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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155257
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20251006BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024058973
(22)【出願日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】324006865
【氏名又は名称】理想テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】肥田 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】仁田 昇
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AG12
2C057AG44
2C057AP25
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】低コストで実装性の高い液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】一実施形態にかかる液体吐出ヘッドは、複数の圧電素子を有し、複数の電極が形成された、アクチュエータ部材と、前記アクチュエータ部材の表面に、対向配置されるとともに、前記複数の電極に電気的に接続されるとともに、配線基板と、を備え、前記配線基板は3以上の貫通孔を有し、前記アクチュエータ部材に接続されるベース部材または前記アクチュエータ部材と、前記配線基板とが、前記貫通孔において接合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧電素子を有し、複数の電極が形成された、アクチュエータ部材と、
前記アクチュエータ部材の表面に、対向配置されるとともに、前記複数の電極に電気的に接続されるとともに、配線基板と、を備え、
前記配線基板は3以上の貫通孔を有し、
前記アクチュエータ部材に接続されるベース部材または前記アクチュエータ部材と、前記配線基板とが、前記貫通孔において接合される、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記配線基板はFPCである、請求項1の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記配線基板と前記アクチュエータ部材は、はんだにより、電気的に接続される、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記配線基板は、前記アクチュエータ部材または前記ベース部材に対して、光硬化型接着剤により、接合される、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記配線基板は、前記アクチュエータ部材または前記ベース部材に対して、絶縁性接着剤により、接合される、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタヘッドなどの液体吐出装置において、液体吐出ヘッドの駆動源として、PZTなどの圧電体を用いたアクチュエータ部材が用いられる。インクジェットプリンタヘッドにおいて、非常に細かい間隔でアクチュエータ素子(駆動素子)が並べられており、駆動のための配線も細かくなっている。例えば100μm前後の細かいピッチの配線に対応するために、フレキシブル配線基板(以後FPC)を直接アクチュエータ部材の電極にはんだ接合することもある。
【0003】
また、FPCとアクチュエータ部材の電極の位置合わせのために、FPCやアクチュエータ部材側に突起や穴を形成し、嵌合によって電極の位置合わせを行うこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-201832公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、低コストで実装性の高い液体吐出ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態にかかる液体吐出ヘッドは、複数の圧電素子を有し、複数の電極が形成された、アクチュエータ部材と、前記アクチュエータ部材の表面に、対向配置されるとともに、前記複数の電極に電気的に接続されるとともに、配線基板と、を備え、前記配線基板は3以上の貫通孔を有し、前記アクチュエータ部材に接続されるベース部材または前記アクチュエータ部材と、前記配線基板とが、前記貫通孔において接合される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの一部の構成を示す断面図。
図2】同液体吐出ヘッドの一部の構成を示す断面図。
図3】同液体吐出ヘッドの一部の構成を示す側面図。
図4】同液体吐出ヘッドの一部の構成を示す側面図。
図5】第1実施形態に係る液体吐出装置の概略構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、第1実施形態に係る液体吐出ヘッド1及び液体吐出装置100について、図1乃至図5を参照して説明する。図1及び図2は、液体吐出ヘッド1の一部の構成を示す断面図であり、図3及び図4は液体吐出ヘッド1の一部の構成を示す側面図である。図5は液体吐出装置100の概略構成を示す説明図である。図中矢印X,Y,Zは互いに直交する3方向をそれぞれ示す。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示す。
