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特開2025-15507情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015507
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 13/00 20060101AFI20250123BHJP
   A63B 69/00 20060101ALN20250123BHJP
   G01W 1/00 20060101ALN20250123BHJP
【FI】
G01C13/00 Z
A63B69/00 512
G01W1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115086
(22)【出願日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2023117535
(32)【優先日】2023-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500140921
【氏名又は名称】株式会社ライズシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野村 昇
(57)【要約】
【課題】 海岸線に来る波の大きさ、波数などのデータをより正確に計測してデータとして管理する。
【解決手段】 砕波計測装置2は、カメラ1で撮られた水面に生じた白色のスープと暗い色の水面との境界のコントラストに着目して砕波を抽出する砕波抽出部33と、発生から消滅するまでの砕波から計測対象として計測対象砕波を選択し、計測対象砕波に基づいて波の状態を計測する砕波解析処理部34とを備え、計測に適切な砕波を選択して計測し、データを取得する。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砕波の発生しうる水面領域を含む風景を撮像した映像から砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を、砕波として抽出する砕波抽出部と、
発生して消滅するまでの前記砕波から、計測対象としての計測対象砕波を選択し、前記計測対象砕波に基づいて波の状態を計測する砕波解析処理部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報処理装置において、
前記砕波抽出部は、前記スープと波面との境界を含む所定の矩形領域を前記砕波として抽出する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記砕波解析処理部は、
所定の範囲で直線状に並ぶ前記砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、前記単位波ごとに、前記単位波に含まれる前記砕波の中から、前記計測対象砕波を選択する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項2記載の情報処理装置において、
前記砕波抽出部は、前記スープと波面との境界を含む所定の矩形領域を前記砕波として抽出し、
前記砕波解析処理部は、前記矩形領域の下辺が、所定の範囲で直線状に並ぶ前記砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、前記単位波ごとに、前記単位波を構成する前記砕波の中から、前記計測対象砕波を選択する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記砕波解析処理部は、所定の範囲で、海岸線と平行に並ぶ前記砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、前記単位波ごとに、前記単位波を構成する前記砕波の中から、前記計測対象砕波を選択する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記砕波解析処理部は、所定の範囲で、予め計測された波が広がる方向と平行に並ぶ前記砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、前記単位波ごとに、前記単位波を構成する前記砕波の中から、前記計測対象砕波を選択する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
砕波抽出部が、砕波の発生しうる水面領域を含む風景を撮像した映像から砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を、砕波として抽出し、
砕波解析処理部が、発生して消滅するまでの前記砕波から、計測対象としての計測対象砕波を選択し、前記計測対象砕波に基づいて波の状態を計測する
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
コンビュータに
砕波抽出部が、砕波の発生しうる水面領域を含む風景を撮像した映像から砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を、砕波として抽出し、
砕波解析処理部が、発生して消滅するまでの前記砕波から、計測対象としての計測対象砕波を選択し、前記計測対象砕波に基づいて波の状態を計測する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記砕波の状態を表すテキストを作成する情報処理システムであって、
請求項1に記載の情報処理装置と、
テキスト作成装置と、
を備え、
前記テキスト作成装置は、
