(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015561
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】気密接続用ユニット、気密接続用アセンブリ、気密容器及び気化器、並びに気密接続用アセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20250123BHJP
H01R 43/20 20060101ALI20250123BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20250123BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H01R9/16 101
H01R43/20 Z
H01R13/52 301H
H05K5/06 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024195647
(22)【出願日】2024-11-08
(62)【分割の表示】P 2021550598の分割
【原出願日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2019179266
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】724014121
【氏名又は名称】桑名金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 章
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とする。
【解決手段】信号又は流体の通路を構成する導通部材と、気密容器の隔壁に形成された第1孔を覆うことが可能な形状を有する第1封止部材及び封止材を含む封止部と、導通部材の何れか一方又は両方の端部に接続されたコネクタを含む接続部と、を備える気密接続用アセンブリにおいて、気密容器の内部と外部とを連通するように形成された貫通孔である第2孔を第1封止部材に形成し、導通部材を第2孔に個別に挿通し、導通部材と第2孔の内周面との間に封止材を充填する。コネクタと第1封止部材とを結合してコネクタと第1封止部材との位置関係を固定する結合部材を更に備えてもよい。第1孔を取り囲み且つ隔壁と第1封止部材との間に介在する第2封止部材を更に備えてもよい。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密容器の隔壁を貫通する第1孔に挿通される1又は2以上の導通部材を介して前記気密容器の内部と外部との間において信号又は流体の授受を可能とする気密接続用ユニットであって、
前記第1孔を覆うことが可能な前記第1孔よりも大きい平板状の形状を有する汎用の部材である第1封止部材を含む封止部と、
前記導通部材の何れか一方又は両方の端部にそれぞれ接続することが可能であり且つ前記導通部材とは別体の部材である汎用のコネクタを含む接続部と、
を備え、
前記第1孔に挿通された前記導通部材が更に個別に挿通可能であるように前記第1封止部材を貫通する第2孔が形成されており、
前記第2孔の数、大きさ及び形状は、前記第2孔に挿通される前記導通部材の数、太さ及び形状に合わせて設計され、
前記導通部材と前記第2孔の内周面との間に充填されて気密を維持するための部材である封止材を前記封止部が更に備え、
前記第2孔における前記導通部材の前記挿通位置は、前記封止材以外の部材によって拘束されない、
気密接続用ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載された気密接続用ユニットであって、
少なくとも1つの前記コネクタと前記第1封止部材とを結合して前記コネクタと前記第1封止部材との位置関係を固定することが可能な部材である結合部材を含む結合部、
を更に備える、
気密接続用ユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された気密接続用ユニットであって、
前記第1孔を取り囲み且つ前記隔壁と前記第1封止部材との間に介在することが可能な部材である第2封止部材を更に備える、
気密接続用ユニット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された気密接続用ユニット及び前記導通部材を備える気密接続用アセンブリであって、
前記導通部材が前記第2孔に個別に挿通されており、
前記導通部材と前記第2孔の内周面との間に前記封止材が充填されており、
前記導通部材の何れか一方又は両方の端部に前記コネクタが接続されている、
気密接続用アセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載された気密接続用アセンブリを備える気密容器であって、
前記第1封止部材が前記第1孔を覆うことにより前記第1孔が塞がれており、
前記導通部材が前記第2孔を介して前記第1孔に挿通されて前記気密容器の内部から外部に亘って延在している、
気密容器。
【請求項6】
請求項5に記載された気密容器と、
前記気密容器の内部に収容されたタンクと、
前記タンクの内部に収容されたガス及び/若しくは前記ガスの発生源となる物質であるガス原料の量及び/若しくは状態に対応する検出信号を出力するように構成されたセンサ並びに/又は電力を供給されて前記ガス原料を加熱するように構成されたヒータと、
を備える気化器であって、
前記気密接続用アセンブリが備える前記導通部材を介して前記ガス及び/又は前記検出信号及び/又は前記電力が前記気密容器の内部と外部との間において授受されるように構成されている、
気化器。
【請求項7】
気密容器の隔壁を貫通する第1孔に挿通される1又は2以上の導通部材を介して前記気密容器の内部と外部との間において信号又は流体の授受を可能とする気密接続用アセンブリの製造方法であって、
前記気密接続用アセンブリは、
前記第1孔を覆うことが可能な前記第1孔よりも大きい平板状の形状を有する汎用の部材である第1封止部材を含む封止部と、
前記導通部材の何れか一方又は両方の端部にそれぞれ接続することが可能であり且つ前記導通部材とは別体の部材である汎用のコネクタを含む接続部と、
を備え、
前記第1孔に挿通された前記導通部材が更に個別に挿通可能であるように前記第1封止部材を貫通する第2孔が形成されており、
前記第2孔の数、大きさ及び形状は、前記第2孔に挿通される前記導通部材の数、太さ及び形状に合わせて設計され、
前記導通部材と前記第2孔の内周面との間に充填されて気密を維持するための部材である封止材を前記封止部が更に備え、
前記第2孔における前記導通部材の前記挿通位置は、前記封止材以外の部材によって拘束されず、
前記気密接続用アセンブリの製造方法は、
前記導通部材の少なくとも一方の端部に前記コネクタを接続すること、
前記導通部材を前記第2孔に個別に挿通すること、
前記第2孔の内周面と前記導通部材との間に前記封止材を充填すること、
前記導通部材を前記第1孔に挿通すること、及び
前記隔壁の所定の位置に前記第1封止部材を固定して前記第1封止部材によって前記第1孔を塞ぐこと、
を含む、
気密接続用アセンブリの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載された気密接続用アセンブリの製造方法であって、
前記気密接続用アセンブリは、少なくとも1つの前記コネクタと前記第1封止部材とを結合して前記コネクタと前記第1封止部材との位置関係を固定する部材である結合部材を含む結合部を更に備え、
前記気密接続用アセンブリの製造方法は、
少なくとも1つの前記コネクタと前記第1封止部材とを前記結合部材によって結合して前記コネクタと前記第1封止部材との位置関係を固定すること、
を更に含む、
気密接続用アセンブリの製造方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載された気密接続用アセンブリの製造方法であって、
前記気密接続用アセンブリは、前記第1孔を取り囲み且つ前記隔壁と前記第1封止部材との間に介在することが可能な部材である第2封止部材を更に備え、
前記気密接続用アセンブリの製造方法は、
前記導通部材を前記第2封止部材に挿通すること、及び
前記第1孔を取り囲み且つ前記隔壁と前記第1封止部材との間に介在するように前記第2封止部材を配設すること、
を更に含む、
気密接続用アセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器等が収容された気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とする気密接続用ユニット並びにその関連製品である気密接続用アセンブリ、気密容器及び気化器に関する。更に、本発明は、当該気密接続用アセンブリの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野においては、電気機器を収容している気密容器の内部の気体の圧力を気密容器の周囲の気体の圧力よりも高く保つことにより、電気機器から発生する火花によって誘発される爆発を防止する技術が知られている。より具体的には、電気機器を気密容器の内部に収容し、気密容器の内部の気体(例えば、窒素ガス等の不活性ガス)の圧力を周囲の気体の圧力よりも高く保つことにより、例えば爆発性、可燃性又は自然発火性を有するガス、蒸気又は粉塵等(以降、「可燃性物質」と総称される場合がある。)が気密容器の内部に侵入することを妨げる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
上記技術は、気密容器の内部に可燃性物質が存在している場合においても有効である。例えば、可燃性物質が貯蔵されたタンクを気密容器に収容し、気密容器の内部に不活性ガスを充填する。これにより、万一タンクから可燃性物質が漏れ出しても、気密容器の内部に可燃性物質を留めておくことができる。加えて、気密容器の内部の気体の圧力を周囲の空気の圧力よりも高く保つことにより周囲の空気が気密容器の内部に侵入することを妨げることができるので、気密容器の内部における酸素濃度を爆発下限濃度未満に抑えて可燃性物質の燃焼及び爆発を防止することができる。
【0004】
ところで、例えば、気密容器の内部に収容された電気機器に気密容器の外部から電力を供給したり、気密容器の内部に収容された電気機器又はタンクに設けられたセンサ等から出力される電気信号を気密容器の外部に取り出したりすることが必要な場合がある。このような場合、「ハーメチックコネクタ」又は「気密端子」と称呼される特殊なコネクタを用いて上述したような電力及び/又は電気信号を気密容器の内部と外部との間において授受することが一般的である。
【0005】
