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特開2025-15512鉄道車両運行安全診断システムおよび診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015512
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】鉄道車両運行安全診断システムおよび診断方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20250123BHJP
   G01M 17/08 20060101ALI20250123BHJP
   B61L 25/04 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B61L25/02
G01M17/08
B61L25/04
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115557
(22)【出願日】2024-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0094393
(32)【優先日】2023-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514247908
【氏名又は名称】コリア レイルロード リサーチ インスティテュート
【住所又は居所原語表記】176, Cheoldobangmulgwan-ro, Uiwang-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】ホ ヒョンム
(72)【発明者】
【氏名】ムン ギョンホ
(72)【発明者】
【氏名】ホン ソングァン
(72)【発明者】
【氏名】ハム ヨンサム
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161DD50
5H161FF05
5H161FF07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鉄道車両および線路の異常状態をリアルタイムで感知して、鉄道車両または線路の異常状態の発生を区分して感知し、異常状態の発生診断時、該当車両が含まれた列車や該当線路を運行する列車の減速走行や非常停止のような緊急措置を遂行し、異常状態が診断された部位の点検およびメンテナンスを遂行できる鉄道車両運行安全診断システムおよび診断方法を提供すること。
【解決手段】列車の車両ごとに設置された一つ以上の振動センサを通じて運行中の車両で発生する振動を測定および分析し、車両の走行位置および走行速度を含む運行情報を付加した後に中央管制システムに伝送して、事前学習された人工知能を通じて統合運行データを分析することによって車両または線路の異常発生部位を予測し、ビッグデータ分析を通じて人工知能の再学習がなされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車(10)の車両(11)ごとに設置された一つ以上の振動センサ(101)を通じて、運行中の車両(11)で発生する振動を測定して振動信号を獲得し、振動信号を分析して振動データを形成する振動診断モジュール(110);
車両(11)ごとに装着され、該当車両(11)の振動診断モジュール(110)で形成された振動データを受信した後、車両(11)の走行位置および走行速度を含む運行情報を付加して運行データを生成する車両コンピュータ(100);
列車(10)をなす車両(11)の車両コンピュータ(100)から受信した運行データを取りまとめて統合運行データを生成した後、中央管制システム1に伝送する列車総合情報装置(TCMS、Train Control and Monitoring System、12);
中央管制システム1に伝送された統合運行データを保存してビッグデータを構築するサーバー(2);
事前学習された人工知能を通じて統合運行データを分析することによって、車両(11)または線路の異常発生部位を予測して中央管制システム1に伝送し、予測結果および異常発生点検による実測結果間の比較を通じて獲得したデータから人工知能の再学習がなされるビッグデータ分析モジュール(200);
で構成されるものの、
運行データおよび統合運行データは、列車(10)が運行される線路の全体区間を一定箇所の区間に分割して、車両(11)で測定された振動データを線路の区間単位別に生成することによって、ビッグデータ分析モジュール(200)が特定車両(11)または線路の異常発生部位を予測することを特徴とする、鉄道車両運行安全診断システム。
【請求項2】
振動診断モジュール(110)を通じての振動データの形成は、
車両(11)の動的状態を代表できる代表値であるRMS(Root Mean Square)、振動レベル、乗り心地係数、乗車感レベルのうちいずれか一つを含む分析方法を通じてなされることを特徴とする、請求項1に記載の鉄道車両運行安全診断システム。
【請求項3】
振動診断モジュール(110)の振動センサ111は輪軸または台車を含む車両(11)主要部上に装着されることを特徴とする、請求項1に記載の鉄道車両運行安全診断システム。
【請求項4】
振動診断モジュール(110)は測定された振動データが該当線路区間に予め設定された振動値の許容基準範囲内に該当するかどうかを判定して、判定結果を振動データとともに車両コンピュータ(100)に伝送し、設定された振動値の許容基準範囲はビッグデータ分析モジュール(200)のビッグデータ分析を通じての人工知能再学習結果をフィードバックして持続的にアップデートされることを特徴とする、請求項1に記載の鉄道車両運行安全診断システム。
