IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イノアックコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特開-樹脂部材 図1
  • 特開-樹脂部材 図2
  • 特開-樹脂部材 図3
  • 特開-樹脂部材 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155154
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】樹脂部材
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20251006BHJP
【FI】
B62D37/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024058741
(22)【出願日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕隆
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 晶子
(57)【要約】
【課題】 荷重を受けた場合でも構造体から脱落しにくい樹脂部材を提供する。
【解決手段】 外部の構造体に締結部材によって締結される樹脂部材であって、第1方向および第1方向に交差する第2方向に拡がり、締結部材を保持する台座を含む板状部と、板状部から第1方向および第2方向に交差する第3方向に突出し、第1方向に延びる第1突出構造と、板状部から第3方向に突出するとともに第1突出構造に連続し、第2方向に延びる第2突出構造と、を有し、第1突出構造は、突出側の先端面である第1先端面を含み、第2突出構造は、突出側の先端面であり、第1先端面から連続的に繋がる第2先端面を含む、樹脂部材。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の構造体に締結部材によって締結される樹脂部材であって、
第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に拡がり、前記締結部材を保持する台座を含む板状部と、
前記板状部から突出し、前記第1方向に延びる第1突出構造と、
前記板状部から突出するとともに前記第1突出構造に連続し、前記第2方向に延びる第2突出構造と、
を有し、
前記第1突出構造は、突出側の先端面である第1先端面を含み、
前記第2突出構造は、突出側の先端面であり、前記第1先端面から連続的に繋がる第2先端面を含む、
樹脂部材。
【請求項2】
前記第2突出構造は、前記第1突出構造に連続する第1端部と、前記第2方向において前記第1端部と反対側の第2端部と、を含み、
前記台座は、前記第2方向において、前記第1突出構造と前記第2端部の間に配置される、
請求項1に記載の樹脂部材。
【請求項3】
前記樹脂部材は、2つの前記第2突出構造を含み、
前記台座は、該2つの前記第2突出構造の間に配置される、
請求項1に記載の樹脂部材。
【請求項4】
前記板状部は、前記第2突出構造と前記台座の間に配置され、前記台座を前記第2突出構造から区切る区切構造を含む、
請求項1に記載の樹脂部材。
【請求項5】
前記区切構造は、前記台座の全周を囲う凹凸構造を含む、
請求項4に記載の樹脂部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2は、車両に取り付けられる樹脂製のスポイラを開示している。特許文献1では、スポイラは、主に意匠部分となるアッパー部材と、その裏側に配置されたロア部材とを備える。アッパー部材は、振動溶着によりロア部材に接合されている。ロア部材は、スポイラを車体パネルに機械的に固定するためのボス部を備える。ボス部は、ナットが配置された取付孔を有する。車体パネルの取付孔を貫通したボルトがこのナットに螺合されることにより、ボス部が車体パネルに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-157783号公報
【特許文献2】特開2001-347969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スポイラなどの樹脂部材は、物体の衝突などにより意図しない荷重を受ける場合がある。そのような場合でも、車体などの構造体から脱落しないことが望ましい。