上記のような特殊なコネクタにおいては、例えば、金属外環とリード線とがガラスを介して気密絶縁的に封止され、金属外環とリード線とが電気的に絶縁されると共に、気密容器の気密が維持される(例えば、特許文献2を参照。)。尚、気密容器の外部にある他の機器と電気的に接続するためのケーブル等とリード線とは、例えば溶接及びはんだ付け等の手法によって接続することができる。或いは、ケーブル等とリード線とは、例えばコネクタを介して接続することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5101710号明細書
【特許文献2】特開昭57-211255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在市販されているハーメチックコネクタには、例えば、金属外環の大きさ及び形状、リード線の太さ、形状及び材質、並びに封止材の材質(例えば、ガラス等)等の構成が異なる多種多様なバリエーションが存在する。しかしながら、バリエーションの数は有限であり、目的とする用途における要求仕様に好適なハーメチックコネクタを入手することは必ずしも容易ではない。
【0008】
また、前述したように、気密容器の外部及び/又は内部にある他の機器との電気的接続のためのケーブル等とハーメチックコネクタを構成するリード線とは、例えばコネクタを介して接続することができる。しかしながら、従来のハーメチックコネクタにおいては、リード線の構成(個々のリード線の太さ、形状及び材質、並びにリード線の配置等)に関する統一された規格等が存在しない。このため、従来のハーメチックコネクタを構成するリード線と上記のようなケーブルとの接続を容易化するためには、個々のハーメチックコネクタ(におけるリード線の構成)に応じた専用のコネクタを用意する必要がある。その結果、例えばハーメチックコネクタを備える気密容器等を含む装置(例えば、気化器等)のコストの増大等の問題に繋がる虞がある。
【0009】
上記のように、当該技術分野においては、簡易な構成により気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とする技術が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明者は、鋭意研究の結果、従来のハーメチックコネクタにおいて単一の構造によって実現されている絶縁、封止及び接続の3つの機能を、複数の構造によって実現することにより、上記要求に応えることができることを見出した。
【0011】
具体的には、本発明に係る気密接続用ユニット(以降、「本発明ユニット」と称呼される場合がある。)は、気密容器の隔壁を貫通する第1孔に挿通される1又は2以上の導通部材を介して前記気密容器の内部と外部との間において信号又は流体の授受を可能とする気密接続用ユニットである。本発明ユニットは封止部及び接続部を備える。封止部は、第1孔を覆うことが可能な形状を有する部材である第1封止部材を含む。接続部は、導通部材の何れか一方又は両方の端部にそれぞれ接続することが可能なコネクタを含む。本発明ユニットにおいては、第1孔に挿通された導通部材が更に挿通可能であるように第1封止部材を貫通する第2孔が形成されている。
【0012】
また、本発明に係る気密接続用アセンブリ(以降、「本発明アセンブリ」と称呼される場合がある。)は、上述した本発明ユニット及び導通部材を備え且つ封止部が封止材を更に備える気密接続用アセンブリである。更に、導通部材が第2孔に個別に挿通されており、導通部材と第2孔の内周面との間に封止材が充填されている。加えて、導通部材の何れか一方又は両方の端部にコネクタが接続されている。
【0013】
更に、本発明に係る気密容器(以降、「本発明容器」と称呼される場合がある。)は、上述した本発明アセンブリを備える気密容器である。更に、第1封止部材が第1孔を覆うことにより第1孔が塞がれている。加えて、導通部材が第2孔を介して第1孔に挿通されて気密容器の内部から外部に亘って延在している。
【0014】
加えて、本発明に係る気化器(以降、「本発明気化器」と称呼される場合がある。)は、上述した本発明気密容器と、本発明気密容器の内部に収容されたタンクと、センサ及び/又はヒータと、を備える気化器である。センサは、タンクの内部に収容されたガス及び/又はガスの発生源となる物質であるガス原料の量及び/又は状態に対応する検出信号を出力するように構成されている。ヒータは、電力を供給されて上記ガス原料を加熱するように構成されている。本発明気化器は、本発明アセンブリが備える導通部材を介してガス及び/又は検出信号及び/又は電力が本発明容器の内部と外部との間において授受されるように構成されている。
【0015】
一方、本発明に係る気密接続用アセンブリの製造方法(以降、「本発明方法」と称呼される場合がある。)は、上述した本発明アセンブリの製造方法であって、以下に列挙する各工程を含む。
【0016】
導通部材の何れか一方又は両方の端部にコネクタを接続すること、導通部材を第2孔に個別に挿通すること、第2孔の内周面と導通部材との間に封止材を充填すること、導通部材を第1孔に挿通すること、及び、気密容器の隔壁の所定の位置に第1封止部材を固定して第1封止部材によって第1孔を塞ぐこと。
【発明の効果】
【0017】
本発明ユニットによれば、導通部材の絶縁及び封止の機能を達成する封止部と、導通部材の接続の機能を達成するコネクタとが、互いに異なる独立した部材として構成されているので、封止部及びコネクタの構成に関して選択の幅が拡がる。このため、自由度の高い簡易な構成により、本発明アセンブリ、本発明容器及び本発明気化器をそれぞれ集成して、気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とすることができる本発明容器を提供することができる。
【0018】
即ち、本発明ユニットによれば、従来技術に比べて封止部及びコネクタをより自由に構成することができるので、要求される仕様に最適な気密接続用ユニットを容易に実現することができる。また、本発明ユニット及び/又は本発明アセンブリは、簡易な構成を有するので、専用のコネクタを用意する必要も無く、気密容器を含む装置のコストを低減することができる。
【0019】
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る気密接続用ユニット(第1ユニット)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る気密接続用アセンブリ(第1アセンブリ)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る気密容器(第1容器)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る気化器(第1気化器)の構成の一例を示す模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る気密接続用アセンブリの製造方法(第1方法)に含まれる各工程の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る気密接続用ユニット(第2ユニット)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る気密接続用アセンブリ(第2アセンブリ)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る気密容器(第2容器)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る気密接続用アセンブリの製造方法(第2方法)に含まれる各工程の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る気密接続用ユニット(第3ユニット)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る気密接続用アセンブリ(第3アセンブリ)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る気密容器(第3容器)の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る気密接続用アセンブリの製造方法(第3方法)に含まれる各工程の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の実施例に係る気密接続用アセンブリ(実施例アセンブリ)の構成の一例を示す模式的な分解斜視図である。
【
図15】
図14に示した実施例アセンブリの上下を反対にした場合における模式的な分解斜視図である。
【
図16】
図14及び
図15に示した実施例アセンブリが備える第1封止部材の気密容器に対向する面に形成された凹部と第2封止部材との位置関係を示す模式的な分解斜視図である。
【
図17】
図14乃至
図16に示した実施例アセンブリが備える外部コネクタに接続された導通部材が気密容器の隔壁に形成された第1孔及び第1封止部材に形成された第2孔に挿通された状態を示す模式的な分解斜視図である。
【
図18】
図14乃至
図17に示した実施例アセンブリが気密容器に取り付けられている状況を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《第1実施形態》
〈構成〉
(1)気密接続用ユニット
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る気密接続用ユニット(以降、「第1ユニット」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0022】
第1ユニットは、気密容器の隔壁を貫通する第1孔に挿通される1又は2以上の導通部材を介して前記気密容器の内部と外部との間において信号又は流体の授受を可能とする気密接続用ユニットである。第1ユニットは封止部及び接続部を備える。
【0023】
封止部は、第1孔を覆うことが可能な形状を有する部材である第1封止部材を含む。第1封止部材の形状は、気密容器の隔壁に形成された貫通孔である第1孔を覆うことが可能な形状である限り特に限定されない。典型的には、第1封止部材は、第1孔よりも大きい板状の部材である。また、第1封止部材を構成する材料は、第1ユニットが取り付けられる気密容器の用途における使用環境に耐え得るものである限り特に限定されない。典型的には、第1封止部材を構成する材料は、例えばアルミニウム及び鉄等の金属若しくは樹脂又はこれらの複合材料である。
【0024】
接続部は、導通部材の何れか一方又は両方の端部にそれぞれ接続することが可能なコネクタを含む。第1ユニットは、導通部材によって伝達される信号又は導通部材によって構成される通路を流れる流体を授受するために、他の機器又は設備等が備える導通部材(例えば、センサが備える信号線又は流体が内部に流れる配管等)と第1ユニットが適用される気密容器の内部に配設される機器又は設備等が備える導通部材とを連通させるためのコネクタを導通部材の一端又は両端に接続することが可能であるように構成されている。
