(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155331
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10D 30/66 20250101AFI20251006BHJP
H10D 62/10 20250101ALI20251006BHJP
H10D 64/20 20250101ALI20251006BHJP
H10D 30/01 20250101ALI20251006BHJP
H10D 64/60 20250101ALI20251006BHJP
【FI】
H01L29/78 654C
H01L29/78 652T
H01L29/78 652M
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/44 Y
H01L29/44 S
H01L29/78 658F
H01L21/28 301S
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059116
(22)【出願日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩史
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104BB13
4M104BB14
4M104BB17
4M104BB20
4M104BB21
4M104BB22
4M104BB25
4M104BB30
4M104BB32
4M104CC01
4M104DD64
4M104DD84
4M104FF07
4M104FF10
(57)【要約】
【課題】オン抵抗を低減すること。
【解決手段】本実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、前記第1電極の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第2電極と、絶縁領域を介して前記半導体層内に設けられた制御電極と、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に直交する第2方向に沿って前記制御電極と対向し、前記第2電極と電気的に接続され、第1仕事関数を有する第1導電部と、前記半導体層内に設けられ、前記絶縁領域および前記第1導電部に挟まれ、前記第1導電部とショットキー接合を形成する第1導電形の第1半導体領域と、前記半導体層内に設けられ、前記第1半導体領域の上に位置し、前記第1半導体領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電形の第2半導体領域と、前記第2電極と電気的に接続され、前記第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有し、前記第2半導体領域とオーミック接合を形成する第2導電部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第2電極と、
絶縁領域を介して前記半導体層内に設けられた制御電極と、
前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に直交する第2方向に沿って前記制御電極と対向し、前記第2電極と電気的に接続され、第1仕事関数を有する第1導電部と、
前記半導体層内に設けられ、前記絶縁領域および前記第1導電部に挟まれ、前記第1導電部とショットキー接合を形成する第1導電形の第1半導体領域と、
前記半導体層内に設けられ、前記第1半導体領域の上に位置し、前記第1半導体領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電形の第2半導体領域と、
前記第2電極と電気的に接続され、前記第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有し、前記第2半導体領域とオーミック接合を形成する第2導電部と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第2導電部は、前記第2半導体領域よりも幅が広い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2導電部は、前記第2電極と直接接している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1導電部と同じ導電材料からなる第3導電部が、前記第2導電部と前記第2電極との間に設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2導電部は、
前記第2半導体領域の前記制御電極側に設けられた第1部分と、
前記第2半導体領域の前記第1導電部側に設けられた第2部分と、
前記第2半導体領域の上側に設けられた第3部分と、
を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁領域は、上面、および前記上面と前記第2導電部の前記第1部分の下端とを接続する斜面を有する、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1導電部は、前記第1半導体領域の側面に接する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1導電形はn形であり、前記第1仕事関数は前記第2仕事関数よりも高い、請求項1~7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1導電部は、プラチナ、コバルトおよびニッケルのうち少なくとも1つを含み、
前記第2導電部は、チタンシリサイド、窒化チタン、チタン、プラチナシリサイド、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイド、タンタル、窒化タンタルおよびハフニウムのうち少なくとも1つを含む、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1導電部はプラチナを含み、前記第2導電部はチタンシリサイドを含む、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1導電形の第1半導体領域と、絶縁領域を介して前記第1半導体領域内に設けられた制御電極と、を備える半導体層を用意し、
前記第1半導体領域において前記制御電極と対向するトレンチを形成し、
前記トレンチを充填する犠牲膜を形成し、
