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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155219
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】重さ変更システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/20 20060101AFI20251006BHJP
【FI】
B66F9/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024058902
(22)【出願日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 良平
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA02
3F333BB02
3F333CA21
3F333FA16
3F333FE05
3F333FE09
(57)【要約】
【課題】フォークリフトの荷役作業における荷の破損を防止しつつ、荷役作業の速度を比較的維持する。
【解決手段】重さ変更システムSは、フォークリフト1に設けられており、重さ変更部と、荷特定部と、重さ決定部と、変更指令部と、を備えている。重さ変更部は、フォークリフト1のペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する。荷特定部は、荷役作業に係る荷が取り扱いに注意を要する要注意の荷CWであるか否かを特定する。重さ決定部は、荷役作業に係る荷が要注意の荷CWであるとき、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを重くするよう決定する。変更指令部は、重さ決定部の決定にしたがって、重さ変更部を制御して、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトに用いられる重さ変更システムであって、
前記フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更部と、
荷役作業に係る荷が取り扱いに注意を要する要注意の荷であるか否かを特定する荷特定部と、
前記荷役作業に係る前記荷が前記要注意の荷であるとき、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さを重くするよう決定する重さ決定部と、
前記重さ決定部の決定にしたがって、前記重さ変更部を制御して、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さを変更させる変更指令部と、を備える、重さ変更システム。
【請求項2】
前記荷を撮影して荷画像を生成する荷カメラをさらに備え、
前記荷特定部は、前記荷画像に基づいて前記要注意の荷を特定する、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項3】
前記荷特定部は、前記荷画像に特定の記号が含まれていると、前記要注意の荷であると特定する、請求項2に記載の重さ変更システム。
【請求項4】
タグ情報を読み取る読取装置をさらに備え、
前記荷は、前記荷の情報を記憶したタグを有し、
前記荷特定部は、前記読取装置に読み取られた前記荷の情報を参照して、前記要注意の荷であるか否かを特定する、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項5】
荷役スケジュールを記憶している記憶部をさらに備え、
前記荷役スケジュールには、前記荷の情報が含まれており、
前記荷特定部は、前記荷の情報を参照して前記要注意の荷であるか否かを特定する、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項6】
前記荷特定部は、前記荷の荷置位置および荷取位置の両方またはそのいずれかが、前記要注意の荷に係る荷置位置または荷取位置のとき、前記要注意の荷であると特定する、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項7】
運転者の技能スコアを記憶する記憶部と、
前記運転者を特定するとともに、特定した前記運転者の前記技能スコアを取得する技能スコア取得部と、をさらに備え、
前記重さ決定部は、前記荷役作業に係る前記荷が前記要注意の荷であって、かつ取得された前記運転者の前記技能スコアが所定の技能スコア未満のとき、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さをさらに重くするよう決定する、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項8】
