(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155444
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】ルパタジン固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4545 20060101AFI20251002BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20251002BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20251002BHJP
A61K 9/36 20060101ALI20251002BHJP
A61K 9/32 20060101ALI20251002BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20251002BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20251002BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20251002BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20251002BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20251002BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20251002BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
A61K31/4545
A61P37/08
A61P43/00 113
A61K9/36
A61K9/32
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/14
A61K47/22
A61K47/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2024065789
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000169880
【氏名又は名称】高田製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中原 茜
(72)【発明者】
【氏名】穀田 哲也
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC03
4C076CC29
4C076DD28
4C076DD29
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4C076EE13H
4C076EE16B
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4C076EE38
4C076FF06
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4C076FF37
4C076FF52
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC27
4C086DA23
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086MA57
4C086NA09
4C086NA11
4C086ZB13
4C086ZC45
(57)【要約】
【課題】コーティング層を設けた場合でも、溶出挙動が良好なルパタジン固形製剤を提供する。
【解決手段】
ルパタジンまたはその塩を含有する核粒子に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとを含有するコーティング層が設けられた顆粒を含有するルパタジン固形製剤により解決される。前記コーティング層におけるアミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとの質量比[メチルセルロース/アミノアルキルメタクリレートコポリマー]は0.1~2であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルパタジンまたはその塩を含有する核粒子に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとを含有するコーティング層が設けられた顆粒を含有することを特徴とする、ルパタジン固形製剤。
【請求項2】
前記コーティング層におけるアミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとの質量比[メチルセルロース/アミノアルキルメタクリレートコポリマー]が0.1~2である、請求項1に記載のルパタジン固形製剤。
【請求項3】
前記顆粒とクロスポビドンとを含有する、請求項1に記載のルパタジン固形製剤。
【請求項4】
錠剤である、請求項1~3のいずれかに記載のルパタジン固形製剤。
【請求項5】
