(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156006
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20251002BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20251002BHJP
C08K 5/37 20060101ALI20251002BHJP
C08G 59/66 20060101ALI20251002BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K3/013
C08K5/37
C08G59/66
H05K1/03 610L
H05K1/03 610R
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025039282
(22)【出願日】2025-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2024053040
(32)【優先日】2024-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒主 将司
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4J002CD011
4J002CD021
4J002CD041
4J002CD051
4J002CD061
4J002CD071
4J002CD081
4J002CD111
4J002CD131
4J002DE146
4J002DE148
4J002DE149
4J002DF016
4J002DF018
4J002DF019
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ018
4J002DJ019
4J002DK006
4J002EC049
4J002EC059
4J002ED029
4J002EF059
4J002EV027
4J002EV067
4J002EV087
4J002EV347
4J002FD018
4J002FD019
4J002FD147
4J002FD319
4J036AA01
4J036AB01
4J036AB07
4J036AD08
4J036DD02
4J036FA03
4J036FA04
4J036FA05
4J036JA07
4J036JA08
(57)【要約】
【課題】熱伝導率、絶縁性能が高く、機械強度に優れる硬化物を得ることができる樹脂組成物等の提供。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラー、及び(C)チオール化合物、を含有する樹脂組成物であって、(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、(C-1)成分が、3官能以上であり、(B)成分が、(B-1)10μm以上の粒子径を有する熱伝導性フィラー、(B-2)1μm以上10μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラー、及び(B-3)1μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラーを含む、樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、
(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラー、及び
(C)チオール化合物、を含有する樹脂組成物であって、
(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、
(C-1)成分が、3官能以上であり、
(B)成分が、(B-1)10μm以上の粒子径を有する熱伝導性フィラー、(B-2)1μm以上10μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラー、及び(B-3)1μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラーを含む、樹脂組成物。
【請求項2】
(B-1)成分の含有量が、(B)成分全体を100体積%としたとき、50体積%以上95体積%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(B-2)成分の含有量が、(B)成分全体を100体積%としたとき、1体積%以上40体積%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(B-3)成分の含有量が、(B)成分全体を100体積%としたとき0.01体積%以上10体積%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、(D)1分子中に含まれるすべての炭素原子数が8以上60以下であり炭素原子数が8以上54以下の不飽和脂肪族骨格を有する分散剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(A)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、1質量%以上25質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(B)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、50質量%以上95質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
(C)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、1質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
(A)エポキシ樹脂、
(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラー、及び
(C)チオール化合物、を含有する樹脂組成物であって、
(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、
(C-1)成分が、3官能以上であり、
(B)成分の10%粒子径が、0.1μm以上5μm以下であり、
(B)成分の平均粒子径が、3μm以上20μm以下であり、
(B)成分の90%粒子径が、10μm以上40μm以下である、樹脂組成物。
【請求項10】
支持体と、当該支持体上に設けられた請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを有する樹脂シート。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む回路基板。
【請求項12】
請求項11に記載の回路基板と、該回路基板上に搭載された半導体チップとを含む、半導体チップパッケージ。
【請求項13】
ヒートシンクと、該ヒートシンク上に設けられた請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物と、該硬化物上に装着された電子部品と、を有する電子部材。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
(A)エポキシ樹脂、
(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラー、
(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラー、
(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラー、及び
(C)チオール化合物、を混合する工程を含み、
(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、
(C-1)成分が、3官能以上である、樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及びその製造方法に関する。さらには、樹脂組成物を使用した、樹脂シート、回路基板、半導体チップパッケージ、並びに電子部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化及び高機能化が進み、プリント配線板における半導体素子の実装密度は高くなる傾向にある。実装される半導体素子の高機能化も相俟って、半導体素子が発生する熱を効率的に放熱する技術が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1、2には、所定のアルミナ等を含む樹脂組成物を、回路基板等の放熱させたい部材と熱伝導材とを接着させる接着剤として用いることで放熱させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-104832号公報
【特許文献2】特許第7056649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体素子が発生する熱を更に効率的に放熱させるべく、熱伝導率の高い接着剤の硬化物が求められている。例えば、シリコンチップから発生する熱を除去する目的でアンダーフィルとして使用する場合、バンプ間の導通を防ぐため高い絶縁性が求められる。また、耐衝撃性の観点から弾性率が低く、伸度が高いことが求められている。
【0006】
しかし、接着剤の硬化物の熱伝導率を向上させるには、アルミナ等の熱伝導性フィラーを高充填し、放熱させたい部材との接触面積を大きくする方法が考えられるが、硬化物の弾性率が高くなることがあった。また、熱伝導性フィラー同士の接触面積を大きくすると、樹脂成分が熱伝導性フィラー全体に馴染まず、熱伝導性フィラー同士が接触しているため、硬化物として十分な伸度を得ることができず、熱伝導率が求められる接着剤としては、従来の技術では必ずしも十分に満足するものが実現できていなかった。以下、伸度及び弾性率をまとめて「機械強度」ということがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、熱伝導率、絶縁性能が高く、機械強度に優れる硬化物を得ることができる樹脂組成物及びその製造方法;該樹脂組成物を使用した、樹脂シート、回路基板、半導体チップパッケージ、並びに電子部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を達成すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、粒度及び体積抵抗率を調整した熱伝導性フィラーを使用し、さらにエポキシ樹脂及びチオール化合物を組み合わせて含有させることで、熱伝導率、絶縁性能及び伸度が高く、弾性率が低い硬化物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)エポキシ樹脂、
(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラー、及び
(C)チオール化合物、を含有する樹脂組成物であって、
(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、
(C-1)成分が、3官能以上であり、
(B)成分が、(B-1)10μm以上の粒子径を有する熱伝導性フィラー、(B-2)1μm以上10μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラー、及び(B-3)1μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラーを含む、樹脂組成物。
[2] (B-1)成分の含有量が、(B)成分全体を100体積%としたとき、50体積%以上95体積%以下である[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (B-2)成分の含有量が、(B)成分全体を100体積%としたとき、1体積%以上40体積%以下である[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (B-3)成分の含有量が、(B)成分全体を100体積%としたとき0.01体積%以上10体積%以下である[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] さらに、(D)1分子中に含まれるすべての炭素原子数が8以上60以下であり炭素原子数が8以上54以下の不飽和脂肪族骨格を有する分散剤を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (A)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、1質量%以上25質量%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] (B)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、50質量%以上95質量%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] (C)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、1質量%以上20質量%以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] (A)エポキシ樹脂、
(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラー、及び
(C)チオール化合物、を含有する樹脂組成物であって、
(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、
(C-1)成分が、3官能以上であり、
(B)成分の10%粒子径が、0.1μm以上5μm以下であり、
(B)成分の平均粒子径が、3μm以上20μm以下であり、
(B)成分の90%粒子径が、10μm以上40μm以下である、樹脂組成物。
[10] 支持体と、当該支持体上に設けられた[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを有する樹脂シート。
[11] [1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む回路基板。
[12] [11]に記載の回路基板と、該回路基板上に搭載された半導体チップとを含む、半導体チップパッケージ。
[13] ヒートシンクと、該ヒートシンク上に設けられた[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物と、該硬化物上に装着された電子部品と、を有する電子部材。
[14] [1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、
(A)エポキシ樹脂、
(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラー、
(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラー、
(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラー、及び
(C)チオール化合物、を混合する工程を含み、
(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、
(C-1)成分が、3官能以上である、樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱伝導率、絶縁性能が高く、機械強度に優れる硬化物を得ることができる樹脂組成物及びその製造方法;該樹脂組成物を使用した、樹脂シート、回路基板、半導体チップパッケージ、並びに電子部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
【0012】
[樹脂組成物]
第1実施形態の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラー、及び(C)チオール化合物、を含有し、(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、(C-1)成分が、3官能以上であり、(B)成分が、(B-1)10μm以上の粒子径を有する熱伝導性フィラー、(B-2)1μm以上10μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラー、及び(B-3)1μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラーを含む。第2実施形態の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラー、及び(C)チオール化合物、を含有し、(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、(C-1)成分が、3官能以上であり、(B)成分の10%粒子径(D10)が、0.1μm以上5μm以下であり、(B)成分の平均粒子径(D50)が、3μm以上20μm以下であり、(B)成分の90%粒子径(D90)が、10μm以上40μm以下である。これら樹脂組成物は、(A)~(C)成分を含有することにより、熱伝導率、絶縁性能が高く、機械強度に優れる硬化物を得ることができる。また、樹脂組成物は、通常、接着強度が高く、耐湿性、及び接着強度の保持率にも優れる硬化物を得ることもできる。
【0013】
第1及び第2実施形態の樹脂組成物は、(A)~(C)成分の他に、必要に応じて、さらに(D)1分子中に含まれるすべての炭素原子数が8以上60以下であり、炭素原子数が8以上54以下の不飽和脂肪族骨格を有する分散剤、(E)硬化促進剤、(F)保存安定剤、(G)シランカップリング剤、(H)任意の添加剤、及び(I)溶剤を含んでいてもよい。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。ここで、第1及び第2実施形態の樹脂組成物をまとめて、「樹脂組成物」ということがある。
【0014】
<(A)エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、(A)成分として、(A)エポキシ樹脂を含有する。(A)エポキシ樹脂を樹脂組成物に含有させることで、良好な機械強度、絶縁性能を示す硬化物を得ることができる。(A)エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0015】
(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、アルキルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0016】
樹脂組成物は、(A)成分として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(A)エポキシ樹脂100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0017】
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、(A)成分として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、液状エポキシ樹脂のみを含むことが好ましい。
【0018】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0019】
