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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156598
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
H04R17/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025134406
(22)【出願日】2025-08-12
(62)【分割の表示】P 2022004949の分割
【原出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 薫
(57)【要約】
【課題】音響特性の向上が図られる振動デバイスを提供する。
【解決手段】振動デバイス1は、圧電素子5を含む圧電部2と、圧電部2を保持する筐体3と、圧電部2に電気的に接続された配線部材4と、筐体3を外部装置に接合する接合部材Pと、を備え、筐体3は、圧電部2が固定された底面部11と、底面部11の縁部に立設された側面部12と、を有し、側面部12は、当該側面部12の頂部12aに形成された第1面F1と、頂部12aに形成された切欠部33によって第1面F1から一段下がった第2面F2とを有し、接合部材Pは、切欠部33に掛け渡されるように第1面F1に沿って延在し、配線部材4は、第1面F1の位置で接合部材Pに接合され、且つ第2面F2とは非接合の状態で切欠部33に通されている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を含む圧電部と、
前記圧電部を保持する筐体と、
前記圧電部に電気的に接続された配線部材と、
前記筐体を外部装置に接合する接合部材と、を備え、
前記筐体は、前記圧電部が固定された底面部と、前記底面部の縁部に立設された側面部と、を有し、
前記側面部は、当該側面部の頂部に形成された第1面と、前記頂部に形成された切欠部によって前記第1面から一段下がった第2面とを有し、
前記接合部材は、前記切欠部に掛け渡されるように前記第1面に沿って延在し、
前記配線部材は、前記第1面の位置で前記接合部材に接合され、且つ前記第2面とは非接合の状態で前記切欠部に通されている振動デバイス。
【請求項2】
前記接合部材は、前記第2面の少なくとも一部に接合されている請求項1記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記配線部材と前記接合部材との接合面積は、前記第2面と前記接合部材の接合面積よりも大きくなっている請求項2記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記配線部材には、前記圧電部と前記切欠部との間で当該配線部材の延在方向に張力が付与されている請求項1~3のいずれか一項記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記側面部は、前記底面部と滑らかに連続し、且つ前記底面部に対して前記縁部の外方に開くように傾斜している請求項1~4のいずれか一項記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の振動デバイスとして、例えば特許文献1に記載の音響発生器がある。この従来の音響発生器は、表面電極を有する圧電素子と、圧電素子が取り付けられた振動体と、振動体を支持する枠体と、一端部が表面電極に接続されると共に他端部が枠体に固定された配線部材とを備えている。配線部材の他端部の幅は、他の部位の幅よりも広くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-017426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような振動デバイスは、筐体の振動において所望の音響特性を得ることが特徴となっている。所望の音響特性を得るためには、振動デバイスを外部装置に取り付けた際の筐体内の空室特性の安定化が重要となっている。筐体内には、圧電素子に電気的に接続された配線部材が存在するため、配線部材が振動デバイスを外部装置に取り付けた際の空室設計精度に影響を及ぼさないような工夫が必要になると考えられる。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、音響特性の向上が図られる振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る振動デバイスは、圧電素子を含む圧電部と、圧電部を保持する筐体と、圧電部に電気的に接続された配線部材と、筐体を外部装置に接合する接合部材と、を備え、筐体は、圧電部が固定された底面部と、底面部の縁部に立設された側面部と、を有し、側面部は、当該側面部の頂部に形成された第1面と、頂部に形成された切欠部によって第1面から一段下がった第2面とを有し、接合部材は、切欠部に掛け渡されるように第1面に沿って延在し、配線部材は、第1面の位置で接合部材に接合され、且つ第2面とは非接合の状態で切欠部に通されている。
【0007】
この振動デバイスでは、側面部の頂部の第1面に、筐体を外部装置に接合する接合部材が配置されている。このため、外部装置への振動デバイスの取付状態を安定させることができる。また、この振動デバイスでは、配線部材が側面部の頂部に設けられた切欠部に通され、第1面の位置で切欠部に掛け渡された接合部材に接合される一方で、第1面から一段下がった第2面に対して非接合となっている。配線部材が第1面で接合部材に接合されることで、圧電部の周囲での配線部材のふらつきを防止でき、空室設計精度への影響を回避できる。また、配線部材が第2面と非接合であることで、切欠部などに寸法誤差が生じたとしても第1面における接合部材の平坦性が保たれ、振動デバイスの取付状態の安定性が維持される。したがって、この振動デバイスでは、圧電部の周囲の空室特性を容易に確保でき、音響特性の向上が図られる。