口腔内崩壊錠である、請求項4に記載のルパタジン固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルパタジン固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ルパタジンは経口アレルギー性疾患治療薬であり、ルパタジンフマル酸塩、すなわち、8-Chloro-6,11-dihydro-11-{1-[(5-methylpyridin-3-yl)methyl]piperidin-4-ylidene}-5H-benzo [5,6]cyclohepta[1,2-b]pyridine monofumarateを含む普通錠が「ルパフィン(登録商標)錠」という名称で販売されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ルパフィン(登録商標)錠10mg添付文書(2022年6月改訂(第2版)、2020年12月改訂(第1版))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにルパタジンフマル酸塩を含む固形製剤として普通錠が販売されているが、本発明者が新規な固形製剤を提供すべく鋭意検討を進めたところ、ルパタジンまたはその塩は苦味が強いため、苦味マスキングが望まれることが明らかとなった。
苦味をマスキングする方法としては、例えば、有効成分を含む核粒子の表面にコーティング層を設ける方法がある。
しかしながら、コーティング層を形成するコーティング基剤や添加剤の種類によっては、苦味をマスキングできたとしても、医薬品に要求される他の特性に影響が生じる場合がある。
本発明者らは、特にルパタジンまたはその塩を有効成分とする固形製剤の場合には、コーティング層の形成により溶出挙動に課題が生じやすいことを見出した。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、コーティング層を設けた場合でも、溶出挙動が良好なルパタジン固形製剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討した結果、コーティング層にコーティング基剤としてアミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとを使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は以下の態様を有する。
〔1〕ルパタジンまたはその塩を含有する核粒子に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとを含有するコーティング層が設けられた顆粒を含有することを特徴とする、ルパタジン固形製剤。
〔2〕前記コーティング層におけるアミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとの質量比[メチルセルロース/アミノアルキルメタクリレートコポリマー]が0.1~2である、〔1〕に記載のルパタジン固形製剤。
〔3〕前記顆粒とクロスポビドンとを含有する、〔1〕に記載のルパタジン固形製剤。
〔4〕錠剤である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のルパタジン固形製剤。
〔5〕口腔内崩壊錠である、〔4〕に記載のルパタジン固形製剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コーティング層を設けた場合でも、溶出挙動が良好なルパタジン固形製剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のルパタジン固形製剤(以下、単に固形製剤という場合もある。)は、ルパタジンまたはその塩を含有する核粒子に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーと、メチルセルロースを含有するコーティング層が設けられた顆粒を含む。このようなコーティング層であれば、ルパタジンまたはその塩の苦味をマスキングしつつ、固形製剤の溶出挙動を良好とすることができる。
【0010】
ルパタジンの塩の種類としては、医薬品として使用可能なものであれば制限はないが、ルパタジンフマル酸塩が好ましい。ルパタジンまたはその塩は、市場より入手可能なものを使用でき、結晶形態でも、アモルファス形態でもよい。
【0011】
ルパタジンまたはその塩の粒子径は、ルパタジン固形製剤の溶出挙動がより優れる点から、90%粒子径(D90)が60μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。90%粒子径(D90)の下限値は3μmであることが好ましい。
50%粒子径(D50)は10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。50%粒子径(D50)の下限値は1μmであることが好ましい。
10%粒子径(D10)は5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。10%粒子径(D10)の下限値は0.5μmであることが好ましい。
【0012】
ここで90%粒子径とは、体積基準粒子径分布において頻度の累積が90%になる粒子径である。すなわち、D90の値以下の粒子径を有する粒子は総体積の90%を占める。同様に、50%粒子径とは、体積基準粒子径分布において頻度の累積が50%になる粒子径であり、メジアン径とも呼ばれる。10%粒子径とは、体積基準粒子径分布において頻度の累積が10%になる粒子径である。