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、アルキルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0020】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YED216D」(アルキルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂がより好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0022】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0023】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」、「HP6000L」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR-991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
(A)成分として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:0.1~1:20、より好ましくは1:0.15~1:10、特に好ましくは1:0.2~1:5である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
【0025】
(A)成分のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。この範囲となることで、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分な硬化体をもたらすことができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0026】
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5000、より好ましくは150~3000、さらに好ましくは200~1500である。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0027】
(A)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。上限は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
【0028】
(A)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上である。上限は、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。
【0029】
本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値であり、不揮発成分とは、樹脂組成物を構成する成分のうち溶剤以外の成分をいう。また、本発明において、樹脂組成物中の樹脂成分とは、樹脂組成物の不揮発成分のうち体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラーを除いた成分を表す。
【0030】
<(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラー>
樹脂組成物は、(B)成分として、(B)体積抵抗率が109Ω・m以上である熱伝導性フィラーを含有する。(B)成分を樹脂組成物に含有させることで熱伝導率、機械特性、及び絶縁性能に優れる硬化物を得ることができる。
【0031】
(B)成分の体積抵抗率は、絶縁性能に優れる硬化物を得る観点から、109Ω・m以上であり、好ましくは1010Ω・m以上、より好ましくは1011Ω・m以上である。上限は特に限定されないが、1015Ω・m以下等とし得る。(B)成分は、体積抵抗率が109Ω・m以上であるため、(B)成分が炭化ケイ素である場合は除かれる。
【0032】
(B)成分の熱伝導率は、熱伝導率が高い硬化物を得る観点から、好ましくは20W/m・K以上、より好ましくは30W/m・K以上、さらに好ましくは50W/m・K以上、100W/m・K以上である。上限は特に限定されないが、1000W/m・K以下等とし得る。
【0033】
(B)成分は、粒子の状態で樹脂組成物に含まれ、体積抵抗率及び熱伝導率が上記範囲内であれば特に限定されない。(B)成分の材料は、例えば、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)等が挙げられる。中でも、(B)成分は、本発明の効果を顕著に得る観点から、シリカ、窒化アルミニウム、及び酸化アルミニウムから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、酸化アルミニウムを含むことがより好ましい。
【0034】
(B)成分のアスペクト比は、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは2以下である。下限は好ましくは1以上、より好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.2以上、又は1.2超である。アスペクト比は、(B)成分の粒子の長軸の長さを短軸の長さで除した値である。
【0035】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分は、(B-1)10μm以上の粒子径を有する熱伝導性フィラー、(B-2)1μm以上10μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラー、及び(B-3)1μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラーをそれぞれ含む。(B-1)~(B-3)成分は、同一材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0036】
(B-1)成分の含有量は、(B)成分全体を100体積%としたとき、好ましくは50体積%以上、より好ましくは55体積%以上、さらに好ましくは60体積%以上、65体積%以上、又は80体積%以上である。上限は好ましくは95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、さらに好ましくは85体積%以下である。
【0037】
(B-2)成分の含有量は、(B)成分全体を100体積%としたとき、好ましくは1体積%以上であり、より好ましくは5体積%以上、さらに好ましくは10体積%以上である。上限は好ましくは40体積%以下、より好ましくは35体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下である。
【0038】
(B-3)成分の含有量は、(B)成分全体を100体積%としたとき、好ましくは0.01体積%以上、より好ましくは0.05体積%以上、さらに好ましくは0.1体積%以上である。上限は好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは4.5体積%以下、又は4体積%以下である。
【0039】
(B)成分に含まれる(B-1)成分、(B-2)成分、及び(B-3)成分の量は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒子径分布測定装置によって(B)成分の粒子径分布を体積基準で作成し、その粒子径分布から、(B-1)~(B-3)成分の量を測定できる。測定サンプルは、(B)成分を超音波により水に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA-500」、島津製作所社製「SALD-2200」等を使用することができる。
【0040】
(B)成分は、(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラー、(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラー、及び(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラーを適切な量比で混合することで得ることができる。但し、(B-1b)成分は、10μm以上の粒子径及び10μm未満の粒子径を含むことがある。同様に、(B-2b)成分は、1μm以上10μm未満の粒子径に加えて、10μmを超える粒子径及び1μm未満の粒子径を含むことがあり、(B-3b)成分は、1μm未満の粒子径に加えて1μm以上の粒子径を含むことがある。よって、(B-1b)成分の量は、(B-1)成分の量と一致せず、(B-2b)成分の量は、(B-2)成分の量と一致せず、及び(B-3b)成分の量は、(B-3)成分の量と一致しない。よって、(B-1)成分、(B-2)成分、及び(B-3)成分が特定量含む(B)成分を得るには、通常、(B-1b)~(B-3b)成分それぞれの粒子径分布を把握したうえで、それらの粒子径分布に基づいて設定することが求められる。(B-1b)~(B-3b)成分の詳細は後述する。
【0041】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分は、(B-1)~(B-3)成分を含む。よって、(B)成分の平均粒子径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは8μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、さらに好ましくは16μm以下である。
【0042】
平均粒子径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、熱伝導性フィラーの粒子径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。測定サンプルは、各成分を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA-500」、島津製作所社製「SALD2200」等を使用することができる。
【0043】
(B)成分の体積基準の粒子径分布は、通常、正規分布に従う。よって、(B)成分は、当該(B)成分の平均粒子径(D50)より小さい10%粒子径(D10)、及び当該(B)成分の平均粒子径(D50)よりも大きい90%粒子径(D90)を有しうる。ここで、10%粒子径(D10)とは、体積基準の粒径分布において、粒径の小さい側から累積した体積の積算量が10%となるときの粒径を表す。また、90%粒子径(D90)とは、体積基準の粒径分布において、粒径の小さい側から累積した体積の積算量が90%となるときの粒径を表す。(B)成分の10%粒子径(D10)及び90%粒子径(D90)は、前記のレーザー回折・散乱法で測定された体積基準の粒径分布から測定できる。
【0044】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分の10%粒子径(D10)は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下、又は2μm以下である。10%粒子径(D10)の測定方法は、平均粒子径(D50)と同様の方法にて測定することができる。
【0045】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分の90%粒子径(D90)は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。90%粒子径(D90)の測定方法は、平均粒子径(D50)と同様の方法にて測定することができる。
【0046】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分の平均粒子径(D50)と10%粒子径(D10)との差(D50-D10)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは7μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは12μm以下である。
【0047】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分の平均粒子径(D50)と90%粒子径(D90)との差(D90-D50)は、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは17μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
【0048】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分の10%粒子径(D10)と90%粒子径(D90)との差(D90-D10)は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは35μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。
【0049】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分の平均粒子径(D50)と10%粒子径(D10)との比(D50/D10)は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。
【0050】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分の平均粒子径(D50)と10%粒子径(D90)との比(D90/D50)は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.5以上であり、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
【0051】
第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分の10%粒子径(D10)と90%粒子径(D90)との比(D90/D10)は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上であり、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは17以下である。
【0052】
第2実施形態の樹脂組成物における(B)成分は、(B-1)10μm以上の粒子径を有する熱伝導性フィラー、(B-2)1μm以上10μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラー、及び(B-3)1μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラーをそれぞれ含むことが好ましい。(B-1)~(B-3)成分については上記したとおりである。
【0053】
第2実施形態の樹脂組成物における(B)成分の10%粒子径(D10)は、0.1μm以上であり、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。上限は、5μm以下であり、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、又は2μm以下である。10%粒子径(D10)の測定方法は、上記したとおりである。
【0054】
第2実施形態の樹脂組成物における(B)成分の平均粒子径(D50)は、3μm以上であり、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上である。上限は20μm以下であり、好ましくは18μm以下、より好ましくは16μm以下である。平均粒子径(D50)の測定方法は上記したとおりである。
【0055】
第2実施形態の樹脂組成物における(B)成分の90%粒子径(D90)は、10μm以上であり、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上である。上限は、40μm以下であり、好ましくは35μm以下、より好ましくは30μm以下である。90%粒子径(D90)の測定方法は、上記したとおりである。
【0056】
第2実施形態の樹脂組成物における(B)成分の10%粒子径(D10)、90%粒子径(D90)、D50-D10、D90-D50、D90-D10、D50/D10、D90/D50、及びD90/D10の好ましい範囲等は、第1実施形態の樹脂組成物における(B)成分と同じである。
【0057】
第1及び第2実施形態の樹脂組成物における(B)成分の比表面積は、熱伝導率に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは0.01m2/g以上、より好ましくは0.025m2/g以上、さらに好ましくは0.05m2/g以上である。上限は好ましくは30m2/g以下、より好ましくは25m2/g以下、さらに好ましくは20m2/g以下である。(B)成分の比表面積は、窒素BET法により測定することができる。具体的には自動比表面積測定装置を使用して測定することができ、自動比表面積測定装置としては、マウンテック社製「Macsorb HM-1210」等を使用することができる。
【0058】
(B)成分((B-1)~(B-3)成分を含む場合は(B-1)~(B-3)成分)は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていてもよい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM5783」(N-フェニル-3-アミノオクチルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
【0059】
表面処理剤による表面処理の程度は、(B)成分の分散性向上の観点から、各成分100質量部に対して、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
【0060】
表面処理剤による表面処理の程度は、各成分の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。各成分の単位表面積当たりのカーボン量は、各成分の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上が更に好ましい。一方、溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下が更に好ましい。
【0061】
(B)成分の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の各成分を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された(B)成分に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて各成分の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0062】
(B)成分の含有量(質量%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、又は80質量%以上である。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
【0063】
(B)成分の含有量(体積%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上、さらに好ましくは50体積%以上である。上限は、好ましくは80体積%以下、より好ましくは75体積%以下、さらに好ましくは70体積%以下、又は65体積%以下である。
【0064】
