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特開2025-15549新生児CPAP装置において臨床的および経済的に実現可能な吸入用量を送達するためのエアロゾルシステムおよびインターフェースの設計
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015549
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】新生児CPAP装置において臨床的および経済的に実現可能な吸入用量を送達するためのエアロゾルシステムおよびインターフェースの設計
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20250123BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M16/00 305A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024184376
(22)【出願日】2024-10-18
(62)【分割の表示】P 2021569474の分割
【原出願日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】62/852,862
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513164163
【氏名又は名称】スタムフォード・ディバイセズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(74)【代理人】
【識別番号】100214640
【弁理士】
【氏名又は名称】立山 千晶
(72)【発明者】
【氏名】フィンク、ジェームズ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、アンドリュー アール.
(57)【要約】
【課題】新生児CPAP装置において臨床的および経済的に実現可能な吸入用量を送達するためのエアロゾルシステムを提供する。
【解決手段】エアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法は、エアロゾル化装置を乳児の気道に接続することと、エアロゾル化装置を用いて、ある分量の界面活性剤を、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化することとからなる。界面活性剤は、患者インターフェースから約1~8cm以内でエアロゾル化される。エアロゾルは、最大約80%または各吸気で生成される。この方法には、エアロゾル化された界面活性剤を乳児の気道に送達することも含まれる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル化システムであって、
吸気リムおよび呼気リムを有する呼吸システムと、
エアロゾル化装置であって、
第1の端部および第2の端部を有するエアロゾルチャンバと、
前記エアロゾルチャンバの第1の端部に配置されたエアロゾル生成器であって、
前記エアロゾル生成器が、エアロゾル生成器によってエアロゾル化される、ある分量の液体薬剤を受容するように構成された収容部を有し、
前記エアロゾル生成器が、前記分量の薬剤を、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化するように構成されているエアロゾル生成器と、
前記エアロゾルチャンバの第2の端部の近傍に配置された患者インターフェースと、
前記エアロゾル化システムを前記呼吸システムに連結するように構成された呼吸アダプタと、を有するエアロゾル化装置と、
患者の吸気を検出するように構成された少なくとも1つの呼吸センサと、
検出された吸気と同期して前記分量の薬剤をエアロゾル化するように前記エアロゾル生成器を作動させるように構成された制御装置と、を備えたエアロゾル化システム。
【請求項2】
前記患者インターフェースが、前記エアロゾル生成器から約1~8cm以内に配置されている、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項3】
前記呼吸アダプタが、気流の一部を前記呼吸システムから前記エアロゾルチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させるように構成された分流機構を備えており、
前記エアロゾルチャンバが、前記気流の一部と、前記エアロゾル生成器から供給されるエアロゾル化された薬剤とを混合するように構成されている、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項4】
前記気流の一部が呼吸流であり、前記呼吸システムの呼気リムに進み続ける空気の量よりも少ない、請求項3に記載のエアロゾル化システム。
【請求項5】
前記分流機構が、前記少なくとも1つの通気路を画定している少なくとも1つの障壁を有し、
前記少なくとも1つの障壁が、前記気流の一部を前記エアロゾルチャンバに前記少なくとも1つの通気路を介して分流させるとともに、前記吸気リムからの気流の別の部分を前記呼気リムに向かって分流させるように構成されている、請求項3に記載のエアロゾル化システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの障壁が、第1の通気路を画定している第1の障壁と、第2の通気路を画定している第2の障壁とを含んでいる、請求項5に記載のエアロゾル化システム。
【請求項7】
前記第1の通気路が、前記第1の障壁の横方向端部に設けられており、
前記第2の通気路が、前記第2の障壁の先端側縁部を越えた位置に設けられており、
前記呼吸流が複数の方向に移動して前記第1の障壁および第2の障壁を通り過ぎるように、前記横方向端部および前記先端側縁部が互いに異なる方向に延びている、請求項6に記載のエアロゾル化システム。
【請求項8】
前記エアロゾル化装置が、前記分量の液体薬剤を前記収容部から前記エアロゾル生成器に送達するように構成された導管をさらに有している、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項9】
前記導管の先端が直径を有しており、
前記導管の先端が、メッシュから、前記直径以下の距離をなす位置に配置されている、請求項8に記載のエアロゾル化システム。
【請求項10】
前記分量の薬剤のエアロゾル化の同期が、連続する複数の吸気のそれぞれの最後の20%の少なくとも一部分では追い出し空気が供給されるように、前記連続する複数の吸気のそれぞれの最初の50~80%の少なくとも一部分において前記分量の薬剤の一部をエアロゾル化することを含んでいる、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項11】
前記少なくとも呼吸センサが、前記患者の腹部に接続された呼吸センサカプセルを含む、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項12】
前記制御装置が、前記エアロゾル化装置から取り外し可能である、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項13】
前記エアロゾル化装置が、前記患者インターフェースが下向き位置、横向き位置および上向き位置のそれぞれに配向されているときに、エアロゾル化を行って前記薬剤のエアロゾル化した粒子を送達するように構成されている、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項14】
供給源から前記収容部に前記分量の薬剤を供給するように構成された供給ラインをさらに備えている、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項15】
前記患者インターフェースが、鼻プロングまたは鼻マスクを含む、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項16】
前記薬剤が界面活性剤を含む、請求項1に記載のエアロゾル化システム。
【請求項17】
エアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法であって、
1つまたは複数の呼吸センサを使用して乳児の吸気を検出することと、
前記検出された吸気に基づいて、エアロゾル化装置を用いて、ある分量の薬剤を、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化することと、からなり、
前記薬剤が、患者インターフェースから約1~8cm以内でエアロゾル化される方法。
【請求項18】
前記分量の薬剤をエアロゾル化することが、
前記分量の薬剤を収容部から前記エアロゾル化装置のメッシュに送達することと、
前記メッシュを振動させて前記分量の薬剤をエアロゾル化することと、を含んでいる、請求項17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項19】
前記分量の薬剤が、直径を有する先端を備えた導管を介して、前記収容部から前記メッシュに送達され、
前記導管の先端が、前記メッシュから、前記直径以下の距離をなす位置に配置されている、請求項18に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項20】
前記分量の薬剤をエアロゾル化することが、連続する複数の吸気のそれぞれの最後の20%の少なくとも一部分では追い出し空気が供給されるように、前記連続する複数の吸気のそれぞれの最初の80%の少なくとも一部分において前記分量の薬剤の一部をエアロゾル化することを含んでいる、請求項17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数の呼吸センサが、患者の腹部に接続された呼吸センサカプセルを含む、請求項17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項22】
前記エアロゾル化装置を呼吸システムに連結することと、
前記呼吸システムからの気流の一部を、エアロゾル化装置のチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させることと、をさらに含み、
前記チャンバは、前記気流の一部をエアロゾル化された薬剤と混合するように構成されている、請求項17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項23】
前記気流の一部が呼吸流であり、前記呼吸システムの呼気リムに進み続ける空気の量よりも少ない、請求項22に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項24】
前記気流の一部が、前記少なくとも1つの通気路を画定している少なくとも1つの障壁を用いて分流され、
前記少なくとも1つの障壁が、前記気流の一部を前記エアロゾルチャンバに前記少なくとも1つの通気路を介して分流させるとともに、吸気リムからの気流の別の部分を呼気リムに向かって分流させるように構成されている、請求項22に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの障壁が、第1の通気路を画定している第1の障壁と、第2の通気路を画定している第2の障壁とを含んでいる、請求項24に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項26】
前記第1の通気路が、前記第1の障壁の横方向端部に設けられており、
前記第2の通気路が、前記第2の障壁の先端側縁部を越えた位置に設けられており、
前記呼吸流が複数の方向に移動して前記第1の障壁および第2の障壁を通り過ぎるように、前記横方向端部および前記先端側縁部が互いに異なる方向に延びている、請求項25に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項27】
前記患者インターフェースが、鼻プロングまたは鼻マスクを含む、請求項17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項28】
前記エアロゾル化された薬剤を乳児の気道に患者インターフェースを介して送達することをさらに含む、請求項17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
【請求項29】
エアロゾル化システムを初期設定する方法であって、
エアロゾル化装置を、制御装置、呼吸センサ、薬剤源および呼吸システムに接続することと、
使用者のアクセス認証を前記制御装置に入力することと、
患者に関連する情報および投薬情報を前記制御装置に入力することと、
前記呼吸センサを患者に接続することと、
前記エアロゾル化装置をプライミングすることと、
患者インターフェースを前記患者の気道に接続することと、からなる方法。
【請求項30】
複数の音声アラーム、視覚的アラームまたは音声アラームとビデオアラームの両方を繰り返す起動シーケンスを実行することをさらに含む、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項31】
前記アクセス認証には、使用者識別子、パスワード、所有物認証および生体認証のうちの1つまたは複数が含まれる、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項32】
前記呼吸センサが患者の腹部に接着される、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項33】
前記呼吸センサを患者に接続した後に、呼吸の検出を確認することをさらに含む、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項34】
前記薬剤源が、流体供給ラインに連結されたベント付きバイアルアクセス器具(VVAD)を有している、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項35】
前記エアロゾル化装置を前記制御装置、呼吸センサ、薬剤源および呼吸システムに接続することが、前記薬剤源とエアロゾル化装置との間に流体供給ラインを連結することを含む、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項36】
前記エアロゾル化装置をプライミングすることが、前記患者インターフェースを患者の気道に接続する前に、薬剤の一部をエアロゾル化することを含む、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項37】
前記患者インターフェースを前記エアロゾル化装置に連結することをさらに含む、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項38】
前記患者インターフェースが、少なくとも1つのストラップと、患者の頭部に載せられるように構成された発泡樹脂パッドとの一方または両方を介して患者に固定される、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項39】
前記患者インターフェースを介して、エアロゾル化された投与量の薬剤を患者に送達することをさらに含む、請求項29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【請求項40】
前記投与量の送達のタイミングが、検出された吸気と同期していることを確認することをさらに含む、請求項39に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新生児CPAP装置において臨床的および経済的に実現可能な吸入用量を送達するためのエアロゾルシステムおよびインターフェースの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児、特に早産児に対する界面活性剤の送達は、侵襲的であり、急性副作用を引き起こす場合も多い。このため、界面活性剤を非侵襲的に送達できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の非侵襲的方法によって界面活性剤を効果的かつ効率的に送達することは困難である。例えば、従来の方法では、エアロゾル化された薬剤を連続的に送達する場合が多い。つまり、患者の呼吸と呼吸の間にも薬剤がエアロゾル化されるため、非常に効率が悪い。さらに、従来の方法では、肺への送達に望ましい大きさよりも、エアロゾルの粒径が大きくなる場合が多いが(通常、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約4~7μm)、これは、エアロゾル化された小径の界面活性剤粒子を、肺送達を実現可能とする十分に高い出力流量で生成することが困難であるためである。本発明の実施形態によって、これらおよび他の問題が解決される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、乳児、特に早産児に薬剤を送達するエアロゾル化システムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態においては、乳児の鼻孔に薬剤を効果的かつ効率的に送達するための方法が提供される。いくつかの実施形態においては、肺に浸透できる微細な薬剤のエアロゾル液滴が提供される。いくつかの実施形態においては、従来の非侵襲的方法よりも著しく高い薬剤送達効率が達成される。
【0005】
一実施形態では、エアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法が提供される。この方法は、エアロゾル化装置を乳児の気道に接続することと、エアロゾル化装置を用いて、ある分量の薬剤を、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化することと、からなる。薬剤は、患者インターフェースから約2~8cm以内でエアロゾル化されてもよい。この方法は、エアロゾル化された薬剤を乳児の気道に送達することを含んでいてもよい。
【0006】
