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特開2025-155165人材管理装置、人材管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155165
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】人材管理装置、人材管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/105 20230101AFI20251006BHJP
【FI】
G06Q10/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024058758
(22)【出願日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】宮内 英樹
【テーマコード(参考)】
5L010
【Fターム(参考)】
5L010AA08
(57)【要約】
【課題】従業員のスキルレベルをより正確に評価可能とする。
【解決手段】スキル情報抽出部101は、従業員が保有しているスキルに関する時系列情報が記述されたテキストベースの提供情報から、スキルとスキルに関する時系列データとが紐付けられたスキル情報201を抽出する。実用度レベル算出部102は、スキル情報201に含まれるスキルを最後に使用した時点からの経過期間に基づいて、従業員のスキルに対する実用度レベルを算出する。習熟度レベル算出部103は、スキル情報102に含まれるスキルの継続使用期間に基づいて、従業員のスキルに対する習熟度レベルを算出する。統合レベル算出部104は、スキルの実用度及び/又は習熟度に基づいて、従業員のスキルに対する統合レベルを算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
従業員が保有しているスキルに関する時系列情報が記述された提供情報から、前記スキルと前記スキルに関する時系列データとが紐付けられたスキル情報を抽出するスキル情報抽出部と、
前記スキル情報に含まれる前記スキルを最後に使用した時点からの経過期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する実用度レベルを導出する実用度レベル導出処理と、前記スキル情報に含まれる前記スキルの継続使用期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する習熟度レベルを導出する習熟度レベル導出処理との少なくとも一方を実行する導出部と、
前記導出部によって導出された前記実用度レベル及び前記習熟度レベルの少なくとも一方に基づいて、前記従業員の前記スキルに対するスキルレベルを導出するスキルレベル導出部と、
を備えることを特徴とする人材管理装置。
【請求項2】
前記実用度レベル導出処理は、前記経過期間が長いほど前記実用度レベルを低下させるような傾向を示す第1の関係式及び前記経過期間に基づいて前記実用度レベルを導出し、
前記習熟度レベル導出処理は、前記継続使用期間が長いほど前記習熟度レベルを高くするような傾向を示す第2の関係式及び前記継続使用期間に基づいて前記習熟度レベルを導出し、
前記スキルレベル導出部は、前記実用度レベル及び前記習熟度レベルに基づいて前記スキルレベルを導出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の人材管理装置。
【請求項3】
前記スキルレベル導出部は、前記スキルレベルを算出するときに、前記実用度レベル及び前記習熟度レベルの少なくとも一方に重みパラメータを乗算する、
ことを特徴とする請求項2に記載の人材管理装置。
【請求項4】
前記スキルレベル導出部は、前記実用度レベルと前記習熟度レベルとを加算することによって前記スキルレベルを算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の人材管理装置。
【請求項5】
情報処理装置の制御部による人材管理方法であって、
従業員が保有しているスキルに関する時系列情報が記述された提供情報から、前記スキルと前記スキルに関する時系列データとが紐付けられたスキル情報を抽出するステップと、
前記スキル情報に含まれる前記スキルを最後に使用した時点からの経過期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する実用度レベルを導出する実用度レベル導出処理と、前記スキル情報に含まれる前記スキルの継続使用期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する習熟度レベルを導出する習熟度レベル導出処理との少なくとも一方を実行するステップと、
前記実用度レベル及び前記習熟度レベルの少なくとも一方に基づいて、前記従業員の前記スキルに対するスキルレベルを導出するステップと、