【0009】
図1及び図2に示すように、液体吐出ヘッド1は、ベース部材10と、一対のアクチュエータ部材20と、流路部材40と、複数のノズル51を有するノズルプレート50と、構造部としてのフレーム部60と、駆動回路70と、を備えるインクジェットヘッドである。
【0010】
一例として、液体吐出ヘッド1は、圧電部材であるアクチュエータ部材20を2つ備え、複数のノズル51が列方向(X方向)に並ぶノズル列、複数の圧力室31が列方向に並ぶ圧力室列、及び複数の圧電素子21、22、が列方向に並ぶ素子列をそれぞれ2列ずつ有する。本実施形態において、複数の圧電体層211の積層方向、圧電素子21の振動方向、振動板30の振動方向、がそれぞれZ方向に沿う例を示す。
【0011】
ベース部材10は一対のアクチュエータ部材20を支持する。ベース部材10は例えば板状に構成される。ベース部材10は回路基板であってもよい。
【0012】
アクチュエータ部材20は、ベース部材10の一方側に設けられる。例えばY方向に2つのアクチュエータ部材20が並んで配置される。
【0013】
アクチュエータ部材20は、列方向に沿って交互に配列されアクチュエータとなる複数の駆動圧電素子21、及び複数の非駆動圧電素子22と、これら複数の圧電素子21、22をベース部材10側で一体に連結する連結部26と、を備える。アクチュエータ部材20は、複数の圧電体層211と複数の内部電極221,222とが積層される積層圧電部材201である。
【0014】
アクチュエータ部材20において、複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22とは、一定の間隔で一方向に並ぶ。
【0015】
一例として、複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22とは、いずれも外形が同形状の直方体の柱状に構成される。アクチュエータ部材20は、一方側から複数の溝23が形成されることにより、一端側が複数の駆動圧電素子21、非駆動圧電素子22に分割される。複数の駆動圧電素子21及び非駆動圧電素子22は、並び方向において、同じ幅の溝23によって、同ピッチで列方向に並んでいる。また、アクチュエータ部材20は、溝23の深さが、Z方向のアクチュエータ部材20の寸法の全長よりも小さく設定されるため、溝23の底面よりベース部材10側に、複数の素子21,22を一体に連結する連結部26が形成される。
【0016】
連結部26は、複数の圧電素子21,22の基端側に配され、複数の圧電素子21,22を連続するブロック状の部材である。すなわち連結部26は長手方向がX方向に層とともに、積層圧電部材201の長手方向全長に連なる板状に構成される。
【0017】
アクチュエータ部材20の、Z方向とは異なるY方向における端面である、一方側の側面には、外部電極223を構成する個別電極が形成される。個別電極は、例えばアクチュエータ部材20の一方の側面において、互いに離間する複数のラインパターンである。言い換えるとアクチュエータ部材20の一方の側面において、複数の互いに離間したラインパターンである外部電極223と、複数の外部電極223の間で電極層がPEP等で除去された電極除去部とが交互に形成される。
【0018】
一方の側面部は、ACF実装、またははんだ実装が行われる、実装部を構成する。一例としてアクチュエータ部材20の一方の側面に、はんだ実装またはACF実装により、FPC71が電気的及び機械的に個別電極に接続されている。例えば実装部が形成される一方の側面と、反対側の他方の側面は、積層方向とは直交する面を形成する。
【0019】
また、アクチュエータ部材20のY方向の他方側の側面には、外部電極224を構成する共通電極が形成される。共通電極はアクチュエータ部材20の他方の側面上において全面的に電極層が形成されている。
【0020】
例えば複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22とは、それぞれ、Z方向から見た平面視において、短手方向が素子列の列方向に沿うとともに、長手方向が列方向及びZ方向に対して直交する延出方向に沿う、矩形状に構成される。
【0021】
駆動圧電素子21は、Z方向において、流路部材40に形成された複数の圧力室31にそれぞれ対向する位置に配列される。一例として、駆動圧電素子21の列方向及び延出方向の中心位置と、圧力室31の列方向及び延出方向の中心位置とが、Z方向に並んで配列される。
【0022】
非駆動圧電素子22は、Z方向において、流路部材40に形成された複数の隔壁部42にそれぞれ対向する位置に配列される。一例として、非駆動圧電素子22の列方向及び延出方向の中心位置と、隔壁部42の列方向及び延出方向の中心位置とが、Z方向に並んで配列される。
【0023】
例えばアクチュエータ部材20は、予めベース部材10に接合された積層圧電部材201を、ベース部材10側とは反対側の端面からダイシング加工して溝23を形成することで、矩形の柱状に形成された複数の圧電素子を所定の間隔で形成する。そして、形成された複数の柱状の素子に、電極層が形成され、交互に配置された複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22が形成される。複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22は、列方向において、溝23を挟んで交互に並列配置される。
