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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156710
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置及び用紙物性検知方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20251007BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20251007BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20251007BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
G03G21/00 370
B41J29/38 202
B41J29/38 204
B65H7/14
B65H29/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059286
(22)【出願日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 明正
(72)【発明者】
【氏名】舛田 純一
(72)【発明者】
【氏名】小片 智史
(72)【発明者】
【氏名】吉川 博之
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F048
3F053
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061HK07
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2H270LC02
2H270LC03
2H270LC04
2H270LC05
2H270LC10
2H270LC11
2H270LC12
2H270LD03
2H270LD04
2H270LD05
2H270LD15
2H270MC56
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB02
3F048CA02
3F048CC01
3F048DA06
3F048DB02
3F048DC12
3F048EB22
3F053EA01
3F053EB04
3F053LA01
3F053LB03
(57)【要約】
【課題】異なる種類の用紙がセットとなっている用紙束の印刷において、印刷トラブルを回避し、ユーザーの利便性を向上する。
【解決手段】画像形成装置1は、異なる種類の記録材がセットとなっている用紙束に対して物性を検知する用紙物性検知装置20と、用紙物性検知装置20により検知された用紙束に含まれる記録材の物性値に対応する用紙搬送条件及び画像形成条件を設定する制御部60と、を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる種類の記録材がセットとなっている用紙束に対して物性を検知して物性値を出力する用紙物性検知装置と、
前記用紙物性検知装置により検知された前記用紙束に含まれる前記記録材の前記物性値に対応する用紙搬送条件及び画像形成条件を設定する制御部と、を備える
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記用紙束に含まれる前記記録材の枚数を取得し、前記枚数で前記用紙束に対する物性検知を行う指示を前記用紙物性検知装置に出力する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記物性値は、前記記録材の厚み、水分量、透過率、剛度、表面性及び抵抗値の少なくとも1以上を含む
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙物性検知装置により検知された前記記録材の前記物性値と、前記記録材が検知された順番を表す識別情報とを紐付けて記憶する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記物性値に対応する前記用紙搬送条件で前記記録材を搬送するように制御し、前記物性値に対応する前記画像形成条件で画像形成を制御する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記用紙物性検知装置は、少なくとも1つ以上のメディアセンサーを有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記用紙物性検知装置は、前記記録材の搬送経路に配置される
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記用紙物性検知装置は、前記記録材に対する画像形成を行う印刷装置の上流側に配置され、前記画像形成が行われる前に、前記用紙束に対して物性検知を実行する
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記用紙物性検知装置は、前記記録材を反転する機構を有する
