(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155666
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】超音波風速計
(51)【国際特許分類】
G01P 5/24 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
G01P5/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024191128
(22)【出願日】2024-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2024055913
(32)【優先日】2024-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】大場 公之
(57)【要約】
【課題】小型化及び低コスト化を図り、超音波を複数回反射させて受信する超音波風速計を提供すること。
【解決手段】超音波風速計100は、第1方向及び第1方向に交差する第2方向に沿う第1平面12を有する天板11と、天板11に搭載され、第1方向において第1平面12の両側に配置された第1超音波発振器31及び第2超音波発振器32と、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において、第1平面12と対向して配置され、第1平面12との距離が第1距離であり、第1平面12と平行な第2平面22を有し、第3方向における第1超音波発振器31との距離が第1距離よりも長い第2距離である第3面23を有する反射板と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に沿う第1平面を有する天板と、
前記天板に搭載され、前記第1方向において前記第1平面に所定の距離を離して配置された第1超音波発振器及び第2超音波発振器と、
前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記第1平面と対向して配置され、前記第1平面との距離が第1距離であり、前記第1平面と平行な第2平面を有し、前記第3方向において、第1超音波発振器と重なる位置を含み前記第3方向における前記第1超音波発振器との距離が前記第1距離よりも長い第2距離である第3面を有する反射板と、を備える超音波風速計。
【請求項2】
前記第3面は、前記第3方向において、前記第1超音波発振器及び第2超音波発振器と対向して配置され、前記第2平面に対して傾斜する斜面を含み、
前記斜面は、前記第2平面とは反対側を向くように傾斜する請求項1に記載の超音波風速計。
【請求項3】
前記天板に搭載され、前記第2方向において前記第1平面の両側に配置された第3超音波発振器及び第4超音波発振器を更に備え、
前記第1超音波発振器、前記第2超音波発振器、前記第3超音波発振器、及び、前記第3超音波発振器は、前記第3方向に見て、正方形の頂点に対応する位置に配置され、
前記第2平面は、前記第3方向に見て、円形を成す請求項1又は2に記載の超音波風速計。
【請求項4】
前記天板に搭載され、前記第2方向において前記第1平面の両側に配置された第3超音波発振器及び第4超音波発振器を更に備え、
前記第1超音波発振器、前記第2超音波発振器、前記第3超音波発振器、及び、前記第3超音波発振器は、前記第3方向に見て、正方形の頂点に対応する位置に配置され、
前記第2平面は、前記第3方向に見て、十字形状を成す請求項1に記載の超音波風速計。
【請求項5】
前記天板に搭載され、前記第2方向において前記第1平面の両側に配置された第3超音波発振器及び第4超音波発振器を更に備え、
前記第1超音波発振器、前記第2超音波発振器、前記第3超音波発振器、及び、前記第3超音波発振器は、前記第3方向に見て、正方形の頂点に対応する位置に配置され、
前記第2平面は、前記第3方向に見て、十字形状を成し、当該十字形状の先端部は円弧状を成している請求項1に記載の超音波風速計。
【請求項6】
前記第1距離をHとし、
前記第1超音波発振器と前記第2超音波発振器との距離をD1とし、
前記第1超音波発振器及び前記第2超音波発振器から送信される超音波の1周期をLとした場合に、下記式(1),(2)を満たす、
【数1】
【数2】
請求項1又は2に記載の超音波風速計。
【請求項7】
前記天板に搭載され、前記第2方向において前記第1平面の両側に配置された第3超音波発振器及び第4超音波発振器を更に備え、
前記第1超音波発振器と前記第3超音波発振器との距離をD2とした場合に、下記式(3),(4)を満たす、
【数3】
【数4】
請求項6に記載の超音波風速計。
【請求項8】
前記第3方向において、前記第1超音波発振器及び前記第2超音波発振器の直下に、前記第2平面の少なくとも一部が配置されている請求項1に記載の超音波風速計。
【請求項9】
十字形状の前記第2平面は、
中央部に配置された矩形状の第1領域と、
前記第1領域の各辺から張り出す複数の第2領域と、を含み、
前記第3方向において、前記第1超音波発振器、前記第2超音波発振器、前記第3超音波発振器、及び、前記第4超音波発振器の直下に、前記第2領域の少なくとも一部が配置されている請求項4又は5に記載の超音波風速計。
【請求項10】
前記反射板は、前記第2平面の周囲に形成され、前記第2平面に対して傾斜する第1斜面を有し、