樹脂組成物に含まれる各成分の体積含有率(体積%)は、樹脂組成物に含まれる成分の質量から計算によって求められる。具体的には、質量を比重で割り算して各成分の体積を求め、そうして求めた各成分の体積から計算により体積含有率(体積%)を求めることができる。
【0065】
<(C)チオール化合物>
樹脂組成物は、(C)成分として、(C)チオール化合物を含有する。この(C)チオール化合物は、上述した(A)~(B)成分に該当するものは含めない。(C)成分は、(A)成分と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。(C)成分と(A)成分とを組み合わせて樹脂組成物に含有させることにより、樹脂組成物の硬化物の機械強度(伸度及び弾性率)を向上させることができる。また、(C)成分を樹脂組成物に含有させることで、樹脂組成物の粘度が下がるので作業性が向上し、低温で樹脂組成物を硬化させることも可能になる。熱伝導率が求められる樹脂組成物において、従来、(A)成分と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する成分として、酸無水物系の液状硬化剤、フェノール系液状硬化剤等の硬化剤が用いられていた。しかし、これら硬化剤は、硬化温度が高いので硬化反応が遅くなる。この結果、樹脂組成物の加熱硬化中に(B)成分が沈降してしまい、樹脂組成物全体に(B)成分を均一に分布させることが困難であった。本発明では、前記の硬化剤の代わりに(C)成分を用いる。(C)成分は、前記の硬化剤と比較して硬化温度が低いので硬化速度が速い。よって、(B)成分の沈降を抑制することができ、樹脂組成物全体に(B)成分を均一に分布させることが可能になる。この結果、硬化物の機械強度を向上させることができる。(C)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
(C)成分としては、(A)成分と反応して樹脂組成物を硬化させることができるチオール基を有する化合物を用いることができる。(C)成分は、架橋密度を向上させる観点から、1分子中のチオール基の数が好ましくは2以上(2官能以上)、より好ましくは3以上(3官能以上)であり、好ましくは6以下(6官能以下)、より好ましくは5以下(5官能以下)である。
【0067】
(C)成分は、(C-1)エステル構造(-C(=O)-O-)を有さない、3官能以上の非エステル型チオール化合物と、(C-2)エステル構造を有するエステル型チオール化合物と、(C-3)エステル構造(-C(=O)-O-)を有さない、2官能の非エステル型チオール化合物とに分けることができる。(C)成分としては、耐湿性、及び接着強度の保持率に優れる硬化物を得る観点から、少なくとも(C-1)成分を含み、好ましくは(C-1)成分及び(C-2)成分を併用する。なお、(C-1)成分、(C-2)成分、及び(C-3)成分をまとめて(C)成分ということがある。
【0068】
(C-1)成分としては、例えば、アルキルイソシアヌレート型チオール化合物、炭化水素型チオール化合物、エーテル型チオール化合物、アルコール型チオール化合物、アルキルグリコールウリル型チオール化合物等が挙げられる。中でも、(C-1)成分としては、(B)成分と樹脂成分との相溶性及び(B)成分との濡れ性を向上させ、密着強度及び伸度を向上させる観点から、アルキルイソシアヌレート型チオール化合物アルキルイソシアヌレート型チオール化合物が好ましい。(C-1)成分は、架橋密度を向上させる観点から、1分子中のチオール基の数が3以上(3官能以上)であり、好ましくは6以下(6官能以下)、より好ましくは5以下(5官能以下)である。
【0069】
アルキルイソシアヌレート型チオール化合物とは、イソシアヌル酸の1、3、5位の窒素原子それぞれにアルキル基が結合し且つ1個以上のメルカプト基を有する化合物である。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~3、2又は3、もしくは3である。アルキルイソシアヌレート型チオール化合物としては、例えば、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、トリス(2-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、トリス(2-メルカプトエチル)イソシアヌレート等の3官能のアルキルイソシアヌレート型チオール化合物等が挙げられる。
【0070】
炭化水素型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基で置換された化合物である。炭化水素型チオール化合物としては、例えば、2-メルカプトメチル-1,3-プロパンジチオール、2-エチル-2-(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、2-メルカプトメチル-1,4-ブタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール等の3官能の炭化水素型チオール化合物;テトラキス(メルカプトメチル)メタン、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール等の4官能の炭化水素型チオール化合物等が挙げられる。
【0071】
エーテル型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基で置換され、且つ分子内の1箇所以上のCH2(第2級炭素)がOに置き換わった化合物である。エーテル型チオール化合物としては、例えば、(2-メルカプトエチル)(2,3-ジメルカプトプロピル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトエチル)エーテル、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトエチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(4-メルカプトブチル)エーテル、トリメチロールエタントリス(4-メルカプトブチル)エーテル、グリセリントリス(3-メルカプトプロピル)エーテル、グリセリントリス(4-メルカプトブチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトプロピル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチル)エーテル、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチル)エーテル、グリセリントリス(2-メルカプトプロピル)エーテル、グリセリントリス(3-メルカプトブチル)エーテル等の3官能のエーテル型チオール化合物;ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトエチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(4-メルカプトブチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチル)エーテル等の4官能のエーテル型チオール化合物;ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトプロピル)エーテル等の5官能以上の多官能のエーテル型チオール化合物が挙げられる。
【0072】
アルコール型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基、1個以上の水素原子がヒドロキシ基で置換された化合物であり、さらに分子内の1箇所以上のCH2(第2級炭素)がO及び/又はSに、1箇所以上のCH2(第2級炭素)及び/又はCH(第3級炭素)がNH及び/又はNに置き換わっていてもよく、例えば、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジオール等の2官能のアルコール型チオール化合物;ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピル)エーテル、3-メルカプト-2,2-ビス(メルカプトメチル)-1-プロパノール等の3官能のアルコール型チオール化合物等が挙げられる。
【0073】
アルキルグリコールウリル型チオール化合物とは、グリコールウリル(すなわちテトラヒドロイミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5(1H,3H)-ジオン)の1、3、4、6、3a、6a位のうち少なくとも1箇所にアルキル基が結合し且つ1個以上のメルカプト基を有する化合物である。アルキルグリコールウリル型チオール化合物としては、例えば、1,3,4-トリス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、1,3,4-トリス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル等の3官能のアルキルグリコールウリル型チオール化合物;1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル等の4官能のアルキルグリコールウリル型チオール化合物等が挙げられる。
【0074】
(C-1)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製の「TMPIC」;川口化学工業社製の「SS32」;四国化成工業社製の「TS-G」、「C3TS-G」;大都工業社製の「MR93」等が挙げられる。
【0075】
(C-2)成分としては、例えば、カルボン酸エステル型チオール化合物、カルボン酸エステルイソシアヌレート型チオール化合物等が挙げられる。中でも、(C-2)成分としてはカルボン酸エステル型チオール化合物が好ましい。
【0076】
カルボン酸エステル型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基で置換され、且つ分子内の少なくとも1箇所以上のCH2(第2級炭素)がC(=O)-Oに置き換わった化合物である。カルボン酸エステル型チオール化合物としては、例えば、チオグリコール酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸、エチレングリコールビスチオグリコレート等の1官能のカルボン酸エステル型チオール化合物;コハク酸ビス(2-メルカプトエチル)、フタル酸ビス(2-メルカプトエチル)、フタル酸ビス(3-メルカプトプロピル)、フタル酸ビス(4-メルカプトブチル)、エチレングリコールビス(メルカプトアセタート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(4-メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(4-メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(4-メルカプトブチレート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(メルカプトアセタート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(4-メルカプトブチレート)、1,8-オクタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,8-オクタンジオールビス(4-メルカプトブチレート)、フタル酸ビス(1-メルカプトエチル)、フタル酸ビス(2-メルカプトプロピル)、フタル酸ビス(3-メルカプトブチル)、エチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、テトラエチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、1,8-オクタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、1,8-オクタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン等の2官能のカルボン酸エステル型チオール化合物;トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、チオリンゴ酸ビス(2-メルカプトエチル)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセタート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトアセタート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(4-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(4-メルカプトブチレート)、グリセリントリス(3-メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(4-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、グリセリントリス(2-メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート等の3官能のカルボン酸エステル型チオール化合物;2,3-ジメルカプトコハク酸ビス(2-メルカプトエチル)、キス(メルカプトアセタート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等の4官能のカルボン酸エステル型チオール化合物;ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトプロピオネート)等の5官能以上の多官能のカルボン酸エステル型チオール化合物が挙げられる。中でも、カルボン酸エステル型チオール化合物としては、密着強度及び伸度を向上させる観点から、3官能のカルボン酸エステル型チオール化合物、及び4官能のカルボン酸エステル型チオール化合物のいずれかが好ましい。
【0077】
カルボン酸エステルイソシアヌレート型チオール系化合物とは、イソシアヌル酸(すなわち1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)の1、3、5位の窒素原子それぞれにアルキル基が結合し且つ1個以上のメルカプト基を有する化合物である。カルボン酸エステル型チオール化合物としては、例えば、トリス[2-(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2-(4-メルカプトブチリルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2-(2-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル]イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等の3官能のカルボン酸エステルイソシアヌレート型チオール系硬化剤等が挙げられる。
【0078】
(C-2)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、淀化学社製の「OTG」、「PEMP」、「EGTG」、「TMTG」、「PETG」、「3-MPA」、「TMTP」;堺化学工業社製の「TEMPIC」、「DPMP」、「PE-1」、「BD-1」、「NR-1」、「TPMB」;昭和電工社製の「TEMB」;レゾナック社製の「PE1」等が挙げられる。
【0079】
(C-3)成分としては、例えば、アルキルイソシアヌレート型チオール化合物、炭化水素型チオール化合物、エーテル型チオール化合物、チオエーテル型チオール化合物、アミン型チオール化合物、アルコール型チオール化合物、アルキルグリコールウリル型チオール化合物等が挙げられる。
【0080】
炭化水素型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基で置換された化合物である。炭化水素型チオール化合物としては、例えば、1,4-ブタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,10-デカンジチオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、1,4-シクロヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、p-キシレン-α,α’-ジチオール等の2官能の炭化水素型チオール化合物等が挙げられる。
【0081】
エーテル型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基で置換され、且つ分子内の1箇所以上のCH2(第2級炭素)がOに置き換わった化合物である。エーテル型チオール化合物としては、例えば、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、2,3-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル等の2官能のエーテル型チオール化合物等が挙げられる。
【0082】
チオエーテル型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基で置換され、且つ分子内の1箇所以上のCH2(第2級炭素)がSに置き換わった化合物であり、さらに分子内の1箇所以上のCH2(第2級炭素)がOに置き換わっていてもよい。チオエーテル型チオール化合物は、脂肪族チオエーテル型チオール化合物であることが好ましい。チオエーテル型チオール化合物としては、例えば、3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール等の2官能のチオエーテル型チオール化合物等が挙げられる。
【0083】
アミン型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基で置換され、且つ分子内の1箇所以上のCH2(第2級炭素)及び/又はCH(第3級炭素)がNH及び/又はNに置き換わった化合物であり、さらに分子内の1箇所以上のCH2(第2級炭素)がO及び/又はSに置き換わっていてもよく、例えば、ビス[4-(3-フェノキシ-2-メルカプトプロピルアミノ)フェニル]メタン、ビス{4-[3-(4-メチルフェノキシ)-2-メルカプトプロピルアミノ]フェニル}メタン、1,4-ビス(3-フェノキシ-2-メルカプトプロピルアミノ)ベンゼン等の2官能のアミン型チオール化合物等が挙げられる。
【0084】
アルコール型チオール化合物とは、炭化水素の同一又は異なる非芳香族炭素原子に結合する1個以上の水素原子がメルカプト基、1個以上の水素原子がヒドロキシ基で置換された化合物であり、さらに分子内の1箇所以上のCH2(第2級炭素)がO及び/又はSに、1箇所以上のCH2(第2級炭素)及び/又はCH(第3級炭素)がNH及び/又はNに置き換わっていてもよく、例えば、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジオール等の2官能のアルコール型チオール化合物等が挙げられる。
【0085】
アルキルグリコールウリル型チオール化合物とは、グリコールウリル(すなわちテトラヒドロイミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5(1H,3H)-ジオン)の1、3、4、6、3a、6a位のうち少なくとも1箇所にアルキル基が結合し且つ1個以上のメルカプト基を有する化合物である。アルキルグリコールウリル型チオール化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、1,3-ビス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル、1,4-ビス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、1,4-ビス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル、1,6-ビス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、1,6-ビス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル等の2官能のアルキルグリコールウリル型チオール化合物等が挙げられる。
