり、これに制限されるものではない。
【0050】
以下、本開示の各構成についてより具体的に説明する。
【0051】
[多孔性基材]
一態様として、前記多孔性基材は、当該分野で通常用いられるものであって、織布、不織布、および多孔性フィルムなどが使用でき、これらから選択される何れか一つまたは二つ以上が積層されたものであってよく、これに制限されない。
【0052】
前記多孔性基材の素材は制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、環状オレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ガラス繊維、テフロン(登録商標)、およびポリテトラフルオロエチレンなどが使用可能であり、これらからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の樹脂からなるものであってよい。
【0053】
一例として、前記多孔性基材としては、気孔の微細化のために調整可能なポリオレフィン系多孔性基材が使用可能であるが、これに制限されるものではない。前記ポリオレフィン系多孔性基材は、通常、フィルムの形態で製造され、リチウム二次電池のセパレータとして一般に用いられるものであれば制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの共重合体などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0054】
前記多孔性基材の厚さは特に限定されないが、同一体積でリチウム二次電池の容量を増加させる点から、厚さが100μm以下、90μm以下、80μm以下、1μm以上、5μm以上、または前記数値の間の任意の値であってよく、例えば、1~80μm、1~70μm、5~50μm、5~30μmであってよい。
【0055】
[コーティング層]
本開示のセパレータは、前記多孔性基材の片面または両面にコーティング層を含む。
【0056】
一態様として、前記コーティング層は、前記多孔性基材の面積に対して、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%の面積に該当するようにコーティングされたものであってよい。
【0057】
前記コーティング層の厚さは特に制限されないが、セパレータの全厚さに対して0.1~50%、0.5~45%、または1~40%の範囲で形成されてよい。例えば、前記コーティング層が片面または両面に形成される際に、それぞれのコーティング厚さが0.01~10μm、0.1~10μm、0.3~8μm、0.3~5μm、または1~4μmの厚さで形成されてよく、これに制限されるものではない。
【0058】
前記コーティング層の単位面積当たりの重量は、0.5~100g/m、0.5~50g/m、0.5~10g/m、0.5~8g/m、または0.5~5g/mであってよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0059】
一態様として、前記コーティング層は、無機粒子と窒素含有水溶性高分子から形成され、前記無機粒子が互いに連結されることにより無機粒子の間に気孔が形成されたものであることができる。一例として、前記無機粒子は硫酸バリウム粒子であり、前記硫酸バリウム粒子が互いに連結されることにより硫酸バリウム粒子の間に気孔が形成されたものであることができる。
【0060】
前記コーティング層は、これに制限されるものではないが、無機粒子と窒素含有水溶性高分子の含量が50~99.9:50~0.1重量比、80~99.9:20~0.1重量比、90~99:10~1重量比、または95~99:5~1重量比であってよい。上記の範囲である場合に、リチウムイオンの移動が円滑であるとともに、耐熱性が発現し、熱収縮率の少ないセパレータが提供できるため好ましいが、これに制限されるものではない。
【0061】
一態様として、前記コーティング層は、無機粒子および窒素含有水溶性高分子を含むスラリー組成物を塗布して形成されることができる。例えば、無機粒子、窒素含有水溶性高分子、および溶媒を含んでよく、固形分の含量が5~50重量%、5~45重量%、または5~40重量%であってよいが、これに限定されない。
【0062】
一態様として、前記窒素含有水溶性高分子は、前記無機粒子を互いに結着させ、前記無機粒子が多孔性基材に結着されるようにする役割を果たすことができ、また、本開示で目的とするリチウム二次電池の高温貯蔵特性と長期寿命特性をともに満たし、且つ、さらにガスの発生量を著しく低減させる役割を果たすことができる。
【0063】
本開示の一態様として、前記窒素含有水溶性高分子は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン系共重合体、およびポリアクリルアミド系樹脂からなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上を含んでよい。
【0064】
