(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155220
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】重さ変更システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/20 20060101AFI20251006BHJP
【FI】
B66F9/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024058903
(22)【出願日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 良平
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA02
3F333BB02
3F333CA21
3F333FA16
3F333FA36
3F333FE05
3F333FE09
(57)【要約】
【課題】自律制御によらない荷役作業において、運転者が慎重に荷役作業を行えるようアシストする。
【解決手段】重さ変更システムSは、フォークリフト1に用いられるシステムであって、重さ変更部と、重さ決定部と、変更指令部と、を備えている。重さ変更部は、フォークリフト1のペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する。荷役位置特定部は、荷取位置および荷置位置の両方またはそのいずれかである荷役位置が特定の位置CPまたは特定のエリアCE内であるか否かを特定する。重さ決定部は、荷役位置が特定の位置CPまたは特定のエリアCE内であるとき、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを重くするよう決定する。変更指令部は、重さ決定部の決定に従って、重さ変更部を制御して、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトに用いられる重さ変更システムであって、
前記フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更部と、
荷取位置および荷置位置の両方またはそのいずれかである荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であるか否かを特定する荷役位置特定部と、
前記荷役位置が前記特定の位置または前記特定のエリア内であるとき、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さを重くするよう決定する重さ決定部と、
前記重さ決定部の決定に従って、前記重さ変更部を制御して、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さを変更させる変更指令部と、を備える、重さ変更システム。
【請求項2】
前記荷役位置を撮影して荷役位置画像を生成する荷役位置カメラをさらに備え、
前記荷役位置特定部は、前記荷役位置画像に基づいて前記荷役位置が前記特定の位置または前記特定のエリア内であるか否かを特定する、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項3】
荷役スケジュールを記憶する記憶部をさらに備え、
前記荷役スケジュールには、前記荷役位置が含まれており、
前記荷役位置特定部は、前記荷役スケジュールの前記荷役位置を参照して前記荷役位置が前記特定の位置または前記特定のエリア内であるか否かを特定する、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項4】
運転者の技能スコアを記憶する記憶部と、
前記運転者を特定するとともに、特定した前記運転者の前記技能スコアを取得する技能スコア取得部と、をさらに備え、
前記重さ決定部は、前記荷役位置が前記特定の位置または前記特定のエリア内であって、かつ取得された前記運転者の前記技能スコアが所定の技能スコア未満のとき、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さをさらに重くするよう決定する、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項5】
前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さが変更されることを運転者に予告する変更予告部をさらに備える、請求項1に記載の重さ変更システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の重さ変更システムを備える、フォークリフト。
【請求項7】
フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更部と、コンピュータとを備えた重さ変更システムに用いられるプログラムであって、
前記コンピュータに、
荷取位置および荷置位置の両方またはそのいずれかである荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であるか否かを特定することと、
前記荷役位置が前記特定の位置または前記特定のエリア内であるとき、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さを重くするよう決定することと、