前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さが変更されることを運転者に予告する変更予告部をさらに備える、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の重さ変更システムを備えるフォークリフト。
【請求項10】
フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更部と、コンピュータとを備えた重さ変更システムに用いられるプログラムであって、
前記コンピュータに、
荷役作業に係る荷が取り扱いに注意を要する要注意の荷であるか否かを特定することと、
前記要注意の荷であるか否かに基づいて、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さを決定することと、
決定した重さに基づいて、前記重さ変更部を制御して、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さを変更させることと、を実行させる、重さ変更プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフトによる荷役作業を行うにあたり、荷を破損させないように工夫がなされた発明がある。例えば、特許文献1には、荷役車両の振動防止システムが開示されている。このシステムは、センサと、制振力生成装置と、コントローラと、を備えている。このセンサは、荷役作業装置または車両本体の鉛直方向の加速度を検出し、積荷に作用する振動を求める。そして、コントローラは、センサの検出値に基づいて、制振力生成装置に与えるフィードバック指令を生成し、制振力生成装置は与えられたフィードバックに指令に基づいて駆動する。これにより、このシステムは、荷に作用した振動を抑制する。このように、この種のシステムでは、荷を破損させないように、荷に作用した振動を抑制する効果を有する。
【0003】
ところで、フォークリフトの荷役装置やフォークリフト本体に発生した振動を抑制することにより荷の破損を防止することも重要であるが、そもそも振動を発生させないことも重要である。しかしながら、荷役作業を素早く行うためには、フォークリフトの走行、停止、荷の昇降の速度を上げる必要があり、これら作業速度に比例して振動が発生する度合い高くなる。すなわち、作業速度を上げることと、振動を抑制することとはトレードオフの関係にあり、両立させることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-278599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、荷の破損を防止しつつ、荷役作業の速度を比較的維持することができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る重さ変更システムは、
フォークリフトに用いられる重さ変更システムであって、
フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更部と、
荷役作業に係る荷が取り扱いに注意を要する要注意の荷であるか否かを特定する荷特定部と、
荷役作業に係る荷が要注意の荷であるとき、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを重くするよう決定する重さ決定部と、
重さ決定部の決定にしたがって、重さ変更部を制御して、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更させる変更指令部と、を備える。
【0007】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
荷を撮影して荷画像を生成する荷カメラをさらに備え、
荷特定部は、荷画像に基づいて要注意の荷を特定する。
【0008】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
荷特定部が、荷画像に特定の記号が含まれていると、要注意の荷であると特定する。
【0009】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
タグ情報を読み取る読取装置をさらに備え、
荷は、荷の情報を記憶したタグを有し、
荷特定部は、読取装置に読み取られた荷の情報を参照して、要注意の荷であるか否かを特定する。
【0010】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
荷役スケジュールを記憶している記憶部をさらに備え、
荷役スケジュールには、荷の情報が含まれており、
荷特定部は、荷の情報を参照して要注意の荷であるか否かを特定する。
【0011】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
荷特定部が、荷の荷置位置および荷取位置の両方またはそのいずれかが、要注意の荷に係る荷置位置または荷取位置のとき、要注意の荷であると特定する。
