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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155305
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】発音装置、発音方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20251006BHJP
   G10H 1/32 20060101ALI20251006BHJP
【FI】
G10H1/00 A
G10H1/32 Z
G10H1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059065
(22)【出願日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】良知 鷹彦
(72)【発明者】
【氏名】小澤 健夫
(72)【発明者】
【氏名】榊原 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】横田 悠希
(72)【発明者】
【氏名】石塚 利空
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478CC01
5D478CC03
5D478CC31
5D478LL00
(57)【要約】
【課題】ユーザがシンプルな操作で音遊びを楽しむことが可能な発音装置、発音方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】発音装置1は、距離センサ33と、カラーセンサ34と、発音部54と、制御基板55と、を備える。制御基板55は、距離センサ33により測定された第1の測定情報が第1の条件を満たす場合、第1の測定情報に応じた音を発音部54に出力させるように設定する。制御基板55は、第1の測定情報が第2の条件を満たす場合、カラーセンサ34により測定された第2の測定情報に応じた音を発音部54に出力させるように設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセンサと、
第2のセンサと、
発音部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1のセンサにより測定された第1の測定情報が第1の条件を満たす場合、前記第1の測定情報に応じた音を前記発音部に出力させるように設定し、
前記第1の測定情報が第2の条件を満たす場合、前記第2のセンサにより測定された第2の測定情報に応じた音を前記発音部に出力させるように設定する、
ことを特徴とする発音装置。
【請求項2】
発光部を更に備え、
前記制御部は、
前記第1の測定情報が前記第1の条件を満たす場合、前記第1の測定情報に応じた色で前記発光部を発光させ、
前記第1の測定情報が前記第2の条件を満たす場合、前記第2の測定情報に応じた色で前記発光部を発光させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音装置。
【請求項3】
加速度センサを更に備え、
前記制御部は、前記加速度センサにより振動が検知された場合、前記第1の測定情報に応じた音、又は、前記第2の測定情報に応じた音を前記発音部に出力させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発音装置。
【請求項4】
操作部を更に備え、
前記制御部は、
前記操作部が操作されており、且つ、前記第1の測定情報が前記第1の条件を満たす場合、前記第1の測定情報に応じて音情報を設定し、
前記操作部が操作されており、且つ、前記第1の測定情報が前記第2の条件を満たす場合、前記第2の測定情報に応じて前記音情報を設定し、
前記操作部が操作されておらず、且つ、前記加速度センサにより前記振動が検知された場合、設定された前記音情報により示される音を前記発音部に出力させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の発音装置。
【請求項5】
前記第1のセンサは、前記第1の測定情報として対象物までの距離を測定する距離センサであり、
前記第2のセンサは、前記第2の測定情報として前記対象物の色を測定するカラーセンサ又はカメラであり、
前記第1の条件は、前記第1のセンサにより測定された前記距離が所定値よりも大きい場合に満たされ、
前記第2の条件は、前記第1のセンサにより測定された前記距離が前記所定値以下である場合に満たされる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発音装置。
【請求項6】
前記第1のセンサは、前記第1の測定情報として対象物の色を測定するカラーセンサ又はカメラであり、
前記第2のセンサは、前記第2の測定情報として前記対象物までの距離を測定する距離センサ、又は、前記第2の測定情報として基準位置からの高さを測定する気圧センサであり、
前記第1の条件は、前記第1のセンサにより測定された前記色が特定の色に該当しない場合に満たされ、
前記第2の条件は、前記第1のセンサにより測定された前記色が前記特定の色に該当する場合に満たされる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発音装置。
【請求項7】
持ち手部と、本体部と、を備え、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記持ち手部における前記本体部とは反対側の端部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発音装置。
【請求項8】
第1のセンサにより測定された第1の測定情報が第1の条件を満たす場合、前記第1の測定情報に応じた音を発音部に出力させるように設定し、
前記第1の測定情報が第2の条件を満たす場合、第2のセンサにより測定された第2の測定情報に応じた音を前記発音部に出力させるように設定する、
ことを特徴とする発音方法。
【請求項9】
コンピュータに、
第1のセンサにより測定された第1の測定情報が第1の条件を満たす場合、前記第1の測定情報に応じた音を発音部に出力させるように設定する処理と、