一態様として、前記窒素含有水溶性高分子は、ポリアクリルアミド系樹脂を含んでよく、または、前記ポリアクリルアミド系樹脂と、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン系共重合体から選択される何れか一つ以上を混合したものであってよい。一態様として、前記窒素含有水溶性高分子として、ポリアクリルアミド系樹脂と、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン系共重合体から選択される何れか一つ以上を混合する場合、ポリアクリルアミド系樹脂が主成分として用いられる含量であってよい。すなわち、ポリアクリルアミド系樹脂を、前記窒素含有水溶性高分子の含量に対して、50重量%以上、例えば、50~99.9重量%の含量で用いてよい。
【0065】
前記ポリビニルピロリドンは、これに制限されるものではないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が10,000~1,000,000g/mol、20,000~900,000g/mol、30,000~700,000g/mol、40,000~500,000g/molであってよい。上記の範囲である場合に、目的とする効果を達成するのに有利であるが、これに制限されるものではない。
【0066】
前記ポリビニルピロリドン系共重合体は、N-ビニル-2-ピロリドンから誘導された単位と、共単量体から誘導された単位と、を含み、前記共単量体は、芳香族ビニル系単量体;シアン化ビニル系単量体;炭素数6~20のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基を有する芳香族(メタ)アクリレート;ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;エポキシ基含有(メタ)アクリレート;不飽和カルボン酸;などからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物であってよく、これに制限されるものではない。
【0067】
例えば、前記共単量体は、スチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロメチルスチレン、m-クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどを含む芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを含むシアン化ビニル系単量体;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、3-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、4-フェニルブチル(メタ)アクリレート、2-2-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、2-3-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、2-4-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレートなどの炭素数6~20のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基を有する芳香族(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;ビニルアセテート;などからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の混合物であってよく、これに制限されるものではない。
【0068】
また、前記ポリビニルピロリドン系共重合体は、例えば、ポリビニルピロリドン-ポリビニルアセテートブロック共重合体であってよく、これに制限されない。
【0069】
前記ポリビニルピロリドン系共重合体は、これに制限されるものではないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が10,000~1,000,000g/mol、50,000~900,000g/mol、50,000~500,000g/molであってよい。上記の範囲である場合に、目的とする効果を達成するのに有利であるが、これに制限されるものではない。
【0070】
一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位を含む共重合体であってよい。
【0071】
例えば、(メタ)アクリルアミド系単量体および共単量体を共重合したものであってよく、共単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体、多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体などから選択される何れか一つまたは二つ以上であってよく、これに制限されるものではない。
【0072】
一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、三成分の共重合体であってよく、例えば、(a)(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位、(b)ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体から誘導される構造単位、および(c)多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位を含んでよい。
【0073】