本開示は、荷重を受けた場合でも構造体から脱落しにくい樹脂部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る樹脂部材は、外部の構造体に締結部材によって締結される樹脂部材であって、第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に拡がり、前記締結部材を保持する台座を含む板状部と、前記板状部から前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に突出し、前記第1方向に延びる第1突出構造と、前記板状部から前記第3方向に突出するとともに前記第1突出構造に連続し、前記第2方向に延びる第2突出構造と、を有し、前記第1突出構造は、突出側の先端面である第1先端面を含み、前記第2突出構造は、突出側の先端面であり、前記第1先端面から連続的に繋がる第2先端面を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、物体の衝突などにより意図しない荷重を受けた場合でも構造体から脱落しにくい樹脂部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】樹脂部材を示す断面図。
図2】樹脂部材を示す下面図。
図3】樹脂部材を示す斜視図。
図4】第2突出構造の機能を説明するための下面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1に示すように、本実施形態では、樹脂部材2は、車両Cに取り付けられるスポイラであり、構造体4は、車両Cのルーフパネルである。図1の第1方向Xは、車両Cの車幅方向に相当し、第2方向Yは車両Cの前後方向に相当し、第3方向Zは車両Cの上下方向に相当する。樹脂部材2は、車両Cに限らず、航空機、船舶、建築物、その他を形成する骨格構造やパネルに対して取り付けられる部材でもよい。
【0010】
樹脂部材2は、第1部材21と、第1部材21に対向する第2部材31とを備える。第1部材21は、構造体4側に配置され、第2部材31は、第1部材21を挟んで構造体4の反対側に配置される。本実施形態では、第1部材21は、スポイラのインナーパネルである。第2部材31は、スポイラのアウターパネルであり、車両Cの意匠面を形成する。
【0011】
第1部材21は、締結部材10により構造体4に取り付けられている。本実施形態では、締結部材10は、ボルト10aおよびナット10dであるが、これに限らない。締結部材10は、例えば、クリップ、ビス、その他の締結具であってもよい。
【0012】
第1部材21は、第1板状部22(板状部の一例)と、第1板状部22から第3方向Zの下方に向けて(図1の矢印Zとは逆方向)突出した第1突出構造23とを含む。
【0013】
第1板状部22は、締結部材10を保持するための台座24を有する。第1板状部22は、さらに、第2部材31と連結された内部連結部25を有する。本実施形態では、内部連結部25は、熱溶着により第2部材31に接合されている。ただし、接合は、これに限らず、ビス、ボルトおよびナット、接着剤、両面テープ、その他の接合手段によるものでもよい。第1突出構造23は、突出側の先端面である第1先端面23aと、第1板状部22と第1先端面23aとを繋ぐ前側縦壁23bと、第1先端面23aに繋がり前側縦壁23bと対向する後側縦壁23cとを有する。
【0014】
第1突出構造23は、第1先端面23a、前側縦壁23bおよび後側縦壁23cとで画定される空間23dを形成する。空間23dは、例えば、車両Cのブレーキランプ、撮像装置または各種センサなどの電装品を収容することが可能である。
【0015】
第2部材31は、第2板状部32と、第2板状部32から折り返された折り返し部33とを含む。第2板状部32は、第1板状部22と接触しているか、または、僅かな隙間を空けて対向している。折り返し部33は、第1部材21の後側縦壁23cに引っ掛けられる。これにより、第2部材31が第1部材21に係止される。
【0016】
第1部材21および第2部材31は、熱可塑性樹脂で形成されてもよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリプロピレン(PP;polypropylene)である。これに限らず、熱可塑性樹脂は、ABS樹脂、ポリエチレン(PE;polyethylene)、ポリスチレン(PS;polystyrene)、アクリル樹脂(acrylic resin)、ポリカーボネート(PC;polycarbonate)樹脂、ポリアミド(polyamide)、ポリエチレンテレフタレート(PET;polyethylene terephthalate)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE;modified-Polyphenyleneether)を選択可能である。
【0017】
図2は、樹脂部材2の下面図である。図2のB-B線は、図1の断面に相当する。樹脂部材2は、第1方向Xと、第1方向Xと交差する第2方向Yに拡がる。
【0018】
第1部材21は、第1方向Xにおいて、第1端部X1と、第1端部X1と反対側の第2端部X2とを有する。第1部材21は、第2方向Yにおいて、第1端部Y1と、第1端部Y1と反対側の第2端部Y2とを有する。
