(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155491
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】運動用タイツ
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20251002BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20251002BHJP
A41B 11/00 20060101ALI20251002BHJP
A41D 1/06 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
A41D13/00 115
A41D13/05 125
A41D13/05 136
A41D13/05 143
A41B11/00 D
A41D1/06 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104784
(22)【出願日】2024-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2024057224
(32)【優先日】2024-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】瀧井 靖歩
(72)【発明者】
【氏名】門馬 弘一
(72)【発明者】
【氏名】藤川 恭子
【テーマコード(参考)】
3B018
3B211
【Fターム(参考)】
3B018AA01
3B018AB02
3B018AC01
3B018AC10
3B211AA05
3B211AB11
3B211AC17
(57)【要約】
【課題】運動中の着用者の身体を適切にサポート可能な運動用タイツを提供する。
【解決手段】運動用タイツ3は、本体生地10と、第1部材と、第2部材とを備える。第1部材は、少なくとも、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部内側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部内側に対応する領域と、に配置される。第2部材は、少なくとも、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部外側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部外側に対応する領域と、に配置される。運動用タイツ3は、本体生地10を含む第1部分と、本体生地10と第1部材とを含む第2部分と、本体生地10と第2部材とを含む第3部分と、を含み、第1部分と第2部分と第3部分とのうち、第1部分の伸縮性の度合いが最も高く、第3部分の伸縮性の度合いが最も低い。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の第1脚を囲むように構成された第1筒部と、前記着用者の第2脚を囲むように構成された第2筒部と、前記着用者の臀部を囲むように構成された第3筒部とを含む本体生地と、
前記本体生地の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置された第1部材と、
前記本体生地の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置された第2部材と、
を備え、
前記本体生地を含む第1部分と、前記本体生地と前記第1部材とを含む第2部分と、前記本体生地と前記第2部材とを含む第3部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とのうち、前記第1部分の伸縮性の度合いが最も高く、前記第3部分の伸縮性の度合いが最も低く、
前記第1部材は、少なくとも、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部内側に対応する領域と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部内側に対応する領域と、に配置され、
前記第2部材は、少なくとも、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部外側に対応する領域と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部外側に対応する領域と、に配置される、
運動用タイツ。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部外側に対応する領域を通って裾に向かって延びる第1延在部と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部外側に対応する領域を通って裾に向かって延びる第2延在部として、前記本体生地に取り付けられている、
請求項1に記載の運動用タイツ。
【請求項3】
前記第1延在部は、前記第1筒部のうちの後ろ身頃を通って裾に向かって延びる第1後側延在部分と、前記第1筒部のうちの前記第1後側延在部分よりも前身頃側を通って裾に向かって延びる第1前側延在部分と、を含む、
請求項2に記載の運動用タイツ。
【請求項4】
前記第1後側延在部分および前記第1前側延在部分は、前記第3筒部に対応する位置で接続されている、
請求項3に記載の運動用タイツ。
【請求項5】
前記第1部材は、複数の低伸縮要素として前記本体生地に取り付けられている、
請求項1に記載の運動用タイツ。
【請求項6】
前記複数の低伸縮要素は、所定の繰り返しパターンで配置され、
前記複数の低伸縮要素が配置された領域において、前記着用者の身体における上下方向の伸縮性の度合いは、前記着用者の身体における左右方向の伸縮性の度合いよりも大きい、
請求項5に記載の運動用タイツ。
【請求項7】
前記繰り返しパターンは、前記複数の低伸縮要素が所定方向に沿って配置された線状配置部を複数含み、
前記線状配置部の延在方向は、前記上下方向よりも前記左右方向に近い方向であり、
隣り合う前記線状配置部同士の間隔は、前記線状配置部内で隣り合う前記低伸縮要素同士の間隔よりも広い、
請求項6に記載の運動用タイツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運動用タイツに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、競技者の運動時の動きをサポートしたり、姿勢維持をサポートしたりするための運動用タイツが知られている(例えば、特許文献1)。この種の運動用タイツは、求められる機能に応じて異なる張力を有する材料を組み合わせて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運動用タイツでは、着用者の運動に伴う筋肉の動きに追従しながら着用者の身体を適切にサポートすることが要求される。しかし、従来の運動用タイツでは、着用者の身体を適切にサポートする観点で改善の余地があった。
【0005】
本開示は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、運動中の着用者の身体を適切にサポート可能な運動用タイツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様の運動用タイツは、着用者の第1脚を囲むように構成された第1筒部と、前記着用者の第2脚を囲むように構成された第2筒部と、前記着用者の臀部を囲むように構成された第3筒部とを含む本体生地と、前記本体生地の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置された第1部材と、前記本体生地の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置された第2部材と、を備え、前記本体生地を含む第1部分と、前記本体生地と前記第1部材とを含む第2部分と、前記本体生地と前記第2部材とを含む第3部分と、を含み、前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とのうち、前記第1部分の伸縮性の度合いが最も高く、前記第3部分の伸縮性の度合いが最も低く、前記第1部材は、少なくとも、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部内側に対応する領域と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部内側に対応する領域と、に配置され、前記第2部材は、少なくとも、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部外側に対応する領域と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部外側に対応する領域と、に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示のある態様によれば、運動中の着用者の身体を適切にサポート可能な運動用タイツを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る運動用タイツを概略的に示す正面図である。