前記コーティング層は、バインダー成分として、必要に応じて、当該分野で通常用いられる耐熱性バインダーまたは水分酸性バインダーをさらに含んでよい。上記の効果を達成する点から、バインダー成分として前記窒素含有水溶性高分子を主成分として含むことが好ましい。主成分として含むとは、例えば、バインダーの全含量に対して、窒素含有水溶性高分子が50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、100重量%、または前記数値の間の任意の範囲で用いられることを意味する。例えば、前記窒素含有水溶性高分子は、前記コーティング層を形成するバインダー成分中、80~100重量%、85~100重量%、90~100重量%、95~100重量%、または98~100重量%で含んでよい。
【0074】
前記追加添加可能な耐熱性バインダーまたは水分酸性バインダーとしては、セパレータにおいて無機粒子の結着のために通常用いられるものであれば制限されずに使用可能である。例えば、ポリビニルアセテート、アクリル系樹脂、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド-クロロトリフロロエチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアセテート共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリイミドなどからなる群から選択される何れか一つまたは二つ以上の樹脂を含んでよい。
【0075】
前記窒素含有水溶性高分子はポリアクリルアミド系樹脂を含んでよく、一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位を含む共重合体であってよい。
【0076】
例えば、(メタ)アクリルアミド系単量体および共単量体を共重合したものであってよく、共単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体、多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体などから選択される何れか一つまたは二つ以上であってよく、これに制限されるものではない。
【0077】
一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(a)(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位、(b)ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体から誘導される構造単位、および(c)多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位を含んでよい。前記(メタ)アクリルは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
【0078】
前記ポリアクリルアミド系樹脂は、アクリルアミド系単量体から誘導される単独重合体を用いた場合に比べて、上記の三成分の共重合体を用いることで、高温収縮率をさらに低減させ、高温安定性を付与することができるため、耐熱性にさらに優れたセパレータを提供することができ、多孔性基材との接着性に優れており、硫酸バリウム粒子と混合して用いることで、ガス低減効果にさらに優れたセパレータを提供することができる。また、リチウム二次電池の高温貯蔵安定性および高温容量維持率を大きく向上させることができる。
【0079】
一態様として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、(a)65~96モル%の(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位、(b)3~34モル%のヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体から誘導される構造単位、および(c)0.001~1モル%の多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体から誘導される構造単位を含んでよい。
【0080】
前記ポリアクリルアミド系樹脂の(a)(メタ)アクリルアミド系単量体の重合単位は、下記化学式1のように表されることができる。
【0081】
【化1】
【0082】
前記化学式1中、Rは、水素またはC1~C6アルキル基である。
【0083】
前記ポリアクリルアミド系樹脂の(b)ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体の重合単位は、下記化学式2のように表されることができる。
【0084】
【化2】
【0085】
前記化学式2中、Rは、水素またはC1~C6アルキル基である。また、Lは、C1~C6の直鎖状または分岐状アルキレン基である。
【0086】
前記(c)多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体の重合単位は、下記化学式3で表される多官能性単量体から重合されて生成されたものであってよい。
【0087】
【化3】
【0088】