過去の前記砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された前記砕波の状態を表すテキストを互いに紐づけた過去情報を作成する過去情報作成部と、
前記情報処理装置から、テキスト作成の対象となる前記砕波の前記計測結果を取得する計測結果取得部と、
前記計測結果取得部が取得した前記計測結果の計測時の前記気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記過去情報作成部が作成した前記過去情報における過去の前記砕波の前記計測結果、計測時の前記気象情報、および計測された前記砕波の状態を表すテキストの相関と、前記計測結果取得部が取得した前記砕波の前記計測結果と、前記気象情報取得部が取得した前記気象情報に基づいて、前記情報処理装置が計測した前記砕波の状態を表すテキストを作成するテキスト作成部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
波やうねりに関する観測データは不足している。特に砕波については顕著であり、例えば、サーフィンのようなマリンレジャーやマリンスポーツの愛好家は少なくないが、それらの活動拠点となる沿岸部の波浪情報や、砕波に関するデータは少なく、マリンレジャーやスポーツのための沿岸部の波浪情報やデータの提供が望まれている。
【0003】
出願人は、沿岸部や浅瀬で発生する砕波のデータベースの技術を提案している(特許文献1)。この特許文献1に記載された技術は、砕波の発生しうる海面領域を含む風景を撮像して映像データを解析し、映像データから海水面が波頭から砕けて白い泡状になる領域であるスープの輪郭を抽出し、スープの輪郭からスープの輪郭形状を数値化した砕波データを生成し、この砕波データを砕波データベースに記録する。データベースとする砕波データは、例えば波が盛り上がって崩れる寸前の頂点から水面までの高さである砕波の波高などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第433610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一つのうねり(波)が海岸線に波として到来するときに、複数の砕波が発生するが、すべての砕波が波の状態を適切に表すものではない。例えば、波高が高く、かつフェイスと称される波面の面積が大きい波がサーフィンの波として好ましいといえるが、そうでない砕波が同じ波に同時に生ずることがある。特に、風などの影響により、複数の砕波が生じることもある。したがって、同じ波に同時に複数の砕波が生じた場合は計測対象にふさわしい波を計測対象とすべきである。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、砕波を利用して適切に波の状態を計測することができる情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の情報処理装置は、砕波の発生しうる水面領域を含む風景を撮像した映像から砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を、砕波として抽出する砕波抽出部と、発生して消滅するまでの前記砕波から、計測対象としての計測対象砕波を選択し、前記計測対象砕波に基づいて波の状態を計測する砕波解析処理部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の側面の情報処理方法は、砕波抽出部が、砕波の発生しうる水面領域を含む風景を撮像した映像から砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を、砕波として抽出し、砕波解析処理部が、発生して消滅するまでの前記砕波から、計測対象としての計測対象砕波を選択し、前記計測対象砕波に基づいて波の状態を計測することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の側面のプログラムは、コンビュータに砕波抽出部が、砕波の発生しうる水面領域を含む風景を撮像した映像から砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を、砕波として抽出し、砕波解析処理部が、発生して消滅するまでの前記砕波から、計測対象としての計測対象砕波を選択し、計測対象砕波に基づいて波の状態を計測する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、波の状態を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明実施形態の砕波計測システムの構成例を示す図である。
図2図2は、本発明実施形態の砕波計測装置の機能構成を示す図である。
図3図3は、砕波を説明する図である。
図4図4は、枠で抽出した砕波を示す図である。
図5図5は、複数の砕波を矩形の枠で抽出した例を示す図である。
図6図6は、同一ライン上の砕波を示す図である。
図7図7は、同一ライン上の砕波を説明するための図である。
図8図8は、人為的なライドで生じた砕波を示す図である。
図9図9は、砕波計測処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、第1の応用例におけるテキスト作成システムの構成を示す図である。
図11図11は、テキスト作成装置の機能構成例を示すブロック図である。
図12図12は、テキスト作成処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施の形態に係る砕波計測システムについて説明する。図1は、情報処理装置としての砕波計測装置2を含む砕波計測システムの構成例を示す図である。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態の順序、フローチャートにおける処理の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図は、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0013】