【0024】
例えば、アクチュエータ部材20を構成する積層圧電部材201は、シート状の圧電材料を積層して焼結することで形成される。
【0025】
駆動圧電素子21、非駆動圧電素子22を構成する圧電部材は、例えば積層圧電部材201である。駆動圧電素子21、非駆動圧電素子22は、積層された複数の圧電体層211と、各圧電体層211の主面に形成される内部電極221、222と、を備える。なお、一例として、駆動圧電素子21、非駆動圧電素子22は同じ積層構造である。そして、駆動圧電素子21及び非駆動圧電素子22は、表面に形成された外部電極223、224を備える。
【0026】
圧電体層211は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系、または無鉛のKNN(ニオブ酸ナトリウムカリウム)系等の圧電セラミック材料から薄板状に構成される。複数の圧電体層211は厚さ方向が積層方向に沿って積層され、互いに接着されている。例えば本実施形態において圧電体層211の厚さ方向及び積層方向が、振動方向(Z方向)に沿って配置される。
【0027】
内部電極221、222は、銀パラジウムなどの焼成可能な導電性材料で所定形状に構成される導電膜である。内部電極221、222は各圧電体層211の主面の所定領域に形成される。内部電極221、222は、互いに異なる極である。例えば、一方の内部電極221は、複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22の並び方向である列方向(X方向)、振動方向(Z方向)の双方と直交する方向である延出方向(Y方向)において、圧電体層211の一方の端部に至り、圧電体層211の他方の端部には至らない領域に形成される。他方の内部電極222は、延出方向において、圧電体層211の一方の端部には至らず、圧電体層211の他方の端部に至る領域に形成される。内部電極221、222は圧電素子21、22の側面に形成される外部電極223、224にそれぞれ接続される。
【0028】
また駆動圧電素子21、非駆動圧電素子22を構成する積層圧電部材201は、ベース部材10側とノズルプレート50側の端部のいずれかまたは両方に、ダミー層212をさらに備える。ダミー層212は例えば圧電体層211と同材料で構成され、電極を片側にしか有さず、電界がかからないので変形しない。例えばダミー層212は圧電体としては機能せず、アクチュエータ部材20をベース部材10に固定するベースとなり、あるいは組立中や組立後の精度を出すために研磨する研磨代となる。
【0029】
外部電極223、224は、複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22の表面に形成され、内部電極221、222の端部を集めて構成される。例えば外部電極223は、圧電体層211の延出方向における一方の端面に、形成される。
外部電極224は、圧電体層211の延出方向における他方の端面に形成される。
【0030】
外部電極223、224はメッキ法やスパッタ法など既知の方法で、Ni、Cr、Auなどにより成膜される。外部電極223と外部電極224は、異なる極である。外部電極223と外部電極224とは、複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22の異なる側面部にそれぞれ配置されている。
【0031】
本実施形態において一例として外部電極223は個別電極であり、外部電極224は共通電極である。複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22の個別電極となる外部電極223は、製造工程において積層圧電部材201の一方の側面に形成される電極層がパターニングにより、互いに独立して配置される。
【0032】
外部電極223は、アクチュエータ部材20の側面において、配線基板の一例であるフレキシブル基板としてのFPC71を介して駆動回路70に接続される。例えば、個々の外部電極223は、FPC71により駆動回路70の駆動IC72を介して、駆動部としての制御部116に接続され、制御回路1161による制御によって駆動制御可能に構成される。なお、外部電極224は外部電極223側の側面に取り回され、FPC71を介して駆動回路70に接続されてもよい。
【0033】
アクチュエータ部材20の他方側の端面に形成される外部電極224は、溝23が電極層のベース部材10側の端部よりも浅い構成としたことで、溝23の底部よりもベース部材10側の領域で、積層圧電部材201の他方の側面において電極層が連続し、共通電極を構成する。外部電極224は、例えば接地される。
【0034】
ダミー層212は、圧電体層211と同材料である。ダミー層212は電極を片側にしか有さず、電界がかからないので変形しない。すなわち、ダミー層212は圧電体としては機能せず、固定の際のベースとなり、あるいは組立中や組立後の精度を出すために研磨する研磨代となる。
アクチュエータ部材20の、個別電極が配される側の端面は面取りされ、ベース部材10側にFPC70から離れる方向に退避するように傾斜した退避面25が形成される。退避面25は例えばダミー層212に設けられる。すなわち、アクチュエータ部材20のうち、圧電体として機能せず変形しない部位が、一部切りかかれて構成されている。