前記第1半導体領域のうち前記絶縁領域および前記トレンチに挟まれた第2半導体領域に、第1導電形の不純物のイオン注入を行うことにより、前記第2半導体領域の上に設けられ、前記第1半導体領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電形の第3半導体領域を形成し、
第1仕事関数を有し、前記第3半導体領域とオーミック接合を形成する第1導電部を形成し、
前記犠牲膜を除去することにより、前記トレンチを露出させ、
前記トレンチを充填し、前記第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有し、前記第2半導体領域とショットキー接合を形成する第2導電部を形成し、
前記半導体層を挟むように第1電極および第2電極を形成する、
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1導電部は、前記第3半導体領域を形成した後、前記第3半導体領域の上に金属層を形成し、熱処理を行うことにより形成される、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第3半導体領域を形成した後、前記第1導電部を形成する前に、前記第3半導体領域の上部をエピタキシャル成長させることにより、前記第3半導体領域よりも幅が広い幅広領域を形成し、
前記第1導電部は、前記幅広領域の上に金属層を形成し、熱処理を行うことにより形成される、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2導電部を形成した後、前記第2電極を形成する前に、前記第2導電部の一部を除去して前記第1導電部を露出させ、
前記第2電極は、前記露出された前記第1導電部を被覆するように形成される、請求項11~13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などスイッチング機能を有する半導体装置が知られている。このような半導体装置においては、オン抵抗が低いことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-132195号公報
【特許文献2】特開2022-22074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、オン抵抗を低減することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、前記第1電極の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられた第2電極と、絶縁領域を介して前記半導体層内に設けられた制御電極と、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に直交する第2方向に沿って前記制御電極と対向し、前記第2電極と電気的に接続され、第1仕事関数を有する第1導電部と、前記半導体層内に設けられ、前記絶縁領域および前記第1導電部に挟まれ、前記第1導電部とショットキー接合を形成する第1導電形の第1半導体領域と、前記半導体層内に設けられ、前記第1半導体領域の上に位置し、前記第1半導体領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電形の第2半導体領域と、前記第2電極と電気的に接続され、前記第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有し、前記第2半導体領域とオーミック接合を形成する第2導電部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図3A】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図3B】
図3Aに続く、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図3C】
図3Bに続く、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図3D】
図3Cに続く、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図3E】
図3Dに続く、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図3F】
図3Eに続く、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図6A】第2実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図6B】
図6Aに続く、第2実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図6C】
図6Bに続く、第2実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図7】第3実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図8】第3実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【
図9】第3実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
また、説明の便宜上、
図1~
図3などに示すように、XYZ直交座標系を採用する。Z軸方向は、半導体装置の積層方向(厚さ方向)である。また、Z軸方向のうち、ソース電極側を「上」ともいい、ドレイン電極側を「下」ともいう。ただし、この表現は便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。Z軸方向は、特許請求の範囲における第1方向である。Y軸方向は、特許請求の範囲における第2方向である。X軸方向は、特許請求の範囲における第3方向である。
【0009】
また、以下の説明において、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表すために、n+、n、n-、および、p+、p、p-の表記を用いる場合がある。すなわち、n+はnよりもn形不純物濃度が相対的に高く、n-はnよりもn形不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p+はpよりもp形不純物濃度が相対的に高く、p-はpよりもp形不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。n形、n+形およびn-形は特許請求の範囲における第1導電形の一例である。p形、p+形およびp-形は特許請求の範囲における第2導電形の一例である。なお、以下の説明において、n形とp形は反転されてもよい。つまり、第1導電形がp形であってもよい。