【請求項5】
振動値の許容基準範囲は、列車(10)や車両(11)の車種、列車(10)や車両(11)の形式、または車両(11)の編成数量を含む類型別に区分されて設定され、
列車総合情報装置(12)から中央管制システム1に伝送される統合運行データには、列車(10)や車両(11)の車種、列車(10)や車両(11)の形式、または車両(11)の編成数量を含む類型別データが含まれることを特徴とする、請求項4に記載の鉄道車両運行安全診断システム。
【請求項6】
ビッグデータ分析モジュール(200)は、
特定の線路区間で運行中の複数の列車(10)から異常振動データ測定時に該当線路区間を危険区間と診断したり、
すべての線路区間で運行中の特定車両(11)から異常振動データ測定時に該当車両(11)に異常が発生したものと診断することによって、
運行線路および運行車両(11)の異常診断マップ(map)を構築して線路または車両(11)の異常発生部位を予測することを特徴とする、請求項1に記載の鉄道車両運行安全診断システム。
【請求項7】
ビッグデータ分析モジュール(200)を通じての人工知能の再学習は、
サーバー(2)に保存された統合運行データのデータ選別過程、選別されたデータの前処理過程、前処理されたデータの変換過程、データマイニング過程、パターン分析過程の順でなされることを特徴とする、請求項1に記載の鉄道車両運行安全診断システム。
【請求項8】
パターン分析過程は、
線形回帰(linear regression)、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network)、k-最近傍法(K-nearest neighbor)、または教師なし学習(unsupervised learning)の中から選択されるいずれか一つの方式からなることを特徴とする、請求項7に記載の鉄道車両運行安全診断システム。
【請求項9】
列車(10)の車両(11)ごとに設置された一つ以上の振動センサ111から測定信号を受信した振動診断モジュール(110)を通じて、運行中の車両(11)で発生する振動を測定して振動信号を獲得し、振動信号を分析して振動データを形成する振動データ形成段階(S10);
車両(11)ごとに装着される車両コンピュータ(100)を通じて該当車両(11)の振動診断モジュール(110)で形成された振動データを受信した後、車両(11)の走行位置および走行速度を含む運行情報を付加して運行データを生成する運行データ生成段階(S20);
列車総合情報装置(TCMS、12)を通じて列車(10)をなす車両(11)の車両コンピュータ(100)から受信した運行データを取りまとめて統合運行データを生成した後、中央管制システム1に伝送する統合運行データを生成する段階(S30);
中央管制システム1に伝送された統合運行データをサーバー(2)上に保存し、ビッグデータ分析モジュール(200)に含まれた事前学習された人工知能を通じて伝送された統合運行データを分析するものの、統合運行データ分析時に列車(10)が運行される線路の全体区間を一定箇所の区間に分割して車両(11)で測定された振動データを線路の区間単位別に区分生成することによって、特定の線路区間で運行中の複数の列車(10)から異常振動データ測定時に該当線路区間を危険区間と診断したり、すべての線路区間で運行中の特定車両(11)から異常振動データ測定時に該当車両(11)に異常が発生したものと診断して、線路または車両(11)異常発生予測結果を中央管制システム1に提供する異常発生予測段階(S40);
線路または車両(11)異常発生予測時、中央管制システム1が異常発生状況に応じた対応措置を遂行する異常発生対応段階(S50);
予測結果および異常発生点検による実測結果間の比較を通じて人工知能の再学習がなされる再学習段階(S60);で構成されることを特徴とする、鉄道車両運行安全診断方法。
【請求項10】
振動データ形成段階(S10)では振動診断モジュール(200)が測定された振動データが該当線路区間に予め設定された振動値の許容基準範囲内に該当するかどうかを判定して、判定結果を振動データとともに車両コンピュータ(100)で伝送し、
再学習段階(S60)ではビッグデータ分析モジュール(200)のビッグデータ分析を通じての人工知能再学習結果を振動診断モジュール(110)でフィードバックして、設定された振動値の許容基準範囲を持続的にアップデートすることを特徴とする、請求項9に記載の鉄道車両運行安全診断方法。
【請求項11】
再学習段階(S60)でビッグデータ分析モジュール(200)を通じての人工知能の再学習は、サーバー(2)に保存された統合運行データのデータ選別過程(S61)、選別されたデータの前処理過程(S62)、前処理されたデータの変換過程(S63)、データマイニング過程(S64)、パターン分析過程(S65)の順でなされ、