砕波計測システムは、カメラ1および砕波計測装置2を有している。カメラ1は、陸上に設置され、海岸線を含む沖合の風景を撮影する。砕波計測装置2は、カメラ1により撮影された映像データに基づいて砕波の解析を行い、波の状態を計測する。
【0014】
砕波計測装置2は、クラウドサーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理装置であり、CPU11、メモリ12、インタフェース13を備えている。砕波計測装置2は、各インタフェース13を介して、カメラ1、ディスプレイなどの表示装置3、およびキーボード、マウスなど入力装置4に接続されている。
【0015】
砕波計測装置2は、インターネット21を介して外部のサーバ22や、PC(パーソナルコンピュータ)23に接続して、通信を行うことができる。外部のサーバ22、PC23には、砕波計測装置2から送信された解析結果がデータベースとして蓄積され、マリンレジャーや船舶航行に必要なデータとしてインターネット21を介して提供することができる。
【0016】
また、砕波計測装置2は、クラウドサーバによっても実現できる。カメラ1がインターネット21を介して接続され、クラウドサーバにある砕波計測装置2のアプリケーションソフトウェアが砕波の解析することもできる。図1は、砕波計測装置2をインターネット21に接続される情報処理装置として表したが、砕波計測装置2は、情報処理装置として、PCに限定されるものではない。
【0017】
カメラ1で撮影された映像は、直接砕波計測装置2に供給されて解析されてもよく、また、カメラ1で撮影された映像を外部のサーバ22やPC23にいったん蓄積して、それを砕波計測装置2で解析するようにしてもよい。撮影した映像を砕波計測装置2で同時に解析しなければならないものではない。
【0018】
(砕波計測装置の機能構成)
図2は、砕波計測装置2の機能ブロック図である。砕波計測装置2は、CPU11がメモリ12に記憶された図示せぬ制御用アプリケーションプログラムを実行することで、映像データ取得部31、画像処理部32、砕波抽出部33および砕波解析処理部34として機能する。
【0019】
映像データ取得部31は、カメラ1で撮影した映像(海岸線を含む沖合の風景の映像)のデータを取得し、メモリ12の映像データ記憶部41に記憶する。カメラ1による海岸線の風景の映像は、時系列で所定時間の継続する画像として撮影されている。このため、時系列的に連続する動画画像、あるいは、所定の時間間隔の静止画像として記憶される。取得された映像データは、画像処理部32、砕波抽出部33、砕波解析処理部34において、AI(Artificial Intelligence)を用いたリアルタイムの情報処理により砕波計測が行われる。また、必ずしもリアルタイムの情報処理により砕波計測を行うものでなく、サーバ22や映像データ記憶部41に一端映像を記憶しておいて、砕波解析処理を行うときに、サーバ22や映像データ記憶部41から映像データを取り出して画像処理を行い、砕波解析処理を行うこともできる。
【0020】
画像処理部32は、カメラ1から取得した映像データを数値化し、後の計測対象砕波の特定処理を行うための画像処理を施す。撮影した風景について時系列の画像が得られるので、砕波解析のために、例えば蓄積した同一場所の時系列の画像が取り出されて、数値化処理が行われる。
【0021】
(砕波抽出部33)
砕波抽出部33は、画像処理により、砕波の発生しうる水面領域を含む風景を撮像した映像から砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を含む所定の矩形領域を、砕波として抽出する。
【0022】
砕波とは、沖合いから浅海域に波が進入すると、波高が変化し、水深が波高に近づいた時点で、前方へとくずれる、運動が乱れて発生する現象である。砕波は、図3に示すように、リップP1、スープP2、フェイスP3、およびボトムP4から構成される。リップP1とは、波の一番高い部分である。スープP2は、波が掘れあがった後、リップP1から砕け、白い泡が見える部分である。フェイスP3は、波が掘れあがる斜面の部分である。ボトムP4は、波の一番下側の水平な部分である。
【0023】
スープは、白い泡状になった領域であることから、砕波抽出部33は、このスープの白と、スープに隣接する波面(フェイスを含む)の青色や黒色の暗い色とのコントラストに着目してスープと波面の境界を、砕波として抽出する。
【0024】
砕波抽出部33は、図4に示すように、抽出した砕波となるスープ部分と波面との境界部分を中心とする計測用の枠Bを設定する。枠Bを、表示画面上に表示することもできる。
【0025】
この枠Bは、例えば正方形あるいは長方形の枠とし、横方向の中心をスープと波面の境界としてスープの高さに応じた正方形あるいは長方形の矩形領域である。長方形の場合、波面の部分については、色が変化するところまでとすることもできる。枠Bの高さ(図中、上下方向の矢印の長さ)は、砕波のボトムからリップまでの距離に対応するので、砕波の高さに相当する。この枠Bの高さから、砕波の高さを求めることができる。
【0026】
砕波抽出部33は、抽出した各種砕波のデータを分類し、データベース42として提供できるように、分類、データの紐づけ、データの規格化などの処理をして、データベース42として作成記憶する。この砕波のデータを、砕波計測装置2内に記憶することもできるし、砕波抽出部33より抽出された砕波のデータをサーバ22に送信し、サーバ22においてデータベース42として記憶されるようにすることもできる。