【0086】
(C)チオール化合物は、液状であることが好ましい。液状とは、室温(20℃)及び大気圧(0.1MPa)下で流動性を有することを言う。好ましくは、E型粘度計を用い、大気圧下、25℃、コーン回転数2.0rpmで測定される粘度が200000mPa・s以下である。E型粘度計としては例えば、E型粘度計:RE-85U(コーンロータ:3°×R14)(東機産業社製)が挙げられる。
【0087】
(C)チオール化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上、特に好ましくは250以上である。(C)チオール化合物の分子量の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは1,500以下、より好ましくは1,000以下、さらに好ましくは800以下、特に好ましくは700以下である。
【0088】
(C)チオール化合物のチオール当量は、特に限定されるものではないが、好ましくは50~1,000g/eq.、より好ましくは50~500g/eq.、さらに好ましくは50~300g/eq.、特に好ましくは50~200g/eq.である。チオール当量は、チオール基1当量あたりのチオール化合物の質量である。
【0089】
(A)エポキシ樹脂と(C)チオール化合物との量比は、[(A)エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[(C)チオール化合物のチオール基の合計数]の比率で、1:0.1~1:5の範囲が好ましく、1:0.1~1:3がより好ましく、1:0.5~1:2がさらに好ましい。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各(A)エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、(C)チオール化合物のチオール基の合計数とは、各(C)チオール化合物の固形分質量をチオール基当量で除した値をすべての(C)成分について合計した値である。(A)エポキシ樹脂と(C)チオール化合物との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の機械強度がより向上する。
【0090】
(C)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0091】
(C)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0092】
(C-1)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0093】
(C-1)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0094】
(C-2)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0095】
(C-2)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0096】
(C-3)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0097】
(C-3)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さら好ましくは8質量%以上、又は20質量%以上であり、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
【0098】
<(D)1分子中に含まれるすべての炭素原子数が8以上60以下であり、炭素原子数が8以上54以下の不飽和脂肪族骨格を有する分散剤>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、任意の成分として、更に(D)1分子中に含まれるすべての炭素原子数が8以上60以下であり、炭素原子数が、8以上54以下の不飽和脂肪族骨格を有する分散剤を含んでいてもよい。この(D)成分としての(D)1分子中に含まれるすべての炭素原子数が8以上60以下であり、炭素原子数が8以上54以下の不飽和脂肪族骨格を有する分散剤には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(D)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0099】
(D)成分は、1分子中に含まれる炭素原子数が8以上60以下であり、且つ1分子中に1つ以上の炭素原子数が8以上54以下の不飽和脂肪族骨格を有する化合物を用いることができる。(D)成分1分子に含まれるすべての炭素原子数は8以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは15以上である。上限は60以下であり、好ましくは54以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは40以下、30以下、20以下、又は18以下である。
【0100】
(D)成分が有する不飽和脂肪族骨格の炭素原子数は、8以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは15以上である。上限は54以下であり、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、20以下、又は18以下である。この炭素原子数はカルボニル基の炭素原子数及び後述する置換基の炭素原子数は含めない。不飽和脂肪族骨格は、(D)成分1分子中に1つ有していればよく、2つ以上有していてもよい。
【0101】
不飽和脂肪族骨格とは、直鎖状、分岐状、又は環状の、非芳香族性の不飽和脂肪族炭化水素基を含んだ骨格をいう。不飽和脂肪族炭化水素基としては、アルケニル基、アルカポリエニル基、アルキニル基等が挙げられ、アルケニル基が好ましい。また、不飽和脂肪族炭化水素基としては、直鎖状が好ましい。
【0102】
(D)成分は、1分子中に含まれる不飽和脂肪族骨格の数が、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~6、又は1~3である。不飽和脂肪族骨格の数とは、不飽和脂肪族炭化水素基の数を表す。
【0103】
アルケニル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。アルケニル基としては、炭素原子数は8以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは15以上である。上限は54以下であり、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、20以下、18以下である。アルケニル基としては、例えば、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
【0104】
アルカポリエニル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。アルカポリエニル基が有する二重結合の数は、通常2以上であり、3以上であってもよく、また、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、特に好ましくは4以下である。また、アルカポリエニル基の炭素原子数は8以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは15以上である。上限は54以下であり、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、20以下、18以下である。アルカポリエニル基としては、例えば、オクタジエニル基、ノナジエニル基、デカジエニル基、ウンデカジエニル基、ドデカジエニル基、トリデカジエニル基、テトラデカジエニル基、ペンタデカジエニル基、ヘキサデカジエニル基、ヘプタデカジエニル基、オクタデカジエニル基、ノナデカジエニル基、イコサジエニル基等のアルカジエニル基;ヘプタトリエニル基、オクタトリエニル基、ノナトリエニル基、デカトリエニル基、ウンデカトリエニル基、ドデカトリエニル基、トリデカトリエニル基、テトラデカトリエニル基、ペンタデカトリエニル基、ヘキサデカトリエニル基、ヘプタデカトリエニル基、オクタデカトリエニル基、ノナデカトリエニル基、イコサトリエニル基等のアルカトリエニル基;などが挙げられる。
【0105】
アルキニル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。アルキニル基としては、炭素原子数は8以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは15以上である。上限は54以下であり、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、20以下、18以下である。アルキニル基としては、例えば、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
【0106】
不飽和脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、-OH、-O-C1-6アルキル基、-N(C1-6アルキル基)2、C1-6アルキル基、C6-10アリール基、-NH2、-CN、-C(O)O-C1-6アルキル基、-COOH、-C(O)H、-NO2等が挙げられる。ここで、「Cp-q」(p及びqは正の整数であり、p<qを満たす。)という用語は、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がp~qであることを表す。例えば、「C1-6アルキル基」という表現は、炭素原子数1~6のアルキル基を示す。上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
【0107】
(D)成分は、不飽和脂肪族骨格を有する脂肪酸と、2価以上のアルコールとがエステル結合して形成された脂肪酸エステル、即ち(D)成分は、1分子中に含まれるすべての炭素原子数が8以上60以下であり、炭素原子数が8以上54以下の不飽和脂肪族骨格を有する脂肪酸エステルであることが好ましい。
【0108】
不飽和脂肪族骨格を有する脂肪酸としては、例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸等が挙げられる。中でも、不飽和脂肪族骨格を有する脂肪酸としては、オレイン酸が好ましい。
【0109】
2価以上のアルコールは、2~10価のアルコールが好ましく、2~6価のアルコールがより好ましく、2~5価のアルコールがさらに好ましい。このようなアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;グリセリン等の3価のアルコール;ソルビトール、ペンタエリスリトール等の4価のアルコール;ソルビトール等の6価のアルコール等が挙げられる。中でも、2価以上のアルコールとしては、プロピレングリコール、グリセリン、及びソルビタンのいずれかが好ましく、プロピレングリコールがより好ましい。
【0110】
(D)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、理研ビタミン社製の「PO-100V」、「SP-O30V」、「OL-200V」、「OL-200VM」、「O-80V」等が挙げられる。
【0111】
(D)成分の分子量としては、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、さらに好ましくは300以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下である。
【0112】
(D)成分の含有量は、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。上限は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。
【0113】
(D)成分の含有量は、樹脂組成物の樹脂成分の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0114】
<(E)硬化促進剤>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、任意の成分として、更に(E)硬化促進剤を含んでいてもよい。この(E)成分としての(E)硬化促進剤には、上述した(A)~(D)成分に該当するものは含めない。(E)硬化促進剤は、(A)エポキシ樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。(E)硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0115】
(E)硬化促進剤としては、潜在性硬化促進剤が好ましく使用される。潜在性硬化促進剤は、特に一液型の樹脂組成物とする場合に重要な成分であり、常温(25℃)では(A)エポキシ樹脂の硬化に寄与せず、加熱時に(A)エポキシ樹脂の硬化を促進させる機能を有する。
【0116】
潜在性硬化促進剤は、液状潜在性硬化促進剤であっても、固体分散型潜在性硬化促進剤であってもよいが、固体分散型潜在性硬化促進剤がより好ましい。
【0117】
液状潜在性硬化促進剤とは、常温(25℃)でエポキシ樹脂に可溶な液体であり、加熱することでエポキシ樹脂の硬化促進剤として機能する化合物である。液状潜在性硬化促進剤としては、例えば、イオン液体が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0118】
イオン液体を構成するカチオンとしては、例えば、イミダゾリウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピラゾニウムイオン、グアニジニウムイオン、ピリジニウムイオン、それらの炭化水素基(アルキル基、フェニル基、それらの組み合わせ等)置換体等のアンモニウム系カチオン;テトラアルキルホスホニウムイオン等のホスホニウム系カチオン;トリアルキルスルホニウムイオン等のスルホニウム系カチオン等が挙げられる。
【0119】
またイオン液体を構成するアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物系アニオン:メタンスルホンイオン等のアルキル硫酸系アニオン:トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロホスホン酸イオン、トリフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の含フッ素化合物系アニオン:フェノールイオン、2-メトキシフェノールイオン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールイオン等のフェノール系アニオン:アスパラギン酸イオン、グルタミン酸イオン等の酸性アミノ酸イオン:グリシンイオン、アラニンイオン、フェニルアラニンイオン等の中性アミノ酸イオン:N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、N-アセチルグリシンイオン、N-アセチルグリシンイオン等のN-アシルアミノ酸イオン:ギ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル場尿酸、安息香酸イオン等のカルボン酸系アニオンが挙げられる。
【0120】
固体分散型潜在性硬化促進剤とは、常温(25℃)ではエポキシ樹脂に不溶の固体であり、加熱することによりエポキシ樹脂に可溶化し、エポキシ樹脂の硬化促進剤として機能する化合物である。
【0121】
固体分散型潜在性硬化促進剤として、例えば、常温(25℃)で固体のイミダゾール化合物、および固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
常温(25℃)で固体のイミダゾール化合物としては、例えば、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール-トリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール-トリメリテイト、N-(2-メチルイミダゾリル-1-エチル)尿素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の好適な例としては、アミンエポキシアダクト系潜在性硬化促進剤、アミン化合物の尿素アダクト系潜在性硬化促進剤、及びエポキシアダクトの水酸基にイソシアネート化合物を付加反応させた化合物からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、アミンエポキシアダクト系潜在性硬化促進剤が好ましい。
【0124】
アミン化合物のエポキシアダクトの製造原料の一つとして用いられるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノールなど多価フェノール、またはグリセリンやポリエチレングリコールのような多価アルコールとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル;p-ヒドロキシ安息香酸、β-ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステル;4,4’-ジアミノジフェニルメタンやm-アミノフェノールなどとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルアミン化合物;エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィンなどの多官能性エポキシ化合物やブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどの単官能性エポキシ合物;等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0125】
固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の製造原料として用いられるアミン化合物は、エポキシ基と付加反応しうる活性水素を分子内に1以上有し、かつ1級アミノ基、2級アミノ基および3級アミノ基の中から選ばれた官能基を少なくとも分子内に1以上有するものであればよい。このような、アミン化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n-プロピルアミン、2-ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタンのような脂肪族アミン化合物;4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2-メチルアニリンなどの芳香族アミン化合物;2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾリン、2,4-ジメチルイミダゾリン、ピペリジン、ピペラジンなどのを含窒素複素環化合物;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0126】
