(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015595
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】工具用ホルダ
(51)【国際特許分類】
B25H 3/00 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
B25H3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024197692
(22)【出願日】2024-11-12
(62)【分割の表示】P 2023078758の分割
【原出願日】2018-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000156307
【氏名又は名称】株式会社TJMデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 章夫
(57)【要約】
【課題】ホルダ本体に対する工具用ブラケットの取付角度の自由度を高めることで取り付けを容易化した工具用ホルダを提供する。
【解決手段】工具用ホルダであって、工具用ブラケット1が差込み部2を有し、収容空間13はフレーム部14とストッパー部15によって区画形成されたものであり、差込み部2はホルダ本体10に対して回動可能に構成されており、差込み部2は板状であり軸部3と一体に設けられており、差込み部2は、左右両側に弾性変形可能な弾性片2a、2bを備え、軸部3を中心に一方に回動すると一方の弾性片2aが収容空間13の一方の内側面13aに接触して弾性変形することで所定の姿勢に戻され、軸部3を中心に他方に回動すると他方の弾性片2bが収容空間13の他方の内側面13aに接触して弾性変形することで所定の姿勢に戻されるように構成されている工具用ホルダ。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の体に保持されるホルダ本体と、前記ホルダ本体に対して着脱可能に取り付けられて工具を該ホルダ本体に装着するための工具用ブラケットと、を有する工具用ホルダであって、
前記工具用ブラケットが、前記ホルダ本体の収容空間に任意の取付角度で差し込み可能な差込み部を有し、
前記収容空間は、上方に向けて開口するフレーム部と、スライド可能に構成されたストッパー部によって区画形成されたものであり、
前記差込み部は、前記収容空間に差し込まれた状態で前記ホルダ本体に対して回動可能に構成されており、
前記差込み部は板状であり、前記ホルダ本体に対して回動する際の回転軸を構成する軸部と一体に設けられており、
前記差込み部は、左右両側に弾性変形可能な弾性片を備え、前記軸部を中心に一方に回動すると一方の前記弾性片が前記収容空間の一方の内側面に接触して弾性変形することで所定の姿勢に戻され、前記軸部を中心に他方に回動すると他方の前記弾性片が前記収容空間の他方の内側面に接触して弾性変形することで所定の姿勢に戻されるように構成されていることを特徴とする工具用ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具を保持するための工具用ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工具等を作業者の腰ベルトに保持するための工具用ホルダが知られている。例えば、特許文献1には、工具に固定される差込みブラケットと、この差込みブラケットと係合して工具を保持するホルダ本体からなり、ホルダ本体に、溝をガイドにして差込みブラケットを滑り込ませる収容空間と、収容空間内に収容された差込みブラケットの後端部に当接して収容空間からの引き抜けを防止するストッパーを設けた工具用ホルダが開示されている。
【0003】
上記特許文献1の工具用ホルダによれば、工具に固定した差込みブラケットを、ホルダ本体に差し込むだけで、該ホルダ本体に工具をロック状態で装着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の差込みブラケットは、ホルダ本体に差し込む際、及びホルダ本体に装着された状態において、ホルダ本体に対する差込みブラケットの取付角度(取付姿勢)が予め決まっており一定である。そのため、作業姿勢によっては、ホルダ本体に対する差込みブラケットの着脱が困難になる場合がある。すなわち、例えば、巻尺に固定された差込みブラケットをホルダ本体に差し込もうとする際に、巻尺を持ち替えてホルダ本体に対する差込みブラケットの向きを整えてからホルダ本体に差し込まなければならない場合があり、作業効率が低下する虞がある。
【0006】