を含むことを特徴とする人材管理方法。
【請求項6】
制御部を備える機器のコンピュータに、
従業員が保有しているスキルに関する時系列情報が記述された提供情報から、前記スキルと前記スキルに関する時系列データとが紐付けられたスキル情報を抽出するスキル情報抽出機能、
前記スキル情報に含まれる前記スキルを最後に使用した時点からの経過期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する実用度レベルを導出する実用度レベル導出処理と、前記スキル情報に含まれる前記スキルの継続使用期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する習熟度レベルを導出する習熟度レベル導出処理との少なくとも一方を実行する導出機能、
前記実用度レベル及び前記習熟度レベルの少なくとも一方に基づいて、前記従業員の前記スキルに対するスキルレベルを導出するスキルレベル導出機能、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人材管理装置、人材管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
前回の従業員のスキルの評価(習得)からの経過年数に応じて、現在の従業員のスキルレベルを評価するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-35077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した評価システムでは、前回にスキルを評価してからの経過時間のみに基づいて現在のスキルレベルを評価するためのパラメータを変更している。このため、スキルを取得した時点からの経過時間を考慮しておらず、また、スキルをどれだけの期間継続して活用しているか、すなわちどのくらい深く習得しているかといった習熟度を考慮しておらず、従業員のスキルレベルを正しく評価できないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、従業員のスキルレベルをより正確に評価可能することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る人材管理装置は、従業員が保有しているスキルに関する時系列情報が記述された提供情報から、前記スキルと前記スキルに関する時系列データとが紐付けられたスキル情報を抽出するスキル情報抽出部と、前記スキル情報に含まれる前記スキルを最後に使用した時点からの経過期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する実用度レベルを導出する実用度レベル導出処理と、前記スキル情報に含まれる前記スキルの継続使用期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する習熟度レベルを導出する習熟度レベル導出処理との少なくとも一方を実行する導出部と、前記導出部によって導出された前記実用度レベル及び前記習熟度レベルの少なくとも一方に基づいて、前記従業員の前記スキルに対するスキルレベルを導出するスキルレベル導出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る人材管理方法は、情報処理装置の制御部による人材管理方法であって、
従業員が保有しているスキルに関する時系列情報が記述された提供情報から、前記スキルと前記スキルに関する時系列データとが紐付けられたスキル情報を抽出するステップと、前記スキル情報に含まれる前記スキルを最後に使用した時点からの経過期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する実用度レベルを導出する実用度レベル導出処理と、前記スキル情報に含まれる前記スキルの継続使用期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する習熟度レベルを導出する習熟度レベル導出処理との少なくとも一方を実行するステップと、前記実用度レベル及び前記習熟度レベルの少なくとも一方に基づいて、前記従業員の前記スキルに対するスキルレベルを導出するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