前記化学式3中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはC1~C6アルキル基であり、Rは、C1~C10の直鎖状または分岐状の炭化水素(hydrocarbon)基であってよく、aは2~6であってよい。
【0089】
一例として、(a)(メタ)アクリルアミド系単量体は、65~96モル%、66~95モル%、67~94モル%、68~93モル%、70.5~91.5モル%であってよい。(b)ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリル系単量体は、3~34モル%、4~33モル%、5~32モル%、6~31モル%、8~29モル%であってよい。(c)多官能性(メタ)アクリルアミド系単量体は、0.001~1モル%であってよく、0.005~0.9モル%、0.01~0.5モル%で含まれて製造されたバインダーであってよい。
【0090】
一例として、前記ポリアクリルアミド系樹脂は、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、およびN-メチレンビスアクリルアミドの架橋共重合体であってよく、これに制限されるものではない。
【0091】
前記ポリアクリルアミド系樹脂の重量平均分子量は、10万g/mol以上、15万g/mol以上、20万g/mol以上、25万g/mol以上、200万g/mol以下、150万g/mol以下、100万g/mol以下、または前記数値の間の任意の値であってよい。例えば、10万~200万g/molであってよく、上記の範囲を満たす場合に、多孔性基材との接着力にさらに優れ、熱収縮率をさらに下げることができ、リチウム二次電池の高温貯蔵安定性および容量維持率をさらに向上させることができて好ましいが、これに制限されるものではない。前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリエチレングリコール換算の平均分子量である。
【0092】
前記ポリアクリルアミド系樹脂は、固形分を10重量%の含量で含む水溶液の粘度が、3000cps以下、2500cps以下、2000cps以下、または1500cps以下であってよいが、これに制限されるものではない。上記の範囲で無機粒子と混合してスラリーを製造した場合に、スラリーの粘度をさらに下げることができ、塗布性をさらに向上させることができて望まれる。
【0093】
一態様として、前記コーティング層を形成するために製造されるスラリー組成物に用いられる溶媒は、例えば、水を用いて水溶液として製造されるものであってよく、必要に応じて、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、およびN-メチル-2-ピロリドンなどの溶媒をさらに添加して用いてもよい。
【0094】
一態様として、前記無機粒子としては、電気化学的に安定し、且つセパレータの耐熱性および熱収縮率を改善するために通常用いられる無機粒子であれば制限されずに使用可能である。
【0095】
一態様において、本開示では、無機粒子として硫酸バリウム粒子を必須に含んでよい。硫酸バリウム粒子と前記水溶性架橋ポリアクリルアミド系バインダーを混合してコーティング層を形成することで、ガス低減効果にさらに優れ、高温貯蔵特性および長期寿命特性に優れたセパレータを提供することができる。
【0096】
前記硫酸バリウムの他にも、当該分野で通常用いられる無機粒子をさらに含んでよく、この際、硫酸バリウムの含量が、無機粒子の全含量に対して50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、100重量%、または前記数値の間の任意の範囲となるように用いられてよい。例えば、50~100重量%、80~100重量%、90~100重量%、95~100重量%、または99~100重量%で用いられてよい。
【0097】
前記硫酸バリウムの他に追加可能な無機粒子の例としては、当該分野で通常用いられる無機粒子であれば制限されないが、例えば、ベーマイト、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、チタンオキシド、アルミニウム窒化物、SrTiO、SnO、CeO、NiO、ZnO、ZrO、Y、およびSiCなどから選択される一つまたは二つ以上の無機粒子をさらに含んでよい。
【0098】
一例として、本開示のコーティング層は、無機粒子として、硫酸バリウム粒子を単独で、または、硫酸バリウム粒子とベーマイト粒子の混合粒子を用いてよい。これらを必須に含むことで、前述の水溶性複合バインダーと混合した際に、ガス低減効果をさらに好適に達成することができる。また、リチウム二次電池の高温貯蔵安定性および容量維持率を達成することができる。この際、混合の割合は制限されないが、硫酸バリウム粒子とベーマイト粒子の重量比が10~90:90~10の重量比であってよい。
【0099】
前記硫酸バリウム粒子を含む、本開示の一態様で使用可能な無機粒子のサイズは制限されないが、例えば、円滑なコーティングおよび優れた電気的特性を付与するために、平均粒径が50nm以上、100nm以上、200nm以上、300nm以上、1500nm以下、1000nm以下、800nm以下、または前記数値の間の任意の範囲であってよい。例えば、100~1500nm、200nm~1000nm、または300~800nmの範囲であってよい。前記無機粒子の形態は制限されず、球状、楕円状、針状などであってよい。