【0012】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
複数の運転者の技能スコアを記憶する記憶部と、
運転者を特定するとともに、特定した運転者の技能スコアを取得する技能スコア取得部と、をさらに備え、
重さ決定部は、荷役作業に係る荷が要注意の荷であって、かつ取得された運転者の技能スコアが所定の技能スコア未満のとき、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さをさらに重くするよう決定する。
【0013】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さが変更されることを運転者に予告する変更予告部をさらに備える。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係るフォークリフトは、
上記いずれかに記載の重さ変更システムを備える。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る重さ変更プログラムは、
フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更部と、コンピュータとを備えた重さ変更システムに用いられるプログラムであって、
コンピュータに、
荷役作業に係る荷が取り扱いに注意を要する要注意の荷であるか否かを特定することと、
要注意の荷であるか否かに基づいて、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを決定することと、
決定した重さに基づいて、重さ変更部を制御して、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更させることと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る重さ変更システムは、荷役作業に係る荷が要注意の荷であるとき、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを重くすることで、荷の破損を防止しつつ、荷役作業の速度を比較的維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る重さ変更システムを示す全体図である。
図2図1に示されたフォークリフトの側面図である。
図3】重さ変更システムのブロック図である。
図4】重さ変更システムの動作を示すフロー図である。
図5】Aは要注意の荷が置かれる特定の棚を示す図であり、Bは要注意の荷を運搬するトラックが停車する特定のエリアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図を参照しつつ、本発明に係る重さ変更システムの一実施形態について説明する。本実施形態に係る重さ変更システムSは、ペダルおよびレバーの両方の重さを変更するよう構成されているが単なる一例であって、本発明に係る重さ変更システムは、ペダルおよびレバーのいずれか一方の重さを変更するよう構成されていてもよい。
【0019】
図1は、本実施形態に係る重さ変更システムSを示す全体図である。図1に示すように、本実施形態では、取り扱いに注意を要する荷(以下、単に「要注意の荷」という)CWの表面には、取扱い注意の記号Mが表示されている。重さ変更システムSは、この記号Mが表示された要注意の荷CWに対して、フォークリフト1の操作時におけるペダル14およびレバー15の重さを重くして、運転者Hに慎重な操作をさせるよう構成されている。要注意の荷CWとは、例えば、精密機器、ガラス製品、芸術作品、液体、化学物質などが格納された荷が該当する。
【0020】
<フォークリフトの構成>
図2は、重さ変更システムSを備えたフォークリフト1の側面図である。フォークリフト1は、バッテリ式のカウンターフォークリフトである。フォークリフト1は、複数の車輪10と、車体11と、運転席12と、ヘッドガード13と、ペダル14と、レバー15と、左右のマスト16と、左右のフォーク17と、スピーカ19(図3参照)と、重さ変更部21(図3参照)と、顔カメラ22と、荷カメラ23と、制御部30(図3参照)と、を備えている。このスピーカ19と、重さ変更部21と、顔カメラ22と、荷カメラ23と、制御部30とを備えたシステムが本実施形態に係る重さ変更システムSである。
【0021】
複数の車輪10は、車体11の四方に設けられている。運転席12は、車体11の上に設けられており、ヘッドガード13は、運転席12の上方に設けられている。
【0022】
ペダル14は、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、インチングペダルとを有し、運転席12の下部に設けられている。本発明における「ペダル」は、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、インチングペダルなどの少なくとも1つのペダルを有すればよく、これら全てのペダルを有さなくてもよい。