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記用紙物性検知装置は、反転された前記記録材を、検知された順で排紙する
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記記録材を反転する機構は、ナチュラルインバート方式で前記記録材を反転する機構である
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記記録材を反転する機構は、スイッチングバック方式で前記記録材を反転する機構である
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記用紙束に含まれる前記記録材の排紙順で、前記記録材の物性値を表示させる
請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項14】
異なる種類の記録材がセットとなっている用紙束に対して物性を検知して物性値を出力するステップと、
検知された前記用紙束に含まれる前記記録材の前記物性値に対応する用紙搬送条件及び画像形成条件を設定するステップと、を含む
用紙物性検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び用紙物性検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、複数種類の用紙が給紙部の複数のトレイにセットされ、印刷ジョブに従って、指定された種類の用紙が選択されて印刷が行われる場合がある。この場合、画像形成装置は、用紙の物性値に応じて画像形成時のトナーの転写電圧や定着温度等の画像形成条件を適切に調整することで画像品質を確保することができる。また、画像形成装置は、用紙の物性値に応じて、用紙の搬送条件を適切に調整して用紙を搬送することで、ジャム、画像のずれ、用紙の片寄り等のトラブルを軽減することもできる。例えば、特許文献1には、用紙物性値に応じて、用紙処理に関するパラメータを特定する技術開示されている。
【0003】
特許文献1には、複数種類の用紙物性に関する値を取得し、取得した用紙物性に関する値に基づいて用紙種別および坪量の少なくともいずれかを特定することが記載されている。また、取得した用紙物性に関する値に基づいて、用紙種別および坪量の少なくともいずれかを特定することなく用紙処理に関するパラメータを特定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-089505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、印刷ジョブの開始時または開始前に給紙部から1枚の用紙を給紙し、搬送経路上に設置されたメディアセンサで用紙物性を検知する。その後、検知された用紙物性に応じた画像形成条件あるいは搬送条件が適用され、画像形成が実行される。しかし、市場においては、特定の用途として異なる種類の用紙がセットとなっている用紙束、例えば、伝票等のノンカーボン紙や仕切り紙を含む混載印刷用紙束等が存在する。このような用紙束が給紙部にセットされる場合、特許文献1に記載の技術では、最初に搬送された用紙のみの物性が検出され、画像形成条件や搬送条件などを適用することになる。この場合、用紙束内の他の種類の用紙に対して適切でない条件で画像形成または搬送が行われてしまい、画質劣化、ジャム、画像のずれ等の印刷トラブルが発生する。このような場合には、印刷トラブルの発生を防止するため、用紙束に含まれる各種用紙の枚ごとに物性検知を行うことが必要となり、ユーザーの利便性が低下する。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、本発明の目的は、異なる種類の用紙がセットとなっている用紙束の印刷において、印刷トラブルを回避し、ユーザーの利便性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、異なる種類の記録材がセットとなっている用紙束に対して物性を検知して物性値を出力する用紙物性検知装置と、用紙物性検知装置により検知された用紙束に含まれる記録材の物性値に対応する用紙搬送条件及び画像形成条件を設定する制御部と、を備える。
なお、上記の画像形成装置は本発明の一態様であり、本発明の一側面を反映した用紙物性検知方法についても、上記の画像形成装置と同様に構成される。
【発明の効果】
【0008】
上記構成に本発明によれば、異なる種類の用紙がセットとなっている用紙束の印刷において、印刷トラブルを回避し、ユーザーの利便性を向上することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における用紙物性検知処理の手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
<第1実施形態>
[画像形成装置の概略構成]
まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、ネットワーク機能、後処理機能等の複数の機能が搭載された複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)で構成される。
【0012】