【0008】
接合部材は、第2面の少なくとも一部に接合されていてもよい。この場合、配線部材が第1面及び第2面の双方に接合されることで、圧電部の周囲での配線部材のふらつきを一層確実に防止できる。
【0009】
配線部材と接合部材との接合面積は、第2面と接合部材の接合面積よりも大きくなっていてもよい。この場合、第2面と接合部材が過度に接合されることを回避でき、第1面における接合部材の平坦性を維持できる。
【0010】
配線部材には、圧電部と切欠部との間で当該配線部材の延在方向に張力が付与されていてもよい。これにより、筐体に振動が加わった場合であっても、配線部材が筐体と干渉することによる衝突音の発生を抑制できる。したがって、振動による空室特性への影響を回避できる。
【0011】
側面部は、底面部と滑らかに連続し、且つ底面部に対して縁部の外方に開くように傾斜していてもよい。この場合、圧電部が配置される底面部から側面部に振動が効率的に伝達し、底面部の振動と共に側面部の振動を出力として十分に取り出すことができる。したがって、音響特性の更なる向上が図られる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、音響特性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示に係る振動デバイスの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示した振動デバイスの平面図である。
図3図1に示した振動デバイスの正面図である。
図4図1におけるIV-IV線断面図である。
図5図1におけるV-V線断面図である。
図6】接合部材の別の配置例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る振動デバイスの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本開示に係る振動デバイスの一実施形態を示す斜視図である。振動デバイス1は、例えばスピーカ、ブザーなどとして用いられる音響デバイスである。振動デバイス1は、図1に示すように、圧電部2と、筐体3と、配線部材4とを備えて構成されている。
【0016】
圧電部2は、圧電素子5を含んで構成されている。圧電素子5は、圧電素体及び一対の外部電極を備えている。圧電素子5は、厚さ方向に扁平な直方体形状をなしている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、角部及び稜線部が丸められている形状も含まれ得る。圧電素体は、複数の圧電体層の積層体によって構成されている。各圧電体層は、圧電セラミックなどの圧電材料によって形成されている。圧電セラミック材料としては、例えば、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)などが挙げられる。
【0017】
各圧電体層は、例えば上述した圧電セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体によって構成されている。実際の圧電素体では、各圧電体層は、各圧電体層の間の境界が認識できない程度に一体化されている。圧電素体内には、複数の内部電極(不図示)が配置されている。各内部電極は、導電性材料によって形成されている。導電性材料としては、例えばAg、Pd、Ag-Pd合金などが挙げられる。
【0018】
圧電部2は、圧電素子5に振動板を組み合わせたものであってもよい。振動板は、例えば金属材料からなる板状の部材である。振動板を構成する金属材料としては、例えばNi-Fe合金、Ni、黄銅、ステンレス鋼などが挙げられる。振動板は、例えば矩形状をなしている。振動板は、圧電素子5の底面(筐体3側の面)側に配置され、例えば接着材、両面テープなどを用いて圧電素子5及び筐体3に固定され得る。
【0019】
筐体3は、圧電部2を保持する部材である。筐体3は、例えば金属のプレス加工によって成型されている。筐体3を構成する金属材料としては、例えばステンレス、アルミニウム、42Ni合金などが挙げられる。筐体3は、底面部11と、複数の側面部12とを備えている。底面部11は、上述した圧電部2が固定される部分である。ここでは、側面部12は、底面部11の縁部において圧電部2を囲むように立設されている。
【0020】
側面部12の頂部12aには、外向きのフランジ部13が設けられている。フランジ部13は、側面部12の頂部12aから底面部11と平行に所定の幅で張り出している。フランジ部13は、振動デバイス1を外部装置に取り付けるための取付部として機能する。フランジ部13の一面(底面部11と反対側の面)には、後述の両面テープ41が貼り付けられている。
【0021】
配線部材4は、圧電部2と外部装置とを電気的に接続する部材である。配線部材4は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)である。配線部材4の一端は、圧電部2の一面2a側において、圧電素子5の一対の外部電極のそれぞれに電気的に接続されている。配線部材4の一端と圧電素子5の外部電極との接続には、例えば異方導電性接着材を用いることができる。配線部材4の他端(不図示)は、外部装置に電気的に接続されている。
【0022】
次に、図2及び図3を参照し、上述した筐体3の構成及び圧電部2と筐体3との配置関係について説明する。
【0023】