前記第1の測定情報が第2の条件を満たす場合、第2のセンサにより測定された第2の測定情報に応じた音を前記発音部に出力させるように設定する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発音装置、発音方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの操作に応じて様々な音を出力する技術が知られている。例えば、特許文献1は、初心者や幼児でも容易に演奏や作曲を楽しむことができる楽音発生装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-325768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなユーザの操作に応じて様々な音を出力する技術において、ユーザがシンプルな操作で音遊びを楽しむことができるようにしたい、という要望がある。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、ユーザがシンプルな操作で音遊びを楽しむことが可能な発音装置、発音方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る発音装置は、第1のセンサと、第2のセンサと、発音部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1のセンサにより測定された第1の測定情報が第1の条件を満たす場合、前記第1の測定情報に応じた音を前記発音部に出力させるように設定し、前記第1の測定情報が第2の条件を満たす場合、前記第2のセンサにより測定された第2の測定情報に応じた音を前記発音部に出力させるように設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザがシンプルな操作で音遊びを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る発音装置の外観を示す模式図である。
図2】実施形態1に係る発音装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る発音装置によるセンシングの方向を示す図である。
図4】実施形態1に係る発音装置に備えられる制御基板の構成を示すブロック図である。
図5】実施形態1に係る発音装置に記憶される対応テーブルの例を示す図である。
図6】実施形態1に係る発音装置により測定された距離に応じて発光部の色が変化する例を示す図である。
図7】実施形態1に係る発音装置により測定された色に応じて発光部の色が変化する例を示す図である。
図8】実施形態1に係る発音装置により音が発せられる例を示す図である。
図9】実施形態1に係る発音装置により実行される発音処理の流れを示すフローチャートである。
図10】実施形態1に係る発音装置により実行される設定処理の流れを示すフローチャートである。
図11】実施形態2に係る発音装置により実行される設定処理の流れを示すフローチャートである。
図12】実施形態3に係る発音装置の構成を示すブロック図である。
図13】実施形態4に係る発音装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。実施形態1に係る発音装置1は、図1に示すように、ハンドベルを模擬したいわゆるデジタルハンドベルであって、発音装置1を把持するユーザにより発音装置1の全体が振られたことに応答して音を発する(鳴らす)装置である。一例として、発音装置1は、幼児が音遊びを楽しむための、幼児向けの知育玩具として用いられる。
【0010】
発音装置1は、ユーザにより把持される部分である持ち手部3と、音を発する部分である本体部5と、を備えており、ミュージックベルを模擬した形状をしている。持ち手部3は、ユーザが片手で握って持ちやすいように、細長く延伸した柄(グリップ)の形状をしている。本体部5は、持ち手部3よりも太い形状であって、図1の例ではベル状(鐘状)をしている。以下では、持ち手部3から本体部5への方向を上方向と呼び、本体部5から持ち手部3への方向を下方向と呼ぶ。
【0011】
持ち手部3は、図2に示すように、バッテリ31と、センシングボタン32と、距離センサ33と、カラーセンサ34と、を備える。バッテリ31は、発音装置1の各部で使用される電力を、乾電池、充電池等から供給する。
【0012】
センシングボタン32は、距離センサ33又はカラーセンサ34による測定を開始するためのボタンである。図3に示すように、ユーザは、センシングボタン32を指で押下することにより、センシングボタン32を操作する。センシングボタン32は、ユーザが持ち手部3を片手で持った状態において指で押下しやすいように、持ち手部3の側部に設けられている。センシングボタン32が操作されると、発音装置1は、距離センサ33又はカラーセンサ34による測定モードに移行する。センシングボタン32は、ユーザにより操作される操作部の一例である。
【0013】
距離センサ33は、第1の測定情報として、発音装置1から対象物OBまでの距離Dを測定する。ここで、対象物OBは、例えば、床、壁、家具、電子機器、食べ物、本等のような、ユーザの身の回りに存在する様々な物体である。距離センサ33は、一例として、対象物OBに向けて出射した光の反射光を受光し、受光した光の飛行時間に基づいて対象物OBまでの距離Dを測定するTоF(Time of Flight)センサである。距離センサ33は、第1の測定情報を測定する第1のセンサの一例である。
【0014】
カラーセンサ34は、第2の測定情報として、対象物OBの色を測定する。カラーセンサ34は、一例として、対象物OBに向けて出射した光の反射光を受光し、受光した光の赤色、青色、緑色のそれぞれの受光量を検知し、赤色、青色、緑色のそれぞれの受光比率を計算することで、対象物OBの色を測定する。カラーセンサ34は、第2の測定情報を測定する第2のセンサの一例である。
【0015】
距離センサ33及びカラーセンサ34は、持ち手部3における本体部5とは反対側の端部7に設けられている。距離センサ33及びカラーセンサ34は、図3において破線矢印で示すように、持ち手部3の端部7から下方向に向けて光を出射し、対象物OBにおける反射光を受光する。これにより、距離センサ33及びカラーセンサ34は、それぞれ、持ち手部3の端部7からその下方向に存在する対象物OBまでの距離D及び色を測定する。
【0016】
センシングボタン32が持ち手部3の側部に設けられており、距離センサ33及びカラーセンサ34が持ち手部3の端部7に設けられているため、ユーザは、発音装置1を片手で持ってセンシングボタン32を指で押下しながら対象物OBに端部7を向ける操作を行いやすい。これにより、ユーザは、シンプルな操作で、ユーザの周囲に存在する様々な物体を対象物OBとして距離D及び色を測定することができる。
【0017】
図2に戻って、本体部5は、発光部51と、導光部52と、加速度センサ53と、発音部54と、制御基板55と、を備える。発光部51は、本体部5の中央付近に設けられており、制御基板55による制御のもとで、様々な色の可視光を発するユニットである。より詳細には、発光部51は、赤色、緑色及び青色の発光素子を有するカラーLED(Light Emitting Diode)を備える。発光部51は、制御基板55により指示された比率で各色の発光素子を発光させることで、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、白等の色でカラーLEDを発光させる。
【0018】