【0010】
また、半導体領域の不純物濃度は、たとえば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、たとえば、走査型静電容量顕微鏡法(Scanning Capacitance Microscopy:SCM)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。
【0011】
また、コンタクト部の幅などの寸法は、たとえば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)や、エネルギー分散X線分光法(Energy Dispersive X-ray spectroscopy:EDX)や、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)による表面および/または断面の分析などにより測定することが可能である。
【0012】
また、導電部などの組成は、エネルギー分散X線分光法などにより分析することが可能である。
【0013】
(第1実施形態)
図1および
図2を参照して、第1実施形態に係る半導体装置1について説明する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1の断面図である。
図2は、
図1における領域Aの拡大図である。
【0014】
本実施形態に係る半導体装置1は、縦型のトランジスタである。より詳しくは、半導体装置1は、ゲート電極(後述のゲート電極13)の電位を制御することにより、ショットキー障壁の厚さを制御してオン状態とオフ状態とを切り替える縦型のMOSFETである。
【0015】
図1に示すように、半導体装置1は、ドレイン電極(第1電極)11と、ドレイン電極11の上に設けられた半導体層2と、半導体層2の上に設けられたソース電極(第2電極)12とを備える。
【0016】
ドレイン電極11は、半導体装置1のドレイン電極として機能する。本実施形態では、ドレイン電極11は、半導体層2内に設けられたドレイン領域22と電気的に接続されている。ドレイン電極11は、例えば、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、アルミニウム (Al)等からなる。
【0017】
半導体層2には、後述する各種の半導体領域などが設けられている。半導体層2は、エピタキシャル層であってもよいし、半導体基板であってもよいし、あるいは、半導体基板と、その上に配置されたエピタキシャル層であってもよい。本実施形態では、半導体層2はシリコン(Si)である。この場合、n形不純物としては、例えばヒ素(As)、リン(P)、またはアンチモン(Sb)が用いられ、p形不純物としては、例えばホウ素(B)が用いられる。なお、半導体層2は、炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等の化合物半導体からなってもよい。
【0018】
ソース電極12は、半導体装置1のソース電極として機能する。本実施形態では、ソース電極12は、導電部30(第3導電部)、および導電部30の一部である導電部31と電気的に接続されている。また、ソース電極12は、導電部30を介して導電部40と電気的に接続されている。ソース電極12は、例えば、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、アルミニウム (Al)等からなる。
【0019】
なお、図示しないが、ソース電極12は、互いに異なる材料からなる複数の金属層から構成されてもよい。例えば、ソース電極12は、導電部30の上に設けられたチタン(Ti)および/または窒化チタン(TiN)からなる第1金属層と、第1金属層の上に設けられたタングステン(W)からなる第2金属層と、第2金属層の上に設けられたアルミニウム(Al)からなる第3金属層とを有してもよい。
【0020】
半導体層2の詳細について説明する。
図1に示すように、半導体層2内には、ドリフト領域21、ドレイン領域22、薄化領域(第1半導体領域)23、頂部領域(第2半導体領域)24、ゲート電極(制御電極)13、絶縁領域50、および導電部(第1導電部)31が設けられている。また、頂部領域24の上には、導電部(第2導電部)40が設けられている。
【0021】
ドリフト領域21は、半導体装置1のドリフト領域として機能する。ドリフト領域21は、ドレイン領域22の上(ドレイン電極11の上方)に配置されている。ドリフト領域21は、例えばn-形の半導体領域である。ドリフト領域21のn形不純物濃度は、例えば、1×1015cm-3以上2×1016cm-3以下である。
【0022】
ドレイン領域22は、半導体装置1のドレイン領域として機能する。ドレイン領域22は、ドリフト領域21とドレイン電極11との間に配置されている。ドレイン領域22は、例えばn+形の半導体領域である。ドレイン領域22のn形不純物濃度は、例えば、1×1018c m-3以上1×1021cm-3以下である。
【0023】
なお、ドレイン領域22は設けられていなくてもよい。この場合、ドリフト領域21はドレイン電極11の上に直接設けられ、ドレイン電極11はドリフト領域21と電気的に接続する。あるいは、ドリフト領域21は設けられていなくてもよい。この場合、例えばドレイン領域22がドリフト領域21の位置にも設けられる。
【0024】
薄化領域23は、半導体層2内におけるドリフト領域21の上端部分に位置し、ドリフト領域21と同程度の不純物濃度を有するn-形の半導体領域である。薄化領域23は、絶縁領域50および導電部31に挟まれ、X軸方向に延在する。なお、薄化領域23の不純物濃度は、ドリフト領域21と異なってもよい。
【0025】
頂部領域24は、半導体層2内に設けられ、薄化領域23の上に位置する。頂部領域24は、X軸方向に延在する。頂部領域24は、薄化領域23よりも高い不純物濃度を有する。頂部領域24は、例えばn+形の半導体領域である。頂部領域24のn形不純物濃度は、例えば、8×1019cm-3以上5×1020cm-3以下である。
【0026】
なお、
図2では、頂部領域24は薄化領域23と異なる領域として図示されているが、不純物濃度が連続的に変化するために頂部領域24と薄化領域23との間の境界が不明確であってもよい。ただし、頂部領域24と薄化領域23との間には、第2半導体形の半導体領域、例えばベース領域などは設けられていない。
