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特開2025-15523情報処理装置、温室効果ガス削減量確認方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015523
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、温室効果ガス削減量確認方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20250123BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20250123BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250123BHJP
【FI】
G06Q10/00
G06Q50/02 ZAB
G06Q50/10
G06Q50/02
G06Q10/00 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024116235
(22)【出願日】2024-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2023118102
(32)【優先日】2023-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523275341
【氏名又は名称】Blue Farm株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】青木 大輔
【テーマコード(参考)】
5L010
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L050CC01
5L050CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】導入コストを抑制しつつ、信頼性の高いデータに基づいて環境への貢献度を示す情報処理装置、温室効果ガス削減量確認方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】環境貢献度提示システム100において、情報処理装置1は、植物の栽培地に配置されるセンサ装置50から温室効果ガスに関する環境データ及び/又は生産者端末2を通じて生産者によって入力された環境データを取得する栽培情報取得部と、前記環境データに基づいて植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を貢献度として算出する環境貢献度算出部と、貢献度を提示するための処理を行う環境貢献度提示部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の栽培地に配置されるセンサ装置から温室効果ガスに関する環境データを取得する栽培情報取得部と、
前記環境データに基づいて前記植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を貢献度として算出する環境貢献度算出部と、
前記貢献度を提示するための処理を行う環境貢献度提示部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記環境貢献度提示部は、前記温室効果ガス低減効果に基づいて前記植物の消費量に応じた前記貢献度を提示するための処理を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記栽培情報取得部は、生産者によって入力される情報を前記環境データとして取得する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記栽培情報取得部は、前記植物に施される肥料に関する肥料情報を取得し、
前記環境貢献度算出部は、前記肥料情報に基づく炭素排出量を反映して前記温室効果ガス低減効果を算出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記肥料情報に基づいて前記植物の生産者に対し、前記貢献度が向上するような前記肥料の付与方法を提案する施肥方法提案部を更に備える、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記環境貢献度算出部は、前記環境データに基づいて生物多様性の程度を示す生物多様性値を算出し、
前記環境貢献度提示部は、前記生物多様性値を前記貢献度の1つとして提示する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記栽培情報取得部は、前記栽培地を撮像した画像データを取得し、
前記環境貢献度算出部は、前記画像データに基づいて前記生物多様性値を算出する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
植物の栽培地に配置されるセンサ装置から温室効果ガスに関する環境データを取得する栽培情報取得ステップと、
前記環境データに基づいて前記植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を貢献度として算出する環境貢献度算出ステップと、