導光部52は、発光部51の周囲を囲むように設けられている。導光部52は、可視光を通すことが可能なアクリル等の適宜の光学材料により形成されており、発光部51から発せられた光を本体部5の外部に導く。これにより、導光部52は、発光部51が発光した色で本体部5を光らせる。例えば、発光部51が赤色の光を発した場合、導光部52が赤色の光を本体部5の外部に導くことで、本体部5が赤色に光る。或いは、発光部51が青色の光を発した場合、導光部52が青色の光を本体部5の外部に導くことで、本体部5が青色に光る。
【0019】
加速度センサ53は、発音装置1に加えられる加速度を測定するユニットである。具体的には、加速度センサ53は、ユーザが発音装置1の全体を動かした場合に発音装置1に生じる振動を検知する。例えば、ユーザが持ち手部3を手で持って発音装置1の全体を振る動作を行った場合に、加速度センサ53は、その振る動作を検知する。
【0020】
発音部54は、音を発するユニットである。発音部54は、スピーカを備えており、制御基板55により指示された音をスピーカから出力する。より詳細には、発音部54は、制御基板55の制御のもとで、「ド_」、「レ」、「ミ」、「ファ」、「ソ」、「ラ」、「シ」、「ド」という1オクターブの音階(一例として、Cメジャースケール)の音を発する。その際、発音部54は、ハンドベルから発せられるベル音を模擬した音を発する。なお、「ド_」(下線を引いた「ド」)は、1オクターブにおける低い方の「ド」を表し、「ド」(下線を引いていない「ド」)は、1オクターブにおける高い方の「ド」を表している。以降も同様である。
【0021】
制御基板55は、発音装置1を制御するユニットである。制御基板55は、図4に示すように、制御部110と、記憶部120と、を備える。制御基板55は、センシングボタン32、距離センサ33、カラーセンサ34、発光部51、加速度センサ53及び発音部54の各部と適宜の信号線を介して接続されている。
【0022】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、マイクロプロセッサ等を備えており、様々な処理や演算を実行する中央演算処理部である。制御部110において、CPUが、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、発音装置1全体の動作を制御する。
【0023】
記憶部120は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。記憶部120は、制御部110によって実行されるプログラム及びデータ、及び、制御部110によって生成されるデータを記憶する。具体的には、記憶部120は、対応テーブル121を記憶している。対応テーブル121の詳細は後述する。
【0024】
次に、制御部110の機能的な構成について説明する。制御部110は、機能的に、設定部111と、発光制御部112と、発音制御部113と、を備える。制御部110において、CPUは、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して、そのプログラムを実行して制御することにより、これら各部として機能する。
【0025】
設定部111は、音情報を設定する。ここで、音情報は、発音部54により発せられる音を示す情報である。発音制御部113は、後述するように、設定部111により設定された音情報により示される音を、発音部54に出力させる。設定部111は、音情報として、音高を設定する。具体的に説明すると、設定部111は、距離センサ33により測定された対象物OBまでの距離D、又は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に応じて、「ド_」、「レ」、「ミ」、「ファ」、「ソ」、「ラ」、「シ」、「ド」という1オクターブにおける8個の音高のいずれかを設定する。
【0026】
音情報に加えて、設定部111は、色情報を設定する。色情報は、発光部51により発せられる光の色を示す情報である。発光制御部112は、後述するように、設定部111により設定された色情報により示される色の光を、発光部51に発光させる。設定部111は、色情報として、「赤」、「橙」、「黄」、「緑」、「青」、「藍」、「紫」、「白」という8個の色を設定する。具体的に説明すると、設定部111は、距離センサ33により測定された対象物OBまでの距離D、又は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に応じて、「赤」、「橙」、「黄」、「緑」、「青」、「藍」、「紫」、「白」という8個の色のいずれかを設定する。
【0027】
より詳細には、設定部111は、距離センサ33により測定された距離Dが第1の条件を満たす場合、距離センサ33により測定された距離Dに応じて、音情報と色情報とを設定する。これに対して、設定部111は、距離センサ33により測定された距離Dが第2の条件を満たす場合、カラーセンサ34により測定された色に応じて、音情報と色情報とを設定する。ここで、第1の条件は、距離センサ33により測定された距離Dが所定値Tよりも大きい場合に満たされる。これに対して、第2の条件は、距離センサ33により測定された距離Dが所定値T以下である場合に満たされる。言い換えると、第2の条件は、第1の条件の論理否定の条件に相当し、第1の条件が成立しない場合に成立する。
【0028】
所定値Tは、距離センサ33により測定を行う第1の測定モードと、カラーセンサ34により測定を行う第2の測定モードと、を切り替えるために予め設定された値である。所定値Tは、具体的には、持ち手部3の端部7が対象物OBに接触した場合における端部7と対象物OBとの間の距離Dである0に設定される。この場合、第1の条件は距離Dが0よりも大きい場合に満たされ、第2の条件は距離Dが0である場合に満たされる。言い換えると、発音装置1の端部7が対象物OBに接触した場合に、第1の測定モードから第2の測定モードに切り替えられる。なお、所定値Tは、0であることに限らず、どのような値に設定されても良い。
【0029】
設定部111は、音情報と色情報とを設定するために、記憶部120に記憶されている対応テーブル121を参照する。対応テーブル121は、図5に示すように、距離センサ33により測定される距離Dと、発音部54から発せられる音を示す音情報と、発光部51から発せられる光の色を示す色情報と、を対応付けるテーブルである。対応テーブル121は、距離センサ33により測定される距離Dに応じて段階的に、「ド_」、「レ」、「ミ」、「ファ」、「ソ」、「ラ」、「シ」、「ド」という1オクターブにおける8個の音高の音を対応付けている。より具体的には、対応テーブル121は、距離Dが短いほど、1オクターブにおける低い音高の音を対応付けており、距離Dが長くなるにつれて、高い音高の音を対応付けている。
【0030】