パターン分析過程(S65)は線形回帰(linear regression)、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network)、k-最近傍法(K-nearest neighbor)、または教師なし学習(unsupervised learning)の中から選択されるいずれか一つの方式を通じてなされることを特徴とする、請求項9に記載の鉄道車両運行安全診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両の脱線の発生など、走行の安全に影響を及ぼす異常をリアルタイムで診断するための診断システムに関し、より詳細には、列車の車両ごとに設置された一つ以上の振動センサを通じて運行中の車両で発生する振動を測定および分析し、車両の走行位置および走行速度を含む運行情報を付加した後中央管制システムに伝送して、事前学習された人工知能を通じて統合運行データを分析することによって車両または線路の異常発生部位を予測し、ビッグデータ分析を通じて人工知能の再学習がなされる鉄道車両運行安全診断システムおよび診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道は鉄道車両を通じて乗客や物資を大量で速やかに運送するための軌道施設であって、地面上に平行に配置された一対の線路が鉄道車両の両側面に沿って対向配置された車輪の進行方向を案内して、鉄道車両の直線または曲線走行が可能であるようにする。
【0003】
鉄道車両の動力源と連結される車輪が線路と接触しながら形成された摩擦力によって、線路上で車輪の転がり運動がなされながら鉄道車両が線路に沿って走行することになり、鉄道車両の走行中に車輪が線路から離脱することを防止するために、線路と接触する両側の車輪の内側の踏面(wheel tread)が車輪の半径の外側方向に突出してフランジ(flange)が形成される。
【0004】
鉄道車両の運行時、線路の上部表面に沿って車輪が移動しながら鉄道車両の走行がなされ、走行方向に対する側方向への移動方向の制御がフランジによってなされるため、鉄道車両には脱線による安全事故発生の危険が常時存在することになり、鉄道車両の異常発生による脱線事故の発生を防止するために、鉄道車両の状態をリアルタイムでモニタリングする診断システムを通じて鉄道車両の走行安定性を確保することになる。
【0005】
鉄道車両の走行中の異常状態を診断するための車両診断システムは、通常状態基盤メンテナンス(Condition Based Maintenance、CBM)体系に従うことになり、状態基盤メンテナンスは鉄道車両の走行の安全に影響を及ぼす主要部位にセンサや診断装置を設置して、鉄道車両の走行中に発生する異常状態をセンサや診断装置を通じて測定した感知信号を機関士や車両管制システムに伝送して、車両の異常状態感知時に減速運行または非常停止などの緊急措置を遂行することになる。
【0006】
このような鉄道車両診断システムの例示として、大韓民国登録特許公報第10-2235625号(2021.03.29.登録)では、鉄道車両の車輪が診断区間を通過すると、加振部を通じて線路を加振して線路で一定の周期を有する正弦波を生成し、加振によって鉄道車両で発生する振動を測定部を通じて測定して、測定された振動に基づいて鉄道車両の異常状態を診断する鉄道車両の異常状態診断システムを提案している。
【0007】
多数の車両が連結されて構成される列車の特性上、脱線時に多量の人身事故につながり得るため、鉄道車両の運行中に異常状態を持続的にモニタリングする必要があるが、前記のような鉄道車両診断システムは診断区間以外の区間では鉄道車両の異常状態を診断できない問題を有する。
【0008】
また、鉄道車両が正常状態を維持する場合であっても線路上に問題が発生する場合にも脱線事故が発生する可能性があるが、振動センサを通じて測定した振動パターンの分析を通じて車両の異常状態を点検する既存の鉄道車両診断システムでは線路上の異常発生を感知できない問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
(特許文献1)大韓民国登録特許公報第10-2235625号(2021.03.29.登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明では鉄道車両および線路の異常状態をリアルタイムで感知して、鉄道車両または線路の異常状態の発生を区分して感知し、異常状態の発生診断時、該当車両が含まれた列車や該当線路を運行する列車の減速走行や非常停止のような緊急措置を遂行し、異常状態が診断された部位の点検およびメンテナンスを遂行できる鉄道車両運行安全診断システムおよび診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る鉄道車両運行安全診断システムは、列車の車両ごとに設置された一つ以上の振動センサを通じて、運行中の車両で発生する振動を測定して振動信号を獲得し、振動信号を分析して振動データを形成する振動診断モジュール;車両ごとに装着され、該当車両の振動診断モジュールで形成された振動データを受信した後、車両の走行位置および走行速度を含む運行情報を付加して運行データを生成する車両コンピュータ;列車をなす車両の車両コンピュータから受信した運行データを取りまとめて統合運行データを生成した後、中央管制システムに伝送する列車総合情報装置;中央管制システムに伝送された統合運行データを保存してビッグデータを構築するサーバー;事前学習された人工知能を通じて統合運行データを分析することによって、車両または線路の異常発生部位を予測して中央管制システムに伝送し、予測結果および異常発生点検による実測結果間の比較を通じて獲得したデータから人工知能の再学習がなされるビッグデータ分析モジュール;で構成されるものの、運行データおよび統合運行データは、列車が運行される線路の全体区間を一定箇所の区間に分割して、車両で測定された振動データを線路の区間単位別に生成することによって、ビッグデータ分析モジュールが特定車両または線路の異常発生部位を予測する。
【0012】