前記貢献度を提示するための処理を行う環境貢献度提示ステップと、
を含む、
温室効果ガス削減量確認方法。
【請求項9】
植物の栽培地に配置されるセンサ装置から温室効果ガスに関する環境データを取得する栽培情報取得ステップと、
前記環境データに基づいて前記植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を貢献度として算出する環境貢献度算出ステップと、
前記貢献度を提示するための処理を行う環境貢献度提示ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、温室効果ガス削減量確認方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ESG(Environment Social Governance)投資額が上昇しており、ESG投資を呼び込むため、国際的な非政府組織であるCDP(Carbon Disclosure Project)によって付与されるレーティングを高める環境施策が求められている。このような環境施策では、温室効果ガスの排出量が種々のデータに基づいて算出される。温室効果ガスの排出量の算出に関するものとして例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2024-017423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、温室効果削減効果がなく、実態が伴わないにもかかわらず、環境配慮を印象付けようとするグリーンウォッシュが行われる場合がある。CDPのレーティングを高める環境施策には、CDPへ記載可能な効果であるとともに、グリーンウォッシュではないことを示すための高い信頼性が求められる。しかしながら、温室効果削減効果は、温室効果ガスに影響するデータに基づいて算出されるが、算出元のデータが正しいか否かを確認することが難しい。また、営利活動を行う企業にとっては環境施策を導入するために必要なコストも導入の障害の1つとなっている。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、導入コストを抑制しつつ、信頼性の高いデータに基づいて環境への貢献度を示すことができる情報処理装置、温室効果ガス削減量確認方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、植物の栽培地に配置されるセンサ装置から温室効果ガスに関する環境データを取得する栽培情報取得部と、前記環境データに基づいて前記植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を貢献度として算出する環境貢献度算出部と、前記貢献度を提示するための処理を行う環境貢献度提示部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導入コストを抑制しつつ、信頼性の高いデータに基づいて環境への貢献度を示すことができる情報処理装置、温室効果ガス削減量確認方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が用いられる環境貢献度提示システムを示す図である。
図2】環境貢献度提示システムによって提供されるサービスの内容を示す模式図である。
図3】センサ装置の構成を示す模式図である。
図4】センサ装置の配置例を示す模式図である。
図5】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係る情報処理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図7】施肥情報の登録画面の一例を示す図である。
図8】施肥履歴の確認画面の一例を示す図である。
図9】茶園の炭素吸収量の算出方法を説明する模式図である。
図10】生産者端末に表示される栽培情報及び施肥情報の一例を示す図である。
図11】生産者端末に表示される認証取得を支援するための支援情報の前半部分を示す図である。
図12】生産者端末に表示される認証取得を支援するための支援情報の後半部分を示す図である。
図13】企業側端末に表示される貢献度情報の一例を示す図である。
図14】情報処理装置によって実行される環境貢献度提示処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<システム構成>
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。まず、全体的なシステム構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1が用いられる環境貢献度提示システム100を示す図である。
【0010】
環境貢献度提示システム100は、インターネット等の通信ネットワークを介して生産者端末2及び企業側端末3と各種情報の送受信を行う情報処理装置1によって実現される。情報処理装置1は、生産者端末2及び企業側端末3に対して温室効果ガス算出に関する種々の情報を提供するコンピュータであり、サーバとして機能する。
【0011】
生産者端末2は、お茶の栽培を行う生産者によって使用されるコンピュータである。生産者は、例えば、有機JAS(Japanese Agricultural Standards)栽培によりお茶を生産する。