別の実施形態では、エアロゾル化システムが提供される。このエアロゾル化システムは、エアロゾルチャンバの第1の端部に配置されたエアロゾル生成器を有するエアロゾル化装置を備えている。エアロゾル生成器は、エアロゾル生成器によってエアロゾル化される、ある分量の液体界面活性剤を受容するように構成された収容部を有している。エアロゾル生成器は、上記分量の液体薬剤を、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化するように構成されている。エアロゾル化装置は、エアロゾル生成器から約2cmおよび8cm以内に配置された患者インターフェースと、エアロゾル化システムを、吸気リムおよび呼気リムを有する呼吸システムに連結するように構成された呼吸アダプタとを備えている。呼吸アダプタは、エアロゾルチャンバと連通している少なくとも1つの通気路を画定している少なくとも1つの障壁を有している。少なくとも1つの障壁は、気流の第1の部分を吸気リムから呼気リムに分流させるとともに、気流の第2の部分をエアロゾルチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させるように構成されている。気流の第2の部分は呼吸流であり、第1の部分よりも小さい。エアロゾルチャンバは、呼吸流と、エアロゾル化装置からのエアロゾル化された薬剤とを混合するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル化システムは、乳児の吸気を検出するように構成された少なくとも1つの呼吸センサと、上記分量の界面活性剤のエアロゾル化を、検出された吸気と同期させるように構成された制御装置とを有している。
【0007】
一実施形態では、エアロゾル化システムが提供される。このシステムは、吸気リムおよび呼気リムを有する呼吸システムを備えている。このシステムは、第1の端部および第2の端部を有するエアロゾルチャンバと、エアロゾルチャンバの第1の端部に配置されたエアロゾル生成器とを有するエアロゾル化装置も備えている。エアロゾル生成器は、エアロゾル生成器によってエアロゾル化される、ある分量の液体薬剤を受容するように構成された収容部を有している。エアロゾル生成器は、上記分量の薬剤を、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化するように構成されている。エアロゾル化装置は、エアロゾルチャンバの第2の端部の近傍に配置される患者インターフェースと、エアロゾル化システムを呼吸システムと連結させるように構成された呼吸アダプタとを有していてもよい。システムはまた、患者の吸気を検出するように構成された少なくとも1つの呼吸センサと、検出された吸気と同期して上記分量の薬剤をエアロゾル化するようにエアロゾル生成器を作動させるように構成された制御装置とを有している。
【0008】
いくつかの実施形態においては、患者インターフェースが、エアロゾル生成器から約1~8cm以内に配置されている。いくつかの実施形態では、呼吸アダプタが、気流の一部を呼吸システムからエアロゾルチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させるように構成された分流機構を備えている。エアロゾルチャンバは、気流の一部と、エアロゾル生成器から供給されるエアロゾル化された薬剤とを混合するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態においては、気流の一部が呼吸流であり、呼吸システムの呼気リムに進み続ける空気の量よりも少ない。いくつかの実施形態においては、分流機構が、少なくとも1つの通気路を画定している少なくとも1つの障壁を有している。少なくとも1つの障壁が、気流の一部をエアロゾルチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させるとともに、吸気リムからの気流の別の部分を呼気リムに向かって分流させるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの障壁が、第1の通気路を画定している第1の障壁と、第2の通気路を画定している第2の障壁とを含んでいる。いくつかの実施形態においては、第1の通気路が、第1の障壁の横方向端部に設けられており、第2の通気路が、第2の障壁の先端側縁部を越えた位置に設けられており、呼吸流が複数の方向に移動して第1の障壁および第2の障壁を通り過ぎるように、横方向端部および先端側縁部が互いに異なる方向に延びている。
【0009】
いくつかの実施形態においては、システムは、上記分量の液体薬剤を収容部からエアロゾル生成器に送達するように構成された導管をさらに有している。いくつかの実施形態においては、導管の先端が直径を有し、導管の先端は、メッシュから、直径以下の距離をなす位置に配置されている。いくつかの実施形態においては、上記分量の薬剤のエアロゾル化の同期が、連続する複数の吸気のそれぞれの最後の20%の少なくとも一部分では追い出し空気が供給されるように、連続する複数の吸気のそれぞれの最初の50~80%の少なくとも一部分において上記分量の薬剤の一部をエアロゾル化することを含んでいる。いくつかの実施形態では、少なくとも呼吸センサが、患者の腹部に接続された呼吸センサカプセルを有している。いくつかの実施形態では、制御装置はエアロゾル化装置から取り外し可能である。いくつかの実施形態においては、エアロゾル化装置が、患者インターフェースが下向き位置、横向き位置および上向き位置のそれぞれに配向されているときに、エアロゾル化を行って薬剤のエアロゾル化した粒子を送達するように構成されている。いくつかの実施形態においては、システムは、供給源から収容部に上記分量の薬剤を供給するように構成された供給ラインをさらに備えている。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、鼻プロングまたは鼻マスクを含む。いくつかの実施形態においては、薬剤が界面活性剤を含む。
【0010】
別の実施形態では、エアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法が提供される。この方法は、1つまたは複数の呼吸センサを使用して乳児の吸気を検出することと、検出された吸気に基づいて、エアロゾル化装置を用いて、ある分量の薬剤を空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化することと、からなる。薬剤は、患者インターフェースから約1~8cm以内でエアロゾル化される。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記分量の薬剤をエアロゾル化することには、上記分量の薬剤を収容部からエアロゾル化装置のメッシュに送達することと、メッシュを振動させて上記分量の薬剤をエアロゾル化することが含まれる。いくつかの実施形態において、上記分量の薬剤は、直径を有する先端を備えた導管を介して、収容部からメッシュに送達される。導管の先端は、メッシュから、直径以下の距離をなす位置に配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、上記分量の薬剤をエアロゾル化することが、連続する複数の吸気のそれぞれの最後の20%の少なくとも一部分では追い出し空気が供給されるように、連続する複数の吸気のそれぞれの最初の80%の少なくとも一部分において上記分量の薬剤の一部をエアロゾル化することを含んでいる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の呼吸センサが、患者の腹部に接続された呼吸センサカプセルを含む。いくつかの実施形態においては、この方法は、エアロゾル化された薬剤を乳児の気道に患者インターフェースを介して送達することをさらに含む。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、鼻プロングまたは鼻マスクを含む。
【0012】
いくつかの実施形態においては、上記方法には、エアロゾル化装置を呼吸システムに連結することと、呼吸システムからの気流の一部を、エアロゾル化装置のチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させることが含まれる。このチャンバは、気流の一部をエアロゾル化された薬剤と混合するように構成されている。いくつかの実施形態においては、気流の一部が呼吸流であり、呼吸システムの呼気リムに進み続ける空気の量よりも少ない。いくつかの実施形態では、気流の一部が、少なくとも1つの通気路を画定している少なくとも1つの障壁を用いて分流される。少なくとも1つの障壁は、気流の一部をエアロゾルチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させるとともに、吸気リムからの気流の別の部分を呼気リムに向かって分流させるように構成されている。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの障壁が、第1の通気路を画定している第1の障壁と、第2の通気路を画定している第2の障壁とを含んでいる。いくつかの実施形態においては、第1の通気路が、第1の障壁の横方向端部に設けられており、第2の通気路が、第2の障壁の先端側縁部を越えた位置に設けられており、呼吸流が複数の方向に移動して第1の障壁および第2の障壁を通り過ぎるように、横方向端部および先端側縁部が互いに異なる方向に延びている。
【0013】
別の実施形態では、エアロゾル化システムを初期設定する方法が提供される。この方法は、エアロゾル化装置を、制御装置、呼吸センサ、薬剤源および呼吸システムに接続することと、使用者のアクセス認証を制御装置に入力することと、患者に関連する情報および投薬情報を制御装置に入力することとを含んでいる。この方法はまた、呼吸センサを患者に接続することと、エアロゾル化装置をプライミングすることと、患者インターフェースを患者の気道に接続することとを含んでいる。
【0014】
いくつかの実施形態においては、この方法は、複数の音声アラーム、視覚的アラームまたは音声アラームとビデオアラームの両方を繰り返す起動シーケンスを実行することをさらに含んでいる。いくつかの実施形態においては、アクセス認証には、使用者識別子、パスワード、所有物認証および生体認証のうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの実施形態では、呼吸センサは、患者の腹部に接着される。いくつかの実施形態では、上記方法は、呼吸センサを患者に接続した後に、呼吸の検出を確認することをさらに含む。いくつかの実施形態では、薬剤源は、流体供給ラインと連結されたベント付きバイアルアクセス器具(VVAD)を有している。いくつかの実施形態においては、エアロゾル化装置を制御装置、呼吸センサ、薬剤源および呼吸システムに接続することが、薬剤源とエアロゾル化装置との間に流体供給ラインを連結することを含む。いくつかの実施形態においては、エアロゾル化装置をプライミングすることが、患者インターフェースを患者の気道に接続する前に、薬剤の一部をエアロゾル化することを含む。いくつかの実施形態においては、上記方法は、患者インターフェースをエアロゾル化装置に連結することをさらに含む。いくつかの実施形態においては、患者インターフェースが、少なくとも1つのストラップと、患者の頭部に載せられるように構成された発泡樹脂パッドとの一方または両方を介して患者に固定される。いくつかの実施形態においては、上記方法には、患者インターフェースを介して、エアロゾル化された投与量の薬剤を患者に送達することが含まれる。いくつかの実施形態においては、上記方法には、投与量の送達のタイミングが、検出された吸気と同期していることを確認することがさらに含まれる
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態によるエアロゾル化装置の等角図。
図1A図1のエアロゾル化装置の断面図。
図2図1のエアロゾル化装置を通る流れのパターンを示す図。
図3】実施形態によるエアロゾル化装置の等角図。
図3A図3のエアロゾル化装置の断面図。
図4A図3のエアロゾル化装置を通る流れのパターンを示す図。
図4B図3のエアロゾル化装置を通る流れのパターンを示す図。
図5A】低流量呼吸システムから図3のエアロゾル化装置を通る流れのパターンを示す図。
図5B】低流量呼吸システムから図3のエアロゾル化装置を通る流れのパターンを示す図。
図6】実施形態によるエアロゾル化装置の等角図。
図6A図6のエアロゾル化装置の断面図。
図6B図6のエアロゾル化装置の断面図。
図6C図6のエアロゾル化装置の断面図。
図6D図6のエアロゾル化装置を通る流れのパターンを示す図。
図7】流体供給ラインおよび呼吸システムに接続された図6のエアロゾル化装置を示す図。
図8】薬剤供給源に接続されたエアロゾル化装置を示す図。
図9】薬剤供給源および制御装置に接続された図8のエアロゾル化装置を示す図。
図10図9の制御装置を示す図。
図11図9の制御装置のバイアルホルダを示す図。
図12図9の薬剤供給源を示す図。
図13図9の制御装置の機能を示す図。
図14A図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図14B図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図14C図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図14D図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図14E図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図14F図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図14G図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図14H図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図14I図9~13のエアロゾル化システムを使用するプロセスを示す図。
図15】乳児に接続された、実施形態によるエアロゾル化装置を示す図。
図16】乳児の腹部に接続された呼吸センサカプセルを示す図。
図17】実施形態による、乳児に界面活性剤を送達するエアロゾル化システムを示す図。
図18】エアロゾル化された薬剤を患者に送達するプロセスを示すフローチャート。
図19】エアロゾル化システムを初期設定するプロセスを示すフローチャート。
図20】実施形態によるエアロゾル化システムを使用した放出用量率を示す棒グラフ。
図21】実施形態によるエアロゾル化システムを使用した呼吸数および流量に応じた放出用量率を示す棒グラフ。
図22】沈着率および粒径を示すグラフ。
図23】沈着率および粒径を示すグラフ。
図24】流量センサおよび呼吸センサカプセルを使用した吸気検出の有効性を示すグラフ。
図25】ある研究による、界面活性剤を注入しない場合の生存率を示すグラフ。
図26】ある研究による、インパクタの粒径分布を示すグラフ。
図27】ある研究による、インパクタの粒径分布を示すグラフ。
図28】ある研究による、インパクタの粒径分布を示すグラフ。
図29】ある研究による、異なるCPAP設定での粉末質量分布を示すグラフ。
図30】ある研究による、異なるCPAP設定での粉末質量分布を示すグラフ。
図31】ある研究による、異なるCPAP設定での粉末質量分布を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に記載する実施形態の説明は、本開示の範囲、適用可能性または構成の限定を意図するものではない。以下に記載する実施形態の説明は、実施形態の実施を可能とする説明を当業者に提供するものである。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることが可能である。
【0017】
本発明の実施形態によるエアロゾル化システムおよび方法においては、呼吸ガスのうちの少量がエアロゾル化チャンバに入る一方で、呼吸流の大部分はエアロゾル化チャンバを回避して呼吸システムの呼気リムを通過するように、エアロゾル化された薬剤および呼吸ガスが、呼吸システムの直接流から隔離されたエアロゾル化チャンバ内で混合される。このような設計によって、呼吸システムからの流量に関わらず、薬剤の送達率が一定に保たれる。さらに、本発明の実施形態は、既存の呼吸システムと連結可能であり、安定した用量のエアロゾル化された薬剤を患者の気道に送達できるように既存のシステムを適合させることが可能な後付けのエアロゾル化構成を提供する。また、本明細書に記載のエアロゾル化システムは、1つまたは複数の流量センサ(電気流量センサ等)、レーダセンサ(胸部変位を測定するUWB(超広帯域)レーダセンサ等)、COセンサ、高速温度センサ、音響センサ、インピーダンスプレチスモグラフィーセンサ、呼吸インダクタンスプレチスモグラフィーセンサ、圧力センサ等の1つまたは複数の呼吸センサを備えていることによって、制御装置が患者の吸気を予測できるように構成されている。このため、患者の吸気中またはその直前に薬剤のエアロゾル化を実行できる。
【0018】
本発明の実施形態では、吸気相に生成されたエアロゾルの消失や希釈を回避するために、エアロゾル化された薬剤を主要な呼吸ガス流から隔離するエアロゾル化システムが提供される。このような隔離は、患者インターフェースにガスを押し流すのではなく、主要な流れを入口から出口に向け直すように設計された障壁および/または他の壁部を用いることによって達成できる。
【0019】
本発明の実施形態はまた、吸気サイクル(吸入)の間にのみ界面活性剤エアロゾルを生成および送達する。一般的に使用されている装置は、エアロゾルを連続的に投与する。しかし、乳児は吸気中にのみエアロゾルを吸引できるため、呼気(呼吸サイクルの最大3分の2)中はエアロゾルが気道を迂回するため、失われて無駄になる。エアロゾルの生成を吸気中にのみに限定するとともに、エアロゾルを鼻孔の近くに送達することにより、肺内に沈着する界面活性剤の割合を最も高くすることができる。
【0020】