【0023】
レバー15は、リフトレバーと、チルトレバーとを有し、運転席12の前部に設けられている。レバー15は、フォーク17を左右にスライドさせるためのスライドレバーを有していてもよい。本発明における「レバー」は、リフトレバーと、チルトレバーなどの少なくとも1つのレバーを有すればよく、これら全てのレバーを有さなくてもよい。
【0024】
左右のフォーク17は、左右のマスト16を介して昇降可能に構成されており、運転者Hは、リフトレバーを操作してフォーク17を昇降させて荷役作業を行う。
【0025】
スピーカ19は、後で説明する重さ変更の予告を運転者Hに報知するための予告音声を発する。予告音声は、例えば、ペダル14およびレバー15の重さが重くされる場合には「要注意の荷です。ペダルおよびレバーの重さを重くします。」といったものでもよい。
【0026】
重さ変更部21は、後で説明する変更指令部307(図3参照)の指令に基づいて、レバー15およびペダル14の操作する際の重さを変更する。重さ変更部21は、ペダル14の重さを変更するペダル重さ変更部と、レバー15の重さを操作するレバー重さ変更部とを有する。なお、重さ変更部21は、ペダル14およびレバー15のいずれか一方の重さを変更するよう構成されている場合には、ペダル重さ変更部およびレバー重さ変更部のいずれか一方を有することになる。
【0027】
ペダル重さ変更部は、変更指令部307の指令に基づいて、運転者Hが踏み込んだ際のペダル14の重さを変更する。ペダル重さ変更部は、例えば、油圧によって重さを調整できる装置、ばねによって重さを調整できる装置によって構成されている。
【0028】
また、例えば、ペダル重さ変更部は、ペダル14の踏力をアシストするアシスト装置としてもよい。この場合、ペダル重さ変更部は、変更指令部307の指令に基づいて、アシスト力を調整し、実質的に運転者Hが踏み込んだ際のペダル14の重さを変更してもよい。
【0029】
または、ペダル重さ変更部は、例えば、変更指令部307の指令に基づいて、ペダル14の踏力量に応答する各装置の動力または制止力の大きさを変更するよう構成されてもよい。これにより、ペダル重さ変更部は、実質的にペダル14の重さを変更する。
【0030】
レバー重さ変更部は、例えば、油圧によってレバー15の重さを調整できる装置、または、ばねによってレバー15の重さを調整できる装置によって構成されている。
【0031】
また、例えば、レバー重さ変更部は、レバー15の重さに対する操作をアシストするアシスト装置としてもよい。この場合、レバー重さ変更部は、変更指令部307の指令に基づいて、アシスト力を調整し、実質的に運転者Hが操作する際のレバー15の重さを変更してもよい。
【0032】
または、レバー重さ変更部は、例えば、変更指令部307の指令に基づいて、レバー15の操作量に応答する各装置の動力の大きさを変更するよう構成されてもよい。これにより、レバー重さ変更部は、実質的にレバー15の重さを変更する。
【0033】
顔カメラ22は、ヘッドガード13の下面に配置されており、運転者Hを撮影して顔画像を生成する。生成された顔画像は、制御部30に送信される。
【0034】
荷カメラ23は、ヘッドガード13を指示するピラーの前面に配置されている。荷カメラ23は、荷取する荷を撮影し、荷画像を生成する。生成された荷画像は、制御部30に送信される。
【0035】
制御部30は、車体11内に配置されたコンピュータによって構成されており、演算装置と、記憶装置と、メモリと、を有する。記憶装置には、コンピュータを後で説明する技能スコア取得部302、荷特定部303、重さ決定部305、変更予告部306および変更指令部307として実行させる重さ変更プログラムが記憶されている。
【0036】
<重さ変更システムの機能的構成>
次に、重さ変更システムSの機能的構成について説明する。図3に示すように、制御部30は、記憶部301と、技能スコア取得部302と、荷特定部303と、重さ決定部305と、変更予告部306と、変更指令部307と、を有する。
【0037】
記憶部301は、運転者Hの顔画像と、その顔画像に対応する技能スコアとを運転者Hと紐づけて記憶している。技能スコアは、運転者Hの荷役作業に係る技能に関するスコアであって、この技能には、例えば、フォークリフト1の走行に関する技能、荷取作業に関する技能および荷置作業に関する技能のすべてまたはそのいずれかが含まれていてもよい。技能スコアは、特定のテストによって算出されたスコアでもよいし、運転者H自身の評価によるスコアでもよいし、運転者Hの経験年数に基づいて算出されたスコアでもよい。
【0038】
技能スコア取得部302は、顔カメラ22によって生成された顔画像を参照して、記憶部301に記憶されている運転者Hの顔画像を特定するとともに、その顔画像に対応する技能スコアを記憶部301から取得する。取得された技能スコアは、重さ決定部305に送信される。
【0039】