【0012】
生産者端末2は、タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等によって構成される。生産者端末2は、予めインストールされたプログラム(アプリケーション)により、情報処理装置1と各種の情報をやり取りしてもよいし、ウェブブラウザを通じて各種の情報をやり取りしてもよい。
【0013】
企業側端末3は、生産者によって生産された植物を消費する企業の担当者によって使用されるコンピュータである。本実施形態では、植物は、お茶であって飲料101として消費される。企業側端末3は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等によって構成される。企業側端末3は、予めインストールされたプログラム(アプリケーション)により、情報処理装置1と各種の情報をやり取りしてもよいし、ウェブブラウザを通じて各種の情報をやり取りしてもよい。
【0014】
<サービス内容>
図2は、環境貢献度提示システム100によって提供されるサービスの内容を示す模式図である。環境貢献度提示システム100は、企業に対して飲料101の消費活動を炭素削減活動に変えるサービスを提供する。
【0015】
茶園は、森林として炭素を吸収する。情報処理装置1は、茶園に配置されるセンサ装置50から温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)に関する情報を取得し、茶園で生産された飲料101を購入することによる温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の削減効果を算出する。飲料101は、プラスチックを削減する観点からペットボトルではなく紙パック等のサステナブルの材料で容器が構成されることが好ましい。
【0016】
お茶の生産者は、情報処理装置1による温室効果ガスの削減効果の算出により、販売するお茶の環境価値を創出することができる。環境価値が付与された飲料101を企業が消費することにより、茶園の保存が可能となる。安定的な販売が実現することによって契約栽培や管理農地の拡大等も可能となり、茶園の存続によって耕作放棄地問題と炭素吸収量への社会的な貢献も達成できる。なお、お茶の生産は、一般的な農法と比較した場合の窒素肥料の削減量が40%になる有機栽培を用いることにより、より栽培で生じる炭素を削減することができる。
【0017】
一方、企業は、現在利用している飲料をお茶の生産者によって製造された飲料101に置き換えることにより、CDPに記載可能な環境効果を得ることができる。また、企業は、飲料消費活動に伴う炭素削減に関するデータ等の環境価値を、企業側端末3上に表示されるダッシュボード等によって情報処理装置1から取得することができる。
【0018】
また、飲料101の容器には、環境への貢献を示す情報やLP(Landing Page)ページをスマートフォン等のカメラ機能を有する端末に表示するためのQRコード(登録商標)等の識別コード102が付与することができる。端末上で表示されるLPページには、飲料101がどの茶園で作られているか、どのような茶園なのかを説明する茶園状況、飲料101を利用することによる環境的な価値、環境的価値を創出するための手段生産者の取り組み、取り組みに賛同する企業紹介、飲料101のプロダクトとしての商品詳細、商品の特徴等の各種情報が表示される。これにより、会議等で飲料101のQRコード(登録商標)を読んでもらうことにより、自社の社会・環境への取り組みを手軽にアピールすることができ、貢献活動を対外的に広めることができる。ひいては、顧客・投資家の評判の獲得による費用の減少、自社内でのロイヤリティの向上につなげることもできる。
【0019】
<センサ装置>
図3及び図4を参照し、栽培地から環境データを取得するセンサ装置50について説明する。センサ装置50は、茶を栽培する土壌の土壌データ、二酸化炭素濃度、気温、日照量等の二酸化炭素等の温室効果ガスに関する情報を取得するIOT(Internet of Things)機器である。土壌データは、例えば、土壌温度、土壌EC(電気伝導度)、土壌pH、土壌水分量、三大栄養素(窒素、リン酸、カリウム)含有量等である。
【0020】
図3は、センサ装置50の構成を示す模式図である。図3に示すセンサ装置50は、ケース51と、マイコンモジュール52と、カメラ53と、環境センサモジュール54と、土壌センサモジュール55と、ソーラパネルモジュール56と、通信モジュール57と、を備える。
【0021】
ケース51は、透明な透過部58を有する。透過部58の内部には、マイコンモジュール52、カメラ53、環境センサモジュール54及び通信モジュール57等が配置される。
【0022】
マイコンモジュール52は、カメラ53、環境センサモジュール54、通信モジュール57等の制御を行う電子部品である。カメラ53は、センサ装置50が配置される場所の画像データ又は動画データを取得する撮像装置である。環境センサモジュール54は、センサ装置50が配置される場所の温度、湿度、気圧等の環境データを計測する温度センサ、湿度センサ、気圧センサでもある。なお、環境センサモジュール54は、二酸化炭素濃度を直接検出する二酸化炭素濃度センサとしての機能を有してもよい。
【0023】