本発明の実施形態はまた、患者に送達されるエアロゾルの量を増加させるために、患者インターフェースの近傍でエアロゾルを生成する。従来の噴霧器は、人工呼吸器またはnCPAP回路の吸気チューブの一箇所に配置され、連続的なガス流の中でエアロゾルが生成される。その結果、送達中にエアロゾルが大幅に希釈され、連続的なガス流の中でその多くが失われる。一般的に、このガス流の流量は、対象の吸気流より高い。これに対し、本発明のエアロゾル化装置は、患者インターフェース(鼻プロング等)に向けて直接的にエアロゾルを生成し、nCPAP回路からのガス流の大部分を霧状のエアロゾルから逸らすことによって、回路の連続的なガス流でエアロゾルが損失されることを大幅に抑制する。実施形態はまた、希釈されていない界面活性剤で0.3mL/分以上という、他のメッシュ噴霧器で以前に確認されている流量を超える流量でエアロゾル界面活性剤を放出するエアロゾル生成器を使用することによって、投与時間の短縮を可能にしている。なお、界面活性剤の送達を主に説明するが、他の種類の薬剤を本発明のエアロゾル化システムと共に利用して、エアロゾル化された薬剤を患者の肺に送達してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエアロゾル化システムは、再利用可能な装置制御装置と、薬剤送達回路および/または呼吸センサを有しており、一人の患者に対して一度のみ使用される使い捨てのエアロゾル化装置とを備えている。このようなエアロゾル化装置は、様々な人工呼吸装置(CPAP装置等)に組み込まれる独立型の薬剤送達装置として機能し、いくつかの実施形態では、病院ネットワークまたはインターネットに接続するように設計されていない。例えば、制御装置は、フラットパネルタッチスクリーンディスプレイ、電子機器およびソフトウェアを備えた、複数の患者が使用できる再利用可能な構成要素であってもよい。例えば、制御装置の3つの主要な機能は、患者の腹部に配置された呼吸センサ(例えば一人の患者にのみ使用されるように設計されたもの)を介して吸気を検出することと、組み込まれた供給機構を介してエアロゾル化装置に懸濁液を送ることと、nCPAPインターフェースに向けて吸気中にエアロゾルを生成することである。これらの機能は、乳児の吸気サイクルと同期して実行してもよい。フラットパネルタッチスクリーンは、GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を利用して、使用者が送達パラメータ、アラームおよびシステム診断を設定および監視できるように構成されている。制御装置には、視覚的および聴覚的アラームを組み込んでもよい。ポッドを使用して、呼吸センサから制御装置に信号を通信し、検出された呼吸と同期してエアロゾルの生成を行うための信号を通信してもよい。医薬品の供給源である収容部は、薬剤の入った薬品用バイアルであってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、一人の患者に対して一度のみ使用される使い捨てのエアロゾル化装置は、薬剤収容部へのアクセスを容易にし、個別パッケージで使用者に提供されるベント付きバイアルアクセス器具(VVAD)と、薬剤供給チューブとを備えている。薬剤供給チューブは、ルアーコネクタ(VVADに接続される)と、エアロゾル化装置のエアロゾル生成器にルアーから薬剤懸濁液を送達するチューブとを有している。また、エアロゾル化装置のエアロゾル生成器は、液滴径が小さく、出力流量が高いという性能において際立っているカスタマイズされたPDAP(フォト形成(photo defined)有孔プレート)振動メッシュを備えていてもよい。PDAPメッシュは、革新的な構造を有しており、従来のメッシュの最大20倍の数量の孔がより小径で形成されている。エアロゾル生成器は、乳児の気道近傍にエアロゾルを供給し、従来のnCPAPシステムに接続するように設計されている。
【0023】
再利用可能な制御装置は、送達パラメータ、アラーム(視覚的および聴覚的)およびシステム診断を監視するプロセッサを備えた内蔵タッチスクリーンを備えている。制御装置とポッドは、呼吸センサを介して連携して動作する。呼吸センサの一方の端部は乳児の腹部に取り付けられ、他方の端部はポッドに接続される。制御装置が薬剤供給機構を作動させることによって、噴霧器に薬剤が送達されて、乳児の吸気サイクルに合わせて、呼吸と同期させたエアロゾル生成が行われる。
【0024】
凍結乾燥された界面活性剤は、入っていたガラスバイアル内で還元されて、生理食塩水/界面活性剤の懸濁液となる。バイアルは、ベント付きバイアルアクセス器具を介して、薬剤供給チューブを含む薬剤供給回路に接続される。ベント付きバイアルアクセス器具がバイアルのセプタムを貫通することによって、バイアルに空気が入り、懸濁液が均一的に空になる。一体型の容積測定薬剤供給機構は、薬剤供給チューブを介して界面活性剤懸濁液を送り、薬剤送達回路インターフェースに一体化された噴霧器(独自の振動メッシュ)に送達する。インターフェースには、鼻プロングが使用される。インターフェースは、乳児の臨床nCPAP回路に接続され、先に配置されていたインターフェースに代わって、乳児に配置される。その後、呼吸センサに応じて、乳児の吸気と同期してエアロゾルが供給される。
【0025】
界面活性剤が使用される場合について主に説明されているが、本開示の方法および装置は、いずれの液体薬剤にも使用できる。例えば、気管支拡張薬、抗感染薬、抗ウイルス薬、抗炎症粘液作動薬(mucokinetics)、siRNA、PFOB等の薬剤を本開示に従って使用することができるが、これらに限定されない。
【0026】
図1に、エアロゾル化システムの一実施形態を示す。エアロゾル化装置100は、エアロゾルチャンバ102の第1の側に配置され、患者インターフェース104は、反対側の、エアロゾル化チャンバ102の第2の側に配置される。エアロゾル化装置100は、投与量の液体薬剤をエアロゾル化するように構成された噴霧器または任意の他の装置である。このような装置は、米国特許第5758637号明細書、米国特許第6235177号明細書、米国特許公開第2015/0336115号明細書および米国特許公開第2016/0130715号明細書に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。エアロゾル化装置100は、エアロゾル化される、ある分量の液体薬剤を受容および/または収容するように構成された収容部を有している。いくつかの実施形態では、収容部は、流体供給ラインとエアロゾル化装置100のメッシュとを連結するように延びる導管の形態をとる「実質上の収容部」である。例えば、導管は、各エアロゾル化工程の合間に導管内に溜まる約10~15mclのみを収容する大きさを有している。一次収容部は、薬剤を収容したバイアルの形態であってもよく、供給機構および供給ラインを介して、呼吸毎に薬剤が導管または実質上の収容部を経由してメッシュに供給される。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、鼻プロング、気管内チューブ、鼻カニューレ/マスク、気管切開チューブ等である。
【0027】
システムは、人工呼吸器、加湿器、CPAP(持続陽圧呼吸療法)装置、nCPAPシステムおよび/またはこれらの組み合わせ等の人工呼吸システムと接続して機能するように構成された呼吸アダプタ106を有している。例えば、呼吸アダプタ106は、呼吸システムの吸気リムに連結するように構成された入口障壁等の入口108を有している。例えば、入口108は、Fisher&Paykel Healthcareによって製造されたFlexitrunk(登録商標)ミッドラインインターフェースと連結し、呼吸流をエアロゾル化チャンバ102に向けるように構成された入口障壁である。入口108は、例えば流体経路110を介して、エアロゾルチャンバ102に連結されている。いくつかの実施形態では、入口108は、患者に対する抵抗や呼吸仕事量を増加させることなく、ガスを呼吸システムからエアロゾル化チャンバに向け直すように設計されている。これは、患者インターフェース104の内側の断面直径に対して約80%以上の断面積を有する流体経路110を設けることによって達成される。
【0028】
図1Aに、図1のエアロゾル化システムの断面図を示す。図示されるように、エアロゾル化装置100のエアロゾル生成器112は、エアロゾル生成器112によってエアロゾル化された薬剤がエアロゾル化チャンバ102に導入されるように、エアロゾルチャンバ102の第1の端部に配置されている。エアロゾル生成器112は、エアロゾル粒子を生成するように構成されたメッシュを有している。従来のエアロゾル装置は、通常、平均液滴径が4~5ミクロンの範囲のエアロゾルを生成する。ただし、未熟児の気道の細い空気路を介して鼻孔から薬剤を送達するためには、一般的に、エアロゾル液滴は、直径3ミクロン未満の大きさである必要がある。この径より大きいエアロゾル液滴は、鼻孔および送達チューブに沈着しやすい。液滴が1ミクロンよりも大幅に小さい場合は、液滴が肺に沈着せず、吐き出される可能性がある。この場合、肺への投薬効率が低下する。本発明の実施形態は、2~3ミクロンの間の平均径を有する液滴を生成するように設計されたメッシュ孔サイズを使用する。例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器112は、3μm未満等の小径のエアロゾル粒子を生成するように構成されたPDAP(フォト形成有孔プレート)のメッシュを備えている。このようなメッシュは、前述の米国特許公開第2016/0130715号明細書に開示されている。患者インターフェース104の近くにエアロゾル生成器112を配置することによって、吸気サイクル中に放出されるエアロゾル化された薬剤が優先的に吸引され、呼吸システム回路を通過する連続流またはバイアスフローの中断が最小限に抑えられる。図示されたエアロゾルチャンバ102においては、第1の端部が第2の端部よりも小さい。入口108を形成している障壁は、呼吸システムの吸気リムから流れる呼吸流の一部を、第1の端部に近い位置で流体経路110を介してエアロゾルチャンバ102に引き込むように設計されている。流体経路110は、吸気リムと入口108との接合部において、リム内の呼吸流および/または吸気リムの上流側に対して90度以下の角度をなすように、吸気リムに連通されている。このような配置によって、直接的な呼吸流からエアロゾル化チャンバを隔離することができる。例えば、呼吸流は、患者の吸気時のみに、エアロゾルチャンバ102に間欠的に導入される。
【0029】
図2に、エアロゾル化システムを通る流れのパターンを示す。図2には、呼吸気流を供給する呼吸システムの吸気リム200が示されている。この呼吸気流の一部は、入口108に引き込まれ、流体経路110を介してエアロゾルチャンバ102および患者インターフェース104に導入される。例えば、患者が息を吸うと、吸気によってエアロゾル化チャンバ内に陰圧が生じるため、ある体積の呼吸気流が流体経路110を介して引き込まれる。余分な呼吸気流および/または呼気ガスは、呼吸システムの呼気リム202を介して排出される。
【0030】
図1、1Aおよび2のエアロゾル化システムは、様々なnCPAPシステムで使用されるガス流量の範囲で、従来のエアロゾル化システムに比べて、吸入用量を増加および安定させることができる。例えば、本明細書に記載されているエアロゾル化システムは、高流量のnCPAPシステム(6L/分より高い)での吸入用量を約6%(従来のシステム)から約40~50%に増加させ、同じく約40~50%の吸入用量を達成する低流量のシステム(0.5L/分)に対する変動が減少している。
【0031】
図3に、安定した用量のエアロゾル化された薬剤を患者に供給するためのエアロゾル化装置の別の実施形態を示す。このエアロゾル化装置は、エアロゾルチャンバ302の第1の端部に配置されたエアロゾル生成器300を有し、患者インターフェース304は、反対側の、エアロゾルチャンバ302の第2の端部に配置されている。エアロゾル生成器300は、圧電アクチュエータを使用して選択的に振動可能である振動メッシュを有する噴霧器であってもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器300は、エアロゾル化される、ある分量の液体薬剤を受容および/または収容するように構成された収容部を有している。エアロゾル生成器300は、ポンプ(図示せず)等を介して、ある分量の液体薬剤を収容部に送出するように構成された薬剤供給ライン306に連結されている。エアロゾル化装置は電源に接続されたケーブル308を有している場合もあるが、いくつかの実施形態では、エアロゾル化装置は電池式である。
【0032】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化装置は、人工呼吸システムの吸気リムおよび呼気リムにそれぞれ連結される入口310および出口312を有している。使用可能な人工呼吸システムの例としては、人工呼吸器、加湿器、CPAP装置および/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、入口310および出口312は、呼吸ガスの流路を形成する単一のユニットであるが、他の実施形態では、入口310および出口312は、互いに連結された別個の構成要素である。入口310および/または出口312は、呼吸システムのガス導管の端部を受容するように構成される。例えば、入口および/または出口の気流障壁は、標準的なnCPAP回路の一方向の回路に対応している。このため、障壁は、入口から出口へ流れる気流の中断を最小限に抑えることができ、その結果、エアロゾルチャンバ302内の乱れが抑制される。
【0033】
図3Aに示すように、エアロゾル化装置は、エアロゾルチャンバ302を入口310および/または出口312に接続する流体流路314も有している。図示するように、流体流路314は、エアロゾル生成器300の近傍のエアロゾルチャンバ302の上部に呼吸ガスを送達するが、いくつかの実施形態では、エアロゾルチャンバ302の内側部分および/または患者インターフェース304に近い部分等の別の位置に送達してもよい。流体流路314は、入口310および/もしくは出口312の上流側、ならびに/または、入口310および/もしくは出口312内に形成された流路に対して流体流路314がなす角度が90度を超えない状態で、入口310および/もしくは出口312と交差している。つまり、ガス流体流路314は、入口310および/もしくは出口312と直交して延びるか、または、入口31および/もしくは出口312を通る空気の流れに対し少なくとも部分的に対向する方向に延びている。流体流路314をこのような位置に配置することによって、エアロゾルチャンバ302を、入口310(吸気リム)から出口312(呼気リム)に流れる呼吸ガスの連続流から隔離することが可能となる。その結果、いくつかの効果がもたらされる。第1に、エアロゾルチャンバ302を連続流から隔離することによって、エアロゾル化された薬剤がガス流によって「吹き飛ばされる」または希釈されることが抑制される。第2に、隔離によって、呼吸イベントの直前に、エアロゾル化された薬剤をエアロゾルチャンバ302に予め充填しておくことができるとともに、前の呼吸で残った薬剤を維持することも可能となる。
【0034】
いくつかの実施形態では、呼吸ガスの一部は、エアロゾル化された薬剤と混合するために、流体流路314を通ってエアロゾルチャンバ302に引き込まれる。エアロゾルチャンバ302に引き込まれる呼吸ガスの部分は、患者インターフェース304での患者の吸気によって生じた陰圧によって引き込まれる。
【0035】
エアロゾルチャンバ302は、衝撃を最小限に抑えながら霧状体を患者インターフェース304に送るために適した内部形状を有している。具体的には、エアロゾルチャンバ302は、エアロゾル生成器300が患者インターフェース304の反対側に配置されるように設計されている。さらに、エアロゾルチャンバ302は、概して漏斗形状の輪郭を有するように設計されており、広い部分から、患者インターフェース304の近傍の狭い部分に(線形または非線形に)先細るように構成されているため、エアロゾル生成器300から出るエアロゾルに加わる衝撃が低減されている。このような設計は、エアロゾルチャンバ302の小型化も可能としている。
【0036】
図4Aおよび4Bに、高流量呼吸システムから供給されて図3および3Aのエアロゾル化装置を通る呼吸流の流路を示す。患者が1L/分の流量で吸気している間、吸気流は8L/分の流量で入口310を通って流れる。出口312に接続している呼気リムの圧力は490.32Pa(5cmH2O)である。呼吸ガスの一部は、患者が患者インターフェース304を介して吸気するときに、流体流路314を通ってエアロゾルチャンバ302に引き込まれる。
【0037】
図5Aおよび5Bに、低流量呼吸システムから供給されて図3および3Aのエアロゾル化装置を通る呼吸流の経路を示す。患者が1L/分の流量で吸気している間、吸気流は2L/分の流量で入口310を通って流れる。出口312に接続している呼気リムの圧力は490.32Pa(5cmH2O)である。高流量の実施形態と同様に、呼吸ガスの一部は、患者が患者インターフェース304を介して吸気するときに、流体流路314を通ってエアロゾルチャンバ302に引き込まれる。図5Bに示されるように、呼吸流のうちのエアロゾルチャンバ302に引き込まれる部分は、患者インターフェース304を介して患者の気道に導入される。
【0038】
図6~6Dに、エアロゾル化装置600の別の実施形態を示す。エアロゾル生成器612(図6A~6D)は、上記のものと同様に、エアロゾルチャンバ602の第1の側に配置され、患者インターフェース604は、反対側の、エアロゾルチャンバ602の第2の側に配置される。エアロゾル生成器612は、エアロゾル化される、ある分量の液体薬剤を受容および/または収容するように構成された収容部を有している。例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル化装置600は、液体薬剤をエアロゾル生成器612(ある場合は収容部等)に送達するために使用される薬剤供給ライン(図示せず)と連結するように構成された少なくとも1つの薬剤供給ポート614を有している。いくつかの実施形態では、収容部は、薬剤供給ポート614とエアロゾル生成器612との間に延びる長尺状の導管として形成される。いくつかの実施形態では、患者インターフェース604は、鼻プロング、気管内チューブ、鼻カニューレ/マスク、気管切開チューブ等である。エアロゾル化装置600は、少なくとも1つの電源接続部640も有している。図に示すように、電源接続部640は、電力ケーブルをエアロゾル化装置600に接続して、エアロゾル生成器612に電力および/または制御コマンドを供給することを可能にするポートである。
【0039】