なお、技能スコア取得部302による技能スコアの取得方法は、これに限定されない。例えば、技能スコア取得部302は、運転者Hによって入力された技能スコアを受信することにより運転者Hの技能スコアを取得してもよい。この場合、重さ変更システムSは、さらに入力装置を備える。
【0040】
また、例えば、運転者Hが技能スコアの記憶されたIDカードを有している場合、重さ変更システムSは、IDカード読取装置をさらに備え、技能スコア取得部302は、IDカードの情報を参照することにより運転者Hの技能スコアを特定してもよい。技能スコア取得部302が顔画像を参照して技能スコアを取得しない構成の場合、重さ変更システムSは、顔カメラ22を備えなくてもよい。
【0041】
荷特定部303は、荷画像に取扱い注意の記号Mが含まれているか否かを判定する。そして、荷特定部303は、荷画像に取り扱い注意の記号Mが含まれている場合、その荷画像に係る荷を要注意の荷CWであると特定する。
【0042】
なお、荷特定部303による要注意の荷CWを特定する方法は、これに限定されない。例えば、荷特定部303は、荷画像に要注意の荷CWに関する画像が含まれていると、要注意の荷CWであると特定してもよい。この場合、要注意の荷CWに関する画像には、要注意の荷CWの特定の箱の色、特定のテープの色、特定の箱やテープの模様、特定の絵、特定の写真、特定の文字、特定の図形、特定の包装部材のうちの少なくとも1つの画像が含まれる。また、荷特定部303は、要注意の荷CWに関する大量の画像を教師データとして予め機械学習し、荷画像を入力されると要注意の荷CWであるか否かの判定を出力する学習済みモデルを有してもよい。この学習済みモデルは、ディープニューラルネットワークによる機械学習によって学習されていてもよい。
【0043】
重さ決定部305は、荷特定部303によって荷が要注意の荷CWであると特定されると、要注意でない荷を荷役作業するときよりもペダル14およびレバー15の重さを重くするよう決定する。さらに、重さ決定部305は、荷が要注意の荷CWであって、かつ取得された運転者Hの技能スコアが所定の技能スコア未満のとき、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くするよう決定する。所定の技能スコアは、例えば、フォークリフト1の操作が未熟である運転者Hの技能スコアを超えるよう設定されてもよい。これにより、重さ決定部305は、運転者Hの操作が未熟であるとき、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くするよう決定することができる。
【0044】
変更予告部306は、重さ決定部305によってペダル14およびレバー15の重さが重くするよう決定されると、ペダル14およびレバー15の重さの変更を運転者Hにスピーカ19による音声によって予告する。これにより、変更予告部306は、ペダル14およびレバー15の重さの変更を運転者Hに認識させる。また、これにより、変更予告部306は、荷が要注意の荷CWであることを運転者Hに認識させる。
【0045】
変更指令部307は、重さ決定部305の決定にしたがって、重さ変更部21を制御して、ペダル14およびレバー15の重さを変更させる。これにより、重さ変更システムSは、要注意の荷CWのときには、ペダル14およびレバー15の重さを重くすることにより、運転者Hに慎重な操作をさせて急ブレーキ、急発進、急な昇降、大きな操作ミスなどを防止する。その結果、重さ変更システムSは、注意を要する荷CWの内容物の破損、故障を防止することができる。また、重さ変更システムSは、要注意の荷CWでないときには、ペダル14およびレバー15の重さを重くさせないことにより、ペダル14およびレバー15の操作を素早く行わせることができる。
【0046】
<重さ変更システムのフロー>
次に、図4のフロー図を参照しつつ、本実施形態に係る重さ変更システムSの動作をあらためて説明する。
【0047】
(1)まず、重さ変更システムSは、運転者Hを撮影して顔画像を生成し、この顔画像から運転者Hを特定し(図4のS1参照)、特定した運転者Hの技能スコアを取得する(図4のS2参照)。
【0048】
(2)次いで、重さ変更システムSは、荷カメラ23によって荷を撮像して荷画像を生成する(図4のS3参照)。
【0049】
(3)次いで、重さ変更システムSは、荷画像を参照して荷が要注意の荷CWであるか否かを特定し、荷が要注意の荷CWであるとき(図4のS4のYes)、ペダル14およびレバー15の重さを重くするよう決定する(図4のS5参照)。
【0050】
(4)次いで、重さ変更システムSは、運転者Hの技能スコアが所定の技能スコア未満のとき(図4のS6のYes)、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くするよう決定する(図4のS7参照)。一方、重さ変更システムSは、運転者Hの技能スコアが所定の技能スコア以上のとき(図4のS6のNo)、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くしない(図4のS8に進む)。
【0051】