土壌センサモジュール55は、ケース51の外部に配置され、土壌データを取得する。ソーラパネルモジュール56は、ケース51の外部に配置され、太陽光発電によりセンサ装置50の動力となる電力を供給する。また、ソーラパネルモジュール56の発電量から日照量を算出することも可能である。通信モジュール57は、センサ装置50により取得される環境データを外部に送信する3G回線等の通信装置である。
【0024】
図4は、センサ装置50の配置例を示す模式図である。複数のセンサ装置50が茶を栽培する茶畑に配置される。図4(a)には、1haに合計16個のセンサ装置50が25m間隔で配置されており、1個のセンサ装置50が625mmの範囲の環境データを取得する。図4(b)には1haに合計9個のセンサ装置50が33m間隔で配置されており、1個のセンサ装置50が1089mmの範囲の環境データを取得する。図4(c)には1haに合計4個のセンサ装置50が50m間隔で配置されており、1個のセンサ装置50が2500mmの範囲の環境データを取得する。なお、図4の配置例は、一例であり、配置数、配置間隔は適宜変更できる。なお、センサ装置50は、特に限定されないが、土壌のpH(水素イオン指数)、EC(electrical conduction;電気伝導度)、窒素量の少なくとも1つ以上をセンシングできるとよい。また、センサ装置50は、複数設けられてもよい。
【0025】
<ハードウェア構成>
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0026】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0027】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSSD(Solid State Drive)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との間で通信を行う。
【0028】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0029】
ここで説明したハードウェア構成はあくまで一例である。情報処理装置1を含む本実施形態で説明するコンピュータは、図5の構成と共通する構成であってもよいし、異なる構成でもよい。また、コンピュータは、2台以上のコンピュータによって構成されてもよい。図1における生産者端末2及び企業側端末3は、例えば、図5で示したハードウェア構成と同様の構成を有するスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。
【0030】
<機能的構成>
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。情報処理装置1は、API(Application Programming Interface)により外部との各種データの送受信、また生産者から入力されるデータの処理、生産者と顧客企業へのデータ連携を実施する。次に、図6を参照し、環境貢献度提示システム100を実現する情報処理装置1の各機能について説明する。
【0031】
図6に示すように、情報処理装置1は、生産者管理部31と、栽培情報取得部32と、環境貢献度算出部33と、施肥方法提案部34と、生産者支援部35と、認証取得支援部36と、ドキュメント作成支援部37と、新規就農者支援部38と、顧客企業管理部41と、環境貢献度提示部42と、データ証明管理部43と、をプロセッサ(CPU11)上で実現される機能部として備える。
【0032】
生産者管理部31は、生産者向けにログイン・ログアウト処理を行うとともに生産者登録情報の登録・変更処理を行う。生産者登録情報は、例えば、生産者端末2を通じて生産者により入力される。
【0033】
栽培情報取得部32は、温室効果ガスに関する環境データの登録・変更を行う。環境データには、生産者が実施した栽培情報、生産者が茶園に使用した施肥情報、生物多様性を示す多様性情報等が含まれる。
栽培情報は、例えば、対象とする植物の種類、茶園の場所、植物の栽培を行う耕作地の面積、日照量、土壌データ等である。
施肥情報は、例えば、肥料の種類、肥料の量、施肥を行うタイミング等である。
多様性情報は、例えば、生物多様性を確認するための生物を被写体として含む画像、生物の存在を間接的に示す生育環境の情報等である。
環境データは、生産者端末2を通じて生産者によって入力された情報でもよいし、センサ装置50から通信ネットワークを介して取得される情報でもよい。
【0034】
<環境データの登録>
図7及び図8を参照し、施肥情報を例として生産者による環境データの登録処理について説明する。図7は、施肥情報の登録画面の一例を示す図である。
図7には、生産者が施肥情報を登録するために生産者端末2上で表示される画面が示されている。生産者は、この画面上で生産者端末2を操作することにより、カレンダー機能を利用した施肥した日付の設定やファイルを利用した施肥情報の登録や、特筆事項の記載を行うことができる。施肥情報には、施肥を行った日付、肥料の種類、施肥を行った対象の茶園を特定する情報(茶園A、茶園B、茶園C等)、肥料の分量等が含まれる。
【0035】
なお、施肥情報の登録は、生産者端末2上で生産者が入力することにより栽培情報取得部32により取得されてもよいし、ファイルの登録に伴って栽培情報取得部32により取得されてもよい。更に、茶園に配置されるセンサ装置50から施肥情報を取得する構成としてもよい。