【0025】
上記信号が電気信号である場合、上記コネクタは、例えばプラグ若しくはジャック(レセプタクルを含む)又はギボシ端子のオス若しくはメス等であってもよい。上記信号が光信号である場合、上記コネクタは、例えば光コネクタ等であってもよい。一方、導通部材によって構成される通路を流体が流れる場合、上記コネクタは、例えば継ぎ手等であってもよい。導通部材の何れか一方の端部に接続されるコネクタの数は、1つであってもよく、或いは複数(即ち、2つ以上)であってもよい。後者の場合、複数のコネクタは、同じ種類のコネクタであってもよく、或いは異なる種類のコネクタであってもよい。第1ユニットにおいては、例えば市販されている一般的なコネクタ及び/又は継ぎ手等を、接続部に含まれるコネクタとして採用することができる。
【0026】
上述したように、第1封止部材は第1孔を覆うことが可能な形状を有する部材である。第1ユニットから製造される本発明に係る気密接続用アセンブリが気密容器に取り付けられている状態においては、第1孔を覆うように第1封止部材が配設されている。このような状態を達成し維持するための手段及び/又は手法は特に限定されない。例えば、気密容器の隔壁及び/又は第1封止部材に形成された貫通孔に挿通されたボルト又はネジ等の締結部材によって気密容器の隔壁に第1封止部材を固定したり、例えば接着剤等によって気密容器の隔壁に第1封止部材を固定したりして、第1封止部材によって第1孔を覆ってもよい。このような状態においても気密容器の内部と外部との間において導通部材を経由する信号及び/又は流体の授受を可能とするためには、第1孔を覆うように配設された第1封止部材を介して気密容器の内部から外部に亘って導通部材を延在させることが可能であることが必要である。
【0027】
そこで、第1ユニットにおいては、第1孔に挿通された導通部材が更に挿通可能であるように第1封止部材を貫通する第2孔が形成されている。第2孔の数、大きさ及び形状等は、例えば第2孔に挿通される導通部材の数、太さ及び形状に合わせて適宜設計される。また、第2孔の配置は、接続部におけるコネクタと導通部材との接続箇所の配置に必ずしも対応している必要は無い。例えば、詳しくは後述するように第2孔の内周面と導通部材との間に封止材を充填する作業を容易なものとすること等を目的として、複数の第2孔の間隔を十分に広く確保したり、個々の第2孔を周囲から到達し易い位置に配置したりしてもよい。これにより、第1封止部材によって第1孔が覆われている状態においても、気密容器の内部と外部との間において導通部材を経由する信号及び/又は流体の授受を可能とすることができる。
【0028】
図1は、第1ユニットの構成の一例を示す模式的な断面図である。
図1においては、第1ユニットが取り付けられる気密容器300の隔壁310及び導通部材210が破線によって描かれている。気密容器300及び導通部材210は第1ユニットの構成部材に含まれない。
図1に例示する第1ユニット101は、気密容器300の気密を維持しつつ気密容器300の内部と外部との間において信号又は流体の通路を構成する部材である導通部材210を介する信号又は流体の授受を可能とする。第1ユニット101は、封止部110(太い一点鎖線によって囲まれている部分)及び接続部120を備える。
【0029】
導通部材210については、後述する気密接続用アセンブリに関する説明において詳しく述べるので、ここでは説明を省略する。封止部110は、気密容器300の隔壁310に形成された貫通孔である第1孔311を覆うことが可能な形状を有する部材である第1封止部材111を含む。
図1に例示する第1封止部材111はアルミニウム製の板状部材である(右上がりの斜線が施された部分)。
【0030】
尚、
図1に描かれた第1ユニット101は、第1孔311を覆うように第1封止部材111が図示しないボルトによって気密容器300の隔壁310に固定されて第1孔311を塞いでいる状態にある。当該状態において第1孔311と連通するように形成された貫通孔である第2孔111aが第1封止部材111に形成されている。換言すれば、第1孔311は、全ての第2孔111aと連通することが可能な大きさ及び形状を有するように気密容器300の隔壁310に形成される。
【0031】
図1に例示する接続部120は、上述したコネクタとして、外部コネクタ121及び内部コネクタ122を含む。外部コネクタ121は、気密容器300の外部に位置する導通部材210の端部において導通部材210と接続されて気密容器300の外部にある他の機器又は設備等(図示せず)が備える導通部材(例えば、センサが備える信号線又は流体が内部に流れる配管等)と導通部材210との間において信号及び/又は流体の授受が可能であるように構成されたコネクタである。一方、内部コネクタ122は、気密容器300の内部に位置する導通部材210の端部において導通部材210と接続されて気密容器300の内部にある他の機器又は設備等(図示せず)が備える導通部材(例えば、センサが備える信号線又は流体が内部に流れる配管等)と導通部材210との間において信号及び/又は流体の授受が可能であるように構成されたコネクタである。例えば、外部コネクタ121及び内部コネクタ122は、電線である導通部材210の各々と電気的に接続可能な端子を有する市販のコネクタである。
【0032】
上述したように、第1封止部材111に形成される第2孔111aの数、大きさ及び形状等は、第2孔111aに挿通される導通部材210の数、太さ及び形状に合わせて適宜設計される。
図1に例示する第1ユニット101においては、2つの第2孔111aが、周囲から到達し易い位置に互いに十分な間隔を空けて配置されている。これにより、第2孔111aの内周面と導通部材210との間に封止材を充填する作業を容易なものとすることができる(詳しくは後述する)。
【0033】
(2)気密接続用アセンブリ
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る気密接続用アセンブリ(以降、「第1アセンブリ」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0034】
本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、上述したような特徴を有する本発明ユニットのみならず、気密接続用アセンブリにも関する。「気密接続用アセンブリ」とは、本発明ユニットを備え、電気機器等が収容された気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とする集成体である。
【0035】
第1アセンブリは、上述した第1ユニット及び導通部材を備え且つ封止部が封止材を更に備える気密接続用アセンブリである。更に、導通部材が第2孔に個別に挿通されており、導通部材と第2孔の内周面との間に封止材が充填されている。加えて、導通部材の何れか一方又は両方の端部にコネクタが接続されている。第1ユニットについては、上述した第1ユニットに関する説明において既に詳細に述べたので、ここでの説明は省略する。
【0036】
導通部材は、信号及び/又は流体の通路を構成する部材である。導通部材によって伝達される信号は特に限定されず、例えば電気信号(例えば、センサ等から出力される検出信号及び制御装置等から出力される指示信号のみならず、電源装置等から出力される電力をも含む)又は光信号等の信号であってもよい。上記信号が電気信号である場合、導通部材は電線であり、当該電線は例えば絶縁体及び/又は保護被覆等によって覆われていてもよい。また、上記信号が光信号である場合、導通部材は光ファイバであり、当該光ファイバは例えば保護被覆等によって覆われた光ケーブルであってもよい。一方、導通部材によって構成される通路を流れる流体もまた特に限定されず、例えばガス又は液体等の流体であってもよい。この場合、導通部材は、例えば、流体が流れる流路となる空間が内部に形成されたチューブ又はパイプ等の管状部材であってもよい。尚、チューブ又はパイプ等の管状部材については、電線及び光ファイバとは異なり、必ずしも絶縁体及び/又は保護被覆等によって覆われていなくてもよい。
【0037】
尚、第1アセンブリが備える導通部材の数は、1つであっても或いは複数(即ち、2つ以上)であってもよい。第1アセンブリが複数の導通部材を備える場合、これら複数の導通部材によって構成される複数の通路を流れるものは、全てが電気信号であってもよく、全てが光信号であってもよく、全てが流体であってもよく、更には、電気信号、光信号及び流体のうちの少なくとも2種以上が含まれていてもよい。
【0038】
封止材は、第1アセンブリが取り付けられる気密容器の用途における使用環境において導通部材と第2孔の内周面との間に留まって気密を維持することが可能な材料である限り特に限定されない。尚、ここでいう「気密」とは、必ずしも気体の漏れが完全に防止されている状態に限定されず、第1アセンブリが取り付けられる気密容器の用途において求められる程度に気体の漏れが防止されている状態をも含む概念である。
【0039】
上記のような封止材の具体例としては、例えば、シリコンシーラント等のゴム及びエポキシ樹脂等の樹脂を始めとする高分子有機材料並びにガラス等のセラミック材料等を挙げることができる。また、上記のような高分子有機材料は、第1アセンブリが取り付けられる気密容器の用途における使用環境に耐え得る限り、室温硬化性、熱硬化性及び熱可塑性の何れであってもよい。従って、導通部材及び第1封止部材を構成する材料は、封止材の充填時及び/又は硬化時の条件に耐え得るものである必要がある。或いは、封止材は、例えばグロメット等、第2孔の形状に沿うように予め成形され且つ導通部材が挿通される貫通孔が形成された固体によって構成される部材であってもよい。
【0040】
以上のような第1封止部材及び封止材を含む封止部によって第1孔が塞がれることにより、気密容器を気密に封止する機能が発揮される。
【0041】
ところで、1つの第2孔に複数の導通部材が挿通されている場合、例えば複数の導通部材の間に封止材が十分に充填されない等の原因により、封止材の充填によって気密性を十分に高めることができない虞がある。このため、第1アセンブリにおいては、上記のように導通部材が第2孔に個別に挿通される。即ち、1つの第2孔には1つの導通部材が挿通され、1つの第2孔に複数の導通部材は挿通されない。
【0042】
図2は、第1アセンブリの構成の一例を示す模式的な断面図である。
図2においては、第1アセンブリが取り付けられる気密容器300の隔壁310が破線によって描かれている。気密容器300は第1アセンブリの構成部材に含まれない。
図2に例示する第1アセンブリ201は、2つの導通部材210と、封止部110(太い一点鎖線によって囲まれている部分)と、接続部120と、を備える気密接続用アセンブリである。換言すれば、第1アセンブリ201は、上述した第1ユニット101及び2つの導通部材210を備え且つ封止部110が封止材113を更に備える気密接続用アセンブリである。2つの導通部材210は第2孔111aに個別に挿通されており、個々の導通部材210と第2孔111aの内周面との間には封止材113が充填されている。導通部材210の両方の端部には、外部コネクタ121及び内部コネクタ122がそれぞれ接続されている。