【0019】
図2に示すように、本実施形態では、台座24は、第1台座24a、第2台座24b、第3台座24c、および、第4台座24dを含む。これらは、いずれも、締結部材10を保持する機能を有する。第1台座24aおよび第2台座24bは、第2方向Yにおいて、第1端部Y1と第2端部Y2の間の中心よりも第1端部Y1側に配置されている。第3台座24cおよび第4台座24dは、第2方向Yにおいて第1台座24aおよび第2台座24bよりも第1突出構造23の近くに配置されている。また、第3台座24cは、第1方向Xにおいて、第1台座24aおよび第2台座24bよりも第1端部X1側に配置されている。第4台座24dは、第1方向Xにおいて、第1台座24aおよび第2台座24bよりも第2端部X2側に配置されている。
【0020】
本実施形態では、内部連結部25は、第1内部連結部25aおよび第2内部連結部25bを含む。これらは、いずれも第2部材31の第2板状部32に連結する機能を有する。第1内部連結部25aおよび第2内部連結部25bは、第2方向Yにおいて、第1端部Y1と第2端部Y2との間の中心よりも第1端部Y1側に配置されている。
【0021】
第1部材21は、さらに、第1突出構造23に連続している第2突出構造27、28を含む。本実施形態では、第2突出構造27は、第1突出構造23の第2端部X2側の第2端部232に連結されている。第2突出構造28は、第1突出構造23の第1端部X1側の第1端部231に連結されている。
【0022】
以下、第2突出構造27を詳細に説明する。第2突出構造28は、第2突出構造27と同じ構造を有するので、説明を省略する。
【0023】
図3に示すように、第2突出構造27は、第1板状部22から第3方向Zの下方(図3の矢印Zとは逆方向)に向けて突出している。つまり、第2突出構造27は、第3方向Zにおいて第1突出構造23と同じ向きに突出している。第2突出構造27は、突出側の先端面である第2先端面27aと、第1板状部22と第2先端面27aとを繋ぐ内側縦壁27bと、第2先端面27aに繋がり内側縦壁27bと対向する外側縦壁27cとを有する。第1突出構造23が第1方向Xに延びているのに対して、第2突出構造27は第2方向Yに延びている。第2突出構造27は、第2方向Yにおいて、第1端部271と、第1端部271の反対側の第2端部272とを有する。第2突出構造27の第1端部271が、第1突出構造23の第2端部232に連結されている。
【0024】
第2突出構造27の第2先端面27aは、境界273において、第1突出構造23の第1先端面23aから連続的に繋がる。境界273は、第2先端面27aと第1先端面23aの境界である。言い換えると、第2先端面27aは、境界273において、屈曲することなく第1先端面23に繋がっている。あるいは、第2先端面27aは、境界273において、第1先端面23aに面一で繋がっている。第2突出構造27の内側縦壁27bは、第1突出構造23の前側縦壁23bと繋がる。第2突出構造27の外側縦壁27cは、第1突出構造23の後側縦壁23cに繋がる。
【0025】
第2突出構造27の機能を説明する。図1に示すように、樹脂部材2は、車両Cの後方に突出している(特に、第1突出構造23参照)。このような樹脂部材2では、後方に突出した部分が上向きに動く物体と衝突することがあり、この衝突により上向きの荷重Fを受けることがある。
【0026】
樹脂部材2は、上向きの荷重Fを受けて、第1板状部22と第1突出構造23の境界である境界233で湾曲または屈曲するように変形しやすい。その理由は、図1に示すように、第1部材21が境界233で屈曲しているので荷重Fによる応力を受けやすいことと、図4に示すように、境界233が第1方向Xに沿って延びていることである。図4に示すように、第1突出構造23は、第1方向Xに延びているため、境界233は、第1方向Xに延びている。第1突出構造23は、上向きの荷重Fを受けて、第1板状部22に対して軸Axまわりに屈曲しやすい。この屈曲は、第1板状部22の第2方向Yへの変動、ひいては台座24の変形を招来し、台座24による締結部材10の保持を解除することになる。締結部材10の保持の解除は、樹脂部材2の構造体4からの脱落を意味する。
【0027】
図4に示すように、本実施形態では、第1突出構造23は、第2方向Yに延びた第2突出構造27、28に繋がっている。第2突出構造27、28は、第1突出構造23を補強しており、境界233に沿う軸Axまわりの第1突出構造23の屈曲を抑制する。これに加えて、第2突出構造27(第2突出構造28も同様)の第2先端面27aは、第1突出構造23の第1突出面23aに連続的に繋がっている。つまり、第2突出構造27は、第1突出構造23に屈曲することなく繋がっている。この連続的な連結により、第2突出構造27自体が第1突出構造23との境界273で変形することが抑制される。これにより、台座24は、締結部材10の保持を維持でき、樹脂部材2の構造体4からの脱落を防止できる。