図2は、図1に示した振動デバイスの平面図であり、図3は、その正面図である。図2及び図3では、説明の便宜上、配線部材4及び後述の両面テープ41の図示を省略している。図3では、圧電部2を更に省略している。図2及び図3に示すように、本実施形態では、圧電部2は、平面視において、長方形状をなしている。圧電部2の平面形状は、圧電部2が圧電素子5のみで構成される場合には、圧電素子5の平面形状であり、圧電部が圧電素子5と振動板とで構成される場合には、振動板の平面形状である。
【0024】
筐体3の底面部11は、平面視において、台形状をなしている。すなわち、底面部11は、上底21、下底22、及び一対の斜辺23,23を有している。ここでは、図2に示すように、底面部11の平面形状は、等脚台形状となっている。底面部11の下底22は、上底21よりも大きくなっている。すなわち、底面部11は、上底21から下底22に向かって裾広がりとなっている。圧電部2は、底面部11の略中心部分に配置されている。底面部11は、筐体3の主たる振動部分であり、圧電部2による振動が直に伝達される。
【0025】
底面部11の上底21及び下底22は、平面視において、圧電部2の長辺24に沿うように延びている。底面部11の上底21は、圧電部2の長辺24よりも短くなっており、底面部11の下底22は、圧電部2の長辺24よりも長くなっている。底面部11の下底22と、圧電部2の長辺24との間には、一定の距離が設けられている。この距離は、例えば圧電部2の短辺25よりも短くなっている。
【0026】
側面部12は、底面部11の上底21及び一対の斜辺23,23に対応して設けられている。側面部12の高さは、圧電部2の厚さよりも大きくなっている。これにより、底面部11に配置された圧電部2は、下底22側を除く3方向から側面部12で囲まれた状態となっている。側面部12は、底面部11と滑らかに連続し、且つ底面部11に対して縁部の外方に開くように傾斜している。側面部12は、筐体3の従たる振動部分であり、圧電部2による振動が底面部11を介して伝達される。
【0027】
底面部11の下底22側には、側面部12が設けられないことによる第1の開口部31が形成されている。第1の開口部31は、図3に示すように、底面部11と、底面部11の斜辺23,23に対応する側面部12,12と、当該側面部12,12におけるフランジ部13,13の一面(外部装置への取付面)同士を結ぶ仮想的なラインとによって画成されている。第1の開口部31は、振動デバイス1を外部装置に取り付けた状態において、圧電部2による振動を外部に取り出す取出口として機能する。
【0028】
底面部11の上底21側には、側面部12の頂部12aの一部を切り欠くことによる第2の開口部32が形成されている。第2の開口部32は、図3に示すように、底面部11の上底21に対応する側面部12に形成された切欠部33と、切欠部33を挟む側面部12の頂部12a,12a同士を結ぶ仮想的なラインとによって画成されている。切欠部33の幅は、配線部材4の幅よりも僅かに大きくなっている。側面部12の頂部12aからの切欠部33の深さは、配線部材4の厚さと同じ、若しくはそれより僅かに大きくなっている。第2の開口部32は、振動デバイス1を外部装置に取り付けた状態において、圧電部2に電気的に接続された配線部材4の導出口として機能する。
【0029】
続いて、図1図4、及び図5を参照し、上述した配線部材4の保持構造について説明する。
【0030】
図4は、図1におけるIV-IV線断面図であり、図5は、図1におけるV-V線断面図である。図4及び図5に示すように、配線部材4の保持にあたって、側面部12は、当該側面部12の頂部12aに形成された第1面F1と、頂部12aに形成された上述の切欠部33によって第1面F1から一段下がった第2面F2とを有している。
【0031】
本実施形態では、第1面F1は、図1に示すように、底面部11の上底21及び一対の斜辺23,23に対応する3つの側面部12の頂部12aと、これらの頂部12aに繋がる3つのフランジ部13とによって画成されている。第1面F1は、筐体3の平面視において、切欠部33の形成位置を除き、圧電部2の周囲の3方向を囲むように画成されている。第2面F2は、切欠部33の底面33aによって画成されている。第2面F2は、配線部材4の厚さと同じ、若しくはそれより僅かに大きい距離で、第1面F1よりも底面部11側に位置している。底面部11からの第2面F2の高さは、底面部11からの圧電部2の一面2aの高さよりも高くなっている。
【0032】
第1面F1には、筐体3を外部装置に接合する接合部材Pが配置されている。ここでは、接合部材Pは、両面テープ41によって構成されている。両面テープ41は、第1面F1の略全面にわたって配置されている。両面テープ41は、図4に示すように、切欠部33の位置では当該切欠部33に掛け渡されるように配置されている。したがって、両面テープ41は、切欠部33の深さと同程度の間隔をもって第2面F2と離間した状態となっている。接合部材Pとしては、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコンなどが用いられていてもよい。
【0033】
配線部材4は、図4に示すように、第1面F1と第2面F2との間で切欠部33に通されている。配線部材4は、第1面F1の位置で両面テープ41に接合されている。一方、配線部材4は、第2面F2とは非接合となっている。配線部材4は、第2面F2と接触した状態となっていてもよく、第2面F2と離間した状態となっていてもよい。
【0034】