本明細書において粒子径は、粒度分布測定装置(Mastersizer3000、Malvern Instruments社製)を用いた乾式レーザー回折法で測定した値を意味する。
【0013】
アミノアルキルメタクリレートコポリマーとしては、市場より医薬品用途として入手可能なアミノアルキルメタクリレートコポリマーEタイプを使用できる。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEタイプとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体である、市販のオイドラギット(登録商標)E100、オイドラギット(登録商標)EPO、コリコート(登録商標)スマートシール30D、コリコート(登録商標)スマートシール100P等を使用できる。
メチルセルロースとしては、市場より医薬品用途として入手可能なもの、たとえば信越化学工業株式会社製のMETOLOSE(登録商標)等を使用できる。好ましくは、20℃における2%水溶液粘度(日本薬局方)が2~10mPa・sの範囲で、メトキシ基の割合が26.0~33.0%のものが好適で、なかでも、20℃における2%水溶液粘度が4mPa・sでメトキシ基の割合が26.0~33.0%のものがより好ましい。このようなメチルセルロースとしては、上述のMETOLOSE(登録商標)のSMタイプが挙げられる。
【0014】
ルパタジンまたはその塩を含有する核粒子の形態としては、ルパタジンまたはその塩と添加剤を含む造粒物、添加剤粒子の表面にルパタジンまたはその塩を含む原薬層が形成されたレイヤリング粒子等が挙げられ、ルパタジンまたはその塩を含有する粒子状物であればその具体的な態様に制限はないが、ルパタジンまたはその塩と添加剤を含む造粒物であることが好ましい。
コーティング層は、アミノアルキルメタクリレートコポリマーおよびメチルセルロース以外のコーティング基剤や可塑剤、崩壊剤、滑沢剤等の添加剤を必要に応じて含むことができる。コーティング層の外側には、目的に応じたオーバーコート層を設けて顆粒としてもよい。オーバーコート層を設けることにより、例えば顆粒同士の固着を防止する等、特定の機能を付与することができる。オーバーコート層としては、例えばD-マンニトールを固形製剤100質量%中、3質量%以下の範囲で含んで形成される層が挙げられる。
【0015】
固形製剤の形態としては、ルパタジンまたはその塩を含有する核粒子の表面に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーおよびメチルセルロースを含有するコーティング層が設けられた顆粒を含有するものであれば、その具体的な態様に制限はなく、顆粒に必要に応じて添加剤を添加した顆粒状製剤(顆粒剤、ドライシロップ剤、細粒剤等)、顆粒に必要に応じて添加剤を混合し、得られた打錠用組成物を打錠した錠剤(即放性錠剤、口腔内崩壊錠等)等が挙げられる。錠剤の表面には任意の材料を用いたコーティングを行って最外コーティング層を設けることもできる。
【0016】
添加剤としては、医薬品分野で使用可能な賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、着色剤、甘味剤、香料等の添加剤をいずれも必要に応じて含有することができる。
【0017】
賦形剤としては、例えばD-マンニトール、結晶セルロース、乳糖水和物、無水乳糖、精製白糖、バレイショデンプン、アルファー化デンプン等が挙げられ、これらのうちの1種以上を必要に応じて使用できるが、薬物との反応性が低く、賦形剤として好適であるとともに、造粒がしやすく味のよい固形製剤が得られやすい点で、D-マンニトールを使用することが好ましい。また、他の成分との反応性が低い点、成形性に優れる点、崩壊性に優れた固形製剤が得られやすい点、偏析防止効果が期待できる点等で結晶セルロースを併用することも好ましい。
【0018】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリルアルコール、アンモニオメタクリレート・コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、デキストリン、水アメ等が挙げられ、これらのうちの1種以上を必要に応じて使用できるが、類縁物質の生成が抑制され安定性に優れた固形製剤が得られやすいことから、ヒプロメロースを使用することが好ましい。
【0019】
崩壊剤としては、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられ、これらのうち1種以上を必要に応じて使用できるが、固形製剤の溶出挙動が優れる点から、部分アルファー化デンプンを使用することが好ましい。
また、崩壊性の点から、部分アルファー化デンプンとともにクロスポビドンを使用することも好ましく、必要に応じてトウモロコシデンプンをさらに併用することも好ましい。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、崩壊性の点等、必要に応じて使用できるが、固形製剤の溶出挙動の点からは、固形製剤100質量%中、5質量%以下の範囲で使用するか、使用しないことが好ましい。
【0020】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
着色剤としては、例えば黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