(5)重さ変更システムSは、ペダル14およびレバー15の重さを重くするよう決定すると、ペダル14およびレバー15の重さを重くすることを運転者Hに予告し(図4のS8参照)、ペダル14およびレバー15の重さを重くする(図4のS9参照)。
【0052】
このように、重さ変更システムSは、全ての荷に対する荷役作業に関してペダル14およびレバー15の重さを一律に重くするのではなく、要注意の荷CWに対する荷役作業に関してのみペダル14およびレバー15の重さを重くする。これにより、重さ変更システムSは、要注意の荷CWに対してはペダル14およびレバー15を慎重に操作させ、通常の荷に対しては素早く操作をさせる。その結果、重さ変更システムSは、荷CWの破損を防止しつつ、荷役作業の速度を比較的維持することができる。
【0053】
しかも、重さ変更システムSは、技能スコアが低い運転者Hに対しては、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くすることにより、未熟でない運転者Hよりもさらに慎重な操作をさせることができる。このように、重さ変更システムSは、未熟な運転者Hにのみさらにペダル14およびレバー15の重さを重くすることにより、未熟でない運転者Hには未熟な運転者Hよりも素早く操作をさせることができる。
【0054】
以上、本発明に係る重さ変更システムの一実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明に係る重さ変更システムは、例えば、次の変形例ごとに実施されたり各変形例を組み合わせて実施されてもよい。
【0055】
<変形例>
・フォークリフト1は、リーチ式フォークリフトであってもよい。この場合、ペダル14には、プレゼンスペダルが含まれてもよい。また、フォークリフト1は、エンジン式のフォークリフトであってもよい。この場合、ペダル14には、クラッチペダルが含まれてもよい。さらに、フォークリフト1がリーチ式フォークリフトの場合、レバー15には、アクセルレバーが含まれてもよい。また、上述したように、本発明における「ペダル」には、上記ペダルのうちの少なくとも1つが含まれ、「レバー」には、上記レバーのうちの少なくとも1つが含まれる。そして、本発明に係る重さ変更システムSは、上記レバーおよびペダルのうちの少なくとも1つの重さを変更する。
【0056】
・制御部30のうちのいずれかの構成は、例えば、クラウド上に設けられたサーバコンピュータによって構成されてもよい。この場合、重さ変更システムSは、このサーバコンピュータと互いに通信することにより、ペダル14およびレバー15またはそのいずれかの重さを変更する。
【0057】
・フォークリフト1は、スピーカ19の代わりにモニタを備え、変更予告部306は、このモニタによってレバー15およびペダル14またはそのいずれかの重さを変更することを予告してもよい。
【0058】
・重さ変更システムSは、荷が荷の情報を記憶したタグを有する場合、このタグ情報を読み取る読取装置をさらに備えてもよい。この場合、荷特定部303は、読取装置に読み取られた荷の情報を参照して、要注意の荷CWであるか否かを特定する。また、この場合、タグは、例えば、RFIDタグでもよく、タグの種類を特に限定されない。また、タグは、シール状で構成され、荷に貼付されていてもよい。
【0059】
・重さ変更システムSは、荷役作業が荷の情報が含まれた荷役スケジュールに基づいて行われる場合、記憶部301は、この荷役スケジュールを記憶するよう構成されていてもよい。この場合、荷特定部303は、荷の情報を参照して要注意の荷CWであるか否かを特定する。
【0060】
・要注意の荷CWの荷取位置および荷置位置またはそのいずれかが特定の位置とされており、荷役スケジュールには、各荷の荷取位置、荷置位置が含まれている場合、記憶部301は、この荷役スケジュールを記憶するよう構成されていてもよい。この場合、荷特定部303は、荷役スケジュールを参照し、荷の荷置位置および荷取位置の両方またはそのいずれかが、この特定の位置のとき、要注意の荷CWであると特定する。図5Aは、要注意の荷CWが置かれる特定の棚SRを示し、図5Bは要注意の荷CWを運搬するトラックが停車する特定のエリアSEを示している。荷特定部303は、荷の荷取位置および荷置位置またはそのいずれかが、例えば、この特定の棚SRであったり、この特定のエリアSEであったりしたとき、荷を要注意の荷CWであると特定する。
【符号の説明】
【0061】
S 重さ変更システム
H 運転者
CW 要注意の荷
M 記号
TR 通常の棚
SR 特定の棚
TE 通常のエリア
SE 特定のエリア
1 フォークリフト
10 車輪
11 車体
12 運転席
13 ヘッドガード
14 ペダル
15 レバー
16 マスト
17 フォーク
19 スピーカ
21 重さ変更部
22 顔カメラ
23 荷カメラ
30 制御部
301 記憶部
302 技能スコア取得部
303 荷特定部
305 重さ決定部
306 変更予告部
307 変更指令部
図1
図2
図3
図4
図5