【0043】
導通部材210は、電気信号を伝達する電線であり、当該電線は絶縁体からなる保護被覆によって覆われている。封止部110は、気密容器300の隔壁310に形成された貫通孔である第1孔311を覆うことが可能な形状を有する部材である第1封止部材111及び封止材113を含む。第1封止部材111はアルミニウム製の板状部材であり(右上がりの斜線が施された部分)、封止材113は室温硬化性のシリコンシーラントである(黒塗りの部分)。
【0044】
尚、
図2においては、第1孔311を覆うように第1封止部材111が図示しないボルトによって気密容器300の隔壁310に固定されて第1孔311を塞いでいる状態にある第1アセンブリ201が描かれている。
図2に例示するように、第1孔311は、全ての第2孔111aと連通することが可能な大きさ及び形状を有するように気密容器300の隔壁310に形成されている。
【0045】
更に、第1孔311を覆うように第1封止部材111が気密容器300の隔壁310に固定された状態において気密容器300の内部と外部とを連通するように形成された貫通孔である第2孔111aが第1封止部材111に形成されており、導通部材210は第2孔111aに個別に挿通されており、導通部材210と第2孔111aの内周面との間に封止材113がそれぞれ充填されている。
【0046】
図2に例示する2つの第2孔111aは周囲から到達し易い位置に互いに十分な間隔を空けて配置されている。これにより、上述したように第2孔111aの内周面と導通部材210との間に封止材113を充填する作業を容易なものとすることができる。
【0047】
(3)気密容器
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る気密容器(以降、「第1容器」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0048】
本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、上述してきたような特徴を有する本発明ユニット及び本発明アセンブリのみならず、本発明アセンブリを備える気密容器にも関する。
【0049】
第1容器は、上述した第1アセンブリを備える気密容器である。第1アセンブリの詳細については、上述した第1アセンブリに関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。第1容器を構成する気密容器の大きさ、形状及び隔壁を構成する材料等、気密容器の構成は、例えば気密容器の内部に収容される機器及び/又は設備、ガス等の流体の性質並びに気密容器の用途における使用環境等に応じて適宜選択することができる。
【0050】
また、第1容器においては、第1アセンブリが備える第1封止部材が第1容器の隔壁に形成された貫通孔である第1孔を覆うことにより第1孔が塞がれている。更に、第1封止部材に形成された貫通孔である第2孔を介して第1孔に挿通された導通部材が第1容器の内部から外部に亘って延在している。
【0051】
図3は、第1容器の構成の一例を示す模式的な断面図である。
図3に例示する第1容器301は、第1アセンブリ201を備える気密容器である。第1容器301が備える第1アセンブリ201は、内部コネクタを備えない点を除き、
図2に示した第1アセンブリ201と同様の構成を有する。また、第1容器301においても、貫通孔である第1孔311が隔壁310に形成されており、第1アセンブリ201が備える封止部110に含まれる第1封止部材111によって第1孔311が塞がれている。更に、第1封止部材111に形成された第2孔111aを介して第1孔311に挿通された導通部材210が第1容器301の内部から外部に亘って延在している。
【0052】
尚、第1容器301の内部にはセンサ420が収容されており(破線によって描かれた楕円形を参照)、導通部材210は、例えばセンサ420から出力される検出信号を伝達する通路としての電線である。但し、導通部材210は、第1容器301の内部に収容された機器又は設備へ電力を供給する電力線であってもよく、或いは第1容器301の内部に収容されたタンクと第1容器301の外部との間において流体を授受するチューブ又はパイプ等の配管であってもよい。
【0053】
上述したように、
図3に例示した第1容器301が備える第1アセンブリ201は内部コネクタを備えない。このため、
図3に示す例においてはセンサ420が備える信号線421及び422と第1アセンブリ201が備える2本の導通部材210とがそれぞれ直接的に接続されている。しかしながら、第1容器301が備える第1アセンブリ201が内部コネクタを備える場合には、これらを内部コネクタによって容易に接続することができる。
【0054】
(4)気化器
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る気化器(以降、「第1気化器」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0055】
本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、上述してきたような特徴を有する本発明ユニット、本発明アセンブリ及び本発明容器のみならず、本発明容器を備える気化器にも関する。
【0056】
第1気化器は、上述した第1容器と、第1容器の内部に収容されたタンクと、センサ及び/又はヒータと、を備える気化器である。第1容器の詳細については、上述した第1容器に関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。
【0057】
タンクは第1気化器によって供給しようとするガス及び/又はガスの発生源となる物質であるガス原料を収容する容器であり、タンクの内部に収容されたガス及び/又はタンクの内部において発生したガスが第1容器の内部から外部へと導出される。
【0058】
センサは、タンクの内部に収容されたガス及び/又はガスの発生源となる物質であるガス原料の量及び/又は状態に対応する検出信号を出力するように構成されている。ガス及び/又はガス原料の量とは、例えばガス及び/又はガス原料の質量、体積及び液位(ガス原料が液体である場合)等を意味する。また、ガス及び/又はガス原料の状態は、例えばガス及び/又はガス原料の温度、圧力及び特定の成分の濃度等を意味する。
【0059】
ヒータは、電力を供給されて上記ガス原料を加熱するように構成されている。このようなヒータの具体例としては、例えば、抵抗加熱型ヒータ、誘電加熱型ヒータ、マイクロ波加熱型ヒータ及び誘導加熱型ヒータ等を挙げることができる。典型的には、上記ヒータは抵抗加熱型ヒータである。
【0060】
加えて、第1気化器は、第1アセンブリが備える導通部材を介してガス及び/又は検出信号及び/又は電力が第1容器の内部と外部との間において授受されるように構成されている。
【0061】
尚、第1気化器は、上述したガス、検出信号及び電力の少なくとも何れか一つが、第1アセンブリが備える導通部材を介すること無く、第1容器の内部と外部との間において授受されるように構成されていてもよい。例えば、第1気化器は、タンクの内部から気密容器の外部へとガスを導出するように構成された流路としての導出管を導通部材とは別個に備えていてもよい。この場合、導出管の構成は、タンクの内部から気密容器の外部へとガスを導出することが可能である限り特に限定されず、例えばガスの性質及び気化器の用途における使用環境等に応じて適宜選択することができる。
【0062】
図4は、第1気化器の構成の一例を示す模式図である。
図4に例示する第1気化器401は、上述した第1容器301と、第1容器301の内部に収容されたタンク410と、センサ420と、タンク410の内部において発生するガスを第1容器301の内部から外部へと導出する導出管430と、を備える。
図4に示す例においては、センサ420は、タンク410の内部に貯蔵されたガス原料(ガスの発生源となる物質)の温度(T)、ガス原料における特定の成分の濃度(C)及びガス原料から発生したガスの圧力(P)を検出するように構成されている。尚、
図4に示す例においては、ヒータは図示されていない。
【0063】
第1気化器401は、タンク410の内部に貯蔵されたガス原料の液面下へとキャリアガスを導入する導入管440を備える。加えて、第1気化器401は、タンク410の内部へと導入されるキャリアガスの流量を制御する流量制御装置510と、導出管430によって第1容器301の内部から外部へと導出されるガス原料から発生したガスとキャリアガスとの混合ガスの流量を計測する流量計520と、を備える。
【0064】
上記のような構成を有する第1気化器401は、タンク410の内部に貯蔵されたガス原料の温度及びガス原料から発生したガスの圧力を一定に保ちつつ、タンク410の内部に貯蔵されたガス原料の液面下へとキャリアガスを所定の流量にて導入するように構成されている。そして、第1気化器401は、ガス原料から発生したガスとキャリアガスとの混合ガスを、タンク410の排気口から導出管430を介して第1容器301の外部へと導出する。即ち、第1気化器401はバブリング方式の気化器である。
【0065】
上記のような構成を有する第1気化器401においては、流量計520によって測定される混合ガスの流量Q2から流量制御装置510によって測定されるキャリアガスの流量Q1を差し引くことにより、ガス原料から発生したガスの流量Qsを求めることができる(Qs=Q2-Q1)。
【0066】
上記のようにして所定の流量にてガス原料から発生したガスを所定の供給先(
図4においてはチャンバ530)へと供給する過程において、ガス原料の温度(T)、ガス原料における特定の成分の濃度(C)及びガス原料から発生したガスの圧力(P)に対応する検出信号がセンサ420から出力される。これらの検出信号は、第1容器301が備える第1アセンブリ201により、第1容器301の気密を維持しつつ、第1容器301の内部から外部へと伝達され、第1アセンブリ201が備える図示しない外部コネクタに接続されたプラグ450及びプラグ450に接続されたケーブル460を介して図示しない制御装置等に伝達され、ガスの流量制御に利用される。
【0067】
尚、
図3及び
図4をそれぞれ参照しながら例示した第1容器及び第1気化器においては、センサから出力される検出信号を内部から外部へと伝達する信号線(電線)として導通部材が構成されている。しかしながら、前述したように、導通部材は、信号又は流体の通路を構成する部材である。また、導通部材によって伝達される信号は電気信号に限定されず、例えば光信号等の信号であってもよい。更に、導通部材によって構成される通路を流れる流体もまた特に限定されず、例えばガス又は液体等の流体であってもよい。従って、導通部材は、例えば電線又は光ファイバであってもよく、或いは、例えば流体が流れる流路となる空間が内部に形成されたチューブ又はパイプ等の管状部材であってもよい。具体的には、