【0027】
(砕波解析処理部34)
砕波解析処理部34は、砕波抽出部33により抽出された、発生して消滅するまでの砕波から、所定の範囲で直線状に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、単位波ごとに、単位波に含まれる砕波の中から、計測対象砕波を選択する。そして砕波解析処理部34は、選択した計測対象砕波に基づいて単位波の状態を計測する。
【0028】
沖から海岸線に到来する波は、まず、うねりとして発生し、波頭が砕けたスープが生じ、砕波が発生する。そして砕波は、波が海岸線に向かって来るにしたがって、波の到来方向と垂直の方向(例えば海岸線が伸びる方向)に拡がっていき、最後は、崩れて消える。波の砕波が全て消滅すれば、波も消滅したことになる。すなわち砕波に着目すれば、1つの波の大きさや周期を把握することができる。
【0029】
砕波は、一つのうねり(波)に複数発生することがある。複数発生した砕波も、高さが大きいものから小さいものがある。高さが小さい砕波は、波頭が少し崩れただけというものがあり、波の状態を適切に表すものではない。そこで、砕波解析処理部34は、所定の範囲で直線状に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、単位波ごとに、単位波を構成する砕波の枠Bの中で、高さが最も高い枠Bの砕波を、計測対象砕波として選択し、その砕波の枠Bの高さ(縦方向の長さ)を、単位波の高さとする。
【0030】
図5の場合、枠B1,B2の砕波は直線状に並んでいることから、枠B1,B2の群は1つの波としての単位波(単位波W1と称する)に特定される。枠B3、B4、B5の群は1つの波としての単位波(単位波W2と称する)、枠B6,B7の群は1つの波としての単位波(単位波W3と称する)に特定され、枠B8,B9の群は1つの波としての単位波(単位波W4と称する)に特定される。
【0031】
そしてこのように特定された単位波毎に以下の計測が行われる。例えば、所定のタイミングで枠B1の高さが枠B2の高さより大きくなれば、枠B1の高さがそのタイミングの単位波W1の高さとなり、またその後の所定のタイミングで枠B2の高さが枠B1の高さより大きくなれば、枠B2の高さがそのタイミングの単位波W1の高さとなる。さらにその後、所定のタイミングで、単位波W1を構成する新しい図示せぬ砕波(その枠Bの下辺が、枠B1,枠B2の下辺と一定の範囲内で直線状に並ぶ)が発生し、その砕波の枠Bの高さが枠B1,B2の高さより高い場合、その新しい砕波の枠の高さが、そのタイミングの単位波W1の高さとなる。単位波W1が海岸線まで到来し、単位波W1を構成する砕波が全て消滅するまで砕波の高さの計測が実行される。そして砕波解析処理部34は、単位波W1が消滅するまで計測した単位波W1の高さのうち最も高い砕波を計測対象砕波として選択し、その砕波の高さが単位波W1の高さとなる。このような砕波の高さの計測が単位波ごとに実行される。
【0032】
なお、どの程度、直線状に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定するかについては、例えば、図5の枠B8,B9付近の拡大図である図6に示すように、枠Bの下辺(砕波のボトム)が、波の高さ方向の所定の範囲N内で直線状に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定することができる。
【0033】
(同一線上の砕波の他の例)
沖から到来する波は、海岸線に向かって移動する。すなわち波は、通常、海岸線に平行に広がっている。このことから、海岸線に平行に並ぶ砕波に着目し、所定の範囲で、海岸線と平行に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定することができる。波は海岸線に平行に生じて海岸線に到来するのが普通である。このため、図7に示すように、画面上の海岸線L1に平行なライン(図7の例ではラインL2)上の並ぶ砕波の群が単位波とされている。
【0034】
沖から到来する波は、海底地形によっては、海岸線に対して垂直に移動せずに、海岸線に対して平行に広がらない場合がある。そこで、波がくる方向、広がる方向を予め特定し、その方向と平行に並ぶ砕波の群を1つの波とすることもできる。
【0035】
(波の状態の他の例)
以上においては、砕波解析処理部34は、単位波の中で最も高い砕波を計測対象砕波として特定し、その計測対象砕波の高さに基づいて、波の高さを計測したが、それに限られない。例えば高さが上位のいくつかの砕波を計測対象砕波として特定し、その計測対象砕波の高さの平均値等を、波の高さとすることができる。
【0036】
また、単位波を構成する砕波の中で、最も長く存在した砕波を、計測対象砕波とすることができる。また計測対象砕波の移動方向、移動速度、大きさに基づいて単位波の崩れ方や崩れる際のフェイスP3の面積などにより、サーフィンのようなマリンレジャーに適した波であるかのコンディションを評価することができる。
【0037】
砕波の計測の対象としては、砕波の高さの他、一定時間での高さの平均値、砕波の面積、存在時間、移動速度、一定時間での砕波の面積の平均値、砕波のインターバル、あるいは周波数、また、砕波の周期のばらつき、高さ、面積のばらつきなどとすることができる。砕波が発生から消えるまでの時間、砕波の速度、その方向、位置(スープと波面との境界の位置)のデータとすることができる。さらに砕波の存在時間、移動速度、距離、方向のデータを取得できる。これらのデータに基づいて波の状態を適宜特定することができる。
【0038】