前記第3面は、前記第1斜面の外側に形成され、前記第2平面に対して、前記第1斜面と異なる角度で傾斜する第2斜面を含み、
前記第1斜面及び前記第2斜面は、前記第2平面と反対側を向くように傾斜し、
前記第1斜面には、超音波の反射を抑制する反射防止加工が施されている請求項9に記載の超音波風速計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波風速計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一対の超音波送受信部の間で送受される超音波の伝搬時間に基づいて被測定流体の風向と風速を計測する風向風速計測装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この風向風速計測装置は、被測定流体が流れる流路が形成された筐体と、流路に対して所定の傾きをもって設置される一対の超音波送受信部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術において風向精度の向上について課題がある。超音波を複数回反射させて受信することを前提とした超音波風速計については、技術的な難易度が高い。このような超音波風速計において、小型化及び低コスト化が求められている。
【0005】
本開示は、小型化及び低コスト化を図り、超音波を複数回反射させて受信する超音波風速計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る超音波風速計は、第1方向及び第1方向に交差する第2方向に沿う第1平面を有する天板と、天板に搭載され、第1方向において第1平面に所定の距離を離して配置された第1超音波発振器及び第2超音波発振器と、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において、第1平面と対向して配置され、第1平面との距離が第1距離であり、第1平面と平行な第2平面を有し、第3方向における第1超音波発振器及び第2超音波発振器との距離が第1距離よりも長い第2距離である第3面を有する反射板と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、小型化及び低コスト化を図り、超音波を複数回反射させて受信する超音波風速計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る超音波風速計を例示する概略斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る超音波風速計を例示する概略断面図である。
【
図3】反射板及び超音波発振器の配置の一例を示す平面図である。
【
図4】複数の超音波発振器の間の距離の一例を示す概略図である。
【
図5】第2実施形態に係る超音波風速計の反射板及び超音波発振器の配置の一例を示す平面図である。
【
図6】第3実施形態に係る超音波風速計の反射板及び超音波発振器の配置の一例を示す平面図である。
【
図7】比較例に係る超音波風速計を例示する概略断面図である。
【
図8】第4実施形態に係る超音波風速計の反射板及び超音波発振器の配置の一例を示す平面図である。
【
図9】第5実施形態に係る超音波風速計の反射板及び超音波発振器の配置の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る超音波風速計について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。また、本明細書において、「上」及び「下」との用語を使用する場合がある。これは、
図2に示されている状態における「上」及び「下」であり、Z軸方向において、天板11が配置されている方を「上」とし、反射板21が配置されている方を「下」とする。実際の超音波風速計100の配置はこれに限定されない。また、本明細書では「超音波発振器」としているが、超音波を発振する機能だけではなく超音波受信器としての機能も有している。
【0010】
[第1実施形態に係る超音波風速計100]
図1は、第1実施形態に係る超音波風速計100を例示する概略斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る超音波風速計100を例示する概略断面図である。
図3は、反射板21及び超音波発振器31~34の配置の一例を示す平面図である。
図4は、複数の超音波発振器31~34の間の距離Vx,Vy,Va,Vc,Vdの一例を示す概略図である。なお、各図において、互いに直交するX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を図示する場合がある。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、直交していなくてもよい。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は任意の方向でもよい。X軸方向は、第1方向の一例である。Y軸方向は、第1方向と交差する第2方向の一例である。Z軸方向は、第1方向及び第2方向に交差する第3方向の一例である。
【0011】
図1及び