【0035】
また、各圧電素子21、22の振動方向は積層方向に沿っており、電界を印加することで、d33方向に変位する。
【0036】
一例として、各圧電素子21、22は、3層以上、50層以下、各層の厚さを10μm以上、40μm以下とし、厚さと総積層数の積を1000μm未満とする。
【0037】
駆動圧電素子21は、外部電極223、224を介して内部電極221、222に電圧が印加されることで、振動する。本実施形態において、駆動圧電素子21は、圧電体層211の積層方向に沿って縦振動する。ここで言う縦振動とは、例えば「圧電定数d33で定義される厚み方向の振動」である。駆動圧電素子21は、縦振動により、振動板30を変位させ、圧力室31を変形させる。
【0038】
流路部材40は、変形方向においてアクチュエータ部材20の一方側に対向配置される振動板30と、振動板30の一方側に積層される流路基板405と、を備える。
【0039】
振動板30は振動方向において流路基板405とアクチュエータ部材20との間に設けられる。振動板30は、流路基板405とともに、流路部材40を構成する。振動板30は、積層圧電部材201の個別電極及び共通電極が形成される側面に対して交差する方向に延びる。
【0040】
振動板30は振動方向であるZ方向と直交する面に沿って延び、複数の圧電素子21、22の圧電体層211の振動方向の一方側、即ち、ノズルプレート50側の面に接合される。振動板30は、例えば変形可能に構成される。振動板30は、アクチュエータ部材20の駆動圧電素子21及び非駆動圧電素子22と、フレーム部60と、に接合される。例えば振動板30は、圧電素子21、22に対向する振動領域301と、フレーム部60に対向する支持領域302と、を有する。
【0041】
振動領域301は、例えば厚さ方向が圧電体層211の振動方向となるように配された平板状である。振動板30は、複数の駆動圧電素子21及び複数の非駆動圧電素子22の並び方向に面方向が延びる。振動板30は、例えば金属板である。振動板30は、各圧力室31に対向するとともに個別に変位可能な複数の振動部位を有する。振動板30は、複数の振動部位が一体に連なって形成される。
【0042】
一例として、振動板30はニッケルやSUS板で構成され、振動方向に沿う厚さ寸法は5μm~15μm程度に構成される。なお、振動領域301は、複数の振動部位が、変位しやすいように、振動部位と隣接する部位あるいは互いに隣接する振動部位間に、折り目や段差が形成されていてもよい。振動領域301は、駆動圧電素子21の伸長と圧縮によって、当該駆動圧電素子21に対向配置された部位が変位することで、変形する。例えば、振動板30は非常に薄く複雑な形状が必要なため、電鋳法等により、形成される。振動板30はアクチュエータ部材20の上端面に接着などで接合される。
【0043】
支持領域302は、フレーム部60と流路基板405との間に配置される板状部材である。支持領域302は、共通室32に連通する貫通孔を有する連通部33を有する。
【0044】
例えば連通部33は貫通孔として液体が通過可能な多数の細孔を有するフィルタ部材を備える。
【0045】
流路基板405は、振動方向においてノズルプレート50と振動板30の間に配置される。流路基板405は振動板30の振動方向の一方側に接合される。
【0046】
流路基板405は、ガイド壁部41や隔壁部42等の壁部材を備え、互いに隔てられる複数の圧力室31や、互いに隔てられ圧力室31と共通室32とを連通する複数の個別流路を有する、所定のインク流路を形成する。
【0047】
流路基板405内において、複数の圧力室31は、隔壁部42によって隔てられる。すなわち、圧力室31の並列方向の両側は隔壁部42によって構成される。各圧力室31は、一方側に配されるノズルプレート50に形成されたノズル51に連通する。また、圧力室31は、ノズルプレート50の反対側が振動板30によって塞がれる。
【0048】
複数の圧力室31は、振動板30の振動領域301の一方側に形成される空間であり、個別流路や連通部33を介して共通室32に連通する。複数の圧力室31は、ノズルプレート50に形成されたノズル51に連通する。また、圧力室31は、ノズルプレート50の反対側が振動板30によって塞がれる。
【0049】
複数の圧力室31は共通室32から供給される液体を保有し、圧力室31の一部を形成する振動板30の振動によって変形することで、ノズル51から液体を吐出する。
【0050】
隔壁部42は、並列方向に並ぶ複数の圧力室31間を隔てるとともに、圧力室31及びの両側部を構成する壁部材である。隔壁部42は振動板30を介して、非駆動圧電素子22に対向配置され、非駆動圧電素子22によって支持される。隔壁部42は、複数の圧力室31が並ぶピッチと同ピッチで複数設けられる。
【0051】
ノズルプレート50は、例えばSUS・Niなどの金属やポリイミドなどの樹脂材料からなる厚さ10μm~100μm程度の方形の板状に構成される。ノズルプレート50は圧力室31の一方側の開口を覆うように、流路基板405の一方側に配置されている。
【0052】
ノズル51は圧力室31の並び方向と同じ第1方向に複数並び、ノズル列が形成される。例えばノズル51は、2列設けられ、各ノズル51が、2列に配列された複数の圧力室31に対応する位置にそれぞれ設けられている。本実施形態において、ノズル51は、圧力室31の、延出方向における端部の位置に、それぞれ設けられている。
【0053】