決定した重さに従って、前記重さ変更部を制御して、前記ペダルおよび前記レバーまたはそのいずれかの重さを変更させることと、を実行させる、重さ変更プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォークリフトトラックの作業制御システムが開示されている。このシステムでは、記憶部と、車載コントローラとを備えている。記憶部は、荷置位置、荷取位置である棚の棚板の高さと傾きとを予め記憶している。車載コントローラは、運転者によって、リフト操作、チルト操作が行われると、記憶された高さ、傾きに従って、フォークを昇降、傾動させる。これにより、このシステムは、荷置位置、荷取位置の高さ、傾きに関わらず、容易に荷役作業を行うことができる。
【0003】
ところで、荷置位置、荷取位置の傾きや高さが予め決まっているのであれば、例えば、自律して荷役作業が可能な無人式のフォークリフトによっても作業を行うことができる。一方、トラックの荷台が荷置位置、荷取位置であったりすると、荷台の高さはトラックの種類によって異なるし、荷台の傾きも、トラック停車位置の傾きによって安定しないことがある。したがって、トラックのような固定されていない荷置位置、荷取位置の場合、特許文献1のようなシステムが使えない。しかも、トラックの荷台への荷役作業は、荷と荷との間を詰めてなるべく多くの荷を積むことを要求されることが多い。そのような注意を要する荷取位置、荷置位置への荷役作業においては、結局のところ、運転者が慎重に荷役作業を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、自律制御によらない荷役作業において、運転者が慎重に荷役作業を行えるようアシストするシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る重さ変更システムは、
フォークリフトに用いられる重さ変更システムであって、
フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更部と、
荷取位置および荷置位置の両方またはそのいずれかである荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であるか否かを特定する荷役位置特定部と、
荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であるとき、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを重くするよう決定する重さ決定部と、
重さ決定部の決定に従って、重さ変更部を制御して、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更させる変更指令部と、を備える。
【0007】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
荷役位置を撮影して荷役位置画像を生成する荷役位置カメラをさらに備え、
荷役位置特定部は、荷役位置画像に基づいて荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であるか否かを特定する。
【0008】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
荷役スケジュールを記憶する記憶部をさらに備え、
荷役スケジュールには、荷役位置が含まれており、
荷役位置特定部は、荷役スケジュールの荷役位置を参照して荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であるか否かを特定する。
【0009】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
運転者の技能スコアを記憶する記憶部と、
運転者を特定するとともに、特定した運転者の技能スコアを取得する技能スコア取得部と、をさらに備え、
重さ決定部は、荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であって、かつ取得された運転者の技能スコアが所定の技能スコア未満のとき、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さをさらに重くするよう決定する。
【0010】
上記重さ変更システムは、好ましくは、
ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さが変更されることを運転者に予告する変更予告部をさらに備える。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るフォークリフトは、
上記いずれかに記載の重さ変更システムを備える。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る重さ変更プログラムは、
フォークリフトのペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更する重さ変更部と、コンピュータとを備えた重さ変更システムに用いられるプログラムであって、
コンピュータに、
荷取位置および荷置位置の両方またはそのいずれかである荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であるか否かを特定することと、
荷役位置が特定の位置または特定のエリア内であるとき、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを重くするよう決定することと、