図4に例示した第1気化器401が備える導出管430及び導入管440は、第1容器301の隔壁310に形成された図示しない貫通孔を覆うように配設された第1アセンブリ201を介して第1容器301の内部と外部との間においてガス及びガス原料を授受するように構成されていてもよい。
【0068】
(5)気密接続用アセンブリの製造方法
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る気密接続用アセンブリの製造方法(以降、「第1方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0069】
本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、上述してきたような特徴を有する本発明ユニット、本発明アセンブリ、本発明容器及び本発明気化器のみならず、本発明アセンブリの製造方法にも関する。
【0070】
第1方法は、上述した第1アセンブリの製造方法である。第1アセンブリの詳細については、上述した第1アセンブリに関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。更に、第1方法は、以下に列挙する各工程を含む。
【0071】
工程A:導通部材の少なくとも一方の端部にコネクタを接続すること。
工程B:第1封止部材に形成された貫通孔である第2孔に導通部材を個別に挿通すること。
工程C:第2孔の内周面と導通部材との間に封止材を充填すること。
工程D:気密容器の隔壁に形成された貫通孔である第1孔に導通部材を挿通すること。
工程E:気密容器の隔壁の所定の位置に第1封止部材を固定して第1封止部材によって第1孔を塞ぐこと。
【0072】
図5は、第1方法に含まれる各工程の流れの一例を示すフローチャートである。
図5に例示する第1方法においては、S10、S20、S30、S40及びS50の順に各ステップが実行される。即ち、
図5に例示する第1方法においては、上述した各工程が「工程A→工程B→工程C→工程D→工程E」の順に実行される。しかしながら、第1方法に含まれる上記工程A乃至工程Eの実行順序は必ずしも上記の通りである必要は無く、例えば第1アセンブリが適用される気密容器及び第1アセンブリの構成並びに当該気密容器の周辺環境等に応じて各工程の実行順序を適宜変更することができる。
【0073】
具体的には、例えば、以下に示す手順により、
図1に例示した第1ユニット101から
図2に例示した第1アセンブリ201を集成することができる。先ず、2本の導通部材210の一方の端部に外部コネクタ121を接続する。次に、外部コネクタ121と接続された導通部材210の各々を、外部コネクタ121とは反対側の端部から、第1封止部材111に形成された2つの第2孔111aにそれぞれ個別に挿通する。そして、個々の第2孔111aの内周面と導通部材210との間に封止材113を充填し硬化させる。このようにして集成された外部コネクタ121と導通部材210と第1封止部材111とからなる集成体を構成する導通部材210の外部コネクタ121とは反対側の端部を、気密容器300の外部側から、気密容器300の隔壁310に形成された第1孔311に挿通する。
【0074】
更に、図示しないボルトにより、気密容器300の隔壁310の所定の位置に第1封止部材111を固定し、第1封止部材111によって第1孔311を覆い塞ぐ。尚、導通部材210の外部コネクタ121とは反対側の端部は、気密容器300の内部に配設された例えばセンサ等の機器又は設備等(図示せず)に接続される。当該接続は、当該機器又は設備等の端子等と導通部材210との直接的な接続であってもよく、或いは
図1に例示する第1ユニット101が備える内部コネクタ122を介する接続であってもよい。また、内部コネクタ122が第1孔311を通過することが可能である場合は、気密容器300の隔壁310の所定の位置に第1封止部材111を固定する前に導通部材210と内部コネクタ122とを接続してもよい。
【0075】
〈効果〉
以上説明してきたように、第1ユニットにおいては、例えば市販されている金属板及びコネクタ等、容易に入手可能な汎用の構成部材によって封止部及び接続部を構成することができる。その結果、第1ユニットによれば、簡易な構成により気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とする気密接続用アセンブリを提供することができる。
【0076】
また、第1アセンブリは、第1ユニット及び導通部材を備え且つ封止部が封止材を更に備える気密接続用アセンブリであって、導通部材が第2孔に個別に挿通されており、導通部材と第2孔の内周面との間には封止材が充填されており、導通部材の何れか一方又は両方の端部にコネクタが接続されている。その結果、第1アセンブリによれば、簡易な構成により気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受が可能な気密容器を提供することができる。
【0077】
更に、第1容器は第1アセンブリを備える気密容器であって、第1封止部材によって第1孔が塞がれており、第1封止部材に形成された第2孔を介して第1孔に挿通された導通部材が第1容器の内部から外部に亘って延在している。その結果、第1容器においては、簡易な構成により第1容器の気密を維持しつつ第1容器の内部と外部との間における電気信号等の授受が可能である。
【0078】
加えて、第1気化器は、第1容器を備える。その結果、第1容器に関する説明において既に述べたように、第1容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能としつつ、簡易な構成により第1容器の気密を維持することができる。従って、第1気化器によれば、例えば第1容器の内部に収容されたタンクから第1容器の外部へのガスの漏出及び/又は第1容器の外部から上記タンクの内部への異物(例えば周囲の気体等)の侵入等を低減することができるので、簡易な構成により高い安全性を有する気化器を提供することができる。
【0079】
一方、上記のような構成を有する第1アセンブリの製造方法である第1方法においては、導通部材とコネクタとの接続(工程A)、第1封止部材の第2孔への導通部材の挿通(工程B)、第2孔の内周面と導通部材との間への封止材の充填(工程C)、気密容器の第1孔への導通部材の挿通(工程D)、及び気密容器の隔壁の所定の位置への第1封止部材の固定による第1孔の閉塞(工程E)をそれぞれ個別に実行することができる。従って、第1方法によれば、簡潔且つ自由度の高いプロセスにより、上記のような効果を達成することができる第1アセンブリを容易に製造することができる。
【0080】
《第2実施形態》
〈構成〉
(1)気密接続用ユニット
以下、図面を参照しながら本発明の第2実施形態に係る気密接続用ユニット(以降、「第2ユニット」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0081】
上述した第1ユニットを始めとする本発明の種々の実施形態に係る気密接続用ユニット(本発明ユニット)においては、例えば市販されている金属板及びコネクタ等、容易に入手可能な汎用の構成部材によって封止部及び接続部を構成することができる。その結果、本発明ユニットによれば、簡易な構成により気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とする気密接続用アセンブリを提供することができる。
【0082】
ところで、例えば、導通部材が柔軟な材料によって構成されている場合、導通部材の何れか一方又は両方の端部に接続されたコネクタ並びに/或いは導通部材そのものが柔軟に動くことができる。その結果、例えば上記のように気密容器の隔壁の所定の位置に第1封止部材を固定するときの作業性を高めることができる場合がある。しかしながら、例えば本発明ユニットによって構成される気密接続用アセンブリが取り付けられる箇所の周辺の状況等によっては、コネクタ及び/又は導通部材が柔軟に動くことができると第1封止部材を固定する作業を却って行い難い場合もある。また、導通部材の構成によっては、例えば気密容器への組み付け時等において折れ曲がったり変形したりすることによって導通部材が損傷してしまう場合もある。
【0083】
そこで、第2ユニットは、上述した第1ユニットが備える構成部材に加えて、結合部材を含む結合部を更に備える、気密接続用ユニットである。結合部材は、少なくとも1つの上記コネクタと第1封止部材とを結合して当該コネクタと第1封止部材との位置関係を固定することが可能な部材である。
【0084】
結合部材の具体的な構成は、接続部に含まれる少なくとも1つのコネクタと第1封止部材との位置関係を固定するように当該コネクタと第1封止部材とを結合することが可能である限り、特に限定されない。例えば、結合部材は、上記コネクタを保持するための部材であるコネクタ保持部材と、第1封止部材とコネクタ保持部材とを結合してコネクタ保持部材を支持するための部材であるコネクタ支持部材と、を含むことができる。この場合、コネクタ保持部材とコネクタ支持部材とは、別個の部材として構成されていてもよく、或いは一体の部材として構成されていてもよい。
【0085】
尚、前述したように、第1ユニットにおいては、気密容器の隔壁に形成された貫通孔である第1孔に挿通された導通部材が更に挿通可能であるように第1封止部材を貫通する第2孔が形成されている。そして、第1ユニットから第1アセンブリが集成される際に、導通部材が第2孔に個別に挿通され、導通部材と第2孔の内周面との間に封止材がそれぞれ充填される。従って、第2ユニットにおいては、接続部に含まれる少なくとも1つのコネクタと第1封止部材とを結合部材によって結合した後に導通部材と第2孔の内周面との間への封止材の充填が行われる場合においても封止材の充填作業を妨げない又は妨げ難いような構造を結合部材が有することが望ましい。
【0086】
上記のような結合部材の構成の具体例としては、例えば互いに対向する一対の板状のコネクタ支持部材と、これら一対のコネクタ支持部材の一端に架かるように結合された板状のコネクタ保持部材と、からなる構成を挙げることができる。この場合、第2ユニットから気密接続用アセンブリが集成される際に、一対のコネクタ支持部材の間の空間を介して、導通部材と第2孔の内周面との間に封止材を充填することができる。或いは、結合部材は、板状のコネクタ保持部材と、当該コネクタ保持部材から第1封止部材へと向かって延在する複数の脚部としてのコネクタ支持部材とからなっていてもよい。この場合、第2ユニットから気密接続用アセンブリが集成される際に、隣接する脚部の間の空間を介して、導通部材と第2孔の内周面との間に封止材を充填することができる。