【
図2】
図1に示す運動用タイツを概略的に示す背面図である。
【
図3】
図1に示す運動用タイツを概略的に示す側面図である。
【
図4】複数の低伸縮要素が配置された領域の一例を概略的に示す図である。
【
図5】低伸縮領域の第1の変形例を概略的に示す図である。
【
図6】低伸縮領域の第2の変形例を概略的に示す図である。
【
図7】低伸縮領域の第3の変形例を概略的に示す図である。
【
図8】
図1に示す運動用タイツの第1の変形例を概略的に示す正面図である。
【
図9】
図1に示す運動用タイツの第2の変形例を概略的に示す正面図である。
【
図10】
図1に示す運動用タイツの第3の変形例を概略的に示す正面図である。
【
図11】
図1に示す運動用タイツの第4の変形例を概略的に示す正面図である。
【
図12】
図1に示す運動用タイツの第5の変形例を概略的に示す正面図である。
【
図13】
図1に示す運動用タイツの第6の変形例を概略的に示す正面図である。
【
図14】本開示の第2実施形態に係る運動用タイツを概略的に示す正面図である。
【
図15】
図14に示す運動用タイツを概略的に示す背面図である。
【
図16】
図14に示す運動用タイツを概略的に示す側面図である。
【
図17】
図14に示す運動用タイツの変形例を概略的に示す正面図である。
【
図18】
図17に示す運動用タイツを概略的に示す背面図である。
【
図19】
図17に示す運動用タイツを概略的に示す側面図である。
【
図20】本開示の第3実施形態に係る運動用タイツを概略的に示す正面図である。
【
図21】
図20に示す運動用タイツを概略的に示す背面図である。
【
図22】
図20に示す運動用タイツを概略的に示す側面図である。
【
図23】
図20に示す運動用タイツにおける低伸縮領域を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例において、同一または同等の構成要素には同一の符号を付するものとし、重複した説明は適宜省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0011】
実施形態では、方向を示す用語として、前後方向、上下方向および左右方向を用いることがある。各方向は、運動用タイツを着用している者が起立している状態において、着用者の身体に対する方向をいう。つまり、後方向は、着用者の背中が向いている方向を示し、前方向は、着用者を挟んで後方向とは逆の方向を示す。また、運動用タイツにおいて、前方向に面する面を前面、後方向に面する面を背面ともいう。運動用タイツにおける左右方向の外側を、運動用タイツの構成要素についても外側ということがある。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本開示の第1実施形態に係る運動用タイツ1を概略的に示す正面図である。
図2は、運動用タイツ1を概略的に示す背面図である。
図3は、運動用タイツ1を概略的に示す側面図である。
図1~
図3は、着用者が運動用タイツ1を着用している状態における運動用タイツ1の形状を示し、着用者の図示を省略する。
【0013】
運動用タイツ1は、着用者がランニング等の運動を行う際に着用されることを想定して設計された運動用タイツである。運動用タイツ1は、コンプレッションタイツとも称される。運動用タイツ1は、着用者の身体に密着しながら着用者の身体を圧迫することで、運動時の筋肉をサポートすると共に、運動に伴う筋肉の振動を抑えることによりエネルギーロスを低減するように構成されている。以下の説明では、運動用タイツ1は、着用者の膝上までに対応する形状のものを例に挙げるが、着用者の膝下、例えば踝近傍まで対応する形状のものであってもよい。
【0014】
運動用タイツ1は、本体生地10を備える。本体生地10は、運動用タイツ1の基本形状を構成する。本体生地10は、着用者の身体に沿ういずれの方向にも高い伸縮性を有してもよい。本体生地10は、例えば、ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維を含んで構成される。本体生地10は、全体が1つの生地で構成されていてもよいし、複数の生地が縫製、溶着等の任意の接合方法により一体化されたものであってもよい。
【0015】
本体生地10は、第1筒部12と、第2筒部14と、第3筒部16とを含む。第1筒部12は、着用者の第1脚を囲むように構成されている。第2筒部14は、着用者の第2脚を囲むように構成されている。第3筒部16は、着用者の臀部を囲むように構成されている。本実施形態では、第3筒部16は、着用者の腰部をさらに囲むように構成されている。この場合、第3筒部16の前側では、第3筒部16は着用者の腹部を囲むように構成される。
図1~
図3に示す例では、第1脚は着用者の右脚であり、第2脚は着用者の左脚である。
【0016】
運動用タイツ1は、第1部材としての第1低伸縮性素材をさらに備える。第1低伸縮性素材の伸縮性の度合いは、本体生地10の伸縮性の度合い以下である。なお、伸縮性の度合いとは、生地等に対して所定の方向に引き伸ばそうとする所定の荷重を付与したときの伸長割合(所定の荷重を付与する前の状態の長さに対する、所定の荷重を付与した際の所定の方向の長さの比率)で評価することができる。伸長割合が小さい場合に伸縮性が低く、伸長割合が大きい場合に伸縮性が高いといえる。第1低伸縮性素材は、例えば合成樹脂を含んで構成される。第1低伸縮性素材は、複数の低伸縮要素30として、本体生地10にプリントなどの接合方法により取り付けられている。第1低伸縮性素材を複数の低伸縮要素30として本体生地10に取り付けることで、複数の低伸縮要素30に隙間が形成されやすい。そのため、第1低伸縮性素材を例えばシート状部材として本体生地10に取り付ける場合よりも、運動用タイツ1の通気性を確保させやすく、また運動用タイツ1を脚の動きに追従しやすくさせることができる。
【0017】
複数の低伸縮要素30は、本体生地10の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置されている。本体生地10の内面は、本体生地10における着用者の身体に対向する面である。本体生地10の外面は、本体生地10の内面の反対側の面であり、着用者の着用時に外部に露出する面である。本実施形態では、複数の低伸縮要素30は、本体生地10の外面に配置されている。
【0018】
運動用タイツ1は、第2部材としての補助生地50をさらに備える。補助生地50は、着用者の身体に沿ういずれの方向にも高い伸縮性を有してもよい。補助生地50の伸縮性の度合いは特に限定されないが、本体生地10の伸縮性の度合いと同等であってもよい。補助生地50は、例えば、ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維を含んで構成される。補助生地50は、全体が1つの生地で構成されていてもよいし、複数の生地が縫製、溶着等の任意の接合方法により一体化されたものであってもよい。
【0019】
補助生地50の大きさは、本体生地10の大きさよりも小さい。補助生地50は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部内側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部内側に対応する領域と、第3筒部16に対応する領域と、に亘って連続する。これにより、一体的に形成された補助生地50を、本体生地10のうち、運動中の着用者の身体のサポートが特に要求される身体部位に対応する位置に配置することができる。なお、本明細書においては、運動用タイツ1を平らな平面に平置きした状態で前面から見た場合に、第1筒部12の左右方向の中心線を基準に、体側側を第1脚の大腿部外側、大腿部外側とは逆側を大腿部内側と定義する。第2脚については、左右が逆である以外は、第1脚と同様に大腿部外側および大腿部内側が定義される。
【0020】
補助生地50は、本体生地10の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置されている。補助生地50は、本体生地10の内面および外面のうち、複数の低伸縮要素30が配置されている面とは異なる面に配置されていてもよい。これにより、本体生地10と複数の低伸縮要素30と補助生地50とが重なり合う部分において、複数の低伸縮要素30と補助生地50とが互いに干渉しないため、複数の低伸縮要素30と補助生地50とを本体生地10に安定的に取り付けることができる。