配線部材4は、異方導電性接着材などを用いて圧電部2の一面2a側に接続されている。また、配線部材4は、切欠部33に通され、第1面F1の位置で両面テープ41に接合されている。圧電部2と切欠部33との間では、配線部材4は、圧電部2と切欠部33との間で切欠部33に向かって徐々に高くなるように傾斜して配置されている。配線部材4は、図5に示すように、圧電部2における切欠部33側の縁から切欠部33における圧電部2側の縁にかけて、一定の角度をもって線形に傾斜した状態となっている。この状態で、配線部材4には、圧電部2と切欠部33との間で当該配線部材4の延在方向に張力(図5の矢印A)が付与されている。
【0035】
以上説明したように、振動デバイス1では、側面部12の頂部12aの第1面F1に、筐体3を外部装置に接合する両面テープ41が配置されている。本実施形態では、圧電部2を3方向から囲むように側面部12が配置され、側面部12の頂部12a及び頂部12aに設けられたフランジ部13によって第1面F1が構成されている。このため、両面テープ41を介して筐体3を外部装置に密着させることが可能となり、外部装置への振動デバイス1の取付状態を安定させることができる。
【0036】
また、振動デバイス1では、配線部材4が側面部12の頂部12aに設けられた切欠部33に通され、第1面F1の位置で切欠部33に掛け渡された両面テープ41に接合される一方で、第1面F1から一段下がった第2面F2に対して非接合となっている。配線部材4が第1面F1で両面テープ41に接合されることで、圧電部2の周囲での配線部材4のふらつきを防止でき、空室設計精度への影響を回避できる。配線部材4が第2面F2と非接合であることで、切欠部などに寸法誤差が生じたとしても第1面F1における接合部材Pの平坦性が保たれ、振動デバイス1の取付状態の安定性が維持される。したがって、振動デバイス1では、圧電部2の周囲の空室特性を容易に確保でき、音響特性の向上が図られる。
【0037】
本実施形態では、配線部材4には、圧電部2と切欠部33との間で当該配線部材4の延在方向に張力が付与されている。これにより、筐体3に振動が加わった場合であっても、配線部材4が筐体3と干渉することによる衝突音の発生を抑制できる。したがって、振動による空室特性への影響を回避できる。
【0038】
本実施形態では、側面部12は、底面部11と滑らかに連続し、且つ底面部11に対して縁部の外方に開くように傾斜している。これにより、圧電部2が配置される底面部11から側面部12に振動が効率的に伝達し、底面部11の振動と共に側面部12の振動を出力として十分に取り出すことができる。したがって、音響特性の更なる向上が図られる。
【0039】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、筐体3の底面部11の平面形状が台形状である態様となっているが、底面部11の平面形状は、これに限られず、長方形状、正方形状、円形状、楕円形状などの他の形状であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、両面テープ41が切欠部33の深さと同程度の間隔をもって第2面F2と離間した状態となっているが、図6に示すように、両面テープ41が第2面F2の少なくとも一部に接合されていてもよい。図6の例では、両面テープ41は、配線部材4の両脇で切欠部33側に撓み、撓み部分の頂点付近で第2面F2に接合されている。このような構成によれば、配線部材4が第1面F1及び第2面F2の双方に接合されることで、圧電部2の周囲での配線部材4のふらつきを一層確実に防止できる。
【0041】
両面テープ41を第2面F2の少なくとも一部に接合する場合、配線部材4と両面テープ41との接合面積S1が第2面F2と両面テープ41との接合面積S2よりも大きくなっていることが好適である。この場合、第2面F2と両面テープ41が過度に接合されることを回避でき、第1面F1における両面テープ41の平坦性を維持できる。
【符号の説明】
【0042】
1…振動デバイス、2…圧電部、3…筐体、4…配線部材、5…圧電素子、11…底面部、12…側面部、33…切欠部、41…両面テープ、F1…第1面、F2…第2面、P…接合部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2025-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を含む圧電部と、
前記圧電部を保持する筐体と、
前記圧電部に電気的に接続された配線部材と、
前記筐体を外部装置に接合する接合部材と、を備え、
前記筐体は、前記圧電部が固定された底面部と、前記底面部の縁部に立設された側面部と、を有し、
前記接合部材は、前記筐体に形成された切欠部に架け渡され、
前記配線部材は、前記切欠部において前記接合部材に懸架している振動デバイス。
【請求項2】
前記接合部材は、前記切欠部の少なくとも一部に接合されている請求項1記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記接合部材は、前記配線部材の両脇で前記切欠部の底面側に撓み、当該撓み部分の頂点部分で前記切欠部の底面に接合されている請求項2記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記配線部材と前記接合部材との接合面積は、前記切欠部と前記接合部材の接合面積よりも大きくなっている請求項2又は3記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記配線部材には、前記圧電部と前記切欠部との間で当該配線部材の延在方向に張力が付与されている請求項1~のいずれか一項記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記側面部は、前記底面部と滑らかに連続し、且つ前記底面部に対して前記縁部の外方に開くように傾斜している請求項1~のいずれか一項記載の振動デバイス。