フレーム部60は圧電素子21、22とともに振動板30に接合される構造体である。フレーム部60は圧電素子21、22の、振動板30の、流路基板405とは反対側に設けられ、例えば本実施形態においてはアクチュエータ部材20に隣接して配置される。フレーム部60は、液体吐出ヘッド1の外郭を構成する。またフレーム部60は、内部に液体の流路を形成していてもよい。本実施形態において、フレーム部60は、振動板30の他方側に接合されるとともに、振動板30との間に共通室32を形成する。
【0054】
共通室32は、フレーム部60の内側に形成され、振動板30に設けられた連通部33、及び個別流路を通じて、圧力室31に連通する。
【0055】
駆動回路70は、各種配線を介してアクチュエータ部材20に接続されるFPC71(Flexible printed circuits:フレキシブルプリント回路基板)と、FPC71に搭載された駆動IC72と、FPC71の他端に実装されたプリント配線板と、を備える。
【0056】
駆動回路70は、駆動IC72により駆動電圧を外部電極223、224に印加することで、駆動圧電素子21を駆動し、圧力室31の容積を増減させて、ノズル51から液滴を吐出させる。
【0057】
FPC71はアクチュエータ部材20の側面に接続され、アクチュエータ部材20の複数の外部電極223、224に接続される。FPC71として、電子部品である駆動IC72が実装されたCOF(Chip on Film)が用いられる。
【0058】
FPC71は、所定のパターンで形成された配線層711を有する。FPC71は、アクチュエータ部材20の外部電極223が形成された側面に接合される配線接合部72を有する。このとき、外部電極223と配線層711とが対向配置され、配線接合部72において、例えばはんだ実装や異方導電性フィルムを用いたACF実装により、電気的に接続される。なお、配線層711は、貫通孔712を回避するパターン形状に形成される。
【0059】
また、FPC71は、複数の貫通孔712が形成されるとともに、貫通孔712に供給される接合材81によってアクチュエータ部材20またはベース部材10に接着される接着部80を有する。本実施形態においては、貫通孔712は、ベース部材10に対向配置される部位に形成される。FPC71は、貫通孔712に配される接合材81によって、ベース部材10に接合される、接着部80を、複数箇所に、備える。例えば貫通孔712は、左右と中央の3か所に設けられ、当該3箇所に接着部80が配される。なお、FPC71において、貫通孔712は、配線層711が形成されていない部位に、配置される。例えば貫通孔712は円形の孔であり、複数列の圧電素子21,22の列が配される幅寸法に対応する径を有している。すなわち並列方向において複数の圧電素子21,22にまたがる範囲に1つの貫通孔712が設けられる。
【0060】
接合材81は、光硬化型接着剤、または絶縁性接着剤である。接合材81は、FPC71の貫通孔712の周辺部とベース部材10の外面に接触して硬化することで、FPC71と、ベース部材10とを接着により固定する。例えば接合材81は、FPC71の厚さ方向の両側、すなわち表側及び裏側において、FPC71の外面の貫通孔712の内縁よりも外周側に延出して配置され、FPC71の貫通孔712の周縁部に接着されるとともに、FPC71の裏面側に対向配置されるベース部材10の外面に接着される。接合材81は、例えばFPC71の配線層711を避けた位置に接触して固化される。
【0061】
駆動IC72は、FPC71を介して外部電極223、224に接続される。駆動IC72は、吐出制御に用いられる電子部品である。
【0062】
駆動IC72は、各駆動圧電素子21を動作させるための制御信号及び駆動信号を生成する。駆動IC72は、液体吐出ヘッド1が搭載される液体吐出装置100の制御部116から入力された画像信号に従い、インクを吐出させるタイミング及びインクを吐出させる駆動圧電素子21を選択するなどの制御のための制御信号を生成する。また、駆動IC72は、制御部116からの制御信号に従って駆動圧電素子21に印加する電圧、すなわち駆動信号を生成する。駆動IC72が駆動圧電素子21に駆動信号を印加すると、駆動圧電素子21は、振動板30を変位させて圧力室31の容積を変化させるように駆動する。これにより、圧力室31に充填されたインクは、圧力振動を生じる。圧力振動により、圧力室31に連通するノズル51からインクが吐出する。なお、液体吐出ヘッド1は、1画素に着弾するインク滴の量を変更することで階調表現を実現できるようにしてもよい。また、液体吐出ヘッド1は、インクの吐出回数を変えることで、1画素に着弾するインク滴の量を変更できるようにしてもよい。このように、駆動IC72は、駆動信号を駆動圧電素子21に印加する印加部の一例である。
【0063】
例えば、駆動IC72は、データバッファ、デコーダ、及びドライバを備えている。データバッファは、印字データを駆動圧電素子21毎に時系列に保存する。デコーダは、駆動圧電素子21毎に、データバッファに保存された印字データに基づいて、ドライバを制御する。ドライバは、デコーダの制御に基づき、各駆動圧電素子21を動作させる駆動信号を出力する。駆動信号は、例えば各駆動圧電素子21に印加する電圧である。
【0064】
プリント配線板は、各種電子部品やコネクタが搭載されたPWA(Printing Wiring Assembly)であり、ヘッド制御回路を有する。プリント配線板は、液体吐出装置100の制御部116に接続される。
【0065】