【0021】
本実施形態では、補助生地50は、本体生地10の内面に配置されている。これにより、着用者が運動用タイツ1を着用している際に、補助生地50は外部から視認されにくいため、運動用タイツ1の意匠性を向上させやすい。
【0022】
補助生地50は、補助生地50の本体生地10と対向する面における複数の位置で本体生地10に取り付けられていてもよい。例えば、補助生地50の本体生地10と対向する面に略等間隔に配置された複数の点状の接着部材を介して、補助生地50が本体生地10に取り付けられていてもよい。これにより、着用者が激しく運動しても、補助生地50が本体生地10に配置された位置からずれにくくすることができる。また、補助生地50を本体生地10と面接着させた場合に比べ、運動用タイツ1を着用者の動きに追従させやすくすることができる。補助生地50は、補助生地50の本体生地10と対向する面における輪郭線または輪郭線の近傍の位置で、本体生地10に縫製、溶着等の任意の接合方法により取り付けられていてもよい。補助生地50は、補助生地50の本体生地10と対向する面における複数の位置と、輪郭線または輪郭線の近傍の位置との両方で、本体生地10に取り付けられていてもよい。
【0023】
図4は、複数の低伸縮要素30が配置された領域の一例を概略的に示す図である。複数の低伸縮要素30が配置された領域を、低伸縮領域32とも称する。
図4に示すように、低伸縮領域32において、複数の低伸縮要素30は、本体生地10に所定の繰り返しパターンで配置されていてもよい。低伸縮領域32は、所定方向(
図4の縦方向)と、当該所定方向に直交する方向(
図4の横方向)とに広がる形状を有する。低伸縮領域32の所定方向における伸縮性の度合いと、低伸縮領域32の当該所定方向に直交する方向における伸縮性の度合いとは、互いに異なっていてもよい。
【0024】
図4に示す例では、低伸縮要素30の形状は、長手方向と短手方向とを有する。具体的に、低伸縮要素30の形状は、略菱形形状である。低伸縮要素30は、
図4の縦方向と横方向とのそれぞれに対角線が沿うような向きで配置されている。そして、低伸縮要素30の縦方向が短手方向であり、低伸縮要素30の横方向が長手方向である。この場合、低伸縮要素30において、長手方向に沿う方向における伸縮性の度合いの方が、短手方向に沿う方向における伸縮性の度合いよりも低い。そのため、低伸縮領域32において、低伸縮要素30の長手方向に沿う方向における伸縮性の度合いの方が、低伸縮要素30の短手方向に沿う方向における伸縮性の度合いよりも低くなるように設計しやすい。このように、繰り返しパターンを構成する低伸縮要素30の長手方向と短手方向とを調整することで、低伸縮領域32の伸縮性の度合いに方向性を持たせることができる。
【0025】
低伸縮領域32において、複数の低伸縮要素30の配置の繰り返しパターンは、低伸縮領域32内での位置ごとに、低伸縮要素30同士の間隔が異なるような繰り返しパターンであってもよい。また、低伸縮要素30は、配置される位置ごとに大きさ、形状、向きなどが異なっていてもよい。これにより、低伸縮領域32内での位置ごとに伸縮性の度合いを連続的に変化させることができる。
【0026】
図5は、低伸縮領域32の第1の変形例を概略的に示す図である。
図6は、低伸縮領域32の第2の変形例を概略的に示す図である。
図7は、低伸縮領域32の第3の変形例を概略的に示す図である。
図5~
図7に示す各変形例において、本実施形態の低伸縮要素30および低伸縮領域32と共通する事項については、適宜説明を省略する。
【0027】
図5に示す例では、低伸縮領域32Aにおいて、所定の繰り返しパターンで配置された低伸縮要素30Aの形状は、略円形状である。
図6に示す例では、低伸縮領域32Bにおいて、所定の繰り返しパターンで配置された低伸縮要素30Bの形状は、略正方形状である。
図7に示す例では、低伸縮領域32Cにおいて、所定の繰り返しパターンで配置された低伸縮要素30Cの形状は、略正三角形状である。低伸縮要素30A~30Cは、いずれも長手方向と短手方向とを有さなくてもよい。すなわち、低伸縮要素30A~30Cにおいて、各図における縦方向の長さと横方向の長さとが略同一であってもよい。
【0028】
低伸縮領域32は、第1筒部12および第2筒部14の少なくとも一方の外側において、上下方向全体に設けられてもよく、上下方向の30%以上に設けられてもよく、上下方向の50%以上に設けられてもよく、上下方向の80%以上に設けられてもよい。第1筒部12における低伸縮領域32の割合は、第1筒部12の外側の上下方向の寸法を100%としたときの、低伸縮領域32の上端と下端を繋いだ線分の長さの割合として算出する。第2筒部14における低伸縮領域32の割合は、第2筒部14の外側の上下方向の寸法を100%としたときの、低伸縮領域32の上端と下端を繋いだ線分の長さの割合として算出する。
【0029】
図1~
図3に戻り、低伸縮領域32は、少なくとも、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部外側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部外側に対応する領域と、第3筒部16のうちの着用者の腰部の背面に対応する領域とを含む。これにより、運動中の着用者の身体のサポートが特に要求される身体部位に対応する位置に低伸縮領域32を配置するので、運動中の着用者の身体をより適切にサポートすることができる。
【0030】
運動用タイツ1は、本体生地10を含む第1部分と、本体生地10と第1部材としての低伸縮要素30とを含む第2部分と、本体生地10と第2部材としての補助生地50とを含む第3部分と、本体生地10と低伸縮要素30と補助生地50とを含む第4部分と、を含む。第1部分は、本体生地10のうち低伸縮要素30および補助生地50が配置されていない部分である。
図1~
図3に示す例では、第1部分は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部外側に対応する領域内で、複数の低伸縮要素30間の隙間の部分、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部外側に対応する領域内で、複数の低伸縮要素30間の隙間の部分、第1筒部12の裾周辺の部分、および、第2筒部14の裾周辺の部分である。
【0031】
第2部分は、本体生地10に、低伸縮要素30が配置されており、かつ、補助生地50が配置されていない部分である。
図1~
図3に示す例では、第2部分は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部外側に対応する領域内で、複数の低伸縮要素30が配置されている部分、および、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部外側に対応する領域内で、複数の低伸縮要素30が配置されている部分である。
【0032】
第3部分は、本体生地10に、低伸縮要素30が配置されておらず、かつ、補助生地50が配置されている部分である。
図1~
図3に示す例では、第3部分は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部内側に対応する領域内で、低伸縮要素30が配置されていない部分、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部内側に対応する領域内で、低伸縮要素30が配置されていない部分、および、第3筒部16に対応する領域内で、低伸縮要素30が配置されていない部分である。
【0033】
第4部分は、本体生地10に低伸縮要素30および補助生地50が配置されている部分である。
図1~
図3に示す例では、第4部分は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部内側と外側との境界付近に対応する領域内で、低伸縮要素30および補助生地50が配置されている部分、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部内側と外側との境界付近に対応する領域内で、低伸縮要素30および補助生地50が配置されている部分、および、第3筒部16のうちの着用者の腰部の背面に対応する部分である。
【0034】