【0027】
ゲート電極13は、半導体装置1のゲート電極として機能する。ゲート電極13は、絶縁領域50を介して半導体層2内に設けられ、X軸方向に延在する。ゲート電極13は、例えばp形またはn形の不純物を含むポリシリコン等からなる。絶縁領域50は、例えばシリコン酸化物またはシリコン窒化物を含む絶縁膜である。
【0028】
導電部31は、半導体層2の上面からドリフト領域21に達するように設けられている。より詳しくは、
図1および
図2に示すように、導電部31は、半導体層2の厚さ方向に直交する方向(Y軸方向)に沿ってゲート電極13と一部が対向するように設けられている。ここで、導電部31の一部がゲート電極13と対向するとは、導電部31の下端(先端)部分がY軸方向に沿ってゲート電極13と対向するという意味である。また、
図2に示すように、導電部31とドリフト領域21との境界面(ショットキー接合面)31aからゲート電極13への方向は、Y軸方向に沿う。導電部31は、X軸方向に延在する。
【0029】
導電部31は、ソース電極12と電気的に接続されている。本実施形態では、
図1および
図2に示すように、導電部31と同じ導電材料からなる導電部30が半導体層2の上面とソース電極12との間に設けられ、導電部31は、導電部30を介してソース電極12と電気的に接続されている。
【0030】
導電部31は、
図2に示すように、ドリフト領域21の上面、および薄化領域23の側面に接するように設けられている。導電部31は、第1仕事関数を有する第1導電材料を含み、ドリフト領域21および薄化領域23とショットキー接合を形成する。第1導電形がn形の場合、第1導電材料は、プラチナ(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などである。すなわち、第1導電形がn形の場合、導電部31は、プラチナ、コバルトおよびニッケルのうち少なくとも1つを含む。本実施形態では、導電部31はプラチナからなる。
【0031】
導電部31とドリフト領域21との間のショットキー接合により、導電部31とドリフト領域21の境界面31aの近傍にショットキー障壁が形成される。また、導電部31と薄化領域23との間のショットキー接合により、導電部31と薄化領域23の境界面31bの近傍にショットキー障壁が形成される。これらのショットキー障壁が厚い場合、ドレイン電極11からソース電極12への電流が実質的に流れず、半導体装置1がオフ状態となる。反対に、少なくともいずれか一方のショットキー障壁が薄い場合、ドレイン電極11からソース電極12にトンネル電流などの電流が流れ、半導体装置1がオン状態となる。ゲート電極13の電位を制御することにより、境界面31a,31bの近傍に形成されるショットキー障壁の厚さを制御して、半導体装置1のオン状態とオフ状態とを切り替えることが可能である。
【0032】
導電部40は、頂部領域24の上に設けられ、ソース電極12と電気的に接続されている。本実施形態では、導電部30が導電部40とソース電極12との間に設けられており、導電部40は、導電部30を介してソース電極12と電気的に接続されている。導電部40は、X軸方向に延在する。
【0033】
導電部40は、第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有する第2導電材料を含み、頂部領域24とオーミック接合を形成する。第1導電形がn形の場合、第2仕事関数は第1仕事関数よりも低い。第1導電形がn形の場合、第2導電材料は、チタンシリサイド(TiSi)、窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、プラチナシリサイド(PtSi)、コバルトシリサイド(CoSi)、ニッケルシリサイド(NiSi)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)およびハフニウム(Hf)などである。すなわち、第1導電形がn形の場合、導電部40は、チタンシリサイド、窒化チタン、チタン、プラチナシリサイド、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイド、タンタル、窒化タンタルおよびハフニウムのうち少なくとも1つを含む。本実施形態では、導電部40は、チタンシリサイドからなる。なお、第1導電形がp形の場合、第2仕事関数は第1仕事関数よりも高い。
【0034】
なお、
図1に示すように、半導体装置1は、絶縁領域50を介して半導体層2内に設けられたフィールドプレート電極(FP電極)14を備えてもよい。本実施形態では、FP電極14は、ゲート電極13の下方に設けられ、X軸方向に延在する。FP電極14は、例えばp形またはn形の不純物を含むポリシリコン等からなる。FP電極14は、絶縁領域50によって半導体層2から電気的に絶縁され、ソース電極12と電気的に接続されている。このようなFP電極14を設けることにより、半導体装置1がオフ状態の場合に、ドレイン電極11とソース電極12との間に印加された電圧によって、FP電極14からその周囲のドリフト領域21に空乏層が伸びる。この空乏層が隣のFP電極14の空乏層と接続し、半導体装置1の耐圧が向上する。なお、半導体装置1は、絶縁領域50とは別の絶縁領域(図示せず)を介して半導体層2内に設けられたフィールドプレートを備えてもよい。また、FP電極14は、X軸方向以外(例えばY軸方向)に延在するように設けられてもよい。
【0035】
以上説明したように、第1実施形態に係る半導体装置1は、絶縁領域50を介して半導体層2内に設けられたゲート電極13と、Y軸方向に沿ってゲート電極13と対向し、ソース電極12と電気的に接続され、第1仕事関数を有する導電部31と、半導体層2内に設けられ、絶縁領域50および導電部31に挟まれ、導電部31とショットキー接合を形成する第1導電形の薄化領域23と、半導体層2内に設けられ、薄化領域23の上に位置し、薄化領域23よりも高い不純物濃度を有する第1導電形の頂部領域24と、ソース電極12と電気的に接続され、第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有し、頂部領域24とオーミック接合を形成する導電部40とを備える。
【0036】
すなわち、本実施形態では、ゲート電極13の電位を制御することにより、ショットキー障壁の厚さを制御してオン状態とオフ状態とを切り替える半導体装置1において、ドリフト領域21および薄化領域23とショットキー接合を形成する導電部31に加えて、頂部領域24とオーミック接合を形成する導電部40が設けられている。これにより、半導体装置1のオン状態において、ドレイン-ソース間の電流が、ショットキー接合よりもコンタクト抵抗が小さいオーミック接合を通って流れることが可能となるため、半導体装置1のオン抵抗を低減することができる。