また発生した単位波(波)の単位時間当たりの数は、発生から消滅するまでの周期を計測し、その計測結果に基づいて波の状態を計測することもできる。例えば、沖合のうねり(波)の数を画像で計測をしようとすると、天候や日照の向きによってとらえられる波が違ってくるので、日や時間によって、計測値がばらついてしまうが、砕波を利用すればより正確に計測することができる。
【0039】
(人為的に崩された砕波)
人為的に作られた砕波は、自然に発生した砕波と異なるので、砕波として自然に発生した砕波とは別のものとしてそのデータを管理することができる。人為的な砕波であるかは、図8に示すように、人が砕波の枠内に写っている、あるいはサーフィンボードが砕波部分にあるなどの画像認識により判定することができる。また、人、サーフィンボードの画像認識を学習することで、人為的な砕波であることを認識することができる。人為的に生じた砕波を、自然に生じた砕波とは別のものとして、そのデータを管理し、データベースとすることができる。この別途に管理された砕波のデータはマリンスポーツなどで用いることができる。
【0040】
(砕波データの利用)
これらの砕波のデータは、データベースとして管理することで、マリンレジャーやサーフィンなどのマリンスポーツの愛好家に提供することができる。また、船舶航行においても、波浪情報として利用することが可能である。
【0041】
なお、上述の実施形態の説明は、砕波計測装置として説明したが、一連の処理は、方法や汎用の情報処理装置のソフトウェアにより実行することもできる。なお、ソフトウェアにより実行する場合には、ソフトウェアを構成するプログラムを汎用の情報処理装置、例えばパーソナルコンピュータにインストールすることで、各種の機能を実行することができる。
【0042】
なお、上述の実施形態の説明は、砕波計測装置として説明したが、一連の処理は、方法や汎用の情報処理装置のソフトウェアにより実行することもできる。なお、ソフトウェアにより実行する場合には、ソフトウェアを構成するプログラムを汎用の情報処理装置、例えばパーソナルコンピュータにインストールすることで、各種の機能を実行することができる。
【0043】
(発明のまとめ)
上述した砕波計測装置2は、
砕波の発生しうる水面領域を含む風景を撮像した映像から砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を、砕波として抽出する砕波抽出部33と、
発生して消滅するまでの砕波から、計測対象としての計測対象砕波を選択し、計測対象砕波に基づいて波の状態を計測する砕波解析処理部34と
を備えている。
【0044】
この構成によれば、時系列で砕波を観測し、砕波の発生から消滅までの砕波から計測対象の砕波を選択して計測するので、正確な波の状態を計測することができる。
【0045】
沖から陸へ向かって風が吹き、風が強くなると、波面が荒れ、また、波頭も崩れて、砕波の数、波数が多くなる。このように、砕波が多くなると、スープが増えて、明暗がなくなり、波のフェイスを含む斜面部分が減るので、砕波の認識や波高の計測が難しくなる。また、沖からのうねり(波)もばらつくので、波数や波長の特定も難しくなる。
【0046】
このようなときは、同一線上の砕波の高さの高いものや、同一線が維持された砕波を優先的に抽出して、そのデータを計測し、一瞬で消えてしまうような一時的な砕波や適性比率以下、例えば上位何%以下となる小さい砕波を計測対象から除去することができる。
【0047】
また、映像データとして、時系列で画像を取得しており、スープが発生してから、海岸線で砕波が消えるまでの間、砕波解析処理部34で、砕波の変化を追跡するので、砕波のデータ取得のために、もっとも適切な砕波を判定することで、一定時間に到来する波の本数をより正確に計測することができる。
【0048】
また、砕波抽出部33は、スープと波面との境界を含む所定の矩形領域を砕波として抽出する。
【0049】
この構成によれば、砕波として、スープと波面とのコントラストから砕波を抽出することができ、また、枠を設定することで、砕波を抽出し、砕波の時系列の変化を追跡することができる。
【0050】
砕波解析処理部34は、所定の範囲で直線状に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、単位波ごとに、単位波に含まれる砕波の中から、計測対象砕波を選択する。
【0051】
この構成によれば、砕波解析処理部34は、直線状に並ぶ砕波の中から、単位波の状態を最も適切に表す砕波に基づいて、単位波の状態を計測することができる。換言すれば波の状態を適切に表さない砕波を排除して、波の状態を計測することができる。
【0052】
砕波抽出部33は、スープと波面との境界を含む所定の矩形領域を砕波として抽出し、砕波解析処理部34は、矩形領域の下辺が、所定の範囲で直線状に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、単位波ごとに、単位波を構成する砕波の中から、計測対象砕波を選択する。
【0053】
1つの波の砕波において、各砕波のリップの上下方向の位置がそれぞれ異なるが、各砕波のボトムの上下方向の位置は一定の範囲内にある。したがって、この構成のように、矩形領域の下辺、すなわち砕波のボトムの位置に着目すれば、一つの波を特定できる。
【0054】
砕波解析処理部34は、所定の範囲で、海岸線と平行に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、単位波ごとに、単位波を構成する砕波の中から、計測対象砕波を選択する。
【0055】
沖から到来する波は、海岸線に向かって移動する。すなわち波は、通常、海岸線に平行に広がっている。このことから、海岸線に平行に並ぶ砕波に着目すれば、1つの波を特定することができる。
【0056】