図2に示す超音波風速計100は、超音波送信部と超音波受信部との間で送受される超音波の伝搬時間に基づいて被測定流体の風向と風速を計測する風向風速計測装置である。超音波風速計100は、空気中の音速(約340m/s)の変動から風速を判定できる。超音波送信部と超音波受信部との間の距離は、既知であり、超音波の伝搬時間の差に基づいて、流体の風向及び風速を計測できる。
【0012】
図1に示されるように、超音波風速計100は、第1筐体10、第2筐体20、及び複数の支柱13を備える。第1筐体10及び第2筐体20は、Z軸方向に離れて配置されている。複数の支柱13は、Z軸方向に延在し、第2筐体20に対して、第1筐体10を支持する。支柱13の下端部は、第2筐体20に固定され、支柱13の上端部は、第1筐体10に固定されている。第1筐体10は、複数の超音波発振器30、及び、回路基板を搭載する。なお、
図1では、第1筐体10の上部を覆うカバーの図示が省略されている。
【0013】
超音波風速計100は、
図2に示されるように、天板11の機能を兼ねる第1筐体10、複数の超音波発振器30、及び反射板21の機能を兼ねる第2筐体20を備える。
【0014】
[天板11]
具体的には、天板11は、第1筐体10に設けられている。天板11は、第1筐体10の底部に配置されている。天板11は、例えば円盤状を成す。天板11には、複数の超音波発振器30を保持する保持部が設けられている。また、天板11は、超音波発振器30から送信された超音波を反射させる面を有する。
【0015】
[第1平面12]
天板11には、第1平面12を有する。第1平面12は、X軸方向及びY軸方向に沿う面である。第1平面12は、天板11の下面である。
【0016】
[複数の超音波発振器30]
複数の超音波発振器30は、超音波発振器31~34を含む。超音波発振器31は、第1超音波発振器の一例であり、超音波発振器32は、第2超音波発振器の一例であり、超音波発振器33は、第3超音波発振器の一例であり、超音波発振器34は、第4超音波発振器の一例である。複数の超音波発振器30は、天板11に搭載されている。超音波発振器30は、超音波を送信する超音波送信部であり、超音波を受信する超音波受信部である。複数の超音波発振器30の配置については後述する。
【0017】
[反射板21]
具体的には、反射板21は、第2筐体20の上部に設けられている。反射板21は、Z軸方向において、天板11と対向するように配置されている。天板11と反射板21との間には、測定対象である流体が通過可能な空間が形成されている。測定対象の流体は、例えば空気でもよい。反射板21は、超音波発振器30から送信された超音波を反射させる面を有する。
【0018】
[第2平面22]
反射板21は、第2平面22及び第3面23を有する。第2平面22は、反射板21の上面でもよい。第2平面22は、Z軸方向において、第1平面12と対向し、第2平面22と平行な面である。「平行」は、「略平行」を含む。第2平面22は、X軸方向及びY軸方向に沿う面である。
図3に示されるように、第2平面22は、Z軸方向に見て、反射板21の中央に配置されている。反射板21は、例えば円形を成している。また、Z軸方向に見て、第2平面22は、第1平面12と重なる領域を含む。
【0019】
[第3面23]
第3面23は、Z軸方向に見て、第2平面22の周囲に形成されている。第3面23は、第2平面22を囲むように形成されている。第3面23は、例えば円錐形状を成す斜面でもよい。
図2に示すように、XZ面に沿う断面において、第3面23は、第2平面22に対して傾斜する傾斜面を含む。第3面23の上端は、X軸方向において、第3面23の下端よりも第2平面22に近い位置に配置されている。Z軸方向において、第3面23の下端は、第3面23の上端よりも外側に配置されている。ここで、上端とは、Z軸方向に見て、天板11に最も近い端部であり、下端は天板11に最も遠い端部である。第3面23は、第2平面22とは反対側を向くように外向きに傾斜している。第3面23では、外側の端部は、内側の端部よりも下方に配置されている。「外向き」とは、外側の端部が、内側の端部よりも下方に配置されていることでもよい。下方は、Z軸方向において天板11から離れる方向である。第3面23は、Z軸方向に見て、超音波発振器30と重なる位置を含む。第3面23は、複数の超音波発振器30の直下の位置に配置された面を含む。
【0020】
[第1距離H]
図2に示されるように、Z軸方向において、第1平面12と第2平面22との距離は、第1距離Hである。
【0021】
[第2距離H23]
Z軸方向において、超音波発振器31と第3面23との距離は、第2距離H23である。第2距離H23は、第1距離Hよりも長い。第2距離H23は、Z軸方向に見て、超音波発振器31から超音波発振器31の直下の位置P23aまでの距離である。直下の位置P23aは、第3面23上の位置である。
【0022】
[超音波発振器31~34の配置]
次に
図3を参照して、超音波発振器31~34の配置について説明する。超音波発振器31,32は、X軸方向に離れて配置されている。超音波発振器33,34は、Y軸方向に離れて配置されている。複数の超音波発振器31~34は、Z軸方向に見て、仮想の正方形14の頂点14cに対応する位置に配置されている。Z軸方向に見て、複数の超音波発振器31~34は、第2平面22の外側に配置されている。Z軸方向に見て、超音波発振器31~34は、第3面23に重なる位置に配置されている。
【0023】
[超音波の送受信経路]
次に