【0036】
図8は、施肥履歴の確認画面の一例を示す図である。図8には、生産者によって行われた過去の施肥履歴を確認するために生産者端末2上で表示される画面が示されている。登録した施肥情報は、施肥履歴によって確認することができる。施肥履歴には、施肥を行った日付、肥料の種類、施肥を行った対象の茶園を特定する情報(茶園A、茶園B、茶園C等)、肥料の分量等が表示されている。
【0037】
次に、環境貢献度算出部33について説明する。環境貢献度算出部33は、栽培情報取得部32によって取得された環境データに基づいて植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を環境貢献度として算出する。温室効果ガス低減効果は、例えば、GHG吸収量、環境負荷軽減度、耕作放棄地削減量等である。温室効果ガス削減量は、炭素吸収量に基づいて算出される。
【0038】
<炭素吸収量の算出方法>
図9は、茶園の炭素吸収量の算出方法を説明する模式図である。図9に示すように、環境貢献度算出部33は、栽培情報に基づいて茶園の炭素吸収量を算出するとともに、施肥情報に基づいて肥料により排出される排出炭素量を算出する。茶園の炭素吸収量は、茶園で生育する植物の種類、茶園の面積、日照量、気温、湿度等を考慮して算出することができる。茶園の炭素吸収量の算出方法は特に限定されず、公知の算出方法を利用することもできる。
【0039】
環境貢献度算出部33は、茶園の炭素吸収量から茶園の栽培に用いた排出炭素量を差し引くことにより、信頼性の高い茶の栽培による炭素吸収量を算出する。更に、環境貢献度算出部33は、茶園の炭素吸収量と飲料101の購入量に基づいて飲料101を購入した顧客の温室効果削減量を算出することができる。温室効果削減量(例えば、CO2削減量)は、既存の種々の方法を採用することができる。
【0040】
環境負荷軽減度は、生物多様性の保持の程度を示す指標である。環境負荷軽減度は、センサ装置50から取得した画像データに被写体として含まれる生物の情報から算出される。環境貢献度算出部33は、例えば、画像データを解析し、画像中に含まれる虫や動物等の種類や数を継続的に監視し、種類や数の推移に基づいて判定する。あるいは、環境貢献度算出部33は、栽培情報から取得される茶園の面積や栽培される植物の種類等に基づいて生物の多様性を維持する生育環境に基づいて環境負荷軽減度を算出してもよい。
例えば、生物多様性については、以下の観点で評価することができる。
・土地利用の変化(長年農地として利用されてきた場所は評価が高い、森林を開墾して農地にするのは評価が低い)
・土地の利用方法の環境への影響(環境負荷の大きい農薬や化学肥料使用する慣行農法と比較する)
【0041】
耕作放棄地削減量は、例えば、栽培情報で登録される茶園の面積等に基づいて算出あれる。既存の耕作放棄地を利用することによって農地化した場合、生産者が耕作を放棄しようとしていた土地を利用した場合に、耕作放棄地削減量を高くする。
【0042】
施肥方法提案部34は、生産者に対して栽培情報に基づく施肥方法を提案する。本実施形態の施肥方法提案部34は、温室効果ガス低減効果を高める施肥方法の提案を行う。具体的には、施肥方法提案部34は、施肥方法の提案として、センサ装置50のセンシング結果(pH,EC、窒素量等)に基づいて、肥料の種類、肥料の量、施肥を行うタイミング等を提示する。施肥方法の一例について説明する。
【0043】
茶園における作物はGHG(Green House Gas)の発生量が多い作物の一つである。日本のお茶は「うまみ」が強調されており、その味を出すためには大量の窒素肥料の投入が必要不可欠である。しかし、現状は窒素肥料が過剰投入されており、その結果、土壌の劣化、農家の経営圧迫、窒素肥料由来のGHG排出といった負の側面をもたらしている。一方で、過剰な施肥がお茶の生育を良くするかと言えば必ずしもそうではなく、窒素を投入しても一定量以上はお茶に吸収されないことが知られている。すなわち、過剰に入れた窒素肥料のほとんどは無駄になっている。この原因の一つとして、適切な施肥タイミングや量がわからないという課題がある。そこで、本実施形態では、この課題を改善し、環境負荷の少ないお茶を生産可能にする。
【0044】
pHの例としては、土壌のpHは、pH3.5以下で根が傷み、窒素の吸収率が下がることが知られている。また、pH4.0以下で窒素が亜酸化窒素として放出されやすくなることが知られている。このことから、施肥方法提案部34は、土壌のpHが所定の値(Th1;例えば、4)より高い場合に、施肥を行うタイミングであることを提示する。
これにより、茶園における窒素肥料の吸収率の向上に寄与することができる。
【0045】
ECの例としては、土壌のECが高いと土壌中に窒素が多く残っており肥料の効率が下がるため、施肥方法提案部34は、土壌のECが所定の値より低い場合に、施肥を行うタイミングであることを提示する。
これにより、茶園における窒素肥料の吸収率の向上に寄与することができる。
【0046】
窒素量の例としては、窒素肥料をたくさん投入しても、お茶に吸収される窒素量は一定であることが知られている。よって、施肥方法提案部34は、単位面積あたりの窒素量をセンシングして、センシングした窒素量に対して、上記の一定量(所定の量)を超えない量の窒素となるように、窒素肥料の量を提示する。