装置は、人工呼吸器、加湿器、CPAP(持続陽圧呼吸療法)装置、nCPAPシステムおよび/またはこれらの組み合わせ等の人工呼吸システムと接続して機能するように構成された呼吸アダプタ606を有している。例えば、呼吸アダプタ606は、呼吸システムの吸気リム650に連結するように構成された入口障壁等の入口608を有している。呼吸アダプタ606は、呼吸システムの呼気リム652に接続されるように構成された出口障壁等の出口616も有している。例えば、図に示すように、入口608および/または出口616は、それぞれ吸気リム650および呼気リム652の導管内に挿入および保持される(例えば、摩擦嵌合および/または他の固定機構によって保持される)ように構成されている。他の実施形態では、入口608および/または出口616は、吸気リム650および/または呼気リム652の導管がそれぞれ入口608および出口616内に挿入および保持される(摩擦嵌合等の固定機構によって保持される)ように、呼吸システムの導管よりも大きく構成されている。呼吸システムに対する入口608および/または出口616の接続には他の手法を採用してもよい。また、入口608および出口616の接続には、同じ手法を用いる必要はない。
【0040】
図6Aに、図6のエアロゾル化システムの断面図を示す。図示されるように、エアロゾル化装置600のエアロゾル生成器612は、エアロゾル生成器612によってエアロゾル化された薬剤がエアロゾルチャンバ602に導入されるように、エアロゾル化チャンバ602の第1の端部618に配置されている。例えば、薬剤は、収容部と連通している薬剤供給ポート614を介してエアロゾル生成器612に送達される。いくつかの実施形態では、収容部は、薬剤をエアロゾル生成器612の表面に送達する導管632の形態をとる「実質上の収容部」である。実質上の収容部である導管632は、薬剤供給ポート614に連結された流体ラインを介して、バイアル等の薬剤源に連結される。導管632の最も先端側に位置する先端634の直径は、先端634とエアロゾル生成器612のメッシュの基端側表面との間の距離以下である。このような寸法で設けられていることによって、先端634から吐出される液体薬剤の液滴が、エアロゾル生成器612のメッシュに接触して移動できるような大きさに確実に形成される。表面張力によって、液体が確実にメッシュの表面にとどまって広がり、その結果、液体の全量または略全量がエアロゾル化される。このため、エアロゾル化装置600はいかなる配向でも動作可能であり、患者(乳児等)が横向き、仰向けまたはうつ伏せのいずれの状態でも治療を行える。例えば、いくつかの実施形態では、薬剤供給ポート614の先端は、エアロゾル生成器612の表面から約5~40ミクロンの距離をなして配置され、先端364は、この距離以下の直径を有する。図に示すように、エアロゾル生成器612は患者インターフェース604の近傍に配置され、エアロゾルチャンバ602が、エアロゾル生成器612と患者インターフェース604との間に配置された唯一の構成要素である。このように患者インターフェース604の近傍にエアロゾル生成器612を配置することによって、吸気サイクル中に放出されるエアロゾル化された薬剤が優先的に吸引され、呼吸システム回路を通過する連続流またはバイアスフローの中断が最小限に抑えられる。エアロゾルチャンバ602は、第1の端部618が第2の端部620よりも小さくなるように形成されており、その結果、エアロゾル化装置600を出るエアロゾルに加わる衝撃が低減される。
【0041】
入口608は、呼吸システムの吸気リム650からの呼吸流の一部を、第1の端部に近い位置で流体経路を介してエアロゾルチャンバ602に引き込むように構成された障壁によって形成されている。上記流体経路については、図6Bおよび6Cを参照して詳細を後述する。いくつかの実施形態では、入口608は、患者に対する抵抗や呼吸仕事量(例えば、吸気圧)を実質的に増加させることなく、または少なくとも顕著な程度まで増加させることなく、ガスを呼吸システムからエアロゾルチャンバ602に向け直すように設計されている。これは、複数の障壁を有する呼吸アダプタ606内に流体経路を設けることによって達成される。これらの障壁は、エアロゾル化装置600に引き込まれる空気流の乱れを大幅に減少させながら、吸気リムから流れる空気の一部(吸気に必要な分だけ)をエアロゾルチャンバ602に誘導する。その結果、エアロゾルチャンバ602内により層状の流れを発生させることができる。
【0042】
図6Bおよび6Cに、2つに分割された状態のエアロゾル化装置600を示す。図においては2つに分離可能な構成要素として示されているが、エアロゾル化装置600は、互いに連結される(例えば接続/係合機能部等によって連結される)任意の数の構成要素から構成されていてもよい。あるいは、成形、3D印刷および/または他の周知もしくは非周知の製造手法によって形成される単一の構成要素から構成されてもよい。図6Bに示すように、エアロゾル化装置600の流体経路を有する部分には、複数の障壁が形成されている。図示する実施形態では、エアロゾル化装置600は、吸気リム650から呼気リム652に多量の流れを向ける一方で、吸気リム650からの流れの一部がエアロゾルチャンバ602に入ることを可能にする第1の障壁622を有している。例えば、障壁622は、概してU字型に形成され、一端または両端が開放されて、障壁622とエアロゾル化装置600のハウジングの側壁との間に通気路624を形成している。この通気路624によって、障壁622の端部を越えて少量の空気が通過できる。一方、障壁622の本体部は、それ以外の空気が障壁622を通過することを防ぎ、代わりに、呼気リム652に向かって空気を流すように構成されている。本実施形態ではU字型障壁622が使用されているが、特定の用途に合わせて他の形状に変更してもよい。
【0043】
エアロゾル化装置602は、障壁622の近くに配置された第2の障壁626を有している。図に示すように、第2の障壁626は、障壁622とは反対方向に配向された概してU字型の壁部である(ただし、第2の障壁626は別の形状および配向に構成してもよく、概して直線状にエアロゾル化装置600の内部の幅方向全域にわたって延びる第2の障壁622であってもよいし、例えば湾曲状に障壁622と同じ方向に配向される第2の障壁626であってもよい)。いくつかの実施形態では、第1の障壁622および第2の障壁626は、例えば内側部分を共有する単一の部材として形成されるが、他の実施形態では、別個の構成要素である障壁が設けられる。図に示されるように、第2の障壁626は、ハウジングの両側壁に到達するように延びているが、第2の障壁626の先端側縁部とエアロゾル化装置602のハウジングの上部との間には隙間が空けられており、エアロゾル化チャンバ602に進入する空気の経路が形成されている。したがって、図に示すように、患者が患者インターフェース604を介して息を吸うと、吸気リム650によって供給されるガスの一部が、障壁622の1つまたは複数の端部の通気路624を通って引き込まれる。引き込まれた空気は上方に押し上げられて第2の障壁624を越えて流れ、エアロゾルチャンバ602内で概して層状の流れを形成する。しかしながら、いくつかの実施形態では、空気流をハウジングの上部に向けるのではなく、第2の障壁626が、空気をハウジングの下部や、上側障壁と下側障壁との間に形成された中央開口部に向けるように構成される。呼吸システムの呼吸ガスの直接流からエアロゾルチャンバ602を隔離しながらも、患者の吸気時にはある程度の呼吸ガスの流れを発生させるためには、任意の数の設計の障壁および/または他の分流機構(弁を含む)を用いることができる。
【0044】
図6Cに、第1の部分に接続されるエアロゾル化装置600の別の部分を示す。エアロゾル化装置600のこの部分は、エアロゾル生成器612、薬剤供給ポート614および/または他の関連する構成要素を受容するための座部628を形成している。障壁622を所定の位置で受容して固定する係合機能部630も設けられている。例えば、係合機能部630は、障壁622の上縁部を受容できる大きさおよび形状の溝または通路を画定している。この接続によって、障壁622がエアロゾル化装置600のハウジングの底面からハウジングの上面までの全範囲にわたって確実に延在するようになる。その結果、空気流の大部分を出口616に向かわせながらも、障壁622の各端部の通気路624を通る気流のみを確実に障壁622を越えて通過させることができる。
【0045】
図6Dに、吸気リム650から入口608を介してエアロゾル化装置600に引き込まれる気流の流れパターンを示す。例えば、吸気リム650(加湿器等を通過する)からの空気は、呼吸アダプタ606を通過するときに、障壁622によって空気の大部分が出口616を介して呼気リム652に向け直される。上記のように、障壁622によって1つまたは複数の通気路624が形成されているため、吸気リム650からの気流の一部が、患者が息を吸うたびに内側に引き込まれる。通気路を介して引き込まれたこの空気の部分は、第2の障壁626に到達する。第2の障壁626が設けられていることによって、障壁622の端部を越えて引き込まれた空気は上向きに移動して、第2の障壁626を越えてエアロゾル化チャンバ602に流れる。図示されるように、空気は、エアロゾル生成器612の近傍の第1の端部618に近い位置でエアロゾルチャンバ602に導入される。他の実施形態では、気流は、他の場所でエアロゾルチャンバ602に導入される。一例においては、空気は、障壁622と同様の障壁を使用して、エアロゾルチャンバ602の側壁の近くに導入される。図示されるように、空気は、エアロゾル生成器612の近傍の第1の端部618に近い位置でエアロゾル化チャンバ602に導入される。他の実施形態では、気流は、他の場所でエアロゾル化チャンバ602に導入される。一例においては、空気は、障壁622と同様の障壁を使用して、エアロゾル化チャンバ602の側壁の近くに導入される。なお、エアロゾル化チャンバ602を呼吸システム内の直接流から隔離しながら、エアロゾル化チャンバ602に空気を導入するためには、他の障壁の設計および/または位置を使用してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、他の機構を利用して、患者が息を吸うたびに、呼吸システムから流れてくる空気をエアロゾル化チャンバ602に向けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル化チャンバ602と吸気リム650および/または呼気リム652との間に1つまたは複数の一方向弁が組み込まれる。1つまたは複数の弁は、患者が吸気を行うまでは、封止等によってエアロゾル化チャンバ602を呼吸システムから隔離する。吸気が発生した時点で1つまたは複数の弁が開き、エアロゾル化チャンバ602への少量の呼吸流の流入が可能となる。
【0046】
少量の空気を吸気リム650からエアロゾルチャンバ602に流入させる一連の障壁を設けることによって、本発明の実施形態は、エアロゾルチャンバ602に引き込まれる空気の乱れを抑制し、より層状にさせる。その結果、肺内に薬剤が沈着しやすくなる。障壁は、障壁を通過して引き込まれるガス/空気の流量が、乳児の吸気流(吸気リム650を通過するガスよりもはるかに低い)と同じまたはその付近になるように設計できる。なお、図示の実施形態では2つの障壁が使用されているが、他の数および配置の障壁によっても、患者の気道に空気を吸引するために必要な吸引力を顕著に増やすことなく、空気流をエアロゾルチャンバ602に導入する前に吸気リム650からの空気流の乱れを抑制することができる。上記の例ではU字型障壁が用いられているが、吸気毎にエアロゾルチャンバ602に引き込まれる気流の量を制限するとともに、この気流内の乱流の量を低減させる他の障壁設計を使用してもよい。この構成は、吸気リム650によって供給される空気によって、エアロゾル化された薬剤が希釈されることも抑制できる。
【0047】
図7に、流体供給ライン700および呼吸システム702の両方と接続された状態の図6~6Dのエアロゾル化装置600を示す。図に示すように、流体供給ライン700の第1の端部は、薬剤供給ポート614に接続されている。例えば、いくつかの実施形態では、薬剤供給ポート614は、エアロゾル化装置600の本体から外向きに突出する先端部を有している。流体供給ライン700の開口部を先端部に取り付けることによって、流体供給ライン700からの流体が、薬剤供給ポート614を通過して、収容部および/または導管634に入り、次いで、エアロゾル生成器602に送達される。流体供給ライン700の第2の端部(図示せず)は、液体薬剤のバイアル(または他の種類の容器)等の流体源に接続されている。
【0048】
呼吸アダプタ606は、呼吸システム702に連結されている。図に示すように、入口608は、呼吸システム702の吸気リム650に連結されているが、出口616および呼気リム652はこの図では見えない。空気および/または他の呼吸ガスは、吸気リム650から呼吸アダプタ606に送られ、弁や障壁等の1つまたは複数の分流機構が、空気流の一部を、流体経路を介してエアロゾルチャンバ602に分流させる。呼吸システム702の気流の残りの大部分は、呼吸アダプタ606によって呼気リム652に向けられる。
【0049】
噴霧器ケーブル704は、電源接続部640に接続されている。噴霧器ケーブル704は、エアロゾル生成器602に電力を供給し、操作コマンド(エアロゾル生成器602の作動のタイミングおよび長さを制御するコマンド等)を提供するように構成される。例えば、制御装置(図示せず)が、噴霧器ケーブルを介してエアロゾル化装置600に連結されている。制御装置は、1つまたは複数の呼吸センサを使用して、患者の呼吸サイクルを監視する。この情報に基づいて、制御装置は、噴霧器ケーブル704(または他の通信リンク)を介して信号を送り、ポンプを作動させてエアロゾル生成器612に液体を送出するとともに、エアロゾル生成器612を作動させて薬剤をエアロゾル化する。
【0050】
図8に、エアロゾル化装置800の別の実施形態を示す。エアロゾル化装置800は、上記のエアロゾル化装置600に類似した装置である。図に示すように、エアロゾル化装置800は、薬剤源802に連結されている。薬剤源802は、ある分量の薬剤を保持する任意の容器である。図に示す例では、薬剤源802はバイアルであり、ルアー接続804および流体供給ライン806の全長を介してエアロゾル化装置の薬剤ポートに連結されている。エアロゾル化装置800には、制御装置(図示せず)と接続可能な噴霧器ケーブル808も連結されている。噴霧器ケーブル808は、エアロゾル化装置800および/または呼吸センサを制御装置に連結するためのポッド810で終端している。
【0051】
図9に、薬剤源802および制御装置812に接続されたエアロゾル化装置800を示す。制御装置は、流体供給ライン806を介してエアロゾル化装置800に液体薬剤を送達させ、エアロゾル化装置800を作動させるように構成される。いくつかの実施形態においては、制御装置812は、検出された患者の吸気に応じてエアロゾル化装置800を作動させる。例えば、制御装置812は、患者の吸気の開始、持続時間および/または終了を検出することができる呼吸センサ814に連結されている。いくつかの実施形態では、呼吸センサ814は、患者の呼吸サイクルを検出するために、患者の胴体(腹部および/または胸部)に対して配置される、Grasebyセンサに類似したセンサである。この場合、例えば制御装置812は、患者が吸気し始めていることを示す信号を呼吸センサ814から受信する。次に、制御装置812は、コマンドを送信して、ある分量の液体薬剤をエアロゾル化装置800のエアロゾル生成器に供給させ、エアロゾル生成器を作動させて吸気中に液体薬剤をエアロゾル化させる。
【0052】
いくつかの実施形態においては、呼吸センサ814および/またはエアロゾル化装置800は、制御装置812に直接連結されている。他の実施形態では、ポッド810および/または他のアダプタを使用して、呼吸センサ814および/またはエアロゾル化装置800が制御装置812に接続される。例えば、いくつかの実施形態では、呼吸センサをポッドに接続するために、スリップルアー等の接続具がポッド810のポートに挿入される。本実施形態では、呼吸センサ814は、吸気サイクルの感知を開始するために、患者の腹部に接着等によって装着される。
【0053】
図10に、制御装置812を示す。制御装置812は、表示画面等のユーザーインターフェース818を有している。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェース818は、タッチスクリーンである。制御装置812は、ボタン、ダイヤル、キーパッド、タッチスクリーン等の1つまたは複数の入力デバイスを備え、これによって、使用者は、制御装置812を操作して、用量レベル等の設定を調整できる。制御装置812は、制御装置812をエアロゾル化装置800および/または呼吸センサ814等の周辺ユニットに接続するための複数のポート820を有している。いくつかの実施形態では、制御装置812は、様々な機能の状態を使用者に警告するように構成された、LED等の1つまたは複数のインジケータ824を有している。例えば、インジケータ824は、エアロゾル化装置800および/または呼吸センサ814が適切に接続されているか、制御装置812の電源832が作動しているか(すなわち、接続されているか、および/または、バッテリーの場合は充電中もしくは充電完了)、システムに障害が検出されているか等について使用者に通知する。いくつかの実施形態では、インジケータ824は、ユーザーインターフェース818に組み込まれている。制御装置812のハウジング822は、図11に明瞭に示されるように、薬剤源802を安全に受容するように構成されたホルダ826を有している。この実施形態では、薬剤源802は、ホルダ826内に上下逆に固定されたバイアルであり、薬剤源802内の全量を、流出や圧出等の手段によって薬剤源802からエアロゾル化装置802に送達するように構成されている。
【0054】
図12に、薬剤源802を示す。この例では、薬剤源802は、VVAD(ベント付きバイアルアクセス器具)828が取り付けられたバイアルである。VVAD828は取り外し可能なキャップ830を有し、キャップ830がVVAD828に装着されると、VVAD828の開口部が密閉される。VVAD828はフィルタ832も有しており、このフィルタ832は、バイアルおよび流体供給ライン806内のエアロゾルを最小化し、表面汚染を抑制し、バイアル圧力を均等化させるように機能する。使用時には、キャップ830が取り外され、ポート(図示せず)がルアーコネクタに装着されて、薬剤源802が流体供給ライン806に連結する。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエアロゾル化装置は、様々な人工呼吸システムに連結可能なエアロゾル生成器を備えている。エアロゾル生成器は、流体送達導管を介して流体源から液体薬剤を受け取る。動作時には、流体源からの流体は、ポンプによって流体送達導管を介してエアロゾル生成器に送出され、患者の吸気前および/または吸気中にエアロゾル生成器において流体がエアロゾル化される。いくつかの実施形態では、流体送達導管は、送達を迅速に行うために、治療前に流体でプライミングされる(例えば、エアロゾル生成器に流体が予め送られる)。ポンプは、流体の送出時間と投与量を制御する制御装置によって制御される。