画像形成装置1は、図1に示すように、給紙装置10と、用紙物性検知装置20と、印刷装置30と、後処理装置40と、を備える。画像形成装置1では、記録材の搬送方向の上流側から、給紙装置10、用紙物性検知装置20、印刷装置30、及び後処理装置40が順に接続される。なお、本実施形態では、用紙物性検知装置20を画像形成装置1の内部構成とするが、本発明はこれに限定されない。用紙物性検知装置20を画像形成装置1の外部に配置され、独立的な装置としてもよい。
【0013】
給紙装置10は、画像形成が行われる記録材を収容する複数の給紙トレイを有する。給紙装置10では、ノンカーボン紙や仕切り紙など、異なる種類の記録材が、それぞれ、異なるトレイに収容される。以降では、記録材を「用紙」とも称する。
【0014】
用紙物性検知装置20は、用紙の搬送経路に配置され、給紙装置10から給紙される用紙又は用紙束に対して、用紙の物性を検知して物性値を出力する装置である。ここで、用紙束は、例えば、伝票等のノンカーボン紙や、仕切り紙を含む混載用紙束などの、異なる種類の記録材がセットとなっている用紙束である。用紙束に対して物性検知を行う場合、用紙束に含まれる各種の用紙は、給紙装置10の異なるトレイから給紙され、1セット(用紙束)とされる。以下の説明では、画像形成装置1が用紙束に対して物性検知処理及び画像形成処理を行う例を説明する。
【0015】
用紙物性検知装置20は、図1に示すように、用紙搬送路21に沿って設置されるメディアセンサー23a及びメディアセンサー23bを有する。また、用紙物性検知装置20は、用紙搬送路22に沿って設置されるメディアセンサー23c及びメディアセンサー23dを有する。また、用紙物性検知装置20は、排紙トレイ24を有する。メディアセンサー23a~23dは、物性を検知するセンサーであり、通過する用紙の物性を検知する。ここで、用紙の物性値は、用紙の厚み、水分量、透過率、剛度、表面性及び抵抗値の少なくとも1以上を含む。本実施形態では、用紙物性検知装置20が4つのメディアセンサーを有する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。用紙物性検知装置20は、少なくとも1つ以上のメディアセンサーを有し、メディアセンサーの個数が必要に応じて適宜変更されてもよい。以降では、メディアセンサー23a~23dを区別しない場合、「メディアセンサー23」と総称する。メディアセンサー23は、検知した用紙の物性値を後述の制御部60に出力する。
【0016】
本実施形態では、用紙物性検知装置20は、用紙に対する画像形成を行う印刷装置30の上流側に配置され、画像形成が行われる前に、用紙束に対して物性検知を実行する。しかし、本発明はこれに限定されず、用紙物性検知装置20は、印刷装置30の下流側に配置されてもよい。
【0017】
図1に示す用紙搬送路21及び用紙搬送路22は、それぞれ、複数の対応ローラー及び搬送ベルトを有する。用紙搬送路21は、後述の制御部60の指示に従って用紙物性検知を行わない場合、給紙装置10から給紙される用紙を印刷装置30に搬送する。また、用紙搬送路21は、用紙搬送方向(矢印参照)の下流側で分岐される。分岐された用紙搬送路22は、後述の制御部60の物性検知指示に従い、用紙搬送路21から搬送される用紙を上方向(矢印参照)に搬送して排紙トレイ24に排紙する。
【0018】
また、用紙物性検知装置20は、用紙を反転する機構(不図示)を有する。用紙物性検知装置20は、反転された用紙を、検知された順で排紙する。本実施形態において、用紙を反転する機構は、ナチュラルインバート方式で用紙を反転する機構であることを想定する。物性値が検知された用紙束は、ナチュラルインバート方式で反転されて排紙トレイ24に排紙される。ナチュラルインバート方式は、Uターンパスで用紙を自然に反転させる自然反転型パス方式である。ナチュラルインバート方式によりは、用紙束内の用紙の表裏を維持して、検知された順で排紙することができる。用紙束内の用紙の順番と表裏とを維持することにより、排紙された用紙束を並べ替えることなく再利用することができ、用紙束の再利用の利便性を向上することができる。また、用紙束内の各種用紙の物性値が、排紙順で表示装置に表示される場合、その表示画面と排出される用紙束の用紙とを対比して、用紙束内の用紙の物性値を容易に確認することができる。
【0019】
印刷装置30は、例えば、電子写真方式によって記録材に画像を形成する画像形成装置の一例である。印刷装置30は、画像形成に必要な構成要素で構成され、原稿画像を印刷ジョブに指定された記録材に印刷する。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成する。現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから記録媒体に2次転写する。さらに、定着装置で記録媒体上のトナー像を定着させる処理が行われる。印刷装置30は、画像形成された用紙を後処理装置40に排出する。
【0020】
後処理装置40は、印刷ジョブにおいて指定された後処理の指定に従い、印刷装置30から排出された用紙に対して後処理を行う。
【0021】
[画像形成装置のハードウェア構成例]