【0100】
一態様として、前記硫酸バリウム粒子は、平均粒径が異なる2種以上の粒子を混合して用いてよい。例えば、平均粒径が200~500nmである第1硫酸バリウム粒子と、平均粒径が500~1000nmである第2硫酸バリウム粒子とを混合したものであり、前記第1硫酸バリウム粒子と第2硫酸バリウム粒子の平均粒径差が100nm以上、例えば、100~500nmであってよい。
【0101】
一態様として、前記硫酸バリウム粒子の他に追加可能な他の種類の無機粒子も、平均粒径が異なる2種以上の粒子を混合して用いてよい。例えば、平均粒径が異なる2種以上の無機粒子を用いる場合、平均粒径が相対的に大きい第1無機粒子と、平均粒径が相対的に小さい第2無機粒子とを混合して用いてよく、第1無機粒子の平均粒径が200~500nmであり、第2無機粒子の平均粒径が500~1000nmであってよく、第1無機粒子と第2無機粒子の平均粒径差が100nm以上、例えば、100~500nmであってよい。
【0102】
一態様として、前記無機粒子と窒素含有水溶性高分子および溶媒を混合してスラリー組成物を製造した後、ボールミルなどにより無機粒子の破砕を十分に行うことで、凝集体を粉碎することも可能である。
【0103】
一態様として、前記コーティング層は、硫酸バリウム粒子と窒素含有水溶性高分子の重量比が50:50~99.9:0.1であってよく、これに制限されない。
【0104】
前記スラリー組成物を多孔性基材上にコーティングする方法は特に制限されないが、ロールコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、バーコーティング、ダイコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷などの多様な方法を制限されずに用いて、多孔性基材の片面または両面にコーティングしてよい。
【0105】
本開示の一態様に係るセパレータは、下記式1のような通気度の変化量(ΔG)を示すことができる。
【0106】
[式1]
ΔG=G1-G2≦70
【0107】
前記式1中、前記Gは、前記コーティング層を含むセパレータによるガーレー透過度であり、前記Gは、前記多孔性基材自体のガーレー透過度であって、ASTM D726に準じて測定され、単位はsec/100ccである。
【0108】
前記式1中、70sec/100cc以下、60sec/100cc以下、50sec/100cc以下、1~70sec/100cc、または1~60sec/100ccであってよい。上記の範囲である場合に、通気度の変化量が著しく小さく、バインダーの通気度に優れることができる。
【0109】
本開示の一態様に係るセパレータは、130℃の熱風乾燥オーブンで60分間放置した時に測定された高温収縮率が、機械方向および幅方向の両方において、5%以下、4%以下、3%以下、0.1%以上、1%以上、または上述の数値の間の任意の値であってよい。例えば、1~5%であってよい。上記の範囲を満たす場合、耐熱性に優れ、熱的安定性を有するセパレータを提供することができる。また、上記の範囲を満たす場合、リチウム二次電池のガス低減効果にさらに優れ、高温安定性に優れることができる。
【0110】
また、本開示の一態様に係るセパレータは、無機粒子と多孔性基材との接着力に優れ、無機粒子の脱離が著しく少ない効果を提供することができる。
【0111】
[リチウム二次電池]
本開示の一態様に係るリチウム二次電池は、正極と負極との間に前述の一態様に係るセパレータを含んでよい。この際、前記正極および負極としては、リチウム二次電池に通常用いられるものであれば、制限されずに使用可能である。
【0112】
これに制限されるものではないが、前記リチウム二次電池は、電解質、例えば、液体電解質を含んでよく、前記液体電解質は、当該分野で通常用いられる解離可能なリチウム塩と、非水系溶媒と、を含んでよい。前記リチウム塩の種類は制限されないが、本開示のセパレータを適用した際に、LiPF6が含まれた電解質で、ガスの発生量が特に著しく低減することができる。しかし、これに制限されず、通常用いられる電解質であれば適用可能である。
【0113】
以下では、具体的な実験例を参照して、本開示の実施例についてさらに説明する。実験例に含まれた実施例および比較例は、本開示を例示するものにすぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。本開示の範疇および技術思想の範囲内で実施例の多様な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明白であり、かかる変形および修正が添付の特許請求の範囲に属するということも言うまでもない。
【0114】
物性は、次のように評価した。
【0115】
[重量平均分子量]
測定では、GPC(東ソー社のEcoSEC HLC-8320 GPC Reflective Index detector)を用い、GPCカラムとして、Tskgel guard PWx、2本のTSKgel GMPWxlおよびTSKgel G2500PWxl(7.8x300mm)を使用し、溶剤として0.1MのNaNO水溶液を使用し、標準物としてポリエチレングリコールを使用し、40℃、1mL/minのflow rateで分析した。
【0116】
[熱収縮率評価]