これにより、農家における施肥量も削減でき、かつ環境に優しい茶園経営が期待できる。
【0047】
上述のように、効率よく施肥を行うことにより、それまでの過剰に施肥を行っていた場合と比較して、減らすことの出来た窒素肥料の量がわかり、ここから削減されたコストや削減された窒素肥料由来のGHG量を可視化することができる。従来、様々な土壌センサが用いられて、これらは全て作物の生育を監視するためのセンサであったが、本実施形態では、農業における環境負荷の可視化を行うことができる。
【0048】
また、施肥方法提案部34は、センサ装置50から土壌データを取得し、土壌の肥料の吸収性に応じて施肥タイミングや肥料の量を調整してもよい。
【0049】
生産者支援部35は、生産者を支援するための各種の支援情報を生産者端末2上に表示する。支援情報には栽培情報、生産者が茶園に使用した施肥情報、顧客情報、プロダクト情報等が含まれる。プロダクト情報は、生産した茶葉がどのような顧客・企業で使用しているかを示す情報である。
【0050】
<栽培情報及び施肥情報>
図10は、生産者端末2に表示される栽培情報及び施肥情報の一例を示す図である。図10の画面例には、月次の前年比生産量の棒グラフが生産者によって入力された栽培情報に基づいて表示される。また、月次施肥投入量の折れ線グラフが生産者によって入力された施肥情報に基づいて表示され、直近一週間の土壌Ph値、年間の土壌EC値のそれぞれの折れ線グラフと、月別の土壌水分量の棒グラフがセンサ装置50から取得された栽培情報に基づいて表示される。また、栽培情報に基づく住所により生産地マップが表示されるとともに、生産地画像がセンサ装置50から取得された画像情報に基づいて表示される。なお、生産地画像は、センサ装置50ではない別のカメラによって撮像された画像であってもよい。
【0051】
生産者は、図10に示されるような栽培情報等の各種情報を確認しつつ、茶園の状況を正確に把握しながら施肥等の栽培管理を行うことができる。また、図10に示す画面の上部には、「JAS認証の準備が整いました。有機JAS申請から手続を申請してください」と記載される通知部が表示される。生産者は、通知部の内容を確認することにより、行うべき作業を忘れることなく実施できる。
【0052】
次に、認証取得支援部36について説明する。認証取得支援部36は、生産者による認証機関の認証取得を支援する。認証取得支援部36は、例えば、生産者端末2の画面上で不図示の申請ボタンを押すことにより、認証を支援するための支援画面を表示する。
【0053】
<支援情報>
図11及び図12は、支援情報の一例を示す図である。図11、は生産者端末2に表示される認証取得を支援するための支援情報の前半部分を示す図であり、図12は支援情報の後半部分を示す図である。認証取得支援部36は、生産者による支援情報の表示指示を受け付けると、図11及び図12に示すような支援情報を生産者端末2に表示するための処理を行う。
【0054】
図11及び図12には、認証を取得するための手順が時系列のフローで示されている。この例では、有機JAS認証の取得を支援するための支援情報が示されている。図11には、「JAS認証について理解しましょう」、「JAS認証機関を学びましょう」、「JAS認証の準備をしましょう」、「申請書を提出しましょう」、「審査・判定」、「認証取得」等の手順が時系列で示されている。また、各手順には、手順を実行するためのアドバイスを示すテキストと、実施したか否かを示すチェックボタンと、が表示されている。なお、この例では、有機JAS認証を取得対象の認証として示したが、認証機関が有機JAS認証に限定される訳ではない。
【0055】
認証取得支援部36により、認証取得のための作業を把握することができ、生産者の認証取得の負担を効果的に低減できる。中山間地では平坦地のお茶栽培と比較すると大規模化が難しく、差別化するために有機JAS認証を取得する生産者も多い。このような生産者にとって認証取得支援部36の支援機能は特に有効である。
【0056】
ドキュメント作成支援部37は、栽培情報等の生産者によって登録したデータに基づいて所定の形式の書類を作成する。例えば、所定の形式の書類は、農協や農業委員会への提出書類である。ドキュメント作成支援部37は、予め設定されるテンプレートに対して生産者によって入力された情報を当てはめることによって所定の形式の提出書類を作成する。ドキュメント作成支援部37のサポート機能により、煩雑な書類作成の手間を軽減でき、生産者の負担を効果的に軽減できる。
【0057】
新規就農者支援部38は、新規に就農する人向けの支援機能である。生産者端末2上で新規に就農する人向けの支援機能が選択されると、新規就農者支援部38は新規に就農する人向けの情報を生産者端末2上に表示させる。
【0058】
顧客企業管理部41は、顧客企業向けにログイン・ログアウト処理を行うとともに顧客企業登録情報の登録・変更処理を行う。顧客企業登録情報は、例えば、生産者端末2を通じて生産者により入力される。
【0059】
環境貢献度提示部42は、飲料101の消費に伴う環境への貢献度を示す貢献度情報を企業側端末3に提示する。貢献度情報は、環境貢献度算出部33によって算出されたGHG吸収量、環境負荷軽減度、耕作放棄地削減量等の各種情報に基づいて生成される。環境貢献度提示部42は、例えば、顧客企業の飲料101の購入量に応じたGHG吸収量、環境負荷軽減度、耕作放棄地削減量等を算出し、企業側端末3に提示する。