本発明の実施例によると、振動診断モジュールを通じての振動データの形成は、車両の動的状態を代表できる代表値であるRMS、振動レベル、乗り心地係数、乗車感レベルのうちいずれか一つを含む分析方法を通じてなされる。
【0013】
本発明の実施例によると、振動診断モジュールの振動センサは輪軸または台車を含む車両主要部上に装着される。
【0014】
本発明の実施例によると、振動診断モジュールは測定された振動データが該当線路区間に予め設定された振動値の許容基準範囲内に該当するかどうかを判定して、判定結果を振動データとともに車両コンピュータに伝送し、設定された振動値の許容基準範囲はビッグデータ分析モジュールのビッグデータ分析を通じての人工知能再学習結果をフィードバックして持続的にアップデートされる。
【0015】
本発明の実施例によると、振動値の許容基準範囲は、列車や車両の車種、列車や車両の形式、または車両の編成数量を含む類型別に区分されて設定され、列車総合情報装置から中央管制システムに伝送される統合運行データには、列車や車両の車種、列車や車両の形式、または車両の編成数量を含む類型別データが含まれる。
【0016】
本発明の実施例によると、ビッグデータ分析モジュールは、特定の線路区間で運行中の複数の列車から異常振動データ測定時に該当線路区間を危険区間と診断したり、すべての線路区間で運行中の特定車両から異常振動データ測定時に該当車両に異常が発生したものと診断することによって、運行線路および運行車両の異常診断マップを構築して線路または車両の異常発生部位を予測する。
【0017】
本発明の実施例によると、ビッグデータ分析モジュールを通じての人工知能の再学習は、サーバーに保存された統合運行データのデータ選別過程、選別されたデータの前処理過程、前処理されたデータの変換過程、データマイニング過程、パターン分析過程の順でなされる。
【0018】
本発明の実施例によると、パターン分析過程は、線形回帰、人工ニューラルネットワーク、k-最近傍法、または教師なし学習の中から選択されるいずれか一つの方式からなる。
【0019】
本発明に係る鉄道車両運行安全診断方法は、列車の車両ごとに設置された一つ以上の振動センサから測定信号を受信した振動診断モジュールを通じて、運行中の車両で発生する振動を測定して振動信号を獲得し、振動信号を分析して振動データを形成する振動データ形成段階;車両ごとに装着される車両コンピュータを通じて該当車両の振動診断モジュールで形成された振動データを受信した後、車両の走行位置および走行速度を含む運行情報を付加して運行データを生成する運行データ生成段階;列車総合情報装置を通じて列車をなす車両の車両コンピュータから受信した運行データを取りまとめて統合運行データを生成した後、中央管制システムに伝送する統合運行データを生成する段階;中央管制システムに伝送された統合運行データをサーバー上に保存し、ビッグデータ分析モジュールに含まれた事前学習された人工知能を通じて伝送された統合運行データを分析するものの、統合運行データ分析時に列車が運行される線路の全体区間を一定箇所の区間に分割して車両で測定された振動データを線路の区間単位別に区分生成することによって、特定の線路区間で運行中の複数の列車から異常振動データ測定時に該当線路区間を危険区間と診断したり、すべての線路区間で運行中の特定車両から異常振動データ測定時に該当車両に異常が発生したものと診断して、線路または車両異常発生予測結果を中央管制システムに提供する異常発生予測段階;線路または車両異常発生予測時、中央管制システムが異常発生状況に応じた対応措置を遂行する異常発生対応段階;予測結果および異常発生点検による実測結果間の比較を通じて人工知能の再学習がなされる再学習段階;で構成される。
【0020】
本発明の実施例によると、振動データ形成段階では振動診断モジュールが測定された振動データが該当線路区間に予め設定された振動値の許容基準範囲内に該当するかどうかを判定して、判定結果を振動データとともに車両コンピュータに伝送し、再学習段階ではビッグデータ分析モジュールのビッグデータ分析を通じての人工知能再学習結果を振動診断モジュールにフィードバックして、設定された振動値の許容基準範囲を持続的にアップデートする。
【0021】
本発明の実施例によると、再学習段階でビッグデータ分析モジュールを通じての人工知能の再学習は、サーバーに保存された統合運行データのデータ選別過程、選別されたデータの前処理過程、前処理されたデータの変換過程、データマイニング過程、パターン分析過程の順でなされ、パターン分析過程は線形回帰、人工ニューラルネットワーク、k-最近傍法、または教師なし学習の中から選択されるいずれか一つの方式を通じてなされる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、列車が運行される線路の全体区間を地形条件や安全運行管理および維持保守のための必要条件により一定箇所の区間に分割して線路別に区間単位を生成し、振動センサを通じて獲得した振動信号から設定された線路の区間単位別に振動データを個別に生成することによって、振動データ分析を通じての異常発生診断時に車両または線路での異常状態を区分して感知可能であるようにし、異常状態が発生した線路の位置を特定可能にして、異常状態に対する対応措置を速かに遂行できるようにする効果がある。
【0023】
本発明によると、列車の各車両で獲得した振動信号から生成した運行データのビッグデータ分析を通じて、鉄道車両運行安全診断システムを通じての車両または線路の異常発生予測正確度を向上させることができる効果がある。
【0024】