セパレータを一辺10cmの正方形に切り出し、幅方向(TD、Transverse Direction)および機械方向(MD、Machine Direction)を表記した。試料を真中に位置させ、試料の上下に紙を5枚ずつ載せ、紙の4つの辺をテープでくるんだ。紙でくるんだ試料を、130℃、熱風乾燥オーブンで60分間放置した。その後、試料を取り出し、セパレータをカメラで測定し、下記式により、長さ方向の収縮率(MD、Machine Direction)および幅方向の収縮率(TD、Transverse Direction)を計算した。
【0117】
長さ方向の高温収縮率(%)=(加熱前の長さ方向の長さ-加熱後の長さ方向の長さ)/加熱前の長さ方向の長さ×100
幅方向の高温収縮率(%)=(加熱前の幅方向の長さ-加熱後の幅方向の長さ)/加熱前の幅方向の長さ×100
【0118】
[ガーレー透過度]
気体透過度は、ガーレー(Gurley)透過度を測定した。東洋精機社のデンソメーターを用いて、ASTM D726規格に準じて測定した。100ccの空気が、1平方インチの面積のセパレータを通過するのにかかる時間を秒単位で記録して比較した。単位はsec/100ccである。
【0119】
[ボール紙接着力テスト]
セパレータを50mmx50mmのサイズに切り出し、無機物層が下側となるようにゴムパッド上に載せた。黒色のボール紙(20mmx50mmxT0.25mm)をセパレータとゴムパッドとの間に置き、押さえ装置を用いて一定の圧力(10g/cm)を加えた。黒色のボール紙を強制的に横から取り出し、表面上に付いた無機物の程度を確認し、付いた程度に応じて、次のGradeを見てA/B/Cと判別した。
A:何も付かない
B:少量の無機物が付く
C:バインダーと無機物がともに付く程度
[厚さ測定方法]
分離膜の厚さ:分離膜を10重に重ねた後、幅方向に任意の5ポイントで、Mitutoyo社の厚さ計で厚さをそれぞれ測定した。その後、10層の分離膜平均厚さを導き出し、再び10で割って単一の分離膜全体の平均厚さを導出した。
多孔質基材の厚さ:多孔性基材の平均厚さは、多孔性基材のみを10重に重ねた後、幅方向に任意の5ポイントで、Mitutoyo社の厚さ計で厚さを測定した。次に、10層の多孔質基材の平均厚さを導き出し、再び10で割って単一の多孔質基材の平均厚さを導出した。
コーティング層の厚さ:上述のようにして求めた単離膜全体の平均厚さから単一多孔質基材の平均厚さを差し引いた値として計算して導出した。
【0120】
[実施例1]
<スラリー組成物の製造>
平均粒径が500nmの硫酸バリウム97重量%、ポリアクリルアミド系樹脂(アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、およびN-メチレンビスアクリルアミドの架橋共重合体、表1において「PAM1」と表記する、重量平均分子量は27万g/mol)3重量%を、溶媒である水に添加して撹拌し、固形分濃度が30重量%であるスラリー組成物を製造した。
【0121】
<セパレータの製造>
幅150mm、長さ1000M、厚さ9μmのセパレータ(ENPASS、SKアイイーテクノロジー)基材を使用した。前記基材の両面に、上記で製造したコーティング液を3m/minの速度でバーコーティングしてコーティング層を形成した。
【0122】
その後、40℃の熱風乾燥器を通して乾燥し、ロール状に巻き取った。巻き取り後に測定したコーティングセパレータの厚さは総13μmであり、コーティング層の厚さは片面当たり2μmであった。
【0123】
製造されたセパレータの物性を評価し、下記表1に示した。
【0124】
<リチウム二次電池の製造>
負極活物質として人造黒鉛を95重量%、融着剤としてTgが-52℃であるアクリルラテックス(Acrylic latex、固形分20重量%)を3重量%、増粘剤としてCMC(Carboxymethyl cellulose)を2重量%の割合で、水に添加して撹拌し、均一な負極スラリーを製造した。スラリーを厚さ20μmの銅箔上にコーティング、乾燥、および圧着することで、厚さ150μmの負極極板を製造した。
【0125】
正極活物質としてLiCoOを94重量%、融着剤としてポリビニリデンフルオライド(Polyvinylidene fluoride)を2.5重量%、導電剤としてカーボンブラック(Carbon-black)を3.5重量%で、溶剤であるNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)に添加して撹拌し、均一な正極スラリーを製造した。スラリーを厚さ30μmのアルミニウム箔上にコーティング、乾燥、および圧着することで、厚さ150μmの正極極板を製造した。
【0126】
前記正極と負極との間に前記セパレータを配置してパウチ形電池を製造した。組み立てられた電池に、1Mのリチウムヘキサフロロホスフェート(LiPF)が溶解された、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)=25:45:20(体積比)が添加された電界液を注入した。アルミニウム包装材の開口を密封するために、165℃のヒットシールをしてアルミニウム外装を閉口し、2Ahのパウチ形リチウム二次電池を製造した。製造された電池の物性を評価し、表2に示した。
【0127】
[実施例2]
実施例1において、スラリー組成物の製造時に、無機粒子として、ベーマイトと硫酸バリウムを混合して使用したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0128】