決定した重さに従って、重さ変更部を制御して、ペダルおよびレバーまたはそのいずれかの重さを変更させることと、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る重さ変更システムは、注意を要する荷役作業において、運転者が慎重に荷役作業を行えるようアシストすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る重さ変更システムに係る荷役作業を示す図である。
【
図2】
図1に示されたフォークリフトの側面図である。
【
図4】重さ変更システムの動作を示すフロー図である。
【
図5】変形例に係る重さ変更システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図を参照しつつ、本発明に係る重さ変更システムの一実施形態について説明する。本実施形態に係る重さ変更システムSは、ペダルおよびレバーの両方の重さを変更するよう構成されているが単なる一例であって、本発明に係る重さ変更システムは、ペダルおよびレバーのいずれか一方の重さを変更するよう構成されていてもよい。
【0016】
図1は、本実施形態に係る重さ変更システムSに係る荷役作業を示す図である。
図1に示すように、フォークリフト1は、管理装置4から受信した荷役スケジュールに従って、第1棚R1と、第2棚R2と、トラックTとの間で荷Wの搬送を行うよう構成されている。
【0017】
図1に示すように、本実施形態では、第2棚R2の1段目の収納空間の位置(すなわち、1段目の棚板SPの上面の位置)は、特定の位置CPとして設定されている。第2棚R2の1段目の棚板SPには、荷置可能な数の限界まで荷Wが置かれる予定であるため、運転者Hは、荷Wを詰めておく必要がある。したがって、この第2棚R2の1段目の収納空間の位置は、運転者Hが慎重に荷置作業を行う必要がある位置であるため、特定の位置CPとして設定されている。
【0018】
また、
図1に示すように、本実施形態では、トラックTの停車エリアは、特定のエリアCEとして設定されている。運転者Hは、トラックTの荷台に荷置する場合には、常に荷Wを詰めておくよう指示されている。また、トラックTが停車するエリアは、舗装がされていないエリアであって、例えば、雨の日には、地面のぬかるみにより、トラックTが傾き、荷台が水平でないときもある。したがって、運転者Hは、トラックTの荷台から慎重に荷取作業をする必要がある。そのため、この停車エリアは、運転者Hが慎重に荷置作業、荷取作業を行う必要があるエリアであるため、特定のエリアCEとして設定されている。
【0019】
<フォークリフトの構成>
図2は、重さ変更システムSを備えたフォークリフト1の側面図である。フォークリフト1は、バッテリ式のカウンターフォークリフトである。フォークリフト1は、複数の車輪10と、車体11と、運転席12と、ヘッドガード13と、ペダル14と、レバー15と、左右のマスト16と、左右のフォーク17と、スピーカ19(
図3参照)と、重さ変更部21(
図3参照)と、顔カメラ22と、制御部30(
図3参照)と、を備えている。このスピーカ19と、重さ変更部21と、顔カメラ22と、制御部30とを備えたシステムが本実施形態に係る重さ変更システムSである。
【0020】
複数の車輪10は、車体11の四方に設けられている。運転席12は、車体11の上に設けられており、ヘッドガード13は、運転席12の上方に設けられている。
【0021】
ペダル14は、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、インチングペダルとを有し、運転席12の下部に設けられている。本発明における「ペダル」は、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、インチングペダルなどの少なくとも1つのペダルを有すればよく、これら全てのペダルを有さなくてもよい。
【0022】
レバー15は、リフトレバーと、チルトレバーとを有し、運転席12の前部に設けられている。レバー15は、フォーク17を左右にスライドさせるためのスライドレバーを有していてもよい。本発明における「レバー」は、リフトレバーと、チルトレバーなどの少なくとも1つのレバーを有すればよく、これら全てのレバーを有さなくてもよい。
【0023】
左右のフォーク17は、左右のマスト16を介して昇降可能に構成されており、運転者Hは、リフトレバーを操作してフォーク17を昇降させて荷役作業を行う。
【0024】
スピーカ19は、後で説明する重さ変更の予告を運転者Hに報知するための予告音声を発する。予告音声は、例えば、ペダル14およびレバー15の重さが重くされる場合には「特定の荷役位置です。ペダル14およびレバー15の重さを重くします。」といったものでもよい。
【0025】
重さ変更部21は、後で説明する変更指令部307(
図3参照)の指令に基づいて、レバー15およびペダル14の操作する際の重さを変更する。重さ変更部21は、ペダル14の重さを変更するペダル重さ変更部と、レバー15の重さを操作するレバー重さ変更部とを有する。なお、重さ変更部21は、ペダル14およびレバー15のいずれか一方の重さを変更するよう構成されている場合には、ペダル重さ変更部およびレバー重さ変更部のいずれか一方を有することになる。
【0026】
ペダル重さ変更部は、変更指令部307の指令に基づいて、運転者Hが踏み込んだ際のペダル14の重さを変更する。ペダル重さ変更部は、例えば、油圧によって重さを調整できる装置、ばねによって重さを調整できる装置によって構成されている。
【0027】
また、例えば、ペダル重さ変更部は、ペダル14の踏力をアシストするアシスト装置としてもよい。この場合、ペダル重さ変更部は、変更指令部307の指令に基づいて、アシスト力を調整し、実質的に運転者Hが踏み込んだ際のペダル14の重さを変更してもよい。