第1部分と第2部分と第3部分と第4部分とのうち、第1部分の伸縮性の度合いが最も高く、第4部分の伸縮性の度合いが最も低い。第2部分の伸縮性の度合いは、第3部分の伸縮性の度合いと等しくてもよいし、異なっていてもよい。低伸縮要素30の伸縮性の度合いの方が補助生地50の伸縮性の度合いよりも高ければ、第2部分の伸縮性の度合いの方が第3部分の伸縮性の度合いよりも高い。低伸縮要素30の伸縮性の度合いの方が補助生地50の伸縮性の度合いよりも低ければ、第2部分の伸縮性の度合いの方が第3部分の伸縮性の度合いよりも低い。低伸縮要素30の伸縮性の度合いが補助生地50の伸縮性の度合いと等しければ、第2部分の伸縮性の度合いが第3部分の伸縮性の度合いと等しい。
【0035】
このように、本実施形態の運動用タイツ1は、本体生地10に対して第1部材としての低伸縮要素30および第2部材としての補助生地50のそれぞれをどのように配置するかに応じて、部分ごとの伸縮性の度合いを高い自由度で設定することができる。そのため、運動用タイツ1は、運動中の着用者の身体を適切にサポートすることができる。
【0036】
図8~
図13を参照して、運動用タイツ1の変形例について説明する。
図8~
図13に示す各変形例において、本実施形態の運動用タイツ1と共通する事項については、適宜説明を省略する。
【0037】
図8は、運動用タイツ1の第1の変形例に係る運動用タイツ1Aを概略的に示す正面図である。運動用タイツ1Aの上縁の位置は、運動用タイツ1の上縁の位置よりも低い。具体的に、運動用タイツ1Aにおいては、第3筒部16が着用者の腰部を囲むようには構成されていない点で、運動用タイツ1と相違する。このように構成することで、腰部、および腰部とは反対側の腹部の圧迫感を抑制することができる。
【0038】
図9は、運動用タイツ1の第2の変形例に係る運動用タイツ1Bを概略的に示す正面図である。運動用タイツ1Bにおける補助生地50の大きさは、運動用タイツ1における補助生地50の大きさよりも小さい。具体的に、運動用タイツ1Bの補助生地50は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部内側の一部に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部内側の一部に対応する領域と、第3筒部16に対応する領域と、に亘って連続する。このように構成することで、運動用タイツ1よりも伸縮性の高い領域の割合が高くなるため、運動用タイツ1Bは、着用者の動きにより追従しやすくなる。
【0039】
図10は、運動用タイツ1の第3の変形例に係る運動用タイツ1Cを概略的に示す正面図である。運動用タイツ1Cにおける補助生地50の大きさは、運動用タイツ1における補助生地50の大きさよりも大きい。具体的に、運動用タイツ1Cの補助生地50は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部内側の全域および大腿部外側の一部に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部内側の全域および大腿部外側の一部に対応する領域と、第3筒部16に対応する領域と、に亘って連続する。このように、より大きな補助生地50を用いることにより、大腿筋のサポートをより効果的に行い、大腿部の軟部組織の揺れを効果的に抑制できる。
【0040】
図11は、運動用タイツ1の第4の変形例に係る運動用タイツ1Dを概略的に示す正面図である。運動用タイツ1Dにおける補助生地50の形状は、運動用タイツ1における補助生地50の形状とは異なる。具体的に、運動用タイツ1Dの補助生地50は、第1筒部12に対応する領域と、第2筒部14に対応する領域とにおいて、輪郭線が蛇行するような形状である。このように輪郭線を蛇行させることにより、サポートが必要な箇所に適切に補助生地50を配置しつつ、運動用タイツ1Dをより軽量に構成することができる。
【0041】
図12は、運動用タイツ1の第5の変形例に係る運動用タイツ1Eを概略的に示す正面図である。運動用タイツ1Eにおける低伸縮領域32の大きさは、運動用タイツ1における低伸縮領域32の大きさよりも小さい。具体的に、運動用タイツ1Eにおける低伸縮領域32のうち、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部外側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部外側に対応する領域とは、運動用タイツ1における低伸縮領域32よりも上下方向において小さい。より具体的には、低伸縮領域32の上下方向の寸法は、第1筒部12および第2筒部14の少なくとも一方の外側の上下方向の寸法に対して、50%以下であってもよく、40%以下であってもよい。低伸縮領域32が相対的に小さく形成されていることにより、追従性、通気性が向上するとともに、運動用タイツ1Eをより軽量に構成することができる。
【0042】
図13は、運動用タイツ1の第6の変形例に係る運動用タイツ1Fを概略的に示す正面図である。運動用タイツ1Fにおける低伸縮領域32は、運動用タイツ1における低伸縮領域32よりも上下方向において大きい。具体的には、低伸縮領域32は、第1筒部12および第2筒部14の少なくとも一方の外側の全面に配置されており、かつ第3筒部16の外側の全面に配置されている。低伸縮領域32が裾部分から腰部に亘って形成されていることにより、大腿部外側から腰部に亘ってサポート力を付与することができる。
【0043】
[第2実施形態]
図14は、本開示の第2実施形態に係る運動用タイツ2を概略的に示す正面図である。
図15は、運動用タイツ2を概略的に示す背面図である。
図16は、運動用タイツ2を概略的に示す側面図である。本実施形態の運動用タイツ2において、第1実施形態の運動用タイツ1と共通する事項については、適宜説明を省略する。
【0044】
運動用タイツ2は、本体生地10と、第1部材としての第1低伸縮性素材とを備える。本実施形態の本体生地10は、第1実施形態の本体生地10と同様である。第1低伸縮性素材は、複数の低伸縮要素30として、本体生地10にプリントなどの接合方法により取り付けられている。本実施形態の低伸縮要素30および低伸縮領域32は、第1実施形態の低伸縮要素30および低伸縮領域32と同様である。
【0045】
運動用タイツ2は、第2部材として第2低伸縮性素材を備える点で、第1実施形態の運動用タイツ1と相違する。第2低伸縮性素材の伸縮性の度合いは、本体生地10の伸縮性の度合い以下である。第2低伸縮性素材は、例えばシリコンゴム等を含んで構成される。第2低伸縮性素材は、例えばシート状のシリコンシートとして、本体生地10にプリントなどの接合方法により取り付けられている。第2低伸縮性素材は、本体生地10の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置されている。
【0046】
第2低伸縮性素材は、第3筒部16のうちの着用者の臀部に対応する位置から第1筒部12の裾に向かって延びる第1延在部70と、第3筒部16のうちの着用者の臀部に対応する位置から第2筒部14の裾に向かって延びる第2延在部72として、本体生地10に取り付けられている。第1延在部70は、第3筒部16のうちの着用者の臀部に対応する位置から分岐して、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部前側に対応する位置を通って延びる第1前側延在部分と、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部後側に対応する位置を通って延びる第1後側延在部分とを含む。第2延在部72は、第3筒部16のうちの着用者の臀部に対応する位置から分岐して、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部前側に対応する位置を通って延びる第2前側延在部分と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部後側に対応する位置を通って延びる第2後側延在部分とを含む。
【0047】
第1前側延在部分と第1後側延在部分とは、互いに連続的に形成されていてもよいし、非連続に形成されていてもよい。本実施形態では、第1前側延在部分と第1後側延在部分とが着用者の臀部に対応する位置から分岐することにより、連続的に形成されている。第1前側延在部分と第1後側延在部分とが連続的に形成されていることにより、着用者が感じる違和感を抑制しつつ、伸縮性の違いを付与することができる。
【0048】
また、第1延在部70と第2延在部72とは、互いに連続的に形成されていてもよく、非連続に形成されていてもよい。本実施形態では、第1延在部70と第2延在部72は、第3筒部16の背面中央部において非連続である。背面中央部は縫製されることが多く、そのような場合、第1延在部70と第2延在部72とを背面中央部で非連続とすることにより、縫製の自由度を確保しやすい。
【0049】