更に、対応テーブル121は、1オクターブにおける8個の音高の音に対して、それぞれ「赤」、「橙」、「黄」、「緑」、「青」、「藍」、「紫」、「白」の色を対応付けている。より具体的には、対応テーブル121は、「ド_」、「レ」、「ミ」、「ファ」、「ソ」、「ラ」、「シ」の7個の音高の音に対して、虹の7色を波長が長い順、すなわちエネルギーが低い順に対応付けている。このような虹の7色と音高との対応関係は、個人差はあるもの多くの人に共通している傾向が存在するため、その傾向に従っている。
【0031】
距離センサ33により測定された距離Dが第1の条件を満たす場合、設定部111は、対応テーブル121において、距離センサ33により測定された距離Dに対応付けられている音高と色とを、それぞれ音情報と色情報として設定する。例えば、距離センサ33により測定された距離Dが15~30cmの範囲内に収まる場合、設定部111は、音情報として「レ」を設定し、色情報として「橙」を設定する。或いは、距離センサ33により測定された距離Dが90~105cmの範囲内に収まる場合、設定部111は、音情報として「シ」を設定し、色情報として「紫」を設定する。
【0032】
これに対して、距離センサ33により測定された距離Dが第2の条件を満たす場合、設定部111は、対応テーブル121において、カラーセンサ34により測定された色に対応付けられている音高を、音情報として設定する。また、設定部111は、対応テーブル121に定められている複数の色の中で、カラーセンサ34により測定された色に最も近い色を、色情報として設定する。
【0033】
具体的に説明すると、設定部111は、カラーセンサ34により検知された赤色、青色、緑色のそれぞれの受光比率に基づいて、対象物OBの色が、「赤」、「橙」、「黄」、「緑」、「青」、「藍」、「紫」、「白」の8個の色のうちのどの色に最も近いかを判定する。これにより、設定部111は、8個の色のうちから、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に最も近い色を特定する。そして、設定部111は、対応テーブル121において、特定した色に対応付けられている音高を音情報として設定し、特定した色を色情報として設定する。例えば、カラーセンサ34により測定された色に最も近い色が「赤」であると特定した場合、設定部111は、音情報として「ド_」を設定し、色情報として「赤」を設定する。或いは、カラーセンサ34により測定された色に最も近い色が「青」であると特定した場合、設定部111は、音情報として「ソ」を設定し、色情報として「青」を設定する。
【0034】
設定部111は、このような音情報と色情報の設定処理を、センシングボタン32が操作されている場合に実行する。ここで、センシングボタン32が操作されている場合とは、センシングボタン32がユーザにより押下されている場合に相当する。具体的に説明すると、センシングボタン32が操作されており、且つ、距離センサ33により測定された距離Dが第1の条件を満たす場合、設定部111は、距離センサ33により測定された距離Dに応じて音情報と色情報とを設定する。その後、センシングボタン32が操作されている間に距離センサ33により測定された距離Dが変化すると、設定部111は、既に設定した音情報と色情報とを、変化後の距離Dに対応する音情報と色情報とに変更する。
【0035】
また、センシングボタン32が操作されており、且つ、距離センサ33により測定された距離Dが第2の条件を満たす場合、設定部111は、カラーセンサ34により測定された色に応じて音情報と色情報とを設定する。その後、センシングボタン32が操作されている間にカラーセンサ34により測定された色が変化すると、設定部111は、既に設定した音情報と色情報とを、変化後の色に対応する音情報と色情報とに変更する。
【0036】
一方で、設定部111は、センシングボタン32が操作されていない場合、具体的にはセンシングボタン32が押下されていない場合には、音情報と色情報の設定処理を実行しない。具体的に説明すると、設定部111は、センシングボタン32の操作が解除されると、音情報と色情報との設定を確定する。その後、センシングボタン32が操作されていない間は、端部7が向けられている対象物OBとの距離D又は対象物OBの色が変化したとしても、設定部111は、センシングボタン32が操作されている際に最後に設定した音情報と色情報から変更しない。
【0037】
図4に戻って、発光制御部112は、発光部51による発光を制御する。発光制御部112は、設定部111により色情報が設定されると、設定された色情報により示される色の光を、発光部51に発光させる。具体的に説明すると、発光制御部112は、センシングボタン32が操作されており、且つ、距離センサ33により測定された距離Dが第1の条件を満たす場合、距離センサ33により測定された距離Dに応じた色で発光部51を発光させる。
【0038】
例えば、図6における左側に示すように、距離センサ33により測定された距離Dが、所定値Tよりも大きい距離D1である場合、発光制御部112は、対応テーブル121において距離D1に対応付けられた色で発光部51を発光させる。或いは、図6における右側に示すように、距離センサ33により測定された距離Dが、所定値Tよりも大きく且つ距離D1とは異なる距離D2である場合、発光制御部112は、対応テーブル121において距離D2に対応付けられた色で発光部51を発光させる。このように、ユーザがセンシングボタン32を押下しながら発音装置1と対象物OBとの距離Dを変化させると、発光制御部112は、発光部51の色を、距離Dの変化に応じて様々に変化させる。
【0039】
これに対して、発光制御部112は、センシングボタン32が操作されており、且つ、距離センサ33により測定された距離Dが第2の条件を満たす場合、カラーセンサ34により測定された色に応じた色で発光部51を発光させる。例えば、図7における左側に示すように、距離センサ33により測定された距離Dが所定値T以下である場合、すなわち発音装置1の端部7が対象物OBに接触した場合、発光制御部112は、「赤」、「橙」、「黄」、「緑」、「青」、「藍」、「紫」、「白」の8個の色のうちの、対象物OBの色に最も近い色で発光部51を発光させる。或いは、図7における右側に示すように、図8に示した対象物OBとは色が異なる対象物OB2に発音装置1の端部7が接触した場合、発光制御部112は、上記8個の色のうちの、対象物OB2の色に最も近い色で発光部51を発光させる。このように、ユーザがセンシングボタン32を押下しながら発音装置1の端部7を様々な色の対象物OB,OB2に接触させると、発光制御部112は、発光部51の色を、対象物OB,OB2の色に応じて様々に変化させる。
【0040】
上述したように、設定部111は、センシングボタン32が操作されている場合に色情報の設定処理を実行し、センシングボタン32が操作されていない場合には色情報の設定処理を実行しない。そのため、発光制御部112は、センシングボタン32が操作されている間は、設定部111が異なる色情報を設定する毎に発光部51の色を様々に変化させる。これに対して、発光制御部112は、センシングボタン32が操作されていない場合、発光部51の色を、センシングボタン32が操作されている際に設定部111により最後に設定された色から変更しない。