以上のように構成された液体吐出ヘッド1において、ノズルプレート50と、フレーム部60と、流路基板405と、振動板30とによって、ノズル51に連通する複数の圧力室31と、複数の圧力室31にそれぞれ連通する共通室32と、を有するインク流路が形成される。例えば共通室32はカートリッジに連通し、インクが共通室32を通じて各圧力室31へ供給される。全ての駆動圧電素子21は配線により電圧が印加可能に接続されている。液体吐出ヘッド1は、例えば液体吐出装置100の制御部116が、駆動IC72により電極221、222に駆動電圧を印加すると、駆動対象の駆動圧電素子21が例えば積層方向、すなわち各圧電体層211の厚さ方向に振動する。つまり、駆動圧電素子21は縦振動する。
【0066】
具体的には、制御部116は、駆動対象の駆動圧電素子21の内部電極221、222に駆動電圧を印加して、駆動対象の駆動圧電素子21を選択的に駆動する。そして、駆動対象の駆動圧電素子21による、引張方向の変形と圧縮方向の変形を組み合わせて、振動板30を変形させ、圧力室31の容積を変化させることで、共通室32から液体を導き、ノズル51から吐出させる。
【0067】
本実施形態にかかる液体吐出ヘッド1の製造方法の一例について説明する。まず、シート状に形成された圧電材料に、内部電極221、222を印刷処理により形成する。そして内部電極221、222を有する複数枚の圧電体層211を積層し、焼成処理、及び分極処理を行い、積層圧電部材201を構成する。
【0068】
そして、あらかじめ内部電極221、222を形成した積層圧電部材201の圧電素子21の分極処理を行い、ベース部材10上に、接着剤等で貼り付ける。例えば2つのアクチュエータ部材20を構成する場合、一体に構成された積層圧電部材201をベース部材10に接合した後、溝加工などにより2つに分割してもよく、あるいは2つのアクチュエータ部材20を構成する2つの積層圧電部材201を別々に用意してもよい。
【0069】
そして、ベース部材10上に積層圧電部材201が配置された状態で、ベース部材10の表面及び積層圧電部材201の表面をダイヤモンドカッターなどのツールによって表面加工することで、積層圧電部材201の外面を成形する。これにより、後工程で振動板30が接合されるアクチュエータ部材20の上面の平面度を確保することができる。
【0070】
続いて、積層圧電部材201における一方と他方の端面に、印刷処理により外部電極223、224となる電極層を形成する。一例として、アクチュエータ部材20の頂部に一度電極を成膜してもよく、この場合、研磨などでアクチュエータ部材20の頂部の電極を除去することで、外部電極223、224を互いに離間させる。
【0071】
次に、一方の側面に形成される電極層をパターニングし、個別に分割する。例えばパターニングの手法において、PEP法やレーザ加工で表面に浅い溝を形成することで、電極層を部分的に除去する。すなわち、積層圧電部材201の端面に形成される電極層を、X方向に複数列に分割し、圧力室31に対応する複数のラインパターンである外部電極223と、複数の隣接する外部電極223間で電極層が部分的に除去された電極除去部とが、交互に形成される。
【0072】
続いてアクチュエータ部材20の、外部電極223が形成される側面のベース部材10側となる一端側の部位を除去し、面取り加工する。続いてダイヤモンドカッターなどのツールをZ方向に移動させて加工することで、アクチュエータ部材20に複数の溝23を形成する。このとき、複数の溝23を、所定のピッチで同時に形成し、積層圧電部材201を複数に分割することで、同ピッチで並ぶ複数の圧電素子21、22となる複数の柱状素子を形成する。以上により、同ピッチで並ぶ複数の駆動圧電素子21と、非駆動圧電素子22とが、形成される。
【0073】
ここで、溝23は、アクチュエータ部材20の全長に至らない深さとして一部を残すことにより、溝23の底面よりもベース部材10側の領域に、連結部26が構成される。
【0074】
パターニング及び溝23の加工後において、連結部26の他方の側面においては、電極層が連続する共通電極としての外部電極224を構成する。
【0075】
さらに、制御部品としての、駆動IC72等の電子部品が実装されたFPC71を、例えばはんだ実装や異方導電性フィルムを用いたACF実装により、アクチュエータ部材20の側面の実装部に、電気的及び機械的に接続する配線接合部72を形成するとともに、ベース部材10に対向配置されるFPC71の複数の貫通孔712に、接合材81を、FPC71の貫通孔712の周辺部とアクチュエータ部材20の外面に触れるように塗布し、硬化させることで、ベース部材10に対してFPC71を接合する接着部80を複数箇所に形成する。さらにFPC71に、ヘッド制御回路を有するプリント配線板を、接続する。
【0076】
そして、アクチュエータ部材20に、振動板30、流路基板405、及びノズルプレート50を、間に接合材を介して積層して位置決めを行い、アクチュエータ部材20の外周にフレーム部60を配置し、これら複数の部材を接合することで、液体吐出ヘッド1が完成する。
【0077】
以下、液体吐出ヘッド1を備える液体吐出装置100の一例について、図5を参照して説明する。液体吐出装置100は、筐体111と、媒体供給部112と、画像形成部113と、媒体排出部114と、搬送装置115と、制御部116と、を備える。
【0078】
液体吐出装置100は、媒体供給部112から画像形成部113を通って媒体排出部114に至る所定の搬送路Rに沿って、吐出対象物である印刷媒体として例えば用紙Pを搬送しながらインク等の液体を吐出することで、用紙Pに画像形成処理を行うインクジェット記録装置である。