また、この中で特に分子内に3級アミノ基を有する化合物は、優れた硬化促進能を有する潜在性硬化促進剤を与える原料であり、そのような化合物の例としては、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジ-n-プロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N-メチルピペラジンなどのアミン化合物や、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールなどのイミダゾール化合物のような、分子内に3級アミノ基を有する1級もしくは2級アミン類;2-ジメチルアミノエタノール、1-メチル-2-ジメチルアミノエタノール、1-フェノキシメチル-2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、1-ブトキシメチル-2-ジメチルアミノエタノール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-フェニルイミダゾリン、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-メチルイミダゾリン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N-β-ヒドロキシエチルモルホリン、2-ジメチルアミノエタンチオール、2-メルカプトピリジン、2-ベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メルカプトピリジン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、N,N-ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N-ジメチルグリシンヒドラジド、N,N-ジメ
チルプロピオン酸ヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジドなどのような、分子内に3級アミノ基を有するアルコール類、フェノール類、チオール類、カルボン酸類およびヒドラジド類;等が挙げられる。
【0127】
エポキシ化合物とアミン化合物を付加反応して潜在性硬化促進剤を製造する際に、さらに分子内に活性水素を2以上有する活性水素化合物を反応させることもできる。このような活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フェノールノボラック樹脂などの多価フェノール類、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、アジピン酸、フタル酸などの多価カルボン酸類、1,2-ジメルカプトエタン、2-メルカプトエタノール、1-メルカプト-3-フェノキシ-2-プロパノール、メルカプト酢酸、アントラニル酸、乳酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の製造原料として用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、n-ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネートなどの単官能イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの多官能イソシアネート化合物;さらに、これら多官能イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応によって得られる、末端イソシアネート基含有化合物;等も用いることができる。このような末端イソシアネート基含有化合物の例としては、トルイレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加化合物、トルイレンジイソシアネートとペンタエリスリトールとの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
また、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の製造原料として用いられる尿素化合物として、例えば、尿素、チオ尿素などが挙げられるが、これらに限定されるものでない。
【0130】
固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤は、例えば、上記の製造原料を適宜混合し、常温から200℃の温度において反応させた後、冷却固化してから粉砕するか、あるいは、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で反応させ、脱溶媒後、固形分を粉砕することにより容易に得ることが出来る。
【0131】
固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の市販品としては、例えば、「アミキュアPN-FJ」(味の素ファインテクノ社製)、「アミキュアPN-23」(味の素ファインテクノ社製)、「アミキュアPN-H」(味の素ファインテクノ社製)、「ハードナーX-3661S」(エー・シー・アール社製)、「ハードナーX-3670S」(エー・シー・アール社製)、「FXR-1081」(T&K TOKA社製)、「フジキュアFXR-1000」(T&K TOKA社製)、「フジキュアFXR-1030」(T&K TOKA社製)、「ノバキュアHX-3721」(旭化成社製)、「HX-3722」(旭化成社製)、「ノバキュアHX-3742」(旭化成社製)等が挙げられる。
【0132】
(E)硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
【0133】
(E)硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0134】
<(F)保存安定剤>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、任意の成分として、更に(F)保存安定剤を含んでいてもよい。この(F)成分としての(F)保存安定剤には、上述した(A)~(E)成分に該当するものは含めない。(F)保存安定剤は、樹脂組成物のライフを向上させるために使用される。(F)保存安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0135】
(F)保存安定剤としては、例えば、ボレート化合物、チタネート化合物、アルミネート化合物、ジルコネート化合物、イソシアネート化合物、カルボン酸、酸無水物、メルカプト有機酸等が挙げられる。
【0136】
ボレート化合物としては、例えば、トリメチルボレート、トリエチルボレート(TEB)、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ-n-ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2-エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13-ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7-トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ-o-トリルボレート、トリ-m-トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等が挙げられる。
【0137】
チタネート化合物としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロプルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート等が挙げられる。
【0138】
アルミネート化合物としては、例えば、トリエチルアルミネート、トリプロピルアルミネート、トリイソプロピルアルミネート、トリブチルアルミネート、トリオクチルアルミネート等が挙げられる。
【0139】
ジルコネート化合物としては、例えば、テトラエチルジルコネート、テトラプロピルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラブチルジルコネート等が挙げられる。
【0140】
イソシアネート化合物としては、例えば、n-ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、2-クロロエチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p-クロロフェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2-エチルフェニルイソシアネート、2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、トリレンジイソシアネート(例:2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジ
イソシアネート)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4‘-ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。
【0141】
カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸等の飽和脂肪族一塩基酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和脂肪族一塩基酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸等のハロゲン化脂肪酸、グリコール酸、乳酸等の一塩基性オキシ酸、グリオキザル酸、ブドウ酸などの脂肪族アルデヒド酸及びケトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸等の脂肪族多塩基酸、安息香酸、ハロゲン化安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、けい皮酸、マンデル酸等の芳香族一塩基酸、フタル酸、トリメシン酸等の芳香族多塩基酸等が挙げられる。
【0142】
酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水ドデシニルコハク酸、無水マレイン酸、メチルシクロペンタジエンと無水マレイン酸の付加物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の脂肪族又は脂肪族多塩基酸無水物等、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロリメリット酸等の芳香族多塩基酸無水物等が挙げられる。
【0143】
メルカプト有機酸としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酪酸、メルカプトコハク酸、ジメルカプトコハク酸などのメルカプト脂肪族モノカルボン酸、ヒドロキシ有機酸とメルカプト有機酸とのエステル化反応によって得られるメルカプト脂肪族モノカルボン酸、メルカプト安息香酸などのメルカプト芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
【0144】
(F)保存安定剤としては、これらのうち、汎用性・安全性が高く、保存安定性を向上させる観点より、ボレート化合物が好ましく、トリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ-n-ブチルボレートがより好ましく、トリエチルボレートがさらに好ましい。
【0145】
(F)保存安定剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。上限は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。
【0146】
(F)保存安定剤の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0147】
<(G)シランカップリング剤>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、任意の成分として、更に(G)シランカップリング剤を含んでいてもよい。この(G)成分としての(G)シランカップリング剤には、上述した(A)~(F)成分に該当するものは含めない。(G)シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0148】
(G)シランカップリング剤は、(B)成分を表面処理する表面処理剤ではなく、(B)成分を表面処理しないシランカップリング剤である。(G)シランカップリング剤は、(B)成分を表面処理する表面処理剤と同じであってもよく、異なっていてもよい。また、(G)シランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(G)シランカップリング剤は上記したとおりである。
【0149】
(G)シランカップリング剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。上限は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。
【0150】
(G)シランカップリング剤の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0151】
<(H)任意の添加剤>
樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分に組み合わせて、更に任意の不揮発成分として、(H)任意の添加剤を含んでいてもよい。(F)任意の添加剤としては、例えば、炭化ケイ素等の体積抵抗率が109Ω・m未満である熱伝導性フィラー;硬化剤((C)成分に該当するものは除く);熱可塑性樹脂;重合開始剤;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;第三級アミン類等の光重合開始助剤;ピラリゾン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、チオキサントン類等の光増感剤;等が挙げられる。(H)任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、体積抵抗率が109Ω・m未満である熱伝導性フィラーの含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、0.5質量%以下、0.1質量%以下、又は0質量%である。すなわち体積抵抗率が109Ω・m未満である熱伝導性フィラーは含まないことが特に好ましい。
【0152】
<(I)溶剤>
上述した(A)~(H)成分といった不揮発成分に組み合わせて、さらに任意の揮発性成分として、(I)溶剤を含んでいてもよい。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0153】
(I)溶剤としては、通常、有機溶剤を用いる。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。
【0154】
(I)溶剤の量は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下であり、含まないこと(0質量%)が特に好ましい。
【0155】
<樹脂組成物の物性、用途>
樹脂組成物を80℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物は、優れた熱伝導率を示す。即ち熱伝導率が高い絶縁層をもたらす。熱伝導率としては、好ましくは1.0W/m・K以上、より好ましくは1.5W/m・K以上、さらに好ましくは2.0W/m・K以上である。熱伝導率の上限は特に限定されないが、10W/m・K以下等とし得る。熱伝導率の評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0156】
樹脂組成物を80℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物は、高い伸度を示す。即ち高い伸度を示す絶縁層をもたらす。該硬化物の伸度は、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは3.5%以上、4%以上である。上限は特に制限は無いが10%以下等とし得る。伸びの評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0157】
樹脂組成物を80℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物は、低い弾性率を示す。即ち低い弾性率を示す絶縁層をもたらす。該硬化物の弾性率は、好ましくは6000MPa未満、より好ましくは5500MPa以下、さらに好ましくは5000MPa以下である。下限は特に限定されないが、0.1MPa以上等とし得る。弾性率の評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。該硬化物は低い弾性率を示すことから、耐衝撃性に優れる硬化物を得ることができる。
【0158】
樹脂組成物を80℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物は、高い体積抵抗率を示す。即ち、絶縁性能に優れる絶縁層をもたらす。体積抵抗値は、好ましくは1.0×1014Ω・m以上である。体積抵抗率の上限は特に限定されないが、1.0×1015Ω・m以下等とし得る。体積抵抗率の評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0159】
樹脂組成物を80℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物は、通常、高い接着強度を示す。即ち、接着強度に優れる絶縁層をもたらす。接着強度は、軟鋼板の研磨面に、樹脂組成物を塗布し、試験片を得る。樹脂組成物がオーバーラップするように2つの試験片を貼り合わせて圧締し、樹脂組成物を80℃で60分間熱硬化させる。樹脂組成物を熱硬化させた試験片を、JIS-K-6850に準拠して、引っ張りせん断接着強さを測定する。このとき、引っ張りせん断接着強さは、好ましくは4N/mm2以上、より好ましくは5N/mm2以上である。上限は特に制限は無いが20N/mm2以下等とし得る。接着強度の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0160】
樹脂組成物を80℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物は、通常、高い耐湿性を示す。即ち、耐湿性に優れる絶縁層をもたらす。接着強度の測定に用いる試験片を、85℃、85%RHの条件で250時間放置する。試験片を放置後、引っ張りせん断接着強さを測定する。このとき、試験片の放置後の引っ張りせん断接着強さは、好ましくは3/mm2以上、より好ましくは4N/mm2以上である。上限は特に制限は無いが20N/mm2以下等とし得る。耐湿性の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0161】
樹脂組成物を80℃で60分間熱硬化させて得られた硬化物は、通常、高い密着強度の保持率を示す。即ち、接着強度の保持率が優れた絶縁層をもたらす。接着強度の保持率は、耐湿性の評価にて測定した引っ張りせん断接着強さを、接着強度の評価にて測定した引っ張りせん断接着強さを除することで求めることができる。接着強度の保持率は、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上である。上限は特に制限は無いが100%以下等とし得る。接着強度の保持率は、後述する実施例に記載の方法に従って求めることができる。