この発明に係るプログラムは、制御部を備える機器のコンピュータに、従業員が保有しているスキルに関する時系列情報が記述された提供情報から、前記スキルと前記スキルに関する時系列データとが紐付けられたスキル情報を抽出するスキル情報抽出機能、前記スキル情報に含まれる前記スキルを最後に使用した時点からの経過期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する実用度レベルを導出する実用度レベル導出処理と、前記スキル情報に含まれる前記スキルの継続使用期間に基づいて前記従業員の前記スキルに対する習熟度レベルを導出する習熟度レベル導出処理との少なくとも一方を実行する導出機能、前記実用度レベル及び前記習熟度レベルの少なくとも一方に基づいて、前記従業員の前記スキルに対するスキルレベルを導出するスキルレベル導出機能、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、従業員のスキルレベルをより正確に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による人材管理装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態による人材管理装置で算出する実用度レベルと習熟度レベルを説明するための概念図である。
図3】本実施形態による人材管理装置でのスキル情報の登録処理を説明するためのフローチャートである。
図4】本実施形態による人材管理装置でのスキル情報の登録処理を説明するためのフローチャートである。
図5】本実施形態による人材管理装置でのスキルレベル算出処理を説明するためのフローチャートである。
図6】本実施形態による人材管理装置での実用度レベルと習熟度レベルの算出方法を説明するための概念図である。
図7】本実施形態による人材管理装置での実用度レベルと習熟度レベルを算出するための演算式の更新を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における機器の制御装置を図1に示す人材管理装置1に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。人材管理装置1は、図1に示すように、情報処理装置10及び人材情報DB(データベース)20からなる。情報処理装置10は、コンピュータ等からなり、スキル情報抽出部101、実用度レベル推定部102、習熟度レベル推定部103、及び統合レベル算出部104を備えている。スキル情報抽出部101は、従業員が自己申告したスキル報告書(テキスト)や、定期的に提出する日報/実績報告書(テキスト)などから、従業員が保有しているスキルと、そのスキルを最後に使用した時点からの経過年数及びそのスキルを継続的に使用している継続使用年数を含む時系列データとが紐付けられたスキル情報201を抽出する。実用度レベル推定部102は、スキル情報201に基づいて、従業員のスキルに対する実用度レベルを推定する。習熟度レベル推定部103は、スキル情報201に基づいて、従業員のスキルに対する習熟度レベルを推定する。統合レベル算出部104は、実用度レベルと習熟度レベルとから統合レベルを算出する。
【0012】
人材情報DB20は、スキル情報201とスキルレベルデータ202とを記憶している。スキル情報201は、従業員が自己申告したスキル報告書や、日報/実績報告書などから抽出した、従業員のスキルと、該スキルに関する時系列データとが紐付けられた情報である。スキルレベルデータ202は、スキル情報201に基づいて算出された、従業員のスキルに対する実用度レベル、習熟度レベル、及び統合レベルである。端末30は、従業員等が自己申告で自身の保有スキルを記述したスキル報告書を入力したり、定期的に日報/実績報告書を入力したりするために用いられる。端末30は、入力されたスキル報告書及び日報/実績報告書を、ネットワーク40を介して情報処理装置10に提供する。情報処理装置10では、スキル情報抽出部101により、スキル報告書及び日報/実績報告書から、時系列データであるスキル情報201を抽出して人材情報DB20に保存する。
【0013】
次に、上述した実用度レベルと習熟度レベルとについて、図2を参照して説明する。図2に示す例には、2024年時点で、スキルA、B、C、Dのそれぞれについて、最後に使用した時点からの経過年数、及び継続的に使用していた継続使用年数が、2019年~2023年について示されている。スキルAは、2023年に取得されていることが示されている。この場合、スキルを最後に使用した時点からの経過年数が1年であるので実用度レベルは高いと判断する。一方、スキルを使用していた継続使用年数が1年と短いので習熟度レベルは低いとする。また、スキルBの場合には、2019年に取得されているが、それ以降、使用されていないことが示されている。この場合、スキルを最後に使用した時点からの経過年数が5年と長いので実用度レベルが低く、スキルを使用していた継続使用年数が1年と短いので習熟度レベルが低いとする。また、スキルCの場合には、2019年~2021年にかけて継続的に使用され、2022年~2023年は使用されていないことが示されている。この場合、スキルを最後に使用した時点からの経過年数が3年と長いので実用度レベルは低く、スキルを使用していた継続使用年数が3年と長いので、習熟度レベルは高いとする。また、スキルDの場合には、2019年~2023年にかけて継続的に、かつ最近まで使用されていることが示されている。この場合、最後に使用した時点からの経過年数が1年であり、継続年数が5年と長いので、実用度レベルと習熟度レベルの双方が高いと判断する。