【0087】
結合部材を構成する材料もまた、第2ユニットによって構成される気密接続用アセンブリが取り付けられる気密容器の用途における使用環境に耐え得るものである限り特に限定されない。典型的には、結合部材を構成する材料は、例えばアルミニウム及び鉄等の金属若しくは樹脂又はこれらの複合材料である。
【0088】
図6は、第2ユニットの構成の一例を示す模式的な断面図である。
図6に描かれた第2ユニット102もまた、前述した
図1と同様に、第1孔311を覆うように第1封止部材111が図示しないボルトによって気密容器300の隔壁310に固定されて第1孔311を塞いでいる状態にある。また、第2ユニット102によって構成される気密接続用アセンブリが取り付けられる気密容器300の隔壁310及び導通部材210が破線によって描かれている。
【0089】
図6に例示する第2ユニット102は、外部コネクタ121と第1封止部材111とを結合して外部コネクタ121と第1封止部材111との位置関係を固定するように構成された部材である結合部材131を含む結合部130を更に備える。この点を除き、第2ユニット102は、
図1に例示した第1ユニット101と同様の構成を有する。従って、第2ユニット102に関する以下の説明においては、主として上記相違点について説明する。
【0090】
図6に例示するように、第2ユニット102が備える結合部130に含まれる結合部材131は、コネクタ保持部材131aとコネクタ支持部材131bとからなる(斜め格子模様が施された部分)。コネクタ保持部材131aは、外部コネクタ121を保持するための部材である。コネクタ支持部材131bは、互いに対向する一対の板状の部材であり、これら一対のコネクタ支持部材131bの一端に架かるようにコネクタ保持部材131aが結合されている。これら一対のコネクタ支持部材131bの他端を第1封止部材111の外縁部に固定することにより、外部コネクタ121と第1封止部材111との位置関係を固定することができる。
図6に例示する第2ユニット102から気密接続用アセンブリを集成する際には、一対のコネクタ支持部材131bの間の空間を介して、導通部材210と第2孔111aの内周面との間に封止材113を容易に充填することができる(詳しくは後述する)。
【0091】
(2)気密接続用アセンブリ
以下、図面を参照しながら本発明の第2実施形態に係る気密接続用アセンブリ(以降、「第2アセンブリ」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0092】
第2アセンブリは、前述した第1アセンブリが備える構成部材に加えて、上述した第2ユニットを気密接続用ユニットとして備え、少なくとも1つのコネクタと第1封止部材とが結合部材によって結合されてコネクタと第1封止部材との位置関係が固定されている、気密接続用アセンブリである。尚、第2アセンブリを構成する第2ユニット及び第2ユニットが備える結合部の具体的な構成については、上述した第2ユニットに関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。
【0093】
図7は、第2アセンブリの構成の一例を示す模式的な断面図である。
図7に例示するように、第2アセンブリ202が備える結合部130に含まれる結合部材131は、コネクタ保持部材131aとコネクタ支持部材131bとからなる(斜め格子模様が施された部分)。コネクタ保持部材131aは、外部コネクタ121を保持するための板状の部材である。コネクタ支持部材131bは、コネクタ保持部材131aから第1封止部材111へと向かって延在する脚部として構成された複数の柱状(棒状)又は板状の部材である。これら複数のコネクタ支持部材131bの一端に架かるようにコネクタ保持部材131aが結合されている。更に、これら複数のコネクタ支持部材131bの他端は第1封止部材111の表面(気密容器300の隔壁310とは反対側の表面)に固定されている。これにより、外部コネクタ121と第1封止部材111との位置関係が固定されている。その結果、
図7に例示する第2アセンブリ202においては、複数のコネクタ支持部材131bの間の空間を介して、導通部材210と第2孔111aの内周面との間に封止材113を容易に充填することができる。
【0094】
(3)気密容器
以下、図面を参照しながら本発明の第2実施形態に係る気密容器(以降、「第2容器」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0095】
第2容器は、前述した第1容器が備える構成部材に加えて、上述した第2アセンブリを上記気密接続用アセンブリとして備える、気密接続用アセンブリである。尚、第2容器を構成する第2アセンブリ及び第2アセンブリが備える結合部の具体的な構成については、上述した第2アセンブリに関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。
【0096】
図8は、第2容器の構成の一例を示す模式的な断面図である。
図8に例示する第2容器302は、外部コネクタ121と第1封止部材111とを結合して外部コネクタ121と第1封止部材111との位置関係を固定するように構成された部材である結合部材131を含む結合部130を更に備える。この点を除き、第2容器302は、
図3に例示した第1容器301と同様の構成を有する。従って、第2容器302に関する以下の説明においては、主として上記相違点について説明する。
【0097】
図8に例示するように、第2容器302を構成する第2アセンブリ202が備える結合部130に含まれる結合部材131は、コネクタ保持部材131aとコネクタ支持部材131bとからなる(斜め格子模様が施された部分)。コネクタ保持部材131aは、外部コネクタ121を保持するための板状の部材である。コネクタ支持部材131bは、互いに対向する一対の板状の部材であり、これら一対のコネクタ支持部材131bの一端に架かるようにコネクタ保持部材131aが結合されている。これら一対のコネクタ支持部材131bの他端を第1封止部材111の外縁部に固定することにより、外部コネクタ121と第1封止部材111との位置関係が固定されている。
【0098】
また、
図8に例示する第2容器302を集成する際には、一対のコネクタ支持部材131bの間の空間を介して、導通部材210と第2孔111aの内周面との間に封止材113を容易に充填することができる。
【0099】
(4)気化器
以下、本発明の第2実施形態に係る気化器(以降、「第2気化器」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0100】
第2気化器は、前述した第1気化器が備える構成部材に加えて、前述した第1容器に代えて第2容器を気密容器として備える気化器である。第2容器の詳細については上述した第2容器に関する説明において既に述べたので、ここでの説明及び図面への参照は省略する。
【0101】
(5)気密接続用アセンブリの製造方法
以下、図面を参照しながら本発明の第2実施形態に係る気密接続用アセンブリの製造方法(以降、「第2方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0102】
第2方法は、前述した第1ユニットに代えて第2ユニットから前述した第2アセンブリを集成する方法である。即ち、第2方法によって製造される気密接続用アセンブリは、少なくとも1つのコネクタと第1封止部材とを結合してコネクタと第1封止部材との位置関係を固定する部材である結合部材を含む結合部を更に備える。従って、第2方法は、前述した第1方法が備える構成に加えて、以下に示す工程Fを更に含む。
【0103】
工程F:少なくとも1つのコネクタと第1封止部材とを結合部材によって結合して当該コネクタと第1封止部材との位置関係を固定すること。
【0104】
第2アセンブリを構成する各要素については、前述した第2アセンブリに関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図9は、第2方法に含まれる各工程の流れの一例を示すフローチャートである。
図9に例示する第2方法においては、S10、S20、S25、S30、S40及びS50の順に各ステップが実行される。即ち、
図9に例示する第2方法においては、上述した各工程が「工程A→工程B→工程F→工程C→工程D→工程E」の順に実行されている。しかしながら、第2方法に含まれる上記工程A乃至工程E及び工程Fの実行順序は必ずしも上記の通りである必要は無く、例えば第2アセンブリが適用される気密容器及び第2アセンブリの構成並びに当該気密容器の周辺環境等に応じて各工程の実行順序を適宜変更することができる。
【0105】
〈効果〉
以上説明してきたように、第2ユニットは、上述した第1ユニットが備える構成に加えて、少なくとも1つの上記コネクタと第1封止部材とを結合して当該コネクタと第1封止部材との位置関係を固定することが可能な部材である結合部材を含む結合部を更に備える、気密接続用ユニットである。従って、第2ユニットによれば、接続部に含まれる少なくとも1つのコネクタと第1封止部材とを結合部材によって結合することにより、当該コネクタと第1封止部材との位置関係を固定することができる。その結果、例えばコネクタ及び/又は導通部材が柔軟に動くことができる場合においても、第2アセンブリを集成する過程における第1封止部材を固定する作業の効率の低下及び/又は導通部材の損傷等の問題を低減することができる。また、当然のことながら、第2容器及び第2気化器の製造工程において第2アセンブリを集成する過程においても同様の効果が達成される。
【0106】
加えて、第2方法においては、導通部材とコネクタとの接続(工程A)、第1封止部材の第2孔への導通部材の挿通(工程B)、コネクタと第1封止部材との結合部材による結合(工程F)、第2孔の内周面と導通部材との間への封止材の充填(工程C)、気密容器の第1孔への導通部材の挿通(工程D)、及び気密容器の隔壁の所定の位置への第1封止部材の固定による第1孔の閉塞(工程E)をそれぞれ個別に実行することができる。従って、第2方法によれば、簡潔且つ自由度の高いプロセスにより、簡易な構成により気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とすると共に上記のような効果を達成することができる第2アセンブリを容易に製造することができる。
【0107】
《第3実施形態》
〈構成〉
(1)気密接続用ユニット
以下、図面を参照しながら本発明の第3実施形態に係る気密接続用ユニット(以降、「第3ユニット」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0108】