【0056】
制御装置は、1つまたは複数のメモリに格納された命令を実行して、ポンプおよびエアロゾル生成器の動作を駆動する1つまたは複数のプロセッサを備えている。例えば、メモリには、エアロゾル生成器の動作毎に一回の投薬でエアロゾル生成器に送出される流体の量、特定の期間または回数にわたって送出される流体の量等を示す命令が保存されている。保存された命令は、患者の体の大きさ、患者の年齢、患者の性別、薬剤の種類、流体添加剤、エアロゾルの所望の量等に基づく命令である。メモリには、エアロゾル生成器を作動させるための命令も保存されている。図に示すように、制御装置は、ケーブル(すなわち、電気ケーブル)によってエアロゾル生成器に連結されるが、いくつかの実施形態では、制御装置は、エアロゾル生成器に無線で接続される。ケーブルは、エアロゾル生成器内の圧電アクチュエータ(または他のアクチュエータ)を作動させる信号を伝える。圧電アクチュエータが動作すると、振動部材が振動することによって流体がエアロゾル化されて患者に送られる(つまり、吸気によって送達される)。このように、メモリは、圧電アクチュエータの開始タイミング、停止タイミング、振動周波数または振動数を制御するための命令を保存している。
【0057】
本明細書に記載のエアロゾル化システムは、エアロゾルの生成のタイミングを調節することによって治療効果を高めることができる。例えば、エアロゾル送達システムは、患者が吸気する前に薬剤のエアロゾル化を開始する。この場合、エアロゾル送達システムは、吸気開始時の増加した気流を利用できる。その結果、吸引された空気が薬剤をさらに奥まで運び患者の肺に到達させるため、患者に対する薬剤の送達が促進される。また、エアロゾル送達システムは、吸気が検出されるとすぐに(例えば、自発呼吸時に)薬剤をエアロゾル化してもよい。
【0058】
エアロゾル送達システムは、1つまたは複数の呼吸センサを使用して患者の吸気のタイミングおよび持続時間を判断し、薬剤の送達を調整することができる。これらの呼吸センサは、有線接続および/または無線接続を介して制御装置と通信する。いくつかの実施形態では、エアロゾル送達システムは、複数の呼吸センサを組み合わせて用いることによって、冗長性の設定および/または患者の呼吸サイクルのより正確な監視を実行できる。一例においては、エアロゾル送達システムは、流量センサをレーダセンサと組み合わせて使用して、気流と胸部の動きの両方を監視する。別の例では、エアロゾル送達システムは、流量センサ、レーダセンサおよびプレチスモグラフィーセンサを使用して、呼吸サイクルを監視する。患者の呼吸サイクルの監視については、任意の数および/または任意の組み合わせの呼吸センサを任意の用途に用いることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、流量センサは、ガス送達導管に連結されて、吸気中の気流の変化を感知する(強制呼吸、補助呼吸または自発呼吸等)。いくつかの実施形態では、呼気の開始および終了を検出するために、ガス戻り導管にも流量センサが連結される。さらに別の実施形態においては、エアロゾル送達システムが、ガス送達導管およびガス戻り導管に連結された流量センサを有している。制御装置が流量センサからデータを受信すると、制御装置は呼吸パターンを監視して患者がいつ呼吸するかを予測する。吸気の開始を予測できることによって、エアロゾル送達システムは、すぐに吸引できるようにエアロゾル化された薬剤を準備可能となる。より具体的には、エアロゾル送達システムは、エアロゾル生成器の振動部材に流体を予め配置できるため、吸気前に流体をエアロゾル化できる。流量検出は遅れて変化する指標ではないため、流量センサは不規則または自発的な吸気を迅速に検出してエアロゾル送達を行うことができる(例えば、吸気の開始から10ミリ秒未満)。
【0060】
患者の吸気を予測するためには、まず、1つまたは複数の呼吸センサおよび/または流量センサを使用して、患者の呼吸パターンおよび/または換気サイクル(患者の強制換気が行われている場合)を追跡する。次に、追跡されたデータを使用して、次の吸気がいつ開始されるかを制御装置が予測する。これによって、制御装置は、吸気前に流体源からエアロゾル生成器16に流体を送出するようにポンプに指示できる。さらに、制御装置はエアロゾル生成器に信号を送り、予測される吸気の前および/または吸気中の所定の期間内(例えば、+/-0.5秒)等の適切な時間に流体のエアロゾル化を開始する。このように、吸気の開始時には患者のためにエアロゾルの準備ができている。エアロゾル送達システムは、呼吸サイクルを予測して患者用にエアロゾルを生成することが可能であるとともに、呼吸センサを使用して、通常パターンの一部ではない自発的/不規則な呼吸を確認することもできる。自発呼吸が確認されると、エアロゾル送達システムは、直ちにエアロゾル生成器に流体を送出して、患者に送達する。
【0061】
図13に、制御装置812の機能の一例を示す。プロットAに示されるように、制御装置812は、患者が吸気を開始したことを示す信号を呼吸センサ814から受信する。次に、制御装置812は、ある分量の薬剤のエアロゾル生成器への送達を開始するコマンドを送信し、エアロゾル生成器は、プロットB~Dに示されるように、液体薬剤をエアロゾル化するように作動する。いくつかの実施形態では、制御装置812は、吸気の最初の部分にのみ薬剤のエアロゾル化を行い、吸気の最後の部分が追い出し空気(chase air)を引き込み、エアロゾル化された薬剤が肺深部に到達しやすくなるようにプログラムされる。例えば、複数のプロットに示されるように、制御装置812は、各吸気の最初の80%内でのみ薬剤のエアロゾル化を行い、各吸気の最後の20%では、追い出し空気が患者の気道に引き込まれるようにする。当然ながら、他のエアロゾル化パターンを使用してもよい。例えば、薬剤のエアロゾル化は、各吸気の最初の50%~90%の間(より一般的には60%~80%の間、さらに一般的には70%~80%の間)で行われる。80%を超える時間では、気道下側に到達する前に吐き出されるエアロゾルが気道上側において増加する。このため、吸気の最後の10%~50%(より一般的には約20%~40%、さらに一般的には20%~30%)において、追い出し空気を患者の気道に引き込む。
【0062】
図14A~14Kに、図8~13に示すエアロゾル化システムを使用するためのセットアッププロセスを示す。起動時には、制御装置812の電源を入れて(例えばスイッチをオンにする)、制御装置812に起動シーケンスを開始させる。いくつかの実施形態では、起動シーケンスには、各種の可聴アラームや、様々な視覚的アラームが繰り返される制御装置上部のアラーム表示の電源投入時セルフテストが含まれる。システムのバックアップアラームもテストとして鳴らされる場合もある。図14Aに示されるように、使用者(医療従事者等)は、ユーザーインターフェース818を介して制御装置812にログインする必要がある。例えば、エアロゾル化システムの使用開始時には、使用者は、ユーザー名、パスワード、所有物認証(磁気ストライプカードおよび/または電波通信プロトコルを利用するデジタルキーまたは認証等)、生体認証(指紋スキャン、顔スキャン、網膜スキャン、音声スキャン等)等の認証を入力する必要がある。ログイン後には、使用者は、患者の治療に関するタイミング、量および/または他の要因等に関する、患者の情報を入力する必要がある。例えば、図14Bに示されるように、使用者は、患者識別子(名前、識別番号等)、患者の体重、用量種別(高/低等)や量および/または患者に関する他の詳細事項を入力しなければならない。必要な患者情報がすべて入力されると、次に進む前に確認画面が使用者に表示され、患者および投薬の情報が正確であるかを使用者が確認できるようになっている。患者および投薬の情報が正しい場合、使用者は確定を行い、セットアッププロセスを進める。患者情報または投薬情報のいずれかが正しくない場合、使用者は、誤った情報を再入力してから進める。
【0063】
次に、図14Cに示されるように、エアロゾル化システムの使用に関する指示が使用者に表示される。ここでは、ユーザーインターフェース818は、ポッド810をエアロゾル化システムの制御装置812に接続するように使用者に指示している。例えば、使用者は、ポッド810のコネクタを、制御装置812のポート820の1つに挿入する。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェース818は、ポッド810が制御装置812に適切に接続されたことを示す通知を表示する。いくつかの実施形態では、制御装置812および/または制御装置812を固定等の手段で支持するスタンド(図示せず)が、ポッド810から延びるケーブルの余分な部分を支持するバスケットおよび/または他の支持構造を有している。エアロゾル化システムの使用設定を行う上で使用者に役立つ他の指示が表示される場合もある。別の例では、図14Dに示すように、ユーザーインターフェース818は、呼吸センサ814(呼吸センサカプセル等)をポッド810と患者の両方に接続し、次に患者の吸気を確認するように使用者に指示する。図に示すように、いくつかの実施形態では、呼吸センサをポッドに接続することは、スリップルアー等の接続具をポッド810のポートに挿入することによって行われる。本実施形態では、呼吸センサ814は、吸気サイクルの感知を開始するために、患者の腹部に接着等によって装着される。例えば、患者の皮膚は、接着剤から肌を保護するウェットティッシュで拭かれた後に乾燥させておく。次に、呼吸センサ814が、側腹部および/または下腹部に配置され、所定の位置にテープで留められる。呼吸センサ814のチューブにはテープは付けない。ユーザーインターフェース818は、制御装置812が呼吸信号を受信して、ユーザーインターフェース818上に適切に表示されていることを確認するように使用者に促す。
【0064】
図14Eに示すように、エアロゾル化システムの薬剤供給ライン806および噴霧器ケーブル808をセットアップする方法についての指示が使用者に表示される。例えば、使用者は、VVAD828を薬剤のバイアル(薬剤源802)に取り付け、フィルタ832を、バイアルのラベルの確認窓と位置合わせする。この際、バイアルを直立させて、VVAD828がカチッと音をたてて所定の位置にロックされるまで、VVAD828の穿孔部(図示せず)をバイアルのセプタム(図示せず)に貫通させる。制御装置812のハウジングの側部等の供給機構(ポンプ等、図示せず)が開かれ、流体供給ライン806が供給機構に挿入され、その後、閉じられる。バイアルは、水平方向に配置されて流体供給ライン806と連結される。VVAD828のルアー端部は、ホルダ826のルアーホルダ部に配置され、確認窓が外側を向くように、上向きに回動されて金属クリップに挿入される。次に、噴霧器ケーブル808がポッド810に連結される。エアロゾル化装置800は、人工呼吸器等の呼吸システムにも連結される。様々な構成要素の接続が完了すると、エアロゾル化装置800のプライミングが行われる。
【0065】
図14Fに、ポンプのプライミングを示す。プライミングは、制御装置812のユーザーインターフェース818からプライミング機能を選択することによって実行される。プライミングが終わると、図14Gに示されるように、エアロゾルチェックが実行される。次に、使用者は、ユーザーインターフェース818を操作してエアロゾル生成を開始する。次に、使用者は、エアロゾルが生成され、患者インターフェース(取り付けられている場合)またはエアロゾル化装置800の開口部から放出されていることを観察して、エアロゾル化システムが適切に機能していることを確認する。エアロゾルが観察された場合、使用者はセットアップを続ける。エアロゾルが観察されない場合、使用者はプライミングとエアロゾルチェックの手順を再度行う。エアロゾルチェックが完了する前または後に、ユーザーインターフェース818は、患者インターフェース(鼻プロング等)をエアロゾル化装置800に連結するように使用者に指示する。使用者は、適切なサイズの患者インターフェースを選択し、患者インターフェースをエアロゾル化装置800に押し付ける。いくつかの実施形態では、患者インターフェースとエアロゾル化装置800との間の接続部は台形である。この形状の場合、使用者が患者インターフェースを正しい配向に適切に位置合わせしやすくなるが、他の形状であってもよい。図14Hに示すように、エアロゾル化装置800が乳児に接続される。例えば、鼻プロング(または他の患者インターフェース)は、乳児の気道に対して接続される。いくつかの実施形態では、乳児が動いた場合でもエアロゾル化装置が所定の位置に留まるように、1つまたは複数のストラップおよび/または他の拘束具を使用して、エアロゾル化装置800が乳児の気道および頭部に対して固定される。いくつかの実施形態では、エアロゾル化装置800は、乳児が着用している帽子に固定された1つまたは複数のストラップによって、乳児の頭部に固定される。さらに、発泡樹脂パッドをエアロゾル化装置800に取り付け、エアロゾル化装置800と乳児の頭部との間に延在させる(エアロゾル化装置800のエアロゾル生成器を有する部分からは横方向に離して配置する)。発泡樹脂パッドは、剥離可能な複数の発泡樹脂層からなり、層を剥離および/または他の方法で取り除くことによって、エアロゾル化装置800と乳児の頭部との間の距離を調整できる。多くの場合、発泡樹脂パッドは、乳児の頭部の輪郭に一致するか、実質的に一致するように設計された曲面を有している。所定の位置に配置されると、発泡樹脂パッド(および任意のストラップ)は、乳児の動きまたは向き(仰向け、横向き、うつ伏せ)に関わらず、エアロゾル化装置800を乳児に対して適切な位置および配向に維持するよう機能する。エアロゾル化システムの乳児への接続が完了すると、使用者は、図14Iに示されるように、ユーザーインターフェース818に対する操作を行って、乳児への投薬を開始する。例えば、使用者は、患者データと総用量を確認し、薬剤のバイアルの数が薬剤師から提供された薬局計算および調剤書類と一致することを確認する。データ確認後に、使用者は、制御装置812を操作して投薬手順を開始する。投薬手順が開始されると、呼吸サイクル、用量表示、噴霧率、薬剤源802内の残りの薬剤量等のデータが表示される。ユーザーインターフェース818はまた、エアロゾルが乳児の呼吸パターンと同期していることを確認するよう使用者に指示する。
【0066】
いくつかの実施形態では、バイアルが空である場合、制御装置812は投薬を停止する。多くの場合、バイアル内の薬剤が閾値量(5%、10%、15%、20%等)になると、低優先度アラームが作動する。低優先度アラームが使用者によって確認されない状態で所定の時間が経過すると、中優先度アラームが作動し、「バイアル警告」がユーザーインターフェース818に表示されるか、および/または、インジケータ820の1つによって表示される。いくつかの実施形態では、バイアルが空になると、制御装置812は自動的に一時停止し、中程度のアラームが作動する。このアラームを使用者が確認することなく所定の時間が経過すると、高優先度アラームが作動する。使用者は、「バイアルを交換し、薬剤送達画面から投薬を再開してください」と指示される。空のバイアルが新しい薬剤バイアルと交換されると、投薬の継続が可能となる。投薬が完了すると、使用者は投薬の終了を確認し、制御装置812を操作して、通常のCPAPまたは他の呼吸回路に戻す。
【0067】
いくつかの実施形態では、低優先度アラームは視覚的アラームのみであり、ユーザーインターフェース818上に文字情報のみで表示される。いくつかの実施形態では、中優先度アラームは、視覚的要素および音声的要素を含み、対応する色のアラーム表示(黄色等)と、対応する音声および文字情報とが組み合わされる。いくつかの実施形態では、高優先度アラームは、視覚的要素および音声的要素を含み、ユーザーインターフェース818上の対応する色の表示ボックス(赤等)と、ユーザーインターフェース818上の文字情報とが組み合わされる。いくつかの実施形態においては、呼吸が検出されない場合、有効連続呼吸が検出されない場合(連続的な3回の有効呼吸からなる有効連続呼吸が検出されない場合。各呼吸は、吸気時間が100ミリ秒以上である場合に有効呼吸と判断される。少なくとも1回の無効呼吸を含む場合は、無効連続呼吸と判断される。吸気時間が100ミリ秒より短い場合は無効呼吸と判断される。)、投薬中に噴霧器ケーブルがポッドから外れた場合、湿乾状態(wet/dry events)が検出されない場合(例えば、チューブがねじれて薬剤がエアロゾル生成器に送られていない場合、噴霧されておらず、薬剤の全量が通気孔から放出されている場合、通気孔から薬剤が出ない状態で噴霧されている場合、通気孔から薬剤が出ている状態で噴霧されている場合)、バイアル内の残りの薬剤量が閾値量以下(空を含む)である場合、投薬中にポッドケーブルがポッドから外れた場合、投薬されていないときに、ポッドケーブルがポッドから外れた場合、ポッドの通信障害が検出された場合、ポッドの内部障害が検出された場合、システムエラーが検出された場合、薬剤供給機構が故障した場合、主電源が切断され、バッテリーモードで動作している場合、バッテリーの充電が閾値レベル以下(空を含む)である場合、かつ/または電源投入時セルフテストに失敗した場合にアラームが作動するが、これらに限定されない。
【0068】
図15に、乳児に接続されたエアロゾル化装置1500を示す。エアロゾル化装置1500は、本明細書に記載されるものと同様であり、乳児の気道の近傍に配置されたエアロゾル生成器を有し、エアロゾルの生成中に、患者とエアロゾル生成器との間の直接的な接続領域を通る流れを最小限にする障壁を有している。さらに、エアロゾル化装置1500は、MMADが約3μm未満(より好ましくは約2μm未満)である粒子のエアロゾル化を高流量(約0.1ml/分~1.5ml/分)で実行できるPDAPメッシュまたは同様のメッシュを有している。エアロゾル化装置1500は、電力や動作コマンドをエアロゾル生成器に送る1つまたは複数の制御装置(制御装置812と同様)を接続するための電源/制御ポートを有している。
【0069】