次に、画像形成装置1のハードウェア構成例について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置1は、図1に示す各構成の他、さらに、操作表示部50、制御部60、及び記憶部70を備える。各構成部は、バスBを介して互いに情報データの送受信ができるように接続される。
【0022】
操作表示部50は、表示部及び操作部を有する。表示部は、例えば、液晶ディスプレイモニターで構成され、印刷設定画面や、用紙物性検知結果などを表示する。入力部は、例えば、キーボード、マウス等で構成され、ユーザーが設定情報等を入力する際に利用する装置である。なお、表示部及び操作部は、タッチパネルで一体に構成されてもよい。
【0023】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63を有する。制御部60は、例えば、マイクロプロセッサ等で構成され、画像形成装置1の全体制御を行う。制御部60は、ユーザーにより設定された用紙束に含まれる用紙の枚数を取得し、取得した枚数で用紙束に対する物性検知を行う指示を用紙物性検知装置20に出力する。また、制御部60は、用紙物性検知装置20により検知された用紙束に含まれる用紙の物性値に対応する用紙搬送条件及び画像形成条件を設定する。また、制御部60は、用紙物性検知装置20により検知された用紙の物性値と、用紙が検知される順を表す識別情報とを紐付けて記憶部70に記憶する。また、制御部60は、用紙束に含まれる用紙の排紙順で、用紙の物性値を表示させる。また、制御部60は、検知された物性値に対応する用紙搬送条件で用紙を搬送するように制御し、検知された物性値に対応する画像形成条件で画像形成を制御する。
【0024】
CPU61は、画像形成装置1内の各構成部の動作を制御する。例えば、CPU61は、操作表示部50を介して行われるユーザーの印刷指示に基づいた印刷装置30の画像形成処理の制御を行う。また、CPU61は、後述の図3に示す用紙物性検知処理を制御する。なお、CPU61に代えてGPU(Graphics Processing Unit)を用いてもよく、CPU61とGPUを併用してもよい。
【0025】
ROM62は、例えば不揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU61が実行及び参照するプログラムやデータ等を記憶する。
【0026】
RAM63は、例えば揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU61が行う各処理に必要な情報(データ)を一時的に記憶する。
【0027】
記憶部70は、CPU61によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体で構成される。記憶部70は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成される。記憶部70は、CPU61が各部を制御するためのプログラム、OS(Operating System)、コントローラー等のプログラム、データを記憶する。なお、記憶部70に記憶されるプログラム、データの一部は、ROM62に記憶されてもよい。また、CPU61によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体は、HDDに限定されない。記憶部70は、例えば、SSD(Solid State Drive)、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0028】
[用紙物性検知処理の手順]
次に、画像形成装置1における用紙物性検知処理の手順について説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1における用紙物性検知処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、制御部60は、ユーザーにより用紙物性検知対象の用紙束に含まれる各用紙が設定され、処理開始の指示を受け取ると開始する。
【0029】
まず、画像形成装置1の制御部60は、用紙物性検知が設定されたか否かを判定する(S10)。この処理では、ユーザーが印刷ジョブにおいて、用紙物性検知を設定した場合、S10はYes判定となる。一方、ユーザーが印刷ジョブにおいて、用紙物性検知を設定していない場合、S10はNo判定となる。
【0030】
制御部60は、用紙物性検知が設定されていないと判定した場合(S10のNo)、後述のS16の処理を実行する。
【0031】
一方、制御部60は、用紙物性検知が設定されたと判定した場合(S10のYes)、ユーザーにより設定された用紙束の用紙枚数を取得する(S11)。また、この処理では、制御部60は、取得した用紙枚数で、用紙束に対する物性検知指示を用紙物性検知装置20に出力する。
【0032】
次いで、用紙物性検知装置20は、制御部60の物性検知指示に従い、用紙束に含まれる用紙に対して順次に物性検知を行う(S12)。また、この処理では、用紙物性検知装置20は、検知した用紙束の各用紙の物性値を制御部60に出力する。
【0033】
次いで、制御部60は、用紙束の各用紙の物性値と、用紙が検知された順番を表す識別情報とを紐付けて記憶部70に記憶する(S13)。