【0079】
筐体111は、液体吐出装置100の外郭を構成する。筐体111の所定箇所に、用紙Pを外部に排出する排出口を備える。
【0080】
媒体供給部112は複数の給紙カセットを備え、各種サイズの用紙Pを複数枚積層して保持可能に構成される。
【0081】
媒体排出部114は、排出口から排出される用紙Pを保持可能に構成された排紙トレイを備える。
【0082】
画像形成部113は、用紙Pを支持する支持部117と、支持部117の上方に対向配置された複数のヘッドユニット130と、を備える。
【0083】
支持部117は、画像形成を行う所定領域にループ状に備えられる搬送ベルト118と、搬送ベルト118を裏側から支持する支持プレート119と、搬送ベルト118の裏側に備えられた複数のベルトローラ120と、を備える。
【0084】
支持部117は、画像形成の際に、搬送ベルト118の上面である保持面に用紙Pを支持するとともに、ベルトローラ120の回転によって所定のタイミングで搬送ベルト118を送ることにより、用紙Pを下流側へ搬送する。
【0085】
ヘッドユニット130は、複数(4色)の液体吐出ヘッド1と、各液体吐出ヘッド1上にそれぞれ搭載された液体タンクとしてのインクタンク132と、液体吐出ヘッド1とインクタンク132とを接続する接続流路133と、供給ポンプ134と、を備える。
【0086】
本実施形態において、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色の液体吐出ヘッド1と、これらの各色のインクをそれぞれ収容するインクタンク132を備える。インクタンク132は接続流路133によって液体吐出ヘッド1に接続される。
【0087】
また、インクタンク132には、図示しないポンプなどの負圧制御装置が連結される。そして、液体吐出ヘッド1とインクタンク132との水頭値に対応して、負圧制御装置によりインクタンク132内を負圧制御することで、液体吐出ヘッド1の各ノズル51に供給されたインクを所定形状のメニスカスに形成させている。
【0088】
供給ポンプ134は、例えば圧電ポンプで構成される送液ポンプである。供給ポンプ134は、供給流路に設けられている。供給ポンプ134は、配線により制御部116の制御回路1161に接続され、制御部116により制御可能に構成される。供給ポンプ134は、液体吐出ヘッド1に液体を供給する。
【0089】
搬送装置115は、媒体供給部112から画像形成部113を通って媒体排出部114に至る搬送路Rに沿って、用紙Pを搬送する。搬送装置115は、搬送路Rに沿って配置される複数のガイドプレート対121と、複数の搬送用ローラ122と、を備えている。
【0090】
複数のガイドプレート対121は、それぞれ、搬送される用紙Pを挟んで対向配置される一対のプレート部材を備え、用紙Pを搬送路Rに沿って案内する。
【0091】
搬送用ローラ122は、制御部116の制御によって駆動されて回転することで、用紙Pを搬送路Rに沿って下流側に送る。なお、搬送路Rには用紙の搬送状況を検出するセンサが各所に配置される。
【0092】
制御部116は、コントローラであるCPU(Central Processing Unit)等の制御回路1161と、各種のプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)と、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、外部からのデータの入力及び外部へのデータの出力をするインターフェイス部と、を備える。
【0093】
以上のように構成された液体吐出装置100において、制御部116は、例えばインターフェイスにおいてユーザが操作入力部の操作による印刷指示を検出すると、搬送装置115を駆動して用紙Pを搬送するとともに、所定のタイミングでヘッドユニット130に対して印字信号を出力することで、液体吐出ヘッド1を駆動する。液体吐出ヘッド1は吐出動作として、画像データに応じた画像信号により、駆動IC72に駆動信号を送り、内部電極221、222に駆動電圧を印加して吐出対象の駆動圧電素子21を選択的に駆動して例えば積層方向に縦振動させ、圧力室31の容積を変化させることでノズル51からインクを吐出し、搬送ベルト118上に保持された用紙Pに画像を形成する。また、液体吐出動作として、制御部116は、供給ポンプ134を駆動することで、インクタンク132から液体吐出ヘッド1の共通室32にインクを供給する。
【0094】
ここで、液体吐出ヘッド1を駆動する駆動動作について、説明する。本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、圧力室31に対向配置される駆動圧電素子21を備え、これらの駆動圧電素子21は配線により電圧が印加可能に接続されている。制御部116は、画像データに応じた画像信号により、駆動IC72に駆動信号を送り、駆動対象の駆動圧電素子21の内部電極221、222に駆動電圧を印加して、駆動対象の駆動圧電素子21を選択的に変形させる。そして、振動板30の引張方向の変形と圧縮方向の変形を組み合わせて、圧力室31の容積を変化させることで、液体を吐出させる。
【0095】
例えば制御部116は、引っ張り動作と、圧縮動作とを交互に行う。液体吐出ヘッド1において、対象の圧力室31の内容積を増加させる引張時には、駆動対象の駆動圧電素子21を収縮し、駆動対象外の駆動圧電素子21は変形させない。また、液体吐出ヘッド1において対象の圧力室31の内容積を減少させる圧縮時には、対象の駆動圧電素子21を伸長する。なお、非駆動圧電素子22は変形させない。