【0041】
図4に戻って、発音制御部113は、発音部54による発音を制御する。発音制御部113は、加速度センサ53により振動が検知された場合、設定部111により設定された音情報により示される音を、発音部54に出力させる。ここで、加速度センサ53により振動が検知された場合とは、例えばユーザが持ち手部3を持って発音装置1全体を振る動作を行った場合のように、発音装置1に予め定められた閾値以上の加速度が加えられた場合に相当する。このように発音装置1に閾値以上の加速度が加えられた場合、発音制御部113は、加速度センサ53により振動が検知されたと判定する。
【0042】
加速度センサ53により振動が検知された場合、発音制御部113は、設定部111により設定された音情報により示される音を発音部54に出力させる。具体的には図8に示すように、設定部111により音情報として「ド_」が設定され、色情報として「赤」が設定された場合、発光制御部112は発光部51を赤色で発光させる。この状態において、ユーザが持ち手部3を持って発音装置1の全体を振る動作を行った場合、発音制御部113は、「ド_」の音を発音部54に出力させる。或いは、設定部111により音情報として「レ」が設定され、色情報として「橙」が設定された場合、発光制御部112は発光部51を橙色で発光させる。この状態において、ユーザが持ち手部3を持って発音装置1の全体を振る動作を行った場合、発音制御部113は、「レ」の音を発音部54に出力させる。設定部111により音情報として「ミ」、「ファ」、…等が設定された場合も同様である。
【0043】
このとき、発音制御部113は、加速度センサ53により検知された振動の大きさ、すなわち加速度センサ53により検知された加速度の大きさが大きいほど、大きな音を発音部54に出力させても良い。これにより、ユーザが発音装置1を大きく振ると大きな音が出力され、ユーザが発音装置1を小さく振ると小さな音が出力される。
【0044】
このように、発音制御部113は、加速度センサ53により振動が検知された場合、距離センサ33により測定された距離Dに応じた音、又は、カラーセンサ34により測定された色に応じた音を発音部54に出力させる。言い換えると、発音制御部113は、距離センサ33により測定された距離Dが第1の条件を満たす場合、距離センサ33により測定された距離Dに応じた音を発音部54に出力させる。また、発音制御部113は、距離センサ33により測定された距離Dが第2の条件を満たす場合、カラーセンサ34により測定された色に応じた音を発音部54に出力させる。
【0045】
発音制御部113は、このような発音部54による発音処理を、センシングボタン32が操作されていない場合に実行する。具体的に説明すると、発音制御部113は、センシングボタン32が操作されておらず、且つ、加速度センサ53により振動が検知された場合、設定部111により最後に設定された音情報により示される音を、発音部54に出力させる。一方で、発音制御部113は、センシングボタン32が操作されている場合、発音装置1は測定モードに移行しているため、加速度センサ53により振動が検知されても、発音処理を実行しない。
【0046】
次に、発音装置1により実行される発音処理の流れについて、図9及び図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。図9に示す発音処理は、発音方法の一例である。図9に示す発音処理は、発音装置1に電源が投入されたことを契機として開始する。発音処理を開始すると、制御部110は、初期設定を行う(ステップS1)。具体的に説明すると、制御部110は、音情報と色情報とを予め定められた初期値に設定し、設定された色情報により示される色で発光部51を発光させる。一例として、制御部110は、音情報を「ド_」に設定し、色情報を「赤」に設定し、発光部51を赤色に発光させる。
【0047】
次に、制御部110は、センシングボタン32が操作されているか否かを判定する(ステップS2)。具体的に説明すると、制御部110は、図3に示したように、ユーザによりセンシングボタン32が押下されているか否かを判定する。センシングボタン32が操作されている場合(ステップS2;YES)、制御部110は、設定処理を実行する(ステップS3)。設定処理の詳細は、図10を参照して説明する。
【0048】
図10に示す設定処理を開始すると、制御部110は、距離センサ33により発音装置1の端部7から対象物OBまでの距離Dを測定する(ステップS31)。距離Dを測定すると、制御部110は、測定された距離Dが所定値Tよりも大きいか否かを判定する(ステップS32)。測定された距離Dが所定値Tよりも大きい場合(ステップS32;YES)、制御部110は、測定された距離Dに応じて音情報と色情報とを設定する(ステップS33)。具体的に説明すると、制御部110は、対応テーブル121を参照して、測定された距離Dに対応付けられている音高と色とを、それぞれ音情報と色情報として設定する。
【0049】
これに対して、測定された距離Dが所定値T以下である場合(ステップS32;NO)、制御部110は、カラーセンサ34により対象物OBの色を測定する(ステップS34)。対象物OBの色を測定すると、制御部110は、測定された色に応じて音情報と色情報とを設定する(ステップS35)。具体的に説明すると、制御部110は、対応テーブル121において定められている8個の色の中で、測定された対象物OBの色に最も近い色を特定する。そして、制御部110は、対応テーブル121において、特定した色を色情報として設定し、特定した色に対応付けられている音高を音情報として設定する。
【0050】
ステップS33又はステップS35で音情報と色情報とを設定すると、制御部110は、設定された色情報により示される色で、発光部51を発光させる(ステップS36)。このとき、新たに設定された色情報により示される色が、既に発光部51が発光している色とは異なる色である場合、発光部51の色は変化する。一方で、新たに設定された色情報により示される色が、既に発光部51が発光している色と同じ色である場合、発光部51の色は変化しない。発光部51を発光させると、制御部110は、図10に示した設定処理を終了する。なお、ステップS31~S35では制御部110は設定部111として機能し、ステップS36では制御部110は発光制御部112として機能する。
【0051】
図9に戻って、制御部110は、設定処理を実行すると、処理をステップS2に戻し、引き続きセンシングボタン32が操作されているか否かを判定する。引き続きセンシングボタン32が操作されている場合、制御部110は、ステップS3の設定処理を再度実行する。言い換えると、ユーザがセンシングボタン32を押下している間は、制御部110は、距離センサ33又はカラーセンサ34による測定モードを継続する。そして、制御部110は、距離センサ33又はカラーセンサ34による測定結果に応じて音情報と色情報とを設定し、設定した色情報により示される色で発光部51を発光させる処理を繰り返す。