【0021】
甘味剤としては、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、ソーマチン、スクロース、サッカリン又はその塩、グリチルリチン酸又はその塩、ステビア又はその塩等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
香料としては、オレンジエッセンス、オレンジ油、カラメル、カンフル、ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリーエッセンス、チョコレートエッセンス、チェリーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、ペパーミントエッセンス、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、l-メントール、レモンパウダー、レモン油、ローズ油等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
【0022】
その他の添加剤としては、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、フマル酸ステアリルナトリウム,タルク等)、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、カルナウバロウ等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
また、コーティング層には、他のコーティング基剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム等)、コーティング可塑剤(クエン酸トリエチル等)、タルク等の滑沢剤等を必要に応じて使用できる。
【0023】
なお、添加剤としては、複数種の添加剤があらかじめ造粒された造粒物を使用してもよく、たとえば、D-マンニトール(賦形剤)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(崩壊剤)およびポリビニルアルコール完全けん化物(結合剤)が造粒された市販の造粒物(SmartEx(登録商標、信越化学工業株式会社製))等を使用してもよい。
SmartEx(登録商標)は、D-マンニトール90.0~95.0質量%、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース5.0~7.0質量%、ポリビニルアルコール完全けん化物0.1~0.3質量%からなる造粒物であり、粒子径が異なる「QD-50」または「QD-100」をいずれも使用できる。
【0024】
上述した添加物は、固形製剤の製造においてどのように使用してもよいが、固形製剤が、ルパタジンまたはその塩を含有する造粒物からなる核粒子に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとを含有するコーティング層が設けられた顆粒を含むものである場合、核粒子には、賦形剤であるD-マンニトールと、崩壊剤である部分アルファー化デンプンが少なくとも含まれることが好ましい。これにより、薬物との反応性が低く、造粒がしやすく、味のよい固形製剤が得られやすいというD-マンニトールを賦形剤として使用しながらも、D-マンニトールの使用により生じる溶出挙動の課題を部分アルファー化デンプンの添加により解決できる。
【0025】
核粒子中におけるD-マンニトールと部分アルファー化デンプンの質量比[D-マンニトール/部分アルファー化デンプン]は0.5~2が好ましく、1~2がより好ましい。
【0026】
固形製剤が顆粒と後添加物とを含んで成形(打錠)された錠剤である場合には、D-マンニトールは後添加物にも含まれることが好ましく、錠剤全体中におけるD-マンニトールと部分アルファー化デンプンの質量比[D-マンニトール/部分アルファー化デンプン]は、1~7が好ましく、3~6が好ましい。
【0027】
また、固形製剤が顆粒と後添加物とを含んで成形(打錠)された錠剤である場合、核粒子には、さらに結合剤が含まれることが好ましく、特にヒプロメロースが好ましい。
【0028】
固形製剤が顆粒と後添加物とを含んで成形(打錠)された錠剤である場合、後添加物には、賦形性、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤等が含まれることが好ましく、賦形剤としては上述のとおりD-マンニトールを使用することが好適である。また、顆粒と後添加物との偏析防止目的等として、結晶セルロースを固形製剤100質量%中7質量%以下の範囲で後添加物に配合することも好ましい。崩壊剤としてはクロスポビドンと必要に応じてトウモロコシデンプンを使用することが、崩壊性と溶出挙動が優れる点で好適である。また、着色剤を添加する場合、あらかじめトウモロコシデンプンに着色剤を分散させておくことも好ましい。
【0029】
本発明の固形製剤中のルパタジンまたはその塩の含有量は適宜設定でき、固形製剤100質量%中、例えば3~20質量%とすることができ、好ましくは3~10質量%、さらに好ましくは3~8質量%である。
顆粒を100質量%とした場合、顆粒中のルパタジンまたはその塩の含有量は例えば1~25質量%とすることができ、好ましくは5~20質量%、より好ましくは10~15質量%である。