【0096】
上述した実施形態に係る液体吐出ヘッド1及び液体吐出装置100によれば、低コストで実装性の高い体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提供できる。すなわち、FPC71に形成された貫通孔712に配置される接合材81によって、FPC71を表側及び裏側の両面で固定することができ、高い接合強度を確保できる。したがって、FPC71に応力が加わった際に、接合部分が破損することを防止できる。たとえば、アクチュエータ部材20の、一方と他方の両面にFPC71を接合する場合、片側で接合した後に裏返してもう片側を接合することとなるが、このときFPC71に応力が加わりやすく、接合部の破損に繋がる。また、ハンドリング時など配線基板に応力が加わる可能性があるが、本実施形態は、貫通孔712に配される接合材81によってFPC71をアクチュエータ部材20またはベース部材10に容易に接合することができ、接合部の破損を防止できる。また、例えば、接着剤に光硬化型接着剤を用いる場合に、片面の配線接合後にすぐに配線基板を固定して、もう片面の配線接合作業に移ることができる。
【0097】
また、並列方向の両端と中央の3箇所の接合部を設けることで、応力が圧電部材との接合部に伝わることを抑制することができる。
【0098】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0099】
上記実施形態において、貫通孔712及び接着部80は、3箇所とする例を示したが、これに限られるものではない。例えば、4箇所以上、としてもよい。
【0100】
また、FPC71は、ベース部材10に対向する位置に接着部80を設ける例を示したが、これに限られるものではなく、例えばアクチュエータ部材20に対向する位置に貫通孔712を設け、アクチュエータ部材20に接合する構成としてもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、複数層の圧電体層211を積層し、積層方向の縦振動(d33)を用いて駆動圧電素子21を駆動する構成としたが、これに限られるものではない。例えば駆動圧電素子21が単層の圧電部材で構成される形態にも適用可能であるし、d31方向に変位する横振動により駆動する形態にも適用可能である。
【0102】
ノズル51や圧力室31の配列も上記実施形態に限られるものではない。たとえばノズル51を2列以上配列してもよい。また複数の圧力室31の間に、ダミー室となる空気室を形成してもよい。循環式に限らず非循環タイプの液体吐出ヘッドであってもよく、あるいはエンドシュータに限らずサイドシュータ型の液体吐出ヘッドにも適用可能である。
【0103】
また、圧電素子21、22が積層方向の両端にダミー層212を有する例を示したがこれに限られるものではなく、圧電素子21、22の一方側のみにダミー層212を有していてもよく、あるいは圧電素子21、22がダミー層212を備えない構成であってもよい。この他、流路部材40、ノズルプレート50、フレーム部60を含む各種部品の構成や位置関係は上述した例に限られるものではなく、適宜変更可能である。
【0104】
また、上記実施形態においてはベース部材10上にアクチュエータ部材20が2つ並列配置された例を示したが、これに限られるものではなく、アクチュエータ部材20が単数であってもよい。
【0105】
また、吐出する液体は印字用のインクに限られるものではなく、例えばプリント配線板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置等であっても良い。
【0106】
また、上記実施形態において、液体吐出ヘッド1は、液体吐出装置等の液体吐出装置に用いられる例を示したが、これに限られるものではなく、例えば3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途にも用いることが可能であり、小型軽量化及び低コスト化が可能である。
【0107】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、低コストで実装性の高い液体吐出ヘッドを提供できる。
【0108】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1…液体吐出ヘッド、10…ベース部材、20…アクチュエータ部材、21…駆動圧電素子、22…非駆動圧電素子、23…溝、25…退避面、26…連結部、30…振動板、31…圧力室、32…共通室、33…連通部、40…流路部材、41…ガイド壁部、42…隔壁部、50…ノズルプレート、51…ノズル、60…フレーム部、70…駆動回路、72…配線接合部、80…接着部、81…接合材、100…液体吐出装置、111…筐体、112…媒体供給部、113…画像形成部、114…媒体排出部、115…搬送装置、116…制御部、117…支持部、118…搬送ベルト、119…支持プレート、120…ベルトローラ、121…ガイドプレート対、122…搬送用ローラ、130…ヘッドユニット、132…インクタンク、133…接続流路、134…供給ポンプ、201…積層圧電部材、211…圧電体層、212…ダミー層、221…内部電極、222…内部電極、223…外部電極、224…外部電極、301…振動領域、302…支持領域、405…流路基板、711…配線層、712…貫通孔、1161…制御回路。
図1
図2
図3
図4
図5