すなわち、平均粒径が500nmである硫酸バリウム60重量%、平均粒径が600nmであるベーマイト(γ-AlO(OH))37重量%、前記ポリアクリルアミド系樹脂(表1において「PAM1」と表記する)3重量%を、溶媒である水に添加して撹拌し、固形分濃度が30重量%であるスラリー組成物を製造した。
【0129】
製造されたセパレータおよび電池の物性を評価し、表1および表2に示した。
【0130】
[実施例3]
実施例1において、スラリー組成物の製造時に、平均粒径が異なる2種の硫酸バリウムを使用したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0131】
すなわち、平均粒径が800nmである硫酸バリウム50重量%、平均粒径が500nmである硫酸バリウム47重量%、前記ポリアクリルアミド系樹脂(表1において「PAM1」と表記する)3重量%を、溶媒である水に添加して撹拌し、固形分濃度が30重量%であるスラリー組成物を製造した。
【0132】
製造されたセパレータおよび電池の物性を評価し、表1および表2に示した。
【0133】
[実施例4]
実施例1において、スラリー組成物の製造時に、ポリアクリルアミド系樹脂(PAM1)の代わりに、ポリアクリルアミド系樹脂(表において「PAM2」と表記する、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体、重量平均分子量は10万g/mol)を使用したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0134】
製造されたセパレータおよび電池の物性を評価し、表1および表2に示した。
【0135】
[実施例5]
実施例1において、スラリー組成物の製造時に、バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP、シグマアルドリッチ社製、CAS Number:9003-39-8)をさらに含んだことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0136】
すなわち、平均粒径が500nmである硫酸バリウム97重量%、前記ポリアクリルアミド系樹脂(表1において「PAM1」と表記する)2重量%、およびポリビニルピロリドン(PVP、シグマアルドリッチ社製、CAS Number:9003-39-8)1重量%を、溶媒である水に添加して撹拌し、固形分濃度が30重量%であるスラリー組成物を製造した。
【0137】
製造されたセパレータおよび電池の物性を評価し、表1および表2に示した。
【0138】
[比較例1]
実施例1において、スラリー組成物の製造時に、バインダーとして、ラテックス含量が20重量%である水分散系アクリル系バインダー(溶融温度が220℃、けん化度が99%であるポリビニルアルコール2重量%を含み、Tgが-52℃)を使用し、無機粒子としてベーマイトを単独で使用したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0139】
すなわち、平均粒径が600nmであるベーマイト(γ-AlO(OH))97重量%、アクリル系バインダー3重量%を、溶媒である水に添加して撹拌し、固形分濃度が30重量%であるスラリー組成物を製造した。
【0140】
製造されたセパレータおよび電池の物性を評価し、表1および表2に示した。
【0141】
[比較例2]
実施例1において、スラリー組成物の製造時に、硫酸バリウムの代わりにベーマイトを使用したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0142】
すなわち、平均粒径が600nmであるベーマイト(γ-AlO(OH))97重量%、前記ポリアクリルアミド系樹脂(表1において「PAM1」と表記する)3重量%を、溶媒である水に添加して撹拌し、固形分濃度が30重量%であるスラリー組成物を製造した。
【0143】
製造されたセパレータおよび電池の物性を評価し、表1および表2に示した。
【0144】
[比較例3]
実施例1において、スラリー組成物の製造時に、ポリアクリルアミド系樹脂(表において「PAM2」と表記する、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体、重量平均分子量は10万g/mol)を使用し、無機粒子としてベーマイトを単独で使用したことを除き、実施例1と同様に製造した。
【0145】
すなわち、平均粒径が600nmであるベーマイト(γ-AlO(OH))97重量%、ポリアクリルアミド系樹脂(PAM2)3重量%を、溶媒である水に添加して撹拌し、固形分濃度が30重量%であるスラリー組成物を製造した。
【0146】
製造されたセパレータおよび電池の物性を評価し、表1および表2に示した。
【0147】
【表1】
【0148】
前記表1に示すように、本開示の一態様に係る実施例1~5は、比較例1~3と比べてガーレー透過度が高く、熱収縮率が低く、ボール紙接着力テストで付いてくるものがないことを確認した。
【0149】
また、製造されたセパレータを用いて、上記のようにリチウム二次電池を製造して物性を測定した。
【0150】
[リチウム二次電池の初期抵抗特性]