【0162】
本発明の樹脂組成物は、熱伝導率、絶縁性能及び伸度が高く、弾性率が低い硬化物をもたらすことができる。したがって、本発明の樹脂組成物は、ヒートシンクと電子部品とを接着するための樹脂組成物(ヒートシンクの接着用樹脂組成物)、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための樹脂組成物(半導体チップパッケージの絶縁層用樹脂組成物)、回路基板(プリント配線板を含む)の絶縁層を形成するための樹脂組成物(回路基板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(メッキにより導体層を形成する回路基板の層間絶縁層用樹脂組成物)としてさらに好適に使用することができる。また、半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用樹脂組成物)、半導体チップに配線を形成するための樹脂組成物(半導体チップ配線形成用樹脂組成物)としても好適に使用することができる。
【0163】
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法は、(A)エポキシ樹脂、(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラー、(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラー、(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラー、及び(C)チオール化合物、を混合する工程を含み、(C)成分が、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、(C-1)成分が、3官能以上である。
【0164】
上記したが、樹脂組成物に含まれる(B)成分は、(B-1)~(B-3)成分を含み、(B)成分は、(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラー、(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラー、及び(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラーを適切な量比で混合することで得ることができる。
【0165】
平均粒子径の範囲からわかるように、(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラーには、(B-1)10μm以上の粒子径を有する熱伝導性フィラーが含まれる。
【0166】
(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラーの平均粒子径(D50)は、10μm以上であり、好ましくは13μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは45μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。
【0167】
(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラーの10%粒子径(D10)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。10%粒径D10とは、体積基準の粒径分布において、粒径の小さい側から累積した体積の積算量が10%となるときの粒径を表し、平均粒子径(D50)と同様の方法にて測定することができる。
【0168】
(B-1b)平均粒子径が10μm以上の熱伝導性フィラーの平均粒子径(D90)は、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。10%粒径D90とは、体積基準の粒径分布において、粒径の小さい側から累積した体積の積算量が90%となるときの粒径を表し、平均粒子径(D50)と同様の方法にて測定することができる。
【0169】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-1b)成分の含有量(体積%)は、(B-1b)~(B-3b)成分の合計量((B)成分全体の含有量)を100体積%としたとき、好ましくは65体積%以上、より好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは75体積%以上、又は80体積%以上であり、好ましくは95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、さらに好ましくは85体積%以下である。(B-1b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-1)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0170】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-1b)成分の含有量(質量%)は、(B-1b)~(B-3b)成分の合計量((B)成分全体の含有量)を100質量%としたとき、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、又は80質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。(B-1b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-1)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0171】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-1b)成分の含有量(質量%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。(B-1b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-1)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0172】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-1b)成分の含有量(体積%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%としたとき、好ましくは30体積%以上、より好ましくは35体積%以上、さらに好ましくは40体積%以上であり、好ましくは65体積%以下、より好ましくは60体積%以下、さらに好ましくは55体積%以下である。
【0173】
(B-1b)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、レゾナック社製の「AS-20」、「AS-10」、「AS-30」、「AS-40」;住友化学社製の「AA-10」、「AA-18」;信濃電気精錬社製の「SSC-A15」;デンカ社製の「DAW-45」等が挙げられる。
【0174】
平均粒子径の範囲からわかるように、(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーには、(B-2)1μm以上10μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラーが含まれる。
【0175】
(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーの平均粒子径(D50)は、1μm以上であり、好ましくは1.3μm以上、より好ましくは1.5μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。上限は10μm未満であり、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4μm以下である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。
【0176】
(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーの10%粒子径(D10)は、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.4μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.9μm以下、さらに好ましくは1.8μm以下である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。
【0177】
(B-2b)平均粒子径が1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーの平均粒子径(D90)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。
【0178】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-2b)成分の含有量(体積%)は、(B-1b)~(B-3b)成分の合計量を100体積%としたとき、好ましくは1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、さらに好ましくは10体積%以上であり、好ましくは30体積%以下、より好ましくは25体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下である。(B-2b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-2)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0179】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-2b)成分の含有量(質量%)は、(B-1b)~(B-3b)成分の合計量を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。(B-2b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-2)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0180】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-2b)成分の含有量(質量%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。(B-2b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-2)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0181】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-2b)成分の含有量(体積%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%としたとき、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上であり、好ましくは45体積%以下、より好ましくは40体積%以下、さらに好ましくは35体積%以下である。
【0182】
(B-2b)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、レゾナック社製の「CB-P02」;トクヤマ社製の「HF-01Dc」;アドマッテクス社製の「SO-C6」;住友化学社製の「AA-2」、「AA-5」等が挙げられる。
【0183】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-1b)成分の含有量(質量%)をb1とし、(B-2b)成分の含有量(質量%)をb2としたとき、b1/b2は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。
【0184】
平均粒子径の範囲からわかるように、(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラーには、(B-3)1μm未満の粒子径を有する熱伝導性フィラーが含まれる。
【0185】
(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラーの平均粒子径(D50)は、1μm未満であり、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.7μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。下限は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。
【0186】
(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラーの10%粒子径(D10)は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.25μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。
【0187】
(B-3b)平均粒子径が1μm未満の熱伝導性フィラーの平均粒子径(D90)は、好ましくは0.65μm以上、より好ましくは0.7μm以上、さらに好ましくは0.75μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.85μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。平均粒子径の測定方法は、上記したとおりである。
【0188】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-3b)成分の含有量(体積%)は、(B-1b)~(B-3b)成分の合計量を100体積%としたとき、好ましくは0.01体積%以上、より好ましくは0.05体積%以上、さらに好ましくは0.1体積%以上であり、好ましくは5体積%以下、より好ましくは4.5体積%以下、さらに好ましくは4体積%以下である。(B-3b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-3)成分の含有量を、(B-3)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0189】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-3b)成分の含有量(質量%)は、(B-1b)~(B-3b)成分の合計量を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。(B-3b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-3)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0190】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-3b)成分の含有量(質量%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、又は5質量%以下である。(B-3b)成分の含有量が斯かる範囲内になるように混合させて樹脂組成物を製造することで、(B-3)成分の含有量を上記した範囲内にすることが可能になる。
【0191】
樹脂組成物の製造方法で用いる(B-3b)成分の含有量(体積%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%としたとき、好ましくは0.05体積%以上、より好ましくは0.5体積%以上、さらに好ましくは1体積%以上であり、好ましくは8体積%以下、より好ましくは7体積%以下、さらに好ましくは6体積%以下である。
【0192】
(B-3b)成分は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、例えば、レゾナック社製の「ASFP20」;住友化学社製の「AA-03」、「AA-05」、「AA-07」等が挙げられる。
【0193】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-1b)成分の含有量(質量%)をb1とし、(B-3b)成分の含有量(質量%)をb3としたとき、b1/b3は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上、5以上、10以上、又は20以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは40以下である。
【0194】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-2b)成分の含有量(質量%)をb2とし、(B-3b)成分の含有量(質量%)をb3としたとき、b2/b3は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、好ましくは500以下、より好ましくは200以下、さらに好ましくは100以下、50以下、30以下、20以下、又は10以下である。
【0195】
樹脂組成物の製造方法は、(B-1b)~(B-3b)成分に加えて、(A)成分としての(A)エポキシ樹脂、及び(C)成分としての(C)チオール化合物を混合することを含む。(C)成分は、少なくとも(C-1)非エステル型チオール化合物を含み、(C-1)成分が、3官能以上である。(A)エポキシ樹脂及び(C)チオール化合物については上記したとおりであり、樹脂組成物の製造方法で用いる(A)エポキシ樹脂及び(C)チオール化合物の混合させる量については、樹脂組成物中に含まれる(A)エポキシ樹脂及び(C)チオール化合物の含有量と同じである。
【0196】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-1b)成分の含有量(質量%)をb1とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C)成分の含有量(質量%)をcとしたとき、b1/cが、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上であり、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下、又は10以下である。
【0197】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-2b)成分の含有量(質量%)をb2とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C)成分の含有量(質量%)をcとしたとき、b2/cが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
【0198】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-3b)成分の含有量(質量%)をb3とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C)成分の含有量(質量%)をcとしたとき、b3/cが、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下、又は1以下である。