第1前側延在部分および第1後側延在部分の上下方向の寸法(長さ)は、特に限定されないが、例えば、第1筒部12の上下方向の寸法の50%以上であってもよく、80%以上であってもよく、90%以上であってもよい。第2前側延在部分および第2後側延在部分もまた、第1前側延在部分および第1後側延在部分と同様の寸法を採用してもよい。
【0050】
これにより、運動用タイツ2は、第1延在部70および第2延在部72のそれぞれの延在方向に沿う伸縮性の度合いを特に低くすることができるので、運動に伴う筋肉の振動を抑え、複数の低伸縮要素30と共に多様な伸縮性の度合いを実現することができる。
【0051】
複数の低伸縮要素30は、第1延在部70の少なくとも一部と重複する第1領域74と、第2延在部72の少なくとも一部と重複する第2領域76とに少なくとも配置されていてもよい。
図14~
図16に示す例では、第1領域74は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部前側に対応する領域と、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部後側に対応する領域とを含む。第2領域76は、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部前側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部後側に対応する領域とを含む。第1領域74および第2領域76は、第4部分を構成する。
【0052】
これにより、運動用タイツ2は、第1領域74および第2領域76において特に伸縮性の度合いを低くすることができる。また、運動中の着用者の身体のサポートが特に要求される身体部位に対応する領域の伸縮性の度合いを低くすることができる。
【0053】
第1延在部70および第2延在部72は、本体生地10の内面および外面のうち、複数の低伸縮要素30が配置されている面と同じ面に配置されていてもよい。具体的に、複数の低伸縮要素30、第1延在部70および第2延在部72は、本体生地10の外面に配置されていてもよい。これにより、複数の低伸縮要素30、第1延在部70および第2延在部72の配置等によって意匠性を高めることができる。
【0054】
第1領域74のうち、複数の低伸縮要素30と第1延在部70とが重複する領域では、複数の低伸縮要素30が取り付けられた本体生地10を覆うように第1延在部70が取り付けられていてもよい。同様に、第2領域76のうち、複数の低伸縮要素30と第2延在部72とが重複する領域では、複数の低伸縮要素30が取り付けられた本体生地10を覆うように第2延在部72が取り付けられていてもよい。これにより、運動用タイツ1は、複数の低伸縮要素30がプリント等により取り付けられた本体生地10の上から、例えばシート状の第1延在部70および第2延在部72を配置すればよいので、製造を行いやすい。
【0055】
図17~
図19を参照して、運動用タイツ2の変形例について説明する。
図17~
図19に示す変形例において、本実施形態の運動用タイツ2と共通する事項については、適宜説明を省略する。
【0056】
図17は、運動用タイツ2の変形例に係る運動用タイツ2Aを概略的に示す正面図である。
図18は、運動用タイツ2Aを概略的に示す背面図である。
図19は、運動用タイツ2Aを概略的に示す側面図である。
【0057】
運動用タイツ2Aは、運動用タイツ2Aにおける低伸縮領域32の占める範囲が運動用タイツ2における低伸縮領域32の占める範囲とは異なる点で、運動用タイツ2と相違する。運動用タイツ2Aにおける低伸縮領域32は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部内側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部内側に対応する領域とを含む。運動用タイツ2Aにおける第1領域74は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部前側に対応する領域と、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部後側に対応する領域とを含む。運動用タイツ2Aにおける第2領域76は、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部前側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部後側に対応する領域とを含む。
【0058】
[第3実施形態]
図20は、本開示の第3実施形態に係る運動用タイツ3を概略的に示す正面図である。
図21は、運動用タイツ3を概略的に示す背面図である。
図22は、運動用タイツ3を概略的に示す側面図である。本実施形態の運動用タイツ3において、第1実施形態の運動用タイツ1または第2実施形態の運動用タイツ2と共通する事項については、適宜説明を省略する。
【0059】
運動用タイツ3は、本体生地10と、第1部材としての第1低伸縮性素材と、第2部材としての第2低伸縮性素材を備える。本実施形態の本体生地10は、第1実施形態および第2実施形態の本体生地10と同様である。
【0060】
本実施形態の第1低伸縮性素材は、第1実施形態および第2実施形態の第1低伸縮性素材と同様の素材であってよい。第1低伸縮性素材は、複数の低伸縮要素30として、本体生地10にプリントなどの接合方法により取り付けられている。第1実施形態と同様に、第1低伸縮性素材を複数の低伸縮要素30として本体生地10に取り付けることで、複数の低伸縮要素30に隙間が形成されやすい。そのため、第1低伸縮性素材を例えばシート状部材として本体生地10に取り付ける場合よりも、運動用タイツ1の通気性を確保させやすく、また運動用タイツ1を脚の動きに追従しやすくさせることができる。
【0061】
複数の低伸縮要素30は、本体生地10の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置されている。本実施形態では、複数の低伸縮要素30は、本体生地10の外面に配置されている。
図20~
図22に示すように、複数の低伸縮要素30は、少なくとも、第1筒部12のうちの着用者の第1脚の大腿部内側に対応する領域と、第2筒部14のうちの着用者の第2脚の大腿部内側に対応する領域と、に配置されている。本実施形態における複数の低伸縮要素30が配置された領域を、低伸縮領域32Eとも称する。低伸縮領域32Eの詳細については後述する。
【0062】
本実施形態の第2低伸縮性素材は、第2実施形態の第2低伸縮性素材と同様の素材であってよい。第2低伸縮性素材は、例えばシート状のシリコンシートとして、本体生地10にプリントなどの接合方法により取り付けられている。第2低伸縮性素材は、本体生地10の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置されている。
【0063】
第2部材としての第2低伸縮性素材は、少なくとも、第1筒部12のうちの着用者の第1脚の大腿部外側に対応する領域と、第2筒部14のうちの着用者の第2脚の大腿部外側に対応する領域と、に配置されている。
【0064】
第2部材としての第2低伸縮性素材は、第1筒部12のうちの着用者の第1脚の大腿部外側に対応する領域を通って裾に向かって延びる第1延在部80と、第2筒部14のうちの着用者の第2脚の大腿部外側に対応する領域を通って裾に向かって延びる第2延在部82として、本体生地10に取り付けられている。
図20~
図22に示す例では、第1延在部80の上端および第2延在部82の上端は、それぞれ、第3筒部16のうちの着用者の臀部に対応する位置に位置している。しかし、第1延在部80の上端は第1筒部12に位置していてもよいし、第2延在部82の上端は第2筒部14に位置していてもよい。また、
図20~
図22に示す例では、第1延在部80の下端は第1筒部12の裾よりも上方に位置し、第2延在部82の下端は第2筒部14の裾よりも上方に位置している。しかし、第1延在部80の下端は第1筒部12の裾に位置していてもよいし、第2延在部82の下端は第2筒部14の裾に位置していてもよい。
【0065】
第1延在部80は、第1筒部12のうちの後ろ身頃を通って裾に向かって延びる第1後側延在部分84と、第1筒部12のうちの第1後側延在部分84よりも前身頃側を通って裾に向かって延びる第1前側延在部分86と、を含む。
図20~
図22に示す例では、第1前側延在部分86は、第1筒部12のうちの前身頃を通って裾に向かって延びている。第1後側延在部分84は、第1筒部12のうちの着用者の第1脚の大腿四頭筋の外側広筋の後側の縁に沿って延びていてもよい。また、第1前側延在部分86は、第1筒部12のうちの着用者の第1脚の大腿四頭筋の外側広筋の前側の縁に沿って延びていてもよい。これにより、着用者の第1脚の大腿四頭筋の外側広筋が伸縮することを妨げないようにしつつ、着用者の第1脚の大腿部外側をサポートすることができる。