上述した第1ユニット及び第2ユニットを始めとする本発明の種々の実施形態に係る気密接続用ユニット(本発明ユニット)によって構成される気密接続用アセンブリにおいては、気密容器の隔壁に形成された貫通孔である第1孔を第1封止部材によって覆うことにより第1孔が塞がれ、気密が達成される。しかしながら、気密接続用アセンブリが取り付けられる気密容器の用途によっては、上記のような構成によって十分な気密性を達成することが困難な場合がある。このような場合の具体例としては、例えば、気密容器の隔壁及び/又は第1封止部材が十分な平面性を備えない場合、或いは、気密容器の隔壁への第1封止部材の固定に伴って作用する応力に起因して気密容器の隔壁及び/又は第1封止部材が変形する場合等を挙げることができる。
【0109】
そこで、第3ユニットは、上述した第1ユニット又は第2ユニットが備える構成部材に加えて、第2封止部材を更に備える、気密接続用ユニットである。第2封止部材は、第3ユニットによって構成される気密接続用アセンブリが気密容器に取り付けられている状態(以降、「状態A」と称呼される場合がある。)において第1孔を取り囲み且つ気密容器の隔壁と第1封止部材との間に介在することが可能な部材である。
【0110】
第2封止部材は、上記状態Aにおいて気密容器の隔壁に形成された貫通孔である第1孔及び気密容器の隔壁と第1封止部材との間の隙間を経由するガスの漏れを低減して気密容器の気密性を高める。従って、第2封止部材は、上記のように、状態Aにおいて第1孔を取り囲み且つ気密容器の隔壁と第1封止部材との間に介在する必要がある。
【0111】
上記要件を満たす限り、第2封止部材の具体的な構成は特に限定されないが、典型的には、例えばO-リング、パッキン及びガスケット等、当該技術分野において周知の封止部材を第2封止部材として採用することができる。或いは、状態Aにおいて第1孔を取り囲み且つ気密容器の隔壁と第1封止部材との間に介在するように、前述した封止材と同様の材料を配設してもよい。
【0112】
尚、第1封止部材及び/又は気密容器の隔壁の状態Aにおいて第2封止部材と対向する部分に、例えば溝又は段差等の構造を設けて、第3ユニットから気密接続用アセンブリを集成する過程における第2封止部材の位置決めを容易にしたり、第2封止部材の所定の位置からのズレを低減したりしてもよい。
【0113】
また、前述したように気密容器の隔壁及び/又は第1封止部材に形成された貫通孔に挿通されたボルト又はネジ等の締結部材によって気密容器の隔壁に第1封止部材を固定する場合、例えば当該締結部材と貫通孔との間等を介するガスの漏れに起因して気密容器の気密性が低下する虞がある。
【0114】
上記のような場合、状態Aにおいて気密容器の隔壁に形成された第1孔のみならず締結部材が挿通される貫通孔をも取り囲むように第2封止部材を構成してもよい。これにより、締結部材を挿通するために気密容器の隔壁に形成された貫通孔と当該締結部材との間の隙間を介するガスの漏れを低減し、気密容器の気密性の低下を低減することができる。或いは、状態Aにおいて気密容器の隔壁に形成された第1孔のみを取り囲み締結部材が挿通される貫通孔は取り囲まないように第2封止部材を構成してもよい。これにより、締結部材を挿通するために第1封止部材に形成された貫通孔と当該締結部材との間の隙間を介するガスの漏れを低減して、気密容器の気密性の低下を低減することができる。上記に加えて、気密容器の隔壁と締結部材との間にパッキン又はガスケット等の部材を介在させて、気密容器の気密性の低下を低減してもよい。
【0115】
図10は、第3ユニットの構成の一例を示す模式的な断面図である。
図10に例示する第3ユニット103は、上述した状態Aにおいて気密容器300の隔壁310に形成された第1孔311を取り囲み且つ気密容器300の隔壁310と第1封止部材111との間に介在するように配設される第2封止部材112を更に備える(右下がりの斜線が施された部分)。この点を除き、第3ユニット103は、
図1に例示した第1ユニット101と同様の構成を有する。尚、
図10に例示する第3ユニット103が備える第2封止部材112はO-リングである。
【0116】
(2)気密接続用アセンブリ
以下、図面を参照しながら本発明の第3実施形態に係る気密接続用アセンブリ(以降、「第3アセンブリ」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0117】
第3アセンブリは、前述した第1アセンブリ又は第2アセンブリが備える構成部材に加えて、上述した第3ユニットを気密接続用ユニットとして備える。更に、第3アセンブリにおいては、上述した状態Aにおいて第1孔を取り囲み且つ気密容器の隔壁と第1封止部材との間に介在するように第2封止部材が配設されている。第2封止部材の具体的な構成及び配置等については、上述した第3ユニットに関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。
【0118】
図11は、第3アセンブリの構成の一例を示す模式的な断面図である。
図11に例示する第3アセンブリ203においては、状態Aにおいて気密容器300の隔壁310に形成された第1孔311を取り囲み且つ気密容器300の隔壁310と第1封止部材111との間に介在するように第2封止部材112が配設されている(右下がりの斜線が施された部分)。この点を除き、第3アセンブリ203は、
図7に例示した第2アセンブリ202と同様の構成を有する。尚、
図11に例示する第3アセンブリ203が備える第2封止部材112はO-リングである。
【0119】
(3)気密容器
以下、図面を参照しながら本発明の第3実施形態に係る気密容器(以降、「第3容器」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0120】
第3容器は、前述した第1容器又は第2容器が備える構成部材に加えて、上述した第3アセンブリを気密接続用アセンブリとして備え、第1孔を取り囲み且つ第3容器の隔壁と第1封止部材との間に介在するように第2封止部材が配設されている。第2封止部材の具体的な構成及び配置等については、上述した第3アセンブリに関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。
【0121】
図12は、第3容器の構成の一例を示す模式的な断面図である。
図12に例示する第3容器303においては、状態Aにおいて第3容器303の隔壁310に形成された第1孔311を取り囲み且つ第3容器303の隔壁310と第1封止部材111との間に介在するように第2封止部材112が配設されている(右下がりの斜線が施された部分)。この点を除き、第3容器303は、
図8に例示した第2容器302と同様の構成を有する。尚、
図12に例示する第3容器303を構成する第3アセンブリ203が備える第2封止部材112はO-リングである。
【0122】
(4)気化器
以下、本発明の第3実施形態に係る気化器(以降、「第3気化器」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0123】
第3気化器は、前述した第1気化器又は第2気化器が備える構成部材に加えて、上述した第3容器を気密容器として備える気化器である。第3容器の詳細については上述した第3容器に関する説明において既に述べたので、ここでの説明及び図面への参照は省略する。
【0124】
(5)気密接続用アセンブリの製造方法
以下、図面を参照しながら本発明の第3実施形態に係る気密接続用アセンブリの製造方法(以降、「第3方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
【0125】
第3方法は、前述した第3ユニットから前述した第3アセンブリを集成する方法である。即ち、第3方法によって製造される気密接続用アセンブリは、気密容器の隔壁に形成された貫通孔である第1孔を取り囲み且つ当該隔壁と第1封止部材との間に介在することが可能な部材である第2封止部材を更に備える。従って、第3方法は、前述した第1方法又は第2方法が備える構成に加えて、以下に示す工程G及び工程Hを更に含む。
【0126】
工程G:導通部材を第2封止部材に挿通すること。
工程H:気密容器の隔壁に形成された第1孔を取り囲み且つ当該隔壁と第1封止部材との間に介在するように第2封止部材を配設すること。
【0127】
第3アセンブリを構成する各要素については、前述した第3アセンブリに関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図13は、第3方法に含まれる各工程の流れの一例を示すフローチャートである。
図13に例示する第3方法においては、S10、S20、S25、S30、S35、S40、S45及びS50の順に各ステップが実行される。即ち、
図13に例示する第3方法においては、上述した各工程が「工程A→工程B→工程F→工程C→工程G→工程D→工程H→工程E」の順に実行されている。しかしながら、第3方法に含まれる上記工程A乃至工程E及び工程F乃至工程Hの実行順序は必ずしも上記の通りである必要は無く、例えば第3アセンブリが適用される気密容器及び第3アセンブリの構成並びに当該気密容器の周辺環境等に応じて各工程の実行順序を適宜変更することができる。
【0128】
〈効果〉
以上説明してきたように、第3ユニットは、上述した第1ユニット又は第2ユニットが備える構成に加えて、第3ユニットによって構成される気密接続用アセンブリが気密容器に取り付けられている状態(状態A)において第1孔を取り囲み且つ気密容器の隔壁と第1封止部材との間に介在することが可能な部材である第2封止部材を更に備える、気密接続用ユニットである。従って、第3ユニットによれば、上述したように気密容器の隔壁及び/又は第1封止部材が十分な平面性を備えない場合、或いは、気密容器の隔壁への第1封止部材の固定に伴って作用する応力に起因して気密容器の隔壁及び/又は第1封止部材が変形する場合等においても、第3ユニットによって構成される気密接続用センブリである第3アセンブリを備える気密容器である第3容器及び/又は第3容器を備える気化器である第3気化器の用途において求められる気密性を十分に達成することができる。
【0129】
加えて、第3方法においては、導通部材とコネクタとの接続(工程A)、第1封止部材の第2孔への導通部材の挿通(工程B)、コネクタと第1封止部材との結合部材による結合(工程F)、第2孔の内周面と導通部材との間への封止材の充填(工程C)、第2封止部材への導通部材の挿通(工程G)、気密容器の第1孔への導通部材の挿通(工程D)、気密容器の隔壁と第1封止部材との間の所定の位置への第2封止部材の配設(工程H)、及び気密容器の隔壁の所定の位置への第1封止部材の固定による第1孔の閉塞(工程E)をそれぞれ個別に実行することができる。従って、第3方法によれば、簡潔且つ自由度の高いプロセスにより、簡易な構成により気密容器の気密を維持しつつ当該気密容器の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とすると共に上記のような効果を達成することができる第3アセンブリを容易に製造することができる。
【実施例0130】