砕波解析処理部34は、所定の範囲で、予め計測された波が広がる方向と平行に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定し、単位波ごとに、単位波を構成する砕波の中から、計測対象砕波を選択する。
【0057】
沖から到来する波は、海底地形によっては、海岸線に対して垂直に移動せずに、海岸線に対して平行に広がらない場合がある。そこで、波がくる方向、広がる方向を予め特定し、その方向と平行に並ぶ砕波の群を1つの波とすることができる。
【0058】
(砕波計測処理)
次に砕波計測装置2による砕波計測処理について、フローチャートを参照して説明する。
【0059】
砕波計測処理は、例えば、砕波計測装置2の図示せぬスタートボタンが操作されることにより、開始する。
【0060】
ステップS1において、映像データ取得部31は、カメラ1で撮影した映像(海岸線を含む沖合の風景の映像)のデータを取得する。
【0061】
ステップS2において、画像処理部32は、映像データ取得部31が取得した映像データを数値化し、後の計測対象砕波の特定処理を行うための画像処理を施す。
【0062】
ステップS3において、砕波抽出部33は、画像処理部32が処理をした映像から、砕けて白い泡状になる領域であるスープと波面の境界を含む所定の矩形領域を、砕波として抽出する。
【0063】
ステップS4において、砕波解析処理部34は、砕波抽出部33により抽出され砕波から、所定の範囲で直線状に並ぶ砕波の群を1つの波としての単位波に特定する。
【0064】
ステップS5において、砕波解析処理部34は、単位波ごとに、単位波に含まれる砕波の中から、計測対象砕波を選択する。
【0065】
ステップS6において、砕波解析処理部34は、選択した計測対象砕波に基づいて単位波の状態を計測する。
【0066】
その後、処理は終了する。
【0067】
なお、上述の実施形態の説明は、砕波計測装置として説明したが、一連の処理は、方法や汎用の情報処理装置のソフトウェアにより実行することもできる。なお、ソフトウェアにより実行する場合には、ソフトウェアを構成するプログラムを汎用の情報処理装置、例えばパーソナルコンピュータにインストールすることで、各種の機能を実行することができる。
【0068】
[第1の応用例]
次に、上述した砕波計測装置2による砕波の計測結果を用いて波の状態を表すテキストを作成するテキスト作成システムを説明する。
【0069】
上述の砕波計測装置2は、砕波の高さの他、一定時間での高さの平均値、砕波の面積、存在時間、移動速度、一定時間での砕波の面積の平均値、砕波のインターバル、あるいは周波数、また、砕波の周期のばらつき、高さ、面積のばらつきなどを計測することができる。しかし、ユーザは、そのデータを直接みても波の状態をすぐに把握することができない場合がある。したがって、さらに、砕波計測装置2の計測結果を説明する砕波の状態を表すテキストを作成することが望ましい。
【0070】
従来、ライブカメラや現地での目視により、人が観測し、言語化し、PCなどで入力作業を行うことでユーザにコンテンツを提供していた。しかしながら、人が波を常時観察し、テキストを作成する必要あるため、人の負担となるという問題があった。本応用例におけるテキスト作成システムは、係る問題に鑑みてなされたものである。ここで砕波の状態を表すテキストとは、砕波の状態を総合的に評価または/および解説するテキストである。
【0071】
(テキスト作成システムの構成)
図10は、第1の応用例におけるテキスト作成システムの構成を示す図である。図1に示した波計測システムと同一の機能を有する構成については、同一の符号を用い、適宜説明を省略する。
【0072】
テキスト作成システムは、カメラ1、砕波計測装置2、ディスプレイなどの表示装置3、入力装置4、気象情報コンテンツ装置111、テキスト作成装置112を含んで構成される。
【0073】
気象情報コンテンツ装置111は、例えば、サーバであり、気象情報をテキスト作成装置112に供給する。気象情報コンテンツ装置111は、例えば、気象庁観測のアメダスデータや民間気象会社観測のデータを記憶し、位置情報や日時情報等とともに送信する。気象情報は、例えば、風向、風速、波浪情報などである。気象情報は、所定日時に実測された気象情報でもよいし、所定日時の気象を予報した予報情報でもよい。
【0074】
テキスト作成装置112は、例えば、サーバであり、テキスト作成の対象となる砕波の計測結果、気象情報コンテンツ装置111から取得した気象情報、および過去情報に基づいて、テキスト作成の対象である砕波の計測結果を説明するためのテキストを作成する。詳細は後述する。
【0075】
(テキスト作成装置112の構成)
図11は、テキスト作成装置112の機能構成例を示すブロック図である。テキスト作成装置112は、通信部121、記憶部122、制御部123を含んで構成される。
【0076】
通信部121は、砕波計測装置2、気象情報コンテンツ装置111等と通信する。通信部121は、各種情報を、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信で実現してよい。さらに、広域無線通信により、インターネット21等を経由して情報をやりとりしてもよい。
【0077】
記憶部122は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発メモリを有する。記憶部122は、テキスト作成装置112の制御用アプリケーションプログラムと、その実行のために必要な各種データや、処理により生成された情報を記憶する。
【0078】
制御部123は、CPU(Central Processing Unit)、記憶部位(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発メモリ等)、ハードウェアを含む、その他の要素から構成される。制御部123は、記憶部122に記憶された図示せぬ制御用アプリケーションプログラムを実行することで、テキスト作成装置112全体を制御するとともに、過去情報作成部131、計測結果取得部132、気象情報取得部133、テキスト作成部134として機能する。