それゆえ本発明は、ホルダ本体に対する工具用ブラケットの取付角度の自由度を高めることで、着脱を容易化した工具用ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の工具用ホルダは、使用者の体に保持されるホルダ本体と、前記ホルダ本体に対して着脱可能に取り付けられて工具を該ホルダ本体に装着するための工具用ブラケットと、を有する工具用ホルダであって、
前記工具用ブラケットが、前記ホルダ本体の収容空間に任意の取付角度で差し込み可能な差込み部を有し、
前記収容空間は、上方に向けて開口するフレーム部と、スライド可能に構成されたストッパー部によって区画形成されたものであり、
前記差込み部は、前記収容空間に差し込まれた状態で前記ホルダ本体に対して回動可能に構成されており、
前記差込み部は板状であり、前記ホルダ本体に対して回動する際の回転軸を構成する軸部と一体に設けられており、
前記差込み部は、左右両側に弾性変形可能な弾性片を備え、前記軸部を中心に一方に回動すると一方の前記弾性片が前記収容空間の一方の内側面に接触して弾性変形することで所定の姿勢に戻され、前記軸部を中心に他方に回動すると他方の前記弾性片が前記収容空間の他方の内側面に接触して弾性変形することで所定の姿勢に戻されるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ホルダ本体に対する工具用ブラケットの取付角度の自由度を高めることで取り付けを容易化した工具用ホルダを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る工具用ブラケットを巻尺に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】帯状の被装着体に対して装着されたホルダ本体を示す斜視図である。
【
図3】ホルダ本体の収容空間に収容された工具用ブラケットの差込み部及び軸部を示す正面図である。
【
図4】ホルダ本体の収容空間に差込み部が収容された状態の軸部の変形例を示す正面図である。
【
図5】(a)、(b)は、
図1の工具用ブラケットにおける差込み部の変形例を示している。
【
図7】
図6の回動抑制部材をホルダ本体に取り付けた状態を示す図である。
【
図9】
図8の回動抑制部材を工具用ブラケットに取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について例示説明する。
図1は本発明の一実施形態である工具用ブラケット1の、巻尺Mに装着した状態を示す斜視図である。工具用ブラケット1は、巻尺M等の工具に固定した状態で使用され、例えば
図2に示すホルダ本体10に着脱可能に取り付けられて、当該ホルダ本体10に工具を装着するための部材である。ここで、工具用ブラケット1を適用可能な工具とは、巻尺Mの他、ハンマー、バール、ラチェットレンチ、電動ドライバー、及び、それらを収納するバッグ、工具差し等も含む。
【0011】
工具用ブラケット1は、ホルダ本体10の収容空間13に任意の取付角度で差し込み可能な差込み部2と、差込み部2に一体に連なる軸部3及びベース部4と、を有する。本例において差込み部2は、平坦な円板状に形成されている。軸部3は、差込み部2とベース部4とを連結しており、ホルダ本体10に対して工具用ブラケット1が回動する際の回転軸を構成する。また、本例の軸部3は円柱状であり、その中心軸が差込み部2の中心軸と同一直線上に位置するように配置されている。ベース部4は、差込み部2と略平行に延在する板状に形成されている。ベース部4は、正面視で円弧状となる湾曲面で構成される上面4aと、平坦面で構成される下面4b及び両側面4c、4dとを有している。
【0012】
本例の工具用ブラケット1には、ねじ孔5が形成されている。工具用ブラケット1は、当該ねじ孔5を通して巻尺Mに締結されるねじにより、巻尺Mに固定されている。なお、工具用ブラケット1を巻尺M等の工具に取り付ける方法は特に限定されず、本例のようにねじ等の締結具を用いる方法の他、接着、溶着等により固定することも可能である。
【0013】
ここで、ホルダ本体10は、
図2に示すように、例えば腰ベルト11等の帯状被装着体に装着されることにより使用者の体に保持される。なお、ホルダ本体10は、使用者の体に保持されていれば、その保持方法は特に限定されない。また、帯状被装着体とは、使用者の腰に巻かれる横型のベルトに限らず、例えばハーネス型安全帯の縦ベルト部分等の、略鉛直方向に延在する縦型のベルトとすることも可能である。また、ホルダ本体10の形状は、使用者の体に保持され、工具用ブラケット1を着脱可能であれば特に限定されない。
【0014】
ホルダ本体10は、帯状被装着体に対して着脱するための構成を備えている。本例では、ホルダ本体10の背面側に、腰ベルト11を通すための貫通孔12が形成されているが、これに限定されず、例えば、腰ベルト11を挟み込むクリップ状の構成としてもよい。