【0052】
一方で、ステップS2においてセンシングボタン32が操作されていない場合(ステップS2;NO)、制御部110は、加速度センサ53により振動を検知したか否かを判定する(ステップS4)。具体的に説明すると、制御部110は、発音装置1に対して閾値以上の加速度が加えられたか否かを判定する。振動を検知した場合(ステップS4;YES)、制御部110は、発音部54により、ステップS1、ステップS33又はステップS35で設定された音情報により示される音を出力させる(ステップS5)。これに対して、振動を検知していない場合(ステップS4;NO)、制御部110は、ステップS5をスキップする。なお、ステップS4,S5では制御部110は発音制御部113として機能する。
【0053】
その後、制御部110は、処理をステップS2に戻し、再度、センシングボタン32が操作されているか否かを判定する。そして、制御部110は、センシングボタン32が操作されている場合には、ステップS3の設定処理を実行する。一方で、制御部110は、センシングボタン32が操作されていない場合には、ステップS4~S5において、加速度センサ53により検知された振動に応答して最後に設定された音情報により示される音を発音部54に出力させる。制御部110は、発音装置1に電源が投入されている間、このようなステップS2~S5の処理を繰り返す。
【0054】
以上説明したように、実施形態1に係る発音装置1は、距離センサ33により測定された対象物OBとの距離Dが所定値Tよりも大きい場合、距離センサ33により測定された距離Dに応じた音を発音部54に出力させ、距離センサ33により測定された対象物OBとの距離Dが所定値T以下である場合、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に応じた音を発音部54に出力させる。このように、実施形態1に係る発音装置1は、対象物OBとの距離D又は対象物OBの色に応じて出力する音を変化させるため、ユーザは、発音装置1を持って対象物OBとの距離Dを変化させたり、様々な色の対象物OBに向けたりするという直感的な操作で様々な音を出力させることができる。そのため、ユーザは、シンプルな操作で音遊びを楽しむことができる。
【0055】
特に、実施形態1に係る発音装置1は、対象物OBとの距離Dに応じた音を発する第1の発音処理と、対象物OBの色に応じた音を発する第2の発音処理と、を1台の装置で実行できる。そして、ユーザは、発音装置1を対象物OBに近付けるか否かという、幼児でも扱いやすいシンプルな操作で2つの発音処理を切り替えることができる。
【0056】
また、実施形態1に係る発音装置1は、対象物OBとの距離D又は対象物OBの色に対応する色で発光部51を発光させ、発光部51が発光している色に対応する音を発音部54に出力させる。これにより、ユーザは、身の回りの様々な物に発音装置1を向けて色を探しながら発音装置1に様々な音を出力させることができるため、色遊びと音遊びとを楽しむことができる。
【0057】
次に、実施形態2について説明する。実施形態1と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。上記実施形態1では、発音装置1は、第1のセンサとして距離センサ33を備え、第2のセンサとしてカラーセンサ34を備えていた。これに対して、実施形態2では、発音装置1は、第1のセンサとしてカラーセンサ34を備え、第2のセンサとして距離センサ33を備える。言い換えると、実施形態2では、実施形態1とは第1のセンサと第2のセンサとを入れ替える。以下、説明する。
【0058】
実施形態2において、カラーセンサ34は、第1の測定情報として、対象物OBの色を測定する。距離センサ33は、第2の測定情報として、発音装置1の端部7から対象物OBまでの距離Dを測定する。カラーセンサ34により測定された対象物OBの色が第1の条件を満たす場合、設定部111は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に応じて音情報と色情報とを設定する。これに対して、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色が第2の条件を満たす場合、設定部111は、距離センサ33により測定された距離Dに応じて音情報と色情報とを設定する。このとき、設定部111は、実施形態1と同様に対応テーブル121を参照して、カラーセンサ34又は距離センサ33による測定結果に対応付けられた音情報と色情報とを設定する。
【0059】
実施形態2において、第1の条件は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色が特定の色に該当しない場合に満たされる。そして、第2の条件は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色が特定の色に該当する場合に満たされる。ここで、特定の色は、カラーセンサ34により測定を行う第1の測定モードと、距離センサ33により測定を行う第2の測定モードと、を切り替えるために予め設定される。特定の色は、一例として、黒色に設定される。
【0060】
具体的に説明すると、ユーザがセンシングボタン32を押下しながら端部7を黒色以外の色の対象物OBに向けている場合、設定部111は、第1の測定モードにおいて、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に応じて、音情報と色情報とを設定する。これに対して、ユーザがセンシングボタン32を押下しながら端部7を黒色の対象物OBに向けると、設定部111は、測定モードを第2の測定モードに切り替える。この場合、設定部111は、距離センサ33により測定された距離Dに応じて、音情報と色情報とを設定する。
【0061】
より詳細に、実施形態2に係る発音装置1により実行される設定処理について、図11を参照して説明する。実施形態2に係る発音装置1は、図9に示した発音処理におけるステップS3において、実施形態1で図10に示した設定処理に代わりに、図11に示す設定処理を実行する。
【0062】
図11に示す設定処理を開始すると、制御部110は、カラーセンサ34により対象物OBの色を測定する(ステップS41)。対象物OBの色を測定すると、制御部110は、測定された対象物OBの色が特定の色に該当するか否かを判定する(ステップS42)。
【0063】
測定された対象物OBの色が特定の色に該当しない場合(ステップS42;NO)、制御部110は、測定された対象物OBの色に応じて音情報と色情報とを設定する(ステップS43)。具体的に説明すると、制御部110は、対応テーブル121において定められている8個の色の中で、測定された色に最も近い色を特定する。そして、制御部110は、対応テーブル121において、特定した色を色情報として設定し、特定した色に対応付けられている音高を音情報として設定する。