【0079】
過去情報作成部131は、過去の砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された砕波の状態を表すテキストを互いに紐づけた過去情報を記憶部122に記憶する。
【0080】
過去の砕波の計測結果は、例えば、過去の、砕波の数、砕波の高さ(例えば、最大値、平均値)、砕波の崩れ方などの情報などであり、砕波計測装置2によって計測された結果でもよいし、砕波計測装置2を介さず計測された結果でもよい。例えば、過去の計測結果は、目視による計測の結果や、他の手法による計測結果でもよい。
【0081】
計測時の気象情報は、例えば、風向、風速、波浪情報などであり、気象情報コンテンツ装置111から取得した情報である。計測時の気象情報は、計測時の実際の気象情報でもよく、計測時の気象を予測した気象予報情報でもよい。
【0082】
計測された砕波の状態を表すテキストは、過去の波の状態を表すテキストである。計測された砕波の状態を表すテキストは、人が目視で砕波を観測し、文章化したテキストでもよいし、テキスト作成装置112が作成したテキストでもよく、両方でもよい。
【0083】
砕波の状態を表すテキストには、砕波の状態(コンディション)を表現するために、独自の表現やその時々の状況に応じた指標が用いられる。
【0084】
砕波の状態の表現は、例えば、「うねり」、「崩れ方」、「波面」、「波数」、「セット数」、「波間隔」、「セット間隔」、「波高」、「セットピーク」等の項目に分けられる。セットとは、所定時間内にみられる波の中で、波高が最も高い波である。例えば、「うねり」の項目では、「まとまりがない」、「つながり気味」、「ヨレている」、「ボヨついている」などの表現が用いられる。例えば、「崩れ方」の項目では、「ダンパー(Dumper)」、「ピーキー(Peaky)」、「ホロー(Hollow)」、「メロー(Mellow)」、「クローズアウト(Close out)」、「Aフレーム(A frame)」などの表現が用いられる。例えば、「波面」の項目では、「面ガタ/チョッピー(Choppy)」、「面ザワ(Windy)」、「バンピー(Bumpy)」「面ツル(Glassy)」などの表現が用いられる。例えば、「波数」、「セット数」の項目では、所定時間あたりの波数またはセット数に基づいて「多め」、「少なめ」などの表現が用いられる。例えば、「波間隔」、「セット間隔」の項目では、波またはセットが到来してから次の波またはセットが到来するまでの時間に基づいて「長め」、「短め」などの表現が用いられる。例えば、「波高」、「セットピーク」の項目では、「○○m」、「肩サイズ」などの表現が用いられる。また、例えば、砕波の状態を説明する表現は、砕波の状態の総合的な評価を表す100点満点の点数が用いられてもよいし、砕波の状態の総合的な評価を表す「ソーソー(so-so)」、「サーフズアップ(Surf’s up)」、「ハンピー(Humpy)」、「クラシカルデイ(Classical day)」などが用いられてもよい。
【0085】
砕波の状態を表すテキストは、例えば、上述の表現を組み合わせたテキストである。例えば、砕波の状態を表すテキストは、「波数は少なく、セットピークは肩サイズ。波面は面ガタで、ややヨレており、ボヨついており、崩れ方はダンパーである。波を選んでも1アクションがやっとで、ソーソーなコンディションである。」、「セット間はかなり長く、セットピークは腰~胸サイズ。面ザワで、波を選べばなんとか楽しめる、ハンピーなコンディションである。」、「波数はそこそこ多く、セットピークはオーバーヘッドサイズ。面ツルで、形の良い三角波(Aフレーム)を選べば十分ライドOKなクラシカルデイなコンディションである。」等である。
【0086】
過去の砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された砕波の状態を表すテキストの間の紐づけは、ユーザにより手動で行われてもよいし、例えば時系列に基づいて自動で行われてもよい。
【0087】
なお、過去情報は、テキスト作成装置112以外に記憶されてもよく、例えば、サーバ22、PC23に記憶されてもよい。
【0088】
計測結果取得部132は、砕波計測装置2から、例えば通信部121を介して、テキスト作成の対象となる砕波の計測結果を取得する。砕波の計測結果は、例えば、砕波の数、砕波の高さ(例えば、最大値、平均値)、砕波の崩れ方などの情報などの砕波計測装置2により取得できる様々な情報である。
【0089】
気象情報取得部133は、気象情報コンテンツ装置111から、例えば通信部121を介して、計測結果取得部132が取得した計測結果の計測時の気象情報を取得する。
【0090】
テキスト作成部134は、過去情報作成部131が作成した過去情報における過去の砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された砕波の状態を表すテキストの相関と、計測結果取得部132が取得した砕波の計測結果と、気象情報取得部133が取得した気象情報に基づいて、砕波計測装置2が計測した砕波の状態を表すテキストを作成する。
【0091】
例えば、テキスト作成部134は、AIにおける学習として、過去の計測結果、計測時の気象情報、および計測時の波の状態を表すテキスト、並びにそれらの間の相関を機械学習し、その機械学習の結果に基づいて、パターンや傾向を算出する。そして、テキスト作成部134は、算出したパターンや傾向を用いることにより、テキスト作成の対象となる計測結果および計測時の気象情報に基づいて砕波計測処理部が計測した砕波の状態を表すテキストを作成する。テキスト作成部134は、過去情報に含まれる過去のテキストから選択することによって、テキストを作成してもよいし、機械学習によって新たなテキストを作成してもよい。