【0066】
第2延在部82は、第2筒部14のうちの後ろ身頃を通って裾に向かって延びる第2後側延在部分88と、第2筒部14のうちの第2後側延在部分88よりも前身頃側を通って裾に向かって延びる第2前側延在部分90と、を含む。
図20~
図22に示す例では、第2前側延在部分90は、第2筒部14のうちの前身頃を通って裾に向かって延びている。第2後側延在部分88は、第2筒部14のうちの着用者の第2脚の大腿四頭筋の外側広筋の後側の縁に沿って延びていてもよい。また、第2前側延在部分90は、第2筒部14のうちの着用者の第2脚の大腿四頭筋の外側広筋の前側の縁に沿って延びていてもよい。これにより、着用者の第2脚の大腿四頭筋の外側広筋が伸縮することを妨げないようにしつつ、着用者の第2脚の大腿部外側をサポートすることができる。
【0067】
第1後側延在部分84および第1前側延在部分86は、第1接続位置92で接続されている。
図20~
図22に示す例では、第1接続位置92は、第1後側延在部分84の上端と第1前側延在部分86の上端とが合流する位置で、第3筒部16のうちの着用者の臀部に対応する位置に位置している。第1接続位置92の位置は、
図20~
図22に示す位置には限定されない。例えば、第1接続位置92は、第1後側延在部分84の下端と第1前側延在部分86の下端とが合流する位置で、第1筒部12に対応する位置に位置していてもよい。このように、第1後側延在部分84と第1前側延在部分86とが互いに接続されていることで、第1後側延在部分84と第1前側延在部分86とが互いの上下方向の位置関係を維持しやすいので、着用者の第1脚の大腿部外側をよりサポートできる。なお、第1後側延在部分84と第1前側延在部分86とは必ずしも互いに接続されていなくてもよい。
【0068】
第2後側延在部分88および第2前側延在部分90は、第2接続位置94で接続されている。
図20~
図22に示す例では、第2接続位置94は、第2後側延在部分88の上端と第2前側延在部分90の上端とが合流する位置で、第3筒部16のうちの着用者の臀部に対応する位置に位置している。第2接続位置94の位置は、
図20~
図22に示す位置には限定されない。例えば、第2接続位置94は、第2後側延在部分88の下端と第2前側延在部分90の下端とが合流する位置で、第2筒部14に対応する位置に位置していてもよい。このように、第2後側延在部分88と第2前側延在部分90とが互いに接続されていることで、第2後側延在部分88と第2前側延在部分90とが互いの上下方向の位置関係を維持しやすいので、着用者の第2脚の大腿部外側をよりサポートできる。なお、第2後側延在部分88と第2前側延在部分90とは必ずしも互いに接続されていなくてもよい。
【0069】
運動用タイツ3は、本体生地10を含む第1部分と、本体生地10と第1部材としての低伸縮要素30とを含む第2部分と、本体生地10と第2部材としての第2低伸縮性素材とを含む第3部分と、を含む。第1部分は、本体生地10のうち、低伸縮要素30、第1延在部80および第2延在部82のいずれもが配置されていない部分である。第2部分は、本体生地10に、低伸縮要素30が配置されており、かつ、第1延在部80および第2延在部82のいずれもが配置されていない部分である。第3部分は、本体生地10に、低伸縮要素30が配置されておらず、かつ、第1延在部80および第2延在部82のいずれか一方が配置されている部分である。
【0070】
本実施形態の運動用タイツ3は、第1実施形態の運動用タイツ1および第2実施形態の運動用タイツ2とは異なり、本体生地10と第1部材と第2部材とを含む第4部分を含まなくてもよい。すなわち、
図20~
図22に示すように、低伸縮要素30は、第1延在部80が配置された領域および第2延在部82が配置された領域のいずれにも配置されていなくてよい。
【0071】
第1部分と第2部分と第3部分とのうち、第1部分の伸縮性の度合いが最も高く、第3部分の伸縮性の度合いが最も低い。すなわち、第3部分の伸縮性の度合いの方が、第2部分の伸縮性の度合いよりも低い。
【0072】
ここで、低伸縮領域32Eの詳細について説明する。上述の通り、低伸縮領域32Eは、少なくとも、第1筒部12のうちの着用者の第1脚の大腿部内側に対応する領域と、第2筒部14のうちの着用者の第2脚の大腿部内側に対応する領域と、に配置されている。また、低伸縮領域32Eにおいて、複数の低伸縮要素30は、本体生地10に所定の繰り返しパターンで配置されている。低伸縮領域32Eにおいて、上下方向の伸縮性の度合いは、左右方向の伸縮性の度合いよりも大きい。これにより、着用者の第1脚および第2脚の大腿部内側のサポート力を高めつつ、筋肉が主に伸縮する上下方向の伸縮性を確保することができる。
【0073】
図23は、低伸縮領域32Eを概略的に示す図である。低伸縮領域32Eに含まれる複数の低伸縮要素30の繰り返しパターンは、複数の低伸縮要素30が所定方向に沿って配置された線状配置部34を複数含む。
図23では、簡略化のため、1つの線状配置部についてのみ符号34を付しているが、線状配置部34に平行に配置された複数の低伸縮要素30の組それぞれが線状配置部34を構成する。すなわち、
図23では、7つの線状配置部34が図示されている。
【0074】
線状配置部34の延在方向は、上下方向よりも左右方向に近い方向であり、左右方向と平行な方向であってもよい。また、隣り合う線状配置部34同士の間隔は、線状配置部34内で隣り合う低伸縮要素30同士の間隔よりも広い。このような構成とすることで、上述の通り、低伸縮領域32Eにおいて、上下方向の伸縮性の度合いを、左右方向の伸縮性の度合いよりも大きくすることができる。また、線状配置部34の延在方向の角度を調整するだけで、上下方向の伸縮性の度合いと左右方向の伸縮性の度合いとの比率を容易に調整することができる。
【0075】
本実施形態の低伸縮領域32Eは、
図4~
図7に示した低伸縮領域32、32A~32Cと同様であってもよい。また、低伸縮領域32Eは、
図5~
図7に示した低伸縮要素30A~30Cのそれぞれについて、
図23に示したものと同様の繰り返しパターンで配置した領域であってもよい。さらに、第1および第2実施形態における低伸縮領域32についても、本実施形態の低伸縮領域32Eと同様であってもよい。
【0076】
ここで、本実施形態の運動用タイツ3の変形例について説明する。
図1~
図3に示した運動用タイツ1は、運動用タイツ3の変形例ということもできる。この場合、運動用タイツ1における低伸縮要素30は、本実施形態の第2部材の一例である。また、運動用タイツ1における補助生地50は、本実施形態の第1部材の一例である。
図1~
図3に示す例では、運動用タイツ1は、本体生地10に低伸縮要素30と補助生地50とが配置された第4部分を含むが、本実施形態の変形例としての運動用タイツ1は、第4部分を含んでもよいし、第4部分を含まなくてもよい。
図8~
図13に示した運動用タイツ1A~1Fについても、上記同様に、運動用タイツ3の変形例ということができる。
【0077】
図17~
図19に示した運動用タイツ2Aについても、運動用タイツ3の変形例ということができる。この場合、運動用タイツ2Aにおける低伸縮要素30は、本実施形態の第1部材の一例である。また、運動用タイツ2Aにおける第1延在部70および第2延在部72は、本実施形態の第2部材の一例である。
図17~
図19に示す例では、運動用タイツ2Aは、本体生地10に第1延在部70または第2延在部72が配置された領域に低伸縮要素30が配置された第4部分を含むが、本実施形態の変形例としての運動用タイツ2Aは、第4部分を含んでもよいし、第4部分を含まなくてもよい。
【0078】
以上のように、本実施形態の運動用タイツ3は、本体生地10と、第1部材と、第2部材とを備える。本体生地10は、着用者の第1脚を囲むように構成された第1筒部12と、着用者の第2脚を囲むように構成された第2筒部14と、着用者の臀部を囲むように構成された第3筒部16とを含む。第1部材および第2部材は、それぞれ、本体生地10の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置される。第1部材は、少なくとも、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部内側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部内側に対応する領域と、に配置される。第2部材は、少なくとも、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部外側に対応する領域と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部外側に対応する領域と、に配置される。また、運動用タイツ3は、本体生地10を含む第1部分と、本体生地10と第1部材とを含む第2部分と、本体生地10と第2部材とを含む第3部分と、を含み、第1部分と第2部分と第3部分とのうち、第1部分の伸縮性の度合いが最も高く、第3部分の伸縮性の度合いが最も低い。