核粒子を100質量%とした場合、核粒子中のルパタジンまたはその塩の含有量は例えば1~30質量%とすることができ、好ましくは7~25質量%、より好ましくは12~18質量%である。
【0030】
賦形剤の含有量は適宜設定でき、固形製剤100質量%中、50~80質量%とすることができ、好ましくは55~75質量%、より好ましくは60~75量%とすることができる。
顆粒を100質量%とした場合、顆粒中の賦形剤の含有量は例えば20~50質量%とすることができ、好ましくは25~45質量%、より好ましくは30~40質量%である。
核粒子を100質量%とした場合、核粒子中の賦形剤の含有量は例えば20~60質量%とすることができ、好ましくは30~50質量%、より好ましく35~45質量%である。
後添加物に使用する賦形剤については、上述のとおり、D-マンニトールと偏析防止目的等で必要に応じて結晶セルロースとを用いることが好ましく、固形製剤100質量%中、合計で、35~70質量%となるように後添加物に含まれることが好ましく、40~65質量%がより好ましく、45~60質量%がさらに好ましい。
【0031】
崩壊剤の含有量も適宜設定でき、固形製剤100質量%中、1~35質量%とすることができ、好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~25質量%とすることができる。
顆粒を100質量%とした場合、顆粒中の崩壊剤の含有量は例えば15~45質量%とすることができ、好ましくは20~40質量%、より好ましくは25~35質量%である。
核粒子を100質量%とした場合、核粒子中の崩壊剤の含有量は例えば20~50質量%とすることができ、好ましくは25~45質量%、より好ましく30~40質量%である。
後添加物に使用する崩壊剤については、上述のとおり、クロスポビドンと必要に応じてトウモロコシデンプンを用いることが好ましく、固形製剤100質量%中1~5質量%の範囲となるようにクロスポビドンを使用し、かつ、固形製剤100質量%中2~8質量%の範囲となるようにトウモロコシデンプンを使用することが好ましい。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、固形製剤100質量%中、5質量%以下の範囲で、後添加物に含まれてもよい。
【0032】
コーティング層中のアミノアルキルメタクリレートコポリマーの含有量は適宜設定できるが、固形製剤を100質量%とした場合、1~15質量%とすることができ、好ましくは1~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
顆粒を100質量%とした場合、コーティング層中のアミノアルキルメタクリレートコポリマーの含有量は例えば1~25質量%とすることができ、好ましくは5~20質量%、より好ましくは5~10質量%である。
コーティング層を100質量%とした場合、コーティング層中のアミノアルキルメタクリレートコポリマーの含有量は45~85質量%がましく、50~80質量%がさらに好ましく、50~75質量%がより好ましい。
【0033】
コーティング層中のメチルセルロースの含有量は適宜設定できるが、固形製剤を100質量%とした場合、0.5~10質量%とすることができ、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%である。
顆粒を100質量%とした場合、コーティング層中のメチルセルロースの含有量は例えば1~15質量%とすることができ、好ましくは1~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
コーティング層を100質量%とした場合、コーティング層中のメチルセルロースの含有量は10~35質量%がましく、15~30質量%がさらに好ましく、15~25質量%がより好ましい。
【0034】
コーティング層中のアミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースの質量比[メチルセルロース/アミノアルキルメタクリレートコポリマー]は、0.1~2が好ましく、0.1~1がより好ましく、0.1~0.5がさらに好ましい。
【0035】
顆粒における核粒子とコーティング層の質量比率は、核粒子を100質量部とした場合、コーティング層は1~30質量部が好ましく、5~25質量部がより好ましく、10~20質量部がさらに好ましい。
【0036】
固形製剤を100質量%とした場合、固形製剤中の結合剤の含有量は例えば0.1~5質量%とすることができ、好ましくは0.5~4質量%、より好ましくは1~3質量%である。
顆粒を100質量%とした場合、顆粒中の結合剤の含有量は例えば1~10質量%とすることができ、好ましくは2~8質量%、より好ましくは3~7質量%である。
核粒子を100質量%とした場合、核粒子中の結合剤の含有量は例えば1~15質量%とすることができ、好ましくは3~12質量%、5~10質量%である。
【0037】
甘味剤は、固形製剤を100質量%とした場合、0.1~1質量%の範囲で含まれることが好ましく、滑沢剤は、固形製剤を100質量%とした場合、0.1~3質量%の範囲で含まれることが好ましい。甘味剤および滑沢剤は、固形製剤が顆粒と後添加物とを含んで成形(打錠)された錠剤である場合、後添加物に含まれることが好ましい。
【0038】
固形製剤が顆粒と後添加物とを含んで成形(打錠)された錠剤である場合、錠剤を構成する顆粒と後添加物との質量比[後添加物/顆粒]は、0.5~3が好ましく、より好ましくは1~2、さらに好ましくは1.3~1.7である。