【0060】
<貢献度情報>
図13は、企業側端末3に表示される貢献度情報の一例を示す図である。環境貢献度提示部42は、企業の担当者による貢献度情報の表示指示を受け付けると、図13に示すような貢献度情報を企業側端末3に表示するための処理を行う。
【0061】
図13の画面の上部には、GHG吸収量に関する情報と、環境負荷軽減度に関する情報と、耕作放棄地削減量に基づく情報と、が表示されている。GHG吸収量に関する情報には、年間の削減量の数値(図13の例では57t)と、直近1週間のGHG吸収量の推移を示すグラフと、が含まれる。環境負荷軽減度に関する情報には、年間の生物多様性の保持率(図13の例では30%)と、年間の生物多様性保持の推移を示すグラフと、が含まれる。耕作放棄地削減量に基づく情報には、年間の工作放棄地削減量(図13の例では0.9ha)と、月別の耕作放棄地削減量の推移を示す棒グラフと、が含まれる。
【0062】
また、図13の画面の下部には、年別の飲料101の消費量に関する情報と、対前年度比の飲料101の消費量に関する情報と、が表示されている。この例における年別の飲料101の消費量に関する情報は年別茶消費量の推移を示すグラフであり、対前年度比の飲料101の消費量に関する情報は対前年度比茶消費量の月別の棒グラフである。
【0063】
また、環境貢献度提示部42は、図10で示したような生産地マップと生産地画像も企業側端末3に表示するための処理も行う。例えば、図13の画面を下にスクロールやタップ操作することにより、図10の下部に示したような生産地マップと生産地画像が表示される。更に、環境貢献度提示部42は、顧客企業の使用しているプロダクトである飲料101の生産地・生産者などのトレーサビリティ情報を企業側端末3に表示することもできる。
【0064】
また、環境貢献度提示部42は、図13の画面の最上部には通知部を表示する。通知部には、「GHG削減量の証明書が発行されました。証明書メニューからダウンロードしてください。」というメッセージが表示される。企業の担当者は、データ証明管理部43によって発行される証明書をダウンロードする操作を行うことにより、企業側端末3上で証明書を表示及び保存することが可能となる。
【0065】
次に、データ証明管理部43について説明する。データ証明管理部43は、環境貢献度提示部42によって提示される各種の情報の信頼性を担保するための処理を行う。本実施形態のデータ証明管理部43は、環境貢献度算出部33の算出結果、環境貢献度算出部33の算出の基礎になる栽培情報や施肥情報等の環境データ(元データ)、飲料101の購入量に応じた貢献度情報をブロックチェーンに記述する連携処理を行う。ブロックチェーンを利用することにより、改ざんを防止して環境に対する貢献がグリーンウォッシュ等ではないことを証明することができる。
【0066】
また、データ証明管理部43は、貢献度情報等によって示される各種社会的インパクトがデータの改ざんなどが行われていないことを示す証明書を企業側端末3に表示する処理も行う。
【0067】
<処理の流れ>
図14は、情報処理装置1によって実行される環境貢献度提示処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
ステップS10において、栽培情報取得部32は、センサ装置50から栽培情報等の環境データを取得するとともに、生産者端末2上で入力される施肥情報等の環境データを取得する。
【0069】
ステップS11において、環境貢献度算出部33は、栽培情報取得部32によって取得される環境データに基づいて植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を貢献度として算出する。
【0070】
ステップS12において、環境貢献度提示部42は、企業側端末3からの閲覧要求を受け付けると、処理をステップS13に進める。企業側端末3からの閲覧要求がない場合、環境貢献度提示部42は、処理をステップS10に戻る。
【0071】
ステップS13において、環境貢献度提示部42は、閲覧要求を行った企業側端末3に対して環境貢献度算出部33によって算出された温室効果ガス低減効果に基づく環境への貢献度を提示するための処理を行う。本実施形態では、企業側端末3上のダッシュボード画面に、図13に示すようなGHG吸収量、環境負荷軽減度、耕作放棄地削減量等が表示される。企業側端末3によって飲料101の消費量が設定されている場合、企業側端末3の飲料101の消費量に応じた温室効果ガス低減効果が表示される。ステップS13の処理の後、処理はステップS10に戻って以降の処理が繰り返される。
【0072】
(1)以上、説明したように、本実施形態の情報処理装置1は、植物の栽培地に配置されるセンサ装置50から温室効果ガスに関する環境データを取得する栽培情報取得部32と、環境データに基づいて植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を貢献度として算出する環境貢献度算出部33と、温室効果ガス低減効果に基づく環境への貢献度を提示するための処理を行う環境貢献度提示部42と、を備える。