【0034】
次いで、制御部60は、用紙束の物性値を表示するか否かを判定する(S14)。この処理では、ユーザーによる用紙物性値の表示設定が存在する場合、S14はYes判定となる。一方、ユーザーによる用紙物性値の表示設定が存在しない場合、S14はNo判定となる。
【0035】
制御部60は、用紙束の物性値を表示しないと判定した場合(S14のNo)、後述のS16の処理を実行する。
【0036】
一方、制御部60は、用紙束の物性値を表示すると判定した場合(S14のYes)、用紙物性検知装置20における排紙順で、検知された物性値を操作表示部50に表示させる(S15)。
【0037】
次いで、制御部60は、本印刷を実行するように印刷装置30を制御する(S16)。
【0038】
次いで、制御部60は、用紙物性検知が設定されたか否かを判定する(S17)。この処理では、本印刷中に、ユーザーが各種調整時(カラーレジストや色調整など)や、所定枚数の印刷ごとなどに物性検知を行うと設定した場合、S17はYes判定となる。一方、ユーザーが上述の物性検知を設定していない場合、S17はNo判定となる。なお、多量印刷において、印刷中の機内環境や用紙環境変化による影響を最少化するため、印刷中の各種調整時、または、所定枚数の印刷ごとに用紙物性検知を行うことで、印刷品質を維持することができる。
【0039】
制御部60は、用紙物性検知が設定されたと判定した場合(S17のYes)、S11の処理に戻し、S11~S17の処理を繰り返し実行する。
【0040】
一方、制御部60は、用紙物性検知が設定されていないと判定した場合(S17のNo)、印刷ジョブに設定された本印刷が終了したか否かを判定する(S18)。
【0041】
制御部60は、印刷ジョブに設定された本印刷が終了していないと判定した場合(S18のNo)、本印刷を継続に実行させる。このため、制御部60は、S16の処理に戻し、S16~S18の処理を繰り返し実行する。
【0042】
一方、制御部60は、印刷ジョブに設定された本印刷が終了したと判定した場合(S18のYes)、用紙物性検知処理は終了する。
【0043】
[効果]
上述したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、異なる種類の用紙がセットとなっている用紙束に含まれる各種用紙のそれぞれの物性を検知する。検知後の用紙束内の各用紙は、検知された順及び表裏が維持されて排紙される。また、画像形成装置1は、検知された用紙束内の各用紙の物性値を、排紙順(検知された順)に表示する。また、画像形成装置1は、印刷中の各種調整時、または、所定枚数の印刷ごとに用紙物性検知を行う。上記構成の画像形成装置1により、排紙される用紙束をアレンジーせず再利用することができ、用紙束の再利用の利便性を向上することができる。また、用紙束内の用紙の物性値が、排紙順で表示装置に表示され、その表示画面と排出される用紙束の用紙とを対比して、用紙束内の用紙の物性値を容易に確認することができる。また、画像形成装置1により、用紙束内の各種用紙のそれぞれの物性値に応じて、用紙搬送条件及び画像形成条件が設定され、印刷トラブルの発生を防止することができる。このため、本実施形態に係る画像形成装置1は、異なる種類の用紙がセットとなっている用紙束の印刷において、印刷トラブルを回避し、ユーザーの利便性を向上することである。
【0044】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置1aについて説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置1aの概略構成を示す図である。図4図1とを比較して分かるように、画像形成装置1aの用紙物性検知装置20a以外の各構成部は、図1に示す各構成部と同じである。ここで、図4図1と同じ各構成部の重複説明は省略する。
【0045】
用紙物性検知装置20aにおける用紙を反転する機構は、スイッチングバック方式で用紙を反転する機構である。図4に示すように、用紙物性検知装置20aには、用紙搬送路22に分岐搬送路25が設けられている。本実施形態において、用紙搬送路22に搬送される用紙は、不図示のスイッチングバック機構により、スイッチングバック方式で反転される。反転された用紙は、分岐搬送路25により上に搬送され、排紙トレイ24aに排紙される。第2実施形態において、用紙は、スイッチングバック方式で反転されるため、図4に示すように、排紙トレイ24aの向き方向は、図1に示す排紙トレイ24の向き方向と逆である。
【0046】
スイッチングバック機構により、スイッチングバック方式で反転されて排紙される用紙束の各用紙は、検知された順及び表裏を維持して排紙されることができる。また、第2実施形態に係る画像形成装置1aは、第1実施形態に係る画像形成装置1と同じ効果を有する。
【0047】
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために画像形成装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1a…画像形成装置、10…給紙装置、20,20a…用紙物性検知装置、23…メディアセンサー、30…印刷装置、50…操作表示部、60…制御部
図1
図2
図3
図4