以下、本発明の実施例に係る気密接続用アセンブリ(以下、「実施例アセンブリ」と称される場合がある。)につき、図面を参照しながら、より詳しく説明する。
【0131】
〈構成〉
図14は実施例アセンブリの構成の一例を示す模式的な分解斜視図であり、
図15は
図14に示した実施例アセンブリ204の上下を反対にした場合における模式的な分解斜視図である。
図14及び
図15に例示する実施例アセンブリ204は、導通部材を挿通するために第1封止部材111に形成される第2孔111aの数が4つである点及び接続部120が内部コネクタ122を備えない点を除き、
図11に示した第3アセンブリ203と同様の構成を有する。また、実施例アセンブリの構成についての理解を容易なものとすることを目的として、
図2、
図7及び
図11と同様に、気密容器300の隔壁310の一部も描かれている。また、第1封止部材111に形成された第2孔111aに充填されるべき封止材及び第2孔111aに挿通されるべき導通部材は
図14及び
図15の何れにおいても省略されている。
【0132】
図14及び
図15に示すように、実施例アセンブリ204は、図示しない導通部材と、封止部110と、接続部120と、を備える気密接続用アセンブリである。導通部材は、信号又は流体の通路を構成する部材である。封止部110は、気密容器300の隔壁310に形成された貫通孔である第1孔311を覆うことが可能な形状を有するアルミニウム製の板状部材である第1封止部材111及び図示しない封止材を含む。
【0133】
ところで、
図16は、
図14及び
図15に示した実施例アセンブリ204が備える第1封止部材111の気密容器300に対向する面に形成された凹部と第2封止部材112との位置関係を示す模式的な分解斜視図である。
図14乃至
図16に示すように、実施例アセンブリ204が備える第1封止部材111の気密容器300に対向する面には、第2封止部材112としてのO-リングの形状に対応した円形の凹部が形成されている。これにより、実施例アセンブリ204を気密容器300に組み付ける際に、O-リングの位置合わせが容易となり、またO-リングのズレを防止することができる。尚、第1封止部材111を気密容器300に固定している図示されたボルトと、当該ボルトを挿通するために気密容器300の隔壁310に形成された貫通孔との間の隙間に起因して、気密容器300の気密性が低下する虞がある場合は、例えばパッキン及びガスケット等を始めとする公知の手段によって当該隙間を封止することが好ましい。
【0134】
上述したように、実施例アセンブリ204が備える接続部120は、前述したコネクタとして、内部コネクタは含まず、外部コネクタ121のみを含む。外部コネクタ121は、気密容器300の外部側の導通部材の端部において実施例アセンブリ204が備える導通部材と他の機器又は設備等が備える導通部材とを電気的に接続するためのコネクタである。また、実施例アセンブリ204が気密容器300に取り付けられている状態(状態A)において気密容器300の第1孔311と連通するように形成された4つの貫通孔である第2孔111aが第1封止部材111に形成されている。これらの第2孔111aに導通部材が1つずつ個別に挿通され、導通部材と第2孔111aの内周面との間に図示しない封止材が充填される。これにより、気密容器300の気密を維持しつつ、気密容器300の内部から外部に亘って延在する導通部材により気密容器300の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とすることができる。
【0135】
実施例アセンブリ204においては、上述した状態Aにおいて気密容器300の隔壁310に形成された第1孔311を取り囲み且つ気密容器300の隔壁310と第1封止部材111との間に介在するように配設される部材である第2封止部材112を封止部110が更に備える。加えて、実施例アセンブリ204は、外部コネクタ121と第1封止部材111とを結合して外部コネクタ121と第1封止部材111との位置関係を固定するように構成された部材である結合部材131を含む結合部130を更に備える。
【0136】
実施例アセンブリ204が備える結合部130に含まれる結合部材131は、外部コネクタ121を保持するための板状の部材であるコネクタ保持部材と、保持部材の両端を第1封止部材111に固定するための一対の板状の部材であるコネクタ支持部材とからなり、これらの部材は一体的に形成されている。尚、外部コネクタ121は板状のコネクタ保持部材に形成された貫通孔に接続端子が挿通された状態でコネクタ保持部材に固定され保持される。即ち、
図14乃至
図16に例示する外部コネクタ121は所謂「レセプタクル」であり、例えば市販されている汎用のレセプタクルを外部コネクタ121として使用することができる。汎用のレセプタクルは、端子の絶縁及び接続の機能を有すれば十分であり、気密性を実現するための封止の機能までも有する必要は無いので、従来のハーメチックコネクタと比べてコネクタの選択の幅が拡がる。また、一般に、汎用のレセプタクルは低価格にて入手することができる。
【0137】
次に、上記のような構成を有する実施例アセンブリ204を集成する手順の一例につき、
図17を参照しながら以下に説明する。
図17は、
図14乃至
図16に示した実施例アセンブリ204が備える外部コネクタ121に接続された導通部材210が気密容器300の隔壁310に形成された第1孔311及び第1封止部材111に形成された第2孔111aに挿通された状態を示す模式的な分解斜視図である。尚、
図17及び以下の説明においては、
図17を見易くし且つ実施例アセンブリ204の集成手順を解りやすく説明することを目的として、2本の導通部材210についてのみ言及する。しかしながら、第1封止部材111に形成された全ての第2孔111aにそれぞれ1つずつ導通部材210を挿通し且つ個々の第2孔111aの内周面と導通部材210との間に封止材を充填して封止することができることは言うまでも無い。或いは、第1封止部材111に形成された第2孔111aのうち導通部材210が挿通されない第2孔111aが残る場合は、当該第2孔111aに封止材を充填して封止することにより気密容器300の気密を達成することができる。
【0138】
先ず、
図17に示すように、外部コネクタ121の所定の端子に導通部材210をそれぞれ接続し(工程A)、導通部材210を結合部材131に形成された貫通孔に挿通し、外部コネクタ121を結合部材131に締結部材によって固定する。次に、導通部材210の各々を第1封止部材111に形成された2つの第2孔111aにそれぞれ1つずつ挿通する(工程B)。そして、第1封止部材111を結合部材131の外部コネクタ121とは反対側の所定の位置に固定する(工程F)。次に、個々の第2孔111aの内周面と導通部材210との間に図示しない封止材としての室温硬化性のシリコンシーラントを充填し硬化させる(工程C)。
【0139】
このようにして集成された外部コネクタ121と導通部材210と結合部材131と第1封止部材111と封止材とからなる集成体の第1封止部材111の第2孔111aから突出している導通部材210を第2封止部材112としてのO-リング及び気密容器300の隔壁310に形成された第1孔311に挿通する(工程G及び工程D)。そして、第1封止部材111の気密容器300に対向する面に形成された凹部にO-リングを部分的に嵌め込んで位置合わせをした状態において(工程H)、締結部材によって気密容器300の隔壁310の所定の位置に第1封止部材111を固定し、第1封止部材111によって第1孔311を塞ぐ(工程E)。即ち、実施例アセンブリ204は、前述した本発明の第3実施形態に係る気密接続用アセンブリの製造方法(第3方法)と同様の手順によって製造することができる。
【0140】
尚、導通部材210の外部コネクタ121とは反対側の端部は、気密容器300の内部に配設された例えばセンサ等の機器又は設備等(図示せず)と接続される。当該接続は、
図2、
図7及び
図11に例示した第1アセンブリ201乃至第3アセンブリ203のように内部コネクタ122を介する接続であってもよい。或いは、当該接続は、
図3、
図8及び
図12に例示した第1アセンブリ201乃至第3アセンブリ203のように当該機器又は設備等の端子等と導通部材210との直接的な接続であってもよい。
【0141】
〈効果〉
図18は、
図14乃至
図17に示した実施例アセンブリ204が気密容器300に取り付けられている状況を示す模式的な斜視図である。
図18に例示する実施例アセンブリ204が備える外部コネクタ121にはプラグ450が接続されており、プラグ450にはケーブル460が接続されている。これにより、例えば気密容器300の内部に配設されたセンサ等の機器又は設備等(図示せず)と気密容器300の外部に設けられた制御装置等(図示せず)との間における電気信号等の授受を可能とすることができる。
【0142】
図14乃至
図18及び上記説明からも明らかであるように、実施例アセンブリ204においては、例えば市販されている金属板及びコネクタ等、容易に入手可能な汎用の構成部材によって封止部110及び接続部120を構成することができる。その結果、実施例アセンブリ204によれば、簡易な構成により気密容器300の気密を維持しつつ気密容器300の内部と外部との間における電気信号等の授受を可能とすることができる。
【0143】
また、実施例アセンブリ204においては、上述した状態Aにおいて第1孔311を取り囲み且つ気密容器300の隔壁310と第1封止部材111との間に介在するように配設される部材である第2封止部材112を封止部110が更に備える。従って、前述したように気密容器300の隔壁310及び/又は第1封止部材111が十分な平面性を備えない場合、或いは、気密容器300の隔壁310への第1封止部材111の固定に伴って作用する応力に起因して気密容器300の隔壁310及び/又は第1封止部材111が変形する場合等においても、実施例アセンブリ204が取り付けられる気密容器300の用途において十分な気密性を達成することができる。
【0144】
更に、実施例アセンブリ204においては、外部コネクタ121と第1封止部材111とが結合部材131によって結合されており、外部コネクタ121と第1封止部材111との位置関係が固定されている。従って、例えば、外部コネクタ121並びに/又は導通部材210が柔軟に動くことができると実施例アセンブリ204を気密容器300に固定する作業を却って行い難い場合、或いは、気密容器300への組み付け時等において折れ曲がったり変形したりすることによって導通部材210が損傷してしまう場合等においても、例えば作業効率の低下及び導通部材210の損傷等の問題を低減することができる。
【0145】
上記のような実施例アセンブリ204によって達成される効果は、実施例アセンブリ204が取り付けられる気密容器及び当該気密容器を備える気化器等においても同様に達成される。
【0146】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。