図4を参照して超音波風速計100における超音波の送受信経路について説明する。超音波風速計100では、対角の送受信経路UTx,UTy、及び隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdを確保する。対角の送受信経路UTxは、超音波発振器31と超音波発振器32との間の送受信経路である。Z軸方向に見て、対角の送受信経路UTxは、X軸方向に沿うように形成される。対角の送受信経路UTyは、超音波発振器33と超音波発振器34との間の送受信経路である。Z軸方向に見て、対角の送受信経路UTyは、Y軸方向に沿うように形成される。
【0024】
隣接の送受信経路UTaは、超音波発振器32と超音波発振器33との間の送受信経路である。隣接の送受信経路UTbは、超音波発振器32と超音波発振器34との間の送受信経路である。隣接の送受信経路UTcは、超音波発振器31と超音波発振器34との間の送受信経路である。隣接の送受信経路UTdは、超音波発振器31と超音波発振器33との間の送受信経路である。
【0025】
超音波風速計100では、
図2に示されるように、1回の反射波Uw1の位相と、3回の反射波Uw3の位相を合わせるように、第1平面12と第2平面22との距離である第1距離Hが設定されている。
【0026】
超音波風速計100では、5回の反射波Uw5、7回の反射波、9回の反射波、及びこれ以上の回数の反射波を受ける側の超音波発振器で受信しないように、第3面23が形成されている。
【0027】
超音波風速計100では、対角の送受信経路UTx,UTy上にあるベクトルVx,Vyを直接取得することができる。これにより、超音波風速計100では、風向及び風速を高い精度で検出できる。ベクトルVxは、
図4に示されるように、超音波発振器31と超音波発振器32との間において、X軸方向に沿う。ベクトルVyは、超音波発振器33と超音波発振器34との間において、Y軸方向に沿う。
【0028】
超音波風速計100では、隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTd上にあるベクトルVa,Vb,Vc,Vdを取得することができる。超音波風速計100では、ベクトルVa,Vb,Vc,VdからベクトルVx,Vyを算出することができる。超音波風速計100では、対角の送受信経路UTx,UTyから直接取得したベクトルVx,Vyと。隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdから取得したベクトルVx,Vyとの比較により、位相をまたいでの強風下での無風判定を回避できる。
【0029】
[1回の反射波]
例えば、対角の送受信経路UTxにおいて、1回の反射波Uw1は、超音波発振器31から送信され、第2平面22上の点P22aで反射して、超音波発振器32で受信される。
図2では、1回の反射波Uw1は実線で示されている。
【0030】
[3回の反射波]
例えば、対角の送受信経路UTxにおいて、3回の反射波Uw3は、超音波発振器31から送信され、第2平面22上の点P22bで反射し、第1平面12上の点P12aで反射し、第2平面22上の点P22cで反射して、超音波発振器32で受信される。
図2では、3回の反射波Uw3は1点鎖線で示されている。
【0031】
超音波風速計100において、1回の反射波Uw1と、3回の反射波Uw3を取得しようと考えた場合、超音波発振器31と超音波発振器32との間の距離が決まれば、天板11と第2平面22との間の第1距離Hが決まる。
【0032】
[5回以上の反射波]
例えば、5回の反射波Uw5は、超音波発振器31から送信され、第3面23上の点P23bで反射し、超音波風速計100の外部に向かう。5回の反射波は、第3面23で反射した後、天板11に当たらない。5回以上の反射波は、第3面23で反射した後、超音波風速計100の外部に向かい、天板11に当たらない。
図2では、5回の反射波Uw5は破線で示されている。5回の反射波は、後述するように、5回反射して超音波発振器32に到達する反射波を含み、第2平面22と同じ高さ位置(Z軸方向における位置)に平面が形成されている場合に、超音波発振器32に到達する反射波を含む。
図2では、超音波発振器32に到達しない5回の反射波Uw5が図示され、
図7では、超音波発振器32に到達する反射波Uw5が図示されている。
【0033】
ここで、
図7は、比較例に係る超音波風速計100Dを例示する概略断面図である。
図7に示す比較例に係る超音波風速計100Dが、
図2に示す第1実施形態に係る超音波風速計100と違う点は、第2平面22Dの面積が大きく、天板11の第1平面12と反射板21の第2平面22Dとの間で5回以上反射する超音波(反射波Uw5)が超音波発振器32に到達してしまう点である。
【0034】
例えば第1平面12と平行な第2平面22Dの面積が大きく、超音波発振器31及び超音波発振器32の下方まで広がっている場合には、第1平面12と第2平面22Dの間で5回以上反射する反射波Uw5も超音波発振器32に届いてしまう。
【0035】
ここで、伝搬距離を長くとる、すなわち、第1距離Hを大きくとることができれば、5回以上の反射する超音波は減衰して、超音波発振器32に届かない。しかし、超音波風速計を小型化すると、第1距離Hが大きくとれず、5回以上反射する反射波Uw5も超音波発振器32に届いてしまう。そこで、5回以上の反射波が超音波風速計100の外部に向かうように第3面23を設定する。超音波風速計100では、超音波(反射波Uw5)が5回以上反射して、超音波発振器32に到達しないように、第1平面12と平行な第2平面22の面積を第2平面22Dよりも小さくし、5回以上の反射波Uw5が超音波風速計100の外部に向かうように第3面23(