【0079】
これにより、運動用タイツ3は、着用者の大腿部の内側と外側をサポートしつつ、外側をより強くサポートするので、走行等の運動による皮膚の伸縮が比較的大きい大腿部内側については皮膚の動きの阻害を最小限に抑えつつサポートし、走行等の運動による皮膚の伸縮が比較的小さい大腿部外側をより強くサポートすることで、運動中の着用者の身体を適切にサポートすることができる。なお、皮膚の動きをコントロールすることで、当該皮膚に関連する筋肉の動きもコントロールできる。
【0080】
本実施形態の運動用タイツ3において、第2部材は、第1筒部12のうちの第1脚の大腿部外側に対応する領域を通って裾に向かって延びる第1延在部80と、第2筒部14のうちの第2脚の大腿部外側に対応する領域を通って裾に向かって延びる第2延在部82として、本体生地10に取り付けられていてもよい。
【0081】
このように、第2部材を着用者の大腿骨に沿う方向に連続する形状で配置することで、例えば着地衝撃等により軟部組織が大腿骨周りに回転しようとするぶれを抑制することができる。また、このような形状の第2部材を大腿部内側に配置した場合には大腿部内側の皮膚の動きを阻害しやすいが、第2部材を大腿部外側に配置することで、皮膚の動きの阻害を最小限に抑えることができる。なお、皮膚の動きをコントロールすることで、当該皮膚に関連する筋肉の動きもコントロールできる。
【0082】
本実施形態の運動用タイツ3において、第1延在部80は、第1筒部12のうちの後ろ身頃を通って裾に向かって延びる第1後側延在部分84と、第1筒部12のうちの第1後側延在部分84よりも前身頃側を通って裾に向かって延びる第1前側延在部分86と、を含んでもよい。これにより、第1延在部80を着用者の第1脚の大腿四頭筋の外側広筋の中心の位置を避けて配置しやすいので、着用者の第1脚の大腿四頭筋の外側広筋が伸縮することを妨げないようにしつつ、着用者の第1脚の大腿部外側をサポートすることができる。
【0083】
本実施形態の運動用タイツ3において、第1後側延在部分84および第1前側延在部分86は、第3筒部16に対応する位置で接続されていてもよい。このように、第1後側延在部分84と第1前側延在部分86とが互いに接続されていることで、第1後側延在部分84と第1前側延在部分86とが互いの上下方向の位置関係を維持しやすいので、着用者の第1脚の大腿部の軟部組織が大腿骨周りに回転しようとするぶれをより抑制できる。
【0084】
本実施形態の運動用タイツ3において、第1部材は、複数の低伸縮要素30として本体生地10に取り付けられていてもよい。これにより、運動用タイツ3の通気性を確保させやすい。
【0085】
本実施形態の運動用タイツ3において、複数の低伸縮要素30は、所定の繰り返しパターンで配置されていてもよく、複数の低伸縮要素30が配置された領域において、着用者の身体における上下方向の伸縮性の度合いは、着用者の身体における左右方向の伸縮性の度合いよりも大きくてもよい。これにより、着用者の第1脚および第2脚の大腿部内側のサポート力を高めつつ、筋肉が主に伸縮する上下方向の伸縮性を確保することができる。
【0086】
本実施形態の運動用タイツ3において、繰り返しパターンは、複数の低伸縮要素30が所定方向に沿って配置された線状配置部34を複数含んでもよく、線状配置部34の延在方向は、上下方向よりも左右方向に近い方向であってもよく、隣り合う線状配置部34同士の間隔は、線状配置部34内で隣り合う低伸縮要素30同士の間隔よりも広くてもよい。これにより、低伸縮領域32Eにおいて、上下方向の伸縮性の度合いを、左右方向の伸縮性の度合いよりも大きくすることができる。また、線状配置部34の延在方向の角度を調整するだけで、上下方向の伸縮性の度合いと左右方向の伸縮性の度合いとの比率を容易に調整することができる。
【0087】
以上、本開示について実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、上述した実施形態を一般化すると以下の態様が得られる。
【0088】
〔態様1〕
着用者の第1脚を囲むように構成された第1筒部と、前記着用者の第2脚を囲むように構成された第2筒部と、前記着用者の臀部を囲むように構成された第3筒部とを含む本体生地と、
前記本体生地の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置された第1部材と、
前記本体生地の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置された第2部材と、
を備え、
前記本体生地を含む第1部分と、前記本体生地と前記第1部材とを含む第2部分と、前記本体生地と前記第2部材とを含む第3部分と、前記本体生地と前記第1部材と前記2部材とを含む第4部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分と前記第4部分とのうち、前記第1部分の伸縮性の度合いが最も高く、前記第4部分の伸縮性の度合いが最も低い、
運動用タイツ。
【0089】
態様1によれば、本体生地に対して第1部材および第2部材のそれぞれをどのように配置するかに応じて、部分ごとの伸縮性の度合いを高い自由度で設定することができる。そのため、態様1では、運動中の着用者の身体を適切にサポートすることができる。
【0090】
〔態様2〕
前記第1部材は、低伸縮性素材であってもよく、
前記低伸縮性素材の伸縮性の度合いは、前記本体生地の伸縮性の度合い以下であってもよく、
前記低伸縮性素材は、複数の低伸縮要素として前記本体生地に取り付けられていてもよい、
態様1に記載の運動用タイツ。
【0091】
態様2によれば、低伸縮性素材を複数の低伸縮要素として本体生地に取り付けるので、複数の低伸縮要素に隙間が形成されやすい。そのため、運動用タイツの通気性を確保させやすい。
【0092】
〔態様3〕
前記複数の低伸縮要素は、所定の繰り返しパターンで配置されていてもよく、
前記複数の低伸縮要素が配置された領域において、所定方向における伸縮性の度合いは、前記所定方向と直交する方向における伸縮性の度合いとは異なっていてもよい、
態様2に記載の運動用タイツ。
【0093】
態様3によれば、複数の低伸縮要素が配置された領域における伸縮性の度合いに方向性を持たせることができる。これにより、態様3では、例えば、着用者の運動に連動して伸縮しやすい運動用タイツの部位やその方向性等に応じて、複数の低伸縮要素が配置された領域の配置やその伸縮性の度合いの方向性を設定することができるので、運動中の着用者の身体をより適切にサポートすることができる。
【0094】
〔態様4〕
前記第3筒部は、前記着用者の腰部をさらに囲むように構成されていてもよく、
前記複数の低伸縮要素は、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部外側に対応する領域と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部外側に対応する領域と、前記第3筒部のうちの前記腰部の背面に対応する領域とに少なくとも配置されていてもよい、
態様2または態様3に記載の運動用タイツ。
【0095】
態様4によれば、運動中の着用者の身体のサポートが特に要求される身体部位に対応する位置に低伸縮領域を配置するので、運動中の着用者の身体をより適切にサポートすることができる。
【0096】
〔態様5〕
前記第2部材は、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部内側に対応する領域と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部内側に対応する領域と、前記第3筒部に対応する領域と、に亘って連続する補助生地であってもよい、
態様4に記載の運動用タイツ。
【0097】
態様5によれば、一体的に形成された補助生地を、本体生地のうち、運動中の着用者の身体のサポートが特に要求される身体部位に対応する位置に配置することができる。また、態様5によれば、補助生地を複数の低伸縮要素と併せて補助生地に配置することで、運動中の着用者の身体のサポートをより向上させることができる。
【0098】
〔態様6〕
前記補助生地は、前記補助生地の前記本体生地と対向する面における複数の位置で前記本体生地に取り付けられていてもよい、
態様5に記載の運動用タイツ。
【0099】
態様6によれば、着用者が激しく運動しても、補助生地が本体生地に配置された位置からずれにくくすることができる。
【0100】
〔態様7〕
前記複数の低伸縮要素は前記本体生地の外面に配置されていてもよく、
前記補助生地は前記本体生地の内面に配置されていてもよい、