【0014】
次に、上述したスキル情報の登録処理について、図3及び図4を参照して説明する。図3及び図4に示すフローチャートは、随時、あるいは定期的に実行される。従業員は、端末30から、自己申告で自身のスキル報告書(テキスト)及び定期的に日報/実績報告書(テキスト)を入力する(ステップS10)。端末30は、入力されたスキル報告書及び日報/実績報告書を、ネットワーク40を介して情報処理装置10に送信する(ステップS12)。
【0015】
一方、情報処理装置10では、スキル報告書、日報/実績報告書を端末30から受信すると、スキル情報抽出部101が、スキル報告書、日報/実績報告書を解析し、従業員が保有しているスキルと、そのスキルを最後に使用した時点からの経過年数及びそのスキルを継続的に使用している継続使用年数とが紐付けられた時系列データとからなるスキル情報201を抽出し(ステップS20)、当該スキル情報201を人材情報DB20に登録する(ステップS22)。
【0016】
次に、上述したスキルレベルの算出方法について、図5を参照して説明する。図5に示すフローチャートは、新たにスキル情報201が人材情報DB20に登録された際、あるいは定期的に実行される。情報処理装置10では、スキルレベルを算出する対象となる従業員をカウントするための変数iを「1」にセットする(ステップS30)。次に、情報処理装置10では、実用度レベル推定部102が人材情報DB20から従業員iのスキル情報201を読み出し(ステップS32)、予め設定されている関係式F1に従って実用度レベルを算出する(ステップS34)。
【0017】
ここで、実用度レベルの算出方法について、図6(a)を参照して説明する。実用度レベルの算出には、図6(a)に示す、予め設定されている関係式F1を用いる。図6(a)には、縦軸に実用度レベル、横軸にスキル(資格等)を最後に使用した時点からの経過年数を示している。実用度レベルは、前述したように、スキルを最後に使用した時点からの経過年数が短いほど高くなる(図2のスキルA、D)一方、スキルを最後に使用した時点からの経過年数が長いほど低くする(図2のスキルB、C)。そこで、実用度レベルを算出するために、図6(a)に示すように、最後に使用した時点からの経過年数が長いほど実用度レベルを低下させるような傾向を示す1次関数からなる関係式(a・x+b;a=負の値、x=最後に使用した時点からの経過年数、b=最大レベルに対応する係数)F1を暫定的に設定する。実用度レベル推定部102は、当該関係式F1に従って、その従業員が保有するスキルの実用度レベルを算出する。ゆえに、算出される実用度レベルは、関係式F1で示される線上にプロットされる。なお、実用度レベルを算出するための関係式F1は、1次関数からなるものに限定されるものではなく、最後に使用した時点からの経過年数が長いほど実用度レベルを低下させるような傾向を示すものであればよい。
【0018】
次に、習熟度レベル推定部103は、人材情報DB20から読み出した従業員iのスキル情報から、予め設定されている関係式F2に従って習熟度レベルを算出する(ステップS36)。ここで、習熟度レベルの算出方法について、図6(b)を参照して説明する。習熟度レベルの算出には、図6(b)に示す、予め設定されている関係式F2を用いる。図6(b)には、縦軸に習熟度レベル、横軸にスキル(資格等)の継続使用年数を示している。習熟度レベルは、前述したように、スキルの継続使用年数が短いほど低くなり(図2のスキルA、B)、一方、スキルの継続使用年数が長いほど高くする(図2のスキルC、D)。そこで、習熟度レベルを算出するために、スキルの継続使用年数が長いほど習熟度レベルを高くするような傾向を示す2次関数からなる関係式(a・x;a=係数、x=継続使用年数)F2を暫定的に設定する。習熟度レベル推定部103は、当該関係式F2に従って、その従業員が保有するスキルの習熟度レベルを算出する。ゆえに、算出される習熟度レベルは、関係式F2で示される線上にプロットされる。なお、習熟度レベルを算出するための関係式F2は、2次関数からなるものに限定されるものではなく、スキルの継続使用年数が長いほど習熟度レベルを高くするような傾向を示すものであればよい。
【0019】
次に、統合レベル算出部104は、実用度レベル及び習熟度レベルから、実用度レベル×α+習熟度レベル×(1-α)を演算し(αは重みパラメータ)、統合レベルを算出し(ステップS38)、実用度レベル、習熟度レベル、及び算出した統合レベルを、従業員iに紐付けてスキルレベルデータ202として人材情報DB20に保存する(ステップS40)。重みパラメータαは、スキルによって実用度レベルが重視されるか、習熟度レベルが重視されるかが異なる場合が考えられることから、スキル毎に別途設定されてもよい。
【0020】