本発明によると、運行データのビッグデータ分析を通じて獲得したデータを通じて車両や線路異常発生を予測する人工知能の再学習がなされ、人工知能再学習を通じて獲得した振動値の許容基準範囲をフィードバックして周期的にアップデートすることによって、鉄道車両運行安全診断正確度をより向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る鉄道車両運行安全診断システムの全体構造を示す図面である。
図2】本発明に係る鉄道車両運行安全診断システムで車両に装着された振動センサから測定された振動信号から統合運行データを生成する過程でなされるデータ取りまとめ過程を示す図面である。
図3】本発明に係る鉄道車両運行安全診断システムで線路または車両での異常発生を区分し、線路の異常状態感知時に異常状態が発生した線路を特定するために線路の分割を通じて形成した線路区間単位を示す図面である。
図4】本発明に係る振動センサから測定した振動データ測定値を振動値の許容基準範囲と比較して異常発生が予測される線路の区間位置を特定する例示を示す図面である。
図5】本発明に係る鉄道車両運行安全診断システムで複数の列車から測定された振動データを通じて異常状態が発生した線路を特定する例示を示す図面である。
図6】本発明に係る鉄道車両運行安全診断システムで運行中の列車の特定車両から測定された振動データを通じて異常状態が発生した車両を特定する例示を示す図面である。
図7】本発明に係る鉄道車両運行安全診断方法のシーケンスを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を添付された図面を参照して説明する。
【0027】
本発明に係る動作および作用を理解するのに必要な部分を中心に詳細に説明する。
【0028】
本発明の実施例の説明において、本発明が属する技術分野で広く知られており、本発明に直接関わらない技術内容については説明を省略する。
【0029】
これは不要な説明を省略することによって本発明の要旨を曖昧にさせずに、より明確に伝達するためである。
【0030】
また、本発明の構成要素を説明するにあたって、同じ名称の構成要素に対して図面により異なる参照符号を付与することもでき、互いに異なる図面であるにもかかわらず同じ参照符号を付与することもできる。
【0031】
しかし、このような場合であっても該当構成要素が実施例により互いに異なる機能を有することを意味したり、互いに異なる実施例で同じ機能を有することを意味するものではなく、それぞれの構成要素の機能は該当実施例でのそれぞれの構成要素に対する説明に基づいて判断しなければならないであろう。
【0032】
また、本明細書で使われる技術的用語は本明細書で特に異なる意味で定義されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味で解釈されるべきであり、過度に包括的な意味で解釈されたり、過度に縮小された意味で解釈されてはならない。
【0033】
また、本明細書で使われる単数の表現は文脈上異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0034】
本出願で、「構成される」または「含む」等の用語は明細書上に記載された種々の構成要素、または種々の段階を必ずしもすべて含むものと解釈されてはならず、そのうちの一部の構成要素または一部の段階は含まれなくてもよく、または追加的な構成要素または段階をさらに含むことができると解釈されるべきである。
【0035】
【0036】
本明細書で列車10と車両11は、車輪および車軸からなる輪軸、軸箱組立装置、懸架装置、牽引装置、制動装置および連結機からなる走行装置である台車(bogie)と、旅客が搭乗したり運転用機器が搭載される車体が結合されて車両11を構成し、列車10は多数台の車両11が連結機を通じて一列で連結されて編成された一つの鉄道車両を意味する。
【0037】
本発明に係る鉄道車両運行安全診断システムは、図1で図示するように列車10をなす各車両11で獲得した振動信号から運行データを生成して中央管制システム1に伝送した後、ビッグデータ分析モジュール200を通じて運行データを分析して車両11または線路の異常発生部位を予測し、サーバー2に保存された運行データを分析してビッグデータ化することによって、鉄道車両運行安全診断システムを通じての車両11または線路の異常発生予測正確度を向上できるように構成される。
【0038】
図2で図示するように、列車10の各車両11には一つ以上の振動センサ101が設置されて、車輪を通じて線路から車両11に伝達される振動、または車両11で発生した振動を測定して振動信号を獲得し、振動センサ101を通じて獲得した振動信号は各車両11ごとに装着された振動診断モジュール110に伝送されて、振動診断モジュール110を通じて測定された振動信号を分析して振動データを形成する。
【0039】
振動センサ111は各車両11の主要部である輪軸と台車および車体上に装着されることが好ましいが、多数の振動センサ111の設置による鉄道車両運行安全診断システムの構築費用の増加や、振動診断モジュール110での振動信号分析および振動データ伝送の過負荷発生、またはサーバー2に保存される運行データが形成するビッグデータの保存容量の過負荷発生を軽減するために、輪軸や台車上の限定された箇所にのみ装着してもよい。
【0040】
振動診断モジュール110を通じての振動データの形成は車両11の動的状態を代表できる代表値の分析を通じてなされるが、振動センサ111から獲得した代表値としてはRMS(Root Mean Square)、振動レベル、乗り心地係数、乗車感レベルなどが含まれ、これらの中から選択されるいずれか一つの分析方法を通じて振動データを形成することになる。