図1及び
図2参照)を設定する。
【0036】
このことから、少なくとも、Z軸方向において、超音波発振器31の下方に
図1及び
図2に示す第3面23が必要である。また、本実施例では5回以上の反射波Uw5が超音波風速計100の外部に向かうように第3面23を設定したが、3回以上の反射波Uw3が超音波風速計100の外部に向かうように第3面23を設定しても良い。
【0037】
超音波風速計100では、Z軸方向において、天板11と第2平面22との間の第1距離H、及び、超音波発振器31と第3面23との距離が適切に設定されていることにより、対角の送受信経路UTx,UTy、及び隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdを同時に確保することができる。
【0038】
[対向センサ間距離D1]
対向センサ間距離D1は、超音波発振器31と超音波発振器32との距離でもよい。対向センサ間距離D1は、例えば23.3mmでもよい。
【0039】
[隣接センサ間距離D2]
隣接センサ間距離D2は、超音波発振器31と超音波発振器33との距離でもよい。隣接センサ間距離D2は、例えば16.4mmでもよい。
【0040】
1回の反射波と3回の反射波は、異なる測線を持ち、伝搬距離が異なるため、伝搬時間差を持って、受信センサに到達する。受信センサとは、超音波発振器31~34のうち、超音波を受信する超音波発振器31~34である。超音波風速計100では、1回の反射波と3回の反射波が正位相になるように、第1距離Hが設定されている。なお、1回の反射波と3回の反射波とが逆位相となった場合には、1回の反射波による信号と、3回の反射波による信号とが打ち消し合い、信号が得られなくなる。
【0041】
[第1距離H]
n回の反射波の到達時間[s]、n回の反射波の到達距離[m]、及び音速[m/s]は、次の関係を満たす。
n回の反射波の到達時間[s]=n回の反射波の到達距離[m]/音速[m/s]
【0042】
ここで、15degにおける音速cは、340.65[m/s]である。
【0043】
1回の反射波の到達距離A1[m]は、次式(1)により算出できる。
【数1】
【0044】
3回の反射波の到達距離A3[m]は、次式(2)により算出できる。
【数2】
【0045】
ここで、式(1),(2)中のHを変数とすると、1回の反射波の到達時間と3回の反射波の到達時間の差が同時に変動する。
【0046】
例えば、超音波発振器31~34の共振周波数が40[kHz]につき1周期は25[μs]である。超音波風速計100では、1回の反射波の到達時間と、3回の反射波の到達時間との差が25[μs]の倍数となるように、第1距離Hが設定されている。第1平面12と第2平面22との距離が第1距離Hである超音波風速計100によれば、1回の反射波と3回の反射波とを正位相に設定できる。
【0047】
例えば第1距離Hは、10,7mmでもよい。上記の式(1),(2)にH=10.7[mm]を入力し、検算すると、1回の反射波の到達時間は、92.65[μs]であり、3回の反射波の到達時間は、142.91[μs]である。1回の反射波の到達時間と、3回の反射波の到達時間との差は、50.26[μs]であり、2周期遅れで正位相になる。
【0048】
同様の計算により、隣接センサ間距離D2を用いて算出した計算上の最適な第1距離Hは、9.9mmでもよい。
【0049】
対角の送受信経路UTx,UTy及び隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdを両立させるために、第1平面12と第2平面22との間の第1距離Hは、上記の10.7mmと9.9mmとの間の値でもよい。対角の送受信経路UTx,UTy及び隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdを両立させるために、第1距離Hは、例えば10.3mmでもよい。ここで、正位相は、超音波発振器に到達する超音波の波長が完全に一致する場合ではなく、波長が1/4までずれている場合も含む。少なくとも、1回の反射波と3回の反射波が干渉により減衰すること無く超音波を受信することができるためである。ここで、第1距離が10.3mmであれば、対角の送受信経路UTx,UTy及び隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdの1回の反射波と3回の反射波が正位相になると言える。「対角の送受信経路UTx,UTy及び隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTd」を両立させるとは、対角の送受信経路及び隣接の送受信経路の両方において、1回及び3回の反射波を到達させることである。
【0050】
最適な第1距離Hは、1回、3回、及び、5回の反射波においても適用することができる。しかし、5回の反射波まで含めると設計上の制約が大きくなる。そこで、5回以上の反射波を超音波風速計100の外部に向かうように第3面23を設定する。これにより、超音波風速計100では、5回以上の反射波が超音波発振器32に到達する比較例に係る超音波風速計100Dと比較して、第1距離Hを容易に求めることができるため、超音波風速計100の設計を容易にすることができる。