【0037】
また、本実施形態では、導電部40とオーミック接合を形成する頂部領域24は、薄化領域23よりも高い不純物濃度を有する。これにより、導電部40と頂部領域24とのコンタクト抵抗を低減することができ、半導体装置1のオン抵抗をより低減することができる。
【0038】
なお、
図2に示すように、頂部領域24の上端が絶縁領域50の上面50aより突出し、導電部40が頂部領域24の上端を包むように設けられてもよい。より詳しくは、導電部40は、頂部領域24のゲート電極13側に設けられた第1部分41と、頂部領域24の導電部31側に設けられた第2部分42と、頂部領域24の上側に設けられた第3部分43とを有してもよい。
図2の例では、導電部40の第1部分41は頂部領域24のゲート電極13側の第1側面24aと接し、導電部40の第2部分42は頂部領域24の導電部31側の第2側面24bと接し、導電部40の第3部分43は第1側面24aと第2側面24bを接続する頂部領域24の上面24cと接する。このように導電部40が頂部領域24の上端を包むように設けられることで、導電部40と頂部領域24との間に形成されるオーミック接合の面積が増加し、半導体装置1のオン抵抗をより低減することができる。
【0039】
また、
図2に示すように、絶縁領域50は、上面50aおよび斜面50bを有してもよい。斜面50bは、上面50aと、導電部40の第1部分41の下端41aとを接続する。このような斜面50bが設けられていることにより、第1部分41の下端41aは絶縁領域50の上面50aよりも下に位置する。そのため、導電部40と頂部領域24との間に形成されるオーミック接合の面積が増加し、半導体装置1のオン抵抗をより低減することができる。なお、導電部40の第1部分41の下端41aは、ゲート電極13の上端よりも上に位置していれば、
図2の例よりも下に位置してもよい。これにより、半導体装置1のオン抵抗をさらに低減することができる。
【0040】
また、導電部40の第2部分42の下端42aは、ゲート電極13の上端よりも上に位置していれば、
図2の例よりも下に位置してもよい。これにより、導電部40と頂部領域24との間に形成されるオーミック接合の面積が増加し、半導体装置1のオン抵抗をより低減することができる。
【0041】
<半導体装置1の製造方法>
次に、
図3A~
図3Fを参照して、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法の一例について説明する。
図3A~
図3Fは、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図であり、
図1における領域Aに相当する部分の拡大図である。
【0042】
まず、ドリフト領域(第1半導体領域)21と、絶縁領域50を介してドリフト領域21内に設けられたゲート電極(制御電極)13と、を備える半導体層を用意する。このような半導体層は、例えば以下のようにして得られる。まず、ドリフト領域21を備える半導体基板を用意する。その後、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)等により、当該半導体基板の上面にゲートトレンチを形成する。その後、熱酸化等により、当該ゲートトレンチ内に絶縁領域を形成する。その後、RIE等により、当該絶縁領域にトレンチを形成するように絶縁領域の一部を除去する。その後、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)等によってポリシリコン等の導電性材料を絶縁領域のトレンチ内に堆積し、余剰の導電性材料をエッチバックすることでゲート電極13を形成する。その後、ゲート電極13を埋設し、かつゲートトレンチ以外の半導体基板の上面を被覆するように絶縁材料を堆積し、その後、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)等により、当該絶縁材料の上面を平坦化する。これにより、絶縁領域50が形成される。
【0043】
次に、
図3Aに示すように、RIE等により、ドリフト領域21にゲート電極13と対向するコンタクトトレンチCTを形成する。コンタクトトレンチCTは、絶縁領域50と間隔を空けて形成される。これにより、ドリフト領域21のうち絶縁領域50およびコンタクトトレンチCTに挟まれた領域である薄化領域(第2半導体領域)23が形成される。
【0044】
次に、
図3Bに示すように、コンタクトトレンチCTを充填する犠牲膜60を形成する。犠牲膜60は、例えばシリコン窒化物(SiN)などの絶縁材料からなる。この犠牲膜60は、詳しくは以下のようにして形成する。まず、スパッタリング等により、コンタクトトレンチCTを充填し、かつ絶縁領域50の上面を被覆するようにシリコン窒化物などの絶縁材料を堆積する。その後、CMP等により、当該絶縁材料の上面を平坦化する。その後、ウェットエッチング等により、絶縁材料の上部をエッチバックし、絶縁領域50を露出させる。なお、犠牲膜60の上端の高さを変更することにより、後の工程で形成される導電部(第1導電部)40の第2部分42の下端42aの高さを変更することができる(
図3E参照)。
【0045】
次に、
図3Cに示すように、ウェットエッチング等により、絶縁領域50の上部を除去し、薄化領域23の上面を露出させる。本実施形態では、絶縁領域50をさらに除去し、上面50aと薄化領域23とを接続する斜面50bを形成する。これにより、薄化領域23の上面に加えて、薄化領域23のゲート電極13側の側面が露出される。なお、本工程は、薄化領域23の上面を露出させた段階で留め、斜面50bを形成しなくてもよい。
【0046】
次に、
図3Dに示すように、薄化領域23の頂部に、第1導電形の不純物のイオン注入を行う。第1導電形がn形の場合、この不純物は、例えばヒ素である。これにより、薄化領域23の上側部分に、後の熱処理による活性化で頂部領域24となる予定領域240が形成される。イオン注入を行うことにより予定領域240の少なくとも一部がアモルファス化され、後の工程においてシリサイド化を促進することができる。なお、半導体層の上面のうち薄化領域23以外の部分は絶縁領域50または犠牲膜60に被覆されているため、本工程のイオン注入は、半導体層の上面において薄化領域23の幅よりも広い範囲に行ってもよい。これにより、予定領域240を容易に形成することができる。なお、特許請求の範囲における半導体装置の製造方法に係る請求項の第3半導体領域は、ここでいう予定領域240であってもよいし、熱処理による活性化後の頂部領域24であってもよい。