【0199】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-1b)成分の含有量(質量%)をb1とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C-1)成分の含有量(質量%)をc1としたとき、b1/c1が、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であり、好ましくは35以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは25以下、20以下、又は15以下である。
【0200】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-2b)成分の含有量(質量%)をb2とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C-1)成分の含有量(質量%)をc1としたとき、b2/c1が、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは1.5以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。
【0201】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-3b)成分の含有量(質量%)をb3とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C-1)成分の含有量(質量%)をc1としたとき、b3/c1が、好ましくは好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下である。
【0202】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-1b)成分の含有量(質量%)をb1とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C-2)成分の含有量(質量%)をc1としたとき、b1/c2が、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下、35以下、30以下、25以下、20以下、又は15以下である。
【0203】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-2b)成分の含有量(質量%)をb2とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C-2)成分の含有量(質量%)をc1としたとき、b2/c2が、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは1.5以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。
【0204】
製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(B-3b)成分の含有量(質量%)をb3とし、製造される樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの(C-2)成分の含有量(質量%)をc1としたとき、b3/c2が、好ましくは好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下である。
【0205】
樹脂組成物の製造方法では、上述した(A)~(C)成分に加えて、任意成分として(D)~(I)成分をさらに混合してもよい。(D)~(I)成分については上記したとおりであり、樹脂組成物の製造方法で用いる(D)~(I)成分の混合させる量については、樹脂組成物中に含まれる(D)~(I)成分の含有量と同じである。
【0206】
樹脂組成物の製造方法は、例えば、任意の調製容器に、配合成分を、任意の順で及び/又は一部若しくは全部同時に加えて混合することによって、製造することができる。また、各成分を加えて混合する過程で、温度を適宜設定することができ、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、各成分を加えて混合する過程において、撹拌又は振盪を行ってもよい。また、加えて混合する際に又はその後に、樹脂組成物を、例えば、ミキサーなどの撹拌装置又は振盪装置を用いて撹拌又は振盪し、均一に分散させてもよい。また、撹拌又は振盪と同時に、真空下等の低圧条件下で脱泡を行ってもよい。混合温度は、例えば、10~40℃であり得る。混合時の撹拌速度は、例えば、100~10000rpmであり得る。混合時間は、例えば、10秒から10分であり得る。
【0207】
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。
【0208】
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上等とし得る。
【0209】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0210】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0211】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0212】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0213】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0214】
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0215】
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
【0216】
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂組成物含有ワニスを調製し、この樹脂組成物含有ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0217】
有機溶剤としては、樹脂組成物に含まれていてもよい溶剤と同じであり、上記したとおりである。
【0218】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物含有ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂組成物含有ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0219】
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0220】
[回路基板]
本発明の回路基板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
本発明の回路基板の製造方法は、
(1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程、
(2)樹脂組成物を、配線層が埋め込まれるように、配線層付き基材上に塗布し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程、
(3)配線層を層間接続する工程を含む。
また、回路基板の製造方法は、(4)基材を除去する工程、を含んでいてもよい。
【0221】
工程(3)は、配線層を層間接続することができれば特に限定されないが、絶縁層にビアホールを形成し、配線層を形成する工程、及び絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させる工程の少なくともいずれかの工程であることが好ましい。
【0222】
<工程(1)>
工程(1)は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程である。通常、配線層付き基材は、基材の両面に基材の一部である第1金属層、第2金属層をそれぞれ有し、第2金属層の基材側の面とは反対側の面に配線層を有する。詳細は、基材上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層し、フォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像しパターンドライフィルムを形成する。現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電解めっき法により配線層を形成した後、パターンドライフィルムを剥離する。
【0223】
基材としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板(ステンレスや冷間圧延鋼板(SPCC)など)、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられ、基板表面に銅箔等の金属層が形成されていてもよい。また、表面に剥離可能な第1金属層及び第2金属層(例えば、三井金属鉱業社製のキャリア銅箔付極薄銅箔、商品名「Micro Thin」)等の金属層が形成されていてもよい。
【0224】
ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムである限り特に限定されず、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等のドライフィルムを用いることができる。ドライフィルムは市販品を用いてもよい。
【0225】
基材とドライフィルムとの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
【0226】
ドライフィルムを基材上に積層後、ドライフィルムに対して所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像を行う。
【0227】
配線層のライン(回路幅)及びスペース(回路間の幅)に関して、ラインアンドスペース(L/S)は特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは10/10μm以下、さらに好ましくは5/5μm以下、よりさらに好ましくは1/1μm以下、特に好ましくは0.5/0.5μm以上である。ピッチは、配線層の全体にわたって同一である必要はない。配線層の最小ピッチは、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
【0228】
ドライフィルムのパターンを形成後、配線層を形成し、ドライフィルムを剥離する。ここで、配線層の形成は、所望のパターンを形成したドライフィルムをめっきマスクとして使用し、めっき法により実施することができる。
【0229】
配線層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、配線層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。配線層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成されたものが挙げられる。中でも、配線層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0230】
配線層の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは3μm~35μm、より好ましくは5μm~30μm、さらに好ましくは10~20μm、又は15~20μmである。工程(3)において絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程を採用する場合は、層間接続する配線と、接続しない配線の厚みは異なっていることが好ましい。配線層の厚みは、前述のパターン形成を繰り返すことで調整することができる。各配線層のうち、最も厚みがある配線層(導電性ピラー)の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは2μm以上100μm以下である。また層間接続する配線は凸型となっていてもよい。
【0231】
配線層を形成後、ドライフィルムを剥離する。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して実施することができる。必要に応じて、不要な配線パターンをエッチング等により除去して、所望の配線パターンを形成することもできる。形成する配線層のピッチについては、先述のとおりである。
【0232】
<工程(2)>
工程(2)は、樹脂組成物を、配線層が埋め込まれるように、配線層付き基材上に塗布し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程である。詳細は、前述の工程(1)で得られた配線層付き基材の配線層上に、樹脂組成物を塗布し、樹脂組成物を熱硬化させ絶縁層を形成する。
【0233】
配線層と樹脂組成物の塗布は、例えば、樹脂組成物をシリンジで注入し、樹脂組成物を押圧して均一の厚さの樹脂組成物層を形成することにより行うことができる。
【0234】
配線層が埋め込まれるように配線層付き基材上に樹脂組成物を塗布した後、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、例えば、硬化温度は50℃~240℃の範囲、硬化時間は5分間~120分間の範囲とすることができる。樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。
【0235】
樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成した後、絶縁層表面を研磨してもよい。研磨方法は特に限定されず、公知の方法にて研磨すればよく、例えば平面研削盤を用いて絶縁層表面を研磨することができる。
【0236】
<工程(3)>
工程(3)は、配線層を層間接続する工程である。詳細は、絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程である。または絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程である。
【0237】
絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程を採用する場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。このレーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。
【0238】
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
【0239】
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。
【0240】
ビアホール形成後、ビアホール内のスミア除去工程である、いわゆるデスミア工程を行なってもよい。後述する導体層の形成をめっき工程により行う場合には、ビアホールに対して、例えば湿式のデスミア処理を行ってもよく、導体層の形成をスパッタ工程により行う場合には、例えばプラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。また、デスミア工程は粗化処理工程を兼ねていてもよい。
【0241】
導体層を形成する前に、ビアホール及び絶縁層に対して粗化処理を行ってもよい。粗化処理は通常行われる公知の手順、条件を採用することができる。乾式の粗化処理の例としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の例としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
【0242】
粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)としては、好ましくは350nm以上、より好ましくは400nm以上、さらに好ましくは450nm以上である。上限は、好ましくは700nm以下、より好ましくは650nm以下、さらに好ましくは600nm以下である。算術平均粗さ(Ra)は、例えば、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0243】
ビアホールを形成後、導体層を形成する。導体層を構成する導体材料は特に限定されず、導体層は、めっき、スパッタ、蒸着等従来公知の任意好適な方法により形成することができ、めっきにより形成することが好ましい。好適な一実施形態は、例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。
【0244】
詳細は、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより電解めっき層を形成する。その際、電解めっき層の形成とともに、ビアホールを電解めっきにより埋め込んでフィルドビアを形成してもよい。電解めっき層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。なお、導体層を形成する際、マスクパターンの形成に用いるドライフィルムは、上記ドライフィルムと同様である。
【0245】
導体層は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。また導体層は、電極パッドのみから構成されていてもよい。
【0246】
また、導体層は、めっきシード層形成後、マスクパターンを用いずに電解めっき層及びフィルドビアを形成し、その後、エッチングによるパターニングを行うことにより形成してもよい。
【0247】
絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程を採用する場合、絶縁層の研磨方法又は研削方法としては、配線層を露出させることができ、研磨又は研削面が水平であれば特に限定されず、従来公知の研磨方法又は研削方法を適用することができ、例えば、化学機械研磨装置による化学機械研磨方法、バフ等の機械研磨方法、砥石回転による平面研削方法等が挙げられる。絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程と同様に、スミア除去工程、粗化処理を行う工程を行ってもよく、導体層を形成してもよい。また、全ての配線層を露出させる必要はなく、配線層の一部を露出させてもよい。
【0248】
<工程(4)>
工程(4)は、基材を除去し、本発明の回路基板を形成する工程である。基材の除去方法は特に限定されない。好適な一実施形態は、第1及び第2金属層の界面で回路基板から基材を剥離し、第2金属層を例えば塩化銅水溶液などでエッチング除去する。必要に応じて、導体層を保護フィルムで保護した状態で基材を剥離してもよい。
【0249】
[半導体チップパッケージ]
本発明の半導体チップパッケージの第1の態様は、上記回路基板上に、半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージである。上記回路基板に、半導体チップを接合することにより半導体チップパッケージを製造することができる。
【0250】
半導体チップの端子電極が回路基板の回路配線と導体接続する限り、接合条件は特に限定されず、半導体チップのフリップチップ実装において使用される公知の条件を使用してよい。また、半導体チップと回路基板間に絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