【0064】
これに対して、測定された対象物OBの色が特定の色に該当する場合(ステップS42;YES)、制御部110は、距離センサ33により発音装置1の端部7から対象物OBまでの距離Dを測定する(ステップS44)。距離Dを測定すると、制御部110は、測定された距離Dに応じて音情報と色情報とを設定する(ステップS45)。具体的に説明すると、制御部110は、対応テーブル121を参照して、測定された距離Dに対応付けられている音高と色とを、それぞれ音情報と色情報として設定する。
【0065】
ステップS43又はステップS45で音情報と色情報とを設定すると、制御部110は、設定された色情報により示される色で、発光部51を発光させる(ステップS46)。発光部51を発光させると、制御部110は、図11に示した設定処理を終了する。設定処理以外の処理は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
以上説明したように、実施形態2に係る発音装置1は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色が特定の色に該当しない場合、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に応じた音を発音部54から出力させ、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色が特定の色に該当する場合、距離センサ33により測定された距離Dに応じた音を発音部54から出力させる。このように、実施形態1とは2つのセンサの優先順位を逆にした場合であっても、ユーザは直感的な操作で様々な音を出力させることができるため、シンプルな操作で音遊びを楽しむことができる。
【0067】
次に、実施形態3について説明する。実施形態1,2と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。上記実施形態1,2では、発音装置1は、距離センサ33とカラーセンサ34とを備えていた。これに対して、実施形態3に係る発音装置1は、距離センサ33の代わりに気圧センサ35を備える。具体的には図12に示すように、実施形態3に係る発音装置1は、第1のセンサとしてカラーセンサ34を備え、第2のセンサとして気圧センサ35を備える。
【0068】
気圧センサ35は、気圧すなわち大気の圧力を測定するセンサである。気圧センサ35は、ピエゾ抵抗方式、静電容量方式等のような公知の方式で気圧を測定する。気圧センサ35は、測定した気圧の値を高度の値に変換することで、基準位置からの相対的な高さを測定することができる。基準位置は、具体的には、気圧センサ35が起動した位置である。例えば、気圧センサ35が床で起動した場合、床からの相対的な高さを測定する。気圧センサ35は、基準位置からの高さを、例えば10cm単位の精度で測定することができる。
【0069】
実施形態3において、カラーセンサ34は、第1の測定情報として、対象物OBの色を測定する。気圧センサ35は、第2の測定情報として、基準位置からの発音装置1の現在の高さを測定する。そして、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色が第1の条件を満たす場合、設定部111は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に応じて音情報と色情報とを設定する。これに対して、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色が第2の条件を満たす場合、設定部111は、気圧センサ35により測定された高さに応じて音情報と色情報とを設定する。このとき、設定部111は、対応テーブル121を参照して、カラーセンサ34又は気圧センサ35による測定結果に対応付けられた音情報と色情報とを設定する。その他の処理は、実施形態2で「距離センサ33により測定された距離D」を、「気圧センサ35により測定された高さ」に置き換えることで、同様に説明することができる。
【0070】
このように、実施形態3に係る発音装置1は、実施形態1,2で説明した距離センサ33の代わりに気圧センサ35を備える。距離センサ33は、対象物OBまでの距離Dを測定するため、発音装置1の向きによって床までの距離Dだけでなく、壁や天井等までの距離Dを測定することも可能である。そのため、距離センサ33による測定値は、ユーザが発音装置1の向きを変えると変化する。これに対して、気圧センサ35は、基準位置からの相対的な高さを測定するため、気圧センサ35による測定値は、発音装置1の向きを変えても変化しない。そのため、ユーザが発音装置1を様々な方向に向けても、安定して音情報と色情報とを設定することができる。
【0071】
なお、実施形態3の変形例として、発音装置1は、第1のセンサとして気圧センサ35を備え、第2のセンサとしてカラーセンサ34を備えていても良い。この場合、気圧センサ35は、第1の測定情報として、基準位置からの発音装置1の現在の高さを測定する。カラーセンサ34は、第2の測定情報として、対象物OBの色を測定する。そして、気圧センサ35により測定された高さが第1の条件を満たす場合、設定部111は、気圧センサ35により測定された高さに応じて音情報と色情報とを設定する。これに対して、気圧センサ35により測定された高さが第2の条件を満たす場合、設定部111は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に応じて音情報と色情報とを設定する。
【0072】
ここで、気圧センサ35により測定された高さに関する第1の条件及び第2の条件は、適宜に定めることが可能である。一例として、第1の条件は、気圧センサ35により測定された高さが特定の高さよりも高い場合に満たされ、第2の条件は、気圧センサ35により測定された高さが特定の高さ以下である場合に満たされても良い。その他の処理は、実施形態1で「距離センサ33により測定された距離D」を、「気圧センサ35により測定された高さ」に置き換えることで、同様に説明することができる。
【0073】
次に、実施形態4について説明する。実施形態1と同様の構成及び機能については、適宜説明を省略する。上記実施形態1~3では、発音装置1は、第1又は第2のセンサとしてカラーセンサ34を備えていた。これに対して、実施形態4に係る発音装置1は、カラーセンサ34の代わりにカメラ36を備える。具体的には図13に示すように、実施形態4に係る発音装置1は、第1のセンサとして距離センサ33を備え、第2のセンサとしてカメラ36を備える。
【0074】
カメラ36は、対象物OBを撮影することで、対象物OBのカラーの撮影画像を取得する。そして、カメラ36は、取得した撮影画像に基づいて、対象物OBの色を測定する。その他の処理は、実施形態1~3において、「カラーセンサ34」を「カメラ36」に置き換えることで、同様に説明することができる。
【0075】