【0047】
次に、
図3Eに示すように、予定領域240を埋設するように金属層70を形成する。金属層70は、例えばチタンである。その後、熱処理を行うことにより、予定領域240に注入されたイオンが活性化され、第1導電形の頂部領域24が形成される。同時に、予定領域240は、金属層70との境界面付近でシリサイド化され、導電部40が形成される。頂部領域24は、ドリフト領域21および薄化領域23よりも高い不純物濃度を有する第1導電形の半導体領域である。導電部40は、第1仕事関数を有し、頂部領域24とオーミック接合を形成する。導電部40は、例えばチタンシリサイドである。なお、熱処理は、金属層70を形成する前と、金属層70を形成した後にそれぞれ行ってもよい。すなわち、熱処理による活性化によって頂部領域24を形成する工程と、熱処理によるシリサイド化によって導電部40を形成する工程とを分けて行ってもよい。
【0048】
次に、
図3Fに示すように、ウェットエッチング等により金属層70を除去する。その後、ウェットエッチング等により犠牲膜60を除去し、コンタクトトレンチCTを露出させる。その後、スパッタリング等により、コンタクトトレンチCTを充填する導電部(第2導電部)31を形成する。導電部31は、第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有し、ドリフト領域21および薄化領域23とショットキー接合を形成する。その後、スパッタリング等により、導電部31および導電部40を被覆する導電部30を形成する。なお、導電部30は、導電部31を形成した後、これに連続して形成してもよい。
【0049】
その後、図示しないが、半導体層の下面にn形不純物をイオン注入し、熱処理を行うことにより、ドレイン領域22を形成する。その後、半導体層を挟むようにドレイン電極11およびソース電極12を形成する。すなわち、半導体層の下面にドレイン電極11を形成し、導電部30の上にソース電極12を形成する。
【0050】
以上の工程により、半導体装置1が製造される。
【0051】
本実施形態の製造方法によれば、コンタクトトレンチCTを充填するように導電部31を形成することにより、導電部31の材料の段差被覆性(ステップ・カバレッジ)が低い場合であっても、導電部31と薄化領域23との間のショットキー接合を形成できる。
【0052】
(第1実施形態の変形例)
<半導体装置1A>
次に、
図4を参照して、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1Aについて説明する。
図4は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1Aの断面図であり、
図1における領域Aに相当する部分の拡大図である。本変形例と第1実施形態との相違点の1つは、接続領域25の存在である。以下、本変形例について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0053】
図4に示すように、半導体装置1Aは、第1実施形態に係る半導体装置1の構成に加えて、接続領域25をさらに備える。接続領域25は、薄化領域23と頂部領域24との間に設けられたn形の半導体領域である。接続領域25の不純物濃度は、例えば、薄化領域23の不純物濃度よりも高く、頂部領域24の不純物濃度よりも低い。接続領域25のn形不純物濃度は、例えば、3×10
17cm
-3以上2×10
19cm
-3以下である。なお、
図4では、頂部領域24は接続領域25と異なる領域として図示されているが、不純物濃度が連続的に変化するために頂部領域24と接続領域25との間の境界が不明確であってもよい。接続領域25と薄化領域23との間の境界についても同様である。
【0054】
接続領域25は、半導体装置1の製造工程において、例えばコンタクトトレンチCTを形成する前に、半導体基板の上面からn形不純物のイオン注入を行い、その後熱処理を行うことで形成される。頂部領域24は、
図3Dと同様の工程において、接続領域25の頂部にn形不純物のイオン注入を行い、その後熱処理を行うことで形成される。
【0055】
本変形例によれば、接続領域25を設けることにより、頂部領域24の不純物濃度をより向上させることができる。そのため、導電部40と頂部領域24との間のコンタクト抵抗をより低減することができ、半導体装置1Aのオン抵抗をより低減することができる。
【0056】
(第2実施形態)
<半導体装置1B>
図5を参照して、第2実施形態に係る半導体装置1Bについて説明する。
図5は、第2実施形態に係る半導体装置1Bの断面図である。本実施形態に係る半導体装置1Bは、第1実施形態の導電部40よりも幅が広い導電部40Aを備える。以下、本実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
図5に示すように、半導体装置1Bは、頂部領域24よりも幅が広い導電部40Aを備える。すなわち、導電部40AのY方向の長さは、頂部領域24のY方向の長さよりも長い。なお、
図5に示すように、導電部40Aは、薄化領域23よりも幅が広くてもよい。導電部40Aは、第1実施形態に係る半導体装置1の導電部40に代えて設けられている。また、本実施形態では、導電部40Aは、斜面50bおよび頂部領域24の第1側面24aによって画定される溝部を埋めるように設けられている。
【0058】
本実施形態によれば、頂部領域24よりも幅が広い導電部40Aを設けることにより、導電部40Aの抵抗を低減することができる。そのため、半導体装置1Bのオン抵抗をより低減することができる。
【0059】
<半導体装置1Bの製造方法>
図6A~
図6Cを参照して、第2実施形態に係る半導体装置1Bの製造方法について説明する。
図6A~
図6Cは、第2実施形態に係る半導体装置の製造工程の一例を説明するための断面図であり、
図1における領域Aに相当する部分の拡大図である。
【0060】
まず、上述した第1実施形態に係る半導体装置1の製造工程のうち、
図3Dで説明した予定領域240を形成する工程まで行う。なお、本実施形態では、後のエピタキシャル成長を行う工程における加熱により、予定領域240に含まれる不純物が拡散することを考慮して、第1実施形態の予定領域240よりも浅くなるように、すなわち