【0051】
[第1実施形態に係る超音波風速計100の作用効果]
第1実施形態に係る超音波風速計100は、X軸方向(第1方向)及びY軸方向(第1方向に交差する第2方向)に沿う第1平面12を有する天板11と、天板11に搭載され、X軸方向において第1平面12に所定の距離を離して配置された超音波発振器(第1超音波発振器)31及び超音波発振器(第2超音波発振器)32と、Z軸方向(第3方向)において、第1平面12と対向して配置され、第1平面12との距離が第1距離Hであり、第1平面12と平行な第2平面22を有し、Z軸方向において、超音波発振器31と重なる位置を含みZ軸方向における超音波発振器31との距離が第1距離Hよりも長い第2距離H23である第3面23を有する反射板21と、を備える。なお、「平行」は「略平行」を含む。
【0052】
このような音響変換装置100では、超音波発振器31から送信された超音波が、第2平面22で反射し、超音波発振器32に到達することにより、1回の反射波による送受信経路が実現できる。また、音響変換装置100では、超音波発振器31から送信された超音波が、第2平面22で反射し、この反射波が第1平面12で反射し、さらに、第2平面22で反射して、超音波発振器32に到達することにより、3回の反射波による送受信経路が実現できる。1回の反射波と3回の反射波は、異なる測線を持ち、伝搬距離が異なるため時間差を持って受信側の超音波発振器31,32に到達する。超音波風速計100では、往復路時間差(位相差)判定を用いて、被測定流体の風速を算出できる。超音波風速計100では、小型化及び低コスト化を図り、超音波を複数回反射させて受信する超音波風速計を提供することができる。
【0053】
超音波風速計100では、第3面23は、Z軸方向において、超音波発振器31及び第2超音波発振器32と対向して配置され、第2平面22に対して傾斜する斜面を含み、斜面は、第2平面22とは反対側を向くように傾斜する。
【0054】
この構成の超音波風速計100によれば、第2平面22とは反対側を向くように傾斜する斜面として第3面23が形成されることにより、超音波発振器32から送信された超音波の一部が第3面23で反射して、超音波風速計100の外部に向かう。超音波風速計100では、5回の反射波が実現しない超音波の送受信経路を実現できる。斜面は、例えばZ軸方向に沿う断面において、直線的な面を含んでもよく、湾曲面を含んでもよい。斜面は、当該斜面で反射した反射波が、超音波風速計100の外部に進行できる面であればよい。
【0055】
また、超音波風速計100では、天板11に搭載され、Y軸方向において第1平面12の両側に配置された超音波発振器(第3超音波発振器)33及び超音波発振器(第4超音波発振器)34を更に備え、超音波発振器31~34は、Z軸方向に見て、仮想の正方形14の頂点14cに対応する位置に配置され、第2平面22は、Z軸方向に見て、円形を成す。
【0056】
このような超音波風速計100によれば、X軸方向に沿う対角の送受信経路UTx、Y軸方向に沿う対角の送受信経路UTy、仮想の四角形の各辺に沿う隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdを実現できる。超音波風速計100では、これらの送受信経路に沿って伝搬した超音波を受信して、X軸方向に沿うベクトルVx、Y軸方向に沿うベクトルVy、仮想の四角形14の各辺に沿うベクトルVa,Vb,Vc,Vdを算出することができる。超音波風速計100では、これらのベクトルVx,Vy,Va,Vb,Vc,Vdを用いて、被測定流体の風向及び風速を計測できる。
【0057】
また、超音波風速計100では、第1距離をHとし、超音波発振器31と超音波発振器32との距離をD1とし、超音波発振器31,32から送信される超音波の1周期をLとした場合に、下記式(3),(4)を満たす。ここで、式(4)で1周期Lに幅を持たせているのは、正位相は、超音波発振器に到達する超音波の波長が完全に一致する場合ではなく、波長が1/4までずれている場合も含むからである。
【数3】
【数4】
【0058】
また、超音波風速計100では、天板11に搭載され、Y軸方向において第1平面12の両側に配置された超音波発振器33及び超音波発振器34を更に備え、超音波発振器31と第3超音波発振器34との距離をD2とした場合に、下記式(5),(6)を満たす。ここで、式(6)で1周期Lに幅を持たせているのは、正位相は、超音波発振器に到達する超音波の波長が完全に一致する場合ではなく、波長が1/4までずれている場合も含むからである。
【数5】
【数6】
【0059】
[第2実施形態に係る超音波風速計100B]
次に、第2実施形態に係る超音波風速計100Bについて説明する。
図5は、第2実施形態に係る超音波風速計100Bの反射板21B及び超音波発振器31~34の配置を示す平面図である。
図5に示す超音波風速計100Bが、
図3に示す超音波風速計100と違う点は、反射板21に代えて反射板21Bを備える点であり、第2平面22Bの形状が異なる。なお、第2実施形態に係る100Bの説明において、上記の第1実施形態に係る超音波風速計100と同様の説明は省略する場合がある。
【0060】