態様5または態様6に記載の運動用タイツ。
【0101】
態様7によれば、本体生地の互いに異なる面において、複数の低伸縮要素が配置される領域と補助生地が配置される領域とが形成される。これにより、本体生地と複数の低伸縮要素と補助生地とが重なり合う部分において、複数の低伸縮要素と補助生地とが互いに干渉しないため、複数の低伸縮要素と補助生地とを本体生地に安定的に取り付けることができる。また、態様7によれば、補助生地は本体生地の内面に配置されている。これにより、着用者が運動用タイツを着用している際に、補助生地は外部から視認されにくいため、運動用タイツ1の匠性を向上させやすい。
【0102】
〔態様8〕
前記低伸縮性素材は第1低伸縮性素材であってもよく、
前記第2部材は、第2低伸縮性素材であってもよく、
前記第2低伸縮性素材の伸縮性の度合いは、前記本体生地の伸縮性の度合い以下であってもよく、
前記第2低伸縮性素材は、前記第3筒部のうちの前記着用者の臀部に対応する位置から前記第1筒部の裾に向かって延びる第1延在部と、前記第3筒部のうちの前記着用者の臀部に対応する位置から前記第2筒部の裾に向かって延びる第2延在部として、前記本体生地に取り付けられていてもよい、
態様2または態様3に記載の運動用タイツ。
【0103】
態様8によれば、第1延在部および第2延在部のそれぞれの延在方向に沿う伸縮性の度合いを特に低くすることができるので、運動に伴う筋肉の振動を抑え、複数の低伸縮要素30と共に多様な伸縮性を実現することができる。
【0104】
〔態様9〕
前記複数の低伸縮要素は、前記第1延在部の少なくとも一部と重複する第1領域と、前記第2延在部の少なくとも一部と重複する第2領域とに少なくとも配置されていてもよい、
態様8に記載の運動用タイツ。
【0105】
態様9によれば、第1領域および第2領域において特に伸縮性の度合いを低くすることができる。
【0106】
〔態様10〕
前記第1領域は、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部外側に対応する領域または前記第1脚の大腿部内側に対応する領域であってもよく、
前記第2領域は、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部外側に対応する領域または前記第2脚の大腿部内側に対応する領域であってもよい、
態様9に記載の運動用タイツ。
【0107】
態様10によれば、運動中の着用者の身体のサポートが特に要求される身体部位に対応する領域の伸縮性の度合いを低くすることができる。
【0108】
〔態様11〕
前記第1領域のうち、前記複数の低伸縮要素と前記第1延在部とが重複する領域では、前記複数の低伸縮要素が取り付けられた前記本体生地を覆うように前記第1延在部が取り付けられていてもよい、
態様9または態様10に記載の運動用タイツ。
【0109】
態様11によれば、複数の低伸縮要素がプリント等により取り付けられた本体生地の上から、例えばシート状の第1延在部を配置すればよいので、製造を行いやすい。
【0110】
〔態様12〕
着用者の第1脚を囲むように構成された第1筒部と、前記着用者の第2脚を囲むように構成された第2筒部と、前記着用者の臀部を囲むように構成された第3筒部とを含む本体生地と、
前記本体生地の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置された第1部材と、
前記本体生地の内面および外面のうちの少なくとも一方の面に配置された第2部材と、
を備え、
前記本体生地を含む第1部分と、前記本体生地と前記第1部材とを含む第2部分と、前記本体生地と前記第2部材とを含む第3部分と、を含み、
前記第1部分と前記第2部分と前記第3部分とのうち、前記第1部分の伸縮性の度合いが最も高く、前記第3部分の伸縮性の度合いが最も低く、
前記第1部材は、少なくとも、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部内側に対応する領域と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部内側に対応する領域と、に配置され、
前記第2部材は、少なくとも、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部外側に対応する領域と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部外側に対応する領域と、に配置される、
運動用タイツ。
【0111】
態様12によれば、着用者の大腿部の内側と外側をサポートしつつ、外側をより強くサポートするので、走行等の運動による皮膚の伸縮が比較的大きい大腿部内側については皮膚の動きの阻害を最小限に抑えつつサポートし、走行等の運動による皮膚の伸縮が比較的小さい大腿部外側をより強くサポートすることで、運動中の着用者の身体を適切にサポートすることができる。なお、皮膚の動きをコントロールすることで、当該皮膚に関連する筋肉の動きもコントロールできる。
【0112】
〔態様13〕
前記第2部材は、前記第1筒部のうちの前記第1脚の大腿部外側に対応する領域を通って裾に向かって延びる第1延在部と、前記第2筒部のうちの前記第2脚の大腿部外側に対応する領域を通って裾に向かって延びる第2延在部として、前記本体生地に取り付けられていてもよい、
態様12に記載の運動用タイツ。
【0113】
態様13によれば、第2部材を着用者の大腿骨に沿う方向に連続する形状で配置することになるので、例えば着地衝撃等により軟部組織が大腿骨周りに回転しようとするぶれを抑制することができる。また、このような形状の第2部材を大腿部内側に配置した場合には大腿部内側の皮膚の動きを阻害しやすいが、第2部材を大腿部外側に配置することで、皮膚の動きの阻害を最小限に抑えることができる。
【0114】
〔態様14〕
前記第1延在部は、前記第1筒部のうちの後ろ身頃を通って裾に向かって延びる第1後側延在部分と、前記第1筒部のうちの前記第1後側延在部分よりも前身頃側を通って裾に向かって延びる第1前側延在部分と、を含んでもよい、
態様13に記載の運動用タイツ。
【0115】
態様14によれば、第1延在部を着用者の第1脚の大腿四頭筋の外側広筋の中心の位置を避けて配置しやすいので、着用者の第1脚の大腿四頭筋の外側広筋が伸縮することに伴う皮膚の変形を妨げないようにしつつ、着用者の第1脚の大腿部外側をサポートすることができる。
【0116】
〔態様15〕
前記第1後側延在部分および前記第1前側延在部分は、前記第3筒部に対応する位置で接続されていてもよい、
態様14に記載の運動用タイツ。
【0117】
態様15によれば、第1後側延在部分と第1前側延在部分とが互いの上下方向の位置関係を維持しやすいので、着用者の第1脚の大腿部の軟部組織が大腿骨周りに回転しようとするぶれをより抑制できる。
【0118】
〔態様16〕
前記第1部材は、複数の低伸縮要素として前記本体生地に取り付けられていてもよい、
態様12から態様15のいずれかに記載の運動用タイツ。
【0119】
態様16によれば、第1部材を複数の低伸縮要素として本体生地に取り付けるので、複数の低伸縮要素に隙間が形成されやすい。そのため、運動用タイツの通気性を確保させやすい。
【0120】
〔態様17〕
前記複数の低伸縮要素は、所定の繰り返しパターンで配置されていてもよく、
前記複数の低伸縮要素が配置された領域において、前記着用者の身体における上下方向の伸縮性の度合いは、前記着用者の身体における左右方向の伸縮性の度合いよりも大きくてもよい、
態様16に記載の運動用タイツ。
【0121】
態様17によれば、着用者の第1脚および第2脚の大腿部内側のサポート力を高めつつ、皮膚が主に伸縮する上下方向の伸縮性を確保することができる。
【0122】
〔態様18〕
前記繰り返しパターンは、前記複数の低伸縮要素が所定方向に沿って配置された線状配置部を複数含んでもよく、
前記線状配置部の延在方向は、前記上下方向よりも前記左右方向に近い方向であってもよく、
隣り合う前記線状配置部同士の間隔は、前記線状配置部内で隣り合う前記低伸縮要素同士の間隔よりも広くてもよい、
態様17に記載の運動用タイツ。
【0123】
態様18によれば、複数の低伸縮要素が配置された領域において、上下方向の伸縮性の度合いを、左右方向の伸縮性の度合いよりも大きくすることができる。また、線状配置部34の延在方向の角度を調整するだけで、上下方向の伸縮性の度合いと左右方向の伸縮性の度合いとの比率を容易に調整することができる。
【符号の説明】
【0124】
1,2,3…運動用タイツ、10…本体生地、12…第1筒部、14…第2筒部、16…第3筒部、30…低伸縮要素、50…補助生地、70,80…第1延在部、72,82…第2延在部、74…第1領域、76…第2領域、84…第1後側延在部分、86…第1前側延在部分、92…第1接続位置。