カラーセンサ34は、対象物OBに接触しないと色を測定することが難しいが、カメラ36であれば、対象物OBに接触しなくても色を測定することが容易である。そのため、実施形態4に係る発音装置1は、カラーセンサ34の代わりにカメラ36を備えることで、対象物OBの色を測定する際のユーザの操作の自由度を向上させることができる。
【0076】
なお、実施形態4の変形例として、発音装置1は、第1のセンサと第2のセンサとを入れ替えて、第1のセンサとしてカメラ36を備え、第2のセンサとして距離センサ33を備えていても良い。また、発音装置1は、第1のセンサ又は第2のセンサとして、距離センサ33の代わりに、実施形態3で説明した気圧センサ35を備えていても良い。
【0077】
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0078】
例えば、上記実施形態では、発音装置1は、柄状の持ち手部3とベル状の本体部5とを備えており、ハンドベル(イングリッシュベル)を模擬した形状をしていた。しかしながら、発音装置1の形状は、ユーザが手で把持して振ることが可能な形状であれば、図1の例に限らない。例えば、本体部5の形状は、ベル状に限らず、柱状、球状又はその他の形状であっても良い。また、発音装置1は、全体としてマラカス等の他の楽器を模擬した形状をしていても良いし、楽器以外の形状であっても良い。
【0079】
上記実施形態では、設定部111は、音情報として、距離センサ33により測定された対象物OBまでの距離D、又は、カラーセンサ34により測定された対象物OBの色に基づいて、「ド_」、「レ」、「ミ」、「ファ」、「ソ」、「ラ」、「シ」、「ド」という1オクターブにおける8個の音高のいずれかを設定した。しかしながら、設定部111は、1オクターブのみに限らず、1オクターブを超える範囲の複数の音高を設定しても良い。また、設定部111は、シャープ、フラット等の半音を設定しても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、設定部111は、音情報として、「ド_」~「ド」という1オクターブにおける8個の音高を設定したが、このような所定の規則に従った音の列である音階に限らず、任意の音高を設定しても良い。例えば、設定部111は、「ド#」、「ミ」、「ファ♭」、「ラ」…等のような、規則性を有さないバラバラな音高を音情報として設定しても良い。このような音高は、ユーザの好みに応じて自由に設定することが可能である。
【0081】
また、設定部111は、音情報として、音色を設定しても良い。ここで、音色は、ピアノ、バイオリン、トランペット等のような楽器から発せられる楽音と、犬、猫等のような動物の鳴き声と、を含む。例えば、設定部111は、音情報として、距離センサ33により測定された距離D又はカラーセンサ34により測定された色に応じて、異なる楽器の楽音又は異なる動物の鳴き声を設定しても良い。より具体的には、設定部111は、音情報として、カラーセンサ34により測定された色が茶色に該当する場合、犬の鳴き声を設定し、カラーセンサ34により測定された色が灰色に該当する場合、象の鳴き声を設定しても良い。
【0082】
上記実施形態では、発音制御部113は、加速度センサ53により振動が検知された場合に、設定部111により設定された音情報により示される音を発音部54に出力させた。しかしながら、発音制御部113は、加速度センサ53を用いることに限らず、どのようなトリガで発音部54に音を出力させても良い。例えば、発音制御部113は、ユーザがボタンを押下する、接触センサに接触する等のような特定の操作部を操作した場合に、設定部111により設定された音情報により示される音を発音部54に出力させても良い。
【0083】
上記実施形態では、操作部の一例であるセンシングボタン32は、持ち手部3の側面に備えられていた。しかしながら、センシングボタン32は、ユーザが操作しやすい位置であれば、どこに設けられていても良い。また、操作部は、センシングボタン32のように物理的なボタンであることに限らず、例えば、スライド式のスイッチであっても良いし、指の接触を検知する接触センサであっても良い。
【0084】
上記実施形態では、発音装置1は、第1のセンサと第2のセンサという2個のセンサを備えていた。しかしながら、発音装置1が備えるセンサの数は1個であっても良い。例えば、発音装置1がセンサとして距離センサ33のみを備える場合、発音制御部113は、距離センサ33により測定された距離Dに応じた音を発音部54に出力させ、測定された距離Dに応じた色で発光部51を発光させる。或いは、発音装置1がセンサとしてカラーセンサ34のみを備える場合、発音制御部113は、カラーセンサ34により測定された色に応じた音を発音部54に出力させ、測定された色に応じた色で発光部51を発光させる。センサの数が1個であっても、発音装置1は、センサによる測定結果に応じて出力する音を変化させるため、ユーザは直感的な操作で様々な音を出力させることができ、シンプルな操作で音遊びを楽しむことができる。発音装置1がセンサとして気圧センサ35又はカメラ36のみを備える場合も同様である。また、発音装置1は、3個以上のセンサを備えていても良いし、距離センサ33、カラーセンサ34、気圧センサ35又はカメラ36とは異なる種類のセンサを備えていても良い。
【0085】
上記実施形態では、制御部110において、CPUがROM又は記憶部120に記憶されたプログラムを実行することによって、設定部111、発光制御部112及び発音制御部113の各部として機能した。しかしながら、制御部110は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部110が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部110は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0086】
上述した発音装置1の動作を規定するプログラムを、パーソナルコンピュータ、クラウドサーバ等の既存のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、上述した発音装置1として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施形態等について説明したが、本発明は上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0088】
1…発音装置、3…持ち手部、5…本体部、7…端部、31…バッテリ、32…センシングボタン、33…距離センサ、34…カラーセンサ、35…気圧センサ、36…カメラ、51…発光部、52…導光部、53…加速度センサ、54…発音部、55…制御基板、110…制御部、111…設定部、112…発光制御部、113…発音制御部、120…記憶部、121…対応テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13