【0028】
図2に戻り、上述の通り、第2突出構造27は、第1突出構造23に繋がる第1端部271と、第1端部271とは反対側の第2端部272とを有する。本実施形態では、台座24(第4台座24d)は、第2方向Yにおいて、第1突出構造23と第2端部272との間に配置されている。第1板状部22における第1突出構造23と第2端部272との間の領域は、第2突出構造27の存在により、上向きの荷重Fの影響を受けにくく変形しにくい。台座24は、このような領域に位置することにより締結部材10の保持を維持しやすくなる。
【0029】
本実施形態では、第1部材21は、2つの第2突出構造27、28を含む。台座24(第3台座24cおよび第4台座24d)は、2つの第2突出構造27、28の間に配置されている。第1板状部22における2つの第2突出構造27、28の間の領域は、第2突出構造27、28の存在により、上向きの荷重Fの影響を受けにくく変形しにくい。台座24は、このような領域に位置することにより締結部材10の保持を維持しやすくなる。
【0030】
図3に示すように、本実施形態では、台座24は、基部241と、第1側壁242と、第2側壁243と、第3側壁244と、底壁245とを備える。第1側壁242は、基部241に接続されている。第2側壁243は、基部241に接続され、第1側壁242と対向している。第3側壁244は、基部241に接続され、第1側壁242および第2側壁243の間に接続されている。底壁245は、第1側壁242、第2側壁243および第3側壁244に接続されており、スリット245aを有する。第1側壁242、第2側壁243、第3側壁244および底壁245は、内部空間246を形成する。
【0031】
本実施形態では、締結部材10は、ボルト10aとナット10dである。ボルト10aは、第1円板部10bと第2円板部10cを含む。第1円板部10bは、台座24の内部空間246に挿入される。第2円板部10cは、第1円板部10bとともに台座24の底壁245を挟む。ボルト10aの軸は台座24のスリット245aを通過する。台座24は、底壁245が第1円板部10bと第2円板部10cの間に位置することにより、ボルト10aの第3方向Zにおける移動を規制する。台座24は、スリット245aにボルト10aの軸を通過させることにより、または、第1円板部10bを第1側壁242、第2側壁243および第3側壁244で囲むことにより、ボルト10aの第1方向Xおよび第2方向Yにおける移動を規制する。
【0032】
本実施形態では、台座24は、さらに、基部241と第1側壁242に接続されたリブ247を備える。リブ247は、第1側壁242を補強して、第1側壁242の変形を防止する。台座24は、基部241と第2側壁243に接続されたリブ、および、基部241と第3側壁244に接続されたリブをさらに備えてもよい。
【0033】
上述の通り、樹脂部材2が上向きの荷重Fを受けた場合に、第2突出構造27、28が第1突出構造23の軸Axまわりの変形を抑制する。しかし、上向きの荷重Fが過度に大きい場合、第2突出構造27、28のみでは第1板状部22の変形を十分に抑制できない可能性がある。本実施形態では、そのような場合に備えるために、第1板状部22は、第1板状部22における台座24の周囲の部分から台座24への応力の伝達を遮断または低減する区切構造29を含む。
【0034】
図3に示すように、本実施形態では、区切構造29は、台座24の全周を囲う凹凸構造である。本実施形態では、区切構造29は、第1凹構造291、第2凹構造292、第3凹構造293および第4凹構造294を含む。第1凹構造291および第3凹構造293は、台座24の第2方向Yにおける互いに異なる側にそれぞれ配置されている。第2凹構造292および第4凹構造294は、台座24の第1方向Xにおける互いに異なる側にそれぞれ配置されている。図1に示すように、第1凹構造291は、第1板状部22から第3方向Zの上方(図1の矢印Zの向き)に突出した凸構造により形成されている。第2凹構造292、第3凹構造293および第4凹構造294も同様である。
【0035】
図3に戻り、第1凹構造291は、第1方向Xに沿って延び、台座24と第1突出構造23との間に位置している。第1凹構造291は、第1方向Xまわりに変形しやすい。上向きの荷重Fにより第1板状部22が第1方向Xまわりに変形すると、これを受けて第1凹構造291が台座24の基部241よりも優先的に変形する。第1凹構造291は、台座24への第1方向Xまわりの応力の伝達を遮断または低減している。
【0036】
上向きの荷重Fは、第1突出構造23および第2突出構造27の両方を変形させる可能性がある。第2突出構造27は、第2方向Yに延びているため、第2方向Yに沿う軸まわりに変形し得る。第2凹構造292は、これを受けて台座24の基部241よりも優先的に変形する。第2凹構造292は、台座24への第2方向Yまわりの応力の伝達を遮断または低減している。