実施例および比較例の組み立て過程を経て製造した各電池を、充/放電サイクル装置を用いて、4.2VのCC-CV(Constant current-constant voltage)で充電してから放電させた。そして、SOC(State of Charge)60%で、J-Pulse方法によりDC-IR(Direct Current Internal Resistance)を測定した。
【0151】
[60℃貯蔵安定性]
実施例および比較例の組み立て過程を経て製造した各電池(2Ah Cell)を、60℃のオーブンで24日間保管した後、上述のJ-Pulse法によりDC-IR(Direct Current Internal Resistance)を測定した後、抵抗増加率を計算した。前記抵抗増加率ΔRは下記式により計算した。比較例1を基準として、各実施例および比較例の抵抗を相対評価した。数値が高いほど、相対的な抵抗増加率が低いことを表す。
【0152】
ΔR(%)=(R-R)/RX100
【0153】
前記Rは、製造した各電池の実験前の初期抵抗であり、前記Rは、60℃、28日間保管した後の抵抗である。
【0154】
容量維持率ΔCは下記式により計算した。比較例1を基準として、各実施例および比較例の容量を相対評価した。数値が高いほど、相対的な容量維持率が高いことを表す。
【0155】
ΔC(%)=[(28日間オーブン保管後の放電容量-オーブン保管前の放電容量)]/(オーブン保管前の放電容量)]X100
【0156】
[400サイクル寿命]
実施例および比較例の組み立て過程を経て製造した各電池を、充/放電サイクル装置を用いて、4.2VのCC-CV(Constant current-constant voltage)で充電してから放電させた。
【0157】
前記リチウム電池を、25℃で0.5Cレートの電流で、電圧が4.2Vに達するまで定電流充電し、4.2Vを維持しながら、電流が0.01Cとなるまで定電圧充電した。次いで、放電の時に、電圧が3.0Vに達するまで0.5Cの定電流で放電するサイクルを400回繰り返した。容量維持率は、400回サイクルでの放電容量を測定して計算し、抵抗は、J-Pulse法によりDC-IR(Direct Current Internal Resistance)を測定した後、抵抗増加率を計算した。比較例1を基準として、各実施例および比較例の抵抗を相対評価した。数値が高いほど、相対的な抵抗増加率が低いことを表す。
【0158】
ΔR(%)=(R-R)/RX100
【0159】
前記Rは、製造した各電池の実験前の初期抵抗であり、前記Rは、400サイクル後の抵抗である。
【0160】
容量維持率ΔCは、下記式により計算した。比較例1を基準として、各実施例および比較例の容量を相対評価した。数値が高いほど、相対的な容量維持率が高いことを表す。
【0161】
ΔC(%)=[(400サイクル後の放電容量-初期放電容量)/(初期放電容量)]/100
【0162】
[ガス発生の分析]
ガスの発生量は、100%充電されたSOC電池を準備し、密度計(Density meter)を用いて体積を測定した後、60℃のオーブンで10週間保管してから、同様の方法により体積を測定した。貯蔵0週目の体積に対して変化した体積(体積増加率ΔV)を下記式により計算した。比較例1を基準として、各実施例および比較例で体積の変化を相対評価した。数値が低いほど、ガスの発生が少ないことを表す。
【0163】
体積増加率ΔV(%)=[10週目の体積-0週目の体積)/0週目の体積]×100
【0164】
上記のように、比較例1の測定値を基準として、それ以外の実施例および比較例の電池の物性を相対的に評価した。
【0165】
その結果を下記表2に示した。
【0166】
【表2】
【0167】
表2に示すように、本開示の一態様に係る実施例1~5のセパレータを適用する場合には、比較例1のようにアクリル系バインダーを適用した場合と比べて、相対的に電池の高温貯蔵時における容量維持率が高く、抵抗の増加が少ないことから、高温貯蔵安定性に優れることを確認した。また、400サイクル特性において容量維持率が高く、抵抗増加率が低いことから、長期電池特性に優れることを確認した。また、ガスの発生量が低いことを確認した。
【0168】
また、実施例1~5は硫酸バリウム粒子を使用したものであって、ベーマイト粒子を使用した比較例2~3と比べてさらに優れた物性を示し、このことから、本開示の一態様に係るバインダーと硫酸バリウム粒子を組み合わせて用いることで、電池の高温貯蔵特性および長期寿命が向上することを確認した。
【0169】
上述の内容は本開示の原理を適用した例示にすぎず、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、他の構成がさらに含まれてよい。
【0170】
以上のように、本開示では、特定の事項と限定された実施例により説明されたが、これは、本開示のより全般的な理解のために提供されたものにすぎず、本開示は上記の実施例に限定されるものではない。本開示が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。
【0171】
したがって、本開示の思想は上述の実施例に限定されて決定されてはならず、添付の特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等もしくは等価的変形を有するものは、何れも本開示の思想の範疇に属するといえる。