超音波風速計100Bは、反射板21Bを備え、反射板21Bには、第2平面22Bが形成されている。第2平面22Bは、Z軸方向に見て十字形状を成すように形成されている。第2平面22Bは、領域24a,24b,24c,24d,24eを含む。領域24aは、矩形状を成し、第2平面22Bの中央に配置されている。領域24aの対角線は、X軸方向及びY軸方向に沿うように配置される。領域24b~24eは、矩形状を成し、領域24aの各辺から外側に張り出すように形成されている。例えば、領域24bは、超音波発振器32と超音波発振器34との間に形成されている。領域24cは、超音波発振器32と超音波発振器33との間に形成されている。領域24dは、超音波発振器33と超音波発振器31との間に形成されている。領域24eは、超音波発振器31と超音波発振器34との間に形成されている。
【0061】
このような第2実施形態に係る超音波風速計100Bにおいても、上記の第1実施形態に係る超音波風速計100と同様の作用効果を奏する。さらに、隣接の送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdは外側に張り出した部分に超音波を反射させることができる。その結果、送受信経路UTx,UTyだけではなく、送受信経路UTa,UTb,UTc,UTdを用いて風速を計算することができ、風速の精度を向上させることができる。第2平面22Bの形状は、十字形状を成していてもよい。
【0062】
[第3実施形態に係る超音波風速計100C]
次に、第3実施形態に係る超音波風速計100Cについて説明する。
図6は、第3実施形態に係る超音波風速計100Cの反射板21C及び超音波発振器31~34の配置を示す平面図である。
図6に示す超音波風速計100Cが、
図3に示す超音波風速計100と違う点は、反射板21に代えて反射板21Cを備える点であり、第2平面22Cの形状が異なる。なお、第3実施形態に係る100Cの説明において、上記の実施形態に係る超音波風速計100,100Bと同様の説明は省略する場合がある。
【0063】
超音波風速計100Cは、反射板21Cを備え、反射板21Cには、第2平面22Cが形成されている。第2平面22Cは、Z軸方向に見て十字形状(略十字状)を成すように形成されている。第2平面22Cは、領域24a,24b,24c,24d,24eを含む。領域24aは、矩形状を成し、第2平面22Cの中央に配置されている。領域24aの対角線は、X軸方向及びY軸方向に沿うように配置される。領域24b~24eは、半円形状を成し、領域24aの各辺から外側に張り出すように形成されている。例えば、領域24bは、超音波発振器32と超音波発振器34との間に形成されている。領域24cは、超音波発振器32と超音波発振器33との間に形成されている。領域24dは、超音波発振器33と超音波発振器31との間に形成されている。領域24eは、超音波発振器31と超音波発振器34との間に形成されている。第2平面22Cは、十字形状の先端部が円弧状を成している形状の一例である。
【0064】
このような第3実施形態に係る超音波風速計100Cにおいても、上記の第1実施形態及び第2実施形態に係る超音波風速計100と同様の作用効果を奏する。領域24b~24eは、半円形状に限定されず、半楕円形状でもよく、台形状でもよく、その他の形状でもよい。少なくとも隣接する超音波発振器の間に第2平面22があれば良く、その他の部分を第3面23にすることにより、不要な反射を減らすことにより、ノイズを減らすことができる。
【0065】
[第4実施形態に係る超音波風速計100D]
次に、第4実施形態に係る超音波風速計100Dについて説明する。
図8は、第4実施形態に係る超音波風速計100Dの反射板21D及び超音波発振器31~34の配置を示す平面図である。
図8に示す超音波風速計100Dが、
図3に示す超音波風速計100と違う点は、反射板21に代えて反射板21Dを備える点であり、第2平面22Dの一部がZ軸方向に見て超音波発振器31~34の直下に配置されている点である。なお、第4実施形態に係る100Dの説明において、上記の実施形態に係る超音波風速計100と同様の説明は省略する場合がある。
【0066】
超音波風速計100Dは、反射板21Dを備え、反射板21Dには、第2平面22Dが形成されている。第2平面22Dは、Z軸方向に見て円形を成すように形成されている。Z軸方向において、超音波発振器31~34の直下に、第2平面22Dの少なくとも一部が配置されている。Z軸方向において、第2平面22Dの外周近傍の一部は、超音波発振器31~34に重なるように配置されている。
【0067】
このような第4実施形態に係る超音波風速計100Dにおいても、上記の実施形態に係る超音波風速計100と同様の作用効果を奏する。第2平面22Dの一部は、超音波発振器31~34の直下に配置されていてもよい。その結果、超音波発振器30から送信された超音波が1回目に反射できる第2平面22Dの範囲を広くすることができる。例えば、3回反射の超音波を超音波発振器31から超音波発振器34に到達させるために、隣接センサ間距離D2の1/4の所に第2平面22Dが存在する必要がある。一方、超音波発振器30の大きさを小さくすることには限界がある。そのため、第2平面22Dの一部を超音波発振器30の直下に置くことにより、隣接センサ間距離D2を短くして、超音波風速計100Dを小型化することができる。
【0068】
[第5実施形態に係る超音波風速計100E]