図3Dにおける予定領域240の下端がより高い位置となるように、予定領域240を形成してもよい。このような浅い予定領域240は、例えば、プラズマドーピング装置を用いたPulse plasma Lateral Aligned Doping(PLAD)などにより形成することができる。
【0061】
次に、
図6Aに示すように、選択エピタキシャル成長等により、予定領域240の上に、予定領域240よりも幅が広い幅広領域WPを形成する。例えば、予定領域240の幅は50nmであり、幅広領域WPの幅は200nmである。
【0062】
次に、
図6Bに示すように、幅広領域WPの上に金属層70を形成する。その後、熱処理を行うことにより、予定領域240に注入されたイオンが活性化され、頂部領域24が形成される。同時に、幅広領域WPがシリサイド化され、導電部(第1導電部)40Aが形成される。導電部40Aは、第1仕事関数を有し、頂部領域24とオーミック接合を形成する。
【0063】
次に、
図6Cに示すように、ウェットエッチング等により余剰の金属層70を除去する。その後、ウェットエッチング等により犠牲膜60を除去し、コンタクトトレンチCTを露出させる。その後、スパッタリング等により、コンタクトトレンチCTを充填する導電部(第2導電部)31を形成する。その後、スパッタリング等により、導電部31および導電部40を被覆する導電部30を形成する。なお、導電部30は、導電部31を形成した後、これに連続して形成してもよい。
【0064】
以降の工程は、第1実施形態と同様である。
【0065】
以上の工程により、半導体装置1Bが製造される。
【0066】
本実施形態の製造方法によれば、幅広領域WPを形成することにより、導電部40Aにおいてシリコンの濃度が相対的に低下して、導電部40Aが高抵抗となることを抑制できる。そのため、半導体装置1Aのオン抵抗が増大することを抑制できる。
【0067】
なお、選択エピタキシャル成長により幅広領域WPを形成する際に、第1導電形の不純物を有するドーパントガスを供給してもよい。これにより、エピタキシャルの際の加熱に伴う不純物の拡散によって頂部領域24の不純物濃度が減少することを抑制できる。そのため、半導体装置1Aのオン抵抗が増大することをさらに抑制できる。
【0068】
また、幅広領域WPを形成した後に、幅広領域WPに第1導電形の不純物のイオン注入をさらに行ってもよい。これにより、幅広領域WPの少なくとも一部がアモルファス化され、幅広領域WPのシリサイド化を促進することができる。
【0069】
(第3実施形態)
<半導体装置1C>
図7を参照して、第3実施形態に係る半導体装置1Cについて説明する。
図7は、第3実施形態に係る半導体装置1Cの断面図であり、
図1における領域Aに相当する部分の拡大図である。本実施形態と第2実施形態との相違点の1つは、ソース電極12および導電部40A間における電気的接続の態様である。以下、本実施形態について、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0070】
図7に示すように、半導体装置1Cの導電部(第2導電部)40Aは、ソース電極(第2電極)12と直接接している。すなわち、導電部40Aは、導電部(第3導電部)30Aを介さずにソース電極12と接している。
【0071】
本実施形態によれば、第2仕事関数を有する導電部40Aとソース電極12との間の電気的接続に対して、第1仕事関数を有する導電部30が影響することを回避できる。
【0072】
<半導体装置1Cの製造方法>
図8を参照して、第3実施形態に係る半導体装置1Cの製造方法について説明する。
図8は、第3実施形態に係る半導体装置1Cの製造工程の一例を説明するための断面図であり、
図1における領域Aに相当する部分の拡大図である。
【0073】
まず、上述した第2実施形態に係る半導体装置1Bの製造工程のうち、導電部(第2導電部)31および導電部(第2導電部)30を形成する工程まで行う。
【0074】
次に、
図8に示すように、導電部30の上部をエッチング等により除去して導電部(第1導電部)40Aの上面を露出させる。これにより、導電部30よりも薄い導電部30Aが形成される。
【0075】
以降の工程は、第2実施形態と同様である。ただし、ソース電極12を形成する際、導電部40Aの上面を被覆するようにソース電極12を形成する。これにより、導電部40Aと直接接するソース電極12が形成される。
【0076】
以上の工程により、半導体装置1Cが製造される。
【0077】
(第3実施形態の変形例)
<半導体装置1D>
図9を参照して、第3実施形態の変形例に係る半導体装置1Dについて説明する。
図9は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置1Dの断面図であり、
図1における領域Aに相当する部分の拡大図である。上述した第3実施形態は、第2実施形態における導電部40Aがソース電極12と直接接している場合であった。これに対して、第3実施形態の変形例は、第1実施形態における導電部40がソース電極12と直接接している場合に相当する。
【0078】
図9に示すように、半導体装置1Dの導電部(第2導電部)40は、導電部(第3導電部)30を介さず、ソース電極12と直接接している。
【0079】
これにより、半導体装置1Dの設計自由度を向上させることができる。
【0080】
半導体装置1Dは、例えば次のようにして製造することができる。まず、第1実施形態に係る半導体装置1の製造工程のうち、導電部(第2導電部)31および導電部(第2導電部)30を形成する工程まで行う。その後、導電部30の上部をエッチング等により除去して導電部(第1導電部)40の上面を露出させる。これにより、導電部30Aが形成される。以降の工程は、第3実施形態と同様である。
【0081】
以上の各実施形態および変形例では、ゲート電極13、導電部(第1導電部)31,薄化領域(第1半導体領域)23、頂部領域(第2半導体領域)24、および導電部(第2導電部)40,40Aは、いずれもX軸方向に延在していた。すなわち、各実施形態および変形例は、ゲートトレンチおよびコンタクトトレンチ等のトレンチが平行に配置されているストライプ形状の場合に適用された例として説明した。これに限られず、各実施形態および変形例は、半導体層2の上面から厚み方向に見てトレンチが交差するメッシュ形状のトレンチの場合や、ドット形状のトレンチの場合にも適用することが可能である。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態および実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態および実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態および実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0083】