【0015】
ホルダ本体10は、その前面側に、工具用ブラケット1の差込み部2を差し込み可能な収容空間13を有している。本例において、収容空間13は、上方に向けて開口するフレーム部14と、スライド可能に構成されたストッパー部15によって区画形成される。フレーム部14は、上部開口14aから差込み部2を差し込み可能に構成されている。また、フレーム部14は、収容空間13に差込み部2が配置された際に、当該差込み部2の前後方向、左右方向、及び下方への移動を所定の範囲に規制するよう構成されている。なお、本例のホルダ本体10は、差込み部2を収容空間13の上方から差し込む構成としているが、差込み方向は特に限定されない。
【0016】
ストッパー部15は、差込み部2を上方から収容空間13に向けて差し込む際に、斜め下方にスライドして上部開口14aを開放するように構成されている。これにより、収容空間13への入口が開放されて、差込み部2を収容空間13に容易に差し込むことができる。なお、ストッパー部15の内部には、バネ等の付勢部材が配置されており、差込み部2の挿入後に自動的にストッパー部15が元の位置に復元するように構成されている。ストッパー部15は、元の位置に復元することで、収容空間13に配置された差込み部2の上方への移動を規制することができる。
【0017】
図3は、ホルダ本体10の収容空間13に差込み部2を差し込んだ状態における、差込み部2及び軸部3の収容空間13における位置を示す図である。
図3に示すように、差込み部2の直径D1は、収容空間13の幅W1よりも小さくなっている。本例では、差込み部2を円形の板状としているが、これに限られず、楕円形や多角形等としてもよく、その場合においても、差込み部2の最大径(軸部3の軸線を通る差込み部2の最大幅)が収容空間13の幅W1よりも小さくなっていることで、差込み部2が収容空間13内で回動可能となる。また、差込み部2の直径D1は、フレーム部14の前方側に位置する前方開口14bの幅W2よりも大きくなっており、これにより、当該前方開口14bから差込み部2が抜け出すことがない。なお、差込み部2の形状は、基本的に厚みが一定の板状としているが、これに限られず、厚みが一定でない立体的な形状としてもよい。また、軸部3及びベース部4の形状も特に限定されず適宜変更可能であり、ベース部4は必須の構成ではない。
【0018】
差込み部2は、収容空間13に任意の取付角度で差し込み可能に構成されている。すなわち、
図1に示すようにベース部4の下面4bが下向きとなる正立姿勢に限らず、巻尺M及び工具用ブラケット1を上下反転した倒立姿勢(ベース部4の下面4bが上向きとなる姿勢)、または、正立姿勢と倒立姿勢の間の傾倒姿勢とした場合でも、差込み部2をフレーム部14の上部開口14aから収容空間13に容易に差し込むことができる。本例においては、差込み部2の最大径(本例では直径D1)が収容空間13の幅W1よりも小さく、且つ、軸部3の最大径(本例では直径D2)がフレーム部14の前方開口14bの幅W2よりも小さくなっていることにより、差込み部2の取付角度に制限がなく、任意の取付角度で差し込み可能な構成となっている。
【0019】
このような構成により、工具用ブラケット1の向きを気にすることなく差込み部2をホルダ本体10の収容空間13に容易に差し込むことができる。すなわち、巻尺M等の工具をホルダ本体10に装着する際に、向きを整えたり、巻尺Mを持ち替えたりすることなく、容易に工具を装着することができる。したがって、上記のような向きの調整等に起因する作業効率の低下を防止することができる。このように、本実施形態の工具用ブラケット1によれば、ホルダ本体10に対する取付角度の自由度を高めることで、工具用ブラケット1及び工具のホルダ本体10に対する取り付けを容易化することができる。
【0020】
また、工具用ブラケット1は、ホルダ本体10に装着された状態で、当該ホルダ本体10に対して軸部3を中心として回動可能に構成されている。そのため、工具用ブラケット1に固定された巻尺Mも、ホルダ本体10に対して回動可能となっている。このように、ホルダ本体10に対して巻尺Mが回動可能であることにより、例えば、ホルダ本体10に巻尺Mを装着した状態のまま測定用テープを引き出して測定を行う場合に、巻尺Mを任意の角度に回動させることができるので、測定用テープの引き出し角度を所望の角度に変更することができ、測定作業が容易となる。また、例えば、ホルダ本体10に装着された巻尺Mに他の部材等が衝突した場合においては、巻尺Mがホルダ本体10に対して回動することで、衝突による衝撃を緩和させることができる。なお、本例にける工具用ブラケット1は、ホルダ本体10に装着された状態で、差込み方向(
図3の上下方向)に移動可能に構成されている。すなわち、工具用ブラケット1の差込み部2は、収容空間13内において所定の範囲内で上下方向に移動可能となっているが、これに限らず、上下の移動を抑制されていてもよい。