次に、第5実施形態に係る超音波風速計100Eについて説明する。
図9は、第5実施形態に係る超音波風速計100Eの反射板21E及び超音波発振器31~34の配置を示す平面図である。
図9に示す超音波風速計100Dが、
図3に示す超音波風速計100と違う点は、反射板21に代えて反射板21Eを備える点であり、第2平面22Eの形状が異なる。第2平面22Eの一部は、超音波発振器31~34の直下に配置されている。なお、第5実施形態に係る100Eの説明において、上記の実施形態に係る超音波風速計100と同様の説明は省略する場合がある。
【0069】
超音波風速計100Eは、反射板21Eを備え、反射板21Eには、第2平面22Eが形成されている。第2平面22Eは、Z軸方向に見て十字形状を成すように形成されている。第2平面22Eは、領域24a,24b,24c,24d,24eを含む。領域24aは、矩形状を成し、第2平面22Eの中央に配置されている。領域24aの対角線は、X軸方向及びY軸方向に沿うように配置される。領域24b~24eは、矩形状を成し、領域24aの各辺から外側に張り出すように形成されている。例えば、領域24bは、超音波発振器32と超音波発振器34との間に形成されている。領域24cは、超音波発振器32と超音波発振器33との間に形成されている。領域24dは、超音波発振器33と超音波発振器31との間に形成されている。領域24eは、超音波発振器31と超音波発振器34との間に形成されている。領域24aは、第1領域の一例であり、領域24b~24eは第2領域の一例である。
【0070】
Z軸方向において、超音波発振器31~34の直下に、第2平面22Eの少なくとも一部が配置されている。Z軸方向において、第2平面22Eの一部は、超音波発振器31~34に重なるように配置されている。
【0071】
超音波発振器31の直下に、領域24a,24d,24eの一部が配置されている。超音波発振器32の直下に、領域24a,24b,24cの一部が配置されている。超音波発振器33の直下に、領域24a,24c,24dの一部が配置されている。超音波発振器34の直下に、領域24a,24b,24eの一部が配置されている。Z軸方向において、第2平面22Eの少なくとも一部は、超音波発振器31~34に重なるように配置されている。
【0072】
このような第5実施形態に係る超音波風速計100Eにおいても、上記の実施形態に係る超音波風速計100と同様の作用効果を奏する。第2平面22Eの一部は、超音波発振器31~34の直下に配置されていてもよい。その結果、隣接の送受信経路においても、超音波発振器30から送信された超音波が1回目に反射できる第2平面22Eの範囲を広くすることができる。例えば、3回の反射波の超音波を超音波発振器31から超音波発振器34に到達させるために、隣接センサ間距離D2の1/4の所に第2平面22Eが存在する必要がある。一方、超音波発振器30の大きさを小さくすることには限界がある。そのため、第2平面22Eの一部を超音波発振器30の直下に置くことにより、隣接センサ間距離D2を短くして、超音波風速計100Eを小型化することができる。なお、十字形状の第2平面22Eの先端部は、
図6に示すように円弧状を成していてもよい。
【0073】
[第1斜面25]
また、反射板21Eは、第2平面22Eの周囲に形成され、第2平面22Eに対して傾斜する第1斜面25を有していてもよい。第1斜面25は、第2平面22Eと反対側を向くように外向きに傾斜している。また、第1斜面25の表面には、超音波の反射を抑制する反射防止加工が施されていてもよい。反射防止加工の例としては、シボ加工が挙げられる。第1斜面25の一部は、超音波発振器31~34の直下に配置されている。
【0074】
[第3面23]
第3面23は、Z軸方向に見て、第2平面22E及び第1斜面25の周囲に形成されている。第3面23は、第2平面22E及び第1斜面25を囲むように形成されている。第3面23は、第2斜面の一例である。第3面23は、第1斜面25と異なる角度で傾斜する。ここで、第1斜面25が無く、第2平面22Eと第3面23の境界に垂直部ができてしまうと、乱流が発生して正確に風速を測定することができなくなる。そこで、第1斜面25と異なる傾斜を有する第3面23を設けることにより、計算上の最適な第1距離Hを確保しつつ、第2平面22Eに必要な大きさを確保することができると共に、超音波風速計100Eの大きさを必要最小限にすることができる。第3面23の一部は、超音波発振器31~34の直下に配置されている。また、第4実施形態に係る超音波風速計100Dにおいても、第2平面22Dと第3面23の間に第1斜面を有していても良い。
【0075】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0076】
100,100B,100C,100D,100E:超音波風速計、11:天板、12:第1平面、21,21B,21C,21D,21E:反射板、22,22B,22C,22D,22E:第2平面、23:第3面(第2斜面)、24a:領域(第1領域)、24b~24e:第2領域、25:第1斜面、30:複数の超音波発振器、31:超音波発振器(第1超音波発振器)、32:超音波発振器(第2超音波発振器)、33:超音波発振器(第3超音波発振器)、34:超音波発振器(第4超音波発振器)、X:X軸方向(第1方向)、Y:Y軸方向(第2方向)、Z:Z軸方向(第3方向)。