(付記1)
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられた第2電極と、
絶縁領域を介して前記半導体層内に設けられた制御電極と、
前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に直交する第2方向に沿って前記制御電極と対向し、前記第2電極と電気的に接続され、第1仕事関数を有する第1導電部と、
前記半導体層内に設けられ、前記絶縁領域および前記第1導電部に挟まれ、前記第1導電部とショットキー接合を形成する第1導電形の第1半導体領域と、
前記半導体層内に設けられ、前記第1半導体領域の上に位置し、前記第1半導体領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電形の第2半導体領域と、
前記第2電極と電気的に接続され、前記第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有し、前記第2半導体領域とオーミック接合を形成する第2導電部と、
を備える半導体装置。
(付記2)
前記第2導電部は、前記第2半導体領域よりも幅が広い、付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記第2導電部は、前記第2電極と直接接している、付記1または2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記第1導電部と同じ導電材料からなる第3導電部が、前記第2導電部と前記第2電極との間に設けられている、付記1または2に記載の半導体装置。
(付記5)
前記第2導電部は、
前記第2半導体領域の前記制御電極側に設けられた第1部分と、
前記第2半導体領域の前記第1導電部側に設けられた第2部分と、
前記第2半導体領域の上側に設けられた第3部分と、
を有する、付記1~4のいずれかに記載の半導体装置。
(付記6)
前記絶縁領域は、上面、および前記上面と前記第2導電部の前記第1部分の下端とを接続する斜面を有する、付記5に記載の半導体装置。
(付記7)
前記第2導電部の第1部分および前記第2部分の下端は、前記制御電極の上端よりも前記第2電極側に位置する、付記5または6に記載の半導体装置。
(付記8)
前記第1導電部は、前記第1半導体領域の側面に接する、付記1~8のいずれかに記載の半導体装置。
(付記9)
前記制御電極、前記第1導電部、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域および前記第2導電部は、いずれも前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に延在する、付記1~8のいずれかに記載の半導体装置。
(付記10)
前記第1導電形はn形であり、前記第1仕事関数は前記第2仕事関数よりも高い、付記1~9のいずれかに記載の半導体装置。
(付記11)
前記第1導電部は、プラチナ、コバルトおよびニッケルのうち少なくとも1つを含み、
前記第2導電部は、チタンシリサイド、窒化チタン、チタン、プラチナシリサイド、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイド、タンタル、窒化タンタルおよびハフニウムのうち少なくとも1つを含む、付記10に記載の半導体装置。
(付記12)
前記第1導電部はプラチナを含み、前記第2導電部はチタンシリサイドを含む、付記11に記載の半導体装置。
(付記13)
第1導電形の第1半導体領域と、絶縁領域を介して前記第1半導体領域内に設けられた制御電極と、を備える半導体層を用意し、
前記第1半導体領域において前記制御電極と対向するトレンチを形成し、
前記トレンチを充填する犠牲膜を形成し、
前記第1半導体領域のうち前記絶縁領域および前記トレンチに挟まれた第2半導体領域に、第1導電形の不純物のイオン注入を行うことにより、前記第2半導体領域の上に設けられ、前記第1半導体領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電形の第3半導体領域を形成し、
第1仕事関数を有し、前記第3半導体領域とオーミック接合を形成する第1導電部を形成し、
前記犠牲膜を除去することにより、前記トレンチを露出させ、
前記第2トレンチを充填し、前記第1仕事関数と異なる第2仕事関数を有し、前記第1半導体領域とショットキー接合を形成する第2導電部を形成し、
前記半導体層を挟むように第1電極および第2電極を形成する、
半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記第1導電部は、前記第3半導体領域を形成した後、前記第3半導体領域の上に金属層を形成し、熱処理を行うことにより形成される、付記13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記第3半導体領域を形成した後、前記第1導電部を形成する前に、前記第3半導体領域の上部をエピタキシャル成長させることにより、前記第3半導体領域よりも幅が広い幅広領域を形成し、
前記第1導電部は、前記幅広領域の上に金属層を形成し、熱処理を行うことにより形成される、付記13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記第2導電部を形成した後、前記第2電極を形成する前に、前記第2導電部の一部を除去して前記第1導電部を露出させ、
前記第2電極は、前記露出された前記第1導電部を被覆するように形成される、付記13~15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記犠牲膜を形成した後、前記第3半導体領域を形成する前に、前記絶縁領域の上部を除去し、前記第1半導体領域のうち前記絶縁領域と前記トレンチとに挟まれた半導体領域の前記制御電極側を露出させる、付記13~16のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,1B,1C,1D 半導体装置
11 ドレイン電極
12 ソース電極
13 ゲート電極
14 FP電極
2 半導体層
21 ドリフト領域
22 ドレイン領域
23 薄化領域
24 頂部領域
25 接続領域
30,30A 導電部
31 導電部
31a 境界面
40,40A 導電部
41 第1部分
42 第2部分
43 第3部分
50 絶縁領域
WP 幅広領域