このように情報処理装置1、温室効果ガス削減量確認方法及びプログラムが構成されることにより、茶園等の栽培地から取得される客観的なデータに基づいて栽培対象の植物であるお茶を既存品と置き換えることによる温室効果ガス削減効果を証明できる。生産者は、環境への貢献を、お茶(植物)を原料とする飲料101(生産物)に付与できるので、付加価値により飲料101の販売単価を高くして植物栽培事業の継続性を高めることができる。茶園が安定的に維持されるので、耕作放棄地の阻止につなげることもできる。植物を消費する顧客企業等の消費者も、栽培地から取得される信頼性の高いデータにより、グリーンウォッシュの懸念を解消できる。顧客企業は、大規模な設備投資等を行うことなく、これまで消費していた飲料を対象の飲料101に置換するだけで環境のサステナビリティに関する施策の導入も容易に行うことができる。本実施形態のように、ダッシュボード等を利用することにより、社会的なインパクトの可視化も容易に実現できる。
【0073】
(2)また、本実施形態では、環境貢献度提示部42は、温室効果ガス低減効果に基づいて植物の消費量に応じた貢献度を提示するための処理を行う。
これにより、飲料101等の消費量に応じて環境への貢献度を確認できる。貢献度を確認できる飲料101に置き換えることにより、温室効果ガスの削減効果を定量的に確認することができる。
【0074】
(3)また、本実施形態では、栽培情報取得部32は、生産者によって入力される情報を環境データとして取得する。
これにより、生産者によって入力される環境データに基づいてより正確に温室ガス削減効果を算出することができる。また、センサ装置50から取得される環境データにより、生産者によって入力される環境データを裏付けすることもでき、企業側端末3に提示される貢献度の信頼性を向上させることもできる。
【0075】
(4)また、本実施形態では、栽培情報取得部32は、植物に施される肥料に関する肥料情報を取得し、環境貢献度算出部33は、肥料情報に基づく炭素排出量を反映して温室効果ガス低減効果を算出する。
これにより、肥料の炭素排出量が考慮されるので、より一層信頼性の高い温室効果ガス削減量を算出できる。
【0076】
(5)また、本実施形態の情報処理装置1は、肥料情報に基づいて植物の生産者に対し、貢献度が向上するような肥料の付与方法を提案する施肥方法提案部34を更に備える。
これにより、環境への貢献度が向上するように肥料を施すことができるので、茶(植物)の付加価値をより一層高めることができる。
【0077】
(6)また、本実施形態では、環境貢献度算出部33は、環境データに基づいて生物多様性の程度を示す生物多様性値を算出し、環境貢献度提示部42は、生物多様性値を貢献度の1つとして提示する。
これにより、気候変動の影響による懸念がある生物多様性への貢献度を示すことができ、顧客企業に植物を原料とする飲料101の購入をより動機づけることができる。
【0078】
(7)また、本実施形態では、栽培情報取得部32は、栽培地を撮像した画像データを取得し、環境貢献度算出部33は、画像データに基づいて生物多様性値を算出する。
これにより、栽培地の様子を撮像する画像データを利用するので、より客観性を有する信頼性の高い生物多様性値を算出することができる。
【0079】
(8)また、本実施形態の温室効果ガス削減量確認方法は、植物の栽培地に配置されるセンサ装置50から温室効果ガスに関する環境データを取得する栽培情報取得ステップと、環境データに基づいて前記植物の栽培に伴う炭素吸収による温室効果ガス低減効果を算出する環境貢献度算出ステップと、温室効果ガス低減効果に基づく環境への貢献度を提示するための処理を行う環境貢献度提示ステップと、を含む。
(9)また、本実施形態のプログラムは、温室効果ガス削減量確認方法に含まれるステップと同様のステップをコンピュータによって実行させる。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0081】
例えば、環境貢献度算出部33は、植物を原料とする生産物の運搬に係る炭素排出量を反映する構成としてもよい。また、情報処理装置1は、上記実施形態の構成に加えてカーボンクレジットを取引するための取引処理を行う取引処理部を備える構成としてもよい。このように、種々の構成を追加することができる。
【0082】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、情報処理装置1の機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0083】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0084】
このようなプログラムを含む記録媒体は、プログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0085】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【符号の説明】
【0086】
1 情報処理装置
31 生産者管理部
32 栽培情報取得部
33 環境貢献度算出部
34 施肥方法提案部
35 生産者支援部
36 認証取得支援部
37 ドキュメント作成支援部
38 新規就農者支援部
41 顧客企業管理部
42 環境貢献度提示部
43 データ証明管理部
100 環境貢献度提示システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14