【0092】
砕波の状態を表すテキストは、例えば、インターネットにアップロードされることで、サーファーなどのユーザに提供されてもよい。
【0093】
なお、テキスト作成装置112が上述の各構成を有していなくてもよく、例えば、代わりに砕波計測装置2が各構成を有していてもよい。また、他の独立した装置が各構成を有していてもよく、複数の独立した装置が各構成を有しており、装置間で通信してもよい。
【0094】
(テキスト作成処理)
次に、テキスト作成装置112によるテキスト作成処理について説明する。図12は、テキスト作成処理の流れを示すフローチャートである。事前に過去情報作成部131は、過去の砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された砕波の状態を表すテキストを互いに紐づけた過去情報を記憶部122に記憶する。処理は、例えば、図示せぬ開始ボタンがおされると開始する。
【0095】
ステップS11において、計測結果取得部132は、砕波計測装置2から、テキスト作成の対象となる砕波の計測結果を取得する。
【0096】
ステップS12において、気象情報取得部133は、計測結果取得部132が取得した計測結果の計測時の気象情報を取得する。
【0097】
ステップS13において、テキスト作成部134は、過去情報作成部131が作成した過去情報における過去の砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された砕波の状態を表すテキストの相関と、ステップS11で取得した砕波の計測結果と、ステップS12で取得した気象情報に基づいて、砕波計測装置2が計測した砕波の状態を表すテキストを作成する。
【0098】
ステップS14において、過去情報作成部131は、ステップS11で取得した砕波の計測結果、ステップS12で取得した計測時の気象情報、およびステップS13で作成した砕波の状態を表すテキストを互いに紐づけ、過去情報として記憶部122に記憶する。
【0099】
その後、処理は終了する。
【0100】
(発明のまとめ)
上述した第1の応用例に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0101】
砕波の状態を表すテキストを作成するテキスト作成システムであって、
砕波計測装置2と、
テキスト作成装置112と、
を備え、
テキスト作成装置112は、
過去の砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された砕波の状態を表すテキストを互いに紐づけた過去情報を作成する過去情報作成部131と、
砕波計測装置2から、テキスト作成の対象となる砕波の計測結果を取得する計測結果取得部132と、
計測結果取得部132が取得した計測結果の計測時の気象情報を取得する気象情報取得部133と、
過去情報作成部131が作成した過去情報における過去の砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された砕波の状態を表すテキストの相関と、計測結果取得部132が取得した砕波の計測結果と、気象情報取得部133が取得した気象情報に基づいて、砕波計測装置2が計測した砕波の状態を表すテキストを作成するテキスト作成部134と、
を備えることを特徴とするテキスト作成システム。
【0102】
従来は、人が目視で波を観測し、波の状態を表すテキストを作成していたが、上記の構成を有することにより、波の状態を表すテキストの作成を自動化することができる。また、自動化により、例えば、長期間にわたる観測およびテキストの作成が容易となり、設定により定めた所定時間毎に繰り返し観測しテキストを作成することができ、属人性に関わらない定量的なテキストを作成することができる。
【0103】
また、作成されたテキストを表示することで、リアルタイムで砕波の状態に関するコンテンツを提供することができ、コンテンツを閲覧したユーザは、テキストによって砕波の状態を容易に把握することができる。例えば、サーファーに波の状態を表すテキストを提供すれば、サーファーは砕波の状態を容易に把握することができ、サーフィンに活用することができる。
【0104】
また、過去情報における過去の砕波の計測結果、計測時の気象情報、および計測された砕波の状態を表すテキストの相関と、計測結果取得部132が取得した砕波の計測結果と、気象情報取得部133が取得した気象情報に基づいて、砕波計測装置2が計測した砕波の状態を表すテキストを作成するようにしたので、過去の、砕波の計測結果と計測時の気象情報と相関が高いテキストを参照することができる。すなわちより精度よく砕波の状態を表すテキストを作成することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 カメラ
2 砕波計測装置
3 表示装置
4 入力装置
11 CPU
12 メモリ
13 インタフェース
21 インターネット
22 サーバ
23 PC
31 映像データ取得部
32 画像処理部
33 砕波抽出部
34 砕波解析処理部
41 映像データ記憶部
42 データベース
B 枠
P1 リップ
P2 スープ
P3 フェイス
P4 ボトム
111 気象情報コンテンツ装置
112 テキスト作成装置
121 通信部
122 記憶部
123 制御部
131 過去情報作成部
132 計測結果取得部
133 気象情報取得部
134 テキスト作成部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12