【0021】
工具用ブラケット1は、ホルダ本体10に対して回動した後、所定の角度に自動的に戻るように構成されていることが好ましい。これによれば、ホルダ本体10に対する巻尺M等の工具の姿勢(取付角度)を、使い易く、また、取り外しが容易な状態に戻るような構成とすることができるので、利便性が向上する。
【0022】
例えば、巻尺Mに固定した工具用ブラケット1をホルダ本体10に装着した状態で、巻尺Mの重心位置よりもホルダ本体10に工具用ブラケット1支持される支持点Sの位置が上方に位置する構成とすることができる。ホルダ本体10に支持される支持点Sとは、本例では、
図3に示すように、フレーム部14の前方開口14bの下側縁部14cに支持される軸部3の外周面の位置である。このような構成により、巻尺Mは、重心位置より上方の支持点Sでホルダ本体10に支持されることとなる。その結果、巻尺Mに働く重力が巻尺Mの姿勢を所定の角度に維持しようとする(回動した際には元に戻そうとする)方向に働くため、自動的に巻尺Mが一定の姿勢に戻ることとなる。より詳細には、工具用ブラケット1は、支持点Sの真下に巻尺Mの重心位置が配置されるような所定の姿勢に戻り、停止することとなる。
【0023】
なお、
図4に示すように、軸部3の外周面に平坦面3aを設け、当該平坦面3aがフレーム部14の前方開口14bの下側縁部14cに当接するように配置することで、ホルダ本体10に対する工具用ブラケット1の軸部3を中心とした回転をある程度、規制することができる。また、軸部3には、その外周面に複数の平坦面を設けてもよい。さらに、軸部3は、断面が多角形となる多角柱状であってもよい。
【0024】
また、工具用ブラケット1を自動的に所定の姿勢に戻すための構成としては、
図5(a)、(b)に示すような、差込み部2に設けた弾性片2a、2bを利用する方法もある。
図5(a)、(b)に示す例では、差込み部2に、左右一対の切欠き部2cを形成することで、弾性変形可能な弾性片2a、2bを左右両側にそれぞれ設けている。
図5(a)に示す姿勢から軸部3を中心に工具用ブラケット1が回動して、
図5(b)に示すように弾性片2aが収容空間13の内側面13aに接触して弾性変形すると、当該弾性片2aの復元力により、自動的に
図5(a)に示す所定の姿勢(取付角度)に戻る構成となっている。なお、
図5(b)とは逆側に工具用ブラケット1が回動した場合には、
図5(b)において弾性変形している弾性片2aとは逆側の弾性片2bが弾性変形し、復元力により
図5(a)に示す状態に戻す。なお、
図5(a)、(b)の例では、差込み部2に設けた弾性片2a、2bを設ける構成としたが、軸部3に、同様の弾性片を設けるようにしてもよい。
【0025】
また、工具用ブラケット1を自動的に所定の姿勢に戻すための構成としては、ホルダ本体10及び工具用ブラケット1にそれぞれ磁石を配置して、当該磁石同士の引き合い力または反発力を利用して、ホルダ本体10に対する工具用ブラケット1の姿勢(取付角度)が、所期した角度に戻るようにしてもよい。例えば、工具用ブラケット1の軸部3の外周面の一部に磁石を配置するとともに、ホルダ本体10におけるフレーム部14の内縁部の対応する位置に磁石を配置し、それらの磁石同士が引き合うことにより、工具用ブラケット1を所定の姿勢に戻す構成とすることができる。
【0026】
ここで、例えば
図6~
図9に示す回動抑制部材20、30を用いることにより、ホルダ本体10に装着した巻尺Mの回動を抑制することも可能である。
【0027】
図6に示す回動抑制部材20は、ホルダ本体10の収容空間13に差し込まれる主板部21と、主板部21から前方に突出する支持部22と、支持部22から下方に突出する一対の突起部23と、を備える。主板部21の上面には、凹状の湾曲面21aが設けられている。湾曲面21aは、差込み部2の外周面に対応する形状となっており、本例では正面視において、差込み部2の外周面と略同径の円弧状に形成されている。主板部21をホルダ本体10におけるフレーム部14の上部開口14aから収容空間13に差し込むことにより回動抑制部材20をホルダ本体10に装着することができる。
【0028】
図7は、ホルダ本体10に回動抑制部材20を単独で取り付けた状態を示しており、さらに工具用ブラケット1の差込み部2を収容空間13に差し込んだ場合の差込み部2及びベース部4を二点鎖線で示している。この状態で、回動抑制部材20は、ホルダ本体10に対して回動を抑制された状態で抜け止め保持されており、工具用ブラケット1は回動抑制部材20によって回動を抑制される。その結果、工具用ブラケット1のホルダ本体10に対する回動が抑制される。
【0029】