【0251】
好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板に圧着する。圧着条件としては、例えば、圧着温度は120℃~240℃の範囲(好ましくは130℃~200℃の範囲、より好ましくは140℃~180℃の範囲)、圧着時間は1秒間~60秒間の範囲(好ましくは5秒間~30秒間)とすることができる。
【0252】
また、他の好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板にリフローして接合する。リフロー条件としては、例えば、120℃~300℃の範囲とすることができる。
【0253】
半導体チップを回路基板に接合した後、例えば、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填することで半導体チップパッケージを得ることも可能である。モールドアンダーフィル材で充填する方法は公知の方法で実施することができる。モールドアンダーフィル材は、樹脂組成物を使用してもよい。
【0254】
本発明の半導体チップパッケージの第2の態様は、例えば、半導体チップパッケージ(Fan-out型WLP)である。半導体チップパッケージ(Fan-out型WLP)は、封止層を、本発明の樹脂組成物で製造した半導体チップパッケージである。半導体チップパッケージは、半導体チップ、半導体チップの周囲を覆うように形成された封止層、半導体チップの封止層に覆われている側とは反対側の面に再配線形成層(絶縁層)、導体層(再配線層)、ソルダーレジスト層、及びバンプを備える。このような半導体チップパッケージの製造方法は、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)本発明の樹脂組成物を、半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程、
(F)再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程、及び
(G)導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程、を含む。
また、半導体チップパッケージの製造方法は、
(H)複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程を含み得る。
【0255】
<工程(A)>
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムの積層条件は、前述の工程(1)での基材とドライフィルムとの積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0256】
基材に使用する材料は特に限定されない。基材としては、シリコンウェハー;ガラスウェハー;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR-4基板等のガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板などが挙げられる。
【0257】
仮固定フィルムは、後述する工程(D)において半導体チップから剥離することができるとともに、半導体チップを仮固定することができれば材料は特に限定されない。仮固定フィルムは市販品を用いることができる。市販品としては、日東電工社製のリヴァアルファ等が挙げられる。
【0258】
<工程(B)>
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適宜設定することができ、例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に整列させて仮固定することができる。
【0259】
<工程(C)>
工程(C)は、本発明の樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程である。
【0260】
樹脂組成物の塗布、熱硬化条件は、前述の回路基板の製造方法における工程(2)における樹脂組成物の塗布方法、熱硬化条件と同様である。
【0261】
<工程(D)>
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離する方法は、仮固定フィルムの材質等に応じて適宜変更することができ、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法、及び基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法等が挙げられる。
【0262】
仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃~250℃で1秒間~90秒間又は5分間~15分間である。また、基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。
【0263】
<工程(E)>
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程である。
【0264】
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料は、再配線形成層(絶縁層)形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。
【0265】
再配線形成層(絶縁層)を形成後、半導体チップと後述する導体層を層間接続するために、再配線形成層(絶縁層)にビアホールを形成してもよい。
【0266】
ビアホールを形成するにあたって、再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が感光性樹脂である場合、まず、再配線形成層(絶縁層)の表面にマスクパターンを通して活性エネルギー線を照射し、照射部の最配線層を光硬化させる。
【0267】
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量、照射時間は、感光性樹脂に応じて適宜変更することができる。露光方法としては、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させて露光する接触露光法と、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法のいずれを用いてもよい。
【0268】
次に、再配線形成層(絶縁層)を現像し、未露光部を除去することで、ビアホールを形成する。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれも好適である。ウェット現像で用いる現像液は公知の現像液を用いることができる。
【0269】
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられ、解像性の観点から、パドル方式が好適である。
【0270】
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が熱硬化性樹脂である場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。レーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、UV-YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。
【0271】
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
【0272】
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径(再配線形成層(絶縁層)表面の開口の直径)は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
【0273】
<工程(F)>
工程(F)は、再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程である。再配線形成層(絶縁層)上に導体層を形成する方法は、回路基板の製造方法における工程(3)の絶縁層にビアホールを形成した後の導体層を形成する方法と同様であり、好ましい範囲も同様である。なお、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、導体層(再配線層)及び再配線形成層(絶縁層)を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
【0274】
<工程(G)>
工程(G)は、導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。
【0275】
ソルダーレジスト層を形成する材料は、ソルダーレジスト層形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。
【0276】
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなど公知の方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は工程(E)と同様に行うことができる。
【0277】
<工程(H)>
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)~(G)以外に工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。
【0278】
半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0279】
本発明の半導体チップパッケージの第3の態様は、例えば、半導体チップパッケージ(Fan-out型WLP)における再配線形成層(絶縁層)、ソルダーレジスト層を本発明の樹脂組成物で製造した半導体チップパッケージである。
【0280】
[半導体装置]
本発明の半導体チップパッケージを実装することとなる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【0281】
[電子部材]
本発明の電子部材は、ヒートシンクと、該ヒートシンク上に設けられた本発明の樹脂組成物の硬化物と、該硬化物上に装着された電子部品とを有する。樹脂組成物の硬化物は、熱伝導率及び、絶縁性能が高く、機械強度に優れることから、例えば、樹脂組成物の硬化物をヒートシンクに接着させるようにヒートシンク上に設け、該硬化物上に電子部品を装着することにより、電子部品のヒートシンクへの放熱効率が高くなる。硬化物の形成方法は、先述の工程(C)と同様の方法により行うことができる。
【0282】
電子部品としては、例えば、半導体チップ、パワー半導体、LED-PKG等が挙げられる。電子部材としては、例えば、回路基板、半導体チップパッケージ、半導体装置等が挙げられる。
【実施例0283】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0284】
[樹脂組成物の調製]
下記表に示す配合組成で各成分を混合し、実施例1~12、及び比較例1~7に係る樹脂組成物を調製した。具体的には、専用のプラスチック容器に、下記表に示される量の材料を量り取った。その後、自転・公転真空ミキサーあわとり錬太郎(シンキー社製;ARE-310)を用い、室温にて2000rpmで充分混合し、更に1分間脱泡することで目的の樹脂組成物を得た。なお、表中、各成分の配合量は質量部を意味する。
【0285】
【表1】
【表2】
*1:樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたときの含有量を表す。
*2:樹脂組成物の不揮発成分を100体積%としたときの含有量を表す。
*3:(B)成分全体を100質量%としたときの含有量を表す。
*4:(B)成分全体を100体積%としたときの含有量を表す。
【0286】
表中の略語等は以下のとおりである。
(A)成分
・ZX1059:日鉄ケミカル&マテリアル社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)、エポキシ当量約169g/eq.
・ZX1658GS:日鉄ケミカル&マテリアル社製、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量約120g/eq.
(B)成分
・AS-20:レゾナック社製、平均粒子径22μmの酸化アルミニウムフィラー
・DAW-45:デンカ社製、平均粒子径45μmの酸化アルミニウムフィラー
・CB-P02:レゾナック社製、平均粒子径3.0μmの酸化アルミニウムフィラー
・HF-01Dc:トクヤマ社製、平均粒子径2.0μmの窒化アルミニウムフィラー
・SO-C6:アドマッテクス社製、平均粒子径1.8~2.3μmシリカフィラー
・ASFP20:レゾナック社製、平均粒子径0.3μmの窒化アルミニウムフィラー
(H)成分
・SSC-15A:信濃電気精錬社製、平均粒子径15μmの炭化ケイ素フィラー
(C)成分
・TMPIC:味の素ファインテクノ社製、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、3官能、チオール基合計当量117g/eq.
・TMTP:淀化学社製、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、チオール基合計当量:140g/eq.
・PE1:レゾナック社製、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、チオール基合計当量:136g/eq.
・MR93:大都産業社製、脂肪族チオエーテル、2官能、チオール基合計当量:91g/eq.
(D)成分
・PO-100V:理研ビタミン社製、プロピレングリコールモノオレート(不飽和脂肪族骨格の炭素原子数は1)
・SP-O30V:理研ビタミン社製、ソルビタントリオレエート(不飽和脂肪族骨格の炭素原子数は3)
(E)成分
・PN-FJ:味の素ファインテクノ社製、アミンエポキシアダクト系潜在性硬化剤
(F)成分
・TEB:東京化成社製、トリエチルボレート
(G)成分
・KBM-403:信越シリコーン社製、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0287】
[(B)成分の粒子径分布の算出]
(B-1b)~(B-3b)成分をそれぞれ上記表の量を精秤し、混合させた。この混合させた粉体を50mg、純水40gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて20分間分散した。レーザー回折式粒径分布測定装置(堀場製作所社製、LA-500)を使用して、回分セル方式で粒子径分布を測定し、(B)成分のD10、D50、及びD90を算出した。
【0288】
[機械強度(伸度及び弾性率)の評価]
各樹脂組成物を離形PETフィルム(NS-80A:東レ社製)上にバーコートを用いて塗布し、80℃で60分間加熱硬化させて硬化物を得た。得られた厚みが100μmの硬化物を、ダンベル(商品名「スーパーダンベルカッター(型式:SDMK-5889-01)」、ダンベル社製)で打ち抜き、引張強度測定用試験片を作製した。試験片から、PETフィルムを剥離した。温度25℃、湿度60%、引っ張り速度5mm/分の条件で、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、RTM-500)を用いて引っ張り試験を行うことで伸度及び弾性率の測定行い、以下の評価基準で評価した。
伸度の評価:
〇:伸度が2.0%以上
×:伸度が2.0%未満
弾性率の評価:
〇:弾性率が6000MPa未満
×:弾性率が6000MPa以上
【0289】
[熱伝導率の測定、評価]
各樹脂組成物を所定容器に入れ、熱循環オーブンで、80℃60分間熱硬化し、厚み10mm×直径36mmの円筒状硬化物を作製した。得られた円筒状硬化物を、測定温度25℃、40%RHの恒温環境下で、京都電子工業社製「TPS-2500」を用いて、ホットディスク法により熱伝導率を測定し、以下の基準で評価した。
〇:熱伝導率が1.5W/m・K以上
×:熱伝導率が1.5W/m・K未満
【0290】
[体積抵抗率の評価]
各樹脂組成物を、離型処理を施した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、80℃で60分加熱し熱硬化させて硬化フィルムを作製した。得られた硬化フィルムから10cm角の試験片を切り出し、これら試験片を用いてディジタル超高抵抗率計(アドバンテスト社製、R8340A)を用いてJIS K 6271-1に従い体積抵抗率を測定し、以下の基準で評価した。
〇:体積抵抗率が1.0×1014Ω・m以上
×:体積抵抗率が1.0×1014Ω・m未満
【0291】
[接着強度(初期引っ張りせん断接着強度)の評価]
軟鋼板(JISG3141、SPCC)の試験片を2個用意し、アセトンで湿らしたウエスにて油分を拭き取った。更に、該軟鋼板の接着面の表面を、エンドレスベルト#120で研磨した。軟鋼板の研磨面に、樹脂組成物を、厚さ約1mmで均一に塗布し試験片を得た。塗布面が約12mmでオーバーラップするように、2個の試験片をクリップ2個で貼り合せ、圧締した。この際、染み出した樹脂組成物は、直ちにウエスで拭き取った。試験片をオーブン内に均等に並べ、80℃、60分間加熱硬化し、接着させた。同一樹脂に対し、試験片を各々2つ調製した。得られた試験片を、テンシロン万能試験機(TOYO BALDWIN社製 UTM-5T)にて、JIS-K-6850に準拠して、引っ張りせん断接着強さを測定した(測定環境;温度25℃/湿度60%、引っ張り速度;5mm/min)。試験片が破壊された最大荷重(N)を基に、接着面積(mm2)を計測し、下記式より引っ張りせん断接着強度Aを計算し、以下の評価基準で評価した。
引っ張りせん断接着強度A(N/mm2)=最大荷重(N)/接着面積(mm2)
〇:引っ張りせん断接着強度Aが5N/mm2以上
△:引っ張りせん断接着強度Aが4N/mm2以上5N/mm2未満
×:引っ張りせん断接着強度Aが4N/mm2未満
【0292】
[耐湿性の評価]
初期引っ張りせん断接着強度の評価と同様の手順で別途作製した試験片を各々2つ調製した。85℃、85%RHの条件に設定された恒温恒湿試験機に250時間放置したのち、得られた試験片をテンシロン万能試験機(TOYO BALDWIN社製 UTM-5T)にて、初期接着強度の測定と同様にJIS-K-6850に準拠して引っ張りせん断接着強度を測定した(測定環境;温度25℃/湿度60%、引っ張り速度;5mm/min)。試験片が破壊された最大荷重(N)を基に、接着面積(mm2)を計測し、接着性の評価と同様に引っ張りせん断接着強度Bを計算し、以下の評価基準で評価した。
引っ張りせん断接着強度B(N/mm2)=最大荷重(N)/接着面積(mm2)
〇:引っ張りせん断接着強度Bが4N/mm2以上
△:引っ張りせん断接着強度Bが3N/mm2以上4N/mm2未満
×:引っ張りせん断接着強度Bが3N/mm2以未満
【0293】
[引っ張りせん断接着強度保持率(接着強度保持率)の計測]
湿度が接着強度に与える影響を評価するため、引っ張りせん断強度保持率を算出した。引っ張りせん断強度保持率は、上記引っ張りせん断接着強度Aと引っ張りせん断接着強度Bとの値から、以下のようにして算出し、以下の評価基準で評価した。
引っ張りせん断強度保持率=[引っ張りせん断接着強度B]/[引っ張りせん断接着強度A]×100
〇:引っ張りせん断強度保持率が80%以上
△:引っ張りせん断強度保持率が60%以上80%未満
×:引っ張りせん断強度保持率が60%未満
【0294】
【0295】
比較例7は、樹脂組成物を硬化させることができなかったので、弾性率、伸度、熱伝導率、体積低効率、接着強度、耐湿性、及び接着強度保持率の評価を行うことができなかった。