【0028】
または、ペダル重さ変更部は、例えば、変更指令部307の指令に基づいて、ペダル14の踏力量に応答する各装置の動力または制止力の大きさを変更するよう構成されてもよい。これにより、ペダル重さ変更部は、実質的にペダル14の重さを変更する。
【0029】
レバー重さ変更部は、例えば、油圧によってレバー15の重さを調整できる装置、または、ばねによってレバー15の重さを調整できる装置によって構成されている。
【0030】
また、例えば、レバー重さ変更部は、レバー15の重さに対する操作をアシストするアシスト装置としてもよい。この場合、レバー重さ変更部は、変更指令部307の指令に基づいて、アシスト力を調整し、実質的に運転者Hが操作する際のレバー15の重さを変更してもよい。
【0031】
または、レバー重さ変更部は、例えば、変更指令部307の指令に基づいて、レバー15の操作量に応答する各装置の動力の大きさを変更するよう構成されてもよい。これにより、レバー重さ変更部は、実質的にレバー15の重さを変更する。
【0032】
顔カメラ22は、ヘッドガード13の下面に配置されており、運転者Hを撮影して顔画像を生成する。生成された顔画像は、制御部30に送信される。
【0033】
制御部30は、車体11内に配置されたコンピュータによって構成されており、演算装置と、記憶装置と、メモリと、を有する。記憶装置には、コンピュータを後で説明する技能スコア取得部302、荷役位置特定部303、重さ決定部305、変更予告部306および変更指令部307として実行させる重さ変更プログラムが記憶されている。
【0034】
<重さ変更システムの機能的構成>
次に、重さ変更システムSの機能的構成について説明する。
図3に示すように、制御部30は、記憶部301と、技能スコア取得部302と、荷役位置特定部303と、重さ決定部305と、変更予告部306と、変更指令部307と、を有する。
【0035】
記憶部301は、運転者Hの顔画像と、その顔画像に対応する技能スコアとを運転者Hと紐づけて記憶している。技能スコアは、運転者Hの荷役作業に係る技能に関するスコアであって、この技能には、例えば、フォークリフト1の走行に関する技能、荷取作業に関する技能および荷置作業に関する技能の全てまたはそのいずれかが含まれていてもよい。技能スコアは、特定のテストによって算出されたスコアでもよいし、運転者H自身の評価によるスコアでもよいし、運転者Hの経験年数に基づいて算出されたスコアでもよい。
【0036】
また、記憶部301は、管理装置4から送信される荷役スケジュールを記憶する。ただし、記憶部301が荷役スケジュールを記憶する方法は、これに限定されない。例えば、記憶部301は、運転者Hから入力された荷役スケジュールを記憶してもよい。荷役スケジュールには、複数の荷役作業に係る各荷取位置および各荷置位置(以下、まとめて「荷役位置」という)が含まれている。そして、記憶部301は、特定の位置(本実施形態では、第2棚R2の1段目の収納空間の位置)CPおよび特定のエリア(本実施形態では、トラックTの停車エリア)CEを記憶している。
【0037】
技能スコア取得部302は、顔カメラ22によって生成された顔画像を参照して、記憶部301に記憶されている運転者Hの顔画像を特定するとともに、その顔画像に対応する技能スコアを記憶部301から取得する。取得された技能スコアは、重さ決定部305に送信される。
【0038】
なお、技能スコア取得部302による技能スコアの取得方法は、これに限定されない。例えば、技能スコア取得部302は、運転者Hによって入力された技能スコアを受信することにより運転者Hの技能スコアを取得してもよい。この場合、重さ変更システムSは、さらに入力装置を備える。
【0039】
また、例えば、運転者Hが技能スコアの記憶されたIDカードを有している場合、重さ変更システムSは、IDカード読取装置をさらに備え、技能スコア取得部302は、IDカードの情報を参照することにより運転者Hの技能スコアを特定してもよい。技能スコア取得部302が顔画像を参照して技能スコアを取得しない構成の場合、重さ変更システムSは、顔カメラ22を備えなくてもよい。
【0040】
荷役位置特定部303は、荷役スケジュールを参照し、次の荷役位置が特定の位置CPまたは特定のエリアCE内であるか否かを特定する。
【0041】
重さ決定部305は、荷役位置特定部303によって次の荷役位置が特定の位置CPまたは特定のエリアCE内であると特定されると、ペダル14およびレバー15またはそのいずれかの重さを重くするよう決定する。さらに、重さ決定部305は、荷役位置が特定の位置CPまたは特定のエリアCE内であって、かつ取得された運転者Hの技能スコアが所定の技能スコア未満のとき、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くするよう決定する。所定の技能スコアは、例えば、フォークリフト1の操作が未熟である運転者Hの技能スコアを超えるよう設定されてもよい。これにより、重さ決定部305は、運転者Hの操作が未熟であるとき、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くするよう決定することができる。
【0042】
変更予告部306は、重さ決定部305によってペダル14およびレバー15の重さが重くするよう決定されると、ペダル14およびレバー15の重さの変更を運転者Hにスピーカ19による音声によって予告する。これにより、変更予告部306は、ペダル14およびレバー15の重さの変更を運転者Hに認識させる。
【0043】