エアロゾル化装置1500は、エアロゾル化装置1500を乳児の頭部および気道に対して固定するための1つまたは複数のストラップまたは他の拘束具1502を有している。さらに、エアロゾル化装置1500は、乳児の動きまたは向き(仰向け、横向き、うつ伏せ)に関わらず、エアロゾル化装置1500を乳児に対して適切な位置および配向に維持するように設計された発泡樹脂パッド1504を有している。発泡樹脂パッド1504は、剥離可能な複数の発泡樹脂層からなり、層を剥離および/または他の方法で取り除くことによって、エアロゾル化装置1500と乳児の頭部との間の距離を調整できる。多くの場合、発泡樹脂パッド1504は、乳児の頭部の輪郭に一致するか、実質的に一致するように設計された曲面を有している。エアロゾル化装置1500は、エアロゾル化装置1500を適切な位置から移動させることなく乳児が動き回ることができるような軽い材料(医療グレードの発泡プラスチック等)で形成される。
【0070】
図16に、乳児の腹部に接続された呼吸センサカプセル1600(呼吸センサ814に類似)を示す。図に示されるように、呼吸センサカプセル1600は、テープ等で乳児の腹部に接着され、乳児の吸気サイクルの開始および/または終了の検出に使用される。検出には、呼吸に伴う腹部の動きに応じたセンサカプセル1600の容積の変化が使用される。1つまたは複数の吸気サイクルのデータを使用して、制御装置(図示せず)は、腹部センサの容積変化に伴う、カプセルに対する流れの出入りを監視し、乳児の呼吸と同期してエアロゾル化された界面活性剤を送達することによって、界面活性剤の送達効率を最大化させる。
【0071】
図17に、効果的かつ効率的に界面活性剤を乳児に送達するエアロゾル化システム1700の別の実施形態を示す。図に示されるように、制御装置1702(制御装置812に類似)は、エアロゾル化装置1704に対する電力供給および制御を行うために使用される。さらに、制御装置1702は、エアロゾル化装置1704の送達モードを制御するように構成されている。例えば、制御装置1702は、設定された期間にわたって治療が行われる定時モードと、乳児の吸気パターンに基づいてエアロゾル化された界面活性剤の送達が無期限に行われる連続モードとを交互に切り替えるように構成される。システム1700は、医療従事者がエアロゾル送達条件を設定するための追加の制御装置1706も有している。例えば、追加の制御装置1706では、エアロゾル送達を開始する流量、エアロゾル送達を行う吸気時間、かつ/または、エアロゾル化された薬剤の投与のタイミング、量、期間等を調節するための他の条件が設定できる。なお、制御装置1702と追加の制御装置1206とは異なる構成要素として説明されているが、いくつかの実施形態では、単一の制御装置(またはさらに多い制御装置)を使用してシステム1700の動作が制御される。
【0072】
システム1700は、1つまたは複数の流量センサおよび/または他の呼吸センサ1708も有している。図に示されるように、流量センサ1708は、例えば任意の加湿器1714の上流側および/または下流側において、呼吸システム1712の吸気リム1710に連結される。呼吸センサ1708は、乳児の吸気の検出に使用される。他の実施形態では、呼吸センサ1708は、乳児の腹部に接続される呼吸センサカプセルである。呼吸センサ1708は、制御装置1702または1706の一方または両方に電子的に連結され、吸気データに基づいてエアロゾル化装置1704(本明細書に記載のエアロゾル化装置のいずれかに類似したもの)の作動が開始される。制御装置1702および1706は、エアロゾル化装置1704に電子的に連結されて、エアロゾル化装置1704に電力および動作コマンドの両方を送る。いくつかの実施形態では、エアロゾル化装置1704は、MMADが約3μm未満(好適には約2μm未満)のエアロゾル化された界面活性剤を、少なくとも0.1ml/分の流量で生成するPDAPメッシュ1716を有している。このようなエアロゾル化装置1704は、制御装置1702,1706および呼吸センサ1708と組み合わせて使用されることによって、1)十分に小さいエアロゾル粒子を生成および送達すること、2)呼吸と同期してエアロゾルを送達すること、3)乳児の気道の近傍にエアロゾル生成器を配置するとともに、連続するガス流を妨げて、エアロゾルの生成中に、患者とエアロゾル生成器との間の直接的な接続領域を通る流れを最小限にする(図6~6Dに明瞭に図示されている)ことを可能としている。その結果、肺への送達効率が大幅に向上され、約25%~60%、より一般的には約40%~60%の効率を達成している。
【0073】
図18は、エアロゾル化された界面活性剤を乳児に送達するプロセス1800を示すフローチャートである。プロセス1800は、本明細書に記載のエアロゾル化装置、プロセッサおよび/または呼吸センサのいずれかを使用して実行できる。プロセス1800は、ブロック1802で、1つまたは複数の呼吸センサを使用して乳児の吸気を検出することから始まる。例えば、呼吸センサが乳児の腹部に装着される。呼吸センサは、吸気に伴う乳児の腹部の拡張を検出する。検出された吸気に応じて、ブロック1804では、制御装置は、エアロゾル化装置に、ある分量の界面活性剤を空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化させる。界面活性剤は、患者インターフェースから約1~8cm以内でエアロゾル化される。いくつかの実施形態では、上記分量の界面活性剤をエアロゾル化することには、上記分量の界面活性剤を収容部からエアロゾル化装置のメッシュに送達し、メッシュを振動させて上記分量の界面活性剤のエアロゾル化することが含まれる。いくつかの実施形態において、上記分量の界面活性剤は、直径を有する先端を備えた導管を介して、収容部からメッシュに送達される。導管の先端は、エアロゾル生成器のメッシュから、上記直径以下の距離をなす位置に配置されている。このため、先端から放出された薬剤はメッシュの表面に接触して這い上がるため、エアロゾル化装置はいかなる配向でも効果的に動作できる。いくつかの実施形態では、上記分量の界面活性剤がエアロゾル化されるときには、連続する複数の吸気のそれぞれの最後の20%の少なくとも一部分では追い出し空気が供給されるように、連続する複数の吸気のそれぞれの最初の80%の少なくとも一部分において上記分量の界面活性剤の一部がエアロゾル化される。ブロック1806では、エアロゾル化された界面活性剤が、鼻プロング等の患者インターフェースを介して乳児の気道に送達される。
【0074】
いくつかの実施形態においては、プロセス1800には、エアロゾル化装置を呼吸システムと連結し、呼吸システムからの気流の一部を、エアロゾル化装置のチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させることが含まれる。このチャンバは、気流の一部をエアロゾル化された界面活性剤と混合するように構成されている。いくつかの実施形態においては、気流の一部が呼吸流であり、呼吸システムの呼気リムに進み続ける空気の量よりも少ない。いくつかの実施形態では、気流の一部は、少なくとも1つの通気路を画定している少なくとも1つの障壁によって分流される。少なくとも1つの障壁は、気流の一部をエアロゾルチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させるとともに、吸気リムからの気流の別の部分を呼気リムに向かって分流させるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、2つの障壁が用いられる。第1の障壁は第1の通気路を画定し、第2の障壁は第2の通気路を画定する。第1の通気路は第1の障壁の横方向端部に設けられており、第2の通気路は第2の障壁の先端側縁部を越えた位置に設けられている。呼吸流が複数の方向に移動して第1の障壁および第2の障壁を通り過ぎるように、横方向端部および先端側縁部が互いに異なる方向に延びている。
【0075】
図19は、エアロゾル化システムを初期設定するプロセス1900を示すフローチャートである。プロセス1900は、本明細書に記載のエアロゾル化装置、プロセッサおよび/または呼吸センサのいずれかを使用して実行できる。プロセス1900は、ブロック1902で、エアロゾル化装置を、制御装置、呼吸センサ、薬剤源および呼吸システムに接続することから始まる。ここでは、噴霧器ケーブルがエアロゾル化装置と制御装置との間に連結され(ポッドまたは他のアダプタを介してもよい)、呼吸システムの吸気リムがエアロゾル化装置の入口に連結され、呼吸システムの呼気リムがエアロゾル化装置の出口に連結され、呼吸センサのケーブルが制御装置に連結され(ポッドまたは他のアダプタを介してもよい)、かつ/または、エアロゾル化装置が薬剤源に連結される。いくつかの実施形態では、エアロゾル化装置を薬剤源に連結するときには、薬剤源とエアロゾル化装置との間に流体供給ラインが連結される。いくつかの実施形態では、薬剤源は、流体供給ラインと連結されたベント付きバイアルアクセス器具(VVAD)である。
【0076】
ブロック1904において、使用者のアクセス認証が制御装置に入力され、許可された使用者のみがエアロゾル化システムを使用して、薬剤の投与を行うことができる。アクセス認証は、例えば、使用者識別子、パスワード、所有物認証および生体認証のうちの1つまたは複数である。ブロック1906では、患者に関連する情報および投薬情報が制御装置に入力される。これには、患者識別子、患者の体重、用量レベル等の情報が含まれる。ブロック1908で、呼吸センサが患者に接続される。例えば、センサは患者の腹部に接着される。いくつかの実施形態では、呼吸センサを患者に接続した後に、呼吸の検出が構成される。ロック1910では、エアロゾル化装置がプライミングされる。例えば、患者インターフェースを患者の気道に接続する前に、薬剤の一部をエアロゾル化して、装置が適正に機能するかを確認する。ブロック1912では、エアロゾル化装置が、患者の気道と接続される。例えば、鼻プロングが乳児の鼻孔に挿入される。いくつかの実施形態では、装置を患者に接続する前に、患者インターフェースをエアロゾル化装置に固定する必要がある。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のストラップおよび/または発泡樹脂パッドを乳児の周囲に配置および/または固定して、エアロゾル化装置を所定の位置に固定する。所定の位置に固定されると、使用者は、乳児への投与量の送達を開始してもよいし、かつ/または、制御装置のユーザーインターフェースを確認して、エアロゾル化された投与量の送達が乳児の吸気と同期していることを確認してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態においては、プロセス1900には、制御装置の電源投入時に起動シーケンスを実行することが含まれる。起動シーケンスでは、使用前に制御装置が正しく機能していることを確認するために、複数の音声アラーム、視覚的アラームまたは音声アラームとビデオアラームとの両方が繰り返される。
【0078】
(実施例)
本発明によるエアロゾル化装置を使用して、薬剤の有効放出用量を判断するために生体外実験を行った。乳児の吸気のシミュレーションは、図6~6Dと同様のエアロゾル化装置の患者アダプタ(この例では鼻プロング)に接続されたHarvard Apparatus社の改変された正弦波型小動物用ベンチレータと、Ingmar社の肺シミュレータとを使用して行った。シミュレーションは、大型鼻プロング(5560)と小型鼻プロング(4030)の2つの異なるサイズの鼻プロングを用いて実行した。図20の棒グラフに示されるように、プロングのサイズが大きいほど、放出用量が増加する。特に、大型鼻プロング(5560)の放出用量は68%から72%であり、小型鼻プロング(4030)の放出用量は約35%から37%であった。
【0079】
空気流は、6LPM(リットル/分)、8LPMおよび10LPMに設定され、呼吸数は、60BPM(呼吸/分)、80BPM、100BPMおよび120BPMであった。次に、放出用量率を、空気流量と呼吸数の各組み合わせについて測定した。図21に示されるように、送達効率はガス流の影響を受け、流量が増えるにつれて、送達効率がわずかに低下した。例えば、低流量(6LPM)では、大型鼻プロング(5560)を用いた場合の放出用量は、テストされた呼吸数の全範囲で約50%から約60%であった。一方、高流量(10LPM)では、放出用量は、約42%から約47%の範囲であった。呼吸数が増加するにつれて、流量の増加に伴う効率の相違が小さくなっている。例えば、60BPMでの放出用量率の範囲は約44%から約60%であったが、120BPMでの放出用量率の範囲は約42%から約51%であった。これらの結果に基づいて、本明細書に記載のエアロゾル生成器は、臨床的に妥当な範囲の呼吸数(60~120BPM)と、バブルCPAPおよび換気CPAPシステムで一般的に使用されるCPAP流量(6~10LPM)との全範囲において、均一的な薬剤吸入用量を可能とすることがわかった。
【0080】
さらに、本発明の実施形態は、界面活性剤(または他の薬剤)を乳児、特に早産児に非侵襲的に送達するためのシステムおよび方法を提供する。早産児への薬剤エアロゾルの効果的かつ効率的な投与を達成するためには、以下の属性の組み合わせが必要となる。1)十分に小さいエアロゾル粒子。2)呼吸と同期したエアロゾル送達。3)乳児の気道の近傍(約1~8cm以内)にエアロゾル生成器を配置するとともに、連続するガス流を妨げて、エアロゾルの生成中に、患者とエアロゾル生成器との間の直接的な接続領域を通る流れを最小限にすること。これらの条件を満たすことにより、40%より高く、最大約60%の界面活性剤の送達率が達成可能であり、これは、10%未満の従来の効率よりも大幅に向上している。
【0081】
早産児の呼吸の生理機能を考慮すると、エアロゾル化された界面活性剤を非侵襲的に乳児に適切に送達するためには、乳児の鼻腔内に挿入可能な鼻プロング等の経鼻送達方法を使用する必要がある。このような送達方法によって、約2μm未満のエアロゾル粒子を送達することが望ましい。これよりも大きい粒子は、乳児の肺内で分散する前にエアロゾル化装置のインターフェース内および/または気道に衝突する場合が多い。これは、図22および23にも示されている。これらの図は、新生児における、様々な粒径(MMADおよび2.2の幾何標準偏差(GSD)を使用)での粒子沈着率を示している。新生児1は生後4か月、新生児2は28週の早産児であった。図22には、粒径が小さくなるにつれて肺沈着が増加し(図22は新生児1の結果のみを示す)、粒径が2μmより小さくなると肺沈着が40%を超えることが示されている。特に、2μmを超える粒子の場合は、鼻沈着は通常約50%~70%であり、この分は、乳児の肺に送達されない粒子である。図23は、MMADが3μmおよび2μmのエアロゾルを使用した場合の、両方の新生児における、肺沈着率と鼻沈着率との比較を示す。両方の新生児について、MMADが2μmのエアロゾルで肺沈着の向上が観察され、沈着率は新生児1で40%弱、新生児2で60%弱であった。これらの結果から、送達効率を最大化するためには、エアロゾル粒子を小さくする必要があることがわかる。
【0082】
従来の経鼻送達方法では、典型的には、MMADが4~7μmである粒子が使用され、幾何標準偏差は約2.0以上である。これは、多くの界面活性剤は粘性を有しているためであり、従来のジェット噴霧器、特殊ジェット噴霧器、メッシュ噴霧器、加熱キャピラリージェネレータ等では、未希釈の界面活性剤を、効果を達成できる流量で小さい粒子にエアロゾル化することが非常に困難なためである。このような従来の送達方法の衝突率では、一回分の用量における有効量のエアロゾルの最大80%が減少される。残りのエアロゾル(約2μm未満の粒子で構成される部分)の40~60%のみが肺の下側気道に到達するため、全効率は、エアロゾル生成器から放出される当初の用量の約10%になる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態では、図1~8を参照して前述した装置等のエアロゾル化装置を使用して、十分に小さいエアロゾル粒子を生成するシステムおよび方法が提供される。特に、いくつかの実施形態では、PDAPメッシュ(上記の米国特許公開第2016/0130715号明細書に開示されているもの等)の機能を活用するエアロゾル生成器を備えたエアロゾル化装置を用いて、約3μm未満(より好適には、約1.5μm~約2.5μm)にエアロゾル化された界面活性剤を、約0.1ml/分から0.6ml/分の出力流量で均一的に生成する。本発明の実施形態は、このようなエアロゾル生成器の能力を活用することにより粒径を十分に小さくして、界面活性剤を肺まで効果的かつ効率的に送達する。例えば、MMADが3μm未満のエアロゾルでも、経鼻的な肺送達効率として、界面活性剤の名目用量の約40~60%を達成できる。
【0084】
前述したように、送達効率を最大化するためには、エアロゾル送達を乳児の吸気と同期させることも効果的である。同期することによって、呼気中や、呼吸と呼吸との間に界面活性剤がエアロゾル化されて無駄になることを避けられる。例えば、乳児の吸気:呼気比は、約1:1~約1:3である場合が多い。したがって、エアロゾル化された界面活性剤は、通常、約25~50%の時間しか吸気されない。従来のシステムでは、バブルCPAPの約6~10LPMのガス流によってエアロゾルが運ばれる場合が多い。この流量は、乳児の最大吸気流量を超えるため、エアロゾル化された薬剤の最大半分が無駄になる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、エアロゾル生成器を、乳児の呼吸に連動して作動させる。前述したように、これは、1つまたは複数の呼吸センサおよび/または流量センサを使用して、患者の呼吸パターンおよび/または換気サイクルを追跡することによって行われる。制御装置はこの情報に基づいて、次の吸気がいつ開始されるかを予測し、流体源からエアロゾル生成器への流体の供給および/またはエアロゾル生成器の作動のタイミングを、乳児の吸気とほぼ同期させる。いくつかの実施形態では、吸気の検出は、乳児の腹部に取り付けられた呼吸センサカプセルを用いて行う。呼吸センサカプセルは、吸気に伴う腹部の動きを検出するが、この動きは、吸気自体の発生の直前に起こる。このため、呼吸センサカプセルは、エアロゾル生成を同期させるために吸気タイミングを判断する上で、特に有効である。
【0086】