【0041】
RMSは振動センサ111を通じて持続的に出力された振動信号の平均出力の基準となる実効出力を表し、振動信号出力値の二乗に対する算術平均を出した後、算術平均値に対する平方根を取ることによって計算し、振動レベルは振動センサ111を通じて測定した振動信号の強度を絶対値としてのデシベル(dB)に変換して表す。
【0042】
乗り心地係数は振動センサ111を通じて測定した車両11の前後方向の直線振動と左右方向の直線振動および上下方向の直線振動による振動加速度信号を加重フィルタ(weighting filter)に通過させた後、一定間隔毎に実効値を求めて累積頻度分布を獲得し、累積頻度分布の95%に該当する振動加速度を求めて、下記の乗り心地係数公式に代入することによって導き出す。
【0043】
乗り心地係数
【0044】
この時、
は前後方向振動の累積頻度分布95%に該当する振動加速度を、
は左右方向振動の累積頻度分布95%に該当する振動加速度を、
は上下方向振動の累積頻度分布95%に該当する振動加速度を意味する。
【0045】
乗車感レベルはISO2631を基準として振動センサ111を通じて測定した車両11の車体振動加速度の実効値に人間の感知評価感度に該当する乗車感フィルタを適用してデシベル(dB)単位で表したものであって、下記の乗車感レベル公式に代入することによって導き出す。
【0046】
乗車感レベル
【0047】
この時、
は乗車感フィルタを適用した振動加速度の実効値を、
は乗車感フィルタを適用した振動の基準値を表す。
【0048】
また、振動診断モジュール110は前記のような方式で形成された振動データを振動診断モジュール110に予め設定された振動値の許容基準範囲と比較して、許容基準範囲内に含まれるかどうか、許容基準範囲を超過するかどうかを判定する。
【0049】
線路は平地やトンネルまたは橋梁など多様な地形環境に設置されるので、振動診断モジュール110を通じて獲得した振動データは線路の各区間ごとに異なって形成され得、振動診断モジュール110に予め設定された振動値の許容基準範囲を一律的に設定する場合、線路が設置された地形環境により正常状態の線路や車両11から獲得した振動データから異常状態が発生したと誤認したり、その反対に異常状態の線路や車両11から獲得した振動データを正常状態であると誤認する可能性がある。
【0050】
したがって、図3で図示するように、列車10が運行される線路の全体区間を地形条件や安全運行管理および維持保守のための必要条件により一定箇所の区間に分割して線路別に区間単位が生成され、これに伴い、振動センサ111を通じて測定した振動信号および振動診断モジュール110が獲得した振動データも線路の区間単位別に個別に生成される。
【0051】
そして、振動診断モジュール110に予め設定された振動値の許容基準範囲も該当線路区間単位ごとに個別的に設定される。
【0052】
また、機関車や客車または貨車のような車両11の車種、特定モデルからなる列車10や車両11の形式、または車両11の編成数量や車両11連結方式、ディーゼルまたは電気動力の適用による車両11の振動パターン変化など、車両11の類型が変化するにつれて振動センサ111を通じて測定される振動信号および振動診断モジュール110で獲得した振動データが変化することになるので、振動診断モジュール110に予め設定された振動値の許容基準範囲は列車10や車両11の車種、列車10や車両11の形式、または車両11の編成数量を含む多様な類型別に区分されて個別的に設定される。
【0053】
振動診断モジュール110で形成された振動データは各車両11ごとに装着された車両コンピュータ100に伝送され、各車両コンピュータ100は該当車両11の振動診断モジュール110で形成された振動データを受信した後、列車総合情報装置(TCMS、Train Control and Monitoring System、12)を通じて伝送されたGPSデータから獲得した車両11の走行位置および走行速度を含む運行情報を付加して運行データを生成する。
【0054】
運行データに付加された運行情報は、運行データが含む振動データが獲得された線路区間の位置を特定できるようにし、これを通じて線路の異常状態判定時に該当線路の点検や保守作業を遂行するための緊急措置を速かに遂行できるようにする。
【0055】
列車10をなす各車両11に設置された各車両コンピュータ100から生成された運行データは列車総合情報装置12に伝送され、列車総合情報装置12は受信した運行データを取りまとめて統合運行データを生成した後、中央管制システム1に伝送する。
【0056】
各列車10の列車総合情報装置12から伝送された統合運行データは、ネットワークを通じて中央管制システム1と連結されるサーバー2に伝送されて保存され、サーバー2に累積して保存された統合運行データから鉄道車両運行安全診断システムのビッグデータを構築する。
【0057】
ビッグデータ分析モジュール200はネットワークを通じて中央管制システム1およびサーバー2と連結され、各列車10の列車総合情報装置12から伝送された統合運行データをリアルタイムで受信して、事前学習された人工知能を通じて統合運行データの分析を遂行する。
【0058】
ビッグデータ分析モジュール200が統合運行データを分析した結果、図4で図示するように、振動データ測定値が振動値の許容基準範囲を超過して車両11または線路の異常発生が予測される場合、異常発生が予測される列車10の車両11や線路の区間位置を特定して予測結果を中央管制システム1に伝送する。
【0059】