次に、情報処理装置10は、変数iを1インクメントし(ステップS42)、レベル付け対象の全ての従業員に対する処理が終了したか(i=imax)否かを判断し(ステップS44)、レベル付け対象の全ての従業員に対して終了していない場合には(ステップS44のNO)、ステップS32に戻り、次の従業員に対して上述した処理を繰り返す。一方、レベル付け対象の全ての従業員に対する処理が終了すると(ステップS44のYES)、当該処理を終了する。
【0021】
なお、関係式F1、F2は、スキルの種類ごとに異なっていてもよい。また、関係式F1、F2は、実際の業務内容(成果)等を考慮して定期的に見直されて更新され得る。監督者(上司/有識者)が、従業員の実際の業務内容(成果)、保有しているスキルレベル、算出した実用度レベル、習熟度レベル、及び統合レベルを相互に比較し、実際の業務内容(成果)に、算出した実用度レベル、習熟度レベル及び/又は統合レベルが反映されてないなど、ずれが生じていると判断すれば、実用度レベル及び/又は習熟度レベルの関係式F1、F2を修正(更新)する。
【0022】
例えば、実用度レベルの関係式F1に関しては、図7(a)に示すように、ある時期dまではスキルレベルの低下が遅く、ある時期dを超えると、スキルレベルの低下が速まるような傾向があると認められた場合を想定する。この場合、図7(a)に示す破線のような関係式F1に修正(更新)する。関係式F1としては、例えば、x(経過年数)が時期dまでは、a・x+b(x≦d)、xが時期d以降は、a・x+b(x>d)などのように設定する。a、b、a、bはパラメータである。なお、関係式F1を更新した場合には、過去の実用度レベルを新たな関係式F1で修正するようにしてもよい。
【0023】
また、習熟度レベルの関係式F2に関しては、図7(b)に示すように、ある時期eまではスキルレベルの上昇が指数関数的に上昇し、ある時期eを超えると、スキルレベルの上昇が緩慢になると認められた場合を想定する。この場合、図7(b)に示す破線のような関係式F2に修正(更新)する。関係式F2としては、例えば、x(経過年数)が時期eまでは、a・x2+b(x≦e)、xが時期e以降は、log2・x+b(x>e)などのように設定する。a、b、a、bはパラメータである。なお、関係式F2を更新した場合には、過去の習熟度レベルを新たな関係式F2で修正するようにしてもよい。
【0024】
なお、上述した実施形態では、実用度レベル及び習熟度レベルを、それぞれに対する関係式F1、F2で算出するようにしたが、これ限らず、スキルを最後に使用した時点からの経過年数と実用度レベルとを紐付けた実用度データテーブル、及びスキルの継続年数と習熟度レベルとを紐付けた習熟度データテーブルを用意し、実用度データテーブル及び習熟度データテーブルを参照することで、対応する実用度レベル及び習熟度レベルを取得するようにしてもよい。これにより、複雑な演算を行うことなく、実用度レベル及び習熟度レベルを容易に取得することができる。また、実用度データテーブル及び習熟度データテーブルのデータを修正するだけで、上述した関係式F1、F2の更新と同等のことが容易に実現することができる。
【0025】
また、上述した実施形態では、運用初期において、関係式F1、F2として暫定的な関係式を設定するとしたが、これに限らず、監督者(上司/有識者)による見識に基づくルールベース、アンケートなどにより、より現実的な関係式(又はデータテーブル)を導出してもよい。また、何らかのスキルレベル(特に、実用度レベル)の履歴情報がある場合には、複数の従業員の履歴情報(スキルレベルの推移傾向)に基づいて関係式(又はデータテーブル)を導出してもよい。また、上述した実施形態では、年単位で実用度レベル及び習熟度レベルを算出したが、これに限らず、半年単位、四半期単位、月単位、週単位で算出するようにしてもよい。
【0026】
上述した実施形態によれば、従業員が保有するスキルを最後に使用した時点からの経過期間から当該スキルの実用度レベルを算出するとともに、従業員が保有するスキルを継続的に使用した継続使用期間から当該スキルの習熟度レベルを算出するようにしたので、実用度だけでなく、習熟度を含めたスキルレベルを推定することができ、また、現在も業務で活用しているスキルかどうか(実用度)や、長年継続して活用し、深く習得しているスキルかどうか(習熟度)を容易に把握して管理することができ、従業員のスキルレベルをより正確に評価することができる。
【0027】
また、上記実施形態における人材管理装置1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0028】
1…人材管理装置、10…情報処理装置、101…スキル情報抽出部、102…実用度レベル推定部(導出部)、103…習熟度レベル推定部(導出部)、104…統合レベル算出部(スキルレベル導出部)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7