図24に、吸気検出における呼吸センサカプセルの有効性を示す。この例では、個別の流量センサが乳児の気道に接続され、呼吸センサカプセルが乳児の腹部に固定された。乳児の体重は1500gで、呼吸数は70BPMであった。図24のグラフから分かるように、呼吸センサカプセルからのセンサ信号は、流量センサによって検出された各吸気および呼気を検出しており、呼吸センサカプセルは、吸気の開始を流量センサの少し前に検出していた。この時間を利用して、制御装置はエアロゾル生成器を作動させることができる。これらの結果から、呼吸センサカプセルの使用が、呼吸とエアロゾル生成の同期に特に効果的であることが確認された。また、図24から、これらの吸気は5秒間の時間にわたって発生しているが、吸気はその時間の約3分の1しか占めていないことがわかる。したがって、エアロゾルの送達を呼吸と同期させない場合には、エアロゾル化された界面活性剤の2/3以上が無駄になる。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエアロゾル化装置は、様々な人工呼吸システムに連結可能なエアロゾル生成器を備えている。エアロゾル生成器は、流体送達導管を介して流体源から液体薬剤を受け取る。動作時には、流体源からの流体は、ポンプによって流体送達導管を介してエアロゾル生成器に送出され、患者の吸気前および/または吸気中にエアロゾル生成器において流体がエアロゾル化される。いくつかの実施形態では、流体送達導管は、送達を迅速に行うために、治療前に流体でプライミングされる(例えば、エアロゾル生成器に流体が予め送られる)。ポンプは、流体の送出時間と投与量を制御する制御装置によって制御される。
【0088】
制御装置は、1つまたは複数のメモリに格納された命令を実行して、ポンプおよびエアロゾル生成器の動作を駆動する1つまたは複数のプロセッサを備えている。例えば、メモリには、エアロゾル生成器の動作毎に一回の投薬でエアロゾル生成器に送出される流体の量、特定の期間または回数にわたって送出される流体の量等を示す命令が保存されている。保存された命令は、患者の体の大きさ、患者の年齢、患者の性別、薬剤の種類、流体添加剤、エアロゾルの所望の量等に基づく命令である。メモリには、エアロゾル生成器を作動させるための命令も保存されている。図に示すように、制御装置は、ケーブル(すなわち、電気ケーブル)によってエアロゾル生成器に連結されるが、いくつかの実施形態では、制御装置は、エアロゾル生成器に無線で接続される。ケーブルは、エアロゾル生成器内の圧電アクチュエータ(または他のアクチュエータ)を作動させる信号を伝える。圧電アクチュエータが動作すると、振動部材が振動することによって流体がエアロゾル化されて患者に送られる(つまり、吸気によって送達される)。このように、メモリは、圧電アクチュエータの開始タイミング、停止タイミング、振動周波数または振動数を制御するための命令を保存している。
【0089】
本明細書に記載のエアロゾル化システムは、エアロゾルの生成のタイミングを調節することによって治療効果を高めることができる。例えば、エアロゾル送達システムは、患者が吸気する前に薬剤のエアロゾル化を開始する。この場合、エアロゾル送達システムは、吸気開始時の増加した気流を利用できる。その結果、吸引された空気が薬剤をさらに奥まで運び患者の肺に到達させるため、患者に対する薬剤の送達が促進される。また、エアロゾル送達システムは、吸気が検出されるとすぐに(例えば、自発呼吸時に)薬剤をエアロゾル化してもよい。
【0090】
エアロゾル送達システムは、1つまたは複数の呼吸センサを使用して患者の吸気のタイミングおよび持続時間を判断し、薬剤の送達を調整することができる。これらの呼吸センサは、有線接続および/または無線接続を介して制御装置と通信する。いくつかの実施形態では、エアロゾル送達システムは、複数の呼吸センサを組み合わせて用いることによって、冗長性の設定および/または患者の呼吸サイクルのより正確な監視を実行できる。一例においては、エアロゾル送達システムは、流量センサをレーダセンサと組み合わせて使用して、気流と胸部の動きの両方を監視する。別の例では、エアロゾル送達システムは、流量センサ、レーダセンサおよびプレチスモグラフィーセンサを使用して、呼吸サイクルを監視する。患者の呼吸サイクルの監視については、任意の数および/または任意の組み合わせの呼吸センサを任意の用途に用いることができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、流量センサは、ガス送達導管に連結されて、吸気中の気流の変化を感知する(強制呼吸、補助呼吸または自発呼吸等)。いくつかの実施形態では、呼気の開始および終了を検出するために、ガス戻り導管にも流量センサが連結される。さらに別の実施形態においては、エアロゾル送達システムが、ガス送達導管およびガス戻り導管に連結された流量センサを有している。制御装置が流量センサからデータを受信すると、制御装置は呼吸パターンを監視して患者がいつ呼吸するかを予測する。吸気の開始を予測できることによって、エアロゾル送達システムは、すぐに吸引できるようにエアロゾル化された薬剤を準備可能となる。より具体的には、エアロゾル送達システムは、エアロゾル生成器の振動部材に流体を予め配置できるため、吸気前に流体をエアロゾル化できる。流量検出は遅れて変化する指標ではないため、流量センサは不規則または自発的な吸気を迅速に検出してエアロゾル送達を行うことができる(例えば、吸気の開始から10ミリ秒未満)。
【0092】
患者の吸気を予測するためには、まず、1つまたは複数の呼吸センサおよび/または流量センサを使用して、患者の呼吸パターンおよび/または換気サイクル(患者の強制換気が行われている場合)を追跡する。次に、追跡されたデータを使用して、次の吸気がいつ開始されるかを制御装置が予測する。これによって、制御装置は、吸気前に流体源からエアロゾル生成器に流体を送出するようにポンプに指示できる。さらに、制御装置はエアロゾル生成器に信号を送り、予測される吸気の前および/または吸気中の所定の期間内(例えば、+/-0.5秒)等の適切な時間に流体のエアロゾル化を開始する。このように、吸気の開始時には患者のためにエアロゾルの準備ができている。エアロゾル送達システムは、呼吸サイクルを予測して患者用にエアロゾルを生成することが可能であるとともに、呼吸センサを使用して、通常パターンの一部ではない自発的/不規則な呼吸を確認することもできる。自発呼吸が確認されると、エアロゾル送達システムは、直ちにエアロゾル生成器に流体を送出して、患者に送達する。
【0093】
(実施例1)
呼吸窮迫症候群(RDS)が悪化するリスクのある早産児における、nCPAP処置時に吸引される界面活性剤投与の安全性および忍容性を評価するために、2部構成の試験を行った。第1部(10人の乳児)では、単回投与で患者を治療し、第2部では、複数回投与を行った。nCPAP(装置によるCPAP)を必要とする合計31人の早産児が本研究に登録された。臨床ガイドラインに従って臨床血液ガス(CBG)と酸素飽和度(SpO2)を維持するためにCPAPおよび吸入酸素濃度(FiO2)を適宜調節して、nCPAP/nIMV(経鼻的間欠的強制換気)で乳児の状態をまず安定させた。乳児の状態が安定した後に、生後2時間以内にnCPAPでAeroFactが投与された。
【0094】
AeroFactの投与は、108mg/kgの注入投与量に相当する量のエアロゾルを乳児に単回投与することによって行われた(216mg/kgの名目投与量に対して50%の送達効率とした)。酸素化および換気パラメータは、効果が観察されるまで(計画書に規定の効果)、計画書に従って監視された。乳児には、投薬後も引き続きnCPAPが使用された。新生児集中治療室(NICU)から退院するまで、臨床観察、呼吸補助の指標および乳児の未熟性併存疾患が監視された。
【0095】
第1部が正常に終了し、独立データ安全性モニタリング委員会(DSMB)による容認を受けた後に、研究の第2部の登録開始が許可された。
研究の第2部は、同じくnCPAPを受けており、RDSの悪化リスクのある別の早産児のグループで実行された。
【0096】
名目投与量216mg/kgのエアロゾル化されたSF-RI1が最初に投与された。計画書の規定に従って酸素化および換気パラメータが監視され、意図された投薬量に達した時点でエアロゾル送達を停止した。
【0097】
乳児には、引き続きnCPAPが施された。SpO2値を90%~95%(パルスオキシメータで測定)に維持する呼吸重症度スコア(RSS:平均気道内圧×吸入酸素濃度)が≧2.0であり、少なくとも、(1)最初の投与の終了から2時間経過し、(2)2回目または3回目の投与の終了から4時間経過していた場合に、AeroFactの再投与(名目投与量216mg/kg)が行われた。96時間以内に3回を上限としてAeroFactの追加投与が許可された。
【0098】
研究の第1部に登録された患者は10人、第2部に登録された患者は21人であり、治療企図解析(ITT解析)集団および安全性解析集団(Safety Population)の両方を構成していた。ヒストリカルコントロール群の患者は、第1部で30人、第2部では63人であった。
【0099】
計画書に従って、第1部の10人の患者全員(100%)が1回の試験薬の投与を受けた。第2部では、13人の患者(61.9%)が試験薬を1回投与され、4人の患者(19%)が試験薬を2回投与され、4人の患者(19%)が試験薬を3回投与された。試験薬を4回投与された患者はいなかった。
【0100】
1つ以上の有害事象(AE)が発生したAeroFact患者の発生率は、第1部では7人(70%)であり、第2部では13人(61.9%)であった。治験責任医師が試験薬、装置または手順に関連すると評価したAEはなく、試験薬または患者の研究の早期中止に至ったAEも存在しなかった。
【0101】
最初の24時間の投薬耐性に関連するAEの発生率は概して低かった。
未熟性併存疾患を罹患した患者の数は、研究の第1部では6人(60%)、第1部のヒストリカルコントロール群では20人(66.7%)であった。研究の第2部では、12人(57.14%)、第2部のヒストリカルコントロール群では31人(49.21%)であった。投与後の未熟性併存疾患およびAEの発生率は、AeroFactで治療された患者とヒストリカルコントロール群との間で概して低く、同等であった。
【0102】
(結論)
生後96時間以内で4回を上限とするAeroFactの投与は、在胎期間26週2日から30週4日の範囲で、体重が640~1664グラムの患者において安全であり、十分に許容されることがわかった。
【0103】
研究の第2部では、界面活性剤のボーラス注入による救済療法の必要度は、対応するヒストリカルコントロール群よりも低かった。図25のグラフに示すように、第2部のAeroFact患者の5人(25%)が界面活性剤ボーラス注入による救済療法を必要としたのに対し、対応するヒストリカルコントロール群では、27人の患者(45%)がボーラス注入を必要とした。つまり、AeroFact治療の相対リスクは0.56であり、AeroFact治療の方が有効であった。
【0104】
この研究から、投与後の未熟性併存疾患および有害事象(AE)の発生率は、ヒストリカルコントロール群と比較して、図17のエアロゾル化システムを使用して治療された患者では低く、患者間のばらつきもなかった。治療下で発現した有害事象(TEAE)については、試験薬、装置または手順に関連すると判断された事象はなかった。投薬計画書に従った研究の1日目から4日目までの間に、第1部で中等度の鼻詰まりが1回発生し、第2部で中等度の鼻詰まりが5回、重度の鼻詰まりが1回発生した。第1部の1人の患者と、第2部の1人の患者において、致命的な重篤有害事象(SAE)(培養で証明された敗血症)が発生した。これらは、試験薬、装置または手順に関連するものではなく、治療期間中には発生しなかった。最初の24時間の投薬耐性に関連するAEの発生率は概して低かった。AEの発生率に関し、図17のエアロゾル化システムのみを使用した投薬と、エアロゾル化装置と界面活性剤のボーラス注入を組み合わせた投薬とは同等であった。
【0105】
(実施例2)
能動的テスト肺を人工呼吸器で駆動して、AF2b装置呼吸センサ(図16のセンサに類似)を作動させ、乳児の呼吸パターンをシュミレーションした。人工呼吸器(Pulmonetic Systems)を使用して、トレーニング/テスト肺(Michigan Instruments)を駆動した。トレーニング/テスト肺は、新生児の呼吸中の微妙な腹部の動きを表現するために、テスト肺バルーンがTピースを使用して空気回路に取り付けられた状態で、成人側で駆動した。AF2b呼吸センサ(通常は乳児に装着される)を肺バルーンに装着した。吸気/呼気サイクル中のバルーンの小さな動きによって、センサが反応して装置の呼吸作動を行う。成人用トレーニング/テスト肺は、乳児の実際の呼吸をシュミレーションするために用いられる乳児用トレーニング/テスト肺に機械的に連結された。人工呼吸器の設定を調整することにより、様々な乳児の呼吸パターンをシュミレーションできる。ガスフローアナライザ(IMT Analytics)を使用して、乳児の呼吸パラメータを確認した。表1に、能動的肺/人工呼吸器テストのパラメータの概要を示す。
【0106】
【表1】
【0107】
ネクストジェネレーションインパクタによる空気力学的粒径測定
次に、米国薬局方(USP)<1601>に従ってネクストジェネレーションインパクタ(NGI)テストを行った。NGIは、使用前に冷蔵庫内において4~8℃で90分以上冷却され、15L/分の流量でサンプリングされた。各NGIの実行には、約0.5mLのAlveoFact(登録商標)製剤が使用された。テスト中、NGIは冷却室(5℃に維持)に配置され、冷却室の外側にあるAF2b装置で外気を吸引した。図6~6Dに示す噴霧器(鼻プロングなし)が、アダプタ付きのTピースを使用してNGIの導入ポートに装着された。吸気リムおよび呼気リムは開放し、Tピースの開放端は閉鎖した。NGIサンプルはAS00006の重量測定法で測定された。
【0108】
(試験概要)
【0109】
【表2】
【0110】
(結果)
テストされた人工呼吸器の全設定(低、中および高)について、テストされた3つの噴霧器における空気動力学的粒径は同等であることが結果から確認された。以下の表3に示すように、低、中、高設定の平均MMADとGSD(3台の噴霧器)は、それぞれ2.3μmと1.5であった。
【0111】
【表3】
【0112】
図26~28からわかるように、空気動力学的粒径分布は、人工呼吸器設定に関わらず、各テスト噴霧器で同等であった。また、全てのCPAP設定(低、中、高)で均一的な結果が出た。
【0113】
さらに、表4~6および図29~31にステージごとのNGI質量値を示す。ステージカットオフ径は、NGIの各ステージを通過できる粒子の最大径を示し、粒子質量は、各CPAP設定で各ステージを通過する質量を指す。
【0114】
【表4】
【0115】
【表5】
【0116】
【表6】
【0117】
(結論)
上記の結果から、AF2b PDAP(商標)装置によって生成されたAlveoFact(登録商標)の空気動力学的粒径は、シュミレーションされた自発呼吸設定の影響を受けないことがわかった。詳細には、CPAP設定に関わらず、エアロゾル粒子は3μm未満、より具体的には2.0~2.5μmであり、幾何標準偏差(GSD)は1.5~1.6と非常に小さかった。すべてのCPAP設定で3.3μm未満の粒子の微粒子画分(Fine Particle Fraction)は約83%であった。さらに、CPAP設定の範囲全体で、安定した粒子送達が行われることがこの研究によって確認された。
【0118】
さらに、表4~6および図29~31には、ステージごとのNGI質量値も示されている。このデータから、インパクタの各ステージにおいて、様々なCPAP設定全体で粉末質量が均一的であったことがわかる。
【0119】
さらに、6LPMのCPAP流量および344.738kPA(50psi)での送達において、投与量の全量にわたって、エアロゾル液滴サイズが均一的であった。テスト設定を以下の表7に示す。
【0120】
【表7】
【0121】
下の表8に示すように、各エアロゾル化装置で生成されたMMADは、投与の開始から最大投与量の完了(108mgのバイアル4つ)まで非常に均一的であり、各エアロゾル化装置で、MMADが3.0μm以下(2.5~3.0μm)、GSDは1.4~1.5であった。これは、メッシュの使用によるメッシュ孔の拡大が発生しなかったことを示しており、PDAPメッシュが、界面活性剤の許容される投与回数の上限を超える寿命にわたって、MMADが約3.0μm未満のエアロゾル粒子を生成できることがわかった。
【0122】
【表8】
【0123】
表9に、サイズの異なる鼻プロング径での吸引用量効率をテストするためのテストパラメータを示す。
【0124】
【表9】
【0125】
下の表10に示されるように、様々なサイズの鼻プロングでの送達用量は均一的であり、42%~57%であった(これは、従来の装置の送達用量である約6%を大幅に超えている)。小型、中型、大型のプロングで、平均DDはそれぞれ51、45、50%であった。この結果から、プロングのサイズは、DDに大きな影響を及ぼさないことが確認された。
【0126】
【表10】
【0127】
表11に、エアロゾル化された薬剤を様々な配向で送達した際のエアロゾル化装置の有効性を判断するためのテスト設定を示す。エアロゾル化装置は、0°(仰向けの乳児)、90°(横向きの乳児)および180°(うつ伏せの乳児)でテストされ、各配向で送達用量が測定された。
【0128】
【表11】
【0129】
表12に、配向テストの結果を示す。この結果から、0°(仰向け)と90°(横向き)の投与位置でそれぞれ平均69%と70%であり、いずれの投与位置でも配向によってDDが影響を受けないことがわかる。180°(うつ伏せ)の位置では、AF2b装置は、3つの装置のすべてで0.5mLの投与量全量にわたって、呼吸によって始動するエアロゾル化を継続することができ、平均DDは46%であった。これらの結果から、システムは、テストされた全配向でエアロゾルを確実に生成できることがわかった。
【0130】
【表12】
【0131】
上記の方法、システムおよび装置は一例である。いくつかの実施形態は、フロー図またはブロック図として示されるプロセスとして記載されている。各プロセスでは、複数の動作が順次プロセスとして説明されている場合もあるが、多くの動作は、並行して実行してもよいし、同時に実行してもよい。また、動作の順序は変更可能である。プロセスには、図に含まれていない工程が追加される場合もある。さらに、方法の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語またはこれらの任意の組み合わせによって実装される。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはマイクロコードに実装されている場合、関連するタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体等のコンピュータ可読媒体に格納される。関連するタスクはプロセッサによって実行される。
【0132】