【0037】
第3凹構造293および第4凹構造294についても同様である。
【0038】
リブ247は、基部241の範囲内で完結していてもよい。つまり、リブ247は、第1板状部22、第1突出構造23、第2突出構造27、28まで到達していない。これにより、台座24の基部241の孤立を確保できる。
【0039】
本実施形態では、基部241は、四角形の形状を有し、4つの角を有する。それぞれの角は、曲線241aによりR(アール)を有してもよい。これにより、角への応力集中を防ぐことができる。
【0040】
上述の通り、樹脂部材2は、外部の構造体4に締結部材10によって締結される。樹脂部材2は、板状部22と、第1突出構造23と、第2突出構造27、28とを備える。板状部22は、第1方向Xおよび第1方向Xに交差する第2方向Yに拡がり、締結部材10を保持する台座24を含む。第1突出構造23は、板状部22から第1方向Xおよび第2方向Yに交差する第3方向Zに突出し、第1方向Xに延びる。第2突出構造27は、板状部22から第3方向Zに突出するとともに第1突出構造23に連続し、第2方向Yに延びる。第1突出構造23は、突出側の先端面である第1先端面23aを含む。第2突出構造27は、突出側の先端面であり、第1先端面23aから連続的に繋がる第2先端面27aを含む。これにより、物体の衝突などにより意図しない荷重を受けた場合でも構造体4から脱落しにくい樹脂部材を提供することができる。
【0041】
第2突出構造27は、第1突出構造23に連続する第1端部271と、第2方向Yにおいて第1端部271と反対側の第2端部272とを含んでもよい。台座24は、第2方向Yにおいて、第1突出構造23と第2端部272の間に配置されてもよい。第1板状部22における第1突出構造23と第2端部272との間の領域は、第2突出構造27の存在により変形しにくい。台座24は、このような領域に位置することにより変形しにくくなる。これにより、台座24は、締結部材10の保持を維持でき、樹脂部材2の構造体4からの脱落をより防止できる。
【0042】
樹脂部材2は、2つの第2突出構造27、28を含んでもよい。台座24は、2つの第2突出構造27、28の間に配置されてもよい。第1板状部22における2つの第2突出構造27、28の間の領域は、第2突出構造27、28の存在により変形しにくい。台座24は、このような領域に位置することにより変形しにくくなる。これにより、台座24は、締結部材10の保持を維持でき、樹脂部材2の構造体4からの脱落をより防止できる。
【0043】
第1板状部22は、第2突出構造27と台座24の間に配置され、台座24を第2突出構造27から区切る区切構造29を含む。上向きの荷重Fは、第1突出構造23および第2突出構造27の両方を変形させる可能性がある。第2突出構造27は、第2方向Yに延びているため、第2方向Yに沿う軸まわりに変形する。第2凹構造292は、これを受けて変形する。第2凹構造292が台座24よりも優先的に変形することで、第2突出構造27の変形に伴う第1板状部22の変形が台座24に影響することを抑制している。
【0044】
区切構造29は、台座24の全周を囲う凹凸構造を含む。これにより、台座24を孤立させることができる。
【0045】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0046】
上記実施形態では、樹脂部材2は、2つの第2突出構造27、28を含む。ただし、これに限らず、樹脂部材2は、第2突出構造27、28のいずれか1つのみを含んでいてもよい。樹脂部材2は、3以上の第2突出構造を含んでいてもよい。
【0047】
上記実施形態では、第2突出構造27、28は、それぞれ、第1突出構造23の第2端部232および第1端部231に連結されている。ただし、これに限らず、第2突出構造27、28のいずれか1つまたは両方が第1突出構造23の第1方向Xにおける中央部に連結されていてもよい。
【0048】
上記実施形態では、台座24は、ボルト10aを保持しているが、これに限らず、ナット10dを保持してもよい。
【0049】
上記実施形態では、区切構造29は、台座24を全周にわたり囲む。ただし、これに限らず、区切構造29は、必ずしも全周を囲まなくてもよい。区切構造29は、第1凹構造291、第2凹構造292、第3凹構造293、第4凹構造294の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0050】
上記実施形態では、区切構造29は、凹凸構造である。ただし、これに限らず、区切構造29は、スリットを含んでもよい。
【符号の説明】
【0051】
2:樹脂部材、21:第1部材、31:第2部材、23:第1突出構造、24:台座、27、28:第2突出構造
図1
図2
図3
図4