予測結果を受信した中央管制システム1は、予測結果の症状の程度により異常発生が予測される車両11が連結された列車10に減速運行または非常停止などの緊急措置を遂行したり、異常発生が予測される線路区間に接近する列車10に減速運行または非常停止などの緊急措置を遂行する。
【0060】
減速運行措置時には、鉄道運行営業時間完了後、異常発生が予測された線路区間または車両11に点検および保守作業のための人員を投入し、非常停止措置時には直ちに該当線路区間または車両11に点検および保守作業のための人員を投入する。
【0061】
また、ビッグデータ分析モジュール200は車両11や線路異常発生予測結果と、中央管制システム1の緊急措置遂行結果異常発生点検による実測結果を互いに比較して、異常発生予測分析正確度のビッグデータを獲得し、獲得したデータから人工知能の再学習がなされることになる。
【0062】
ビッグデータ分析モジュール200のビッグデータ分析を通じての人工知能再学習結果獲得した振動値の許容基準範囲は、振動診断モジュール110およびビッグデータ分析モジュール200に設定された振動値の許容基準範囲でフィードバックされて、既存に設定された振動診断モジュール110およびビッグデータ分析モジュール200の振動値の許容基準範囲をアップデートする。
【0063】
鉄道車両運行安全診断システム管理者が設定した一定周期ごとに、周期的にサーバー2上に累積保存される統合運行データのビッグデータ分析を通じて人工知能再学習を遂行して、振動値の許容基準範囲を持続的にアップデートすることによって、ビッグデータ分析モジュール200の車両11や線路異常発生予測結果正確度を向上させる。
【0064】
ビッグデータ分析モジュール200を通じての人工知能の再学習はサーバー2に保存された統合運行データのデータを選別する過程と、選別されたデータを前処理する前処理過程と、前処理されたデータを変換する変換過程と、データマイニング過程およびパターン分析過程の順でなされる。
【0065】
パターン分析過程でパターン分析は、線形回帰(linear regression)、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network)、k-最近傍法(K-nearest neighbor)、または教師なし学習(unsupervised learning)の中から選択されるいずれか一つの方式からなる。
【0066】
線形回帰は振動センサ111を通じて測定して獲得した振動データや統合運行データのように、すでに知られているデータ値を最小二乗法などの技法を利用して線形相関関係(回帰式)をモデリングした後、モデリングされた線形相関関係から知られていないデータおよびパラメータを推定する分析技法である。
【0067】
人工ニューラルネットワークはソフトウェアを通じて人間のニューロン構造を模倣した機械学習モデルであり、事前学習データとの誤差を最小化するであろうと予想される方向に反復学習が進行されて加重値としきい値のアップデートがなされることによって、人工知能を具現する。
【0068】
k-最近傍法アルゴリズムはユークリッド距離計算法を使ってデータから距離が近い他のデータのラベルを参照して分類するアルゴリズムであって、判別したいデータと隣接したK個のデータを探して、該当データのラベルが多数である範疇にデータを分類し、アルゴリズムが単純であるため訓練の段階がはやく数値基盤データ分類作業で優秀な性能を示す。
【0069】
k-最近傍法アルゴリズムは距離基盤モデルからなるので、各変数の差の解析を容易にするために、最小-最大正規化、またはz-点数標準化のような正規化を適用して変数値を標準範囲に再調整する必要があり、データの分類のためにKの個数は奇数に設定することが好ましい。
【0070】
教師なし学習は明示的なプログラミングなしに多量のデータを提供してシステムが自律的に学習および改善できるようにするマシンラーニングアルゴリズムを使って、ラベルが指定されていないデータセットを分析して互いに同一または類似する特徴を有するデータをグループ化して群集に分類する分析技法である。
【0071】
この時、振動値の許容基準範囲は、KTXやSRTまたはこれらの細部モデル分類のような列車10や車両11の車種類型、動力集中型KTXや動力分散型KTX繋ぎのような列車10や車両11の形式類型、10両編成KTXまたは20両編成KTXのような車両11の編成数量類型など多様な類型別に区分されて設定され、振動診断モジュール110で振動データと振動値の許容基準範囲間の比較、またはビッグデータ分析モジュール200で統合運行データと振動値の許容基準範囲間の比較による車両11や線路異常発生予測時、類型別に区分されて設定された振動値の許容基準範囲を適用して車両11や線路異常発生予測結果の誤差の発生を最小化する。
【0072】
また、各種センサを利用して車両の主要装置の状態をリアルタイムで確認して、故障履歴や整備運営データを収集および分析する状態基盤メンテナンス(Condition Based Maintenance、CBM)方式が適用される既存の車両診断システムとは異なり、本発明の鉄道車両運行安全診断システムは車両11の異常発生診断だけでなく線路の異常発生予測が可能であり、同じ振動センサ111を通じて測定した振動データから車両11の異常発生や線路の異常発生を区分して予測する過程は次のようになされることになる。
【0073】
図5で図示するように、特定の線路区間で運行中の複数の列車10から測定された振動データが、該当線路区間および該当列車10の車両11類型による振動値の許容基準範囲を超過して異常振動データが発生したものと測定される場合、該当線路区間を危険区間と診断し、線路危険区間判断時にエラーの発生を防止するために、少なくとも3台以上の列車10で測定された振動データを基準として線路異常発生の有無を判定する。