具体的に、主板部21が、収容空間13内で回動を抑制された状態で抜け止め保持される。支持部22には、工具用ブラケット1におけるベース部4の下面4bに当接する上向きの支持面22aが設けられている。
図7に二点鎖線で示すベース部4の下面4bが、工具用ブラケット1の支持面22aに当接することにより、工具用ブラケット1の回動抑制部材20に対する回動が抑制される。湾曲面21aには差込み部2の外周面が当接する。なお、支持部22の形状は、ホルダ本体10におけるフレーム部14の前方開口14bに嵌め込まれるように形成されており、支持部22の下面22bは、フレーム部14の下側縁部14cに当接して支持される。また、一対の突起部23は、フレーム部14の前面側に配置される。一対の突起部23と、主板部21との間に、フレーム部14を挟み込むようにして回動抑制部材20のがたつきを規制している。
【0030】
図8は、他の例としての回動抑制部材30を示している。回動抑制部材30は、ベース部4を嵌め込み可能な開口31aを有する本体板部31と、本体板部31から一方側に突出する突出部32とを有する。突出部32の形状は、ホルダ本体10におけるフレーム部14の前方開口14bに嵌め込まれるように形成されている。突出部32には、
図6に示す回動抑制部材20における湾曲面21aと同形状の凹状の湾曲面32aが設けられている。
【0031】
本例の回動抑制部材30は、
図9に示すように、巻尺Mに固定した工具用ブラケット1に嵌め込んだ状態で、工具用ブラケット1とともにホルダ本体10に装着される。なお、本例の回動抑制部材30は、単独でホルダ本体10に取り付けることはできない構成となっている。
【0032】
工具用ブラケット1とともに回動抑制部材30をホルダ本体10に装着すると、ホルダ本体10に対して回動を抑制された状態で回動抑制部材30が保持され、工具用ブラケット1は回動抑制部材30によって回動を抑制される。その結果、工具用ブラケット1のホルダ本体10に対する回動が抑制される。
【0033】
工具用ブラケット1とともに回動抑制部材30をホルダ本体10に装着すると、突出部32がホルダ本体10におけるフレーム部14の前方開口14bに嵌り込む。これにより、ホルダ本体10に対する回動抑制部材30の回動が抑制される。また、突出部32の下面32bは、フレーム部14の下側縁部14cに当接して支持される。
【0034】
本体板部31は、工具用ブラケット1が固定された巻尺Mの表面と、ホルダ本体10の前面(フレーム部14の表面)との間に保持される。工具用ブラケット1におけるベース部4の下面4bが、開口31aの下縁部に設けられた支持面31bに当接することにより、工具用ブラケット1の回動抑制部材30に対する回動が抑制される。また、湾曲面32aには差込み部2の外周面が当接する。
【0035】
なお、工具用ブラケット1の回動を抑制するための構成としては、上記に限られるものではなく、例えば、工具用ブラケット1の軸部3の外周面に凹部を設け、当該凹部に嵌り込む凸部を、回動抑制部材20の支持部22、または、回動抑制部材30の突出部32に設けるようにしてもよい。
【0036】
以上のように、必要に応じて回動抑制部材20、30等を用いることで、ホルダ本体10に対する工具用ブラケット1の回動を抑制することも可能である。これによれば、巻尺M等の工具を回動させずに使用したい場合にも容易に対応することができる。また、例えば、輸送時において工具用ブラケット1の回動を抑制することで、製品(工具用ブラケット1および/又は巻尺M等の工具)の揺れを防止して、振動に起因する製品の損傷等を防止することができる。
【0037】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えば、上述の実施形態においては、ホルダ本体10の収容空間13に工具用ブラケット1の差込み部2を差し込む形式としたが、これに限られず、ホルダ本体10のフレーム部14に引っ掛けるようにして係合保持されるフック形式の工具用ブラケットとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:工具用ブラケット
2:差込み部
2a、2b:弾性片
2c:切欠き部
3:軸部
3a:平坦面
4:ベース部
4a:上面
4b:下面
4c、4d:両側面
5:ねじ孔
10:ホルダ本体
11:腰ベルト
12:貫通孔
13:収容空間
13a:内側面
14:フレーム部
14a:上部開口
14b:前方開口
14c:前方開口の下側縁部
15:ストッパー部
20:回動抑制部材
21:主板部
21a:湾曲面
22:支持部
22a:支持面
22b:支持部の下面
23:突起部
30:回動抑制部材
31:本体板部
31a:開口
31b:支持面
32:突出部
32a:湾曲面
32b:突出部の下面
D1:差込み部の直径
D2:軸部の直径
M:巻尺
S:支持点
W1:収容空間の幅
W2:前方開口の幅