変更指令部307は、重さ決定部305の決定に従って、重さ変更部21を制御して、ペダル14およびレバー15の重さを変更させる。これにより、重さ変更システムSは、運転者Hが慎重に荷役作業を行えるようアシストすることができる。また、重さ変更システムSは、慎重に荷役操作を行う必要がない荷役位置のときには、ペダル14およびレバー15の重さを重くさせないことにより、ペダル14およびレバー15の操作を素早く行わせることができる。
【0044】
<重さ変更システムのフロー>
次に、
図4のフロー図を参照しつつ、本実施形態に係る重さ変更システムSの動作をあらためて説明する。
【0045】
(1)まず、重さ変更システムSは、運転者Hを撮影して顔画像を生成し、この顔画像から運転者Hを特定し(
図4のS1参照)、特定した運転者Hの技能スコアを取得する(
図4のS2参照)。
【0046】
(2)次いで、重さ変更システムSは、スケジュールを参照して、次の荷役位置が特定の位置CPまたは特定のエリアCE内であるとき(
図4のS4のYes)、ペダル14およびレバー15の重さを重くするよう決定する(
図4のS5参照)。
【0047】
(3)次いで、重さ変更システムSは、運転者Hの技能スコアが所定の技能スコア未満のとき(
図4のS6のYes)、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くするよう決定する(
図4のS7参照)。一方、重さ変更システムSは、運転者Hの技能スコアが所定の技能スコア以上のとき(
図4のS6のNo)、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くしない(
図4のS8に進む)。
【0048】
(4)重さ変更システムSは、ペダル14およびレバー15の重さを重くするよう決定すると、ペダル14およびレバー15の重さを重くすることを運転者Hに予告し(
図4のS8参照)、ペダル14およびレバー15の重さを重くする(
図4のS9参照)。
【0049】
このように、重さ変更システムSは、特定の位置CPまたは特定のエリアCE内に関する荷役作業のとき、ペダル14およびレバー15の重さを重くすることにより注意を要する荷置作業に対して慎重な操作をアシストし、通常の荷役作業に関しては素早く操作をさせる。
【0050】
しかも、重さ変更システムSは、技能スコアが低い運転者Hに対しては、ペダル14およびレバー15の重さをさらに重くすることにより、未熟でない運転者Hよりもさらに慎重な操作をさせることができる。このように、重さ変更システムSは、未熟な運転者Hにのみさらにペダル14およびレバー15の重さを重くすることにより、未熟でない運転者Hには未熟な運転者Hよりも素早く操作をさせることができる。
【0051】
以上、本発明に係る重さ変更システムの一実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明に係る重さ変更システムは、例えば、次の変形例ごとに実施されたり各変形例を組み合わせて実施されたりしもよい。
【0052】
<変形例>
・フォークリフト1は、リーチ式フォークリフトであってもよい。この場合、ペダル14には、プレゼンスペダルが含まれてもよい。また、フォークリフト1は、エンジン式のフォークリフトであってもよい。この場合、ペダル14には、クラッチペダルが含まれてもよい。さらに、フォークリフト1がリーチ式フォークリフトの場合、レバー15には、アクセルレバーが含まれてもよい。また、上述したように、本発明における「ペダル」には、上記ペダルのうちの少なくとも1つが含まれ、「レバー」には、上記レバーのうちの少なくとも1つが含まれる。そして、本発明に係る重さ変更システムSは、上記レバーおよびペダルのうちの少なくとも1つの重さを変更する。
【0053】
・制御部30のうちのいずれかの構成は、例えば、クラウド上に設けられたサーバコンピュータによって構成されてもよい。この場合、重さ変更システムSは、このサーバコンピュータと互いに通信することにより、ペダル14およびレバー15またはそのいずれかの重さを変更する。
【0054】
・フォークリフト1は、スピーカ19の代わりにモニタを備え、変更予告部306は、このモニタによってレバー15およびペダル14またはそのいずれかの重さを変更することを予告してもよい。
【0055】
・
図5に示すように、重さ変更システムSは、例えば、荷役位置を撮影して荷役位置画像を生成する荷役位置カメラ23をさらに備え、荷役位置特定部303は、荷役位置画像に基づいて荷役位置が特定の位置CPまたは特定のエリアCE内であるか否かを特定してもよい。この場合、荷役位置カメラ23は、フォークリフト1に設けられ、少なくとも、フォークリフト1の進行方向を撮影するよう構成される。また、この場合、荷役位置特定部303は、学習済みモデルを備えてもよい。この場合の学習済みモデルは、例えば、特定の棚の画像や、トラックTの画像など、特定の位置CP、特定のエリアCEに関する画像を教師データとして予め機械学習し、荷役位置画像を入力されると、特定の位置CPまたは特定のエリアCEであるか否かを出力するよう構成されてもよい。学習済みモデルの機械学習方法は、特に限定されず、例えば、ディープニューラルネットワークを利用した学習方法でもよい。
【符号の説明】
【0056】
S 重さ変更システム
H 運転者
CP 特定の位置
CE 特定のエリア
R1 第1棚
R2 第2棚
T トラック
1 フォークリフト
10 車輪
11 車体
12 運転席
13 ヘッドガード
14 ペダル
15 レバー
16 マスト
17 フォーク
19 スピーカ
21 重さ変更部
22 顔カメラ
23 荷役位置カメラ
30 制御部
301 記憶部
302 技能スコア取得部
303 荷役位置特定部
305 重さ決定部
306 変更予告部
307 変更指令部
4 管理装置