【0074】
そして図6で図示するように、すべての線路区間に沿って運行中の列車10の特定車両11から測定された振動データが、複数の線路区間で周期的または間欠的に該当線路区間および該当列車10の車両11類型による振動値の許容基準範囲を超過して異常振動データが発生したものと測定される場合であって、他の列車10の車両11では同一または類似するパターンの異常振動データが発生しなければ異常振動データが測定された該当車両11に異常が発生したものと診断する。
【0075】
ビッグデータ分析モジュール200は車両11または線路異常発生を区分して予測するために、前記判定方式を通じて運行線路および運行車両11の異常診断マップ(map)を構築することになり、異常診断マップ(map)を基盤として線路または車両11の異常発生を区分して診断し、異常状態が発生した線路区間や車両11を正確に特定することになる。
【0076】
【0077】
このように構成される鉄道車両運行安全診断システムを利用した鉄道車両運行安全診断方法は、図7で図示するような段階で進行される。
【0078】
振動データ形成段階(S10)では、振動診断モジュール110が列車10の車両11ごとに設置された振動センサ111から測定信号を受信して、運行中の車両11で発生した振動信号を獲得し、振動診断モジュール110を通じて振動信号を分析して振動データを形成する。
【0079】
運行データ生成段階(S20)では、振動データ形成段階(S10)で形成された振動データを振動データを獲得した車両11と同一車両11に装着された車両コンピュータ100で受信し、振動データ獲得時に車両11が走行中である線路区間の位置である走行位置と、該当車両11が線路区間を通過速度である走行速度を含む運行情報を振動データ上に付加して運行データを生成する。
【0080】
統合運行データを生成する段階(S30)では、運行データ生成段階(S20)で列車10をなす各車両11の車両コンピュータ100から受信した運行データを列車総合情報装置12を通じて取りまとめて統合運行データを生成し、列車総合情報装置12は生成された統合運行データを中央管制システム1に伝送する。
【0081】
異常発生予測段階(S40)では、列車総合情報装置12から中央管制システム1に伝送された統合運行データをサーバー2上に保存し、ビッグデータ分析モジュール200に含まれた事前学習された人工知能を通じて伝送された統合運行データをリアルタイムで分析して線路または車両11異常発生を診断した後、線路または車両11異常発生予測結果を中央管制システム1に提供する。
【0082】
異常発生対応段階(S50)では異常発生予測段階(S40)で予測した異常発生結果に基づいて線路または車両11に異常が発生したものと予測される場合、中央管制システム1が異常発生状況の類型や異常発生症状の程度により該当線路を走行する列車10または該当車両11が含まれる列車10の減速走行や緊急停止、そして点検および保守作業のための人員投入などを含む対応措置を遂行し、異常発生に対応して線路または車両11の点検が完了すれば点検により生成された実測結果をサーバー2上に保存する。
【0083】
再学習段階(S60)では予測結果および線路または車両11の点検結果生成された実測結果間の比較を通じて人工知能の再学習がなされ、再学習完了後最適化された振動値の許容基準範囲を振動診断モジュール110およびビッグデータ分析モジュール200に伝送して、既存の振動値の許容基準範囲をアップデートする。
【0084】
再学習段階(S60)はサーバー2に保存された統合運行データを選別するデータ選別過程(S61)と、選別されたデータを前処理する前処理過程(S62)と、前処理されたデータの変換過程(S63)と、データマイニング過程(S64)およびパターン分析過程(S65)の順でなされる。
【0085】
再学習段階(S60)の遂行による振動値の許容基準範囲の最適化と、振動診断モジュール110およびビッグデータ分析モジュール200の既存の振動値の許容基準範囲アップデート作業は鉄道車両運行安全診断システム管理者が設定した周期ごとに自動で遂行され、振動値の許容基準範囲の持続的なアップデートを通じて、車両11や線路異常発生予測結果正確度を向上させて、列車11脱線などの安全事故発生率を低減させることになる。
【0086】
【0087】
前記の内容を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野の当業者は本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施され得ることが理解できるであろう。
【0088】
したがって、以上で記述した実施例はすべての面において例示的なものであり限定的ではないものと理解されるべきであり、前記詳細な説明で記述された本発明の範囲は後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態も本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0089】
1:中央管制システム
2:サーバー
10:列車
11:車両
12:列車総合情報装置
100:車両コンピュータ
110:振動診断モジュール
101:振動センサ
200:ビッグデータ分析モジュール

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7