【0039】
本発明の固形製剤は、ルパタジンまたはその塩を含有する核粒子に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとを含有するコーティング層が設けられた顆粒を含有する限り、公知の方法で製造できるが、次のような方法で顆粒を製造することが好適である。
ルパタジンまたはその塩と、必要に応じて加えられる添加剤とを混合して造粒用組成物とし、精製水等の溶媒を造粒用組成物に加え、流動層造粒、転動流動層造粒、攪拌造粒等の公知方法で造粒する。この際、結合剤等は溶媒に溶解してもよい。ついで、得られた造粒物(核粒子)に対して、アミノアルキルメタクリレートコポリマーおよびメチルセルロースと必要に応じて使用される添加剤をエタノール等の溶媒に溶解した液を噴霧、乾燥し、造粒物の外側にコーティング層を形成する。コーティング層の外側に必要に応じてD-マンニトール等を含むオーバーコート層を形成する。このようにして顆粒を製造できる。
また、D-マンニトール等の賦形剤からなる粒子を用意し、その表面にルパタジンまたはその塩と、D-マンニトールおよび部分アルファー化デンプン等を含む液を噴霧して原薬層を形成してレイヤリング粒子とし、これを核粒子としてその表面にコーティング層等を形成してもよい。
【0040】
このようにして得られた顆粒に、必要に応じて添加剤を配合して顆粒状製剤(顆粒剤、ドライシロップ剤、細粒剤等)としてもよいし、得られた顆粒に対して必要に応じて添加剤を加えて打錠用組成物とし、これを打錠することにより、錠剤(即放性錠剤、口腔内崩壊錠等)としてもよい。なお、得られた錠剤には、最外コーティング層を必要に応じて形成してもよい。
【0041】
以上説明したように、本発明は、ルパタジンまたはその塩を含有する核粒子に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーとメチルセルロースとを含有するコーティング層が設けられた顆粒を含有するものであるため、ルパタジンまたはその塩の苦味をマスキングするコーティング層を設けた場合でも、溶出挙動が良好なルパタジン固形製剤を提供できる。
【実施例0042】
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
[例1~5]
以下のようにして口腔内崩壊錠を製造した。
表1の造粒物の欄に記載の各成分のうち、ヒプロメロース以外の成分を混合して造粒用組成物とし、ヒプロメロースを水に溶解させた液を造粒用組成物に噴霧しながら流動層造粒し、造粒物(核粒子)を得た。ついで、得られた造粒物に対して、表1のコーティング層の欄に記載の各成分を溶媒(エタノール)に溶解させた液を噴霧、乾燥してコーティング層を形成し、ついで、表1のオーバーコート層の欄に記載のD-マンニトールを水に溶解させた液を噴霧、乾燥してオーバーコート層を形成し、顆粒を得た。
その後、整粒した顆粒に表1の後添加物の欄に記載の成分を加えて打錠用組成物とし、これを打錠して例1~5の口腔内崩壊錠(質量250mg、直径8.5mm)を得た。
得られた口腔内崩壊錠について、下記の方法で溶出試験を行った。
溶出試験の結果を表1に示す。
【0043】
なお、表1中のルパタジンフマル酸塩の粒子径は以下のとおりである。
ルパタジンフマル酸塩
D90:8.07μm
D50:2.78μm
D10:0.907μm
また、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEとして、オイドラギット(登録商標)E100を用い、メチルセルロースとして、20℃における2%水溶液粘度が4mPa・sでメトキシ基の割合が26.0~33.0%のMETOLOSE(登録商標)のSM-4タイプを用いた。
【0044】
<溶出試験>
各例で得られた口腔内崩壊錠1錠と試験液(pH6.8)900mLを用い、パドル法により毎分50回転で溶出試験を行った。
具体的には、溶出試験開始後の所定時間(5分後、15分後、30分後、60分後)に、溶出液10mLをとり、直ちに37±0.5℃に加温した試験液10mLを加えた。この液を速やかに毎分3000回転で5分間遠心分離し、上澄み液1mLを量りとった。この上澄み液に溶出試験第1液1mLを加え、試料溶液とした。
別に定量用ルパタジンフマル酸塩約36mgを量り、溶出試験第1液に溶かし、100mLとした。この液4mLを量り、溶出試験第1液を加えて100mLとした。この液1mLを量り、試験液1mLを加え、標準溶液とした。
試料溶液及び標準溶液について、HPLC法により試験を行い、波長258nmにおける紫外吸収を測定しクロマトグラムを得た。各試料溶液の溶出試験開始後、所定時間における溶出率(%)を標準溶液のピーク面積を基準として求めた。
以上の試験を各例の口腔内崩壊錠2個(n=2)について行い、2個の平均(平均溶出率)を算出し、表1に記載した。
なお、移動相は、リン酸二水素カリウム6.8gを水に溶かして1000mLとした液550mLに、アセトニトリル350mLとメタノール100mLを加えて調製した。
【0045】
【0046】
表1に示すように、コーティング基剤としてアミノアルキルメタクリレートコポリマーおよびメチルセルロースを用いて形成されたコーティング層を核粒子(造粒物)の表面に形成して顆粒とし、この顆粒に後添加物を加えて打錠して得られた口腔内崩壊錠は、溶出挙動が優れていた。また、溶出挙動は、後添加物に加える崩壊剤としてクロスポビドンを使用した場合に特に良好であった。