上記のシステムおよび装置は、単なる例示を意図している。様々な実施形態において、必要に応じて様々な手順または構成要素を省略、置換または追加可能である。また、特定の実施形態に関して記載された特徴は、他の様々な実施形態に組み合わせることができる。実施形態の異なる態様および要素も、同様の方法で組み合わせることができる。また、技術は常に進化しているため、要素の多くは例示に過ぎず、本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【0133】
実施形態の完全な理解を目的として、明細書において特定の詳細事項が記載されている。しかしながら、実施形態はこれらの特定の詳細事項を含むことなく実施可能である。例えば、実施形態の記載が不明瞭になることを避けるために、周知の構造および手法については不要な詳細事項を省略して説明している。このような説明は、実施形態の例示のみを意図するものであって、本発明の範囲、適用可能性または構成を限定するものではない。上記の実施形態の説明は、本発明の実施形態を実施可能とするための説明を当業者に提供するものである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができる。
【0134】
上記の方法、システム、装置、グラフおよび表は例である。様々な構成において、必要に応じて様々な手順または構成要素を省略、置換または追加可能である。例えば、代替構成においては、方法は、説明された方法とは異なる順序で実行されてもよいし、様々な段階を追加、省略および/または組み合わせ可能である。また、特定の構成に関して説明されている機能は、他の様々な構成で組み合わせることができる。構成の異なる態様および要素も、同様の方法で組み合わせ可能である。また、技術は常に進化しているため、要素の多くは例示に過ぎず、本開示の範囲または特許請求の範囲を限定するものではない。さらに、本明細書の記載の手法は、種類の異なるコンテキスト認識分類子では異なる結果をもたらす場合もある。
【0135】
開示されたシステム、方法および機械可読媒体の例示的かつ現在好適な実施形態が本明細書において詳細に説明されているが、本発明の概念は、他の方法で様々に具体化および使用可能であり、従来技術によって限定される場合を除いて、添付の特許請求の範囲は、そのような変形を含むと解釈される。
【0136】
別に定義されていない限り、本明細書で用いられるすべての技術科学用語は、一般的または従来的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書において、「1つ」は、1つまたは複数の(すなわち、少なくとも1つの)対象物を指す。例えば、「1つの要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。量、継続時間等の測定可能な値を参照して本明細書で使用される「約」および/または「およそ」は、指定された値からの±20%、±10%、±5%または+0.1%の変動を意味する。このような変動は、本明細書に記載のシステム、装置、回路、方法および他の実装の意味において適切であるとみなされる。量、継続時間、物理的属性(周波数等)等の測定可能な値を指すために本明細書で使用される「略」は、指定された値からの±20%、±10%、±5%または+0.1%の変動を意味する。このような変動は、本明細書に記載のシステム、装置、回路、方法および他の実装の意味において適切であるとみなされる。特許請求の範囲を含めて本明細書に記載されている、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」で始まる項目の列挙における「および」は、列挙された項目を任意に組み合わせることが可能であることを示す。例えば、「A、BおよびCの少なくとも1つ」と列挙されている場合は、A、B、C、AB、AC、BCおよび/またはABC(すなわち、AおよびBおよびC)の任意の組み合わせを含む。また、項目A、BまたはCの複数の実行または使用が可能である場合、A、Bおよび/またはCの複数の使用は、意図された組み合わせの一部であるとみなされる。例えば、「A、BおよびCの少なくとも1つ」と列挙されている場合は、AA、AAB、AAA、BB等も含まれる。
【0137】
上記の実施形態においては、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修正、代替構造および同等物を使用可能である。例えば、上記の要素は、より大きなシステムの構成要素にすぎない場合があり、他の規則が本発明の適用に優先される場合や、本発明の適用を変更する場合もある。また、上記の要素を検討する前、検討中、または検討した後に、いくつかの工程を実行可能である。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0138】
「備える」、「備えている」、「有する」、「有している」、「含む」、「からなる」および「設けられている」という用語は、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される場合、記載されている機能、整数、構成要素または工程の存在を示すが、1つ以上の他の機能、整数、構成要素、工程、行為またはグループの存在または追加を排除するものではない。
図1
図1A
図2
図3
図3A
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図14I
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2024-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0138】
「備える」、「備えている」、「有する」、「有している」、「含む」、「からなる」および「設けられている」という用語は、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される場合、記載されている機能、整数、構成要素または工程の存在を示すが、1つ以上の他の機能、整数、構成要素、工程、行為またはグループの存在または追加を排除するものではない。
[例1]エアロゾル化システムであって、
吸気リムおよび呼気リムを有する呼吸システムと、
エアロゾル化装置であって、
第1の端部および第2の端部を有するエアロゾルチャンバと、
前記エアロゾルチャンバの第1の端部に配置されたエアロゾル生成器であって、
前記エアロゾル生成器が、エアロゾル生成器によってエアロゾル化される、ある分量の液体薬剤を受容するように構成された収容部を有し、
前記エアロゾル生成器が、前記分量の薬剤を、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化するように構成されているエアロゾル生成器と、
前記エアロゾルチャンバの第2の端部の近傍に配置された患者インターフェースと、
前記エアロゾル化システムを前記呼吸システムに連結するように構成された呼吸アダプタと、を有するエアロゾル化装置と、
患者の吸気を検出するように構成された少なくとも1つの呼吸センサと、
検出された吸気と同期して前記分量の薬剤をエアロゾル化するように前記エアロゾル生成器を作動させるように構成された制御装置と、を備えたエアロゾル化システム。
[例2]前記患者インターフェースが、前記エアロゾル生成器から約1~8cm以内に配置されている、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例3]前記呼吸アダプタが、気流の一部を前記呼吸システムから前記エアロゾルチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させるように構成された分流機構を備えており、
前記エアロゾルチャンバが、前記気流の一部と、前記エアロゾル生成器から供給されるエアロゾル化された薬剤とを混合するように構成されている、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例4]前記気流の一部が呼吸流であり、前記呼吸システムの呼気リムに進み続ける空気の量よりも少ない、例3に記載のエアロゾル化システム。
[例5]前記分流機構が、前記少なくとも1つの通気路を画定している少なくとも1つの障壁を有し、
前記少なくとも1つの障壁が、前記気流の一部を前記エアロゾルチャンバに前記少なくとも1つの通気路を介して分流させるとともに、前記吸気リムからの気流の別の部分を前記呼気リムに向かって分流させるように構成されている、例3に記載のエアロゾル化システム。
[例6]前記少なくとも1つの障壁が、第1の通気路を画定している第1の障壁と、第2の通気路を画定している第2の障壁とを含んでいる、例5に記載のエアロゾル化システム。
[例7]前記第1の通気路が、前記第1の障壁の横方向端部に設けられており、
前記第2の通気路が、前記第2の障壁の先端側縁部を越えた位置に設けられており、
前記呼吸流が複数の方向に移動して前記第1の障壁および第2の障壁を通り過ぎるように、前記横方向端部および前記先端側縁部が互いに異なる方向に延びている、例6に記載のエアロゾル化システム。
[例8]前記エアロゾル化装置が、前記分量の液体薬剤を前記収容部から前記エアロゾル生成器に送達するように構成された導管をさらに有している、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例9]前記導管の先端が直径を有しており、
前記導管の先端が、メッシュから、前記直径以下の距離をなす位置に配置されている、例8に記載のエアロゾル化システム。
[例10]前記分量の薬剤のエアロゾル化の同期が、連続する複数の吸気のそれぞれの最後の20%の少なくとも一部分では追い出し空気が供給されるように、前記連続する複数の吸気のそれぞれの最初の50~80%の少なくとも一部分において前記分量の薬剤の一部をエアロゾル化することを含んでいる、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例11]前記少なくとも呼吸センサが、前記患者の腹部に接続された呼吸センサカプセルを含む、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例12]前記制御装置が、前記エアロゾル化装置から取り外し可能である、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例13]前記エアロゾル化装置が、前記患者インターフェースが下向き位置、横向き位置および上向き位置のそれぞれに配向されているときに、エアロゾル化を行って前記薬剤のエアロゾル化した粒子を送達するように構成されている、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例14]供給源から前記収容部に前記分量の薬剤を供給するように構成された供給ラインをさらに備えている、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例15]前記患者インターフェースが、鼻プロングまたは鼻マスクを含む、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例16]前記薬剤が界面活性剤を含む、例1に記載のエアロゾル化システム。
[例17]エアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法であって、
1つまたは複数の呼吸センサを使用して乳児の吸気を検出することと、
前記検出された吸気に基づいて、エアロゾル化装置を用いて、ある分量の薬剤を、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3μm未満の粒子に少なくとも0.1ml/分の流量でエアロゾル化することと、からなり、
前記薬剤が、患者インターフェースから約1~8cm以内でエアロゾル化される方法。[例18]前記分量の薬剤をエアロゾル化することが、
前記分量の薬剤を収容部から前記エアロゾル化装置のメッシュに送達することと、
前記メッシュを振動させて前記分量の薬剤をエアロゾル化することと、を含んでいる、例17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例19]前記分量の薬剤が、直径を有する先端を備えた導管を介して、前記収容部から前記メッシュに送達され、
前記導管の先端が、前記メッシュから、前記直径以下の距離をなす位置に配置されている、例18に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例20]前記分量の薬剤をエアロゾル化することが、連続する複数の吸気のそれぞれの最後の20%の少なくとも一部分では追い出し空気が供給されるように、前記連続する複数の吸気のそれぞれの最初の80%の少なくとも一部分において前記分量の薬剤の一部をエアロゾル化することを含んでいる、例17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例21]前記1つまたは複数の呼吸センサが、患者の腹部に接続された呼吸センサカプセルを含む、例17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例22]前記エアロゾル化装置を呼吸システムに連結することと、
前記呼吸システムからの気流の一部を、エアロゾル化装置のチャンバに少なくとも1つの通気路を介して分流させることと、をさらに含み、
前記チャンバは、前記気流の一部をエアロゾル化された薬剤と混合するように構成されている、例17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例23]前記気流の一部が呼吸流であり、前記呼吸システムの呼気リムに進み続ける空気の量よりも少ない、例22に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例24]前記気流の一部が、前記少なくとも1つの通気路を画定している少なくとも1つの障壁を用いて分流され、
前記少なくとも1つの障壁が、前記気流の一部を前記エアロゾルチャンバに前記少なくとも1つの通気路を介して分流させるとともに、吸気リムからの気流の別の部分を呼気リムに向かって分流させるように構成されている、例22に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例25]前記少なくとも1つの障壁が、第1の通気路を画定している第1の障壁と、第2の通気路を画定している第2の障壁とを含んでいる、例24に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例26]前記第1の通気路が、前記第1の障壁の横方向端部に設けられており、
前記第2の通気路が、前記第2の障壁の先端側縁部を越えた位置に設けられており、
前記呼吸流が複数の方向に移動して前記第1の障壁および第2の障壁を通り過ぎるように、前記横方向端部および前記先端側縁部が互いに異なる方向に延びている、例25に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例27]前記患者インターフェースが、鼻プロングまたは鼻マスクを含む、例17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例28]前記エアロゾル化された薬剤を乳児の気道に患者インターフェースを介して送達することをさらに含む、例17に記載のエアロゾル化された薬剤を乳児に送達する方法。
[例29]エアロゾル化システムを初期設定する方法であって、
エアロゾル化装置を、制御装置、呼吸センサ、薬剤源および呼吸システムに接続することと、
使用者のアクセス認証を前記制御装置に入力することと、
患者に関連する情報および投薬情報を前記制御装置に入力することと、
前記呼吸センサを患者に接続することと、
前記エアロゾル化装置をプライミングすることと、
患者インターフェースを前記患者の気道に接続することと、からなる方法。
[例30]複数の音声アラーム、視覚的アラームまたは音声アラームとビデオアラームの両方を繰り返す起動シーケンスを実行することをさらに含む、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例31]前記アクセス認証には、使用者識別子、パスワード、所有物認証および生体認証のうちの1つまたは複数が含まれる、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例32]前記呼吸センサが患者の腹部に接着される、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例33]前記呼吸センサを患者に接続した後に、呼吸の検出を確認することをさらに含む、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例34]前記薬剤源が、流体供給ラインに連結されたベント付きバイアルアクセス器具(VVAD)を有している、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。[例35]前記エアロゾル化装置を前記制御装置、呼吸センサ、薬剤源および呼吸システムに接続することが、前記薬剤源とエアロゾル化装置との間に流体供給ラインを連結することを含む、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例36]前記エアロゾル化装置をプライミングすることが、前記患者インターフェースを患者の気道に接続する前に、薬剤の一部をエアロゾル化することを含む、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例37]前記患者インターフェースを前記エアロゾル化装置に連結することをさらに含む、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例38]前記患者インターフェースが、少なくとも1つのストラップと、患者の頭部に載せられるように構成された発泡樹脂パッドとの一方または両方を介して患者に固定される、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例39]前記患者インターフェースを介して、エアロゾル化された投与量の薬剤を患者に送達することをさらに含む、例29に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
[例40]前記投与量の送達のタイミングが、検出された吸気と同期していることを確認することをさらに含む、例39に記載のエアロゾル化システムを初期設定する方法。
【外国語明細書】